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特開2022-171166医用画像生成装置、医用画像生成方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171166
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】医用画像生成装置、医用画像生成方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/00 20060101AFI20221104BHJP
【FI】
A61B8/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021077638
(22)【出願日】2021-04-30
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】色摩 譲
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601EE11
4C601HH15
4C601HH31
4C601JC04
4C601KK42
(57)【要約】
【課題】画像パラメーターが互いに異なる超音波画像を切り替える際の操作性を改善することができる医用画像生成装置、医用画像生成方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】超音波探触子が送受信した超音波信号に基づく超音波画像の生成の際に適用される複数の画像パラメーターのそれぞれを有効にするか、無効にするかの設定に関する設定情報を記憶する記憶部と、複数の画像パラメーターのそれぞれを有効にするか、無効にするかの選択を行う操作入力を受け付ける操作入力部と、設定情報が示す設定の内容と、操作入力により行われた選択の結果と、複数の画像パラメーターの間であらかじめ決められている排他条件と、に基づいて、超音波画像の生成の際に有効にする画像パラメーターを決定パラメーターとして決定する決定部と、決定パラメーターを適用して超音波画像を生成する制御を行う適用部と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波探触子が送受信した超音波信号に基づく超音波画像の生成の際に適用される複数の画像パラメーターのそれぞれを有効にするか、無効にするかの設定に関する設定情報を記憶する記憶部と、
前記複数の画像パラメーターのそれぞれを有効にするか、無効にするかの選択を行う操作入力を受け付ける操作入力部と、
前記設定情報が示す前記設定の内容と、前記操作入力により行われた前記選択の結果と、前記複数の画像パラメーターの間であらかじめ決められている排他条件と、に基づいて、前記超音波画像の生成の際に有効にする前記画像パラメーターを決定パラメーターとして決定する決定部と、
前記決定パラメーターを適用して超音波画像を生成する制御を行う適用部と、
を備える、医用画像生成装置。
【請求項2】
前記設定情報を、前記決定パラメーターに基づいて生成する設定情報生成部、
をさらに備える、請求項1に記載の医用画像生成装置。
【請求項3】
前記複数の画像パラメーターは、前記排他条件により互いに排他の関係が設定されている第1のパラメーターおよび第2のパラメーターを含む、
請求項1または2に記載の医用画像生成装置。
【請求項4】
前記決定部は、前記第1のパラメーターを有効にする前記操作入力が行われた場合に、前記設定情報において前記第1のパラメーターが有効に設定されているか否かにかかわらず、前記第1のパラメーターを前記決定パラメーターに決定する、
請求項3に記載の医用画像生成装置。
【請求項5】
前記決定部は、前記設定情報において前記第1のパラメーターが有効に設定されており、かつ、前記第2のパラメーターが前記決定パラメーターに決定されている状態で、前記第2のパラメーターを無効にする前記操作入力が受け付けられた場合に、前記決定パラメーターを前記第1のパラメーターに決定する、
請求項4に記載の医用画像生成装置。
【請求項6】
前記第1のパラメーターは、第3のパラメーターおよび第4のパラメーターを含み、
前記決定部は、前記設定情報において前記第3のパラメーターおよび前記第4のパラメーターが有効に設定されており、かつ前記決定パラメーターが前記第2のパラメーターに決定されている状態で、前記第3のパラメーターを有効にする前記操作入力、または、前記第4のパラメーターを有効にする前記操作入力が受け付けられた場合に、前記決定パラメーターを前記第2のパラメーターに代えて前記第3のパラメーターおよび前記第4のパラメーターに決定する、
請求項5に記載の医用画像生成装置。
【請求項7】
前記第2のパラメーターは、ステアリング走査に関する画像パラメーターであり、
前記第3のパラメーターは、台形走査に関する画像パラメーターであり、
前記第4のパラメーターは、空間コンパウンド法に関する画像パラメーターである、
請求項6に記載の医用画像生成装置。
【請求項8】
超音波探触子が送受信した超音波信号に基づく超音波画像の生成の際に適用される複数の画像パラメーターのそれぞれを有効にするか、無効にするかの設定に関する設定情報があらかじめ設定されている超音波診断装置が実行する医用画像生成方法であって、
前記複数の画像パラメーターのそれぞれを有効にするか、無効にするかの選択を行う操作入力を受け付け、
前記設定情報が示す前記設定の内容と、前記操作入力により行われた前記選択の結果と、前記複数の画像パラメーターの間であらかじめ決められている排他条件と、に基づいて、前記超音波画像の生成の際に有効にする前記画像パラメーターを決定パラメーターとして決定し、
前記決定パラメーターを適用して超音波画像を生成する制御を行う、
医用画像生成方法。
【請求項9】
超音波探触子が送受信した超音波信号に基づく超音波画像の生成の際に適用される複数の画像パラメーターのそれぞれを有効にするか、無効にするかの設定に関する設定情報があらかじめ設定されている超音波診断装置が有するコンピューターにより実行されるプログラムであって、
前記複数の画像パラメーターのそれぞれを有効にするか、無効にするかの選択を行う操作入力を受け付ける手順と、
前記設定情報が示す前記設定の内容と、前記操作入力により行われた前記選択の結果と、前記複数の画像パラメーターの間であらかじめ決められている排他条件と、に基づいて、前記超音波画像の生成の際に有効にする前記画像パラメーターを決定パラメーターとして決定する手順と、
前記決定パラメーターを適用して超音波画像を生成する制御を行う手順と、
を前記コンピューターに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
超音波診断装置は、超音波を被検体に送信し、被検体による反射超音波に対して様々な処理を行うことにより、被検体内の様子を示す超音波画像データを作成する。超音波画像データの生成において、各種の画像パラメーターを設定することで、生成する超音波画像データに各種の影響を与えることが行われている。
【0002】
例えば、特許文献1には、穿刺針を被検体に刺した状態で、送信超音波を適切な角度にステアリングして穿刺針からの反射超音波が他の生体組織に比べて強くなるようにすることで、穿刺針を強調した強調画像を生成する超音波診断装置が開示されている。特許文献1では、画像パラメーターとして、強調画像を生成する際のステアリング角度が適切に設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-100556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
超音波診断装置が使用される医療現場において、種々の画像パラメーターが適用された画像を臨機応変に切り替えながら診断を行うことがよく行われている。一例として、特許文献1のように送信超音波をステアリングすることで穿刺針を強調した強調画像と、送信超音波をステアリングせずに得られた生体組織画像と、を超音波技師が適宜切り替えながら診断を行うことが挙げられる。このような場合、画像パラメーターの変更のために超音波技師が様々な操作を行わなければならないことがあり、操作性の改善が要望されている。
【0005】
本開示は、画像パラメーターが互いに異なる超音波画像を切り替える際の操作性を改善することができる医用画像生成装置、医用画像生成方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の医用画像生成装置は、超音波探触子が送受信した超音波信号に基づく超音波画像の生成の際に適用される複数の画像パラメーターのそれぞれを有効にするか、無効にするかの設定に関する設定情報を記憶する記憶部と、前記複数の画像パラメーターのそれぞれを有効にするか、無効にするかの選択を行う操作入力を受け付ける操作入力部と、前記設定情報が示す前記設定の内容と、前記操作入力により行われた前記選択の結果と、前記複数の画像パラメーターの間であらかじめ決められている排他条件と、に基づいて、前記超音波画像の生成の際に有効にする前記画像パラメーターを決定パラメーターとして決定する決定部と、前記決定パラメーターを適用して超音波画像を生成する制御を行う適用部と、を備える。
【0007】
本開示の医用画像生成方法は、超音波探触子が送受信した超音波信号に基づく超音波画像の生成の際に適用される複数の画像パラメーターのそれぞれを有効にするか、無効にするかの設定に関する設定情報があらかじめ設定されている超音波診断装置が実行する医用画像生成方法であって、前記複数の画像パラメーターのそれぞれを有効にするか、無効にするかの選択を行う操作入力を受け付け、前記設定情報が示す前記設定の内容と、前記操作入力により行われた前記選択の結果と、前記複数の画像パラメーターの間であらかじめ決められている排他条件と、に基づいて、前記超音波画像の生成の際に有効にする前記画像パラメーターを決定パラメーターとして決定し、前記決定パラメーターを適用して超音波画像を生成する制御を行う。
【0008】
本開示のプログラムは、超音波探触子が送受信した超音波信号に基づく超音波画像の生成の際に適用される複数の画像パラメーターのそれぞれを有効にするか、無効にするかの設定に関する設定情報があらかじめ設定されている超音波診断装置が有するコンピューターにより実行されるプログラムであって、前記複数の画像パラメーターのそれぞれを有効にするか、無効にするかの選択を行う操作入力を受け付ける手順と、前記設定情報が示す前記設定の内容と、前記操作入力により行われた前記選択の結果と、前記複数の画像パラメーターの間であらかじめ決められている排他条件と、に基づいて、前記超音波画像の生成の際に有効にする前記画像パラメーターを決定パラメーターとして決定する手順と、前記決定パラメーターを適用して超音波画像を生成する制御を行う手順と、を前記コンピューターに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、画像パラメーターが互いに異なる超音波画像を切り替える際の操作性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】超音波診断装置の構成の一例を示す図
図2】医用画像生成装置の構成の一例を示すブロック図
図3】制御部が超音波診断装置の各部の動作を集中制御するために有する機能ブロックを例示した図
図4】台形走査について説明するための図
図5】空間コンパウンドについて説明するための図
図6】ステアリング走査について説明するための図
図7】医用画像生成装置の動作例について説明するためのフローチャート
図8図7のステップS5における、新たな決定パラメーターを決定する処理の詳細を説明するためのフローチャート
図9A】決定パラメーターが台形走査に関するパラメーターPtおよび空間コンパウンド法に関するパラメーターPcに決定された場合の表示画面を示した図
図9B】決定パラメーターがステアリング走査に関するパラメーターPsに決定された場合の表示画面を示した図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して説明する。ただし、発明の範囲は図示した例に限定されない。なお、以下の説明において、同一の機能および構成を有するものについては、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0012】
図1は、超音波診断装置100の構成の一例を示す図である。超音波診断装置100は、図1に示すように、医用画像生成装置1と、超音波探触子2と、を有する。超音波探触子2は、図示しない生体等の被検体内に対して超音波(送信超音波)を送信するとともに、この被検体内で反射した超音波の反射波(反射超音波)を受信する。
【0013】
医用画像生成装置1は、超音波探触子2とケーブル3を介して接続され、超音波探触子2に電気信号の駆動信号を送信することによって超音波探触子2に被検体に対して送信超音波を送信させる。そして、超音波探触子2にて受信した被検体内からの反射超音波に応じて超音波探触子2で生成された電気信号である受信信号に基づいて被検体内の内部状態を超音波画像として画像化する。
【0014】
超音波探触子2は、複数の圧電素子からなる振動子2a(図2参照)を有し、この振動子2aは、例えば、方位方向(走査方向)に一次元アレイ状に複数配列されている。振動子2aの個数は、任意に設定することができる。
【0015】
図2は、医用画像生成装置1の構成の一例を示すブロック図である。医用画像生成装置1は、図2に示すように、例えば、操作入力部11と、送信部12と、受信部13と、画像生成部14と、DSC(Digital Scan Converter)15と、画像処理部16と、表示部17と、記憶部18と、制御部19と、を有する。
【0016】
操作入力部11は、例えば、診断開始を指示するコマンド、被検体の個人情報等のデータ等を入力するユーザーの操作を受け付けるための操作デバイスである。具体的には、操作入力部11は、各種スイッチ、ボタン、トラックボール、マウス、キーボード、表示部17に重畳されたタッチパネル等である。操作入力部11は、入力された操作に基づく操作信号を制御部19に出力する。
【0017】
特に操作入力部は、表示部17に表示される超音波画像に適用する各種画像パラメーターのそれぞれを有効にするか、無効にするかの選択を行う操作入力を受け付ける。超音波画像に適用する画像パラメーターについての詳細は、後述する。
【0018】
送信部12は、制御部19の制御に従って、超音波探触子2にケーブル3を介して電気信号である駆動信号を供給し、超音波探触子2に送信超音波を発生させる回路である。送信部12は、例えば、図示しないクロック発生回路、遅延回路、パルス発生回路を有する。クロック発生回路は、駆動信号の送信タイミングや送信周波数を決定するクロック信号を発生させる回路である。遅延回路は、振動子2a毎に対応した個別経路毎に遅延時間を設定し、設定された遅延時間だけ駆動信号の送信を遅延させて送信超音波によって構成される送信ビームの集束(送信ビームフォーミング)や、送信ビームの角度の設定(ステアリング)を行うための回路である。パルス発生回路は、所定の周期で駆動信号としてのパルス信号を発生させるための回路である。
【0019】
上述のように構成された送信部12は、例えば、超音波探触子2に配列された複数の振動子2a(例えば、数百個)のうちの連続する一部(例えば、数十個)を駆動して送信超音波を発生させる。そして、送信部12は、送信超音波を発生させる毎に駆動する振動子2aを方位方向にずらすことで走査(スキャン)を行う。また、送信部12は、送信ビームの角度を変更しながら走査を行うことで、角度の異なる複数の反射信号を受信することができる。送信ビームの角度を変更しながら走査を行うことを、本実施の形態ではステアリング走査と記載する。
【0020】
受信部13は、制御部19の制御に従って、超音波探触子2からケーブル3を介して電気信号である受信信号を受信する回路である。受信部13は、例えば、増幅器、A/D変換回路、整相加算回路を有する。増幅器は、受信信号を、振動子2a毎に対応した個別経路毎に、予め設定された増幅率で増幅させるための回路である。A/D変換回路は、増幅された受信信号をアナログ/デジタル変換(A/D変換)するための回路である。整相加算回路は、A/D変換された受信信号に対して、振動子2a毎に対応した個別経路毎に遅延時間を与えて時相を整え、これらを加算(整相加算)して音線データを生成するための回路である。すなわち、整相加算回路は、振動子2a毎の受信信号に対して受信ビームフォーミングを行って音線データを生成する。
【0021】
画像生成部14は、制御部19の制御に従って、受信部13から入力された音線データに対して包絡線検波処理や対数圧縮等を実施し、ダイナミックレンジやゲインの調整を行って輝度変換することにより、Bモードの超音波画像データを生成する。Bモードの超音波画像データは、受信信号の強さを輝度によって表したものである。なお、本実施の形態において、画像生成部14は、Bモード画像データの他、Aモード画像(振幅画像)データ、Mモード画像(動き画像)データや、ドップラー法によるカラードップラー画像データ等の種々の超音波画像データを生成できるようにしてもよい。
【0022】
DSC15は、制御部19の制御に従って、画像生成部14が生成した複数の超音波画像データに対して走査周波数変換を行い、画像処理部16に対して出力する。
【0023】
画像処理部16は、制御部19の制御に従って、DSC15から取得した複数の超音波画像データに対して各種の画像処理を行う。また、画像処理部16は、図示しないメモリーを有し、画像処理前後の超音波画像データをフレームごとにメモリーに記憶する。以下の説明において、フレーム単位の超音波画像データを、フレーム画像データと記載することがある。
【0024】
表示部17は、制御部19の制御に従って、LED(Light-Emitting Diode)、LCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode-Ray Tube)ディスプレイ、有機EL(Electronic Luminescence)ディスプレイ、無機ELディスプレイ、およびプラズマディスプレイ等の表示装置である。表示部17は、画像処理部16から出力された超音波画像データに基づいて超音波画像の表示を行う。
【0025】
記憶部18は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)などの大容量記録媒体によって構成されており、患者情報に紐づいて保存される超音波画像データ、後述する画像パラメーターに関する設定情報などを記憶する。
【0026】
制御部19は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を有し、ROMに記憶されているシステムプログラム等の各種処理プログラムを読み出してRAMに展開し、展開したプログラムに従って超音波診断装置100の各部の動作を集中制御する。
【0027】
ROMは、半導体等の不揮発メモリー等により構成され、超音波診断装置100に対応するシステムプログラム、およびシステムプログラム上で実行可能な各種処理プログラムや、ガンマテーブル等の各種データ等を記憶する。これらのプログラムは、コンピューターが読み取り可能なプログラムコードの形態で格納され、CPUは、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。RAMは、CPUにより実行される各種プログラムおよびこれらプログラムに係るデータを一時的に記憶するワークエリアを形成する。
【0028】
図3は、制御部19が超音波診断装置100の各部の動作を集中制御するために有する機能ブロックを例示した図である。図3に示すように、制御部19は、機能ブロックとして、決定部191と、適用部192と、設定情報生成部193と、を有する。
【0029】
決定部191は、医用画像生成装置1が超音波画像データを生成する際に有効にする画像パラメーターを決定する。画像パラメーターは、超音波画像データに対して様々な効果を与えるためのパラメーターである。本実施の形態において用いられる画像パラメーターは、台形走査に関するパラメーターPt、空間コンパウンド法に関するパラメーターPc、またはステアリング走査に関するパラメーターPs、の少なくとも3種類を含む。
【0030】
台形走査に関するパラメーターPtおよび空間コンパウンド法に関するパラメーターPcは、本開示の第1のパラメーターの一例である。ステアリング走査に関するパラメーターPsは、本開示の第2のパラメーターの一例である。台形走査に関するパラメーターPtは、本開示の第3のパラメーターの一例である。空間コンパウンド法に関するパラメーターPcは、本開示の第4のパラメーターの一例である。
【0031】
台形走査は、送信超音波を台形状(扇形状)に送信して広範囲の画像データを生成する走査方法である。台形走査により生成された超音波画像は、トラペゾイド画像等とも呼ばれる。図4は、台形走査について説明するための図である。台形走査により、通常より広視野を一度に観察することができる。
【0032】
空間コンパウンド法は、複数方向のステアリング走査により得られた複数のステアリング画像データの重なった部分を合成して1枚の超音波画像データを生成する画像処理方法である。図5は、空間コンパウンドについて説明するための図である。図5では、超音波探触子2から正面方向に送信された超音波により生成された画像と、左右それぞれにステアリングされた画像とが合成されることにより、空間コンパウンド画像(図5において網掛けされた部分)が生成される例が示されている。空間コンパウンド法により、通常よりも高画質の超音波画像データを生成することができる。空間コンパウンド法は、上述した台形走査と併用が可能である。
【0033】
ステアリング走査とは、上述したように、送信超音波の送信方向を、既定の送信方向から偏向させる走査方法である。図6は、ステアリング走査について説明するための図である。図6に示す例では、超音波探触子2の正面方向に対して角度θだけ送信超音波を偏向させた様子が示されている。ステアリング走査により、例えば超音波探触子2の正面方向に対して斜めに存在する構造物からの反射超音波を好適に受信することができ、当該構造物を画質よく描写することができる。なお、ステアリング走査は、上述した台形走査および空間コンパウンド法と併用すると、斜めに存在する構造物からの反射超音波を好適に受信するというステアリング走査の利点が損なわれる可能性があるため、併用されない場合が多い。
【0034】
本実施の形態において、各画像パラメーターは、有効または無効の2つの値を有する。例えば台形走査に関するパラメーターPtが有効であるとき、後述の適用部192は、医用画像生成装置1の各構成を制御して超音波画像データを生成させる際、パラメーターPtを適用させて台形画像を生成する。また、例えば空間コンパウンド法に関するパラメーターPcが無効であるとき、適用部192は、医用画像生成装置1の各構成を制御して超音波画像データを生成させる際、パラメーターPcを適用させない。
【0035】
このように、医用画像生成装置1では、それぞれ異なる走査方法、または画像処理方法に関する複数の画像パラメーターのうち、少なくともいずれかを適用して超音波画像データを生成することができる。
【0036】
決定部191は、このような複数の画像パラメーターのうち、超音波画像データを生成する際に有効にする画像パラメーターを決定する。なお、複数の画像パラメーターには、互いに排他条件が設定されているものがある。
【0037】
例えば上述の例では、ステアリング走査に関するパラメーターPsと、台形走査に関するパラメーターPtとは、互いに排他の関係に設定されている。また、ステアリング走査に関するパラメーターPsと、空間コンパウンド法に関するパラメーターPcとは、互いに排他の関係に設定されている。一方、台形走査に関するパラメーターPtと、空間コンパウンド法に関するパラメーターPcとの間には、排他条件は設定されていない。
【0038】
互いに排他の関係にある2つの画像パラメーターにおいては、一方が有効にされた場合、他方は自動的に無効にされる。例えば、ステアリング走査に関するパラメーターPsが有効にされた場合、台形走査に関するパラメーターPtは自動的に無効にされる。
【0039】
決定部191は、ユーザーが操作入力部11に対して行った、各画像パラメーターを有効にするか無効にするかの選択と、あらかじめ設定された設定情報と、排他条件と、に基づいて、超音波画像データの生成の際に適用する画像パラメーターを決定する。以下の説明において、決定部191が決定して、実際に超音波画像データの生成に適用される画像パラメーターを、決定パラメーターと記載する。
【0040】
設定情報は、あらかじめ設定された(プリセットされた)情報であって、どの画像パラメーターを有効にし、どの画像パラメーターを無効にするかを示す情報である。言い換えると、設定情報は、医用画像生成装置1が起動した時点で表示部17に表示させる超音波画像データに適用される画像パラメーターである、初期設定を示す情報である。設定情報は、所定のタイミングで、設定情報生成部193により生成され、記憶部18に記憶される。
【0041】
決定部191は、操作入力部11を介してある画像パラメーターを有効にする操作入力が行われた場合、設定情報における当該画像パラメーターが有効に設定されているか否かにかかわらず、当該画像パラメーターを決定パラメーターに決定する。具体的には、設定情報では台形走査に関するパラメーターPtが有効に設定されており、ユーザーが操作入力部11を介してステアリング走査に関するパラメーターPsを有効とするように選択したとき、決定部191は、ステアリング走査に関するパラメーターPsを決定パラメーターとすることを決定する。言い換えると、決定部191が決定パラメーターを決定する際の判断基準としては、設定情報よりも操作入力部11を介したユーザーの操作入力の方が、優先順位が高くなっている。
【0042】
なお、決定部191により決定パラメーターが決定されても、設定情報は、当初の設定のまま、記憶部18に記憶されている。すなわち、設定情報は、現在の決定パラメーターに関わらず、設定情報生成部193によって新たな設定情報が生成されるまで、記憶部18において保持される。
【0043】
また、決定部191は、排他条件により、互いに排他の関係に設定されている画像パラメーターのうち、いずれか一方が設定情報において有効にするように設定されており、他方が現在の決定パラメーターに決定されている場合、操作入力部11が、現在の決定パラメーターを無効にするユーザーの操作を新たに受け付けた時点で、設定情報において有効とするように設定されている画像パラメーターを新たな決定パラメーターに決定する。
【0044】
具体的には、設定情報において台形走査に関するパラメーターPtが有効にするように設定されており、現在の決定パラメーターがステアリング走査に関するパラメーターPsであったところに、操作入力部11を介してステアリング走査を無効にする操作を新たに受け付けた場合、決定部191は、台形走査に関するパラメーターPtを新たな決定パラメーターに設定する。
【0045】
従って、ユーザーは、あらかじめ設定情報において有効に設定されている第1の画像パラメーターではない第2の画像パラメーターが現在の決定パラメーターであるとき、第1の画像パラメーターを有効にする操作入力を行わなくても、第2の画像パラメーターを無効にする操作入力だけで、第1の画像パラメーターを新たに決定パラメーターとすることができる。このため、あらかじめ設定情報において有効に設定されている第1の画像パラメーターではない第2の画像パラメーターが現在の決定パラメーターであるとき、第1の画像パラメーターを有効にする操作入力と、第2の画像パラメーターを無効にする操作入力と、の両方を行わなければならない場合と比較して、簡単な操作入力で第1の画像パラメーターを新たに決定パラメーターとすることができる。これにより、ユーザーに求められる操作入力が簡単になり、ユーザビリティーが向上する。
【0046】
なお、上述した例における第1の画像パラメーターおよび第1の画像パラメーターは、それぞれ複数の画像パラメーターを含んでいてもよい。決定部191による、決定パラメーターの決定処理の詳細については、後に図8を参照しながら説明する。
【0047】
図3の説明に戻る。適用部192は、決定部191が決定した決定パラメーターを適用して超音波画像データを生成するように、医用画像生成装置1の各部を制御する。
【0048】
例えば決定パラメーターがステアリング操作に関するパラメーターPs、または台形走査に関するパラメーターPtであるとき、適用部192は、超音波探触子2から送信される送信超音波の向きを変更させるよう、送信部12を制御する。
【0049】
また、決定パラメーターが空間コンパウンド法に関するパラメーターPcであるとき、適用部192は、超音波探触子2から送信される送信超音波の向きを変更させるよう、送信部12を制御するとともに、複数の向きの送信超音波により得られた反射超音波に基づき複数の超音波画像データを生成し、それらを合成して1枚の超音波画像データを生成するように画像処理部16を制御する。
【0050】
設定情報生成部193は、所定のタイミングにおける決定パラメーターに基づいて、設定情報を生成する。所定のタイミングは、例えば、ユーザーが設定情報を生成することを医用画像生成装置1に対して指示する操作を操作入力部11に対して行ったタイミング、または、ユーザーが超音波診断装置100を用いた診断を終了し、電源をオフにするタイミング等である。
【0051】
設定情報生成部193が生成する新たな設定情報は、そのタイミングにおける決定パラメーターが設定されるため、そのタイミングにおける古い設定情報は、新たな設定情報には全く反映されない。このため、ユーザーが超音波診断装置100を使用している実態に即した設定情報を設定することができる。
【0052】
[動作]
次に、図7を参照して、医用画像生成装置1の動作例について説明する。図7は、電源オフ状態、または休止状態の医用画像生成装置1が起動された場合の動作例を示している。
【0053】
ステップS1において、医用画像生成装置1は、ユーザーの操作により起動する。ステップS1におけるユーザーの操作は、例えば、ユーザーが医用画像生成装置1の電源ボタンを押下する、または、休止状態の医用画像生成装置1の操作入力部11に対して何らかの操作を行う等である。
【0054】
ステップS2において、医用画像生成装置1は、記憶部18に記憶されている設定情報を読み込む。
【0055】
ステップS3において、医用画像生成装置1は、設定情報において有効にするように設定されている画像パラメーターを決定パラメーターに設定し、決定パラメーターを適用した超音波画像データを生成して表示部17に表示させる。
【0056】
ステップS4において、医用画像生成装置1は、現在の決定パラメーターを変更する操作が操作入力部11に対してあったか否かを判定する。医用画像生成装置1は、現在の決定パラメーターを変更する操作があったと判定した場合、処理をステップS5に進め、そうでない場合はステップS4の処理を繰り返す。
【0057】
ステップS5において、医用画像生成装置1は、現在の決定パラメーターを変更する操作と、その時点における設定情報と、排他条件とに基づいて、新たな決定パラメーターを決定する。ステップS5の処理の詳細については、後出の図8において説明する。
【0058】
ステップS6において、医用画像生成装置1は、ステップS5で決定した新たな決定パラメーターを適用して超音波画像データを生成し、表示部17に表示させる。
【0059】
次に、図8を参照して、図7のステップS5における、新たな決定パラメーターを決定する処理の詳細について説明する。
【0060】
ステップS11において、医用画像生成装置1は、現在の決定パラメーターを変更する操作の内容を取得する。
【0061】
ステップS12において、医用画像生成装置1は、ステップS11において取得した、有効にすることが指定された新たな画像パラメーターと、現在の決定パラメーターとが排他の関係にあるか否かを、排他条件に基づいて判断する。なお、以下の説明において、ユーザーの操作により有効にすることが指定された新たな画像パラメーターを指定パラメーターと記載し、現在の決定パラメーターを現決定パラメーターと記載する。
【0062】
ステップS12において、医用画像生成装置1は、指定パラメーターと現決定パラメーターとが排他関係にあると判断した場合、処理をステップS13に進め、そうでない場合、処理をステップS16に進める。
【0063】
ステップS13において、医用画像生成装置1は、指定パラメーターを有効にし、ステップS12における現決定パラメーターを無効にする。これにより、指定パラメーターが新たな決定パラメーターに決定される。
【0064】
ステップS14において、医用画像生成装置1は、ステップS13で新たな決定パラメーターに決定された指定パラメーターを無効にする操作、または、元の決定パラメーター、すなわちステップS12における現決定パラメーターを再び有効にする操作が、操作入力部11に対して行われたか否かを判断する。
【0065】
言い換えると、ステップS14の処理は、ステップS13で決定された新たな決定パラメーターを、元の決定パラメーター(ステップS12における決定パラメーター)に戻す操作を受け付けたか否かを判断する処理である。
【0066】
ステップS14において、医用画像生成装置1は、新たな決定パラメーターを元に戻す操作が行われたと判断した場合、処理をステップS15に進め、そうでない場合、ステップS14の処理を繰り返す。
【0067】
ステップS15において、医用画像生成装置1は、決定パラメーターを、元の決定パラメーター(ステップS12における決定パラメーター)に戻す。
【0068】
このような動作により、元々使用していた元の決定パラメーターが、ユーザーの操作により、元の決定パラメーターと排他の関係にある他の画像パラメーターに変更された後、さらにユーザーの操作により、元の決定パラメーターに戻されるとき、ユーザーは、変更した他の画像パラメーターを無効にする操作と、元の決定パラメーターを新たに有効にする操作のうち、いずれか一方の操作のみを行えばよく、他方の操作を行う必要がない。なお、変更した他の画像パラメーターを無効にする操作は、ユーザーが、「元の決定パラメーターが適用された状態に戻そう」と考える場合に行われる操作であり、元の決定パラメーターを新たに有効にする操作は、ユーザーが、「新たに元の決定パラメーターに該当する画像パラメーターを適用させよう」と考える場合に行われる操作である。このため、本開示の画像処理装置では、いずれの考え方をするユーザーでも、直感的に元の決定パラメーターに戻すことができるような操作体系を提供することができる。
【0069】
本開示が適用されない画像処理装置では、このような場合、変更した他の画像パラメーターを無効にする操作と、元の決定パラメーターを有効にする操作の両方を行わなければ、決定パラメーターを元の決定パラメーターに戻すことができなかった。このため、本開示の医用画像生成装置1では、元々使用していた元の決定パラメーターが、ユーザーの操作により、元の決定パラメーターと排他の関係にある他の画像パラメーターに変更された後、さらにユーザーの操作により、元の決定パラメーターに戻される場合の操作を、本開示が適用されない場合と比較して、操作量を減らし、簡単な操作とすることができる。
【0070】
なお、本開示が適用されない画像処理装置において、互いに排他の関係にある複数の画像パラメーターのいずれかが適用されているとき、他方の画像パラメーターを有効にする操作を受け付けないようにすることがあった。具体的には、他方の画像パラメーターに対応する選択肢を表示しない、またはグレーアウトした表示とする等である。しかしながら、本開示の医用画像生成装置1では、その必要がなく、ユーザーにとっては、どちらの画像パラメーターを適用させたい場合でも、直感的な操作により実現することが可能となる。
【0071】
図8の説明に戻る。ステップS16において、医用画像生成装置1は、互いに排他の関係にない、指定パラメーターとステップS12における現決定パラメーターの両方を有効にする。これにより、指定パラメーターと、ステップS12における現決定パラメーターの両方が、ステップS16における決定パラメーターに決定される。
【0072】
[効果]
以下では、図7および図8にて説明した医用画像生成装置1の処理によってもたらされる効果を、具体例を挙げながら、表示画面の例とともに詳細に説明する。
【0073】
以下の具体例では、設定情報は、台形走査に関するパラメーターPtが有効に、空間コンパウンド法に関するパラメーターPcが有効に、そしてステアリング走査に関するパラメーターPsが無効になるように、設定されているとする。
【0074】
上述したように、台形走査に関するパラメーターPtと、空間コンパウンド法に関するパラメーターPcとは排他の関係にはなく、ステアリング走査に関するパラメーターPsと、台形走査に関するパラメーターPtおよび空間コンパウンド法に関するパラメーターPcとはそれぞれ排他の関係にある。
【0075】
このとき、ユーザーが医用画像生成装置1を起動すると(図7のステップS1に該当)、設定情報が読み込まれ(図7のステップS2に該当)、決定パラメーターは、台形走査に関するパラメーターPtおよび空間コンパウンド法に関するパラメーターPcに決定される(図7のステップS3に該当)。
【0076】
図9Aは、決定パラメーターが台形走査に関するパラメーターPtおよび空間コンパウンド法に関するパラメーターPcに決定された場合の表示画面201を示している。表示画面201は、表示部17に表示される画面の一例である。
【0077】
表示画面201には、超音波画像データを表示する領域と、「ステアOFF」、「台形走査ON」、および「コンパウンドON」等、画像パラメーターの有効または無効を示す表示領域と、を含む。このような表示画面201により、ユーザーは、表示されている超音波画像データにおいて、ステアリング走査が無効であり、台形走査および空間コンパウンドが有効であることを一目で読み取ることができる。
【0078】
図9Aに示す表示画面201が表示された状態で、ユーザーがステアリング走査に関するパラメーターPsを有効にする操作を操作入力部11に対して行ったとする。この操作は、図8のステップS11において受け付けられる操作に該当する。
【0079】
ステアリング走査に関するパラメーターPsを有効にする操作の例としては、操作入力部11としてのマウス、キーボード、またはタッチパネルを操作して「ステアOFF」の表示領域を選択する操作等が挙げられる。また、ステアリング走査に関するパラメーターPsを無効にする操作として、ステアリング走査により偏向される送信超音波の向きおよび大きさを設定する操作が含まれていてもよい。
【0080】
上述したように、ステアリング走査に関するパラメーターPsと、台形走査に関するパラメーターPtおよび空間コンパウンド法に関するパラメーターPcとはそれぞれ排他の関係にある(図8のステップS12のYESの場合に該当)。
【0081】
このため、医用画像生成装置1は、ステアリング走査に関するパラメーターPsを有効にする操作に対して、ステアリング走査に関するパラメーターPsを有効にして新たな決定パラメーターとするとともに、現在の決定パラメーターである、台形走査に関するパラメーターPtおよび空間コンパウンド法に関するパラメーターPcをそれぞれ無効とする(図8のステップS13に該当)
【0082】
図9Bは、決定パラメーターがステアリング走査に関するパラメーターPsに決定された場合の表示画面202を示している。表示画面202は、表示部17に表示される画面の一例である。
【0083】
表示画面202は、超音波画像データを表示する領域と、「ステアON」、「台形走査OFF」、および「コンパウンドOFF」等、画像パラメーターの有効または無効を示す表示領域と、を含む。このような表示画面202により、ユーザーは、表示されている超音波画像データにおいて、ステアリング走査に関するパラメーターPsが有効であり、台形走査に関するパラメーターPtおよび空間コンパウンド法に関するパラメーターPcが無効であることを一目で読み取ることができる。
【0084】
表示画面202が表示部17に表示されているとき、ステアリング走査を用いた診断が終了したとする。この場合、ユーザーは、表示部17に表示される画面を、ステアリング走査に関するパラメーターPsが無効であり、台形走査に関するパラメーターPtおよび空間コンパウンド法に関するパラメーターPcが有効である表示画面201に戻したいと考える。
【0085】
この場合、ユーザーは、ステアリング走査に関するパラメーターPsを無効にする操作、台形走査に関するパラメーターPtを有効にする操作、または、空間コンパウンド法に関するパラメーターPcを有効にする操作を、操作入力部11に対して行う(図8のステップS14のYESの場合に該当)。
【0086】
ステアリング走査に関するパラメーターPsを無効にする操作の例としては、操作入力部11としてのマウス、キーボード、またはタッチパネルを操作して「ステアON」の表示領域を選択する操作等が挙げられる。
【0087】
また、台形走査に関するパラメーターPtを有効にする操作としては、操作入力部11としてのマウス、キーボード、またはタッチパネルを操作して「台形走査OFF」の表示領域を選択する操作等が挙げられる。同様に、空間コンパウンド法に関するパラメーターPcを有効にする操作としては、操作入力部11としてのマウス、キーボード、またはタッチパネルを操作して「空間コンパウンドOFF」の表示領域を選択する操作等が挙げられる。
【0088】
ここで、ユーザーにより、ステアリング走査に関するパラメーターPsを無効にする操作、台形走査に関するパラメーターPtを有効にする操作、または、空間コンパウンド法に関するパラメーターPcを有効にする操作のいずれか1つの操作が行われた時点で、医用画像生成装置1は、表示部17に表示される表示画面を、ステアリング走査に関するパラメーターPsが無効であり、台形走査に関するパラメーターPtおよび空間コンパウンド法に関するパラメーターPcが有効である表示画面201に切り替える。
【0089】
このため、ユーザーが、ステアリング走査に関するパラメーターPsを無効にする操作、台形走査に関するパラメーターPtを有効にする操作、および、空間コンパウンド法に関するパラメーターPcを有効にする操作の3つの操作を行わずとも、いずれか1つの操作を行うだけで、医用画像生成装置1は、ステアリング走査に関するパラメーターPsを無効にし、台形走査に関するパラメーターPtを有効にし、かつ、空間コンパウンド法に関するパラメーターPcを有効にした超音波画像データを含む表示画面201を表示部17に表示させる。
【0090】
従って、ステアリング走査に関するパラメーターPsが現在の決定パラメーターであるとき、ユーザーは、台形走査に関するパラメーターPtおよび空間コンパウンド法に関するパラメーターPcを有効にする操作を行わなくても、ステアリング走査に関するパラメーターPsを無効にする操作だけで、パラメーターPsとは排他の関係にある、台形走査に関するパラメーターPtおよび空間コンパウンド法に関するパラメーターPcを新たに決定パラメーターとすることができる。また、ユーザーは、台形走査に関するパラメーターPtを有効にする操作と、空間コンパウンド法に関するパラメーターPcを有効にする操作のうちいずれか一方を行うだけで、台形走査に関するパラメーターPtおよび空間コンパウンド法に関するパラメーターPcを新たに決定パラメーターとすることができる。
【0091】
本開示の医用画像生成装置1によるこのような効果は、複数の画像パラメーターの間であらかじめ排他条件が定められていること、および、現在の決定パラメーターにかかわらず、初期設定を示す設定情報が保持し続けられることにより、実現することができる。
【0092】
<変形例>
以上、本開示の実施の形態に係る医用画像生成装置1について説明したが、本開示は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変形して実施することが可能である。
【0093】
上述した実施の形態では、設定情報は、複数の画像パラメーターのそれぞれが有効であるか、無効であるかの初期状態を示す情報であるとしたが、本開示はこれに限定されない。例えば、設定情報には、画像パラメーターを適用した超音波画像データを生成する際に用いられる各種設定値が含まれていてもよい。例えば、ステアリング走査に関するパラメーターPsに関する設定情報として、ステアリング走査において偏向される送信超音波の向きや角度に関する情報が含まれていてもよい。
【0094】
また、設定情報には、複数の画像パラメーターの有効、無効の組み合わせを示す値が含まれていてもよい。例えば、設定情報が「OFF」、「1」、「2」、「3」の4つの値を含み、「OFF」は2つの画像パラメーターが両方とも無効、「1」は2つの画像パラメーターのうち一方の画像パラメーターが有効で他方が無効、「2」は一方の画像パラメーターが無効で他方が有効、「3」がいずれの画像パラメーターも有効であることを示していてもよい。
【0095】
上述した実施の形態の図9Aおよび図9Bにおいて、ステアリング走査に関するパラメーターPsが有効である場合に「ステアON」、無効である場合に「ステアOFF」と表示する例を示した。しかしながら、例えば現在表示されている超音波画像データのステアリング方向が左右のいずれであるかが一目でわかるような表示を採用してもよい。
【0096】
具体的には、「ステアON」の表示の代わりに、左右の矢印を表示し、いずれか一方を強調表示することで、現在表示されている超音波画像データが右方向のステアリング走査によるものであるか、左方向のステアリング走査によるものであるかが一目でわかるようにしてもよい。この場合、左右いずれの矢印も強調表示されていない場合に、ステアリング機能に関するパラメーターPsが無効になっていることが示される。
【0097】
このような表示形態を採用した場合、ステアリング機能に関するパラメーターPsが無効になっている状態で、ユーザーが、操作入力部11としてのタッチパネルに対して左右のいずれかにフリックする操作を行うことで、操作入力部11は、右または左のいずれの方向のステアリング走査に関するパラメーターPsを有効にすべきかを受け付けることができる。
【0098】
上述した実施の形態では、操作入力部11は各種スイッチ、ボタン、トラックボール、マウス、キーボード、タッチパネル等であるとしたが、本開示の医用画像生成装置の操作入力部はこれらに限定されるものではない。例えば、医用画像生成装置の外部に、または医用画像生成装置と独立して、ローテートキーおよびボタン等が配置されたコンソールが設けられてもよい。また、操作入力部としてのタッチパネルは1枚のディスプレイに設けられていてもよいし、多数のディスプレイに設けられていてもよい。操作入力部としてのタッチパネルは、ジェスチャ入力やマルチタッチに対応していてもよい。
【0099】
また、上述したコンソール等に操作入力部としてのタッチパッドが設けられていてもよい。ユーザーが足で操作するフットパネルやフットスイッチが操作入力部として設けられていてもよい。また、超音波探触子側にボタン、スイッチ、タッチパネル、またはタッチパッド等が医用画像生成装置の操作入力部として設けられていてもよい。
【0100】
さらに、操作入力部としてマイクが設けられており、ユーザーが音声で操作入力できるようにしてもよい。また、操作入力部としてカメラが設けられており、ユーザーの視線を検知して視線に対応する操作入力を受け付けたり、ユーザーのジェスチャを検知してジェスチャに対応する操作入力を受け付けたりしてもよい。
【0101】
操作入力部は、医用画像生成装置と有線で接続されていてもよいし、無線で接続されていてもよい。
【0102】
上述した実施の形態では、有効または無効にする画像パラメーターを選択する操作は、操作入力部11としての各種スイッチ、ボタン、トラックボール、マウス、キーボード、タッチパネルを用いて、画像パラメーターの有効または無効を示す表示領域の一部を選択する操作であるとしたが、本開示はこれに限定されない。例えば、操作入力部がタッチパッドである場合、タッチパッド上の特定領域をタッチする操作が、いずれかの画像パラメーターを有効または無効にする操作に対応していてもよい。また、タッチパッド上で指を左右のいずれかにスライドさせる操作が、ステアリング機能に関するパラメーターを有効にさせる操作であるとともに、左右いずれかのステアリング方向を指定する操作であってもよい。
【0103】
操作入力部がマイクまたはカメラである場合、ユーザーが音声、視線、ジェスチャ等で有効または無効にすべき画像パラメーターを指定した場合に、その画像パラメーターを有効または無効にすればよい。また、ユーザーが音声、視線、ジェスチャ等で方向を入力する操作が、ステアリング機能に関するパラメーターを有効にさせる操作であるとともに、左右いずれかのステアリング方向を指定する操作であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は、複数の画像パラメーターの少なくともいずれかを適用した超音波画像データを生成して表示する医用画像生成装置に好適である。
【符号の説明】
【0105】
100 超音波診断装置
1 医用画像生成装置
11 操作入力部
12 送信部
13 受信部
14 画像生成部
15 DSC
16 画像処理部
17 表示部
18 記憶部
19 制御部
191 決定部
192 適用部
193 設定情報生成部
2 超音波探触子
2a 振動子
3 ケーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B