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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171167
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】電子ペン用芯体及び電子ペン本体部
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/03 20060101AFI20221104BHJP
   G06F 3/046 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
G06F3/03 400F
G06F3/03 400A
G06F3/046 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021077639
(22)【出願日】2021-04-30
(71)【出願人】
【識別番号】000139403
【氏名又は名称】株式会社ワコム
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】神山 良二
(57)【要約】
【課題】 強度が高く、ハードな使用にも対応でき、ペン先部分の交換が容易で、装着される電子ペンに対しても親和性の高い電子ペン用芯体を実現する。
【解決手段】 接続部材72の先端側孔部72fには、先端部材71の後端延伸部712が挿入されるが、当該先端側孔部72ft内には、先端部材71を着脱可能であって所定の保持強度で保持するための先端保持部712c、712dが設けられる。同様に、接続部材2の後端側孔部72bkには、後端部材73の前端延伸部733が挿入されるが、当該後端側孔部72bk内には、後端部材73を着脱可能であって所定の保持強度で保持するための後端保持部が設けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペン先部と、前記ペン先部の後端面から前記ペン先部と反対方向に延伸された後端延伸部とを備えた棒状体の先端部材と、
電子ペン内部に着脱可能に装着するための装着部と、前記装着部の前端面から前記装着部と反対方向に延伸された前端延伸部とを備えた棒状体の後端部材と、
棒状体であって、一方の端部側には前記先端部材の前記後端延伸部が挿入される先端側孔部が設けられ、他方の端部側には、前記後端部材の前記前端延伸部が挿入される後端側孔部が設けられた接続部材と
を備え、
前記先端部材の前記後端延伸部と前記接続部材との係合部分には、挿入された前記先端部材の前記後端延伸部を、着脱可能に所定の保持強度で保持するための先端保持部が設けられ、
前記後端部材の前記前端延伸部と前記接続部材との係合部分には、挿入された前記後端部材の前記前端延伸部を、所定の保持強度で保持するための後端保持部が設けられ、
前記後端側孔部と前記前端延伸部との保持強度が、前記先端側孔部と前記後端側延伸部との保持強度よりも、強くなるようにされている
ことを特徴とする電子ペン用芯体。
【請求項2】
請求項1に記載の電子ペン用芯体であって、
前記先端保持部は、前記先端側孔部の内壁面に設けられた突起である
ことを特徴とする電子ペン用芯体。
【請求項3】
請求項1に記載の電子ペン用芯体であって、
前記先端保持部は、前記先端側孔部の内壁面に設けられた1以上のリング状突起である
ことを特徴とする電子ペン用芯体。
【請求項4】
請求項1に記載の電子ペン用芯体であって、
前記先端保持部は、前記先端部材の前記後端延伸部の側面に設けられた突起である
ことを特徴とする電子ペン用芯体。
【請求項5】
請求項1に記載の電子ペン用芯体であって、
前記後端保持部は、接続部材に設けられた嵌合孔と、前記嵌合孔に対応するように、前記後端部材の前端延伸部に設けられた突起部とで構成される
ことを特徴とする電子ペン用芯体。
【請求項6】
請求項1に記載の電子ペン用芯体であって、
前記後端保持部は、前記接続部材の内壁面に設けられた突起である
ことを特徴とする電子ペン用芯体。
【請求項7】
請求項1に記載の電子ペン用芯体であって、
前記後端保持部は、前記後端部材の前記前端延伸部の側面に設けられた突起である
ことを特徴とする電子ペン用芯体。
【請求項8】
請求項1に記載の電子ペン用芯体であって、
前記後端側孔部と前記前端延伸部との保持強度が一番強く、電子ペン内部の芯体保持部と前記後端部材の前記装着部との保持強度が2番目に強く、前記先端側孔部と前記後端延伸部との保持強度が3番目に強くなるようにされている
ことを特徴とする電子ペン用芯体。
【請求項9】
請求項1に記載に電子ペン用芯体であって、
前記接続部材は、金属材料により形成されている
ことを特徴とする電子ペン用芯体。
【請求項10】
請求項1に記載の電子ペン用芯体であって、
前記先端部材は、樹脂材料により形成されている
ことを特徴とする電子ペン用芯体。
【請求項11】
請求項1に記載の電子ペン用芯体であって、
前記先端部材は、フェルト材料により形成されている
ことを特徴とする電子ペン用芯体。
【請求項12】
請求項1に記載の電子ペン用芯体であって、
前記後端部材は、樹脂材料により形成されている
ことを特徴とする電子ペン用芯体。
【請求項13】
ペン先部と、前記ペン先部の後端面から前記ペン先部と反対方向に延伸された後端延伸部とを備えた棒状体の先端部材と、
棒状体であって、一方の端部側には前記先端部材の前記後端延伸部が挿入される先端側孔部が設けられ、他方の端部側には、電子ペン内部に着脱可能に装着するための装着部が設けられた接続部材と
を備え、
前記先端部材の前記後端延伸部と前記接続部材との係合部分には、挿入された前記先端部材の前記後端延伸部を、着脱可能に所定の保持強度で保持するための先端保持部が設けられる
ことを特徴とする電子ペン用芯体。
【請求項14】
請求項13に記載の電子ペン用芯体であって、
前記先端保持部は、前記先端側孔部の内壁面に設けられた突起である
ことを特徴とする電子ペン用芯体。
【請求項15】
請求項13に記載の電子ペン用芯体であって、
前記先端保持部は、前記先端側孔部の内壁面に設けられた1以上のリング状突起である
ことを特徴とする電子ペン用芯体。
【請求項16】
請求項13に記載の電子ペン用芯体であって、
前記先端保持部は、前記先端部材の前記後端延伸部の側面に設けられた突起である
ことを特徴とする電子ペン用芯体。
【請求項17】
請求項13に記載の電子ペン用芯体であって、
電子ペン内部の芯体保持部と前記接続部材の前記装着部との保持強度が一番強く、前記先端側孔部と前記後端延伸部との保持強度が2番目に強くなるようにされている
ことを特徴とする電子ペン用芯体。
【請求項18】
筒状の筐体と、
前記筒状の筐体の一方の開口から先端が突出可能に配設される芯体と、
前記筒状の筐体内に設けられ、前記芯体に印加される筆圧を検出する筆圧検出部と、
を備え、
前記芯体は、
ペン先部と、前記ペン先部の後端面から前記ペン先部と反対方向に延伸された後端延伸部とを備えた棒状体の先端部材と、
電子ペン内部に着脱可能に装着するための装着部と、前記装着部の前端面から前記装着部と反対方向に延伸された前端延伸部とを備えた棒状体の後端部材と、
棒状体であって、一方の端部側には前記先端部材の前記後端延伸部が挿入される先端側孔部が設けられ、他方の端部側には、前記後端部材の前記前端延伸部が挿入される後端側孔部が設けられた接続部材と
を備え、
前記先端部材の前記後端延伸部と前記接続部材との係合部分には、挿入された前記先端部材の前記後端延伸部を、着脱可能に所定の保持強度で保持するための先端保持部が設けられ、
前記後端部材の前記前端延伸部と前記接続部材との係合部分には、挿入された前記後端部材の前記前端延伸部を、所定の保持強度で保持するための後端保持部が設けられ、
前記後端側孔部と前記前端延伸部との保持強度が、前記先端側孔部と前記後端側延伸部との保持強度よりも、強くなるようにされている
ことを特徴とする電子ペン本体部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子ペン用芯体及び当該電子ペン用芯体が用いられて構成される電子ペン本体部に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンやタブレットPC(Personal Computer)などの電子機器においては、位置検出センサと位置検出回路とからなる位置検出装置が搭載され、操作子としての電子ペンを用いて指示入力が可能なものが提供され、広く利用されている。このような電子機器においては小型化や薄型化が進んでおり、電子ペンについても、小型化や細型化が進められている。電子ペンの小型化、細型化に際しては、電子ペン用芯体についても小型化、細型化をする必要があるため、電子ペン用芯体の強度が低下する心配がある。
【0003】
後に記す特許文献1には、金属製のパイプ部の一方の端部に樹脂製のペン先部を圧入挿入することにより係止させ、他方の端部に樹脂製の筆圧伝達部を圧入挿入することにより係止させて構成する電子ペン用芯体が開示されている。また、後に記す特許文献2には、金属製の軸心構成部(パイプ部)一方の端部にはフェルト製の先端構成部を挿入して接合し、他方の端部には硬質樹脂製の嵌合部を挿入して接合することにより構成する電子ペン用芯体が開示されている。
【0004】
いずれの電子ペン用芯体の場合にも、金属製のパイプ部を用いることによって、折れにくい強度の高い電子ペン用芯体が実現できる。なお、特許文献2に開示された電子ペン用芯体の場合には、金属性の軸心構成部(パイプ部)と先端構成部、嵌合部と接合方法は、接着剤により接着させる方法が用いられている。なお、軸心構成部が硬質樹脂製の場合には、融解接合を用いることも説明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2016/185915号
【特許文献2】国際公開第2020/235342号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された電子ペン用芯体の場合、ペン先部も筆圧伝達部もパイプ部に対して圧入挿入されるが、両者の結合の強度が弱く、ペン先部を操作面に対して強く押し付けて使用した場合などにおいては、ペン先部が外れてしまう可能性がある。しかし、特許文献2に開示された電子ペン用芯体のように、パイプ部に対して、先端構成部と嵌合部とを接着材により接着したのでは、パイプ部から先端構成部だけを取り外して交換することができなくなる。また、電子ペン用芯体の製造に手間がかかることにもなる。
【0007】
このように、電子ペン用芯体の場合、小型化、細型化に際しては、全体的な強度を確保することが求められると共に、その製造上においてもできるだけ簡単に製造可能にすることが求められる。更に、ペン先部(先端構成部)の交換を容易にしたり、電子ペン用芯体と電子ペンとの取り付け部分にかかる負荷を軽減させたりすることにより、使い勝手を向上させることも期待される。すなわち、筆圧検出が可能な電子ペンの場合、電子ペン用芯体が筆圧検出部を押圧する構成となるが、筆圧検出部と電子ペン用芯体の接続部分が頻繁に着脱される場合には、接続部分が摩耗、変形するなどして筆圧検出に影響を及ぼす可能性がある。
【0008】
以上のことに鑑み、強度が高く、ハードな使用にも対応でき、ペン先部分の交換が容易で、装着される電子ペンに対しても親和性の高い電子ペン用芯体を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、
ペン先部と、前記ペン先部の後端面から前記ペン先部と反対方向に延伸された後端延伸部とを備えた棒状体の先端部材と、
電子ペン内部に着脱可能に装着するための装着部と、前記装着部の前端面から前記装着部と反対方向に延伸された前端延伸部とを備えた棒状体の後端部材と、
棒状体であって、一方の端部側には前記先端部材の前記後端延伸部が挿入される先端側孔部が設けられ、他方の端部側には、前記後端部材の前記前端延伸部が挿入される後端側孔部が設けられた接続部材と
を備え、
前記先端部材の前記後端延伸部と前記接続部材との係合部分には、挿入された前記先端部材の前記後端延伸部を、着脱可能に所定の保持強度で保持するための先端保持部が設けられ、
前記後端部材の前記前端延伸部と前記接続部材との係合部分には、挿入された前記後端部材の前記前端延伸部を、所定の保持強度で保持するための後端保持部が設けられ、
前記後端側孔部と前記前端延伸部との保持強度が、前記先端側孔部と前記後端側延伸部との保持強度よりも、強くなるようにされている
ことを特徴とする電子ペン用芯体を提供する。
【0010】
この電子ペン用芯体によれば、先端部材の後端延伸部と接続部材とが係合する部分には、先端側孔部から接続部材に挿入された先端部材の後端延伸部を、着脱可能に所定の保持強度で保持するための先端保持部が設けられる。また、後端部材の前端延伸部と接続部材とが係合する部分には、後端側孔部から接続部材に挿入された後端部材の前端延伸部を、所定の保持強度で保持するための後端保持部が設けられる。この場合、後端側孔部と前端延伸部との保持強度が、先端側孔部と後端側延伸部との保持強度よりも、強くなるようにされる。
【0011】
これにより、先端部材と後端部材との両方を、接続部材に対して、所定の保持強度で保持されるように取り付けることができ、強度が高く、安定して機能する電子ペン用芯体が実現される。また、先端部材の交換も容易で、後端部材を介しての電子ペンに対する着脱も適切に行うことができる電子ペン用芯体が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】この発明による電子ペンの実施形態を説明するための図である。
図2】この発明による電子ペン用芯体を備える電子ペン本体部の構成例を説明するための拡大図である。
図3】この発明による電子ペン用芯体の構成例を説明するための図である。
図4】この発明による電子ペン用芯体の他の構成例を説明するための図である。
図5】この発明による電子ペン用芯体の他の構成例を説明するための図である。
図6】この発明による電子ペン用芯体の他の構成例を説明するための図である。
図7】この発明による電子ペン用芯体の他の構成例を説明するための図である。
図8】この発明による電子ペン用芯体の接続部材の他の構成例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明による電子ペン用芯体の実施形態を、この実施形態の電子ペン用芯体を用いて構成するこの発明による電子ペンの実施形態と共に、図を参照しながら説明する。以下に説明する実施形態の電子ペンは、電磁誘導方式により、位置検出装置と結合することで位置指示をする場合の例である。
【0014】
[電子ペン1の構成例]
図1は、この発明による電子ペン用芯体の実施形態を用いた電子ペンの実施形態の構成例を示す図である。この実施形態の電子ペン1は、筒状の筐体2の中空部2a内に、電子ペン本体部3が収納され、ノックカム機構部4により、電子ペン本体部3のペン先側が、筐体2の長手方向の一端の開口部2b側から出し入れされるノック式の構成を備える。この実施形態では、電子ペン本体部3は、カートリッジ式の構成とされ、筐体2に対して着脱可能とされている。電子ペン本体部3は、実施形態の電子ペン用芯体(以下、芯体と略称する。)7を備える。芯体7は、電子ペン本体部3に対して着脱可能とされている。なお、図1の例では、電子ペン1の筐体2が透明の合成樹脂で構成されていて、その内部が透けて見える状態として示している。
【0015】
この実施形態の電子ペン1は、市販のノック式ボールペンと互換性が取れる構成とされており、筐体2及び当該筐体2内に設けられるノックカム機構部4は、周知の市販のノック式ボールペンの筐体及びノックカム機構と同一の構成とされると共に、寸法関係も同一に構成される。ノックカム機構部4は、図1に示すように、カム本体41と、ノック棒42と、回転子43とが組み合わされた周知の構成とされている。
【0016】
図1(A)の状態において、ノック棒42の端部42aが押下されると、ノックカム機構部4により、電子ペン本体部3は、筐体2内において図1(B)の状態にロックされ、電子ペン本体部3のペン先側が、筐体2の開口部2bから突出する状態になる。この図1(B)の状態から、ノック棒42の端部42aが再度押下されると、ノックカム機構部4によりロック状態が解除され、復帰用バネ5により、電子ペン本体部3の筐体2内の位置は、図1(A)の状態に戻る。ノックカム機構部4の詳細な構成及びその動作は、周知であるので、ここでは、その説明を省略する。
【0017】
[電子ペン本体部3の構成例]
図1(C)は、電子ペン本体部3の構成例を示す図である。また、図2は、電子ペン本体部3のペン先側の構成を説明するための部分拡大図である。この実施形態の電子ペン本体部3においては、図1(C)に示すように、コイル31が巻回された磁性体コア、この例ではフェライトコア32が筒状体部33と結合されている。芯体7は、フェライトコア32の貫通孔(図1(C)では図示を省略)を通じて挿通されて、後述するように、筒状体部33内に設けられている筆圧検出部6(図1では図示を省略、図2参照)に着脱自在に嵌合されて電子ペン本体部3の一部として設けられる。図1(C)及び2(B)に示すように、芯体7は、ペン先側の端部が、フェライトコア32から突出する。
【0018】
図2(A)に示すように、この例のフェライトコア32は、例えば円柱状形状のフェライト材料に、芯体7を挿通するための所定の径r1(例えばr1=1mm)の軸心方向の貫通孔32aが形成されたものとされている。このフェライトコア32の、ペン先側には、徐々に先細りとなるテーパー部32bが形成されており、位置検出装置のセンサとの間の磁気的な結合を、テーパー部32bがない場合に比して、より強くなるように構成されている。芯体7は、詳しくは後述するが、先端部材71、接続部材72、後端部材73からなるものである。
【0019】
この実施形態では、図2(A)に示すように、コイル31のフェライトコア32における巻回位置は、ペン先側とは反対側に偏った、フェライトコア32の全長の約1/2の長さの部分位置とされ、フェライトコア32のペン先側の端部から、コイル巻回部の一方の端までの部分は、コイルが巻回されない非巻回部とされている。
【0020】
筒状体部33のフェライトコア32との結合部の近傍には、筆圧検出部6が設けられている。この筆圧検出部6は、この例では、例えば、特開2013-161307号公報に開示されているような筆圧に応じて静電容量を可変とする半導体素子を用いた構成としている。なお、筆圧検出部6は、例えば特許文献:特開2011-186803号公報に記載されている周知の機構的な構成の筆圧検出手段を使用した、筆圧に応じて静電容量が変化する可変容量キャパシタの構成とすることもできる。
【0021】
筆圧検出部6は、芯体7の後端部材73が装着される圧力伝達部材36により押圧される構成となっている。圧力伝達部材36は、嵌合凹部36aが設けられており、これに芯体7の後端部材73がはめ込まれることにより、芯体7が圧力伝達部材36に装着される。圧力伝達部材36は、電子ペン本体部3内から外れることがないように設けられたものであるが、芯体7に加えられる筆圧に応じて電子ペン本体部3の長手方向に所定の距離分だけ押し込まれたり、押し戻されたりするように摺動移動が可能になっている。このように、圧力伝達部材36を介して、芯体7を電子ペン本体部3に対して着脱可能にする機能を実現すると共に、芯体7に加わる筆圧を筆圧検出部6に伝達する機能を実現する。
【0022】
筒状体部33内には、さらにプリント基板34が収納されている。このプリント基板34には、コイル31に並列に接続されて共振回路を構成するキャパシタ35が設けられている。そして、筆圧検出部6で構成される可変容量キャパシタは、このプリント基板34に形成されているキャパシタ35に並列に接続されて、前記共振回路の一部を構成するようにされている。
【0023】
この実施形態の電子ペン1は、共振回路により、位置検出装置の位置検出センサのループコイルとの間で電磁誘導により結合して信号をインタラクションする。位置検出装置では、電子ペン1から受信する信号の位置検出センサ上での位置を検出することにより、電子ペン1による指示位置を検出すると共に、電子ペン1から受信した信号の周波数あるいは位相の変化を検出することにより、電子ペン1に印加されている筆圧を検出する。
【0024】
図2(B)に示すように、フェライトコア32の、ペン先側とは反対側のコイル非巻回部が、筒状体部33に設けられている凹部33aに嵌合されることで、フェライトコア32が筒状体部33と結合される。図示は省略するが、このフェライトコア32の筒状体部33との結合の際に、コイル31の一端31a及び31bが、筒状体部33のプリント基板34に設けられているキャパシタ35と並列に接続されるように電気的に接続される。
【0025】
[電子ペン用芯体7の構成例1]
図3は、電子ペン本体部3に装着される芯体7の構成例を説明するための図である。図3(A)の外観図に示すように、芯体7は、先端部材71と、接続部材72と、後端部材73とによって構成される。先端部材71と後端部材73とは、樹脂、合成ゴム、天然ゴム、などにより形成されるものであり、この実施形態ではポリアセタール樹脂(いわゆるPOM)による形成されたものである。なお、先端部材71については、例えば書き味をソフトなものとするため、フェルト(不織布)等の繊維材料により形成することも可能である。また、接続部材72は、芯体7の強度を強くするため、金属材料、硬質樹脂等の硬度の高い材料により形成されるものであり、この実施形態では、ステンレス鋼(いわゆるSUS)によって形成されたものである。
【0026】
接続部材72は、図3(B)に示すように、内部が中空(貫通孔)となった筒状(パイプ状)の部材であり、内径がR1で、外径はR2のものである。図2(A)を用いて説明したように、芯体7を挿通するフェライトコア32の貫通孔32aの径r1が例えば1mmであるので、外径R2は、貫通孔32aに挿通可能な1mm以下となる。この例の場合、接続部材72の先端部材71側(図3(B)の左端側)が、先端部材71が装着される先端側孔部FHとなり、接続部材72の後端部材73側(図3(B)の右端側)が、後端部材73が装着される後端側孔部BHとなる。
【0027】
更に、接続部材72の先端部材71側(図3(B)の左端側)には、外周に沿って押圧することによりリング状凹部721a、721bが設けられている。これに伴い、接続部材72のリング状凹部721a、721bに対応する内壁面(内側側面)の位置には、内側に張り出したリング状凸部721c、721dが形成され、こられリング状凸部721c、721dが先端保持部として機能する。
【0028】
また、接続部材72の後端部材73側(図3(B)の右端側)の側面(側壁)には、軸心方向と交差する方向に貫通孔722a、722bが設けられている。更に、図3(A)、(B)には表れていないが、接続部材72の内部の中空を挟んで、貫通孔722a、722bに対向する側面(側壁)の位置には、軸心方向と交差する方向に貫通孔722c、722dが設けられている。すなわち、接続部材72の側面には、内部の中空を挟んで、貫通孔722aに対向する位置には貫通孔722c設けられ、貫通孔722bに対向する位置には貫通孔722dが設けられることにより、4つの貫通孔722a、722b、722c、722dが設けられている。これら4つの貫通孔722a、722b、722c、722dが、後述する後端部材73に設けられる突起部と共に、後端保持部として機能する。
【0029】
先端部材71は、図3(C)に示すように、外観がドーム状に形成されたペン先部711と、ペン先部711の後端面711aからペン先部711とは反対方向に延伸された後端延伸部712とを備えた棒状体である。ペン先部711の後端面711aの直径は、接続部材72の外径R2よりもやや長くなるようにされている。また、この実施形態の先端部材71の後端延伸部712は、円柱形状とされ、その直径は長さR1とされている。
【0030】
このような形状の先端部材71は、図3(E)の芯体7の断面図に示すように、後端延伸部712の後端側から接続部材72の左端側の開口から接続部材72の先端側孔部FHに押し込むようにして挿入することにより、接続部材72に取り付けられる。この場合、先端部材71のペン先部711の後端面と、接続部材72の先端面(左端面)とが突合し、先端部材71が必要以上に接続部材72内に入り込むことを防止する。更に、接続部材72の内壁面に形成されたリング状凸部721c、721dが先端保持部として機能し、先端部材71の後端延伸部712の側面を抑え込む状態となり、接続部材72に対して一定の保持強度で先端部材71を取り付けることができる。なお、後端延伸部712の直径は、接続部材72の左端側の開口から挿入可能であれば、長さR1の近傍の長さとすることができる。但し、必要以上に長さR1より短くすることは、外れやすくなるため好ましくない。
【0031】
後端部材73は、図3(D)に示すように、電子ペン本体部3に対して着脱可能に装着するための装着部731と、係合部732と、係合部732の前端面732aから装着部731と反対方向に延伸された前端延伸部733とを備えた棒状体である。後端部材73の装着部731と前端延伸部733とは、係合部732を挟んで共に円柱形状とされたものである。また、係合部732は、装着部731と前端延伸部733とを分けるもので、所定の厚みを有する円形平板状のものである。後端部材73の装着部731は、図3(D)に示すように、嵌合突起731a、731bを備える。
【0032】
一方、前端延伸部733は、図3(D)に示すように、突起部733a、733bと、突起部733c、733dとが、前端延伸部733の本体部分を挟んで対向する位置に設けられている。前端延伸部733の突起部733a、733bは、接続部材72の貫通孔722a、722bに対して対応する位置に設けられており、また、突起部733c、733dは、接続部材72の貫通孔722c、722dに対して対応する位置に設けられている。また、前端延伸部733の本体部分の直径は、図3(D)に示したようにR1とされている。
【0033】
後端部材73は、図3(E)の芯体7の断面図に示すように、前端延伸部733の前端側から接続部材72の右端側の開口から接続部材72の後端側孔部BHに押し込むようにして挿入することにより、接続部材72に取り付けられる。この場合、前端延伸部733の突起部733a、733bが、接続部材72の貫通孔722a、722bに嵌合し、前端延伸部733の突起部733c、733dが、接続部材72の貫通孔722c、722dに嵌合するように位置調整して取り付けられる。これにより、接続部材72に対して、後端部材73を強固に取り付けることができる。また、係合部732の先端面が接続部材72の後端面と突合し、後端部材73が必要以上に接続部材72内に入り込むことを防止する。
【0034】
なお、ここでは説明を簡単するため、突起部733a~733dと貫通孔722a~722dの対応を特定した。しかし、突起部733a、733bと突起部733c、733dとは対向して設けられており、同様に、貫通孔722a、722bと突起部733c、733dとは対向して設けられている。このため、突起部733a、733bを貫通孔722c、722dに嵌合させ、突起部733c、733dを貫通孔722a、722bに嵌合させても、同様に取り付け可能である。
【0035】
また、後端部材73を接続部材72から取り外すことももちろん可能である。この場合には、接続部材72に対して後端部材73を、軸心を中心して回転させるか、強く引き出すようにし、突起部733a、733b、733c、733dを、接続部材72の貫通孔722a、722b、722c、722dから外すようにすればよい。また、前端延伸部733の直径は、接続部材72の右端側の開口から挿入可能であれば、長さR1の近傍の長さとすることができる。但し、必要以上に長さR1より短くすることは、外れやすくなるため好ましくない。
【0036】
一方、後端部材73の装着部731は、図2を用いて説明したように、電子ペン本体部3内に設けられる圧力伝達部材36の嵌合凹部36aに嵌合する部分であり、嵌合突起731a、731bは、嵌合凹部36aの内壁面と強く接触する。すなわち、図3(F)の後端部材73及び圧力伝達部材36の断面図に示すように、装着部731の嵌合突起731a、731b以外の部分の直径は、長さR3とされ、圧力伝達部材36の嵌合凹部36aの直径と同じとされる。
【0037】
このため、圧力伝達部材36の嵌合凹部36aに対して、後端部材73の装着部731をその先端から押し込むようにして挿入して嵌合させる。この場合、嵌合突起731a、731bが、嵌合凹部36aの内壁面と強く接触し、所定の保持強度で係合して、圧力伝達部材36に対して、芯体7が装着できる。これにより、芯体7が圧力伝達部材36に装着され、芯体7に筆圧が加わることにより、圧力伝達部材36が押し上げられ、圧力伝達部材36の押圧部36bが、筆圧検出部6を押圧することになる。芯体7への筆圧が解除されれば、圧力伝達部材36及び芯体7は押し戻されて、元の位置に復帰する。
【0038】
この実施形態においては、接続部材72と後端部材73の前端延伸部733との接続部分は、貫通孔722a等と突起部733a等とが嵌合することにより保持強度が一番強く、接続部材72と後端部材73との接続が容易に外れることはない。後端部材73の装着部731と圧力伝達部材36との接続部分は、嵌合突起731a、731bと、圧力伝達部材36の嵌合凹部36aの内壁面との接触面積が広く、保持強度が2番目に強い。接続部材72と先端部材71の後端延伸部712との接続部分は、接続部材72の内壁面のリング状凸部721c、721dと後端延伸部712との接触部分は比較的に小さいため、保持強度は3番目の強さとなる。
【0039】
なお、保持強度は、接続部材72が先端部材71の後端延伸部712を保持する強さ、接続部材72が後端部材73の前端延伸部733を保持する強さ、圧力伝達部材36が後端部材73の装着部731を保持する強さを意味する。具体的に保持強度は、部材同士の接続部分の摩擦力や接続部分に設けられた貫通孔や突起部などの凹凸の係合力(係り合う力)により、部材同士が接続状態を維持できる場合の強度(強さ)を意味する。
【0040】
この実施の形態において。接続部材72と後端部材73の前端延伸部733との接続部分の保持強度を値Aとし、後端部材の装着部731と圧力伝達部材36との接続部分の保持強度を値Bとし、接続部材72と先端部材71の後端延伸部712との接続部分の保持強度を値Cとする。図3に示す芯体7を使用する場合には、保持強度の関係は、A>B>Cとなる。すなわち、接続部材72と後端部材73の前端延伸部733との接続部分の保持強度が一番強く、後端部材73の装着部731と圧力伝達部材36との接続部分の保持強度が2番目となり、接続部材72と先端部材71の後端延伸部712との接続部分の保持強度が3番目となる。
【0041】
これにより、電子ペン本体部3に対して芯体7が装着されている状態で、先端部材71のペン先部711を爪先等で挟み込んで、保持強度Bよりは小さいが、保持強度Cよりは大きな力で芯体7を引き抜くようにする。この時、芯体7の後端部材73の装着部731は、圧力伝達部材36に対して取り付けられた状態を維持しつつ、接続部材72から先端部材71を引き抜くことができる。すなわち、芯体7を電子ペン本体部3に対して装着された状態で、先端部材71だけを交換することができる。また、先端部材71の後端延伸部712の長さは比較的に長いため、保持強度Cより強い力で、短時間だけ複数回に分けて芯体7を引き抜くようにしても、先端部材71だけを接続部材72から引き抜くことができる。
【0042】
なお、電子ペン本体部3に対して芯体7が装着されている状態で、先端部材71のペン先部711を例えば使用者が爪先等で挟み込んで、保持強度Aよりは小さいが、保持強度Bよりは大きな力で芯体7を引き抜くようにする。この時、先端部材71の後端延伸部712の長さは長いので、先端部材71が接続部材72から抜ける前に、電子ペン本体部3から芯体7の全体を引き抜くことができる。すなわち、芯体7の全体の交換も必要に応じて行うことができる。
【0043】
なお、図3(E)に示したように、先端部材71の後端延伸部712の後端面と、後端部材73の前端延伸部733の前端面との間には空隙74が設けられているが、この空隙74は必ずしも必要ではない。先端部材71の後端延伸部712と、後端部材73の前端延伸部733との一方または両方をより長くして、空隙74をできるだけ狭くすることにより、芯体7の強度をより高くすることができる。
【0044】
[電子ペン用芯体7の構成例2]
図4は、電子ペン本体部3に装着される芯体7の他の構成例である芯体7Aについて説明するための図である。なお、図4に示す芯体7Aおいても、図3に示した芯体7と同様に構成される部分には、同じ参照符号を付している。図4(A)の外観図に示すように、この例の芯体7Aは、先端部材71と、接続部材72Aと、後端部材73Aとによって構成される。すなわち、芯体7Aを構成する部材は、図3を用いて説明した芯体7の場合と同じ3種類であるが、接続部材72Aと後端部材73Aの構成が、図3に示した芯体7の接続部材72、後端部材73とは異なっている。この例の芯体7Aにおいても、先端部材71、接続部材72A、後端部材73Aのそれぞれは、図3を用いて説明した芯体7の対応する部材と同様の材料によって形成される。
【0045】
この例の芯体7Aにおいても、接続部材72Aは、図4(B)に示すように、内部が中空となったパイプ状(筒状)の部材であり、内径がR1で、外径はR2のものである点は、図3(B)に示した接続部材72と同様である。また、この例においても、接続部材72Aの先端部材71側(図4(B)の左端側)が、先端部材71が装着される先端側孔部FHとなり、接続部材72Aの後端部材73A側(図4(B)の右端側)が、後端部材73Aが装着される後端側孔部BHとなる。
【0046】
また、図4(B)に示す接続部材72Aにおいても、接続部材72Aの先端部材71側(図4(B)の左端側)には、外周に沿って押圧することによりリング状凹部721a、721bが設けられている。これに伴い、接続部材72Aのリング状凹部721a、721bに対応する内壁面(内側側面)の位置には、内側に張り出したリング状凸部721c、721dが形成され、こられリング状凸部721c、721dが先端保持部として機能する。
【0047】
また、この例の接続部材72Aの後端部材73A側(図4(B)の右端側)には、外周に沿って押圧することによりリング状凹部723a、723bが設けられている。これに伴い、接続部材72Aのリング状凹部723a、723bに対応する内壁面(内側側面)の位置には、内側に張り出したリング状凸部723c、723dが形成され、こられリング状凸部723c、723dが後端保持部として機能する。なお、図4(B)に示したように、後端部材73A側のリング状凹部723a、723bは、先端部材71側のリング状凹部721a、721bよりも長手方向の幅が広くなっている。これに応じて、後端部材73A側のリング状凹部723a、723bは、先端部材71側のリング状凹部721a、721bよりも長手方向の幅が広くなっている。
【0048】
図4(C)に示すように、先端部材71は、図3(C)を用いて説明した先端部材71と同様に構成されるものであり、先端部材71についての詳細な説明は、重複するため省略する。先端部材71は、図4(E)の芯体7Aの断面図に示すように、後端延伸部712の後端側から接続部材72Aの左端側の開口から接続部材72Aの先端側孔部FHに押し込むようにして挿入する。これにより、図3を用いて説明した芯体7の場合と同様にして、先端部材71が接続部材72Aに取り付けられる。すなわち、接続部材72Aの内壁面に形成されたリング状凸部721c、721dが先端保持部として機能し、先端部材71の後端延伸部712の側面を抑え込む状態となり、接続部材72Aに対して一定の保持強度で先端部材71を取り付けることができる。
【0049】
この場合、先端部材71のペン先部711の後端面と、接続部材72Aの先端面(左端面)とが突合し、先端部材71が必要以上に接続部材72内に入り込むことを防止する。なお、図3に示した芯体7の場合と同様に、先端部材71の後端延伸部712の直径は、接続部材72Aの左端側の開口から挿入可能であれば、長さR1の近傍の長さとすることができる。但し、必要以上に長さR1より短くすることは、外れやすくなるため好ましくない。
【0050】
後端部材73Aは、図4(D)に示すように、電子ペン本体部3に対して着脱可能に装着するための装着部731Aと、係合部732と、係合部732の前端面732aから装着部731と反対方向に延伸された前端延伸部733Aとを備えた棒状体である。後端部材73Aの装着部731Aと前端延伸部733Aとは、係合部732を挟んで共に円柱形状とされたものである。また、係合部732は、装着部731と前端延伸部733とを分けるもので、所定の厚みを有する円形平板状のものである。後端部材73Aの装着部731Aは、図4(D)に示すように、嵌合突起731c、731bを備える。嵌合突起731cの形状が、図3に示した後端部材73の装着部731の嵌合突起731aとは異なっている。
【0051】
一方、前端延伸部733Aは、図3(D)に示した芯体7の後端部材73の前端延伸部733とは異なり、図4(D)に示したように、突起部は設けられていない単に円柱形状のものである。この例においても、後端部材73Aの前端延伸部733Aの直径は、図4(D)に示したようにR1とされている。後端部材73Aは、図4(E)の芯体7Aの断面図に示すように、前端延伸部733の前端側から接続部材72Aの右端側の開口から接続部材72Aの後端側孔部BHに押し込むようにして挿入することにより、接続部材72に取り付けられる。この場合、後端部材73Aの係合部732の前端面と、接続部材72Aの後端面(右端面)とが突合し、後端部材73Aが必要以上に接続部材72A内に入り込むことを防止する。
【0052】
更に、接続部材72Aの内壁面に形成されたリング状凸部723c、723dが後端保持部として機能し、後端部材73Aの前端延伸部733Aの側面を抑え込む状態となり、接続部材72Aに対して一定の保持強度で後端部材73Aを取り付けることができる。この場合、図4(E)を見るとわかるように、接続部材72Aの後端部材73A側のリング状凸部723c、723dの長手方向の幅は、接続部材72Aの先端部材71側のリング状凸部721c、721dの長手方向の幅よりも長い。このため、接続部材72Aは、先端部材71よりも後端部材73Aをより強い保持強度で保持することができる。また、この例においても、係合部732の先端面が接続部材72Aの後端面と突合し、後端部材73Aが必要以上に接続部材72A内に入り込むことを防止する。
【0053】
一方、後端部材73Aの装着部731Aは、電子ペン本体部3内に設けられる圧力伝達部材36Aの嵌合凹部36cに嵌合する部分であり、嵌合突起731c、731bが設けられている。また、この例の圧力伝達部材36Aの嵌合凹部36cは、図3を用いて説明した圧力伝達部材36の嵌合凹部36aとは異なり、図4(F)に示すように、後端部材73Aの装着部731Aの嵌合突起731cと係合する係合部36cxが設けられたものである。
【0054】
すなわち、図4(F)の後端部材73A及び圧力伝達部材36Aの断面図に示すように、装着部731Aの嵌合突起731c、731b以外の部分の直径は、長さR3とされ、圧力伝達部材36Aの嵌合凹部36cの直径と同じとされる。このため、圧力伝達部材36Aの嵌合凹部36cに対して、後端部材73Aの装着部731Aをその先端から押し込むようにして挿入して嵌合させる。
【0055】
この例においては、後端部材73Aの装着部731Aの嵌合突起731cが、圧力伝達部材36Aの嵌合凹部36cの係合部36cxに係合し、装着部731Aの嵌合突起731bが、嵌合凹部36cの内壁面と強く接触する。これにより、圧力伝達部材36Aが装着部731Aを所定の保持強度で保持される。これにより、圧力伝達部材36Aに対して、芯体7Aを所定の保持強度で装着できる。
【0056】
この例においても、接続部材72Aと後端部材73Aの前端延伸部733Aとの接続部分は、接続部材72Aのリング状凸部723c、723dが前端延伸部733Aの周囲を強く抑え込む。これにより、接続部材72Aと後端部材73Aとの接続が容易に外れることはない。後端部材73Aの装着部731Aと圧力伝達部材36Aとの接続部分は、嵌合突起731cと係合部36cxが係合すると共に、嵌合突起731bと圧力伝達部材36Aの嵌合凹部36cの内壁面とが広い面積で接触して保持する。接続部材72Aと先端部材71の後端延伸部712との接続部分は、接続部材72Aの内壁面のリング状凸部721c、721dと後端延伸部712との接触部分は比較的に小さいが、所定の保持強度で保持される。
【0057】
上述もしたように、保持強度は、部材同士の接続部分の摩擦力や接続部分に設けられた貫通孔や突起部などの凹凸の係合力(係り合う力)により、部材同士が接続状態を維持できる場合の強度(強さ)を意味する。この例においても、接続部材72Aと後端部材73Aの前端延伸部733Aとの接続部分の保持強度を値Aとし、後端部材73Aの装着部731Aと圧力伝達部材36Aとの接続部分の保持強度を値Bとする。また、接続部材72Aと先端部材71の後端延伸部712との接続部分の保持強度を値Cとする。
【0058】
図4に示す芯体7Aを使用する場合においても、保持強度の関係は、A>B>Cとなる。すなわち、接続部材72Aと後端部材73Aの前端延伸部733Aとの接続部分の保持強度が一番強く、後端部材73Aの装着部731Aと圧力伝達部材36Aとの接続部分の保持強度が2番目となり、接続部材72Aと先端部材71の後端延伸部712との接続部分の保持強度が3番目となる。
【0059】
これにより、電子ペン本体部3に対して芯体7Aが装着されており、先端部材71のペン先部711を爪先で挟み込んで、保持強度Bよりは小さいが、保持強度Cよりは大きな力で芯体7を引き抜くようにしたとする。この場合、芯体7Aの後端部材73Aの装着部731Aは、圧力伝達部材36Aに対して取り付けられた状態を維持しつつ、接続部材72Aから先端部材71を引き抜くことができる。すなわち、芯体7Aを電子ペン本体部3に対して装着された状態で、先端部材71だけを交換することができる。また、先端部材71の後端延伸部712の長さは比較的に長いため、保持強度Cより強い力で、短時間だけ複数回に分けて芯体7を引き抜くようにした場合にも、先端部材71を接続部材72Aから引き抜くことができる。
【0060】
同様に、電子ペン本体部3に対して、この例の芯体7Aが装着されているとする。この場合に、先端部材71のペン先部711を例えば使用者が爪先等で挟み込んで、保持強度Aよりは小さいが、保持強度Bよりは大きな力で芯体7Aを引き抜くようにすると、電子ペン本体部3から芯体7Aの全体を引き抜くことができる。すなわち、電子ペン本体部3に装着された、芯体7A全体の交換もできる。
【0061】
なお、先端部材71の後端延伸部712と、後端部材73Aの前端延伸部733Aとの一方または両方をより長くして、図4(E)に示した空隙74をできるだけ狭くすることにより、芯体7Aの強度をより高くすることができる。
【0062】
[実施の形態の効果]
この実施の形態の芯体7、7Aによれば、ステンレス製の接続部材72、72Aを用いることにより、強度の高い芯体を実現できる。また、接続部材72に対しては先端部材71と後端部材73とを圧入挿入することにより強固に装着でき、接続部材72Aに対しては先端部材71と後端部材73Aとを圧入挿入することにより強固に装着できる。これにより、例えば、長時間の筆記、強い筆圧をかけての筆記など、いわゆるハードな使用にも対応できる。
【0063】
また、接続部材72に対して先端部材71や後端部材73を接着していないし、接続部材72Aに対して先端部材71や後端部材73Aを接着していない。このため、製造が容易であると共に、ペン先部分となる先端部材71の交換が容易な芯体7、7Aを実現できる。
【0064】
また、芯体7の場合には、接続部材72と後端部材73との接続部分→後端部材73と圧力伝達部材36との接続部分→接続部材72と先端部材71の接続部分の順で保持強度が低くなる。同様に、芯体7Aの場合には、接続部材72Aと後端部材73Aとの接続部分→後端部材73Aと圧力伝達部材36Aとの接続部分→接続部材72Aと先端部材71の接続部分の順で保持強度が低くなる。これにより、芯体7、7Aを圧力伝達部材36、36Aを介して電子ペン本体部3に装着している状態で、接続部材72、72Aに保持されている先端部材71だけを引き抜いて交換することができる。
【0065】
従って、いちいち圧力伝達部材36、36Aから芯体7、7Aを引き抜くことなく、先端部材71を交換することができるので、圧力伝達部材36、36Aの嵌合凹部36a、36c部分に大きな負荷をかけることもない。これにより、圧力伝達部材36、36Aを介して、芯体7、7Aが着脱可能に装着される電子ペン本体部3にとって、親和性の高い芯体を実現できる。
【0066】
[変形例]
なお、図3を用いて説明した芯体7の場合には、接続部材72の先端部材71側の内壁面にリング状凸部721c、721dを設けるようにしたが、リング状凸部721c、721dの幅は必要な保持強度を得られるように適宜の幅とすることができる。また、2本のリング状凸部721c、721dを設けたが、必要な保持強度が得られればリング状凸部は1本でもよいし、2本以上の複数本でもよい。すなわち、必要な保持強度が得られるように、接続部材72の先端部材側の内壁面に設けるリング状凸部の幅と本数は変更可能である。同様に、図4を用いて説明した芯体7Aの接続部材72Aの内壁面に設けるリング状凸部(図4(E)ではリング状凸部721c、721d、723c、723d)についても、必要な保持強度が得られるように、幅と本数は変更可能である。
【0067】
また、接続部材72、72Aの内壁面に設ける凸部はリング状のものに限るものではない。図5は、芯体7、7Aの変形例について説明するための図である。図5(A)は、接続部材72Bを長手方向の半分に切断した前側部分を取り除いた場合の図である。図5(A)に示すように、リング状凸部721c、721d、723c、723dに替えて、図所定の形状、大きさの凸部を、所定の数、接続部材72Bの内壁面に設けるようにしてもよい。すなわち、凸部の形状、大きさ、配置位置は、種々の態様が考えられる。この場合でも、先端部材71、後端部材73Aの構成を変更する必要はない。
【0068】
また、接続部材72、72Aの内壁面に形成される凸部に対応して、先端部材71、後端部材73Aの側面に凹部を設けて、両者を嵌合させる構成することもできる。この場合には、先端部材71、後端部材73Aの強度が低下することないように、先端部材71、後端部材73Aの直径がある程度ある場合に有効である。すなわち、芯体7、7Aを構成する部材の直径や全長などは、これらが用いられる電子ペン本体部のサイズに合わせて調整可能である。
【0069】
また、図3を用いて説明した芯体7の場合には、接続部材72の後端部材73側の側面には、軸心方向と交差する方向に貫通孔722a、722b、722c、722dを設けるようにした。これに対応して、後端部材73の前端延伸部733には、突起部733a、733b、733c、733dを設けるようにした。しかし、これに限るものではない。接続部材72の後端部材73側において、適宜の位置に、適宜の大きさ、適宜の数の貫通孔を設けることができる。これに応じて、後端部材73の前端延伸部733には、接続部材72の後端部材73側に設けられる貫通孔に対応する大きさ、数の嵌合突起を設ければよい。
【0070】
また、図3に示した芯体7では、接続部材72の先端部材71側にリング状凸部721c、721dを設け、図4に示した芯体7Aでは、接続部材72Aの後端部材73A側にリング状凸部723c、723dを設けたが、これに限るものではない。凸部を設ける部材を逆にしてもよい。図6は、芯体7、7Aの変形例を説明するための図である。まず、図6(A)に示すように、接続部材72Cは、内壁面には凸部のない筒状(パイプ状)の部材とする。
【0071】
これに対して、図6(B)に示すように、先端部材71の後端延伸部712Aには、リング状凸部712a、712bを設ける。また、図6(C)に示すように、後端部材73Bの前端延伸部733Bには、リング状凸部733e、733fを設ける。これにより、接続部材72Cに対して、先端部材71A、後端部材73Bを圧入挿入した場合に、接続部材72Cは、先端部材71A、後端部材73Bのそれぞれを所定の保持強度で保持できる。
【0072】
この場合においても、先端部材71A、後端部材73Bに設けるリング状凸部の幅や数は、所定の保持強度を実現できるように、適宜の幅、本数とすることが可能である。また、先端部材71A、後端部材73Bに設けるのはリング状凸部に限るものではない。図5を用いて説明した場合と同様にして、先端部材71Aの後端延伸部712Aの側面、後端部材73Bの前端延伸部733Bの側面に、目的とする形状、大きさ、数の凸部を設けるようにすることもできる。また、図6に示した変形例の場合、先端部材71Aの後端延伸部712Aの側面、後端部材73Bの前端延伸部733Bの側面に設ける凸部に対応して、接続部材72Cの内壁面に凹部を設けるようにしてもよい。
【0073】
また、後端部材と圧力伝達部の関係についても、図3図4に示した場合とは逆の態様にすることもできる。図7は、芯体7、7Aの変形例を説明するための図である。この例の場合、後端部材73Cの装着部731Bには、突起(凸部)や溝(凹部)は設けない構成する。これに対して、圧力伝達部材36の嵌合凹部36dの内壁面にはリング状凸部36dxを設ける。これにより、後端部材73Cを圧力伝達部材36Bに対して、所定の保持強度で保持されるように取り付けることができる。リング状凸部36dxの幅、高さは、目的とする保持強度を実現するように種々の値とすることができる。
【0074】
また、接続部材72と後端部材73、接続部材72Aと後端部材73A、接続部材72Cと後端部材73Bなどの接続部材と後端部材とを着脱可能にしておく必要は必ずしもない。図8は、接続部材の他の構成を説明するための図である。図8に示す接続部材72Dは、接続部材と後端部材とを一体に形成したものである。図8に示すように、接続部材72Dは、先端側パイプ部72FTと後端側装着部72BKとが一体に形成されたものである。この場合、後端側装着部72BKが、上述した実施の形態の後端部材73、73A、73Bの機能を実現する。
【0075】
また、接続部材72Dに対しては、図3図4を用いて説明した先端部材71を装着することができる。また、接続部材72Dについても、先端側を図5に示した態様の突起を設けた構成としてもよい。また、接続部材72Dについても、先端側パイプ部72FTについて、図6(A)を用いて説明したように、内壁面に何も設けない構成とすることもできる。この場合には、図6(B)に示した先端部材71Aを装着することになる。また、後端側装着部72BKについても、図4に示した構成としたり、図7に示した構成としたりすることも可能である。
【0076】
また、上述した実施の形態においては、芯体7、7Aは、圧力伝達部材36、36Aを介して、筆圧検出部6を押圧する構成としたが、これに限るものではない。筆圧検出部6が、芯体を保持する機構を備えるものである場合には、芯体7、7Aを直接に筆圧検出部に装着し、装着部731、731Aが、筆圧検出部を押圧する部材(押し子)となるようにしてもよい。
【0077】
<静電容量方式の電子ペンへの適用>
上述した実施の形態の電子ペンは、電磁誘導方式のものに適用した場合を例にして説明した。しかし、この発明の電子ペン用芯体は、静電容量方式の電子ペン用芯体にも適用できる。この場合には、先端部材、接続部材、後端部材のいずれもが、導電性を備えることにより、芯体全体として導電性を備えるようにすればよい。導電性を備えるためには、金属を素材に用いたり、また、金属紛を含む樹脂などを材料として用いたりすればよい。
【符号の説明】
【0078】
1…電子ペン、2…筐体、3…電子ペン本体部、31…コイル、32…フェライトコア、33…筒状体部、33a…凹部、34…プリント基板、35…キャパシタ、36、36A、36B…圧力伝達部材、36a、36c、36d…嵌合凹部、36b…押圧部、36cx…係合部、36dx…リング状凸部、4…ノックカム機構部、5…復帰用バネ、6…筆圧検出部、7、7A…芯体、71、71A…先端部材、711…ペン先部、711a…後端面、712、712A…後端延伸部、712a、712b…リング状凸部、72、72A、72B、72C、72D…接続部材、721a、721b…リング状凹部、721c、721d…リング状凸部、722a、722b、722c、722d…貫通孔、723a、723b…リング状凹部、723c、723d…リング状凸部、FH…先端側孔部、BH…後端側孔部、72FT…先端側パイプ部、72BK…後端側装着部、73、73A、73B、73C…後端部材、731、731A、731B…装着部、731a、731b、731c…嵌合突起、732…係合部、733、733A、733B…前端延伸部、733a、733b、733c、733d…突起部、733e、733f…リング状突起、74…空隙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8