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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171193
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】ロール状ペーパータオル製品
(51)【国際特許分類】
   A47K 10/16 20060101AFI20221104BHJP
【FI】
A47K10/16 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021077694
(22)【出願日】2021-04-30
(71)【出願人】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 光
(72)【発明者】
【氏名】大岡 康伸
(72)【発明者】
【氏名】大篭 幸治
【テーマコード(参考)】
2D135
【Fターム(参考)】
2D135AA10
2D135AA20
2D135AB06
2D135AB13
2D135AD28
2D135CA04
2D135CA05
2D135DA06
2D135DA08
2D135DA13
2D135DA16
(57)【要約】
【課題】1プライで吸水量(坪量)が一定の範囲で無駄がなく、巻長が一定の範囲であるロール状ペーパータオルにおいて、キャラメル包装におけるフィルム包装形態の美粧性、ロール製品の使いやすさが良好である、ロール状ペーパータオル製品を提供する。
【解決手段】合成繊維及びパルプ繊維を含有し、1プライのエンボス加工を施されたシートが、ロール状に巻き取られたロール状ペーパータオルと、包装用フィルムとを含む、ロール状ペーパータオル製品であり、ペーパータオルの坪量が40g/m以上150g/m以下、単位面積当たりの吸水量が210g/m以上540g/m以下、単位重量当たりの吸水量が3.0g/g以上6.5g/g以下であり、ロールの巻長が7m以上24m以下、ロール密度が0.05g/cm以上0.22g/cm以下であり、製品が1ロールのキャラメル包装体である、ロール状ペーパータオル製品を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成繊維及びパルプ繊維を含有し、1プライのエンボス加工を施されたシート状のペーパータオルが、ロール状に巻き取られたロール状ペーパータオルと、該ロール状ペーパータオルを包装する包装用フィルムとを含む、ロール状ペーパータオル製品であり、
前記ペーパータオルの坪量が40g/m以上150g/m以下、単位面積当たりの吸水量が210g/m以上540g/m以下、単位重量当たりの吸水量が3.0g/g以上6.5g/g以下であり、
前記ロール状ペーパータオルの巻長が7m以上24m以下、ロール密度が0.05g/cm以上0.22g/cm以下であり、
ロール状ペーパータオル製品が1ロールのキャラメル包装体であることを特徴とする、ロール状ペーパータオル製品。
【請求項2】
前記ロール状ペーパータオルの巻径が90mmφ以上160mmφ以下であることを特徴とする、請求項1に記載のロール状ペーパータオル製品。
【請求項3】
前記エンボスの単体の深さが0.07mm以上1.8mm以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のロール状ペーパータオル製品。
【請求項4】
前記合成繊維の含有割合が5%以上50%以下であり、前記パルプ繊維の含有割合が50%以上95%以下であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載のロール状ペーパータオル製品。
【請求項5】
前記包装用フィルムがヒートシール性を有することを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載のロール状ペーパータオル製品。
【請求項6】
前記包装用フィルムの厚さが20μm以上50μm以下であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載のロール状ペーパータオル製品。
【請求項7】
前記合成繊維の坪量が4g/m以上40g/m以下であり、かつ、前記パルプ繊維の坪量が33g/m以上120g/m以下であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載のロール状ペーパータオル製品。
【請求項8】
前記ペーパータオルがキッチンタオルであることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載のロール状ペーパータオル製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装用フィルムで包装されたロール状ペーパータオル製品に関する。
【背景技術】
【0002】
キッチンタオルや、キッチンペーパー等のペーパータオルは、キッチン周りの油汚れ掃除、水拭き、食品の水切り等、様々な用途が存在する。
ペーパータオルには、水および油に対する優れた吸収性、掃除用途に使用した際にも簡単に破れず、継続使用に耐える強度が求められている。
そのような強度を有するペーパータオルとして、通常の紙製のペーパータオルとは別に、合成繊維にパルプ繊維を水流交絡させて、合成繊維をパルプ繊維に含ませたペーパータオルが市販されている。合成繊維を含むペーパータオルは、耐久性に優れることから、汚れを水で洗い流せば繰り返し使うことができる。
【0003】
上記のような合成繊維にパルプ繊維を水流交絡する技術の先行技術文献としては、例えば、特許文献1にはパルプ繊維ウエブと合成繊維ウエブとを水流交絡処理して得られる不織布ワイパーであって、パルプ繊維ウエブに含まれるパルプ繊維の平均繊維長が1.0~5.0mmであり、当該不織布ワイパーの坪量が20~42g/mであり、構成比がパルプ繊維ウエブ70~50質量%、合成繊維ウエブ30~50質量%である、ことを特徴とする不織布ワイパーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-193634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常のペーパータオルの場合、巻き方やエンボスの入れ方等が調整しやすいが、上記のような合成繊維を含有するペーパータオルをロール状に巻いて包装したロール状ペーパータオル製品では、固く巻きすぎると、エンボスが潰れて紙厚が下がり、吸水性が劣る場合がある他、スコーチ(キャラメル包装における、特に図1に示す上面部分)等の包装不良が起こりやすくなる。一方で、柔らかく巻きすぎると、巻長が短くなる他、シール不良による包装不良が起こりやすくなり、包装の美粧性に劣る。
【0006】
一方で、これらの問題を解決するためにペーパータオルの坪量を上げ、吸水性と包装の美粧性を両立させようとすると、シートを有効に使えなくなる(シートの無駄が生じる)。
以上のことから、従来の合成繊維にパルプ繊維を水流交絡させたペーパータオル製品では、吸水性と包装の美粧性を両立させることは困難であった。
【0007】
本発明は、1プライで吸水量(坪量)が一定の範囲で無駄がなく、巻長が一定の範囲であるロール状ペーパータオルにおいて、キャラメル包装におけるフィルム包装形態の美粧性、ロール製品の使いやすさが良好である、ロール状ペーパータオル製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは鋭意検討を行い、合成繊維及びパルプ繊維を含有し、1プライのエンボス加工を施されたシート状のペーパータオルを含むロール状ペーパータオル製品において、ペーパータオルの坪量、単位面積当たり及び単位重量当たりの各吸水量、並びにロール状ペーパータオルの巻長及びロール密度を所定の数値範囲内に規定することで、1プライで吸水量(坪量)が一定の範囲で無駄がなく、巻長が一定の範囲であるロール状ペーパータオルにおいて、キャラメル包装におけるフィルム包装形態の美粧性、ロール製品の使いやすさが良好である、ロール状ペーパータオル製品とすることができ、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には、本発明は、以下のものを提供する。
【0009】
(1)本発明の第1の態様は、合成繊維及びパルプ繊維を含有し、1プライのエンボス加工を施されたシート状のペーパータオルが、ロール状に巻き取られたロール状ペーパータオルと、該ロール状ペーパータオルを包装する包装用フィルムとを含む、ロール状ペーパータオル製品であり、上記ペーパータオルの坪量が40g/m以上150g/m以下、単位面積当たりの吸水量が210g/m以上540g/m以下、単位重量当たりの吸水量が3.0g/g以上6.5g/g以下であり、上記ロール状ペーパータオルの巻長が7m以上24m以下、ロール密度が0.05g/cm以上0.22g/cm以下であり、ロール状ペーパータオル製品が1ロールのキャラメル包装体であることを特徴とする、ロール状ペーパータオル製品である。
【0010】
(2)本発明の第2の態様は、(1)に記載のロール状ペーパータオル製品であって、上記ロール状ペーパータオルの巻径が90mmφ以上160mmφ以下であることを特徴とするものである。
【0011】
(3)本発明の第3の態様は、(1)又は(2)に記載のロール状ペーパータオル製品であって、上記エンボスの単体の深さが0.07mm以上1.8mm以下であることを特徴とするものである。
【0012】
(4)本発明の第4の態様は、(1)から(3)のいずれかに記載のロール状ペーパータオル製品であって、上記合成繊維の含有割合が5%以上50%以下であり、上記パルプ繊維の含有割合が50%以上95%以下であることを特徴とするものである。
【0013】
(5)本発明の第5の態様は、(1)から(4)のいずれかに記載のロール状ペーパータオル製品であって、上記包装用フィルムがヒートシール性を有することを特徴とするものである。
【0014】
(6)本発明の第6の態様は、(1)から(5)のいずれかに記載のロール状ペーパータオル製品であって、上記包装用フィルムの厚さが20μm以上50μm以下であることを特徴とするものである。
【0015】
(7)本発明の第7の態様は、(1)から(6)のいずれかに記載のロール状ペーパータオル製品であって、上記合成繊維の坪量が4g/m以上40g/m以下であり、かつ、上記パルプ繊維の坪量が33g/m以上120g/m以下であることを特徴とするものである。
【0016】
(8)本発明の第8の態様は、(1)から(7)のいずれかに記載のロール状ペーパータオル製品であって、上記ペーパータオルがキッチンタオルであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、1プライで吸水量(坪量)が一定の範囲で無駄がなく、巻長が一定の範囲であるロール状ペーパータオルにおいて、キャラメル包装におけるフィルム包装形態の美粧性、ロール製品の使いやすさが良好である、ロール状ペーパータオル製品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明のロール状ペーパータオル製品の全体を示す斜視図である。
図2】本発明のロール状ペーパータオル製品から包装用フィルムを取り去った、ロール状ペーパータオルの全体を示す斜視図である。
図3】本発明のロール状ペーパータオル製品のエンボスについて、エンボスの面積の求め方を示す図である。
図4】マイクロスコープによるX-Y平面上の高さプロファイルを濃淡で示す図である。
図5】マイクロスコープによるX-Y平面上の高さプロファイルをグラフで示す図である
図6】本発明のロール状ペーパータオル製品のエンボスについて、エンボスの深さの求め方を示す図である。
図7】本発明のロール状ペーパータオル製品の吸水量の測定方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について、図面を参照しながら詳細に説明するが、これらは例示の目的で掲げたもので、これらにより本発明を限定するものではない。
【0020】
1.ロール状ペーパータオル製品
図1は、本発明のロール状ペーパータオル製品1の全体を示す斜視図である。本発明のロール状ペーパータオル製品1は、ロール状ペーパータオル10と、ロール状ペーパータオル10を包装する包装用フィルム20を含む。なお、ロール状ペーパータオル製品1は1ロールのロール状ペーパータオル10をキャラメル包装によって、包装用フィルム20で包装したもの(キャラメル包装体)である。
このとき、包装用フィルム20の材質は、特に制限はないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルが好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレンがより好ましく、ポリエチレンを主体とすることが更に好ましく、ポリエチレン100%であることが最も好ましい。また、ヒートシール性を有することが好ましい。さらに、包装用フィルム20の厚さは20μm以上50μm以下であることが好ましく、25μm以上45μm以下であることがより好ましく、30μm以上40μm以下であることが更に好ましい。厚さが20μm未満であると、ヒートシール時にスコーチ等の包装不良が起きやすくなり、美粧性に劣る。厚さが50μmを超えると、ロール状ペーパータオル10を包装しにくくなり、キャラメル包装におけるフィルム包装形態の美粧性に劣る。なお、フィルムの厚さは、JIS K 7130に準拠して測定する。
【0021】
2.ロール状ペーパータオル
図2は、本発明のロール状ペーパータオル製品1から包装用フィルム20を取り去った、ロール状ペーパータオル10の全体を示す斜視図である。本発明のロール状ペーパータオル10は、合成繊維及びパルプ繊維を含有し、1プライのエンボス加工を施されたシート状のペーパータオル10xが、ロール状に巻き取られたロール状ペーパータオル10である。なお、ペーパータオル10xは、ペーパータオル10xの最外巻の端縁10eから、MD(流れ)方向における等間隔において、CD(幅)方向にミシン目を施されていることが好ましい(図示しない)。
このとき、MD(Machine Direciton)方向とはペーパータオル10xが巻き取られる方向(ペーパータオル10xが製造される方向であり、流れ方向とも称する)であり、CD(Cross Direciton)方向とはMD方向に直交する方向(幅方向とも称する)である。
なお、本発明におけるペーパータオル10xは、様々な紙製品として用いることができ、ワイパー又はキッチンタオルの用途で使用することが好ましいが、キッチンタオルの用途で使用することがより好ましい。また、本願発明は、ワイパー又はキッチンタオルの用途で使用される紙製品であるが、不織布製品として使用されても良い。
【0022】
また、図2に示すように、ペーパータオル10xの表面のうち、ロール外側に指向した表面を表面10a(ペーパータオル10xの表面)と称し、ロール中心部に指向した表面を裏面10b(ペーパータオル10xの裏面)と称する。なお、後述する水流交絡によって、ペーパータオル10xに含まれる合成繊維の量においては、ペーパータオル10xの表面側(すなわち表面10a側)が多く、裏面10b側が少ないことが好ましい。
【0023】
(シート長さ及びシート面積)
ロール状ペーパータオル10において、ミシン目とミシン目の間のペーパータオル10xを1枚のシートとしたとき、シート長さ(MD方向の長さ)は160mm以上330mm以下であることが好ましく、180mm以上305mm以下であることがより好ましく、200mm以上280mm以下であることが更に好ましい。シート長さが160mm未満であると、後述するシート面積が小さくなり、シート(ペーパータオル10x)の使いやすさに劣る。シート長さが330mmを超えると、シート面積が大きくなりすぎてしまい、シート(ペーパータオル10x)を有効に使えなくなる(シートの無駄が生じる)。なお、シート幅(CD方向の長さ)は180mm以上350mm以下であることが好ましい。
また、ペーパータオル10xのシート面積は0.03m以上0.12m以下であることが好ましく、0.04m以上0.10m以下であることがより好ましく、0.05m以上0.08m以下であることが更に好ましい。シート面積が0.03m未満であると、シート面積が小さくなり、シート(ペーパータオル10x)の使いやすさに劣る。シート面積が0.12mを超えると、シート面積が大きくなりすぎてしまい、シート(ペーパータオル10x)を有効に使えなくなる(シートの無駄が生じる)。
【0024】
(巻長及び巻径)
ロール状ペーパータオル10の巻長は7m以上24m以下であり、10m以上20m以下であることが好ましく、13m以上18m以下であることがより好ましい。巻長が7m未満であると巻径DRが小さくなり、ロール製品としての使いやすさに劣る。巻長が24mを超えると巻径DRが大きくなり、ロール製品としての使いやすさに劣る。
また、ロール状ペーパータオル10の巻径DRは90mmφ以上160mmφ以下であることが好ましく、100mmφ以上140mmφ以下であることがより好ましく、108mmφ以上130mmφ以下であることが更に好ましい。巻径DRが90mmφ未満であると巻径DRが小さくなりすぎるため、ロール製品としての使いやすさに劣る。巻径DRが160mmφを超えると巻径DRが大きくなりすぎるため、ロール製品としての使いやすさに劣る。
【0025】
巻長は、ロール状ペーパータオル10のミシン目とミシン目の間のペーパータオル10x(シート)について、シート10枚分の長さを実測する。その後、ロール状ペーパータオル10におけるペーパータオル10xのシート枚数を実測し、巻長はシート10枚分の長さとペーパータオル10xのシート枚数から比例計算で求める。例えば、シート10枚分の長さが1.80m、ペーパータオル10xのシート枚数が150枚の場合、1.80m×(150/10)=27mとなる。また、ロールの巻径DRは、ムラテックKDS株式会社製ダイヤメータールールを用いて測定する。測定は、10個のロール状ペーパータオル10を測定し、測定結果を平均する。
【0026】
(ロール幅及びロール重量)
ロール状ペーパータオル10のロール幅は180mm以上350mm以下であることが好ましく、210mm以上325mm以下であることがより好ましく、240mm以上300mm以下であることが更に好ましい。ロール幅が180mm未満であると、上述したシート面積が小さくなり、シート(ペーパータオル10x)の使いやすさに劣る。ロール幅が350mmを超えると、上述したシート面積が大きくなりすぎてしまい、シート(ペーパータオル10x)を有効に使えなくなる(シートの無駄が生じる)。
また、ロール状ペーパータオル10のロール重量は140g以上600g以下であることが好ましく、220g以上450g以下であることがより好ましく、250g以上400g以下であることが更に好ましい。ロール重量が140g未満であると、後述するロール密度が一定以上にならず、フィルム包装をしにくくなり、キャラメル包装におけるフィルム包装形態の美粧性に劣る。ロール重量が600gを超えると、ロール密度が高くなりすぎて、結果としてペーパータオル10xの厚さが小さくなって吸水性に劣り、また、フィルム包装時にスコーチ等の不良が起こりやすくなる。
なお、ロール重量は、コア(紙管)を含まないロール幅275mmあたりの1ロールの質量とする。ロール幅が275mmでない場合は、比例計算により275mmあたりの質量に換算する。
【0027】
(コア径)
また、本発明のロール状ペーパータオル10の芯部分に当たるコア(紙管)の外径である、コア径DIは、30mmφ以上60mmφ以下であることが好ましく、34mmφ以上55mmφ以下であることがより好ましく、37mmφ以上50mmφ以下であることが更に好ましい。コア径DIが30mmφ未満であると巻径DRが小さくなり、ロール製品としての使いやすさに劣る。コア径DIが60mmφを超えると巻径DRが大きくなり、ロール製品としての使いやすさに劣る。
なお、コア径DIは、ムラテックKDS株式会社製ダイヤメータールールを用いて測定する。測定は、10個のロール状ペーパータオル10を測定し、測定結果を平均する。
【0028】
(ロール密度)
ロール状ペーパータオル10のロール密度は0.05g/cm以上0.22g/cm以下であり、0.07g/cm以上0.19g/cm以下であることが好ましく、0.09g/cm以上0.15g/cm以下であることがより好ましい。ロール状ペーパータオル10のロール密度が0.05g/cm未満であると、柔巻きになりすぎるため、フィルム包装をしにくくなり、キャラメル包装におけるフィルム包装形態の美粧性に劣る。ロール状ペーパータオル10のロール密度が0.22g/cmを超えると、固巻きになりすぎるため、ペーパータオル10xの厚さが小さくなり、吸水性に劣る。また、フィルム包装時にスコーチ等の不良が起こりやすくなる。
【0029】
ロール密度は、(ロール重量)÷(ロールの体積)で表される。ロール体積は[{ロールの外径(巻径DR)部分の断面積}-(コア径DI部分の断面積)]×ロール幅(275mmあたりに換算する)で表される。例えば、ロール幅275mmあたりのロール重量(コアを除く)が337g、巻径DRが119mmφ、コア径DIが49mmφの場合、ロール密度=0.13g/cmとなる。なお、ロール状ペーパータオル10にコアが無い場合は、中心孔の直径をコア径DIとする。
【0030】
3.ペーパータオル
本発明のペーパータオル10xは、合成繊維及びパルプ繊維を含有する。合成繊維としては、例えばナイロン、ビニロン、ポリエステル、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等が挙げられるが、本願発明のような、1プライで吸水量(坪量)が一定の範囲であるペーパータオル10xを得るには、ポリエチレン、ポリプロピレンが好ましく、ポリプロピレンがより好ましい。合成繊維として使用される不織布は制限がないが、スパンボンド不織布が好ましい。ポリプロピレンのスパンボンド不織布を用いることで、本願のような1プライで吸水量(坪量)が一定の範囲であるペーパータオル10xを得ることができる。また、ロール状ペーパータオル10としての機能も良好になる。また、パルプ繊維としては、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)等、一般的なパルプ繊維を用いることができる。パルプ繊維におけるNBKPとLBKPの含有割合は、NBKP:LBKP=50:50~100:0が好ましく、NBKP:LBKP=70:30~100:0がより好ましく、NBKP:LBKP=90:10~100:0が更に好ましく、NBKP:LBKP=100:0が最も好ましい。NBKPとしては、例えばラジアータパイン、スラッシュパイン、サザンパイン、ロッジポールパイン、スプルース及びダグラスファーからなる繊維が好ましい。なお、NBKPの代わりにNUKP、LBKPの代わりにLUKPを用いることもできる。
このとき、ペーパータオル10xにおける合成繊維の割合(含有割合)が5%以上50%以下であることが好ましく、9%以上41%以下であることがより好ましく、12%以上28%以下であることが更に好ましい。合成繊維の割合が5%未満であると、吸水性は良いが、シート(ペーパータオル10x)を有効に使えなくなる(シートの無駄が生じる)。また、ペーパータオル10xの強度が弱くなり、使いにくくなる場合がある。合成繊維の割合が50%を超えると、ペーパータオル10xの吸水性に劣る。
また、ペーパータオル10xにおけるパルプ繊維の割合(含有割合)が50%以上95%以下であることが好ましく、59%以上91%以下であることがより好ましく、72%以上88%以下であることが更に好ましい。パルプ繊維の割合が50%未満であると、ペーパータオル10xの吸水性に劣る。パルプ繊維の割合が95%を超えると、吸水性は良いが、シート(ペーパータオル10x)を有効に使えなくなる(シートの無駄が生じる)。また、ペーパータオル10xの強度が弱くなり、使いにくくなる場合がある。
【0031】
さらに、ペーパータオル10xには、一般的な湿潤紙力剤を含有することが好ましい。湿潤紙力剤(固形分(有効成分)換算)の含有率は、パルプ繊維(絶乾)に対して、0.05%以上1.0%以下が好ましく、0.10%以上0.50%以下がより好ましく、0.20%以上0.40%以下が更に好ましい。湿潤紙力剤の含有率を上記の数値範囲内にすることで、本願のような、1プライで吸水量(坪量)が一定の範囲で無駄がなく、巻長が一定の範囲であるロール状ペーパータオル10を得ることができる。
また、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で、ペーパータオル10xに耐熱安定剤、滑剤等を配合することができる。耐熱安定剤としては、例えば、BHT(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール)等のフェノール系安定剤等が挙げられる。
【0032】
(坪量)
ペーパータオル10xの坪量は、40g/m以上150g/m以下であり、48g/m以上110g/m以下であることが好ましく、55g/m以上80g/m以下であることがより好ましい。ペーパータオル10xの坪量が40g/m未満であると、ペーパータオル10xの吸水性に劣る。ペーパータオル10xの坪量が150g/mを超えると、吸水性は良いが、シート(ペーパータオル10x)を有効に使えなくなる(シートの無駄が生じる)。
【0033】
また、ペーパータオル10xに含まれる合成繊維の坪量は、4g/m以上40g/m以下であることが好ましく、7g/m以上30g/m以下であることがより好ましく、10g/m以上20g/m以下であることが更に好ましい。合成繊維の坪量が4g/m未満であると、吸水性は良いが、シート(ペーパータオル10x)を有効に使えなくなる(シートの無駄が生じる)。また、ペーパータオル10xの強度が弱くなり、使いにくくなる場合がある。合成繊維の坪量が40g/mを超えると、ペーパータオル10xの吸水性に劣る。
さらに、ペーパータオル10xに含まれるパルプ繊維の坪量は、33g/m以上120g/m以下であることが好ましく、38g/m以上90g/m以下であることがより好ましく、45g/m以上75g/m以下であることが更に好ましい。パルプ繊維の坪量が33g/m未満であると、ペーパータオル10xの吸水性に劣る。パルプ繊維の坪量が120g/mを超えると、吸水性は良いが、シート(ペーパータオル10x)を有効に使えなくなる(シートの無駄が生じる)。また、ペーパータオル10xの強度が弱くなり、使いにくくなる場合がある。
なお、ペーパータオル10xの坪量はJIS P 8124に基づいて測定するが、合成繊維及びパルプ繊維の坪量は、後述する水流交絡した後に個別に測定することが困難であるため、例えば、以下の方法で測定する。
【0034】
まず、0.1M酢酸水溶液と0.1M酢酸ナトリウム水溶液を調製する。約830gの0.1M酢酸水溶液と約160gの0.1M酢酸ナトリウム水溶液を混合してpHが4となるようにし、これを酢酸緩衝液とする。この酢酸緩衝液にセルラーゼオノズカp1500(ヤクルト薬品工業株式会社製)を添加量が1重量%となるように添加する。
セルラーゼオノズカp1500を添加した酢酸緩衝液50mlと、ペーパータオル10x0.5gとをバイアル瓶に入れて、しっかりと蓋をする。次に、180rpm、40℃の条件で24時間振とうした後、バイアル瓶から合成繊維を採取し、合成繊維の質量を測定する。(合成繊維及びパルプ繊維を含む)ペーパータオル10xの質量(0.5g)と採取した合成繊維の質量から、下記式により、合成繊維及びパルプ繊維のそれぞれの坪量を算出する。
合成繊維の坪量=
ペーパータオル10xの坪量×(合成繊維の質量/ペーパータオル10xの質量)
パルプ繊維の坪量=
ペーパータオル10xの坪量×[(ペーパータオル10xの質量-合成繊維の質量)/ペーパータオル10xの質量]
【0035】
また、上記の方法で測定が困難な場合は、JIS P 8124に基づいて測定したペーパータオル10xの坪量-用いた合成繊維の坪量=パルプ繊維の坪量として求めるが、水流交絡後の原反(原紙)とエンボスを設けたペーパータオル10xの坪量は異なる(エンボス加工後は、坪量が低くなる)ので、下記のように補正することで、最終的な合成繊維及びパルプ繊維のそれぞれの坪量とする。
例えば、合成繊維の坪量が26g/mであり、水流交絡後の原紙の坪量が128g/m、エンボス加工後のペーパータオル10xの坪量が125g/mである場合は、合成繊維の坪量は26×125/128=25g/m、パルプ繊維の坪量は125-25=100g/mとする。
【0036】
(厚さ及び比容積)
ペーパータオル10xの厚さ(紙厚)は200μm以上1500μm以下であることが好ましく、300μm以上1200μm以下であることがより好ましく、400μm以上900μm以下であることが更に好ましい。厚さが200μm未満であると、ペーパータオル10xの吸水性に劣る。厚さが1500μmを超えると、吸水性は良いが、シート(ペーパータオル10x)を有効に使えなくなる(シートの無駄が生じる)。なお、厚さはシックネスゲージ(株式会社尾崎製作所製のダイヤルシックネスゲージ「PEACOCK(登録商標)」)を用いて測定する。測定条件は、測定荷重3.7kPa、測定子直径30mmで、測定子と測定台の間に試料を置き、測定子を1秒間に1mm以下の速度で下ろしたときのゲージを読み取る。また、測定を10回繰り返して測定結果を平均する。なお、測定は3枚のペーパータオル10xを重ねて測定し、値を1/3にして、厚さの値とする。
また、ペーパータオル10xの比容積は3cm/g以上18cm/g以下であることが好ましく、4.5cm/g以上15.5cm/g以下であることがより好ましく、6cm/g以上13cm/g以下であることが更に好ましい。比容積が3cm/g未満であると、ペーパータオル10xの吸水性に劣る。比容積が18cm/gを超えると、吸水性は良いが、シート(ペーパータオル10x)を有効に使えなくなる(シートの無駄が生じる)。なお、比容積はペーパータオル10xの厚さを坪量で割り、単位gあたりの容積cmで表す。
【0037】
(エンボス)
本発明のロール状ペーパータオル10(ペーパータオル10x)は、エンボス加工が施されており、該エンボスはロールワインダにて施されることが好ましい。なお、エンボス単体の形状は、円形、楕円形、長方形、正方形、花柄、多角形、文字、線、ロゴ等、特に制限なく用いることができるが、本願発明のような1プライで吸水量(坪量)が一定の範囲で無駄がなく、巻長が一定の範囲であるロール状ペーパータオル10を得るには、六角形状が好ましい。
【0038】
このとき、エンボスのパターンにおけるエンボス単体(1個)の面積は、2mm以上50mm以下であることが好ましく、6mm以上40mm以下であることがより好ましく、10mm以上30mm以下であることが更に好ましい。なお、エンボス単体の面積の測定方法としては、図3に示す六角形状のエンボスの一辺の長さaを目視で測定し、これを一辺とする正三角形の面積を6倍したものとして算出する。なお、目視での測定が難しい場合は、後述するマイクロスコープを用いて、エンボスの大きさを測定し、面積を求めてもよい。
また、エンボスのペーパータオル10xにおける単位面積当たりの個数は、50個/100cm以上1000個/100cm以下であることが好ましく、100個/100cm以上800個/100cm以下であることがより好ましく、200個/100cm以上500個/100cm以下であることが更に好ましい。単位面積当たり個数の測定方法としては、シート(ペーパータオル10x)の全幅において、長手方向(MD方向)に隣り合う2つのミシン目の間の全領域から、任意の100cmの部位を選んで目視で測定した。なお、ミシン目の間隔やロールが短い等、100cmの部位を選択できない場合は、測定可能な部位についてエンボスの個数を測定し、100cm当たりのエンボス個数として換算する。
エンボスの単体の面積及び単位面積当たりの個数をいずれも上記の数値範囲内にすることで、本願のような、1プライで吸水量(坪量)が一定の範囲で無駄がなく、巻長が一定の範囲であり、キャラメル包装におけるフィルム包装形態の美粧性、ロール製品としての使いやすさが良好であるロール状ペーパータオル10を得ることができる。
【0039】
さらに、エンボスの単体の深さは0.07mm以上1.8mm以下であることが好ましく、0.2mm以上1.2mm以下であることがより好ましく、0.3mm以上0.8mm以下であることが更に好ましい。深さが1.8mmを超えると、深さを確保するために柔巻きとなり、包装をしにくくなるため、キャラメル包装におけるフィルム包装形態の美粧性に劣る。
【0040】
エンボスの単体の深さは、マイクロスコープを用いて測定する。マイクロスコープとしては、KEYENCE社製の製品名「ワンショット3D測定マクロスコープ VR-3100」を使用することができる。マイクロスコープの画像の観察・測定・画像解析ソフトウェアとしては、製品名「VR-H1A」を使用することができる。また、測定条件は、倍率12倍、視野面積24mm×18mmの条件で測定する。測定倍率と視野面積は、求めるエンボスの大きさによって、適宜変更してもよい。
【0041】
図4は、マイクロスコープによるX-Y平面上の高さプロファイルを示し、ペーパータオル10x表面の高さが濃淡で表されている。図4の濃淡が周辺と異なる六角形状の部位が個々のエンボスを示している。エンボスの単体の深さは、上記マイクロスコープを用いて上述のエンボスの高低差を測定して求める。なお、測定はペーパータオル10xの表面10a側で行う。また、測定時に、ロール状ペーパータオル10からペーパータオル10xを3周分取り除き、4周目のペーパータオル10xを用いて、ペーパータオル10xの状態を測定する。また、ミシン目は避けて測定する。
まず、図4のように線分ABを引き、図5の高さプロファイルを得る。なお、線分ABは、エンボスを横切るように引けばよい。また、線分ABは、ペーパータオル10xの幅方向(CD方向)になるように引くが、エンボスとエンボスの間隔が例えば2mm以上開いている場合は、線分を斜め方向に引いたり、流れ方向に引いたりしてもよい。高さプロファイルは、実際のペーパータオル10xの試料表面の凹凸を表す(測定)断面曲線Sであるが、ノイズ(ペーパータオル10xの表面に繊維塊があったり、繊維がヒゲ状に伸びていたり、繊維のない部分に起因した急峻なピーク)をも含んでおり、凹凸の高低差の算出に当たっては、このようなノイズピークを除去する必要がある。
そこで、図5の(測定)断面曲線Sを重み平均ラジオボタンのフィルターのサイズを±12とし、スムージングした図6の断面曲線Wを得る。なお、重み平均ラジオボタンのフィルターを用いたスムージングは、上記の解析ソフトを使用すれば、自動で得られる。そして、図6に示すグラフにおいて、グラフの凸部H1と、凸部H1に隣接する凸部H2の縦軸のそれぞれの最大値の平均値を算出し、凸部H1と凸部H2とに挟まれる凹部D1における縦軸の最小値を求める。このようにして求められた最大値の平均値から最小値を差し引いた数値を暫定的なエンボスの単体の深さとする。そして、図6に示すように、断面曲線上において連続する計2カ所(凹部D1と、凸部H2と凸部H3に挟まれる凹部D2の連続する計2カ所)について同様の測定を行う(この時点で2つの測定結果が得られる)。その後、ペーパータオル10xの流れ方向にロール状ペーパータオル10を90度ずつ3回に分けて回転させた各位置において上記同様の測定を行い(流れ方向における測定位置は計4カ所となる)、合計8カ所(2×4)の平均値をエンボスの単体の深さとして最終的に採用する。
【0042】
(吸水量)
本発明において、ペーパータオル10xの単位面積当たりの吸水量が210g/m以上540g/m以下であり、250g/m以上500g/m以下であることが好ましく、300g/m以上430g/m以下であることがより好ましい。単位面積当たりの吸水量が210g/m未満であると、ペーパータオル10xの吸水性に劣る。単位面積当たりの吸水量が540g/mを超えると、吸水性は良いが、シート(ペーパータオル10x)を有効に使えなくなる(シートの無駄が生じる)。
また、ペーパータオル10xの単位重量当たりの吸水量が3.0g/g以上6.5g/g以下であり、3.5g/g以上6.3g/g以下であることが好ましく、4.0g/g以上6.0g/g以下であることがより好ましい。単位重量当たりの吸水量が3.0g/g未満であると、ペーパータオル10xの吸水性に劣る。単位重量当たりの吸水量が6.5g/gを超えると、吸水性は良いが、シート(ペーパータオル10x)を有効に使えなくなる(シートの無駄が生じる)。
なお、ペーパータオル10xの各吸水量は以下のように測定する。
【0043】
まず、ペーパータオル10xを採取し、一片が7.6cm(3インチ)の正方形の型版を用いてカットし、一辺7.6cmの矩形の試験片200を作製する。その後、吸水前の試験片200の質量を電子天秤で測定しておく。そして、試験片200をホルダー220(試験片200の3点を固定するジグで、ジグは水分を吸収しない金属からなる)にセットする。
次に、市販のバットに、蒸留水を深さ2cm入れ、ホルダー220にセットした試験片200を蒸留水中に2分間浸漬する。2分間浸漬後に試験片200をホルダー220と共に蒸留水から取り出し、図7に示すように、試験片200の1つの隅部200dに帯210を貼り付ける。帯210は、測定するサンプルと同じペーパータオル10xを幅2mm×長さ15mmの大きさに切り、試験片200の隅部200dから中心に向かって6mmの部分に貼り付ける。次に、ホルダー220と試験片200を、隅部200dに対向する隅部200aが上になるようにして空の水槽内に設置した棒にぶら下げ、水槽の蓋を閉めて10分間、放置する。その後、ホルダー220と試験片200を水槽から取り出し、帯210とホルダー220を外し、電子天秤で試験片200の質量を測定する。蒸留水に浸す前後での試験片200の質量変化から、試験片200の単位面積当たりの蒸留水の吸水量(g(水)/m(ペーパータオル))を計算する。さらに、単位面積当たりの吸水量(g(水)/m(ペーパータオル))を試験片200の坪量で割ることにより、単位面積当たりの吸水量(g(水)/m(ペーパータオル))/坪量(g(ペーパータオル)/m(ペーパータオル))=単位重量当たりの吸水量(g(水)/g(ペーパータオル))を算出する。測定は各サンプル5回ずつ行い、平均値を採用する。
なお、本測定は、JIS P 8111法に従い、温度23±1℃、湿度50±2%の状態で行う。また、蒸留水は23±1℃に保持する。
【0044】
(DMDT及びDCDT)
本発明において、ペーパータオル10xの、JIS P 8113に基づく乾燥時におけるMD方向の引張強度DMDT(Dry Machine Direction Tensile Strength)は8N/25mm以上80N/25mm以下であることが好ましく、12N/25mm以上65N/25mm以下であることがより好ましく、20N/25mm以上50N/25mm以下であることが更に好ましい。
また、本発明において、ペーパータオル10xの、JIS P 8113に基づく乾燥時におけるCD方向の引張強度DCDT(Dry Cross Direction Tensile Strength)は3N/25mm以上50N/25mm以下であることが好ましく、4N/25mm以上35N/25mm以下であることがより好ましく、5N/25mm以上25N/25mm以下であることが更に好ましい。
さらに、ペーパータオル10xのDCDTに対する、ペーパータオル10xのDMDTの比率(DMDT/DCDT)は1.0以上5.0以下であることが好ましく、1.5以上4.5以下であることがより好ましく、2.0以上4.0以下であることが更に好ましい。DMDT、DCDT及びそれらの比率が上記の数値範囲内であることにより、破れにくく、また、シート(ペーパータオル10x)が固くならずに、本願のような、1プライで吸水量(坪量)が一定の範囲で無駄がなく、巻長が一定の範囲であり、キャラメル包装におけるフィルム包装形態の美粧性、ロール製品としての使いやすさが良好であるロール状ペーパータオル10を得ることができる。
【0045】
4.ロール状ペーパータオル及びロール状ペーパータオル製品の製造方法
ロール状ペーパータオル10及びロール状ペーパータオル製品1の製造方法としては、ペーパータオル10xが合成繊維及びパルプ繊維を含むキッチンタオルである場合は、例えば(1)所定のスパンボンド不織布にパルプ繊維を積層して水流交絡、(2)マッチドスチールによる熱エンボス処理、(3)ミシン目加工、(4)ロール巻取り加工、(5)フィルム包装(キャラメル包装)の工程の順で製造することができる。
このとき、製造方法の(1)水流交絡において、合成繊維にパルプ繊維を水流交絡することで、合成繊維及びパルプ繊維を含む不織布を得る。水流交絡の方法に関しては、例えば、特開2018-193634号公報に記載された方法で行うことが好ましい。また、製造方法の(2)エンボス処理では、マッチドスチール(スチールマッチ)による熱エンボス処理をロールワインダにて実施することが好ましく、エンボスパターンとしては、六角形状であることが好ましい。さらに、(5)フィルム包装においては、キャラメル包装を行うことができる公知の包装装置や工程であれば、用いる装置や工程は特に制限されないが、型式:CASMATIC CMW525、FABIO PERINI社製のキャラメル包装機を用いることが好ましい。また、ポリエチレンからなる包装フィルムにより、ロール製品の表面形状に追従するように、1個のロール製品をキャラメル包装し、1ロール包装体を作製する。得られる1ロール包装体では、ロール製品の軸方向が、包装袋を構成するフィルムのMD方向と一致することが好ましい。
【0046】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態や実施例に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが、当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【実施例0047】
以下、本発明について、実施例を挙げて詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
【0048】
(1)ポリプロピレンのスパンボンド不織布にパルプ繊維を積層して水流交絡、(2)マッチドスチールによる熱エンボス処理、(3)ミシン目加工、(4)ロール巻取り加工、(5)ポリエチレンのフィルムを用いたキャラメル包装の工程を経て、表5に記載された実施例1~25及び比較例1~10のロール状ペーパータオル製品を作製した。全ての実施例及び比較例のロール状ペーパータオル製品に関して上述の各パラメーターを測定し、かつ、下記の各評価を行った。全ての測定結果及び評価を表5に示す。
【0049】
吸水性:ペーパータオルの吸水性に関して、下記表1の基準に従って評価を行った。
【0050】
【表1】
【0051】
シートを無駄なく使える:ペーパータオル(シート)を無駄なく使えるか否かに関して、下記表2の基準に従って評価を行った。
【0052】
【表2】
【0053】
包装の美粧性:ロール状ペーパータオル製品におけるキャラメル包装の美粧性に関して、下記表3の基準に従って評価を行った。
【0054】
【表3】
【0055】
ロール製品の使いやすさ:ロール状ペーパータオル製品の使いやすさに関して、下記表4の基準に従って評価を行った。
【0056】
【表4】
【0057】
【表5】
【0058】
表5に示すように、実施例1~25のロール状ペーパータオルはいずれも吸水性に優れ、無駄なく使え、包装の美粧性に優れ、かつ、ロール製品としても使いやすかった。一方で比較例1~10のロール状ペーパータオルは吸水性に劣るか、無駄が多いか、包装の美粧性に劣るか、又はロール製品として使いにくいものであった。
以上より、本発明のロール状ペーパータオル製品は、1プライで吸水量(坪量)が一定の範囲で無駄がなく、巻長が一定の範囲であるロール状ペーパータオルにおいて、フィルム包装形態の美粧性、ロール製品の使いやすさが良好である、ロール状ペーパータオル製品を提供することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 ロール状ペーパータオル製品
10 ロール状ペーパータオル
10a 表面
10b 裏面
10e ペーパータオルの最外巻の端縁
10x ペーパータオル
20 包装用フィルム
200 試験片
200a、200d 隅部
210 帯
220 ホルダー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7