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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022017123
(43)【公開日】2022-01-25
(54)【発明の名称】洗浄便座装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 9/08 20060101AFI20220118BHJP
【FI】
E03D9/08 A
E03D9/08 B
E03D9/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020120246
(22)【出願日】2020-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】390010168
【氏名又は名称】東芝ホームテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】特許業務法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村田 博光
【テーマコード(参考)】
2D038
【Fターム(参考)】
2D038AA00
2D038GA00
2D038KA01
2D038KA03
2D038ZA00
(57)【要約】
【課題】必要のない洗浄噴射が動作されることなく、洗浄液の節約効果を見込める洗浄便座装置を提供する。
【解決手段】本発明の洗浄便座装置は、使用者の局部に洗浄液を噴出する洗浄ノズルと、便器1を濡らす洗浄液を噴出する噴出装置28と、を本体11に備え、本体11と別に備えたリモコンに、噴出装置28を動作させるためのミストボタンを設ける。使用者が便器を設置したトイレ室に入ったり、本体11に設けられた便蓋15を開けたりしても、噴出装置28からは洗浄液が噴出せず、リモコンに備えたミストボタンを操作したときにだけ、噴出装置28から洗浄液が噴出する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の局部に洗浄液を噴出するノズル装置と、
便器を濡らす洗浄液を噴出する噴出装置と、を本体に備え、
前記本体と別に備えた遠隔操作部に、前記噴出装置を動作させる操作体を設け、
前記操作体を操作したときにだけ、前記噴出装置から洗浄液が噴出する構成としたことを特徴とする洗浄便座装置。
【請求項2】
使用者の局部に洗浄液を噴出するノズル装置と、
便器を濡らす洗浄液を噴出する噴出装置と、を本体に備え、
前記本体と別に備えた遠隔操作部に、前記噴出装置を動作させる操作体を設け、
前記使用者の存在を検知するか、或いは便蓋が開いたのを検知すると、前記噴出装置から洗浄液を噴出するプレ洗浄噴射を行ない、少なくとも前記プレ洗浄噴射が終了するまでは、前記操作体からの操作を無効にする構成としたことを特徴とする洗浄便座装置。
【請求項3】
使用者が便座部に着座している間は、前記操作体からの操作を無効にする構成としたことを特徴とする請求項1または2記載の洗浄便座装置。
【請求項4】
使用者が便座部に着座している間に前記操作体を操作すると、使用者が前記便座部に着座していない場合と比べて、前記噴出装置からの洗浄液の噴出の仕方が異なるように構成したことを特徴とする請求項1または2記載の洗浄便座装置。
【請求項5】
前記操作体への操作の仕方を変えることで、前記噴出装置からの洗浄液の噴出の仕方が異なるように構成したことを特徴とする請求項1~4の何れか一つに記載の洗浄便座装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者が便器を使用する前に、便器の内面に液体を噴出する洗浄便座装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の例えば特許文献1には、使用者がトイレ室に入室したのを人体検知センサが検知すると、噴霧装置から便器の内面に向けて洗浄液となるミストを噴霧させ、汚物の付着や固着を抑制するプレ洗浄噴射機能を備えた浄水便座装置が開示されている。また、特許文献1の人体検知センサに代わり、開閉可能な便蓋の軸部に蓋センサを設け、この蓋センサで検知された便蓋を開く動作をトリガーとして、使用者が便器を使用する前にプレ洗浄噴射を行なう浄水便座装置も知られている。この場合、プレ洗浄噴射機能を使用するか否かの選択は、予め別途設定する必要があり、工場出荷時のデフォルトでは、プレ洗浄機能を使用するプレ洗浄有りの設定となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-173539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1では、使用者がトイレ室に入室して、噴霧装置が便器の内面に向けてプレ洗浄噴射を行なうのとは別に、本体とは離れた遠隔操作部としてのリモコンからの手動操作により、便器の内面に向けてミストを噴出することもできる。しかしこれでは、プレ洗浄噴射が必要ない場合でも、リモコンへの手動操作に関係なくデフォルト設定を変えない限り、使用者がトイレ室に入室したり、便蓋を開けたりするたびに、便器の内面へのプレ洗浄噴射が強制的に行われてしまい、洗浄液の節約効果が期待できない。
【0005】
また、使用者がリモコンへの手動操作により追加の洗浄噴射を必要とするのは、主にプレ洗浄噴射を行なった後に、便器の内面に汚れが残っているのを目視した場合である。しかし、使用者のリモコンからの手動操作を無条件に受け付けてしまうと、必要のない便器内面への洗浄噴射により、やはり洗浄液の節約効果が期待できなくなる。
【0006】
そこで本発明は、必要のない洗浄噴射が動作されることなく、洗浄液の節約効果を見込める洗浄便座装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の洗浄便座装置は、使用者の局部に洗浄液を噴出するノズル装置と、便器を濡らす洗浄液を噴出する噴出装置と、を本体に備え、前記本体と別に備えた遠隔操作部に、前記噴出装置を動作させる操作体を設け、前記操作体を操作したときにだけ、前記噴出装置から洗浄液が噴出する構成としたことを特徴とする。
【0008】
本発明の洗浄便座装置は、使用者の局部に洗浄液を噴出するノズル装置と、便器を濡らす洗浄液を噴出する噴出装置と、を本体に備え、前記本体と別に備えた遠隔操作部に、前記噴出装置を動作させる操作体を設け、前記使用者の存在を検知するか、或いは便蓋が開いたのを検知すると、前記噴出装置から洗浄液を噴出するプレ洗浄噴射を行ない、少なくとも前記プレ洗浄噴射が終了するまでは、前記操作体からの操作を無効にする構成としたことを特徴とする。
【0009】
上述した洗浄便座装置では、使用者が便座部に着座している間は、前記操作体からの操作を無効にする構成とするのが好ましい。
【0010】
代わりに、使用者が便座部に着座している間に前記操作体を操作すると、使用者が前記便座部に着座していない場合と比べて、前記噴出装置からの洗浄液の噴出の仕方が異なるように構成してもよい。
【0011】
上述した洗浄便座装置では、前記操作体への操作の仕方を変えることで、前記噴出装置からの洗浄液の噴出の仕方が異なるように構成するのが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、使用者がトイレ室に入室したり、便蓋を開けたりするか否かに拘わらず、使用者が操作体を操作したときにだけ、噴出装置から便器内面に向けて洗浄液を噴出させる。これにより、便器内面への洗浄噴射の動作を使用者の意志により選択可能とすることで、必要のない洗浄噴射が動作されることなく、洗浄液の節約効果を見込める洗浄便座装置を提供できる。
【0013】
請求項2の発明によれば、噴出装置から便器内面に予め洗浄液を噴射するプレ洗浄噴射が終了するまでは、操作体からの操作を無効にするようにして、遠隔操作体への操作を限定的に受け付けることにより、必要のない洗浄噴射が動作されることなく、洗浄液の節約効果を見込める洗浄便座装置を提供できる。
【0014】
請求項3の発明によれば、使用者が便座部に着座している状態で操作体を操作しても、その操作を無効にして、噴出装置からの洗浄液が使用者に掛かるのを防止できる。
【0015】
請求項4の発明によれば、使用者が便座部に着座している状態で操作体を操作しても、使用者が便座部に着座していない場合と比べて、洗浄液の噴出の仕方を変えて、噴出装置からの洗浄液が使用者に掛かるのを防止できる。
【0016】
請求項5の発明によれば、操作体に対する操作の仕方を変えるだけで、噴出装置からの洗浄液の噴出の仕方を複数に切替えることができ、操作体の数を必要最小限に抑えた使い勝手の良い洗浄便座装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態において、洗浄便座装置の構成例を概略的に示す斜視図である。
図2】同、洗浄便座装置を底面側から見た斜視図である。
図3】同、リモコンの平面図及び正面図である。
図4】同、本体の電気的な構成例を示すブロック図である。
図5】同、リモコンの電気的な構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい洗浄便座装置の一実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1は、トイレ室S内の便器1周辺に設置される洗浄便座装置10の一構成例を示している。図2は、洗浄便座装置10の本体11を裏側(底面側)から見た斜視図である。これらの各図において、便器1は、汚物を受ける上面を開口した凹状のボウル部2を有し、このボウル部2が便器1の内面を形成する。洗浄便座装置10の本体11は、便器1の上部に設置される。この本体11とは別体で、トイレ室S内の例えば側壁には、洗浄便座装置10の遠隔操作体として略矩形状のリモコン12が着脱可能に配設される。本実施形態の洗浄便座装置10は、本体11とリモコン12とにより構成される。
【0020】
本体11は、本体主部となるケーシング13と、平面視O型の便座部14と、便座部14を覆う形状の便蓋15と、を主な構成要素とする。ケーシング13は、便器1の上面後部に取付け固定される本体固定プレート17と、この本体固定プレート17の上面を覆うカバー18と、により合成樹脂製の外郭部材が構成される。ケーシング13には、何れも合成樹脂製の便座部14と便蓋15が回動可能に取り付けられており、図1に示すように便蓋15を開けた状態で、便座部14を便器1側に倒すことで、使用者(図示せず)は便座部14に臀部を載せて着座することができる。使用者が便座部14に着座したのか否かは、ケーシング13の前部中央に設けられた着座センサ19により検知される。着座検知手段となる着座センサ19は、例えば使用者に非接触な赤外線センサにより構成される。
【0021】
便座部14の底部裏面には、便座部14を便器1側に倒したときに、便器1の上面に直接当接する凸状の便座脚部20が複数個間隔を開けて配設される。便座脚部20の一つには、上述した着座センサ19に代わって、着座検知手段となる機械式の着座スイッチを内蔵させてもよい。この場合、便座脚部20が便器1に当接して着座スイッチが押されるか否かによって、使用者が便座部14に着座したのか否かを検知できる。
【0022】
21は、ケーシング13の側部に設けられた本体操作部である。本体操作部21は、例えばおしりボタンやビデボタンなどの洗浄ボタンと、止ボタンを含む各種の操作ボタンを含み、これらの操作ボタンを介して使用者の操作が入力される。また22は、ケーシング13の上部に設けられた本体表示部である。本体表示部22は、例えば電源ランプや、脱臭ランプや、節電ランプや、便座ランプなどの表示ランプを含み、これらの表示ランプの表示形態により洗浄便座装置10の各部の動作状態を使用者に知らせるようになっている。ケーシング13の上部には、リモコン12からの赤外線信号を受信するリモコン受光部23が、本体表示部22と並んで配設される。
【0023】
ケーシング13の前方下部には、いわゆる可動式の洗浄ノズル25が設けられる。ノズル装置に相当する洗浄ノズル25は、本体11の前後方向に沿って直線的に延びる筒状をなしており、本体11の前後方向に沿って往復移動可能に配設される。洗浄ノズル25の先端部周面には、洗浄ノズル25を便座部14の下方から突出した位置に前進させたときに、便座部14に着座する使用者の局部に向けて洗浄液が無駄なく噴出するように、一個乃至複数個の噴出口(図示せず)が設けられる。また、ケーシング13の底部をなす本体固定プレート17には、洗浄ノズル25を便座部14の下方位置に後退させたときに、ケーシング13内に収容した洗浄ノズル25を保護するために、本体11の下方に向けて凸状のノズルガード26が一体に形成される。洗浄ノズル25の材料は、清潔性を維持するためにステンレス製とするのが好ましいが、それ以外の材料であっても構わない。また、本実施形態では何れも図示しないが、使用者の第1局部に洗浄液を噴出するおしり洗浄ノズルと、使用者の第1局部とは異なる第2局部に洗浄液を噴出するビデ洗浄ノズルと、により洗浄ノズル25が構成される。おしり洗浄ノズルとビデ洗浄ノズルは、同一軸または別々な軸に沿ってそれぞれが可動する。
【0024】
28は、洗浄ノズル25に近接してケーシング13の内部に設けられた噴出装置である。噴出装置28は、便器1のボウル部2に向けて洗浄液が噴出するように、ケーシング13の前方底部に一個乃至複数個の噴出口29が配設される。この噴出口29を保護するために、本体固定プレート17には、噴出口29を取り囲むように本体11の下方に向けて凸状のノズルガード31が一体に形成される。洗浄ノズル25や噴出装置28に水道水を供給するために、ケーシング13の後方側部には、トイレ室Sに予め設置された止水栓(図示せず)に連通する本体吸水口32が設けられる。洗浄ノズル25と噴出装置28は、本体吸水口32から供給される液体としての水道水をそのまま、若しくは水道水から生成された除菌水を洗浄液として噴出する。水道水から除菌水を生成するために、ケーシング13の内部に除菌装置(図示せず)をさらに組み込んでもよい。
【0025】
その他、ケーシング13には便器1内の臭気を低減除去するために、脱臭ユニット34が内蔵される。脱臭ユニット34は、便器1の上面に対向してケーシング13の前方底部に設けた吸込口35と、ケーシング13の後部に設けた排気口36との間の脱臭用通路(図示せず)に、脱臭フィルタ37と脱臭ファン38(図4を参照)をそれぞれ配設して構成される。脱臭フィルタ37は、排気口36に臨んでケーシング13の内部に着脱可能に設けられ、必要に応じて新しい脱臭フィルタ37に交換できる。脱臭ファン38は排気口36と脱臭フィルタ37との間に配設され、脱臭ファン38が動作している間は、便器1内の臭気を排気口36から吸い込んで脱臭フィルタ37へ強制的に送り出し、ここで臭気を取り除いて排気口36から臭気を低減した空気を排出させる。
【0026】
図3は、リモコン12の外観構成を示したものである。同図において、リモコン12は、その正面と上面に複数のボタン41-1~41-15を配置したリモコン操作部41と、リモコン12の正面に複数のランプ42-1~42-3を配置したリモコン表示部42と、をそれぞれ備えている。リモコン操作部41は、止ボタン41-1と、おしりボタン41-2と、ビデボタン41-3と、ムーブボタン41-4と、をリモコン12の正面上部に並べて配置し、ノズル位置調節用の前ボタン41-5及び後ボタン41-6と、水勢調節用の弱ボタン41-7及び強ボタン41-8と、温水温度調節ボタン41-9と、便座温度調節ボタン41-10と、をリモコン12の正面下部に並べて配置し、節電1ボタン41-11と、節電2ボタン41-12と、ミストボタン41-13と、脱臭ボタン41-14と、ノズル掃除ボタン41-15と、をリモコン12の上面に並べて配置して構成される。またリモコン表示部42は、複数個の水勢ランプ42-1を水勢調節ボタン41-7,41-8の上部に配置し、複数個の温水温度ランプ42-2を温水温度調節ボタン41-9の上部に配置し、複数個の便座温度ランプ42-3を便座温度調節ボタン41-10の上部に配置して構成される。なお、図3に示すリモコン操作部41やリモコン表示部42の配置構成は一例に過ぎず、洗浄便座装置10の仕様に応じて適宜変更、追加、削除が可能である。
【0027】
次に、洗浄便座装置10の制御系を含む電気的な構成例について説明する。図4は、本体11の電気的な構成例を示しており、図中の制御手段51は、例えば演算制御装置としてのマイクロコンピュータや、記録媒体となるメモリや、アナログ/デジタル変換用の入出力インターフェースなどを主体として構成され、ケーシング13の内部に実装して本体11の動作全般を制御する。制御手段51の入力ポートには、本体操作部21と、着座センサ19と、リモコン受光部23がそれぞれ電気的に接続され、制御手段51の出力ポートには、本体表示部22や脱臭ファン57の他に、温水ヒータ52と、便座ヒータ53と、給水ポンプ54と、切替弁55と、第1モータ部56がそれぞれ電気的に接続される。
【0028】
温水ヒータ52は、洗浄ノズル25に供給する水道水を温める液体加温手段に相当するもので、例えばケーシング13の内部で、洗浄ノズル25に通じる給水通路に線状ヒータを配置して構成される。便座ヒータ53は、便座部14を温める便座加温手段に相当するもので、例えば便座部14の内部で、金属製のシート部材に線状ヒータを蛇行状に配置して構成される。給水ポンプ54は、洗浄ノズル25や噴出装置28に供給する水道水を供給するための給液手段に相当するもので、例えばケーシング13の内部に組み込まれたモータを駆動源とする脈動ポンプにより構成される。切替弁55は、給水ポンプ54から送り出された水道水を、洗浄ノズル25(おしり洗浄ノズルまたはビデ洗浄ノズル)または噴出装置28の何れかに供給する切替手段に相当する。第1モータ部56は、本体11から洗浄ノズル25を所望の位置に移動させるための第1駆動機構に相当するもので、本実施形態では一乃至複数個のモータを駆動源として、おしり洗浄ノズルとビデ洗浄ノズルをそれぞれ所望の位置に移動させる構成となっている。
【0029】
なお、本実施形態の変形例として、制御手段51の入力ポートに蓋センサ58を電気的に接続し、制御手段51の出力ポートに第2モータ部59を電気的に接続してもよい。蓋センサ58は、便蓋15が開いたのを検知する蓋開検知手段として、便蓋15の軸部(図示せず)に配設され、便蓋15はこの軸部を中心として回動可能に設けられる。また第2モータ部59は、噴出装置28を所望の位置に移動させるための第2駆動機構に相当するもので、一個のモータを駆動源として、噴出装置28の特に噴出口29を所望の位置に移動させる構成となっている。
【0030】
制御手段51は、本体操作部21やリモコン受光部23からの各操作信号と、着座センサ19や変形例では蓋センサ58からの各検知信号に基づいて、本体表示部22に表示用の制御信号を出力し、また脱臭ファン38と、温水ヒータ52と、便座ヒータ53と、給水ポンプ54と、切替弁55と、第1モータ部56と、変形例では第2モータ部59に駆動用の制御信号をそれぞれ出力する機能を有する。こうした機能は、制御手段51が前述の記録媒体となるメモリに記録したプログラムを、演算制御装置で読み取ることにより実現するが、特に本実施形態では、制御手段51を加温制御部61と洗浄制御部62と脱臭制御部63として主に機能させるプログラムを備えている。
【0031】
加温制御部61は、洗浄便座装置10の加温手段となる温水ヒータ52や、便座ヒータ53の動作をそれぞれ制御するものである。具体的には加温制御部61は、通常モードで使用者が便座部14に着座したか否かに関係なく、洗浄ノズル25から噴出する洗浄液が、制御手段51のメモリに記憶設定される温水温度に加温されるように、温水ヒータ52へ適切な制御信号を送出し、それとは別に便座部14がメモリに記憶設定される便座温度に加温されるように、便座ヒータ53へ適切な制御信号を送出する。また加温制御部61は、リモコン操作部41の温水温度調節ボタン41-9が押動操作され、その操作信号がリモコン受光部23で受信されるたびに、メモリに記憶設定される温水温度を、「切」→「低」→「中」→「高」→「切」の順に段階的に調節変更し、リモコン操作部41の便座温度調節ボタン41-10が押動操作され、その操作信号がリモコン受光部23で受信されるたびに、メモリに記憶設定される便座温度を、「切」→「低」→「中」→「高」→「切」の順に段階的に調節変更する。ここで加温制御手段61は、温水温度調節ボタン41-9への手動操作で「切」状態、すなわちメモリに温水温度が設定記憶されない状態となった場合には、温水ヒータ52への通電を停止するようにし、洗浄ノズル25からの洗浄液の加温を停止させる。同様に、便座温度調節ボタン41-10への手動操作で「切」状態、すなわちメモリに便座温度が設定記憶されない状態となった場合には、便座ヒータ53への通電を停止するようにし、便座部14の加温を停止させる。
【0032】
その他に加温制御部61は、リモコン操作部41の節電1ボタン41-11が押動操作され、その操作信号がリモコン受光部23で受信されるたびに、便座ヒータ53の動作を上述した通常モードと節電第1モードの何れかに切替え、リモコン操作部41の節電2ボタン41-12が押動操作され、その操作信号がリモコン受光部23で受信されるたびに、便座ヒータ53の動作を上述した通常モードと節電第2モードの何れかに切替える機能を有する。加熱制御部61は、節電1ボタン41-11により節電第1モードが設定されると、温水温度調節ボタン41-9でメモリに記憶設定される通常の便座温度に関係なく、温水温度調節ボタン41-9で設定可能な通常のどの便座温度よりも低い節電用の便座温度を自動的に設定し、使用者が便座部14に着座したことを着座センサ19が検知すると、便座部14が設定された通常の便座温度となるまで便座ヒータ53を通電させるように、便座ヒータ53へ適切な制御信号を送出する一方で、使用者が便座部14から立ち上がるなどして、便座部14に着座していないことを着座センサ19が検知すると、便座部14が節電用の便座温度となるように、便座ヒータ53へ適切な制御信号を送出する。こうして節電第1モードでは、使用者が便座部14に着座していない場合に、便座部14が節電用の便座温度となるように便座ヒータ53の動作を制御することで、便座ヒータ53への通電時間を短くして節電効果を得ることができる。
【0033】
また加熱制御部61は、節電2ボタン41-12により節電第2モードが設定されると、節電第2モードを設定してから第1時間(例えば8時間)が経過するまでは、温水ヒータ52及び便座ヒータ53への通電を停止するようにし、第1時間が経過してから次の第2時間(例えば16時間)が経過するまでは、洗浄ノズル25から噴出する洗浄液が設定された温水温度となるように温水ヒータ52を通電させると共に、便座部14が設定された便座温度となるように便座ヒータ53を通電させ、それ以降は節電2ボタン41-12により節電第2モードから通常モードに設定が切替わるまで、第1時間の動作と第2時間の動作を繰り返す。但し、使用者が便座部14に着座したことを着座センサ19が検知すると、第1時間中であっても洗浄ノズル25から噴出する洗浄液が設定された温水温度となるように温水ヒータ52を通電させると共に、便座部14が設定された便座温度となるように便座ヒータ53を通電させる。これにより、例えば就寝前に節電第2モードを設定すると、夜間あまり使用しない時間帯に使用者が便座部14に着座しない限り、温水ヒータ52と便座ヒータ53への通電を停止させて、節電効果を得ることができる。
【0034】
洗浄制御部62は、洗浄便座装置10の洗浄手段となる給水ポンプ54や、切替弁55や、第1モータ部56や、変形例では第2モータ部57の動作をそれぞれ制御するものである。具体的には洗浄制御部62は、使用者が便座部14に着座しているのを着座センサ19が検知している期間中に、本体操作部21の止ボタンやおしりボタンやビデボタンと、リモコン操作部41の止ボタン41-1やおしりボタン41-2やビデボタン41-3からの操作入力を受け付け、この着座期間中に本体操作部21のおしりボタンや、リモコン操作部41のおしりボタン41-2が押動操作されると、洗浄ノズル25の中のおしり洗浄ノズルが、便座部14の下方の後退した位置から突出した位置に前進するように、第1モータ部56を動作させ、給水ポンプ54から送り出される洗浄液としての水道水をおしり洗浄ノズルに供給して、おしり洗浄ノズルの噴出口から設定した水勢(圧力)で使用者の第1局部に向けて水道水が噴出するように、給水ポンプ54と切替弁55の動作をそれぞれ制御する。また洗浄制御部62は、上述した着座期間中に本体操作部21のビデボタンや、リモコン操作部41のビデボタン41-3が押動操作されると、洗浄ノズル25の中のビデ洗浄ノズルが、便座部14の下方の後退した位置から突出した位置に前進するように、第1モータ部56を動作させ、給水ポンプ54から送り出される水道水をビデ洗浄ノズルに供給して、ビデ洗浄ノズルの噴出口から設定した水勢で使用者の第2局部に向けて水道水が噴出するように、給水ポンプ54と切替弁55の動作をそれぞれ制御する。さらに洗浄制御部62は、使用者が便座部14に着座した状態で、おしり洗浄ノズルから噴出する水道水により使用者の第1局部を洗浄しているおしり洗浄中や、ビデ洗浄ノズルから噴出する水道水により使用者の第2局部を洗浄しているビデ洗浄中に、本体操作部21の止ボタンや、リモコン操作部41の止ボタン41-1が押動操作されると、おしり洗浄ノズルやビデ洗浄ノズルからの水道水の噴出が停止するように、給水ポンプ54の動作を停止させ、おしり洗浄ノズルやビデ洗浄ノズルが後退した位置に戻るように、第1モータ部56の動作を制御する。
【0035】
洗浄制御部62は上述したおしり洗浄中やビデ洗浄中に、リモコン操作部41のムーブボタン41-4や、前ボタン41-5や、後ボタン41-6からの操作入力を受け付ける。例えば、おしり洗浄中にムーブボタン41-4が押動操作されると、洗浄制御部62はおしり洗浄ノズルが所定の範囲で前後に連続して移動するムーブ洗浄を行なうように、第1モータ部56の動作を制御する。同様に、ビデ洗浄中にムーブボタン41-4が押動操作されると、洗浄制御部62はビデ洗浄ノズルが所定の範囲で前後に連続して移動するムーブ洗浄を行なうように、第1モータ部56の動作を制御する。これにより、使用者の第1局部や第2局部を広範囲に洗浄することができる。
【0036】
また、おしり洗浄中に前ボタン41-5が押動操作されると、洗浄制御部62はおしり洗浄ノズルの位置をそれまでよりも前方に移動させるように、第1モータ部56の動作を制御し、おしり洗浄中に後ボタン41-6が押動操作されると、洗浄制御部62はおしり洗浄ノズルの位置をそれまでよりも後方に移動させるように、第1モータ部56の動作を制御する。同様に、ビデ洗浄中に前ボタン41-5が押動操作されると、洗浄制御部62はビデ洗浄ノズルの位置をそれまでよりも前方に移動させるように、第1モータ部56の動作を制御し、ビデ洗浄中に後ボタン41-6が押動操作されると、洗浄制御部62はビデ洗浄ノズルの位置をそれまでよりも後方に移動させるように、第1モータ部56の動作を制御する。これにより、使用者の第1局部や第2局部をピンポイントで洗浄することができる。
【0037】
さらに洗浄制御部62は、使用者が便座部14に着座したか否かに関係なく、リモコン操作部41の弱ボタン41-7や、強ボタン41-8や、ノズル掃除ボタン41-15からの操作入力を受け付ける。例えば、洗浄制御部62は水勢調節用の弱ボタン41-7が押動操作されると、おしり洗浄やビデ洗浄で洗浄ノズル25から噴出する水道水の水勢について、それまでよりも弱く水勢を設定し直す一方で、水勢調節用の強ボタン41-8が押動操作されると、それまでよりも強く水勢を設定し直す。この設定は、おしり洗浄中やビデ洗浄中でなくても可能であり、使用者に対し好みの水勢でおしり洗浄やビデ洗浄を行なうことができる。また、洗浄制御部62はノズル掃除ボタン41-15が押動操作されたのを受けて、洗浄ノズル25の噴出口から噴出する水道水により洗浄ノズル25を洗浄しながら、洗浄ノズル25を便座部14の下方の後退位置から所定の位置まで前進させるように、給水ポンプ54と切替弁55と第1モータ部56の動作をそれぞれ制御する。これにより、洗浄便座装置10の清掃時に洗浄ノズル25を水道水で洗浄しつつ、所定の位置まで前進させた洗浄ノズル25を拭いたり、本体11から外した洗浄ノズル25をお手入れしたりすることが可能になる。
【0038】
本実施形態において洗浄制御部62は、使用者が便蓋15を開けたか否かに関係なく、また使用者が便座部14に着座したか否かに関係なく、リモコン操作部41のミストボタン41-13からの操作入力を受け付けて、そのミストボタン41-13が押動操作されると、給水ポンプ54から送り出される水道水を噴出装置28に供給し、その噴出口29から便器1のボウル部2に向けて洗浄液となる水道水を一定時間噴霧して、ボウル部2の内面を濡らすように、給水ポンプ54と切替弁55の動作をそれぞれ制御する。洗浄制御部62は、使用者がトイレ室Sに入室したり、便蓋15を開けたり、便座部14に着座したりするか否かに拘わらず、リモコン操作部41のミストボタン41-13が押動操作されたときに、噴出装置28から便器1のボウル部2内面に向けて、ミスト状の洗浄液を噴出させるプレ洗浄噴射を含めた便器1への洗浄噴射機能を備えている。ここでは、本体11とは別体のリモコン12を利用し、そのリモコン12に操作体として設けたミストボタン41-13からの操作入力だけを洗浄制御部62が受け付けて、噴出装置28から便器1への洗浄噴射を行なう構成となっており、従来の便蓋15を開く動作をトリガーとするための蓋センサを不要にできる。
【0039】
また、変形例として蓋センサ58を備えた洗浄便座装置10では、洗浄制御部62が、上述したリモコン操作部41のミストボタン41-13からの操作入力に加えて、便蓋15が閉状態から開いたときの蓋センサ58からの検知信号を受け付ける。この場合、使用者が便器1を使用するのに便蓋15を開けると、蓋センサ58からの検知信号を受けて、洗浄制御部62が給水ポンプ54と切替弁55の動作をそれぞれ制御し、噴出装置28の噴出口29から便器1のボウル部2に向けて、洗浄液となる水道水を一定時間噴霧するプレ洗浄噴射を行なわせる。洗浄制御部62は、少なくともプレ洗浄噴射が開始してから終了するまでの間に、ミストボタン41-13が押動操作されても、そこからの操作入力を受け付けずに無効とし、便器1に向けての必要のない洗浄噴射を抑制する。その一方で洗浄制御部62は、プレ洗浄噴射が終了して、使用者がボウル部2の内面に付着した汚れを確認できる程度の一定の時間が経過した後に、ミストボタン41-13が押動操作されたら、今度は蓋センサ58からの検知出力に関係なく、ミストボタン41-13からの操作入力を受け付けて、便器1に向けての追加の洗浄噴射を行なえるようにする。
【0040】
本変形例では、蓋センサ58に代えて、使用者がトイレ室Sに入室したのを検知する赤外線センサなどの人体検知手段を用いてもよい。この場合も、人体検知手段が使用者の存在を検知すると、噴出装置28から便器1のボウル部2に向けて洗浄液を噴出するプレ洗浄噴射を行ない、少なくともプレ洗浄噴射が開始して終了するまでの間は、ミストボタン41-13が押動操作されても、そこからの操作入力を受け付けずに無効にする。そして、プレ洗浄噴射が終了して一定時間が経過した後には、洗浄制御部62が蓋センサ58からの検知出力に関係なく、ミストボタン41-13からの操作入力を受け付けて、便器1に向けての追加の洗浄噴射を行なえる構成にする。
【0041】
そして、上述した蓋センサ58や人体検知手段を備えているか否かに関係なく、使用者が便座部14に着座しているのを着座センサ19が検知している間は、洗浄制御部62がミストボタン41-13からの操作を無効にして、噴出装置28からの霧状化された水道水が使用者に掛かるのを防止する構成となっている。
【0042】
別な変形例として、本体11に対して噴出装置28を移動可能にする第2モータ部59を備えた洗浄便座装置10では、使用者が便座部14に着座している間に、洗浄制御部62がミストボタン41-13からの操作を無効にするのではなく、ミストボタン41-13が操作されたらこれを受け付けて、使用者が便座部14に着座していない場合と比べて別な方向に洗浄液が噴射されるように、第2モータ部59の動作を制御する構成としてもよい。それに加えて、若しくはその代わりに、使用者が便座部14に着座している間に、ミストボタン41-13が操作されたら、便座部14に着座していない場合と比べて洗浄液の水勢が弱くなるように、給水ポンプ54の動作を制御する構成としてもよい。いずれの場合も、使用者が便座部14に着座している間にミストボタン41-13が操作されると、使用者が便座部14に着座していない場合と比べて洗浄液の噴出の仕方が異なるような噴出装置28を構成することで、噴出装置28から使用者に洗浄液が掛かるのを防止できる。
【0043】
脱臭制御部63は、脱臭ユニット34に組込まれた脱臭ファン38の動作を制御するものである。具体的には洗浄制御部63は、使用者が便座部14に着座したことを着座センサ19が検知すると、便器1内からの臭気を取り除くために脱臭ファン38の動作を開始させ、その後に使用者が便座部14に着座していないことを着座センサ19が検知すると、所定時間(例えば1分)が経過した後に脱臭ファン38の動作を停止させる。
【0044】
制御手段51は、洗浄便座装置10の動作状態を使用者に目視で知らせるために、必要に応じて本体表示部22に表示用の制御信号を送出する。例えば、制御手段51を含む各部に所定の動作電圧が供給されると、制御手段51は本体表示部22の電源ランプを点灯表示させ、加温制御部61が便座ヒータ53の動作を制御して便座部14を加温させると、制御手段51は本体表示部22の便座ランプを点灯表示させる。また、加温制御部61により節電第1モードや節電第2モードが設定されている場合には、制御手段51がその旨を本体表示部22の節電ランプに点灯表示させ、脱臭制御部63による脱臭ファン38への動作の制御が可能になると、本体表示部22の脱臭ランプを点灯表示させる。その他、制御手段51は本体11に何らかの異常が発生した場合に、本体表示部22のランプを点滅表示させる構成となっている。
【0045】
図5は、リモコン12の電気的な構成例を示しており、図中の制御手段61は、例えば演算制御装置としてのマイクロコンピュータや、記録媒体となるメモリや、アナログ/デジタル変換用の入出力インターフェースなどを主体として構成され、リモコン12の内部に実装してリモコン12の動作全般を制御する。制御手段61の入力ポートには、リモコン操作部41が電気的に接続され、制御手段51の出力ポートには、リモコン表示部42の他に、リモコン送信部62が電気的に接続される。
【0046】
制御手段61は、リモコン操作部41からの各操作信号に基づいて、リモコン表示部42に表示用の制御信号を出力し、リモコン送信部62に各操作信号に対応した送信用の制御信号を出力する機能を有する。こうした機能は、制御手段61が前述の記録媒体となるメモリに記録したプログラムを、演算制御装置で読み取ることにより実現するが、特に本実施形態では、制御手段61をリモコン制御部63として主に機能させるプログラムを備えている。リモコン制御部63は、リモコン操作部41の中で何らかのボタン41-1~41-15が押動操作されると、そこからの操作信号を受けて送信用の制御信号をリモコン送信部62に送出する。リモコン送信部62は、リモコン制御部63からの制御信号に対応した送信信号を送信し、これをリモコン受光部23で受信した本体11側の制御手段51が、リモコン操作部41の中でどのボタン41-1~41-15が操作されたのかを特定する構成となっている。
【0047】
次に、上記構成の洗浄便座装置10について、特に便器1への洗浄噴射に関する動作を詳しく説明する。なお、使用者が便器1を使用する前には、便器1側に倒された便座部14に上面と、便器1のボウル部2の上面開口を覆うように、便蓋15が閉じているものとする。
【0048】
蓋センサ58を設けていない本実施形態の洗浄便座装置10では、使用者がトイレ室Sに入り、便器1を使用するために便蓋15を開ける。続いて使用者が便座部14に着座し、これをケーシング13に備えた着座センサ19で検知すると、脱臭制御部63が脱臭ファン38の動作を自動的に開始させて、便器1内からの臭気を取り除く。使用者が便座部14に着座したまま、リモコン操作部41のおしりボタン41-2やビデボタン41-3、若しくは本体操作部21のおしりボタンやビデボタンを押動操作すると、洗浄制御部62が給水ポンプ54や切替弁55や第1モータ部56の動作を制御して、洗浄ノズル25を便座部14の下方の後退した位置から突出した位置に前進させ、また洗浄ノズル25の噴出口から予め設定された水勢で、使用者に向けて洗浄液となる水道水を噴出させて、使用者の局部を洗浄する。その後に、使用者がリモコン操作部41の止ボタン41-1、若しくは本体操作部21の止ボタンを押動操作すると、洗浄制御部62により給水ポンプ54の動作を停止させて、洗浄ノズル25からの水道水の噴出を停止させ、第1モータ部56の動作を制御して、洗浄ノズル25を元の後退した位置に戻す。使用者が便座部14から立ち上がって離れたのを着座センサ19で検知すると、脱臭制御部63が所定時間後に脱臭ファン38の動作を停止させる。
【0049】
上述した使用者が便器1を使用する一連の動作では、使用者がリモコン操作部41のミストボタン41-14への操作を行なわない限り、つまり使用者の意志で便器1に向けての洗浄噴射を必要としない限り、噴出装置28が不必要に動作せず、噴出装置28からの洗浄液となる水道水が無駄に噴射されない。逆に言えば、使用者がトイレ室Sに入室したり、便蓋15を開けたりするか否かに関係なく、使用者の意志でミストボタン41-13を操作したときにだけ、洗浄制御部62が給水ポンプ54と切替弁55の動作をそれぞれ制御して、噴出装置28から便器1に向けて水道水がミスト状に噴射され、洗浄便座装置10として洗浄液の節約効果が見込める。しかも、このミストボタン41-13は、本体11と別に備えたリモコン12に設けられているので、使用者が便座部14に着座する前に、リモコン操作部41のミストボタン41-13を容易に操作して、噴出装置28からの洗浄液により便器1を予め濡らすことができ、蓋センサ58をわざわざ設けなくても、使用者がミストボタン41-13を操作することで、便器1内面の便剥がれが良好になる。
【0050】
一方、蓋センサ58を設けた変形例の洗浄便座装置10では、使用者が便器1を使用する前に便蓋15を開けたときの動作をトリガーとして、洗浄制御部62が蓋センサ58からの検知信号により給水ポンプ54と切替弁55の動作をそれぞれ制御し、噴出装置28の噴出口29から便器1に向けて、洗浄液となる水道水がミスト状に一定時間噴射される。この便器1へのプレ洗浄噴射の最中に、使用者がリモコン操作部41のミストボタン41-13を操作しても、洗浄制御部62はミストボタン41-13からの操作入力を受け付けずに無効とし、便器1に向けての必要のない洗浄噴射を抑制する。その一方で洗浄制御部62は、プレ洗浄噴射が終了して一定の時間が経過したら、ミストボタン41-13からの操作入力を受け付けて、使用者がプレ洗浄噴射後に便器1内面の汚れを確認できた後であれば、便器1に向けて追加の洗浄噴射を行なえるようにする。
【0051】
また蓋センサ58の代わりに、特許文献1に開示されるような人体検知センサを備えた洗浄便座装置10であっても、使用者がトイレ室Sに入った時の動作を人体検知センサが検知したのを受けて、洗浄制御部62が噴出装置28の噴出口29から便器1に向けて、ミスト状の水道水を一定時間噴射させるプレ洗浄噴射を行なっている最中は、ミストボタン41-13からの操作入力を受け付けずに無効とし、プレ洗浄噴射が終了して一定の時間が経過したら、ミストボタン41-13からの操作入力を受け付ける。こうして、蓋センサ58や人体検知センサを設けた場合には、ミストボタン41-14への操作を限定的に受け付けることにより、必要のない洗浄噴射が動作されることなく、洗浄便座装置10として洗浄液の節約効果が見込める。
【0052】
上述した蓋センサ58や人体検知センサの有無に関係なく、少なくとも使用者が便座部14に着座している間は、洗浄制御部62が着座センサ19からの検知信号を受けて、リモコン操作部41のミストボタン41-13からの操作入力を受け付けずに無効にする。これにより、噴出装置28からの霧状化された水道水が使用者に掛かるのを防止できる。また変形例として、第2モータ部59により本体11に対して噴出装置28を移動できる構成の洗浄便座装置10では、使用者が便座部14に着座している間にミストボタン41-13が操作されたら、洗浄制御部62が第2モータ部59の動作を制御して、使用者が便座部14に着座していない場合とは別な方向にミスト状の水道水を噴射させてもよい。さらに、使用者が便座部14に着座している間にミストボタン41-13が操作されたら、洗浄制御部62が給水ポンプ54の動作を制御して、便座部14に着座していない場合よりも噴出装置28から噴射される水道水の水勢を弱くさせてもよい。これらの場合にも、噴出装置28からの霧状化された水道水が使用者に掛かるのを防止できる。
【0053】
洗浄制御部62がミストボタン41-13からの操作入力を受け付ける場合、何れも給水ポンプ54の動作を制御して、例えばミストボタン41-13を押し続ける時間が長くなる程、噴出装置28から噴射される水道水の水勢が強くなるようにしたり、ミストボタン41-13を一定時間未満の短い時間だけ押動操作した場合には、予め設定された時間だけ噴出装置28から水道水を噴射させ、ミストボタン41-13を一定時間以上の長い時間押動操作した場合には、ミストボタン41-13を押し続けた時間に比例して、予め設定された時間よりも長く、噴出装置28から水道水を噴射させ続けたりしてもよい。このように、使用者がミストボタン41-13への操作の仕方を変えることで、噴出装置28からの洗浄液の噴出の仕方が異なるように、噴出装置28が例えば給水ポンプ54などの動作を制御すれば、一つのミストボタン41-13で噴出装置28からの洗浄液の噴出の仕方を様々に切替えることが可能になる。
【0054】
以上のように、本実施形態の洗浄便座装置10は、使用者の局部に洗浄液を噴出するためのノズル装置となる洗浄ノズル25と、便器1を濡らすための洗浄液を噴出する噴出装置28と、を便器1に装着される本体11に備え、本体11と別に備えた遠隔操作部となるリモコン12に、噴出装置28を動作させるための操作体としてミストボタン41-13を設け、使用者が便器1を設置したトイレ室Sに入ったり、本体11に設けられた便蓋15を開けたりしても、噴出装置28からは洗浄液が噴出せず、リモコン12に備えたミストボタン41-13を操作したときにだけ、噴出装置28から洗浄液が噴出するように構成されている。
【0055】
そのため、本体11と別に備えたリモコン12に、噴出装置28を動作させるミストボタン41-13を設けることで、使用者が便座部14に着座する前の操作が容易になり、このミストボタン41-13を操作して、噴出装置28からの洗浄液により便器1を予め濡らすことで、便器1のボウル部2内面の便剥がれが良くなる。また、使用者がトイレ室Sに入室したり、便蓋15を開けたりするか否かに拘わらず、使用者がミストボタン41-13を操作したときにだけ、噴出装置28から便器1のボウル部2内面に向けて洗浄液を噴出させるので、便器1のボウル部2内面への洗浄噴射の動作を使用者の意志により選択可能とすることで、必要のない洗浄噴射が動作されることなく、洗浄液の節約効果を見込める洗浄便座装置10を提供できる。
【0056】
また変形例として、上述の洗浄ノズル25と、噴出装置28と、リモコン12に操作体としてミストボタン41-13とを備え、人体検知手段により本体11の周辺で使用者の存在を検知するか、或いは蓋センサ58により便器1の上面を覆う便蓋15が開いたのを検知すると、使用者が便器1を使用する前に噴出装置28から洗浄液を噴出するプレ洗浄噴射を行ない、少なくともプレ洗浄噴射が終了するまでは、ミストボタン41-13からの操作を無効にして噴出装置28からの洗浄液の噴出を行なわないように、洗浄便座装置10を構成してもよい。
【0057】
この場合、噴出装置28から便器1のボウル部2内面に予め洗浄液を噴射するプレ洗浄噴射が終了するまでは、ミストボタン41-13からの操作を受け付けずに無効にするようにして、リモコン12への操作を限定的に受け付けることにより、噴出装置28による必要のない洗浄噴射が動作されることなく、洗浄液の節約効果を見込める洗浄便座装置10を提供できる。
【0058】
上述の洗浄便座装置10では、使用者が便座部14に存在するか否かを検知する着座検知手段として着座センサ19をさらに備え、使用者が便座部14に着座しているのを着座センサ19が検知している間は、ミストボタン41-13からの操作を無効にして噴出装置28からの洗浄液の噴出を行なわないように構成される。
【0059】
この場合、使用者が便座部14に着座している状態でミストボタン41-13を操作しても、その操作を受け付けずに無効にして、噴出装置28からの霧状化された洗浄液が使用者に掛かるのを防止できる。
【0060】
また代わりに、使用者が便座部14に着座している間にミストボタン41-13を操作すると、使用者が便座部14に着座していない場合と比べて、噴出装置28からの洗浄液の噴出の仕方が異なるように構成してもよい。
【0061】
この場合、使用者が便座部14に着座している状態でミストボタン41-13を操作しても、使用者が便座部14に着座していない場合と比べて、洗浄液の噴出の仕方を変えることで、噴出装置28からの霧状化された洗浄液が使用者に掛かるのを防止できる。
【0062】
さらに、上述の洗浄便座装置10では、ミストボタン41-13への操作の仕方を変えることで、噴出装置28からの洗浄液の噴出の仕方が異なるように構成する。
【0063】
これにより、一つのミストボタン41-13に対する操作の仕方を変えるだけで、噴出装置28からの洗浄液の噴出の仕方を複数に切替えることができ、噴出装置28を動作させる操作体の数を必要最小限に抑えた使い勝手の良い洗浄便座装置10を提供できる。
【0064】
以上、本発明は上記実施形態やその変形例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更可能である。噴出装置28を動作させる操作体として、本実施形態では押釦式のミストボタン41-13をリモコン12に設けているが、その操作形態は限定されない。例えば、液晶表示装置の表面に設けた透明なタッチパネルにより、ミストボタン41-13に代わる操作体を構成し、使用者がタッチパネルへのタッチ操作の仕方を変えることで、噴出装置28からの洗浄液の噴出の仕方を変化させてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 便器
10 洗浄便座装置
11 本体
12 リモコン(遠隔操作部)
15 便蓋
19 着座センサ(着座検知手段)
25 洗浄ノズル(ノズル装置)
28 噴出装置
41-13 ミストボタン(操作体)
図1
図2
図3
図4
図5