(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171248
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】乾燥器
(51)【国際特許分類】
F26B 21/02 20060101AFI20221104BHJP
F26B 3/04 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
F26B21/02
F26B3/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021077795
(22)【出願日】2021-04-30
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 哲也
(72)【発明者】
【氏名】藤井 慎二
(72)【発明者】
【氏名】山崎 崇文
(72)【発明者】
【氏名】藤田 将広
【テーマコード(参考)】
3L113
【Fターム(参考)】
3L113AA01
3L113AB02
3L113AC08
3L113AC48
3L113AC52
3L113AC67
3L113BA39
3L113CA09
3L113CA11
3L113CB05
3L113CB23
3L113DA24
(57)【要約】
【課題】乾燥庫から排出される空気の流量を高精度に管理すること。
【解決手段】乾燥器は、外気取入ダクト及び内気排出ダクトを有する乾燥庫と、吐出口及び吸込口を有し、乾燥庫の内部で空気を循環させる送風機と、吐出口から吐出される空気を加熱するヒータと、内気排出ダクトに配置され、乾燥庫から排出される空気が通過する開口を有するオリフィスと、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外気取入ダクト及び内気排出ダクトを有する乾燥庫と、
吐出口及び吸込口を有し、前記乾燥庫の内部で空気を循環させる送風機と、
前記吐出口から吐出される空気を加熱するヒータと、
前記内気排出ダクトに配置され、前記乾燥庫から排出される空気が通過する開口を有するオリフィスと、を備える、
乾燥器。
【請求項2】
前記オリフィスは、前記開口の大きさを変更可能な可変オリフィスを含む、
請求項1に記載の乾燥器。
【請求項3】
前記乾燥庫の内部の相対湿度を検出する湿度センサと、
前記湿度センサの検出値に基づいて、前記開口の大きさを調整するオリフィス制御部と、を備える、
請求項2に記載の乾燥器。
【請求項4】
前記乾燥庫の内部に配置され、前記外気取入ダクトの外気取入口及び前記吸込口のそれぞれが接続される吸気空間を有する吸気ボックスを備え、
前記吸気ボックスは、前記送風機により循環する空気を前記吸気空間に取り入れる循環空気取入口を有し、
前記湿度センサは、前記循環空気取入口に配置される、
請求項3に記載の乾燥器。
【請求項5】
前記循環空気取入口は、前記外気取入口よりも下方に配置される、
請求項4に記載の乾燥器。
【請求項6】
前記吐出口から吐出される空気を設定流量に制御する送風機制御部と、
前記ヒータを設定温度に制御するヒータ制御部と、を備え、
前記乾燥庫の空気の循環率が85%以上95%以下になるように、前記オリフィスの開口の大きさが定められる、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の乾燥器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、乾燥器に関する。
【背景技術】
【0002】
乾燥器に係る技術分野において、特許文献1に開示されているような乾燥器が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
乾燥庫の内部の空気の一部は、乾燥庫の外部に排出される。乾燥庫の内部の環境を適正に維持するためには、乾燥庫から排出される空気の流量を高精度に管理する必要がある。
【0005】
本開示は、乾燥庫から排出される空気の流量を高精度に管理することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従えば、外気取入ダクト及び内気排出ダクトを有する乾燥庫と、吐出口及び吸込口を有し、乾燥庫の内部で空気を循環させる送風機と、吐出口から吐出される空気を加熱するヒータと、内気排出ダクトに配置され、乾燥庫から排出される空気が通過する開口を有するオリフィスと、を備える、乾燥器が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、乾燥庫から排出される空気の流量が高精度に管理される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る乾燥器を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るフレンチドアが開けられた状態の乾燥器を示す正面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る乾燥器を示す断面図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る乾燥器を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る乾燥時間と乾燥対象の湿球温度とヒータのヒータ容量との関係を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る乾燥時間と乾燥庫の空気の循環率とヒータのヒータ容量との関係を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る乾燥庫の空気の循環率と乾燥器の消費電力量との関係を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る乾燥庫を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る吸気ボックスを示す斜視図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係るシール部材を示す断面図である。
【
図11】
図11は、実施形態の変形例に係るオリフィスを示す図である。
【
図12】
図12は、実施形態の変形例に係る乾燥器を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示は実施形態に限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
実施形態においては、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、及び「下」の用語を用いて各部の位置関係について説明する。これらの用語は、乾燥器1の中心を基準とした相対位置又は方向を示す。
【0011】
[乾燥器]
図1は、実施形態に係る乾燥器1を示す斜視図である。乾燥器1は、乾燥対象Sを乾燥する。乾燥対象Sとして、医療器具が例示される。医療器具として、メス、鉗子、及びチューブが例示される。乾燥対象Sは、液体により洗浄された後、乾燥器1により乾燥される。
【0012】
図1に示すように、乾燥器1は、乾燥庫2と、入力装置3とを備える。
【0013】
乾燥庫2は、乾燥対象Sを収容する。乾燥対象Sは、乾燥庫2の内部に配置される。乾燥庫2は、乾燥庫本体4及びフレンチドア5を含む。
【0014】
乾燥庫本体4は、ボックス状である。乾燥庫本体4の前部に出入口が設けられる。フレンチドア5は、乾燥庫本体4の出入口を閉鎖する。フレンチドア5が開けられることにより、乾燥庫本体4の出入口が開放される。乾燥器1のユーザは、フレンチドア5を開けることにより、乾燥庫本体4の出入口を介して、乾燥庫2の内部に乾燥対象Sを入れたり、乾燥庫2の内部から乾燥対象Sを出したりすることができる。
【0015】
フレンチドア5は、一組のドアパネル6を含む。一組のドアパネル6は、観音開き方式で開閉する。一組のドアパネル6は、左側ドアパネル6Lと、右側ドアパネル6Rとを含む。左側ドアパネル6Lと右側ドアパネル6Rとは、左右方向に配置される。左側ドアパネル6Lの左端部は、ヒンジを介して乾燥庫本体4の前部の左端部に連結される。右側ドアパネル6Rの右端部は、ヒンジを介して乾燥庫本体4の前部の右端部に連結される。ヒンジの回動軸は、上下方向に延伸する。ドアパネル6の前面にハンドル7が設けられる。乾燥器1のユーザは、ハンドル7を握って、ドアパネル6を開閉することができる。
【0016】
ドアパネル6は、窓部8を有する。ドアパネル6の一部に開口が設けられる。窓部8は、ドアパネル6の開口に配置された透明板を含む。透明板として、透明なガラス板又は透明な樹脂板が例示される。実施形態において、窓部8は、上下方向に長い。乾燥器1のユーザは、フレンチドア5が閉じられた状態で、窓部8を介して乾燥庫2の内部を視認することができる。
【0017】
一組のドアパネル6のそれぞれにシール部材9が設けられる。シール部材9は、一組設けられる。シール部材9は、左側ドアパネル6Lと右側ドアパネル6Rとの境界に設けられる。シール部材9は、左側ドアパネル6Lに固定される左側シール部材9Lと、右側ドアパネル6Rに固定される右側シール部材9Rとを含む。左側シール部材9Lは、左側ドアパネル6Lの右端部に設けられる。右側シール部材9Rは、右側ドアパネル6Rの左端部に設けられる。シール部材9は、上下方向に長い。フレンチドア5が閉じられたときに、左側シール部材9Lと右側シール部材9Rとが接触する。
【0018】
図2は、実施形態に係るフレンチドア5が開けられた状態の乾燥器1を示す正面図である。
図3は、実施形態に係る乾燥器1を示す断面図である。
【0019】
図1、
図2、及び
図3に示すように、乾燥器1は、乾燥庫2と、吸気ボックス10と、上部ボックス11と、棚12と、保持機構13と、送風機14と、ヒータ15と、温度センサ16と、湿度センサ17とを備える。
【0020】
吸気ボックス10は、乾燥庫2の内部に配置される。吸気ボックス10は、乾燥庫2の下部に配置される。実施形態において、吸気ボックス10は、乾燥庫本体4の床面に配置される。吸気ボックス10は、送風機14を収容する。ドアパネル6は、吸気ボックス10よりも前方に配置される。
【0021】
上部ボックス11は、乾燥庫2の内部に配置される。上部ボックス11は、乾燥庫2の上部に配置される。実施形態において、上部ボックス11は、ガイド部材18に支持される。ガイド部材18は、乾燥庫本体4の内部に設けられる。ガイド部材18は、上部ボックス11を前後方向にガイドする。上部ボックス11の底板19にハンドル20が設けられる。乾燥器1のユーザは、ハンドル20を握って、上部ボックス11を前後方向に移動することができる。
【0022】
棚12は、乾燥庫2の内部に配置される。棚12は、乾燥対象Sを支持する。乾燥対象Sは、棚12に載置される。棚12の少なくとも一部に通気口が設けられる。空気は、棚12の通気口を通過することができる。
【0023】
保持機構13は、上部ボックス11に設けられる。保持機構13は、乾燥対象Sを保持する。保持機構13に保持される乾燥対象Sとして、チューブが例示される。底板19の上部に合成樹脂製のシート21が配置される。シート21に十字状の切込みが形成される。上部ボックス11の底板19は、複数の開口22を有する。シート21は、シート21の切込みと開口22とが一致するように、底板19の上面に配置される。保持機構13は、シート21の切込みを含む。乾燥対象Sの上端部が底板19の下方から開口22を介してシート21の切込みに挿入される。シート21の弾性力により、乾燥対象Sは、シート21に保持される。乾燥対象Sは、保持機構13に保持されることにより、底板19からぶら下がるように配置される。
【0024】
送風機14は、乾燥庫2の内部に配置される。送風機14は、乾燥庫2の内部で空気を循環させる。送風機14は、空気を吐出する吐出口23と、空気を吸い込む吸込口24とを有する。送風機14は、電力により駆動する電気機器である。送風機14は、電動モータと、電動モータにより回転するファンとを有する。
【0025】
送風機14は、乾燥庫2の下部に配置される。送風機14は、吸気ボックス10に収容される。吸気ボックス10は、送風機14により乾燥庫2の内部を循環する空気を取り入れる循環空気取入口25を有する。
【0026】
ヒータ15は、吐出口23から吐出される空気を加熱する。ヒータ15は、電力により駆動する電気機器である。ヒータ15は、電気ヒータを含む。ヒータ15の駆動により、乾燥庫2の内部を循環する空気が加熱される。
【0027】
温度センサ16は、乾燥庫2の内部を循環する空気の温度を検出する。
【0028】
湿度センサ17は、乾燥庫2の内部の相対湿度を検出する。
【0029】
乾燥庫2は、循環ダクト26と、外気取入ダクト27と、内気排出ダクト28を有する。
【0030】
循環ダクト26は、乾燥庫本体4の右側に配置される。循環ダクト26は、吸気ボックス10及び上部ボックス11よりも右方に配置される。循環ダクト26の上部は、上部ボックス11に隣接する。循環ダクト26の下部は、吸気ボックス10に隣接する。
【0031】
循環ダクト26は、ダクト空間101を有する。ダクト空間101は、循環ダクト26の流路を含む。上部ボックス11は、ボックス空間102を有する。ボックス空間102は、上部ボックス11の内側の空間を含む。乾燥庫本体4は、収容空間103を有する。収容空間103は、乾燥庫本体4の内側の空間を含む。収容空間103は、ボックス空間102の下方に設けられる。吸気ボックス10は、吸気空間104を有する。吸気空間104は、吸気ボックス10の内側の空間を含む。実施形態において、吸気空間104は、右側ドアパネル6Rと吸気ボックス10との間に形成される。
【0032】
ダクト空間101の上部は、ボックス空間102に接続される。ボックス空間102は、開口22を介して収容空間103の上部に接続される。収容空間103の下部は、循環空気取入口25を介して吸気空間104に接続される。吸気空間104は、ダクト空間101の下部に接続される。
【0033】
乾燥庫2の内部の空間は、ダクト空間101、ボックス空間102、収容空間103、及び吸気空間104を含む。送風機14の駆動により、空気は、ダクト空間101、ボックス空間102、収容空間103、吸気空間104、及び送風機14を含む循環経路100において循環する。
【0034】
外気取入ダクト27は、乾燥庫2の外気を乾燥庫2の内部に取り入れる。乾燥庫2の外気とは、乾燥庫2の外部の空気をいう。外気取入ダクト27は、乾燥庫2の外気を乾燥庫2の内部に取り入れる外気取入口29を含む。実施形態において、外気取入口29は、ドアパネル6に配置される金属板29Pに形成される。金属板29Pとして、ステンレス鋼の板が例示される。
【0035】
外気取入口29を含む外気取入ダクト27は、ドアパネル6に設けられる。実施形態において、外気取入ダクト27は、右側ドアパネル6Rに設けられる。右側ドアパネル6Rにおいて、外気取入ダクト27は、窓部8よりも下方に設けられる。外気取入口29は、吸気空間104に接続される。外気は、外気取入口29を介して乾燥庫2の内部に取り入れられる。
【0036】
実施形態において、フィルタ30が吸気ボックス10の吸気空間104に配置される。フィルタ30は、箱形状である。フィルタ30として、HEPAフィルタ (High Efficiency Particulate Air Filter)が例示される。右側ドアパネル6Rが閉じられることにより、外気取入口29にフィルタ30が配置される。フィルタ30は、金属板29Pの後方において、金属板29Pに対向するように配置される。フィルタ30は、外気取入口29を覆うように配置される。右側ドアパネル6Rが閉じられることにより、フィルタ30は、外気取入口29と吸込口24との間に配置される。外気は、外気取入口29及びフィルタ30を介して乾燥庫2の内部に取り入れられる。フィルタ30は、外気に含まれる異物を回収する。フィルタ30により、乾燥庫2の内部に異物が侵入することが抑制される。
【0037】
内気排出ダクト28は、乾燥庫2の内気を乾燥庫2の外部に排出する。乾燥庫2の内気とは、乾燥庫2の内部の空気をいう。内気排出ダクト28は、乾燥庫2の内気を乾燥庫2の外部に排出する内気排出口31を含む。
【0038】
内気排出口31を含む内気排出ダクト28は、乾燥庫本体4の上部に設けられる。実施形態において、内気排出ダクト28は、上部ボックス11の上方に設けられる。内気排出口31は、ボックス空間102に接続される。内気の少なくとも一部は、内気排出口31を介して乾燥庫2の外部に排出される。
【0039】
実施形態において、内気排出ダクト28にオリフィス32が配置される。オリフィス32は、乾燥庫2の内部から乾燥庫2の外部に排出される内気が通過する開口を有する。実施形態において、内気排出口31は、オリフィス32の開口を含む。内気は、オリフィス32の開口を介して乾燥庫2の外部に排出される。
【0040】
吐出口23は、ダクト空間101の下部に接続される。外気取入口29、吸込口24、及び循環空気取入口25のそれぞれは、吸気空間104に接続される。吸込口24は、吸気空間104を介して外気取入口29及び循環空気取入口25のそれぞれに接続される。
【0041】
ヒータ15は、ダクト空間101に配置される。温度センサ16は、ダクト空間101に配置される。湿度センサ17は、収容空間103に配置される。なお、湿度センサ17は、吸気空間104に配置されてもよい。湿度センサ17は、循環空気取入口25に配置される。棚12は、収容空間103に配置される。乾燥対象Sは、収容空間103に配置された状態で乾燥される。
【0042】
入力装置3は、乾燥器1のユーザに操作される。入力装置3は、乾燥器1の運転を開始する運転開始ボタン33と、ヒータ15の温度を設定する温度設定ボタン34とを含む。
【0043】
[制御装置]
図4は、実施形態に係る乾燥器1を示すブロック図である。
図4に示すように、乾燥器1は、制御装置35を備える。制御装置35は、コンピュータシステムを含む。制御装置35は、通信インタフェース36と、記憶回路37と、処理回路38とを有する。
【0044】
通信インタフェース36は、入力装置3、送風機14、ヒータ15、温度センサ16、及び湿度センサ17のそれぞれに接続される。通信インタフェース36は、入力装置3、送風機14、ヒータ15、温度センサ16、及び湿度センサ17のそれぞれとの通信を制御する。
【0045】
記憶回路37は、処理回路38に接続される。記憶回路37は、データを記憶する。記憶回路37として、不揮発性メモリ又は揮発性メモリが例示される。不揮発性メモリとして、ROM(Read Only Memory)又はストレージが例示される。ストレージとして、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)又はソリッドステートドライブ(SSD:Solid State Drive)が例示される。揮発性メモリとして、RAM(Random Access Memory)が例示される。
【0046】
処理回路38は、演算処理及び制御指令の出力処理を実施する。処理回路38として、プロセッサが例示される。プロセッサとして、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)が例示される。コンピュータプログラムが記憶回路37に記憶される。処理回路38は、記憶回路37からコンピュータプログラムを取得して実行することにより、所定の機能を発揮する。
【0047】
処理回路38は、入力信号取得部39と、検出値取得部40と、送風機制御部41と、ヒータ制御部42とを有する。
【0048】
入力信号取得部39は、入力装置3が操作されることにより生成される入力信号を取得する。入力信号は、運転開始ボタン33が操作されることにより生成される運転開始信号と、温度設定ボタン34が操作されることにより生成される設定温度信号とを含む。
【0049】
検出値取得部40は、温度センサ16の検出値及び湿度センサ17の検出値を取得する。温度センサ16の検出値は、内気の温度を示す。湿度センサ17の検出値は、内気の相対湿度を示す。
【0050】
送風機制御部41は、送風機14の電動モータを制御する制御指令を出力する。送風機制御部41は、吐出口23から吐出される空気の流量を制御する。送風機制御部41は、吐出口23から吐出される空気を設定流量に制御する。乾燥対象Sの乾燥中において、設定流量は変化しない。送風機制御部41は、吐出口23から空気が一定の流量で吐出されるように、送風機14の電動モータを制御する。すなわち、送風機制御部41は、送風機14のファンが一定の回転数で回転するように、送風機14の電動モータを制御する。実施形態において、送風機制御部41は、送風機14の電動モータをオンオフ制御する。
【0051】
ヒータ制御部42は、ヒータ15を制御する制御指令を出力する。ヒータ制御部42は、ヒータ15の温度を制御する。ヒータ制御部42は、ヒータ15を設定温度に制御する。ヒータ15の設定温度は、入力信号取得部39により取得された設定温度信号により決定される。乾燥対象Sの乾燥中において、設定温度は変化しない。ヒータ制御部42は、温度センサ16に検出される内気の温度が設定温度に維持されるように、ヒータ15を制御する。実施形態において、ヒータ制御部42は、ヒータ15をオンオフ制御する。
【0052】
[動作]
乾燥対象Sが収容空間103に収容された後、運転開始ボタン33が操作されると、送風機14及びヒータ15のそれぞれの駆動が開始される。送風機14の駆動が開始されると、吐出口23から空気が吐出され、吸込口24に空気が吸い込まれる。吐出口23から吐出された空気は、ヒータ15により加熱された後、循環ダクト26のダクト空間101を上方に流れる。ダクト空間101を流れた空気は、ボックス空間102に流入する。ボックス空間102に流入した空気の一部は、内気排出口31を介して乾燥庫2の外部に排出される。ボックス空間102に流入した空気の一部は、シート21が配置されていない開口22を介して収容空間103に流入する。乾燥対象Sとしてチューブが保持機構13に保持されている場合、ボックス空間102に流入した空気の一部は、チューブの内側を流れた後、収容空間103に流入する。収容空間103の空気は、循環空気取入口25を介して吸気空間104に流入した後、吸込口24に吸い込まれる。外気は、外気取入口29及びフィルタ30を介して吸気空間104に流入した後、吸込口24に吸い込まれる。
【0053】
ヒータ15により加熱された内気は、ダクト空間101、ボックス空間102、収容空間103、吸気空間104、及び送風機14を含む循環経路100において循環する。循環経路100を循環する内気の一部は、内気排出口31から乾燥庫2の外部に排出され、外気は、外気取入口29から乾燥庫2の内部に取り入れられる。乾燥器1は、乾燥庫2の内気の一部を外気に置換しながら、乾燥対象Sを乾燥する。
【0054】
[循環率及びオリフィス]
実施形態において、乾燥庫2の空気の循環率は、85%以上95%以下である。循環率とは、乾燥庫2の内部を循環する単位時間当たりの気体重量(内気重量)と、外気取入口29を介して乾燥庫2の内部に取り入れられる単位時間当たりの気体重量(外気重量)との比をいう。なお、外気取入口29を介して乾燥庫2の内部に取り入れられる単位時間当たりの気体重量は、内気排出口31を介して乾燥庫2の外部に排出される単位時間当たりの気体重量と実質的に等しい。そのため、循環率は、乾燥庫2の内部を循環する単位時間当たりの気体重量と、内気排出口31を介して乾燥庫2の外部に排出される単位時間当たりの気体重量との比であるとみなすことができる。乾燥庫2の内部を循環する単位時間当たりの気体重量は、吐出口23から吐出される単位時間当たりの気体重量であるとみなすことができる。
【0055】
循環率が100%であることは、乾燥庫2の内部に取り入れられる外気が存在せず、且つ、乾燥庫2の外部に排出される内気が存在しないことを意味する。すなわち、循環率が100%であることは、乾燥庫2を循環する内気が外気に置換されないことを意味する。循環率が85%以上95%以下であることは、乾燥庫2を循環する僅かな量の内気が外気に置換されることを意味する。
【0056】
乾燥対象Sの乾燥が進行すると、乾燥対象Sから水分が放出される。内気は、乾燥対象Sから放出された水分を含む。そのため、内気の相対湿度は、上昇する。一方、外気の絶対湿度は、内気の絶対湿度よりも低い。そのため、内気の一部が外気に置換されることにより、内気の絶対湿度は、下降する。
【0057】
内気は、ヒータ15により加熱される。そのため、内気の温度は、上昇する。一方、外気の温度は、内気の温度よりも低い。そのため、内気の一部が外気に置換されることにより、内気の温度は、下降する。
【0058】
循環率が高い場合、内気の温度が高い値になるため、ヒータ15のヒータ容量[W]が減少しても、設定温度は維持される。一方、循環率が高い場合、内気の相対湿度が高い値になるため、乾燥対象Sはなかなか乾燥せず、乾燥時間は長くなる。すなわち、循環率が高い場合、高温ではあるものの高湿の空気が循環することになるため、ヒータ容量[W]は減少するものの、乾燥時間は長くなる。
【0059】
循環率が低い場合、内気の温度が低い値になるため、設定温度を維持するために、ヒータ15のヒータ容量[W]は増加する。一方、循環率が低い場合、内気の相対湿度が低い値になるため、乾燥時間は短くなる。すなわち、循環率が低い場合、低湿ではあるものの低温の空気が乾燥庫2の内部に流入するため、乾燥時間は短くなるものの、ヒータ容量[W]は増加する。
【0060】
なお、乾燥時間とは、乾燥対象Sの乾燥が完了するのに要する時間をいう。
【0061】
ヒータ15のヒータ容量[W]が増加することは、乾燥器1の消費電力量[Wh]が増大することを意味する。また、乾燥時間が長くなることも、乾燥器1の消費電力量[Wh]が増大することを意味する。
【0062】
本発明者は、送風機14の吐出口23から吐出される空気の設定流量が一定であり、且つ、ヒータ15の設定温度が一定である条件において、循環率を85%以上95%以下にすることにより、乾燥対象Sの乾燥が完了するまでに要する乾燥器1の消費電力量[Wh]が小さくなることを見出した。
【0063】
実施形態において、乾燥器1の消費電力量は、ヒータ15の消費電力量である。なお、乾燥時間が長くなることは、送風機14の消費電力量が増大することも意味する。そのため、乾燥器1の消費電力量は、送風機14の消費電力量とヒータ15の消費電力量との和であるとみなしてもよい。
【0064】
なお、乾燥対象Sを乾燥中において、送風機14はオン状態であり、送風機14のファンの回転数は一定である。一方、乾燥時間は、ヒータ15のヒータ容量[W]に応じて変化する。乾燥時間は、ヒータ容量が大きいほど短くなり、ヒータ容量が小さいほど長くなる。また、乾燥対象Sの乾燥中において、ヒータ15は、内気の温度を設定温度に維持するように、オン状態とオフ状態とに切り換えられる。また、ヒータ15の消費電力は、送風機14の消費電力よりも高い。すなわち、乾燥器1の消費電力量の支配的な要素は、ヒータ15の消費電力量である。そのため、実施形態において、乾燥器1の消費電力量は、ヒータ15の消費電力量であるとみなすことができる。
【0065】
図5は、実施形態に係る乾燥時間と乾燥対象Sの湿球温度とヒータ15のヒータ容量との関係を示す図である。
図6は、実施形態に係る乾燥時間と乾燥庫2の空気の循環率とヒータ15のヒータ容量との関係を示す図である。
図5において、横軸は乾燥時間[分]を示し、縦軸は湿球温度[℃]及びヒータ容量[W]を示す。
図6において、横軸は乾燥時間[分]を示し、縦軸は循環率[%]及びヒータ容量[W]を示す。
【0066】
図5及び
図6のそれぞれは、送風機14の吐出口23から吐出される空気の設定流量が一定であり、且つ、ヒータ15の設定温度が一定である条件において、乾燥時間と湿球温度と循環率とヒータ容量との関係を算出したシミュレーション結果を示す。
【0067】
図5及び
図6に示すように、乾燥時間は、ヒータ容量が大きいほど短くなり、ヒータ容量が小さいほど長くなる。
図5に示すように、乾燥時間は、湿球温度が低いほど短くなり、湿球温度が高いほど長くなる。
図6に示すように、乾燥時間は、循環率が低いほど短くなり、循環率が高いほど長くなる。
【0068】
図7は、実施形態に係る乾燥庫2の空気の循環率と乾燥器1の消費電力量との関係を示す図である。
図7において、横軸は循環率[%]を示し、縦軸は乾燥器1の消費電力量[Wh]を示す。
【0069】
図7は、送風機14の吐出口23から吐出される空気の設定流量が一定であり、且つ、ヒータ15の設定温度が一定である条件において、循環率と消費電力量との関係を算出したシミュレーション結果を示す。
【0070】
図7に示すように、循環率が約88%のときに消費電力量が最小値を示すことが分かる。また、循環率が85%以上95%以下の範囲においても、消費電力量が小さくなることが分かる。
【0071】
循環率は、外気取入口29の流路断面積及び内気排出口31の流路断面積により決定される。外気取入口29の流路断面積及び内気排出口31の流路断面積が大きいほど、循環率が小さくなる。外気取入口29の流路断面積及び内気排出口31の流路断面積が小さいほど、循環率が大きくなる。
【0072】
実施形態においては、外気取入口29にフィルタ30が配置される。外気取入口29にフィルタ30が配置される場合、循環率は、フィルタ30の圧力損失により決定される。循環率は、フィルタ30の圧力損失が小さいほど、循環率が小さくなり、フィルタ30の圧力損失が大きいほど、循環率が大きくなる。実施形態においては、循環率が85%以上95%以下になるように、外気取入口29に規定の圧力損失のフィルタ30が配置され、内気排出口31の流路断面積が定められる。すなわち、循環率が85%以上95%以下になるように、外気取入口29に配置されるフィルタ30が選定される。循環率が85%以上95%以下になるように、フィルタ30の構造(種類)が定められる。フィルタ30の構造は、フィルタ30の厚みを含む。フィルタ30の構造により、フィルタ30の圧力損失が変化する。フィルタ30の圧力損失により、循環率が調整される。なお、フィルタ30の圧力損失とは、フィルタ30を通過前のフィルタ30の上流側の気体の圧力と、フィルタ30を通過後のフィルタ30の下流側の気体の圧力との差をいう。
【0073】
なお、循環率が85%以上95%以下になるように、外気取入口29の流路断面積が定められてもよい。外気取入口29は、フィルタ30の前方及び後方の一方又は両方に配置される金属板29Pに形成される。
図1に示したように、外気取入口29が複数設けられる場合、外気取入口29の流路断面積とは、複数の外気取入口29の断面積の総和をいう。
【0074】
内気排出口31は、オリフィス32の開口を含む。循環率85%以上95%以下になるように、オリフィス32の開口の大きさ(流路断面積)が定められる。
【0075】
[吸気ボックス]
図8は、実施形態に係る乾燥庫2を示す斜視図である。
図8は、棚12が省略された乾燥庫2を示す。
図8において、ドアパネル6は仮想線で示される。
図9は、実施形態に係る吸気ボックス10を示す斜視図である。
【0076】
吸気ボックス10は、送風機14を収容する。吸気ボックス10は、乾燥庫2の内部に配置される。実施形態において、吸気ボックス10は、乾燥庫本体4の床面に設置される。
【0077】
吸気ボックス10は、前板43と、後板44と、上板45と、下板46と、左板47と、右板48と、傾斜板49とを含む。
【0078】
前板43は、後板44よりも前方に配置される。上板45は、下板46よりも上方に配置される。左板47は、右板48よりも左方に配置される。
【0079】
前板43は、上板45の前端部、下板46の前端部、左板47の前端部、右板48の前端部、及び傾斜板49の前端部よりも後方に配置される。前板43の上端部は、上板45の下面に接続される。前板43の下端部は、下板46の上面に接続される。前板43の左端部は、左板47の右面に接続される。前板43の右端部は、右板48の左面に接続される。
【0080】
後板44の上端部は、上板45の後端部に接続される。後板44の下端部は、下板46の後端部に接続される。後板44の左端部は、左板47の後端部に接続される。後板44の右端部は、右板48の後端部に接続される。
【0081】
傾斜板49は、上板45の左端部と左板47の上端部を結ぶように配置される。傾斜板49は、左方に向かって下方に傾斜する。左板47の下端部は、下板46の左端部に接続される。
【0082】
右板48の上端部は、上板45の右端部に接続される。右板48の下端部は、下板46の右端部に接続される。
【0083】
吸気ボックス10は、送風機14を収容する。送風機14は、前板43の後方に配置される。送風機14は、前板43の後面と、後板44の前面と、上板45の下面と、下板46の上面と、左板47の右面と、右板48の左面と、傾斜板49の下面とにより規定される空間に配置される。送風機14が配置される空間は、閉鎖空間である。吸気ボックス10が配置される空間は、実質的に密閉される。
【0084】
吸気ボックス10は、吸気空間104を有する。吸気空間104は、前板43の前方に規定される。ドアパネル6は、吸気ボックス10よりも前方に配置される。右側ドアパネル6Rは、吸気ボックス10に対向可能である。吸気空間104は、前板43の前面と、上板45の下面と、下板46の上面と、左板47の右面と、右板48の左面と、傾斜板49の下面と、右側ドアパネル6Rの後面とにより規定される。右側ドアパネル6Rが閉じられたとき、右側ドアパネル6Rの後面は、上板45の前端部、下板46の前端部、左板47の前端部、右板48の前端部、及び傾斜板49の前端部のそれぞれに接触する。吸気空間104は、閉鎖空間である。吸気空間104は、実質的に密閉される。
【0085】
上述のように、フィルタ30は、吸気空間104に配置される。右側ドアパネル6Rが閉じられた状態で、フィルタ30は、金属板29Pの後方且つ前板43の前方に配置される。フィルタ30は、外気取入口29と吸込口24との間に配置される。なお、
図8及び
図9において、フィルタ30の図示は省略してある。
【0086】
なお、フィルタ30は、金属板29Pの前方に配置されてもよいし、金属板29Pの前方及び後方の両方に配置されてもよい。
【0087】
外気取入口29、吸込口24、及び循環空気取入口25のそれぞれは、吸気空間104に接続される。外気取入口29から吸気空間104に取り入れられた外気と、循環空気取入口25から吸気空間104に取り入れられた内気とは、吸気空間104において混合される。吸込口24は、吸気空間104において外気と内気とが混合された空気を吸い込むことができる。
【0088】
循環空気取入口25は、外気取入口29及び吸込口24よりも下方に配置される。
【0089】
外気取入口29は、吸込口24に対向するように配置される。循環空気取入口25は、外気取入口29及び吸込口24のそれぞれに対向しないように配置される。
【0090】
実施形態において、外気取入口29は、ドアパネル6に設けられる。吸込口24は、前板43に設けられる。循環空気取入口25は、左板47に設けられる。吐出口23は、吸気ボックス10の右側に設けられた循環ダクト26に空気を吐出する。
【0091】
循環空気取入口25は、空気の循環経路100において空気の相対湿度が最も高い位置に配置される。乾燥対象Sの乾燥中において、循環空気取入口25における空気の相対湿度は、例えば50%である。収容空間103には、上部ボックス11の開口22から空気が供給される。開口22は、ヒータ15で加熱された空気を収容空間103に供給する。開口22における空気の相対湿度は、例えば30%である。
【0092】
[シール部材]
図10は、実施形態に係るシール部材9を示す断面図である。
図10は、ドアパネル6の回動軸に直交するシール部材9の断面を示す。また、
図10は、ドアパネル6が閉鎖された状態及び開放された状態のそれぞれを示す。上述のように、ドアパネル6の回動軸は、上下方向に延伸する。
【0093】
シール部材9は、左側ドアパネル6L及び右側ドアパネル6Rのそれぞれに固定される。シール部材9は、左側ドアパネル6Lの右端部と右側ドアパネル6Rの左端部との境界をシールする。シール部材9は、乾燥庫2の内気が左側ドアパネル6Lと右側ドアパネル6Rとの境界から乾燥庫2の外部に漏出することを抑制する。また、シール部材9は、乾燥庫2の外気が左側ドアパネル6Lと右側ドアパネル6Rとの境界から乾燥庫2の内部に侵入することを抑制する。シール部材9により、高温の内気が乾燥庫2の外部に漏出することが抑制される。シール部材9により、低温の外気が乾燥庫2の内部に侵入することが抑制される。
【0094】
シール部材9は、ドアパネル6に固定される固定部50と、固定部50から突出する2枚のヒレ部51とを有する。
【0095】
シール部材9は、一組設けられる。一方のシール部材9は、左側ドアパネル6Lの右端部に固定される左側シール部材9Lである。他方のシール部材9は、右側ドアパネル6Rの左端部に固定される右側シール部材9Rである。左側シール部材9Lの固定部50は、左側ドアパネル6Lの右端部に固定される。左側シール部材9Lのヒレ部51は、固定部50から右方に突出する。右側シール部材9Rの固定部50は、右側ドアパネル6Rの左端部に固定される。右側シール部材9Rのヒレ部51は、固定部50から左方に突出する。
【0096】
2枚のヒレ部51は、ドアパネル6の回動方向に並ぶように配置される。2枚のヒレ部51は、相互に離れている。
図10に示す例において、ドアパネル6の回動方向は、実質的に前後方向である。
【0097】
2枚のヒレ部51の寸法及び形状は、実質的に同一である。
【0098】
実施形態において、シール部材は、シリコンからなる。ヒレ部51は、弾性変形することができる。ヒレ部51は、回動方向に撓むことができる。
【0099】
ドアパネル6の回動軸に直交する断面において、ヒレ部51の幅は、固定部50から離れるほど小さくなる。すなわち、ヒレ部51の幅は、ヒレ部51の先端部に向かって小さくなり、ヒレ部51の基端部に向かって小さくなる。ヒレ部51の幅とは、回動方向におけるヒレ部51の寸法をいう。
【0100】
固定部50は、ドアパネル6に接続される接続部50Aと、2枚のヒレ部51を支持する支持部50Bと、接続部50Aと支持部50Bとの間に配置される可撓部50Cとを有する。接続部50Aは、ドアパネル6に設けられた凹部に嵌められる。支持部50Bは、ヒレ部51の基端部に固定される。可撓部50Cの幅は、支持部50Bの幅よりも小さい。可撓部50Cは、弾性変形することができる。可撓部50Cは、回動方向に撓むことができる。
【0101】
図10に示すように、一組のドアパネル6を含むフレンチドア5が閉じられたときに、左側シール部材9Lのヒレ部51と右側シール部材9Rのヒレ部51とが接触する。実施形態において、左側シール部材9Lのヒレ部51の先端部は、右側シール部材9Rのヒレ部51に接触し、左側シール部材9Lのヒレ部51の基端部は、右側シール部材9Rに接触しない。右側シール部材9Rのヒレ部51の先端部は、左側シール部材9Lのヒレ部51に接触し、右側シール部材9Rのヒレ部51の基端部は、左側シール部材9Lに接触しない。一組のドアパネル6を含むフレンチドア5が閉じられたときに、左側シール部材9Lの固定部50は、右側シール部材9Rに接触しない。右側シール部材9Rの固定部50は、左側シール部材9Lに接触しない。
【0102】
図10に示す例において、一組のドアパネル6を含むフレンチドア5が閉じられたときに、左側シール部材9Lの2枚のヒレ部51の間に、右側シール部材9Rの2枚のヒレ部51のうち前側のヒレ部51が配置される。なお、左側シール部材9Lの2枚のヒレ部51の間に、右側シール部材9Rの2枚のヒレ部51のうち後側のヒレ部51が配置されてもよい。左側シール部材9Lの2枚のヒレ部51の間に、右側シール部材9Rの2枚のヒレ部51が配置されてもよい。右側シール部材9Rの2枚のヒレ部51の間に、左側シール部材9Lの2枚のヒレ部51が配置されてもよい。左側シール部材9Lの2枚のヒレ部51の間に、右側シール部材9Rの2枚のヒレ部51が配置されなくてもよい。例えば、左側シール部材9Lの前側のヒレ部51の前面と、右側シール部材9Rの後側のヒレ部51の後面とが接触してもよい。右側シール部材9Rの前側のヒレ部51の前面と、左側シール部材9Lの後側のヒレ部51の後面とが接触してもよい。
【0103】
[効果]
以上説明したように、実施形態に係る乾燥器1は、外気取入ダクト27及び内気排出ダクト28を有する乾燥庫2と、吐出口23及び吸込口24を有し、乾燥庫2の内部で空気を循環させる送風機14と、吐出口23から吐出される空気を加熱するヒータ15と、内気排出ダクト28に配置され、乾燥庫2から排出される空気が通過する開口を有するオリフィス32と、を備える。オリフィス32により、内気排出口31の流路断面積が高精度に調整される。そのため、乾燥庫2から排出される空気の流量が高精度に管理される。また、乾燥庫2の空気の循環率が高精度に調整される。
【0104】
乾燥器1は、吐出口23から吐出される空気を設定流量に制御する送風機制御部41と、ヒータ15を設定温度に制御するヒータ制御部42と、を備える。乾燥庫2の空気の循環率が85%以上95%以下になるように、オリフィス32の開口の大きさが定められる。循環率が85%以上95%以下なので、
図7を参照して説明したように、乾燥対象Sの乾燥が完了するまでの乾燥器1の消費電力量が小さくなる。したがって、乾燥器1の消費電力量が削減される。
【0105】
循環率が85%以上95%以下になるように、規定の圧力損失のフィルタ30が外気取入口29に配置され、内気排出口31の流路断面積が定められる。フィルタ30の圧力損失及び内気排出口31の流路断面積のそれぞれに基づいて、循環率が調整される。なお、循環率が85%以上95%以下になるように、外気取入口29の流路断面積が定められてもよい。
【0106】
循環率が85%以上95%以下において、ヒータ15の消費電力量が小さくなる。電気機器としてヒータ15が乾燥器1に設けられ、ヒータ15が設定温度を維持するように制御される場合、循環率が85%以上95%以下であることにより、乾燥対象Sの乾燥が完了するまでの乾燥器1の消費電力量が小さくなる。
【0107】
乾燥器1は、電気機器として、ヒータ15のみならず送風機14も有する。また、制御装置35は、送風機14の吐出口23から吐出される空気を設定流量に制御する送風機制御部41を有する。循環率が85%以上95%以下において、送風機14の消費電力量とヒータ15の消費電力量との和が小さくなる。電気機器として送風機14及びヒータ15が乾燥器1に設けられる場合、循環率が85%以上95%以下であることにより、乾燥対象Sの乾燥が完了するまでの乾燥器1の消費電力量が小さくなる。
【0108】
乾燥器1は、乾燥庫2の内部に配置され、外気取入口29及び吸込口24のそれぞれが接続される吸気空間104を有する吸気ボックス10を備える。吸気ボックス10は、送風機14により循環する空気を吸気空間104に取り入れる循環空気取入口25を有する。すなわち、吸気ボックス10の吸気空間104には、外気取入口29、吸込口24、及び循環空気取入口25のそれぞれが接続される。吸気空間104は閉鎖空間なので、吸気空間104の圧力は安定する。そのため、吸気空間104に取り入れられる外気取入口29からの外気の流量と循環空気取入口25からの内気の流量との比が安定する。吸込口24は、外気と内気とを一定の割合で吸い込むことができる。そのため、循環率が変動することが抑制される。したがって、乾燥器1の乾燥性能が向上する。
【0109】
循環空気取入口25は、空気の循環経路100において空気の相対湿度が最も高い位置に配置される。実施形態において、上部ボックス11の開口22は、収容空間103に空気を供給する供給口として機能する。開口22における空気の相対湿度は、約30%である。吸気ボックス10の循環空気取入口25は、収容空間103の空気を回収する回収口として機能する。循環空気取入口25における空気の相対湿度は、約50%である。開口22における空気の絶対湿度は、循環空気取入口25における空気の絶対湿度よりも低い。開口22から供給される空気は、乾燥対象Sを乾燥させる能力を有する。循環空気取入口25は、乾燥対象Sを乾燥させる能力が不足した空気を回収する。これにより、乾燥器1は、収容空間103に配置された乾燥対象Sを効率的に乾燥することができる。
【0110】
循環空気取入口25は、外気取入口29よりも下方に配置される。収容空間103において、空気は、開口22から下方に流れた後、循環空気取入口25から回収される。これにより、循環空気取入口25は、乾燥対象Sを乾燥させて湿度が高くなった空気を回収することができる。
【0111】
外気取入口29は、吸込口24に対向するように配置される。これにより、外気は外気取入口29を介して吸気空間104に安定して流入することができる。また、乾燥器1の大型化が抑制される。
【0112】
循環空気取入口25は、外気取入口29及び吸込口24のそれぞれに対向しないように配置される。これにより、内気は循環空気取入口25を介して吸気空間104に安定して流入することができる。また、乾燥器1の大型化が抑制される。
【0113】
乾燥器1は、吸気ボックス10の前方に配置される右側ドアパネル6Rと、吸気ボックス10の右方に配置される循環ダクト26とを有する。吸気ボックス10は、前板43と、後板44と、上板45と、下板46と、左板47と、右板48とを含む。吸気空間104は、前板43と、上板45と、下板46と、左板47と、右板48と、右側ドアパネル6Rとにより規定される。外気取入口29は、右側ドアパネル6Rに設けられる。吸込口24は、前板43に設けられる。循環空気取入口25は、左板47に設けられる。吐出口23は、循環ダクト26に空気を吐出する。これにより、乾燥器1の大型化が抑制される。また、空気は循環経路100を安定して流れることができる。
【0114】
吸気ボックス10は、上板45の左端部と左板47の上端部を結び、左方に向かって下方に傾斜する傾斜板49を含む。例えば乾燥対象Sから傾斜板49に落下した滴は、重力の作用により吸気ボックス10から落下する。上板45の上面又は傾斜板49の上面に落下した滴は、傾斜板49を伝って吸気ボックス10から落下する。これにより、吸気ボックス10の表面に滴が溜まることが抑制される。また、傾斜板49により、吸気ボックス10の大型化が抑制される。そのため、乾燥器1のユーザは、乾燥対象Sを収容空間103に入れ易くなる。
【0115】
乾燥庫本体4の出入口は、一組のドアパネル6を含むフレンチドア5により開閉される。一組のドアパネル6が観音開き方式なので、ドアパネル6を開けたときの乾燥器1の占有スペースの大型化が抑制される。
【0116】
一組のドアパネル6のそれぞれにシール部材9が設けられる。シール部材9は、ドアパネル6に固定される固定部50と、固定部50から突出する2枚のヒレ部51とを有する。2枚のヒレ部51は、ドアパネル6の回動方向に並ぶように配置される。フレンチドア5が閉じられたときに、左側シール部材9Lのヒレ部51と右側シール部材9Rのヒレ部51とが接触する。すなわち、フレンチドア5が閉じられたときに、一組の柔らかいシール部材9同士が接触する。これにより、シール部材9に過度な応力が作用することが抑制される。そのため、フレンチドア5の開閉が繰り返されても、ヒレ部51が短期間で劣化することが抑制される。したがって、一組のドアパネル6の境界において高いシール性が長期間維持される。
【0117】
また、シール部材9は、回動方向に並ぶ2枚のヒレ部51を有する。これにより、フレンチドア5を閉じたときに、例えば左側ドアパネル6Lと右側ドアパネル6Rとが僅かに位置ずれした場合でも、左側シール部材9Lのヒレ部51と右側シール部材9Rのヒレ部51とが接触することができる。そのため、一組のドアパネル6の境界において高いシール性が得られる。
【0118】
ドアパネル6の回動軸に直交する断面において、ヒレ部51の幅は、固定部50から離れるほど小さくなる。これにより、フレンチドア5の開閉において左側シール部材9Lのヒレ部51と右側シール部材9Rのヒレ部51とが接触又は離隔する場合、ヒレ部51が弾性変形し易くなる。そのため、乾燥器1のユーザは、過度な力を発揮することなく、フレンチドア5を容易に開閉することができる。
【0119】
シール部材9は、シリコンからなる。シリコンは、高い断熱性及び弾性を有する。そのため、シール部材9の耐久性が向上し、シール部材9の寿命が長くなる。シール部材9の寿命が長くなることにより、メンテナンスの負荷が軽減される。
【0120】
[その他の実施形態]
図11は、実施形態の変形例に係るオリフィス52を示す図である。
図11に示す例において、オリフィス52は、オリフィス52の開口(流路断面積)の大きさを変更可能な可変オリフィスである。オリフィス52は、内気排出ダクト28に配置される。内気排出口31は、オリフィス52の開口を含む。内気は、オリフィス52の開口を介して乾燥庫2の外部に排出される。実施形態において、オリフィス52は、第1孔53を有する第1オリフィス54と、第2孔55を有する第2オリフィス56とを有する。第1オリフィス54は、第2オリフィス56に対して移動することができる。オリフィス52の開口は、第1孔53と第2孔55との重複部分により規定される。
図11(A)に示すように、第1孔53と第2孔55とが一致しているとき、オリフィス52の開口の大きさは最大になる。
図11(B)に示すように、第1孔53と第2孔55とがずれることにより、オリフィス52の開口の大きさが小さくなる。
【0121】
図12は、実施形態の変形例に係る乾燥器1を示すブロック図である。
図12に示すように、乾燥器1は、第2オリフィス56に対して第1オリフィス54を移動させるアクチュエータ57を有する。また、処理回路38は、オリフィス52の開口の大きさを調整するオリフィス制御部58を有する。オリフィス制御部58は、循環率が85%以上95%以下になるように、オリフィス52の開口の大きさを調整する。オリフィス制御部58は、アクチュエータ57を制御する制御指令を出力する。オリフィス制御部58は、第2オリフィス56に対する第1オリフィス54の移動量を制御する。第1オリフィス54の移動量が制御されることにより、第1孔53と第2孔55とのずれ量が調整される。第1孔53と第2孔55とのずれ量が調整されることにより、オリフィス52の開口の大きさが調整される。
【0122】
オリフィス制御部58は、湿度センサ17の検出値に基づいて、オリフィス52の開口の大きさを調整する。上述のように、湿度センサ17は、循環空気取入口25に配置される。循環空気取入口25は、空気の循環経路100において空気の相対湿度が最も高い位置に配置される。すなわち、湿度センサ17は、空気の循環経路100において空気の相対湿度が最も高い位置に配置される。湿度センサ17は、空気の循環経路100における相対湿度の最高値を検出することができる。
【0123】
オリフィス制御部58は、循環空気取入口25において結露が発生しないように、オリフィス52の開口の大きさを調整する。結露が発生する可能性が高い相対湿度が、相対湿度に係る閾値として予め定められる。相対湿度に係る閾値は、例えば100%である。湿度センサ17の検出値が閾値以上である場合、結露が発生する可能性が高い。オリフィス制御部58は、湿度センサ17の検出値が閾値以上である場合、結露が発生する可能性が高いと判定して、オリフィス52の開口を大きくする。オリフィス52の開口が大きくなることにより、高湿の内気が乾燥庫2の外部に排出され、低湿の外気が乾燥庫2の内部に取り入れられる。そのため、内気の相対湿度が低下して、結露の発生が抑制される。オリフィス制御部58は、湿度センサ17の検出値が閾値未満である場合、結露が発生する可能性が低いと判定して、循環率が85%以上95%以下になるように、オリフィス52の開口を小さくする。
【0124】
なお、外気取入口29が可変オリフィスの開口でもよい。すなわち、フィルタ30の前方及び後方の一方又は両方に可変オリフィスが配置されてもよい。フィルタ30の前方及び後方の一方又は両方に可変オリフィスが配置されている場合、オリフィス制御部58は、湿度センサ17の検出値に基づいて、可変オリフィスの開口(流路断面積)の大きさを調整する。オリフィス制御部58は、循環空気取入口25において結露が発生しないように、可変オリフィスの開口の大きさを調整する。オリフィス制御部58は、湿度センサ17の検出値が閾値以上である場合、結露が発生する可能性が高いと判定して、可変オリフィスの開口を大きくする。可変オリフィスの開口が大きくなることにより、低湿の外気が乾燥庫2の内部に取り入れられ、高湿の内気が乾燥庫2の外部に排出される。そのため、内気の相対湿度が低下して、結露の発生が抑制される。オリフィス制御部58は、湿度センサ17の検出値が閾値未満である場合、結露が発生する可能性が低いと判定して、循環率が85%以上95%以下になるように、可変オリフィスの開口を小さくする。
【符号の説明】
【0125】
1…乾燥器、2…乾燥庫、3…入力装置、4…乾燥庫本体、5…フレンチドア、6…ドアパネル、6L…左側ドアパネル、6R…右側ドアパネル、7…ハンドル、8…窓部、9…シール部材、9L…左側シール部材、9R…右側シール部材、10…吸気ボックス、11…上部ボックス、12…棚、13…保持機構、14…送風機、15…ヒータ、16…温度センサ、17…湿度センサ、18…ガイド部材、19…底板、20…ハンドル、21…シート、22…開口、23…吐出口、24…吸込口、25…循環空気取入口、26…循環ダクト、27…外気取入ダクト、28…内気排出ダクト、29…外気取入口、29P…金属板、30…フィルタ、31…内気排出口、32…オリフィス、33…運転開始ボタン、34…温度設定ボタン、35…制御装置、36…通信インタフェース、37…記憶回路、38…処理回路、39…入力信号取得部、40…検出値取得部、41…送風機制御部、42…ヒータ制御部、43…前板、44…後板、45…上板、46…下板、47…左板、48…右板、49…傾斜板、50…固定部、50A…接続部、50B…支持部、50C…可撓部、51…ヒレ部、52…オリフィス、53…第1孔、54…第1オリフィス、55…第2孔、56…第2オリフィス、57…アクチュエータ、58…オリフィス制御部、100…循環経路、101…ダクト空間、102…ボックス空間、103…収容空間、104…吸気空間、S…乾燥対象。