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特開2022-171251ネットワークユニット、電源装置、保守システム、コンピュータプログラム、及び電源装置データ送信方法
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  • 特開-ネットワークユニット、電源装置、保守システム、コンピュータプログラム、及び電源装置データ送信方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171251
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】ネットワークユニット、電源装置、保守システム、コンピュータプログラム、及び電源装置データ送信方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20221104BHJP
   H02J 9/06 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
H02J13/00 301B
H02J13/00 A
H02J9/06 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021077798
(22)【出願日】2021-04-30
(71)【出願人】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】内堀 富勝
【テーマコード(参考)】
5G015
5G064
【Fターム(参考)】
5G015FA18
5G015GA07
5G015JA21
5G015JA53
5G064AA04
5G064AB05
5G064CB02
5G064CB08
(57)【要約】
【課題】ネットワークユニット、保守システム、コンピュータプログラム及び電源装置に関するデータ送信方法を提供する。
【解決手段】ネットワークユニットは、電力変換器を備える電源装置からデータを受信する第1通信部と、特定のネットワークを介して通信する第2通信部と、前記特定のネットワークと異なる通信媒体を介して通信する第3通信部と、切替スイッチを含む操作部と、第1通信部から第3通信部による通信を制御する制御部とを備える。前記制御部は、前記切替スイッチの状態に応じて、前記特定のネットワークにおける設定に従って前記第2通信部により他の装置と通信する。前記切替スイッチの状態が所定の状態で前記ネットワークユニットが起動した場合、前記制御部は、前記第3通信部によって特定の通信装置と通信接続する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力変換器を備える電源装置からデータを受信する第1通信部と、
特定のネットワークを介して通信する第2通信部と、
前記特定のネットワークと異なる通信媒体を介して通信する第3通信部と、
切替スイッチを含む操作部と、
第1通信部から第3通信部による通信を制御する制御部と
を備えるネットワークユニットであって、
前記制御部は、前記切替スイッチの状態に応じて、前記特定のネットワークにおける設定に従って前記第2通信部により他の装置と通信し、
前記切替スイッチの状態が所定の状態で起動した場合、前記制御部は、前記第3通信部によって特定の通信装置と通信接続する
ネットワークユニット。
【請求項2】
前記操作部は、前記制御部へ割込みを発生させるリセット部を含み、
前記制御部は、前記リセット部が操作されて割込みが発生する都度、前記切替スイッチの状態が前記所定の状態であるか否かを判断する
請求項1に記載のネットワークユニット。
【請求項3】
前記制御部は、前記電力変換器を制御する電源装置制御部とは独立して構成され、
前記ネットワークユニットは、前記切替スイッチの状態が所定の状態で起動する間、前記電源装置の動作を継続させる
請求項1又は2に記載のネットワークユニット。
【請求項4】
前記切替スイッチの状態が所定の状態で前記ネットワークユニットが起動してから所定のタイムアウト時間が経過した場合、前記制御部は、前記第2通信部により前記設定に従って通信する状態へ遷移する
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のネットワークユニット。
【請求項5】
前記切替スイッチの状態が所定の状態で前記ネットワークユニットが起動した場合、前記制御部は、前記第3通信部をアクセスポイントとして機能させ、有効なパスワードを送信する通信装置と通信接続する
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のネットワークユニット。
【請求項6】
電力変換器と
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のネットワークユニットと
を備える電源装置。
【請求項7】
電力変換器を備える電源装置からデータを第1通信部によって受信して他へ送信するネットワークユニットと、前記ネットワークユニットと通信接続する通信部を備える保守端末装置とを含み、
前記ネットワークユニットは、
特定のネットワークを介して通信する第2通信部と、
前記特定のネットワークと異なる通信媒体を介して通信する第3通信部と、
切替スイッチを含む操作部と、
第1通信部から第3通信部による通信を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、前記切替スイッチの状態に応じて、前記特定のネットワークにおける設定に従って前記第2通信部又は第3通信部により他の装置と通信し、
前記切替スイッチの状態が所定の状態で前記ネットワークユニットが起動した場合、前記制御部は、前記第3通信部によって前記保守端末装置と通信接続し、前記保守端末装置へ前記データを送信する
保守システム。
【請求項8】
有線通信回線及び/又は無線通信媒体を介して通信する通信部、並びに、切替スイッチを含む操作部を備えるコンピュータに、
電力変換器を備える電源装置からデータを受信しつつ、
前記切替スイッチの状態に応じて、特定のネットワークにおける設定に従って前記通信部により他の装置と通信し、
前記切替スイッチの状態が所定の状態で前記コンピュータが起動した場合、前記特定のネットワークと異なる通信媒体を介して特定の通信装置と通信接続し、
前記特定の通信装置へ、前記データを送信する
処理を実行させるコンピュータプログラム。
【請求項9】
有線通信回線及び/又は無線通信媒体を介して通信する通信部、並びに、切替スイッチを含む操作部を備えるネットワークユニットが、電力変換器を備える電源装置からデータを受信し、他の装置へ送信する方法であって、
前記ネットワークユニットが、
前記切替スイッチの状態に応じて、特定のネットワークにおける設定に従って前記通信部により他の装置と通信し、
前記切替スイッチの状態が所定の状態で起動した場合、前記特定のネットワークと異なる通信媒体を介して特定の通信装置と通信接続し、
前記特定の通信装置へ、前記データを送信する
処理を含む電源装置データ送信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置を含むシステムの保守に関し、より具体的には、保守作業を円滑にするネットワークユニット、電源装置、保守システム、コンピュータプログラム、及び、電源装置に関するデータの送信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電源装置を含むシステムは、定期点検が必須である。点検の際に保守作業者は、システムに含まれる電源装置から、装置の動作ログ、装置の異常の有無などのデータを取得する。
【0003】
特許文献1は、保守作業者が電源装置に関するデータを簡易に取得できるように、電源装置が備えるネットワークユニットに情報端末を通信接続させる技術を開示している。ネットワークユニットは、管理用コンピュータへデータを送信するための管理用ネットワークに接続される通信部と、管理用ネットワークとは独立した無線通信回線用の無線通信部とを備える。保守作業者は、持参した情報端末を、無線通信部を介してネットワークユニットに接続させる。情報端末は、無線通信回線を介して、電源装置に関するデータを取得できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-201331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
管理用ネットワークに接続されたネットワークユニットと、保守作業者の情報端末との無線通信接続は、高いレベルの安全性が求められる。加えて、電源装置を含むシステムの点検は、時間的な制約があり、また顧客の立ち合いを要する。よって、ネットワークユニットと情報端末とを、安全且つ円滑に接続させる方法が要求される。
【0006】
典型的な電源装置として、パワーコンディショナ、インバータ、直流電源装置、交流電源装置がある。例えば、パワーコンディショナは、電力出力を電力需給に応じて制御することが求められる。このため、パワーコンディショナは、電力会社等の提供者が管理する電力サーバと通信接続し、電力会社が予測した電力需給に対応する出力制御スケジュールを取得する。出力制御スケジュールを取得できるタイミングは、パワーコンディショナからは不明であるため、パワーコンディショナは常時的に電力サーバとの通信接続を維持しなければならない。パワーコンディショナと電力サーバとの通信接続に支障をきたすことなく、点検時に電源装置と保守作業者の情報端末とを通信接続させる必要がある。
【0007】
本発明は、ネットワークユニット、電源装置、保守システム、コンピュータプログラム、及び、電源装置に関するデータの送信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ネットワークユニットは、電力変換器を備える電源装置からデータを受信する第1通信部と、特定のネットワークを介して通信する第2通信部と、前記特定のネットワークと異なる通信媒体を介して通信する第3通信部と、切替スイッチを含む操作部と、第1通信部から第3通信部による通信を制御する制御部とを備える。前記制御部は、前記切替スイッチの状態に応じて、前記特定のネットワークにおける設定に従って前記第2通信部により他の装置と通信する。前記切替スイッチの状態が所定の状態で前記ネットワークユニットが起動した場合、前記制御部は、前記第3通信部によって特定の通信装置と通信接続する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】保守システムの概要を示す図である。
図2】ネットワークユニットの外観を示す図である。
図3】ネットワークユニットの構成を示す図である。
図4】保守端末装置の構成を示すブロック図である。
図5】接続モードの例を示す図である。
図6】ネットワークユニットの処理手順の一例を示すフローチャートである。
図7】第4の接続モードによる通信処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図8】複数のパワーコンディショナが連結されたシステムの概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ネットワークユニットは、電力変換器を備える電源装置からデータを受信する第1通信部と、特定のネットワークを介して通信する第2通信部と、前記特定のネットワークと異なる通信媒体を介して通信する第3通信部と、切替スイッチを含む操作部と、第1通信部から第3通信部による通信を制御する制御部とを備える。前記制御部は、前記切替スイッチの状態に応じて、前記特定のネットワークにおける設定に従って前記第2通信部により他の装置と通信する。前記切替スイッチの状態が所定の状態で前記ネットワークユニットが起動した場合、前記制御部は、前記第3通信部によって特定の通信装置と通信接続する。
【0011】
電源装置から受信するデータは、電源装置の計測データ(例えば、電圧・電流・温度のログデータ)を含んでもよいし、電源装置の状態データ(例えば、正常/異常、動作モード)を含んでもよいし、指令値、制御に関する情報を含んでもよいし、これらのデータの一部のみを含んでもよい。
切替スイッチは、電磁ノイズ等の影響を受けにくい機械式スイッチであることが好ましいが、それに限定はされない。切替スイッチは、複数のディップスイッチであってもよい。複数のディップスイッチによって、前記所定の状態以外の複数の状態が設定可能になる。すなわち、有線通信及び/又は無線通信を用いた特定のネットワークにおける通信接続と、特定の通信装置との通信接続とを含む、複数バリエーションの設定が可能になる。
【0012】
上記構成により、例えば保守作業者が携帯する通信装置(保守端末装置)は、保守作業者が切替スイッチを所定の状態にしてネットワークユニットを起動させた場合に限り、第3通信部を介してネットワークユニットと通信接続する。ネットワークユニットは、特定の通信装置との通信に用いる第3通信部を無効化していた場合でも、強制的に、保守端末装置と通信接続が可能な状態へ遷移する。
【0013】
保守作業者は、切替スイッチの操作及びネットワークユニットの起動という簡易なプロセスによって、保守端末装置に電源装置のデータを取り込むことができる。保守作業者は、特定のネットワーク(例えば顧客の管理用ネットワーク)に保守端末装置を接続させる必要がなく、これにより、安全且つ円滑な保守作業が可能になる。ネットワークユニットは、第3通信部により保守端末装置と通信を行なう間、第2通信部による特定のネットワークを介した他の装置との通信を維持することも可能である。
【0014】
ネットワークユニットの前記操作部は、前記制御部へ割込みを発生させるリセット部を含んでもよく、前記制御部は、前記リセット部が操作されて割込みが発生する都度、前記切替スイッチの状態が前記所定の状態であるか否かを判断してもよい。
リセット部は、保守作業者が操作しやすい機械式スイッチであることが好ましく、リセットボタンやリセットスイッチであってもよい。
【0015】
上記構成により、保守作業者は、切替スイッチを所定の状態としてリセット部を操作するという簡易なプロセスによって、ネットワークユニットが接続又は搭載されている電源装置のデータを保守端末装置に取り込むことができる。
【0016】
ネットワークユニットの前記制御部は、前記電力変換器を制御する電源装置制御部とは独立して設けられ、ネットワークユニットは、前記切替スイッチの状態が所定の状態で前記ネットワークユニットが起動する間、前記電源装置の動作を継続させてもよい。
【0017】
電源装置は、パワーコンディショナ、コージェネレーションシステムで利用される系統連系インバータ、蓄電素子を含むパワーコンディショナ、又は、電気自動車用のパワーコンディショナであってもよい。電源装置は、直流電源装置又は交流電源装置(無停電電源装置)であってもよい。これら種々の電源装置は、社会的インフラストラクチャーとして利用されている。点検や保守のために、電源装置の動作を停止(電力入出力を停止)させることは、好ましくない。例えば、パワーコンディショナが動作を停止すると、太陽電池で発電された電力を売電又は消費できなかったり、デマンドレスポンス指令に応じる機会を逸したり、といった機会損失が生じる。無停電電源装置の電力変換器が動作を停止し、電気負荷に対してバイパス給電を行なっている最中に、停電が起きると、負荷への給電が途絶えてしまい、その電源装置に本来求められている機能を果たすことができない。
【0018】
上記構成のようにネットワークユニットの制御部を、電力変換器を制御する電源装置制御部とは独立して設けることにより、ネットワークユニットが起動する間、電源装置の動作(電力変換器による電力入出力)を継続させることができる。
電源装置が備える電力変換器は、交流電力を直流電力に変換する所謂コンバータであってもよいし、直流電力を交流電力に変換する所謂インバータであってもよい。電力変換器は、直流電力を異なる電圧値の直流電力へ変換するコンバータであってもよい。電源装置は、複数の電力変換器(例えば、コンバータとインバータ)を備えていてもよい。
【0019】
前記切替スイッチの状態が所定の状態でネットワークユニットが起動してから所定のタイムアウト時間が経過した場合、前記制御部は、前記第2通信部により前記設定に従って通信する状態へ遷移してもよい。
上記構成により、保守作業者は、保守端末装置に電源装置のデータを取り込む作業の後に、切替スイッチを元の状態に戻すことを失念することが許される。切替スイッチを所定の状態としたままでも、ネットワークユニットは、設定に従った第2通信部による通信を再開できる。
【0020】
前記切替スイッチの状態が所定の状態でネットワークユニットが起動した場合、前記制御部は、前記第3通信部をアクセスポイントとして機能させ、有効なパスワードを送信する通信装置と通信接続してもよい。
上記構成により、例えば保守端末装置が、ネットワークユニットに対して有効なパスワードを安全に記憶しておけば、簡易な操作によって、顧客のネットワークに接続することなしに、保守端末装置に電源装置のデータを取り込む作業を実行できる。
【0021】
保守システムは、電力変換器を備える電源装置からデータを第1通信部によって受信して他の装置へ送信するネットワークユニットと、前記ネットワークユニットと通信接続する通信部を備える保守端末装置とを含む。前記ネットワークユニットは、特定のネットワークを介して通信する第2通信部と、前記特定のネットワークと異なる通信媒体を介して通信する第3通信部と、切替スイッチを含む操作部と、第1通信部から第3通信部による通信を制御する制御部とを備える。前記制御部は、前記切替スイッチの状態に応じて、前記特定のネットワークにおける設定に従って前記第2通信部又は第3通信部から前記データを送信する。前記切替スイッチの状態が所定の状態で前記ネットワークユニットが起動した場合、前記制御部は、前記第3通信部によって前記保守端末装置と通信接続し、前記保守端末装置へ前記データを送信する。
【0022】
コンピュータプログラムは、有線通信回線及び/又は無線通信媒体を介して通信する通信部、並びに、切替スイッチを含む操作部を備えるコンピュータによって実行される。コンピュータプログラムは、電力変換器を備える電源装置からデータを受信しつつ、前記切替スイッチの状態に応じて、特定のネットワークにおける設定に従って前記通信部から前記データを送信し、前記切替スイッチの状態が所定の状態で前記コンピュータが起動した場合、前記特定のネットワークと異なる通信媒体を介して特定の通信装置と通信接続し、前記特定の通信装置へ、前記データを送信する処理をコンピュータに実行させる。
【0023】
電源装置データ送信方法は、有線通信回線及び/又は無線通信媒体を介して通信する通信部、並びに、切替スイッチを含む操作部を備えるネットワークユニットが、電力変換器を備える電源装置からデータを受信し、他の装置へ送信する方法である。電源装置データ送信方法は、前記ネットワークユニットが、前記切替スイッチの状態に応じて、特定のネットワークにおける設定に従って前記通信部から前記データを前記特定のネットワークへ送信し、前記切替スイッチの状態が所定の状態で起動した場合、前記特定のネットワークと異なる通信媒体を介して特定の通信装置と通信接続し、前記特定の通信装置へ、前記データを送信する処理を含む。
【0024】
本発明をその実施形態を示す図面を参照して具体的に説明する。
【0025】
図1は、保守システムの概要を示す。保守作業者は、ネットワークユニット1と、保守端末装置2(通信装置の一例)とを用いて保守作業を実行する。ネットワークユニット1は、保守対象の電源装置3に設けられる。
【0026】
保守対象の電源装置3は例えば、ソーラー発電システムに利用する出力制御機能付きパワーコンディショナ(PCS:Power Conditioning System )である。電源装置3は、複数のパワーコンディショナが連結されたものであってもよい。電源装置3は、コージェネレーションシステムで利用される系統連系インバータであってもよい。電源装置3は、蓄電素子を含むパワーコンディショナ、又は、電気自動車用のパワーコンディショナであってもよい。図1の例では、電源装置3は、複数箇所(Site1~3)に設置されている。
【0027】
他の例として、図8に、複数のパワーコンディショナが連結されたシステム300を示す。親機として機能するパワーコンディショナ3aに、ネットワークユニット1が搭載されている。ネットワークユニット1は、パワーコンディショナ3aの筐体内に配置されてもよいし、パワーコンディショナ3aに外付けされるボックス(例えば出力制御ユニット)内に配置されてもよい。パワーコンディショナ3aには、子機として機能するパワーコンディショナ3bが通信ケーブルを介して親機と通信可能に接続されている。システム300は、ローカルエリアネットワークLNと外部ネットワーク(ワイドエリアネットワーク)とを接続するルータ5を含む。パワーコンディショナ3aはネットワークユニット1により、公衆通信網Nを介して電力サーバ4と通信が可能である。パワーコンディショナ3aは、図示しない遠隔監視サーバ(他の装置の一例)と通信可能に接続されてもよい。後述するように、パワーコンディショナ3aのネットワークユニット1は、ルータ5を介さずに、保守作業者が携帯する保守端末装置2と通信することが可能である。
【0028】
図8に示すように、各パワーコンディショナ3a,3bは、制御部30(電源装置制御部の一例)と、インバータ31(電力変換器の一例)とを備えている。各パワーコンディショナ3a,3bは、連系出力端子32と、自立運転出力端子33とを備えてもよい。
制御部30は、ネットワークユニット1との通信(例えば、ネットワークユニット1からのコマンド受信)が途絶えても、所定期間(例えば数分間。ネットワークユニット1の再起動に要する時間よりも長い期間)は、異常警報を出力したり動作を停止したりせずに、動作を継続する。そのため、後述するようにネットワークユニット1が再起動する間(例えば数十秒)、制御部30は、インバータ31を動作させて電力入出力を継続できる。
【0029】
図1のシステムでは、電源装置3から得られる装置の動作ログ、装置の異常の有無、接続される発電システム等のデータを、顧客が管理する管理装置35に集約し、電源装置3の状態を把握する。各電源装置3に、ネットワークユニット1が設けられている。電源装置3は、ネットワークユニット1を介して、顧客(ユーザ)が管理する顧客ネットワークCN(ローカルエリアネットワーク)に接続されている。顧客ネットワークCNは、有線通信回線、無線通信回線のいずれであってもよい。電源装置3は、ネットワークユニット1を介して、顧客ネットワークCNにおける管理装置35(他の装置の一例)とデータ送受信ができ、例えば電源装置に関するデータを管理装置35へ送信する。
【0030】
各電源装置3はネットワークユニット1によって、図示しない外部ネットワークへのルータを介して、電力サーバや遠隔監視サーバと通信可能に接続される。各ネットワークユニット1は、ルータを介さずに、保守作業者が携帯する保守端末装置2と通信することが可能である。
【0031】
保守作業者は、顧客管理エリア内で、保守端末装置2をネットワークユニット1と通信接続させる。ネットワークユニット1は上述したように、顧客ネットワークCNに接続されている。ネットワークユニット1を、保守端末装置2に接続するために顧客ネットワークCNから切り離すと、電源装置3は、管理装置35へのデータの送信や、電力サーバとの通信が不可能になる。本実施形態のネットワークユニット1は、顧客ネットワークCNとは独立した無線通信回線によって保守端末装置2と接続するための無線通信部を有する。これにより、ネットワークユニット1を顧客ネットワークCNから切り離すことなく(管理装置35又は電力サーバとの間のデータ送受信を阻害させずに)、保守端末装置2はネットワークユニット1と通信することができる。
【0032】
保守端末装置2とネットワークユニット1の無線通信部との接続は、保守作業者が顧客管理エリアに赴いたときにのみ有効化する必要がある。無用に無線通信部を有効化しておくと、無線通信部を介した電源装置3への不当な接続のリスクが高まる。使用されない無線通信部は無効化しておくことが好ましい。
【0033】
使用されていない無線通信部を有効化させる場合、保守作業者は、保守端末装置2を顧客ネットワークCNに接続させ、顧客ネットワークCN経由でネットワークユニット1へ指示してもよい。しかしながら、ネットワークユニット1及び電源装置3は、電源装置3を購入、又はレンタルしている顧客によって管理されており、セキュリティーの観点から、保守作業者の保守端末装置2を顧客ネットワークCNに接続させることは、回避するべきである。
【0034】
顧客ネットワークCNが無線通信回線である場合、電源装置3は、ネットワークユニット1の無線通信部を介して管理装置35と接続できる。電源装置3は、無線通信部及びルータを介して電力サーバとのデータ送受信が可能となる。顧客の通信管理機器(ルータ、DHCPサーバ)が、顧客ネットワークCNにおけるネットワークユニット1のIPアドレスを無線通信部に対して割り振ることで、管理装置35が無線通信部を介してネットワークユニット1に接続できる。保守端末装置2がネットワークユニット1に接続するために、顧客ネットワークCNに保守端末装置2を接続させてもよい。しかしながら、保守端末装置2を顧客ネットワークCNに接続させることは、回避するべきである。
【0035】
保守作業時にのみ、保守端末装置2とネットワークユニット1の無線通信部とを、顧客ネットワークCNとは独立した無線通信回線で接続するため、本実施形態における無線通信部は一時的に、アクセスポイントとして機能する。以下、無線通信部の一時的な有効化を実現するための構成及び処理について説明する。
【0036】
図2は、ネットワークユニット1の外観を示し、図3は、ネットワークユニット1の構成を示す。ネットワークユニット1は、ネットワークカード型の通信デバイスである。ネットワークユニット1は、制御部10、記憶部11、PCS通信部12、有線通信部13、無線通信部14、シリアル通信部15、及び、操作部16を備える。
【0037】
制御部10はCPU(Central Processing Unit )を用いたマイクロプロセッサである。制御部10は、内蔵するROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等のメモリを用い、各構成部を制御して処理を実行する。メモリのROMは、予め規定された制御プログラム1P、接続モードデータ、及び、無線LANデータ(ネットワーク設定データ)を記憶する。制御プログラム1Pは、後述する通信処理用のプログラム、電源装置3のデータ取得処理用のプログラム、及び、Webサーバプログラムを含む。制御プログラム1Pは、記録媒体8に記憶してある制御プログラム8Pを制御部10が読み出してROMに複製したものであってもよい。ネットワーク設定データは、アクセスポイントとして使用するアドレス帯のデータを含む。アドレス帯のデータは、顧客ネットワークCNで使用されているアドレス帯と重複した場合を考慮して、複数のパターンのデータ、例えばメインデータとサブデータを含んでもよい。
【0038】
記憶部11は、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリである。記憶部11は、電源装置3から受信した装置に関するデータを記憶する。
【0039】
PCS通信部12は、ネットワークユニット1が接続されている電源装置3の制御部との通信を実現する通信インタフェースである。PCS通信部12は、例えばRS-232C又はRS-485等の通信インタフェースである。
【0040】
有線通信部13は、顧客ネットワークCNが有線である場合の通信接続を実現する通信デバイスである。有線通信部13は、顧客ネットワークCNが有線である場合に第2通信部として機能する。有線通信部13は、顧客ネットワークCNの規格に対応する接続インタフェースを含む。顧客ネットワークCNは、例えばEthernet(登録商標)である。顧客ネットワークCNは、光回線であってもよい。顧客ネットワークCNは、ECHONET /ECHONET Lite(登録商標)対応のネットワークであってもよい。ネットワークユニット1は、電源装置3からPCS通信部12を介して取得した装置の動作に関するデータを、有線通信部13によって管理装置35へ送信する。
【0041】
無線通信部14は、無線LANに基づく通信用の無線通信デバイスである。無線通信部14は、図2に示すように、アンテナの取り付けインタフェースを含み、アンテナは外付けであってもよい。無線通信部14は、Bluetooth(登録商標)に対応する無線通信デバイスであってもよい。顧客ネットワークCNが無線である場合、無線通信部14は第2通信部として機能し、制御部10は、電源装置3の動作に関するデータを無線通信部14によって管理装置35へ送信してもよい。
【0042】
無線通信部14は、保守作業者が点検する場合に、顧客ネットワークCNと異なる通信媒体を介して保守端末装置2と通信接続するための第3通信部として用いられる。無線通信部14は、異なるアドレス帯で保守端末装置2と接続できるようにネットワーク設定データのいずれかから選択して接続を有効化させてもよい。無線通信部14を用いて、保守端末装置2をネットワークユニット1と接続させる場合、保守作業者は外付けのアンテナをその時のみ取り付けてもよい。
【0043】
電源装置3の制御部(通信部)と接続されるPCS通信部12、有線通信部13、及び、無線通信部14は各々異なるハードウェアとした。しかしながら、各接続先との通信プロトコルに応じて各々個別の通信接続が可能であれば、これらの3つの通信部の機能は、同一のハードウェアによって実現されてもよい。例えば、顧客ネットワークCNが無線である場合、無線通信部14が、第2通信部及び第3通信部の両方の機能を有してもよい。この場合、ネットワークユニット1は有線通信部13を有さなくてもよい。
【0044】
シリアル通信部15は、外付けのシリアル通信デバイスである。シリアル通信部15は、シリアル通信用の接続インタフェースを含む。シリアル通信部15は、例えばUSB(Universal Serial Bus )インタフェースである。ネットワークユニット1は、シリアル通信部15によって、保守端末装置2又は他の装置から設定データを取得する。シリアル通信部15は必須ではない。シリアル通信部15は、ネットワークユニット1が電源装置3(例えばパワーコンディショナ3a)に対して外付けされる場合、制御部10が電源装置3の制御部と接続するために使用されてもよい。
【0045】
操作部16は、リセットボタン161及びスイッチ162を備える。リセットボタン161は制御部10に対してリセット割込みを発生させる。リセットボタン161が押下された場合、制御部10はこれを検知して再起動し、メモリに記憶された制御プログラム1Pに基づく処理を開始する。
【0046】
スイッチ162は、切替スイッチである。スイッチ162は、1又は複数のディップスイッチを含む。図2に示すように、ネットワークユニット1は例えば2つのディップスイッチを含む。制御部10は、2つのディップスイッチによって最大4つのスイッチ状態を取得する。ディップスイッチの数は2つに限定されず、1つのみ、又は3つ以上であってもよい。スイッチ状態と、接続モードデータとの対応がメモリに記憶されている。制御部10は、起動時にスイッチ状態を取得し、取得したスイッチ状態に対応する接続モードデータに従って各構成部を制御する。スイッチ162は、ディップスイッチに限らず、他のスイッチであってもよい。
【0047】
図4は、保守端末装置2の構成を示すブロック図である。保守端末装置2は、デスクトップ型若しくはラップトップ型のパーソナルコンピュータであってもよい。保守端末装置2は、所謂スマートフォン又はタブレット型の通信端末であってもよい。保守端末装置2は、制御部20、記憶部21、通信部22、表示部23及び操作部24を備える。
【0048】
制御部20は、CPU又はGPU(Graphics Processing Unit)を用いたプロセッサである。制御部20は、記憶部21に記憶されているWebブラウザプログラムに基づき、Webサーバとして機能するネットワークユニット1が提供するデータにアクセスできる。
【0049】
記憶部21は、例えばハードディスク、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive )等の不揮発性メモリを用いる。記憶部21は、制御部20が参照するデータを記憶する。記憶部21は、Webブラウザプログラムを含む各種プログラムを記憶する。記憶部21は、ネットワークユニット1から取得する電源装置3に関するデータを記憶する。記憶部21は、ネットワークユニット1と通信接続するための無線LANデータを記憶する。無線LANデータは、アクセスポイントのSSID及びパスワードを含む。無線LANデータは、メインデータとサブデータとが記憶され、選択可能であってもよい。
【0050】
通信部22は、公衆通信網又はキャリアネットワークを介したデータ通信を実現するための通信デバイスである。通信部22は、ネットワークユニット1の無線通信部14に対応する無線LAN対応の通信デバイスを含む。ネットワークユニット1がアクセスポイントとして機能する際に、制御部20は、通信部22によってネットワークユニット1に通信接続できる。逆に通信部22がアクセスポイントとして機能し、ネットワークユニット1からの通信接続を受け付けてもよい。通信部22は、有線通信用のネットワークカードと、移動通信用のキャリアネットワーク対応の無線通信デバイスとを含んでもよい。
【0051】
表示部23は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等のディスプレイであってもよいし、タッチパネル内蔵型ディスプレイであってもよい。表示部23は、ネットワークユニット1から提供されるWebページのイメージを表示する。
【0052】
操作部24は、制御部20との間で入出力が可能なキーボード及びポインティングデバイス等のユーザインタフェースである。操作部24は、音声入力部であってもよい。操作部24は、表示部23のタッチパネルであってもよい。操作部24は、物理ボタンであってもよい。操作部24は、保守作業者による操作データを制御部20へ通知する。
【0053】
無線通信部14に設定される接続モードについて説明する。図5は、接続モードの例を示す。接続モードは、スイッチ162の構成・状態に応じて用意されている。制御部10のメモリは、図5に示す接続モードとスイッチ162の状態との対応を、接続モードデータとして記憶している。
【0054】
第1の接続モードは、顧客ネットワークCNを介した通信のためのモードである。第1の接続モードは、電源装置3の運用中、通常使用される。第1の接続モードの場合、有線通信部13及び無線通信部14は、顧客による設定に基づき顧客ネットワークCNに接続する。顧客ネットワークCNが有線の場合、ネットワークユニット1は、有線通信部13によって顧客ネットワークCNに接続する。顧客ネットワークCNが無線通信回線の場合、ネットワークユニット1は、無線通信部14によって顧客ネットワークCNに接続する。第1の接続モードでは、有線通信部13又は無線通信部14が、顧客ネットワークCNのルータ及びDHCPサーバに割り振られたアドレスによって他の通信機器と接続する。第1の接続モードでは、無線通信部14は無効であってもよい。
【0055】
第2の接続モードは、顧客ネットワークCNを介した通信のためのモードである。第2の接続モードは、特定のケースで使用される。第2の接続モードの場合、ネットワークユニット1は、有線通信部13により、予め設定された固定のIPアドレスで有線回線である顧客ネットワークCNに接続する。第2の接続モードの場合、ネットワークユニット1は、無線通信部14により、顧客の設定に基づき顧客が管理する他の無線通信回線に接続してもよい。第2の接続モードでは、無線通信部14は無効であってもよい。
【0056】
第3の接続モードは、ネットワークユニット1又は電源装置3の製造業者又は販売業者が利用するためのモードである。
【0057】
第4の接続モードは、ネットワークユニット1が保守端末装置2と通信接続するためのモードである。第4の接続モードでは、ネットワークユニット1が有線通信部13によって顧客ネットワークCNに接続しつつ、無線通信部14が、保守端末装置2に対するアクセスポイントとして機能する。無線通信部14は、予め記憶してあるSSIDを含む電波を出力して、このSSIDに対応するパスワードを知る通信機器との間で通信接続を確立する。第4の接続モードでは、ネットワークユニット1は、有線通信部13によって、電源装置3に関するデータの管理装置35への送信を継続する。逆に保守端末装置2の通信部22がアクセスポイントとして機能し、ネットワークユニット1がクライアントとして機能する設定であってもよい。
【0058】
図6は、ネットワークユニット1の処理手順の一例を示すフローチャートである。制御部10は、図示しない電源部からの電気供給を受けると、制御プログラム1Pに基づいて処理を実行する。制御部10は、電気供給が停止するまで以下の処理を継続する。
【0059】
制御部10は、スイッチ162の状態を取得する(ステップS101)。制御部10は、スイッチ状態が第4の接続モードに対応するか否かを判断する(ステップS102)。
【0060】
第4の接続モードに対応しない場合(S102:NO)、制御部10は、第1の接続モード又は第2の接続モードに従って顧客ネットワークCNに対して通信接続する(ステップS103)。
【0061】
制御部10は、電源装置3に関するデータをPCS通信部12から取得する(ステップS104)。制御部10は、取得したデータを記憶部11に記憶すると共に、有効な有線通信部13又は無線通信部14から管理装置35へ送信する(ステップS105)。
【0062】
制御部10は、リセットボタン161が押下されたか否かを判断する(ステップS106)。リセットボタン161が押下されない場合(S106:NO)、制御部10は、処理をステップS104へ戻す。制御部10は、電源装置3に関するデータの取得及び送信を、継続する。
【0063】
リセットボタン161が押下された場合(S106:YES)、制御部10は、処理をステップS101へ戻す。
【0064】
スイッチ状態が第4の接続モードに対応する場合(S102:YES)、制御部10は、第4の接続モードによる通信処理を試みる(ステップS107)。制御部10は、第4の接続モードによる通信処理を実行すると、処理をステップS103へ戻す。
【0065】
図7は、第4の接続モードによる通信処理の手順の一例を示すフローチャートである。図7は、図6に示したステップS107の通信処理の詳細に対応する。
【0066】
制御部10は、予めメモリに記憶されている無線LANデータ(SSID及び対応するパスワード)を読み出す(ステップS701)。
【0067】
制御部10は、無線通信部14及び無線アンテナからビーコンを発信する(ステップS702)。制御部10は、ステップS701で読み出したSSIDと一致するSSIDを含むリクエストを、保守端末装置2から受信する(ステップS703)。制御部10は、リクエストを受信できない場合、処理をステップS705へ進めてもよい。
【0068】
制御部10は、リクエストの送信元の保守端末装置2に対し、ステップS701で読み出したパスワードに基づく認証が成功するか否かを判断する(ステップS704)。
【0069】
認証が失敗した場合(S704:NO)、所定時間を経過したか否かを判断する(ステップS705)。所定時間を経過していない場合(S705:NO)、制御部10は、ステップS702へ処理を戻す。
【0070】
所定時間を経過した場合(S705:YES)、制御部10は、処理を図6のステップS103へ戻す。この場合、制御部10は、第4の接続モードでの通信を中止して第1の接続モードに従って有線通信部13又は無線通信部14を顧客ネットワークCNへ接続する。
【0071】
所定期間内に認証が成功した場合(S704:YES)、制御部10は、リクエストの送信元の保守端末装置2との通信接続を確立する(ステップS706)。制御部10は、通信接続した保守端末装置2へ、記憶部11に記憶されている電源装置3に関するデータを送信する(ステップS707)。制御部10は、Webサーバとして保守端末装置2からのアクセスを受け付け、Webページデータを送信してもよい。
【0072】
制御部10は、リセットボタン161が押下されたか否かを判断する(ステップS708)。リセットボタン161が押下された場合(S708:YES)、制御部10は、無線通信部14による通信接続を切断し(ステップS709)、図6のステップS101へ処理を戻し、起動時と同様の処理を開始する。リセットボタン161が押下される前にスイッチ162の状態が変わっていれば、制御部10は、変更後の状態に応じて処理を実行する。
【0073】
リセットボタン161が押下されない場合(S708:NO)、制御部10は、第4の接続モードで起動してからの時間が、所定のタイムアウト時間を経過しているか否かを判断する(ステップS710)。タイムアウト時間は、例えば1時間等、保守作業時間に必要な時間にゆとりを持たせた時間である。制御部10のメモリは、タイムアウト時間を記憶する。
【0074】
第4の接続モードでネットワークユニット1を起動してからの経過時間が、所定のタイムアウト時間を経過していない場合(S710:NO)、制御部10は処理をステップS708へ戻す。リセットボタン161が押下されるか、タイムアウト時間が経過するまで、制御部10は、保守端末装置2との通信接続を維持する。この間、制御部10は、保守端末装置2からのリクエストで装置に関するデータの送信を継続してもよい。制御部10は、ネットワークユニット1がもつWebサーバ機能によって、ネットワークユニット1に対する指示を保守端末装置2から受け付けてもよい。
【0075】
第4の接続モードでネットワークユニット1を起動してからの経過時間が、所定のタイムアウト時間を経過した場合(S710:YES)、制御部10は、無線通信部14による通信接続を切断する(ステップS711)。制御部10は、図6のステップS103へ処理を戻す。制御部10は、第1の接続モードに従って顧客ネットワークCNに接続する。保守作業者がスイッチ162の状態を、保守作業を行なう前の状態に戻し忘れても、ネットワークユニット1は、第1の接続モードで顧客ネットワークCNに対し接続する。
【0076】
保守作業者は、電源装置3を利用する顧客の管理区域に保守点検のために赴いた場合、以下の手順で作業を実施する。保守作業者は、予めネットワークユニット1に対応するSSID及びパスワードを記憶した保守端末装置2を携帯して作業場所へ赴く。保守作業者は、顧客の許可を得て、顧客の立ち合いの下、点検対象の電源装置3のネットワークユニット1のスイッチ162の状態を、第4の接続モードに対応させる。保守作業者は、具体的には、スイッチ162のディップスイッチをいずれもON状態にする。保守作業者は、スイッチ162を第4の接続モードに対応させた状態で、ネットワークユニット1のリセットボタン161を押下する。これにより、ネットワークユニット1は、顧客ネットワークCNを介した通信接続と共に、顧客ネットワークCNと独立した通信回線での通信接続が可能になる。顧客が許可する場合、顧客の立ち合いなしで作業が実施される。
【0077】
保守作業者は、保守端末装置2の表示部23及び操作部24を操作し、アクセスポイントとして機能するネットワークユニット1への通信接続を試みる。保守端末装置2は、表示部23に、ネットワークユニット1からのビーコンに含まれるSSIDによって、接続可能なネットワークユニット1の候補を出力できる。操作部24で候補の内のいずれかが選択されると、保守端末装置2は、選択されたネットワークユニット1へリクエストを送信する。これにより、目的のネットワークユニット1と、保守作業者が携帯する保守端末装置2との通信接続が確立される。
【0078】
ネットワークユニット1にてアクセスポイントとして設定されているアドレス帯が、仮に、顧客ネットワークCNで使用されているアドレス帯と重複する場合、ネットワークユニット1は、サブデータを用いて無線通信を試みる(サブの異なるセグメントIPに自動的に切り替わる)。保守端末装置2は、メインデータ用の無線通信部14との通信を確立させられなかった場合、操作部24での保守作業者からの操作に応じて、サブデータ用の無線通信部14との通信の選択を行なってもよい。つまり、保守作業者は、操作部24で、サブデータ用の無線通信部14との通信に切り替える。
【0079】
通信接続が確立されると、保守端末装置2は自動的に、ネットワークユニット1を介して、電源装置3に関するデータを取得し、記憶部21に記憶する。保守端末装置2の制御部20は、データを電源装置3の識別データ、又はネットワークユニット1の識別データと共に記憶部21に記憶してもよい。
【0080】
保守作業者は、保守端末装置2による電源装置3に関するデータの取得が完了すると、スイッチ162を第1又は第2の接続モードに対応する状態に戻し、リセットボタン161を押下する。ネットワークユニット1は、第1又は第2の接続モードで顧客ネットワークCNに接続し、電源装置3に関するデータの取得及び送信を継続する通常モードに戻る。
【0081】
上述したように、ネットワークユニット1は、顧客ネットワークCNへの接続を維持したまま、特定の保守端末装置2との通信接続を実現する。保守端末装置2はネットワークユニット1と容易に接続できると共に、顧客ネットワークCNに接続しない。これにより、保守作業者は、円滑に且つ顧客ネットワークCNに対して安全に作業できる。また、電源装置3は常時的に電力サーバと通信接続が可能な状態を維持でき、出力制御スケジュールの取得が保守によって阻害されない。
【0082】
上述の例では、ネットワークユニット1は、無線通信部14を介して保守端末装置2と通信接続した。ネットワークユニット1は、第4の接続モードにおいて、無線通信部14から管理装置35へ装置に関するデータを送信しつつ、有線通信部13により、設定されているIPアドレスで、保守端末装置2とP2P通信してもよい。
【0083】
上述のように開示された実施の形態は全ての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0084】
1 ネットワークユニット
10 制御部
11 記憶部
12 PCS通信部
13 有線通信部
14 無線通信部
16 操作部
161 リセットボタン
162 スイッチ
1P 制御プログラム
2 保守端末装置(通信装置)
23 表示部
3,3a,3b パワーコンディショナ(電源装置)
30 制御部(電源装置制御部)
31 インバータ(電力変換器)
CN 顧客ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8