(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171284
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】面光源装置および表示装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20221104BHJP
F21V 3/00 20150101ALI20221104BHJP
F21V 5/00 20180101ALI20221104BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20221104BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20221104BHJP
【FI】
F21S2/00 481
F21V3/00 320
F21V3/00 530
F21V5/00 510
G02F1/13357
F21Y115:10 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021077852
(22)【出願日】2021-04-30
(71)【出願人】
【識別番号】000208765
【氏名又は名称】株式会社エンプラス
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼鳥 洋
【テーマコード(参考)】
2H391
3K244
【Fターム(参考)】
2H391AA12
2H391AB04
2H391AB14
2H391AB21
2H391AD33
2H391EA26
3K244AA01
3K244BA01
3K244BA08
3K244BA20
3K244BA27
3K244BA39
3K244BA50
3K244CA02
3K244DA01
3K244DA22
3K244FA03
3K244GA01
3K244GA02
3K244GA03
3K244GA04
3K244GA05
3K244GA10
(57)【要約】
【課題】複数の光束制御部材を有していても輝度ムラを抑制できる面光源装置を提供すること。
【解決手段】面光源装置は、少なくとも1つの発光素子および少なくとも1つの発光素子から出射された光の配光を制御するための光束制御部材をそれぞれ含む複数の発光装置と、光透過性を有する粒子を含み、複数の発光装置から出射された光を拡散しつつ、透過させるための光拡散部材を含む光学シートとを有する。粒子の数平均粒子径をAμmとし、光拡散部材における粒子の割合をB重量%としたとき、面光源装置は、0.4≦A≦10および0.4647A+0.2169≦B≦2.3119A+2.5103を満たす。
【選択図】
図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの発光素子および前記少なくとも1つの発光素子から出射された光の配光を制御するための光束制御部材をそれぞれ含む複数の発光装置と、
光透過性を有する粒子を含み、前記複数の発光装置から出射された光を拡散しつつ、透過させるための光拡散部材を含む光学シートと、
を有し、
前記粒子の数平均粒子径をAμmとし、前記光拡散部材における前記粒子の割合をB重量%としたとき、以下の式(1)および式(2)を満たす、
面光源装置。
0.4≦A≦10 式(1)
0.4647A+0.2169≦B≦2.3119A+2.5103 式(2)
【請求項2】
以下の式(3)をさらに満たす、請求項1に記載の面光源装置。
0.4647A+0.5353≦B≦2.3119A+0.8762 式(3)
【請求項3】
前記粒子は、シリコーン粒子である、請求項1または請求項2に記載の面光源装置。
【請求項4】
前記光拡散部材は、複数の前記発光装置と対向する面に複数の凸部または複数の凹部を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の面光源装置。
【請求項5】
前記複数の発光装置は、それぞれ、
複数の発光素子と、
前記複数の発光素子から出射された光の配光を制御するための前記光束制御部材と、
を有する、
請求項1~4のいずれか一項に記載の面光源装置。
【請求項6】
前記複数の発光装置は、それぞれ、
1つの発光素子と、
前記発光素子から出射された光の配光を制御するための前記光束制御部材と、
を有する、
請求項1~4のいずれか一項に記載の面光源装置。
【請求項7】
平面視したときの前記複数の発光装置のうち互いに隣接する2つの発光装置の重心間距離をPとし、前記複数の発光装置が配置される基板および前記光拡散部材の間の間隔をHとしたときに、以下の式(4)を満たす、請求項5に記載の面光源装置。
0.08≦H/P≦0.22 式(4)
【請求項8】
平面視したときの前記複数の発光装置のうち互いに隣接する2つの発光装置の重心間距離をPとし、前記複数の発光装置が配置される基板および前記光拡散部材の間の間隔をHとしたときに、以下の式(5)を満たす、請求項6に記載の面光源装置。
H/P≧0.35 式(5)
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の面光源装置と、
前記面光源装置から出射された光を照射される表示部材と、
を有する、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面光源装置および表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置などの透過型画像表示装置では、光源として複数の発光素子を有する、直下型の面光源装置が使用されている。また、直下型の面光源装置では、広い範囲に光を照射するために多くの発光素子が配置されることがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、複数の光源と、片面が光学レンズとなった基板および光学レンズの上に配置された拡散層とを含む光拡散プレートと、を有するバックライトモジュールが開示されている。基板における光源と対向する面と反対側の面には、複数の凸部が形成されている。拡散層は、拡散層の複数の凸部に倣って、その表面が凸部となるように基板上に配置されている。特許文献1に記載のバックライトモジュールでは、複数の光源から出射された光は、光拡散プレートによって、均一に出射されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の光拡散プレートを有する面光源装置(バックライトモジュール)において、複数の光源(例えば発光ダイオード)および光拡散プレートの間に、各光源から出射された光の配光を制御するための複数の光束制御部材を配置することが考えられる。しかしながら、複数の光束制御部材を配置すると、ある光束制御部材から出射された光が他の光束制御部材に入射することを繰り返して、1つの光源から出射された光が複数の光束制御部材を伝播してしまうおそれがある。このように光が複数の光束制御部材を伝播してしまうと、面光源装置(バックライトモジュール)における輝度分布に輝度ムラが生じてしまうことがある。
【0006】
本発明の目的は、複数の光束制御部材を有していても輝度ムラを抑制できる面光源装置を提供することである。また、本発明の別の目的は、当該面光源装置を有する表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施の形態に係る面光源装置は、少なくとも1つの発光素子および前記少なくとも1つの発光素子から出射された光の配光を制御するための光束制御部材をそれぞれ含む複数の発光装置と、光透過性を有する粒子を含み、前記複数の発光装置から出射された光を拡散しつつ、透過させるための光拡散部材を含む光学シートと、を有し、前記粒子の数平均粒子径をAμmとし、前記光拡散部材における前記粒子の割合をB重量%としたとき、以下の式(1)および式(2)を満たす。
0.4≦A≦10 式(1)
0.4647A+0.2169≦B≦2.3119A+2.5103 式(2)
【0008】
本発明の一実施の形態に係る表示装置は、本発明の面光源装置と、前記面光源装置から出射された光を照射される表示部材と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の光束制御部材を有していても輝度ムラを抑制した面光源装置を提供できる。また、本発明によれば、当該面光源装置を有する表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1A、Bは、本発明の実施の形態1に係る面光源装置の構成を示す図である。
【
図2】
図2A、Bは、本発明の実施の形態1に係る面光源装置の構成を示す他の図である。
【
図4】
図4、Bは、本発明の実施の形態1における光束制御部材の構成を示す図である。
【
図5】
図5A~Cは、光拡散部材の一例を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、シミュレーション1の条件を説明するための模式図である。
【
図7】
図7A~Cは、輝度ムラ強調を示す図である。
【
図8】
図8A~Cは、発光装置の重心からの距離と、輝度ムラ強調とを示すグラフである。
【
図9】
図9は、発光装置の重心からの距離と、輝度ムラ強調の差とを示すグラフである。
【
図10】
図10A、Bは、シミュレーション2の条件を説明するための模式図である。
【
図14】
図14A、Bは、光拡散部材における粒子の割合と、
図12A、Bの一階微分値との関係を示すグラフである。
【
図15】
図15A、Bは、光拡散部材における粒子の割合と、
図12A、Bの一階微分値との関係を示す他のグラフである。
【
図16】
図16は、粒子の数平均粒子径と、光拡散部材における粒子の割合との関係を示すグラフである。
【
図17】
図17A、Bは、本発明の実施の形態2における面光源装置の断面図である。
【
図18】
図18A~Dは、本発明の実施の形態2における光束制御部材の構成を示す図である。
【
図19】
図19は、発光装置間の距離に対する基板および光拡散部材の間の間隔と、輝度分布との関係を説明するための表である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明では、本発明に係る面光源装置の代表例として、液晶表示装置のバックライトなどに適する面光源装置について説明する。これらの面光源装置は、面光源装置からの光を照射される表示部材102(例えば液晶パネル)と組み合わせることで、表示装置100’として使用されうる(
図1B参照)。
【0012】
[実施の形態1]
(面光源装置および発光装置の構成)
図1A、B、
図2A、Bおよび
図3は、本発明の実施の形態1に係る面光源装置100の構成を示す図である。
図1Aは、面光源装置100の平面図であり、
図1Bは、正面図である。
図2Aは、
図1Bに示されるA-A線の断面図であり、
図2Bは、
図1Aに示されるB-B線の断面図である。
図3は、
図2Bの一部を拡大した部分拡大断面図である。
【0013】
図1A、B、
図2A、Bおよび
図3に示されるように、本実施の形態に係る面光源装置100は、筐体110と、複数の発光装置120と、光拡散部材141を含む光学シート140とを有する。なお、本実施の形態では、光拡散部材141は、発光装置120に一番近い位置に配置されている。複数の発光装置120は、筐体110の底板112上に配置された基板116上に配置されている。底板112または基板116は、その表面に反射シートが配置され、その反射シートの表面が拡散反射面として機能してもよいし、底板112または基板116の表面が拡散反射面として機能してもよい。本実施の形態では、基板116の表面が拡散反射面として機能する。また、筐体110の天板114には、開口部が設けられている。光学シート140は、この開口部を塞ぐように配置されており、発光面として機能する。発光面の大きさは、特に限定されないが、例えば約400mm×約700mmである。
【0014】
基板116の表側の面および光拡散部材141の裏側の面の間隔H(
図10B参照)は、光束制御部材122の平面視形状や発光素子121の数で、それぞれ異なる。詳細は後述するが、本実施の形態では、光束制御部材122の平面視形状が略矩形であり、発光素子121が複数であるため、基板116の表側の面および光拡散部材141の裏側の面の間隔Hは、2~5mmが好ましく、2~3mmがより好ましい。
【0015】
図3に示されるように、複数の発光装置120は、基板116上に固定されている。基板116は、筐体110の底板112上の所定の位置に固定されている。発光装置120は、発光素子121および光束制御部材122を有する。なお、本実施の形態では、脚部を省略している。光束制御部材122が脚部を有することにより、発光素子121が実装された基板116と光束制御部材122の裏面との間に、発光素子121から発せられる熱を外部に逃がすための隙間が形成される(
図3参照)。
【0016】
複数の発光装置120は、それぞれ、その中心が四角格子(マトリックス状)の格子点と重なるように配置されている。四角格子の辺に沿う第1の方向において、隣接する2つの発光装置120の重心間距離は、例えば、16~30mmの範囲内である。本実施の形態では、第1の向における発光装置120の重心間距離は、約23~24mmである。第1の方向に直交する第2の方向において、隣接する2つの発光装置120の重心間距離は、例えば、16~30mmの範囲内である。本実施の形態では、第2の方向における発光装置120の重心間距離は、約23~24mmである。第1の方向および第2の方向における重心間距離Pが短い場合、発光装置120の数が増えてしまい、製造コストが高くなるおそれがある。一方、当該重心間距離Pが長い場合、表示部材に対して均一に光を照射できないおそれがある。なお、本明細書において、発光装置120の重心間距離とは、複数の発光装置120を平面視したときの、隣接する2つの発光装置120の重心間の距離を意味する。
【0017】
詳細は後述するが、複数の発光装置120のうち互いに隣接する2つの発光装置120の重心間距離P(mm)と、基板116の表側の面および光拡散部材141の裏側の面の間隔H(mm)とは、以下の式(4)を満たすことが好ましい。
0.08≦H/P≦0.22 式(4)
この条件を満たす場合に、光学シート140(光拡散部材141)の効果がより発揮される。なお、H/Pの下限値は、発光装置120の厚みを考慮した最小値である。また、H/Pの上限値については後述する。
【0018】
発光素子121は、面光源装置100の光源であり、基板116上に格子状(マトリックス状)に実装されている。発光素子121は、例えば青色発光ダイオード、白色発光ダイオード、RGB発光ダイオードなどの発光ダイオード(LED)である。また、発光素子121の種類は、特に制限されないが、天面および側面から光を出射する発光素子121(例えば、COB型発光ダイオード)が、本実施の形態に係る発光装置120において好適に用いられる。発光素子121の一辺の大きさは、特に制限されないが、0.1~0.6mmの範囲内が好ましく、0.1~0.3mmの範囲内がより好ましい。本発明において、より小さいLEDを用いる方が、より適切に配光でき、輝度ムラの少ない光学制御部材を得ることができる。例えば発光素子121の大きさは、0.2mm×0.38mmである。
【0019】
(光束制御部材の構成)
図4A、Bは、本発明の実施の形態1における光束制御部材122の構成を示す図である。
図4Aは、光束制御部材122の平面図である。
図4Bは、
図4Aに示されるA-A線の断面図である。
【0020】
図3および
図4A、Bに示されるように、光束制御部材122は、発光素子121から出射された光の配光を制御する光学部材であり、基板116上に固定されている。光束制御部材122は、複数の入射ユニット123と、出射ユニット124とを有する。光束制御部材122は、各入射ユニット123(入射面131)の中心軸CAが各発光素子121の光軸LAに一致するように、複数の発光素子121の上に配置されている。なお、本実施の形態に係る光束制御部材122において、光束制御部材122の入射ユニット123(入射面131および反射面132)は回転対称である。入射ユニット123の回転軸を「入射ユニット123、入射面131または反射面132の中心軸CA」という。また、「発光素子121の光軸LA」とは、発光素子121からの立体的な出射光束の中心の光線を意味する。発光素子121が実装された基板116と光束制御部材122の裏面との間には、発光素子121から発せられる熱を外部に逃がすための隙間が形成されていてもよいし、形成されていなくてもよい。本実施の形態では、発光素子121が実装された基板116と光束制御部材122の裏面との間には、発光素子121から発せられる熱を外部に逃がすための隙間が形成されている。
【0021】
光束制御部材122は、一体成形により形成されている。光束制御部材122の材料は、例えば所望の波長の光を通過させ得る光透過性樹脂またはガラスである。光透過性樹脂の例には、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)やポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂(EP)が含まれる。光束制御部材122の平面視形状は、特に限定されない。光束制御部材122の平面視形状は、円形でもよいし、楕円形でもよいし、多角形でもよい。光束制御部材122の平面視形状が多角形の場合には、その角部が面取りされた略多角形の形状でもよい。本実施の形態では、光束制御部材122の平面視形状は、角部が面取りされた略正方形(略矩形)の形状である。
【0022】
複数の入射ユニット123は、発光素子121から出射された光をそれぞれ入射させる。入射ユニット123は、発光素子121から出射された光を入射させる入射面131と、入射面131で入射した光を出射ユニット124に向けて反射させる反射面132とを有する。
【0023】
入射面131は、光束制御部材122の裏側に配置され、発光素子121と対向する位置に形成された凹部の内面である。入射面131は、発光素子121から出射された光の大部分を、その進行方向を制御しつつ光束制御部材122の内部に入射させる。入射面131は、発光素子121の光軸LAと交わり、光軸LAに対して回転対称(円対称)である。入射面131の形状は、特に限定されず、入射面131で入射した光が反射面132、第1出射面133および第3出射面135に向かうように設定される。本実施の形態では、入射面131は、発光素子121の光軸LAから離れるにつれて基板116からの距離が徐々に長くなり、その後、発光素子121の光軸LAから離れるにつれて基板116からの距離が徐々に短くなるような形状である。
【0024】
反射面132は、光束制御部材122の表側において入射面131を挟んで発光素子121と対向する位置に配置され、入射面131で入射した光を発光素子121の光軸LAから離れるように側方方向に反射させる。ここで、側方方向とは、光束制御部材122の外縁方向を意味しているのではなく、中心軸CAを中心に360°径方向の外へ向かうことを意味する。
【0025】
反射面132を上記のように構成することで、反射面132は、入射面131で入射した光が上方に抜けるのを抑制して発光素子121の直上に明部が発生するのを防ぐとともに、複数の発光素子121間に光を導いて発光素子121の間に暗部が発生するのも防ぐ。反射面132の形状は、入射面131から入射した光を側方に反射させることができれば特に制限されない。反射面132は、例えば、発光素子121の光軸LAに対して回転対称(円対称)であり、かつ、発光素子121の光軸LAから離れるにつれて表側に向かう(基板116から離れる)ように構成されていてもよい。
【0026】
この回転対称の中心部分から外周部分にかけての母線は、発光素子121の光軸LAに対して傾斜した曲線または直線である。反射面132は、入射面131の中心軸CAを回転軸として、この母線を360°回転させた状態の凹面である。本実施の形態では、この母線は、直線である。
【0027】
出射ユニット124は、複数の入射ユニット123で入射した光を導光しながら出射させる。本実施の形態では、出射ユニット124は、光束制御部材122の外周部に配置された第1出射ユニット125と、光束制御部材122の中央に配置された第2出射ユニット126とを有する。出射ユニット124は、第1出射ユニット125および第2出射ユニット126に到達した光が出射することを促進するための出射促進部を有する。
【0028】
第1出射ユニット125は、光束制御部材122の表側の面に配置された第1出射面133と、光束制御部材122の裏側の面に配置された第2出射面134とを有する。
【0029】
第1出射面133の形状は、特に制限されない。本実施の形態では、第1出射面133は、光束制御部材122の辺に沿う第1の方向では曲率を有し、この辺に垂直な第2の方向では曲率を有しない凹面である。
【0030】
第2出射面134の形状は、特に制限されない。本実施の形態では、第2出射面134は、隣接する角に配置された2つの入射面131の中心軸CAを含む断面形状が略台形状の2つの凹部の内面の形状である。
【0031】
第2出射ユニット126は、光束制御部材122の表側の面に配置された第3出射面135と、光束制御部材122の裏側の面に配置された第4出射面136とを有する。
【0032】
第3出射面135の形状は、特に限定されない。本実施の形態では、第3出射面135は、上下逆に配置された円錐台の上底および側面の一部により構成される凹面である。
【0033】
第4出射面136の形状は、特に限定されない。本実施の形態では、第4出射面136は平面である。
【0034】
なお、出射促進部の構成は、上記機能を発揮することができれば、特に限定されない。例えば、出射促進部は、第1出射ユニット125または第2出射ユニット126に配置されている。第1出射ユニット125の出射促進部は、例えば第1出射面133および第2出射面134のうちの少なくとも1つに配置された、凹面、粗面、フレネル面、溝および貫通孔からなる群より選ばれる少なくとも1つ以上であってもよい。第2出射ユニット126の出射促進部は、例えば第3出射面135および第4出射面136のうちの少なくとも1つに配置された、凹面、粗面、フレネル面、溝および貫通孔からなる群より選ばれる少なくとも1つ以上であってもよい。
【0035】
光学シート140は、光拡散部材141を含む。光学シート140の構成は、光拡散部材141を含んでいれば、特に限定されない。光学シート140は、1枚のシート状部材で構成されていてもよいし、複数枚のシート状部材で構成されていてもよい。本実施の形態では、光学シート140は、複数枚のシート状部材で構成されている。具体的には、本実施の形態では、光学シート140は、発光装置120側から順に、光拡散部材141と、量子ドットシート142と、第1プリズムシート143と、第2プリズムシート144と、二重輝度向上フィルム(Dual Brightness Enhancement Film;DBEF(登録商標))145とを有する。また、その他の光学シート140のシート状部材の例には、光拡散部材141と、プリズムシート143、144との積層体が含まれる。通常、光学シート140は、液晶パネルなどの表示部材とほぼ同じ大きさである。
【0036】
光拡散部材141は、光拡散性を有する板状の部材であり、発光装置120からの出射光を拡散させつつ透過させる。たとえば、光拡散部材141は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、スチレン・メチルメタクリレート共重合樹脂(MS)などの光透過性樹脂により形成される。光拡散性を付与するため、光拡散部材141は、その内部に光透過性を有する粒子を含んでいる。また、光拡散部材141は、その表面に微細な凹凸が形成されていてもよい。実施の形態では、光拡散部材141は、光透過性の粒子を含んでおり、かつその表面に複数の凸部が配置されている。
【0037】
図5A~Cは、光拡散部材141の凸条、凸部または凹部を説明するための図である。
図5Aは、複数の凸条141aを有する光拡散部材141の表面構造を示す斜視図であり、
図5Bは、複数の凸部141bを有する光拡散部材141の表面構造を示す斜視図であり、
図5Cは、複数の凹部141cを有する光拡散部材141の表面構造を示す斜視図である。
【0038】
光拡散部材141は、
図5Aに示されるように複数の凸条141aを有していてもよいし、
図5Bに示されるように複数の凸部141bを有していてもよいし、
図5Cに示されるように複数の凹部141cを有していてもよい。複数の凸条141a、複数の凸部141b、または複数の凹部141cは、光拡散部材141における光束制御部材122側の面(裏側の面)に配置されている。
【0039】
複数の凸条141aの大きさは、全て同じ大きさでもよいし、それぞれ異なる大きさでもよい。本実施の形態では、複数の凸条141aの大きさは、全て同じ大きさである。複数の凸条141aは、互いに隙間なく配置されてもよいし、互いに離間して配置されてもよい。本実施の形態では、複数の凸条141aは、互いに隙間なく配置されている。複数の凸条141aが隙間なく配置されることで、発光装置120から出射された光のうち、多くの光を光拡散部材141に入射させることができる。また、発光装置120から出射される光を屈折、集光させることができる。なお、複数の凸条141aが離間して配置される場合には、隣り合う凸条141aの間には平面が形成される。
【0040】
複数の凸部141bまたは数の凹部141cの大きさは、全て同じ大きさでもよいし、それぞれ異なる大きさでもよい。本実施の形態では、複数の凸部141bまたは複数の凹部141cの大きさは、全て同じ大きさである。凸部141bまたは複数の凹部141cの数は、面光源装置100の発光面の大きさおよび凸部141bまたは複数の凹部141cの大きさに基づいて設定される。複数の凸部141bまたは複数の凹部141cは、隙間なく配置されてもよいし、離間して配置されてもよい。本実施の形態では、複数の凸部141bまたは複数の凹部141cは、隙間なく配置されている。複数の凸部141bまたは複数の凹部141cが隙間なく配置されることで、発光装置120から出射された光のうち、多くの光を光拡散部材141に入射させることができる。または、発光装置120から出射される光を屈折、集光させることができる。なお、複数の凸部141bまたは複数の凹部141cが離間して配置される場合には、隣り合う凸部141bまたは複数の凹部141cの間には平面が形成される。なお、本実施の形態では、凸部141bまたは凹部141cの形状は、四角錐形状である。
【0041】
粒子の種類は、光透過性を有していれば特に限定されない。光透過性の粒子の例には、シリコーン粒子、シリカ粒子、メラミン・ホルムアルデヒド縮合体粒子が含まれる。粒子は、光拡散部材141を構成する光透過性樹脂に対して均一に分散する観点から、シリコーン粒子が好ましい。粒子の数平均粒子径は、0.4~10μmの範囲内が好ましい。
【0042】
光拡散部材141に対する粒子の割合は、粒子の数平均粒子径に応じて設定される。粒子の数平均粒子径をAμmとし、光拡散部材141における粒子の割合をB重量%としたとき、以下の式(1)および式(2)を満たす。
0.4≦A≦10 式(1)
0.4647A+0.2169≦B≦2.3119A+2.5103 式(2)
また、AとBとの関係は、以下の式(3)を満たすことがより好ましい。
0.4647A+0.5353≦B≦2.3119A+0.8762 式(3)
上記の式(1)、式(2)および式(3)の詳細については後述するが、少なくとも上記式(1)および式(2)を満たすことにより、輝度ムラが生じるのを抑制できる。
【0043】
市販されている粒子としては、例えば、シリコーン粒子(TSR9500 数平均粒子径4.5μm、XC99-A8808 数平均粒子径0.7μm、;モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社)、メラミン・ホルムアルデヒド縮合体粒子(S6 数平均粒子径0.4μm、株式会社日本触媒)、シリカ粒子(KE-P 数均粒子径0.3μm、株式会社日本触媒)が知られている。
【0044】
量子ドットシート142は、例えば、第1量子ドットおよび第2量子ドットを含むシート状の部材であり、発光装置120から出射された青色の光を白色の光に変換させつつ、透過させる。本実施の形態では、量子ドットシート142は、波長が380~485nmの光の少なくとも一部を波長が605~780nmの赤色の光に変換させる第1量子ドットと、波長が380~485nmの光の少なくとも一部を波長が500~585nmの緑色の光に変換させる第2量子ドットとを含む。第1量子ドットおよび第2量子ドットの例には、CdS、CdSe、CdTe、InPが含まれる。
【0045】
本実施の形態では、第1量子ドットおよび第2量子ドットを用いて白色の光を出射するようにしている。具体的には、第1量子ドットにより、波長が380~485nmの青色の光の少なくとも一部を波長が625~780nmの間の赤色の光に変換する。また、第2量子ドットにより、波長が380~485nmの青色の光の少なくとも一部を波長が500~585nmの間の緑色の光に変換する。そして、変換された赤色の光と、変換された緑色の光と、光学シート140を透過した青色の光が合わさることで白色の光が出射される。
【0046】
第1プリズムシート143は、複数の第1凸条を有し、到達した光の進行方向を制御しつつ、透過させる。複数の第1凸条の第1稜線は、直線であり、かつ互いに平行となるように配置されている。第1凸条は、発光装置120側に配置されていてもよいし、二重輝度向上フィルム145側に配置されていてもよい。
【0047】
第2プリズムシート144は、複数の第2凸条を有し、到達した光の進行方向を制御しつつ、透過させる。複数の第2凸条の第2稜線は、直線であり、かつ互いに平行となるように配置されている。第2凸条は、発光装置120側に配置されていてもよいし、二重輝度向上フィルム145側に配置されていてもよい。
【0048】
第1凸条の第1稜線と、第2凸条の第2稜線とは、平面視したときに交差していることが好ましい。
【0049】
二重輝度向上フィルム145は、多層薄膜技術に基づく反射型偏光フィルムである。
【0050】
(シミュレーション1)
ここで、発光装置120の重心間距離Pに対する基板116および光拡散部材141の間の間隔Hと、輝度ムラ強調との関係について調べた。
図6は、輝度分布の測定条件を説明するための図である。本シミュレーションでは、
図6における中央に配置された1個の発光装置120における4個の発光素子121のみ点灯させた。本シミュレーションでは、光拡散部材として、上記式(1)および式(2)を満たす光拡散部材141を使用した。光拡散部材141の厚みは、2mmである。光束制御部材122の一辺の大きさは、9.0mmである。
図6のX方向における発光装置120の重心間距離は24mmであり、
図6のY方向における発光装置120の重心間距離Pも、24mmである。また、基板116および光拡散部材141の間隔Hは、2mm、3mm、または4mmである。光学シート140として、上記の光拡散部材141、量子ドットシート142、第1プリズムシート143(BEFIII;スリーエム ジャパン株式会社)、第2プリズムシート144(BEFIII;スリーエム ジャパン株式会社)および二重輝度向上フィルム(DBEF)450を使用した。
【0051】
図7A~Cは、本実施の形態における光束制御部材122を使用した面光源装置100の輝度ムラ強調の分布を示している。
図7Aは、基板116および光学シート140の間隔Hが2mmの面光源装置100の輝度ムラ強調の分布を示している。
図7Bは、基板116および光学シート140の間隔Hが3mmの面光源装置100の輝度ムラ強調の分布を示している。
図7Cは、基板116および光学シート140の間隔Hが4mmの面光源装置100の輝度ムラ強調の分布を示している。
【0052】
図7A~Cに示されるように、基板116および光学シート140の間隔Hが長くなるほど、輝度ムラ強調が弱まることがわかる。
【0053】
図8A~Cは、輝度ムラ強調を示したグラフである。
図8Aは、
図7Aに対応した輝度ムラ強調を示したグラフである。
図8Bは、
図7Bに対応した輝度ムラ強調を示したグラフである。
図8Cは、
図7Cに対応した輝度ムラ強調を示したグラフである。
図8A~Cの横軸は、基板116および光拡散部材141の間隔H(mm)を示している。
図8A~Cの縦軸は、輝度ムラ強調(%)を示している。なお、「輝度ムラ強調」は、測定するピクセルの輝度をLvaとし、周囲のピクセルの平均輝度をLvbとしたとき、{(Lva-Lvb)/Lvb}×100で表すことのできる値である。なお、本シミュレーションでは、Lvbは、測定するピクセルを中心として66ピクセル(X方向およびY方向に約2mmずつ)の輝度の平均値である。
図8A~Cでは、
図6AのA-A線上の輝度ムラ強調について示している。
【0054】
図8A~Cにおいて、発光装置120の重心から+222mm付近および-22mm付近の谷部は、面光源装置100における隣接する発光装置120の間の領域に位置し、発光装置120の重心から+38mm付近および-38mm付近の山部は、発光素子121を点灯した発光装置120に隣接する発光装置120の、点灯した発光装置120から遠い側の側面付近に相当する。よって、山部における輝度ムラ強調と、谷部における輝度ムラ強調との差が少なくなれば、輝度ムラが抑制されていることがわかる。
【0055】
次いで、
図8A~Cに示された、基板116および光拡散部材141の間隔Hと、輝度ムラ強調の差とをプロットした。
図9は、基板116および光学シート140の間隔Hと、輝度ムラ強調の差との関係を示すグラフである。
図9に示される直線L1は、基板116および光拡散部材141の間隔Hと、輝度ムラ強調とを用いて、最小二乗法により求めた近似直線である。直線L1は、基板116および光学シート140の間隔HをXとし、輝度ムラ強調をYとしたときに、Y=-5.60000X×29.83333で表すことができる直線である。「輝度ムラ強調の差」とは、面光源装置100における隣接する発光装置120の間の領域における谷部の輝度ムラ強調と、発光素子121を点灯した発光装置120に隣接する発光装置120の、点灯した発光装置120から遠い側の側面付近の山部との差を意味する。
【0056】
図9に示されるように、基板116および光拡散部材141の間隔Hが長くなるほど、輝度ムラが弱まることがわかった。また、上述したように輝度ムラ強調の差が0になれば輝度ムラが生じない。これにより、輝度ムラが生じなくなる基板116および光学シート140の間隔Hは、約5.23mmだった。上述したように、本シミュレーションにおける重心間距離は、約24mmであるため、H/Pが約0.22以下であれば、本発明の効果が顕著に現れることがわかる。
【0057】
(シミュレーション2)
次いで、面光源装置100の発光装置120の直上における輝度分布について調べた。
図10A、Bは、シミュレーション2の条件を説明するための模式図である。
図10Aは、輝度分布の測定に使用した装置の部分拡大平面図である。
図10Bは、
図10Aに示されるA-A線の部分拡大断面図である。
【0058】
図10に示されるように、本シミュレーションでは、3つの発光装置120を一列に並べ、中央の1つの発光装置120の4つの発光素子121のみを点灯させたときの
図10AのA-A線上の輝度分布について調べた。隣接する発光素子121の間隔は、12mmとした。発光装置120の間隔は、24mmとした。光学シート140の要素は、シミュレーション1と同様であり、本シミュレーションでは、光拡散部材141における粒子の割合は、0.25重量%、0.50重量%、1.0重量%、2.0重量%、3.0重量%、4.0重量%、5.0重量%、または10.0重量%とした。また、シリコーン粒子の数平均粒子径は、2.0μmとした。
【0059】
なお、粒子の数平均粒子径が1μmおよび2μmの場合には、粒子の割合が0.25重量%、0.5重量%、1.0重量%、2.0重量%、2.5重量%、3.0重量%、4.0重量%、5.0重量%、6.0重量%、8.0重量%、10.0重量%および12.0重量%の場合について調べたが、以下に示す結果以外の結果は、省略する。また、粒子の数平均粒子径が4.5μmの場合には、粒子の割合が0.25重量%、0.5重量%、1.0重量%、1.5重量%、2.0重量%、3.0重量%、5.0重量%、7.5重量%、10.0重量%、13.0重量%、15.0重量%、17.0重量%、20.0重量%および30.0重量%の場合について調べたが、以下に示す結果以外の結果は、省略する。また、粒子の数平均粒子径が10.0μmの場合には、粒子の割合が0.25重量%、0.5重量%、1.0重量%、2.0重量%、3.0重量%、4.0重量%、5.0重量%、8.0重量%、10.0重量%、15.0重量%、18.0重量%、20.0重量%、23.0重量%、25.0重量%、27.0重量%および30.0重量%の場合について調べたが、以下に示す結果以外の結果は、省略する。
【0060】
図11A、Bおよび
図12A、Bは、光束制御部材122(発光装置120)の中心からの距離(mm)と、光学シート140の表面における輝度(cd/m
2)との関係を示すグラフである。
図12A、Bは、
図11A、Bの部分拡大図である。
図11Aおよび
図12Aの実線は、粒子の割合が0.25重量%の光拡散部材141を用いた場合の結果を示しており、破線は、粒子の割合が0.5重量%の光拡散部材141を用いた場合の結果を示しており、点線は、粒子の割合が1.0重量%の光拡散部材141を用いた場合の結果を示しており、一点鎖線は、粒子の割合が2.0重量%の光拡散部材141を用いた場合の結果を示しており、二点鎖線は、粒子の割合が2.5重量%の光拡散部材141を用いた場合の結果を示している。
図11Bおよび
図12Bの実線は、粒子の割合が0.25重量%の光拡散部材141を用いた場合の結果を示しており、破線は、粒子の割合が3.0重量%の光拡散部材141を用いた場合の結果を示しており、点線は、粒子の割合が4.0重量%の光拡散部材141を用いた場合の結果を示しており、一点鎖線は、粒子の割合が5.0重量%の光拡散部材141を用いた場合の結果を示しており、二点鎖線は、粒子の割合が10.0重量%の光拡散部材141を用いた場合の結果を示している。なお、
図11A、Bでは、ノイズ除去のため、-2~+2mmの範囲で平均化した結果を示している。
図11A、Bおよび
図12A、Bの横軸は光束制御部材122の中心からの距離(mm)を示しており、縦軸は光学シート140の表面における輝度(cd/m
2)を示している。
【0061】
図11A、Bおよび
図12A、Bに示されるように、光束制御部材122(発光装置120)の中心から+30mm付近および-30mm付近に輝度値が減少から増加に転じる領域が存在することがわかる。この領域は、面光源装置100において、輝度ムラが生じている領域と一致する。この輝度ムラは、中央の光束制御部材122から出射された光が隣接する光束制御部材122に入射し、出射された光に起因する。
【0062】
次いで、光学シート140上において、輝度ムラが生じている領域を特定するために、
図12A、Bに示される曲線の一階微分に対応する曲線を示すグラフを求めた。
図13A、Bは、
図12A、Bに示される曲線の一階微分に対応する曲線を示すグラフである。
図13Aの実線は、粒子の割合が0.25重量%の光拡散部材141を用いた場合の結果を示しており、破線は、粒子の割合が0.50重量%の光拡散部材141を用いた場合の結果を示しており、点線は、粒子の割合が1.0重量%の光拡散部材141を用いた場合の結果を示しており、一点鎖線は、粒子の割合が2.0重量%の光拡散部材141を用いた場合の結果を示しており、二点鎖線は、粒子の割合が2.5重量%の光拡散部材141を用いた場合の結果を示している。
図13Bの実線は、粒子の割合が0.25重量%の光拡散部材141を用いた場合の結果を示しており、破線は、粒子の割合が3.0重量%の光拡散部材141を用いた場合の結果を示しており、点線は、粒子の割合が4.0重量%の光拡散部材141を用いた場合の結果を示しており、一点鎖線は、粒子の割合が5.0重量%の光拡散部材141を用いた場合の結果を示しており、二点鎖線は、粒子の割合が10.0重量%の光拡散部材141を用いた場合の結果を示している。
図13A、Bの横軸は光束制御部材の中心からの距離(mm)を示しており、縦軸は一階微分値を示している。
【0063】
図12A、Bおよび
図13A、Bに示されるように、いくつかの曲線において、一階微分値が正の領域にプロットされていることがわかる。これは、光拡散部材141における輝度分布で、輝度ムラが発生している領域と一致している。この輝度ムラは、上述したように、中央の光束制御部材122から出射された光が隣接する光束制御部材122に入射し、出射された光に起因する。
【0064】
図12A、Bおよび
図13A、Bに示されるように、輝度ムラには、粒子の数平均粒子径と、光拡散部材141における粒子の割合とが関与していることがわかる。
【0065】
次いで、各数平均粒子径において、光拡散部材141における粒子の割合(重量%)と、一階微分値の最大値との関係を調べた。
図14A、Bおよび
図15A、Bは、粒子の割合(重量%)と、一階微分値の最大値との関係を示すグラフである。
図14Aは、粒子の数平均粒子径が1.0μmの場合の結果を示しており、
図14Bは、粒子の数平均粒子径が2.0μmの場合の結果を示している。
図15Aは、粒子の数平均粒子径が4.5μmの場合の結果を示しており、
図15Bは、粒子の数平均粒子径が10.0μmの場合の結果を示している。
【0066】
ここでは、
図14A、Bおよび
図15A、Bにおける一階微分値がマイナス値からプラス値に転じる点と、プラス値からマイナス値に転じる点とについて調べた。一階微分値がプラスからマイナスに転じる値は、光拡散部材141に粒子を配合したときに、輝度ムラを抑制するための粒子の割合の最小値を示している。一方、一階微分値がマイナスからプラスに転じる値は、光拡散部材141に粒子を配合したときに、輝度ムラを抑制するための粒子の割合の最大値を示している。なお、
図15Aの15重量%のポイントと、
図15Bの25重量%のポイントとは、マイナス値であるが、誤差を考慮して、プラスであるとして考えた。
【0067】
次いで、
図14A、Bおよび
図15A、Bに示された、輝度ムラを抑制するための粒子の割合の最小値および最大値(粒子の割合)をプロットした。
図16は、粒子の数平均粒子径(μm)と、輝度ムラを抑制するための粒子の割合(重量%)の最小値および最大値との関係を示すグラフである。
図16に示される直線L1は、
図14A、Bおよび
図15A、Bに示される輝度ムラを抑制するための粒子の割合の最大値を用いて、最小二乗法により求めた近似直線である。また、
図16に示される直線L2は、
図14A、Bおよび
図13A、Bに示される輝度ムラを抑制するための粒子の割合の最小値を用いて、最小二乗法により求めた近似直線である。直線L1は、粒子の数平均粒子径の値をAとし、粒子の割合の値をBとしたときに、B=2.3119A+2.5103で表すことができる直線である。同様に、直線L2は、粒子の数平均粒子径の値をAとし、粒子の割合の値をBとしたときに、B=0.4647A+0.2169で表すことができる直線である。以上のことから、粒子の数平均粒子径の値Aが0.4~10.0μmの範囲内において、
図14におけるL1よりも下側の領域であって、かつL2よりも上側の領域であれば、輝度ムラが抑制できることがわかる。
すなわち、粒子の数平均粒子径をAμmとし、光拡散部材141における粒子の割合をB重量%としたとき、以下の式(1)および式(2)を満たせば、輝度ムラを抑制できることがわかる。
0.4≦A≦10 式(1)
0.4647A+0.2169≦B≦2.3119A+2.5103 式(2)
【0068】
また、L1と平行な直線であって、粒子の数平均粒子径が2.0μmのときの輝度ムラを抑制するための粒子の割合の最大値を通る直線L3は、B=2.3119A+0.8762で表すことができる。また、L2と平行な直線であって、粒子の数平均粒子径が1.0μmのときの輝度ムラを抑制するための粒子の割合の最小値を通る直線L4は、B=0.4647A+0.5353で表すことができる。以上のことから、粒子の数平均粒子径の値Aが0.4~10.0μmの範囲内において、
図16におけるL3よりも下側の領域であって、かつL4よりも上側の領域であれば、輝度ムラをさらに抑制できることがわかる。すなわち、粒子の数平均粒子径をAμmとし、光拡散部材141における粒子の割合をB重量%としたとき、以下の式(1)および式(3)を満たせば、輝度ムラをさらに抑制できることがわかる。
0.4≦A≦10 式(1)
0.4647A+0.5353≦B≦2.3119A+0.8762 式(3)
【0069】
(効果)
以上のように、本実施の形態に係る面光源装置100では、粒子の数平均粒子径と、光拡散部材141における粒子の割合とが所定の関係を満たすことで、輝度ムラを抑制できる。この輝度ムラは、中央の光束制御部材122から出射された光が隣接する光束制御部材122に入射し、出射された光に起因する。
【0070】
[実施の形態2]
次に実施の形態2に係る面光源装置200について説明する。実施の形態2に係る面光源装置200は、光束制御部材222の構成および発光素子121の数のみが実施の形態1に係る面光源装置100と異なる。
【0071】
(面光源装置の構成)
図17Aは、平面方向に切断した面光源装置200の断面図であり、
図17Bは、側面に沿う方向で切断した面光源装置200の断面図である。
【0072】
本実施の形態に係る面光源装置200は、筐体110と、複数の発光装置220と、光拡散部材141を含む光学シート140(図示省略)とを有する。発光装置220は、1つの発光素子121と、1つの光束制御部材222とを有する。なお、本実施の形態では、光束制御部材222の平面視形状が円形であるため、基板116の表側の面および光拡散部材141の裏側の面の間隔Hは、3~10mmが好ましい。
【0073】
(光束制御部材の構成)
図18A~Dは、本発明の実施の形態2における光束制御部材222の構成を示す図である。
図18Aは、光束制御部材222の平面図である。
図18Bは、底面図である。
図1Cは、右側面図である。
図18Dは、
図16Aに示されるA-A線の断面図である。
【0074】
図18A~Dに示されるように、光束制御部材222は、入射面231と、出射面232と、裏面233と、環状凹部234と、鍔部235と、複数の脚部236とを有する。本実施の形態における光束制御部材222の平面視形状は、略円形状である。
【0075】
入射面231は、発光素子121から出射された光の大部分を、その進行方向を制御しつつ光束制御部材222の内部に入射させる。本実施の形態では、入射面231は、光束制御部材222の裏面に配置された凹部の内面である。入射面231は、光束制御部材222の中心軸と交わり、中心軸を軸として回転対称(円対称)である。凹部の形状は、特に限定されないが、例えば半長球(楕円の長軸を回転軸として得られた回転楕円体を短軸に沿って2つに分割した形状)である。
【0076】
出射面232は、光束制御部材222内に入射した光を、進行方向を制御しつつ外部に出射させる。出射面232は、光束制御部材222の表側(光拡散部材141側)に、鍔部235から突出するように形成されている。出射面232は、中心軸CAを軸として回転対称(円対称)である。本実施の形態では、出射面232は、中央部分が発光素子121に向かって凹形状の滑らかな曲面であり、外縁部が光拡散部材141に対して凸形状の滑らかな曲面である。
【0077】
裏面233は、光束制御部材222の裏側に位置し、環状凹部234の開口縁部から径方向に延在する平面である。裏面233の外周部には、円環状の環状凹部234が配置されている。
【0078】
環状凹部234は、裏面233の外周部に位置し、出射面232で内部反射した光を、側方に向けて反射させる。環状凹部234は、複数の第2凸条238を有する。複数の第2凸条238は、光束制御部材222を底面視したときに、光束制御部材222の中心から放射状に配置されている。
【0079】
鍔部235は、出射面232の外周部と裏面233の外周部との間に位置し、径方向外側に突出している。鍔部235の形状は、略円環状である。鍔部235は、必須の構成要素ではないが、鍔部235を設けることで、光束制御部材222の取り扱いおよび位置合わせが容易になる。
【0080】
複数の脚部236は、裏面233から突出している略円柱状の部材である。複数の脚部236は、発光素子121に対して適切な位置に光束制御部材222を支持する。
【0081】
なお、本実施の形態でも、面光源装置において、光拡散部材141に含まれる粒子の数平均粒子径をAμmとし、光拡散部材141における粒子の割合をB重量%としたとき、以下の式(1)および式(2)を満たす。
0.4≦A≦10 式(1)
0.4647A+0.2169≦B≦2.3119A+2.5103 式(2)
【0082】
(シミュレーション3)
本シミュレーションでは、光拡散部材141として、数平均粒子径が2μmのシリコーン粒子を光拡散部材141に対して2.0重量%含む光拡散部材、または数平均粒子径が4μmのシリコーン粒子を光拡散部材141に対して4.0重量%含む光拡散部材を使用した。各光拡散部材141の厚みは、2mmである。光束制御部材122の一辺の大きさは、9.0mmである。なお、本シミュレーションでは、
図6における光束制御部材122を本実施の形態における光束制御部材222に置き換えた面光源装置200を使用した。
図6のX方向における発光装置220の重心間距離は23mmであり、
図6のY方向における発光装置220の重心間距離Pも、23mmである。また、基板116および光拡散部材141の間隔Hは、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、または10mmである。光学シート140として、上記の各光拡散部材141、量子ドットシート142、第1プリズムシート143(BEFIII;スリーエム ジャパン株式会社)、第2プリズムシート144(BEFIII;スリーエム ジャパン株式会社)および二重輝度向上フィルム(DBEF)450を使用した。なお、数平均粒子径が2μmのシリコーン粒子を光拡散部材141に対して2.0重量%含む光拡散部材141と、数平均粒子径が4μmのシリコーン粒子を光拡散部材141に対して4.0重量%含む光拡散部材141とは、上記式(1)および式(2)を満たす。
【0083】
図19は、発光装置120の重心間距離に対する基板および光拡散部材の間の間隔と、輝度分布との関係を説明するための表である。
図19のH/P列は、発光装置120の重心間距離Pに対する基板116および光学シート140の間隔Hの割合を示している。
図19のH列は、基板116および光学シート140の間隔H(mm)を示している。
図19のA列は、数平均粒子径が4μmのシリコーン粒子を光拡散部材141に対して4.0重量%含む光拡散部材を使用した結果を示している。
図19のB欄は、数平均粒子径が2μmのシリコーン粒子を光拡散部材141に対して2.0重量%含む光拡散部材を使用した結果を示している。
【0084】
図19に示されるように、発光装置120の重心間距離Pと、基板116および光学シート140の間隔Hとの関係に関わらず、輝度ムラはある程度抑制できることがわかる。特に、H/P≧0.345の場合、輝度ムラを顕著に抑制できることがわかる。よって、発光装置120の重心間距離をPとし、基板116および光学シート140の間隔をHとしたときに、以下の式(5)を満たすことが好ましいことがわかる。
H/P≧0.35 式(5)
【0085】
(効果)
以上のように、本実施の形態に係る面光源装置は、実施の形態1に係る面光源装置100と同様の効果を有する。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明に係る面光源装置は、例えば、液晶表示装置のバックライトや一般照明などに適用できる。
【符号の説明】
【0087】
100、200 面光源装置
100’ 表示装置
102 表示部材
110 筐体
112 底板
114 天板
116 基板
120 発光装置
121 発光素子
122、222 光束制御部材
123 入射ユニット
124 出射ユニット
125 第1出射ユニット
126 第2出射ユニット
131、231 入射面
132 反射面
133 第1出射面
134 第2出射面
135 第3出射面
136 第4出射面
140 光学シート
141 光拡散部材
141a 凸条
141b 凸部
141c 凹部
142 量子ドットシート
143 第1プリズムシート
144 第2プリズムシート
145 二重輝度向上フィルム
231 入射面
232 出射面
233 裏面
234 環状凹部
235 鍔部
236 脚部
238 第2凸条
CA 中心軸
LA 光軸