(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171288
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】紙葉類処理方法及び紙葉類処理装置
(51)【国際特許分類】
G07D 7/12 20160101AFI20221104BHJP
G07D 11/16 20190101ALI20221104BHJP
G07D 7/2033 20160101ALI20221104BHJP
【FI】
G07D7/12
G07D11/16
G07D7/2033
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021077858
(22)【出願日】2021-04-30
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 清晃
【テーマコード(参考)】
3E041
3E141
【Fターム(参考)】
3E041AA03
3E041BA12
3E041BA13
3E041BA16
3E041BA17
3E041BB01
3E041BB02
3E041BB03
3E141AA01
3E141BA06
3E141CB01
(57)【要約】
【課題】外部の文字認識装置における文字認識の結果を有効活用して紙葉類に関する処理を実行できる紙葉類処理方法を提供すること。
【解決手段】紙葉類処理方法は、紙葉類処理装置において実行される紙葉類処理方法であって、紙葉類の画像情報を取得し、取得した前記画像情報を外部の文字認識装置へ送信する一方、前記文字認識装置による文字認識の結果を前記文字認識装置から受信し、前記文字認識装置による文字認識の結果を利用して、前記紙葉類に対する処理を実行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類処理装置において実行される紙葉類処理方法であって、
紙葉類の画像情報を取得し、
取得した前記画像情報を外部の文字認識装置へ送信する一方、前記文字認識装置による文字認識の結果を前記文字認識装置から受信し、
前記文字認識装置による文字認識の結果を利用して、前記紙葉類に対する処理を実行する、
紙葉類処理方法。
【請求項2】
前記画像情報を用いて前記紙葉類処理装置において文字認識を実行し、前記紙葉類処理装置による文字認識の結果を利用して、前記紙葉類に対する処理を実行可能である、
請求項1に記載の紙葉類処理方法。
【請求項3】
前記紙葉類の真偽判定を実行し、
前記真偽判定の結果が偽である場合、前記文字認識装置による文字認識の結果を利用して前記処理を実行する、
請求項1又は2に記載の紙葉類処理方法。
【請求項4】
前記真偽判定の結果が偽である場合、前記紙葉類を偽券収納部に収納する一方で、前記画像情報に対応する前記紙葉類の取引特定情報を生成し、生成した前記取引特定情報と前記文字認識装置から取得した文字認識の結果とを対応付けて、記憶部に記憶する処理を実行する、
請求項3に記載の紙葉類処理方法。
【請求項5】
前記紙葉類処理装置における前記文字認識の文字認識率が閾値未満である場合、前記文字認識装置による文字認識の結果を利用して前記処理を実行し、
前記文字認識率が前記閾値以上の場合、前記紙葉類処理装置による文字認識の結果を利用して、前記紙葉類に対する処理を実行する、
請求項2に記載の紙葉類処理方法。
【請求項6】
前記紙葉類処理装置における文字認識の文字認識率が前記閾値未満である場合、前記紙葉類を偽券収納部に収納する一方で、前記画像情報に対応する前記紙葉類の取引特定情報を生成し、生成した前記取引特定情報と前記文字認識装置から取得した文字認識の結果とを対応付けて、記憶部に記憶する処理を実行する、
請求項5に記載の紙葉類処理方法。
【請求項7】
前記紙葉類処理装置による前記文字認識の結果又は前記文字認識装置による前記文字認識の結果のいずれかを選択し、選択した前記文字認識の結果を利用して前記処理を実行する、
請求項2に記載の紙葉類処理方法。
【請求項8】
入金処理を実行するに際し、
前記紙葉類の前記画像情報を前記文字認識装置へ送信し、前記文字認識装置による文字認識の結果に応じて前記紙葉類を搬送する
請求項1又は2に記載の紙葉類処理方法。
【請求項9】
前記紙葉類を一時保留部に保留する一方、
前記文字認識装置の文字認識率が閾値以上の場合、前記紙葉類を前記一時保留部からリサイクル式収納部へ搬送し、
前記文字認識率が前記閾値未満の場合、前記紙葉類を前記一時保留部から回収部又はリジェクト部に搬送する、
請求項8に記載の紙葉類処理方法。
【請求項10】
精査処理を実行するに際し、前記紙葉類処理装置において前記紙葉類の文字認識を実行し、前記紙葉類処理装置による文字認識の結果と、前記入金処理時の前記文字認識装置による文字認識の結果とを照合する、
請求項8又は9に記載の紙葉類処理方法。
【請求項11】
紙葉類の画像情報を取得する撮像部と、
取得した前記画像情報を外部の文字認識装置へ送信する一方、前記文字認識装置による文字認識の結果を前記文字認識装置から受信する送受信部と、
前記文字認識装置による文字認識の結果を利用して、前記紙葉類に対する処理を実行する制御部と、を有する、
紙葉類処理装置。
【請求項12】
更に、
前記紙葉類の文字認識を行う文字認識部を有し、
前記制御部は、前記画像情報を用いた前記文字認識部による文字認識の結果を利用して、前記紙葉類に対する処理を実行可能である、
請求項11に記載の紙葉類処理装置。
【請求項13】
更に、
前記紙葉類の真偽判定を行う真偽判定部を有し、
前記制御部は、前記真偽判定部の真偽判定の結果が偽である場合、前記文字認識装置による文字認識の結果を利用して前記処理を実行する、
請求項11又は12に記載の紙葉類処理装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記文字認識部の文字認識率が閾値未満である場合、前記文字認識装置による文字認識の結果を利用して前記処理を実行する、
請求項12に記載の紙葉類処理装置。
【請求項15】
前記制御部は、
前記文字認識部による文字認識の結果又は前記文字認識装置による文字認識の結果の選択指示を受け付け、受け付けた選択指示に基づく結果を利用して前記処理を実行する、
請求項12に記載の紙葉類処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、紙葉類処理方法及び紙葉類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙幣の入出金処理を行う紙幣処理機が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の紙幣管理システムは、紙幣処理装置と、紙幣管理装置と、を有する。紙幣管理装置は、紙幣処理装置から紙幣画像を受信する。紙幣管理装置は、受信した紙幣画像を用いて記番号を認識し、認識した記番号を紙幣管理装置が有するデータベースに登録する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の紙幣管理システムでは、紙幣管理装置で認識した記番号情報は、紙幣管理装置のデータベースで管理されるだけで、紙幣処理装置に送信されて紙幣処理装置における処理に利用されることがない。このため、紙幣管理装置で認識した記番号情報を有効活用することができない。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するものであり、外部の文字認識装置における文字認識の結果を有効活用して紙葉類に関する処理を実行できる紙葉類処理方法及び紙葉類処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る紙葉類処理方法は、紙葉類処理装置において実行される紙葉類処理方法であって、紙葉類の画像情報を取得し、取得した前記画像情報を外部の文字認識装置へ送信する一方、前記文字認識装置による文字認識の結果を前記文字認識装置から受信し、前記文字認識装置による文字認識の結果を利用して、前記紙葉類に対する処理を実行する。
【0007】
本開示に係る紙葉類処理方法において、前記画像情報を用いて前記紙葉類処理装置において文字認識を実行し、前記紙葉類処理装置による文字認識の結果を利用して、前記紙葉類に対する処理を実行可能であっても良い。
【0008】
本開示に係る紙葉類処理方法において、前記紙葉類の真偽判定を実行し、前記真偽判定の結果が偽である場合、前記文字認識装置による文字認識の結果を利用して前記処理を実行しても良い。
【0009】
本開示に係る紙葉類処理方法において、前記真偽判定の結果が偽である場合、前記紙葉類を偽券収納部に収納する一方で、前記画像情報に対応する前記紙葉類の取引特定情報を生成し、生成した前記取引特定情報と前記文字認識装置から取得した文字認識の結果とを対応付けて、記憶部に記憶する処理を実行しても良い。
【0010】
本開示に係る紙葉類処理方法において、前記紙葉類処理装置における前記文字認識の文字認識率が閾値未満である場合、前記文字認識装置による文字認識の結果を利用して前記処理を実行し、前記文字認識率が前記閾値以上の場合、前記紙葉類処理装置による文字認識の結果を利用して、前記紙葉類に対する処理を実行しても良い。
【0011】
本開示に係る紙葉類処理方法において、前記紙葉類処理装置における文字認識の文字認識率が前記閾値未満である場合、前記紙葉類を偽券収納部に収納する一方で、前記画像情報に対応する前記紙葉類の取引特定情報を生成し、生成した前記取引特定情報と前記文字認識装置から取得した文字認識の結果とを対応付けて、記憶部に記憶する処理を実行しても良い。
【0012】
本開示に係る紙葉類処理方法において、前記記憶部に記憶した前記取引特定情報と前記文字認識装置から取得した文字認識の結果とを対応付けて印刷又は表示部に表示しても良い。
【0013】
本開示に係る紙葉類処理方法において、前記紙葉類処理装置による前記文字認識の結果又は前記文字認識装置による前記文字認識の結果のいずれかを選択し、選択した前記文字認識の結果を利用して前記処理を実行しても良い。
【0014】
本開示に係る紙葉類処理方法において、処理速度を優先する場合、前記紙葉類処理装置において文字認識の結果を選択し、処理精度を優先する場合、前記文字認識装置による文字認識の結果を選択しても良い。
【0015】
本開示に係る紙葉類処理方法において、入金処理を実行するに際し、前記紙葉類の前記画像情報を前記文字認識装置へ送信し、前記文字認識装置による文字認識の結果に応じて前記紙葉類を搬送しても良い。
【0016】
本開示に係る紙葉類処理方法において、前記紙葉類を一時保留部に保留する一方、前記文字認識装置の文字認識率が閾値以上の場合、前記紙葉類を前記一時保留部からリサイクル式収納部へ搬送し、前記文字認識率が前記閾値未満の場合、前記紙葉類を前記一時保留部から回収部又はリジェクト部に搬送しても良い。
【0017】
本開示に係る紙葉類処理方法において、精査処理を実行するに際し、前記紙葉類処理装置において前記紙葉類の文字認識を実行し、前記紙葉類処理装置による文字認識の結果と、前記入金処理時の前記文字認識装置による文字認識の結果とを照合しても良い。
【0018】
本開示に係る紙葉類処理装置は、紙葉類の画像情報を取得する撮像部と、取得した前記画像情報を外部の文字認識装置へ送信する一方、前記文字認識装置による文字認識の結果を前記文字認識装置から受信する送受信部と、前記文字認識装置による文字認識の結果を利用して、前記紙葉類に対する処理を実行する制御部と、を有する。
【0019】
本開示に係る紙葉類処理装置において、更に、前記紙葉類の文字認識を行う文字認識部を有し、前記制御部は、前記画像情報を用いた前記文字認識部による文字認識の結果を利用して、前記紙葉類に対する処理を実行可能であっても良い。
【0020】
本開示に係る紙葉類処理装置において、更に、前記紙葉類の真偽判定を行う真偽判定部を有し、前記制御部は、前記真偽判定部の真偽判定の結果が偽である場合、前記文字認識装置による文字認識の結果を利用して前記処理を実行しても良い。
【0021】
本開示に係る紙葉類処理装置において、前記制御部は、前記文字認識部の文字認識率が閾値未満である場合、前記文字認識装置による文字認識の結果を利用して前記処理を実行しても良い。
【0022】
本開示に係る紙葉類処理装置において、前記制御部は、前記文字認識部による文字認識の結果又は前記文字認識装置による文字認識の結果の選択指示を受け付け、受け付けた選択指示に基づく結果を利用して前記処理を実行しても良い。
【0023】
本開示に係る紙葉類処理装置において、処理速度を優先する処理の選択指示を前記文字認識部による文字認識の結果の選択指示として受け付け、処理精度を優先する処理の選択指示を前記文字認識装置による文字認識の結果の選択指示として受け付ても良い。
【発明の効果】
【0024】
本開示によれば、外部の文字認識装置における文字認識の結果を有効活用して紙葉類に関する処理を実行できる紙葉類処理方法及び紙葉類処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】第1実施形態に係る紙幣処理システムの概略構成を示すブロック図
【
図2】第1実施形態に係る紙幣処理システムの動作を示すフローチャート
【
図3】第2実施形態に係る紙幣処理システムの概略構成を示すブロック図
【
図4】第2実施形態に係る紙幣処理システムの動作を示すフローチャート
【
図5】第3~第5実施形態に係る紙幣処理システムの概略構成を示す模式図
【
図6】第3実施形態に係る偽券リストの概略構成を示す模式図
【
図7】第3実施形態に係るレシートの一例を示す模式図
【
図8】第3実施形態に係る紙幣処理システムの入金処理を示すフローチャート
【
図9】第4実施形態に係る偽券リストの概略構成を示す模式図
【
図10】第4実施形態に係る紙幣処理システムの入金処理を示すフローチャート
【
図11】第4実施形態に係るレシートの一例を示す模式図
【
図12】第5実施形態に係る記番号リストの概略構成を示す模式図
【
図13】第5実施形態に係る紙幣処理システムの入金処理を示すフローチャート
【
図14】第5実施形態に係る紙幣処理システムの入金処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0026】
[第1実施形態]
第1実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0027】
<紙幣処理システムの構成>
まず、紙幣処理システムの構成について説明する。
図1は、第1実施形態に係る紙幣処理システムの概略構成を示すブロック図である。なお、第1実施形態及び後述する第2~第5実施形態では、紙葉類の一例である紙幣に関する処理を実行する紙幣処理システムについて説明する。
【0028】
図1に示すように、紙幣処理システム1は、紙幣処理装置2と、文字認識装置9と、を有する。紙幣処理装置2は、紙葉類処理装置の一例である。
【0029】
紙幣処理装置2は、撮像部3と、送受信部4と、制御部5と、を有する。
【0030】
撮像部3は、紙幣処理装置2が受け入れた紙幣の搬送経路に配置され、紙幣を撮像して紙幣の画像情報を取得する。画像情報は、紙幣の反射画像を示す情報であり、少なくとも紙幣の記番号が写っていれば良く、紙幣全体が写っていても良い。
【0031】
送受信部4は、紙幣処理装置2の外部の文字認識装置9に、有線媒体又は無線媒体を介して、通信可能に接続されている。送受信部4は、撮像部3で取得された画像情報を文字認識装置9へ送信する。文字認識装置9へ送信された画像情報は、文字認識装置9における紙幣の記番号の文字認識に利用される。送受信部4は、文字認識装置9による文字認識の結果を受信する。なお、以下において、文字認識装置9による文字認識を外部OCR(Optical Character Recognition)と言う場合がある。
【0032】
制御部5は、紙幣処理装置2全体を制御する。制御部5は、文字認識装置9による記番号の外部OCR結果を取得し、当該外部OCR結果を利用して、紙幣に関する処理を実行する。
【0033】
文字認識装置9は、上述したように、画像情報を用いて外部OCRを実行し、外部OCR結果を紙幣処理装置2へ送信する。なお、外部OCRの方法としては、周知の文字認識方法を適用することができる。
【0034】
紙幣処理装置2が、文字認識の機能を有していても良い。ここで、紙幣処理装置2が受け入れた複数の紙幣の文字認識を、紙幣処理装置2において実行する場合、搬送中の紙幣に対して文字認識を実行する必要がある。これに対し、文字認識装置9は、紙幣処理装置2における処理とは関係なく、画像情報を用いて外部OCRを実行するため、搬送中の紙幣の文字認識を実行する場合と比べて、高精度に外部OCRを実行することができる。
【0035】
<紙幣処理システムの動作>
次に、紙幣処理システムの動作について説明する。
図2は、第1実施形態に係る紙幣処理システムの動作を示すフローチャートである。
【0036】
まず、
図2に示すように、紙幣処理装置2の撮像部3は、紙幣を撮像して画像情報を取得する(ステップS10)。なお、撮像部3で撮像された紙幣は、紙幣を収納し、収納された紙幣を集配担当者等が紙幣処理装置2の外部に取り出すことができるように構成された収納部に収納されても良い。撮像部3で撮像された紙幣は、紙幣を収納し、収納された紙幣を繰り出してリサイクルできるように構成された収納部に収納されても良い。次に、送受信部4は、画像情報を文字認識装置9へ送信する(ステップS11)。その後、送受信部4は、外部OCR結果を文字認識装置9から受信する(ステップS12)。この後、制御部5は、外部OCR結果を利用して、外部OCRが行われた紙幣に関する処理を実行する(ステップS13)。外部OCR結果を利用した紙幣に関する処理としては、外部OCR結果の記憶部への記憶処理、外部OCR結果の印刷処理、外部OCR結果の表示部への表示処理を例示することができる。
【0037】
<第1実施形態の効果>
次に、第1実施形態の効果について説明する。紙幣処理装置2は、紙幣の画像情報を文字認識装置9へ送信し、文字認識装置9による外部OCR結果を受信する。そして、紙幣処理装置2は、外部OCR結果を利用して、紙幣に関する処理を実行する。このため、紙幣処理装置2は、外部OCR結果を有効活用して紙幣に関する処理を実行することができる。また、紙幣処理装置2は、文字認識装置9から精度が高い外部OCR結果を得ることができ、紙幣に関する処理をより適切に実行することができる。
【0038】
文字認識装置9に高性能なコンピュータを採用すれば、紙幣処理装置2は、さらに精度が高い外部OCR結果を得ることができ、紙幣に関する処理をさらに適切に実行することができる。テンプレートを用いた外部OCRを実行する場合には、文字認識装置9のみのテンプレートをアップデートすれば良いため、外部OCRの精度向上を容易に図ることができる。紙幣処理装置2に文字認識部を配置しなくても、紙幣の記番号の認識結果を得ることができる。
【0039】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0040】
<紙幣処理システムの構成>
まず、紙幣処理システムの構成について説明する。
図3は、第2実施形態に係る紙幣処理システムの概略構成を示すブロック図である。
【0041】
図3に示す紙幣処理システム1Aは、紙幣処理装置2Aが文字認識部6Aを有する点と、制御部5Aが制御部5と異なる処理を実行する点とが、第1実施形態の紙幣処理システム1と異なり、それ以外の構成は第1実施形態の紙幣処理システム1と同じである。
【0042】
文字認識部6Aは、撮像部3で取得された画像情報を利用して、紙幣の記番号を認識する。第1実施形態で説明したように、この撮像部3は搬送経路に設けられており、紙幣の搬送中に文字認識を行うため、文字認識部6Aで実行する文字認識の精度は、文字認識装置9で実行される外部OCRよりも低くなりやすい。なお、以下において、文字認識部6Aによる文字認識を内部OCRと言う場合がある。
【0043】
制御部5Aは、文字認識部6Aによる内部OCR又は文字認識装置9による外部OCRの結果を選択的に利用して、紙幣に関する異なる処理を実行する。
【0044】
<紙幣処理システムの動作>
次に、紙幣処理システムの動作について説明する。
図4は、第2実施形態に係る紙幣処理システムの動作を示すフローチャートである。なお、第1実施形態と同様の動作については、同一符号を付し、簡単に説明する。
【0045】
まず、
図4に示すように、撮像部3が紙幣の画像情報を取得すると(ステップS10)、制御部5Aは、ステップS10で撮像した紙幣が外部OCR対象の紙幣か否かを判定する(ステップS20)。このステップS20において、制御部5Aは、例えば、撮像部3より搬送経路上流に配置された真偽判定部により紙幣が偽券であると判定された場合、外部OCR対象の紙幣であると判定しても良いし、他の所定の基準に基づいて外部OCR対象の紙幣であると判定しても良い。上記他の所定の基準としては、紙幣処理装置2Aが実施する処理のタイプ(例えば、入金処理の場合は外部OCR対象の紙幣、出金処理又は精査処理の場合は、内部OCR対象の紙幣)、紙幣のしわ又は汚れの程度に基づく文字認識のしやすさ(例えば、しわが所定量よりも多い、又は基準状態よりも汚れている場合は、外部OCR対象の紙幣、しわが所定量よりも少ない、又は基準状態よりも汚れていない場合は、内部OCR対象の紙幣)を例示することができる。制御部5Aが外部OCR対象の紙幣であると判定した場合(ステップS20:YES)、紙幣処理装置2Aは、画像情報の文字認識装置9への送信処理(ステップS11)、文字認識装置9からの外部OCR結果の受信処理(ステップS12)、及び、外部OCR結果を利用した紙幣に関する処理(ステップS13)を実行する。外部OCR結果を利用した紙幣に関する処理としては、外部OCR結果の記憶部への記憶処理、外部OCR結果の印刷処理、外部OCR結果の表示部への表示処理を例示することができる。第1実施形態で例示した処理を適用することができる。
【0046】
一方、制御部5Aが内部OCR対象の紙幣であると判定した場合(ステップS20:NO)、文字認識部6Aは、ステップS10で取得された画像情報を利用して、内部OCRを実行する(ステップS21)。この後、制御部5Aは、内部OCR結果を利用して、内部OCRが行われた紙幣に関する処理を実行する(ステップS22)。内部OCR結果を利用した紙幣に関する処理としては、外部OCR結果を利用した紙幣に関する処理とは異なる処理であって、内部OCR結果をリスト化した記番号リストの記憶部への記憶処理を例示することができる。なお、内部OCR結果を利用した紙幣に関する処理として、外部OCR結果を利用した紙幣に関する処理と同じ処理である、内部OCR結果の印刷処理、内部OCR結果の表示部への表示処理を適用しても良い。
【0047】
<第2実施形態の効果>
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果に加えて、以下のような効果がある。紙幣処理装置2Aは、内部OCR結果又は外部OCR結果を利用して、紙幣に対して異なる処理を実行する。このため、紙幣処理装置2Aは、処理対象の紙幣に応じた必要な精度及び必要な処理速度の文字認識の結果に基づいて、それぞれの紙幣に対する適切な処理を実行することができる。
【0048】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0049】
<紙幣処理システムの構成>
まず、紙幣処理システムの構成について説明する。
図5は、第3~第5実施形態に係る紙幣処理システムの概略構成を示す模式図である。
図6は、第3実施形態に係る偽券リストの概略構成を示す模式図である。
図7は、第3実施形態に係るレシートの一例を示す模式図である。
【0050】
図5に示す紙幣処理システム1Bは、紙幣処理装置10Bは、内部に真偽判定を行う識別部130Bを備える一方、外部の文字認識装置9Bと接続されている。紙幣処理システム1Bは、紙幣処理装置10Bに入金される紙幣の真偽を判定し、偽と判定された紙幣の画像情報を用いて、文字認識装置9Bで外部OCRを実行する。そして、紙幣処理システム1Bは、紙幣処理装置10Bにより、外部OCR結果を利用した紙幣に関する処理を実行する。なお、真偽判定において偽券と判定された紙幣には、真券でない紙幣に加えて、偽券であると疑わしい真券も含まれる。
【0051】
紙幣処理装置10Bは、上部の処理部100と、下部の金庫部500と、を有する。処理部100は、上部筐体120と、上部筐体120の内部に配置された入金部121、出金部122、リジェクト部123、一時保留部124、識別ユニット125B、上側搬送部141、ターミナルコンピュータ150を有する。
【0052】
金庫部500は、金庫筐体501と、この金庫筐体501の中に収容された、複数の収納装置531~536、下側搬送部542及び第2下側搬送部543と、を含んで構成される。
【0053】
入金部121は、例えば入金処理の際に、入金対象の紙幣が投入される部分である。また、入金部121は、計数処理の際に、計数対象の紙幣が投入される部分であってもよい。入金部121は、入金口211を有している。入金口211は、上部筐体120の前部において、上向きに開口している。操作者は、入金口211を通じて、入金部121に、紙幣を手で投入する。入金部121は、紙幣を一枚ずつ紙幣処理装置10B内に取り込む機構を有している。
【0054】
出金部122は、例えば出金処理の際に、収納装置531~535から繰り出された紙幣が搬送される部分である。また、出金部122は、入金処理の際に発生したリジェクト紙幣が搬送される部分としても使用される。また、出金部122は、計数処理の際に計数された正常な紙幣が搬送される部分としても使用される。出金部122は、複数枚の紙幣を、重ねた状態で保持できる。出金部122は、出金口221を有している。出金口221は、入金口211よりも前の位置において、上向きに開口している。操作者は、出金部122に集積されている紙幣を、出金口221を通じて手で取り出すことができる。
【0055】
リジェクト部123は、例えば計数処理の際に発生したリジェクト紙幣が搬送される部分である。リジェクト部123は、上部筐体120内の前部に配置されている。リジェクト部123は、複数枚の紙幣を、重ねた状態で保持するよう構成されている。リジェクト部123は、第2出金口231を有している。第2出金口231は、上部筐体120の前部において前向きに開口している。
【0056】
一時保留部124は、例えば入金処理の際に、入金対象の紙幣を一時的に収納する。一時保留部124は、収納した紙幣を繰り出すことができる。一時保留部124は、テープ式の収納ユニットである。一時保留部124は、紙幣を、テープと共にドラムに巻き取ることによって、紙幣を収納する。
【0057】
識別ユニット125Bは、第1搬送路411に配置されている。識別ユニット125Bは、識別部130Bと、撮像部131Bとを有する。
【0058】
識別部130Bは、第1搬送路411に沿って搬送される紙幣のセキュリティ部分を図示しないセンサで検知することにより、紙幣の真偽を判定する真偽判定部としての機能を有する。なお、識別部130Bにおける真偽の判定方法として、撮像部131Bで透過画像を取得できるようにして、当該透過画像における紙幣の透かしの有無に基づいて、真偽を判定する方法を適用しても良い。識別部130Bは、周知の方法を用いて、紙幣の金種及び正損を識別する。識別部130Bは、真偽判定結果、金種及び正損の識別結果を制御部128Bへ送信する。
【0059】
撮像部131Bは、制御部128Bの制御に基づいて、識別部130Bで偽と判定された紙幣の撮像を行い、紙幣の一方の面の反射画像を示す画像情報を取得する。画像情報は、文字認識装置9Bへ送信される。
【0060】
ターミナルコンピュータ150は、送受信部126、記憶部127及び制御部128Bを有する。
【0061】
送受信部126は、有線媒体又は無線媒体を介して、文字認識装置9Bに接続されている。送受信部126は、制御部128Bの制御に基づいて、文字認識装置9Bとの間で各種情報を送受信する。
【0062】
記憶部127は、制御部128Bが実行するプログラムを記憶する。記憶部127は、
図6に示す偽券リスト61を記憶する。偽券リスト61は、制御部128Bより生成される。偽券リスト61は、後述する偽券収納部S3に収納された紙幣の取引特定情報611と、キャプチャ画像612と、外部OCR結果613とが対応付けられたリストである。取引特定情報611は、取引日時614と、取引番号615とを含む。取引日時614は、紙幣が取引された日時、例えば紙幣が紙幣処理装置10B内に取り込まれた日時を表す。取引番号615は、取引固有の番号であり、例えば、予め設定された基準に基づいて設定される。キャプチャ画像612は、撮像部3で取得された画像情報を用いて、制御部128Bにより生成される。キャプチャ画像612は、記番号が記載されている部分を含む画像であり、文字認識装置9Bにおける外部OCRに利用される。外部OCR結果613は、文字認識装置9Bにおける外部OCRの結果を表す。
【0063】
制御部128Bは、紙幣処理装置10Bを統括制御する。制御部128Bの具体的な処理については後述する。
【0064】
ターミナルコンピュータ150には、操作表示部132が接続されている。操作表示部132は、タッチパネル式の表示装置で構成され、紙幣処理装置10Bにおける紙幣処理に関する情報を入力するための操作部、および、紙幣処理に関する情報を表示する表示部として機能する。なお、操作表示部132は、ターミナルコンピュータ150とは別体で構成されていてもよいし、ターミナルコンピュータ150と一体的に構成されていてもよい。操作表示部132は、操作部と表示部とが独立して設けられる構成であってもよい。
【0065】
ターミナルコンピュータ150には、印刷部133が接続されている。印刷部133は、制御部128Bの制御に基づいて、紙幣処理に関する情報を印刷する。印刷部133は、
図7に示すようなレシート71を印刷する。レシート71には、回収する紙幣の金種及び枚数等に関する図示しない回収紙幣情報と、偽券情報711と、が記載されている。偽券情報711は、偽券リスト61の取引日時614、取引番号615及び外部OCR結果613にそれぞれ対応する内容を表す、取引日時712、取引番号713及び外部OCR結果714を含む。取引日時712、取引番号713及び外部OCR結果714は、一方向(水平方向)に並んで表示されており、レシート71を見た集配担当者等が、外部OCR結果714で特定される紙幣の取引日時712及び取引番号713を容易に認識できるように構成されている。
【0066】
紙幣処理装置10Bは、5つの収納装置531~536を有する。以下の説明において、これら6つの収納装置を、第1収納装置531、第2収納装置532、第3収納装置533、第4収納装置534、第5収納装置535、及び、第6収納装置536と記載することがある。
【0067】
第1収納装置531、第2収納装置532及び第3収納装置533は、それぞれ、一つのリサイクル収納部Sを有する。第4収納装置534及び第5収納装置535は、それぞれ、二つのリサイクル収納部(第1リサイクル収納部S1及び第2リサイクル収納部S2)を有する。
【0068】
各リサイクル収納部S、各第1リサイクル収納部S1及び各第2リサイクル収納部S2には、リサイクル対象の紙幣が収納される。各リサイクル収納部S、各第1リサイクル収納部S1及び各第2リサイクル収納部S2のそれぞれに収納される紙幣の金種は、予め設定されている。各リサイクル収納部S、各第1リサイクル収納部S1及び各第2リサイクル収納部S2は、搬送機構を有している。搬送機構は、収納装置531~535の外から中へ紙幣を投入し、収納装置531~535の中から外へ紙幣を繰り出すことにより、紙幣をリサイクルできるように構成されている。
【0069】
第6収納装置536は、一つの偽券収納部S3を有する。偽券収納部S3には、真券でないと判定された紙幣が収納される。偽券収納部S3は、リサイクル収納部Sのような搬送機構を有しておらず、一旦、偽券収納部S3に収納された紙幣をリサイクルできないように構成されている。第6収納装置536は、金庫筐体501の扉を開けることにより、偽券収納部S3内の紙幣を取り出せるように構成されている。
【0070】
上側搬送部141、下側搬送部542及び第2下側搬送部543は、搬送部140を構成している。搬送部140は、紙幣処理装置10B内で、紙幣と紙幣との間に適宜の間隔を空けて、紙幣を一枚ずつ搬送する。
【0071】
上側搬送部141は、第1搬送路411、第2搬送路412、第3搬送路413、第4搬送路414、第5搬送路415、第6搬送路416、第7搬送路417、及び、第8搬送路418を有している。
【0072】
なお、金庫筐体501を形成する上壁には、三つの搬送路が、上下方向に貫通して形成されている。これら三つの搬送路は、前後方向に並んでいる。三つの搬送路の一つは、第6搬送路416と第9搬送路421とを接続している。また別の搬送路は、第7搬送路417と第10搬送路422とを接続する。また別の搬送路は、第8搬送路418と第11搬送路420とを接続する。
【0073】
第1搬送路411は、ループ状に構成されている。搬送部140は、紙幣を、第1搬送路411に沿って、
図5における時計回り方向及び反時計回り方向のそれぞれに搬送することができる。
【0074】
第2搬送路412は、入金部121と第1搬送路411とを互いに接続し、入金部121から第1搬送路411へ向かって、紙幣を搬送する。
【0075】
第3搬送路413は、出金部122と第1搬送路411とを互いに接続し、第1搬送路411から出金部122へ向かって、紙幣を搬送する。
【0076】
第4搬送路414は、リジェクト部123と第1搬送路411とを互いに接続し、第1搬送路411からリジェクト部123へ向かって、紙幣を搬送する。
【0077】
第5搬送路415は、一時保留部124と第1搬送路411とを互いに接続し、第1搬送路411から一時保留部124へ向かって、紙幣を搬送すると共に、一時保留部124から第1搬送路411へ向かって、紙幣を搬送する。
【0078】
第6搬送路416は、下側搬送部542と第1搬送路411とを互いに接続し、第1搬送路411から下側搬送部542へ向かって、紙幣を搬送すると共に、下側搬送部542から第1搬送路411へ向かって、紙幣を搬送する。
【0079】
第7搬送路417は、下側搬送部542と第1搬送路411とを互いに接続し、第1搬送路411から下側搬送部542へ向かって、紙幣を搬送すると共に、下側搬送部542から第1搬送路411へ向かって、紙幣を搬送する。
【0080】
下側搬送部542は、第9搬送路421、第10搬送路422、及び、第11搬送路420を有している。
【0081】
第9搬送路421は、第2下側搬送部543と、第6搬送路416とを互いに接続し、第6搬送路416から第2下側搬送部543へ向かって、紙幣を搬送すると共に、第2下側搬送部543から第6搬送路416へ向かって、紙幣を搬送する。
【0082】
第10搬送路422は、第1収納装置531、第2収納装置532及び第3収納装置533のそれぞれのリサイクル収納部S、第4収納装置534の第1リサイクル収納部S1、並びに、第6収納装置536の偽券収納部S3と、第7搬送路417とを互いに接続する。第10搬送路422は、第7搬送路417から各収納装置531~534,536へ向かって、紙幣を搬送すると共に、各収納装置531~534から第7搬送路417へ向かって、紙幣を搬送する。
【0083】
第11搬送路420は、第5収納装置535の第1リサイクル収納部S1と第8搬送路418とを互いに接続し、第8搬送路418から第5収納装置535へ向かって、紙幣を搬送すると共に、第5収納装置535から第8搬送路418へ向かって、紙幣を搬送する。
【0084】
第2下側搬送部543は、途中で分岐して、第4収納装置534の第2リサイクル収納部S2、及び、第5収納装置535の第2リサイクル収納部S2に接続されている。第2下側搬送部543は、第1搬送路411から第4収納装置534の第2リサイクル収納部S2へ向かって、紙幣を搬送すると共に、この第2リサイクル収納部S2から第1搬送路411へ向かって、紙幣を搬送する。また、第2下側搬送部543は、第1搬送路411から第5収納装置535の第2リサイクル収納部S2へ向かって、紙幣を搬送すると共に、この第2リサイクル収納部S2から第1搬送路411へ向かって、紙幣を搬送する。
【0085】
搬送部140の各部には、図示は省略するが、紙幣の通過を検知する通過センサが配置されている。搬送部140は、制御部128Bからの指令を受けると、通過センサの検知信号に基づいて、紙幣を、所定の搬送先に搬送する。
【0086】
文字認識装置9Bは、紙幣処理装置10Bから偽と判定された紙幣の画像情報を受信して、画像情報を利用して外部OCRを実行する。文字認識装置9Bは、外部OCR結果を紙幣処理装置10Bへ送信する。なお、文字認識装置9Bの具体的な処理については後述する。
【0087】
ここで、紙幣処理装置10Bにおいて文字認識を実行する場合、搬送中の紙幣に対して文字認識を実行する必要がある。また、紙幣における文字認識の範囲を限定する場合もある。記番号のサイズ、フォント、位置等が予め決まった仕様と同じ真券の文字認識を実行する場合、紙幣が搬送中であっても、文字認識の範囲が限定されていても、高精度に文字認識を実行することができる。しかし、記番号のサイズ、フォント、位置等が予め決まった仕様と異なる偽券の場合、紙幣が搬送中であったり、文字認識の範囲が限定されていたりすると、高精度に文字認識を実行できないおそれがある。これに対し、文字認識装置9Bは、紙幣の搬送状態に関係なく、かつ、文字認識の範囲を限定することなく、画像情報を用いて外部OCRを実行することができるため、偽券であっても、高精度に外部OCRを実行することができる。
【0088】
<紙幣処理システムの動作>
次に、紙幣処理システムの動作について説明する。
【0089】
(入金処理)
まず、紙幣処理システムの動作として、入金処理について説明する。
図8は、第3実施形態に係る紙幣処理システムの入金処理を示すフローチャートである。
【0090】
まず、紙幣処理装置10Bの入金部121に載置された紙幣は、搬送部140により、第1搬送路411に沿って
図5における時計回り方向に搬送される。
図8に示すように、識別部130Bは、識別ユニット125Bに搬送された紙幣の真偽判定を、撮像部131Bによる撮像が行われる前に実行する(ステップS30)。制御部128Bは、識別部130Bでの判定結果が偽か否かを判定する(ステップS31)。
【0091】
判定結果が偽であると判定された場合(ステップS31:YES)、撮像部131Bは、判定結果が偽の紙幣を撮像して画像情報を取得する(ステップS32)。制御部128Bは、撮像部131Bで取得された画像情報を用いてキャプチャ画像を生成する。その後、送受信部126は、キャプチャ画像を文字認識装置9Bへ送信する(ステップS33)。なお、ステップS33の処理において、送受信部126は、制御部128Bにより生成された取引特定情報であって、紙幣の取引日時(紙幣が紙幣処理装置10B内に搬送された日時)と当該紙幣固有の取引番号とを含む取引特定情報も、文字認識装置9Bへ送信する。このように、キャプチャ画像と共に取引特定情報を文字認識装置9Bに送信することにより、後述するように、送受信部126は、文字認識装置9Bから外部OCR結果と共に、キャプチャ画像及び取引特定情報を受信することができる。したがって、制御部128Bは、送受信部126で受信された各情報を対応付けて記憶部127に記憶させるだけの簡単な方法で、偽券リスト61を更新することができる。
【0092】
搬送部140は、ステップS32,S33の処理の前後、あるいは、処理の実行中に、判定結果が偽の紙幣を偽券収納部S3へ収納する(ステップS34)。つまり、判定結果が偽の紙幣をリサイクルできないようにする。
【0093】
一方、文字認識装置9Bは、紙幣処理装置10Bから取引特定情報とキャプチャ画像を受信すると、キャプチャ画像を用いて外部OCRを実行し、取引特定情報、キャプチャ画像及び外部OCR結果を関連付けて、紙幣処理装置10Bへ送信する。
【0094】
紙幣処理装置10Bの送受信部126は、文字認識装置9Bから取引特定情報、キャプチャ画像及び外部OCR結果を受信する(ステップS35)。その後、制御部128Bは、受信した取引特定情報の取引日時614、取引番号615、キャプチャ画像612及び外部OCR結果613を関連付けて、記憶部127の偽券リスト61に追加する処理、つまり偽券リスト61の更新処理を実行する(ステップS36)。
【0095】
一方、判定結果が真であると判定された場合(ステップS31:NO)、搬送部140は、識別部130Bで識別された金種に基づいて、真であると判定され偽券の疑いがない紙幣をリサイクル収納部S、第1リサイクル収納部S1及び第2リサイクル収納部S2のいずれかに収納する(ステップS37)。
【0096】
(レシートの印刷処理)
次に、紙幣処理システムの動作として、レシートの印刷処理について説明する。
【0097】
例えば、集配担当者が、第1~第6収納装置531~536内の紙幣を回収するときに、操作表示部132を操作してレシートの発行を指示すると、紙幣処理装置10Bの印刷部133は、偽券リスト61を用いて
図8に示すようなレシート71を印刷する。レシート71が印刷された後、制御部128Bは、レシート71に印刷された偽券に関する情報を偽券リスト61から削除しても良い。
【0098】
<第3実施形態の効果>
第3実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果に加えて、以下のような効果がある。紙幣処理装置10Bは、真偽判定で偽と判定された紙幣の記番号の認識を文字認識装置9Bに実行させ、外部OCR結果613を記憶部127に記憶させる。このため、例えば、集配担当者は、紙幣処理装置10B内で文字認識を行う場合と比べて、高精度に認識された記番号に基づいて、偽券の疑いがある紙幣を容易に特定することができる。さらに、外部OCR結果613と取引特定情報611とを対応付けて記憶部127に記憶させているため、このような情報をレシート71として印刷することにより、集配担当者は、監視カメラの映像や撮影日時等の情報も用いて、偽券の疑いがある紙幣を利用した人物を特定することができる。
【0099】
<第3実施形態の変形例>
真偽判定で真と判定された紙幣に対しても、外部OCRを実行しても良い。この場合、制御部128Bは、外部OCR結果に基づいて、リサイクル収納部S、第1リサイクル収納部S1及び第2リサイクル収納部S2にそれぞれ収納された紙幣の記番号と、収納順序とを対応付けた記番号リストを生成して、記憶部127に記憶させても良い。このような構成にすれば、制御部128Bは、高精度に認識された記番号に基づいて、より正確な記番号が記録された記番号リストを生成することができる。
【0100】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0101】
<紙幣処理システムの構成>
まず、紙幣処理システムの構成について、
図5及び
図9に基づいて説明する。
図9は、第4実施形態に係る偽券リストの概略構成を示す模式図である。
【0102】
図5に示す紙幣処理システム1Cは、紙幣処理装置10Cと、文字認識装置9Cと、を有する。紙幣処理システム1Cは、紙幣処理装置10Cに入金される紙幣の内部OCRを紙幣処理装置10Cで実行し、内部OCRにおける文字認識率が閾値未満の紙幣の外部OCRを文字認識装置9Cで実行する。なお、文字認識率が閾値未満となる理由としては、内部OCRが行われた紙幣が、記番号のサイズ、フォント、位置等が予め決まった仕様と異なる偽券であること、又は、汚れている或いは折れているため記番号を適切に読み取れない真券であること等が挙げられる。第4実施形態では、第3実施形態のような真偽判定を実施しないため、内部OCRにおける文字認識率が閾値未満の紙幣を、偽券であるか否かに関係なく、偽券の疑いがある紙幣として偽券収納部S3へ収納する。そして、紙幣処理システム1Cは、紙幣処理装置10Bにより、外部OCR結果を利用した紙幣に関する処理を実行する。
【0103】
紙幣処理装置10Cは、識別ユニット125C、制御部128C、偽券リスト62及びレシート72(
図11参照)が、紙幣処理装置10Bの識別ユニット125B、制御部128B、偽券リスト61及びレシート71と異なり、それ以外の構成は紙幣処理装置10Bと同じである。
【0104】
識別ユニット125Cは、それぞれ第1搬送路411に配置された、撮像部131Cと、識別部130Cとを有する。
【0105】
撮像部131Cは、制御部128Cの制御に基づいて、第1搬送路411に沿って搬送される紙幣の撮像を行い、紙幣の一方の面の反射画像を示す画像情報を取得する。
【0106】
識別部130Cは、撮像部131Cで取得された画像情報を用いて内部OCRを実行する文字認識部としての機能を有する。識別部130Cは、周知の方法を用いて、紙幣の金種及び正損を識別する。識別部130Cは、内部OCR結果、金種及び正損の識別結果を制御部128Cへ送信する。
【0107】
記憶部127は、
図9に示す偽券リスト62を記憶する。偽券リスト62は、偽券収納部S3に収納された紙幣の取引特定情報611と、キャプチャ画像612と、内部OCR結果626と、外部OCR結果613とが対応付けられたリストである。偽券リスト62は、制御部128Cより生成される。
【0108】
なお、制御部128C及び文字認識装置9Cの具体的な処理については後述する。
【0109】
<紙幣処理システムの動作>
次に、紙幣処理システムの動作について説明する。なお、第3実施形態と同様の動作については、同一符号を付し、簡単に説明する。
【0110】
(入金処理)
まず、紙幣処理システムの動作として、入金処理について説明する。
図10は、第4実施形態に係る紙幣処理システムの入金処理を示すフローチャートである。
【0111】
まず、紙幣処理装置10Cの入金部121に載置された紙幣は、第1搬送路411に沿って
図5における時計回り方向に搬送される。紙幣が識別ユニット125Cに搬送されると、
図10に示すように、撮像部131Cは、紙幣を撮像して画像情報を取得する(ステップS40)。次に、識別部130Cは、画像情報を用いて、内部OCRを実行する(ステップS41)。制御部128Cは、内部OCRにおける文字認識率が閾値未満か否かを判定する(ステップS42)。なお、文字認識率は、固定値であっても良いし、ユーザが自由に設定できても良い。閾値を100%に設定し、内部OCRで認識できない文字が1文字の場合でも、文字認識率が閾値未満であると判定するようにしても良い。
【0112】
制御部128Cは、文字認識率が閾値未満であると判定した場合(ステップS42:YES)、画像情報を用いて記番号が記載されている部分を含むキャプチャ画像を生成する。その後、送受信部126は、キャプチャ画像を文字認識装置9Cへ送信する(ステップS43)。なお、ステップS43の処理において、送受信部126は、取引特定情報と内部OCR結果も、文字認識装置9Cへ送信する。また、搬送部140は、ステップS42,S43の処理の前後、あるいは、処理の実行中に、文字認識率が閾値未満の紙幣を偽券収納部S3へ収納する(ステップS34)。つまり、文字認識率が閾値未満であり、偽券の疑いがある紙幣をリサイクルできないようにする。
【0113】
一方、文字認識装置9Cは、紙幣処理装置10Cから取引特定情報、キャプチャ画像及び内部OCR結果を受信すると、キャプチャ画像を用いて外部OCRを実行し、取引特定情報、キャプチャ画像、内部OCR結果及び外部OCR結果を関連付けて、紙幣処理装置10Cへ送信する。
【0114】
紙幣処理装置10Cは、文字認識装置9Cから取引特定情報、キャプチャ画像、内部OCR結果及び外部OCR結果を受信する(ステップS44)。その後、制御部128Cは、受信した取引特定情報の取引日時614、取引番号615、キャプチャ画像612、内部OCR結果626及び外部OCR結果613を関連付けて、記憶部127の偽券リスト62に追加する処理、つまり偽券リスト62の更新処理を実行する(ステップS45)。
【0115】
一方、文字認識率が閾値以上であると判定された場合(ステップS42:NO)、搬送部140は、識別部130Cで識別された金種に基づいて、文字認識率が閾値を超えており偽券の疑いがない紙幣をリサイクル収納部S、第1リサイクル収納部S1及び第2リサイクル収納部S2のいずれかに収納する(ステップS37)。なお、制御部128Cは、内部OCR結果に基づいて、リサイクル収納部S、第1リサイクル収納部S1及び第2リサイクル収納部S2にそれぞれ収納された紙幣の記番号と、収納順序とを対応付けた記番号リストを生成して、記憶部127に記憶させても良い。
【0116】
(レシートの印刷処理)
次に、紙幣処理システムの動作として、レシートの印刷処理について説明する。
図11は、第4実施形態に係るレシートの一例を示す模式図である。
【0117】
例えば、集配担当者が、第1~第6収納装置531~536内の紙幣を回収するときに、操作表示部132を操作してレシートの発行を指示すると、紙幣処理装置10Cの印刷部133は、
図11に示すようなレシート72を印刷する。レシート72には、回収紙幣情報と、偽券情報721と、が記載されている。偽券情報721は、偽券リスト62の取引日時614、取引番号615、内部OCR結果626及び外部OCR結果613にそれぞれ対応する取引日時712、取引番号713、内部OCR結果725及び外部OCR結果714を含む。レシート72が印刷された後、制御部128Cは、レシート72に印刷された偽券に関する情報を偽券リスト62から削除しても良い。
【0118】
<第4実施形態の効果>
第4実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果に加えて、以下のような効果がある。紙幣処理装置10Cは、内部OCRにおける文字認識率が閾値未満の紙幣の記番号の認識を文字認識装置9Cに実行させ、外部OCR結果613を記憶部127に記憶させる。このため、集配担当者は、上述したように内部OCRでの文字認識率が低く偽券と見なせる紙幣を、高精度に認識された記番号に基づいて、容易に特定することができる。さらに、外部OCR結果613と取引特定情報611とを対応付けて記憶部127に記憶させているため、このような情報をレシート72として印刷することにより、集配担当者は、監視カメラの映像や撮影日時等の情報も用いて、偽券と見なせる紙幣を利用した人物を特定することができる。
【0119】
<第4実施形態の変形例>
内部OCRにおける文字認識率が閾値以上の紙幣に対しても、外部OCRを実行して、外部OCR結果を紙幣処理装置10Cに送信しても良い。このような構成にすれば、紙幣処理システム1Cは、内部OCRにおける文字認識率が閾値よりも若干高い紙幣の記番号を、外部OCR結果に基づいて、より正確に認識することができる。なお、この場合、文字認識装置9Cは、内部OCR結果を外部OCR結果の内容に補正して、当該補正したOCR結果を紙幣処理装置10Cに送信しても良い。また、制御部128Cは、文字認識装置9Cからの補正されたOCR結果に用いて、記番号リストを生成しても良い。
【0120】
[第5実施形態]
次に、第5実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0121】
<紙幣処理システムの構成>
まず、紙幣処理システムの構成について、
図5及び
図12に基づいて説明する。
図12は、第5実施形態に係る記番号リストの概略構成を示す模式図である。
【0122】
図5に示す紙幣処理システム1Dは、紙幣処理装置10Dと、文字認識装置9Dと、を有する。紙幣処理システム1Dは、紙幣処理装置10Cで入金処理を実行する場合、外部OCR結果を利用し、精査処理を実行する場合、内部OCR結果を利用する。なお、精査処理とは、各リサイクル収納部に収納されている紙幣を識別部130Dにより識別することにより各リサイクル収納部における紙幣の在高を確認する処理である。
【0123】
紙幣処理装置10Dは、識別ユニット125D及び制御部128Dが、紙幣処理装置10Bの識別ユニット125B及び制御部128Bと異なり、それ以外の構成は紙幣処理装置10Bと同じである。また、紙幣処理装置10Dは、記憶部127に
図12に示す記番号リスト73が記憶されている点でも、紙幣処理装置10Bと異なる。
【0124】
識別ユニット125Dは、それぞれ第1搬送路411に配置された、識別部130Dと、撮像部131Dと、を有する。
【0125】
紙幣処理装置10Dで入金処理を実行する場合、識別部130Dは、第1搬送路411に沿って時計回り方向に搬送される紙幣のセキュリティ部分を図示しないセンサで検知することにより、紙幣の真偽を判定する真偽判定部として機能すると共に、周知の方法を用いて、紙幣の金種及び正損を識別する。識別部130Dは、真偽判定結果、金種及び正損の識別結果を制御部128Dへ送信する。一方で、入金処理が実行される場合、撮像部131Dは、第1搬送路411に沿って搬送される紙幣の撮像を行わない。なお、撮像部131Dで透過画像を取得できるようにして、識別部130Dで当該透過画像における紙幣の透かしの有無に基づいて、真偽を判定しても良い。
【0126】
一方、紙幣処理装置10Dで精査処理を実行する場合、撮像部131Dは、制御部128Dの制御に基づいて、第1搬送路411に沿って反時計回り方向に搬送される紙幣の撮像を行い、画像情報を取得する。識別部130Dは、精査処理が実行される場合、撮像部131Dで取得された反射画像の画像情報を用いて、内部OCRを実行する文字認識部として機能する。識別部130Dは、内部OCR結果を制御部128Dへ送信する。
【0127】
記憶部127は、
図12に示す記番号リスト73を記憶する。記番号リスト73は、制御部128Dより生成される。記番号リスト73は、リサイクル収納部S、第1リサイクル収納部S1及び第2リサイクル収納部S2にそれぞれ収納された紙幣の記番号731と、収納順序732とが対応付けられたリストである。記番号731は、文字認識装置9DBにおける外部OCRの結果を表す。収納順序732は、リサイクル収納部に収納された順序を表す。
【0128】
なお、制御部128D及び文字認識装置9Dの具体的な処理については後述する。
【0129】
<紙幣処理システムの動作>
次に、紙幣処理システムの動作について説明する。なお、第3実施形態と同様の動作については、同一符号を付し、簡単に説明する。また、第5実施形態の紙幣処理装置10Dは、第3実施形態の紙幣処理装置10Bと同様のレシートの印刷処理を実行することができるが、説明を省略する。
【0130】
(入金処理)
まず、紙幣処理システムの動作として、入金処理について説明する。
図13及び
図14は、第5実施形態に係る紙幣処理システムの入金処理を示すフローチャートである。
【0131】
まず、操作者が、入金部121に紙幣を載置すると共に操作表示部132を操作して入金処理を指示すると、制御部128Dは、外部OCR結果を選択する旨の指示として受け付け、外部OCR結果を利用して、紙幣に関する処理を実行する。紙幣処理装置10Dの入金部121に載置された紙幣は、第1搬送路411に沿って
図5における時計回り方向に搬送される。紙幣が識別ユニット125Dに搬送されると、
図13に示すように、識別部130Dは、紙幣の真偽判定を実行する(ステップS30)。次に、撮像部131Dは、紙幣を撮像して画像情報を取得する(ステップS32)。この後、送受信部126は、キャプチャ画像及び取引特定情報を文字認識装置9Dへ送信する(ステップS33)。キャプチャ画像及び取引特定情報を受信した文字認識装置9Dは、キャプチャ画像を用いて外部OCRを実行する。
【0132】
搬送部140は、ステップS33の処理の前後、あるいは、処理の実行中に、紙幣を一時保留部124に保留する(ステップS50)。この後、制御部128Dは、入金部121に載置された全ての紙幣の取り込みが終了したか否かを判定する(ステップS51)。制御部128Dが紙幣の取り込みが終了していないと判定した場合(ステップS51:NO)、識別部130Dは、次に識別ユニット125Dに搬送された紙幣の真偽判定を実行する(ステップS30)。一方、制御部128Dが紙幣の取り込みが終了したと判定した場合(ステップS51:YES)、送受信部126は、文字認識装置9Dから全ての紙幣の取引特定情報、キャプチャ画像及び外部OCR結果を受信する(ステップS35)。
【0133】
つまり、ステップS30,S32,S33,S50,S51,S35の処理において、紙幣処理装置10Dは、入金予定の紙幣を連続的に搬送しつつ、各紙幣に対する真偽判定及び撮像を実行し、キャプチャ画像及び取引特定情報を文字認識装置9Dへ送信する一方で、各紙幣を一時保留部124に保留するという動作を、入金予定の紙幣がなくなるまで繰り返す。そして、入金予定の紙幣全てを一時保留部124に保留した状態で、文字認識装置9Dから、取引特定情報、キャプチャ画像及び外部OCR結果を受信する。なお、ステップS35の処理において、文字認識装置9Dから紙幣処理装置10Dへの外部OCR結果等の送信は、紙幣処理装置10Dから紙幣の取り込みが終了した旨の情報を文字認識装置9Dが受信した後に行われても良いし、全ての紙幣の外部OCRが終了次第、行われても良いし、各紙幣の外部OCRが終了する毎に行われても良い。
【0134】
次に、制御部128Dは、
図14に示すように、最初に一時保留部124から繰り出される紙幣の外部OCRにおける文字認識率が閾値未満か否かを判定する(ステップS52)。なお、文字認識率は、固定値であっても良いし、ユーザが自由に設定できても良い。閾値を100%に設定し、外部OCRで認識できない文字が1文字の場合でも、文字認識率が閾値未満であると判定するようにしても良い。
【0135】
制御部128Dにおいて文字認識率が閾値未満であると判定された場合(ステップS52:YES)、搬送部140は、制御部128Dの制御に基づいて、紙幣を一時保留部124からリジェクト部123へ移送する(ステップS53)。外部OCRにおける文字認識率が閾値未満の紙幣を、リジェクト部123へ移送する理由は、当該紙幣を偽券収納部S3に収納しても、当該紙幣の記番号と取引日時との対応付けが困難となり、当該紙幣を利用した人物を特定することができないおそれがあるからである。なお、リジェクト部123へ移送した紙幣が偽と判定された紙幣の場合、その旨を音や表示で報知して紙幣処理装置10Dの管理者を呼ぶとともに、紙幣処理装置10Dの動作を停止するようにしても良い。
【0136】
制御部128Dは、ステップS53の処理の後、一時保留部124に保留された全ての紙幣の移送が完了したか否かを判定する(ステップS54)。制御部128Dは、全ての紙幣の移送が完了したと判定した場合(ステップS54:YES)、入金処理を終了する。一方、制御部128Dは、全ての紙幣の移送が完了していないと判定した場合(ステップS54:NO)、ステップS52の処理を実行する。つまり、制御部128Dは、次に一時保留部124から繰り出される紙幣の外部OCRにおける文字認識率が閾値未満か否かを判定する。
【0137】
一方、制御部128Dは、外部OCRにおける文字認識率が閾値以上であると判定した場合(ステップS52:NO)、文字認識率が閾値以上の紙幣の真偽判定結果が偽か否かを判定する(ステップS31)。制御部128Dにおいて真偽判定結果が偽であると判定された場合(ステップS31:YES)、搬送部140は、紙幣を一時保留部124から偽券収納部S3へ移送する(ステップS55)。この後、制御部128Dは、偽券収納部S3へ移送した紙幣に関する情報を
図6に示す偽券リスト61に追加する処理、つまり偽券リスト61の更新処理を実行する(ステップS36)。その後、制御部128Dは、ステップS54の処理を実行し、全ての紙幣の移送が完了したと判定した場合(ステップS54:YES)、入金処理を終了する。一方、制御部128Dは、全ての紙幣の移送が完了していないと判定した場合(ステップS54:NO)、ステップS52の処理を実行する。
【0138】
一方、制御部128Dにおいて真偽判定結果が真であると判定された場合(ステップS31:NO)、搬送部140は、金種に基づいて、紙幣を一時保留部124からリサイクル収納部S、第1リサイクル収納部S1及び第2リサイクル収納部S2のいずれかに移送する(ステップS56)。この後、制御部128Dは、リサイクル収納部へ移送した紙幣の外部OCR結果を記番号731とした情報を記番号リスト73に追加する処理、つまり記番号リスト73の更新処理を実行する(ステップS57)。その後、制御部128Dは、ステップS54の処理を実行し、全ての紙幣の移送が完了したと判定した場合(ステップS54:YES)、入金処理を終了する。一方、制御部128Dは、全ての紙幣の移送が完了していないと判定した場合(ステップS54:NO)、ステップS52の処理を実行する。
【0139】
つまり、ステップS52~S57,S31,S36の処理において、紙幣処理装置10Dは、一時保留部124に保留された紙幣を連続的に搬送しつつ、各紙幣に対する外部OCR結果及び真偽判定結果に基づいて、紙幣をリジェクト部123、偽券収納部S3、リサイクル収納部のいずれかに移送するという動作を、一時保留部124に保留された紙幣がなくなるまで繰り返す。
【0140】
(精査処理)
次に、紙幣処理システムの動作として、精査処理について説明する。第5実施形態では、例えば停電等により紙幣処理装置10Dの動作が停止したときなど、リサイクル収納部の在高を確定できない場合に行う精査処理について説明する。
【0141】
まず、操作者が、操作表示部132を操作して精査処理を指示すると、制御部128Dは、内部OCR結果を選択する旨の指示として受け付け、内部OCR結果を利用して、紙幣に関する処理を実行する。搬送部140は、精査対象のリサイクル収納部から繰り出された紙幣を、第1搬送路411に沿って
図5における反時計回り方向に搬送し、例えば一時保留部124に保留する。紙幣が識別ユニット125Dを通過するとき、撮像部131Dは、紙幣を撮像して画像情報を取得する。識別部130Dは、撮像部131Dで取得された画像情報を用いて内部OCRを実行する。制御部128Dは、精査対象のリサイクル収納部の記番号リスト73の記番号731と、内部OCR結果とを照合して、リサイクル収納部における精査対象の紙幣の収納順序を特定し、在高を確定する。このとき、内部OCRは外部OCRと比べて精度が低いものの、入金処理のステップS57の処理において、外部OCR結果が照合対象の記番号リスト73の記番号731として記録されている。このため、内部OCRで一部の文字が認識できない場合でも、当該内部OCR結果に対応する記番号731を記番号リスト73から検索することができ、検索した記番号731に対応付けられた収納順序732を、精査対象の紙幣の収納順序として特定することができる。したがって、精査処理を正確に実行することができる。この後、搬送部140は、一時保留部124に保留された紙幣を、第1搬送路411に沿って
図5における時計回り方向に搬送し、元のリサイクル収納部に搬送する。
【0142】
<第5実施形態の効果>
第5実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果に加えて、以下のような効果がある。紙幣処理装置10Dは、処理速度よりも処理精度が優先される入金処理において、外部OCR結果に応じて紙幣を搬送する。このため、紙幣処理装置10Dは、高精度に認識された記番号に基づいて、紙幣を適切に搬送することができる。特に、内部OCRでは認識できない記番号を外部OCRで認識することができるため、リジェクト部123へ移送される紙幣を減らすことができる。
【0143】
紙幣処理装置10Dは、処理精度よりも処理速度が優先される精査処理を、内部OCR結果を利用して実行する。このため、外部OCR結果を利用して精査処理を実行する場合と比べて、短時間で精査処理を終了させることができ、紙幣処理装置10Dの停止時間が長くなることを抑制できる。
【0144】
<第5実施形態の変形例>
入金処理において、入金対象の全ての紙幣に対する外部OCRを実行したが、紙幣の回収までに記番号を認識できれば良い偽券に対しては、外部OCRを実行し、ユーザの待ち時間に影響する真券に対しては、外部OCRよりも早く結果が得られる内部OCRを実行しても良い。
【0145】
[その他の変形例]
第3~第5実施形態において、紙幣処理装置10B~10Dは、取引特定情報を、文字認識装置9B~9Dに送信しなくても良い。この場合、文字認識装置9B~9Dがキャプチャ画像を受信した順序で外部OCR結果を紙幣処理装置10B~10Dに送信すれば、制御部128B~128Dは、取引特定情報611と、外部OCR結果613とを対応付けて、偽券リスト61,62に追加することができる。また、第4実施形態において、紙幣処理装置10Cは、内部OCR結果を、文字認識装置9Cに送信しなくても良い。
【0146】
第3~第5実施形態において、文字認識装置9B~9Dは、キャプチャ画像を紙幣処理装置10B~10Dに送信しなくても良い。また、第4実施形態において、文字認識装置9Cは、内部OCR結果を紙幣処理装置10Cに送信しなくても良い。
【0147】
第3~第5実施形態において、偽券リスト61,62に、キャプチャ画像612及び取引番号615のうち少なくとも一方を含めなくても良い。また、第4実施形態において、偽券リスト62に、内部OCR結果626を含めなくても良い。
【0148】
第3~第5実施形態において、レシート71,72に、取引番号713を含めなくても良い。また、第4実施形態において、レシート72に、内部OCR結果725を含めなくても良い。
【0149】
第3~第5実施形態において、操作表示部132に、レシート71,72に記載された情報を表示させても良い。
【0150】
第5実施形態において、紙幣処理装置10Dに回収部を設け、ステップS52において外部OCRの文字認識率が閾値未満であると判定された場合、紙幣を回収部に移送するようにしても良い。
【0151】
本開示の紙葉類処理装置で処理する紙葉類として、商品券、小切手を適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0152】
本開示は、紙葉類処理方法及び紙葉類処理装置に適用できる。
【符号の説明】
【0153】
1,1A,1B,1C,1D 紙幣処理システム
2,2A,10B,10C,10D 紙幣処理装置
3,131B,131C,131D 撮像部
4 送受信部
5,5A, 128B,128C,128D 制御部
6A 文字認識部
9,9B,9C,9D 文字認識装置
61,62 偽券リスト
71,72 レシート
73 記番号リスト
100 処理部
120 上部筐体
121 入金部
122 出金部
123 リジェクト部
124 一時保留部
125B,125C,125D 識別ユニット
126 送受信部
127 記憶部
130B,130C,130D 識別部
132 操作表示部
133 印刷部
140 搬送部
141 上側搬送部
150 ターミナルコンピュータ
211 入金口
221 出金口
231 第2出金口
411,412,413,414,415,416,417,418、421,422,420 第1,第2,第3,第4,第5,第6,第7,第8,第9,第10,第11搬送路
500 金庫部
501 金庫筐体
531,532,533,534,535,536 収納装置
542 下側搬送部
543 第2下側搬送部
611 取引特定情報
612 キャプチャ画像
613 外部OCR結果
614,712 取引日時
615,713 取引番号
626,725 内部OCR結果
711,721 偽券情報
714 外部OCR結果
731 記番号
732 収納順序
S,S1,S2リサイクル収納部
S3 偽券収納部