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  • 特開-毛髪化粧料 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171305
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】毛髪化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20221104BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20221104BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20221104BHJP
   A61Q 5/06 20060101ALI20221104BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
A61K8/81
A61K8/73
A61Q5/12
A61Q5/06
A61K8/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021077882
(22)【出願日】2021-04-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 直幸
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC662
4C083AC782
4C083AC792
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD131
4C083AD132
4C083BB05
4C083BB34
4C083CC32
4C083CC33
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE25
4C083EE28
4C083FF01
(57)【要約】
【課題】毛髪の形状固定化力が向上した毛髪化粧料及び毛髪処理方法を提供する。
【解決手段】[1](A)架橋型ポリアクリル酸及び(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーから選択される少なくとも一種のアニオン性ポリマー、(B)アニオン性界面活性剤、及び(C)セルロース骨格を有するカチオン性ポリマーを含有する毛髪化粧料、並びに[2]前記毛髪化粧料を毛髪に適用する工程と、前記毛髪化粧料を適用した毛髪を水ですすぐ工程とを有する、毛髪処理方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)~(C)を含有する、毛髪化粧料。
(A)架橋型ポリアクリル酸及び(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーから選択される少なくとも一種のアニオン性ポリマー
(B)アニオン性界面活性剤
(C)セルロース骨格を有するカチオン性ポリマー
【請求項2】
前記成分(C)が下記成分(C1)及び(C2)の両方を含む、請求項1に記載の毛髪化粧料。
(C1)疎水性カチオン化ヒドロキシエチルセルロース
(C2)前記(C1)以外のセルロース骨格を有するカチオン性ポリマー
【請求項3】
前記成分(C1)に対する前記成分(C2)の質量比((C2)/(C1))が0.20以上2.5以下である、請求項2に記載の毛髪化粧料。
【請求項4】
前記成分(A)の含有量が0.01質量%以上5.0質量%以下である、請求項1~3のいずれかに記載の毛髪化粧料。
【請求項5】
前記成分(B)の含有量が0.1質量%以上10質量%以下である、請求項1~4のいずれかに記載の毛髪化粧料。
【請求項6】
前記成分(C)の含有量が0.05質量%以上10.0質量%以下である、請求項1~5のいずれかに記載の毛髪化粧料。
【請求項7】
前記成分(B)に対する前記成分(A)の質量比((A)/(B))が0.01以上2.0以下である、請求項1~6のいずれかに記載の毛髪化粧料。
【請求項8】
前記成分(C)に対する前記成分(A)の質量比((A)/(C))が0.05以上2.5以下である、請求項1~7のいずれかに記載の毛髪化粧料。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の毛髪化粧料を毛髪に適用する工程と、前記毛髪化粧料を適用した毛髪を水ですすぐ工程とを有する、毛髪処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪化粧料及び毛髪処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、毛髪化粧料には、毛髪に滑らかさや柔らかさ、まとまり等を付与できるコンディショニング効果がより期待されるようになってきている。カチオン性ポリマーやアニオン性ポリマーの配合によって毛髪に滑らかさや柔らかさ、まとまり等を付与する技術は既に報告されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、(A)カチオン性多糖類、(B)特定の架橋型カチオン性ポリマー、(C)脂肪酸又はその塩、及び(D)カチオン性界面活性剤を含有する毛髪処理剤が、毛髪を寝ぐせがつきにくくさせることに加えて、すすぎ時のベタつきを抑制するとともに毛髪に滑らかさを付与し、かつ毛髪のまとまりや滑らかさを次の洗髪時まで持続させることができると記載されている。
【0004】
特許文献2には、(A)アニオン界面活性剤、(B)架橋型カチオン性ポリマー、疎水性カチオン化ヒドロキシエチルセルロース、及び水を含有する毛髪用洗浄剤組成物が、すすぎ時の髪のばらけやすさ、絡まりのなさ、きしみ感のなさ、リッチ感に優れ、更には洗髪後の濡れた髪を短時間で乾燥させることができると記載されている。
【0005】
特許文献3には、成分(A):アニオン界面活性剤、成分(B):カチオン性高分子、成分(C):特定の構成単位を含む重合体、及び、水を含有する毛髪洗浄剤組成物であって、当該毛髪洗浄剤組成物中の成分(C)の含有量に対する成分(B)の含有量の質量比((B)/(C))が特定の範囲にある毛髪洗浄剤組成物が、寝癖がつきにくく、かつ毛髪にまとまりや感触上好ましい滑らかさ及び柔らかさを付与すると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-210413号公報
【特許文献2】特開2017-88516号公報
【特許文献3】特開2017-137254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年の毛髪化粧料には、毛髪のくせを抑制して髪のまとまりを付与する等の新しい機能が付与されているが、毛髪の形状そのものを制御する技術は確立されていない。そのため、毛髪を束ねて一定の形状を付与しつつ、その形状を固定化する機能、例えば、カールした毛髪等のクセのある毛髪を束ねてストレート状に固定化したり、まとまったウェーブ状に固定化したりする機能が求められている。上記特許文献1~3に毛髪化粧料は、毛髪の形状固定化力の点で改善の余地があった。
本発明は、毛髪の形状固定化力が向上した毛髪化粧料及び毛髪処理方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、(A)架橋型ポリアクリル酸及び(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーから選択される少なくとも一種のアニオン性ポリマー、(B)アニオン性界面活性剤、及び、(C)セルロース骨格を有するカチオン性ポリマーを含有する毛髪化粧料が、毛髪の形状固定化力を向上できることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明は、下記[1]及び[2]に関する。
[1]下記成分(A)~(C)を含有する、毛髪化粧料。
(A)架橋型ポリアクリル酸及び(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーから選択される少なくとも一種のアニオン性ポリマー
(B)アニオン性界面活性剤
(C)セルロース骨格を有するカチオン性ポリマー
[2]前記[1]に記載の毛髪化粧料を毛髪に適用する工程と、前記毛髪化粧料を適用した毛髪を水ですすぐ工程とを有する、毛髪処理方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、毛髪の形状固定化力が向上した毛髪化粧料及び毛髪処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】毛髪の形状固定化を説明するための図であり、毛束の上端を固定して吊るした状態の正面から見た写真を図示したものであり、(a)は未処理の評価用毛束を示し、(b)は(a)の未処理の評価用毛束を本発明の毛髪化粧料で処理し、リングコームでストレート状に整えてドライヤーで完全に乾燥させた状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[毛髪化粧料]
本発明の毛髪化粧料は、下記成分(A)~(C)を含有する。
(A)架橋型ポリアクリル酸及び(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーから選択される少なくとも一種のアニオン性ポリマー
(B)アニオン性界面活性剤
(C)セルロース骨格を有するカチオン性ポリマー
なお、本発明において、「成分Xを含有している」とは、「成分Xが配合されてなる」ことと同義とみなすものとする。
【0013】
本発明の毛髪化粧料によれば、毛髪を束ねて一定の形状を付与しつつ、束ねた毛髪の形状を固定化するための形状固定化力を向上させることができる。このため、特に、カールした毛髪等のクセのある毛髪をストレート状やまとまったウェーブ状等の形状にスタイリングする際に、要する時間や手間を削減し、作った形を長時間保持することができ、好適に適用することができる。
図1は、毛髪の形状固定化を説明するための図であり、毛束の上端を固定して吊るした状態の正面から見た写真を図示したものであり、(a)は未処理の評価用毛束を示し、(b)は(a)の未処理の評価用毛束を本発明の毛髪化粧料で処理し、リングコームでストレート状に整えてドライヤーで完全に乾燥させた状態を示している。
すなわち、本発明において、「毛髪の形状固定化力」とは、例えば、図1(a)に示すようなクセがある毛髪を束ねて、図1(b)に示すようなストレート状にしつつ、乾燥してもその形状が維持されるような、その形状を強く固定化する力をいう。なお、本発明において、「毛髪の形状固定」とは、毛髪同士が結着し、毛髪の束が一定の形状に固定されている状態を意味し、トップから毛先まで毛髪のラインが美しく乱れていない状態を意味する「毛髪のまとまり」とは異なる状態である。
【0014】
本発明の毛髪化粧料が上記構成であることにより本発明の効果を奏する理由については、以下のように推察される。
本発明の毛髪化粧料は、成分(A)として架橋型ポリアクリル酸及び(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーから選択される少なくとも一種のアニオン性ポリマー、成分(B)としてアニオン性界面活性剤、成分(C)としてセルロース骨格を有するカチオン性ポリマーを含有する。
アニオン性ポリマーである成分(A)及びアニオン性界面活性剤である成分(B)と、カチオン性ポリマーである成分(C)とは、相互作用により複合体ゲルを形成することが可能である。
そして、本発明の毛髪化粧料を適用した毛髪をすすぐ際に、過剰のアニオン性界面活性剤である成分(B)が洗い流され、該複合体ゲルが毛髪表面に析出し、毛髪表面に結着性を有する複合体ゲル膜が形成されると考えられる。
結着性を有する複合体ゲル膜が形成された毛髪は、該複合体ゲル膜により毛髪同士が相互に結着して互いに支え合うことにより毛髪の形状が固定化されると考えられる。
ここで、成分(C)は毛髪への付着性に優れるため、毛髪全体に均一に吸着しやすい。さらに、上記成分(A)及び(C)は保水性に優れるため、複合体ゲル膜の結着力を向上させることができる。
したがって、本発明の毛髪化粧料は、成分(A)~成分(C)を組み合わせることで、結着力が良好な皮膜を毛髪全体に均一に形成できるため、毛髪を束ねて一定の形状を付与しつつ、束ねた毛髪の形状を固定化するための形状固定化力を向上させることができると考えられる。
【0015】
本発明の毛髪化粧料の態様としては、例えば、ヘアシャンプー等の毛髪洗浄剤、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアパック、ヘアスタイリング剤等が挙げられる。これらのうち、本発明の効果をより発揮させる観点から、洗髪後に使用されるものが好ましく、毛髪に馴染ませた後、濯いで使用される態様のものがより好ましい。このような観点から、本発明の毛髪化粧料としては、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアパック又はヘアスタイリング剤が好ましい。
本発明の毛髪化粧料の剤型は、例えば、液体状、泡状、ペースト状、クリーム状等の任意の剤型とすることができる。これらのうち、使用しやすさ等の観点から、液体状、ペースト状又はクリーム状であることが好ましく、液体状であることがより好ましい。
【0016】
<成分(A):アニオン性ポリマー>
本発明の毛髪化粧料は、成分(A)として架橋型ポリアクリル酸及び(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーから選択される少なくとも一種のアニオン性ポリマーを含有する。
成分(A)は、架橋型ポリアクリル酸であることがより好ましい。
【0017】
架橋型ポリアクリル酸としては、カルボキシビニルポリマー、すなわち、INCI名で言うカルボマーが好ましい。カルボマーとは、ペンタエリスチルアリルエーテル、スクロースアリルエーテル又はプロピレンアリルエーテルで架橋したアクリル酸の重合体である。
成分(A)は、カチオン性を有するカチオン性ポリマーである成分(C)との相互作用によって複合体ゲルを形成する。該複合体ゲルによる毛髪の保水性向上効果及び毛髪同士を結着させる効果により、毛髪の形状固定化力を向上させることができる。
(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーは、アクリル酸、メタクリル酸又はこれらの単純エステルからなるモノマー1種以上とアクリル酸アルキル(C10-30)の共重合体をショ糖のアリルエーテル又はペンタエリスリトールのアリルエーテルで架橋したものであり、INCI名は、Acrylates/C10-30 Alkyl Acrylate Cross Polymerである。
【0018】
成分(A)のアニオン性ポリマーは、アクリル酸の重合体が好ましい。また、成分(A)のアニオン性ポリマーにおけるメタクリル酸アルキル由来の構成単位の含有量は、5質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることが更に好ましく、0.1質量%以下であることが更に好ましく、成分(A)のアニオン性ポリマーはメタクリル酸アルキルを構成モノマーとして含まないことが更に好ましい。このため、アクリル酸よりも親水性に劣るメタクリル酸アルキルをモノマー構成単位として含むポリマーよりも、水性媒体中で、成分(C)との相互作用により、毛髪の形状固定化力をより向上させることができる。
また、成分(A)のポリマーは、架橋型であることが好ましい。成分(A)が架橋型のポリマーであることによって、毛髪の保水性向上効果が高く、毛髪の形状固定化力をより向上させることができる。
【0019】
カルボマーの市販品としては、例えば、カーボポール(登録商標;以下、表記省略。)980、カーボポール981(以上、ルーブリゾール株式会社製)等が挙げられる。(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーの市販品としては、例えば、カーボポールETD2020(ルーブリゾール株式会社製)等が挙げられる。
【0020】
成分(A)は1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0021】
本発明の毛髪化粧料中の成分(A)の含有量は、毛髪の形状固定化力をより向上させる観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.03質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.08質量%以上、更に好ましくは0.10質量%以上、更に好ましくは0.20質量%以上であり、同様の観点から、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは3.0質量%以下、更に好ましくは1.0質量%以下、更に好ましくは0.80質量%以下である。これらの観点を総合すると、本発明の毛髪化粧料中の成分(A)の含有量は、好ましくは0.01質量%以上5.0質量%以下、より好ましくは0.03質量%以上3.0質量%以下、更に好ましくは0.05質量%以上1.0質量%以下、更に好ましくは0.08質量%以上0.80質量%以下、更に好ましくは0.10質量%以上0.80質量%以下、更に好ましくは0.20質量%以上0.80質量%以下である。
【0022】
<成分(B):アニオン性界面活性剤>
本発明の毛髪化粧料は、成分(B)としてアニオン性界面活性剤を含有する。
アニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、内部オレフィンスルホン酸塩、アルキル又はアルケニル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホ脂肪酸塩、N-アシルアミノ酸塩、リン酸モノ又はジエステル塩、スルホコハク酸エステル塩等が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を用いることができる。
【0023】
成分(B)は、洗浄性、泡立ちの良さ、泡の感触、配合安定性、及び入手性等の観点から、α-オレフィンスルホン酸塩、内部オレフィンスルホン酸塩及びポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩からなる群から選択される少なくとも一種を含むことが好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩を含むことがより好ましい。
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩としては、下記式(I)で表される化合物が挙げられる。
-O-(CHCHO)-SOY (I)
式(I)中、Rは、炭素数8以上22以下の直鎖又は分岐アルキル基を示す。pは平均付加モル数を示し、0.25以上20以下の数である。Yはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルカノールアミン又は塩基性アミノ酸を示す。
【0024】
における直鎖又は分岐アルキル基の炭素数は、洗浄性、泡立ちの良さ、泡の感触、配合安定性、及び入手性の観点から、好ましくは炭素数8以上18以下、より好ましくは炭素数10以上18以下である。
式(I)におけるRの具体例としては、2-エチルヘキシル基、n-オクチル基、ノニル基、n-デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、n-ドデシル基、ラウリル基、トリデシル基、ミリスチル基、ペンタデシル基、パルミチル基、ヘプタデシル基、ステアリル基、イソステアリル基、ノナデシル基、イコシル基、へンイコシル基、及びドコシル基を挙げることができる。これらの中でも、Rは、好ましくは直鎖アルキル基であり、より好ましくはn-オクチル基、n-デシル基、ラウリル基、ミリスチル基、セチル基、及びステアリル基からなる群から選ばれる1種以上であり、更に好ましくはn-デシル基、ラウリル基、ミリスチル基、セチル基、及びステアリル基からなる群から選ばれる1種以上、更に好ましくはラウリル基である。
更にRは、ヤシ油、パーム油、パーム核油、大豆油、ナタネ油、牛脂、豚脂、又は魚油等の天然物に含まれる複数の脂肪酸に由来するアルキル基であってもよい。この場合、前記式(I)で表される化合物は、互いに異なるアルキル基を有する複数の化合物の混合物として得られる。
【0025】
式(I)中のpは、平均付加モル数を示し、0.25以上20以下の数である。洗浄性、泡立ちの良さ、泡の感触、配合安定性、及び入手性の観点から、pは好ましくは0.5以上であり、好ましくは15以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは5以下である。
式(I)中のYは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルカノールアミン又は塩基性アミノ酸を示し、好ましくはアルカリ金属又はアンモニウムである。
アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、又はカリウムが好ましい。アンモニウムは、アルキルアンモニウムやアルカノールアンモニウムであってもよい。
Yは、洗浄性、泡立ちの良さ、泡の感触、配合安定性、及び入手性の観点から、好ましくはナトリウム、カリウム、及びアンモニウムからなる群から選ばれる1種以上、より好ましくはナトリウム及びアンモニウムからなる群から選ばれる1種以上である。
【0026】
式(I)で表される、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩の具体例としては、オキシエチレン基の平均付加モル数pが0.25~20、好ましくは0.5~15、より好ましくは0.5~10、更に好ましくは1~5の、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸アンモニウム等が挙げられる。
ラウレス硫酸ナトリウムの具体例としては、花王株式会社製の「エマール227HP」、「エマール125HP」等、ラウレス硫酸アンモニウムの具体例としては、花王株式会社製の「エマール170S-A」等が挙げられる。
【0027】
α-オレフィンスルホン酸塩の炭素数は、洗浄性、泡立ちの良さ、泡の感触、配合安定性、及び入手性の観点から、好ましくは炭素数8以上22以下、より好ましくは炭素数8以上18以下、更に好ましくは炭素数10以上18以下である。
α-オレフィンスルホン酸塩を構成するα-オレフィンスルホン酸の対イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン;カルシウムイオン、マグネシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン;アンモニウムイオン;炭素数2又は3のアルカノール基を1~3個有するアルカノールアンモニウム(例えばモノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム、トリイソプロパノールアンモニウム等)が挙げられる。
α-オレフィンスルホン酸の対イオンは、洗浄性、泡立ちの良さ、泡の感触、配合安定性、及び入手性の観点から、好ましくはナトリウム、カリウム、及びアンモニウムからなる群から選ばれる1種以上、より好ましくはナトリウムである。
α-オレフィンスルホン酸塩の具体例としては、炭素数が好ましくは8以上22以下、より好ましくは10以上18以下のα-オレフィンのスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0028】
内部オレフィンスルホン酸塩は、例えば、二重結合がオレフィン鎖の内部(2位以上の位置)にある内部オレフィンをスルホン化、中和、及び加水分解すること等によって得ることができる。
内部オレフィンスルホン酸塩の炭素数は、洗浄性、泡立ちの良さ、泡の感触、配合安定性、及び入手性の観点から、好ましくは炭素数8以上22以下、より好ましくは炭素数8以上18以下、更に好ましくは炭素数10以上18以下である。
内部オレフィンスルホン酸塩の内部オレフィンとは、二重結合をオレフィン鎖の内部に有するオレフィンであり、二重結合の位置が炭素鎖の1位に存在する、いわゆるα-オレフィンを微量に含有する場合も含む広義の意味である。
内部オレフィンをスルホン化すると、定量的にβ-サルトンが生成し、β-サルトンの一部は、γ-サルトン、オレフィンスルホン酸へと変化し、更にこれらは中和及び加水分解工程により、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩と、内部オレフィンスルホン酸塩へと転換される。ここで、得られるヒドロキシアルカンスルホン酸塩のヒドロキシ基は、アルカン鎖の内部にあり、内部オレフィンスルホン酸塩の二重結合はオレフィン鎖の内部にある。
内部オレフィンスルホン酸塩を構成する内部オレフィンスルホン酸の対イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン;カルシウムイオン、マグネシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン;アンモニウムイオン;炭素数2又は3のアルカノール基を1~3個有するアルカノールアンモニウム(例えばモノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム、トリイソプロパノールアンモニウム等)が挙げられる。
内部オレフィンスルホン酸の対イオンは、洗浄性、泡立ちの良さ、泡の感触、配合安定性、及び入手性の観点から、好ましくはナトリウム、カリウム、及びアンモニウムからなる群から選ばれる1種以上、より好ましくはナトリウムである。
【0029】
α-オレフィンスルホン酸塩、内部オレフィンスルホン酸塩及びポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩以外のアニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル又はアルケニル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホ脂肪酸塩、N-アシルアミノ酸塩、リン酸モノ又はジエステル塩、スルホコハク酸エステル塩等が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を用いることができる。
α-オレフィンスルホン酸塩、内部オレフィンスルホン酸塩及びポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩以外の上記アニオン性界面活性剤が有するアルキル基、アルケニル基等の炭化水素基、又は構成脂肪酸は、好ましくは炭素数8以上22以下、より好ましくは炭素数8以上18以下、更に好ましくは炭素数10以上18以下である。
【0030】
α-オレフィンスルホン酸塩、内部オレフィンスルホン酸塩及びポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩以外の上記アニオン性界面活性剤のアニオン性基の対イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン;カルシウムイオン、マグネシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン;アンモニウムイオン;炭素数2又は3のアルカノール基を1~3個有するアルカノールアンモニウム(例えばモノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム、トリイソプロパノールアンモニウム等)が挙げられる。
【0031】
上記の中でも、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩以外のアニオン性界面活性剤としては、洗浄性、泡立ちの良さ、泡の感触、配合安定性、及び入手性の観点から、アルキル硫酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、内部オレフィンスルホン酸塩、N-アシルアミノ酸塩及びアルキルエーテルカルボン酸塩からなる群から選ばれる1種以上が好ましい。
上記アルキル硫酸塩としては、ラウリル硫酸ナトリウム等が挙げられる。アルキルエーテルカルボン酸塩としては、ラウレス酢酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩が挙げられる。N-アシルアミノ酸塩としては、ココイルアラニン塩等が挙げられる。
【0032】
成分(B)は1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0033】
本発明の毛髪化粧料中の成分(B)の含有量は、毛髪の形状固定化力をより向上させる観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.4質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であり、同様の観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8.0質量%以下、更に好ましくは7.0質量%以下である。これらの観点を総合すると、本発明の毛髪化粧料中の成分(B)の含有量は、好ましくは0.1質量%以上10質量%以下、より好ましくは0.2質量%以上8.0質量%以下、更に好ましくは0.3質量%以上7.0質量%以下、更に好ましくは0.4質量%以上7.0質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以上7.0質量%以下である。
【0034】
<成分(C):セルロース骨格を有するカチオン性ポリマー>
本発明の毛髪化粧料は、成分(C)としてセルロース骨格を有するカチオン性ポリマーを含有する。
本発明において「セルロース骨格を有するカチオン性ポリマー」とは、カチオン性基と、セルロース骨格とを有し、かつ、全体としてカチオン電荷であるポリマーを意味する。また、カチオン性基とは、カチオン基、又は、イオン化されてカチオン基になり得る基をいい、例えば、4級アンモニウム基、又は、プロトンを付加することで3級アミノ基に転換が可能な3級アミノ基を意味する。
【0035】
セルロース骨格を有するカチオン性ポリマーとしては、カチオン化セルロース誘導体が挙げられ、具体的には、カチオン化セルロース、カチオン化ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化ヒドロキシプロピルセルロース、及びカチオン化カルボキシメチルセルロースからなる群から選ばれる1種以上が挙げられる。このうち、複合体ゲル膜の形成の観点、から、カチオン化ヒドロキシエチルセルロースが好ましい。
【0036】
また、セルロース骨格を有するカチオン性ポリマーとしては、毛髪の形状固定化力をより向上させる観点から、疎水性カチオン化セルロースを含むことが好ましい。
成分(C)の疎水性カチオン化セルロースとしては、疎水性カチオン化ヒドロキシエチルセルロースや、疎水性カチオン化ヒドロキシプロピルセルロースが挙げられ、疎水性カチオン化ヒドロキシエチルセルロースが好ましい。
【0037】
疎水性カチオン化ヒドロキシエチルセルロースとしては、毛髪の形状固定化力をより向上させる観点から、好ましくは、下記式(3)で表されるアンヒドログルコース由来の主鎖を有し、かつ、該アンヒドログルコース単位あたりのカチオン化エチレンオキシ基の平均モル数が0.01~3.0であり、エチレンオキシ基の平均モル数が0.5~4.0である。
【0038】
【化1】

式(3)中、R、R及びRは、それぞれ独立に下記式(4)で表されるカチオン化エチレンオキシ基とエチレンオキシ基を有する置換基を示し、nはアンヒドログルコースの平均重合度であって50~5000の数を示す。
【0039】
式(3)におけるR、R及びRは、式(4)で表される基であり、同一であっても異なっていてもよい。また、n個のR、n個のR、n個のRは、それぞれ同一であっても異なってもよい。
【0040】
【化2】
【0041】
式(4)中、Y及びYは、一方が水素原子であり、他方が下記式(5)で表されるカチオン性基を示す。pは式(4)中に含まれるエチレンオキシ基の数、qは式(4)中に含まれるカチオン化エチレンオキシ基(-CH(Y)-CH(Y)-O-)の数であって、それぞれ0又は正の整数である。p及びqのどちらもが0でない場合、カチオン化エチレンオキシ基とエチレンオキシ基の付加順序は問わず、更にp及び/又はqが2以上である場合は、ブロック結合、ランダム結合のいずれであってもよい。分子内に複数の式(4)で表される置換基が存在する場合、該置換基間においてp、qの値はそれぞれ異なっていてよいが、そのうち少なくとも1つはqが1以上である。
【0042】
【化3】

式(5)中、R10~R12はそれぞれ独立に炭素数1~18の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、Xはアニオン性基を示す。ただし、分子内に存在するR12のうち少なくとも1つは炭素数8~18の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である。
【0043】
式(5)において、R10~R12としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-オクチル基、n-デシル基、n-ドデシル基、n-テトラデシル基、n-ヘキサデシル基、n-オクタデシル基が挙げられる。R10及びR11としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-オクチル基、n-デシル基、n-ドデシル基が好ましく、メチル基がより好ましい。R12としては、メチル基、n-オクチル基、n-デシル基、n-ドデシル基が好ましく、メチル基、n-ドデシル基がより好ましい。
【0044】
式(5)において、Xはアンモニウムの対イオンであるアニオン性基であり、その具体例としてはアルキル硫酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、アルキル炭酸イオン、ハロゲン化物イオンが挙げられる。これらのうち、製造の容易さの観点から、ハロゲン化物イオンが好ましい。ハロゲン化物イオンとしては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン及びヨウ化物イオンが挙げられるが、成分(C)の水溶性及び化学的安定性の観点から、塩化物イオン、臭化物イオンが好ましく、塩化物イオンがより好ましい。
【0045】
成分(C)として、市販のポリマーを用いることもできる。セルロース骨格を有するカチオン性ポリマーとしては、ヒドロキシエチルセルロースにトリメチルアンモニウム置換エポキシド、及びラウリルジメチルアンモニウム置換エポキシドを付加反応させて得られる4級アンモニウム塩の重合体(INCI名:ポリクオタニウム-67)、ヒドロキシエチルセルロースに塩化グリシジルトリメチルアンモニウムを付加して得られる4級アンモニウム塩の重合体(INCI名:ポリクオタニウム-10)、ヒドロキシエチルセルロースに塩化グリシジルラウリルジメチルアンモニウムを付加重合して得られる4級アンモニウム塩の重合体(INCI名:ポリクオタニウム-24)、ヒドロキシエチルセルロースにヤシ油アルキルジメチルアンモニウム置換エポキシドを付加反応させて得られる4級アンモニウム塩の重合体(INCI名:ポリクオタニウム-72)、花王株式会社製「カチセロL-150」等が挙げられる。
これらの中でも、ポリクオタニウム-67及びポリクオタニウム-10から選択される少なくとも一種が好ましく、ポリクオタニウム-67がより好ましい。
【0046】
成分(C)は、毛髪の形状固定化力をより向上させる観点から、下記成分(C1)及び(C2)の両方を含むことが好ましい。
(C1)前記疎水性カチオン化ヒドロキシエチルセルロース
(C2)(C1)以外のセルロース骨格を有するカチオン性ポリマー
【0047】
成分(C2)としては、成分(C1)以外のカチオン化ヒドロキシエチルセルロースが好ましく、ヒドロキシエチルセルロースに塩化グリシジルトリメチルアンモニウムを付加して得られる4級アンモニウム塩の重合体(INCI名:ポリクオタニウム-10)がより好ましい。また、成分(C2)と組み合わせる成分(C1)としては、ヒドロキシエチルセルロースにトリメチルアンモニウム置換エポキシド、及びラウリルジメチルアンモニウム置換エポキシドを付加反応させて得られる4級アンモニウム塩の重合体(INCI名:ポリクオタニウム-67)が好ましい。
成分(C)が成分(C1)及び(C2)の両方を含むことにより髪の形状固定化力をより向上できる理由については定かではないが、以下のように推察される。
成分(C2)は高粘性のゲルを形成し、毛髪への付着性に優れるため、毛髪全体に均一に吸着しやすい。一方で、上記成分(C1)は保水性に優れた低粘性のゲルを形成するため、複合体ゲル膜の毛髪全体を被覆しやすく、結着力をより向上させることができる。したがって、本発明の毛髪化粧料は、成分(C)が成分(C1)及び(C2)の両方を含むことで、結着力が良好な皮膜を毛髪全体により均一に形成できるため、束ねた毛髪の形状を固定化するための形状固定化力をより一層向上させることができると考えられる。
【0048】
本発明の毛髪化粧料において、成分(C1)に対する成分(C2)の質量比((C2)/(C1))は、毛髪の形状固定化力をより向上させる観点から、好ましくは0.20以上、より好ましくは0.30以上、更に好ましくは0.40以上、更に好ましくは0.50以上、更に好ましくは0.70以上、更に好ましくは0.80以上であり、同様の観点から、好ましくは2.5以下、より好ましくは2.0以下、更に好ましくは1.5以下、更に好ましくは1.2以下である。これらの観点を総合すると、成分(C1)に対する成分(C2)の質量比((C2)/(C1))は、好ましくは0.20以上2.5以下、より好ましくは0.30以上2.0以下、更に好ましくは0.40以上1.5以下、更に好ましくは0.50以上1.2以下、更に好ましくは0.70以上1.2以下、更に好ましくは0.80以上1.2以下である。
【0049】
成分(C)は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0050】
本発明の毛髪化粧料中の成分(C)の含有量は、毛髪の形状固定化力をより向上させる観点から、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.10質量%以上、更に好ましくは0.30質量%以上、更に好ましくは0.40質量%以上、更に好ましくは0.50質量%以上であり、同様の観点から、好ましくは10.0質量%以下、より好ましくは5.0質量%以下、更に好ましくは3.0質量%以下、更に好ましくは2.0質量%以下、更に好ましくは1.5質量%以下、更に好ましくは1.2質量%以下、更に好ましくは0.90質量%以下である。これらの観点を総合すると、本発明の毛髪化粧料中の成分(C)の含有量は、好ましくは0.05質量%以上10.0質量%以下、より好ましくは0.10質量%以上5.0質量%以下、更に好ましくは0.30質量%以上3.0質量%以下、更に好ましくは0.40質量%以上2.0質量%以下、更に好ましくは0.50質量%以上1.5質量%以下、更に好ましくは0.50質量%以上1.2質量%以下、更に好ましくは0.50質量%以上0.90質量%以下である。
【0051】
本発明の毛髪化粧料において、成分(B)に対する成分(A)の質量比((A)/(B))は、毛髪の形状固定化力をより向上させる観点から、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.03以上、更に好ましくは0.04以上、更に好ましくは0.05以上、更に好ましくは0.06以上であり、同様の観点から、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.5以下、更に好ましくは1.2以下である。これらの観点を総合すると、成分(B)に対する成分(A)の質量比((A)/(B))は、好ましくは0.01以上2.0以下、より好ましくは0.03以上1.5以下、更に好ましくは0.04以上1.2以下、更に好ましくは0.05以上1.2以下、更に好ましくは0.06以上1.2以下である。
【0052】
本発明の毛髪化粧料において、成分(C)に対する成分(A)の質量比((A)/(C))は、毛髪の形状固定化力をより向上させる観点から、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.10以上、更に好ましくは0.20以上、更に好ましくは0.30以上、更に好ましくは0.40以上であり、同様の観点から、好ましくは2.5以下、より好ましくは2.0以下、更に好ましくは1.5以下、更に好ましくは1.2以下、更に好ましくは1.0以下である。これらの観点を総合すると、成分(C)に対する成分(A)の質量比((A)/(C))は、好ましくは0.05以上2.5以下、より好ましくは0.10以上2.0以下、更に好ましくは0.20以上1.5以下、更に好ましくは0.30以上1.2以下、更に好ましくは0.40以上1.0以下である。
【0053】
本発明の毛髪化粧料中の成分(A)~(C)の合計含有量は、毛髪の形状固定化力をより向上させる観点から、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上、更に好ましくは1.2質量%以上、更に好ましくは1.5質量%以上であり、そして、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下、更に好ましくは12質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、更に好ましくは8.0質量%以下である。これらの観点を総合すると、本発明の毛髪化粧料中の成分(A)~(C)の合計含有量は、好ましくは0.5質量%以上25質量%以下、より好ましくは1.0質量%以上20質量%以下、更に好ましくは1.2質量%以上15質量%以下、更に好ましくは1.5質量%以上12質量%以下、更に好ましくは1.5質量%以上10質量%以下、更に好ましくは1.5質量%以上8.0質量%以下である。
【0054】
<他の成分>
本発明の毛髪化粧料には、その態様や剤型等に応じて、ハンドリング性及び成分(A)~(C)の作用効果を発揮させやすいようにする等の観点から、水性媒体を含有させることができる。
水性媒体としては、例えば、水、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール;1,3-ブチレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等の炭素数6以下の低分子ジオール及びトリオール等が挙げられる。これらのうち、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、水性媒体として水を含むことが好ましい。
本発明の毛髪化粧料中の水性媒体の含有量は、毛髪化粧料を適切な濃度及び粘度に調整する観点から、好ましくは60質量%以上、より好ましくは65質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、更に好ましくは75質量%以上であり、同様の観点から、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下、更に好ましくは97質量%以下、更に好ましくは96質量%以下である。これらの観点を総合すると、本発明の毛髪化粧料中の水性媒体の含有量は、好ましくは60質量%以上99質量%以下、より好ましくは65質量%以上98質量%以下、更に好ましくは70質量%以上97質量%以下、更に好ましくは75質量%以上96質量%以下である。
【0055】
また、本発明の毛髪化粧料には、本発明の目的を損なわない範囲でその他の成分を適宜含有してもよい。当該成分としては、例えば、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、その他、毛髪化粧料に通常配合される成分である、pH調整剤、芳香族アルコール、酸化防止剤、油剤、成分(A)~(C)以外のポリマー、抗フケ剤、ビタミン剤、殺菌剤、抗炎症剤、防腐剤、キレート剤、保湿剤、セラミド類、着色剤、ユーカリの極性溶媒抽出物、真珠層を有する貝殻又は真珠から得られる蛋白質またはその加水分解物、蜂蜜、ローヤルゼリー、シルクから得られる蛋白質又はその加水分解物、マメ科植物の種子から得られる蛋白含有抽出物、オタネニンジン抽出物、米胚芽抽出物、ヒバマタ抽出物、アロエ抽出物、ハス抽出物、ザクロ抽出物、ノバラ抽出物、カモミラ抽出物、カンゾウ抽出物、月桃葉抽出物、クロレラ抽出物等のエキス類、パール化剤、香料、色素、紫外線吸収剤、シアバター、ローズ水、オレンジ油、ユーカリ油、有機酸等が挙げられる。
【0056】
本発明の毛髪化粧料のpHは、毛髪化粧料として一般的に使用できる範囲であれば特に限定されるものではないが、毛髪や頭皮へのダメージを抑制して本発明の効果を奏しやすくする観点から、酸又は塩基の添加により、好ましくは3.0以上、より好ましくは4.0以上、更に好ましくは5.0以上、そして、好ましくは10.0以下、より好ましくは9.0以下、更に好ましくは8.0以下に調整される。これらの観点を総合すると、本発明の毛髪化粧料のpHは、好ましくは3.0以上10.0以下、より好ましくは4.0以上9.0以下、更に好ましくは5.0以上8.0以下である。
【0057】
<製造方法>
本発明の毛髪化粧料は、常法により製造することができる。例えば、成分(A)~(C)及び必要に応じて他の成分を配合し、公知の撹拌装置等を用いて混合することにより製造できる。
【0058】
[毛髪処理方法]
本発明の毛髪処理方法は、上記の本発明の毛髪化粧料を毛髪に適用する工程を有する。
毛髪化粧料を毛髪に適用する方法としては、例えば、毛髪に、塗布、噴霧又は流延したり、毛髪を毛髪化粧料に浸漬させたりする等の方法が挙げられる。適用する毛髪は、乾いていても、湿っていてもよく、好ましくは、ブラシや櫛等で毛髪をとかした後、洗髪して濡れた状態である。毛髪化粧料の適用は、手で塗りつけたり、揉み込んだりしてもよく、また、ブラシや櫛等を用いて行ってもよい。また、毛髪化粧料を適用する毛髪は、頭髪の全部であってもよく、その一部であってもよい。
毛髪に対する毛髪化粧料の適用量は、適用する毛髪の質量に対する浴比(毛髪化粧料の質量/適用する毛髪の質量)で、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.03以上、更に好ましくは0.05以上、更に好ましくは0.08以上であり、そして、好ましくは20以下、より好ましくは15以下、更に好ましくは10以下、更に好ましくは5以下、更に好ましくは1以下、更に好ましくは0.5以下である。これらの観点を総合すると、毛髪に対する毛髪化粧料の適用量は、適用する毛髪の質量に対する浴比(毛髪化粧料の質量/適用する毛髪の質量)で、好ましくは0.01以上20以下、より好ましくは0.03以上15以下、更に好ましくは0.05以上10以下、更に好ましくは0.08以上5以下、更に好ましくは0.08以上1以下、更に好ましくは0.08以上0.5以下である。
【0059】
前記工程の後、毛髪化粧料を適用した毛髪を水ですすぐ工程を経ることが好ましい。この場合、毛髪に毛髪化粧料を十分に馴染ませるために、毛髪化粧料を毛髪全体によくなじませた後に、水ですすぐことが好ましい。塗布時間は、好ましくは15秒間以上、より好ましくは30秒間以上であり、そして、好ましくは5分間以下、より好ましくは3分間以下である。これらの観点を総合すると、塗布時間は、好ましくは15秒間以上5分間以下、より好ましくは30秒間以上3分間以下である。
水ですすぐ工程は、毛髪表面の過剰な毛髪化粧料を除去できればよく、水ですすぐ時間は、好ましくは5秒間以上3分間以下である。水の温度は、身体に負担が掛からない程度でよく、好ましくは15℃以上50℃以下、より好ましくは25℃以上45℃以下である。
【0060】
水洗後の毛髪は、タオルドライ等による自然乾燥、又は、ドライヤー等を用いた強制乾燥によって乾燥させる。
本発明の毛髪化粧料を用いて、毛髪、特に、クセがある毛髪を、上記のように処理することにより、毛髪を束ねて一定の形状を付与できるとともに、束ねた毛髪の形状を固定化するための形状固定化力を向上させることができる。このため、特に、クセがある毛髪のスタイリングにおいて、要する時間や手間を削減することができ、好適に適用することができる。
【0061】
以下、上述した実施形態に関し、本発明の毛髪化粧料の好ましい態様を更に開示する。
【0062】
<1> 下記成分(A)~(C)を含有する、毛髪化粧料。
(A)架橋型ポリアクリル酸及び(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーから選択される少なくとも一種のアニオン性ポリマー
(B)アニオン性界面活性剤
(C)セルロース骨格を有するカチオン性ポリマー
【0063】
<2> 前記成分(A)が、好ましくは架橋型ポリアクリル酸を含み、より好ましくはカルボキシビニルポリマーすなわちペンタエリスチルアリルエーテル、スクロースアリルエーテル又はプロピレンアリルエーテルで架橋したアクリル酸の重合体を含む、<1>に記載の毛髪化粧料。
<3> 前記成分(B)が、好ましくはポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、内部オレフィンスルホン酸塩、アルキル又はアルケニル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホ脂肪酸塩、N-アシルアミノ酸塩、リン酸モノ又はジエステル塩、及びスルホコハク酸エステル塩から選択される少なくとも一種を含み、より好ましくはα-オレフィンスルホン酸塩、内部オレフィンスルホン酸塩及びポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩からなる群から選択される少なくとも一種を含み、更に好ましくはポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩を含み、更に好ましくは下記式(I)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩を含み、更に好ましくはラウレス硫酸ナトリウム及びラウレス硫酸アンモニウムから選択される少なくとも一種を含む、<1>又は<2>に記載の毛髪化粧料。
-O-(CHCHO)-SOY (I)
式(I)中、Rは、炭素数8以上22以下の直鎖又は分岐アルキル基を示す。pは平均付加モル数を示し、0.25以上20以下の数である。Yはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルカノールアミン又は塩基性アミノ酸を示す。
<4> 前記成分(C)が、好ましくはカチオン化セルロース誘導体を含み、より好ましくはカチオン化セルロース、カチオン化ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化ヒドロキシプロピルセルロース、及びカチオン化カルボキシメチルセルロースから選択される少なくとも一種を含み、更に好ましくはカチオン化ヒドロキシエチルセルロースを含む、<1>~<3>のいずれかに記載の毛髪化粧料。
<5> 前記成分(C)が、好ましくは疎水性カチオン化セルロースを含み、より好ましくは疎水性カチオン化ヒドロキシエチルセルロース及び疎水性カチオン化ヒドロキシプロピルセルロースから選択される少なくとも一種を含み、更に好ましくは疎水性カチオン化ヒドロキシエチルセルロースを含み、更に好ましくは前記式(3)で表されるアンヒドログルコース由来の主鎖を有し、かつ、該アンヒドログルコース単位あたりのカチオン化エチレンオキシ基の平均モル数が0.01~3.0であり、エチレンオキシ基の平均モル数が0.5~4.0である疎水性カチオン化ヒドロキシエチルセルロースを含む、<1>~<4>のいずれかに記載の毛髪化粧料。
<6> 前記成分(C)が、好ましくはヒドロキシエチルセルロースにトリメチルアンモニウム置換エポキシド及びラウリルジメチルアンモニウム置換エポキシドを付加反応させて得られる4級アンモニウム塩の重合体(INCI名:ポリクオタニウム-67)、ヒドロキシエチルセルロースに塩化グリシジルトリメチルアンモニウムを付加して得られる4級アンモニウム塩の重合体(INCI名:ポリクオタニウム-10)、ヒドロキシエチルセルロースに塩化グリシジルラウリルジメチルアンモニウムを付加重合して得られる4級アンモニウム塩の重合体(INCI名:ポリクオタニウム-24)、並びに、ヒドロキシエチルセルロースにヤシ油アルキルジメチルアンモニウム置換エポキシドを付加反応させて得られる4級アンモニウム塩の重合体(INCI名:ポリクオタニウム-72)から選択される少なくとも一種を含み、より好ましくはポリクオタニウム-67及びポリクオタニウム-10から選択される少なくとも一種を含み、更に好ましくはポリクオタニウム-67を含む、<1>~<5>のいずれかに記載の毛髪化粧料。
<7>前記成分(C)が下記成分(C1)及び(C2)の両方を含む、<1>~<6>のいずれかに記載の毛髪化粧料。
(C1)前記疎水性カチオン化ヒドロキシエチルセルロース
(C2)前記(C1)以外のセルロース骨格を有するカチオン性ポリマー
<8>前記成分(C2)が、好ましくは前記成分(C1)以外のカチオン化ヒドロキシエチルセルロースを含み、より好ましくはヒドロキシエチルセルロースに塩化グリシジルトリメチルアンモニウムを付加して得られる4級アンモニウム塩の重合体(INCI名:ポリクオタニウム-10)を含む、<7>に記載の毛髪化粧料。
<9>前記成分(C1)が、ラウリルジメチルアンモニウム置換エポキシドを付加反応させて得られる4級アンモニウム塩の重合体(INCI名:ポリクオタニウム-67)を含む、<7>又は<8>に記載の毛髪化粧料。
<10>前記成分(C1)に対する前記成分(C2)の質量比((C2)/(C1))が、好ましくは0.20以上、より好ましくは0.30以上、更に好ましくは0.40以上、更に好ましくは0.50以上、更に好ましくは0.70以上、更に好ましくは0.80以上であり、そして、好ましくは2.5以下、より好ましくは2.0以下、更に好ましくは1.5以下、更に好ましくは1.2以下である、<7>~<9>のいずれかに記載の毛髪化粧料。
<11> 前記成分(B)に対する前記成分(A)の質量比((A)/(B))が、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.03以上、更に好ましくは0.04以上、更に好ましくは0.05以上、更に好ましくは0.06以上であり、そして、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.5以下、更に好ましくは1.2以下である、<1>~<10>のいずれかに記載の毛髪化粧料。
<12> 前記成分(C)に対する前記成分(A)の質量比((A)/(C))が、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.10以上、更に好ましくは0.20以上、更に好ましくは0.30以上、更に好ましくは0.40以上であり、そして、好ましくは2.5以下、より好ましくは2.0以下、更に好ましくは1.5以下、更に好ましくは1.2以下、更に好ましくは1.0以下である、<1>~<11>のいずれかに記載の毛髪化粧料。
<13> 前記成分(A)~(C)の合計含有量が、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上、更に好ましくは1.2質量%以上、更に好ましくは1.5質量%以上であり、そして、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下、更に好ましくは12質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、更に好ましくは8.0質量%以下である、<1>~<12>のいずれかに記載の毛髪化粧料。
<14> 前記成分(A)の含有量が、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.03質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.08質量%以上、更に好ましくは0.10質量%以上、更に好ましくは0.20質量%以上であり、そして、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは3.0質量%以下、更に好ましくは1.0質量%以下、更に好ましくは0.80質量%以下である、<1>~<13>のいずれかに記載の毛髪化粧料。
<15> 前記成分(B)の含有量が、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.4質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であり、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8.0質量%以下、更に好ましくは7.0質量%以下である、<1>~<14>のいずれかに記載の毛髪化粧料。
<16> 前記成分(C)の含有量が、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.10質量%以上、更に好ましくは0.30質量%以上、更に好ましくは0.40質量%以上、更に好ましくは0.50質量%以上であり、そして、好ましくは10.0質量%以下、より好ましくは5.0質量%以下、更に好ましくは3.0質量%以下、更に好ましくは2.0質量%以下、更に好ましくは1.5質量%以下、更に好ましくは1.2質量%以下、更に好ましくは0.90質量%以下である、<1>~<15>のいずれかに記載の毛髪化粧料。
<17> 前記毛髪化粧料のpHが、好ましくは3.0以上、より好ましくは4.0以上、更に好ましくは5.0以上、そして、好ましくは10.0以下、より好ましくは9.0以下、更に好ましくは8.0以下である、<1>~<16>のいずれかに記載の毛髪化粧料。
<18> 水性媒体を含有する、<1>~<17>のいずれかに記載の毛髪化粧料。
<19> 前記水性媒体が、好ましくは水、エタノール、イソプロピルアルコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール及びジプロピレングリコールから選択される少なくとも一種を含み、より好ましくは水を含む、<18>に記載の毛髪化粧料。
<20> 前記水性媒体の含有量が、好ましくは60質量%以上、より好ましくは65質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、更に好ましくは75質量%以上であり、そして、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下、更に好ましくは97質量%以下、更に好ましくは96質量%以下である、<18>又は<19>に記載の毛髪化粧料。
<21> 好ましくはヘアシャンプー、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアパック又はヘアスタイリング剤であり、より好ましくはヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアパック又はヘアスタイリング剤である、<1>~<20>のいずれかに記載の毛髪化粧料。
<22> 好ましくは液体状、泡状、ペースト状又はクリーム状であり、より好ましくは液体状、ペースト状又はクリーム状であり、更に好ましくは液体状である、<1>~<21>のいずれかに記載の毛髪化粧料。
<23> <1>~<22>のいずれかに記載の毛髪化粧料を毛髪に適用する工程と、前記毛髪化粧料を適用した毛髪を水ですすぐ工程とを有する、毛髪処理方法。
<24> <1>~<22>のいずれかに記載の毛髪化粧料の、毛髪の形状を固定化するための使用。
<25> <1>~<22>のいずれかに記載の毛髪化粧料を適用する、毛髪の形状を固定化する方法。
【実施例0064】
[実施例1~16、比較例1~3]
下記表1~3に示す各実施例及び各比較例の組成の毛髪化粧料を調製し、評価用毛束を用いて、これらの毛髪化粧料による毛髪の形状固定化力の評価を行った。評価結果を表1~3にそれぞれ示す。
【0065】
<毛髪化粧料の配合方法>
成分(C1)及び(C2)を水に溶解又は均一分散させたもの、適量の水、及び成分(B)をビーカーにそれぞれ取り、これらの成分を80℃で均一に混合した。得られた混合物に、水に均一分散させた成分(A)を加えて、室温に冷却して均一に混合し、pH調整剤(水酸化ナトリウム)を用いてpHを6とし、毛髪化粧料をそれぞれ得た。
【0066】
<毛髪の形状固定化力の評価>
質量2g、長さ35cmのカーリー毛束を、下記に示す組成からなるプレーンシャンプーで洗浄し、温水(35-40℃)で十分にすすいだ。次いで、この毛束に対して、各実施例及び各比較例に示す組成の毛髪化粧料0.2gを塗布して1分間なじませた。次いで、毛髪化粧料を適用した毛束を温水(35-40℃)で30秒間すすいだ。その後、毛束をリングコームでストレートに整えてタオルドライをおこない、ディフューザーを設置したドライヤーで完全に乾燥させて評価用毛束をそれぞれ得た。
得られた評価用毛束の長さ及び毛束の根元から20cm地点の束幅をそれぞれ測定し、毛髪の形状固定化力を評価した。毛束の幅方向の固定化力は、束幅(cm)で評価した。毛束の長さ方向の固定化力は、Δ長さ(cm)=(処理前に引き延ばしたときの毛束の長さ)-(処理後の毛束の長さ)で評価した。束幅及びΔ長さが小さいほど毛束の形状固定化力に優れていることを意味する。
ここで、「処理前に引き延ばしたときの毛束の長さ」は、処理前のカーリー毛束を手で軽く引き伸ばし、カールした毛束をストレート状にしたときの長さである。
【0067】
(プレーンシャンプーの組成)
[単位:質量%]
ポリオキシエチレン(2.5)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 15.5
ラウリン酸ジエタノールアミド 2.3
エデト酸二ナトリウム 0.15
安息香酸ナトリウム 0.5
塩化ナトリウム 0.8
リン酸 適量(pH調整)
香料 微量(0.5未満)
メチルパラベン 微量(0.5未満)
水 バランス
(pH7.0) 合計 100
【0068】
【表1】
【0069】
表1中の*1~6の注釈を以下に示す。なお、表1中の質量%は、有効成分量である。
*1 ルーブリゾール株式会社製、カーボポール980
*2 ルーブリゾール株式会社製、カーボポールETD2020
*3 花王株式会社製、ソフケアSA-37W
*4 花王株式会社製、エマール170S-A(有効成分量70質量%)
*5 ダウケミカル株式会社製、ソフトキャットSL-100
*6 花王株式会社製、ポイズC-150L
【0070】
【表2】
【0071】
表2中の*1~4の注釈を以下に示す。なお、表2中の質量%は、有効成分量である。
*1 ルーブリゾール株式会社製、カーボポール980
*2 花王株式会社製、エマール170S-A(有効成分量70質量%)
*3 ダウケミカル株式会社製、ソフトキャットSL-100
*4 花王株式会社製、ポイズC-150L
【0072】
【表3】
【0073】
表3中の*1~8の注釈を以下に示す。なお、表3中の質量%は、有効成分量である。
*1 ルーブリゾール株式会社製、カーボポール980
*2 花王株式会社製、エマール170S-A(有効成分量70質量%)
*3 STEPAN COMPANY製、Bio-Terge AS-40(有効成分量40質量%)
*4 製造例2
*5 製造例1
*6 味の素ヘルシーサプライ株式会社製、アミライトACS-12(有効成分量30質量%)
*7 ダウケミカル株式会社製、ソフトキャットSL-100
*8 花王株式会社製、ポイズC-150L
【0074】
[各種物性の測定方法]
(i)原料オレフィンの二重結合位置の測定方法
原料オレフィンの二重結合位置は、ガスクロマトグラフィー(以下、GCと省略)により測定した。具体的には、原料オレフィンに対しジメチルジスルフィドを反応させることでジチオ化誘導体とした後、各成分をGCで分離した。結果、それぞれのピーク面積より原料オレフィンの二重結合位置を求めた。
なお、測定に使用した装置および分析条件は次の通りである。GC装置(商品名:HP6890,HEWLETT PACKARD社製)、カラム(商品名:Ultra-Alloy-1HTキャピラリーカラム30m×250μm×0.15μm,フロンティア・ラボ株式会社製)、検出器(水素炎イオン検出器(FID))、インジェクション温度300℃、ディテクター温度350℃、He流量4.6mL/分
【0075】
(ii)内部オレフィンスルホン酸ナトリウムのスルホン酸基結合位置に応じた含有量の測定方法
スルホン酸基が結合している内部オレフィンスルホン酸ナトリウムについて、そのスルホン酸基結合位置に応じた各内部オレフィンスルホン酸ナトリウム含有量は、高速液体クロマトグラフィー/質量分析計(HPLC-MS)により測定した。具体的には、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によりスルホン酸基が結合しているヒドロキシ体を分離し、それぞれを質量分析計(MS)にかけることで同定した。結果、そのHPLC-MSピーク面積から各々の含有量を求めた。
なお、測定に使用した装置及び条件は次の通りであった。HPLC装置「LD20ASXR」((株)島津製作所製)、カラム「ODS Hypersil(登録商標)」(4.6×250mm、粒子サイズ:3μm、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)、サンプル調製(メタノールで1000倍希釈)、溶離液A(10mM酢酸アンモニウム添加水)、溶離液B(10mM酢酸アンモニウム添加 メタクリロニトリル/水=95/5(v/v)溶液)、グラジェント(0分(A/B=60/40)→15.1~20分(30/70)→20.1~30分(60/40)、MS装置「LCMS-2020」((株)島津製作所製)、ESI検出(陰イオン検出m/z:321.10(炭素数16又は18の(A)成分))、カラム温度(40℃)、流速(0.5mL/min)、インジェクション容量(5μL)
【0076】
(iii)ヒドロキシ体/オレフィン体の質量比の測定方法
内部オレフィンスルホン酸ナトリウムのヒドロキシ体/オレフィン体の質量比は、HPLC-MSにより測定した。具体的には、HPLCによりヒドロキシ体とオレフィン体を分離し、それぞれをMSにかけることで同定した。結果、そのHPLC-MSピーク面積から各々の割合を求めた。
なお、測定に使用した装置および条件は次の通りである。HPLC装置(商品名:アジレントテクノロジー1100、アジレントテクノロジー社製)、カラム(商品名:L-columnODS4.6×150mm、一般財団法人化学物質評価研究機構製)、サンプル調製(メタノールで1000倍希釈)、溶離液A(10mM酢酸アンモニウム添加水)、溶離液B(10mM酢酸アンモニウム添加メタノール)、グラジェント(0分(A/B=30/70%)→10分(30/70%)→55分(0/100%)→65分(0/100%)→66分(30/70%)→75分(30/70%))、MS装置(商品名:アジレントテクノロジー1100MS SL(G1946D)),MS検出(陰イオン検出 m/z60-1600、UV240nm)
【0077】
(iv)原料オレフィンの含有量の測定方法
内部オレフィンスルホン酸ナトリウム中の未反応原料オレフィンの含有量は、GCにより測定した。具体的には、内部オレフィンスルホン酸ナトリウム水溶液にエタノールと石油エーテルを添加した後、抽出し石油エーテル相にオレフィンを得た。結果、そのGCピーク面積から原料オレフィンを定量した。
なお、測定に使用した装置および分析条件は次の通りである。GC装置(商品名:アジレントテクノロジー6850,アジレントテクノロジー社製)、カラム(商品名:Ultra-Alloy-1HTキャピラリーカラム15m×250μm×0.15μm,フロンティア・ラボ株式会社製)、検出器(水素炎イオン検出器(FID))、インジェクション温度300℃、ディテクター温度350℃、He流量3.8mL/分
【0078】
(v)無機化合物の含有量の測定方法
無機化合物の含有量は、電位差滴定や中和滴定により測定した。具体的には、NaSOの含有量は、硫酸根(SO 2-)を電位差滴定によって求めることで定量した。また、NaOHの含有量は、希塩酸で中和滴定することで定量した。
【0079】
(製造例1)
[内部オレフィンスルホン酸ナトリウム(DBP:4.2)の製造]
攪拌装置付きフラスコに1-ヘキサデカノール(製品名:カルコール6098、花王株式会社製)7000g(28.9モル)、固体酸触媒としてγ-アルミナ(STREM Chemicals,Inc社製)350g(原料アルコールに対して5質量%)を仕込み、攪拌下、280℃にて系内に窒素(7000mL/min)を流通させながら8時間反応を行った。反応終了後のアルコール転化率は100%であった。得られた粗アルケン内部オレフィンを蒸留用フラスコに移し、136~160℃/4.0mmHgで蒸留することでオレフィン純度100%の炭素数16の原料オレフィンa1を得た。得られた原料オレフィンa1の二重結合分布は、C1位1.8質量%、C2位21.8質量%、C3位18.7質量%、C4位18.6質量%、C5位14.3質量%、C6位11.4質量%、C7、8位の合計が13.6質量%であり、平均二重結合位置が4.17であった。
得られた原料オレフィンを、外部にジャケットを有する薄膜式スルホン化反応器に入れ、反応器外部ジャケットに10℃の冷却水を通液する条件下で三酸化硫黄ガスを用いてスルホン化反応を行った。スルホン化反応の際のSO/内部オレフィンのモル比は1.01に設定した。得られたスルホン化物を、理論酸価に対して1.04モル倍量の水酸化ナトリウム(アルカリ剤)で調製したアルカリ水溶液と混合し、連続法にて30℃にて1時間中和した。得られた中和物をオートクレーブ中で170℃にて1時間加熱して加水分解を行い、炭素数16の内部オレフィンスルホン酸ナトリウム1を得た。得られた炭素数16の内部オレフィンスルホン酸ナトリウム1中に含有される原料オレフィンの含有量は0.4質量%、無機化合物は0.39質量%であった。
【0080】
(製造例2)
[内部オレフィンスルホン酸ナトリウム(DBP:3.6)の製造]
反応時間を6時間に変更した以外、製造例1と同様にして、オレフィン純度100%の炭素数16の原料オレフィン2を得た。得られた原料オレフィン2の二重結合分布は、C1位2.4質量%、C2位31.8質量%、C3位23.7質量%、C4位16.9質量%、C5位10.3質量%、C6位7.1質量%、C7、8位の合計が7.9質量%であり、平均二重結合位置が3.58であった。
得られた原料オレフィン2を用いた以外、製造例1と同様にして、炭素数16の内部オレフィンスルホン酸ナトリウム2を得た。得られた炭素数16の内部オレフィンスルホン酸ナトリウムA4中に含有される原料オレフィンの含有量は0.4質量%、無機化合物は0.42質量%であった。
【0081】
表1~3より、本実施例の毛髪化粧料は、毛束の形状固定化力の評価において、束幅及びΔ長さが小さく、毛束の形状固定化力が向上していた。すなわち、本発明の毛髪化粧料によれば、毛髪を束ねて一定の形状を付与しつつ、束ねた毛髪の形状を固定化するための形状固定化力を向上させることができ、特に、カールした毛髪等のクセのある毛髪を束ねてストレート状に固定化できることが理解できる。
図1