IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ジェイ・イー・ティの特許一覧

特開2022-17131セルユニット、測定装置及び基板処理装置
<>
  • 特開-セルユニット、測定装置及び基板処理装置 図1
  • 特開-セルユニット、測定装置及び基板処理装置 図2
  • 特開-セルユニット、測定装置及び基板処理装置 図3
  • 特開-セルユニット、測定装置及び基板処理装置 図4
  • 特開-セルユニット、測定装置及び基板処理装置 図5
  • 特開-セルユニット、測定装置及び基板処理装置 図6
  • 特開-セルユニット、測定装置及び基板処理装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022017131
(43)【公開日】2022-01-25
(54)【発明の名称】セルユニット、測定装置及び基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/306 20060101AFI20220118BHJP
   G01N 21/05 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
H01L21/306 E
G01N21/05
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020120270
(22)【出願日】2020-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】309042864
【氏名又は名称】株式会社ジェイ・イー・ティ
(74)【代理人】
【識別番号】110002675
【氏名又は名称】特許業務法人ドライト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】庄盛 博文
(72)【発明者】
【氏名】木村 敦夫
【テーマコード(参考)】
2G057
5F043
【Fターム(参考)】
2G057AA01
2G057AB06
2G057AC01
2G057AD17
2G057BA05
2G057CA05
2G057CA07
2G057DB05
2G057DC06
2G057GA04
2G057GA05
5F043AA35
5F043BB23
5F043DD07
5F043EE01
5F043EE22
5F043EE23
5F043EE24
5F043EE25
5F043EE32
5F043EE40
5F043GG10
(57)【要約】
【課題】脱泡しつつ処理液の成分について測定できる小型化に有利なセルユニット、測定装置及び基板処理装置を提供する。
【解決手段】セルユニット31は、円筒状の外筒41と、この外筒41と同軸に配された円筒状の内筒42とを有し、内筒42の一部が外筒41内に配されている。外筒41の上部に気泡収集部43が一体に設けられている。外筒41は、両端が蓋部材45、46により閉塞され、内筒42は、一端側が蓋部材47で閉塞されている。処理液12は、外筒41と内筒42の間の外側流路51を流れて気泡Buが除去されてから、外筒41の他端側から内筒42の中空部である内側流路52に流れ込む。センサ対32は、蓋部材46、47を介して内側流路52内の処理液12に検出光の投受光を行う。
【選択図】図5

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状であり、両端のうちの一方が透明な第1蓋部で閉塞され他方が第2蓋部で閉塞された外筒と、
中空な内部が内側流路とされる筒状であって、軸心が前記外筒と平行にされ、両端のうちの一方が開放端とされ他方が透明な第3蓋部で閉塞され、前記開放端と前記第1蓋部との間に間隔を設けた状態で前記開放端側が前記外筒内に配されて前記外筒との間に外側流路を形成し、前記第3蓋部側が前記第2蓋部から突出した内筒と、
前記外筒の前記第2蓋部側の端部に設けられ、気泡を除去する液体を前記外側流路に流入させる流入口と、
前記内筒の前記第3蓋部側に設けられ、前記内側流路内の液体を排出する排出口と、
前記外筒の前記流入口よりも前記外側流路内の液体の流れの下流側の上部に前記外側流路と一体の気泡収集空間を形成する気泡収集部と、
前記気泡収集部に設けられ、前記気泡収集空間内の気泡を排出する気泡排出口と
を備えることを特徴とするセルユニット。
【請求項2】
前記内筒の前記開放端の周囲にフランジが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のセルユニット。
【請求項3】
前記フランジと前記外筒との間に形成される前記外側流路の流路断面積と、前記内側流路の流路断面積とが略同一であることを特徴とする請求項2に記載のセルユニット。
【請求項4】
前記気泡収集部は、上部内面の高さが前記外側流路内の液体の流れの下流に向かって漸減し、
前記気泡排出口は、前記上部内面の最上部に設けられている
ことを特徴とする請求項3に記載のセルユニット。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載のセルユニットと、
前記第1蓋部及び前記第3蓋部の一方を介して前記内側流路内に検出光を照射する投光部と、他方を介して前記投光部からの検出光を受光し、受光した検出光の強度に応じた受光信号を出力する受光部とを有するセンサ対と
を備えることを特徴とする測定装置。
【請求項6】
請求項5に記載の測定装置と、
基板を処理する処理液を貯留する処理槽と、
前記処理槽から排出される処理液を前記処理槽に戻す循環ポンプと
を備え、
前記セルユニットは、前記流入口が前記処理槽に接続され、前記排出口が前記循環ポンプに接続され、前記処理槽から排出される処理液の一部が前記流入口から前記外側流路に流入し、前記排出口からの処理液を前記循環ポンプに流す
ことを特徴とする基板処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルユニット、測定装置及び基板処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数枚の半導体ウエハ等の基板を処理槽内の処理液に浸漬し、エッチング等の各種処理を行うバッチ式の基板処理装置が利用されている。バッチ式の基板処理装置における処理液(薬液)中の成分濃度の管理手法として、処理液の循環ライン中に測定セルを設けてin situ測定(その場測定)をするものがある。測定セルでは、そのセル内に導入された処理液に検出光を照射し、処理液を透過した検出光を受光することによって、処理液の成分の濃度等を光学的に測定する。
【0003】
一方、脱泡セルによって気泡を除去した処理液を測定セルに流すようにした測定装置が知られている(特許文献1を参照)。この特許文献1の測定装置では、脱泡セルは、測定セルより循環ラインの上流に設けられており、脱泡セルは、傾けた円筒状の容器であって、その底部から上部に向けて気泡を含む処理液をセル内に流入させ、上部より気泡を排出し、下部の周面から気泡を除いた処理液を排出する構造である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-20083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような測定装置では、処理液の循環ライン上に脱泡セルと測定セルとを接続しなくてはならず、装置が大型化してしまうという問題があった。また、脱泡セルと測定セルとを接続する配管内での流れの乱れ等による圧力変化によって、いったん脱泡セルで気泡が除去された処理液中に気泡が発生し、濃度測定に影響を与えることもある。
【0006】
本発明は、脱泡しつつ処理液の成分について測定できる小型化に有利なセルユニット、測定装置及び基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のセルユニットは、筒状であり、両端のうちの一方が透明な第1蓋部で閉塞され他方が第2蓋部で閉塞された外筒と、中空な内部が内側流路とされる筒状であって、軸心が前記外筒と平行にされ、両端のうちの一方が開放端とされ他方が透明な第3蓋部で閉塞され、前記開放端と前記第1蓋部との間に間隔を設けた状態で前記開放端側が前記外筒内に配されて前記外筒との間に外側流路を形成し、前記第3蓋部側が前記第2蓋部から突出した内筒と、前記外筒の前記第2蓋部側の端部に設けられ、気泡を除去する液体を前記外側流路に流入させる流入口と、前記内筒の前記第3蓋部側に設けられ、前記内側流路内の液体を排出する排出口と、前記外筒の前記流入口よりも前記外側流路内の液体の流れの下流側の上部に前記外側流路と一体の気泡収集空間を形成する気泡収集部と、前記気泡収集部に設けられ、前記気泡収集空間内の気泡を排出する気泡排出口とを備えるものである。
【0008】
本発明の測定装置は、上記セルユニットと、前記第1蓋部及び前記第3蓋部の一方を介して前記内側流路内に検出光を照射する投光部と、他方を介して前記投光部からの検出光を受光し、受光した検出光の強度に応じた受光信号を出力する受光部とを有するセンサ対とを備えるものである。
【0009】
また、本発明の基板処理装置は、上記測定装置と、基板を処理する処理液を貯留する処理槽と、前記処理槽から排出される処理液を前記処理槽に戻す循環ポンプとを備え、前記セルユニットは、前記流入口が前記処理槽に接続され、前記排出口が前記循環ポンプに接続され、前記処理槽から排出される処理液の一部が前記流入口から前記外側流路に流入し、前記排出口からの処理液を前記循環ポンプに流すものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、気泡収集空間を形成する気泡収集部を設けた外筒内に内筒の一部を配し、外筒と内筒との間を処理液が流れている間に気泡収集空間に気泡を捕捉して除去するとともに、気泡が除去された処理液が流れ込む内筒の開放端側の外筒の端部を塞ぐ第1蓋部と、内筒のもう一方の端部を塞ぐ第3蓋部とを透明にして、内筒の中空部である内側流路を流れている処理液を第1、第3蓋部を介して光学的に測定可能にしているので、セルユニットを小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】基板処理装置の構成を示すブロック図である。
図2】セルユニットの外観を示す斜視図である。
図3】セルユニットを分解して示す分解斜視図である。
図4】セルユニットの断面を示す断面図である。
図5】セルユニット内での処理液と気泡の流れを模式的に示す説明図である。
図6】外装部及び排出管にセンサ対を加えた例を示す断面図である。
図7】外筒及び内筒を短くしたセルユニットの例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1において、基板処理装置10は、基板11を処理液12で処理するものである。この例では、基板11は、シリコンウエハ(半導体基板)であり、この基板11の表面に形成されたシリコン酸化膜(SiO膜)とシリコン窒化膜(Si膜)とのうちシリコン窒化膜を、処理液12を用いて選択的に除去(エッチング)するエッチング処理を行うものである。処理液12としては、リン酸(HPO)を純水(脱イオン水)に溶解したリン酸水溶液が用いられている。なお、基板処理装置10による処理は、特に限定されるものではなく、処理液12は、基板処理装置10による処理に応じたものを用いればよい。
【0013】
基板処理装置10は、槽部14、循環系15及び測定系16を備えている。槽部14は、箱形状の処理槽17と、この処理槽17の上部外側に一体に設けられた外槽18とを有している。処理槽17は、循環系15から供給される処理液12を貯留する。外槽18は、処理槽17から溢れ出た処理液12を受ける。外槽18に溢れ出た処理液12は、循環系15を介して処理槽17に戻される。なお、基板処理装置10には、槽部14の上部を開閉する蓋部材(図示省略)が設けられている。
【0014】
基板処理装置10は、バッチ式のものであり、処理槽17内には、ホルダ19に保持された複数の基板11が収容され、それら基板11が処理液12に浸漬される。基板11は、それぞれ起立した姿勢、すなわち基板表面(表面、裏面)が上下方向に沿った姿勢で、紙面に垂直な方向に配列されてホルダ19に保持される。ホルダ19は、図1に示されるように各基板11を処理槽17内の処理液12に浸漬した下降位置と、下降位置から上昇して処理液12から基板11を引き上げた上昇位置との間で移動する。
【0015】
循環系15は、槽部14から排出される処理液12に対して異物の除去、加熱を行ってその処理液12を処理槽17に戻す。循環系15は、処理槽17内に配された液供給管21から処理液12を吐出することで、処理液12を処理槽17内で流動させる。循環系15は、外槽18と液供給管21との間に設けられた管路P1上に、外槽18側から順番に、流量調整弁V1、循環ポンプ23、ダンパ24、フィルタ25、ヒータ26、バブルカッタ27が設けられている。流量調整弁V1を調整することにより、循環系15と測定系16に流す処理液12の流量の比率を調整することができる。
【0016】
循環ポンプ23は、外槽18内の処理液12を吸引して液供給管21に向けて送り出す。ダンパ24は、適当な量の処理液12を一時的に貯めておくことで循環系15内における処理液12の流量変動を抑える。フィルタ25は、処理液12中のパーティクル等の異物を除去する。ヒータ26は、処理槽17に供給する処理液12を沸点以上に加熱し、バブルカッタ27は、処理槽17内に供給する処理液12中の気泡を除去する。液供給管21には、複数の液吐出孔(図示省略)が設けられており、循環系15からの処理液12は、各液吐出孔を介して処理槽17内に吐出される。処理槽17内の処理液12は、例えば150℃~165℃程度とされる。
【0017】
測定系16は、処理液12のリン酸濃度を光学的に測定する。測定系16は、セルユニット31とセンサ対32とからなる測定装置としての測定部Sを有しており、この測定部Sは外槽18よりも下方に配置されている。
【0018】
セルユニット31は、処理液12に含まれる気泡を除去する脱泡機能を有するセルと処理液12について光学的に測定するための測定セルの機能とを1つにまとめたものであり、脱泡直後にセンサ対32による測定が行えるようにしてある。セルユニット31の詳細な構造は後述する。
【0019】
セルユニット31は、管路P2a、P2bからなる管路P2により管路P1に接続されており、管路P1から分流された処理液12の一部が管路P2aを介してセルユニット31に供給され、セルユニット31から排出される処理液12が管路P2bを介して管路P1に戻される。管路P2aは、一端が管路P1の流量調整弁V1よりも上流側(外槽18側)の部分に接続され他端がセルユニット31に接続されている。また、管路P2bは、一端がセルユニット31に接続され他端が管路P1の流量調整弁V1と循環ポンプ23との間に接続されており、セルユニット31が循環ポンプ23よりも上流に接続された構成である。セルユニット31は、管路P2bを介して循環ポンプ23によって吸引されることで、管路P2aを介して、その内部に処理液12が流入する。
【0020】
上記のように、セルユニット31を循環ポンプ23よりも上流に接続したことにより、循環ポンプ23の内部でキャビテーションによって発生する気泡を含まない処理液12をセルユニット31に供給している。
【0021】
管路P2bには、流量調整弁V2が設けられており、この流量調整弁V2と、管路P1上の流量調整弁V1を調整することにより、循環系15と、測定系16すなわちセルユニット31に流れる処理液12の流量をそれぞれ調整することができる。
【0022】
また、セルユニット31には、セルユニット31からの気泡を外槽18に排出する管路P3、P4と、メンテナンスの際にセルユニット31内に残る処理液12を排出するためのドレイン用の管路P5が接続されている。管路P3、P4には、流量調整弁V3、V4が設けられ、管路P5にはメンテナンスの際に開放される弁V5が設けられている。
【0023】
センサ対32は、セルユニット31内の処理液12に検出光を照射する投光部32aと、処理液12を透過した検出光を受光する受光部32bとからなる。受光部32bは、受光した検出光の強度に応じた受光信号をコントローラ34に送る。コントローラ34は、受光部32bからの受光信号に基づいて、処理液12のリン酸濃度を求め、そのリン酸濃度に基づいて、基板処理装置10に対する制御を行う。具体的には、循環系15には、循環する処理液12に加水する純水供給機構(図示省略)が設けられおり、コントローラ34は求めたリン酸濃度に基づいて、この純水供給機構による加水量を制御することによって、処理槽17内の処理液12のリン酸の濃度を一定範囲に保つ。リン酸濃度は、センサ対32を用いて、例えば、吸光光度法によって測定する。このため、投光部32aは、特定の波長の検出光を出力し、受光部32bはその特定波長の検出光を受光するものが用いられている。
【0024】
図2にセルユニット31の外観を、また図3にセルユニット31を分解して示す。なお、セルユニット31は、例えば石英で作製されており、全体が透明であるが、図2では不透明なものとして描いてある。
【0025】
セルユニット31は、円筒状の外筒41と、外筒41と同軸に配された円筒状の内筒42とを有し、外筒41は、その上部に気泡収集部43が一体に設けられている。セルユニット31は、外筒41と内筒42の軸心を水平にした状態に配されている。内筒42は、その一部が外筒41の内部に配され、一端が外筒41の一端から外側に突出した状態に設けられており、外筒41の内部に配された内装部42aと外筒41の一端から外側に突出した外装部42bとを有する。
【0026】
なお、外筒41、内筒42は、筒状であれば円筒に限定されない。また、外筒41と内筒42とが断面形状が互いに異なる筒状であってもよい。さらに、外筒41と内筒42との各軸心が互いに平行であればよい。なお、上記のように外筒41、内筒42を円筒形状として、同軸に配することは好ましい。
【0027】
外筒41は、その一端が蓋部材45により閉塞されている。蓋部材45は、その中央部に設けた貫通孔に内筒42が嵌め込まれており、内装部42aと外装部42bとの境界に位置決めされて固定されている。また、外筒41は、その他端が蓋部材46により閉塞されている。内筒42は、その一端が蓋部材47により閉塞されている。内筒42の他端は、開放端とされており、その中空部が開口48として外筒41の内部に露呈している。蓋部材46、47は、これらを通して検出光の投受光を行うため、いずれも光学的に透明な両面が平坦な円板形状である。開口48の周囲には、フランジ49が設けられている。フランジ49は、全周にわたって内筒42の外周面から径方向外側に突出している。この例では、フランジ49は、ドーナツ状の円板を内筒42の他端に取り付けることによって形成されている。検出光を透過させる蓋部材46、47は、その厚みを例えば3mm以下とすることが好ましい。なお、この例では、蓋部材45が第2蓋部であり、蓋部材46が第1蓋部である。また、蓋部材47が第3蓋部である。
【0028】
内筒42は、その外径が外筒41の内径よりも小さい。この内筒42は、外筒41の内部において外筒41との間に気泡を除去する処理液12が流れる外側流路51(図4参照)を形成している。また、内筒42の中空な内部は、気泡が除去された外側流路51からの処理液12が流れる内側流路52(図4参照)になっている。
【0029】
外筒41の一端側の上部に流入口54が設けられ、この流入口54につながる流入管55が外筒41と一体に設けられている。流入管55には、管路P2aが接続されている。流入口54から外側流路51内に処理液12が流入する。外側流路51では、外筒41の一端側から他端側に向かう方向(図2中、矢印A方向)に処理液12が流れる。流入口54は、外筒41の一端に寄せて設けてあり、外側流路51の一端側での処理液12の滞留を防止している。なお、流入口54は、外筒41の上部以外の箇所に設けてもよい。
【0030】
外筒41の下部には、メンテナンス用の排出口57が設けられ、この排出口57につながるドレイン管58が外筒41と一体に設けられている。ドレイン管58には、管路P5が接続されている。
【0031】
フランジ49を含む内筒42の他端と蓋部材46との間には、隙間61(図4参照)が設けてある。これにより、外側流路51内の処理液12は、外側流路51から隙間61を通り、開口48から内側流路52に流れ込む。内側流路52では、内筒42の他端側から一端側に向かう方向(図2中、矢印B方向)に処理液12を流す。
【0032】
内筒42の一端側の下部に排出口62が設けられ、この排出口62につながる排出管63が内筒42と一体に設けられている。排出管63には、管路P2bが接続されている。これにより、セルユニット31の内部が循環ポンプ23で吸引され、管路P1の処理液12の一部が管路P2aを介して、セルユニット31の内部に引き込まれ、外側流路51、内側流路52を流れる。また、内側流路52を流れた処理液12が排出口62から管路P2bを介して管路P1に戻される。排出口62は、内筒42の一端に寄せて設けてあり、内側流路52の一端側での処理液12の滞留を防止している。なお、排出口62は、内筒42の下部以外の箇所に設けてもよい。
【0033】
気泡収集部43は、外筒41の流入口54よりも他端側の上部に一体に設けられている。気泡収集部43は、底部が開放した箱状であり、その中空な内部が気泡収集空間43aとなっている。気泡収集空間43aは、図4に示すように、外筒41の中空部すなわち外側流路51とつながっている。したがって、気泡収集空間43aは、外側流路51の流入口54よりも下流側の上方に一体に設けられている。気泡収集空間43aは、その天面(上部内面)43b(図4参照)の高さが外側流路51の下流に向かって漸減するように傾斜している。この天面43bの最も高くなった部分の上部に気泡排出口65が設けられている。
【0034】
気泡収集部43は、外側流路51を流れる処理液12中を上昇する気泡を気泡収集空間43a内に捕捉・収集し、傾斜した天面43bにより気泡を気泡排出口65まで案内する。処理液12中の気泡の上昇は、気泡に作用する浮力によるものである。また、気泡収集空間43aは、外側流路51の流路断面積を広げて外側流路51における処理液12の流速を小さくする効果がある。これにより、外側流路51の長大化を抑制しつつ処理液12中の気泡を気泡収集空間43aに効果的に捕捉する。
【0035】
気泡収集部43には、気泡排出口65につながる気泡排出管66が一体に設けられている。この気泡排出管66は、管路P3に接続されている。これにより、気泡収集空間43aに捕捉・収集される気泡が気泡排出口65から管路P3を介して排出される。気泡収集空間43a内の気泡は、少量の処理液12を巻き込みながら気泡排出口65に入り、その処理液12とともに排出されるので、その処理液12と気泡とを外槽18に排出している。
【0036】
外装部42bの上部には、内側流路52内の気泡を排出するための気泡排出口68が設けられ、その気泡排出口68につながる気泡排出管69が一体に設けられている。気泡排出管69は、管路P4に接続されている。これにより、気泡収集部43に捕捉される気泡と同様に、内側流路52内の気泡を外槽18に排出する。なお、内側流路52内の気泡は、例えば処理液12が内側流路52内を流れている時に発生するもの等である。
【0037】
センサ対32の投光部32aは、蓋部材47に対面して配置されており、蓋部材47を介して内側流路52内に検出光を照射する。投光部32aの検出光の照射方向は、内筒42の軸心方向であり、この例では検出光を内筒42の軸心に一致させて照射する。受光部32bは、蓋部材46に対面して配置されており、蓋部材46を介して投光部32aからの検出光を受光する。これにより、受光部32bは、内側流路52内の処理液12を通した検出光を受光し、その受光した光強度に応じた受光信号を出力する。
【0038】
図4に示すように、投光部32a、受光部32bは、蓋部材46、47に密着している。これにより、外部からの光等の影響を受けることなく測定を行う。内筒42の軸心方向で検出光の投受光を行うため、検出光が処理液12中を通る距離を十分に大きくして、安定した高い精度の測定が可能であると同時に、内筒42が外筒41内に配された二重管構造であるため、セルユニット31のサイズを抑制することができ小型化に有利である。例えば、セルユニット31の全長L31は、300mmにすることができる。また、外側流路51での脱泡直後の内側流路52内の処理液12に対して測定を行うので気泡の影響を受けづらい。なお、投光部32aと受光部32bとの配置は、逆でもよい。
【0039】
上述のようにフランジ49を含む内筒42の他端と蓋部材46との間に隙間61を設けることにより、外側流路51から内側流路52に処理液12を流す流路が形成されている。フランジ49は、内筒42の外周面から径方向に突出することにより、外側流路51から内側流路52に流れ込む処理液12の流れを調整するとともに、外側流路51の下流端における流路断面積を調整している。
【0040】
フランジ49は、それが内筒42の外周面から径方向に突出することにより、外側流路51の下流端において、外筒41の内周面に向う処理液12の流れを形成する。これにより、外筒41の内周面と蓋部材46とが形成する角部に処理液12の淀みを生じさせることなく、処理液12を外側流路51から隙間61を通って内側流路52に流れるようにする。角部に処理液12の淀みを生じさせないことにより、隙間61において気泡が発生し難くしている。
【0041】
また、フランジ49は、その突出長が調整されることによって、外側流路51の下流端における流路断面積を内側流路52の流路断面積と同じにしている。すなわち、外側流路51の外筒41の内径と内筒42の外径とで規定される流路断面積を内筒42の内径で決まる内側流路52の流路断面積よりも大きくしつつ、外側流路51の下流端における流路断面積を内側流路52の流路断面積と同じにしている。これにより、外側流路51の大きな流路断面積を確保して処理液12の流速を抑えつつ、隙間61近傍で処理液12の圧力変化を抑制してキャビテーションによる気泡の発生を抑制する。なお、フランジ49により、外側流路51の下流端における流路断面積を内側流路52の流路断面積と厳密に同じにしなくてもよく、ほぼ同じにすればよい。
【0042】
また、上記フランジ49により、外側流路51と内側流路52とで処理液12の流速をそれぞれ設定することができ、内側流路52における処理液12の流速をセンサ対32による測定に適した範囲とすることができる。
【0043】
次に上記構成の作用について説明する。処理槽17内の処理液12に基板11が浸漬されているか否かにかかわらず、循環ポンプ23が作動されており、液供給管21から継続的に処理液12が処理槽17に供給されている。このため、処理槽17は、処理液12で満たされ、液供給管21から供給される量とほぼ等しい処理液12が処理槽17から外槽18に溢れ出る。外槽18内の処理液12は、管路P1に流れ込み、循環ポンプ23に吸引されて送り出されることによって、管路P1上のダンパ24、フィルタ25、ヒータ26、バブルカッタ27を介して液供給管21に送られ、処理槽17に供給される。
【0044】
上記のように循環系15において処理液12が循環されているときに、その処理液12の一部が循環ポンプ23よりも上流側の管路P1の部分から管路P2aに分岐してセルユニット31に流れる。このため、外槽18から液供給管21に至る循環系15の循環ポンプ23よりも上流からの処理液12、すなわち循環ポンプ23を通過する前の処理液12がセルユニット31に供給される。したがって、循環ポンプ23の内部で生じるキャビテーションで気泡が発生する前の処理液12がセルユニット31に流れるため、多くの気泡を処理液12から除去する必要がなく、セルユニット31の大型化を招くことがない。
【0045】
図5に模式的に示すように、セルユニット31では、管路P2aからの処理液12は、流入管55、流入口54を介して外側流路51内に流入し、外側流路51内を蓋部材46に向かって流れる。そして、内筒42の他端付近ではフランジ49と外筒41の間を通って隙間61に達すると、処理液12は、隙間61から内筒42の開口48を通って内側流路52に流れ込み、内側流路52を流れて排出口62から排出される。排出された処理液12は、管路P2bを通って管路P1に戻される。
【0046】
上記のように外側流路51を流れている処理液12では、その中に含まれる気泡Buがそれ自体に作用する浮力によって処理液12中を上昇する。したがって、処理液12中の気泡Buは、処理液12とともに下流に移動しながら上昇する。気泡Buの上昇は、外側流路51に流入した直後では外筒41の上部の内面で制限されるが、気泡収集空間43aが設けられた領域にまで移動すると、気泡Buは、その気泡収集空間43aに入る。このようにして気泡収集空間43aに処理液12に含まれる気泡Buが気泡収集空間43a内に入って補足される。
【0047】
また、この気泡収集空間43aが設けられた部分では、その気泡収集空間43aの分だけ外側流路51の流路断面積が大きくなっている。そして、大きくなった流路断面積の分だけ処理液12の流速が小さくなるので、上昇速度が遅いあるいは気泡収集空間43aまでの上昇距離が長い気泡Buであっても気泡収集空間43aに入って捕捉される。
【0048】
気泡収集空間43aに入った気泡Buは、天面43bに達するまで上昇する。そして、天面43bに達した気泡Buは、傾斜した天面43bに沿って上昇することで、気泡収集空間43aの下方の処理液12とは逆向きに移動し、気泡排出口65に向かう。気泡排出口65に達した気泡Buは、少量の処理液12を巻き込みながら気泡排出口65に入り、気泡Bu自体の作用する浮力により、気泡排出管66を経て管路P3内を上昇する。気泡収集空間43aに補足された気泡Buが次々と気泡排出口65に入り、気泡排出管66を経て管路P3内を上昇する。これにより、少量の処理液12とともに気泡Buが次々と管路P3から外槽18に排出される。
【0049】
上記のようにセルユニット31に流入する処理液12は、外側流路51を流れている間に、その中の気泡Buが気泡収集空間43aに補足されて除去される。したがって、内側流路52には、気泡Buを除去した処理液12が外側流路51から隙間61を介して流れ込む。しかも、外側流路51からキャビテーションを発生させやすい配管等を経ることなく外側流路51から内側流路52に処理液12が流れるので、内側流路52に流れる処理液12に新たに気泡が含まれ難い。また、外側流路51の下流端では、その流路断面積がフランジ49によって内側流路52の流路断面積と同じにしてあるので、隙間61近傍での処理液12の圧力変化が抑制され処理液12に気泡が発生しない。したがって、内側流路52には、気泡がない処理液12が流れる。
【0050】
上記のように内側流路52に処理液12が流れているときに、センサ対32の投光部32aが蓋部材47を介して内側流路52内に検出光を照射する。この検出光は、内側流路52を流れている処理液12を透過し、蓋部材46を介して受光部32bに受光され、受光部32bから受光した光強度に応じた受光信号がコントローラ34に出力される。そして、コントローラ34は、受光部32bからの受光信号に基づいて、循環している処理液12に対する加水量を制御する。
【0051】
内側流路52を流れている処理液12には、上記のように気泡が無いないし少ないから、気泡の影響を受けない受光信号が得られる。すなわち、処理液12のリン酸濃度が気泡の影響を受けることなく安定して測定される。また、内筒42を長くして内側流路52の大きな流路長を確保しているが、外筒41と内筒42との二重管構造により小型なセルユニット31によって、処理液12のリン酸濃度を高い精度で測定できる。
【0052】
なお、内側流路52に流れ込むまでに処理液12中に発生した気泡や内側流路52を流れている間に発生した気泡等は、処理液12が内側流路52を流れている間に、処理液12とともに移動しつつそれに作用する浮力によって上昇する。これによって、それらの気泡は、最終的に内筒42に設けた気泡排出口68から排出されるため、内側流路52に貯まることはない。
【0053】
上記では、処理液のリン酸濃度を測定しているが、処理液及び測定する成分は、これに限定されない。例えば、処理液中に含有するシリカを定量分析するための処理液の光学的な透過率をセンサ対によって同様に測定してもよい。シリカを定量分析する場合には、例えば、処理液中に含有するシリカ量が一定以上となったときに処理液の一部または全部を排出して新規のリン酸水溶液を処理液として投入する。また、アンモニア過酸化水素水混合液からなる処理液のアンモニア濃度、過酸化水素濃度を測定してもよい。
【0054】
処理液中を透過する検出光の距離が短くてよい成分を測定する場合には、図6に示すように、外装部42bに対して設けたセンサ対71や、排出管63に対して設けたセンサ対72で処理液の成分を測定することができる。センサ対71は、外装部42bを挟んで投光部71aと受光部71bとを対向させて配置しており、外装部42b内の処理液を透過した投光部71aからの検出光を受光部71bが受光する。センサ対72は、排出管63を挟んで投光部72aと受光部72bとを対向させて配置しており、排出管63内の処理液を透過した投光部72aからの検出光を受光部72bが受光する。図6の例では、3つのセンサ対を設けているが、センサ対32を除くセンサ対71、72の一方または両方を設けることもできる。なお、外装部42b、排出管63の検出光が透過する部分を平板状にしてもよい。また、セルユニット31の検出光を透過させる以外の部分を不透明にしてもよい。
【0055】
また、処理液中を透過する検出光の距離が短くてよい成分を測定する場合には、センサユニットの外筒及び内筒の軸心方向の長さを短くすることができる。図7は、上記の例のセンサユニットよりも、軸心方向に短い外筒41A及び内筒42Aを組み合わせて、セルユニット31を構成している。
【符号の説明】
【0056】
10 基板処理装置
11 基板
12 処理液
17 処理槽
23 循環ポンプ
31 セルユニット
32 センサ対
41 外筒
42 内筒
49 フランジ
51 外側流路
52 内側流路
45~47 蓋部材
S 測定部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7