(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171325
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】活性炭成型物及びその製造方法、並びに処理装置
(51)【国際特許分類】
C01B 32/30 20170101AFI20221104BHJP
B01J 20/20 20060101ALI20221104BHJP
B01J 20/30 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
C01B32/30
B01J20/20 A
B01J20/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021077908
(22)【出願日】2021-04-30
(71)【出願人】
【識別番号】591147694
【氏名又は名称】大阪ガスケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140486
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】千代 健文
(72)【発明者】
【氏名】天羽 國顕
(72)【発明者】
【氏名】秋山 穣慈
(72)【発明者】
【氏名】関 建司
【テーマコード(参考)】
4G066
4G146
【Fターム(参考)】
4G066AA05B
4G066AA14D
4G066AA34D
4G066AC02D
4G066AC33D
4G066BA20
4G066BA25
4G066BA26
4G066BA38
4G066CA02
4G066CA10
4G066DA03
4G066DA07
4G066FA02
4G066FA03
4G066FA21
4G066FA25
4G066FA38
4G146AA06
4G146AB05
4G146AC02B
4G146AC04B
4G146AC09B
4G146AC23B
4G146AD26
4G146AD31
4G146BA32
4G146BC03
4G146BD02
4G146CB03
4G146CB05
4G146CB11
(57)【要約】
【課題】水や油、または有機溶剤中で崩壊し難く用いられる活性炭成型物を提供する。
【解決手段】本発明は、水、油、又は有機溶剤中で用いられる活性炭成型物であり、活性炭と、増粘多糖類と、を不溶化した、活性炭成型物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水、油、又は有機溶剤中で用いられる活性炭成型物であり、活性炭と、増粘多糖類と、を不溶化した、活性炭成型物。
【請求項2】
前記増粘多糖類が、カルボキシメチルセルロース塩及びアルギン酸塩からなる群より選ばれる1種以上を含む、請求項1に記載の活性炭成型物。
【請求項3】
前記不溶化が、酸によるイオン置換、及び/又は架橋剤による架橋である、請求項1又は2に記載の活性炭成型物。
【請求項4】
前記架橋が、オキサゾリン基含有ポリマーを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の活性炭成型物。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の活性炭成型物を含む、物質を除去する処理装置。
【請求項6】
水、油、又は有機溶剤中で用いられる活性炭成型物の製造方法であり、活性炭と、増粘多糖類と、を不溶化処理する工程を含む、製造方法。
【請求項7】
前記増粘多糖類が、カルボキシメチルセルロース塩及びアルギン酸塩からなる群より選ばれる1種以上を含む、請求項6に記載の活性炭成型物の製造方法。
【請求項8】
前記不溶化処理が、酸及び/又は架橋剤の共存下の熱処理である、請求項6又は7に記載の活性炭成型物の製造方法。
【請求項9】
前記架橋剤が、オキサゾリン基含有ポリマーを含む、請求項6~8のいずれか一項に記載の活性炭成型物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性炭成型物及びその製造方法、並びに処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
活性炭はその比表面積に由来する、高い吸着容量を持つ吸着材である。原料及び炭化・賦活の製造条件によって多様な径の細孔を付与できることから、吸着される物質も多様である。このため、従来、活性炭は、工業・民生分野において、不純物の吸着による精製や脱色、臭い成分の吸着による脱臭など、多岐に使用されているが、近年は各種分野の技術の伸長に伴い、活性炭に対する要求性能も先鋭化している。更に、昨今の低環境負荷化の潮流もあり、環境中への有害物質放出を抑制する観点からも、より高機能な活性炭が求められている。このため、様々な原料と炭化、賦活条件にて高機能な活性炭の検討が多くなされている。
【0003】
一方で、既存の活性炭を原料とし、バインダーで成型固化することで目的の機能を付与した活性炭成型物も多く検討されている。
【0004】
例えば、特許文献1では、熱可塑性樹脂と活性炭などの吸着材とを混合し、この混合物を射出成型することで成型物を得る技術が提案されている。
【0005】
特許文献2では、熱可塑性樹脂と活性炭などの吸着材粒子とを結合及び/又は接着することで吸着性成型物を得る技術が提案されている。
【0006】
特許文献3では、繊維状の活性炭粒子と多糖とを混合し、任意の形状に成型した後、加熱して多糖の熱不可逆ゲルを形成させることにより活性炭成型物を得る技術が提案されている。
【0007】
特許文献4では、粉末状活性炭を繊維質バインダーと混合して成型してなる特定の活性炭成型物をハウジングに充填したカートリッジを備える浄水器が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2013-237854号公報
【特許文献2】特表2012-508645号公報
【特許文献3】特開2007-269555号公報
【特許文献4】特開2017-136589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1における、熱可塑性樹脂に活性炭を分散させる分散方法では、熱可塑性樹脂中に活性炭を55質量%程度しか含ませることができず、質量当たりの吸着性能が大きく低下する。
【0010】
特許文献2に記載の熱可塑性樹脂による結合及び接着では、気相用途での使用には問題がないものの、有機溶剤中では、熱可塑性樹脂が溶解するおそれがあり、吸着性成型品が崩壊する懸念がある。
【0011】
特許文献3においても、気相用途での使用には問題ないが、水中では、多糖が溶解するため、活性炭成型物が崩壊するとの問題を有する。
【0012】
特許文献4の成型方法では、粉末状活性炭が小さい粒子の場合、繊維質バインダーで粒子を捕捉できなくなり、任意の活性炭に適用できるとは言い難い。活性炭成型物の用途と使用状況は多岐にわたるため、多くの溶媒中において安定に使用可能な成型物とすることが望まれている。
【0013】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、高い吸着性能を有し、水、油、又は有機溶剤中で使用しても崩壊し難く、安定して使用できる活性炭成型物及びその製造方法、並びに処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねてきた結果、活性炭と増粘多糖類とを不溶化した活性炭成型物が、高い吸着性能を有し、水、油、又は有機溶剤中で使用しても崩壊し難く、安定して使用できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
本発明は、以下の実施態様を含む。
[1]水、油、又は有機溶剤中で用いられる活性炭成型物であり、活性炭と、増粘多糖類と、を不溶化した、活性炭成型物。
[2]前記増粘多糖類が、カルボキシメチルセルロース塩及びアルギン酸塩からなる群より選ばれる1種以上を含む、[1]に記載の活性炭成型物。
[3]前記不溶化が、酸によるイオン置換、及び/又は架橋剤による架橋である、[1]又は[2]に記載の活性炭成型物。
[4]前記架橋が、オキサゾリン基含有ポリマーを含む、[1]~[3]のいずれかに記載の活性炭成型物。
[5][1]~[4]のいずれかに記載の活性炭成型物を含む、物質を除去する処理装置。
[6]水、油、又は有機溶剤中で用いられる活性炭成型物の製造方法であり、活性炭と、増粘多糖類と、を不溶化処理する工程を含む、製造方法。
[7]前記増粘多糖類が、カルボキシメチルセルロース塩及びアルギン酸塩からなる群より選ばれる1種以上を含む、[6]に記載の活性炭成型物の製造方法。
[8]前記不溶化処理が、酸及び/又は架橋剤の共存下の熱処理である、[6]又は[7]に記載の活性炭成型物の製造方法。
[9]前記架橋剤が、オキサゾリン基含有ポリマーを含む、[6]~[8]のいずれかに記載の活性炭成型物の製造方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、高い吸着性能を有し、水、油、又は有機溶剤中で使用しても崩壊し難く、安定して使用できる活性炭成型物及びその製造方法、並びに処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について、詳細に説明する。なお、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は本実施形態のみに限定されない。
【0018】
[活性炭成型物]
本実施形態の活性炭成型物は、水、油、又は有機溶剤中で用いられ、活性炭と増粘多糖類とを不溶化したものである。このような活性炭成型物は、活性炭を増粘多糖類にて不溶化することで、例えば、従来、粉末形態でしか使用できなかった木質系の活性炭粉末を含め、原料として任意の活性炭を用いることが可能となり、高い吸着性能を有しながら、水、油、又は有機溶剤中で崩壊し難く安定に使用することができる。本実施形態の活性炭成型物は、優れた強度及び耐久性を有するため、たとえ、水、油、又は有機溶剤が活性炭成型物に浸透して、膨潤しても、崩壊し難い。例えば、水、油、又は有機溶剤中で用いると崩壊する粉末状活性炭では、カラム、カートリッジ、吸着塔、フィルター、及びシート(以下、単「カラム等」とも称する)に充填すると、崩壊に伴い通液抵抗が高くなるため、充填量が制限される。一方、水等の中でも崩壊し難い本実施形態の活性炭成型物は、カラム及びカートリッジなどへ高い充填量で充填することが可能となる。その結果、高い吸着性能を有するカラムやカートリッジ等を得ることができ、例えば、廃液又は排水中に含まれる汚染物質等の除去及び処理を容易に行うことができる。
【0019】
本明細書において、「不溶化」とは、活性炭成型物が、水、油、又は有機溶剤に対して、不溶であることのみならず、難溶であることも称する。不溶化が不十分であると、活性炭成型物が、水、油、又は有機溶剤中において、崩壊する。また、「難溶」とは、活性炭成型物が、水、油、又は有機溶剤に対して溶解し難い状態であり、例えば、活性炭成型物に対して十分な量の水中に1時間放置した場合、その水中に放置した後の乾燥質量が、水中に放置する前の乾燥質量に対して98%以上である、すなわち、水中に放置した場合の質量の減少量が2%以内であることを意味する。同様に、油として、なたね油(組成:オレイン酸約38%、リノール酸約18%、及びリノレン酸約12%を含む)を用いた場合に、十分な量の油中に1時間放置した場合、その油中に放置した後の乾燥質量が、油中に放置する前の乾燥質量に対して98%以上である。また、有機溶剤として、トルエンを用いた場合に、十分な量の有機溶剤中に1時間放置した場合、その有機溶剤中に放置した後の乾燥質量が、有機溶剤中に放置する前の乾燥質量に対して98%以上である。
【0020】
活性炭成型物は、用途によっても異なるが、例えば、カラム等に用いる場合には、その形状は、円柱形状であることが好ましい。本明細書において、「円柱形状」とは、幾何学的に厳密な円柱である必要はなく、円柱における中心軸に対して垂直な平面での断面形状(以下、単に「断面形状」という。)が、卵形、直円形、及び楕円形である柱体形状を包含し、円柱が多少湾曲したり、円柱の表面が多少凹凸を有していたりするものも包含する。なお、本明細書において、直円形又は楕円形としては、例えば、その形状の長軸と短軸との比(長軸/短軸)が3以下のものを意味する。断面形状としては、カラム等に活性炭成型物をより高密度で充填することが可能となることから、円形、及び楕円形が好ましい。
【0021】
活性炭成型物が円柱形状である場合には、その断面形状の直径の長さは、用途によっても異なるが、例えば、カラム等に用いる場合には、通常、1.0~5.0mm程度である。なお、本明細書において、「直径」とは、断面形状が、円形の場合、その円形の直径を意味する。一方、断面形状が、卵形、長円形又は楕円形の場合、「直径」とは、それらの形状において、最も長い方向(即ち、長軸方向)を意味する。なお、本明細書において、「円形」とは、真円に加えて、卵形、直円形、及び楕円形も包含する。
【0022】
活性炭成型物が円柱形状である場合には、その円柱における長手方向の長さは、用途によっても異なるが、例えば、カラム等に用いる場合には、通常、1.0~20.0mm程度である。
【0023】
本実施形態において、活性炭成型物の直径及び長手方向の長さは、公知の方法で測定することができる。このような方法としては、例えば、ノギスなどの測定用具を用いての測定、及び活性炭成型物を光学顕微鏡や電子顕微鏡にて拡大後、拡大画像にてメジャーを用いて計測するなどが挙げられる。また、測定回数は、特に限定されないが、通常20回程度を基準とする。具体的な測定方法は、実施例を参照すればよい。
【0024】
(活性炭)
本実施形態において、活性炭成型物の原料として使用される活性炭には特に限定されず、種々の活性炭を使用できる。活性炭としては、例えば、木材、木粉、ヤシ殻などの果実殻、パーム核、梅、及び桃等の種子、パルプ製造時の副産物、バガス、廃糖蜜、石炭(泥炭、亜炭、褐炭、及び瀝青炭など)、無煙炭、石油蒸留残渣成分、石油ピッチ、コークス、及びコールタールなどの植物系原料又は化石系原料;フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、レゾルシノール樹脂、セルロイド、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、及びポリアミド樹脂などの各種合成樹脂;ポリブチレン、ポリブタジエン、及びポリクロロプレンなどの合成ゴム;その他合成木材;合成パルプなどを原料とする活性炭などが挙げられる。これらの中でも、木粉、及びヤシ殻を原料とする活性炭が好ましい。
【0025】
活性炭は、上記の原料を、必要に応じて炭化又は不融化した後、賦活処理した活性炭であってもよい。炭化方法、不融化方法、及び賦活方法は、特に限定されず、慣用の方法が利用できる。賦活方法としては、例えば、賦活ガス(水蒸気、及び二酸化炭素など)中において、炭素原料(又はその炭化物若しくは不融化物)を500~1000℃程度で熱処理するガス賦活法、並びに炭素原料(又はその炭化物若しくは不融化物)を賦活剤(リン酸、塩化亜鉛、水酸化カリウム、及び水酸化ナトリウムなど)と混合し、300~800℃程度で熱処理する化学的賦活法などが挙げられる。賦活処理して得られる活性炭は、そのまま使用してもよい。また、賦活処理して得られる活性炭は、酸や水による洗浄、及び熱処理を行い、活性炭の付着成分、及び表面官能基などを除去して使用してもよい。
【0026】
活性炭の比表面積は、特に限定されないが、より高い吸着量が得られ、より速い吸着速度が得られることから、通常、50~2000m2/g程度であり、200~1600m2/gが好ましい。本実施形態において、比表面積は、BET法により測定される。具体的な測定方法は、実施例を参照すればよい。
【0027】
活性炭の全細孔容積は、特に限定されないが、より高い吸着量が得られることから、通常、0.1~2.5(mL/g)程度であり、0.4~2.0(mL/g)が好ましい。本実施形態において、全細孔容積は、窒素吸着法により測定される。具体的な測定方法は、実施例を参照すればよい。
【0028】
活性炭の平均粒子径(D50)は、特に限定されないが、通常、0.1~1000μm程度であり、0.1~100μmであることが好ましい。活性炭の平均粒子径(D50)が小さくなりすぎると、粒子表面積の増大に伴い、増粘多糖類の配合比も大きくなるおそれがある。本実施形態において、平均粒子径(D50)は、レーザー回折光散乱法粒度分布測定装置を用いて、体積基準のメジアン径として測定される。具体的な測定方法は、実施例を参照すればよい。
【0029】
これらの活性炭は、単独で用いることもでき、要求仕様に応じて、2種以上を任意の比率で混合して使用することもできる。また、活性炭は、増粘多糖類と混合しやすく、不溶化しやすく、より速い吸着速度を成型後も維持できることから、粉末であることが好ましい。更に、活性炭以外の成分を、活性炭成型物としての要求仕様に応じて適宜混合してもよい。
【0030】
活性炭と増粘多糖類との配合比(質量比)は、特に限定されないが、活性炭:増粘多糖類で30:70~97:3であることが好ましく、50:50~95:5であることがより好ましい。活性炭の配合量が多くなると、活性炭成型物が脆化するおそれがあり、活性炭の配合量が少なくなると、活性炭成型物の吸着容量が低下するおそれがある。また、増粘多糖類の配合量が多くなると、活性炭成型物の吸着容量が低下するおそれがあり、増粘多糖類の配合量が少くなると、活性炭成型物が脆化するおそれがある。
【0031】
(増粘多糖類)
本実施形態において、活性炭成型物の原料として使用される増粘多糖類には、特に限定されず、天然由来品又は合成品のいずれも使用することができる。このような増粘多糖類としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、キサンタンガム、ジェランガム、ペクチン、カラギーナン、アラビアガム、スクシノグリカン、ガードラン、ローカストビーンガム、グァーガム、タラガム、タマリンドシードガム、プルラン、大豆多糖類、ゼラチン、寒天、及びプロピレングリコール等が挙げられる。これらの増粘多糖類は、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、及びカルシウム塩などの塩であってもよい。塩としては、ナトリウム塩、及びカリウム塩が好ましい。
【0032】
これらの増粘多糖類は、単独で用いることもでき、要求仕様に応じて、2種以上を任意の比率で混合して使用することもできる。また、本実施形態では、増粘多糖類以外の成分を、活性炭成型物としての要求仕様に応じて適宜混合してもよい。
【0033】
これらの中でも、増粘多糖類としては、不溶化しやすく、活性炭の表面と馴染みやすいことから、カルボキシ基、及びスルホン酸基のうちの1種以上を含むことが好ましい。このような増粘多糖類としては、例えば、カルボキシメチルセルロース及びその塩、アルギン酸及びその塩、キサンタンガム、ジェランガム、ペクチン、カラギーナン、アラビアガム、及びスクシノグリカンが挙げられ、好適である。それらの中でも、一層不溶化しやすく優れた強度及び耐久性を有する活性炭成型物が得られ、活性炭の表面と一層馴染みやすいことから、カルボキシメチルセルロース及びその塩、並びにアルギン酸及びその塩がより好ましく、カルボキシメチルセルロース塩及び/又はアルギン酸塩が更に好ましい。
【0034】
(不溶化の具体的態様)
本実施形態において、不溶化は、特に限定されないが、例えば、酸、無機塩、及び架橋剤等を用いて行われることが好ましく、酸及び架橋剤のうちの少なくとも1種を用いて行うことがより好ましい。酸を用いた不溶化としては、例えば、酸によるイオン置換が挙げられる。無機塩を用いた不溶化としては、例えば、塩化カルシウムのような無機塩による塩交換が挙げられる。架橋剤を用いた不溶化としては、例えば、架橋剤による架橋が挙げられる。
【0035】
酸によるイオン置換では、例えば、増粘多糖類の金属塩を形成している官能基において、金属塩と酸とがイオン置換されることにより不溶化する。酸としては、特に限定されず、鉱酸、及び有機酸などいずれの酸を用いてもよい。鉱酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、及び炭酸が挙げられる。有機酸としては、例えば、一塩基酸(例えば、酢酸、乳酸、及びグルコン酸など)、二塩基酸(例えば、マレイン酸、及びフマル酸など)、並びに多塩基酸(例えば、酒石酸など)が挙げられる。これらの酸は、単独で用いることもでき、要求仕様に応じて、2種以上を任意の比率で混合して使用することもできる。
その中でも、一層不溶化しやすく優れた強度及び耐久性を有する活性炭成型物が得られ、不溶化する処理速度が速い点から、鉱酸が好ましく、塩酸がより好ましい。
【0036】
これらの酸は、活性炭成型物をより十分に不溶化でき、より十分な物性を備えることが可能となることから、活性炭100質量部に対して、通常0.5~50質量部が配合され、好ましくは1~20質量部が配合される。
【0037】
無機塩による塩交換では、例えば、増粘多糖類の水素結合を形成している官能基に無機イオンが配位され、増粘多糖類の構造が変化することにより不溶化する。無機塩としては、特に限定されないが、例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩、及びアルミニウム塩が挙げられ、それらの塩化物であってもよい。
【0038】
架橋剤による架橋では、例えば、架橋剤が、増粘多糖類の官能基と反応して共有結合を形成することにより不溶化する。架橋剤としては、特に限定されないが、増粘多糖類と好適に反応して、共有結合を形成しやすい理由から、増粘多糖類の官能基と反応できる官能基を有する高分子材料であることが好ましく、増粘多糖類の持つ官能基である、アルコール、カルボキシ基、及びスルホン酸基と反応できる官能基を有する高分子材料であることがより好ましい。このような架橋剤としては、例えば、フェノール樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリオール、及びオキサゾリン基含有ポリマーが挙げられ、増粘多糖類と良好な反応性を有する点から、オキサゾリン基含有ポリマーが好ましい。これらの架橋剤は、単独で用いることもでき、要求仕様に応じて、2種以上を任意の比率で混合して使用することもできる。本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルを包含する概念であり、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートを包含する概念である。
【0039】
フェノール樹脂は、フェノール基を分子内に1個以上有すればよい。フェノール樹脂としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、及びビスフェノールA型ノボラック樹脂などのノボラック型フェノール樹脂;メチロール型レゾール樹脂、ジメチレンエーテル型レゾール樹脂、桐油、アマニ油、及びクルミ油などで溶融した油溶融レゾールフェノール樹脂などのレゾール型フェノール樹脂;アリールアルキレン型フェノール樹脂が挙げられる。
【0040】
(メタ)アクリル樹脂としては、例えば、水酸基を有する(メタ)アクリレート、並びに、水酸基を有する(メタ)アクリレートとジカルボン酸又はその誘導体とを反応して得られるカルボキシ基を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,2-シクロヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,3-シクロヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,2-シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、1,3-シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、1,2-シクロヘキサンジエタノールモノ(メタ)アクリレート、1,3-シクロヘキサンジエタノールモノ(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジエタノールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、及びネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレートが挙げられる。また、ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、及びこれらの誘導体が挙げられる。
【0041】
ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、及びポリ(メタ)アクリレートポリオールが挙げられる。
【0042】
オキサゾリン基含有ポリマーとしては、オキサゾリン基を分子内に1個以上有すればよく、オキサゾリン基を分子内に2個以上有することが好ましい。オキサゾリン基含有ポリマーとしては、例えば、(株)日本触媒製エポクロス(登録商標)K-2010E(商品名)、エポクロス(登録商標)K-2020E(商品名)、エポクロス(登録商標)WS-300(商品名)、エポクロス(登録商標)WS-500(商品名)、及びエポクロス(登録商標)WS-700(商品名)を用いることができる。
【0043】
これらの架橋剤は、活性炭成型物を十分に不溶化でき、十分な物性を備えることが可能となることから、活性炭100質量部に対して、通常0.5~50質量部が配合され、好ましくは1~20質量部が配合される。
【0044】
[用途]
本実施形態の活性炭成型物は、高い吸着性能を有しながら、不溶化されているため、水、油、又は有機溶剤中でも崩壊し難く安定に使用することができる。活性炭成型物は、水、油、及び有機溶剤のうち少なくとも2種以上が混在している液に対しても、崩壊し難く安定に使用することができる。
【0045】
より具体的に、本実施形態の活性炭成型物は、下記のものの中であっても崩壊し難く安定に存在する。
(1)トリクロロエタンのような有機塩素含有廃液及び排水;水族館及び陸上養殖場の循環水処理;有機窒素含量が高い養豚屎尿排水;鉛、六価クロム、ニッケル、水銀、亜鉛、カドミウム、及びセレン等の重金属含有廃液;水溶性タンパク含量が高い乳製品製造工場、水産加工処理場、及び屠殺場からの廃液及び排水;P(リン)や、N(チッソ)を含有する河川、湖沼、工場の各排水、パルプ工場廃液及び排水、写真現像に伴って排出される廃液、自動車の洗車場からのワックスと洗剤が混在した排水、
(2)一般家庭、営業用調理場、ビルの排水、及び公共事業体の汚水廃液処理施設からの排出される、植物油(菜種油、ごま油、大豆油、コーン油、パーム油、Aリーヴ油、及びビーナツツ油など)、動物性油(バター、及びラードなど)、及び加工油(マーガリンなど)等の油やラード類を含む排水、廃液、並びに廃食品、
(3)植物油、動物性油、及び加工油等の油やラード類、
(4)ダイオキシン類などの汚染物質、各種有機溶剤、含ハロゲン有機溶剤、含硫有機溶媒、含硫化合物、各種界面活性剤、各種アミン類、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等の有機アルカリを含む各種窒素化合物、及び各種難分解性物質等の工場や事業所から排出される工業廃水、並びに農業廃水;汚染地下水、廃棄物処分場の浸出液、塩素系有機溶剤を含有する産業排水、及び塩素系VOC溶剤を含有する廃液等。
【0046】
(処理装置)
本実施形態の物質を除去する処理装置は、本実施形態の活性炭成型物を含む。
本明細書において、「処理装置」とは、例えば、上記のような、排水、廃液、及び油等の処理対象において、不純物及び/又は汚染物質等を、本実施形態の活性炭成型物を含んで除去又は処理できる装置であれば、特に限定されない。処理装置としては、例えば、活性炭成型物を含む、フィルター、カラム、タンク又は浴、チューブ、カートリッジ、ボンベ、及びシート(以下、単に「活性炭成型物を含むフィルター等」とも称す)を含む装置、並びにろ過装置が挙げられる。
【0047】
除去される物質としては、特に限定されないが、例えば、不純物、汚染物質、残留塩素、揮発性有機化合物(VOC)、及び着色成分が挙げられる。
【0048】
ろ過装置としては、例えば、活性炭成型物を含む、カートリッジ式ろ過装置、膜処理装置、及び限外濾過膜装置が挙げられる。
【0049】
処理装置には、活性炭成型物を含むフィルター等と共に、その他の吸着フィルターを備えてもよい。このようなその他の吸着フィルターとしては、例えば、ステンレス製、アルミニウム製、ブロンズ製、銅製、チタン製、及びニッケル製等を使用した金属製フィルター;ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリアミド、及びフッ素系樹脂等を使用した樹脂フィルターが挙げられる。
【0050】
また、処理装置は、バッチ式でも、連続式でもよく、活性炭成型物は、どちらの様式にも用いることができる。
【0051】
[活性炭成型物の製造方法]
本実施形態の、水、油、又は有機溶剤中で用いられる活性炭成型物の製造方法は、活性炭と、増粘多糖類と、を不溶化処理する工程を含む。不溶化処理としては、上記のとおり、例えば、酸によるイオン置換、及び架橋剤による架橋が挙げられる。以下、酸及び/又は架橋剤を用いた場合を中心に詳述する。
【0052】
活性炭成型物を製造する方法は、例えば、まず、活性炭と増粘多糖類とを、粉末等の固形のまま所定量配合し、混合し、水を加えて撹拌後、成型し、乾燥する方法;並びに、活性炭に増粘多糖類の水溶液を所定量添加して、混合及び撹拌後、成型して、乾燥する方法が挙げられる。成型の際、不溶化処理に用いる酸及び/又は架橋剤を加えて成型してもよいし、乾燥後の成型物を得た後に、不溶化するために、その乾燥後の成型物に酸及び/又は架橋剤を添加してもよい。
その後、酸及び/又は架橋剤を配合した成型物を不溶化するために、再度乾燥することで、活性炭成型物を得ることができる。この不溶化処理の工程では、乾燥した成型物を、酸及び/又は架橋剤の共存下で熱処理することが好ましい。
【0053】
活性炭と増粘多糖類を成型する工程は、特に制限されず、成型物に要求される品質に応じて公知の混合、撹拌、成型、及び乾燥を用いることができる。
混合及び撹拌方法としては、公知の方法であってもよく、例えば、ブレンダー、及びヘンシェルミキサーを用いた混合及び攪拌が挙げられる。
成型方法としては、例えば、ディスクペレタイザーなどの押出造粒機により、活性炭と、増粘多糖類と、必要に応じて、酸及び/又は架橋剤とを含む混合物を、例えば、円柱形状等の所定形状の成型物に製造する方法が挙げられる。
【0054】
不溶化処理前の成型物は、乾燥してもよい。乾燥方法としては、特に限定されず、自然乾燥、加熱乾燥、及び熱風乾燥などの公知の技術を用いることができる。好ましくは、乾燥ムラがなく、安定して乾燥できる点から、熱風乾燥である。乾燥条件については、特に限定されないが、通常、成型物の水分率が20%以下になるまで、好ましくは10%以下になるまで乾燥される。
【0055】
不溶化処理する工程は、活性炭と、増粘多糖類と、酸及び/又は架橋剤とを反応させる工程であり、成型物に要求される品質に応じて、公知の反応容器、撹拌、及び乾燥を用いることができる。反応は、熱処理にて行うことが好ましく、例えば、棚式乾燥機を用いて、酸及び/又は架橋剤を配合した成型物に熱を加えることで不溶化し、活性炭成型物を得る。加熱温度としては、成型物が不溶化し、かつ、増粘多糖類が融解しない温度であればよく、例えば、50~150℃程度である。
【0056】
不溶化後の活性炭成型物は、通常、活性炭成型物の水分率が20%以下になるまで、好ましくは10%以下になるまで乾燥されることが好ましい。このような乾燥方法としては、上記の不溶化処理前の成型物に対する乾燥方法を参照できるが、好ましくは、乾燥ムラがなく、安定して乾燥できる点から、熱風乾燥である。
【0057】
このようにして得られた活性炭成型物は、そのまま使用してもよいし、吸着材として要求される品質に応じて、公知の破砕又は分級技術を用いて粒度を調整した後、使用することもできる。
【実施例0058】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0059】
〔評価方法〕
(1)比表面積
活性炭の比表面積(m2/g)は、比表面積/細孔分布測定装置(マイクロトラック・ベル製BELSORP(登録商標)-miniII(商品名))により測定した。
【0060】
(2)全細孔容積
活性炭の全細孔容積(mL/g)は、比表面積/細孔分布測定装置(マイクロトラック・ベル製BELSORP(登録商標)-miniII(商品名))により測定した。
【0061】
(3)平均粒子径(D50)
活性炭の平均粒子径(D50)は、レーザー回折光散乱法粒度分布測定装置(マイクロトラック・ベル製MT3300EXII(商品名))を用いて、体積基準のメジアン径として測定した。
【0062】
〔実施例1〕
原料としての木粉を塩化亜鉛にて賦活し、洗浄及び乾燥した。その後、平均粒子径(D50)が40μmとなるように粉砕して、活性炭(比表面積1400m2/g、及び全細孔容積1.2mL/g)を得た。この活性炭300gとカルボキシメチルセルロースナトリウム(日本製紙(株)製サンローズ(登録商標)F120MC(商品名))36gとをヘンシェルミキサー(ユニバース(株)製高速混合機DH-5(商品名))に投入し、1800rpmにて3分間混合し、混合物(1)を得た。この混合物(1)を1800rpmで更に撹拌しながら、オキサゾリン基含有水溶性ポリマー(不揮発分が25質量%の水溶液、(株)日本触媒製エポクロス(登録商標)WS-700(商品名))36gを純水483gに溶解した水溶液を、この混合物(1)中に1分間で投入し、更に5分間撹拌して、混合物(2)を得た。
得られた混合物(2)を、ディスクペレタイザー((株)ダルトン製F-5型(商品名))を用いて、直径の長さが3mm程度、及び長手方向の長さが3~8mm程度のペレット形状に成型し、流動層乾燥機((株)ダルトン製ミゼットドライヤーMDG-80(商品名))で水分率が5%になるまで乾燥し、ペレットを得た。このペレットを10質量倍の1N塩酸に1時間浸漬後、10質量倍の純水で5回洗浄し、流動層乾燥機((株)ダルトン製ミゼットドライヤーMDG-80(商品名))で水分率が5%になるまで乾燥させた。その後、更に定温乾燥機(ヤマト科学(株)製DVS402(商品名))にて、120℃で2時間加熱することにより、水分率が1%未満になるまで更に乾燥させて、活性炭成型物1を得た。この活性炭成型物の比表面積は1200m2/g、及び全細孔容積は1.0mL/gであった。
【0063】
〔実施例2〕
カルボキシメチルセルロースナトリウム(日本製紙(株)製サンローズ(登録商標)F120MC(商品名))36gの代わりにアルギン酸ナトリウム(和光純薬工業製)36gを用いた以外は、実施例1と同様にして、活性炭成型物2を得た。
【0064】
〔実施例3〕
オキサゾリン基含有水溶性ポリマー(不揮発分が25質量%の水溶液、(株)日本触媒製エポクロス(登録商標)WS-700(商品名))36gを用いなかった以外は、実施例1と同様にして、活性炭成型物3を得た。
【0065】
〔実施例4〕
10質量倍の1N塩酸に1時間浸漬しなかった以外は、実施例1と同様にして、活性炭成型物4を得た。
【0066】
〔比較例1〕
原料としての木粉を塩化亜鉛にて賦活し、洗浄及び乾燥した。その後、平均粒子径(D50)が40μmとなるように粉砕して、活性炭(比表面積1400m2/g、及び全細孔容積1.2mL/g)を得た。この活性炭300gとカルボキシメチルセルロースナトリウム(日本製紙(株)製サンローズ(登録商標)F120MC(商品名))36gとをヘンシェルミキサー(ユニバース(株)製高速混合機DH-5(商品名))に投入し、1800rpmにて3分間混合し、混合物(1)を得た。この混合物(1)を30Hzで更に撹拌しながら、この混合物(1)に純水483gを1分間で投入し、更に5分間撹拌して、混合物(2)を得た。
得られた混合物(2)を、ディスクペレタイザー((株)ダルトン製F-5型(商品名))を用いて、直径の長さが3mm程度、及び長手方向の長さが3~8mm程度のペレット形状に成型し、流動層乾燥機((株)ダルトン製ミゼットドライヤーMDG-80(商品名))で水分率が5%になるまで乾燥し、ペレットを得た。このペレットを10質量倍の純水に1時間浸漬させた後、10質量倍の純水で5回洗浄し、流動層乾燥機((株)ダルトン製ミゼットドライヤーMDG-80(商品名))で水分率が5%になるまで乾燥させた。その後、更に定温乾燥機(ヤマト科学(株)製DVS402(商品名))にて、120℃で2時間加熱することにより、水分率が1%未満になるまで更に乾燥させて、活性炭成型物5を得た。
【0067】
〔比較例2〕
カルボキシメチルセルロースナトリウム(日本製紙(株)製サンローズ(登録商標)F120MC(商品名))36gの代わりにアルギン酸ナトリウム(和光純薬工業製)36gを用いた以外は、比較例1と同様にして、活性炭成型物6を得た。
【0068】
〔評価〕
(評価1)圧壊強度(N)
実施例及び比較例で得られた、乾燥状態の活性炭成型物(ペレット)の圧壊強度を測定した。具体的には、活性炭成型物における円柱状ペレットの径方向に対して、木屋式硬度径((株)藤原製作所製043019-A(商品番号))にて圧力を加えた時、ペレットが崩壊した強度を圧壊強度(N)とした。この圧壊強度の測定を32個の別々のペレットに対して行い、それぞれの圧壊強度の値から平均値を算出し、その値を測定値とした。
また、実施例及び比較例で得られた、乾燥状態の活性炭成型物5gを10質量倍の純水に24時間浸漬して、活性炭成型物に純水を含浸させ、純水を含浸させた活性炭成型物を得たた。その活性炭成型物について、前記と同様の方法にて、圧壊強度を測定し(n=32)、それらの値を用いて平均値を算出し、その値を測定値とした。なお、純水を含浸させた活性炭成型物は、特に乾燥せずに、含浸後の成型物をそのまま測定に用いた。
これらの結果を表1に示す。
【0069】
【0070】
(評価2)直径及び長手方向の長さ
実施例及び比較例で得られた、乾燥状態の活性炭成型物(ペレット)の直径の長さ(mm)及び長手方向の長さ(mm)を、ノギスを使用して測定した。この測定を32個の別々のペレットに対して行い、それぞれの直径及び長手方向の長さの値から平均値を算出し、その値を測定値とした。
また、前記の評価1と同様にして、純水を含浸させた活性炭成型物を得た。その活性炭成型物を、前記と同様の方法にて、直径の長さ及び長手方向の長さを測定し(n=32)、それらの値を用いて平均値を算出し、その値を測定値とした。
これらの結果を表2に示す。
【0071】