(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171380
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】シートアンダーボックス
(51)【国際特許分類】
B60R 7/04 20060101AFI20221104BHJP
A47C 7/62 20060101ALI20221104BHJP
B60N 3/00 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
B60R7/04 S
A47C7/62 A
B60N3/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021077985
(22)【出願日】2021-04-30
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中尾 健志
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 久
(72)【発明者】
【氏名】大軒 一晃
【テーマコード(参考)】
3B084
3B088
3D022
【Fターム(参考)】
3B084JA07
3B084JB04
3B088CA02
3D022CA01
3D022CC21
3D022CD02
(57)【要約】
【課題】ボックス本体が使用時における引き出し位置よりも前方側へ飛び出すのを防止でき、ボックス本体をシートクッションの下方側から取り外す作業が容易にできるシートアンダーボックスを得る。
【解決手段】シートクッションの下方側にシートクッションの幅方向に離間して配置された一対のレール部28と、シートクッションの下方側に収納された収納状態とその下方側から前方側へ引き出された引出状態とを取り得るように、レール部28に前後方向へスライド可能に案内されるボックス本体24と、レール部28に設けられ、ボックス本体24が引出状態を取るときに、ボックス本体24に設けられた被ロック部26をロックするロック機構30と、を備えたシートアンダーボックス20であって、ロック機構30は、ボックス本体24がシートクッション12の下方側から取り外される取外状態を取るときに、被ロック部26に対するロックを解除可能に構成されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員が着座するシートクッションの下方側に前記シートクッションの前後方向を長手方向とし、かつ前記シートクッションの幅方向に離間して配置された一対のレール部と、
前記シートクッションの下方側に収納された収納状態と、前記シートクッションの下方側から前記シートクッションの前方側へ引き出された引出状態と、を取り得るように、前記レール部に前記シートクッションの前後方向へスライド可能に案内されるボックス本体と、
前記レール部に設けられ、前記ボックス本体が前記引出状態を取るときに、前記ボックス本体に設けられた被ロック部をロックするロック機構と、
を備え、
前記ロック機構は、前記ボックス本体が前記シートクッションの下方側から取り外される取外状態を取るときに、前記被ロック部に対するロックを解除可能に構成されているシートアンダーボックス。
【請求項2】
前記ロック機構は、前記被ロック部をロックするロック部と、前記被ロック部に対するロックを解除するロック解除部と、が一体で構成されている請求項1に記載のシートアンダーボックス。
【請求項3】
前記ロック機構は、前記被ロック部の前記シートクッションの前方側への移動を阻止することで、前記被ロック部に対してロックし、前記シートクッションの幅方向外側へ移動することで、前記被ロック部に対するロックを解除する構成とされている請求項2に記載のシートアンダーボックス。
【請求項4】
前記ロック機構は、前記レール部に弾性変形可能に一体に設けられたロック爪で構成されている請求項2又は請求項3に記載のシートアンダーボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートアンダーボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用シートの下方側にアンダーボックス(アンダートレイ)を引き出し可能(スライド可能)に設けた構造は、従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなアンダーボックスは、車両の衝突時等において、慣性力等により、通常の使用時における引き出し位置よりも車両用シートの前方側へ飛び出さないように構成されている。
【0003】
例えば、アンダーボックスの両側部をスライド可能に案内するレール部に係止部が設けられ、アンダーボックスの両側部に設けられている被係止部が、その係止部に係止されることにより、アンダーボックスが通常の使用時における引き出し位置よりも車両用シートの前方側へ飛び出さないようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような構成のものは、衝突時の慣性力等により、アンダーボックスが通常の使用時における引き出し位置よりも車両用シート(シートクッション)の前方側へ飛び出すことは防止できるが、アンダーボックスを車両用シート(シートクッション)の下方側から取り外す必要があるときに、被係止部を係止部から外すことが困難な場合がある。つまり、アンダーボックスを取り外すための取り外し作業が困難になる場合がある。
【0006】
そこで、本発明は、慣性力等により、ボックス本体が通常の使用時における引き出し位置よりもシートクッションの前方側へ飛び出すことを防止できるとともに、ボックス本体をシートクッションの下方側から取り外す必要があるときに、その取り外し作業が容易にできるシートアンダーボックスを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明に係る請求項1に記載のシートアンダーボックスは、乗員が着座するシートクッションの下方側に前記シートクッションの前後方向を長手方向とし、かつ前記シートクッションの幅方向に離間して配置された一対のレール部と、前記シートクッションの下方側に収納された収納状態と、前記シートクッションの下方側から前記シートクッションの前方側へ引き出された引出状態と、を取り得るように、前記レール部に前記シートクッションの前後方向へスライド可能に案内されるボックス本体と、前記レール部に設けられ、前記ボックス本体が前記引出状態を取るときに、前記ボックス本体に設けられた被ロック部をロックするロック機構と、を備え、前記ロック機構は、前記ボックス本体が前記シートクッションの下方側から取り外される取外状態を取るときに、前記被ロック部に対するロックを解除可能に構成されている。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、ボックス本体が引出状態を取るときに、ボックス本体に設けられた被ロック部をロックするロック機構が、ボックス本体がシートクッションの下方側から取り外される取外状態を取るときに、被ロック部に対するロックを解除可能に構成されている。したがって、慣性力等により、ボックス本体が通常の使用時における引き出し位置よりもシートクッションの前方側へ飛び出すことが防止されるとともに、ボックス本体をシートクッションの下方側から取り外す必要があるときに、その取り外し作業が容易にできる。
【0009】
また、請求項2に記載のシートアンダーボックスは、請求項1に記載のシートアンダーボックスであって、前記ロック機構は、前記被ロック部をロックするロック部と、前記被ロック部に対するロックを解除するロック解除部と、が一体で構成されている。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、ロック機構の被ロック部をロックするロック部と、被ロック部に対するロックを解除するロック解除部と、が一体で構成されている。したがって、ロック部とロック解除部とが別体で構成されている場合に比べて、ロック機構の構成が簡略化される。
【0011】
また、請求項3に記載のシートアンダーボックスは、請求項2に記載のシートアンダーボックスであって、前記ロック機構は、前記被ロック部の前記シートクッションの前方側への移動を阻止することで、前記被ロック部に対してロックし、前記シートクッションの幅方向外側へ移動することで、前記被ロック部に対するロックを解除する構成とされている。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、ロック機構が、被ロック部のシートクッションの前方側への移動を阻止することで、被ロック部に対してロックする。そのため、ボックス本体が通常の使用時における引き出し位置よりもシートクッションの前方側へ飛び出すことが効果的に防止される。また、ロック機構が、シートクッションの幅方向外側へ移動することで、被ロック部に対するロックを解除する。したがって、ロック機構が、例えばシートクッションの上下方向へ移動することで、被ロック部に対するロックを解除する構成に比べて、ボックス本体を持ち上げるようなことをする必要がなく、そのロック解除のための解除力が低減される。よって、ボックス本体をシートクッションの下方側から取り外す際の取り外し作業がより一層容易にできる。そして、ボックス本体をシートクッションの下方側から取り外すことを繰り返しても、そのボックス本体のレール部に対する抜去力の低下率が抑制される。
【0013】
また、請求項4に記載のシートアンダーボックスは、請求項2又は請求項3に記載のシートアンダーボックスであって、前記ロック機構は、前記レール部に弾性変形可能に一体に設けられたロック爪で構成されている。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、ロック機構が、レール部に弾性変形可能に一体に設けられたロック爪で構成されている。したがって、ロック機構が、レール部とは別体として、そのレール部に設けられたロック爪で構成されている場合に比べて、ロック機構の構成がより一層簡略化される。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、慣性力等により、ボックス本体が通常の使用時における引き出し位置よりもシートクッションの前方側へ飛び出すことを防止できるとともに、ボックス本体をシートクッションの下方側から取り外す必要があるときに、その取り外し作業が容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態に係るシートアンダーボックスを備えた車両用シートを示す斜視図である。
【
図2】本実施形態に係るシートアンダーボックスのボックス本体を示す斜視図である。
【
図3】本実施形態に係るシートアンダーボックスのボックス本体をスライド可能に案内するレール部を備えたケースをボックス本体と共に一部断面にて示す斜視図である。
【
図4】本実施形態に係るシートアンダーボックスのボックス本体を通常の使用時における引き出し位置までケースから引き出した状態を示す斜視図である。
【
図5】本実施形態に係るシートアンダーボックスのロック機構を拡大して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を基に詳細に説明する。なお、本実施形態に係るシートアンダーボックス20は、一例として、自動車等の車両用シート10の下方側に配置されている。したがって、説明の便宜上、
図1において適宜示す矢印UPを車両用シート10の上方向、矢印FRを車両用シート10の前方向、矢印RHを車両用シート10の右方向とする。つまり、以下の説明で、特記することなく上下、前後、左右の方向を記載した場合は、車両用シート10の上下、前後、左右を示すものとする。
【0018】
図1に示されるように、車両用シート10は、乗員が着座する(乗員の大腿部及び臀部を支持する)シートクッション12と、乗員の背部を支持するシートバック14と、乗員の頭部を支持するヘッドレスト16と、乗員の腕部を支持するアームレスト18と、を有している。そして、車両用シート10(シートクッション12)の下方側には、本実施形態に係る樹脂製のシートアンダーボックス20が配置されている。
【0019】
シートアンダーボックス20は、シートクッション12の下方側に配置されたケース22と、そのケース22内からシートクッション12の前方側へ引き出し可能に構成されたボックス本体24と、を有している。
【0020】
図1、
図3、
図4に示されるように、ケース22は、前後方向を長手方向とした略筒状に形成されており、略矩形平板状の左側壁22L及び右側壁22Rと、略矩形平板状の天壁22U(
図1参照)と、左側壁22Lの下端前部と右側壁22Rの下端前部とに架設された底壁22D(
図4参照)と、を有している。
【0021】
図4に示されるように、底壁22Dは、左右方向が長手方向となる略矩形平板状に形成されており、左側壁22Lの下端前部と右側壁22Rの下端前部とを一体的に連結している。そして、
図3、
図4に示されるように、ケース22の後端部には、左右方向を長手方向とする略矩形筐体状の後壁23が一体的に設けられている。
【0022】
具体的に説明すると、後壁23は、所定の厚みを有する中空のブロック状に形成されており、左側壁22Lの後端上部と右側壁22Rの後端上部とを一体的に連結している。なお、この後壁23は、シートクッション12を前方側から見た正面視で、ケース22よりも左右方向(シートクッション12の幅方向外側)へ突出しており、その突出している左右両端部が、シートクッション12の下方側で、かつ後方側における所定位置に固定されている。
【0023】
また、左右一対のレール部28が、シートクッション12の下方側で、かつシートクッション12の幅方向に離間して配置されている。すなわち、ケース22の左側壁22Lの上部及び右側壁22Rの上部には、それぞれ前後方向を長手方向とした略矩形平板状の樹脂製のレール部28が、左側壁22Lの上部及び右側壁22Rの上部のほぼ全長に亘って設けられている。
【0024】
より具体的に説明すると、
図1、
図3~
図5に示されるように、ケース22の左側壁22Lの上部及び右側壁22Rの上部には、それぞれ前後方向に所定の間隔を空けて複数の開口部22Aが形成されている。各開口部22Aは、シートクッション12の幅方向から見た側面視で、略矩形状に形成されている。
【0025】
そして、各レール部28の本体部28Aには、所定の間隔を空けて(各開口部22Aに対応可能な位置に)複数の係止部29が形成されており、各係止部29は、シートクッション12の幅方向外側(ケース22の外方側)へ向けて突出する鈎状に形成されている(
図5参照)。
【0026】
したがって、各レール部28は、その本体部28Aに形成された各係止部29が、各開口部22Aにケース22の内方側から挿入され、各開口部22Aにおける下側の辺縁部と、前側の辺縁部又は後側の辺縁部に係止されることで、ケース22の左側壁22Lの上部及び右側壁22Rの上部に取り付けられている。そして、各レール部28には、ロック機構30が設けられている。なお、ロック機構30については後で詳述する。
【0027】
図1、
図3、
図4に示されるように、ボックス本体24は、シートクッション12の下方側に収納された収納状態と、シートクッション12の下方側からシートクッション12の前方側へ引き出された引出状態と、を取り得るように、左右一対のレール部28に、前後方向へスライド可能に案内される構成とされている。
【0028】
具体的に説明すると、
図2~
図4に示されるように、ボックス本体24は、略矩形平板状の左側壁24L及び右側壁24Rと、略矩形平板状の底壁24Dと、略矩形平板状の前壁24Fと、略矩形平板状の後壁24Bと、を有している。左側壁24L及び右側壁24Rと後壁24Bとはほぼ同じ高さに形成されており(左側壁24L及び右側壁24Rの各上端面と後壁24Bの上端面とが略面一とされており)、左側壁24Lの後端部と右側壁24Rの後端部とを後壁24Bが一体的に連結している。
【0029】
また、シートクッション12の幅方向から見た側面視で、ボックス本体24の左側壁24L及び右側壁24Rは、それぞれケース22の左側壁22L及び右側壁22Rとほぼ同じ形状に形成されており、その左側壁22L及び右側壁22Rの各内面に近接した位置で前後方向に沿ってスライド可能に構成されている。
【0030】
前壁24Fは、左側壁24L及び右側壁24Rよりも高くなるように(少なくとも左側壁24L及び右側壁24Rの各上端面から上方へ突出するように)形成されており、左側壁24Lの前端部と右側壁24Rの前端部とを一体的に連結している。なお、前壁24Fの前面上部には、乗員の手指を挿入させることができる挿入部25が形成されている。この挿入部25により、ボックス本体24がケース22内から引き出され易くなる構成になっている。
【0031】
底壁24Dは、その周縁部が、左側壁24L及び右側壁24Rと後壁24Bと前壁24Fとで形成された略矩形枠体の下端部を閉鎖するように一体的に接合されている。そして、底壁24Dの上面側で、かつ左側壁24L及び右側壁24Rと後壁24Bと前壁24Fとで囲まれた空間が、ボックス本体24(シートアンダーボックス20)の収納スペースSとなっている。
【0032】
また、左側壁24Lの上端部及び右側壁24Rの上端部には、レール部28によって案内されるガイド部27が、左側壁24Lの上端部及び右側壁24Rの上端部のほぼ全長に亘って一体に形成されている。各ガイド部27は、その長手方向と直交する断面視で略「L」字状に形成されており、各ガイド部27の下部は、シートクッション12の幅方向外側へ張り出した張出部27Dとされている。
【0033】
なお、各ガイド部27と各レール部28とは、ボックス本体24がケース22内に収容されたときに、張出部27Dの上面側にレール部28が配置されるように、その高さ位置が設定されている。また、
図2、
図5に示されるように、各ガイド部27の上部における後端部近傍には、側面視略矩形状の切欠部27Aが形成されており、各切欠部27Aよりも後方側の張出部27Dの上面に被ロック部26が一体に設けられている。
【0034】
被ロック部26は、法線方向がシートクッション12の幅方向となるような所定の厚みを有する略矩形平板状に形成されており、ある程度の剛性を有している。そして、被ロック部26の前端面26Fが、上下方向に沿った(側面視で前後方向と直交する)平面状に形成されており、被ロック部26の後端部26Bが、平断面視で略半円弧状に形成されている(
図5参照)。なお、被ロック部26の外側面26Aも、平面状に形成されている。
【0035】
図3~
図5に示されるように、レール部28には、ボックス本体24が引出状態を取るときに、ボックス本体24に形成されている被ロック部26をロックするロック機構30が設けられている。ロック機構30は、被ロック部26の前端面26Fが当たることにより、その被ロック部26(ボックス本体24)の前方側への移動を阻止するロック部としてのロック爪32を有している。
【0036】
図5に示されるように、ロック爪32は、平断面視で略「L」字状に形成されており、その前端部32Fがレール部28の本体部28Aに一体に、かつシートクッション12の幅方向に弾性変形可能に設けられている。そして、ロック爪32の後端部32Bは、その屈曲部32Aが張出部27Dの上面側で、かつ切欠部27A側へ張り出すように形成されており、その後方側を向く後端面32Cが、上下方向に沿った(側面視で前後方向と直交する)平面状に形成されている。
【0037】
したがって、ボックス本体24がケース22内から引き出されたときに、このロック爪32の後端面32Cに、被ロック部26の前端面26Fが面接触することにより、ケース22内から引き出されたボックス本体24が、通常の使用時における引き出し位置よりもシートクッション12の前方側へ飛び出さないようになっている。
【0038】
また、このロック機構30は、ボックス本体24がシートクッション12の下方側(ケース22内)から取り外される取外状態を取るときに、被ロック部26に対するロックを解除可能に構成されている。すなわち、このロック爪32は、ロック部として機能するだけではなく、ロック解除部としても機能するようになっている。
【0039】
具体的に説明すると、ケース22の左側壁22L及び右側壁22Rにおいて、ロック爪32と左右方向(シートクッション12の幅方向)で対向する部位には、開口部22Aが形成されている。したがって、ボックス本体24を取外状態とするときには、乗員が手指でロック爪32の屈曲部32Aをシートクッション12の幅方向外側へ向けて押圧する。すると、ロック爪32は、弾性変形可能な前端部32Fを支点として、その後端部32Bがシートクッション12の幅方向外側へ(開口部22A内へ)移動する。
【0040】
これにより、被ロック部26の前端面26Fからロック爪32の後端面32Cが退避し、被ロック部26に対するロック爪32のロック(当接)が解除される。そして、この状態でボックス本体24をケース22内から引き抜くことにより、ボックス本体24が、シートクッション12の下方側(ケース22内)から取り外される。
【0041】
このように、被ロック部26は、ロック爪32によってロックされ、かつロック爪32によってロック解除される。つまり、被ロック部26をロックするロック部と、被ロック部26に対するロックを解除するロック解除部と、が共にロック爪32として一体で構成されている。
【0042】
以上のような構成とされた本実施形態に係るシートアンダーボックス20において、次にその作用について説明する。
【0043】
車両用シート10(シートクッション12)の下方側に配置されているシートアンダーボックス20を使用するときには、乗員が手指を前壁24Fの挿入部25に挿入し、ボックス本体24をケース22内から引き出す。このとき、ボックス本体24に設けられている被ロック部26の前端面26Fが、ロック機構30を構成するロック爪32の後端面32Cに当たることにより、そのボックス本体24の前方側への移動が所定の位置までとなるように規制される。
【0044】
したがって、車両の衝突時等において、慣性力等により、ボックス本体24がケース22内からシートクッション12の前方側へ飛び出すようなことがあっても、そのボックス本体24は、通常の使用時における引き出し位置よりもシートクッション12の前方側へ飛び出す(ケース22内から外れる)ことが防止される。
【0045】
しかも、被ロック部26は、ある程度の剛性を有しており、被ロック部26の前端面26F及びロック爪32の後端面32Cは、共に上下方向に沿った平面とされているため、ロック爪32の後端面32Cに対して被ロック部26の前端面26Fから荷重(ロック爪32を前方側へ圧縮させるような圧力)が加えられても、その荷重をロック爪32によって適切に受け止めることができる。
【0046】
なお、乗員によってボックス本体24がケース22内から引き出されたら、そのボックス本体24の収納スペースS内(底壁24Dの上面)に収納物品等を収容し、その後、ボックス本体24を後方側へ(ケース22内へ)移動させる。これにより、その収納物品等がシートアンダーボックス20内に収容される。
【0047】
一方、ボックス本体24をケース22内から取り外す必要があるときには、被ロック部26の前端面26Fがロック爪32の後端面32Cに当たるまで、ボックス本体24をケース22内から引き出す。そして、乗員が手指によってロック爪32の屈曲部32Aをシートクッション12の幅方向外側へ(開口部22A内へ)押し込み、被ロック部26の前端面26Fからロック爪32の後端面32Cを退避させる。
【0048】
これにより、ロック爪32による被ロック部26に対するロックが解除されるので、この状態で、更にボックス本体24をシートクッション12の前方側へ引き出せば、そのボックス本体24が、ケース22内から(シートクッション12の下方側から)取り外される。
【0049】
なお、ボックス本体24をケース22内に戻すときには、ボックス本体24をケース22の前方側から、そのケース22内に挿入する。すると、被ロック部26の後端部26Bがロック爪32の屈曲部32Aに当たるが、その後端部26Bは、平断面視で略半円弧状に形成されているため、その屈曲部32Aを被ロック部26の外側面26Aへスムーズに案内することができる。
【0050】
そして、被ロック部26は、その外側面26Aにロック爪32の屈曲部32Aを摺接させつつ、その屈曲部32Aをシートクッション12の幅方向外側へ押圧する。そして更に、ボックス本体24が後方側へ移動して、被ロック部26の前端面26Fがロック爪32の屈曲部32Aを越えると、ロック爪32は、その弾性復元力により、元の位置(張出部27Dの上面側で、かつ切欠部27A側)に配置される。
【0051】
したがって、次にボックス本体24をケース22内から引き出すときには、上記の通り、ボックス本体24に設けられている被ロック部26の前端面26Fが、ロック機構30を構成するロック爪32の後端面32Cに当たり、そのボックス本体24の前方側への移動が所定の位置までとなるように規制される。
【0052】
以上、説明したように、ボックス本体24が引出状態を取るときに、ボックス本体24に設けられた被ロック部26をロックするロック機構30(ロック爪32)が、ボックス本体24がシートクッション12の下方側から取り外される取外状態を取るときに、被ロック部26に対するロックを解除可能に構成されている。
【0053】
したがって、上記の通り、車両の衝突時等において、慣性力等により、ボックス本体24が通常の使用時における引き出し位置よりもシートクッション12の前方側へ飛び出すことを防止できるとともに、ボックス本体24をシートクッション12の下方側から取り外す必要があるときに、その取り外し作業が容易にできる。
【0054】
しかも、このロック機構30は、被ロック部26をロックするロック部と、被ロック部26に対するロックを解除するロック解除部と、が共にロック爪32として一体で構成されている。したがって、ロック部とロック解除部とが別体で構成されている場合に比べて、ロック機構30の構成を簡略化することができる。
【0055】
また、そのロック爪32は、レール部28に弾性変形可能に一体に設けられて構成されているため、ロック爪32が、レール部28とは別体として、そのレール部28に設けられている構成に比べて、ロック機構30の構成をより一層簡略化することができ、ロック機構30(レール部28)の製造コストを低減させることができる。
【0056】
また、そのロック爪32(ロック部)は、被ロック部26の前方側への移動を阻止することで、被ロック部26に対してロックする。そのため、ボックス本体24が通常の使用時における引き出し位置よりもシートクッション12の前方側へ飛び出す(ケース22内から外れる)ことを効果的に防止できる。
【0057】
また、そのロック爪32(ロック解除部)は、シートクッション12の幅方向外側へ移動することで、被ロック部26に対するロックを解除する。したがって、ロック爪32が、例えば上下方向へ移動することで、被ロック部26に対するロックを解除する構成に比べて、ボックス本体24を持ち上げるようなことをする必要がないため、そのロック解除のための解除力を低減させることができる。よって、ボックス本体24をシートクッション12の下方側から取り外す際の取り外し作業がより一層容易にできる。
【0058】
そして、ボックス本体24をシートクッション12の下方側から取り外すことを繰り返し行っても、そのボックス本体24のレール部28に対する抜去力の低下率を抑制することができる。すなわち、ロック爪32における弾性変形の劣化を抑制することができ、被ロック部26に対するロック爪32のロック力が弱まって、ボックス本体24がケース22内から外れ易くなってしまうことを抑制できる。
【0059】
以上、本実施形態に係るシートアンダーボックス20について、図面を基に説明したが、本実施形態に係るシートアンダーボックス20は、図示のものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、適宜設計変更可能なものである。例えば、ケース22及びボックス本体24の外形状は、図示の形状に限定されるものではない。
【0060】
また、被ロック部26に対するロック爪32のロック解除方向は、シートクッション12の幅方向外側に限定されるものではなく、ボックス本体24を持ち上げなくても済むならば、シートクッション12の上下方向であってもよい。また、本実施形態に係るシートアンダーボックス20は、車両用シート10の下方側に配置されるものに限定されるものではない。図示は省略するが、本実施形態に係るシートアンダーボックス20は、例えば飛行機等のシートの下方側に配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0061】
12 シートクッション
20 シートアンダーボックス
24 ボックス本体
26 被ロック部
28 レール部
30 ロック機構
32 ロック爪(ロック部/ロック解除部)