IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社伸光製作所の特許一覧

<>
  • 特開-衛生マスク用アタッチメント 図1
  • 特開-衛生マスク用アタッチメント 図2
  • 特開-衛生マスク用アタッチメント 図3
  • 特開-衛生マスク用アタッチメント 図4
  • 特開-衛生マスク用アタッチメント 図5
  • 特開-衛生マスク用アタッチメント 図6
  • 特開-衛生マスク用アタッチメント 図7
  • 特開-衛生マスク用アタッチメント 図8
  • 特開-衛生マスク用アタッチメント 図9
  • 特開-衛生マスク用アタッチメント 図10
  • 特開-衛生マスク用アタッチメント 図11
  • 特開-衛生マスク用アタッチメント 図12
  • 特開-衛生マスク用アタッチメント 図13
  • 特開-衛生マスク用アタッチメント 図14
  • 特開-衛生マスク用アタッチメント 図15
  • 特開-衛生マスク用アタッチメント 図16
  • 特開-衛生マスク用アタッチメント 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171398
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】衛生マスク用アタッチメント
(51)【国際特許分類】
   A62B 18/08 20060101AFI20221104BHJP
   A41D 13/11 20060101ALI20221104BHJP
   A62B 18/02 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
A62B18/08 D
A41D13/11 Z
A62B18/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021078009
(22)【出願日】2021-04-30
(71)【出願人】
【識別番号】514057075
【氏名又は名称】株式会社伸光製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106220
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 正悟
(72)【発明者】
【氏名】添田 薫
(72)【発明者】
【氏名】角田 正典
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185CC32
2E185CC73
(57)【要約】
【課題】抗菌性を有するマスクフレームに関する技術を提供する。
【解決手段】衛生マスク用アタッチメント20は、衛生マスク10に取付けるマスクフレーム21と、マスクフレーム21と衛生マスク10との間に配置され、銅又は銅合金でなるメッシュ形状の抗菌表面を有するシート状の抗菌メッシュ部22aを有する抗菌シート22とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛生マスクに取付けるマスクフレームと、
前記マスクフレームに設けられ、銅又は銅合金でなるメッシュ形状の抗菌表面を有するシート状の抗菌メッシュ部を有する抗菌シートとを備える、
衛生マスク用アタッチメント。
【請求項2】
さらに、前記マスクフレームにおける顔側部位に配置され、前記衛生マスクを装着する顔に当接可能である肌接触部材を有する、
請求項1記載の衛生マスク用アタッチメント。
【請求項3】
前記抗菌シートは、前記マスクフレームの立体形状に追従して変形可能な屈曲性と変形後の形状を維持する形状保持性とを有する、
請求項1又は2記載の衛生マスク用アタッチメント。
【請求項4】
前記抗菌表面は、メッシュ基材を銅-すず-亜鉛からなる三元合金皮膜である、
請求項1~3何れか1項記載の衛生マスク用アタッチメント。
【請求項5】
前記肌接触部材は、前記抗菌シートに設けた布である、
請求項2~4何れか1項記載の衛生マスク用アタッチメント。
【請求項6】
さらに、電子回路装置を備え、
前記電子回路装置は、
前記マスクフレームに配置され、1又は複数の物理量を測定可能な1又は複数のセンサを有するセンサ部と、
前記センサ部が測定した前記物理量を示す信号を無線送信する通信部とを有する、
請求項1~5何れか1項記載の衛生マスク用アタッチメント。
【請求項7】
前記センサは、少なくとも気圧センサ、温湿度センサ、加速度センサ、ガスセンサ、脈波センサ、心電センサ、筋電センサ、マイクロフォンの少なくとも何れかである、
請求項6記載の衛生マスク用アタッチメント。
【請求項8】
衛生マスクと、
前記衛生マスクに取付可能である請求項1~7何れか1項記載の衛生マスク用アタッチメントと、を備える、
抗菌衛生マスク。
【請求項9】
コンピュータを、
請求項6又は7記載の衛生マスク用アタッチメントの通信部と通信可能な端末装置として動作させる、
プログラムであって、
前記端末装置は、受付部と、表示処理部とを備え、
前記受付部は、前記通信部から無線通信を介して前記衛生マスク用アタッチメントのセンサ部が測定した1又は複数の物理量を受け付け可能に構成され、
前記表示処理部は、前記物理量を含む表示データを画面表示可能に構成される、
プログラム。
【請求項10】
コンピュータを、
請求項6又は7記載の衛生マスク用アタッチメントの通信部と通信可能な1又は複数の端末装置に対してアクセス可能な生体情報サーバとして動作させる、
プログラムであって、
前記生体情報サーバは、生体情報受付部と、情報処理部と、データ蓄積部とを備え、
前記生体情報受付部は、前記1又は複数の端末装置から通信網を介して前記衛生マスク用アタッチメントのセンサ部が測定した1又は複数の物理量を受け付け可能に構成され、
前記情報処理部は、前記端末装置で表示可能な前記物理量を含む表示データを生成可能に構成され、
前記データ蓄積部は、前記受付部が受け付けた前記1又は複数の端末装置ごとに前記1又は複数の物理量を蓄積可能に構成される、
プログラム。
【請求項11】
システムであって、
請求項6記載の衛生マスク用アタッチメントと、生体情報管理プログラムとを含み、
前記衛生マスク用アタッチメントは、物理量取得部と、物理量通知部とを有し、
前記物理量取得部は、前記衛生マスク用アタッチメントの装着者から1又は複数の物理量を測定可能に構成され、
前記物理量通知部は、前記物理量取得部が取得した前記1又は複数の物理量を、前記衛生マスク用アタッチメントと通信可能な端末装置に送信可能に構成されており、
前記生体情報管理プログラムは、コンピュータを、生体情報受付部、出力生成部、データ蓄積部として機能させ、
前記生体情報受付部は、前記端末装置から前記1又は複数の物理量を受け付け可能に構成され、
前記出力生成部は、前記端末装置で出力するための前記1又は複数の物理量か、その物理量を評価因子とする評価判定情報かの何れかを含む生体管理情報を生成可能に構成され、
前記データ蓄積部は、前記装着者ごとの前記1又は複数の物理量を蓄積可能に構成される、
システム。
【請求項12】
さらに、前記システムは、解析プログラムを含み、
前記解析プログラムは、コンピュータを、解析受付部、解析処理部、解析情報出力部として機能させ、
前記解析受付部は、前記生体情報管理プログラムから前記1又は複数の物理量を受け付け可能に構成され、
前記解析処理部は、前記1又は複数の物理量を評価因子とする疾病解析を行うことで解析データを生成可能に構成され、
前記解析情報出力部は、前記解析データを前記生体情報管理プログラムに出力可能に構成される、
請求項11記載のシステム。
【請求項13】
さらに、前記システムは、診断情報提供プログラムを含み、
前記診断情報提供プログラムは、コンピュータを、診断受付部、診断結果情報生成部、診断結果情報出力部として機能させ、
前記診断受付部は、前記解析プログラムから前記解析データを受け付け可能に構成され、
前記診断結果情報生成部は、前記解析データに関する診断内容を含む診断結果情報を生成可能に構成され、
前記診断結果情報出力部は、前記診断結果情報を前記生体情報管理プログラムに出力可能に構成される、
請求項12記載のシステム。
【請求項14】
さらに、前記システムは、診断情報提供プログラムを含み、
前記診断情報提供プログラムは、コンピュータを、診断受付部、診断結果情報生成部、診断結果情報出力部として機能させ、
前記診断受付部は、前記生体情報管理プログラムから前記1又は複数の物理量を受け付け可能に構成され、
前記診断結果情報生成部は、前記1又は複数の物理量に関する診断内容を含む診断結果情報を生成可能に構成され、
前記診断結果情報出力部は、前記診断結果情報を前記生体情報管理プログラムに出力可能に構成される、
請求項11又は請求項12記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願による開示は、衛生マスク用アタッチメント、抗菌衛生マスク、プログラム、システムに関する。
【背景技術】
【0002】
不織布製や布製の衛生マスクが感染症対策に利用されており、口や鼻の前方に空間を形成するためのマスクフレームが利用されている(特許文献1)。
【0003】
また、衛生マスクが着用されているときには、常時口鼻からの呼吸が衛生マスクを流通しており、マスクフレームもまた同様に呼吸に晒されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】登録実用新案第3230074号公報、図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のマスクフレームは、衛生マスクと口鼻との間に配置されて使用されるものであるにも拘わらず、抗菌性について考慮されていない。
【0006】
また、従来のマスクフレームは、呼気に晒される位置に配置されるにも拘わらず、衛生マスク内の空間形成にのみ用いられている。
【0007】
そこで、本出願では、マスクフレームを含む衛生マスク用アタッチメントを開示するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の本開示の一態様は、衛生マスクに取付けるマスクフレームと、前記マスクフレームに設けられ、銅又は銅合金でなるメッシュ形状の抗菌表面を有するシート状の抗菌メッシュ部を有する抗菌シートとを備える、衛生マスク用アタッチメントである。前記抗菌シートは、前記マスクフレームと前記衛生マスクとの間に配置できる。
【0009】
第2の本開示の一態様は、さらに、電子回路装置を備え、前記電子回路装置は、前記マスクフレームに配置され、1又は複数の物理量を測定可能な1又は複数のセンサを有するセンサ部と、前記センサ部が測定した前記物理量を示す信号を無線送信する通信部とを有する、前記衛生マスク用アタッチメントである。前記センサ部は、前記抗菌シートと前記マスクフレームとの間に配置できる。
【0010】
第3の本開示の一態様は、衛生マスクと、前記衛生マスクに取付可能である前記衛生マスク用アタッチメントと、を備える、抗菌衛生マスクである。
【0011】
第4の本開示の一態様は、コンピュータを、前記衛生マスク用アタッチメントの通信部と通信可能な端末装置として動作させる、プログラムであって、前記端末装置は、受付部と、表示処理部とを備え、前記受付部は、前記通信部から無線通信を介して前記衛生マスク用アタッチメントのセンサ部が測定した1又は複数の物理量を受け付け可能に構成され、前記表示処理部は、前記物理量を含む表示データを画面表示可能に構成される、プログラムである。
【0012】
第5の本開示の一態様は、コンピュータを、前記衛生マスク用アタッチメントの通信部と通信可能な1又は複数の端末装置に対してアクセス可能な生体情報サーバとして動作させる、プログラムであって、前記生体情報サーバは、生体情報受付部と、情報処理部と、データ蓄積部とを備え、前記生体情報受付部は、前記1又は複数の端末装置から通信網を介して前記衛生マスク用アタッチメントのセンサ部が測定した1又は複数の物理量を受け付け可能に構成され、前記情報処理部は、前記端末装置で表示可能な前記物理量を含む表示データを生成可能に構成され、前記データ蓄積部は、前記受付部が受け付けた前記1又は複数の端末装置ごとに前記1又は複数の物理量を蓄積可能に構成される、プログラムである。
【0013】
第6の本開示の一態様は、システムであって、電子回路装置付き衛生マスク用アタッチメントと、生体情報管理プログラムとを含み、前記衛生マスク用アタッチメント(電子回路装置)は、物理量取得部と、物理量通知部とを有し、前記物理量取得部は、前記衛生マスク用アタッチメントの装着者から1又は複数の物理量を測定可能に構成され、前記物理量通知部は、前記物理量取得部が取得した前記1又は複数の物理量を、前記衛生マスク用アタッチメントと通信可能な端末装置に送信可能に構成されており、前記生体情報管理プログラムは、コンピュータを、生体情報受付部、出力生成部、データ蓄積部として機能させ、前記生体情報受付部は、前記端末装置から前記1又は複数の物理量を受け付け可能に構成され、前記出力生成部は、前記端末装置で出力するための前記1又は複数の物理量か、その物理量を評価因子とする評価判定情報かの何れかを含む生体管理情報を生成可能に構成され、前記データ蓄積部は、前記装着者ごとの前記1又は複数の物理量を蓄積可能に構成される、システムである。
【0014】
第7の本開示の一態様は、さらに、前記システムが、解析プログラムを含み、前記解析プログラムは、コンピュータを、解析受付部、解析処理部、解析情報出力部として機能させ、前記解析受付部は、前記生体情報管理プログラムから前記1又は複数の物理量を受け付け可能に構成され、前記解析処理部は、前記1又は複数の物理量を評価因子とする疾病解析を行うことで解析データを生成可能に構成され、前記解析情報出力部は、前記解析データを前記生体情報管理プログラムに出力可能に構成される、システムである。
【0015】
第8の本開示の一態様は、さらに、前記システムが、診断情報提供プログラムを含み、前記診断情報提供プログラムは、コンピュータを、診断受付部、診断結果情報生成部、診断結果情報出力部として機能させ、前記診断受付部は、前記解析プログラム(解析プログラムを実行するコンピュータ)から前記解析データを受け付け可能に構成され、前記診断結果情報生成部は、前記解析データに関する診断内容を含む診断結果情報を生成し、前記診断結果情報出力部は、前記診断結果情報を前記生体情報管理プログラムに出力可能に構成される、システムである。
【0016】
第9の本開示の一態様は、さらに、前記システムが、診断情報提供プログラムを含み、前記診断情報提供プログラムは、コンピュータを、診断受付部、診断結果情報生成部、診断結果情報出力部として機能させ、前記診断受付部は、前記生体情報管理プログラム(生体情報管理プログラムを実行するコンピュータ)から前記1又は複数の物理量を受け付け可能に構成され、前記診断結果情報生成部は、前記1又は複数の物理量に関する診断内容を含む診断結果情報を生成し、前記診断結果情報出力部は、前記診断結果情報を前記生体情報管理プログラムに出力可能に構成される、システムである。
【発明の効果】
【0017】
第1の本開示の一態様によれば、マスクフレームに抗菌性を付与することができる。
【0018】
第2の本開示の一態様によれば、人の活動により生じる物理量をセンサにより測定することができる。
【0019】
第3の本開示の一態様によれば、抗菌性を有するマスクフレームを衛生マスクに取付けることができる。
【0020】
第4の本開示の一態様によれば、衛生マスク用アタッチメントに備えるセンサにより測定した物理量を端末装置で画面表示できる。
【0021】
第5の本開示の一態様によれば、衛生マスク用アタッチメントに備えるセンサにより測定した物理量を蓄積しデータとして活用することができる。
【0022】
第6の本開示の一態様によれば、衛生マスク用アタッチメントに備えるセンサにより測定した物理量を蓄積し、データとして活用することができる。
【0023】
第7の本開示の一態様によれば、衛生マスク用アタッチメントに備えるセンサにより測定した物理量を評価因子とする疾病解析を行うことで解析データを生成できる。
【0024】
第8の本開示の一態様によれば、衛生マスク用アタッチメントに備えるセンサにより測定した物理量を評価因子とする疾病解析を行うことで解析データを生成でき、さらに解析データに関する診断内容を含む診断結果情報を生成できる。
【0025】
第9の本開示の一態様によれば、衛生マスク用アタッチメントに備えるセンサにより測定した物理量に関する診断内容を含む診断結果情報を生成できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本開示の一態様による抗菌衛生マスクの内側面(口鼻側面)を示す正面図である。
図2図1で示すマスクフレームの左側面図である。
図3図1で示す抗菌シートの部分拡大図である。
図4図1で示す抗菌シートの部分拡大断面図である。
図5図1で示す電子回路装置の断面図である。
図6】本開示の一態様による他の衛生マスク用アタッチメントの内側面(口鼻側面)を示す正面図である。
図7】本開示の一態様による他の衛生マスク用アタッチメントの内側面を示す正面図である。
図8】本開示の一態様による情報処理システムの説明図である。
図9】本開示の一態様による電子回路装置の構成の説明図である。
図10】本開示の一態様による端末装置の構成の説明図である。
図11】本開示の一態様による情報処理システムの機能構成を示すブロック図である。
図12】本開示の一態様による情報処理システムの説明図である。
図13】本開示の一態様によるサーバ装置の構成の説明図である。
図14図12の情報処理システムの機能構成を示すブロック図である。
図15】本開示の一態様による情報処理システムの説明図である。
図16図15の情報処理システムの第1の機能構成を示すブロック図である。
図17図15の情報処理システムの第2の機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一態様とその実施形態の例を、図面を参照しつつ説明する。また、以下では、以下に説明する一態様と実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0028】
本発明の一態様に含まれる「部」には、例えば1又は複数のハードウェアとこれにより実現されるソフトウェアの情報処理とを合わせた「機能部」が含まれる。また、本発明の一態様が処理対象とする情報(プログラム、コンテンツ等)は0又は1で構成される2進数のビット集合体として信号値の高低によって表され、1又は複数のハードウェアを構成する信号処理回路により演算、通信が実行される。
【0029】
ここで信号処理回路とは、1又は複数の、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、及びメモリ(Memory)等を組み合わせて構成される回路を指し、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)、プログラマブル論理デバイス(例えば単純プログラマブル論理デバイス(SPLD:Simple Programmable Logic Device)、複合プログラマブル論理デバイス(CPLD:Complex Programmable Logic Device)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:Field Programmable Gate Array))等を含むものである。
【0030】
1.抗菌衛生マスクの説明
【0031】
〔1〕全体構成
【0032】
抗菌衛生マスク1は、衛生マスク10と、衛生マスク用アタッチメント20とを含む。衛生マスク10は、衛生マスク用アタッチメント20の取付対象物であって、対人装着用の感染症予防対策具である「口鼻用マスク」を使用することができる。衛生マスク10は、具体的には不織布マスクであり、これのみならずウレタン系素材で形成されたウレタンマスク、綿や化学繊維を材質とする布マスクを含みうる。衛生マスク用アタッチメント20は、それらの衛生マスク10に着脱可能であり、衛生マスク10に後付けされることによって抗菌衛生マスク1を構成する。なお、衛生マスク用アタッチメント20を取付ける衛生マスク10は、本特許出願の出願時において公知の既製品でも、また出願時以降に公知となる新規の衛生マスクでも良い。
【0033】
衛生マスク用アタッチメント20は、マスクフレーム21と抗菌シート22と電子回路装置23とを有する。
【0034】
〔2〕マスクフレーム21の説明
【0035】
マスクフレーム21は、その一例を図2で示すように、口鼻の前方に空間を形成する立体形状を有する。衛生マスク10は、マスクフレーム21の外形に沿う立体形状を形成する。具体的には、後述するクリップ片21eが衛生マスク10のマスク本体11を保持することによって、衛生マスク10の上下方向の中央部分における左右方向の立体形状が形成される。また、衛生マスク10の耳掛け紐12を耳に引っ掛けることによって、衛生マスク10の上端側部分及び下端側部分が左右方向に引っ張られ、それによって上端側部分及び下端側部分の立体形状が形成される。
【0036】
マスクフレーム21は、樹脂成形体にて構成できる。素材の樹脂材としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル(PET、PEN等)、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエーテルスルホン、ポリ塩化ビニル、ポリアリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリアセタール、ポリウレタン、ポリウレア、ポリスチレン、ABS樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等を用いることができる。また、樹脂材にはゴム状弾性体を含むことができる。ゴム状弾性体には、例えばシリコーンゴム、ウレタンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム等の合成ゴムや、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性エラストマーを用いることができる。これらのなかでもシリコーンゴムは、耐熱性、耐候性、耐薬品性、生体適合性、低圧縮永久歪みの点でマスクフレーム21の用途として優れており好ましい。
【0037】
マスクフレーム21は、前述の樹脂材のみにより形成されるものでも、または樹脂材に保形用の芯材として硬質樹脂製線材又は金属製線材を有するものでもよい。このうち金属製線材の芯材を有する場合には、それによってマスクフレーム21の形状を変形することができ、且つ変形形状を維持することができるので便利である。
【0038】
マスクフレーム21は、外枠部21a、桟部21b、電子回路装置取付部21cを有する。外枠部21aは、口鼻を包囲するように配置される部位であり、装着者の顔の立体形状や衛生マスク10の装着状態に応じて、顔に接触する部分もあれば、接触しない部分もある。装着者の顔と対向する部分は、マスクフレーム21における「顔側部位」となる。図1で示すように、外枠部21aの左右には耳部21dが形成されており、耳部21dには「衛生マスク保持部」としてのクリップ片21eが形成されている。クリップ片21eは、衛生マスク10の折畳み部を挟み込んで保持することができ、これによってマスクフレーム21を衛生マスク10に容易に取付けることができる。
【0039】
桟部21bは、外周の外枠部21aとマスクフレーム21の中央部(電子回路装置取付部21c)とを繋ぐ部分であり、本実施形態では縦桟部と横桟部を有する。このように中央部に対して桟部21b(縦桟部と横桟部)が放射状に伸長するので、マスクフレーム21を変形させても電子回路装置取付部21cを口鼻の前方位置に確実に保持することができる。
【0040】
電子回路装置取付部21cは、マスクフレーム21の中央部として隅丸多角形に形成されている。電子回路装置取付部21cは、図5で示すように、電子回路装置23を取付ける保持部としての保持凹部21fを有している。保持凹部21fは、収容室21f1と、環状の係止フランジ21f2とを有している。電子回路装置23は、係止フランジ21f2の開口縁の形状を変形させることで、収容室21f1に挿入することができる。したがって電子回路装置23は、マスクフレーム21に対して着脱可能となっている。保持凹部21fには、その底面を貫通する透孔21f3が形成されている。透孔21f3は、本実施形態では複数(5つ)形成されている。透孔21f3は、後述する電子回路装置23に内蔵するセンサ23b5による物理量の検知を容易にするために形成されている。
【0041】
〔3〕抗菌シート22の説明
【0042】
抗菌シート22は、抗菌作用を有する金属又は合金による抗菌表面を有するメッシュシート(シート状のメッシュ部材)により構成されている。本実施形態では抗菌シート22の全体が抗菌メッシュ部22aを構成する。抗菌シート22の形状と大きさは、抗菌シート22を取付ける抗菌対象物であるマスクフレーム21に対応する形状として構成できる。
【0043】
抗菌シート22の厚みをなす経線22b、緯線22c(図3)の線径は、一例として90μm~120μmのものを使用することができる。線径が90μmより小さいと剛性が低くなり洗浄時に型崩れが起きやすく、また変形した際に破断するおそれがある。線径が120μmを超えると、マスクフレーム21に取付けた際に厚く重くなってしまうためである。そして90μm~120μmの厚み範囲の抗菌シート22であれば、剛性を確保することができ、またマスクフレーム21への取付けを容易に行うことができる。
【0044】
抗菌シート22のメッシュサイズは、50~635メッシュのものを使用することができ、特に50メッシュ以上100メッシュ未満及び140メッシュを超え635メッシュ以下のものとして形成するのが好ましい。換言すると120~140メッシュを除くメッシュサイズのものとして形成するのが好ましい。メッシュサイズが120~140メッシュの範囲であると、体毛が抗菌シート22の経線22b、緯線22cで囲まれたメッシュ開口22d(図3)の中に入り込んで引っ掛かり、抗菌シート22が動くたびに体毛が引っ張られて痛くなり、使用感が不快となるおそれがあるからである。特に髭の長い男性が装着すると、髭が抗菌シート22のメッシュ開口22dに入り込んで引っ掛かり、衛生マスク10や衛生マスク用アタッチメント20(抗菌シート22)が動くたびに髭が引っ張られて痛くなるおそれがある(髭トラップの発生)。他方、例えば子供用の衛生マスク10の場合には、髭トラップの発生を考慮しなくてもよいことから、抗菌シート22のメッシュサイズは50~635メッシュのものを使用することができる。
【0045】
抗菌シート22の材質は、抗菌シート22の構造に応じて、例えば以下の3つを例示することができる。
【0046】
第1に、抗菌シート22は、メッシュ基材22eそれ自体の材質を、抗菌作用を有する金属材料、合金材料とすることができる。
【0047】
第2に、抗菌シート22は、図4で示すように、メッシュ基材22eの材質を、抗菌作用が無い金属や合金、合成樹脂材、繊維材、熱可塑性エラストマー等のゴム状弾性体とし、このようなメッシュ基材に抗菌作用を有する金属材料、合金材料を抗菌材として含有する抗菌層22fを形成したものとしてもよい。そうした抗菌層22fの形成方法は、鍍金、塗装、浸漬、印刷、3Dプリンティング等により形成することができる。
【0048】
第3に、抗菌シート22は、抗菌作用を有する金属材料、合金材料を抗菌材(抗菌充填材)として含有する合成樹脂材、繊維材、熱可塑性エラストマー等のゴム状弾性体により形成したものとしてもよい。このような合成樹脂材、ゴム状弾性体の抗菌性成形体、抗菌繊維体としても、抗菌表面を実現することが可能である。
【0049】
抗菌作用を有する金属材料、合金材料としては、細菌やウイルスの増殖を抑制する抗菌作用(殺菌作用、除菌作用を含む。)を有するすべての金属を用いることができる。具体的には、例えば銅、銀、亜鉛、コバルト、ニッケル、パラジウム、アルミニウム、モリブデン、鉛、タングステン、バナジウム、ジルコニウム及びこれらの1以上を含む合金を用いることができる。
【0050】
抗菌シート22には、抗菌作用(殺菌作用)を促進させる表面処理液により金属製のメッシュ基材22eを表面処理した抗菌層22fを有するものとしてもよい。このような殺菌用表面処理液としては、例えば国際公開第2019/008950に記載のものを例示できる。
【0051】
本実施形態の抗菌シート22は、金属製のメッシュ基材22eの全体(メッシュ基材22eをなす線材表面)を銅-すず-亜鉛からなる三元合金皮膜で被覆したものを使用することができる。この場合、三元合金皮膜は抗菌層22fを形成する。そのような三元合金皮膜としては、例えば株式会社特殊鍍金化工所の三元合金皮膜「CSZ」(登録商標。以下同じ。)を好適に用いることができる。そして三元合金皮膜をメッシュ基材22eに鍍金により被覆することで、抗菌シート22を得ることができる。
【0052】
ここで、抗菌層22fとなる三元合金皮膜としての「CSZ」の特徴を説明する。三元合金皮膜を形成する三元合金は、銅:50~55質量%、すず:30~35質量%、亜鉛:15~20質量%の合金組成を有する。三元合金皮膜は、メッシュ基材22eを形成する金属製の線材(経線22b、緯線22c)に対して均一な厚みでメッシュ基材22eの全面を被覆するめっき膜として形成されている。三元合金皮膜は抗菌表面としての機能性を有し、銅や銀と同様の抗菌効果を有しており、抗菌シート22の表裏両面の全面にわたって細菌、ウイルスの増殖を抑制する抗菌作用を発揮することができる。また、三元合金皮膜は、ニッケルを含まず人体に対して金属アレルギー反応を起こしにくい特徴を有する。したがって、本実施形態の抗菌シート22は、人体に触れるように使用することができる。
【0053】
抗菌シート22は、家庭用の中性洗剤を使って洗浄することで、付着している異物を除去することが可能である。そして洗浄した抗菌シート22は、アイロンやスチームアイロンによってアイロンがけすることもできる。アイロンやスチームアイロンは低温側で80℃から設定可能であり、抗菌シート22に付着している細菌やウイルスを殺菌することができる。したがって抗菌シート22は、繰り返し使用することができるものである。
【0054】
抗菌シート22は、抗菌対象物(マスクフレーム21、マスク本体11)に細菌やウイルスが直接付着するのを阻止する障害物となりうる。抗菌シート22は、人手によって立体形状に変形可能な屈曲性と、変形後の立体形状を維持する形状保持性とを有する。したがって、抗菌対象物の形状に応じて変形させて使用できる。そして抗菌シート22に直接付着した細菌等は、抗菌シート22の抗菌作用によって、その増殖を継続的に抑制することができる。
【0055】
抗菌シート22のメッシュ開口22dを通過して抗菌対象物に付着する細菌等は、メッシュ開口22dの内部で抗菌シート22に付着することで、その増殖を継続的に抑制することができる。
【0056】
メッシュ開口22dの内部は、経線22b、緯線22cで包囲された凹形状の小孔となっており、手指等が入らず直接触れることができない。このためメッシュ開口22dの内部に入り込んで抗菌対象物の表面に直接付着している細菌等に直接触れてしまうことも継続的に抑制することができる。特に、抗菌シート22のメッシュ形状を形成する線材(経線22b、緯線22c)の断面が円形である場合、それらと抗菌対象物との間に徐々に狭くなる隙間dが形成されており、そこに細菌等を付着させることも可能であるため、比較的メッシュサイズの大きい場合でも、手指でメッシュ開口22dの内部の細菌等に触れることを抑制することができる。
【0057】
以上のように抗菌シート22は、抗菌対象物に添えて取付けることで継続的な抗菌作用を発揮することができ、感染症対策に好適に利用することができる。
【0058】
抗菌シート22は、マスクフレーム21に対して「固着部材」により固定されている。本実施形態では、図1で示すように、「固着部材」としての粘着テープ24により複数箇所で固定されている。具体的には、抗菌シート22は、マスクフレーム21の上下左右で粘着テープにより固定されている。このためマスクフレーム21を変形させたとしても確実にマスクフレーム21に固定することができる。
【0059】
〔4〕電子回路装置23の説明
【0060】
電子回路装置23は、図5で示すように、筐体23aと回路基板23bとを備える。なお、図5では説明の便宜上筐体23aのみを断面で表し、回路基板23bは断面しない側面図で表している。筐体23aは、樹脂成形体で形成されており、例えば前述のマスクフレーム21で使用する樹脂材(但し、ゴム状弾性体を除く。)を使用できる。筐体23aは、回路基板23bを収容可能な本体23a1と、本体23a1に対して着脱可能に構成される蓋23a2とを備えている。蓋23a2は、本体23a1に対して嵌合することで、本体23a1の開口を確実に閉塞できる。回路基板23bは、蓋23a2を外すことで本体23a1から自由に出し入れすることができる。
【0061】
本体23a1は、凸形状に形成されており、環状の段差部23a3を有する。段差部23a3には、電子回路装置23を前述の保持凹部21fに収容したときに、環状の係止フランジ21f2が係止する。これにより電子回路装置取付部21c(保持凹部21f)は、電子回路装置23を抜け止め状態で確実に保持することができる。電子回路装置23は、保持凹部21fに収容した状態で、蓋23a2が収容室21f1の中に位置する。したがって、仮に蓋23a2が本体23a1から外れたとしても、保持凹部21fから口鼻側に脱落することがなく安全に使用できる。また、本体23a1も係止フランジ21f2の形状を変形しない限り保持凹部21fから脱離しないので、誤って口鼻側に脱落することがなく安全に使用することができる。
【0062】
蓋23a2には、複数の孔23cが形成されている。複数の孔23cは、例えば前述した電子回路装置取付部21cの透孔21f3と対応する位置に形成されている。但し、孔23cは、透孔21f3が存在しない位置に形成されていてもよい。
【0063】
回路基板23bは、図示しない回路素子と配線とからなる信号処理回路が形成されている基板23b1を有する。基板23b1は、リジッド基板、フレキシブル基板(FPC)、リジッド部とフレキシブル部とを有する複合基板(リジッドフレキシブル基板)でも良い。この基板23b1には、信号処理回路に接続されている複数のセンサ接続部23b2と、「通信部」としての通信モジュール23b3と、電池ホルダ23b4とが実装されている。複数のセンサ接続部23b2は、ソケットコネクタとして構成されており、それぞれセンサ23b5を接続可能となっている。それらのセンサ接続部23b2とセンサ23b5は「センサ部」を構成する。電池ホルダ23b4には、回路基板23bによる信号処理を実行する駆動電源を供給するボタン型電池等の電池23b6が取付けられる。
【0064】
センサ23b5は、衛生マスク10の装着者の「体調」、「体動」、「生体ガス」に由来する物理量を「生体情報」として測定するものである。基板23b1には前述のように複数のセンサ接続部23b2が実装されている。このため複数のセンサ接続部23b2には、センサ接続部23b2ごとに、異なる種類の物理量を測定するセンサ23b5を接続することができる。
【0065】
センサ23b5が測定する「体調」は、例えば装着者の身体の状態であり、これを測定する体調センサ(例:温湿度センサ)は体温や肌温度を測定できる。「体動」は、例えば装着者の身体の動きであり、これを測定する体動センサ(例:加速度センサ)は、姿勢の変化や歩行等を検出することができる。「生体ガス」は装着者の身体から発する各種のガスであり、これを測定する生体センサは大別すると、ヒト細胞の代謝産生物としてのガス(アセトン、イソプレン、アセトアルデヒド、CO、一酸化窒素等)、ヒトに共生する細菌の産生物としてのガス(水素、メタン、アンモニア、硫化水素、メチルメルカプタン、イソ吉草酸等)、外因性ガス(CO、エタノール、トルエン等)を測定可能な各種のセンサを含む。このような生体情報センサ(センサ23b5(体調センサ、体動センサ及び生体センサ))は、それぞれ単独で存在するものもあれば、複数の機能を組み合わせて1つのセンサ23b5として構成されるもの(例:バイタルセンサ(脈拍数、体温や肌温度等))も存在する。代表的な生体情報センサの種類と測定可能な物理量を例示すると、以下のようなものがある。
【0066】
気圧センサ:呼吸(回数、深さ、ピッチ)
温湿度センサ:体温、肌温度、湿度
加速度センサ:体動、歩数、睡眠時の寝返り
ガスセンサ:呼気CO、O、アセトン、アセトアルデヒド
脈波センサ:脈(表層血流、脈拍数、振幅量)
心電センサ、筋電センサ:心電(心拍数、心電)
マイクロフォン:呼吸音
【0067】
また、「生体ガス」に含まれる成分、試料の種類、測定する臨床的意義には、以下のものがあることが報告されている(出所:香田弘史「半導体センサーを活用した生体ガス計測技術」『TMS研究』2019年1号,2019年)。したがって、センサ23b5として、以下のような生体ガスを測定できるものを使用することもできる。以下、一部抜粋して引用する。
【0068】
アセトン:代謝産生物:呼気・経皮:ダイエット管理、I型糖尿病の診断
イソプレン:代謝産生物:呼気:コレステロール生合成の指標
イソプレン:細菌産生物:口腔:口臭の指標(歯周病、歯肉炎)
アンモニア:代謝産生物:呼気・経皮:肝性脳症など肝疾患の指標
アンモニア:細菌産生物:呼気:ピロリ菌感染の指標
アンモニア:細菌産生物:口腔:口臭の指標(歯周病、歯肉炎)
水素:細菌産生物:呼気:消化活動指標、乳糖不耐症の診断
メタン:細菌産生物:呼気:腸内環境の指標
CO:代謝産生物:呼気:ヘモグロビン代謝の指標、再生不良性貧血の診断
CO:外因性ガス:呼気:CO中毒指標、喫煙習慣の指標
一酸化窒素:代謝産生物:呼気:気管支喘息の指標
エタノール:外因性ガス:呼気・経皮:酩酊度の指標
アセトアルデヒド:代謝産生物:呼気・経皮:アルコール代謝の指標
二酸化炭素:代謝産生物:呼気:栄養素代謝指標
二酸化炭素:細菌産生物:呼気:ピロリ菌感染の指標
硫化水素、メチルメルカプタン:細菌産生物:口腔:口臭の指標(歯周病、歯肉炎)
【0069】
体調、体動、生体ガス、関連するセンサ、計測パラメータ、疾病管理及び疾病予防管理の一例を、記載例に続けて示す。
<記載例>
〔体調、体動、生体ガスに関する要素〕:関連するセンサ及びセンサの組合せ
・計測パラメータ:疾病管理及び疾病予防管理
【0070】
〔呼吸〕:気圧センサ
・呼吸有無:生存確認、睡眠時無呼吸症候群
・呼吸数、リズム:呼吸器疾患、心不全、発熱、興奮
〔呼吸、脈〕気圧センサ、脈波センサの組合せ
・呼吸リズム、脈リズム:運転時の睡眠兆候(まどろみ入眠)
・過呼吸:貧血、甲状腺異常
・減呼吸:呼吸筋機能低下、胸郭可動性障害
・多呼吸:胸水の貯留、COの貯留、神経症
・少呼吸:呼吸の停止
・チェーンストーク呼吸:心不全、尿毒症性昏睡
〔呼吸、体動、脈〕気圧センサ、体動センサ、脈波センサの組合せ
・サイレントキラー観察:睡眠時無呼吸症候群の呼吸停止から回復する際に血圧上昇が起きて生じる血管破損
〔呼吸、SpO〕:気圧センサ又はマイクロフォンの何れかと、パルスオキシメータ用センサとの組合せ
・呼吸音(捻髪音):間質性肺炎、特発性肺線維症、過敏性肺炎、マイコプラズマ肺炎
〔呼気〕:ガスセンサ
・アルコール濃度:飲酒、回復状態
・アセトン:疲労度、脂質代謝、エネルギー管理
・アンモニア:血中アンモニア濃度、口内衛生(細菌増殖)
・一酸化炭素:喘息、呼吸器疾患
・水素:消化器、腸内環境
・メタン:消化器、腸内環境
・イソプレン:口腔環境指標
・硫化水素:口臭指標、口腔内衛生管理
・一酸化窒素:気管支喘息
〔体温、肌温度〕:温度湿度センサ
・温度:ウイルス感染、熱中症予兆
・湿度:気管支状態観察
〔体動〕:加速度センサ
・寝返り:睡眠状態指標
・活動量:活動状態指標
〔脈〕:脈波センサ
・回数、間隔:心疾患、血液循環状態、リラックス、ストレス
〔心電〕:心電センサ
・心拍数、RRI間隔:心疾患、ストレス
〔体温、肌温度、脈、汗〕:温度湿度センサ、脈波センサ、汗センサ(ナトリウム、カリウム等の成分検出)の組合せ
・各センサの測定値の組合せ:熱中症予測
【0071】
そして電子回路装置23が、以上のような各種センサ23b5を単独又は組合せて備えることによって、前述のような生体変化計測、SAS睡眠時無呼吸症候群、慢性閉鎖性肺疾患、熱中症、新型コロナウイルス(COVID-19)感染重症度計測等の検出を行うことが可能となる。
【0072】
〔5〕効果
【0073】
以上のような本発明の一態様によれば以下の効果を奏する。
衛生マスク用アタッチメント20は、衛生マスク10に取付けるマスクフレーム21と、マスクフレーム21と衛生マスク10との間に配置され、銅又は銅合金でなるメッシュ形状の抗菌表面を有するシート状の抗菌メッシュ部22aを有する抗菌シート22とを備える。このため抗菌シート22によってマスクフレーム21に抗菌性を付与することができる。また、抗菌シート22によって衛生マスク10に抗菌性を付与することができる。したがって、衛生マスク10が市販品であっても、衛生マスク用アタッチメント20を後付けすることによって、衛生マスク10を立体形状に保持するマスクフレーム21により口鼻の前方に空間を形成できて呼吸が楽になり、口鼻と離間することで衛生マスク10の汚損を抑制できることに加えて、さらにマスクフレーム21と衛生マスク10に抗菌性を付与して細菌やウイルスの増殖を抑制することができる。
【0074】
マスクフレーム21は、人体の口及び鼻の前方に空間を形成可能な立体形状であり、抗菌シート22は、前記立体形状に追従して変形可能な屈曲性と変形後の形状を維持する形状保持性とを有する。このため装着者の顔の形状に応じてマスクフレーム21と抗菌シート22の双方を変形させて装着することができて便利である。
【0075】
衛生マスク用アタッチメント20は、さらに電子回路装置23を備えており、電子回路装置23は、抗菌シート22とマスクフレーム21との間に配置され、1又は複数の物理量を測定可能な1又は複数のセンサ23b5を有する「センサ部」としてのセンサ23b5及びセンサ接続部23b2と、「センサ部」が測定した物理量を示す信号を無線送信する「通信部」としての通信モジュール23b3とを有する。このため衛生マスク用アタッチメント20を使用することで、衛生マスク10の装着者の生体情報としての物理量を継続的に又は任意のタイミングで取得することができ、装着者の健康管理、体調管理、疾病管理に役立てることができる。
【0076】
センサ23b5は、少なくとも気圧センサ、温湿度センサ、加速度センサ、ガスセンサ、脈波センサ、心電センサ、筋電センサ、マイクロフォンの少なくとも何れかである。このため装着者の健康管理、体調管理、疾病管理等の目的に応じてセンサ23b5を使用することで、収集する生体情報として適切な物理量を測定することができる。
【0077】
〔6〕変形例
【0078】
衛生マスク用アタッチメント20では、抗菌シート22をマスクフレーム21の外面側(顔の反対側)に粘着テープ24により固定する例を示したが、図6で示すように構成できる。抗菌シート22は、抗菌メッシュ部22aと抗菌メッシュ部22aの外周縁に取付けた外縁部22gを有する。
【0079】
外縁部22gは、折返し部22hを有しており、この折返し部22hにマスクフレーム21の外周縁を差込ませて保持することができる。あるいは、外縁部22gは、マスクフレーム21の外周縁に沿って顔側に折り返すことができ、それによって折返し部22hが形成される。折返し部22hは、マスクフレーム21における顔側部位に配置されて、装着者の顔と対向する。このため衛生マスク10を装着する顔に当接可能であり、本発明の一態様による「肌接触部材」を構成する。折返し部22hには、挿通孔22iが形成されている。挿通孔22iは、マスクフレーム21の左右の耳部21dを挿通可能な大きさで形成されている。挿通孔22iに耳部21dを挿通することで、抗菌シート22が容易に脱離せず、また抗菌シート22を外周方向で位置ずれしないように保持できる。なお、この場合、粘着テープ24は併用しても併用しなくてもよい。
【0080】
外縁部22gは、抗菌メッシュ部22aの外端のホツレを防止したり、また肌触りを改善することができる。外縁部22gは、一例として、布、樹脂フィルム、熱可塑性エラストマー等のゴム状弾性体シート、皮革等の素材のものを用いることができ、接着、熱圧着、一体成形等により抗菌メッシュ部22aの外周縁に固着することができる。また、外縁部22gは、3Dプリンタにてウレタン系、シリコーン系等のゴム状弾性材を用いて形成することもできる。
【0081】
外縁部22gの材料を布とする場合には、天然繊維、化学繊維の少なくとも何れかを含む素材により構成することができる。天然繊維としては、例えば綿等の植物繊維、絹、羊毛等の動物繊維を使用することができる。化学繊維としては、再生繊維、合成繊維を使用することができ、再生繊維としては、例えば吸湿性が良く縮みにくいキュプラ等を使用できる。また合成繊維としては、アクリル、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリウレタン等を使用できる。
【0082】
本実施形態の外縁部22gは、化学繊維を素材とする不織布にて形成されている。このため抗菌メッシュ部22aの外端のホツレを防止したり、折返し部22hがマスクフレーム21よりも顔側に位置することから、マスクフレーム21が顔に直接接触する場合よりも顔に対する肌触りを改善することができる。
【0083】
また、外縁部22gを形成する不織布は保湿性を有し、液状物(液体、クリームを含む。)を保持する担体として構成することができる。
【0084】
例えば、不織布でなる外縁部22gは、例えばレモン、バラ、ユーカリ、クローブ等の嗅素を含有するアロマオイルを保持する担体にできる。これにより抗菌シート22は、リラックス効果によるストレス改善や、嗅覚障害を改善する嗅覚刺激療法に用いることもできる。
【0085】
また、不織布でなる外縁部22gは、例えばスキンケア剤を保持する担体にできる。スキンケア剤は、液状、クリーム状、固体状でもよく、具体的にはローション、化粧水、保湿クリーム等でもよい。また、スキンケア剤には、ビタミンC、ヒアルロン酸、ポリフェノール、クエン酸の抗酸化物質を含有するものでもよい。これにより抗菌シート22は、肌質の保全や改善にも用いることができる。
【0086】
ここで、銅又は銅合金でなる抗菌シート22(抗菌メッシュ部22a)は、反応促進剤が付着することで過酸化水素の発生を促進して、細菌等の増殖を抑制する抗菌性を発揮する。反応促進剤の一例は水であり、これは例えば抗菌シート22を衛生マスク10に取付けて、人体の呼気に含まれる水分によって供給することが可能である。したがって、抗菌シート22は、衛生マスク10を抗菌作用付きの衛生マスク10として構成することができる。また、他の反応促進剤としては、酸化防止剤であるビタミンC(アスコルビン酸)、グルタチオンを含有するものを利用することができる。これらによれば水よりもさらに過酸化水素を発生する反応速度を高めることができる。したがって、抗菌シート22に設ける外縁部22gは、それらの反応促進剤をスプレー、塗布、浸漬等によって含有するものとして構成するのが好ましい。前述のビタミンCを含有するスキンケア剤は、スキンケアとしての効能だけでなく、抗菌メッシュ部22aが抗菌性を促進させる効能も有するものである。
【0087】
以上のように図6で示す変形例の衛生マスク用アタッチメント20によれば、外縁部22gを不織布として構成することで、各種の液状物(アロマオイル、スキンケア剤)を保持する担体として利用することができる。
【0088】
図6の変形例で示す抗菌シート22では、外縁部22gが折返し部22hを有する例を示したが、抗菌メッシュ部22aの全体を被覆する袋状の被覆部材を備えてもよい。被覆部材を袋状とする場合には、スリットを設けて抗菌メッシュ部22aを被覆部材に対して着脱可能として構成できる。これにより抗菌メッシュ部22aを洗浄することができ、またアイロンがけにより殺菌することもできる。また、抗菌メッシュ部22aを着脱可能とすることで、被覆部材をディスポーザブル部材として構成できる。被覆部材をディスポーザブル可能とすることで、抗菌シート22を感染症対策に適することになる。被覆部材の材質は、多孔質材シート(多孔質フィルター)にて形成することができる。具体的には不織布にて形成することができる。その他の多孔質材シートとしては、例えば樹脂フィルム、熱可塑性エラストマー等のゴム状弾性体シート、皮革等を素材とし、孔を形成したものを用いることができる。被覆部材を袋状に形成するには、接着、熱圧着、一体成形等により形成することが可能である。被覆部材を不織布として構成することで、各種の液状物(アロマオイル、スキンケア剤、反応開始剤)を保持する担体として利用することができる。しかも抗菌メッシュ部22aを覆う被覆部材の全面を各種の液状物を保持する担体として利用することができ、さらに使用する液状物による効果を奏することができる。
【0089】
前記マスクフレーム21では、耳部21dに衛生マスク保持部としてのクリップ片21eを設ける例を示したが、衛生マスク10のように折畳み部が無い衛生マスクの場合には、衛生マスクの外縁に係止可能な衛生マスク保持部を設けるようにしてもよい。
【0090】
前記実施形態では、基板23b1にソケットコネクタとしてのセンサ接続部23b2を実装し、これにセンサ23b5を接続する例を示したが、センサ接続部23b2を使用せずに信号処理回路に複数種類のセンサ23b5を直接実装してもよい。
【0091】
前記実施形態のマスクフレーム21の形状は例示である。マスクフレーム21は、それ自体が立体形状のものを例示したが、それ自体は平面形状であり装着前に装着者に顔に応じた立体形状に変形させるものでもよい。前記実施形態のマスクフレーム21は、外枠部21a、桟部21b、電子回路装置取付部21cを有するものを例示したが、それらの形状は図示以外の形状でもよく、またそれらの構成数は1又は複数としてよい。
【0092】
前記実施形態では、電子回路装置23の基板23b1にマイクロコントローラ等のコンピュータを実装しない例を示したが、コンピュータを実装して電子回路装置23において「センサ部」の制御や各種の信号処理を行う構成としてもよい。
【0093】
前記実施形態では、電子回路装置23の筐体23aの中にセンサ23b5を配置する例を示したが、筐体23aの外にセンサを配置することもできる。図7にその一態様を示す。
【0094】
センサ23b5は、電子回路装置23の筐体23aに収容されるため、いずれも装着者と接触しない「非接触型センサ」である。しかしながらマスクフレーム21の顔側部位にセンサを設置することで、装着者の肌と接触したり近接したりすることで計測可能な「接触型センサ」を用いることも可能となる。図7で示すように、電子回路装置23の基板23b1には、筐体23aの外部に伸長する延長部23b7が設けられている。延長部23b7は、例えばフレキシブル基板(FPC)にて構成されており、そこには図示しない回路配線が形成されている。
【0095】
図7で例示する延長部23b7は、筐体23aを中心として左右に突出する一対のものとして設けられている。各延長部23b7は、左右方向に伸長する幹部23b8と、幹部23b8の端末から上下に分かれる枝部23b9とを有する。幹部23b8はマスクフレーム21の桟部21bに配置され、枝部23b9はマスクフレーム21の外枠部21aに配置される。それら(延長部23b7とマスクフレーム21)との固定は、粘着テープで固定できる。また、延長部23b7は、マスクフレーム21と一体成形してもよい。この場合の延長部23b7は、基板23b1とコネクタを介して接続可能なものとして構成できる。
【0096】
各枝部23b9の先端には、センサ23b5を接続可能なセンサ接続部23b2が配置されており、各枝部23b9と幹部23b8には、センサ接続部23b2と基板23b1の回路とを繋ぐ配線が形成されている。
【0097】
延長部23b7に配置されたセンサ23b5は、右上と左上のものが装着者の頬部位、顎部位(特に頬下顎横部位)に位置する。これらの位置は毛細血管が多く、特に「接触式センサ」によって計測しやすい部位である。そのためセンサ23b5としては、例えば血流センサ、汗センサ、脈波センサ等を利用することができる。
【0098】
以上のような図7に示す延長部23b7を有する電子回路装置23によれば、使用可能なセンサ23b5を増やすことができ、さらに多くの物理量の測定が可能となり、また肌接触によってより物理量の測定をより正確に行うことができる。また、延長部23b7も、マスクフレーム21の外枠部21aと桟部21bに配置できるので、構造が複雑にならずコンパクトに形成することができる。
【0099】
2.情報処理システムの説明
【0100】
情報処理システム(本発明の一態様による「システム」)は、電子回路装置23で測定された抗菌衛生マスク1の装着者の生体情報に関する物理量をコンピュータが記録し表示できるようにするシステムである。また、情報処理システムは、多数の装着者の生体情報を管理し、解析し、疾病管理や疾病予防に活用できるようにするシステムである。
【0101】
〔1〕情報処理システム70(図8図11
【0102】
〔1.1〕情報処理システム70の全体構成(図8
図8で示す情報処理システム70は、電子回路装置23で測定した物理量(物理値)をデータ利用する最も単純な構成である。情報処理システム70は、端末装置71、72と電子回路装置23(抗菌衛生マスク1)とを有する。電子回路装置23は、センサ23b5が抗菌衛生マスク1の装着者の生体情報に関して測定した物理量を示す信号を、通信モジュール23b3を通じて端末装置71、72に無線送信し、端末装置71、72はそれを取得する。無線送信には、例えばBLUETOOTH(登録商標)のような極超短波の無線通信技術を利用することができる。情報処理システム70は、例えば以下のように構成できる。
【0103】
(1)情報処理システム70は、ユーザAが抗菌衛生マスク1を装着し、ユーザAが使用する前記コンピュータ(端末装置71)に、電子回路装置23が測定したユーザAの生体情報に関する物理量を表示可能として構成できる。この情報処理システム70では、抗菌衛生マスク1を装着したユーザAが、電子回路装置23で自己の生体情報に関する物理量を測定し、自己のコンピュータに記録し表示することができる。これによればユーザAが自己の生体情報に基づいて健康状態や体調管理等を行うことができる。この構成の情報処理システム70は、ビジネスモデルの観点では、例えば、事業者がユーザAに衛生マスク用アタッチメント20を販売又は貸与するというものである。
【0104】
(2)情報処理システム70は、ユーザAが抗菌衛生マスク1を装着し、ユーザBが使用する前記コンピュータ(端末装置72)に、電子回路装置23が測定したユーザAの生体情報に関する物理量を表示可能として構成できる。この情報処理システム70では、ユーザAの生体情報に関する物理量をユーザBがコンピュータ(端末装置72)に記録し表示できる。この構成の情報処理システム70は、ビジネスモデルの観点では、例えば、事業者がユーザAに衛生マスク用アタッチメント20を販売又は貸与するというものである。但し、データ利用は、装着者ではなく、それ以外の者である。具体的には、ユーザAが疾病患者や要介護者であり、ユーザBが疾病状態を管理する看護者(例えば病院における医療従事者、在宅介護や高齢者介護施設における介護者等)として、ユーザBがユーザAの状態管理を行うことができる。また、ユーザAを子供とし、ユーザBをその親として、ユーザBはユーザAの状態管理を行うことができる。なお、ユーザBは1人の場合だけでなく複数人とすることができる。これによればユーザAを複数人で状態管理することができるので便利である。
【0105】
(3)情報処理システム70は、上記(1)(2)を組合わせたものとして構成できる。この情報処理システム70では、ユーザAの生体情報に関する物理量を、ユーザAとユーザBがそれぞれのコンピュータ(端末装置71,72)に記録し表示できる。
【0106】
〔1.2〕電子回路装置23のハードウェア資源の構成(図9
電子回路装置23は、図9で示すように、制御部81と、センサ部82と、通信部83とを含む。制御部81は、中央演算処理装置であり、プログラムを実行し、電子回路装置23の全体の動作を制御する。センサ部82は、センサ接続部23b2に接続される各種のセンサ23b5である。通信部83は通信モジュール23b3であり、端末装置71、72との無線通信を制御する。
【0107】
〔1.3〕端末装置71、72のハードウェア資源の構成(図10
端末装置71、72は、電子回路装置23と通信可能な任意のコンピュータで構成できる。「コンピュータ」には、例えばノートパソコン、デスクトップパソコン、タブレット端末、スマートフォン、スマートウォッチ、ウェアラブルデバイス、電子回路装置23と通信可能な専用装置等を例示できる。なお、以下では端末装置71を例示してハードウェア構成を説明する。
【0108】
端末装置71は、図10で示すように、制御部91と、記憶部92と、出力部93と、通信部94とを含む。制御部91は、中央演算処理装置であり、プログラムを実行し、端末装置71の全体の動作を制御する。記憶部92は、ROM、RAM、外部記憶装置等を含み、各種のプログラムと制御部91がプログラムに基づき処理を実行する際に利用するデータ等を記憶する。ここでプログラムには、通信部94にて受信した生体情報としての物理量をデータ処理するための本発明の一態様によるプログラム(情報処理プログラム、生体情報処理プログラム、端末用プログラム)を含む。出力部93は、ディスプレイ93aとスピーカ93bであり、制御部91がプログラムを実行してデータ処理した結果をディスプレイ93aに表示したり、音声をスピーカ93bから出力したりする。通信部94は、電子回路装置23との通信接続や、図示しないネットワークを介して行う他の機器との通信接続を制御する。
【0109】
〔1.4〕情報処理システム70の機能構成(図11
電子回路装置23と端末装置71とを備える情報処理システム70は、電子回路装置23の機能構成として物理量取得部101と、物理量通知部102とを含み、端末装置71の機能構成として受付部103と、情報処理部104と、表示処理部105、音声処理部106とを含む。これらの各機能部は、電子回路装置23と端末装置71を構成するハードウェア資源が、本発明の一態様によるプログラム(情報処理プログラム)に基づき動作することによって実現される。
【0110】
物理量取得部101は、個々のセンサ23b5の識別情報と、センサ23b5ごとに測定された抗菌衛生マスク1の装着者の生体情報としての物理量とを取得する。物理量の取得にあたり、物理量取得部101は、継続的に取得するものとしても良いし、また一定のタイミングで取得するものとしてもよい。取得されたそれらの情報は、取得した都度継続的に又は一定の時間間隔で物理量通知部102を通じて無線通信によって端末装置71に送られる。一定の時間間隔は、例えば1分ごと、5分ごと等、任意の時間を設定できる。
【0111】
端末装置71では、受付部103がセンサ23b5ごとに測定された抗菌衛生マスク1の装着者の生体情報としての物理量を受信し、情報処理部104に送る。情報処理部104は、センサ23b5ごとの物理量を表示する表示画面(表示データ)を生成して表示処理部105に送るとともに、音声処理部106が出力する音声データを生成して音声処理部106に送る。そして表示処理部105は、ディスプレイ93aに、測定された生体情報の物理量を含む表示画面を表示する。また、音声処理部106は、スピーカ93bから、測定された生体情報を含む音声を出力する。表示画面と音声は、その何れか一方のみを出力しても、双方を出力するものとしてもよい。
【0112】
表示画面は、生体情報としての物理量のほか、過去に測定された物理量に関する情報、物理量の経時的変化の情報、物理量から導かれる生体の状態に関する情報(正常、注意、警告、異常等)等の生体関連情報を含みうる。これにより装着者の健康管理、体調管理、疾病管理等の生体管理を行うことができる。
【0113】
また、表示画面には、その全部又は一部に「トリアージ表示部」を設けることができる。即ち、表示画面には、装着者の健康、体調、疾病等の状態の程度を着色で強調表示することができる。ここで「トリアージ表示部」の着色と装着者の状態を例示列挙すると以下のとおりである。
「赤」(優先順位1位):バイタルサインに異常があり、直ちに処置を必要とし生命に危険がある。
「黄」(優先順位2位):バイタルサインは安定しており、多少処置が遅れても生命に危険が無い。
「緑」(優先順位3位):平時であれば外来処置で足りる状態である。
「黒」(優先順位4位):平時でも救命の可能性が無い状態である。
このような「トリアージ表示部」は、様々な形態で表示できる。例えば、表示画面の外周を縁取る形態、表示画面の地色の一定面積(例えば半分)を占有する形態、表示画面の地色の全体とする形態等を例示することができる。このような「トリアージ表示部」を有する表示画面を見ることで、誰でも装着者の状態を簡単に分かりやすく把握することができる。
【0114】
音声は、生体情報としての物理量を含むものでも、含まない音声でもよい。例えば物理量が所定の閾値を超えた場合に、表示画面を見ることを促すような警告音のみを発するものでもよい。
【0115】
〔1.5〕効果
以上のような本発明の一態様によれば、説明済みのものを除き以下の効果を奏する。
【0116】
コンピュータを衛生マスク用アタッチメント20の通信部83と通信可能な端末装置71、72として動作させるプログラムは、端末装置71、72が受付部103と表示処理部105とを備えるものであって、当該受付部103に対して通信部83から無線通信を介して衛生マスク用アタッチメント20のセンサ部82が測定した物理量を受け付ける動作を行わせ、表示処理部105に対して物理量を含む表示データを画面表示する動作を行わせる。このためセンサ部82が測定した物理量は、衛生マスク10の装着者の生体情報として、端末装置71、72で可視化することができ、衛生マスク10の装着者の生体管理を容易に行うことができる。
【0117】
〔2〕情報処理システム110(図12図14
【0118】
〔2.1〕情報処理システム110の全体構成(図12
図12で示す情報処理システム110は、前述の情報処理システム70の機能を拡張したものである。よって情報処理システム70と同一の構成は重複説明を省略する。
【0119】
情報処理システム110は、第1の端末装置111と、電子回路装置23(抗菌衛生マスク1)と、第2の端末装置112と、生体情報サーバ113とを有する。電子回路装置23と第1の端末装置111とは、無線通信可能に構成されている。第1の端末装置111と第2の端末装置112と生体情報サーバ113とは、「通信網」としてのネットワークNWを介して相互に通信可能に構成されている。このような情報処理システム110は、例えば以下のように構成できる。
【0120】
情報処理システム110は、ユーザAが抗菌衛生マスク1を装着し、ユーザAが使用する第1のコンピュータ(第1の端末装置111)とユーザBが使用する第2のコンピュータ(第2の端末装置112)に、電子回路装置23が測定したユーザAの生体情報に関する物理量を表示可能として構成できる。ユーザAの生体情報に関する物理量は、生体情報サーバ113(記憶部122)に蓄積することができ、生体情報サーバ113はユーザAの生体情報を含む表示画面を生成して第1のコンピュータと第2のコンピュータの少なくとも何れかに出力可能として構成される。第1のコンピュータと第2のコンピュータでは、生体情報サーバ113によって生成された表示画面を表示することができる。
【0121】
この場合、生体情報サーバ113は、1又は複数のユーザについてユーザごとに電子回路装置23で各々測定された生体情報を管理する。第1の端末装置111は、ユーザAが使用するユーザ端末として機能させることができる。第2の端末装置112は、ユーザAの生体情報をユーザBが共有するための管理端末として機能させることができる。
【0122】
さらにこの場合、第2の端末装置112を使用するユーザBは、例えば抗菌衛生マスク1の装着者(ユーザA)の健康管理、体調管理、疾病管理等について観察する権限を有する医療者、事業者等とすることができる。これにより第2の端末装置112のユーザBは、ユーザAの体調を遠隔で観察(遠隔見守り)することができる。
【0123】
なお、図12では、第1の端末装置111と第2の端末装置112をそれぞれ1つとする例を示しているが、もちろん複数としてもよい。
【0124】
〔2.2〕電子回路装置23と第1の端末装置111、第2の端末装置112のハードウェア資源の構成(図9図10
電子回路装置23のハードウェア資源の構成は図9と同じであり、第1の端末装置111と第2の端末装置112のハードウェア資源の構成は、前述の「コンピュータ」であって端末装置71(図10)と同じであるため重複説明を省略する。
【0125】
〔2.3〕生体情報サーバ113のハードウェア資源の構成(図13
生体情報サーバ113は、制御部121と、記憶部122と、通信部123とを有する。制御部121は、中央演算処理装置であり、プログラムを実行し、生体情報サーバ113の全体の動作を制御する。記憶部122は、ROM、RAM、外部記憶装置等を含み、各種のプログラムと制御部121がプログラムに基づき処理を実行する際に利用するデータ等を記憶する。ここでプログラムには、電子回路装置23が測定した生体情報としての物理量をデータ処理するための本発明の一態様によるプログラム(情報処理プログラム、生体情報処理プログラム、サーバ用プログラム)を含む。記憶部122に含まれる外部記憶装置は、データベースを含み、ユーザ情報をアカウントとし、アカウントごとに電子回路装置23により測定された生体情報がデータとして記憶している。通信部123は、ネットワークNWを介した第1の端末装置111と第2の端末装置112との通信接続を制御する。
【0126】
〔2.4〕情報処理システム110の機能構成(図14
情報処理システム110は、図14で示すように、電子回路装置23の機能構成として物理量取得部101と、物理量通知部102とを含み、第1の端末装置111と第2の端末装置112の機能構成として受付部103と、情報処理部104と、表示処理部105、音声処理部106とを含む。これらの各機能部は、電子回路装置23と第1の端末装置111と第2の端末装置112を構成するハードウェア資源が、本発明の一態様によるプログラム(情報処理プログラム)に基づき動作することによって実現される。
【0127】
生体情報サーバ113は、機能構成として生体情報受付部131と、情報処理部132と、データ蓄積部133と、出力生成部134とを含む。生体情報受付部131は、第1の端末装置111が取得した個々のセンサ23b5の識別情報と、センサ23b5ごとに測定された抗菌衛生マスク1の装着者の生体情報としての物理量とを取得し、情報処理部104に送る。情報処理部132は、取得したデータをデータ蓄積部133と出力生成部134に送る。データ蓄積部133では、ユーザアカウントごとに管理されている生体情報としての物理量をデータとして蓄積するとともに、出力生成部134が表示画面(表示データ)や音声データを生成するのに必要なデータを出力生成部134に出力する。出力生成部134は、「生体管理情報」を生成し、第1の端末装置111と第2の端末装置112の受付部103に送る。「生体管理情報」は、センサ23b5ごとの物理量か、その物理量を評価因子とする評価判定情報(優劣の程度、良さの程度、危険の程度、等級、傾向等)の少なくとも何れかを含む。その出力形態は表示画面(表示データ)及び音声(音声データ)の少なくとも何れかを含む。
【0128】
〔2.5〕効果
以上のような本発明の一態様によれば以下の効果を奏する。
【0129】
コンピュータを衛生マスク用アタッチメント20の通信部83と通信可能な第1の端末装置111と第2の端末装置112として動作させるプログラムは、第1の端末装置111と第2の端末装置112が受付部103と表示処理部105とを備えるものであって、当該受付部103に対して通信部83から無線通信を介して衛生マスク用アタッチメント20のセンサ部82が測定した物理量を受け付ける動作を行わせ、表示処理部105に対して物理量を含む表示データを画面表示する動作を行わせる。このためセンサ部82が測定した物理量は、衛生マスク10の装着者の生体情報として、第1の端末装置111と第2の端末装置112で可視化することができ、衛生マスク10の装着者の生体管理を容易に行うことができる。
【0130】
生体情報サーバ113は、データ蓄積部133を有しており、多数の抗菌衛生マスク1の装着者からの生体情報としての物理量を測定したデータを蓄積可能である。このため、蓄積されたデータをビッグデータとして解析することで、装着者ごとの健康管理、体調管理、疾病管理等に有用なデータ提供サービスを実現することが可能となる。
【0131】
〔3〕情報処理システム140(図15図17
【0132】
〔3.1〕情報処理システム140の全体構成(図15
図15で示す情報処理システム140は、前述の情報処理システム110の機能を拡張したものである。よって情報処理システム110と同一の構成は重複説明を省略する。
【0133】
情報処理システム140は、第1の端末装置111と、電子回路装置23と、生体情報サーバ113と、解析サーバ141と、診断情報サーバ142とを有する。これらはネットワークNWを介して相互に通信可能である。情報処理システム140は、例えば以下のように構成できる。
【0134】
情報処理システム140は、ユーザAが抗菌衛生マスク1を装着し、ユーザAが使用する第1のコンピュータ(第1の端末装置111)に、電子回路装置23が測定したユーザAの生体情報に関する物理量を表示可能として構成できる。この場合、情報処理システム110のように、ユーザBが使用する第2のコンピュータ(第2の端末装置112)に物理量を表示可能として構成することもできる。ユーザAの生体情報に関する物理量は、生体情報サーバ113(記憶部122)に蓄積することができる。生体情報サーバ113は、ユーザAの生体情報を含む表示画面を生成して第1のコンピュータに出力可能として構成される。第1のコンピュータでは、生体情報サーバ113によって生成された表示画面を表示することができる。さらに、生体情報サーバ113は、ユーザAの1又は複数の物理量を解析サーバ141に出力可能として構成できる。解析サーバ141では、ユーザAの生体情報に関する1又は複数の物理量について医学的解析を行うことができる。解析データは、第1のコンピュータ、生体情報サーバ113、診断情報サーバ142の少なくとも何れかに出力可能として構成される。このうち診断情報サーバ142は、ユーザAの生体情報に関する1又は複数の物理量と、解析データに基づいてなされた診断機関(病院、医師)による診断結果に関する情報が蓄積されている。診断情報サーバ142は、診断結果、助言、アドバイス等を含む診断結果情報を生成して、第1のコンピュータ、生体情報サーバ113の少なくとも何れかに出力可能に構成される。
【0135】
〔3.2〕情報処理システム140のビジネスモデルとしての構成
情報処理システム140は、例えば以下のようなビジネスモデルとして構成することができる。
【0136】
〔3.2.1〕事業者の例
<事業者A> 事業者Aは、衛生マスク用アタッチメント20の販売や貸与を行う者である。事業者Aは、ユーザに衛生マスク用アタッチメント20を有償で販売したり、無償で譲渡したり、有償で貸与する事業を行う。ここでユーザは自然人(消費者)であっても法人(例えば一般企業、病院、介護施設、学校)でもよい。ユーザが法人の場合、衛生マスク用アタッチメント20の装着者は、法人が管理対象とする自然人である。
【0137】
<事業者B> 事業者Bは、生体情報サーバ113の運営管理者である。事業者Bは生体情報サーバ113を管理しており、電子回路装置23により測定されたユーザの1又は複数の物理値を、ユーザアカウントごとに生体情報として生体情報サーバ113に蓄積する。生体情報サーバ113は、ユーザが使用する端末装置によりネットワークを通じてアクセス可能に構成であり、ユーザアプリを通じて健康管理、体調管理、疾病管理等に関する情報の提供を、有償又は無償のサービスとして行う。
【0138】
<事業者C> 事業者Cは、解析サーバ141の運営管理者である。事業者Cは解析サーバ141を運営し管理しており、ユーザの生体情報としての物理量を、解析目的に応じた1又は複数の解析用ソフトウェアを用いて医学的にデータ解析し、解析結果となる解析データの提供を、有償又は無償のサービスとして行う。事業者Cは、解析サーバ141を通じて解析データをユーザ、事業者A、事業者B(生体情報サーバ113)、事業者D(診断情報サーバ142)に提供することができる。
【0139】
<事業者D> 事業者Dは、診断機関、即ち病院であり、医師がユーザの1又は複数の物理量のデータ、解析サーバ141により提供される解析データを含む診断データに基づいて診断を行う。その物理量のデータは生体情報サーバ113又は解析サーバ141を通じて、また解析データは解析サーバ141を通じて、それぞれ診断情報サーバ142に提供され、蓄積され、加工され、統計的に利用される。診断情報サーバ142は、診断機関自身が管理、運営するものである必要はなく、他の事業者が運営するものでもよい。医師によるユーザに対する診断結果、助言、アドバイスを含む「診断結果情報」は、診断情報サーバ142に蓄積されており、診断情報サーバ142は、診断結果情報の提供を、有償又は無償のサービスとして行う。診断情報サーバ142は、診断結果情報をユーザ、事業者A、事業者B(生体情報サーバ113)、事業者C(解析サーバ141)に提供することができる。
【0140】
〔3.2.2〕第1のビジネスモデル
第1のビジネスモデルは、生体情報提供サービス事業者と、解析事業者と、診断機関とで構成され、このモデルでは、生体情報提供サービス事業者が事業者A、Bに相当し、解析事業者が事業者Cに相当し、診断機関が事業者Dに該当する。ユーザにて測定された物理量は、生体情報サーバ113を通じて解析サーバ141(及び付加的に診断情報サーバ142)に送られる。解析サーバ141は、解析データを生体情報サーバ113と診断情報サーバ142に送る。診断情報サーバ142は、診断結果情報を生体情報サーバ113(及び付加的にユーザの端末装置111)に送り、生体情報サーバ113は診断結果情報をユーザの端末装置111に送る。
このビジネスモデル(情報処理システム140)では、生体情報サーバ113に、物理量と解析データと診断結果情報を集約して一元管理することができる。ユーザにとっても、生体情報サーバ113にアクセスすることで、過去の診断機関での医師による診断結果を含めて生体情報を健康管理、体調管理、疾病管理等のために一元管理できて便利である。
【0141】
〔3.2.3〕第2のビジネスモデル
第2のビジネスモデルは、生体情報提供サービス事業者と、診断機関とで構成され、このモデルでは、生体情報提供サービス事業者が事業者A、B、Cに相当し、診断機関が事業者Dに該当する。即ち、生体情報提供サービス事業者が解析サーバ141の運営管理と解析サービスの提供も行う。ユーザにて測定された物理量は、生体情報サーバ113を通じて解析サーバ141に送られる。解析サーバ141は、解析データを生体情報サーバ113と診断情報サーバ142に送る。診断情報サーバ142は、診断結果情報を生体情報サーバ113(及び付加的にユーザの端末装置111)に送り、生体情報サーバ113は診断結果情報をユーザの端末装置111に送る。
このビジネスモデル(情報処理システム140)でも第1のビジネスモデルのシステムと同様の利点がある。
【0142】
〔3.2.3〕第3のビジネスモデル
第3のビジネスモデルは、生体情報提供サービス事業者と、解析事業者とで構成され、このモデルでは、生体情報提供サービス事業者が事業者A,Bに相当し、解析事業者が事業者Cに該当する。ユーザにて測定された物理量は、生体情報サーバ113を通じて解析サーバ141に送られる。解析サーバ141は、解析データを生体情報サーバ113(及び付加的にユーザの端末装置111)に送り、生体情報サーバ113は診断結果情報をユーザの端末装置111に送る。
このビジネスモデル(情報処理システム140)では、第1のビジネスモデルのシステムと同様の利点(但し、診断機関に関するものを除く。)がある。
【0143】
〔3.2.4〕第4のビジネスモデル
第4のビジネスモデルは、生体情報提供サービス事業者と、診断機関とで構成され、このモデルでは、生体情報提供サービス事業者が事業者A,Bに相当し、診断機関が事業者Dに該当する。ユーザにて測定された物理量は、生体情報サーバ113を通じて診断情報サーバ142に送られる。診断情報サーバ142は、診断結果情報を生体情報サーバ113(及び付加的にユーザの端末装置111)に送り、生体情報サーバ113は診断結果情報をユーザの端末装置111に送る。
このビジネスモデル(情報処理システム140)では、第1のビジネスモデルのシステムと同様の利点(但し、解析サーバ141に関するものを除く。)がある。
【0144】
〔3.3〕電子回路装置23と第1の端末装置111のハードウェア資源の構成〔図9図1
電子回路装置23は図9と同じであり、第1の端末装置111は図10と同じである。
【0145】
〔3.4〕解析サーバ141のハードウェア資源の構成(図14
解析サーバ141のハードウェア資源の構成は、図14の生体情報サーバ113と同じである。制御部121が、解析プログラムを実行することで、解析サーバ141の全体の動作を制御する。記憶部122は、各種のプログラムと、制御部121がプログラムに基づき処理を実行する際に利用するデータ等とを記憶する。プログラムには、コンピュータを解析サーバ141として機能させるための解析プログラムと、電子回路装置23が測定した生体情報としての1又は複数の物理量を医学解析するための解析用ソフトウェアを含む。
【0146】
〔3.5〕情報処理システム140の機能構成(図16図17
情報処理システム140の機能構成とそれに基づくデータの流れは、前記〔3.2〕に記載したビジネスモデルとしての構成に応じて異なる。ここでは第1のビジネスモデルに対応する機能構成(図17)と、第3及び第4のビジネスモデルの組合せに対応する機能構成(図16)との2つを例示して説明する。
【0147】
〔3.5.1〕第1の機能構成(図16
情報処理システム140の電子回路装置23と第1の端末装置111の機能構成は、情報処理システム110のものと同じである。
【0148】
生体情報サーバ113の機能構成は、情報処理システム110のものと同じであるが、さらに送信部135を含む。送信部135は、情報処理部132の制御に基づき、データ蓄積部133に蓄積されているユーザの生体情報としての物理量を読み出して、それを解析サーバ141と診断情報サーバ142に送信する。
【0149】
解析サーバ141は、機能構成として、解析受付部151と、解析処理部152と、解析情報出力部153とを含む。解析受付部151は、生体情報サーバ113の送信部135からネットワークNWを介して送られるユーザの1又は複数の物理量についてのデータを受け付ける。解析処理部152は、ユーザの生体情報としての物理量を、解析目的に応じた1又は複数の解析用ソフトウェアを用いて医学的にデータ解析し、解析結果となる解析データを生成する。解析情報出力部153は、生成された解析データを、ネットワークNWを通じて生体情報サーバ113に送信する処理を行う。なお、解析サーバ141が送信した解析データは、生体情報受付部131が受け付ける。情報処理部132は、その解析データを、対応するユーザアカウントのデータ蓄積部133に蓄積する処理を実行する。
【0150】
診断情報サーバ142は、機能構成として、診断受付部154、患者情報蓄積部155、症例助言情報蓄積部156、診断結果情報生成部157、診断結果情報出力部158とを含む。診断受付部154は、生体情報サーバ113の送信部135からネットワークNWを介して送られるユーザの1又は複数の物理量についてのデータを受け付ける。患者情報蓄積部155は、診断受付部154が受け付けた物理量をユーザ(ユーザアカウント)ごとに蓄積する。また、患者情報蓄積部155は、ユーザ(ユーザアカウント)ごとに、医師が行った過去の診断内容と、症例と、過去に行った健康管理、体調管理、疾病管理等の生体管理に関する助言、アドバイスを蓄積できる。このように構成することで、医師が診断を行う際に、過去の物理量と診断情報とを参考にできる。症例助言情報蓄積部156は、症例とそれに対応する健康管理、体調管理、疾病管理等の生体管理に関する助言、アドバイスとを蓄積する。これは医師が、診断の際に、また診断結果情報としての助言等を作成する際に、自己の使用する端末装置を利用して参照できるものである。診断結果情報生成部157は、ユーザ(ユーザアカウント)ごとに、医師がユーザの1又は複数の物理量のデータ、解析サーバ141により提供される解析データを含む診断データに基づいて行った診断結果情報を生成する。この診断結果情報は、医師によるユーザに対する診断結果(疾病名等)、所見、助言、アドバイス、観察対象とした物理量等をデータとして含むことができるものである。また、診断結果情報には、前述した「トリアージ表示部」を含むように構成することもできる。診断結果情報出力部158は、生成された診断結果情報を、ネットワークNWを通じて生体情報サーバ113に送信する。
【0151】
〔3.5.2〕第1の機能構成の効果
以上のような第1の機能構成によれば、説明済みのものを除き以下の効果を奏する。
【0152】
情報処理システム140は、衛生マスク用アタッチメント20と、生体情報管理プログラムとを含み、衛生マスク用アタッチメント20は、物理量取得部101と、物理量通知部102とを有し、物理量取得部101は、衛生マスク用アタッチメント20の装着者から1又は複数の物理量を測定可能に構成され、物理量通知部102は、物理量取得部101が取得した1又は複数の物理量を、衛生マスク用アタッチメント20と通信可能な第1の端末装置111に送信可能に構成されており、生体情報管理プログラムは、コンピュータを、生体情報受付部131、出力生成部134、データ蓄積部133として機能させ、生体情報受付部131は、第1の端末装置111から1又は複数の物理量を受け付け可能に構成され、出力生成部134は、第1の端末装置111で出力するための1又は複数の物理量か、その物理量を評価因子とする評価判定情報かの何れかを含む生体管理情報を生成可能に構成され、データ蓄積部133は、装着者ごとの1又は複数の物理量を蓄積可能に構成される。
このため、第1の端末装置111で出力するための1又は複数の物理量か、その物理量を評価因子とする評価判定情報かの何れかを含む生体管理情報を生成して、第1の端末装置111で表示可能である。またデータ蓄積部133は、装着者ごとの1又は複数の物理量を蓄積可能であるため、装着者ごとの過去の物理量を記録として保持することができ、それを健康管理、体調管理、疾病管理等の生体管理に活用することができる。
【0153】
情報処理システム140は、さらに、解析プログラムを含み、解析プログラムは、コンピュータを、解析受付部151、解析処理部152、解析情報出力部153として機能させ、解析受付部151は、生体情報管理プログラムから1又は複数の物理量を受け付け可能に構成され、解析処理部152は、1又は複数の物理量を評価因子とする疾病解析を行うことで解析データを生成可能に構成され、解析情報出力部153は、解析データを生体情報管理プログラムに出力可能に構成される。
情報処理システム140によれば、解析サーバ141の解析データが生体情報サーバ113に直接送られる。このため生体情報サーバ113が解析データを早期に取得することができる。よって、第1の端末装置111にも早期に解析データを提供することができる。
情報処理システム140によれば、装着者から取得した1又は複数の物理量を、解析目的に応じた1又は複数の解析用ソフトウェアを用いて医学的にデータ解析し、解析結果となる解析データを、医師による診断、健康管理、体調管理、疾病管理等の生体管理に活用することができる。
【0154】
情報処理システム140は、診断情報提供プログラムを含み、診断情報提供プログラムは、コンピュータを、診断受付部154、診断結果情報生成部157、診断結果情報出力部158として機能させ、診断受付部154は、生体情報管理プログラムから1又は複数の物理量を受け付け可能に構成され、診断結果情報生成部157は、前記1又は複数の物理量に関する診断内容を含む診断結果情報を生成可能に構成され、診断結果情報出力部158は、診断結果情報を生体情報管理プログラムに出力可能に構成される。
情報処理システム140では、生体情報サーバ113から診断情報サーバ142に物理量のデータが直接送られる。このため診断機関での医師の診断を早めて診断結果情報を早期に生成でき、生体情報サーバ113が診断結果情報を早期に取得することができる。よって、第1の端末装置111にも早期に診断結果情報を提供することができる。
また、診断機関の医師が、日常生活の中で衛生マスク用アタッチメント20を使用することで測定された1又は複数の物理量に基づいて診断できるので、装着者の記憶頼みではない客観的な実測データに基づく診断を行うことができる。
【0155】
〔3.5.3〕第2の機能構成(図17
情報処理システム140の電子回路装置23と、第1の端末装置111と、生体情報サーバ113と、解析サーバ141と、診断情報サーバ142の機能構成は、情報処理システム140の第1の機能構成と同じである。第1の機能構成との相違点は、データの流れであり、第2の機能構成では、生体情報サーバ113、解析サーバ141、診断情報サーバ142、生体情報サーバ113へとデータが流れるようになっている。
【0156】
〔3.5.4〕第2の機能構成の効果
以上のような第2の機能構成によれば、第1の機能構成と共通する説明済みのものを除き以下の効果を奏する。
【0157】
情報処理システム140は、診断情報提供プログラムを含み、診断情報提供プログラムは、コンピュータを、診断受付部154、診断結果情報生成部157、診断結果情報出力部158として機能させ、診断受付部154は、解析プログラムから解析データを受け付け可能に構成され、診断結果情報生成部157は、解析データに関する診断内容を含む診断結果情報を生成可能に構成され、診断結果情報出力部158は、診断結果情報を生体情報管理プログラムに出力可能に構成される。
この情報処理システム140によれば、解析サーバ141で生成された解析データが診断情報サーバ142に提供される。このため診断機関での医師の診断の際に、解析データを診断情報として利用することができ、それに関する診断内容を含む診断結果情報を生成することができる。したがって、日常生活の中で衛生マスク用アタッチメント20を使用することで測定された1又は複数の物理量とその解析データに基づいて診断できるので、装着者の記憶頼みではない客観的な実測データに基づく診断を行うことができる。
【0158】
〔4〕変形例
【0159】
前記実施形態では、情報処理システム140として、生体情報サーバ113、解析サーバ141、診断情報サーバ142がコンピュータ・ハードウェアとして別構成である例を示した。しかしながら、生体情報サーバ113、解析サーバ141、診断情報サーバ142は、いずれもコンピュータがプログラム(生体情報管理プログラム、解析プログラム、診断情報提供プログラム)を実行することで機能的に実現されるものであるため、それらの複数又はすべてを同一のコンピュータ・ハードウェアに構成しても良い。
【0160】
以上、本発明の一態様による実施形態について詳細に説明したが、本発明の構成及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には、容易に理解できるであろう。したがって、このような変形例は、全て本発明の範囲に含まれるものとする。各実施形態の構成とそれらの変形例の構成は任意の組合せとして実施することができる。
【0161】
例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語とともに記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また、抗菌衛生マスク1、衛生マスク10、衛生マスク用アタッチメント20、抗菌シート22、情報処理システム70、110の構成も本発明の一態様による実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0162】
1 抗菌衛生マスク
10 衛生マスク
11 マスク本体
12 耳掛け紐
20 衛生マスク用アタッチメント
21 マスクフレーム
21a 外枠部
21b 桟部
21c 電子回路装置取付部
21d 耳部
21e クリップ片
21f 保持凹部
21f1 収容室
21f2 係止フランジ
21f3 透孔
22 抗菌シート
22a 抗菌メッシュ部
22b 経線
22c 緯線
22d 開口
22e メッシュ基材
22f 抗菌層
22g 外縁部
22h 折返し部
22i 挿通孔
23 電子回路装置
23a 筐体
23a1 本体
23a2 蓋
23a3 段差部
23b 回路基板
23b1 基板
23b2 センサ接続部(センサ部)
23b3 通信モジュール(通信部)
23b4 電池ホルダ
23b5 センサ(センサ部)
23b6 電池
23b7 延長部
23b8 幹部
23b9 枝部
23c 孔
24 粘着テープ
70 情報処理システム(システム)
71 第1の端末装置(端末装置)
72 第2の端末装置(端末装置)
81 制御部
82 センサ部
83 通信部
91 制御部
92 記憶部
93 出力部
93a ディスプレイ
93b スピーカ
94 通信部
101 物理量取得部
102 物理量通知部
103 受付部
104 情報処理部
105 表示処理部
106 音声処理部
110 情報処理システム(システム)
111 第1の端末装置(端末装置)
112 第2の端末装置(端末装置)
113 生体情報サーバ
121 制御部
122 記憶部
123 通信部
131 生体情報受付部
132 情報処理部
133 データ蓄積部
134 出力生成部
135 送信部
140 情報処理システム(システム)
141 解析サーバ
142 診断情報サーバ
151 解析受付部
152 解析処理部
153 解析情報出力部
154 診断受付部
155 患者情報蓄積部
156 症例/助言情報蓄積部
157 診断結果情報生成部
158 診断結果情報出力部
NW 通信ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17