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特開2022-171433面格子の取付構造およびサッシ構造体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171433
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】面格子の取付構造およびサッシ構造体
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/72 20150101AFI20221104BHJP
   E06B 9/01 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
E05F15/72
E06B9/01 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021078074
(22)【出願日】2021-04-30
(71)【出願人】
【識別番号】592220200
【氏名又は名称】株式会社丸忠
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183276
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 裕三
(72)【発明者】
【氏名】米丸 忠良
(72)【発明者】
【氏名】山下 富広
【テーマコード(参考)】
2E020
2E052
【Fターム(参考)】
2E020BA03
2E020BA04
2E020BB01
2E020BC06
2E052AA01
2E052BA05
2E052DA02
2E052EA01
(57)【要約】
【課題】安全性を向上させた面格子の取付構造を提供する。
【解決手段】面格子をサッシに取り付けるための面格子の取付構造であって、面格子をサッシに対して回動自在に取り付ける下取付構造と、面格子をサッシの上部に取り付けて、閉鎖位置から所定の開放位置までの区間を超える面格子の移動を規制する上取付構造と、面格子の面格子上枠又は面格子縦枠をサッシのサッシ上枠又はサッシ縦枠に固定する固定構造と、を備え、固定構造は、サッシ上枠又はサッシ縦枠に引掛けて、第1開口を形成する引掛け部材と、面格子に配置され、取付穴を形成する樹脂ブロックと、第1開口を通じて樹脂ブロックの取付穴に挿通される第1挿通部材と、を備える。
【選択図】図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
面格子をサッシに取り付けるための面格子の取付構造であって、
前記面格子を前記サッシに対して回動自在に取り付ける下取付構造と、
前記面格子を前記サッシの上部に取り付けて、閉鎖位置から所定の開放位置までの区間を超える前記面格子の移動を規制する上取付構造と、
前記面格子の面格子上枠又は面格子縦枠を前記サッシのサッシ上枠又はサッシ縦枠に固定する固定構造と、を備え、
前記固定構造は、
前記サッシ上枠又は前記サッシ縦枠に引掛けて、第1開口を形成する引掛け部材と、
前記面格子に配置され、取付穴を形成する樹脂ブロックと、
前記第1開口を通じて前記樹脂ブロックの前記取付穴に挿通される第1挿通部材と、を備える、面格子の取付構造。
【請求項2】
前記取付穴は貫通孔である、請求項1に記載の面格子の取付構造。
【請求項3】
前記第1挿通部材が、タッピングビスである、請求項1または2に記載の面格子の取付構造。
【請求項4】
前記樹脂ブロックが、熱可塑性樹脂からなることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の面格子の取付構造。
【請求項5】
前記樹脂ブロックが、ABSからなることを特徴とする、請求項4に記載の面格子の取付構造。
【請求項6】
前記引掛け部材と前記樹脂ブロックとの間には、第2開口を形成する前記面格子上枠又は前記面格子縦枠が配置され、
前記第1挿通部材は、前記第1開口および前記第2開口を通じて前記樹脂ブロックの前記取付穴に挿通される、請求項1から5のいずれか一項に記載の面格子の取付構造。
【請求項7】
前記第2開口は、前記第1開口より大きい、請求項6に記載の面格子の取付構造。
【請求項8】
前記樹脂ブロックは、前記取付穴が前記第2開口に面するように、前記面格子上枠又は前記面格子縦枠に形成される収容部に配置される、請求項6または7に記載の面格子の取付構造。
【請求項9】
前記固定構造は、前記面格子上枠を前記サッシ上枠に固定し、
前記取付穴は、第1取付穴であり、
前記樹脂ブロックは、前記第1取付穴とは異なる第2取付穴を形成し、
前記第1取付穴及び前記第2取付穴は、並んで前記樹脂ブロックの側面に形成され、
前記面格子上枠は、前記第2開口と、前記第2取付穴と面する第3開口を形成し、
前記第3開口を通じて、前記第2取付穴に挿通される第2挿通部材をさらに備える、請求項6から8のいずれか一項に記載の面格子の取付構造。
【請求項10】
前記引掛け部材は前記樹脂ブロックに当接され、
前記引掛け部材の前記第1開口は、前記樹脂ブロックの前記取付穴に面する、請求項1から5のいずれか一項に記載の面格子の取付構造。
【請求項11】
前記固定構造は、前記面格子上枠を前記サッシ上枠に固定し、
前記取付穴は、第1取付穴であり、
前記樹脂ブロックは、前記第1取付穴とは異なる第2取付穴を形成し、
前記第1取付穴は、前記樹脂ブロックの側面に形成され、
前記第2取付穴は、前記樹脂ブロックの上面に形成され、
前記面格子上枠は、前記第2取付穴と面する第3開口を形成し、
前記第3開口を通じて、前記第2取付穴に挿通される第2挿通部材をさらに備える、請求項10に記載の面格子の取付構造。
【請求項12】
サッシと、
前記サッシに取り付けられる面格子と、
前記面格子を前記サッシに取り付けるための請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の面格子の取付構造と、を備えることを特徴とする、サッシ構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、面格子の取付構造およびサッシ構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、面格子をサッシに取り付けるための取付構造が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1では、面格子の上横枠および下横枠からサッシに向けて突設された取り付けアームをサッシにビス止めすることで、面格子がサッシに固定されることを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-113694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
建物の内部で火災が発生すると、特許文献1では、面格子がサッシに固定されているため、火熱が建物の外部に逃げにくくなっている。そのため、サッシを含む建物の内側の部材が加熱され、高温になりやすい。よって、建物の内側の部材が変形するおそれがあり、危険性が高まる。
【0006】
そこで、面格子の取付構造、および面格子にサッシを取り付けたサッシ構造体の安全性を向上させることが求められている。
【0007】
本開示の課題は、安全性を向上させた面格子の取付構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本開示の一態様に係る面格子の取付構造は、面格子をサッシに取り付けるための面格子の取付構造であって、面格子をサッシに対して回動自在に取り付ける下取付構造と、面格子をサッシの上部に取り付けて、閉鎖位置から所定の開放位置までの区間を超える面格子の移動を規制する上取付構造と、面格子の面格子上枠又は面格子縦枠をサッシのサッシ上枠又はサッシ縦枠に固定する固定構造と、を備え、固定構造は、サッシ上枠又はサッシ縦枠に引掛けて、第1開口を形成する引掛け部材と、面格子に配置され、取付穴を形成する樹脂ブロックと、第1開口を通じて樹脂ブロックの取付穴に挿通される第1挿通部材と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、安全性を向上させた面格子の取付構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係るサッシ構造体の斜視図
図2図1のサッシ構造体を建物の内側から見たときの斜視図
図3】面格子が開放位置にあるときのサッシ構造体の斜視図
図4図3のサッシ構造体を建物の内側から見たときの斜視図
図5】面格子の取付構造における下取付構造を示す斜視図
図6】開放位置における下取付構造を示す斜視図
図7】面格子の取付構造における上取付構造を示す斜視図
図8】面格子の取付構造における固定構造を示す斜視図
図9図8の固定構造を別の角度から見たときの斜視図
図10図9のV-V線に沿った断面図
図11】面格子の取付構造における固定構造を示す分解図
図12】引掛け部材において、(A)は正面図、(B)は(A)のVI-VI線に沿った断面図
図13】面格子が閉鎖位置にあるときの固定構造を説明する図
図14】面格子が開放位置にあるときの固定構造を説明する図
図15】面格子が閉鎖位置にあるときのサッシ構造体の断面図
図16】火災の発生によって面格子が開放位置になったときのサッシ構造体の断面図
図17】内倒し窓の断面図
図18】内倒し窓の断面図
図19】面格子が閉鎖位置にあるときの実施の形態2に係るサッシ構造体の断面図
図20】樹脂ブロックの斜視図
図21】火災の発生によって面格子が開放位置になったときの実施の形態2に係るサッシ構造体の断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本開示に係る面格子の取付構造およびサッシ構造体の実施の形態を説明する。
【0012】
〔実施の形態1〕
図1および図2を参照しながら、実施の形態1に係る面格子3の取付構造およびサッシ構造体1を説明する。図1は、実施の形態1に係るサッシ構造体1の斜視図である。図2は、図1のサッシ構造体1を建物の内側から見たときの斜視図である。
【0013】
図1および図2に示すように、サッシ構造体1は、サッシ2と、面格子3とを備える。サッシ構造体1は、面格子付きサッシと称してもよい。
【0014】
サッシ2は、防火設備として機能しており、鉛直方向に立設状態で、住宅などの建造物に設けられた通風用の開口などに固定される。実施の形態1において、使用時におけるサッシ2は、2枚の窓を水平方向にスライド可能に収容する。つまり、実施の形態1における窓は引き違い窓である。サッシ2は、矩形形状をしたサッシ枠体20を有する。サッシ枠体20は、サッシ上枠21と、サッシ縦枠22と、サッシ下枠23とを有する。サッシ枠体20は、通風用の開口に固定されて使用される。
【0015】
面格子3は、複数のルーバー4を開閉可能に支持する防犯用の部材である。面格子3は、取付構造によって、サッシ2に取り付けられる。面格子3の取付構造については、後述する。面格子3は、矩形形状をした面格子枠体30を有する。面格子枠体30は、面格子上枠31と、面格子縦枠32と、面格子下枠33とを有する。
【0016】
図3および図4を参照しながら、面格子3の取付構造10(図4)について説明する。図3は、面格子3が開放位置にあるときのサッシ構造体1の斜視図である。図4は、図3のサッシ構造体1を建物の内側から見たときの斜視図である。なお、以降の図面において、建物の内側から外側に向かう方向Kを、矢印によって図示している。
【0017】
図4に示すように、面格子3の取付構造10は、面格子3をサッシ2に取り付けるための構造であり、下取付構造5と、上取付構造6と、固定構造7と(図2参照)を備える。下取付構造5は、面格子3をサッシ2の下部に対して回動自在に取り付ける。上取付構造6は、面格子3をサッシ2の上部に取り付けるとともに所定の開放位置までの移動を許容する。固定構造7は、面格子3の面格子上枠31をサッシ2のサッシ上枠21に固定する。
【0018】
取付構造10は、図1および図2に示すような閉鎖位置において、面格子3をサッシ2に対して保持する。閉鎖位置において、面格子枠体30とサッシ枠体20とが対向する。また、建物内部で火災が発生すると、取付構造10によって、面格子3が、閉鎖位置から、図3および図4に示すような所定の開放位置に移動することができる。この移動については、後述する。
【0019】
次に、取付構造10の各構成要素について説明する。
【0020】
(下取付構造)
図5および図6を参照しながら、取付構造10の下取付構造5について説明する。図5は、取付構造10における下取付構造5を示す斜視図である。図6は、開放位置における下取付構造5を示す斜視図である。なお、下取付構造5を構成する構成要素や部材は、耐熱性を有する金属材料(例えばステンレス)からなる。
【0021】
面格子3を正面から見て、面格子3の下部において、右側のコーナー部と、左側のコーナー部との2箇所に下取付構造5が設けられている。下取付構造5は、面格子3をサッシ2に対して回動自在に軸支する構造である。
【0022】
図5および図6に示すように、下取付構造5は、ネジ53によって面格子下枠33に固定される第1部材50と、サッシ縦枠22に係合する第2部材55とを有する。第1部材50にはリンク穴54が形成され、第2部材55にはリンク穴54に挿通されるリンクピン58が形成される。リンクピン58がリンク穴54において移動できるため、第1部材50は第2部材52に対して回動できる。
【0023】
(上取付構造)
図3および図7を参照しながら、取付構造10の上取付構造6について説明する。図7は、取付構造10における上取付構造6を示す斜視図である。なお、上取付構造6を構成する構成要素や部材は、耐熱性を有する金属材料(例えばステンレス)からなる。
【0024】
面格子3を正面から見て、図3に示すように、面格子3の左側面上部および右側面上部の2箇所に上取付構造6が設けられている。上取付構造6は、閉鎖位置と開放位置との間で、サッシ2に対して面格子3の移動を許容する構造である。
【0025】
図7に示すように、上取付構造6は、ブラケット61と、第1アーム62と、第2アーム65とを有する。ブラケット61はサッシ縦枠22に配置される。第1アーム62は、ブラケット61に対して回動可能に連結される。第2アーム65は、第1アーム62に対して回動可能に連結され、面格子縦枠32に形成されるリンクピン66に対して回動可能に連結される。上取付構造6の各部材に形成されるリンクピン64、68は、それぞれが挿通されるリンク穴63、69において移動できる。よって、リンク穴63、69によって制限される範囲において、第1アーム62と、第2アーム65とが移動できる。
【0026】
(固定構造)
続いて、図8から図12を参照しながら、取付構造10の固定構造7について説明する。図8は、取付構造10における固定構造7を示す斜視図である。図9は、図8の固定構造7を別の角度から見たときの斜視図である。図10は、図9のV-V線に沿った斜視断面図である。図11は、取付構造10における固定構造7を示す分解図である。図12は、固定構造7の引掛け部材を示す図であり、(A)は正面図、(B)は(A)のVI-VI線に沿った断面図である。なお、固定構造7を構成する構成要素や部材は、後述の樹脂ブロックを除いて、耐熱性を有する金属材料(例えばステンレス)からなる。
【0027】
面格子3を正面から見て、図2に示すように、面格子3の上部において、右側と、左側と、略中央部との3箇所に、固定構造7が設けられている。また、下記の説明、および図8から図11では、面格子3を正面から見て、左側に位置する固定構造7を例として説明する。
【0028】
固定構造7は、面格子3の面格子上枠31を、サッシ2のサッシ上枠21に固定する構造である。図8に示すように、固定構造7は、引掛け部材70と、樹脂ブロック75と、2本の第1タッピングビス80と、1本の第2タッピングビス89とを有する。また、図11に示すように、面格子上枠31において、建物の内側から外側に向かう方向Kに対向する面格子壁36には、固定構造7のための開口84、85が形成される。開口84、85については、後で詳述する。
【0029】
引掛け部材70は、サッシ上枠21に引っ掛けられる板状の部材である。図10に示すように、引掛け部材70は、サッシ上枠21において、方向Kに対向するサッシ壁26に対して当接する。これにより、面格子3がサッシ2に対して離れる方向Kへ回動することを規制する。
【0030】
図10から図12に示すように、引掛け部材70は、横から見たときにクランク状に屈曲した板状部材である。引掛け部材70は、引掛け部71と、中間部72と、開口形成部73とを有する。
【0031】
引掛け部71は、サッシ壁26の建物内側の面に当接する部分である。中間部72は、引掛け部71と開口形成部73とを接続する部分である。中間部72は、引掛け部71と開口形成部73とが段を形成するように、引掛け部71と開口形成部73とに対して折れ曲がりを形成する。開口形成部73は、後述する第1タッピングビス80が挿通される開口74を形成する部材である。実施の形態1において、開口74は2つ形成され、長手方向L(図11)に並んで形成される。開口74は、例えば貫通した長穴である。
【0032】
開口形成部73は、面格子上枠31の面格子壁36の建物内側の面に当接する。開口形成部73の開口74と、面格子壁36の開口84とが対向する。開口74は、開口84より小さく、2つの開口74と開口84とが重なる。
【0033】
図10に示すように、サッシ上枠21と面格子上枠31とは、方向Kにおいて、互いから離れた位置に形成されるが、引掛け部71と開口形成部73とが段を形成するため、引掛け部71がサッシ上枠21に当接した状態で、開口形成部73が面格子上枠31に当接する。
【0034】
図12に示すように、引掛け部71の幅W1は、開口形成部73の幅W2より大きい。このような構成によって、引掛け部71とサッシ上枠21との接触面積が増加して、引掛け部71の保持力を向上させることができる。
【0035】
図10および図11に示すように、樹脂ブロック75は、略直方体状の樹脂部材である。樹脂ブロック75は、面格子上枠31によって画定される空間である収容部39の中に収容される。樹脂ブロック75には、2つの取付穴76と1つの取付穴77が長手方向L(図11)に並んで形成される。取付穴76は、後述の第1タッピングビス80の挿通のための下穴である。取付穴77は、後述の第2タッピングビス89の挿通のための下穴である。実施の形態1では、取付穴76、77はいずれも、貫通孔である。
【0036】
樹脂ブロック75が収容部39に配置されると、2つの取付穴76は面格子壁36の開口84と連通し、取付穴77が面格子壁36の開口85と連通する。開口84の開口面積は、樹脂ブロック75の主面の面積より小さく、樹脂ブロック75は開口84の周囲で面格子壁36に対向する。
【0037】
樹脂ブロック75は、樹脂から構成される。樹脂ブロック75は、不燃性の熱可塑性樹脂から構成されてもよい。実施の形態1の熱可塑性樹脂は、ABSであり、例えば、180℃以上220℃以下の融点を有する。ABSは、適度な機械的強度および融点を有するので、取付性および防火性を満たすことができる。
【0038】
第1タッピングビス80は、開口84を介して樹脂ブロック75の取付穴76に挿通される「第1挿通部材」としての機能を有するビスである。図11に示すように、第1タッピングビス80は、ネジ部81と、頭部82とを有する。ネジ部81の回転によって、第1タッピングビス80は、取付穴76のような下穴の平滑な内面にネジを切ることができる。このような構成によって、第1タッピングビス80は、取付穴76に螺合される。また、第1タッピングビス80は通常のネジに比べて広いネジピッチを有するため、樹脂ブロック75との接触面積が増加し、樹脂ブロック75との間で強固な螺合を実現できる。
【0039】
第2タッピングビス89は、開口85を介して樹脂ブロック75の取付穴77に挿通される「第2挿通部材」としての機能を有するビスである。第2タッピングビス89によって樹脂ブロック75を収容部39に「仮止め」して、面格子上枠31に対する樹脂ブロック75の位置合わせを行う。第2タッピングビス89は、第1タッピングビス80と同様な構造を有してもよい。
【0040】
タッピングビス80、89は、金属で形成される。タッピングビス80、89は、樹脂ブロック75よりも大幅に高い融点を有する。実施の形態1のタッピングビス80、89はSUS等で形成され、融点は略1400℃である。
【0041】
ここで、図11に示されている部材を参照しながら、固定構造7による固定について説明する。
【0042】
まず、樹脂ブロック75を面格子上枠31の収容部39に配置する。
【0043】
続いて、樹脂ブロック75を収容部39に固定するために、第2タッピングビス89を、面格子壁36の開口85と、収容部39に収容された樹脂ブロック75の取付穴77とに順に挿通させる。第2タッピングビス89は、開口85を介して、取付穴77と螺合し、樹脂ブロック75が収容部39に仮止めされる。取付穴76は、面格子壁36の開口84と連通した状態となる。
【0044】
続いて、矢印で示す方向Jに沿って、面格子上枠31をサッシ上枠21に近づけるとともに、引掛け部材70の引掛け部71をサッシ上枠21に当接させて、開口形成部73を面格子壁36に当接させる。このとき、開口形成部73の開口74と面格子壁36の開口84とを対向させて配置する。この場合、開口74と、開口84と、樹脂ブロック75の取付穴76とは、方向Kに重なる。
【0045】
続いて、第1タッピングビス80を、方向Kに沿って、開口74と、開口84と、取付穴76とに順に挿通される。第1タッピングビス80のネジ部81は、樹脂ブロック75の取付穴76に挿通して螺合する。一方、第1タッピングビス80の頭部82は、開口形成部73の開口74よりも大きく、開口74の周囲において開口形成部73の面に当接する。第1タッピングビス80を樹脂ブロック75に向けて押し込んでいくことで、第1タッピングビス80と樹脂ブロック75によって、引掛け部材70と面格子上枠31を挟み込む。このようにして、面格子3の面格子上枠31をサッシ2のサッシ上枠21に取り付けて固定する。
【0046】
面格子3が取り付けられた状態のサッシ構造体1について、図13を参照しながら説明する。図13は、面格子3が閉鎖位置にあるときの固定構造7を説明する図である。
【0047】
2つの第1タッピングビス80と樹脂ブロック75とで、面格子壁36と引掛け部材70とを挟むことで、引掛け部材70を含む固定構造7の部材は、一体的に、面格子上枠31に固定される。
【0048】
さらに、引掛け部材70の引掛け部71は、サッシ上枠21のサッシ壁26の建物内側の面に対して方向Kに面接触している。面格子上枠31は、下取付構造5によって、面格子3の下部を軸としてサッシ上枠21に対して離れる方向Kに移動可能だが、引掛け部71がサッシ壁26に対して同方向に当接しているため、方向Kに移動できず、面格子3は閉鎖位置に固定される。
【0049】
さらに図13に示すように、引掛け部71と面格子上枠31の上部との間にサッシ壁26が挟まれており、サッシ壁26も固定構造7と一体的に固定されている。したがって、面格子3をサッシ2に対して強固に固定することができる。
【0050】
固定構造7による固定の機械的強度は高いのに対して、樹脂ブロック75は熱可塑性樹脂から構成され、熱によって樹脂ブロック75を溶融させて固定構造7による固定を解除することができる。サッシ構造体1を有する建物内部で火災が発生すると、建物内部からの熱で樹脂ブロック75が軟化して溶融し、樹脂ブロック75と第1タッピングビス80との接合が解除され、面格子3がサッシ2に対して離れる方向Kに移動可能となる。このようにして、固定構造7は、面格子3の面格子上枠31をサッシ2のサッシ上枠21に解除可能に固定する。
【0051】
図14は、面格子3が開放位置にあるときの固定構造7を説明する図である。図14に示すように、固定が解除されると、面格子3を閉鎖位置から開放位置に移動させることができ、建物内部の熱を建物外部に逃がし、サッシ2に対する熱ダメージを抑制することができる。
【0052】
ここで、図13から図16を参照しながら、面格子3が閉鎖位置にあるときから、火災の発生によって面格子3が開放位置に移動するときの状態変化を説明する。図15は、面格子3が閉鎖位置にあるときのサッシ構造体1の断面図である。図16は、火災の発生によって面格子3が開放位置になったときのサッシ構造体1の断面図である。
【0053】
図13および図15は、面格子3が閉鎖位置にあるときを示している。固定構造7によって、サッシ上枠21に対する面格子上枠31の固定が形成されている。図13に示すように、第1タッピングビス80の頭部82は、建物内側に配置されており、火災発生時に建物内側からの熱が伝わりやすい位置にある。
【0054】
サッシ構造体1を有する建物内部で火災が発生すると、建物内部から方向Kに沿って熱が伝わることで、樹脂ブロック75が軟化して溶融する。より具体的には、火熱が第1タッピングビス80の頭部82と引掛け部材70とを加熱する。第1タッピングビス80の頭部82が加熱されると、その熱は、方向Kに沿ってネジ部81に伝導し、ネジ部81の周りの樹脂ブロック75を加熱し、軟化させる。ネジ部81の周りの樹脂ブロック75が軟化すると、取付穴76のネジ構造が変形し、取付穴76に対する第1タッピングビス80の螺合が解除される。
【0055】
また、第1タッピングビス80の加熱と引掛け部材70の加熱によって、第1タッピングビス80を挿通させている開口形成部73の温度も大きく上昇する。開口形成部73は面格子上枠31の開口84を介して樹脂ブロック75に面しており、開口84は2つの取付穴76を含む1つの大きな穴であるため、開口形成部73から樹脂ブロック75により多くの火熱が伝わる。この加熱によって、樹脂ブロック75の取付穴76の入口周辺を集中的に軟化および溶融させることができ、樹脂ブロック75に対する第1タッピングビス80の螺合がさらに解除される。
【0056】
樹脂ブロック75に対する第1タッピングビス80の螺合の解除によって、固定構造7によるサッシ上枠21に対する面格子上枠31の固定が解除される。このとき、面格子3の自重や建物内部からの熱風等によって、面格子3にはサッシ2から離れて開く方向Kに力が作用する。図14に示すように、面格子上枠31は、サッシ2から離れる方向Kに移動し、サッシ壁26と引掛け部71との係合も解除される。分離した引掛け部材70および第1タッピングビス80(図示せず)は、落下する。
【0057】
固定が解除され、面格子上枠31がサッシ2から離れるとともに、図16に示すように、下取付構造5により、面格子3がサッシ2に対して回動する。図16に示す面格子3が開放位置を取ると、上取付構造6により、第1アーム62と第2アーム65とのさらなる移動は規制される。即ち、上取付構造6により、面格子3の移動は、図15に示す閉鎖位置と、図16に示す開放位置との間を超える区間では、規制される。
【0058】
したがって、上述した取付構造10によれば、火災の発生によって火熱が窓の防火設備に加えられた場合、図14および図16に示すように、樹脂ブロック75の溶融によって固定が解除される。固定の解除によって、面格子3がサッシ2から離れるように移動して、面格子3による閉鎖空間が開放され、建物内部の熱を外部に逃がすことができる。したがって、サッシ2が高温で変形することを防止できる。即ち、サッシ構造体1であっても、サッシ2に対して防火上の悪影響を与えないようにすることができ、サッシ2の遮炎性能を維持することができる。また、面格子3は所定の開放位置を超える移動が規制された状態で支持されるため、面格子3がサッシ2から不用意に脱落することを防止できる。
【0059】
上記の説明をまとめて、本開示の特徴を述べる。
【0060】
本開示の取付構造10は、樹脂ブロック75を有する固定構造7を備える。このような構成によって、通常時においては、面格子3の面格子上枠31をサッシ2のサッシ上枠21に対して固定することができる。一方で、建物内部で火災が発生すると、建物内部からの熱で樹脂ブロック75が軟化して溶融する。樹脂ブロック75の溶融によって、サッシ上枠21に対する面格子上枠31の固定が解除される。このような構成によって、建物内部での火災の発生に応じて、面格子3の取付状態を変化させることができる。したがって、サッシ2が高温で変形することを防止できる。
【0061】
さらに、建物内部における火災の発生による樹脂ブロック75の溶融の効率を向上させるように、金属で形成された第1タッピングビス80が樹脂ブロック75に挿通される。第1タッピングビス80の頭部82が加熱されると、熱は第1タッピングビス80のネジ部81に伝導し、ネジ部81の周囲の樹脂ブロック75を集中的に加熱させる。言い換えれば、ネジ部81の周囲の樹脂ブロック75が優先的に軟化して溶融する。ネジ部81の熱伝導によって、第1タッピングビス80の樹脂ブロック75に対する螺合はより効率的に解除される。このような構成によって、火災の早期段階で、面格子3がサッシ2から離れることにより形成される開放空間からより多くの熱を逃がすことができ、サッシ2が高温で変形することをより一層防止できる。
【0062】
また、開口形成部73に対向する面格子壁36には、開口84が形成されている。開口84は、開口74、取付穴76より大きい。開口84を通じて、樹脂ブロック75は、露出して開口形成部73と対向する。開口形成部73が加熱されると、開口形成部73は、開口84を通じて、樹脂ブロック75をさらに効率的に加熱する。
【0063】
(効果)
実施の形態1に係る面格子3の取付構造10によれば、以下の効果を奏することができる。
【0064】
上述したように、実施の形態1の面格子3の取付構造10は、面格子3をサッシ2に取り付けるための取付構造10であって、下取付構造5と、上取付構造6と、固定構造7と、を備える。下取付構造5は、面格子3をサッシ2に対して回動自在に取り付ける。上取付構造6は、面格子3をサッシ2の上部に取り付けて、閉鎖位置から所定の開放位置までの区間を超える面格子3の移動を規制する。固定構造7は、面格子3の面格子上枠31をサッシ2のサッシ上枠21に固定する。固定構造7は、引掛け部材70と、樹脂ブロック75と、第1タッピングビス80(第1挿通部材)と、を備える。引掛け部材70は、サッシ上枠21に引掛けて、開口74(第1開口)を形成する。樹脂ブロック75は、面格子3に配置され、取付穴76を形成する。第1タッピングビス80は、開口74を通じて樹脂ブロック75の取付穴76に挿通される。
【0065】
このような構成により、火災の発生によって火熱が窓の防火設備に加えられた場合、樹脂ブロック75が溶融して、第1タッピングビス80による、樹脂ブロック75と引掛け部材70との間での固定が解除される。よって、面格子3がサッシ2から離れるように移動して、サッシ2が高温で変形することを防止できる。
【0066】
また、実施の形態1の取付構造10では、取付穴76は貫通孔である。
【0067】
このような構成により、例えば、射出成型等により、取付穴76を有する樹脂ブロック75を容易に形成できる。また、取付穴76が貫通孔であることで、取付穴76の深さ方向の一部がつながっている場合(貫通孔ではない場合)に比べて、樹脂ブロック75が取付穴76を中心として外側に広がる際の阻害部分が少なく、樹脂ブロック75が変形しやすい。これにより、樹脂ブロック75の溶融効率が向上し、火災の早期段階で、固定を解除できる。
【0068】
また、実施の形態1の取付構造10では、第1挿通部材として第1タッピングビス80を用いる。
【0069】
このような構成により、樹脂ブロック75に形成される取付穴76が平坦な内面を有するものであってもよく、樹脂ブロック75をより容易に形成できる。また、タッピングビスの方が通常のネジよりピッチが広く、接触面積が大きいため、樹脂ブロック75と第1タッピングビス80とをより強固に螺合できる。
【0070】
また、実施の形態1の取付構造10では、樹脂ブロック75が、熱可塑性樹脂からなることを特徴とする。
【0071】
このような構成により、樹脂ブロック75が防火性を満たしつつ、熱が加えられたことによって軟化し、固定構造7による固定が解除される。
【0072】
また、実施の形態1の取付構造10では、樹脂ブロック75が、ABSからなることを特徴とする。
【0073】
このような構成により、ABSが適度な機械的強度および融点を有するので、取付性および防火性を満たすことができる。
【0074】
また、実施の形態1の取付構造10では、引掛け部材70と樹脂ブロック75との間には、開口84(第2開口)を形成する面格子上枠31が配置される。第1タッピングビス80は、開口74及び開口84を通じて樹脂ブロック75の取付穴76に挿通される。
【0075】
このような構成により、第1タッピングビス80は、開口74、開口84、および樹脂ブロック75に順に挿通される。建物内部における火災発生時に、建物内側の熱は、第1タッピングビス80によって、開口74および開口84を通じて、樹脂ブロック75に伝導される。熱は、第1タッピングビス80の周囲の樹脂ブロック75を集中的に軟化および溶融させる。よって、火災の早期段階で、樹脂ブロック75と第1タッピングビス80とによる固定を解除できる。樹脂ブロック75が建物内側に配置され、樹脂ブロック75の全体が加熱される場合と比較して、火災のより早い段階で、固定を解除でき、面格子3がサッシ2から離れて形成される開放空間からより多くの熱を逃がすことができる。
【0076】
また、実施の形態1の取付構造10では、開口84は、開口74より大きい。
【0077】
このような構成により、面格子壁36に対して、より多くの樹脂ブロック75が露出し、加熱された開口形成部73からより多くの熱が樹脂ブロック75に伝わる。よって、樹脂ブロック75を効率良く溶融させることができる。
【0078】
また、実施の形態1の取付構造10では、樹脂ブロック75は、取付穴76が開口84に面するように面格子上枠31に形成される収容部39に配置される。
【0079】
このような構成により、樹脂ブロック75を建物内部の使用者から隠すことができ、サッシ構造体1の意匠性を向上させることができる。さらに、窓を全開にして使用する場合においても、樹脂ブロック75を隠すことができ、意匠性を向上させるとともに、耐候性の劣化を抑制することができる。
【0080】
また、実施の形態1の取付構造10では、樹脂ブロック75は、取付穴76(第1取付穴)とは異なる取付穴77(第2取付穴)を形成し、取付穴76、77は、並んで樹脂ブロック75の側面に形成される。面格子上枠31は、開口84と取付穴77と面する開口85(第3開口)を形成する。取付構造10は、開口85を通じて、取付穴77に挿通される第2タッピングビス89(第2挿通部材)をさらに備える。
【0081】
このような構成により、樹脂ブロック75を面格子上枠31に保持した状態で、引掛け部材70をサッシ壁26に係合させて、第1タッピングビス80を開口74、取付穴76に挿通させる固定作業を現場で容易に行うことができる。
【0082】
また、実施の形態1のサッシ構造体1は、サッシ2と、サッシ2に取り付けられる面格子3と、面格子3をサッシ2に取り付けるための取付構造10と、を備える。
【0083】
このような構成により、火災の発生によって火熱が窓の防火設備に加えられた場合、サッシ上枠21に対する面格子上枠31の固定が解除される。よって、面格子3がサッシ2から離れるように移動して、サッシ2が高温で変形することを防止できる。
【0084】
なお、実施の形態1では、固定構造7が面格子3の面格子上枠31をサッシ上枠21に固定する例について説明したが、これに限定しない。固定構造7は例えば、面格子3の面格子縦枠32をサッシ縦枠22に固定してもよい。この場合、面格子壁36及び開口84、85は面格子縦枠32に形成される。
【0085】
面格子3の上端部に設けられる固定構造7の個数や配置、第1タッピングビス80および第2タッピングビス89の個数や配置は、それぞれ、サッシ2の大きさに応じて適宜に決められる。
【0086】
上取付構造6は、面格子3の移動を規制する長さを有する金属製のチェーンあるいはケーブルワイヤー等、面格子3を閉鎖位置と所定の開放位置の間でのみ移動可能する取付構造であれば、任意の構造を用いてもよい。
【0087】
引掛け部71をサッシ壁26に係合させて面格子3をサッシ2のサッシ上枠21に取り付けた後は、仮止め用に使用した第2タッピングビス89を取り除くようにしてもよい。
【0088】
第1タッピングビス80および第2タッピングビス89として、それぞれ、第1タッピングビス80および第2タッピングビス89を例示したが、他の形態のネジなどを用いることもできる。
【0089】
〔実施の形態2〕
続いて、本開示の実施の形態2に係る取付構造及びサッシ構造体について説明する。なお、実施の形態2では、主に、実施の形態1と異なる点について説明する。実施の形態2においては、実施の形態1と同一または同等の構成については同じ符号を付して、重複する説明を省略する。
【0090】
実施の形態2では、面格子を取り付ける窓が内倒し窓である点において、実施の形態1と異なる。
【0091】
図17は、面格子を取り付けていない状態の内倒し窓の断面図であり、図18は、窓が開口した状態における、図17の内倒し窓の断面図である。
【0092】
図17に示すように、内倒し窓では、引き違い窓と同様に、サッシ102に窓100が収容されている。図18に示すように、引き違い窓とは異なり、サッシ102は、窓100の下部を回動可能に支持して、窓100を収容する。そのため、サッシ102に対して、窓100の上部が、建物の外側に向かう方向Kと逆向きに、建物内側に倒れて、窓が開口する。
【0093】
図19から図21を参照しながら、内倒し窓における取付構造110及びサッシ構造体101について説明する。
【0094】
図19は、面格子103が閉鎖位置にあるときのサッシ構造体101の断面図である。図20は、樹脂ブロック175の斜視図である。図21は、火災の発生によって面格子103が開放位置になったときのサッシ構造体101の断面図である。
【0095】
図19に示すように、固定構造107は、面格子103の面格子上枠131をサッシ102のサッシ上枠21に対して固定する。
【0096】
面格子上枠131の構造は、実施の形態1における面格子上枠31の構造と異なる。具体的には、面格子103の面格子上枠131において、方向Kに対向する面格子壁36は形成されず、収容部39は形成されない。一方で、面格子上枠131における方向Kに沿って形成される面格子壁136には、開口185が形成される。
【0097】
このような面格子上枠131に対して、樹脂ブロック175は、面格子壁136に当接して配置される。図20に示すように、樹脂ブロック175は、上面において、上下に延びる取付穴177を形成する。樹脂ブロック175が面格子壁136に当接されると、取付穴177が面格子壁136の開口185と連通する。そこで、第2タッピングビス189は、開口185を介して樹脂ブロック175の取付穴177に挿通される。第2タッピングビス189によって、樹脂ブロック175を面格子壁136に固定することができる。
【0098】
さらに、樹脂ブロック175は、方向Kに対向する側面において、取付穴176を形成する。取付穴176は、第1タッピングビス80の挿通のための下穴である。
【0099】
図19に戻ると、引掛け部材70の引掛け部71がサッシ上枠21に当接した状態で、引掛け部材70の開口形成部73は、面格子壁136に固定された樹脂ブロック175の側面に直接接触して当接される。開口形成部73の開口74(図21)と、樹脂ブロック175の取付穴176とが連通する。第1タッピングビス80は、開口74(図21)を介して、取付穴176に挿通される。
【0100】
上述より、第1タッピングビス80は、サッシ上枠21に当接された引掛け部材70と樹脂ブロック175とを互いに固定し、第2タッピングビス189は、樹脂ブロック175を面格子壁136に固定する。したがって、樹脂ブロック175を介して、面格子上枠131はサッシ上枠21に固定される。
【0101】
このようなサッシ構造体101を有する建物内部で火災が発生すると、第1タッピングビス80と引掛け部材70とが加熱され、第1タッピングビス80の周りの樹脂ブロック175が軟化され、取付穴176に対する第1タッピングビス80の螺合が解除される。第1タッピングビス80の螺合が解除されると、図21に示すように、面格子上枠131は、サッシ102から離れるとともに、下取付構造5により、面格子103がサッシ102に対して回動する。
【0102】
一方で、取付穴177及び取付穴177の周りの樹脂ブロック175は軟化されず、樹脂ブロック175は面格子上枠131に固定された状態を維持できる。このような構成によって、樹脂ブロック175または第2タッピングビス189の落下による、建物外側の通行人の負傷を防止することができる。
【0103】
(効果)
実施の形態2に係る面格子103の取付構造110によれば、以下の効果を奏することができる。
【0104】
上述したように、実施の形態2の面格子103の取付構造110では、引掛け部材70は樹脂ブロック175に当接され、引掛け部材70の開口74(第1開口)は、樹脂ブロック175の取付穴176に面する。
【0105】
このような構成により、引掛け部材70からの熱が、接触した開口形成部73を通じて、樹脂ブロック175に伝導しやすいため、樹脂ブロック175が変形しやすい。これにより、樹脂ブロック175の溶融効率が向上し、火災の早期段階で、固定を解除できる。
【0106】
実施の形態2の面格子103の取付構造110では、樹脂ブロック175は、取付穴176(第1取付穴)とは異なる取付穴177(第2取付穴)を形成する。取付穴176は、樹脂ブロック175の側面に形成され、取付穴177は、樹脂ブロック175の上面に形成される。面格子上枠131は、取付穴177と面する開口185(第3開口)を形成する。取付構造110は、開口185を通じて、取付穴177に挿通される第2タッピングビス189(第2挿通部材)をさらに備える。
【0107】
このような構成により、収容部39を形成しない面格子上枠131に対しても、樹脂ブロック175を固定することが可能になる。したがって、面格子103の設計自由度を向上させることができる。さらに、第2タッピングビス189が樹脂ブロック175の上面に形成される取付穴177に挿通されるため、火災が発生した場合においても、第2タッピングビス189の周囲の樹脂ブロック175は集中的に加熱されない。そのため、火災が発生しても、樹脂ブロック175が面格子103に固定された状態を維持できる。
【0108】
本開示の具体的な実施の形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の範囲内で種々変更して実施することができる。
【0109】
本開示は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した特許請求の範囲による本開示の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。また、各実施形態における要素の組合せや順序の変化は、本開示の範囲および思想を逸脱することなく実現し得るものである。
【0110】
なお、前記様々な実施形態および変形例のうちの任意の実施形態あるいは変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明は、面格子をサッシに取り付けるための取付構造およびサッシ構造体であれば適用可能である。
【符号の説明】
【0112】
1、101 サッシ構造体
2、102 サッシ
3、103 面格子
4 ルーバー
5 下取付構造
6 上取付構造
7、107 固定構造
10、110 取付構造
20 サッシ枠体
21 サッシ上枠
22 サッシ縦枠
23 サッシ下枠
26 サッシ壁
30 面格子枠体
31、131 面格子上枠
32 面格子縦枠
33 面格子下枠
36、136 面格子壁
39 収容部
50 第1部材
53 ネジ
54 リンク穴
55 第2部材
58 リンクピン
61 ブラケット
62 第1アーム
63 リンク穴
64 リンクピン
65 第2アーム
66 リンクピン
68 リンクピン
69 リンク穴
70 引掛け部材
71 引掛け部
72 中間部
73 開口形成部
74 開口
75、175 樹脂ブロック
76、176 取付穴
77、177 取付穴
80 第1タッピングビス(第1挿通部材)
81 ネジ部
82 頭部
84 開口
85、185 開口
89、189 第2タッピングビス(第2挿通部材)
100 窓
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21