(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171441
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】制御装置、工作システム、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/18 20060101AFI20221104BHJP
G05B 19/4063 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
G05B19/18 W
G05B19/4063 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021078088
(22)【出願日】2021-04-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 潤司
【テーマコード(参考)】
3C269
【Fターム(参考)】
3C269AB05
3C269BB10
3C269CC02
3C269CC09
3C269CC13
3C269KK11
3C269MN09
3C269MN27
3C269MN28
3C269MN32
3C269PP02
3C269QD02
3C269QE23
3C269QE37
(57)【要約】
【課題】搬送装置に関するアラームのアラーム情報を容易に把握することができる制御装置、工作システム、及びプログラムを提供する。
【解決手段】本開示に係る制御装置4は、表示部23を備える工作機械2の動作を制御する制御装置4において、前記工作機械2に対してワークの搬入出を行なう搬送装置3に関するアラームを識別する識別情報と、前記アラームの解除に資する第一のアラーム情報とを関連付けて記憶する第一記憶部441と、前記搬送装置3から前記識別情報を受け付ける受付部(制御部42)と、該受付部が受け付けた前記識別情報に関連付けて前記第一記憶部441が記憶している前記第一のアラーム情報を表示するよう前記表示部23を制御する表示制御部(制御部42)とを備えることを特徴とする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部を備える工作機械の動作を制御する制御装置において、
前記工作機械に対してワークの搬入出を行なう搬送装置に関するアラームを識別する識別情報と、前記アラームの解除に資する第一のアラーム情報とを関連付けて記憶する第一記憶部と、
前記搬送装置から前記識別情報を受け付ける受付部と、
該受付部が受け付けた前記識別情報に関連付けて前記第一記憶部が記憶している前記第一のアラーム情報を表示するよう前記表示部を制御する表示制御部と
を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記工作機械に関するアラームの解除に資する第二のアラーム情報を記憶する第二記憶部と、
前記搬送装置に関するアラーム及び前記工作機械に関するアラームの合計が複数である場合、各アラームの優先順位を決定する優先順位決定部と
を更に備え、
前記表示制御部は、前記優先順位決定部の決定結果に基づいて、最も優先順位が高いアラームの第一又は第二のアラーム情報を表示するよう前記表示部を制御することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記搬送装置に関するアラーム及び前記工作機械に関するアラームの合計が複数である場合、前記表示制御部は、最新のアラームの第一又は第二のアラーム情報を所定時間表示した後で、最も優先順位が高いアラームの第一又は第二のアラーム情報を表示するよう前記表示部を制御することを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記受付部が受け付けた前記識別情報を前記第一記憶部が記憶していない場合、前記表示制御部は所定のメッセージを表示するよう前記表示部を制御することを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記搬送装置に関するアラーム履歴を記憶するか否かを判定する判定部と、
該判定部が前記アラーム履歴を記憶すると判定した場合、前記受付部が受け付けた前記識別情報と前記受付部が前記識別情報を受け付けたタイミングを示す情報とを関連付けて記憶する履歴記憶部と
を更に備えることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項6】
表示部を備える工作機械と、
該工作機械の動作を制御する制御装置と、
前記工作機械に対してワークの搬入出を行なう搬送装置と
を有する工作システムにおいて、
前記搬送装置に関するアラームを識別する識別情報と、前記アラームの解除に資する第一のアラーム情報とを関連付けて記憶する第一記憶部を有し、
前記制御装置は、
前記搬送装置から前記識別情報を受け付ける受付部と、
該受付部が受け付けた前記識別情報に関連付けて前記第一記憶部が記憶している前記第一のアラーム情報を表示するよう前記表示部を制御する表示制御部と
を備えることを特徴とする工作システム。
【請求項7】
工作機械の動作を制御する制御装置で実行可能なプログラムであって、
前記工作機械に対してワークの搬入出を行なう搬送装置から、該搬送装置に関するアラームを識別する識別情報を受け付け、
前記識別情報と前記アラームの解除に資する第一のアラーム情報とを関連付けて記憶する第一記憶部から、受け付けた前記識別情報に対応する前記第一のアラーム情報を取得し、
取得した前記第一のアラーム情報を表示する
処理を前記制御装置に実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置、工作システム、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の工作システムは、ワークを加工する工作機械と、工作機械の動作を制御する制御装置と、工作機械に対してワークの搬入出を行なう搬送装置(文中「ロボット」)とを備える。この工作システムにおいて、作業者は、表示部が表示した画像を見ながら操作部を操作することにより、ワークの搬入出に必要な指令又はデータ等を搬送装置に入力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
搬送装置を構成する機器のトラブル又は搬送装置の制御プログラムのエラー等の異常が生じた場合、搬送装置はアラームを発報する。しかしながら、アラームの原因及びアラームの解除方法等のアラーム情報をマニュアルで調べるには長時間を要する。
【0005】
本開示の目的は、搬送装置に関するアラームのアラーム情報を容易に把握することができる制御装置、工作システム、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る制御装置は、表示部を備える工作機械の動作を制御する制御装置において、前記工作機械に対してワークの搬入出を行なう搬送装置に関するアラームを識別する識別情報と、前記アラームの解除に資する第一のアラーム情報とを関連付けて記憶する第一記憶部と、前記搬送装置から前記識別情報を受け付ける受付部と、該受付部が受け付けた前記識別情報に関連付けて前記第一記憶部が記憶している前記第一のアラーム情報を表示するよう前記表示部を制御する表示制御部とを備えることを特徴とする。
【0007】
本開示にあっては、受付部が搬送装置から識別情報を受け付ける。
第一記憶部は、搬送装置に関するアラームを識別する識別情報と、第一のアラーム情報とを関連づけて記憶している。第一のアラーム情報は、搬送装置に関するアラームの解除に資する情報であり、アラームの原因及びアラームの解除方法等の情報である。
【0008】
表示制御部は、受付部が受け付けた識別情報に関連付けて第一記憶部が記憶している第一のアラーム情報を表示するよう表示部を制御し、表示部は第一のアラーム情報を表示する。
作業者は表示部が表示した第一のアラーム情報を見る。作業者が識別情報に基づいてマニュアルで第一のアラーム情報を調べる必要がないので、工作機械に関するアラームのアラーム情報を容易に把握することができる。
【0009】
本開示に係る制御装置は、前記工作機械に関するアラームの解除に資する第二のアラーム情報を記憶する第二記憶部と、前記搬送装置に関するアラーム及び前記工作機械に関するアラームの合計が複数である場合、各アラームの優先順位を決定する優先順位決定部とを更に備え、前記表示制御部は、前記優先順位決定部の決定結果に基づいて、最も優先順位が高いアラームの第一又は第二のアラーム情報を表示するよう前記表示部を制御することを特徴とする。
【0010】
本開示にあっては、第二記憶部が第二のアラーム情報を記憶している。第二のアラーム情報は工作機械に関するアラームの解除に資する情報である。
搬送装置に関するアラーム及び前記工作機械に関するアラームの合計が複数である場合、優先順位決定部は各アラームの優先順位を決定する。
【0011】
表示制御部は、優先順位決定部の決定結果に基づいて、最も優先順位が高いアラームの解除に資するアラーム情報を表示するよう表示部を制御する。この結果、搬送装置に関するアラームの優先順位が最も高ければ、表示部は第一記憶部が記憶している第一のアラーム情報を表示する。一方、工作機械に関するアラームの優先順位が最も高ければ、表示部は第二記憶部が記憶している第二のアラーム情報を表示する。
作業者は表示部が表示したアラーム情報を見る。作業者がアラームの優先順位を判断する必要がないので、最も優先順位が高いアラームのアラーム情報を容易に把握することができる。
【0012】
本開示に係る制御装置は、前記搬送装置に関するアラーム及び前記工作機械に関するアラームの合計が複数である場合、前記表示制御部は、最新のアラームの第一又は第二のアラーム情報を所定時間表示した後で、最も優先順位が高いアラームの第一又は第二のアラーム情報を表示するよう前記表示部を制御することを特徴とする。
【0013】
本開示にあっては、搬送装置に関するアラーム及び工作機械に関するアラームの合計が複数である場合、表示部は最新のアラームのアラーム情報を所定時間表示する。その後、表示部は最も優先順位が高いアラームのアラーム情報を表示する。故に、作業者は最新のアラームのアラーム情報を把握しつつ、最も優先順位が高いアラームのアラーム情報を容易に把握することができる。
【0014】
本開示に係る制御装置は、前記受付部が受け付けた前記識別情報を前記第一記憶部が記憶していない場合、前記表示制御部は所定のメッセージを表示するよう前記表示部を制御することを特徴とする。
【0015】
本開示にあっては、受付部が受け付けた識別情報を第一記憶部が記憶していない場合、表示部は所定のメッセージを表示する。
例えば搬送装置がグレードアップしたのに第一記憶部の記憶内容が未更新の場合、受付部が受け付けた識別情報を第一記憶部が記憶していないという不都合が生じる。しかしながら、表示部が所定のメッセージを表示するので、作業者は少なくとも搬送装置がアラームを発報したことを把握することができる。
【0016】
本開示に係る制御装置は、前記搬送装置に関するアラーム履歴を記憶するか否かを判定する判定部と、該判定部が前記アラーム履歴を記憶すると判定した場合、前記受付部が受け付けた前記識別情報と前記受付部が前記識別情報を受け付けたタイミングを示す情報とを関連付けて記憶する履歴記憶部とを更に備えることを特徴とする。
【0017】
本開示にあっては、判定部が搬送装置のアラーム履歴を記憶するか否かを判定する。
判定部がアラーム履歴を記憶すると記憶した場合、履歴記憶部は、受付部が受け付けた識別情報と、受付部が識別情報を受け付けたタイミングを示す情報とを関連付けて記憶する。
【0018】
履歴記憶部が記憶しているタイミングに基づいて、履歴記憶部が記憶している識別情報を時系列順に並べることができる。履歴記憶部が記憶している識別情報に基づいて第一記憶部の記憶内容を検索するかマニュアルを調べれば、アラーム情報を得ることができる。以上の結果、搬送装置に関するアラームを時系列順に把握することができる。
【0019】
本開示に係る工作システムは、表示部を備える工作機械と、該工作機械の動作を制御する制御装置と、前記工作機械に対してワークの搬入出を行なう搬送装置とを有する工作システムにおいて、前記搬送装置に関するアラームを識別する識別情報と、前記アラームの解除に資する第一のアラーム情報とを関連付けて記憶する第一記憶部を有し、前記制御装置は、前記搬送装置から前記識別情報を受け付ける受付部と、該受付部が受け付けた前記識別情報に関連付けて前記第一記憶部が記憶している前記第一のアラーム情報を表示するよう前記表示部を制御する表示制御部とを備えることを特徴とする。
【0020】
本開示にあっては、制御装置が受付部と表示制御部とを備え、第一記憶部を用いることにより、搬送装置に関するアラームのアラーム情報を容易に把握することができる。
【0021】
本開示に係るプログラムは、工作機械の動作を制御する制御装置で実行可能なプログラムであって、前記工作機械に対してワークの搬入出を行なう搬送装置から、該搬送装置に関するアラームを識別する識別情報を受け付け、前記識別情報と前記アラームの解除に資する第一のアラーム情報とを関連付けて記憶する第一記憶部から、受け付けた前記識別情報に対応する前記第一のアラーム情報を取得し、取得した前記第一のアラーム情報を表示する処理を前記制御装置に実行させる。
【0022】
本開示にあっては、制御装置が本開示に係るプログラムを実行することにより、搬送装置に関するアラームのアラーム情報を容易に把握することができる。
【発明の効果】
【0023】
本開示の制御装置、工作システム、及びプログラムによれば、搬送装置に関するアラームのアラーム情報を容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】実施の形態に係る工作システムを略示する斜視図である。
【
図3】工作システムの制御系の構成を示すブロック図である。
【
図4】アラーム情報の表示に関する制御系の構成を示すブロック図である。
【
図5】ID記憶部が記憶しているデータの一例を示す模式図である。
【
図6】搬送装置で実行するアラーム発報処理の手順を示すフローチャートである。
【
図7】第一記憶部が記憶しているデータの一例を示す模式図である。
【
図8】第二記憶部が記憶しているデータの一例を示す模式図である。
【
図9】発報記憶部が記憶しているデータの一例を示す模式図である。
【
図10】履歴記憶部が記憶しているデータの一例を示す模式図である。
【
図11】制御装置で実行する第一の発報記憶処理の手順を示すフローチャートである。
【
図12】制御装置で実行する第二の発報記憶処理の手順を示すフローチャートである。
【
図13】制御装置で実行する優先度調整処理の手順を示すフローチャートである。
【
図14】優先度の調整のためのデータテーブルの一例を示す模式図である。
【
図15】制御装置で実行する表示処理の手順を示すフローチャートである。
【
図16】制御装置で実行する表示処理の手順を示すフローチャートである。
【
図17】制御装置で実行する表示処理の手順を示すフローチャートである。
【
図18】表示部が表示する最新のアラームの一例を示す模式図である。
【
図19】表示部が表示する最優先のアラームの一例を示す模式図である。
【
図20】表示部が表示する未登録のアラームの一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本開示の実施の形態について説明する。以下の説明では、図において矢符で示す上下、前後、及び左右を使用する。
【0026】
図1は、実施の形態に係る工作システムを略示する斜視図である。
図中1は工作システムであり、工作システム1は工作機械2、搬送装置3、制御装置4を備える。
工作機械2は基台21を備える。基台21は床面に載置してある。工作機械2は基台21の上側にてワーク5(後述する
図2参照)を加工する。
基台21はカバー22を支持する。カバー22は工作機械2の前後左右を覆う。
【0027】
カバー22の前面に正面開口221が設けてある。カバー22は正面扉222を備え、正面扉222は正面開口221を開閉可能に覆う。正面開口221の開放時に作業者は正面開口221を通してカバー22の外側から内側に進入することが可能である。
【0028】
カバー22の右面に側面開口223が設けてある。カバー22は側面扉224を備え、側面扉224は側面開口223を開閉可能に覆う。側面開口223の開放時に搬送装置3の後述するアーム34はカバー22の外側から側面開口223を通してカバー22の内側に進入することが可能である。
【0029】
カバー22の内面に扉開閉検出部225,226が設けてある。扉開閉検出部225は正面扉222の開閉を検出する。扉開閉検出部226は側面扉224の開閉を検出する。扉開閉検出部225は検出結果を搬送装置3及び制御装置4に与え、扉開閉検出部226は検出結果を制御装置4に与える(後述する
図3参照)。
扉開閉検出部225,226夫々の構成は限定されない。例えば扉開閉検出部225は、正面開口221の周縁部に設けてあるリミットスイッチと、正面扉222の縁部に設けてあり、正面扉222の開放時にリミットスイッチをオンにし、正面扉222の閉鎖時にリミットスイッチをオフにするドッグとを備える。
【0030】
カバー22の外面における正面扉222の右側に表示部23及び操作部24が設けてある。表示部23は画像を表示する。操作部24は複数の操作キー241を有する。作業者は、表示部23が表示する画像を見ながら操作部24の操作キー241を操作することにより、ワーク5の加工に必要な指令又はデータ等を制御装置4に入力する。同様にして、作業者はワーク5の搬入出に必要な指令又はデータ等を、制御装置4を介して搬送装置3に入力する。
操作部24は電源キー242及びリセットキー243を有する(後述する
図4参照)。作業者は電源キー242を操作することにより、工作システム1の電源をオン/オフする。作業者はリセットキー243を操作することにより、工作システム1をリセットする。
【0031】
図2は、工作システム1を略示する正面断面図である。
工作機械2はテーブル25を備える。テーブル25は基台21の上部に設けてある。テーブル25の上面に治具251が設けてある。治具251は、後述するアーム34がテーブル25に載置したワーク5を保持する。
工作機械2は主軸26を備える。主軸26は上下方向に延びる。主軸26の下端部は工具11を保持する。主軸26が保持した工具11は、主軸26の上側にある主軸モータ261により、上下方向に延びる回転軸を中心に回転する。
【0032】
テーブル25は主軸26に対して相対的にX軸方向、Y軸方向、Z軸方向に移動可能である。例えばテーブル25がX軸方向及びY軸方向夫々に移動可能に設けてあり、主軸26がZ軸方向に移動可能に設けてある。ここで、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向は、左右方向、前後方向、上下方向に平行である。
【0033】
工作機械2はタレット型の工具マガジン27を備える。工具マガジン27は複数の工具11を回転移動可能に保持する。主軸26は工具マガジン27に対して相対的にZ軸方向に移動する。
工作機械2は、テーブル25の治具251が保持した未加工のワーク5を、主軸26が保持した工具11で加工する。
【0034】
図1及び
図2に示す如く搬送装置3は工作機械2の右側にある。搬送装置3は基部31を備える。基部31は工作機械2の基台21に設けてある。
基部31には箱状の走行体32が設けてある(
図1参照)。基部31は走行体32を前後方向に往復移動可能に支持する。
走行体32に支持部33が設けてある。支持部33は走行体32の上部から上向きに延びる。支持部33はアーム34を支持する。
【0035】
アーム34は第一アーム341、第二アーム342、ハンド343を備える。第一アーム341の基端部は支持部33の上端部に連結し、第一アーム341は前後方向に延びる図示しない枢軸を中心に揺動可能である。第二アーム342の基端部は第一アーム341の先端部に連結し、第二アーム342は前後方向に延びる図示しない枢軸を中心に揺動可能である。ハンド343の基端部は第二アーム342の上端部に連結し、ハンド343は前後方向に延びる図示しない枢軸を中心に揺動可能である。ハンド343は二つのワーク5を個別に把持することが可能である。
【0036】
ワーク載置台12及び安全柵13は搬送装置3付近に固定する。
ワーク載置台12は搬送装置3の右側に隣り合う。ワーク載置台12にはワーク5が載置してある。安全柵13はワーク載置台12及び搬送装置3を囲む。安全柵13により、作動中の搬送装置3に作業者が接触することを防止できる。作業者は、安全柵13を開けてワーク載置台12に未加工のワークを載置し、ワーク載置台12に載置してある加工済みのワークを取り出す。安全柵13の開閉を検出する柵開閉検出部131が安全柵13に設けてある。柵開閉検出部131は検出結果を搬送装置3に与える(後述する
図3参照)。
【0037】
図3は、工作システム1の制御系の構成を示すブロック図である。
工作機械2は扉開閉検出部225,226及び主軸モータ261の他、X軸モータ252、Y軸モータ253、エアブレーキ255、Z軸モータ262、マガジンモータ271を備える。
【0038】
X軸モータ252によりテーブル25はX軸方向に移動する。Y軸モータ253によりテーブル25はY軸方向に移動する。エアブレーキ255はテーブル25の制動を行ない、テーブル25の姿勢を維持する。
【0039】
エアブレーキ255による適切な制動のために、エアブレーキ255が用いるエアの圧力が所定の最低圧力以上である必要がある。エアブレーキ255は図示しない圧力検出部を有し、エアブレーキ255が用いるエアの圧力の検出結果を制御装置4に与える。
【0040】
Z軸モータ262により主軸26はZ軸方向に移動する。
マガジンモータ271により、工具マガジン27が保持した複数の工具11が回転移動する。工具11の回転移動は、所定の工具11が工具交換位置に到達した場合に停止する。工具交換位置にある工具11は、Z軸モータ262による主軸26の下降中に工具マガジン27から主軸26に移る。主軸26は工具マガジン27から受け取った工具11を保持する。
【0041】
主軸26が保持した工具11は、主軸モータ261により回転しながらテーブル25の治具251が保持したワーク5に接触することにより、ワーク5を加工する。
工作機械2は冷却液供給部28を備える。冷却液供給部28は、加工中の工具11及びワーク5を冷却すると共に加工によって生じる切削屑を洗い流すための冷却液を工具11及びワーク5に供給する。
【0042】
冷却液供給部28による適切な冷却のために、冷却液供給部28が用いる冷却液の温度が所定の最高温度以下である必要がある。冷却液供給部28は図示しない温度検出部を有し、冷却液供給部28が用いる冷却液の温度の検出結果を搬送装置3及び制御装置4に与える。
【0043】
加工終了後、主軸26が保持した工具11の回転が停止する。Z軸モータ262により主軸26が上昇し、主軸26が保持した工具11がワーク5から離隔する。主軸26が保持した工具11は、主軸26の上昇中に主軸26から工具マガジン27に移る。工具マガジン27は主軸26から受け取った工具11を保持する。
テーブル25が右側に移動することにより、加工済みのワーク5はワーク搬送位置に移動する。
【0044】
搬送装置3は走行モータ321及びアーム駆動部344を備える。走行モータ321により走行体32は前後方向に走行する。支持部33及びアーム34は走行体32と共に前後方向に往復走行する。
【0045】
アーム駆動部344とは、第一アーム341の揺動用のモータ、第二アーム342の揺動用のモータ、ハンド343の揺動用のモータ、及びハンド343のワーク把持用のアクチュエータの総称である。
第一アーム341の初期位置は、先端部が上向きになる位置であり、第二アーム342の初期位置は、先端部が下向きになる位置である(
図1参照)。
アーム駆動部344によりアーム34は左右方向に伸縮する。
【0046】
制御装置4は工作機械2の後側にある(
図1参照)。制御装置4は給電部41を備える。給電部41は工作機械2のX軸モータ252、Y軸モータ253、主軸モータ261、Z軸モータ262、マガジンモータ271に給電すると共に、搬送装置3の走行モータ321及びアーム駆動部344に給電する。給電部41がオフである場合、これらのモータ及びアクチュエータは何れも作動しない。
【0047】
作業者は、工作システム1動作開始前に、正面扉222及び安全柵13を閉じる。
【0048】
搬送装置3は、未加工のワーク5を工作機械2に搬入し、加工済みのワーク5を工作機械2から搬出する。このために、まず、アーム駆動部344によりアーム34が右向きに伸長し、ワーク載置台12に載置してある未加工のワーク5を把持する。ワーク5の把持後、アーム34は左向きに収縮して初期位置に戻る。
【0049】
走行モータ321により走行体32が走行し、アーム34とワーク搬送位置にあるテーブル25とが側面開口223を通して互いに対向する位置で停止する。
アーム34は左向きに伸長し、側面開口223を通してカバー22の内側に進入する(
図2参照)。カバー22の内側に進入したアーム34は、加工済みのワーク5を把持し、未加工のワーク5をテーブル25に載置する。
未加工のワーク5をテーブル25に載置し終えたアーム34はカバー22の内側からカバー22の外側に退出する。
【0050】
走行体32は再び走行し、アーム34がワーク載置台12に対向する位置で停止する。アーム34は加工済みのワーク5をワーク載置台12に載置してから初期位置に戻る。
側面扉224は未加工のワーク5の搬入前に開き、加工済みのワーク5の搬出後に閉まる。側面扉224の開閉方法は限定しない。例えば側面扉224は引き戸であり、走行体32の前後移動に連動して開閉する。
【0051】
搬送装置3により、作業者が手作業でワーク5を搬送する場合よりも安全性が高まる。
側面扉224が閉まった後で、工作機械2はワーク5の加工を開始する。正面扉222及び側面扉224が共に閉まっているので、カバー22により、ワーク5の加工によって生じる切削屑の飛散、作動中の工作機械2に作業者が接触すること等を防止することができる。
【0052】
図4は、後述するアラーム情報の表示に関する制御系の構成を示すブロック図である。
搬送装置3は制御部35、主記憶部36、及び補助記憶部37を備え、これらはバスを介して相互に接続してある。
【0053】
制御部35はCPU、MPU、GPU等の1又は複数のプロセッサを含む。主記憶部36は揮発性を有し、例えばRAMである。補助記憶部37は不揮発性を有し、例えばROM、フラッシュメモリ、ハードディスク、又はSSDである。補助記憶部37は、搬送装置3の動作を制御するためのコンピュータプログラム3P、並びにコンピュータプログラム3Pの実行に必要な各種のデータを予め記憶している。補助記憶部37の記憶領域の一部は、後述するID記憶部371である。
【0054】
制御部35は、主記憶部36を作業領域として用い、補助記憶部37が記憶しているコンピュータプログラム3Pに従って、各種の演算処理及び制御処理等を実行する。例えば、制御部35はワーク5の搬入出時に走行モータ321及びアーム駆動部344夫々の動作を制御することにより走行体32及びアーム34夫々の動作を制御する。制御部35は工作システム1(特に搬送装置3)にて異常が生じたか否かを判定し、異常が生じた場合、後述するようにアラームを発報する。以下では、アラームを発すべき異常として、正面扉222又は安全柵13の開放、冷却液の過熱、不当な指令、及び給電部41からの給電の停止を例示する。
【0055】
制御部35は、給電部41から給電されている場合に正面扉222及び安全柵13夫々の開閉の判定を行なう。具体的には、制御部35は扉開閉検出部225の検出結果に基づいて正面扉222が開いているか閉じているかを判定し、柵開閉検出部131の検出結果に基づいて安全柵13が開いているか閉じているかを判定する。制御部35は、正面扉222及び安全柵13が閉まっている場合に走行モータ321及びアーム駆動部344夫々が作動するよう制御する。正面扉222又は安全柵13が開いた場合、扉開閉検出部225,226の検出結果が制御部35に出力され、制御部35は「正面扉又は安全柵の開放」という名称のアラームを発報する。以下では、「α」という名称のアラームをアラーム「α」という。走行モータ321又はアーム駆動部344の作動中に正面扉222又は安全柵13が開いた場合、制御部35は作動中の走行モータ321又はアーム駆動部344が停止するよう制御した上で、アラーム「正面扉又は安全柵の開放」を発報する。
【0056】
走行モータ321及びアーム駆動部344の作動開始前に、制御部35は冷却液供給部28が有する温度検出部の検出結果に基づいて冷却液の温度が所定の最高温度以下であるか否かを判定する。冷却液の温度が所定の最高温度を超えている場合、制御部35はアラーム「冷却液の過熱」を発報する。
【0057】
作業者が操作部24の操作キー241、電源キー242、又はリセットキー243を操作した場合、操作部24は操作キー241、電源キー242、又はリセットキー243に対応する信号を制御装置4に与える。
【0058】
作業者が操作部24を用いて入力した指令がワーク5の搬入出に必要な指令である場合、制御装置4はワーク5の搬入出に必要な指令を搬送装置3に与える。
搬送装置3の制御部35は、制御装置4を介して受けた指令の当否を判定する。妥当な指令ではない場合、受けた指令に従うことはできないので、制御部35はアラーム「不当な指令」を発報する。
【0059】
走行モータ321又はアーム駆動部344の作動中に給電部41からの給電が停止した場合、作動中の走行モータ321又はアーム駆動部344は停止する。給電部41からの給電が停止したことが原因で作動中の走行モータ321又はアーム駆動部344が停止した場合、制御部35はアラーム「給電停止」を発報する。
【0060】
図5は、ID記憶部371が記憶しているデータの一例を示す模式図である。
ID記憶部371には、アラームの名称とアラームを識別する識別情報(以下、アラームIDという)とアラームの解除条件(後述)とが互いに関連付けて記憶してある。例えば、アラームの名称「正面扉又は安全柵の開放」にアラームID「A01」とアラームの解除条件「リセット」とが関連付けてある。また、アラームの名称「冷却液の過熱」にアラームID「A02」とアラームの解除条件「電源オフ」とが関連付けてある。
【0061】
図6は、搬送装置3で実行するアラーム発報処理の手順を示すフローチャートである。
正面扉222又は安全柵13の開放、冷却液の過熱、不当な指令、及び給電部41からの給電の停止の内、少なくとも一つの異常が生じた場合、制御部35は実行中の処理を中断又は中止してから、アラーム発報処理を実行する。
制御部35はID記憶部371を参照することにより、生じた異常に対応するアラームIDを取得する(S11)。
制御部35は、S11で取得したアラームIDを制御装置4に出力する(S12)。
【0062】
従来、搬送装置3が発報したアラームのアラームIDを、工作機械2の表示部23が表示することがある。本実施の形態における表示部23は、後述するように、アラームIDと共に、アラームの解除に資するアラーム情報も表示する。アラーム情報はアラームの原因及びアラームの解除方法を含む。
作業者は表示部23が表示したアラームの原因及びアラームの解消方法を見て、異常を解消するための作業を行なうことにより、アラームの解除条件を満たす。本実施の形態では、アラームの解除条件として、解除条件「電源オフ」、解除条件「リセット」、及び解除条件「キー操作」を例示する。
【0063】
S12の処理終了後、制御部35は、S11で取得したアラームIDに関連付けてID記憶部371が記憶しているアラームの解除条件を取得し(S13)、作業者がアラームの解除条件を満たしたか否かを判定する(S14)。作業者がアラームの解除条件を満たしていない場合(S14でNO)、制御部35は処理をS14へ戻す。
【0064】
制御部35は、電源キー242の操作により工作システム1の電源がオフになった後で再びオンになった場合に解除条件「電源オフ」を満たしたと判定する。解除条件「電源オフ」を満たした場合、制御部35は解除条件「リセット」及び解除条件「キー操作」も満たしたと判定する。
制御部35は、解除条件「電源オフ」操作により工作システム1のリセットが行なわれた場合に解除条件「リセット」を満たしたと判定する。解除条件「リセット」を満たした場合、制御部35は解除条件「キー操作」も満たしたと判定する。
制御部35は、作業者が所定の操作キー241を操作した場合に解除条件「キー操作」を満たしたと判定する。作業者が所定の操作キー241を操作したことは、操作部24から制御装置4を介して搬送装置3に伝わる。
【0065】
作業者がアラームの解除条件を満たした場合(S14でYES)、制御部35はアラーム発報処理を終了する。アラーム発報処理の終了後、制御部35は、異常の発生時に中断した処理を再開するか、又は新たな処理を開始する。即ち、制御部35はアラームを解除する。
【0066】
ただし、作業者がアラームの解除条件を満たしたとしても、アラームの原因である異常が残っていれば、制御部35は異常が生じたと判定してアラーム発報処理を再び実行する。故に、作業者がアラームの解除条件を満たしただけ(例えば開いている正面扉222を閉めずにリセットキー243を操作しただけ)ではアラームの解除は成立しない。
【0067】
なお、ID記憶部371が記憶するデータは、アラームの名称、アラームID、及びアラームの解除条件に限定されない。例えばID記憶部371はアラームIDに関連付けてアラームの優先度を記憶してもよい。複数のアラームを同時的に発報する場合、S12の処理における制御部35は優先度が高いアラームのアラームIDから順に制御装置4に出力する。
【0068】
図4示す如く制御装置4は制御部42、主記憶部43、補助記憶部44、及び時計部45を備え、これらはバスを介して相互に接続してある。
【0069】
制御部42はCPU、MPU、GPU等の1又は複数のプロセッサを含む。主記憶部43は揮発性を有し、例えばRAMである。補助記憶部44は不揮発性を有し、例えばROM、フラッシュメモリ、ハードディスク、又はSSDである。補助記憶部44は、工作機械2及び制御装置4夫々の動作を制御するためのコンピュータプログラム4P、並びにコンピュータプログラム4Pの実行に必要な各種のデータを予め記憶している。補助記憶部44の記憶領域の一部は後述する第一記憶部441、第二記憶部442、発報記憶部443、及び履歴記憶部444である。時計部45は現在日時を計時する。
【0070】
制御部42は、主記憶部43を作業領域として用い、補助記憶部44が記憶しているコンピュータプログラム4Pに従って、各種の演算処理及び制御処理等を実行する。例えば、制御部42はワーク5の加工時に工作機械2の各部の動作を制御する。また、制御部35は工作システム1(特に工作機械2)にて異常が生じたか否かを判定し、異常が生じた場合、後述するようにしてアラームを発報する。コンピュータプログラム4Pには、本実施の形態のプログラムが含まれている。
【0071】
以下では、アラームを発すべき異常として、正面扉222の開放、側面扉224の開放、エアブレーキ255が用いるエアの低圧、及び冷却液供給部28が用いる冷却液の過熱を例示する。
【0072】
制御部42は扉開閉検出部225の検出結果に基づいて正面扉222の開閉を判定し、扉開閉検出部226の検出結果に基づいて側面扉224の開閉を判定する。制御部42は、正面扉222及び側面扉224が閉まっている場合に給電部41をオンにする。給電部41がオンであり、且つ正面扉222が開いた場合、制御部42は給電部41をオフにしてアラーム「正面扉の開放」を発報する。給電部41がオンであり、且つ側面扉224が開いた場合、制御部42は給電部41をオフにしてアラーム「側面扉の開放」を発報する。
【0073】
制御部42はエアブレーキ255が有する圧力検出部の検出結果に基づいてエアの圧力が所定の最低圧力以上であるか否かを判定する。給電部41がオンであり、且つエアの圧力が所定の最低圧力を下回っている場合、制御部42は給電部41をオフにしてアラーム「エア低下」を発報する。
制御部42は冷却液供給部28が有する温度検出部の検出結果に基づいて冷却液の温度が所定の最高温度以下である否かを判定する。給電部41がオンであり、且つ冷却液の温度が所定の最高温度を超えている場合、制御部42は給電部41をオフにしてアラーム「冷却液の過熱」を発報する。
【0074】
図7は、第一記憶部441が記憶しているデータの一例を示す模式図である。第一記憶部441に、搬送装置3が発報するアラームの名称とアラームIDとアラームの優先度とアラームの解除条件とが互いに関連付けて記憶してある。更に、第一記憶部441には、アラームIDに関連付けて、アラームの原因とアラームの解除方法とアラームの属性(後述)を示す情報とを記憶してある。本実施の形態では、搬送装置3が発報するアラームは搬送装置3に関するアラームである。第一記憶部441に記憶してあるアラームの原因及びアラームの解消方法は、搬送装置3が発報するアラームの解除に資する第一のアラーム情報である。なお、第一のアラーム情報はアラームの原因のみ、又はアラームの解消方法のみでもよいし、他の情報でもよい。
【0075】
例えば、アラームの名称「正面扉又は安全柵の開放」とアラームID「A01」とアラームの優先度「5」とアラームの解除条件「リセット」とが互いに関連付けて記憶してある。更に、これらに関連付けてアラームの原因「正面扉又は安全柵が開いています」とアラームの解除方法「正面扉又は安全柵を閉めてからリセットしてください」と属性「正面扉」とが記憶してある。また、アラームの名称「冷却液の過熱」とアラームID「A02」とアラームの優先度「4」とアラームの解除条件「電源オフ」とが互いに関連付けて記憶してある。更に、これらに関連付けてアラームの原因「冷却液の温度が上がりすぎています」とアラームの解除方法「電源をオフにしてから冷却液を交換又は補充してください」と属性「冷却液」とが記憶してある。ここでは、アラームの優先度は、数値が大きいほど高く、高い程工作システムの動作に与える影響が高い。
【0076】
図8は、第二記憶部442が記憶しているデータの一例を示す模式図である。第二記憶部442に、制御装置4が発報するアラームの名称とアラームIDとアラームの優先度とアラームの解除条件とが互いに関連付けて記憶してある。更に、第二記憶部442には、アラームIDに関連付けて、アラームの原因とアラームの原因であるアラームの解除方法とアラームの属性(後述)を示す情報とを記憶してある。本実施の形態では、制御装置4が発報するアラームは工作機械2に関するアラームである。第二記憶部442に記憶してあるアラームの原因及びアラームの解消方法は、制御装置4が発報するアラームの解除に資する第二のアラーム情報である。なお、第二のアラーム情報はアラームの原因のみ、又はアラームの解消方法のみでもよいし、他の情報でもよい。
【0077】
例えば、アラームの名称「正面扉の開放」とアラームID「B01」とアラームの優先度「5」とアラームの解除条件「リセット」とが互いに関連付けて記憶してある。更に、これらに関連付けてアラームの原因「正面扉が開いています」とアラームの解除方法「正面扉を閉めてからリセットしてください」と属性「正面扉」とが記憶してある。また、アラームの名称「側面扉の開放」とアラームID「B02」とアラームの優先度「5」とアラームの解除条件「電源オフ」とが互いに関連付けて記憶してある。更に、これらに関連付けてアラームの原因「側面扉が開いています」とアラームの解除方法「電源をオフにしてから側面扉の開閉機構を点検してください」と属性「側面扉」とが記憶してある。
【0078】
アラームIDには、搬送装置3が発報したアラームのアラームIDであるか、制御装置4が発報したアラームのアラームIDであるかを判別するための情報が含まれている。
【0079】
図9は、発報記憶部443が記憶しているデータの一例を示す模式図である。制御部42は、アラームIDに関連付けてアラームの日時と優先度と解除条件と現状を示す情報とを関連付けて発報記憶部443に書き込む。
【0080】
ここで、アラームの日時は、工作システム1にて異常が生じたと制御部42が判定した時点で、時計部45が計時した現在日時である。又は、アラームの日時は、搬送装置3からアラームIDを受け付けた時点で時計部45が計時した現在日時である。アラームの優先度は、アラームIDに関連付けて第一記憶部441又は第二記憶部442に記憶してある優先度である。ただし、後述するようにして制御部42が優先度を調整することがある。アラームの現状とは、アラーム情報を表示済みか未表示であるかを意味する。
【0081】
例えば、発報記憶部443においては、アラームID「B01」に関連付けてアラームの日時「3月2日10時0分」と優先度「5」と現状「表示済み」と解除条件「リセット」とが記憶してある。また、アラームID「A01」に関連付けてアラームの日時「3月2日10時0分」と優先度「5→1」と現状「未表示」と解除条件「リセット」とが記憶してある。ここで、優先度「5→1」とは優先度「5」が優先度「1」に調整してあることを表わす。
【0082】
図10は、履歴記憶部444が記憶しているデータの一例を示す模式図である。作業者は、操作部24を操作することにより、アラームの履歴を残すか否かを示す履歴要否情報を制御装置4に与える。履歴要否情報は補助記憶部44が記憶する。なお、補助記憶部44はデフォルトの履歴要否情報を記憶していてもよい。履歴要否情報がアラームの履歴を残すことを示している場合、制御部42は、アラームIDとアラームの日時とを互いに関連付けて履歴記憶部444に書き込む(後述する
図12のS36参照)。
【0083】
なお、作業者は全てのアラームに共通の履歴要否情報を入力してもよく、アラーム毎に履歴要否情報を入力してもよく、搬送装置3が発報するアラーム及び制御装置4が発報するアラーム夫々に対して別個の履歴要否情報を入力してもよい。
【0084】
履歴記憶部444は、発報記憶部443が記憶したアラームIDとアラームの日時とを互いに関連づけて記憶する。履歴記憶部444が記憶したアラームIDに基づいて第一記憶部441及び第二記憶部442を検索することにより、アラームの名称及びアラーム情報等を得ることができる。履歴記憶部444が記憶したアラームの日時に基づいてソートすることにより、アラームを発報順に並べることができる。
【0085】
例えば、アラームID「B01」に関連付けてアラームの日時「3月2日10時0分」が記憶してあり、アラームID「A01」に関連付けてアラームの日時「3月2日10時1分」が記憶してある。アラームID「A01」及びアラームID「B01」に基づいて第一記憶部441及び第二記憶部442を検索することにより、搬送装置3がアラーム「正面扉又は安全柵の開放」を発報し、制御装置4がアラーム「正面扉の開放」を発報したことが分かる。アラーム「正面扉の開放」の日時とアラーム「正面扉又は安全柵の開放」の日時とがほぼ同じなので、3月2日10時0分頃に正面扉222が開という異常が発生したことが分かる。
【0086】
履歴記憶部444は、アラームID「A01」に関連付けてアラームの日時「3月1日13時31分」を記憶している。これは、制御装置4がアラーム「正面扉の開放」を発報せず、搬送装置3がアラーム「正面扉又は安全柵の開放」を発報したことを意味する。ここから、3月1日13時31分頃に安全柵13が開くという異常が発生したことが分かる。
【0087】
通常、制御装置4が備える補助記憶部44の記憶容量は、搬送装置3が備える補助記憶部37の記憶容量より大きいので、制御装置4が履歴記憶部444を備えることは合理的である。
図10に示す履歴記憶部444は搬送装置3が発報したアラームのデータ及び制御装置4が発報したアラームのデータを両方記憶しているが、搬送装置3用の履歴記憶部と制御装置4用の履歴記憶部とが分かれていてもよい。
【0088】
履歴記憶部444はアラームIDに関連付けて、アラームの日時のみならずアラームに関する各種のデータを記憶してもよい。アラームに関するデータは、例えば異常発生時に制御部35が実行していたプログラムの実行行、又はアーム34が停止した位置の座標である。この場合、搬送装置3がアラームIDと共にアラームに関するデータを制御装置4に出力する。なお、搬送装置3又は制御装置4とシステム外部の通信装置との間で信号の入出力を行なう場合、アラームに関するデータは、異常発生時の信号の入出力状況でもよい。
【0089】
図11は、制御装置4で実行する第一の発報記憶処理の手順を示すフローチャートである。正面扉222の開放、側面扉224の開放、エアブレーキ255が用いるエアの低圧、及び冷却液供給部28が用いる冷却液の過熱の内、少なくとも一つの異常が生じた場合、制御部42は実行中の処理を中断又は中止してから、第一の発報記憶処理を実行する。
制御部42は異常が生じた日時を時計部45から取得する(S21)。制御部42は第二記憶部442を参照することにより、生じた異常に対応するアラームID、アラームの優先度、及びアラームの解除条件を取得する(S22)。
【0090】
制御部42は、S21で取得した日時とS22で取得したアラームID、アラームの優先度、アラームの解除条件とアラームの現状「未表示」とを関連付けて発報記憶部443に書き込み(S23)、第一の発報記憶処理を終了する。
【0091】
図12は、制御装置4で実行する第二の発報記憶処理の手順を示すフローチャートである。制御部42は、搬送装置3からのアラームIDの入力があった場合に第二の発報記憶処理を実行する。制御部42は搬送装置3が出力したアラームIDを受け付ける(S31)。S31における制御部42は、本実施の形態における受付部として機能する。制御部42はS31でアラームIDを受け付けた日時を時計部45から取得する(S32)。
【0092】
制御部42はS31で受け付けたアラームIDに基づいて第一記憶部441を検索する(S33)。制御部42は、S31で受け付けたアラームIDを第一記憶部441が記憶しているか否かを判定し(S34)、記憶してある場合(S34でYES)、アラームIDに関連付けられたアラームの優先度及び解除条件を取得する(S35)。
【0093】
制御部42は、S31で受け付けたアラームIDとS32で取得した日時とS35で取得したアラームの優先度及び解除条件とアラームの現状「未表示」とを関連付けて発報記憶部443に書き込み(S36)、第二の発報記憶処理を終了する。
【0094】
例えば搬送装置3がグレードアップしたのに第一記憶部441の記憶内容が未更新の場合、S31で受け付けたアラームIDを第一記憶部441が記憶していないという不都合が生じる。S31で受け付けたアラームIDを第一記憶部441が記憶していない場合(S34でNO)、制御部42はアラームの優先度及び解除条件を所定の優先度及び解除条件として(S37)、処理をS36に移す。この場合、S36における制御部42は、S31で受け付けたアラームIDとS32で取得した日時と所定の優先度及び解除条件とアラームの現状「未表示」とを関連付けて発報記憶部443に書き込む。
【0095】
ここで、所定の優先度は例えば最低の優先度「1」、所定の解除条件は最も緩い解除条件「キー操作」であり、第一記憶部441に記憶してある(
図7参照)。S37の処理終了後、制御部42がS36の処理を行なうことにより、例えば
図9に示す如く、発報記憶部443はアラームID「C99」に関連付けてアラームの日時「3月2日10時2分」と優先度「1」と解除条件「キー操作」と現状「未表示」とを記憶する。
【0096】
図13は、制御装置4で実行する優先度調整処理の手順を示すフローチャートである。
図10に示す第一の発報記憶処理又は
図11に示す第二の発報記憶処理を終了した場合、制御部42は優先度調整処理を実行する。制御部42は発報記憶部443に複数のアラームIDが記憶してあるか否かを判定する(S41)。発報記憶部443に記憶してあるアラームIDが一つである場合(S41でNO)、制御部42は優先度調整処理を終了する。
【0097】
発報記憶部443に複数のアラームIDが記憶してある場合(S41でYES)、制御部42は、各アラームIDに基づき、搬送装置3に関するアラームIDと制御装置4に関するアラームIDとが混在しているか否かを判定する(S42)。搬送装置3が発報したアラームのアラームIDのみ、又は制御装置4が発報したアラームのアラームIDのみが発報記憶部443に記憶してある場合(S42でNO)、制御部42は優先度調整処理を終了する。
【0098】
搬送装置3が発報したアラームのアラームIDと制御装置4が発報したアラームのアラームIDとが混在している場合(S42でYES)、制御部42は、搬送装置3が発報したアラームの優先度を調整し(S43)、優先度調整処理を終了する。
【0099】
ここで、S43の処理について具体的に説明する。
搬送装置3は工作機械2の従属的な装置なので、搬送装置3が発報したアラームよりも制御装置4が発報したアラームを優先することが望ましい。最も単純なS43の処理は、搬送装置3が発報したアラームの優先度を一律に最低の優先度に変更することである。
【0100】
本実施の形態においては、S43の処理のために、第一記憶部441及び第二記憶部442夫々が記憶している各アラームIDに、アラームの属性を示す情報を関連付けてある。例えば第一記憶部441のアラーム「正面扉又は安全柵の開放」にも第二記憶部442のアラーム「正面扉の開放」にも属性「正面扉」が関連付けてある。
【0101】
発報記憶部443にアラーム「正面扉又は安全柵の開放」のアラームIDもアラーム「正面扉の開放」のアラームIDも記憶してある場合、アラーム「正面扉又は安全柵の開放」の原因は正面扉222が開いていることである。仮に、表示部23がアラーム「正面扉又は安全柵の開放」を優先的に表示した場合、作業者は正面扉222及び安全柵13を両方確認しなければならない。
【0102】
一方、表示部23がアラーム「正面扉の開放」を優先的に表示した場合、作業者は正面扉222を確認すればよい。作業者が正面扉222を閉じれば、アラーム「正面扉の開放」の原因もアラーム「正面扉又は安全柵の開放」の原因も解消する。表示部23がアラーム「正面扉又は安全柵の開放」よりもアラーム「正面扉の開放」を優先的に表示することが分かっていれば、表示部23がアラーム「正面扉又は安全柵の開放」を表示した場合、作業者は安全柵13を確認すればよい。
【0103】
故に、S43における制御部42は、まず、搬送装置3が発報したアラームのアラームIDに関連付けられている属性が、制御装置4が発報したアラームのアラームIDに関連付けられている属性と同じであるか否かを判定する。両者の属性が同じである場合、制御部42は、発報記憶部443において、搬送装置3が発報したアラームのアラームIDに関連付けられている優先度を最低の優先度「1」に変更する。両者の属性が異なる場合、制御部42は、優先度の変更を行なわない。
【0104】
なお、優先度の変更は、アラームの属性の比較に基づくものに限定されず、元の優先度から優先度「1」への変更に限定されない。
図14は、優先度の調整のためのデータテーブルの一例を示す模式図である。図に示すデータテーブルは、例えば補助記憶部44が記憶している。発報記憶部443に搬送装置3に関するアラームID「A01」と制御装置4に関するアラームID「B01」とが記憶してある場合、発報記憶部443において、搬送装置3に関するアラームIDに関連付けられている優先度が減少値「3」だけ減る。同様に、搬送装置3に関するアラームID「A02」と制御装置4に関するアラームID「B04」とが記憶してある場合、優先度が減少値「2」だけ減る。
【0105】
図15~
図17は、制御装置4で実行する表示処理の手順を示すフローチャートである。制御部42は、発報記憶部443がアラームIDを記憶している場合に表示処理を実行する。
図15に示す如く、制御部42は、発報記憶部443が現状「未表示」のアラームIDを記憶しているか否かを判定する(S51)。発報記憶部443が現状「未表示」のアラームIDを記憶している場合(S51でYES)、制御部42は、現状「未表示」のアラームIDの内、最優先で表示すべきアラームを決定する(S52)。
【0106】
S52における制御部42は、現状「未表示」のアラームIDが一つであれば、それを最優先で表示すべきアラームとする。現状「未表示」のアラームIDが複数の場合、制御部42は、現状「未表示」のアラームIDに関連付けて発報記憶部443が記憶している日時に基づいて、最新のアラームを決定する。
【0107】
制御部42は、S52で決定したアラームのアラームIDに基づいて第一記憶部441及び第二記憶部442を検索することにより、S52で決定したアラームのアラーム情報を取得する(S53)。制御部42は、S52で決定したアラームのアラームIDとS53で取得したアラーム情報とを表示するよう表示部23を制御する(S54)。
【0108】
S54の処理終了後、制御部42は、最新のアラームを表示してからの経過時間の計時を開始する(S55)。制御部42は、S52で決定したアラームのアラームIDに関連付けて発報記憶部443が記憶している現状「未表示」を「表示済」に変更する(S56)。
【0109】
制御部42は、最新のアラームを表示してから所定時間が経過したか否かを判定する(S57)。所定時間は、例えば3秒である。最新のアラームを表示してから所定時間が経過した場合(S57でYES)、制御部42は経過時間の計時を終了し(S58)、表示中のアラームID及びアラーム情報を消去するよう表示部23を制御し(S59)、処理をS51へ戻す。
【0110】
最新のアラームを表示してからの経過時間が所定時間に達していない場合(S57でNO)、
図16に示す如く、制御部42は、発報記憶部443に記憶してあるアラームの解除条件を作業者が満たしたか否かを判定する(S61)。S61における制御部42の判定は、S14(
図6参照)における制御部35の判定と同様である。作業者がアラームの解除条件を満たしていない場合(S61でNO)、制御部42は、処理をS57(
図15参照)へ戻す。
【0111】
作業者がアラームの解除条件を満たした場合(S61でYES)、制御部42は、履歴要否情報に基づいて、アラーム履歴を記憶するか否かを判定する(S62)。アラーム履歴を記憶する場合(S62でYES)、制御部42は、解除条件を満たしたアラームのアラームID及びアラーム日時を発報記憶部443から読み出して履歴記憶部444に書き込む(S63)。
【0112】
S63における履歴記憶部444への書き込み後、又はアラーム履歴を記憶しない場合(S62でNO)、制御部42は、解除条件を満たしたアラームのアラームIDに関連付けられたデータを発報記憶部443から削除する(S64)。制御部42は、表示中のアラームID及びアラーム情報を消去するよう表示部23を制御し(S65)、表示処理を終了する。表示処理を終了後、制御部42は適宜のタイミングで再び表示処理を実行する。
【0113】
図15に示す如く、発報記憶部443が現状「未表示」のアラームIDを記憶していない場合(S51でNO)、
図17に示す如く、制御部42は、現状「表示済」のアラームIDの内、最優先で表示すべきアラームを決定する(S71)。
【0114】
S71における制御部42は、現状「表示済」のアラームIDが一つであれば、それを最優先で表示すべきアラームとする。現状「表示済」のアラームIDが複数の場合、制御部42は、現状「表示済」のアラームIDに関連付けて発報記憶部443が記憶している優先度に基づいて、最優先で表示すべきアラームを決定する。具体的には、制御部42は、優先度が最も高いものを最優先で表示すべきアラームとする。優先度が最も高いアラームが複数ある場合、制御部42は、優先度が最も高いアラームの内でアラームの日時が最も早いものを最優先で表示すべきアラームとする。
【0115】
制御部42は、S71で決定したアラームのアラームIDに基づいて第一記憶部441及び第二記憶部442を検索することにより、S71で決定したアラームのアラーム情報を取得する(S72)。制御部42は、S71で決定したアラームのアラームIDとS72で取得したアラーム情報とを表示するよう表示部23を制御する(S73)。
【0116】
S73の処理終了後、制御部42は、発報記憶部443に記憶してあるアラームの解除条件を作業者が満たしたか否かを判定する(S74)。S74における制御部42の判定は、S14(
図6参照)における制御部35の判定と同様である。作業者がアラームの解除条件を満たした場合(S74でYES)、制御部42は、処理をS62(
図16参照)に移す。
【0117】
作業者がアラームの解除条件を満たしていない場合(S74でNO)、制御部42は、現在実行中の表示処理と並行して
図13に示す優先度調整処理をS71の処理終了後に実行したか否かを判定する(S75)。S75の処理は、最優先で表示すべきアラームの決定後に新たなアラームの発報があったか否かを判定する処理である。優先度調整処理を実行していない場合(S75でNO)、制御部42は処理をS74、適宜のタイミングで再びS74の処理を行なう。
【0118】
優先度調整処理を実行した場合(S75でYES)、制御部42は、表示中のアラームID及びアラーム情報を消去するよう表示部23を制御し(S76)、処理をS51(
図15参照)へ戻す。この結果、制御部42はS51でYESと判定するので、表示部23が最新のアラームを表示する。
【0119】
S52及びS71における制御部42は、本実施の形態における優先順位決定部として機能する。S54及びS73における制御部42は、本実施の形態における表示制御部として機能する。S62における制御部42は、本実施の形態における判定部として機能する。
【0120】
図18は、表示部23が表示する最新のアラームの一例を示す模式図である。
S54の処理の結果、表示部23は所定の表示領域に最新のアラームのアラームIDとアラームの原因とアラームの解除方法とを表示する。これらに関連付けて、表示部23は最新のアラームであることを示すメッセージを表示することが望ましい。
【0121】
図19は、表示部23が表示する最優先のアラームの一例を示す模式図である。
S73の処理の結果、表示部23は所定の表示領域に最優先のアラームのアラームIDとアラームの原因とアラームの解除方法とを表示する。これらに関連付けて、表示部23は最優先のアラームであることを示すメッセージを表示することが望ましい。
最優先のアラームが最新のアラームと同じである場合、S54の処理の結果として表示部23が表示するアラームとS73の処理の結果として表示部23が表示するアラームとは同じである。
【0122】
以上のような工作システム1によれば、作業者は表示部23が表示したアラーム情報を見てアラームを解除する作業を行なう。作業者がアラームIDに基づいて紙マニュアル又は電子マニュアルでアラーム情報を調べる必要がないので、搬送装置3又は制御装置4が発報したアラームのアラーム情報を容易に把握することができる。
表示部23は最新のアラームのアラーム情報を所定時間表示してから最優先のアラームのアラーム情報を表示する。故に、作業者は最新のアラームを把握しつつ、最優先のアラームを優先的に解除することができる。
【0123】
図12に示すS34の処理でNOだった場合、第一記憶部441はS52及びS71で決定したアラームのアラームIDを記憶していない。そこで、第一記憶部441は、第一記憶部441が記憶していない全てのアラームID(即ち未登録のアラームID)に関連付けて、所定のメッセージを記憶している。例えば、所定のメッセージはアラームの原因「搬送装置で異常が発生しました」及びアラームの解除方法「アラームIDに基づきマニュアルを参照してください」である。
【0124】
図20は、表示部23が表示する未登録のアラームの一例を示す模式図である。
例えばS54の処理の結果、表示部23は所定の表示領域に最新のアラームとして未登録のアラームIDと所定のメッセージとを表示する。故に、作業者は少なくとも搬送装置3で異常が発生したことを把握することができる。
【0125】
なお、第一記憶部441は制御装置4が備える構成に限定されず、例えば搬送装置3が備えてもよい。この場合、搬送装置3から制御装置4へのアラームIDの出力後、制御装置4の要求に応じて搬送装置3が制御装置4にアラーム情報を出力する。
【0126】
最優先のアラームの表示後、表示部23は作業者による操作部24の操作に応じて最優先のアラームの表示を優先順位が低いアラームの表示に切り替えてもよい。
表示部23は同時に複数のアラームを表示してもよい。例えば二つのアラームを同時に表示する場合、表示部23は最新のアラームと最優先のアラームとを表示するか、又は優先順位が1位のアラームと2位のアラームとを表示する。
【0127】
表示部23は、アラームと同時に作業者へのメッセージを表示してもよい。例えば作業者がアラームの解消のために操作部24を操作している場合に、表示部23は最優先のアラームと作業者が行なった操作部24の操作ミスを報知するメッセージとを表示する。
作業者へのメッセージに優先度が設けてあってもよい。この場合、表示部23は最新又は最優先のアラームと最優先のメッセージとを表示する。制御部42は搬送装置3から作業者へのメッセージの優先度を所定の手順で調整してもよい。
【0128】
履歴記憶部444が記憶したデータは表示部23が表示するか、又は制御装置4からシステム外部のプリンタに送られてプリンタが記録用紙に出力してもよい。
搬送装置3が発報したアラームの履歴は搬送装置3の補助記憶部37が記憶してもよいが、制御装置4の時計部45が計時する時刻と搬送装置3が備える時計部が計時する時刻とが一致していないことがあるので、制御装置4にて一括管理することが望ましい。
【0129】
工作システム1が第一記憶部441、第二記憶部442、発報記憶部443、又は履歴記憶部444を備えるデータサーバを備え、制御装置4の制御部42が必要に応じてデータサーバにデータを要求する構成でもよい。
【0130】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0131】
1 工作システム
2 工作機械
23 表示部
3 搬送装置
4 制御装置
42 制御部(受付部、表示制御部、優先順位決定部、判定部)
441 第一記憶部
442 第二記憶部
443 発報記憶部
444 履歴記憶部
4P コンピュータプログラム(プログラム)
5 ワーク