(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171446
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】洗浄装置
(51)【国際特許分類】
B08B 3/02 20060101AFI20221104BHJP
B08B 1/00 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
B08B3/02 C
B08B1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021078094
(22)【出願日】2021-04-30
(71)【出願人】
【識別番号】592258306
【氏名又は名称】森合精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085291
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥巣 実
(74)【代理人】
【識別番号】100117798
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 慎一
(74)【代理人】
【識別番号】100166899
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥巣 慶太
(74)【代理人】
【識別番号】100221006
【弁理士】
【氏名又は名称】金澤 一磨
(72)【発明者】
【氏名】松村 繁廣
(72)【発明者】
【氏名】森合 稔
【テーマコード(参考)】
3B116
3B201
【Fターム(参考)】
3B116AA46
3B116AB05
3B116AB42
3B116BB23
3B116BB62
3B116BB82
3B116BB90
3B116CC03
3B116CD43
3B201AA46
3B201AB05
3B201AB42
3B201BB23
3B201BB62
3B201BB82
3B201BB90
3B201BB93
3B201BB94
3B201CB15
3B201CC12
3B201CD33
3B201CD43
(57)【要約】
【課題】被洗浄物の回転洗浄及び固定洗浄を従来よりも精度よく行うことが可能な洗浄装置を提供する。
【解決手段】被洗浄物を旋回搬送して洗浄する洗浄装置であって、複数の作業室と、各作業室を区画する開閉可能に設けられた仕切部と、被洗浄物を旋回搬送する回転軸に対し径方向に延びる複数のアームと、前記複数のアームを旋回させる回転機構と、前記複数のアームの先端に取り付けられる回転テーブルとを備え、前記複数の作業室は、少なくとも、被洗浄物の着脱を行う第1作業室と、被洗浄物を洗浄する第2作業室と、被洗浄物を乾燥する第3作業室とを有し、少なくとも被洗浄物を洗浄する第2作業室に、前記回転テーブルの回転位置の位置決めを行う第1検知センサを更に備え、前記回転テーブルは、前記第1検知センサに対応する第1検知部を有する、洗浄装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄物を旋回搬送して洗浄する洗浄装置であって、
複数の作業室と、
各作業室を区画する開閉可能に設けられた仕切部と、
被洗浄物を旋回搬送する回転軸に対し径方向に延びる複数のアームと、
前記複数のアームを旋回させる回転機構と、
前記複数のアームの先端に取り付けられる回転テーブルと、を備え、
前記複数の作業室は、少なくとも、
被洗浄物の着脱を行う第1作業室と、
被洗浄物を洗浄する第2作業室と、
被洗浄物を乾燥する第3作業室と、を有し、
少なくとも被洗浄物を洗浄する第2作業室に、前記回転テーブルの回転位置の位置決めを行う第1検知センサを更に備え、
前記回転テーブルは、前記第1検知センサに対応する第1検知部を有する、
洗浄装置。
【請求項2】
前記回転テーブルの回転位置を保持する第1ストッパーを更に備え、
前記第1ストッパーは先端に係合部を有し、
前記回転テーブルは、前記第1ストッパーの係合部に対応する被係合部を更に有する、
請求項1記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記第1ストッパーは、
少なくとも、被洗浄物の洗浄を行う第2作業室に配されていて、
先端に前記係合部と、該係合部を前後方向に移動可能にする駆動機構を有し、
前記係合部を前記回転テーブルの前記被係合部に打ち込むことで、該回転テーブルの回転位置を保持する、
請求項2記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記第1検知部は、前記回転テーブルの外周部に配されている、
請求項1乃至3のいずれか1項記載の洗浄装置。
【請求項5】
前記第1検知センサは、前記回転テーブルが回転した際に、これと共に回転する前記第1検知部を検知可能な位置に設けられている、
請求項1乃至4のいずれか1項記載の洗浄装置。
【請求項6】
前記第1検知センサは、前記第1検知部の回転軌道上に配置されている、
請求項5記載の洗浄装置。
【請求項7】
第2検知部をさらに備え、
前記第2検知部は、前記回転軸に、または前記アームの根本に、もしくは該回転軸に取り付けられ該回転軸と共に回転し、該第2検知部を載置するための載置テーブルに、設けられていて、
前記回転軸が回転した際に、これと共に回転する前記第2検知部を検知可能な位置に第2検知センサが設けられている、
請求項1乃至6のいずれか1項記載の洗浄装置。
【請求項8】
前記第2検知センサは、前記第2検知部の回転軌道上に配置されている、
請求項7記載の洗浄装置。
【請求項9】
前記第2検知センサが、2つ設けられていて、
一方が減速であり、他方が停止である、
請求項7又は8記載の洗浄装置。
【請求項10】
前記第2検知部は、前記アームの本数と同数設けられている、
請求項7乃至9のいずれか1項記載の洗浄装置。
【請求項11】
前記アームの旋回を防止する第2ストッパーが設けられている、
請求項1乃至10のいずれか1項記載の洗浄装置。
【請求項12】
前記第2ストッパーは、被洗浄物の着脱を行う第1作業室に配されている、
請求項11記載の洗浄装置。
【請求項13】
前記回転テーブルに対応する位置に設けられたスプロケットを更に備え、
前記回転テーブルの外周にチェーンが設けられており、
前記回転テーブルのチェーンに前記スプロケットが接続されて、前記回転テーブルが前記スプロケットにより回転される、
請求項1乃至12のいずれか1項記載の洗浄装置。
【請求項14】
前記仕切部を上下方向に昇降自在にする昇降機構を更に備え、
前記仕切部を上に開いた状態で、前記被洗浄物を搬送し、
前記仕切部を下に閉じた状態で、前記被洗浄物の洗浄等を行う、
請求項1乃至13のいずれか1項記載の洗浄装置。
【請求項15】
前記回転テーブルの上方に被洗浄物を保持する治具を有する、
請求項1乃至14のいずれか1項記載の洗浄装置。
【請求項16】
前記回転テーブルは、水平方向に一定の幅のある円環部と、前記アームの先端と接続される円環部の内側に渡される橋部とを有し、
前記円環部の幅部分に前記第1検知部が取り付けられている、
請求項1乃至15のいずれか1項記載の洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば機械加工部品、機械加工製品、自動車用部品など、被洗浄物を洗浄するための洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、隔壁によって複数の部屋に区画された洗浄装置がある。このような洗浄装置は、被洗浄物を取り付ける部屋と、被洗浄物を洗浄する部屋と、洗浄後の被洗浄物を水切りする部屋とを備え、被洗浄物が各部屋に回転搬送される。こうした洗浄装置に関する先行技術には、例えば実開昭61-064385号(特許文献1)や特開2000-343047号公報(特許文献2)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭61-064385号公報
【特許文献2】特開2000-343047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の洗浄装置には、次のような課題がある。特許文献1の洗浄装置は、仕切板によって、交換室、予洗室、洗浄室、水洗室の下方のみが区画されているが、これでは交換室、予洗室、洗浄室、水洗室が区画されているとは言えない。すなわち、各室の下方が区画されているのみであるため、洗浄室の洗浄液や水洗室の水が他の室に飛び散るおそれがある。特に、高圧洗浄の場合、なおさらである。また、洗浄液や水に混じった屑も、他の室に飛び散るおそれがある。
【0005】
特許文献2の洗浄装置には、次のような課題がある。特許文献2の洗浄装置は、被洗浄物を回転テーブルの上で回転させながら、洗浄液などを噴射して洗浄するものであるが、昨今の複雑な部品などは、このような洗浄方法では洗浄しきれない場合がある。
【0006】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、各室を区画し、被洗浄物を洗浄、搬送可能な洗浄装置であり、複雑な部品などの洗浄にも対応した洗浄装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明に係る洗浄装置は、被洗浄物を旋回搬送して洗浄する洗浄装置であって、複数の作業室と、各作業室を区画する開閉可能に設けられた仕切部と、被洗浄物を旋回搬送する回転軸に対し径方向に延びる複数のアームと、前記複数のアームを旋回させる回転機構と、前記複数のアームの先端に取り付けられる回転テーブルとを備え、前記複数の作業室は、少なくとも、被洗浄物の着脱を行う第1作業室と、被洗浄物を洗浄する第2作業室と、被洗浄物を乾燥する第3作業室とを有し、少なくとも被洗浄物を洗浄する第2作業室に、前記回転テーブルの回転位置の位置決めを行う第1検知センサを更に備え、前記回転テーブルは、前記第1検知センサに対応する第1検知部を有することを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、第1作業室において回転テーブル上の治具等に被洗浄物を取り付け、その後仕切部を開放しアームを旋回させて第2作業室に旋回搬送し、仕切部を閉じて被洗浄物の洗浄を行い、その後仕切部を開放しアームを旋回させて第3作業室に旋回搬送し、仕切部を閉じて被洗浄物の乾燥を行い、その後仕切部を開放しアームを旋回させて第1作業室に旋回搬送し、仕切部を閉じて被洗浄物の取り外しを行うことで、被洗浄物の洗浄、乾燥を行うことができる。また、この作業を複数のテーブルで順次行うことで、効率よく複数の被洗浄物の洗浄、乾燥を行うことができる。
【0009】
また、被洗浄物の洗浄は、回転テーブルを回転させながら、洗浄室に設けられた複数の洗浄ノズルから洗浄液を噴射して全体を洗浄することや、回転テーブルを固定させて、洗浄室に設けられた複数の洗浄ノズルから被洗浄物の各部を狙って洗浄液を噴射して精密な狙い洗浄をすることができる。ここで、回転テーブルを固定して洗浄するときは、洗浄ノズルが被洗浄物の各部を確実に狙うため、回転テーブルの回転位置が重要となるところ、回転テーブルに設けられた検知部と検知センサとにより、回転テーブルの回転位置を所定の位置で停止させることができる。
【0010】
また、複数の作業室は、第1作業室と第2作業室と第3作業室に限られず、第4作業室や第5作業室があってもよく、それ以上の作業室があってもよい。作業室には、例えば、着脱室、洗浄室、水洗室、水切り室、乾燥室、高圧洗浄室、低圧洗浄室、回転洗浄室、固定洗浄室などがあり、作業室の数に応じて、これらから適宜選択してもよい。
【0011】
この洗浄装置は、前記回転テーブルの回転位置を保持する第1ストッパーを更に備え、前記第1ストッパーは先端に係合部を有し、前記回転テーブルは、前記第1ストッパーの係合部に対応する被係合部を更に有する。
【0012】
この構成によれば、上記の第1検知センサ及び第1検知部により所定の回転位置で停止できるが、更にストッパーによって回転テーブルを固定することで、精度良く被洗浄物の各部の洗浄が可能となる。加えて、ストッパーで回転テーブルを確実に固定することで、回転テーブルのがたつきなども防止でき、精度の高い洗浄が可能となる。
【0013】
この洗浄装置は、前記第1ストッパーが、少なくとも被洗浄物の洗浄を行う第2作業室に配されていて、先端に前記係合部と、該係合部を前後方向に移動可能にする駆動機構を有し、前記係合部を前記回転テーブルの前記被係合部に打ち込むことで、該回転テーブルの回転位置を保持する。
【0014】
この構成によれば、ストッパーの係合部を回転テーブルの被係合部に打ち込むことで、がっちりと回転テーブルを固定することができる。また、ストッパーの係合部が、駆動機構により前後方向に移動可能であるので、すなわち水平方向に移動可能であるので、アームや回転テーブルの回転、洗浄の邪魔にならない。
【0015】
また、この構成は、洗浄を行う第2作業室以外に、乾燥を行う第3作業室や着脱を行う第1作業室にも配されてよい。これにより、被洗浄物の各部を狙う乾燥が可能となるし、被洗浄物の着脱をロボットが行う場合などの姿勢位置を確実にできるし、回転テーブルのがたつきも防止できスムーズである。
【0016】
この洗浄装置は、前記第1検知部が、前記回転テーブルの外周部に配されている構成とすることができる。
【0017】
この洗浄装置は、前記第1検知センサが、前記回転テーブルが回転した際に、これと共に回転する前記第1検知部を検知可能な位置に設けられていることが望ましい。また、この洗浄装置は、前記第1検知センサは、前記第1検知部の回転軌道上に配置されている構成とすることができる。
【0018】
この洗浄装置は、第2検知部をさらに備え、前記第2検知部は、前記回転軸に、または前記アームの根元に、もしくは該回転軸に取り付けられ該回転軸と共に回転し、該第2検知部を載置するための載置テーブルに、設けられていて、前記回転軸が回転した際に、これと共に回転する前記第2検知部を検知可能な位置に第2検知センサが設けられている。
【0019】
この構成によれば、回転軸またはアームの根本もしくは回転軸に取り付けられた載置テーブルに設けられた第2検知部と、第2検知センサとを用いることで、アームの旋回の回転位置を所定の位置で停止させることができる。これに伴い、各回転テーブルの旋回停止位置を所定の位置で停止させることができ、洗浄や乾燥などの精度を向上できる。加えて、回転テーブルの旋回を所定の位置で停止させたうえ、前述の回転テーブルの回転停止位置の制御とで、被洗浄物の洗浄と乾燥等の作業を更に精度良く行うことが可能となる。
【0020】
この洗浄装置は、前記第2検知センサが、前記第2検知部の回転軌道上に配置されている構成とすることができる。
【0021】
この洗浄装置は、前記第2検知センサが2つ設けられていて、一方が減速であり、他方が停止である。この構成によれば、アームの旋回を、1つめの検知センサにより減速させてから、2つめの検知センサにより停止させることで、アームの旋回の停止位置をより精度良く行うことができる。加えて、減速、停止があることで、それ以外の部分の旋回速度を上げることができるので、洗浄、乾燥にかかる時間を短縮することができる。
【0022】
この洗浄装置は、前記第2検知部は、前記アームの本数と同数設けられていることが望ましい。このようにすることで、第2検知部の数がアームの本数すなわち回転テーブルの個数と同数となるので、各回転テーブルが各部屋ごとに所定位置で旋回を停止させることができる。
【0023】
この洗浄装置は、前記アームの回転を防止する第2ストッパーが設けられている。この構成によれば、第2ストッパーによってアームの旋回の停止位置を確実に固定することができる。
【0024】
この洗浄装置は、前記第2ストッパーが、被洗浄物の着脱を行う第1作業室に配されていることが望ましい。この構成によれば、洗浄を行う第2作業室や乾燥を行う第3作業室に第2ストッパーを配していないので、第2ストッパーが洗浄や乾燥の作業の邪魔にならない。
【0025】
この洗浄装置は、前記回転テーブルに対応する位置に設けられたスプロケットを更に備え、前記回転テーブルの外周にチェーンが設けられており、前記回転テーブルのチェーンに前記スプロケットが接続されて、前記回転テーブルが前記スプロケットにより回転される。
【0026】
この構成によれば、回転テーブルの外周のチェーンが、スプロケットに接続されることで、スプロケットの回転により、回転テーブルを回転させることができる。スプロケット以外の方法としては、例えば添接接合可能なプーリなどを用いてもよいし、各作業室において回転テーブルが到着する位置の下方に回転機構を配して回転テーブルが回転する構成とすることもできる。
【0027】
この洗浄装置は、前記仕切部を上下方向に昇降自在にする昇降機構を更に備え、前記仕切部を上に開いた状態で、前記被洗浄物を回転搬送し、前記仕切部を下に閉じた状態で、前記被洗浄物の洗浄等を行う。この構成によれば、仕切部を上下方向へ昇降させて仕切部を開閉できるので、開閉のためのスペースを要さず構造的にも簡略化される。
【0028】
この洗浄装置は、前記仕切部が左右一対の扉で構成され、前記左右一対の扉を開閉する開閉機構を備え、前記仕切部を開いた状態で、前記被洗浄物を搬送し、前記仕切部を閉じた状態で、前記被洗浄物の洗浄等を行う。
【0029】
この構成によれば、仕切部を左右一対の扉として観音開きのように仕切部を開閉させる構造や、蛇腹状で左右方向に伸縮可能な構造とすることもできる。これにより、上記した上下方向の仕切部の開閉の場合に比べて、仕切部の上下移動を担う機構が不要となり、洗浄装置の高さを低くすることができる。また、仕切部が左右一対の扉で構成されているため、仕切部の開閉時に被洗浄物や回転テーブルの干渉を防ぐことができる。
【0030】
この洗浄装置は、前記回転テーブルの上方に被洗浄物を保持する治具を有する。この構成によれば、治具により被洗浄物を固定することで、精度の高い洗浄や乾燥が図れる。また、治具により被洗浄物の姿勢を変更することも可能である。
【0031】
この洗浄装置は、前記回転テーブルが、水平方向に一定の幅のある円環部と、アームの先端と接続される円環部の内側に渡される橋部とを有し、前記円環部の幅部分に前記第1検知部が取り付けられている。この構成によれば、回転テーブルが円環部と橋部で構成されているため、面が全面の場合に比べて、洗浄液などの残留を抑えることができる。また、第1検知部を円環上に設けることで、回転や洗浄、乾燥の邪魔にならない。
【発明の効果】
【0032】
以上のように、本発明に係る洗浄装置によれば、仕切部によって各室が区画され、簡単な構造で被洗浄物を洗浄、乾燥が可能である。また、回転テーブルを固定する構成を備えることで、複雑な部品などの各部を精度良く洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の実施形態にかかる洗浄装置における回転テーブルの機構の概要を示す平面図である。
【
図2】本発明の実施形態にかかる洗浄装置全体の平面図である。
【
図3】本発明の実施形態にかかる洗浄装置全体の正面図である。
【
図4】本発明の実施形態にかかる洗浄装置全体の側面図である。
【
図5】本発明の実施形態にかかる洗浄装置の回転テーブルとスプロケットの噛合部を拡大して示す平面図である。
【
図7】本発明の洗浄装置の3つの実施例を示す平面概念図である。
【
図8】本発明の別の実施形態にかかる洗浄装置全体の平面図である。
【
図9】本発明の洗浄装置の仕切部の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づき説明するが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。特に、以下に説明する実施形態において、数、寸法、材質などに言及する場合、本発明の範囲は必ずしもその数、寸法、材質などに限定されない。
【0035】
<1.洗浄装置の構成>
図1~
図6は本発明の洗浄装置の実施形態の一例を示すもので、
図1は回転テーブルの回転機構の概要を示す平面図、
図2は洗浄装置全体の平面図、
図3は同正面図、
図4は同側面図であり、
図5は回転テーブルの環状噛合部とスプロケットの噛合部を拡大して示す平面図、
図6は
図5のA-A線拡大断面図であり、
図7(a)は3室タイプ、
図7(b)は4室タイプ、
図7(c)は5室タイプをそれぞれ示す平面概念図である。
【0036】
本実施形態の洗浄装置1は、
図7(a)に示すように、被洗浄物の着脱を行う着脱室2と、被洗浄物の洗浄を行う洗浄室3と、被洗浄物の乾燥を行う乾燥室4とを有する。本実施形態は、作業室が3室の一例である。なお、作業室は、3室でなくともよく、4室や5室、それ以上でもよい。例えば、着脱室、洗浄室、水洗室、水切り室、乾燥室、高圧洗浄室、低圧洗浄室などがあり、作業室の数に応じてこれらから適宜選択してもよいし、回転洗浄用の洗浄室、固定洗浄用の洗浄室など洗浄室や乾燥室が複数の構成としてもよい。
【0037】
図2に示すように、洗浄装置1は、正面の着脱室2が開放されていて、
図3のように環状枠5aを備えた円形の回転テーブル5が露出している。この回転テーブル5上には、治具が載置され、そこに被洗浄物が取り付けられる。
図2のように、上下方向に配置される回転軸6を中心に3本のアーム7が120度の間隔で放射状に配設され、各アーム7の先端部に回転テーブル5の中心部が支軸8を介して回転可能に支持されている。
【0038】
回転軸6は洗浄装置1のハウジング1aの上面を貫通して上方へ突出し、ハウジング1a上に配備されたモータ9に接続され、本例では120度ずつ間欠的に回転して停止する動作を繰り返す。本例では、モータ9とこれで駆動される回転軸6が、アーム7の回転機構を構成する。
【0039】
ハウジング1a内は、
図2のように洗浄室3と乾燥室4との2室に画成され、洗浄室3と乾燥室4との境界B、着脱室2と洗浄室3との境界Aおよび着脱室2と乾燥室4との境界Cに、仕切部11がそれぞれ配されている。
【0040】
そして、仕切部11は上下方向に昇降可能に配設され、
図3・
図4のようにハウジング1aの上面に立設されたエアシリンダ12により上方へ引き上げられて仕切りが開放され、エアシリンダ12により下降されることにより閉鎖される。なお、本実施形態においては、一例として、各エアシリンダ12はそれぞれ連動され、全ての仕切部11が一斉に昇降するようになっているが、これに限らず、エアシリンダ12の動作と仕切部11の昇降はそれぞれ個別に行う構成とすることもできる。
【0041】
回転テーブル5の外形を構成する環状枠5aの側周壁には、後述するスプロケット13が噛み合うチェーン5bが取り付けられている。一方、
図2のように、洗浄室3と乾燥室4との室内において、停止状態におけるアーム7の延長線上には、環状枠5aのチェーン5bに噛合可能なスプロケット13が設けられている。
【0042】
スプロケット13は、その中心部が上下方向に貫通する回転支軸14に一体回転可能に固定されている。本実施形態では、2本の各回転支軸14がハウジング1aの上面に配備された駆動モータに接続されており、時計方向に間欠回転するアーム7と反対方向、すなわち反時計方向に定速回転する。なお、回転方向は本実施形態の一例であり、反時計方向にアーム7が間欠回転する構成とすることもでき、アーム7と回転テーブル5の回転方向が同方向に回転する構成とすることもできる。
【0043】
図5および
図6に示すように、アーム7が120度ずつ回転して停止する直前に、定速回転しているスプロケット13に対して環状枠5aのチェーン5bが噛み合う。つまり、スプロケット13の周速と、アーム7により間欠回転される環状枠5aの移動速度とがほぼ同一の速度に設定されており、両者の噛合部ではスプロケット13の歯13aと環状枠5aのチェーン5bとの移動方向が一致し、かつほぼ同一の速度になるので、スムーズに噛み合うことができる。
【0044】
そして、アーム7が定位置で停止することにより、環状枠5aのチェーン5bに噛み合って回転するスプロケット13によって回転テーブル5は時計方向に定速で回転する。これにより、回転テーブル5上の被洗浄物が、回転しながら洗浄ノズルから噴射される洗浄液によって洗浄される。なお、チェーン5bに代えて、環状枠5aの側周壁にスプロケット13に噛み合う複数の開口を設けることとしてもよい。また、スプロケット13に代えて、たとえばプーリを使用するとともに、プーリに添接接合可能な環状の回転伝達部を備えた回転テーブルを使用することもできる。
【0045】
また、本洗浄装置1は、被洗浄物を回転テーブル5が固定された状態での洗浄が可能な構成となっている。回転テーブル5の固定状態での洗浄は、例えば、被洗浄物に孔があったりする場合など、複雑な形状の被洗浄物の洗浄に有用である。この場合、被洗浄物の孔など洗浄したい各部分に洗浄液が噴射されるように洗浄ノズルを配置する。
【0046】
そして、被洗浄物の各部分に洗浄液が正確に噴射されるように、回転テーブル5の環状枠5aには、検知ドグ16A(第1検知部)が1カ所取り付けられていて、また回転テーブル5の回転と共に回転する検知ドグ16Aの回転軌道上でこれが接する位置に検知センサ16B(第1検知センサ)が配されている。
【0047】
この構成によって、回転テーブル5が回転し、検知ドグ16Aが検知センサ16Bに接触したときに、スプロケット13の回転を停止させることで、回転テーブル5の回転が停止する構成となっている。これにより、被洗浄物の位置や向きを所定の状態で停止させることができる。
【0048】
さらに、回転テーブル5の環状枠5aには、ストッパー18(第1ストッパー)が噛み合う被係合部19が取り付けられている。ストッパー18は、被係合部19に噛み合う係合凸部18aと、これを前後方向に移動可能にするスライド機構18bとを備える。この被係合部19は、凹状に形成されていて、ストッパー18の係合凸部18aとがっちりと噛み合うようになっている。
【0049】
これにより、上記の検知センサ16Bの停止に加えて、ストッパー18によって物理的に回転テーブル5の回転を確実に停止させるとともに、回転テーブル5のがたつきなども防止して回転テーブル5の固定を確実に行う。
【0050】
このようにすることで、被洗浄物の位置と姿勢がしっかりと固定されるため、被洗浄物の各部を狙う洗浄ノズルによって、さらに、被洗浄物の各部を正確に狙う精密な洗浄ができる。
【0051】
また、洗浄室3と同様に、乾燥室4には多数のエアノズルが複数の異なる方向から被洗浄物に向くように配設されており、洗浄機外より供給された圧縮エアが被洗浄物へ向けて、エアノズルより噴射される。そして、回転テーブル5を回転させ被洗浄物を回転させながら乾燥する場合、エアノズルを被洗浄物の全体にエアが行き渡るように配置する。なお、別途コンプレッサを設けて、圧縮エアをエアノズルに供給する構成としてもよい。
【0052】
また、本洗浄装置1は、被洗浄物を回転テーブル5が固定された状態での乾燥が可能な構成となっている。回転テーブル5の固定状態での乾燥は、例えば、被洗浄物に孔があったりする場合など、複雑な形状の被洗浄物の乾燥に有用である。この場合、被洗浄物の孔など乾燥したい各部分にエアが噴射されるようにエアノズルを配置する。
【0053】
そして、洗浄の場合と同様に、回転テーブル5の環状枠5aに設けられた検知ドグ16Aと、検知センサ16Bとにより、回転テーブル5の回転を所定の位置で停止させることで、被洗浄物の位置や向きを所定の状態で停止させることができる。これにより、被洗浄物の各部分にエアが正確に噴射させることができる。加えて、前述のストッパー18と、被係合部19とにより、さらに正確に被洗浄物の各部分にエアを噴射させることができ、精密な乾燥を実現できる。
【0054】
また、回転軸6には、3本のアーム7が延在するセンターボスが固定されていて、回転軸6の回転によりアーム7が回転する。回転軸6には、円環状テーブル15(載置テーブル)が固定されていて、円環状テーブル15はアーム7とそれぞれ固定されて、アーム7のぶれを防止している。
【0055】
また、円環状テーブル15には検知ドグ17A(第2検知部)が取り付けられていて、回転軸6及び円環状テーブル15の回転と共に回転する検知ドグ17Aの回転軌道上で、これが接する位置に検知センサ17B(第2検知センサ)が配されている。なお、この検知センサ17Bは2つ、所定の間隔をあけて配されていて、1つめが減速、2つめが停止としている。
【0056】
また、円環状テーブル15は必須の構成でなく、回転軸6やアーム7のセンターボスに検知ドグ17Aが取り付けられている構成としてもよい。また、検知ドグ17Aは、各アームの根本にそれぞれ取り付けられる構成としてもよい。
【0057】
これにより、回転軸6及び円環状テーブル15と共にアーム7が回転し、検知ドグ17Aが1つめの検知センサ17Bに接触したときに、これらの回転速度が減速し、検知ドグ17Aが2つめの検知センサ17Bに接触したときに回転が停止する。この構成によって、各アーム7を洗浄室や乾燥室などにおいて所定の位置で確実に停止させることができ、さらに洗浄や乾燥の精度が向上する。
【0058】
また、各アーム7の所定位置での停止については、本実施形態の洗浄装置1に、別途L型ストッパー20(第2ストッパー)が配されている。L型ストッパー20は、アーム7の先端側を係り止めることで、回転軸6及びアーム7の回転を物理的に停止させる。L型ストッパー20は、アーム7の回転時は、アーム7の先端の軌道上よりも外側に逃がして配されていて、アーム7を停止させようとする時に、アーム7の先端側の軌道上に移動させて噛み合わせることで、アーム7の旋回を確実に停止させる。これにより、回転テーブル5を、洗浄室3や乾燥室4内の所定の位置で確実に停止させることができる。
【0059】
そして、このアーム7の旋回を所定位置で停止させることによって、回転テーブル5を所定の位置で確実に停止させる構成と、前述の回転テーブル5の回転を所定位置で停止させることによる被洗浄物の位置や向きを所定の状態で停止させる構成とにより、被洗浄物の各部を正確に狙う精密な洗浄や乾燥ができる。
【0060】
また、図示は省略するが、前述のとおり、洗浄室3には、回転テーブル5上に載置され、回転テーブル5と一体回転する治具に取り付けられた被洗浄物に向けて、複数の異なる方向から洗浄液を噴射できるように向きを変えて多数の洗浄ノズルが配設されている。
【0061】
これらの洗浄ノズルは、洗浄装置1の下部の洗浄液タンク21に配管を介して接続されており、配管の途中に介設された供給ポンプ22によりタンク21内の洗浄液が吸引され、ヒーター24で洗浄液が過熱されて、高圧下で洗浄ノズルより洗浄液が被洗浄物に向けて噴射される。また、洗浄ノズルより噴出される洗浄液は、使用後に洗浄室の下部より洗浄機外に排出されて濾過されたのちタンク21に戻る。また、タンク21内の洗浄液は、循環ろ過ポンプ23によりろ過される。なお、図中の符号25はミストコレクター、符号26はオイルスキマー、符号27はろ過フィルターである。
【0062】
ところで、上記した洗浄装置1では、各作業室2、3、4内における作業時間を、下記のように例えば2分間など所定時間に統一させるとともに、作業終了後に回転軸6によるアーム7の回転と停止およびエアシリンダ12による仕切部11の開閉動作を連動させる。
【0063】
以上のように構成される本実施例にかかる洗浄装置1においては、仕切部11や回転機構6、9などの各動作が下記のように連携させる。例えば、洗浄、乾燥をいずれも回転テーブルを回転させながら実施する場合、各スプロケット13は洗浄装置1の稼動中は常時、定速回転させる。アーム7は回転機構6、9により120度ずつ一定時間間隔で回転し、アーム7の回転開始直前に全ての仕切部11が上昇して仕切りが開放され、アーム7の停止直後に全ての仕切部11が下降して閉鎖される。
【0064】
したがって、本実施形態の洗浄装置1では、作業者は、着脱室2の前で、治具等に取り付けられた洗浄済み被洗浄物を取り外したのち、洗浄すべき被洗浄物を治具に取り付けるという作業を繰り返し継続して行うことで、2分おきに洗浄作業の終了した被洗浄物を取り出すことができる。
【0065】
治具に取り付けられる一群の被洗浄物は、2分間洗浄されたのち、エアブローが2分間行われ、治具への着脱の作業を2分と仮定すると合計時間で6分かかることになるが、上記のとおり2分ごとに洗浄作業の終了した被洗浄物を取り出せるので、1つ1つ洗浄、乾燥を行う場合に比べて1/3の時間に短縮できる。これは、被洗浄物の治具等への着脱の作業の間に、一方の洗浄室3では洗浄作業が行われ、他方の乾燥室4では乾燥作業が並行して同時に行われるためである。
【0066】
<2.洗浄装置の別の実施形態>
図8は、他の実施形態にかかる洗浄装置を示す平面図である。本例の洗浄装置1Xは、支持アーム7を4本に増やして回転機構6、9により90度ずつ回転するようにし、洗浄室3を回転洗浄用3aと固定洗浄用3bとの2室に増やして洗浄能力を高めている。乾燥室4のほか、回転用乾燥室4aと固定用乾燥室4bとにもスプロケット13を装備し、アーム7が90度回転して定位置に位置決めされるときに環状枠5aのチェーン5bがスプロケット13の歯に噛合されるようにしている。
【0067】
さらに、
図7(c)に示すように、本例の洗浄装置1Yでは2つの洗浄室に加えて、乾燥室を回転用乾燥室と固定用乾燥室の2つとした例である。この場合、着脱室を含めて円周方向に5等分し、アーム7を72度ずつ間欠回転させる。
【0068】
また、
図9(a)(b)に示すように、仕切部11を別の構造とすることもできる。例えば、
図9(a)に示す仕切部11Xは、左右一対の仕切部11Xaと11Xbとからなり、その開閉は観音開きにより行われる。
【0069】
なお、いずれの仕切部11Xもアーム7の進行方向に開く構成としており、開閉の連携は、アーム7が回転を開始すると略同時に、左右一対の仕切部11Xaと11Xbがアーム7の進行方向に徐々に開いていき、アーム7の先端の回転テーブル5が所定の位置に停止すると、仕切部11Xaと11Xbが閉じる。このようにすることで、上下に昇降する仕切部11よりも、扉の開閉にかかる時間を減縮させることで、被洗浄物の洗浄、乾燥にかかる時間を抑えることができる。
【0070】
また、その他仕切部の構造として、
図9(b)に示すように、左右一対の蛇腹状の構造として、左右方向への蛇腹の伸縮によって、仕切部を開閉する構成とすることもできる。この場合も、被洗浄物の洗浄、乾燥にかかる時間を上下昇降の場合よりも抑えることができる。
【0071】
<3.本実施形態の洗浄装置の効果>
以上説明したように、本実施形態の洗浄装置には、次のような優れた効果がある。
本実施形態の洗浄装置1は、一連の洗浄作業を構成する複数の工程を順にかつ並行して一斉に行うことができ、洗浄作業の効率および能力を極めて向上できて作業時間の短縮化が図れる。
【0072】
さらに、本実施形態の洗浄装置1は、回転テーブル5を回転させながら行う被洗浄物の全体を洗浄する回転洗浄と、回転テーブル5を停止して行う被洗浄物の各部を確実に洗浄する固定洗浄とを行うことができる。そして、固定洗浄の場合、検知ドグ16A及び検知センサ16Bや、ストッパー18及び係合部19により、回転テーブル5を所定の位置で確実に固定した状態で、各部を確実に洗浄及び乾燥をすることができる。
【0073】
加えて、検知ドグ17A及び検知センサ17B並びにL型ストッパー20により、アーム7及び回転テーブル5の停止位置も、所定の位置に確実に停止できるので、上記と相俟って、より確実に被洗浄物の各部を狙った洗浄や乾燥を確実に行うことができる。これらにより、複雑な形状の被洗浄物であっても、各部を狙った洗浄及び乾燥を確実に行うことができる。
【0074】
以上のとおり、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。例えば、作業室の数は、上記実施形態の3室に限られず、4室や5室にしてもよく、またそれ以上の室数にしてもよい。したがって、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0075】
1 洗浄装置
1a ハウジング
2 着脱室
3 洗浄室
4 乾燥室
5 回転テーブル
6 回転軸
7 アーム
8 支軸
9 モータ
11 仕切部
12 エアシリンダ
13 スプロケット
14 回転支軸
15 円環状テーブル
16A 検知ドグ(第1検知部)
16B 検知センサ(第1検知センサ)
17A 検知ドグ(第2検知部)
17B 検知センサ(第2検知センサ)
18 ストッパー(第1ストッパー)
18a 係合凸部
18b スライド機構
19 被係合部
20 L型ストッパー(第2ストッパー)