IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 矢崎総業株式会社の特許一覧 ▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社豊田自動織機の特許一覧

<>
  • 特開-電池スタック用プレート 図1
  • 特開-電池スタック用プレート 図2
  • 特開-電池スタック用プレート 図3
  • 特開-電池スタック用プレート 図4
  • 特開-電池スタック用プレート 図5
  • 特開-電池スタック用プレート 図6
  • 特開-電池スタック用プレート 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171468
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】電池スタック用プレート
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/289 20210101AFI20221104BHJP
   H01M 50/569 20210101ALI20221104BHJP
   H01M 50/298 20210101ALI20221104BHJP
   H01M 50/291 20210101ALI20221104BHJP
【FI】
H01M50/289 101
H01M50/569
H01M50/298
H01M50/291
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021078138
(22)【出願日】2021-04-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡▲崎▼ 裕太郎
(72)【発明者】
【氏名】柳原 真一
(72)【発明者】
【氏名】森岡 怜史
(72)【発明者】
【氏名】奥村 素宜
(72)【発明者】
【氏名】植田 浩生
(72)【発明者】
【氏名】守作 直人
【テーマコード(参考)】
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H040AA07
5H040AT04
5H040CC13
5H040CC14
5H040CC34
5H040DD07
5H040DD22
5H040DD26
5H040JJ03
5H043AA17
5H043BA16
5H043CA08
5H043DA27
5H043EA55
5H043HA09F
5H043JA01F
(57)【要約】
【課題】端子の脱落を抑制する電池スタック用プレートを提供すること。
【解決手段】電池スタック用プレート50は、電線85が接続される板状の接続端子80と、接続端子80が収容される収容凹部53を有する板状のハウジング51と、を備えて、収容凹部53には抜止穴54が設けられ、接続端子80は、導電性プレート40と電気的に接続される接続部83と、抜止穴54に挿入されて抜止穴54と係止される抜止片84と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線が接続される板状の端子と、前記端子が収容される収容凹部を有する板状のハウジングと、を備えた電池スタック用プレートであって、
前記収容凹部には、抜止穴が設けられ、
前記端子は、
相手側部材と電気的に接続される接続部と、
前記抜止穴に挿入されて前記抜止穴と係止される抜止片と、を有する、
電池スタック用プレート。
【請求項2】
請求項1に記載の電池スタック用プレートにおいて、
前記収容凹部は、前記抜止片が前記抜止穴に挿入される挿入向きの基端側から前記挿入向きの先端側に向かって前記ハウジングの板厚が小さくなるように傾斜する傾斜面を有し、
前記傾斜面は、前記抜止穴の開口近傍に設けられている、
電池スタック用プレート。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の電池スタック用プレートにおいて、
前記端子は、
端部に前記接続部が設けられる第一箇所と、
前記端部と反対側において前記第一箇所と連続し、前記電線が接続される第二箇所と、を有し、
前記第一箇所と前記第二箇所とが交差するL字状の形状を有する、
電池スタック用プレート。
【請求項4】
請求項3に記載の電池スタック用プレートにおいて、
前記抜止片は、前記第一箇所に設けられている、
電池スタック用プレート。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れか一項に記載の電池スタック用プレートにおいて、
前記収容凹部を覆うように前記ハウジングに装着される絶縁カバーを更に備え、
前記絶縁カバーは、
前記接続部を露出するように前記収容凹部を覆う仮係止状態と前記収容凹部の全体を覆う本係止状態との間を移動可能に構成され、
前記仮係止状態において、前記端子の少なくとも一部を覆う、ように構成される、
電池スタック用プレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池スタック用プレートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、各種の蓄電装置が提案されており、例えば、特許文献1に開示された蓄電装置は、積層された複数の蓄電モジュールと、蓄電モジュールの間に配置された複数の板状部材とを備えている。
複数の蓄電モジュール及び複数の板状部材は、一対の絶縁板の間に配置されるとともに拘束具により拘束力が加えられることにより、略直方体形状に形成された積層体(電池スタック)を構成している。
【0003】
蓄電モジュールは、樹脂枠と、複数の電池セルと、複数の集電板とを有する。板状部材は、隣り合う蓄電モジュール同士を電気的に導通する導通部分(導電性プレート)と、外周に配置された絶縁部分(電池スタック用プレート)とを有する。板状部材は、絶縁部分が蓄電装置の外周面に位置することで、蓄電装置の外周面から導電性部分が露出する露出量を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-198211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述したように構成された蓄電装置は、蓄電装置の電圧値や電流値等を検知するために検知用回路と電気的に接続されることがある。例えば、検知用回路は、板状部材に設けられた端子と接続されて、蓄電装置の電圧値や電流値を検知する。このように、板状部材には端子が設けられる必要があり、特許文献1には板状部材の絶縁部分に端子が設けられていることが開示されている。しかしながら、特許文献1には端子の設け方についての具体的な開示がされていない。
【0006】
そこで、板状部材の絶縁部分に端子を設ける方法として、例えば板状部材の絶縁部分に端子を収容可能な収容凹部を設けて、収容凹部に端子を収容させる方法が考えられる。しかしながら、収容凹部に単に端子を載置するのみでは、端子が板状部材から脱落するおそれがある。
【0007】
そこで、端子を上方から下方に向かって押さえつけるロック構造を板状部材に設けることによって、端子の脱落を抑制することが考えられる。しかしながら、板状部材は、上述したように積層された複数の蓄電モジュール間に挟装されることもあり、板状部材の板厚方向の長さには制限がありロック構造を設けること自体が困難である。
【0008】
このように、従来の蓄電装置においては、端子の脱落を抑制するように構成することが困難であった。
【0009】
本発明は、上述した状況を鑑みてなされたものであり、その目的は、端子の脱落を抑制する電池スタック用プレートの提供である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するために、本発明に係る電池スタック用プレートは、下記[1]~[5]を特徴としている。
[1]
電線が接続される板状の端子と、前記端子が収容される収容凹部を有する板状のハウジングと、を備えた電池スタック用プレートであって、
前記収容凹部には、抜止穴が設けられ、
前記端子は、
相手側部材と電気的に接続される接続部と、
前記抜止穴に挿入されて前記抜止穴と係止される抜止片と、を有する、
電池スタック用プレートであること。
[2]
上記[1]に記載の電池スタック用プレートにおいて、
前記収容凹部は、前記抜止片が前記抜止穴に挿入される挿入向きの基端側から前記挿入向きの先端側に向かって前記ハウジングの板厚が小さくなるように傾斜する傾斜面を有し、
前記傾斜面は、前記抜止穴の開口近傍に設けられている、
電池スタック用プレートであること。
[3]
上記〔1〕又は上記[2]に記載の電池スタック用プレートにおいて、
前記端子は、
端部に前記接続部が設けられる第一箇所と、
前記端部と反対側において前記第一箇所と連続し、前記電線が接続される第二箇所と、を有し、
前記第一箇所と前記第二箇所とが交差するL字状の形状を有する、
電池スタック用プレートであること。
[4]
上記[3]に記載の電池スタック用プレートにおいて、
前記抜止片は、前記第一箇所に設けられている、
電池スタック用プレートであること。
[5]
上記[1]から上記[4]の何れか一つに記載の電池スタック用プレートにおいて、
前記収容凹部を覆うように前記ハウジングに装着される絶縁カバーを更に備え、
前記絶縁カバーは、
前記接続部を露出するように前記収容凹部を覆う仮係止状態と前記収容凹部の全体を覆う本係止状態との間を移動可能に構成され、
前記仮係止状態において、前記端子の少なくとも一部を覆う、ように構成される、
電池スタック用プレートであること。
【0011】
上記[1]の構成の電池スタック用プレートについて以下に述べる。端子は、電線が接続されるとともに接続部にて相手側部材と接続される。端子は、端子に設けられた抜止片が、ハウジングの収容凹部に設けられた抜止穴に挿入されて抜止穴と係止されるように収容凹部に収容される。この結果、本構成の電池スタック用プレートは、収容凹部に端子の脱落を抑制する部材を設けることなく端子の脱落を抑制できる。
【0012】
上記[2]の構成の電池スタック用プレートについて以下に述べる。収容凹部は、挿入向きにおいて基端側から先端側に向かってハウジングの板厚が小さくなるように傾斜する傾斜面が抜止穴の開口近傍に設けられている。これにより、本構成の電池スタック用プレートは、端子の抜止片を収容凹部の傾斜面に狙って抜止穴に挿入することによって、抜止片を抜止穴に容易に挿入できる。
【0013】
上記[3]の構成の電池スタック用プレートについて以下に述べる。端子は、端部に接続部が設けられた第一箇所と、接続部が設けられた端部とは反対側において第一箇所と連続し、電線が接続される第二箇所と、を有している。そして、端子は、第一箇所と第二箇所とが交差することによってL字状の形状を有している。これにより、本構成の電池スタック用プレートは、相手側部材が位置する方向とは異なる方向に電線を引き出すことができる。
【0014】
上記[4]の構成の電池スタック用プレートについて以下に述べる。端子の抜止片は、接続部が設けられた第一箇所に設けられている。これにより、本構成の電池スタック用プレートは、接続部が収容凹部から浮き上がることが抑制されるため、抜止片が第一箇所に設けられていない場合に比べて、接続部と相手側部材との電気的な接続の信頼性に優れる。
【0015】
上記[5]の構成の電池スタック用プレートについて以下に述べる。本構成の電池スタック用プレートは、接続部を露出するように収容凹部を覆う仮係止状態と、収容凹部の全体を覆う本係止状態との間を移動可能に構成される絶縁カバーを更に備えている。絶縁カバーは、仮係止状態において、端子の少なくとも一部を覆うように構成される。これにより、本構成の電池スタック用プレートは、仮係止状態において、絶縁カバーが端子を押さえつけているため、端子の脱落が抑制される。つまり、端子は、ハウジングに絶縁カバーが装着されるまでの間においては抜止片及び抜止穴によってハウジングからの脱落が抑制され、ハウジングに絶縁カバーが装着されると抜止片及び抜止穴、並びに、絶縁カバーによってハウジングからの脱落がより適正に抑制される。
【発明の効果】
【0016】
このように、本発明によれば、端子の脱落を抑制する電池スタック用プレートを提供できる。
【0017】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の実施形態に係る電池スタックの要部分解斜視図である。
図2図2は、図1に示す電池スタック用プレートにおいて絶縁カバーが仮係止状態の斜視図である。
図3図3は、図1に示す電池スタック用プレートにおいて接続端子がハウジングに収容される様子を示す斜視図である。
図4図4は、接続端子の抜止片をハウジングの抜止穴に挿入する工程を説明する図であり、図4(a)は、図3を側方から見た図であり、図4(b)は抜止片の抜止穴への挿入当初の態様を示す図であって図4(a)に対応する図である。
図5図5は、抜止片が抜止穴に挿入完了されて接続端子がハウジングに収容された態様を示す図であって図4に対応する図である。
図6図6は、図5に示す態様を上方から見た図である。
図7図7は、図2に示す態様を上方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態>
以下、本発明に係る実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る電池スタック1の要部分解斜視図である。
【0020】
以下、説明の便宜上、図1図7に示すように、「前後方向」、「上下方向」、「幅方向」、「前」、「後」、「上」及び「下」を定義する。「前後方向」、「幅方向」及び「上下方向」は、互いに直交している。前後方向は、ハウジング51の延在方向及び電線85の引出方向と一致している。なお、前後方向の前方から後方に向かう向きは、接続端子80の抜止片84が抜止穴54に挿入される挿入向きと一致している。上下方向は、ハウジング51及び接続端子80の板厚方向と一致している。幅方向は、導電性プレート40の両側縁部と電池スタック用プレート50,60,70の嵌合溝との嵌合方向に一致している。なお、電池スタック用プレート50を導電性プレート40の側縁部に近付ける向きを「嵌合向き」という。
【0021】
図1に示すように、本実施形態に係る電池スタック1は、積層される複数枚(本例では、4枚)の蓄電モジュール10と、複数の蓄電モジュール10の間にそれぞれ配置された複数の板状部材20,30とを備えている。そして、電池スタック1は、一対の絶縁板(図示省略)の間に配置されるとともに拘束具(図示省略)によって略直方体形状に構成される。
【0022】
蓄電モジュール10は、例えば、複数の電池セルと、複数の集電板と、樹脂枠とを有した矩形平板状に構成される。電池セルは、水酸化ニッケルなどによって形成された正極合材層と、水素吸着合金などによって形成された負極合材層と、ポリオレフィン系樹脂から形成された多孔質フィルムなどから形成されたセパレータと、電解液とを有して構成される。
【0023】
なお、蓄電モジュール10は、単体の電池セルにより構成することもでき、電池セルの構成も上記構成に限らずに公知の種々の電池構成を採り得ることもできる。
【0024】
図1に示すように、本実施形態の板状部材20は、導電性プレート40と、導電性プレート40の両側縁部にそれぞれ嵌合された電池スタック用プレート50及び電池スタック用プレート60と、を備えた矩形平板状に構成される。
【0025】
本実施形態の板状部材30は、導電性プレート40と、導電性プレート40の両側縁部にそれぞれ嵌合された電池スタック用プレート50及び電池スタック用プレート70と、を備えた矩形平板状に構成される。
【0026】
導電性プレート40は、アルミニウム合金や銅などの金属によって細長い矩形板状に形成され、長手方向の両側縁部が薄い板厚の凸片状(図示省略)とされている。導電性プレート40の両側縁部は、電池スタック用プレート50の嵌合溝56及び電池スタック用プレート60,70の嵌合溝(図示省略)にそれぞれ嵌合される。
【0027】
導電性プレート40は、隣り合う蓄電モジュール10同士を電気的に導通する導通部であり、隣接する蓄電モジュール10を冷却するヒートシンクを兼ねている。
【0028】
図2は、電池スタック用プレート50の仮係止状態を示す斜視図である。図3は、接続端子80がハウジング51に収容される様子を示す斜視図である。
【0029】
本実施形態の電池スタック用プレート50は、図2及び図3に示すように、前後方向に細長い矩形板状のハウジング51と、ハウジング51に収容される接続端子80と、接続端子80の前方の端末に接続される電線85と、絶縁カバー52と、を備えている。
【0030】
本実施形態に係るハウジング51は、特に図3に示すように、上方の板面から下方に窪む収容凹部53が設けられている。収容凹部53は、接続端子80が収容される端子収容凹部53aと、電線85が収容される電線収容凹部53bと、を有している。
【0031】
端子収容凹部53aは、接続端子80の外周形状に対応する形状を有している。端子収容凹部53aには、接続端子80の抜止片84が挿入される抜止穴54が設けられている。具体的には、抜止穴54は、端子収容凹部53aの後方側の壁部から後方に向かって窪むように設けられている。
【0032】
端子収容凹部53aは、前後方向の前方から後方に向かって(即ち、挿入向きに沿って)ハウジング51の板厚が小さくなるように傾斜している傾斜面55を有している。換言すると、傾斜面55は、前方から後方に向かって下る傾斜である。傾斜面55は、抜止穴54の開口部近傍に設けられている(図4参照)。具体的には、傾斜面55は、抜止穴54の穴内に位置するように設けられている。
【0033】
端子収容凹部53aは、接続端子80の接続部83に対応する部分が幅方向に沿って切り欠かれた切欠部57を有している。切欠部57は、幅方向において嵌合溝56と同一側に位置している。換言すると、切欠部57は、嵌合向き先端側に設けられている。
【0034】
本実施形態に係る接続端子80は、図3に示すように、幅方向に沿って延びる第一箇所81と、前後方向に沿って延びるとともに第一箇所81と連続している第二箇所82と、からなる略L字状形状に構成される。
【0035】
接続端子80は、第一箇所81の嵌合向き先端側に、導電性プレート40と電気的に接続される接続部83を有している。端子収容凹部53aにおいて接続部83の下方には切欠部57が位置するため、端子収容凹部53aに接続端子80が収容されると、接続部83は下方に露出することになる。
【0036】
導電性プレート40の側縁部が電池スタック用プレート50の嵌合溝56と嵌合されると、切欠部57に導電性プレート40の側縁部が進入する。つまり、接続部83の下方に導電性プレート40の側縁部が進入するため、接続部83と導電性プレート40の側縁部とが接触して、導電性プレート40と電池スタック用プレート50とが電気的に接続される。なお、本実施形態では、導電性プレート40は相手側部材に対応している。
【0037】
接続端子80は、第一箇所81に抜止片84を更に有している。抜止片84は、抜止穴54に対応する位置に設けられ、第一箇所81の後側側縁から前後方向の後方に向かって突出するように設けられている。電池スタック用プレート50においては、抜止片84が抜止穴54に挿入されることによって、接続端子80がハウジング51から脱落することが抑制される。
【0038】
第二箇所82の前側端部には、電線85が接続されている。本実施形態の電線85は、電線収容凹部53bに収容され、前後方向に沿ってハウジング51の前方から引き出される(図1参照)。電線85は、第二箇所82と接続されている一端とは反対側の他端に、例えば電圧検知回路等が接続される。これにより、電池スタック1は電圧値等が検知される。
【0039】
図4は、接続端子80の抜止片84をハウジング51の抜止穴54に挿入する工程を説明する図であり、図4(a)は、図3を側方(紙面手前側)から見た図であり、図4(b)は抜止片84の抜止穴54への挿入当初の態様を示す図であって図4(a)に対応する図である。図5は、抜止片84が抜止穴54に挿入完了されて接続端子80がハウジング51の収容凹部53に収容された態様を示す図であって図4に対応する図である。図6は、図5に示す態様を上方から見た図である。
【0040】
図3及び図4に示すように、端子収容凹部53aへの接続端子80の収容では、抜止片84が抜止穴54に対して前後方向の前方から後方に向かって挿入される。特に図4(a)に示すように、抜止片84が第二箇所82の前端部よりも下方に位置するように接続端子80が傾斜した状態にて、抜止片84は抜止穴54に挿入される(矢印Y1参照)。
【0041】
抜止片84が抜止穴54の所定位置まで挿入されると、特に図4(b)に示すように、接続端子80は端子収容凹部53a(即ち、下方)に向けて移動される(矢印Y2参照)。このとき、例えば傾斜面55の前端縁(傾斜面55の中で最も上方に位置する端縁)を支点として接続端子80を端子収容凹部53aに向けて移動させてもよい。
【0042】
抜止片84が抜止穴54に挿入完了されて接続端子80が端子収容凹部53aに収容されると、図5及び図6に示すように、抜止片84と抜止穴54とは係止される。具体的には、特に図5に示すように、接続端子80の上側板面84aと抜止穴54の上方の壁部の穴内面54aとが上下方向に隣接する。これにより、接続端子80の上方への変位が規制される。つまり、接続端子80がハウジング51から脱落することが抑制される。
【0043】
図7は、絶縁カバー52が仮係止状態における電池スタック用プレート50を上方から見た図である。
【0044】
収容凹部53に接続端子80及び電線85が収容されると、ハウジング51には絶縁カバー52が装着される。絶縁カバー52は、接続部83を露出するように収容凹部53を覆う仮係止状態(図2及び図7参照)と収容凹部53の全体を覆う本係止状態との間を移動可能に構成される。
【0045】
図2及び図7に示すように、収容凹部53に接続端子80及び電線85が収容されると、絶縁カバー52はハウジング51に仮係止状態にて装着される。絶縁カバー52の仮係止状態においては、接続部83を除く第一箇所81及び第二箇所82の少なくとも一部が覆われている。つまり、絶縁カバー52は仮係止状態にて接続端子80の上記箇所を押さえつけている。これにより、接続端子80の上方への変位が更に規制される。つまり、接続端子80がハウジング51から脱落することがより適正に抑制される。
【0046】
<作用・効果>
本実施形態の電池スタック用プレート50によれば、接続端子80の抜止片84がハウジング51の端子収容凹部53aに設けられた抜止穴54に挿入されることによって、抜止片84と抜止穴54とが係止される。この結果、端子収容凹部53aに収容された接続端子80がハウジング51から脱落することが抑制される。
【0047】
更に、本実施形態の電池スタック用プレート50によれば、端子収容凹部53aは抜止穴54の開口近傍(本例では、穴内)に傾斜面55を有していることから、接続端子80を端子収容凹部53aに収容する際、抜止片84を傾斜面55に狙って抜止穴54に挿入することによって、抜止片84を抜止穴54に容易に挿入できる。例えば、抜止穴54に対する抜止片84の挿入角度が、傾斜面55の傾斜角度以上(且つ90度以下である)場合、抜止片84は傾斜面55に案内されて抜止穴54に挿入される。
【0048】
仮に、端子収容凹部53aが抜止穴54の開口近傍に傾斜面55を有していない場合、抜止片84が抜止穴54に挿入される際、端子収容凹部53aの板面と抜止片84とが干渉するおそれがあり、抜止片84は抜止穴54に容易に挿入されない。しかしながら、本実施形態の構成では、端子収容凹部53aには傾斜面が設けられているため、上述したように、抜止片84は抜止穴54に容易に挿入される。
【0049】
更に、本実施形態の電池スタック用プレート50によれば、接続端子80は、第一箇所81と第二箇所82とが交差することによってL字状の形状を有しているため、導電性プレート40が位置する方向とは異なる方向に電線85を引き出すことができる。
【0050】
更に、本実施形態の電池スタック用プレート50によれば、接続端子80の抜止片84が接続部83と同様に第一箇所に設けられているため、接続部83が端子収容凹部53aから浮き上がることが抑制される。これにより、抜止片84が第一箇所81に設けられていない場合に比べて、接続部83と導電性プレート40との電気的な接続の信頼性に優れる。
【0051】
加えて、抜止片84が突出している方向と電線85の引出方向とが平行であることから、抜止片84を抜止穴54に挿入する際、電線85が干渉することなく抜止片84を抜止穴54に容易に挿入できる
【0052】
更に、本実施形態の電池スタック用プレート50によれば、仮係止状態と本係止状態との間を移動可能であるとともに、仮係止状態において接続端子80の少なくとも一部を覆う絶縁カバー52を備えているため、仮係止状態にて絶縁カバー52が接続端子80を押さえつける。これにより、接続端子80は、ハウジング51に絶縁カバー52が装着されるまでの間においては抜止片84及び抜止穴54によってハウジング51からの脱落が抑制され、ハウジング51に絶縁カバー52が装着されると抜止片84及び抜止穴54、並びに、絶縁カバー52によってハウジング51からの脱落がより適正に抑制される。
【0053】
更に、本実施形態の電池スタック用プレート50によれば、ハウジング51に抜止穴54を設け且つ接続端子80に抜止片84を設けることによって、ハウジング51に接続端子80の脱落を抑制するロック構造等を設ける必要がないため、電池スタック用プレート50の低背化を図ることができ、引いては電池スタック1の小型化を図ることができる。
【0054】
<他の形態>
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0055】
ここで、上述した本発明に係る電池スタック用プレートの実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[5]に簡潔に纏めて列記する。
[1]
電線(85)が接続される板状の端子(接続端子80)と、前記端子が収容される収容凹部(53)を有する板状のハウジング(51)と、を備えた電池スタック用プレート(50)であって、
前記収容凹部(53)には、抜止穴(54)が設けられ、
前記端子(接続端子80)は、
相手側部材(導電性プレート40)と電気的に接続される接続部(83)と、
前記抜止穴(54)に挿入されて前記抜止穴と係止される抜止片(84)と、を有する、
電池スタック用プレート(50)。
[2]
上記[1]に記載の電池スタック用プレート(50)において、
前記収容凹部(53)は、前記抜止片(84)が前記抜止穴(54)に挿入される挿入向きの基端側から前記挿入向きの先端側に向かって前記ハウジング(51)の板厚が小さくなるように傾斜する傾斜面(55)を有し、
前記傾斜面(55)は、前記抜止穴(54)の開口近傍に設けられている、
電池スタック用プレート(50)。
[3]
上記〔1〕又は上記[2]に記載の電池スタック用プレート(50)において、
前記端子(接続端子80)は、
端部に前記接続部(83)が設けられる第一箇所(81)と、
前記端部と反対側において前記第一箇所(81)と連続し、前記電線(85)が接続される第二箇所(82)と、を有し、
前記第一箇所(81)と前記第二箇所(82)とが交差するL字状の形状を有する、
電池スタック用プレート(50)。
[4]
上記[3]に記載の電池スタック用プレート(50)において、
前記抜止片(84)は、前記第一箇所(81)に設けられている、
電池スタック用プレート(50)。
[5]
上記[1]から上記[4]の何れか一つに記載の電池スタック用プレート(50)において、
前記収容凹部(53)を覆うように前記ハウジング(51)に装着される絶縁カバー(52)を更に備え、
前記絶縁カバー(52)は、
前記接続部(83)を露出するように前記収容凹部(53)を覆う仮係止状態と前記収容凹部(53)の全体を覆う本係止状態との間を移動可能に構成され、
前記仮係止状態において、前記端子(接続端子80)の少なくとも一部を覆う、ように構成される、
電池スタック用プレート(50)。
【符号の説明】
【0056】
1 電池スタック
10 蓄電モジュール
20,30 板状部材
40 導電性プレート
50 電池スタック用プレート
51 ハウジング
52 絶縁カバー
53 収容凹部
53a 端子収容凹部
53b 電線収容凹部
54 抜止穴
54a 穴内面
55 傾斜面
56 嵌合溝
57 切欠部
60,70 電池スタック用プレート
80 接続端子
81 第一箇所
82 第二箇所
83 接続部
84 抜止片
84a 上側板面
85 電線
Y1 矢印
Y2 矢印
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7