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特開2022-171518超音波及び真空パルスに基づく渦流誘導の疼痛緩和装置
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  • 特開-超音波及び真空パルスに基づく渦流誘導の疼痛緩和装置 図1
  • 特開-超音波及び真空パルスに基づく渦流誘導の疼痛緩和装置 図2
  • 特開-超音波及び真空パルスに基づく渦流誘導の疼痛緩和装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171518
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】超音波及び真空パルスに基づく渦流誘導の疼痛緩和装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 7/00 20060101AFI20221104BHJP
【FI】
A61N7/00
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021133467
(22)【出願日】2021-08-18
(31)【優先権主張番号】10-2021-0056220
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】520496671
【氏名又は名称】ジョウ,デイ
【氏名又は名称原語表記】JOH, Day
【住所又は居所原語表記】#512-903 Humansia,59, Yulhaseo-ro, Dong-gu, Daegu, 41097, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100146639
【弁理士】
【氏名又は名称】船本 康伸
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ,デイ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160JJ33
4C160JJ38
4C160MM22
(57)【要約】      (修正有)
【課題】やけどや周辺組織の損傷なしに、ターゲットを治療することができる超音波発生器を提供する。
【解決手段】旋回渦流型超音波を発生させる超音波発生器、及びそれを用いた疼痛緩和装置に関し、超音波発生装置の本体110は、下面が開放され内部が中空であるラッパ状であり、その上面には、真空発生装置210が連結されてもよい。疼痛緩和装置は、旋回渦流型超音波を用いて、ターゲット周辺の細胞及び組織の生理活動を活性化することを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下面が開放され、内部が中空であるラッパ状の本体と、
前記本体の第1面に付着する第1圧電素子と、
前記本体の第1面に付着し、前記第1圧電素子から離隔する第2圧電素子と、を含むが、
前記第1圧電素子の陽極及び前記第2圧電素子の陽極に印加される電圧の周波数帯域及び強さのうち少なくとも一つを制御することを特徴とする超音波発生器。
【請求項2】
前記超音波発生器は、
前記第1圧電素子で発生する超音波の周波数帯域及び前記第2圧電素子で発生する超音波の周波数帯域が異なるか、
前記第1圧電素子で発生する超音波の振幅及び前記第2圧電素子で発生する超音波の振幅が異なることを特徴とする請求項1に記載の超音波発生器。
【請求項3】
前記第1圧電素子及び前記第2圧電素子は、圧電部、陽極、陰極を含み、
前記圧電部は、圧電性材料からなり、
前記圧電性材料は、チタン酸バリウム、ロシェル塩、水晶、石英、セラミックス、プラスチック、及びグラフェンのうち少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1に記載の超音波発生器。
【請求項4】
前記第1圧電素子の陽極及び前記第2圧電素子の陽極は、前記圧電部の外面に導電性材料がコートされて形成され、
前記第1圧電素子の陰極及び前記第2圧電素子の陰極は、導電性材料が前記圧電部の内面から外面までコートされて形成され、
前記第1圧電素子の陽極及び陰極は、前記圧電部の外面において互いに離隔し、
前記第2圧電素子の陽極及び陰極は、前記圧電部の外面において互いに離隔することを特徴とする請求項3に記載の超音波発生器。
【請求項5】
前記本体の上面には、前記本体の内部に負圧が形成されるように、真空発生装置が連結され、
前記本体の内部で真空吸着作用が生じることを特徴とする請求項1に記載の超音波発生器。
【請求項6】
前記超音波発生器は、
前記第1圧電素子で発生する超音波及び前記第2圧電素子で発生する超音波が重なり、旋回渦流(spiral vortex)型超音波が生成されることを特徴とする請求項2に記載の超音波発生器。
【請求項7】
前記超音波旋回渦流の中心部は、ターゲットに到達し、前記超音波旋回渦流の周辺部は、ターゲットの周辺に到達して、
前記ターゲット周辺の組織またはターゲット周辺の細胞単位の生理作用が活性化されることを特徴とする請求項6に記載の超音波発生器。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のうちいずれか一項に記載の超音波発生器を少なくとも一つ含むことを特徴とする疼痛緩和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、旋回渦流の生成が可能な超音波及び真空パルス発生器と、それを用いた疼痛緩和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚のしわを取り除くか癌を治療するために、高強度集束超音波(High Intensity Focused Ultrasound、HIFU)が用いられている
【0003】
高強度集束超音波は、超音波を集束して、人体の内部において温度を約70°Cまで瞬間的に上昇させ、ターゲット部分の組織や細胞を壊死させる方式である。
【0004】
このような高強度集束超音波を用いて、皮下脂肪層と筋層との間にある表在性筋膜(superficial musculoaponeurotic system、SMAS層)に熱を集束させると、コラーゲンの変性が生じてしわが消える。
【0005】
また、高強度集束超音波を腫瘍に印加する場合は、腫瘍に強い熱が加えられ、組織が空洞化し、波動が生じて腫瘍が壊死する。
【0006】
既存の高強度集束超音波は、一つのターゲットに強い熱を集束する方式であって、やけどをする恐れがあり、超音波がターゲットに正確に印加されなければ、正常細胞や正常組織が損傷するという問題があった。また、このようなシングルポイント方式による超音波の印加では、複数のターゲットを一回で治療し難く、治療時間が長くなるという問題があった。
【0007】
また、既存の高強度集束超音波は、ターゲット周辺の治療が困難であるという問題があった。既存の高強度集束超音波をターゲットに照射する場合、ターゲットの周辺部は、熱的平衡状態となり、ターゲット周辺の毛細血管における酸素の移動が難しくなり、ターゲット周辺の毛細血管において酸素の欠乏が生じるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】大韓民国登録特許第10-2094276号公報(2020年3月23日登録 皮膚美容装置)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記した問題を解決するためのものであって、本発明は、やけどや周辺組織の損傷なしに、ターゲットを治療することができる超音波発生器を提供することを、その目的とする。
【0010】
また、本発明は、ターゲット周辺部の熱的平衡を破壊して、ターゲット周辺部の毛細血管の生理作用を活性化する超音波発生器を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態による超音波発生器は、下面が開放され、内部が中空であるラッパ状の本体と、前記本体の第1面に付着する第1圧電素子と、前記本体の第1面に付着し、前記第1圧電素子から離隔する第2圧電素子と、を含んでもよい。
【0012】
また、前記第1圧電素子の陽極及び前記第2圧電素子の陽極に印加される電圧の周波数帯域及び強さのうち少なくとも一つを制御することができる。
【0013】
また、前記超音波発生器は、前記第1圧電素子で発生する超音波の周波数帯域及び前記第2圧電素子で発生する超音波の周波数帯域が異なるか、前記第1圧電素子で発生する超音波の振幅及び前記第2圧電素子で発生する超音波の振幅が異なってもよい。
【0014】
また、前記第1圧電素子及び前記第2圧電素子は、圧電部、陽極、陰極を含み、前記圧電部は、圧電性材料からなり、前記圧電性材料は、チタン酸バリウム、ロシェル塩、水晶、石英、セラミックス、プラスチック、及びグラフェンのうち少なくとも一つを含んでもよい。
【0015】
また、前記第1圧電素子の陽極及び前記第2圧電素子の陽極は、前記圧電部の外面に導電性材料がコートされて形成され、前記第1圧電素子の陰極及び前記第2圧電素子の陰極は、導電性材料が前記圧電部の内面から外面までコートされて形成され、前記第1圧電素子の陽極及び陰極は、前記圧電部の外面において互いに離隔し、前記第2圧電素子の陽極及び陰極は、前記圧電部の外面において互いに離隔してもよい。
【0016】
また、前記本体の上面には、前記本体の内部に負圧が形成されるように、真空発生装置が連結され、前記本体の内部で真空吸着作用が生じてもよい。
【0017】
また、前記超音波発生器は、前記第1圧電素子で発生する超音波及び前記第2圧電素子で発生する超音波が重なり、旋回渦流(spiral vortex)型超音波が生成されてもよい。
【0018】
また、前記超音波旋回渦流の中心部は、ターゲットに到達し、前記超音波旋回渦流の周辺部は、ターゲットの周辺に到達して、前記ターゲット周辺の組織またはターゲット周辺の細胞単位の生理作用が活性化され得る。
【0019】
本発明の一実施形態による疼痛緩和装置は、上述した超音波発生器を少なくとも一つ含んでもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、ラッパ状の本体に複数の圧電素子を付着し、前記複数の圧電素子に印加される電圧の周波数及び強さを制御して、旋回渦流型超音波を発生させる超音波発生器を用いて、肌のやけど及び周辺組織の損傷なしに、ターゲットを治療することができるという長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】超音波発生器と真空発生装置が連結されたものを示す図である。
図2】本発明の一実施形態による圧電素子を示す図である。
図3】本発明の旋回渦流型超音波を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<超音波発生器>
本発明の一実施形態による超音波発生器は、本体110及び複数の圧電部を含む。
【0023】
1.本体110
本発明の一実施形態による本体110は、内部が中空であるラッパ状である。前記本体110は、下面が開放され、本体110の下部の横断面は、ドーナツ状である。前記本体の上面及び下面は共に、断面が円形であり、前記本体の上面が本体の下面に比べて断面積が狭い。
【0024】
2.圧電素子部
本発明の超音波発生器は、複数の圧電素子121、122を含む。前記圧電素子は、前記本体110の外面に複数個で形成されてもよい。
【0025】
前記超音波発生器は、第1圧電素子121及び第2圧電素子122を含んでもよい。前記第1圧電素子121及び前記第2圧電素子122は共に、前記ラッパ状の本体110の外面に所定の距離だけ離隔して付着される。
【0026】
前記第1圧電素子121及び前記第2圧電素子122は共に、前記ラッパ状の本体の外面に付着されるように、両側面が所定の曲率を有して、下部に向かって広がる形状である。前記第1圧電素子及び第2圧電素子は、同じ形状を有し、同じ断面積を有する。
【0027】
前記第1圧電素子121及び第2圧電素子122は、同様に、陰極121b、122b、圧電部121c、122c、陽極121a、122aを含む。
【0028】
前記第1圧電素子の圧電部121cは、圧電性材料で形成される。前記圧電性材料は、チタン酸バリウム、ロシェル塩、水晶、石英、セラミックス、プラスチック、及びグラフェンのうち少なくとも一つを含んでもよい。
【0029】
前記第1圧電素子の陽極121aは、前記圧電部の外面に導電性材料でコートされて形成される。前記第1圧電素子の陰極121bは、前記圧電部121cの内面から前記圧電部121cの外面まで導電性材料が延長されて形成される。前記第1圧電素子の陽極121a及び陰極121bは、同じ材料でコートされてもよい。
【0030】
前記第1圧電素子の陽極121a及び前記第1圧電素子の陰極121bは、前記圧電部121cの外面において所定の距離だけ離隔して配置される。このとき、前記第1圧電素子の陽極121aと前記第1圧電素子の陰極121bとの間には、前記導電性材料がコートされず、前記圧電部121cの圧電性材料が、両極121a、121b間において絶縁体として作用する。
【0031】
前記第2圧電素子の圧電部122cは、圧電性材料で形成される。前記圧電性材料は、チタン酸バリウム、ロシェル塩、水晶、石英、セラミックス、プラスチック、及びグラフェンのうち少なくとも一つを含んでもよい。
【0032】
前記第2圧電素子の陽極122aは、前記圧電部の外面に導電性材料でコートされて形成される。前記第2圧電素子の陰極122bは、前記圧電部122cの内面から前記圧電部122cの外面まで導電性材料が延長されて形成される。前記第2圧電素子の陽極122a及び陰極122bは、同じ材料でコートされてもよい。
【0033】
前記第2圧電素子の陽極122a及び前記第2圧電素子の陰極122bは、前記圧電部122cの外面において、所定の距離だけ離隔して配置される。このとき、前記第2圧電素子の陽極122aと前記第2圧電素子の陰極122bとの間には、前記導電性材料がコートされず、前記圧電部122cの圧電性材料が、両極122a、122b間において絶縁体として作用する。
【0034】
前記第1圧電素子121で発生する超音波の周波数帯域及び第2圧電素子122で発生する超音波の周波数帯域が異なるように、前記第1圧電素子121の陽極121a及び前記第2圧電素子122の陽極122aに印加される電圧の周波数帯域及び/または電圧の強さを制御してもよい。
【0035】
また、前記第1圧電素子121で発生する超音波の周波数振幅及び第2圧電素子122で発生する超音波の周波数振幅が異なるように、前記第1圧電素子の陽極121a及び前記第2圧電素子の陽極122aに印加される電圧の周波数帯域及び/または電圧の強さを制御してもよい。
【0036】
上述したように、前記本体110の外面に二つの圧電素子121、122が付着されてもよいが、これは、例示であって、必ずしも二つに限られるものではなく、二つ以上の圧電素子を含むものであれば、本発明の権利範囲に属する。
【0037】
例えば、前記超音波発生器は、第1圧電素子121、第2圧電素子122、第3圧電素子(図示せず)を含んでもよい。前記第1圧電素子121、第2圧電素子122、第3圧電素子は、前記本体110の中心から1/3ずつ等しく分割されてもよい。前記第1圧電素子121乃至第3圧電素子(図示せず)は、同じ形態と面積を有して設計される。前記第1圧電素子121乃至第3圧電素子で発生する超音波は、それぞれ周波数帯域及び/または振幅が異なるように、前記第1圧電素子の陽極121a、前記第2圧電素子の陽極122a、及び第3圧電素子の陽極に印加される電圧の周波数帯域及び/または電圧の強さを制御してもよい。
【0038】
一実施形態として、第1圧電素子121には60Vが印加され、第2圧電素子122には70Vが印加され、第3圧電素子には80Vが印加されてもよい。
【0039】
複数の印加される電圧の強さ及び/または周波数帯域が異なるように制御すると、複数の圧電素子で発生する超音波の周波数帯域及び/または振幅が異なる。このように発生した複数の超音波を深部のターゲットに照射すると、周波数帯域及び振幅の異なる複数の超音波が互いに重なって干渉現象が発生する。このように周波数帯域及び振幅の異なる超音波が重なると、エネルギー平衡が崩れ、旋回渦流型超音波が生成する。
【0040】
3.真空発生装置
本発明の一実施形態によれば、前記本体110の上面には、真空発生装置210が連結されてもよい。好ましくは、本体110外部に真空ポンプ210が配置されてもよい。前記本体110の上面と前記真空ポンプとの間には、導管が連結され、前記真空ポンプ210の駆動時に発生する真空パルスが、前記導管220を介して本体110の内部の空洞へ伝えられ、前記本体110の内部の空洞に負圧がかかるようにする。この負圧によって、標的に対応する肌部位が、前記本体110の内部の空洞に吸着されるようになる。
【0041】
また、肌に負圧が加えられた状態で、複数の圧電素子で超音波が生成すると、超音波エネルギーが散らばりながら、さらに強い旋回渦流型超音波が発生する。
【0042】
前記旋回渦流型超音波がターゲットに照射されると、旋回渦流の中心部は、ターゲットに到達し、旋回渦流の周辺部は、ターゲットの周辺部に到達する。前記旋回渦流型超音波がターゲットに照射されると、ターゲットの周辺部では、超音波キャビテーションが生じて、ターゲットの周辺部にナノ単位の微細気泡が発生する。すなわち、ターゲットに旋回渦流型超音波が印加されると、ターゲットの周辺部における毛細血管の内部では、ナノ単位の微細気泡が発生する。このように発生した微細気泡により、毛細血管の生理作用が活性化される。
【0043】
また、旋回渦流型超音波は、高強度集束超音波よりも低い温度を有する超音波がターゲットに到達するので、やけどをする恐れがない。
【0044】
<疼痛緩和装置>
本発明の一実施形態による疼痛緩和装置は、上述した超音波発生器を少なくとも一つ含んでもよい。好ましくは、前記疼痛緩和装置は、上述した超音波発生器を複数個含んでもよい。前記複数の超音波発生器を、それぞれ異なる勾配で傾けて、さらに強い旋回渦流型超音波が発生するようにしてもよい。
【0045】
前記疼痛緩和装置は、炎症性疼痛または癌性疼痛に用いられ得る。
図1
図2
図3