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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171522
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】医療用チューブ
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/08 20060101AFI20221104BHJP
【FI】
A61M16/08 300
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021143120
(22)【出願日】2021-09-02
(31)【優先権主張番号】110115694
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】501296612
【氏名又は名称】南亞塑膠工業股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】NAN YA PLASTICS CORPORATION
【住所又は居所原語表記】NO.201,TUNG HWA N.RD.,TAIPEI,TAIWAN
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】廖徳超
(72)【発明者】
【氏名】袁敬堯
(72)【発明者】
【氏名】鄭文瑞
(72)【発明者】
【氏名】鐘敏帆
(57)【要約】
【課題】
本発明は、医療用チューブを提供する。
【解決手段】
前記医療用チューブは、内部にガスが通過するためのガス通路が形成された中空ボディを含む。前記中空ボディは、熱可塑性ポリエステルエラストマーで形成され、前記熱可塑性ポリエステルエラストマーの総重量を100重量%として、前記熱可塑性ポリエステルエラストマーは、50~70重量%のハードセグメント及び30~50重量%のソフトセグメントを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にガスが通過するためのガス通路が形成された中空ボディを含み、
前記中空ボディは、熱可塑性ポリエステルエラストマーで形成され、前記熱可塑性ポリエステルエラストマーの総重量を100重量%として、前記熱可塑性ポリエステルエラストマーは、50~70重量%のハードセグメント及び30~50重量%のソフトセグメントを含む、医療用チューブ。
【請求項2】
前記ハードセグメントは、芳香族ポリエステルで構成され、前記ソフトセグメントは、脂肪族ポリエステル又は脂肪族ポリエーテルで構成される、請求項1に記載の医療用チューブ。
【請求項3】
前記ハードセグメントを構成する前記芳香族ポリエステルは、ポリブチレンテレフタレート及びポリエチレンテレフタレートからなる群から選択される、請求項2に記載の医療用チューブ。
【請求項4】
前記ソフトセグメントは、前記脂肪族ポリエーテルで構成され、前記脂肪族ポリエーテルは、ポリテトラメチレンエーテルグリコール及びポリエチレングリコールからなる群から選択される、請求項2に記載の医療用チューブ。
【請求項5】
前記中空ボディは、外管壁と内管壁を含み、前記内管壁は前記ガス通路を囲み、前記外管壁には外凸部を有する、請求項1に記載の医療用チューブ。
【請求項6】
前記外凸部は、前記中空ボディの軸方向に沿ってらせん状に巻かれるように設置される、請求項5に記載の医療用チューブ。
【請求項7】
前記外凸部及び前記中空ボディが一体成型される、請求項5に記載の医療用チューブ。
【請求項8】
前記内管壁は、平滑な表面である、請求項5に記載の医療用チューブ。
【請求項9】
前記中空ボディの厚さは、100~600μmであり、前記医療用チューブでの24時間当たりの凝結量は、2.000g/cmより少ない、請求項1に記載の医療用チューブ。
【請求項10】
前記中空ボディの管壁の厚さは、10μm以上100μm未満であり、前記医療用チューブでの1時間当たりの凝結量は、0.005g/cmより少ない、請求項1に記載の医療用チューブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用チューブに関し、特に、患者へガスを送気する、及び/又は患者からガスを排気する、医療用チューブに関する。
【背景技術】
【0002】
医療用チューブは、機器または装置と連通することで、通路を形成するか、若しくは循環ループを更に形成することによって、患者にガスを供給する、及び/又は患者からガスを排気する役割を果たせる。例えば、医療用チューブは、人工呼吸器(ventilator)または麻酔器(anesthesia machine)に連通させることができる。
【0003】
たとえば、従来の人工呼吸器を使用する場合には、加湿器(humidifier)に連通することによって、ガスを人体に輸送する前に、加熱処理及び加湿処理を行い、最後に処理したガスが医療用チューブを介して人体に送気されることは一般的である。加湿器に接続することにより、患者の内臓の脱水を防止すると共に、術後回復時間を短縮することができる。
【0004】
しかしながら、現在市販されている医療用チューブは、一般的に断熱効果が低いので、医療用チューブの長さにつれて、処理したガスの温度が低下する。ガスの温度が下がると、ガスの飽和湿度も下がり、その結果、ガスを輸送する過程において、医療用チューブの内壁面に凝縮水が形成されやすくなり、管路が詰まることに繋がり、また、凝縮水の形成による細菌の繁殖が起こすこともある。
【0005】
凝縮水の形成を回避する手段としては、医療用パイプの長さを短くすることで、ガス供給時間を短縮すると共に熱損失を減らすこと、若しくは、医療用パイプの外に断熱スリーブ(thermal insulation sleeve)を取り付けることで、温度の降下速度を緩やかにすることが挙げられる。ただし、医療用チューブの長さを短くすることや、断熱スリーブを取り付けることはいずれも、医療用チューブの使いやすさの低下に繋がる。また、断熱スリーブは医療用チューブの曲げ性にも悪影響を及ぼすので、従来の医療用チューブは未だ改善する余地がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする技術の課題は、従来技術の不足に対し、医療用チューブを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の技術的課題を解決するために、本発明が採用する一つの技術的手段は、医療用チューブを提供することである。医療用チューブは、内部にガスが通過するためのガス通路が形成された中空ボディを含む。中空ボディは、熱可塑性ポリエステルエラストマーで形成され、熱可塑性ポリエステルエラストマーの総重量を100重量%として、熱可塑性ポリエステルエラストマーは、50~70重量%のハードセグメント及び30~50重量%のソフトセグメントを含む。
【0008】
本発明の一つの実施形態において、ハードセグメントは、芳香族ポリエステルで構成され、ソフトセグメントは、脂肪族ポリエステル又は脂肪族ポリエーテルで構成される。
【0009】
本発明の一つの実施形態において、ハードセグメントを構成する芳香族ポリエステルは、ポリブチレンテレフタレート及びポリエチレンテレフタレートからなる群から選択される。
【0010】
本発明の一つの実施形態において、ソフトセグメントは、脂肪族ポリエーテルで構成され、脂肪族ポリエーテルは、ポリテトラメチレンエーテルグリコール及びポリエチレングリコールからなる群から選択される。
【0011】
本発明の一つの実施形態において、中空ボディは、外管壁と内管壁を含み、内管壁はガス通路を囲み、外管壁には外凸部を有する。
【0012】
本発明の一つの実施形態において、外凸部は、中空ボディの軸方向に沿ってらせん状に巻かれるように設置される。
【0013】
本発明の一つの実施形態において、外凸部及び中空ボディが一体成型される。
【0014】
本発明の一つの実施形態において、内管壁は、平滑な表面である。
【0015】
本発明の一つの実施形態において、中空ボディの厚さは、100~600μmであり、医療用チューブでの24時間当たりの凝結量は、2.000g/cmより少ない。
【0016】
本発明の一つの実施形態において、中空ボディの管壁の厚さは、10μm以上100μm未満であり、医療用チューブでの1時間当たりの凝結量は、0.005g/cmより少ない。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る医療用チューブは、「前記中空ボディは、熱可塑性ポリエステルエラストマーで形成される」、「前記熱可塑性ポリエステルエラストマーの総重量を100重量%として、前記熱可塑性ポリエステルエラストマーは、50~70重量%のハードセグメント及び30~50重量%のソフトセグメントを含む」といった技術特徴により、医療用チューブの通気性を改良することで、医療用チューブでの凝結量を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る医療用チューブと、人工呼吸器、加湿器及び呼吸装置とを組み合わせて使用する模式図である。
図2】本発明の第一実施形態に係る医療用チューブの部分断面模式図である。
図3】本発明の第二実施形態に係る医療用チューブの部分断面模式図である。
図4】本発明の第三実施形態に係る医療用チューブの部分断面模式図である。
図5】本発明の第四実施形態に係る医療用チューブの断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の特徴及び技術内容がより一層分かるように、以下の本発明に関する詳細な説明と添付図面を参照されたい。しかし、提供される添付図面は参考と説明のために提供するものに過ぎず、本発明の請求の範囲を制限するためのものではない。
【0020】
以下、所定の具体的な実施態様によって「医療用チューブ」を説明し、当業者は、本明細書に開示された内容に基づいて本発明の利点と効果を理解することができる。本発明は、他の異なる具体的な実施態様によって実行または適用でき、本明細書における各細部についても、異なる観点と用途に基づいて、本発明の構想から逸脱しない限り、各種の修正と変更を行うことができる。また、事前に説明するように、本発明の添付図面は、簡単な模式的説明であり、実際のサイズに基づいて描かれたものではない。以下の実施形態に基づいて本発明に係る技術内容を更に詳細に説明するが、開示される内容によって本発明の保護範囲を制限することはない。また、本明細書において使用される「または」という用語は、実際の状況に応じて、関連して挙げられる項目におけるいずれか1つまたは複数の組み合わせを含むことがある。
【0021】
図1に示すように、本発明に係る医療用チューブ1は、人工呼吸器7、加湿器8及び呼吸装置9(respirator)とを組み合わせて使用されることができる。医療用チューブ1は、人工呼吸器7と加湿器8と呼吸装置9との間に連通されるように設置され、且つ人工呼吸器7と、加湿器8と、呼吸装置9と共に循環ループを構成する。
【0022】
実際に操作する時に、人工呼吸器7は、特定の成分を含む乾燥ガスを送気し、乾燥ガスは、医療用チューブ1を介して加湿器8へ送気される。加湿器8は、ガスを加温することによって、ガスの温度を人体の温度に近くにさせると共に、ガスの湿度を増加することができる。加湿器8で処理したガスは、医療用チューブ1を介して患者の呼吸に供給されるように呼吸装置9へ送気される。また、患者が吐いたガスは、医療用チューブ1を介して人工呼吸器7へ送気されることによって、患者からガスを排気するように作用する。
【0023】
本発明に係る医療用チューブ1は、好ましい通気性を有することから、医療用チューブ1におけるガスの温度が下がることによって、飽和湿度も下がった後に、過剰の水蒸気分子は、医療用チューブ1を透過して外部へ拡散することができ、水蒸気の全てが医療用チューブ1で凝縮水として形成されることはない。よって、本発明に係る医療用チューブ1は、従来の医療用チューブの悪い断熱効果による、医療用チューブの内壁面に凝縮水が形成されやすい問題を改善することができる。
【0024】
具体的に、温度が下がった後に、医療用チューブ1における過剰の水蒸気はまず、医療用チューブ1の内管壁に付着し、次に、医療用チューブ1の管壁を透過して外部へ散逸して、医療用チューブ1での水蒸気量を低減できる。このように、過剰の水蒸気が全て、医療用チューブ1の内部に凝縮水が形成されることを回避できる。
【0025】
図2に示すように、図2は、本発明に係る医療用チューブ1の部分断面模式図である。本発明に係る医療用チューブ1は、内部にガスが通過するためのガス通路(gas conduit)100が形成された中空ボディ10を含む。中空ボディ10は、外管壁101と内管壁102を含み、中空ボディ10の内管壁102はガス通路100を囲む。
【0026】
中空ボディ10が可撓性を有することにより、使いやすさを向上する。中空ボディ10は、透明、半透明又は非透明であってもよく、操作者がガス通路100において汚染物質が存在する否かを観察できるか、若しくは水溜りを排除する必要があるか否かを観察できる点から、好ましくは透明又は半透明である。ガス通路100は、略円筒形の通路であるが、本発明はこれに制限されるものではなく、ガス通路100は、四角柱形状や三角柱形状など、他の幾何学的形状の通路であってもよい。
【0027】
中空ボディ10は、熱可塑性ポリエステルエラストマー(thermoplastic polyester elastomer,TPEE)であり、熱可塑性ポリエステルエラストマーは、優れた加工性を有し、射出成形、インフレーション成形又は押出成形などの製造方法に適用する。また、熱可塑性ポリエステルエラストマーは、ゴムの柔軟性と弾性、及びエンジニアリングプラスチックの剛性と化学安定性の両方を有する。
【0028】
本発明に係る熱可塑性ポリエステルエラストマーは、ハードセグメントとソフトセグメントとが交互に並んで構成されたブロック共重合体(block copolymer)であり、特定のハードセグメント(hard segment)及びソフトセグメント(soft segment)を選択すると共に、ハードセグメントとソフトセグメントとの重量比を制御して重合を行うことにより、本発明に係る熱可塑性ポリエステルエラストマーを得られる。
【0029】
熱可塑性ポリエステルエラストマーの総重量を100重量%として、熱可塑性ポリエステルエラストマーは、50~70重量%のハードセグメント及び30~50重量%のソフトセグメントを含む。好ましくは、熱可塑性ポリエステルエラストマーにおけるハードセグメントの重量%は、ソフトセグメントの重量%より多い。より好ましくは、熱可塑性ポリエステルエラストマーは、55~65重量%のハードセグメント及び35~45重量%のソフトセグメントを含む。
【0030】
本発明において、熱可塑性ポリエステルエラストマーにおけるハードセグメントは、芳香族ポリエステルで構成される。なかでも、芳香族ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジオール、若しくは芳香族ジカルボン酸と脂環族ジオールを共重縮合して形成される。芳香族ジカルボン酸は、ベンゼンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸又はナフタレンジカルボン酸であってもよいが、これらに制限されるものではない。脂肪族ジオールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール又はヘキサンジオールであってもよいが、これらに制限されるものではない。脂環族ジオールは、シクロヘキサンジオールであってもよいが、これらに制限されるものではない。
【0031】
1つの好ましい実施形態において、ハードセグメントを構成する芳香族ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate,PET)及びポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate,PBT)からなる群から選択されるが、これらに制限されるものではない。
【0032】
熱可塑性ポリエステルエラストマーにおけるソフトセグメントは、脂肪族ポリエステル又は脂肪族ポリエーテルで構成される。なかでも、脂肪族ポリエステルは、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオール、若しくは脂肪族ジカルボン酸と脂環族ジオールを共重縮合して形成される。脂肪族ポリエーテルは、脂肪族ジオールを共重縮合して形成されるか、若しくはアルキレンオキサイドと脂肪族ジオールを開環重合して形成される。脂肪族ジカルボン酸は、プロピオン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸又はラウリン酸であってもよいが、これらに制限されるものではない。脂肪族ジオールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール又はヘキサンジオールであってもよいが、これらに制限されるものではない。脂環族ジオールは、シクロヘキサンジオールであってもよいが、これに制限されるものではない。アルキレンオキサイドは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド又はテトラヒドロフランであってもよいが、これらに制限されるものではない。具体的に、ソフトセグメントの数平均分子量は、500~5000であり、好ましくは、1000~4000である。
【0033】
1つの好ましい実施形態において、ソフトセグメントは、脂肪族ポリエーテルで構成され、脂肪族ポリエーテルは、エチレングリコール(polyethylene glycol,PEG)及びポリテトラメチレンエーテルグリコール(polytetramethylene ether glycol,PTMEG)からなる群から選択されるが、これらに制限されるものではない。
【0034】
熱可塑性ポリエステルエラストマーを合成する時に、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとを予めに混合して縮合反応を行うこと、脂肪族ジカルボン酸と脂環族ジオールとを予めに混合して縮合反応を行うこと、若しくは、アルキレンオキサイドと脂環族ジオールとを予めに混合して開環重合反応を行うことにより、前駆体樹脂組成物を得られる。次に、前記ハードセグメントの合成に必要なモノマー(例えば、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジオール又は脂環族ジオール)を、前駆体樹脂組成物に投入して、重合反応が完了した後に、本発明に係る熱可塑性ポリエステルエラストマーを得られる。前記熱可塑性ポリエステルエラストマーの製造工程は、あくまでも説明するためのものであり、本発明はこれに制限されるものではない。
【0035】
[第一実施形態]
図2に示すように、第一実施形態に係る医療用チューブ1は、蛇管(corrugated tube)である。中空ボディ10の外管壁101には、中空ボディ10と一体成型された外凸部11を有し、中空ボディ10の内管壁102には、中空ボディ10と一体成型された内凸部12を有する。具体的に、外凸部11及び内凸部12はそれぞれ、位置が互いに対応するように、中空ボディ10の互いに反対する両側に形成されると共に、外凸部11と内凸部12は、中空ボディ10の軸方向に沿って同様のピッチ(pitch)でらせん状に巻かれるように成形される。
【0036】
中空ボディ10の管壁の厚さは、50~600μmであることによって、医療用チューブ1は、適切な通気性を有し、医療用チューブ1での凝縮水の生成を低減できると共に、医療用チューブ1に対する空気漏れ試験規格を満たす(ISO 5367:2000)。
【0037】
第一実施形態において、医療用チューブ1の製造方法は、予めに重合を行うことで本発明に係る特定のハードセグメント及びソフトセグメントを含む熱可塑性ポリエステルエラストマーを製造し、シートとなるようにプラスすることである。そして、熱可塑性ポリエステルエラストマーのシートは、金型に巻かれて、ホットプレス、溶融及び離型の工程を行った後に、本発明に係る医療用チューブ1を完成することができる。
【0038】
[第二実施形態]
図3に示すように、第二実施形態に係る医療用チューブ1は、もう一つの蛇管であり、第二実施形態の中空ボディ10は、第一実施形態の中空ボディ10と類似しており、即ち、中空ボディ10の外管壁101には、中空ボディ10と一体成型された外凸部11を有するが、第一実施形態との相違点は、第二実施形態の中空ボディ10の内管壁102は、平滑な表面であることにある。
【0039】
このように、中空ボディ10の内管壁102が平滑な表面である時に、水蒸気は付着して凝縮水が形成されにくく、代わりに、過剰の水蒸気は、中空ボディ10の外部へ拡散することから、従来の中空ボディ10の悪い断熱効果による、中空ボディ10の内管壁102に凝縮水が形成されやすい問題を改善することができる。
【0040】
[第三実施形態]
図4に示すように、第三実施形態に係る医療用チューブ1は、更にもう一つの蛇管であり、第三実施形態の中空ボディ10は、第二実施形態の中空ボディ10と類似しており、即ち、中空ボディ10の外管壁101には、中空ボディ10と一体成型された外凸部11を有し、中空ボディ10の内管壁102は、平滑な表面であるが、第二実施形態との相違点は、第三実施形態の外凸部11は、中空ボディ10の外管壁101に同様のピッチで平行に形成された複数の環状体を含むことにある。
【0041】
[第四実施形態]
図5に示すように、第四実施形態に係る医療用チューブ1は、スパイラルチューブ(spiral tube)である。中空ボディ10の外管壁101に、らせん状に巻かれた外凸部11が設置され、外凸部11は、中空ボディ10の軸方向に沿って同様のピッチ(pitch)でらせん状に巻かれるように設置される。中空ボディ10の内管壁102は、平滑な表面である。1つの好ましい実施形態において、外凸部11は、中空ボディ10と一体成型されてもよい。
【0042】
中空ボディ10の管壁の厚さは、10μm以上100μm未満である。第四実施形態において、中空ボディ10の管壁が薄く、医療用チューブ1に十分の機械的強度を付与するために、外凸部11が、中空ボディ10を支持することと、中空ボディ10の形状を維持する役割を果たせる。
【0043】
第四実施形態において、医療用チューブ1の製造方法は、予めに重合を行うことで本発明に係る特定のハードセグメント及びソフトセグメントを含む熱可塑性ポリエステルエラストマーを製造して、シートとなるようにプラスすることである。次に、熱可塑性ポリエステルエラストマーのシートが金型に巻かれて、外凸部11は、中空ボディ10の軸方向に沿って同様のピッチ(pitch)でらせん状に巻かれるように中空ボディ10の外管壁101に設置されることにより、中空ボディ10を支持し且つ中空ボディ10の形状を維持する役割を果たせる。
【実施例0044】
[実験データの測定]
本発明に係る医療用チューブは、良好な通気性を有し、凝結量を低減できることを証明するために、本発明の第二実施形態に係る医療用チューブを、人工呼吸器及び加湿器と連通して、実際に使用される状況を模倣することにより、比較試験を行う。
【0045】
実施例1~3の医療用チューブの材料は、熱可塑性ポリエステルエラストマーで形成され、なかでも、ハードセグメントはPBTであり、ソフトセグメントはPEGであると共に、ハードセグメント:ソフトセグメントの重量%は、60:40である。比較例1の医療用チューブの材料は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(ethylene-vinyl acetate copolymer,EVA)であり、市販の医療用チューブの材料と同一である。実施例1~3及び比較例1の医療用チューブの材料、中空ボディの管壁の厚さ及び24時間当たりの凝結量は、表1に示す通りである。
【0046】
人工呼吸器のパラメータについて、換気頻度が毎分12回であり、給気量が毎回600mL(ミリリットル)であり、給気時間及び排気時間はそれぞれ1秒及び4秒であり、排気後の圧力は、5水柱センチメートル(cm HO)であると共に、給気されたガスは21%の酸素を含む。加湿器のパラメータについて、目標温度が35.5℃でありながら、絶対湿度を30 mg/Lに保持する。実験を行う時に、外部の温度が23~26℃であると共に、外部の相対湿度が40~60%である。
【0047】
【表1】
【0048】
表1の結果によると、本発明に係る医療用チューブ1は確かに、より優れた通気性を有する。医療用チューブ1の管壁の厚さが100~600μmである時に、24時間当たりの凝結量は、3.000g/cmより少ない。好ましくは、医療用チューブ1の管壁の厚さが100~600μmである時に、24時間当たりの凝結量は、2.000g/cmより少ない。より好ましくは、医療用チューブ1の管壁の厚さが100~600μmである時に、24時間当たりの凝結量は、1.800g/cmより少ない。
【0049】
また、第四実施形態に係る医療用チューブを、70℃の温水が入ったカップと連通させることにより、実際に使用される状況を模倣することにより、比較試験を行う。実施例4の医療用チューブ1は、熱可塑性ポリエステルエラストマーで形成され、なかでも、ハードセグメントはPBTであり、ソフトセグメントはPEGであると共に、ハードセグメント:ソフトセグメントの重量%は、60:40である。比較例2の医療用チューブの材料は、発泡ポリエステルであり、市販の医療用チューブの材料と同一である。実施例4及び比較例2の医療用チューブの材料、中空ボディの管壁の厚さ及び1時間当たりの凝結量は、表2に示す通りである。
【0050】
【表2】
【0051】
表2の結果によると、本発明に係る医療用チューブ1は確かに、より好ましい通気性を有する。医療用チューブ1の管壁の厚さが10μm以上100μm未満である時に、1時間当たりの凝結量は、0.005g/cmより少ない。好ましくは、医療用チューブ1の管壁の厚さが10μm以上100μm未満である時に、1時間当たりの凝結量は、0.004g/cmより少ない。より好ましくは、医療用チューブ1の管壁の厚さが10μm以上100μm未満である時に、1時間当たりの凝結量は、0.003g/cmより少ない。
【0052】
なお、本発明に係る医療用チューブは、より優れた通気性を有することで凝縮水の生成を低減できることだけでなく、医療用チューブに関する規格試験を満たす。規格試験は、空気漏れ試験(ISO 5367:2000)、引張試験(ISO 5367:2000)、湿度試験(ISO 8185:2007)、相溶性試験(ISO 5367:2000)及び抵抗値試験(ISO 5367:2000)を含む。
【0053】
[実施形態による有利な効果]
本発明の一つ有利な効果としては、本発明に係る医療用チューブ1は、「前記中空ボディ10は、熱可塑性ポリエステルエラストマーで形成される」、「前記熱可塑性ポリエステルエラストマーの総重量を100重量%として、前記熱可塑性ポリエステルエラストマーは、50~70重量%のハードセグメント及び30~50重量%のソフトセグメントを含む」といった技術特徴により、医療用チューブ1の通気性を改良することで、医療用チューブ1の凝結量を低減できる。
【0054】
更に言うと、本発明に係る医療用チューブ1は、「前記ハードセグメントは、芳香族ポリエステルで構成され、前記ソフトセグメントは、脂肪族ポリエステル又は脂肪族ポリエーテルで構成される」といった技術特徴により、医療用チューブ1に良好な通気性を付与することで、医療用チューブ1を使用する時の凝結量を低減できる。
【0055】
以上に開示された内容は、ただ本発明の好ましい実行可能な実施態様であり、本発明の請求の範囲はこれに制限されない。そのため、本発明の明細書及び図面内容を利用して成される全ての等価な技術変更は、いずれも本発明の請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
1…医療用チューブ
10…中空ボディ
100…ガス通路
101…外管壁
102…内管壁
11…外凸部
12…内凸部
7…人工呼吸器
8…加湿器
9…呼吸装置
図1
図2
図3
図4
図5