(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171523
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】車両及び設置方法
(51)【国際特許分類】
B65G 1/14 20060101AFI20221104BHJP
E04H 6/12 20060101ALI20221104BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20221104BHJP
【FI】
B65G1/14 Z
E04H6/12 A
G06Q50/10
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021148194
(22)【出願日】2021-09-10
(62)【分割の表示】P 2021078001の分割
【原出願日】2021-04-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】522154700
【氏名又は名称】パーキングラボ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】松原 高司
(72)【発明者】
【氏名】山田 智裕
【テーマコード(参考)】
3F022
5L049
【Fターム(参考)】
3F022FF24
3F022MM01
5L049CC13
(57)【要約】
【課題】機械式駐車装置の利活用を促進する技術を改善する。
【解決手段】駐車スペースに設置されると駐車スペースを収納スペースとして機能させる車両20であって、物品を収納可能な1つ以上の収納部21と、地面に接している状態で車両20を移動可能に支持する支持部22と、作業者又はコンピュータによる操作を受け付ける操作部23と、を備え、車両20が駐車スペースに位置する状態で操作部23に対する操作が行われると、支持部22による車両20の移動が制限されることにより車両20が駐車スペースに載置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車スペースに設置されると前記駐車スペースを収納スペースとして機能させる車両であって、
物品を収納可能な1つ以上の収納部と、
地面に接している状態で前記車両を移動可能に支持する支持部と、
作業者又はコンピュータによる操作を受け付ける操作部と、
を備え、
前記車両が駐車スペースに位置する状態で前記操作部に対する操作が行われると、前記支持部による前記車両の移動が制限されることにより前記車両が前記駐車スペースに載置される、車両。
【請求項2】
請求項1に記載の車両であって、
前記車両が前記駐車スペースに位置する状態で前記操作部に対する前記操作が行われると、前記支持部が地面から離れることにより、前記支持部による前記車両の移動が制限される、車両。
【請求項3】
請求項1に記載の車両であって、
前記支持部は1つ以上のタイヤを含み、
前記車両が前記駐車スペースに位置する状態で前記操作部に対する前記操作が行われると、少なくとも1つのタイヤが変形することにより、前記支持部による前記車両の移動が制限される、車両。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一項に記載の車両であって、
機械式駐車場の搬器上に設置されると前記搬器を駐車スペースではなく収納スペースとして機能させ、
前記車両が前記搬器上に位置する状態で前記操作部に対する前記操作が行われると、前記搬器に対して前記車両を固定する固定部を更に備える、車両。
【請求項5】
請求項4に記載の車両であって、
前記固定部は、前記操作部に対する前記操作に応じて、前記搬器に設けられた壁面を押圧することにより、前記搬器に対して前記車両を固定する、車両。
【請求項6】
請求項1から5の何れか一項に記載の車両であって、
前記1つ以上の収納部が設置される床部を更に備え、
前記床部は、少なくとも1軸方向の寸法を調整可能な調整機構を有する、車両。
【請求項7】
駐車スペースに設置されると前記駐車スペースを収納スペースとして機能させる車両の設置方法であって、
前記車両は、物品を収納可能な1つ以上の収納部と、地面に接している状態で前記車両を移動可能に支持する支持部と、作業者又はコンピュータによる操作を受け付ける操作部と、を備え、
前記設置方法は、
前記車両を駐車スペースに移動させること、及び
前記車両が前記駐車スペースに位置する状態で前記操作部に対する操作が行われると、前記支持部による前記車両の移動が制限されることにより前記車両を前記駐車スペースに載置すること
を含む、設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両及び設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機械式駐車装置の利活用を促進する技術が知られている。例えば特許文献1には、車両以外の物品を収納する物品収納手段を有する立体格納庫が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
機械式駐車装置の利活用を促進する技術には改善の余地があった。
【0005】
かかる事情に鑑みてなされた本開示の目的は、機械式駐車装置の利活用を促進する技術を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る車両は、
駐車スペースに設置されると前記駐車スペースを収納スペースとして機能させる車両であって、
物品を収納可能な1つ以上の収納部と、
地面に接している状態で前記車両を移動可能に支持する支持部と、
作業者又はコンピュータによる操作を受け付ける操作部と、
を備え、
前記車両が駐車スペースに位置する状態で前記操作部に対する操作が行われると、前記支持部による前記車両の移動が制限されることにより前記車両が前記駐車スペースに載置される。
【0007】
本開示の一実施形態に係る方法は、
駐車スペースに設置されると前記駐車スペースを収納スペースとして機能させる車両の設置方法であって、
前記車両は、物品を収納可能な1つ以上の収納部と、地面に接している状態で前記車両を移動可能に支持する支持部と、作業者又はコンピュータによる操作を受け付ける操作部と、を備え、
前記設置方法は、
前記車両を駐車スペースに移動させること、及び
前記車両が前記駐車スペースに位置する状態で前記操作部に対する操作が行われると、前記支持部による前記車両の移動が制限されることにより前記車両を前記駐車スペースに載置することを含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一実施形態によれば、機械式駐車装置の利活用を促進する技術が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の一実施形態に係る機械式駐車装置及び車両の概略構成を示すブロック図である。
【
図2】車両が機械式立体駐車場の搬器上に位置する状態を示す模式図である。
【
図3】車両が搬器に載置及び固定される動作を説明する図である。
【
図5】実施形態の変形例において、車両が搬器に載置及び固定される動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について説明する。
【0011】
(実施形態の概要)
図1及び
図2を参照して、本開示の実施形態に係る機械式駐車装置10及び車両20の概要について説明する。
【0012】
機械式駐車装置10は、例えばマンション等の集合住宅の敷地内に設置され、機械式立体駐車場として機能する。機械式駐車装置10は、自動車が駐車するための複数の搬器11を備える。各搬器11は、概略として板状の部材である。各搬器11の上に自動車が駐車され得る。すなわち、各搬器11は自動車用の駐車スペースとして利用される。複数の搬器11のそれぞれは、機械式駐車装置10内を移動することによって、搬器11に駐車している自動車を搬送する。複数の搬器11による自動車の搬送方式として、例えば地上多段方式、ピット多段方式、昇降横行方式、垂直循環方式、又はエレベータ方式等、任意の搬送方式が採用可能である。
【0013】
車両20は、後述するように物品の収納手段を有する車両である。車両20は、例えば動力源を備えない軽車両であるが、これに限られない。
図2に示すように、車両20は、機械式駐車装置10の搬器11上に設置されることによって、当該搬器11を駐車スペースではなく収納スペースとして機能させる。「収納スペース」は、自動車とは異なる様々な物品を収納可能なスペースである。例えば機械式駐車装置10が集合住宅の敷地内に設置されている場合、集合住宅の入居者が利用していない空き駐車スペースに車両20が設置されることによって、例えば当該空き駐車スペースを入居者向けの収納スペースとして利用可能となる。
【0014】
ここで本実施形態の概要について説明し、詳細については後述する。機械式駐車装置10の搬器11上に設置されると当該搬器11を駐車スペースではなく収納スペースとして機能させる車両20は、内部に物品を収納可能な1つ以上の収納部21と、地面に接している状態で車両20を移動可能に支持する支持部22と、作業者の操作を受け付ける操作部23と、を備える。そして車両20は、搬器11上に位置する状態で操作部23に対する操作が行われると、支持部22による車両20の移動が制限されることにより搬器11に載置される。
【0015】
したがって本実施形態によれば、作業者は、機械式駐車装置10に車両20を入庫した後に操作部23を操作するだけで、車両20を搬器11上に設置可能である。本実施形態によれば、車両20を搬器11上に設置する作業者の作業負担が軽減可能となる点で、機械式駐車装置10の利活用を促進する技術が改善される。
【0016】
また本実施形態によれば、作業者は、搬器11上に車両20を設置した後、操作部23を再び操作するだけで、車両20の移動の制限を解消し車両20を出庫させることができる。本実施形態によれば、例えば機械式駐車装置10のメンテナンスを実施するために、搬器11上から車両20を一時的に撤去する作業者の作業負担が軽減可能となる点で、機械式駐車装置10の利活用を促進する技術が更に改善される。
【0017】
次に、
図2から
図4を参照して、車両20の構成について詳細に説明する。
【0018】
(車両の構成)
図2に示すように、車両20は、1つ以上の収納部21と、支持部22と、操作部23と、床部24と、通路部25と、を備える。また
図3に示すように、車両20は、固定部26を更に備えてもよい。
【0019】
収納部21は、物品を収納可能な部材である。例えば
図2に示す収納部21は、物品を収納可能な内部空間を有し、施錠可能なストレージボックスである。しかしながら、ストレージボックスに限られず、例えば自転車用のスタンド等、物品を収納可能な任意の部材が、収納部21として採用可能である。
【0020】
床部24は、各収納部21が固定的に設置される床として機能する部材である。床部24は、例えば金属を用いて形成されるがこれに限られず、収納部21を設置するのに十分な剛性を有する任意の材質で形成可能である。
【0021】
本実施形態において床部24は、少なくとも1軸方向に寸法を調整可能な調整機構を有する。例えば
図4に示す床部24は、第1部材24a及び第2部材24bを含み、略平板状の格子構造を有する。床部24の格子構造の上面側に、各収納部21が設置される。第1部材24aは、例えば中空パイプを含んで構成され、中空パイプの内部に第2部材24bの一部が挿入されている。第1部材24aである中空パイプから第2部材24bを引き出す長さを調整することによって、床部24の幅方向(
図4において左右方向)の寸法が調整可能である。床部24は、第1部材24aと第2部材24bを締結する締結部材を更に備えてもよい。床部24の寸法の調整は、機械式駐車装置10に車両20が設置される前に実施可能であってもよく、設置された後に実施可能であってもよい。床部24が調整機構を有する構成によれば、例えば機械式駐車装置10に車両20を設置する際に、搬器11の寸法に合わせて車両20の寸法を現場で調整可能となる。したがって、搬器11の寸法に合わせて車両20を製造する必要がなく、車両20の製造コストが低減可能となる点で、機械式駐車装置10の利活用を促進する技術が更に改善される。なお、調整機構は
図4に示す例に限られず、例えばスライドレール又はパンタグラフ等、任意の機械構造体を用いて実現可能である。
【0022】
通路部25は、人間が歩行可能な通路として機能する部材である。例えば
図2及び
図3に示すように、通路部25は、床部24のうち収納部21が設置されていない領域を覆うように敷設される板状の部材である。通路部25は、例えば金属又は硬質ゴムを用いて形成されるがこれらに限られず、人間が乗った際の安全性を確保するのに十分な剛性を有する任意の材質で形成可能である。
【0023】
操作部23は、作業者による操作を受け付ける部材である。例えば
図2に示す操作部23は、時計周り又は反時計回りに回転可能なハンドルである。以下、操作部23であるハンドルを時計回りに回す操作を「第1操作」といい、反時計回りに回す操作を「第2操作」ともいう。後述するように、操作部23に対する第1操作又は第2操作に連動して、支持部22及び固定部26が駆動する。なお、ハンドルに限られず、例えばレバー又は電気的スイッチ等、作業者による操作を受け付ける任意の部材が、操作部23として採用可能である。ハンドル以外の部材が操作部23として採用される場合、第1操作及び第2操作の具体的内容は、採用された部材に応じて決定可能である。
【0024】
支持部22は、地面に接している状態で車両20を移動可能に支持する1つ以上の部材である。例えば
図2に示す支持部22は、複数のボールローラである。しかしながら、ボールローラに限られず、例えば車輪及びタイヤ等、地面に接している状態で車両20を移動可能に支持する任意の部材が、支持部22として採用可能である。
図2に示す例では、搬器11には、後述するように車両20の床部24が接触する座面に、自動車の車輪間隔に合わせて2つの溝12が設けられている。支持部22は、床部24よりも下方に突出しており、搬器11に設けられた溝12の底面に接している。
【0025】
床部24の下方に突出する支持部22の突出長さは、操作部23に対する操作に応じて変化する。本実施形態では、操作部23に対する第1操作が行われると、床部24に対する支持部22の突出長さが短くなる。例えば、車両20が搬器11上に位置する状態(例えば、
図2に示す状態)で第1操作が行われると、支持部22が搬器11の溝12の底面から離れ、床部24が搬器11の座面に接触する。その結果、支持部22による車両20の移動が制限されることにより、車両20が搬器11の座面に載置された状態(例えば、
図3に示す状態)になる。一方、操作部23に対する第2操作が行われると、床部24に対する支持部22の突出長さが長くなる。例えば、上述のように車両20が搬器11に載置された状態(例えば、
図3に示す状態)で第2操作が行われると、支持部22が搬器11の溝12の底面に接触し、更に床部24が搬器11の座面から離れる。その結果、支持部22による車両20の移動の制限が解消され、搬器11に対して車両20が移動可能に支持された状態(例えば、
図2に示す状態)になる。
【0026】
固定部26は、車両20が搬器11上に位置する状態で操作部23に対する操作が行われると、搬器11に対して車両20を固定する1つ以上の部材である。搬器11に対して車両20が固定されることによって、搬器11上に設置される車両20の安定性が向上する。
図3に示す例では、固定部26は、例えば硬質ゴムを用いて構成された2つの弾性部材であって、床部24の下方に設けられる。車両20が搬器11に載置された状態において、固定部26は搬器11の溝12の底面から離れている。
【0027】
本実施形態では、車両20が搬器11上に位置する状態で操作部23に対する第1操作が行われると、まず車両20が搬器11に載置され、続いて搬器11に対して車両20が固定される。すなわち、第1操作に応じて車両20の載置と固定が連続して実施される。一方、搬器11に対して車両20が固定された状態で操作部23に対する第2操作が行われると、まず搬器11に対する車両20の固定が解消され、続いて搬器11に対して車両20が移動可能に支持される。すなわち、第2操作に応じて車両の固定と載置が連続して解消される。以下、具体的に説明する。
【0028】
車両20の幅方向(
図3において、左右方向)における2つの弾性部材の位置は、操作部23に対する操作に応じて変化する。本実施形態では、操作部23に対する第1操作が行われると、2つの弾性部材は車両20の幅方向外側に向かってそれぞれ移動する。例えば、車両20が搬器11上に位置する状態(例えば、
図2に示す状態)で第1操作が行われると、まず支持部22の駆動により車両20が搬器11に載置された状態(例えば、
図3に示す状態)になり、その後2つの弾性部材が搬器11の溝12の壁面13を車両20の幅方向外側に向かって押圧することにより、搬器11に対して車両20が固定される。一方、操作部23に対する第2操作が行われると、2つの弾性部材は車両20の幅方向内側に向かってそれぞれ移動する。例えば、上述のように搬器11に対して車両20が固定された状態で第2操作が行われると、まず2つの弾性部材が搬器11の溝12の壁面13から離れることによって搬器11に対する車両20の固定が解消され、その後支持部22が搬器11の溝12の底面に接触し、更に床部24が搬器11の座面から離れる結果、搬器11に対して車両20が移動可能に支持された状態(例えば、
図2に示す状態)になる。なお、搬器11に対する車両20の固定には、押圧による上記手法に限られず、例えば固定部26が搬器11に対して係止又は嵌合される等、任意の手法が採用可能である。
【0029】
以上述べたように、本実施形態に係る車両20は、機械式駐車装置10の搬器11上に設置されると当該搬器11を駐車スペースではなく収納スペースとして機能させる。車両20は、内部に物品を収納可能な1つ以上の収納部21と、地面に接している状態で車両20を移動可能に支持する支持部22と、作業者の操作を受け付ける操作部23と、を備える。そして車両20は、搬器11上に位置する状態で操作部23に対する操作が行われると、支持部22による車両20の移動が制限されることにより搬器11に載置される。
【0030】
かかる構成によれば、作業者は、機械式駐車装置10に車両20を入庫した後に操作部23を操作するだけで、車両20を搬器11上に設置可能である。本実施形態によれば、車両20を搬器11上に設置する作業者の作業負担が軽減可能となる点で、機械式駐車装置10の利活用を促進する技術が改善される。
【0031】
また作業者は、搬器11上に車両20を設置した後、操作部23を再び操作するだけで、車両20の移動の制限を解消し車両20を出庫させることができる。本実施形態によれば、例えば機械式駐車装置10のメンテナンスを実施するために、搬器11上から車両20を一時的に撤去する作業者の作業負担が軽減可能となる点で、機械式駐車装置10の利活用を促進する技術が更に改善される。
【0032】
本開示を諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び改変を行ってもよいことに注意されたい。したがって、これらの変形及び改変は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部又は各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部又はステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0033】
例えば、上述した実施形態の変形例において、機械式駐車装置10は無線送電装置を更に備え、車両20は無線受電装置、蓄電池、照明装置、及び空調装置を備えてもよい。具体的には、車両20の無線受電装置は、機械式駐車装置10の無線送電装置から受信した電力を蓄電池に蓄積する。照明装置及び空調装置は、例えば収納部21の収納空間内部に設けられ、蓄電池からの電力で駆動する。実施形態の当該変形例によれば、機械式駐車装置10から車両20に有線で電力が供給される構成と比較して、電力供給が途絶えてしまう可能性が低減する。具体的には、有線で電力が供給される構成では、例えば機械式駐車装置10の内部で搬器11が移動する際に電源ケーブルが断線する等の不都合が発生し電力供給が途絶えてしまう可能性がある。これに対して実施形態の上記変形例によれば、機械式駐車装置10から車両20に無線で電力が供給されるので、上記の不都合が発生しない。
【0034】
また例えば、上述した実施形態において、車両20が備える収納部21、支持部22、操作部23、床部24、通路部25、及び固定部26のうち2つ以上の構成部が一体的に形成されてもよい。
【0035】
また、上述した実施形態において、通路部25が、床部24のうち収納部21が設置されていない領域を覆うように敷設される例について説明した。しかしながら、例えば収納部21の内部に通路部25が設けられてもよい。典型的には、車両20が、例えば床部24と同等の広さを有する比較的大きな1つの収納部21を備える場合において、通路部25は、収納部21の内部に入り込んだ人間が歩いて移動し得る領域に敷設され得る。
【0036】
また、上述した実施形態において、操作部23が操作者による操作を受け付ける例について説明した。しかしながら、操作部23は、人ではなくコンピュータによる操作を受け付けてもよい。具体的には、操作部23は、例えば赤外線若しくはBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信、又はWifi(登録商標)等の無線LAN等の無線通信規格に対応する通信インタフェースを備える。操作部23は、通信インタフェースを介して、例えばPC(Personal Computer)、スマートフォン、タブレット端末、ハンディターミナル、又はサーバ等のコンピュータから操作コマンドを受信することにより、当該コンピュータによる操作を受け付ける。そして操作部23は、受け付けた操作に応じて、支持部22及び固定部26のそれぞれに設けられたアクチュエータを制御し、支持部22及び固定部26を駆動する。このように、操作部23、支持部22、及び固定部26は電動式であってもよい。
【0037】
また、上述した実施形態において、操作部23に対する操作に応じて支持部22が搬器11から物理的に離れることにより、支持部22による車両20の移動が制限される例について説明した。しかしながら、支持部22が1つ以上のタイヤを備え、操作部23に対する操作に応じて少なくとも1つのタイヤが変形することにより、支持部22による車両20の移動が制限されてもよい。
【0038】
タイヤの変形には、任意の手法が採用可能である。一例において、支持部22は、タイヤの内圧を保持する弁と、タイヤに空気を送り込むポンプと、を備える。弁及びポンプは、作業者が操作部23に加える力で駆動してもよく、或いは電動式であってもよい。操作部23に対して第1操作が行われると、当該弁が開くことで、少なくとも1つのタイヤの内圧が減少する。タイヤ圧が減圧され円形ではなくなることによって、支持部22による車両20の移動が制限され得る。一方、操作部23に対して第2操作が行われると、ポンプがタイヤ内に空気を送り込むことで、タイヤの内圧が増加する。タイヤ圧が増圧されタイヤが円形に戻ることによって、支持部22による車両20の移動の制限が解消され得る。
【0039】
他の例において、支持部22は、タイヤの表面を押圧する押圧部材を備える。押圧部材は、例えばタイヤを幅方向又は上下方向に押圧する任意の機械構造体を有する。当該機械構造体は、作業者が操作部23に加える力で駆動してもよく、或いは電動式であってもよい。操作部23に対して第1操作が行われると、押圧部材によってタイヤが押圧される。タイヤが押圧され円形ではなくなることによって、支持部22による車両20の移動が制限され得る。一方、操作部23に対して第2操作が行われると、押圧部材によるタイヤの押圧を解消される。タイヤの押圧が解消されタイヤが円形に戻ることによって、支持部22による車両20の移動の制限が解消され得る。
【0040】
また、上述した実施形態において、操作部23に対する操作に応じて支持部22が搬器11から物理的に離れることにより、支持部22による車両20の移動が制限される例について説明した。しかしながら、支持部22が1組以上のタイヤ及び車輪と、当該車輪の回転を係止する係止部材と、を備え、操作部23に対する操作に応じて、車輪のスポークの間に係止部材が差し込まれることにより、支持部22による車両20の移動が制限されてもよい。具体的には、操作部23に対して第1操作が行われると、係止部材が少なくとも1つの車輪のスポークの間に差し込まれるように移動する。差し込まれた係止部材と車輪のスポークとが干渉し車輪が回転方向において係止されることによって、支持部22による車両20の移動が制限され得る。一方、操作部23に対して第2操作が行われると、車輪のスポークの間から係止部材が抜き取られるように移動することによって、支持部22による車両20の移動の制限が解消され得る。なお係止部材は、作業者が操作部23に加える力で駆動してもよく、或いは電動式であってもよい。
【0041】
また、上述した実施形態において、自動車の車輪間隔に合わせて2つの溝12が搬器11に設けられている例について説明した。しかしながら、搬器11の構成は当該例に限られない。例えば、搬器11に溝12が設けられていなくてもよい。
図5を参照して、本開示の実施形態の変形例について説明する。
図5に示す搬器110は、略板状の部材であって、幅方向の両端のそれぞれにおいて底面から上方に向かって壁面13が形成されている。また、車両20の固定部260は、床部24の下方ではなく、床部24の幅方向端部に設けられている。当該変形例によれば、上述した実施形態と同様に、固定部260によって搬器110に対して車両20が固定される。
【0042】
具体的には、操作部23に対する第1操作が行われると、固定部260の2つの弾性部材は車両20の幅方向外側に向かってそれぞれ移動する。例えば、車両20が搬器110上に位置する状態(例えば、
図5に示す状態)で第1操作が行われると、まず支持部22の駆動により車両20が搬器110に載置された状態になり、その後2つの弾性部材が搬器110の壁面13を車両20の幅方向外側に向かって押圧することにより、搬器110に対して車両20が固定される。一方、操作部23に対する第2操作が行われると、固定部260の2つの弾性部材は車両20の幅方向内側に向かってそれぞれ移動する。例えば、上述のように搬器110に対して車両20が固定された状態で第2操作が行われると、まず2つの弾性部材が搬器110の壁面13から離れることによって搬器110に対する車両20の固定が解消され、その後支持部22が搬器110の座面に接触し、更に床部24が搬器110の座面から離れる結果、搬器11に対して車両20が移動可能に支持された状態になる。
【0043】
或いは、搬器11は、溝12も壁面13も設けられていない板状の部材であってもよい。具体的には、搬器11は、例えば鉄等の磁性体材料で形成される。搬器11は、板状の部材であって、上述した実施形態に係る溝12も壁面13も有さなくてよい。また、車両20の固定部26は、弾性部材に代えて少なくとも1つの磁石を、床部24の底面又は下方において有する。当該変形例によれば、支持部22の駆動により車両20が搬器110に載置された状態になると同時に、固定部26の磁石によって搬器11に対して車両20が固定される。
【0044】
また、上述した実施形態において、車両10が、機械式駐車装置10の搬器11上に設置されると当該搬器11を駐車スペースではなく収納スペースとして機能させる例について説明した。しかしながら、車両10は、機械式駐車装置10の搬器11に限られず、任意の駐車スペースに設置可能であってもよい。具体的には、車両10は、例えば自走式駐車場の駐車スペース、路上駐車場の駐車スペース、又は路外駐車場の駐車スペース等に設置されると、当該駐車スペースを収納スペースとして機能させる。
【符号の説明】
【0045】
10 機械式駐車装置
11、110 搬器
12 溝
13 壁面
20 車両
21 収納部
22 支持部
23 操作部
24 床部
24a 第1部材
24b 第2部材
25 通路部
26、260 固定部
【手続補正書】
【提出日】2021-11-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車スペースに設置されると前記駐車スペースを収納スペースとして機能させる車両であって、
物品を収納可能な1つ以上の収納部と、
地面に接している状態で前記車両を移動可能に支持する支持部と、
作業者又はコンピュータによる操作を受け付ける操作部と、
を備え、
前記車両が駐車スペースに位置する状態で前記操作部に対する操作が行われると、前記支持部による前記車両の移動が制限されることにより前記車両が前記駐車スペースに載置される、車両。
【請求項2】
請求項1に記載の車両であって、
前記車両が前記駐車スペースに位置する状態で前記操作部に対する前記操作が行われると、前記支持部が地面から離れることにより、前記支持部による前記車両の移動が制限される、車両。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両であって、
機械式駐車場の搬器上に設置されると前記搬器を駐車スペースではなく収納スペースとして機能させ、
前記車両が前記搬器上に位置する状態で前記操作部に対する前記操作が行われると、前記搬器に対して前記車両を固定する固定部を更に備える、車両。
【請求項4】
請求項3に記載の車両であって、
前記固定部は、前記操作部に対する前記操作に応じて、前記搬器に設けられた壁面を押圧することにより、前記搬器に対して前記車両を固定する、車両。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の車両であって、
前記車両が前記搬器上に位置する状態で前記操作部に対する前記操作が行われると、前記車両の前記搬器に対する載置及び固定が連続して実施される、車両。
【請求項6】
請求項3に記載の車両であって、
前記固定部は、少なくとも1つの磁石を有しており、前記操作部に対する前記操作に応じて、前記少なくとも1つの磁石と前記搬器に含まれる磁性体材料との間に働く磁力により、前記搬器に対して前記車両を固定する、車両。
【請求項7】
請求項3、4、又は6に記載の車両であって、
前記車両が前記搬器上に位置する状態で前記操作部に対する前記操作が行われると、前記車両の前記搬器に対する載置及び固定が同時に実施される、車両。
【請求項8】
駐車スペースに設置されると前記駐車スペースを収納スペースとして機能させる車両の設置方法であって、
前記車両は、物品を収納可能な1つ以上の収納部と、地面に接している状態で前記車両を移動可能に支持する支持部と、作業者又はコンピュータによる操作を受け付ける操作部と、を備え、
前記設置方法は、
前記車両を駐車スペースに移動させること、及び
前記車両が前記駐車スペースに位置する状態で前記操作部に対する操作が行われると、前記支持部による前記車両の移動が制限されることにより前記車両を前記駐車スペースに載置すること
を含む、設置方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0043】
或いは、搬器11は、溝12も壁面13も設けられていない板状の部材であってもよい。具体的には、搬器11は、例えば鉄等の磁性体材料で形成される。搬器11は、板状の部材であって、上述した実施形態に係る溝12も壁面13も有さなくてよい。また、車両20の固定部26は、弾性部材に代えて少なくとも1つの磁石を、床部24の底面又は下方において有する。磁石は、永久磁石であってもよく、電磁石であってもよい。当該変形例によれば、支持部22の駆動により車両20が搬器110に載置された状態になると同時に、固定部26の磁石によって搬器11に対して車両20が固定される。