IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社G-FLEXの特許一覧

<>
  • 特開-外国語スピーキング学習システム 図1
  • 特開-外国語スピーキング学習システム 図2
  • 特開-外国語スピーキング学習システム 図3
  • 特開-外国語スピーキング学習システム 図4
  • 特開-外国語スピーキング学習システム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171538
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】外国語スピーキング学習システム
(51)【国際特許分類】
   G09B 5/06 20060101AFI20221104BHJP
   G09B 7/02 20060101ALI20221104BHJP
   G09B 19/00 20060101ALI20221104BHJP
   G09B 19/04 20060101ALI20221104BHJP
   G09B 19/06 20060101ALI20221104BHJP
   G06F 3/16 20060101ALI20221104BHJP
   G10L 15/00 20130101ALI20221104BHJP
   G06Q 50/20 20120101ALI20221104BHJP
【FI】
G09B5/06
G09B7/02
G09B19/00 G
G09B19/04
G09B19/06
G06F3/16 650
G06F3/16 680
G10L15/00 200E
G06Q50/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021192606
(22)【出願日】2021-11-27
(31)【優先権主張番号】P 2021076898
(32)【優先日】2021-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】521197324
【氏名又は名称】株式会社G-FLEX
(74)【代理人】
【識別番号】100172465
【弁理士】
【氏名又は名称】東谷 勉
(72)【発明者】
【氏名】矢田 剛
【テーマコード(参考)】
2C028
5L049
【Fターム(参考)】
2C028AA03
2C028AA06
2C028BA03
2C028BB01
2C028BB06
2C028BC01
5L049CC34
(57)【要約】
【課題】言語構造が日本語と大きく異なる英語などの外国語のスピーキングを効率的、効果的に学習することができる、外国語スピーキング学習システムを提供すること。
【解決手段】学習対象である外国語において、講師がYes/No疑問文および肯定文または否定文での返答指示を発話した音声を質問音声データとして格納する質問音声データベースと、質問音声データ抽出部と、質問音声出力部と、フルセンテンスの正解テキストデータを格納する正解テキストデータベースと、返答音声入力部と、音声データをテキストデータに変換する返答データ変換部と、返答テキストデータが、正解テキストデータと一致する場合、正解であると判定し、一致しない場合、不正解であると判定する返答正否判定部と、判定結果音声出力部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
学習対象である外国語において、Yes/No疑問文および、このYes/No疑問文に対する肯定文または否定文での返答指示について講師が発話した音声を質問音声データとして格納する質問音声データベースと、
この質問音声データベースに格納された前記質問音声データについてのYes/No疑問文および、このYes/No疑問文に対する肯定文または否定文での返答指示に対応付けられた肯定文または否定文のフルセンテンスの正解文のテキストデータを、あらかじめ正解テキストデータとして格納する正解テキストデータベースと、
前記質問音声データベースに格納された前記質問音声データを抽出する質問音声データ抽出部と、
この質問音声データ抽出部により抽出された質問音声データの記録する音声を出力する質問音声出力部と、
この質問音声出力部により出力された音声のYes/No疑問文および、このYes/No疑問文に対する肯定文または否定文での返答指示に対し生徒が発話した返答の音声を返答音声データとして入力する返答音声入力部と、
前記返答音声入力部に入力された返答音声データを返答テキストデータとしてテキストデータに変換する返答データ変換部と、
この返答データ変換部により変換された前記返答テキストデータが、前記正解テキストデータと一致する場合、生徒の返答は正解であると判定し、前記正解テキストデータと一致しない場合、生徒の返答は不正解であると判定する返答正否判定部と、
この返答正否判定部が判定した判定結果を音声として出力する判定結果音声出力部および/または前記返答正否判定部が判定した判定結果を映像として表示する判定結果映像表示部と、を備える、外国語スピーキング学習システム。
【請求項2】
前記返答データ変換部により変換された前記返答テキストデータと前記正解テキストデータが日本人特有の発音で発話することに起因して誤変換され一致しない場合における前記返答テキストデータを、前記正解テキストデータと対応付けて誤変換テキストデータとして格納する誤変換テキストデータベースを備え、
前記返答正否判定部が前記返答テキストデータと前記正解テキストデータが一致しない場合において、前記返答テキストデータが前記誤変換テキストデータベースに、前記正解テキストデータに対応付けられて格納された、前記誤変換テキストデータと一致する場合、前記返答正否判定部は生徒の返答は正解であると判定し、前記誤変換テキストデータのいずれとも一致しない場合、前記返答正否判定部は生徒の返答は不正解であると判定する、請求項1に記載の外国語スピーキング学習システム。
【請求項3】
前記質問音声データベースが第一の質問音声データと第二の質問音声データとを格納しており、
前記質問音声出力部が前記第一の質問音声データを出力した後、前記第一の質問音声データについてのYes/No疑問文に対して生徒が返答した場合において、前記返答正否判定部が前記第一の質問音声データについてのYes/No疑問文に対する生徒の返答を不正解であると判定する場合、前記判定結果音声出力部が判定結果の音声を出力した後、および/または前記判定結果映像表示部が判定結果の映像を表示した後、前記質問音声出力部に前記第一の質問音声データの音声を再度出力する指示を出し、前記返答正否判定部が前記第一の質問音声データのYes/No疑問文に対する生徒の返答を正解であると判定する場合、前記判定結果音声出力部が判定結果の音声を出力した後、および/または前記判定結果映像表示部が判定結果の映像を表示した後、前記質問音声出力部に前記第二の質問音声データの音声を出力する指示を出す音声出力指示部を備える、請求項1または請求項2に記載の外国語スピーキング学習システム。
【請求項4】
前記第二の質問音声データについてのYes/No疑問文が、前記第一の質問音声データについてのYes/No疑問文に修飾句を付加したYes/No疑問文であり、前記第一の質問音声データについてのYes/No疑問文よりも前記第二の質問音声データについてのYes/No疑問文の方が、より長いセンテンスからなる、請求項3に記載の外国語スピーキング学習システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日本語とは言語構造の異なる外国語のスピーキング学習システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、英会話を学習するための装置や方法については種々の提案がなされている。例えば、特許文献1に開示されるように、パソコンのディスプレイに映し出された映像と、この映像に同期した音声を用いて英会話の学習を行う学習装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-295466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、英語は言語構造が日本語とは大きく異なる。日本語は主語を省くことが多く、動詞は最後まで出てこない。英語は通常主語を省くことがなく、動詞は主語の次に出てくる。日本人は、リーディングに比べてスピーキングを苦手とする傾向があるが、英語と日本語の言語構造の違いが、大きな苦手要因の一つとなっている。
【0005】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、言語構造が日本語と大きく異なる英語などの外国語のスピーキングを効率的、効果的に学習することができる外国語スピーキング学習システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題を解決するための本発明の技術的手段は、以下に示す点を特徴とする。
【0007】
本発明の一実施形態の外国語スピーキング学習システムは、学習対象である外国語において、Yes/No疑問文および、このYes/No疑問文に対する肯定文または否定文での返答指示について講師が発話した音声を質問音声データとして格納する質問音声データベースと、この質問音声データベースに格納された質問音声データについてのYes/No疑問文および、このYes/No疑問文に対する肯定文または否定文での返答指示に対応付けられた肯定文または否定文のフルセンテンスの正解文のテキストデータを、あらかじめ正解テキストデータとして格納する正解テキストデータベースと、質問音声データベースに格納された質問音声データを抽出する質問音声データ抽出部と、この質問音声データ抽出部により抽出された質問音声データの記録する音声を出力する質問音声出力部と、この質問音声出力部により出力された音声のYes/No疑問文および、このYes/No疑問文に対する肯定文または否定文での返答指示に対し生徒が発話した返答の音声を返答音声データとして入力する返答音声入力部と、返答音声入力部に入力された返答音声データを返答テキストデータとしてテキストデータに変換する返答データ変換部と、この返答データ変換部により変換された返答テキストデータが、正解テキストデータと一致する場合、生徒の返答は正解であると判定し、正解テキストデータと一致しない場合、生徒の返答は不正解であると判定する返答正否判定部と、この返答正否判定部が判定した判定結果を音声として出力する判定結果音声出力部および/または返答正否判定部が判定した判定結果を映像として表示する判定結果映像表示部と、を備える。
【0008】
本発明の一実施形態の外国語スピーキング学習システムは、返答データ変換部により変換された返答テキストデータと正解テキストデータが日本人特有の発音で発話することに起因して誤変換され一致しない場合における返答テキストデータを、正解テキストデータと対応付けて誤変換テキストデータとして格納する誤変換テキストデータベースを備え、返答正否判定部が返答テキストデータと正解テキストデータが一致しない場合において、返答テキストデータが誤変換テキストデータベースに、正解テキストデータに対応付けられて格納された、誤変換テキストデータと一致する場合、返答正否判定部は生徒の返答は正解であると判定し、誤変換テキストデータのいずれとも一致しない場合、返答正否判定部は生徒の返答は不正解であると判定する。
【0009】
本発明の一実施形態の外国語スピーキング学習システムは、質問音声データベースが第一の質問音声データと第二の質問音声データとを格納しており、質問音声出力部が第一の質問音声データを出力した後、第一の質問音声データについてのYes/No疑問文に対して生徒が返答した場合において、返答正否判定部が第一の質問音声データについてのYes/No疑問文に対する生徒の返答を不正解であると判定する場合、判定結果音声出力部が判定結果の音声を出力した後、および/または判定結果映像表示部が判定結果の映像を表示した後、質問音声出力部に第一の質問音声データの音声を再度出力する指示を出し、返答正否判定部が第一の質問音声データのYes/No疑問文に対する生徒の返答を正解であると判定する場合、判定結果音声出力部が判定結果の音声を出力した後、および/または判定結果映像表示部が判定結果の映像を表示した後、質問音声出力部に第二の質問音声データの音声を出力する指示を出す音声出力指示部を備える。
【0010】
本発明の一実施形態の外国語スピーキング学習システムは、第二の質問音声データについてのYes/No疑問文が、第一の質問音声データについてのYes/No疑問文に修飾句を付加したYes/No疑問文であり、第一の質問音声データについてのYes/No疑問文よりも第二の質問音声データについてのYes/No疑問文の方が、より長いセンテンスからなる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、母国語と言語構造が大きく異なる外国語において、言語構造の習得に重点を置いた、効果的なスピーキング学習が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態である外国語スピーキング学習システムの全体構成図
図2】フロー図
図3】本発明の一実施形態である外国語スピーキング学習システムの概要を示す図
図4】英語を話す為に必要な要素を説明する図
図5】読むことと話すことの物理的な違いを説明する図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0014】
本発明の一実施形態である外国語スピーキング学習システムの全体構成図を図1に示す。この外国語スピーキング学習システム1は、Yes/No疑問文の音声の生徒への送信やYes/No疑問文に対する生徒からの返答の受信、返答についての正否判定、正否判定の結果の生徒への送信などを行う学習システムサーバー10と、生徒による音声データの受信、音声データの音声の出力やYes/No疑問文に対する返答音声の入力、送信などを行う生徒側端末20とを有する。学習システムサーバー10と生徒側情報端末20とはインターネットNWを介して接続されている。
【0015】
学習システムサーバー10は、学習システムサーバー全体を制御するサーバー制御部11と、各種データベースを保存するデータベース保存部12と、インターネットNWを介して生徒側情報端末20に各種データを送信可能なサーバー側データ送信部13と、インターネットNWを介して生徒側情報端末20から送信された各種データを受信可能なサーバー側データ受信部14と、Yes/No疑問文の音声データを抽出する質問音声データ抽出部15と、Yes/No疑問文に対する生徒からの返答の音声データをテキストデータに変換する返答データ変換部16と、生徒からの返答の正解/不正解を判定する返答正否判定部17と、返答データ変換部16により誤変換されたテキストデータのデータベースへの格納を実行する誤変換データ格納実行部18と、質問音声データの抽出を質問音声データ抽出部15に指示する質問音声データ抽出指示部19と、を備える。
【0016】
生徒側情報端末20は、生徒側情報端末20全体を制御する生徒側情報端末制御部21と、インターネットNWを介して学習システムサーバー10から送信された各種データを受信可能な生徒側データ受信部22と、インターネットNWを介して学習システムサーバー10に各種データを送信可能な生徒側データ送信部23と、学習システムサーバー10から送信された質問音声データに記録されているYes/No疑問文に肯定文または否定文での返答の指示を加えた音声を出力する質問音声出力部24Aと、その音声に同期された映像を表示する質問映像表示部24Bと、生徒のYes/No疑問文に対する返答の発話を音声データとして入力する返答音声入力部25と、学習システムサーバー10から送信される正解または不正解の正否判定結果の音声を出力する判定結果音声出力部26Aと、学習システムサーバー10から送信される判定結果音声出力部26Aにより出力される音声と同期した映像を表示する判定結果映像表示部26Bと、データベース保存部12に保存されたデータベースに、返答データ変換部で誤変換された誤変換テキストデータの格納を指示する誤変換データ格納指示部27と、を備えている。
【0017】
サーバー制御部11は、データベース保存部12に保存された各種データベースからのデータの抽出や、サーバー側データ送信部13およびサーバー側データ受信部14の生徒側情報端末20との各種データの送受信、返答正否判定部17による生徒側情報端末20から送信されてきた返答の正否判定などにおいて、学習システムサーバー全体を制御する。サーバー制御部11としては、学習システムサーバー10が備える中央演算処理装置(CPU)などを採用することができる。
【0018】
データベース保存部12は、学習対象の外国語におけるYes/No疑問文の音声データを格納する質問音声データベース12A1と、Yes/No疑問文の音声データの音声と同期した映像を格納する質問映像データベース12A2と、各質問音声データの疑問文に対する正解文のテキストデータを正解テキストデータとして各質問音声データに対応付けてあらかじめ格納する正解テキストデータベース12Bと、生徒が日本人特有の発音で発話することに起因して返答が不正解の判定となる場合の返答テキストデータを誤変換テキストデータとして格納する誤変換テキストデータベース12Cと、を保存する。データベース保存部12としては、学習システムサーバー10が備えるハードディスクドライブやSSD(Solid State Drive)などの記憶装置を採用することができる。
【0019】
質問音声データベース12A1は、学習対象の外国語において、講師のYes/No疑問文とともに肯定文または否定文での返答指示を講師が発話した音声を記録した質問音声データを格納する。Yes/No疑問文とは、肯定文(Yes)か否定文(No)かで返答することができる疑問文である。各音声データには、それぞれYes/No疑問文に続き、講師から生徒への、肯定文で返答する指示、もしくは否定文で返答する指示のどちらかの音声が記録されている。生徒は、この質問音声データの音声を聴き、講師からの肯定文での返答指示あるいは否定文での返答指示に従って、Yes/No疑問文に対し、肯定文での返答あるいは否定文での返答を発話することになる。
【0020】
質問映像データベース12A2は、学習対象の外国語において、講師のYes/No疑問文とともに肯定文または否定文での返答指示を講師が発話した音声に対して同期した映像を質問映像データとして格納する。音声の出力と合わせ、それに同期した映像を表示することで、より会話の臨場感があるスピーキング学習が可能となる。
【0021】
正解テキストデータベース12Bは、質問音声データベース12A1が格納する各音声データのYes/No疑問文およびこのYes/No疑問文に対する肯定文または否定文での返答指示に対応付けられた、肯定文または否定文であるフルセンテンスの正解文のテキストデータを正解テキストデータとしてそれぞれ格納する。正解テキストデータがYes/No疑問文に対するフルセンテンスの正解文のテキストデータであるため、生徒は、Yes/No疑問文に対するフルセンテンスの返答を発話することが要求される。
【0022】
誤変換テキストデータベース12Cは、日本人特有の発音、イントネーション、いわゆる日本人なまりで発話したことに起因して返答データ変換部により変換される返答テキストデータが正解テキストデータと一致しない場合において、この返答テキストデータを誤変換テキストデータとして正解テキストデータと対応付けて格納する。誤変換テキストデータは、生徒などによる格納指示に基づき誤変換テキストデータベース12Cに蓄積させていく態様も好適である。返答データ変換部16は、ネイティブの発音を基準として音声データをテキストデータに変換するため、日本人特有の発音、イントネーションで発話すると、生徒が意図した返答文とは異なるテキストデータに誤認識して変換(誤変換)される場合がある。生徒が発話した返答の返答テキストデータが正解テキストデータと一致しない場合でも、誤変換テキストデータと一致すれば正解であると判定することで、日本人特有の発音、イントネーション、日本人なまりで返答した場合でも、言語構造が正しければ正解と判定する。これにより、発音よりも言語構造に重点をおいた学習が可能となる。
【0023】
サーバー側データ送信部13は、インターネットNWを介して学習システムサーバー10の質問音声データ抽出部15から抽出された質問音声データや返答正否判定部17から出力された判定結果データなどを生徒側情報端末20に送信する。
【0024】
サーバー側データ受信部14は、インターネットNWを介して生徒側情報端末20から送信される生徒からの学習開始指示や学習停止指示、生徒側情報端末20の返答音声入力部25で入力された音声データや誤変換データ格納指示部27からの誤変換データ格納指示データなどを受信する。
【0025】
質問音声データ抽出部15は、音声データ抽出指示部19の指示に従って質問音声データベース12A1に格納された質問音声データを抽出する。
【0026】
返答データ変換部16は、生徒が返答音声入力部25で入力した音声データを学習対象である外国語のテキストデータに返答テキストデートとして変換する。例えば、学習対象である外国語が英語である場合、返答データ変換部16は、音声データを英文のテキストデータに変換し、これを返答テキストデータとする。返答データ変換部16としては、市販の音声認識エンジン(例えば、マイクロソフト社製「Speech to Text」)などを採用することができる。
【0027】
返答正否判定部17は、返答データ変換部16で変換された返答テキストデータが、正解テキストデータと一致する場合、生徒の返答は正解であると判定し、正解テキストデータと一致しない場合、生徒の返答は不正解であると判定する。また、返答テキストデータが、正解テキストデータと一致しない場合でも、誤変換テキストデータと一致する場合、生徒の返答は正解であると判定し、正解テキストデータに加え誤変換テキストデータとも一致しない場合に、不正解であると判定する態様も好適である。
【0028】
誤変換データ格納実行部18は、生徒側情報端末21から送信され、サーバー側データ受信部14で受信した、誤変換データ格納指示部27の指示に従って返答テキストデータを誤変換テキストデータとして誤変換テキストデータベース12Cに格納し、誤変換テキストデータを蓄積していく。
【0029】
音声データ抽出指示部19は、質問音声出力部24Aが第一の質問音声データを出力した後、第一の質問音声データについてのYes/No疑問文に対して生徒が返答した場合において、返答正否判定部17が返答を不正解であると判定する場合、判定結果音声出力部26Aが判定結果を出力した後、質問音声データ抽出部15に第一の質問音声データを再度出力する指示を出し、返答正否判定部17が返答を正解であると判定する場合、判定結果音声出力部26Aが判定結果を表示した後、質問音声データ抽出部15に第一の質問音声データとは異なる第二の質問音声データを出力する指示を出す。なお、音声データ抽出指示部19は、返答正否判定部17が肯定文での返答または否定文での返答の一方だけを正解と判定する場合、判定結果音声出力部26Aが判定結果を表示した後、第一の質問音声データを再度出力する指示を出し、返答正否判定部17が肯定文での返答および否定文での返答の両方とも正解と判定する場合、判定結果音声出力部26Aが判定結果を表示した後、第二の質問音声データを出力する指示を出す態様も好適である。
【0030】
生徒側情報端末制御部21は、生徒側データ受信部22による学習システムサーバー10から送信された各種データの受信や、生徒側データ送信部23による学習システムサーバー10への各種データの送信、質問音声出力部24Aによる質問音声データに記録されているYes/No疑問文の音声の出力とその音声に同期された映像の表示、返答音声入力部25による生徒のYes/No疑問文に対する返答の音声入力、判定結果音声出力部26Aによる正解または不正解の判定結果の出力など、生徒側情報端末20全体を制御する。生徒側情報端末制御部21としては、生徒側情報端末制御部21が備える中央演算処理装置(CPU)などを採用することができる。
【0031】
生徒側データ受信部22は、インターネットNWを介して学習システムサーバー10から送信されるYes/No疑問文の質問音声データや判定結果データなどを受信する。
【0032】
生徒側データ送信部23は、インターネットNWを介して学習システムサーバー10に、生徒からの学習開始指示や、学習停止指示、疑問文に対する返答の音声データなどを送信する。
【0033】
質問音声出力部24Aは、学習システムサーバー10から送信され、生徒側データ受信部22が受信した、質問音声データ抽出部19により抽出された質問音声データの音声を出力する。生徒は、この質問音声データのYes/No疑問文を聴き、このYes/No疑問文に対し、肯定文での返答指示または否定文での返答指示に従った返答をする。質問音声出力部24Aとしては、ヘッドセットのヘッドホンや外付けスピーカー、スマートフォンの内臓スピーカーなどの音声出力装置を採用することができる。
【0034】
質問映像表示部24Bは、質問音声出力部24Aで出力される音声と同期した映像を表示する。音声の出力に加えその音声に同期した映像を表示することで、それを視聴する生徒に会話の臨場感を与える。質問音声出力部24Aとしては、パソコンのモニターやスマートフォンの画面などの映像表示装置を採用することができる。
【0035】
返答音声入力部25は、質問音声出力部24Aに表示されたYes/No疑問文に対する返答を生徒が発話すると、この発話を音声データとして入力する。返答音声入力部25としては、パソコンに外部接続されたヘッドセットのマイクや、スマートフォンの内臓マイクなどの音声入力装置を採用することができる。
【0036】
判定結果音声出力部26Aは、学習システムサーバー10から送信され、生徒側データ受信部22が受信する返答正否判定部17による判定結果の音声を出力する。判定結果の音声は、「ピンポーン」または「ブッブー」などの効果音あるいは「That‘s correct.」または「That‘s wrong.」などの発話音など、生徒が正解か不正解かが分かる音声であればよい。判定結果音声出力部26Aが判定結果を出力した後、正解文を出力する態様も好適である。判定結果音声出力部26Aとしては、ヘッドセットのヘッドホンや外付けスピーカー、スマートフォンの内臓スピーカーなどの音声出力装置を採用することができる。
【0037】
判定結果映像表示部26Bは、学習システムサーバー10から送信され、生徒側データ受信部22が受信する返答正否判定部17による判定結果の音声と同期された映像を表示する。判定結果の映像は、「〇」または「×」などの記号あるいは「That‘s correct.」または「That‘s wrong.」などの文など、生徒が正解か不正解かが分かる映像であればよい。判定結果映像表示部26Bが判定結果の映像を表示した後、正解文を表示する態様も好適である。正解テキストデータと返答テキストデータの一致しない部分、すなわち正解文と比較して返答文が間違っている箇所を映像表示、指摘する態様も好適である。判定結果音声出力部26Aとしては、ヘッドセットのヘッドホンや外付けスピーカー、スマートフォンの内臓スピーカーなどの音声出力装置を採用することができる。
【0038】
誤変換データ格納指示部27は、誤変換データ格納実行部19に返答テキストデータを誤変換データベースに格納する指示を出し、このデータ格納指示データは生徒側データ送信部23により学習システムサーバー10に送信される。判定結果が不正解であると判定された場合において、生徒が判定結果音声出力部26Aにより出力された正解文や判定結果映像表示部26Bに表示された正解文との不一致箇所を確認するなどして、不正解と判定されたのは生徒の日本人特有の発音に起因し、自身の返答は言語構造的には正解であると判断した場合、格納指示ボタン(図示せず)などの誤変換データ格納指示部27によって返答テキストデータを誤変換テキストデータベース12Cに格納する指示を出す。格納指示ボタンは、判定結果映像表示部26Bに表示されたボタンや外国語スピーキング学習システム1の筐体に取付けられたボタンなどを採用することができる。
【0039】
生徒側情報端末20は、マウス31やキーボード(図示せず)、質問映像表示部24Bとして採用されたタッチパネル(図示せず)などの入力装置を備えていてもよい。
【0040】
以上、学習システムサーバー10と学習者側情報端末20とをインターネットNWを介して接続する外国語スピーキング学習システム1の態様を示したが、学習システムサーバー10と学習者側情報端末20を一体化し一つの情報端末で完結できる態様も可能である。学習システムサーバー10を他の外部システムサーバーとインターネットを介して接続し、例えば返答データ変換部16などの構成要素の一部を外部システムサーバーに設ける態様も可能である。
【0041】
次に、本発明の一実施形態である外国語スピーキング学習システム1の動作について説明する。本発明の実施形態は、英語などの外国語の言語構造を身に付け、スピーキングを上達させる学習システムであり、学習方法に一定のルールを設定し、このルールに従って学習することで、言語構造の効率的、効果的な習得が可能となる。
【0042】
具体的には、講師側からの質問動画の質問(Yes/No疑問文)に対して、生徒は以下の3つのルールに従って返答していくことになる。
(1) 答えのYes/Noは講師に指示された方を返答する。
(2) YesまたはNoの後に、必ずフルセンテンスを付けて返答する。
(3) 基本言語構造を同じとした、徐々に長いセンテンスの質問に返答していく。
【0043】
そして、図2に示す概略フローのように、まず講師が質問(Yes/No疑問文)のセンテンスを読み上げ〔センテンス読み上げ〕、生徒がこの質問に対し、講師の指示に従って肯定文の返答あるいは否定文の返答をし〔質問1(Y/N)〕、この返答の音声を音声認識エンジンでテキストデータに変換し、[答えの音声認識API判断]、返答が正しいか正しくないかを判断する[正しい?]。返答が正しくない場合は、再度同じ質問1に戻り、返答が正しい場合は、質問1よりも長い質問2に進む[質問2(1より長い)(Y/N/Q)]。ここで例えば、質問2において、質問(Yes/No疑問文)自体を生徒に発話させることもでき、これによりYes/No疑問文の言語構造の習得にもつながる。そして、質問1と同様の流れを経て、基本的な言語構造が異なる次の質問(Yes/No疑問文)に進む〔次のセンテンスへ〕このように、最も短いセンテンス(基本構造)から、徐々に長いセンテンスを発話する練習を繰り返すことで、英語の文章構造(言語構造)を学習する。
【0044】
次に、図1図3を用いて本発明の実施形態である外国語スピーキング学習システムの動作について、詳細に説明する。
【0045】
生徒がマウス31などの入力装置を使用して生徒側情報端末20の学習開始指示部(図示せず)に学習開始指示を入力すると、生徒側データ送信部23は、インターネットNWを介して、学習システムサーバー10に学習開始指示データを送信する。学習システムサーバー10は、サーバー側データ受信部14により学習開始指示データを受信する。学習開始指示データは、音声データ抽出指示部19に送られ、音声データ抽出指示部19は、学習開始指示データに従い質問音声データ抽出部15に抽出指示を出す。質問音声データ抽出部15は、音声データ抽出指示部19の指示に基づき質問音声データベース12A1に格納された質問音声データを抽出し、サーバー側データ送信部13は抽出された質問音声データを生徒側情報端末20に送信する。生徒側情報端末20は、生徒側データ受信部22により、質問音声データを受信する。質問音声データは質問音声出力部24Aに送られ、講師が発話したYes/No疑問文と返答指示である「Did you study English? Yes」または「Did you study English? No」の音声を出力する。肯定文での返答指示が「Yes」の部分であり、否定文での返答指示が「No」の部分である。映像表示部25に、出力された音声に同期した講師の発話の映像を表示することで、会話の臨場感を与えることができる。
【0046】
Yes/No疑問文および返答指示が「Did you study English? Yes」の場合、生徒は、肯定文のフルセンテンスの返答を発話し、発話した音声が返答音声入力部25に入力される。入力された音声データは、生徒側送信部23により学習システムサーバー10に送信される。学習システムサーバー10は、サーバー側データ受信部14により音声データを受信し、返答データ変換部16に送る。音声データは、返答データ変換部16において返答テキストデータとしてテキストデータに変換される。
【0047】
返答正否判定部17において、返答テキストデータが正解テキストデータベース12Bに格納された正解テキストデータの「Yes, I studied English.」と一致する場合は正解と判定され、一致しない場合は不正解と判定される。また、正解テキストデータと一致しない場合でも、誤変換テキストデータベース12Cに格納され、この正解テキストデータと対応付けられた誤変換テキストデータと一致する場合は正解と判定し、一致しない場合は不正解と判定する態様も好適である。判定結果データは、サーバー側データ送信部13から生徒側情報端末20に送信される。
【0048】
生徒側情報端末20は、生徒側データ受信部22により判定結果データを受信し、判定結果データを判定結果音声出力部26Aに送り、判定結果音声出力部26Aは、判定結果データの判定結果の音声を出力する。また、判定結果とともに正解文を音声出力や映像表示してもよく、判定結果が不正解の場合は正解文における返答文の不一致箇所を映像表示してもよい。
【0049】
生徒は、判定結果音声出力部26Aで出力された判定結果の音声を聴きくことで返答の正否を確認する。生徒が、判定結果や正解文、正解文と返答文の不一致箇所などに基づき、日本人特有の発音により生徒の返答が不正解と判定されたと判断する場合、生徒は誤変換データ格納指示部27により返答テキストデータを誤変換テキストデータとして誤変換テキストデータベース12Cに格納する指示を出すことができ、誤変換データ格納実行部18が誤変換データ格納指示部27の指示に従い、誤変換テキストデータベース12Cへの誤変換テキストベータの格納を実行する。
【0050】
生徒の返答が不正解の場合、音声データ抽出指示部19は質問音声データ抽出部15にもう一度同じYes/No疑問文と返答指示「Did you study English? Yes」を抽出する指示を出し、正解の場合、次のよりセンテンスが長い質問「Did you study English at home? Yes」または「Did you study English at home? No」のどちらかを抽出する指示を出す。
【0051】
なお、例えば、Yes/No疑問文と肯定文の返答指示「Did you study English? Yes」に続いて、同じYes/No疑問文と否定文の返答指示「Did you study English? No」の質問をし、肯定文の返答と否定文の返答の両方とも正解した場合に、次のより長いセンテンスの質問に進むことにしてもよい。そして、さらにYes/No疑問文「Did you study English?」自体を生徒に発話させ、生徒の発話が「Did you study English?」とも一致した場合に、次のより長いセンテンスの質問を出力してもよい。基本的な短いセンテンスの肯定文、否定文、疑問文を学習、習得したところで、修飾句を付けるなどより長いセンテンスの肯定文、否定文、疑問文を発話、繰返し学習、習得していくことができる。
【0052】
Yes/No疑問文が「Did you study English at home? Yes」の場合、生徒は返答文「Yes, I studied English at home.」を発話し、発話した音声が返答音声入力部25に入力される。このように、生徒は、前回の返答文「Yes, I studied English.」に修飾句「at home」を付加したより長いセンテンスの肯定文を発話することになる。生徒による返答が不正解の場合はもう一度同じYes/No疑問文「Did you study English at home? Yes」が流れ、正解の場合は次のより長いセンテンスの質問「Did you study English at home yesterday? Yes」または「Did you study English at home yesterday? No」へと進む。
【0053】
Yes/No疑問文が「Did you study English at home Yesterday? Yes」の場合、生徒は返答「Yes, I studied English at home Yesterday.」を発話し、発話した音声が返答音声入力部25に入力される。このように、生徒は、前回の返答「Yes, I studied English at home.」に修飾句「yesterday」を付加したより長いセンテンスの肯定文を発話することになる。徐々にセンテンスを長くしていくことで、文章構造(言語構造)を効率的、効果的に習得することができる。
【0054】
なお、Yes/No疑問文「Did you study English at home Yesterday? No」に対する返答には、2つの回答「No, I didn’t study English at home yesterday.」「No, I did not study English at home yesterday.」が用意される。これら返答の何れかと一致すれば正解と判定することができる。
【0055】
学習をやめる場合は、生徒が生徒側情報端末20の学習停止指示部(図示せず)に学習停止指示を出すことで、インターネット(NW)を介して学習停止指示データが学習システムサーバー10に送信され、学習システムサーバー10の学習停止実行部(図示)により、学習を停止する。
【0056】
図4を用いて、英語を話す為に必要な要素を説明する。日本語を母国語とする日本人は、英語を日本語経由で考える傾向がある。例えば、1.Idea(=考えその物、例、少年)をいったん、2.日本語の「少年」という言葉を思い浮かべてからその英単語である「Boy」に変換する。逆に英語の「Boy」という言葉に対しては、まず、日本語の「少年」に変換する。
【0057】
リーディングは、語順などの言語構造の違いは影響を与えにくい。単語を記憶していれば、正確な語順を理解していなくても、理解できる単語をもとに、ある程度外国語の文章を読むことができる。
【0058】
一方、スピーキングは、(無意識であっても)ある程度、言語構造を習得し、自分の頭の中で語順を構成しなければならない。「This is a pen.」のような短いセンテンスの文章は、文章ごと記憶することができるため、瞬時に発話することができるが、一方、センテンスが長くなるにつれ、使用する単語が増え、瞬時に英語の語順に並べる作業が必要となるため、難易度があがる。
【0059】
このことが、日本人がスピーキングを苦手とする要因の一つとなっている。例えば、韓国語やモンゴル語は日本語と言語構造が近く、単語と発音を覚えれば比較的簡単にスピーキングできるといわれている。スピーキングにおける言語構造の習得が重要であることが、このことからも理解できる。
【0060】
また、日本語では主語が省略されることが多く、さらに、動詞は最後にくる。通常、主語を必要として、さらに動詞が主語のすぐ後で最初の方にくる英語との大きな違いである。スピーキングでは、主語の穴埋めと語順の変換を瞬時に行わなければならず、日本人にとってスピーキングを困難にする要因の一つである。言語構造の習得がスピーキングの上達に大きな影響を与えることが分かる。
【0061】
次に、図5を用いて、読むことと話すことの物理的な違いを説明する。読むことは物理的に順番に依存していない。つまり、文章を読む場合、単語が並んでいる文章を見ながら、日本語に変換していくことができる。文章構造が見える状態で、単語を行ったり来たり何度も前後繰返しながら、意味を理解し解読することができる。したがって、言語構造をそれほど正しく、また、瞬時に判断できる必要もない。
【0062】
一方、話すことは、前から順番に英語の語順のとおり並べて話す必要があり、完全に順番、語順、つまり文章構造に依存した行為といえる。したがって、言語構造を高度に習得する必要があり、瞬時に単語を前から順に並べていく能力を獲得しなければならない。したがって、スピーキングの上達には、英単語を前から順番に並べる学習や、言語構造を身に付ける学習が非常に効果的である。
【0063】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0064】
1 :外国語スピーキング学習システム
10 :学習システムサーバー
11 :サーバー制御部
12 :データベース保存部
12A1:質問音声データベース
12A2:質問映像データベース
12B :正解テキストデータベース
12C :誤変換テキストデータベース
13 :サーバー側データ送信部
14 :サーバー側データ受信部
15 :質問音声データ抽出部
16 :返答データ変換部
17 :返答正否判定部
18 :誤変換データ格納実行部
19 :音声データ抽出指示部
20 :生徒側情報端末
21 :生徒側情報端末制御部
22 :生徒側データ受信部
23 :生徒側データ送信部
24A :質問音声出力部
24B :質問映像表示部
25 :返答音声入力部
26A :判定結果音声出力部
26B :判定結果映像表示部
27 :誤変換データ格納指示部
31 :マウス
NW :インターネット

図1
図2
図3
図4
図5