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特開2022-171561ノイズ除去装置、ノイズ除去方法、機械学習装置、機械学習方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171561
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】ノイズ除去装置、ノイズ除去方法、機械学習装置、機械学習方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20221104BHJP
【FI】
A61B5/055 380
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022040564
(22)【出願日】2022-03-15
(31)【優先権主張番号】P 2021078060
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】301032942
【氏名又は名称】国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構
(71)【出願人】
【識別番号】502285457
【氏名又は名称】学校法人順天堂
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】立花 泰彦
(72)【発明者】
【氏名】大塚 裕次朗
(72)【発明者】
【氏名】鎌形 康司
【テーマコード(参考)】
4C096
【Fターム(参考)】
4C096AA17
4C096AB07
4C096AD14
4C096DC21
(57)【要約】
【課題】生体のMRI画像の特徴を考慮してノイズを除去したMRI画像を生成する技術を実現する。
【解決手段】ノイズ除去装置(1)は、MRI画像のノイズを除去するノイズ除去処理を実行する少なく1つのプロセッサ(12)と、ノイズ除去処理に利用するモデルを記憶する少なくとも1つのメモリ(13)と、を備え、モデルは、MRI画像を入力画像とし、ノイズが除去されたMRI画像を出力画像とするモデルであって、出力画像の各画素の画素値が、該画素に対応する入力画像の画素の近傍にある画素の画素値の最小値以上最大値以下の範囲に含まれるように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
MRI画像のノイズを除去するノイズ除去処理を実行する少なくとも1つのプロセッサと、前記ノイズ除去処理に利用するモデルを記憶する少なくとも1つのメモリと、を備え、
前記モデルは、前記MRI画像を入力画像とし、ノイズが除去されたMRI画像を出力画像とするモデルであって、前記出力画像の各画素の画素値が、該画素に対応する前記入力画像の画素の近傍にある画素の画素値の最小値以上最大値以下の範囲に含まれるように構成されている、
ことを特徴とするノイズ除去装置。
【請求項2】
前記モデルは、前記入力画像に大域的に作用するネットワークと、前記入力画像に局所的に作用するn個(nは2以上の自然数)のフィルタと、を含み、
前記ノイズ除去処理は、
前記ネットワークを用いて前記入力画像からn個の重みを導出する第1の処理と、
前記n個のフィルタの各々を用いて前記入力画像からn枚の中間画像を生成する第2の処理と、
前記n個の重みを用いて前記n枚の中間画像を加重平均することによって、前記出力画像を生成する第3の処理と、を含んでいる、
ことを特徴とする請求項1に記載のノイズ除去装置。
【請求項3】
前記ネットワークを規定する係数、及び、前記n個のフィルタの各々を規定する係数は、機械学習によって決定されている、
ことを特徴とする請求項2に記載のノイズ除去装置。
【請求項4】
MRI画像のノイズを除去するノイズ除去処理を実行する少なくとも1つのプロセッサと、前記ノイズ除去処理に利用するモデルを記憶する少なくとも1つのメモリと、を備え、
前記モデルは、前記MRI画像を入力画像とし、ノイズが除去されたMRI画像を出力画像とするモデルであって、前記入力画像に大域的に作用するネットワークと、前記入力画像に局所的に作用するn個(nは2以上の自然数)のフィルタと、を含み、
前記ノイズ除去処理は、
前記ネットワークを用いて前記入力画像からn個の重みを導出する第1の処理と、
前記n個のフィルタの各々を用いて前記入力画像からn枚の中間画像を生成する第2の処理と、
前記n個の重みを用いて前記n枚の中間画像を加重平均することによって、前記出力画像を生成する第3の処理と、を含んでいる、
ことを特徴とするノイズ除去装置。
【請求項5】
少なくとも1つのメモリに記憶されたモデルを利用して少なくとも1つのプロセッサがMRI画像のノイズを除去するノイズ除去処理を含み、
前記モデルは、前記MRI画像を入力画像とし、ノイズが除去されたMRI画像を出力画像とするモデルであって、前記出力画像の各画素の画素値が、該画素に対応する前記入力画像の画素の近傍にある画素の画素値の最小値以上最大値以下の範囲に含まれるように構成されている、
ことを特徴とするノイズ除去方法。
【請求項6】
少なくとも1つのメモリに記憶されたモデルを利用して少なくとも1つのプロセッサがMRI画像のノイズを除去するノイズ除去処理を含み、
前記モデルは、前記MRI画像を入力画像とし、ノイズが除去されたMRI画像を出力画像とするモデルであって、前記入力画像に大域的に作用するネットワークと、前記入力画像に局所的に作用するn個(nは2以上の自然数)のフィルタと、を含み、
前記ノイズ除去処理は、
前記ネットワークを用いて前記入力画像からn個の重みを導出する第1の処理と、
前記n個のフィルタの各々を用いて前記入力画像からn枚の中間画像を生成する第2の処理と、
前記n個の重みを用いて前記n枚の中間画像を加重平均することによって、前記出力画像を生成する第3の処理と、を含んでいる、
ことを特徴とするノイズ除去方法。
【請求項7】
請求項1から4の何れか一項に記載のノイズ除去装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、前記ノイズ除去処理を前記コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な非一時的記録媒体。
【請求項9】
MRI画像を入力画像とし、ノイズが除去されたMRI画像を出力画像とするモデルを、教師ありの機械学習により構築するモデル構築処理を実行する少なくとも1つのプロセッサと、前記モデルを記憶する少なくとも1つのメモリと、を備え、
前記モデルは、前記MRI画像を入力画像とし、ノイズが除去されたMRI画像を出力画像とするモデルであって、前記出力画像の各画素の画素値が、該画素に対応する前記入力画像の画素の近傍にある画素の画素値の最小値以上最大値以下の範囲に含まれるように構成されている、
ことを特徴とする機械学習装置。
【請求項10】
前記機械学習における教師データは、第1のMRI画像とノイズが除去された第2のMRI画像との組であり、
前記モデル構築処理は、第1のMRI画像を入力したときに前記モデルから出力されるMRI画像の2次的指標、及び、前記第2のMRI画像の2次的指標を導出する導出処理と、
前記2つの2次的指標の差が小さくなるように、前記モデルを規定する係数を更新する更新処理と、を含んでいる、
ことを特徴とする請求項9に記載の機械学習装置。
【請求項11】
前記MRI画像は、拡散強調画像であり、
前記2次的指標は拡散テンソルである、
ことを特徴とする請求項10に記載の機械学習装置。
【請求項12】
前記機械学習における教師データは、共通する条件で撮像された複数のMRI画像であり、
前記モデル構築処理は、前記複数のMRI画像の各々を入力したときに前記モデルから出力されるMRI画像同士の差が小さくなるように、前記モデルを規定する係数を更新する処理を含んでいる、
ことを特徴とする請求項9から11のいずれか1項に記載の機械学習装置。
【請求項13】
前記モデルは、前記入力画像に大域的に作用するネットワークと、前記入力画像に局所的に作用するn個(nは2以上の自然数)のフィルタと、を含み、
前記ノイズを除去する処理は、
前記ネットワークを用いて前記入力画像からn個の重みを導出する第1の処理と、
前記n個のフィルタの各々を用いて前記入力画像からn枚の中間画像を生成する第2の処理と、
前記n個の重みを用いて前記n枚の中間画像を加重平均することによって、前記出力画像を生成する第3の処理と、を含んでいる、
ことを特徴とする請求項9から12のいずれか1項に記載の機械学習装置。
【請求項14】
MRI画像を入力画像とし、ノイズ除去処理されたMRI画像を出力画像とするモデルを、教師ありの機械学習により構築するモデル構築処理を実行する少なくとも1つのプロセッサと、前記モデルを記憶する少なくとも1つのメモリと、を備え、
前記モデルは、前記入力画像に大域的に作用するネットワークと、前記入力画像に局所的に作用するn個(nは2以上の自然数)のフィルタと、を含み、
前記ノイズ除去処理は、
前記ネットワークを用いて前記入力画像からn個の重みを導出する第1の処理と、
前記n個のフィルタの各々を用いて前記入力画像からn枚の中間画像を生成する第2の処理と、
前記n個の重みを用いて前記n枚の中間画像を加重平均することによって、前記出力画像を生成する第3の処理と、を含んでいる、
ことを特徴とする機械学習装置。
【請求項15】
少なくとも1つのメモリに記憶されたモデルを利用して少なくとも1つのプロセッサがMRI画像を入力画像とし、ノイズが除去されたMRI画像を出力画像とするモデルを、教師あり学習により構築するモデル構築処理を含み、
前記モデルは、前記MRI画像を入力画像とし、ノイズが除去されたMRI画像を出力画像とするモデルであって、前記出力画像の各画素の画素値が、該画素に対応する前記入力画像の画素の近傍にある画素の画素値の最小値以上最大値以下の範囲に含まれるように構成されている、
ことを特徴とする機械学習方法。
【請求項16】
少なくとも1つのメモリに記憶されたモデルを利用して少なくとも1つのプロセッサがMRI画像を入力画像とし、ノイズ除去処理されたMRI画像を出力画像とするモデルを、教師あり学習により構築するモデル構築処理を含み、
前記モデルは、前記MRI画像を入力画像とし、ノイズ除去処理されたMRI画像を出力画像とするモデルであって、前記入力画像に大域的に作用するネットワークと、前記入力画像に局所的に作用するn個(nは2以上の自然数)のフィルタと、を含み、
前記ノイズ除去処理は、
前記ネットワークを用いて前記入力画像からn個の重みを導出する第1の処理と、
前記n個のフィルタの各々を用いて前記入力画像からn枚の中間画像を生成する第2の処理と、
前記n個の重みを用いて前記n枚の中間画像を加重平均することによって、前記出力画像を生成する第3の処理と、を含んでいる、
ことを特徴とする機械学習方法。
【請求項17】
請求項9から14のいずれか1項に記載の機械学習装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、前記モデル構築処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項18】
請求項17に記載のプログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な非一時的記録媒体。
【請求項19】
前記モデルは、前記入力画像に大域的に作用するネットワークと、前記入力画像に局所的に作用するn個(nは2以上の自然数)のフィルタと、を含み、
前記ノイズ除去処理は、
前記ネットワークを用いて、撮像位置をずらして撮像された3枚1組の前記入力画像を2組用いてn個の重みを導出する第1の処理と、
前記n個のフィルタの各々を用いて前記入力画像からn枚の中間画像を生成する第2の処理と、
前記n個の重みを用いて前記n枚の中間画像を加重平均することによって、前記出力画像を生成する第3の処理と、を含んでいる、請求項1に記載のノイズ除去装置。
【請求項20】
前記機械学習における教師データは、連続的に撮像された5枚のMRI画像を加算した画像であり、
前記モデル構築処理は、撮像位置をずらして撮像された3枚1組の前記入力画像を2組入力したときに前記モデルから出力されるMRI画像と前記教師データとの差分を導出する導出処理と、
前記差分が小さくなるように、前記モデルを規定する係数を更新する更新処理と、を含んでいる、
ことを特徴とする請求項9に記載の機械学習装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノイズ除去装置、ノイズ除去方法、機械学習装置、機械学習方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在の医療現場において、診断手法のひとつとしてMRI画像を用いることが広く行われている。MRI画像を取得する場合、特に一度の撮像で十分な信号雑音比(SNR:Signal to Noise Ratio)が確保できないような場合には、複数回の撮像を行ってそれらを加算平均することでSNRを向上させる方法が知られている。
【0003】
例えば、MRI画像の拡散強調画像を取得する場合は、3回程度の撮像を行って加算平均をすることが多い。しかしその場合、撮像回数の分だけ撮像時間が延びることとなる。撮像時間を短縮するための技術として、例えば非特許文献1には、深層学習を用いた数理学的な手法により、加算平均しない画像などのSNRの低い画像からノイズを除去し、SNRの高い画像へ変換する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Sagawa H. et al., Deep Learning-based Noise Reduction for Fast Volume Diffusion Tensor Imaging: Assessing the Noise Reduction Effect and Reliability of Diffusion Metrics, Magnetic Resonance in Medical Sciences; published online (2020).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、深層学習等のAI(人工知能、Artificial Intelligence)を用いた従来技術は、ある画素の画素値が、生体のMRI画像としては異常な高い値又は低い値をとる場合があり、それにより、偶然に誤った情報(本来存在しない異常所見など)が作り出されてしまう可能性がある。また、逆に、例えば二次的指標に反映されるはずの複数の画像にまたがる情報が失われる可能性もある。
【0006】
本発明の一態様は、生体のMRI画像の特徴を考慮してノイズを除去したMRI画像を生成する技術を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るノイズ除去装置は、MRI画像のノイズを除去するノイズ除去処理を実行する少なくとも1つのプロセッサと、前記ノイズ除去処理に利用するモデルを記憶する少なくとも1つのメモリと、を備え、前記モデルは、前記MRI画像を入力画像とし、ノイズが除去されたMRI画像を出力画像とするモデルであって、前記出力画像の各画素の画素値が、該画素に対応する前記入力画像の画素の近傍にある画素の画素値の最小値以上最大値以下の範囲に含まれるように構成されている、ことを特徴とする。
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るノイズ除去装置は、MRI画像のノイズを除去するノイズ除去処理を実行する少なくとも1つのプロセッサと、前記ノイズ除去処理に利用するモデルを記憶する少なくとも1つのメモリと、を備え、前記モデルは、前記MRI画像を入力画像とし、ノイズが除去されたMRI画像を出力画像とするモデルであって、前記入力画像に大域的に作用するネットワークと、前記入力画像に局所的に作用するn個(nは2以上の自然数)のフィルタと、を含み、前記ノイズ除去処理は、前記ネットワークを用いて前記入力画像からn個の重みを導出する第1の処理と、前記n個のフィルタの各々を用いて前記入力画像からn枚の中間画像を生成する第2の処理と、前記n個の重みを用いて前記n枚の中間画像を加重平均することによって、前記出力画像を生成する第3の処理と、を含んでいる、ことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一態様に係るノイズ除去方法は、少なくとも1つのメモリに記憶されたモデルを利用して少なくとも1つのプロセッサがMRI画像のノイズを除去するノイズ除去処理を含み、前記モデルは、前記MRI画像を入力画像とし、ノイズが除去されたMRI画像を出力画像とするモデルであって、前記出力画像の各画素の画素値が、該画素に対応する前記入力画像の画素の近傍にある画素の画素値の最小値以上最大値以下の範囲に含まれるように構成されている、ことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の一態様に係るノイズ除去方法は、少なくとも1つのメモリに記憶されたモデルを利用して少なくとも1つのプロセッサがMRI画像のノイズを除去するノイズ除去処理を含み、前記モデルは、前記MRI画像を入力画像とし、ノイズが除去されたMRI画像を出力画像とするモデルであって、前記入力画像に大域的に作用するネットワークと、前記入力画像に局所的に作用するn個(nは2以上の自然数)のフィルタと、を含み、前記ノイズ除去処理は、前記ネットワークを用いて前記入力画像からn個の重みを導出する第1の処理と、前記n個のフィルタの各々を用いて前記入力画像からn枚の中間画像を生成する第2の処理と、前記n個の重みを用いて前記n枚の中間画像を加重平均することによって、前記出力画像を生成する第3の処理と、を含んでいる、ことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一態様に係る機械学習装置は、MRI画像を入力画像とし、ノイズが除去されたMRI画像を出力画像とするモデルを、教師ありの機械学習により構築するモデル構築処理を実行する少なくとも1つのプロセッサと、前記モデルを記憶する少なくとも1つのメモリと、を備え、前記モデルは、前記MRI画像を入力画像とし、ノイズが除去されたMRI画像を出力画像とするモデルであって、前記出力画像の各画素の画素値が、該画素に対応する前記入力画像の画素の近傍にある画素の画素値の最小値以上最大値以下の範囲に含まれるように構成されている、ことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の一態様に係る機械学習装置は、MRI画像を入力画像とし、ノイズが除去されたMRI画像を出力画像とするモデルを、教師ありの機械学習により構築するモデル構築処理を実行する少なくとも1つのプロセッサと、前記モデルを記憶する少なくとも1つのメモリと、を備え、前記モデルは、前記MRI画像を入力画像とし、ノイズが除去されたMRI画像を出力画像とするモデルであって、前記入力画像に大域的に作用するネットワークと、前記入力画像に局所的に作用するn個(nは2以上の自然数)のフィルタと、を含み、前記ノイズ除去処理は、前記ネットワークを用いて前記入力画像からn個の重みを導出する第1の処理前記n個のフィルタの各々を用いて前記入力画像からn枚の中間画像を生成する第2の処理と、前記n個の重みを用いて前記n枚の中間画像を加重平均することによって、前記出力画像を生成する第3の処理と、を含んでいる、ことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の一態様に係る機械学習方法は、少なくとも1つのメモリに記憶されたモデルを利用して少なくとも1つのプロセッサがMRI画像を入力画像とし、ノイズが除去されたMRI画像を出力画像とするモデルを、教師あり学習により構築するモデル構築処理を含み、前記モデルは、前記MRI画像を入力画像とし、ノイズが除去されたMRI画像を出力画像とするモデルであって、前記出力画像の各画素の画素値が、該画素に対応する前記入力画像の画素の近傍にある画素の画素値の最小値以上最大値以下の範囲に含まれるように構成されている、ことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の一態様に係る機械学習方法は、少なくとも1つのメモリに記憶されたモデルを利用して少なくとも1つのプロセッサがMRI画像を入力画像とし、ノイズが除去されたMRI画像を出力画像とするモデルを、教師あり学習により構築するモデル構築処理を含み、前記モデルは、前記MRI画像を入力画像とし、ノイズが除去されたMRI画像を出力画像とするモデルであって、前記入力画像に大域的に作用するネットワークと、前記入力画像に局所的に作用するn個(nは2以上の自然数)のフィルタと、を含み、前記ノイズ除去処理は、前記ネットワークを用いて前記入力画像からn個の重みを導出する第1の処理と、前記n個のフィルタの各々を用いて前記入力画像からn枚の中間画像を生成する第2の処理と、前記n個の重みを用いて前記n枚の中間画像を加重平均することによって、前記出力画像を生成する第3の処理と、を含んでいる、ことを特徴とする。
【0015】
本発明の各態様に係るノイズ除去装置及び機械学習装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記各装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記各装置をコンピュータにて実現させる、各装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様によれば、生体のMRI画像の特徴を考慮してノイズを除去したMRI画像を生成する技術を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態1に係るノイズ除去装置の構成を示すブロック図である。
図2】実施形態1に係るノイズ除去装置が行うノイズ除去処理の流れを示す模式図である。
図3】実施形態1に係るモデルで用いるフィルタの一例を示す図である。
図4】実施形態1に係るノイズ除去処理S1の流れを示すフローチャートである。
図5】本発明の実施形態4に係る機械学習装置の構成を示すブロック図である。
図6】実施形態4に係るモデルの構築処理S2の流れを示すフローチャートである。
図7】本発明の実施形態5に係る機械学習装置が学習する拡散テンソルを示す模式図である。
図8】実施形態5に係るモデルの構築処理S3の流れを示すフローチャートである。
図9】実施形態6に係るモデルの構築処理の流れを示す模式図である。
図10】実施形態6に係るモデルの構築処理S4の流れを示すフローチャートである。
図11】本発明の実施例1に係る頭部MRI画像の入力画像、出力画像、及び教師画像である。
図12】本発明の実施例2に係る頭部拡散強調画像の2次的指標であるFAパラメータマップである。
図13】本発明の実施例3に係る拡散強調画像の2次的指標であるパラメータの、ノイズ除去前後の変化を示した図である。
図14】実施例4-1に係るノイズ除去装置のモデルMが行うノイズ除去処理の流れを示す模式図である。
図15】実施例4-2に係るノイズ除去装置のモデルMが行うノイズ除去処理の流れを示す模式図である。
図16】実施例4-3に係るノイズ除去装置のモデルMが行うノイズ除去処理の流れを示す模式図である。
図17】ターゲット画像と出力された画像Y1、Y2、Y3との画素の差分を示すグラフである。
図18】構造的な類似度を示す指標であるSSIMによる評価結果を示すグラフである。
図19】見かけの拡散係数ADCの、ターゲット画像との差分を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本実施形態1は、以下に説明する実施形態2及び3の基本となる実施形態である。図1は、実施形態1に係るノイズ除去装置1の構成を示すブロック図である。ノイズ除去装置1は、撮像されたMRI(Magnetic Resonance Imaging)画像のノイズを除去することにより、高いSNR(Signal to Noise Ratio)を有するMRI画像を生成する。なお、本実施形態において「ノイズを除去する」とは、ノイズを完全に除去することに限らず、ノイズを減少させることを含む。
【0019】
(ノイズ除去装置の構成)
図1に示すように、ノイズ除去装置1は、入出力インターフェース11と少なくとも1つのプロセッサ12とメモリ13とを備えている。プロセッサ12は、入出力インターフェース11を介して撮像したMRI画像を取得する。また、プロセッサ12は、MRI画像のノイズを除去するノイズ除去処理を実行する。メモリ13には、ノイズ除去処理に利用するモデルM1が記憶されている。モデルM1は、教師あり学習により学習された学習済のモデルである。モデルM1を学習させる方法については後述する。
【0020】
図1においては、プロセッサ12とメモリ13(モデルM1)が1つのノイズ除去装置1に組み込まれているように記載しているが、必ずしも1つの装置内に組み込まれている必要はない。例えば、これらが異なる装置又は場所に配置され、互いに情報通信可能に接続されていてもよい。また、これらの一部又は全部が、クラウド上に配置されていてもよい。
【0021】
本実施形態において、ノイズを除去するMRI画像は、主に医療現場で撮像される、デジタルのMRI画像である。つまり、MRI画像は、マトリックス状に配列された多数の画素(ピクセル)によって構成されており、各々の画素は画素値を有している。画素値は、モノクロのMRI画像であれば、例えば明るさの程度を示す256階調(0から255までのいずれかの整数)の輝度値である。また、カラーのMRI画像であれば、画素値は例えばR、G、Bの各輝度値である。本実施形態において、MRI画像のノイズとは、例えば、アーチファクトといわれるノイズである。
【0022】
図2は、ノイズ除去装置1が行うノイズ除去処理の流れを示す模式図である。図2に示すように、モデルM(本実施形態では「モデルM1」とも称する。)は、ネットワークとフィルタを含んでおり、処理経路(I)、(II)、(III)及び(IV)に示す処理を実行する。具体的には、モデルM1は、入力画像Xに大域的に作用するネットワークNと、入力画像Xに局所的に作用するn個(nは2以上の自然数)のフィルタFと、を含んでいる。
【0023】
より具体的に説明すると、処理経路(I)では、プロセッサ12は、入力画像Xに局所的に作用するn個のフィルタF、F、…、F(フィルタFと称する)の各々を用いて、入力画像Xからn枚の中間画像X、X…Xを生成する(第2の処理)。n個のフィルタFは、後述するように、フィルタ係数F(A)の数値がそれぞれ異なっている。
【0024】
一方、図2の処理経路(II)は、入力画像Xに大域的に作用するネットワーク(例えばCNNネットワーク)Nによって処理される経路である。処理経路(II)では、プロセッサ12は、このネットワークNを用いて、入力画像Xからn個の重みである加重係数V(n)を導出する(第1の処理)。加重係数V(n)は、n個の中間画像X、X…Xの加重平均を取るための重みである。プロセッサ12は、n個の重み(加重係数V(n))を用いてn枚の中間画像X、X…Xを加重平均することによって、画素値yを有する中間出力画像を生成する(第3の処理)。ネットワークを規定する係数、及び、n個のフィルタの各々を規定する係数は、機械学習によって決定されている。つまり、モデルM1は、後述する機械学習により構築されている。
【0025】
また、プロセッサ12は、中間出力画像に対して、図2の処理経路(III)に示すマックスプーリング値Mと処理経路(IV)に示すミニマムプーリング値mを用いた制限処理を行う。具体的には、着目する画素を含む領域ごとにマックスプーリング処理した最大値Mと中間出力画像の画素値yとの最小値を取った画素値y’を生成する。次いで、着目する画素を含む領域ごとにミニマムプーリング処理した最小値mと画素値y’との最大値を取った画素値y’’を生成する。このようにして、画素値y’’を有する出力画像Yが生成される。つまり、プロセッサ12は、中間出力画像の出力画素値yに最小値、最大値を制限する処理を加えて最終的な出力画像Yを生成する。
【0026】
以上のように、モデルM1は、プロセッサ12が取得したMRI画像を入力画像とし、当該MRI画像のノイズが除去されたMRI画像を出力画像とするモデルである。モデルM1は、出力画像の各画素の画素値が、該画素に対応する入力画像の画素の近傍にある画素の画素値の最小値以上最大値以下の範囲に含まれるように構成されている。
【0027】
図3は、実施形態1に係るモデルM1の処理経路(I)で用いるフィルタFの一例を示す図である。具体的には、ノイズ除去装置1に入力されたMRI画像の着目する画素の近傍の領域(隣接する領域)DINの画素の画素値の一例と、フィルタFを用いて処理された中間画像の、対応する領域DOUTの着目する画素の画素値を示す図である。入力画像の画素の画素値(以下、「入力画素値」とも称する。)と出力画素値は、例えばモノクロ画像の輝度値である。図3に示す例では、「画素の近傍」とは、その画素(着目する画素)のX方向及びY方向の±1画素の領域、つまり、着目する画素を中心とする3×3の画素領域である。
【0028】
図3に示すように、図の左右方向(X方向)及び上下方向(Y方向)に配列された画素の座標をp(x、y)と表す。xは、画素の左右方向の座標であり、yは上下方向の座標である。座標(x、y)の画素の入力画素値をp(x、y)、その座標の出力画素値をp’(x、y)、フィルタFのフィルタ係数F(A)=(a1、a2、…a9)としたとき、p’(x、y)は下記式で計算される。
p’(x、y)=F(A)・p(x、y)=a1×p(x-1、y-1)+a2×p(x、y-1)+…a8×p(x、y+1)+a9×p(x+1、y+1)
なお、出力画素値p’(x、y)は、近傍の画素値の加重加算をして得られる。フィルタ係数F(A)の合計は必ずしも1である必要はない。n個のフィルタFのフィルタ係数F(A)は、機械学習によって決定されたものである。
【0029】
例えば、図3に示す例では、フィルタ係数F(A)が、a1=a2=a3=a4=a6=a7=a8=a9=0.1、a5=0.2であった場合を仮定しており、着目する画素の出力値はp’(x、y)=21.2となる。なお、他の画素の出力値は、近傍の3×3の画素の入力値が不定なため記載していないが、同様にこのフィルタFを用いて計算される。
【0030】
なお、図3に示す例では、近傍の領域は、着目する画素のX方向及びY方向の±1画素の領域としているが、これに限られない。例えば、近傍の領域は、X方向には(x-n1)から(x+n2)までの領域であり、Y方向には(y-n3)から(y+n4)までの領域である。ここで、n1、n2、n3、n4は0以上の整数である。ただし、あまり広い領域を設定すると、条件を限定し過ぎるため、n1、n2、n3、n4はそれぞれ1から3程度であることが好ましい。
【0031】
処理経路(I)でこのような処理を行う理由は、予測しにくい画像の大域的な範囲のエラーに影響を受けないよう、局所(近傍)の値のみを入力とした比較的シンプルな計算処理により具体的な出力の値を決定するためである。
【0032】
一方、処理経路(II)は、処理経路(I)で生成した比較的シンプルな中間画像群X、X…Xを適切に加重平均して、画像の大域的な範囲でノイズを除去できるような加重係数V(n)を導出する役割を有する。処理経路(I)のフィルタFを用いて生成される画像群は、局所的な部分にのみ注目し、ノイズ除去処理を行おうとする画像群であるため、これらだけでは大域的な範囲で見た場合にも適切となるノイズ除去を実現できるとは限らない。このため、局所的にも大域的にも適切なノイズ除去を実現するためには、さらに処理経路(II)のような処理を設けて処理経路(I)と並行して最適化し、処理経路(I)で生成される中間画像群Xを大域的な情報に基づいて最適に組み合わせられるようにすることが好ましい。
【0033】
さらに、処理経路(III)及び(IV)は、上記の処理経路(I)と(II)によって生成された画像の画素値に異常と考えられる画素値が含まれていた場合に、そのような画素値を近傍の画素の画素値の範囲内に強制的に制限する役割を有する。
【0034】
例えば、フィルタ係数F(A)の合計値に何の条件を加えない場合は、画像全体においてノイズを除去する学習の結果によっては、学習済のフィルタ係数F(A)の合計が1を超える場合がある。すると、着目する画素の出力画素値がその近傍の画素の入力画素値の最大値を超える場合がある。そのような場合でも、最終段階である処理経路(III)及び(IV)において、生成された画像の出力画素値を近傍の画素の入力画素値の範囲内に強制的に制限することで、異常と考えられる画素値が生成されることを防ぐことができる。
【0035】
なお、学習により決定されたフィルタ係数F(A)の合計値が1を超えない場合もある。その場合は、フィルタFで処理された画像の出力画素値は、近傍の画素の入力画素値の最大値と最小値の範囲内に収まり、処理経路(II)で処理した画像の出力画素値も、近傍の画素の入力画素値の最大値と最小値の範囲内に収まる。また、フィルタ係数F(A)の合計値が1を多少超えた場合でも、結果として出力画素値は近傍の画素の入力画素値の最大値と最小値の範囲から大きくはずれない範囲内に収まることが期待される。このような場合は、処理経路(III)及び(IV)を実行しなくとも、本発明の効果が得られる。
【0036】
さらに、例えば処理経路(I)のフィルタFのフィルタ係数F(A)の合計を1以下とする条件を与えてモデルを学習させた場合は、フィルタFで処理された画像の出力画素値は、近傍の画素の入力画素値の加重平均値以下となる。つまり、フィルタFで処理された画像の出力画素値は、近傍の画素の入力画素値の最大値と最小値の範囲内に収まり、処理経路(II)で処理した画像の出力画素値も、近傍の画素の入力画素値の最大値と最小値の範囲内に収まる。従って、このような条件を与えてモデルを学習させた場合は、処理経路(III)及び(IV)を実行する必要はない。
【0037】
以上のように、モデルM1は、出力画像の画素の画素値を、入力画像の画素の近傍にある画素の画素値の最小値以上最大値以下の範囲に含まれるように構成されている。
【0038】
生体の構造は周囲との連続性を持つため、着目する画素を中心とする近傍の領域内の画素の中で一つだけが突出して高い画素値、又は突出して低い画素値を持つことは考えにくい。そのため、生体のMRI画像の特徴を考慮して、出力画素値の取りうる範囲に上述のような制限を設けることで、明らかに異常と判断される画素値が出力されることを防ぐことができる。
【0039】
以上のように、本実施形態1に係るノイズ除去装置1によれば、生体のMRI画像の特徴を考慮してノイズを除去したMRI画像を生成する技術を実現することができる。
【0040】
また、従来技術ではノイズを低減した画像を取得するために複数枚のMRI画像が必要であったが、本実施形態に係るノイズ除去装置1を用いることにより、1枚のMRI画像から従来技術と同程度にノイズが除去されたMRI画像を取得することができる。そのため、撮像時間と画像の合成時間の短縮が可能となる。さらに、複数回の撮像の間に撮像条件が変わるリスクをなくすことができるとともに、患者に与える負担を軽減することができるという効果も得られる。
【0041】
(ノイズ除去方法)
次に、ノイズ除去装置1が実行するノイズ除去方法について、図面を参照して説明する。ノイズ除去方法は、少なくとも1つのメモリに記憶されたモデルM1を利用して少なくとも1つのプロセッサ12がMRI画像のノイズを除去するノイズ除去処理を含む。図4は、MRI画像のノイズを除去するノイズ除去処理S1の流れを示すフローチャートである。図4に示すように、ステップS11において、プロセッサ12は、入出力インターフェース11を介して、撮像したMRI画像を取得する。次に、ステップS12において、プロセッサ12は、モデルM1を利用して当該MRI画像のノイズを除去したMRI画像を生成する。
【0042】
モデルM1は、MRI画像を入力画像とし、ノイズが除去されたMRI画像を出力画像とするモデルである。前述のように、このモデルM1は、出力画像の各画素の画素値が、該画素に対応する入力画像の画素の近傍にある画素の画素値の最小値以上最大値以下の範囲に含まれるように構成されている。
【0043】
本実施形態に係るノイズ除去方法によれば、上述のノイズ除去装置1により得られる効果と同様の効果を得ることができる。
【0044】
〔実施形態2〕
次に、本発明の実施形態2に係るノイズ除去装置1について説明する。なお、実施形態2に係るノイズ除去装置1の構成は、実施形態1に係るノイズ除去装置1の構成と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0045】
(実施形態2のノイズ除去装置の機能)
実施形態2に係るノイズ除去装置1が実施形態1に係るノイズ除去装置1と異なる点は、メモリ13に、モデルM2が記憶されているという点である。モデルM2は、モデルM1を構築した際の学習に加えて、出力画像から導出される2次的指標と、対応するノイズを除去した教師データのMRI画像から導出される2次的指標と、の誤差(単に「差」とも称する。)を小さくするように構築(学習)されている。本実施形態2においては、2次的指標は拡散テンソルである。なお、本実施形態においては、入力画像は拡散強調画像である。
【0046】
実施形態2に係るノイズ除去装置1によれば、実施形態1に係るノイズ除去装置1により得られる効果と同様の効果を得ることができる。さらに、本実施形態によれば、出力画像の2次的指標(例えば拡散テンソル)と、教師画像の2次的指標(例えば拡散テンソル)との誤差を小さくするように構築されたモデルM2を用いている。従って、より精度良い出力画像を生成するノイズ除去装置を実現することができる。なお、本実施形態でいう精度とは、生成した画像がどの程度教師データに近いかの尺度である。
【0047】
(ノイズ除去方法)
次に、実施形態2に係るノイズ除去装置1が実行するノイズ除去方法について説明する。実施形態2に係るノイズ除去方法は、基本的に実施形態1で説明したノイズ除去処理S1と同様である。ただし、実施形態2に係るノイズ除去方法は、入力画像は拡散強調画像であり、モデルM2は、出力画像から導出される2次的指標と、対応するノイズを除去した教師データのMRI画像から導出される2次的指標との誤差を小さくするように構築されている。上述のように、2次的指標は拡散テンソルである。
【0048】
実施形態2に係るノイズ除去方法によれば、実施形態1に係るノイズ除去方法により得られる効果と同様の効果を得ることができる。さらに、本実施形態によれば、出力画像の2次的指標(例えば拡散テンソル)と、教師画像の2次的指標(例えば拡散テンソル)との誤差を小さくするように構築されたモデルM2を用いている。従って、より精度良い出力画像を生成するノイズ除去方法を実現することができる。
【0049】
〔実施形態3〕
次に、本発明の実施形態3に係るノイズ除去装置1について説明する。なお、実施形態3に係るノイズ除去装置1の構成は、実施形態1に係るノイズ除去装置1の構成と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0050】
(実施形態3のノイズ除去装置の機能)
実施形態3に係るノイズ除去装置1が実施形態1に係るノイズ除去装置1と異なる点は、メモリ13にモデルM3を記憶しているという点である。モデルM3は、撮像したMRI画像と、所定の条件で撮像された当該MRI画像を含む複数のMRI画像を用いてノイズを除去したMRI画像と、を教師データとして学習されたモデルである。モデルM3は、所定の条件で撮像された複数のMRI画像の出力画像同士の誤差を小さくするように構築(学習)されている。なお、モデルM3は、モデルM1又はモデルM2を構築した際の学習を併せて行って構築されていてもよい。
【0051】
実施形態3に係るノイズ除去装置1によれば、実施形態1に係るノイズ除去装置1により得られる効果と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態によれば、複数の出力画像同士の誤差を小さくするように構築されたモデルM3を用いている。さらに、出力画像の各々と教師画像と誤差を小さくするように構築されたモデルM3を用いてもよい。従って、より精度良い出力画像を生成するノイズ除去装置を実現することができる。
【0052】
(ノイズ除去方法)
次に、実施形態3に係るノイズ除去装置1が実行するノイズ除去方法について説明する。実施形態3に係るノイズ除去方法は、基本的に実施形態1で説明したノイズ除去処理S1と同様である。ただし、実施形態3に係るノイズ除去方法においては、モデルM3は、撮像したMRI画像と、所定の条件で撮像された当該MRI画像を含む複数のMRI画像を用いてノイズを除去したMRI画像と、を教師データとして学習されたモデルであり、所定の条件で撮像された複数のMRI画像の出力画像同士の誤差を小さくするように構築されている。
【0053】
実施形態3に係るノイズ除去方法によれば、実施形態1に係るノイズ除去方法により得られる効果と同様の効果を得ることができる。さらに、本実施形態によれば、所定の条件で撮像された複数のMRI画像の出力画像同士の誤差を小さくするように構築されたモデルM3を用いている。モデルM3は、さらに、出力画像の各々と教師画像と小さくするように構築されていてもよい。従って、より精度良い出力画像を生成するノイズ除去方法を実現することができる。
【0054】
〔実施形態4〕
(機械学習装置)
次に、本発明の実施形態4に係る機械学習装置について、図面を参照して詳細に説明する。本実施形態は、後述の実施形態5、6で説明する機械学習装置の基本となる実施形態である。
【0055】
(機械学習装置の構成)
図5は、本実施形態に係る機械学習装置2の構成を示すブロック図である。図5に示すように、機械学習装置2は、入出力インターフェース21、少なくとも1つのプロセッサ22、及び少なくとも1つのメモリ23を備えている。メモリ23には、MRI画像を入力画像とし、ノイズが除去されたMRI画像を出力画像とするモデルが記憶されている。モデルは、MRI画像を入力画像とし、ノイズが除去されたMRI画像を出力画像とするノイズ除去処理を実行するモデルである。モデルは、出力画像の各画素の画素値が、該画素に対応する入力画像の画素の近傍にある画素の画素値の最小値以上最大値以下の範囲に含まれるように構成されている。本実施形態に係る機械学習装置2は、実施形態1で説明したモデルM1を構築するための装置である。以下の説明では、学習前のモデルも含めて、本実施形態のモデルを便宜的に「モデルM1」と称する。
【0056】
プロセッサ22は、撮像したMRI画像と、当該MRI画像を含む複数のMRI画像を用いてノイズを除去したMRI画像とを、入出力インターフェース21を介して、教師データとして取得する。プロセッサ22は、この教師データを用いた教師ありの機械学習により学習済のモデルM1を構築する、モデル構築処理を実行する。つまり、プロセッサ22は、出力画像とノイズを除去した教師画像との誤差が小さくなるようにモデルM1を規定する係数を修正する。
【0057】
1つの教師データは、撮像したMRI画像と、当該MRI画像を含む複数のMRI画像を用いてノイズを除去したMRI画像(教師画像)である。この教師データを複数集めたデータセットを学習用データセットと称する。プロセッサ22は、この学習用データセットを用いてモデルM1を学習させ、学習済のモデルM1を構築する。学習済のモデルM1は、実施形態1で説明したように、撮像したMRI画像が入力されると、当該MRI画像からノイズを除去したMRI画像を出力する(ノイズを除去する処理)を実行する。なお、モデルM1を学習させるとは、モデルM1に含まれる係数及びパラメータ(以下、「係数」と称する)を、所定の条件を満たすまで更新することである。
【0058】
医療現場において、MRI画像を取得する場合は、共通する条件で複数のMRI画像を撮像し、これらの複数のMRI画像を加算してノイズを除去した1枚のMRI画像を得る方法が一般に採用されている。「共通する条件」とは、予め定められた撮像装置の条件であり、複数のMRI画像はすべて同じ撮像装置条件で撮像されたものである。ただし、患者の体位や体調が撮像時間ごとに異なるため、撮像される複数のMRI画像は必ずしも同一とは限らない。
【0059】
プロセッサ22は、一例として、このような手法で撮像された複数のMRI画像のうちの1枚と、当該MRI画像を含む複数のMRI画像を用いてノイズが除去されたMRI画像と、のセットを教師データとして取得してもよい。この場合、教師データは、既に撮像されたMRI画像を用いることができるため、新たに作成しなくともよいという利点がある。
【0060】
このようなモデルM1の具体的な構成は限定されない。一例として、モデルM1は、入力画像に大域的に作用するネットワークと、入力画像に局所的に作用するn個(nは2以上の自然数)のフィルタと、を含んでいる。ネットワークとフィルタは、実施形態1において図2を用いて説明したネットワークNとフィルタFである。
【0061】
また、プロセッサ22が実行するノイズを除去する処理は、実施形態1で説明したように、ネットワークを用いて入力画像からn個の重みを導出する第1の処理と、n個のフィルタの各々を用いて入力画像からn枚の中間画像を生成する第2の処理と、n個の重みを用いてn枚の中間画像を加重平均することによって、出力画像を生成する第3の処理と、を含んでいる。
【0062】
図2に示すように、第1の処理は、プロセッサ22が、ネットワークNを用いて、入力画像Xからn個の重みである加重係数V(n)を導出する処理である。第2の処理は、プロセッサ22が、入力画像Xに局所的に作用するn個のフィルタFの各々を用いて、入力画像Xからn枚の中間画像X、X…Xを生成する処理である。n個のフィルタFは、フィルタF(A)の数値を変えたものである。第3の処理は、プロセッサ22が、n個の重み(加重係数V(n))を用いてn枚の中間画像X、X…Xを加重平均することによって中間出力画像を生成する処理である。出力画像Yは、さらに中間出力画像の画素値yに最小値、最大値を制限する処理を加えて生成されてもよい。
【0063】
プロセッサ22は、出力画像Yとノイズが除去された教師画像との画素値の誤差が小さくなるように、モデルM1を規定する係数を更新する。そして、次の教師データの入力画像を用いて、出力画像を生成し、その出力画像とノイズが除去された教師画像との誤差が小さくなるように、モデルM1を規定する係数を更新する。機械学習装置2は、このような処理を繰り返して、モデルM1を学習させる。
【0064】
以上の構成を有する機械学習装置2によれば、出力画像の各画素の画素値が、該画素に対応する入力画像の画素の近傍にある画素の画素値の最小値以上最大値以下の範囲に含まれるという制限を設けている。そのため、明らかに異常と判断される画素値が出力されることを防ぐことができる。従って、生体のMRI画像の特徴を考慮してノイズを除去したMRI画像を生成するモデルを構築することができる。
【0065】
(機械学習方法)
次に、本実施形態4に係る機械学習方法について、図面を参照して説明する。機械学習方法は、モデルM1を教師あり学習により構築する、モデル構築処理を含む。モデル構築処理は、上述の機械学習装置2を用いて行われる。モデルは、少なくとも1つのメモリに記憶されたモデルを利用して少なくとも1つのプロセッサがMRI画像を入力画像とし、ノイズが除去されたMRI画像を出力画像とするモデルである。
【0066】
図6は、モデルM1の構築処理S2の流れを示すフローチャートである。図6に示すように、ステップS21において、プロセッサ22は、撮像したMRI画像と、当該MRI画像を含む複数のMRI画像を用いてノイズを除去した教師画像と、を教師データとして取得する。次に、ステップS22において、プロセッサ22は、教師あり学習により、ノイズを除去するモデルM1を更新する。つまり、教師データを入力し、出力画像を得て、出力画像と教師画像との誤差が小さくなるように、モデルM1を規定する係数を更新する。次に、ステップS23において、プロセッサ22は、終了条件を満たすか否かを判定する。終了条件は、例えば、誤差が所定の範囲内に収まっていること、あるいは、所定の学習回数を終了したこと、等である。ステップS23において、終了条件を満たしていると判定された場合(ステップS23:YES)は、構築処理S2を終了する。ステップS23において、終了条件を満たしていないと判定された場合(ステップS23:NO)は、ステップS21に戻る。
【0067】
モデルM1は、MRI画像を入力画像とし、ノイズが除去されたMRI画像を出力画像とするモデルである。モデルM1は、出力画像の各画素の画素値が、該画素に対応する入力画像の画素の近傍にある画素の画素値の最小値以上最大値以下の範囲に含まれるように構成されている。この構成は実施形態1で説明したものと同じであるので、ここでの説明は省略する。
【0068】
以上のように、本実施形態4に係る機械学習方法によれば、出力画素値の取りうる範囲に上述の制限を設けることで、生体のMRI画像の特徴を考慮してノイズを除去したMRI画像を生成するモデルを構築することができる。
【0069】
〔実施形態5〕
次に、本発明の実施形態5に係る機械学習装置2について、図面を参照して以下に説明する。なお、実施形態5に係る機械学習装置2の構成は、実施形態4で説明した機械学習装置2の構成と同様であるため、その説明は省略する。
【0070】
(実施形態5の機械学習装置の機能)
本実施形態に係る機械学習装置2が実施形態4の機械学習装置2と異なる点は、プロセッサ22が、実施形態4で説明した学習に加えて、出力画像から導出される2次的指標と、対応する教師データのノイズを除去したMRI画像から導出される2次的指標と、の誤差を小さくするようにモデルを学習させるという点である。本実施形態5に係る機械学習装置2は、実施形態2で説明したモデルM2を構築するための装置である。以下、本実施形態のモデルを、未学習のモデルを含めて便宜的に「モデルM2」と称する。
【0071】
MRI画像が拡散強調画像である場合、その拡散強調画像から、2次的指標として拡散テンソルを導出することができる。拡散強調画像は、撮像対象中の水分の拡散の方向と速さをパラメータとして画像化したものである。拡散テンソルは、水分の流れを数値で表したものであり、元画像が有している重要な生体情報の1つである。
【0072】
本実施形態では、機械学習における教師データは、第1のMRI画像とノイズが除去された第2のMRI画像との組である。例えば、第1のMRI画像は、共通する条件で撮像された複数の画像のうちの1枚の画像である。第2のMRI画像は、共通する条件で撮像された複数の画像から得られた、ノイズを除去した画像である。本実施形態では、モデル構築処理は、第1のMRI画像を入力したときにモデルM2から出力されるMRI画像の2次的指標、及び、第2のMRI画像の2次的指標を導出する導出処理と、2つの2次的指標の差が小さくなるように、モデルを規定する係数を更新する更新処理と、を含んでいる。
【0073】
実施形態4で説明した出力画像Yが拡散強調画像である場合を考える。図7は、実施形態5に係る機械学習装置が学習する拡散テンソルを示す模式図である。図7に示すように、出力画像Yから拡散テンソルTyが導出される。一方、教師データZ(これも拡散強調画像である)から拡散テンソルTzが導出される。拡散テンソルは、画素ごとに導出することができる。
【0074】
図7に示すように、拡散テンソルは、3次元の拡散ベクトルをλ、λ2κ、λ3κで表し、これらを3軸とする楕円体Ty、楕円体Tzとして表してもよい。拡散テンソルは、異方性拡散の場合は楕円体となり、等方性拡散の場合は球体となる。出力画像Yと教師データZの画素値を比較して、その誤差を小さくするだけでなく、楕円体Tyと楕円体Tzとのベクトル値を比較し、その誤差が小さくなるようにすることで、教師データにより近い出力画像を生成することができる。
【0075】
(モデル構築方法)
次に、本実施形態に係るモデルM2の構築処理S3について、図面を参照して説明する。構築処理S3は、実施形態4で説明したモデルの構築処理S2に加えて行ってもよい。図8は、実施形態5に係るモデルの構築処理S3の流れを示すフローチャートである。
【0076】
図8に示すように、ステップS31において、プロセッサ22は、出力画像と教師データの2次的指標を導出する。つまり、プロセッサ22は、第1のMRI画像を入力したときにモデルM2から出力されるMRI画像の2次的指標、及び、第2のMRI画像の2次的指標を導出する(導出処理)。次に、ステップS32において、プロセッサ22は、出力画像の2次的指標と教師データの2次的指標との誤差を小さくするようにモデルを学習させる。つまり、プロセッサ22は、2つの2次的指標の誤差が小さくなるように、モデルM2を規定する係数を更新する(更新処理)。一例として、MRI画像は拡散強調画像であり、2次的指標は拡散テンソルである。
【0077】
以上の実施形態5に係る機械学習装置2によれば、実施形態4に係る機械学習装置2と同様の効果を得ることができる。さらに、本実施形態によれば、出力画像Yの2次的指標(例えば拡散テンソル)と、教師画像Zの2次的指標(例えば拡散テンソル)との誤差を小さくするモデルM2を構築することができる。従って、より精度良い出力画像を生成するモデルM2を構築する機械学習装置2を実現することができる。
【0078】
〔実施形態6〕
次に、本発明の実施形態6に係る機械学習装置2について、図面を参照して以下に説明する。なお、実施形態6に係る機械学習装置2の構成は、実施形態4で説明した機械学習装置2の構成と同様であるため、その説明は省略する。
【0079】
(実施形態6の機械学習装置の機能)
本実施形態の機械学習装置2が実施形態4の機械学習装置2と異なる点は、教師データである複数のMRI画像は、共通する条件で撮像されたMRI画像であり、プロセッサ22が、共通する条件で撮像された複数のMRI画像の出力画像同士の誤差を小さくするように、モデルを構築するという点である。本実施形態6に係る機械学習装置2は、実施形態3で説明したモデルM3を構築するための装置である。以下、未学習のモデルも含めて、本実施形態のモデルを便宜的に「モデルM3」と称する。
【0080】
図9は、実施形態6に係る機械学習装置2が行うモデル構築処理の流れを示す模式図である。前述のように、従来技術の場合、MRI画像を撮像する場合は、共通する条件でn枚のMRI画像X1、X2、…XNを撮像する。本実施形態における機械学習における教師データは、この共通する条件で撮像された複数のMRI画像X1、X2、…XNである。さらに、モデル構築処理は、複数のMRI画像の各々を入力したときにモデルM3から出力されるMRI画像Y1、Y2、…YN同士の差が小さくなるように、モデルM3を規定する係数を更新する処理を含んでいる。つまり、プロセッサ22は、n枚のMRI画像X1、X2、…XNのそれぞれからモデルM3によってn枚の出力画像Y1、Y2、…YNを生成させる。そして、プロセッサ22は、得られた出力画像Y1、Y2、…YN同士を比較し、誤差を小さくするようにモデルM3を構築する。
【0081】
ここで、出力画像同士を比較するとは、図9に示すように、Y1とY2とを比較、Y1とY3とを比較、…のように、任意(又はすべて)の組み合わせで比較するということである。なお、出力画像Y1、Y2、…YNの各々と教師画像Zとを比較した結果を加えてもよい。
【0082】
共通する条件で撮像されたn枚のMRI画像X1、X2、…XNは、同等の情報を持つ画像である。従って、出力画像Y1、Y2、…YNもまた同等の情報を持つ画像となるべきである。そこで、n枚の出力画像Y1、Y2、…YN同士の誤差が小さくなるようにモデルM3を構築することで、モデルの能力をより向上させることができる。また、上述のように、出力画像Y1、Y2、…YNの各々と教師画像Zとの一致度を高めるようにモデルM3を学習させてもよい。
【0083】
以上の実施形態6に係る機械学習装置2によれば、実施形態4に係る機械学習装置2と同様の効果を得ることができる。さらに、本実施形態によれば、複数の出力画像Y1、Y2、…YN同士の一致度を高めたモデルM3を構築することができる。さらに、出力画像Y1、Y2、…YNの各々と教師画像Zとの誤差を小さくするモデルM3を構築することができる。従って、より精度良い出力画像を生成するモデルM3を構築する機械学習装置を実現することができる。
【0084】
(モデル構築方法)
次に、実施形態6に係るモデルM3の生成方法について、図面を参照して説明する。図10は、実施形態6に係るモデルM3の構築処理S4の流れを示すフローチャートである。図10に示すように、ステップS41において、プロセッサ22は、共通する条件で撮像された複数のMRI画像を取得する。この複数のMRI画像は、ノイズを除去した教師データのMRI画像の元となった、共通する条件で撮像されたMRI画像である。次に、ステップS42において、プロセッサ22は、複数のMRI画像から出力画像を生成する。次に、ステップS43において、プロセッサ22は、共通する条件で撮像された複数のMRI画像の出力画像同士の誤差を小さくするように、モデルM3を学習させる。
【0085】
以上の実施形態6に係るモデルの構築方法によれば、実施形態4に係るモデルの構築方法と同様の効果を得ることができる。さらに、本実施形態によれば、共通する条件で撮像された複数のMRI画像の出力画像同士の誤差を小さくするモデルM3を構築することができる。従って、より精度良い出力画像を生成するモデルM3を構築することができる。
【0086】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例0087】
本発明の一実施例について以下に説明する。図11は、実施例1に係る頭部MRI画像のインプット画像121、アウトプット画像122、及び教師画像123である。インプット画像121は、撮像されたMRI画像である。アウトプット画像122は、実施例1に係るノイズ除去装置にインプット画像121を入力することによって生成されたMRI画像である。教師画像123は、インプット画像121と共通する条件で撮像された複数のMRI画像を合成してノイズを除去したMRI画像である。
【0088】
アウトプット画像122は、教師画像123と比べて遜色がないほどにSNRが改善している。つまり、本実施例に係るノイズ除去装置を用いることにより、1枚のMRI画像から、従来技術と同程度にノイズが除去されたMRI画像が得られることがわかった。
【実施例0089】
本発明の他の実施例について以下に説明する。図12は、本発明の実施例2に係る頭部拡散強調画像の2次的指標であるFAパラメータマップである。図12では、左からインプット画像131、アウトプット画像132、及び教師画像133を、それぞれの拡大図とともに示している。インプット画像131は、撮像された拡散強調画像のFAパラメータマップである。アウトプット画像132は、実施例2に係るノイズ除去装置にインプット画像131を入力することによって生成された拡散強調画像のFAパラメータマップである。教師画像133は、インプット画像131と共通する条件で撮像された複数の拡散強調画像を合成してノイズを除去した拡散強調画像のFAパラメータマップである。
【0090】
アウトプット画像132は、教師画像133と比べて遜色がないほどにSNRが低下している。つまり、本実施例に係るノイズ除去装置を用いることにより、1枚の拡散強調画像から、従来技術と同程度にノイズが除去された拡散強調画像のFAパラメータマップが得られることがわかった。
【実施例0091】
本発明の他の実施例について以下に説明する。図13は、本発明の実施例3に係る拡散強調画像の2次的指標であるパラメータの、ノイズ除去前後の変化を示した図である。図のAD(Axial Diffusivity)は拡散テンソルの楕円体の長軸方向径を、RD(Radial Diffusivity)は楕円体の短軸方向径を、MD(Mean Diffusivity)は、ADとRDの平均をそれぞれ示す。FA(Fractional Anisotropy)は楕円体の尖度を示す。AK(Axial Kurtosis)、RK(Radial Kurtosis)、MK(Mean Kurtosis)は、拡散テンソルとは別の指標であり、それぞれが、水分子拡散を4階テンソルで近似したときの、拡散テンソルの長軸方向における径長、拡散テンソルの短軸方向における径長、すべての方向の径長の平均値に相当する。
【0092】
各図の縦軸は平均自乗誤差(RMSE)であり、小さいほど教師データに近いことを示す。これらのパラメータ値は、10人の拡散強調画像を平均したものであり、箱は誤差バーである。横軸の1は、入力画像から得られた値であり、横軸の2は出力画像から得られた値である。図13からわかるように、入力画像から得られたパラメータ値よりも、出力画像から得られたパラメータ値のほうが小さく、教師データに近い値が得られている。つまり、拡散強調画像の2次的指標に関しても、実施例に係るノイズ除去装置で処理した出力画像のほうが、入力画像よりも教師データに近い値が得られることが分かった。
【実施例0093】
(実施例4-1)
本発明の他の実施例について以下に説明する。図14は、本発明の実施例4-1に係るノイズ除去装置のモデルMが行うノイズ除去処理の流れを示す模式図である。この実施例4-1では、ノイズ除去処理の流れは図2に示すノイズ除去処理の流れと同様であるが、以下の点が異なる。
【0094】
モデルMは、処理経路(I)において、MRI画像の3×3(9個)の領域のピクセルの値(画素値)を重み付けしながら組み合わせて、新たな1ピクセルの画素値を生成する24個のフィルタF、F、…、F24(フィルタFと称する)を有している。つまり、フィルタFの数を示すnは24であり、24個のフィルタFは、フィルタ係数F(A)の数値がそれぞれ異なっている。
【0095】
この実施例では、連続して撮像した2枚のMRI画像X1、X2をモデルMに入力した。モデルMは、24枚のフィルタFを用いて、入力画像X1から24枚の中間画像X11~X1n(n=24)を生成し、これらに処理経路(II)で得た24個の重み(合計が1)をそれぞれ乗じて加重平均した中間画像Xを得た。また、入力画像X2から24枚の中間画像X21~X2n(n=24)を生成し、これらに処理経路(II)で得た24個の重み(合計が1)をそれぞれ乗じて加重平均した中間画像Xを得た。そして、中間画像Xと中間画像Xに対して、それぞれ処理経路(III)のマックスプーリング処理及び処理経路(IV)のミニマムプーリング処理を行い、さらにこれらの処理を行った中間画像Xと中間画像Xの平均(Av)を取って出力画像Y1を得た。以上のようにして得られる出力画像Y1が、ターゲット画像に近づくようにモデルMを学習させた。ターゲット画像は、連続して撮像された5枚のMRI画像を加算した画像である。
【0096】
処理経路(II)の処理としては、入力画像X1と入力画像X2をそれぞれ入力とし、処理層として拡張2次元畳み込み層(5×5、dilate=2)、2次元畳み込み層(5×5、stride=2)、及び逆畳み込み層(2×2、stride=2)を用いて処理し、出力層として2次元畳み込み層(5×5)とソフトマックス層を用いて重みを出力させた。
【0097】
従来技術では、MRI画像を撮像する場合は、連続して撮像した5枚のMRI画像を加算してノイズを減少させた1枚のMRI画像を生成する。しかし、本実施例では、連続して撮像した2枚のMRI画像X1、X2から、ノイズを減少させた画像Y1を生成するようにモデルMを学習させた。この際の教師データが、連続して撮像した5枚のMRI画像を加算してノイズを減少させた画像であり、上述のターゲット画像である。具体的には、連続して撮像した5枚のMRI画像を加算してノイズを減少させた教師データとなるターゲット画像を生成しておき、5枚のMRI画像の任意の2枚を用いて、教師画像に近い画像を生成するようにモデルMを学習させた。なお、ターゲット画像との近似度を評価するために、対応する画素同士の平均自乗誤差(MSE、Mean Square Error)を算出し、MSEの合計が小さくなるようにモデルMを学習させた。
【0098】
(実施例4-2)
図15は、実施例4-2に係るノイズ除去装置のモデルMが行うノイズ除去処理の流れを示す模式図である。この実施例4-2に示すノイズ除去処理は、ネットワークを用いて、撮像位置をずらして撮像された3枚1組の入力画像を2組用いてn個の重みを導出する第1の処理と、n個のフィルタの各々を用いて入力画像からn枚の中間画像を生成する第2の処理と、n個の重みを用いてn枚の中間画像を加重平均することによって、出力画像を生成する第3の処理と、を含んでいる。ここで、撮像位置をずらして撮像される3枚1組の入力画像は、連続して撮像したものであってもよい。
【0099】
より具体的に、実施例4-2に示すノイズ除去処理が、図14に示すノイズ除去処理と異なる点について説明する。実施例4-2では、入力するMRI画像として、撮像断面位置を変えて連続して撮像された3枚1組のMRI画像を2組用いた。つまり、撮像断面位置が異なるslice(k-1)、slicek、slice(k+1)で示す3枚1組のMRI画像を入力画像X1とし、同時期に連続して撮像された、撮像断面位置が異なるslice(k-1)、slicek、slice(k+1)で示す3枚1組のMRI画像を入力画像X2とした。入力画像X1と入力画像X2の処理は、上述の実施例4-1で説明した処理と同様である。
【0100】
このようにして得られた出力画像Y2が、ターゲット画像に近づくようにモデルMを学習させた。具体的には、モデルMの学習(モデル構築処理)は、撮像位置をずらして撮像された3枚1組の前記入力画像を2組入力したときにモデルMから出力されるMRI画像と教師データ(ターゲット画像)との差分を導出する導出処理と、差分が小さくなるように、モデルMを規定する係数を更新する更新処理と、を含んでいる。
【0101】
ターゲット画像は、実施例4-1と同様、連続して撮像された5枚のMRI画像を加算した画像である。なお、slice(k-1)、slicek、slice(k+1)で示すMRI画像の撮像断面は、互いに約7mm程度離れていた。この実施例では、断面の情報だけでなく、断面の上下方向の断面の情報も含めて学習するため、精度が向上すると考えられた。
【0102】
(実施例4-3)
図16は、実施例4-3に係るノイズ除去装置のモデルMが行うノイズ除去処理の流れを示す模式図である。この実施例4-3に示すノイズ除去処理は、基本的に実施例4-2で説明したノイズ除去処理と同様であるが、図15に示すノイズ除去処理と以下の点が異なる。
【0103】
実施例4-3では、入力するMRI画像は、実施例4-2と同様に、撮像断面位置を変えて連続して撮像された3枚1組のMRI画像を2組用いた。ただし、実施例4-3では、2組6枚のMRI画像をまとめて処理経路(I)で処理した。つまり、入力画像X1とX2とから24枚の中間画像X~X(n=24)を生成した。これらに処理経路(II)で得た24個の重み(合計が1)をそれぞれ乗じて加重平均した中間画像Xを得た。処理経路(II)では、処理層までは入力画像X1とX2とを個別に処理し、出力層でまとめて処理することで24個の重みを得た。さらに、中間画像Xに対して、処理経路(III)のマックスプーリング処理及び処理経路(IV)のミニマムプーリング処理を行って出力画像Y3を得た。以上のようにして得られる出力画像Y3が、ターゲット画像に近づくようにモデルMを学習させた。学習方法(モデル構築処理)は、実施例4-2で説明した方法と同様である。ターゲット画像は、実施例4-1と同様、連続して撮像された5枚のMRI画像を加算した画像である。
【0104】
以上の実施例4-1から4-3で得られた、学習済みのモデルMによって出力された画像が、どの程度ターゲット画像に近いかを評価した結果を図17図19に示す。
【0105】
図17は、ターゲット画像と出力された画像Y1、Y2、Y3との画素の差分(正規化された画素値)を示すグラフである。差分は小さいほど良いと評価される。グラフの左端のX1+X2は、入力画像X1と入力画像X2とを加算平均した画像である。差分の大きさは、X1+X2が有意に大きく、Y1、Y2、Y3はいずれも同程度であり、有意差はなかった(Wilcoxon sign-rank test、P<0.05を有意とした場合、以下同様)。なお、画像のbファクタは800(sec/mm)とした。
【0106】
図18は、構造的な類似度を示す指標であるSSIM(Structural Similarity)による評価結果を示すグラフである。SSIMは大きいほど良いと評価される。SSIMは、Y3がX1+X2に比べて有意に高く、Y1とY2は、X1+X2に比べて有意に低かった。なお、画像のbファクタは800(sec/mm)とした。
【0107】
図19は、見かけの拡散係数ADC(Apparent Diffusion Coefficient)の、ターゲット画像との差分(mm/s)を示すグラフである。差分であるため、小さいほど良い。ADCは、水分子の拡散係数に関連し、患部組織と健常な組織とで異なる。ADCを比較することにより、画像の見た目だけでなく、拡散の情報が保たれているかどうかを判断することができる。この結果では、Y3が他のデータより有意に小さいことがわかった。また、Y1,Y2は、X1+X2に比べて有意に高くなっている。なお、bファクタが0(sec/mm)及び800(sec/mm)の2枚の画像を用いてADCを算出した。
【0108】
以上の結果から、Y3は相対的にターゲット画像に近い画像が得られていることがわかった。また、処理経路(II)を用いることにより、画像出力に直接関わるモデルの層数を減らしながらも、複数の画像を加算して得られた画像と同等の画像が得られる可能性があることがわかった。
【0109】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係るノイズ除去装置は、MRI画像のノイズを除去するノイズ除去処理を実行する少なく1つのプロセッサと、前記ノイズ除去処理に利用するモデルを記憶する少なくとも1つのメモリと、を備え、前記モデルは、前記MRI画像を入力画像とし、ノイズが除去されたMRI画像を出力画像とするモデルであって、前記出力画像の各画素の画素値が、該画素に対応する前記入力画像の画素の近傍にある画素の画素値の最小値以上最大値以下の範囲に含まれるように構成されている。
【0110】
上記の構成によれば、生体のMRI画像の特徴を考慮してノイズを除去したMRI画像を生成する技術を実現することができる。
【0111】
本発明の態様2に係るノイズ除去装置において、前記モデルは、前記入力画像に大域的に作用するネットワークと、前記入力画像に局所的に作用するn個(nは2以上の自然数)のフィルタと、を含み、前記ノイズ除去処理は、前記ネットワークを用いて前記入力画像からn個の重みを導出する第1の処理と、前記n個のフィルタの各々を用いて前記入力画像からn枚の中間画像を生成する第2の処理と、前記n個の重みを用いて前記n枚の中間画像を加重平均することによって、前記出力画像を生成する第3の処理と、を含んでいてもよい。
【0112】
上記の構成によれば、態様1に係るノイズ除去装置と同様の効果を得ることができる。
【0113】
本発明の態様3に係るノイズ除去装置において、前記ネットワークを規定する係数、及び、前記n個のフィルタの各々を規定する係数は、機械学習によって決定されていてもよい。
【0114】
上記の構成によれば、態様1に係るノイズ除去装置と同様の効果を得ることができる。
【0115】
本発明の態様4に係るノイズ除去装置は、MRI画像のノイズを除去するノイズ除去処理を実行する少なくとも1つのプロセッサと、前記ノイズ除去処理に利用するモデルを記憶する少なくとも1つのメモリと、を備え、前記モデルは、前記MRI画像を入力画像とし、ノイズが除去されたMRI画像を出力画像とするモデルであって、前記入力画像に大域的に作用するネットワークと、前記入力画像に局所的に作用するn個(nは2以上の自然数)のフィルタと、を含み、前記ノイズ除去処理は、前記ネットワークを用いて前記入力画像からn個の重みを導出する第1の処理と、前記n個のフィルタの各々を用いて前記入力画像からn枚の中間画像を生成する第2の処理と、前記n個の重みを用いて前記n枚の中間画像を加重平均することによって、前記出力画像を生成する第3の処理と、を含んでいる。
【0116】
上記の構成によれば、態様1に係るノイズ除去装置と同様の効果を得ることができる。
【0117】
本発明の態様5に係るノイズ除去方法は、少なくとも1つのメモリに記憶されたモデルを利用して少なくとも1つのプロセッサがMRI画像のノイズを除去するノイズ除去処理を含み、前記モデルは、前記MRI画像を入力画像とし、ノイズが除去されたMRI画像を出力画像とするモデルであって、前記出力画像の各画素の画素値が、該画素に対応する前記入力画像の画素の近傍にある画素の画素値の最小値以上最大値以下の範囲に含まれるように構成されている。
【0118】
上記の構成によれば、生体のMRI画像の特徴を考慮して、ノイズを除去したMRI画像を生成するノイズ除去方法を実現することができる。
【0119】
本発明の態様6に係るノイズ除去方法は、少なくとも1つのメモリに記憶されたモデルを利用して少なくとも1つのプロセッサがMRI画像のノイズを除去するノイズ除去処理を含み、前記モデルは、前記MRI画像を入力画像とし、ノイズが除去されたMRI画像を出力画像とするモデルであって、前記入力画像に大域的に作用するネットワークと、前記入力画像に局所的に作用するn個(nは2以上の自然数)のフィルタと、を含み、前記ノイズ除去処理は、前記ネットワークを用いて前記入力画像からn個の重みを導出する第1の処理と、前記n個のフィルタの各々を用いて前記入力画像からn枚の中間画像を生成する第2の処理と、前記n個の重みを用いて前記n枚の中間画像を加重平均することによって、前記出力画像を生成する第3の処理と、を含んでいる。
【0120】
上記の構成によれば、態様5に係るノイズ除去方法と同様の効果を得ることができる。
【0121】
本発明の態様7に係るプログラムは、態様1から4の何れか一つに記載のノイズ除去装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、前記ノイズ除去処理を前記コンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0122】
本発明の態様8に係る記録媒体は、態様7に記載のプログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な非一時的記録媒体である。
【0123】
本発明の態様9に係る機械学習装置は、MRI画像を入力画像とし、ノイズが除去されたMRI画像を出力画像とするモデルを、教師ありの機械学習により構築するモデル構築処理を実行する少なくとも1つのプロセッサと、前記モデルを記憶する少なくとも1つのメモリと、を備え、前記モデルは、前記MRI画像を入力画像とし、ノイズが除去されたMRI画像を出力画像とするモデルであって、前記出力画像の各画素の画素値が、該画素に対応する前記入力画像の画素の近傍にある画素の画素値の最小値以上最大値以下の範囲に含まれるように構成されている。
【0124】
上記の構成によれば、生体のMRI画像の特徴を考慮して、ノイズを除去したMRI画像を生成するモデルを構築することができる。
【0125】
本発明の態様10に係る機械学習装置において、前記機械学習における教師データは、第1のMRI画像とノイズが除去された第2のMRI画像との組であり、前記モデル構築処理は、第1のMRI画像を入力したときに前記モデルから出力されるMRI画像の2次的指標、及び、前記第2のMRI画像の2次的指標を導出する導出処理と、前記2つの2次的指標の差が小さくなるように、前記モデルを規定する係数を更新する更新処理と、を含んでいてもよい。
【0126】
上記の構成によれば、出力画像と教師画像との2次的指標の誤差を小さくするように学習するため、より精度良い出力画像を生成するモデルを構築する機械学習装置を実現することができる。
【0127】
本発明の態様11に係る機械学習装置において、前記MRI画像は、拡散強調画像であり、前記2次的指標は拡散テンソルであってもよい。
【0128】
上記の構成によれば、拡散強調画像のノイズを除去するのに適した機械学習装置を実現することができる。
【0129】
本発明の態様12に係る機械学習装置において、前記機械学習における教師データは、共通する条件で撮像された複数のMRI画像であり、前記モデル構築処理は、前記複数のMRI画像の各々を入力したときに前記モデルから出力されるMRI画像同士の差が小さくなるように、前記モデルを規定する係数を更新する処理を含んでいてもよい。
【0130】
上記の構成によれば、複数の出力画像同士の誤差を小さくするように学習するため、より精度良い出力画像を生成するモデルを構築する機械学習装置を実現することができる。
【0131】
本発明の態様13に係る機械学習装置において、前記モデルは、前記入力画像に大域的に作用するネットワークと、前記入力画像に局所的に作用するn個(nは2以上の自然数)のフィルタと、を含み、前記ノイズを除去する処理は、前記ネットワークを用いて前記入力画像からn個の重みを導出する第1の処理と、前記n個のフィルタの各々を用いて前記入力画像からn枚の中間画像を生成する第2の処理と、前記n個の重みを用いて前記n枚の中間画像を加重平均することによって、前記出力画像を生成する第3の処理と、を含んでいてもよい。
【0132】
上記の構成によれば、態様9に係る機械学習装置と同様の効果を得ることができる。
【0133】
本発明の態様14に係る機械学習装置は、MRI画像を入力画像とし、ノイズ除去処理されたMRI画像を出力画像とするモデルを、教師ありの機械学習により構築するモデル構築処理を実行する少なくとも1つのプロセッサと、前記モデルを記憶する少なくとも1つのメモリと、を備え、前記モデルは、前記入力画像に大域的に作用するネットワークと、前記入力画像に局所的に作用するn個(nは2以上の自然数)のフィルタと、を含み、前記ノイズ除去処理は、前記ネットワークを用いて前記入力画像からn個の重みを導出する第1の処理と、前記n個のフィルタの各々を用いて前記入力画像からn枚の中間画像を生成する第2の処理と、前記n個の重みを用いて前記n枚の中間画像を加重平均することによって、前記出力画像を生成する第3の処理と、を含んでいる。
【0134】
上記の構成によれば、生体のMRI画像の特徴を考慮してノイズを除去したMRI画像を生成するモデルを構築することができる。
【0135】
本発明の態様15に係る機械学習方法は、少なくとも1つのメモリに記憶されたモデルを利用して少なくとも1つのプロセッサがMRI画像を入力画像とし、ノイズが除去されたMRI画像を出力画像とするモデルを、教師あり学習により構築するモデル構築処理を含み、前記モデルは、前記MRI画像を入力画像とし、ノイズが除去されたMRI画像を出力画像とするモデルであって、前記出力画像の各画素の画素値が、該画素に対応する前記入力画像の画素の近傍にある画素の画素値の最小値以上最大値以下の範囲に含まれるように構成されている。
【0136】
上記の構成によれば、生体のMRI画像の特徴を考慮してノイズを除去したMRI画像を生成するモデルを構築することができる。
【0137】
本発明の態様16に係る機械学習方法は、少なくとも1つのメモリに記憶されたモデルを利用して少なくとも1つのプロセッサがMRI画像を入力画像とし、ノイズ除去処理されたMRI画像を出力画像とするモデルを、教師あり学習により構築するモデル構築処理を含み、前記モデルは、前記MRI画像を入力画像とし、ノイズ除去処理されたMRI画像を出力画像とするモデルであって、前記入力画像に大域的に作用するネットワークと、前記入力画像に局所的に作用するn個(nは2以上の自然数)のフィルタと、を含み、前記ノイズ除去処理は、前記ネットワークを用いて前記入力画像からn個の重みを導出する第1の処理と、前記n個のフィルタの各々を用いて前記入力画像からn枚の中間画像を生成する第2の処理と、前記n個の重みを用いて前記n枚の中間画像を加重平均することによって、前記出力画像を生成する第3の処理と、を含んでいる。
【0138】
上記の構成によれば、態様15に係る機械学習方法と同様の効果を得ることができる。
【0139】
本発明の態様17に係るプログラムは、態様9から14のいずれか1つに記載の機械学習装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、前記モデル構築処理をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0140】
本発明の態様18に係る記録媒体は、態様17に記載のプログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な非一時的記録媒体である。
【符号の説明】
【0141】
1 ノイズ除去装置
11 入出力インターフェース
12 プロセッサ
13 メモリ
2 機械学習装置
21 入出力インターフェース
22 プロセッサ
23 メモリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19