IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ゼネラル・エレクトリック・カンパニイの特許一覧

特開2022-171572発電プラントを柔軟に運転するための給電アドバイザ
<>
  • 特開-発電プラントを柔軟に運転するための給電アドバイザ 図1
  • 特開-発電プラントを柔軟に運転するための給電アドバイザ 図2
  • 特開-発電プラントを柔軟に運転するための給電アドバイザ 図3
  • 特開-発電プラントを柔軟に運転するための給電アドバイザ 図4
  • 特開-発電プラントを柔軟に運転するための給電アドバイザ 図5
  • 特開-発電プラントを柔軟に運転するための給電アドバイザ 図6
  • 特開-発電プラントを柔軟に運転するための給電アドバイザ 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171572
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】発電プラントを柔軟に運転するための給電アドバイザ
(51)【国際特許分類】
   F01K 23/10 20060101AFI20221104BHJP
   F02C 9/22 20060101ALI20221104BHJP
   F02C 9/28 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
F01K23/10 B
F02C9/22 A
F02C9/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022055370
(22)【出願日】2022-03-30
(31)【優先権主張番号】17/243,758
(32)【優先日】2021-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(72)【発明者】
【氏名】イリア・アレクサンドロヴィチ・スロボダイアンスキー
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・リーチ
(72)【発明者】
【氏名】ベラルディーノ・ペッツェッラ
【テーマコード(参考)】
3G081
【Fターム(参考)】
3G081BA01
3G081BA11
3G081BC07
3G081DA21
3G081DA26
(57)【要約】
【課題】少なくとも1つのガスタービン(12)を有する発電プラント(10)を柔軟に運転するための、給電アドバイザ(18)について述べる。
【解決手段】当該給電アドバイザ(18)は、発電プラント(10)を運転するための柔軟なベースロードマップ(36)の表現を生成することができる。当該表現は、一次ベースロード運転空間(50)と、当該ベースロード運転空間の拡張部分(52)とを集約したものを含むことができる。当該表現は、所定の周囲条件で、種々のベースロード設定値において行われるベースロード運転中の、発電プラント(10)の運転パラメータのある範囲の運転値、及び当該範囲の運転値で発電プラントを運転している間に達成される、対応する発電出力値及び発電効率値を提供するものである。当該表現は、ベースロード運転中にプラント(10)を制御する際の柔軟性を、発電プラント(10)のオペレータに提供する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのガスタービン(12)を有する発電プラント(10)を、ベースロード電力需要を満たすように運転するためのガイダンスを生成する方法であって、前記方法は、
所定の周囲条件で、複数のベースロード設定値において行われるベースロード運転中の、前記発電プラント(10)の運転パラメータに関連する複数のベースロード・データ(34)を、少なくとも1つのプロセッサ(24)を備えるシステム(18)によって取得するステップであって、前記運転パラメータは、前記ガスタービン(12)の入口温度、前記ガスタービン(12)内の入口ガイドベーンの位置、及び前記ガスタービン(12)内の燃料の燃料温度を含む、ステップと、
前記運転パラメータに関連する前記複数のベースロード・データ(34)を、ベースロード運転中に前記所定の周囲条件で前記複数のベースロード設定値の各々において運転している間に前記発電プラント(10)によって達成される発電出力値及び発電効率値に、前記システム(18)によって関連付けるステップと、
前記運転パラメータの第1のセットに関連する前記複数のベースロード・データ(34)と、前記達成される発電出力値及び発電効率値との前記関連付けから、前記システム(18)によって一次ベースロード運転空間(50)を求めるステップであって、前記一次ベースロード運転空間(50)は、ベースロード運転中に前記所定の周囲条件で前記複数のベースロード設定値の各々において運転している間に、前記運転パラメータの第1のセットで達成される、前記発電プラント(10)の前記発電出力値及び発電効率値を関連付ける表現を提供するものであり、前記運転パラメータの第1のセットは、前記入口温度及び前記入口ガイドベーンの位置を含み、前記一次ベースロード運転空間(50)は、目標プラント発電出力及び目標プラント発電効率を達成するための一次運転空間(50)を表す、ステップと、
前記発電プラント(10)の前記運転パラメータの第2のセットに関連する前記複数のベースロード・データ(34)の一部を用いて、前記システム(18)によって前記一次ベースロード運転空間(50)を拡張するステップであって、前記運転パラメータの第2のセットは、前記入口温度、前記入口ガイドベーンの位置、及び前記燃料温度を含み、前記ベースロード運転空間の前記拡張部分(52)は、前記一次ベースロード運転空間(50)と比較してより高いプラント発電出力及び準最適なプラント発電効率を達成する二次ベースロード運転空間を表す、ステップと、
前記発電プラント(10)を運転するための柔軟なベースロードマップ(36)の表現を、前記システム(18)によって生成するステップであって、前記柔軟なベースロードマップ(36)は、前記一次ベースロード運転空間(50)と、前記ベースロード運転空間の前記拡張部分(52)とを集約したものを含み、前記柔軟なベースロードマップ(36)の前記表現は、前記運転パラメータのある範囲の運転値、及び前記範囲の運転値で前記発電プラント(10)を運転している間に達成される、対応する発電出力値及び発電効率値を提供するものである、ステップと、ベースロード運転中に前記発電プラント(10)を制御する際の柔軟性を、前記発電プラント(10)のオペレータに提供するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記柔軟なベースロードマップ(36)の前記表現を生成する前記ステップは、前記一次ベースロード運転空間(50)と、前記ベースロード運転空間の前記拡張部分(52)とを集約したものの可視化表現を、前記システム(18)によって生成するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記可視化表現は、前記柔軟なベースロードマップ(36)の多次元表現を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記柔軟なベースロードマップ(36)の前記多次元表現は、前記一次ベースロード運転空間(50)を、前記ベースロード運転空間の前記拡張部分(52)と区別している、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記柔軟なベースロードマップ(36)の前記多次元表現は、前記運転パラメータの三次元表現と、前記発電出力値及び発電効率値の二次元表現とを含み、前記運転パラメータの前記三次元表現は、前記発電出力値及び発電効率値の前記二次元表現と並置されている、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記運転パラメータの前記三次元表現は、前記入口温度に関連付けられた値を表す第1の軸と、前記入口ガイドベーンの位置に関連付けられた値を表す第2の軸と、前記燃料温度に関連付けられた値を表す第3の軸とを含む一方、前記発電出力値及び発電効率値の前記二次元表現は、前記発電出力値を表す第1の軸と、前記発電効率値を表す第2の軸とを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記運転パラメータに関連する前記複数のベースロード・データ(34)を取得する前記ステップは、前記一次ベースロード運転空間(50)及び前記ベースロード運転空間の前記拡張部分(52)の各セグメントに関連付けられた運転範囲にわたる前記プラント(10)の複数の運転データ、並びに複数の周囲温度データを、前記システム(18)によって取得するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
実行可能なコンポーネントを記憶するメモリ(26)と、
前記実行可能なコンポーネントを実行する、前記メモリ(26)に動作可能に結合された少なくとも1つのプロセッサ(24)と、
を備えるシステム(18)であって、前記実行可能なコンポーネントは、
少なくとも1つのガスタービン(12)を有する発電プラント(10)を、ベースロード電力需要を満たすように運転するための柔軟なベースロードマップ(34)を生成する柔軟なベースロードマップ生成コンポーネント(20)であって、前記柔軟なベースロードマップ生成コンポーネント(20)は、
所定の周囲条件で、複数のベースロード設定値において行われるベースロード運転中の、前記発電プラント(10)の運転パラメータに関連する複数のベースロード・データ(34)を、前記プロセッサ(24)によって取得するステップであって、前記運転パラメータは、前記ガスタービン(12)の入口温度、前記ガスタービン(12)内の入口ガイドベーンの位置、及び前記ガスタービン(12)内の燃料の燃料温度を含む、ステップと、
前記運転パラメータに関連する前記複数のベースロード・データ(34)を、ベースロード運転中に前記所定の周囲条件で前記複数のベースロード設定値の各々において運転している間に前記発電プラント(10)によって達成される発電出力値及び発電効率値に、前記プロセッサ(24)によって関連付けるステップと、
前記運転パラメータの第1のセットに関連する前記複数のベースロード・データ(34)と、前記達成される発電出力値及び発電効率値との前記関連付けから、前記プロセッサ(24)によって一次ベースロード運転空間(50)を求めるステップであって、前記一次ベースロード運転空間は、ベースロード運転中に前記所定の周囲条件で前記複数のベースロード設定値の各々において運転している間に、前記運転パラメータの第1のセットで達成される、前記発電プラント(10)の前記発電出力値及び発電効率値を関連付ける表現を提供するものであり、前記運転パラメータの第1のセットは、前記入口温度及び前記入口ガイドベーンの位置を含み、前記一次ベースロード運転空間(50)は、目標プラント発電出力及び目標プラント発電効率を達成するための一次運転空間を表す、ステップと、
前記発電プラント(10)の前記運転パラメータの第2のセットに関連する前記複数のベースロード・データ(34)の一部を用いて、前記プロセッサ(24)によって前記一次ベースロード運転空間(50)を拡張するステップであって、前記運転パラメータの第2のセットは、前記入口温度、前記入口ガイドベーンの位置、及び前記燃料温度を含み、前記ベースロード運転空間の前記拡張部分(52)は、前記一次ベースロード運転空間と比較してより高いプラント発電出力及び準最適なプラント発電効率を達成する二次ベースロード運転空間を表す、ステップと、
前記発電プラント(10)を運転するための柔軟なベースロードマップ(36)の表現を、前記プロセッサ(24)によって生成するステップであって、前記柔軟なベースロードマップ(36)は、前記一次ベースロード運転空間(50)と、前記ベースロード運転空間の前記拡張部分(52)とを集約したものを含み、前記柔軟なベースロードマップ(36)の前記表現は、前記運転パラメータのある範囲の運転値、及び前記範囲の運転値で前記発電プラント(10)を運転している間に達成される、対応する発電出力値及び発電効率値を提供するものである、ステップと、ベースロード運転中に前記発電プラント(10)を制御する際の柔軟性を、前記発電プラント(10)のオペレータに提供するステップと、
を含む方法を実行するように構成されている、柔軟なベースロードマップ生成コンポーネント(20)
を含む、システム(18)。
【請求項9】
前記柔軟なベースロードマップ(36)の前記表現を生成する前記ステップは、前記一次ベースロード運転空間(50)と、前記ベースロード運転空間の前記拡張部分(52)とを集約したものの可視化表現を、前記プロセッサ(24)によって生成するステップを含む、請求項8に記載のシステム(18)。
【請求項10】
実行に応答して、少なくとも1つのプロセッサ(24)を備えるシステム(18)に、少なくとも1つのガスタービン(12)を有する発電プラント(10)を、ベースロード電力需要を満たすように運転するための柔軟なベースロードマップ(36)を生成することを目的とした動作を実行させる実行可能命令を記憶した、非一時的コンピュータ可読媒体(26)であって、前記動作は、
所定の周囲条件で、複数のベースロード設定値において行われるベースロード運転中の、前記発電プラント(10)の運転パラメータに関連する複数のベースロード・データ(34)を取得するステップであって、前記運転パラメータは、前記ガスタービン(12)の入口温度、前記ガスタービン(12)内の入口ガイドベーンの位置、及び前記ガスタービン(12)内の燃料の燃料温度を含む、ステップと、
前記運転パラメータに関連する前記複数のベースロード・データ(34)を、ベースロード運転中に前記所定の周囲条件で前記複数のベースロード設定値の各々において運転している間に前記発電プラント(10)によって達成される発電出力値及び発電効率値に関連付けるステップと、
前記運転パラメータの第1のセットに関連する前記複数のベースロード・データと、前記達成される発電出力値及び発電効率値との前記関連付けから、一次ベースロード運転空間(50)を求めるステップであって、前記一次ベースロード運転空間(50)は、ベースロード運転中に前記所定の周囲条件で前記複数のベースロード設定値の各々において運転している間に、前記運転パラメータの第1のセットで達成される、前記発電プラント(10)の前記発電出力値及び発電効率値を関連付ける表現を提供するものであり、前記運転パラメータの第1のセットは、前記入口温度及び前記入口ガイドベーンの位置を含み、前記一次ベースロード運転空間(50)は、目標プラント発電出力及び目標プラント発電効率を達成するための一次運転空間を表す、ステップと、
前記発電プラント(10)の前記運転パラメータの第2のセットに関連する複前記数のベースロード・データ(34)の一部を用いて、前記一次ベースロード運転空間を拡張するステップであって、前記運転パラメータの第2のセットは、前記入口温度、前記入口ガイドベーンの位置、及び前記燃料温度を含み、前記ベースロード運転空間の前記拡張部分(52)は、前記一次ベースロード運転空間と比較してより高いプラント発電出力及び準最適なプラント発電効率を達成する二次ベースロード運転空間(52)を表す、ステップと、
前記発電プラント(10)を運転するための柔軟なベースロードマップ(36)の表現を生成するステップであって、前記柔軟なベースロードマップ(36)は、前記一次ベースロード運転空間(50)と、前記ベースロード運転空間の前記拡張部分(52)とを集約したものを含み、前記柔軟なベースロードマップ(36)の前記表現は、前記運転パラメータのある範囲の運転値、及び前記範囲の運転値で前記発電プラント(10)を運転している間に達成される、対応する発電出力値及び発電効率値を提供するものである、ステップと、ベースロード運転中に前記発電プラント(10)を制御する際の柔軟性を、前記発電プラント(10)のオペレータに提供するステップと、
を含む、非一時的コンピュータ可読媒体(26)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、概して発電プラントに関し、より詳細には、ベースロード運転中に、複合サイクル発電プラントなどの発電プラントを柔軟に運転するための運転空間を生成する、給電アドバイザを提供することに関する。
【背景技術】
【0002】
複合サイクル発電プラントなどの多くの発電プラントは、消費者の全電力需要の少なくとも一部を満たすために、ガスタービンを動力源として使用している。プラントオペレータは、ピーク需要時にはガスタービンを、その基本最大出力を超えてピーク燃焼させることがある。基本最大出力を超えてピーク燃焼するガスタービンは、必要なときに追加の発電出力を生成はするが、部品寿命がより早期に消費されるという代償を払うことになる(例えば、余剰係数をかけた燃焼時間である)。保守間隔(又は保守寿命)内でガスタービンが頻繁にピーク燃焼する場合には、部品寿命の消費が進行することで、保守間隔が短縮される可能性がある。その結果、保守スケジュールが前倒しされ、顧客サービス契約で追加料金が発生する恐れがある。ガスタービンの整備をより頻繁に行うようになる面から、これらの追加の保守費用を考慮した場合に、プラント設備資産の所有者がピーク燃焼モードを実行する際、必要以上により慎重になる可能性があり、それによって収益機会を逸してしまう恐れがある。
【発明の概要】
【0003】
以下では、種々の実施形態のいくつかの態様の基本的な理解を促すために、開示している主題の簡略化した概要を提示する。本概要は、種々の実施形態の広範囲の概要ではない。本概要は、特許請求の範囲に記載している特許請求される主題の重要な特徴又は本質的な特徴を特定することのみを意図しているのではなく、なおかつ特許請求される主題の範囲を決定する助けとして使用されることを意図しているのでもない。その唯一の目的は、後に提示するより詳細な説明の前置きとして、本開示のいくつかの概念を簡略化した形式で提示することである。
【0004】
いくつかの実施形態は、複合サイクル発電プラントなどのガスタービンを利用する発電プラントのオペレータに、ベースロード運転中に発電プラントを柔軟に運転する方法についてアドバイスすることを目的とした、解決策を提供することに関する。種々の実施形態によって提供される解決策は、発電プラントを運転するための柔軟なベースロード運転空間を含む、柔軟なベースロードマップの表現を生成することを含む。当該表現は、一次ベースロード運転空間と、二次ベースロード運転空間を表す当該ベースロード運転空間の拡張部分とを集約したものを含むことができる。当該表現は、所定の周囲条件で、種々のベースロード設定値において行われるベースロード運転中の、発電プラントの運転パラメータのある範囲の運転値、及び当該範囲の運転値で発電プラントを運転している間に達成される、対応する発電出力値及び発電効率値を提供するものである。この点において、当該表現は、ベースロード運転中にプラントを制御する際の柔軟性を、発電プラントのオペレータに提供する。
【0005】
一実施形態では、少なくとも1つのガスタービンを有する発電プラントを、ベースロード電力需要を満たすように運転するためのガイダンスを生成する方法が提供される。本方法は、所定の周囲条件で、複数のベースロード設定値において行われるベースロード運転中の、発電プラントの運転パラメータに関連する複数のベースロード・データを、少なくとも1つのプロセッサを備えるシステムによって取得するステップであって、当該運転パラメータは、ガスタービンの入口温度、ガスタービン内の入口ガイドベーンの位置、及びガスタービン内の燃料の燃料温度を含む、ステップと、当該運転パラメータに関連する複数のベースロード・データを、ベースロード運転中に所定の周囲条件で複数のベースロード設定値の各々において運転している間に発電プラントによって達成される発電出力値及び発電効率値に、本システムによって関連付けるステップと、運転パラメータの第1のセットに関連する複数のベースロード・データと、達成される発電出力値及び発電効率値との関連付けから、本システムによって一次ベースロード運転空間を求めるステップであって、当該一次ベースロード運転空間は、ベースロード運転中に所定の周囲条件で複数のベースロード設定値の各々において運転している間に、運転パラメータの第1のセットで達成される、発電プラントの発電出力値及び発電効率値を関連付ける表現を提供するものであり、運転パラメータの第1のセットは、入口温度及び入口ガイドベーンの位置を含み、一次ベースロード運転空間は、目標プラント発電出力及び目標プラント発電効率を達成するための一次運転空間を表す、ステップと、発電プラントの運転パラメータの第2のセットに関連する複数のベースロード・データの一部を用いて、本システムによって一次ベースロード運転空間を拡張するステップであって、当該運転パラメータの第2のセットは、入口温度、入口ガイドベーンの位置、及び燃料温度を含み、当該ベースロード運転空間の拡張部分は、一次ベースロード運転空間と比較してより高いプラント発電出力及び準最適なプラント発電効率を達成する二次ベースロード運転空間を表す、ステップと、発電プラントを運転するための柔軟なベースロードマップの表現を、本システムによって生成するステップであって、当該柔軟なベースロードマップは、一次ベースロード運転空間と、当該ベースロード運転空間の拡張部分とを集約したものを含み、当該柔軟なベースロードマップの表現は、運転パラメータのある範囲の運転値、及び当該範囲の運転値で発電プラントを運転している間に達成される、対応する発電出力値及び発電効率値を提供するものである、ステップと、ベースロード運転中に発電プラントを制御する際の柔軟性を、発電プラントのオペレータに提供するステップと、を含む。
【0006】
別の実施形態では、あるシステムが提供される。本システムは、実行可能なコンポーネントを記憶するメモリと、当該実行可能なコンポーネントを実行する、メモリに動作可能に結合された少なくとも1つのプロセッサとを備える。当該実行可能なコンポーネントは、少なくとも1つのガスタービンを有する発電プラントを、ベースロード電力需要を満たすように運転するための柔軟なベースロードマップを生成する、柔軟なベースロードマップ生成コンポーネントを含む。当該柔軟なベースロードマップ生成コンポーネントは、所定の周囲条件で、複数のベースロード設定値において行われるベースロード運転中の、発電プラントの運転パラメータに関連する複数のベースロード・データを、プロセッサによって取得するステップであって、当該運転パラメータは、ガスタービンの入口温度、ガスタービン内の入口ガイドベーンの位置、及びガスタービン内の燃料の燃料温度を含む、ステップと、当該運転パラメータに関連する複数のベースロード・データを、ベースロード運転中に所定の周囲条件で複数のベースロード設定値の各々において運転している間に発電プラントによって達成される発電出力値及び発電効率値に、本プロセッサによって関連付けるステップと、運転パラメータの第1のセットに関連する複数のベースロード・データと、達成される発電出力値及び発電効率値との関連付けから、本プロセッサによって一次ベースロード運転空間を求めるステップであって、当該一次ベースロード運転空間は、ベースロード運転中に所定の周囲条件で複数のベースロード設定値の各々において運転している間に、運転パラメータの第1のセットで達成される、発電プラントの発電出力値及び発電効率値を関連付ける表現を提供するものであり、運転パラメータの第1のセットは、入口温度及び入口ガイドベーンの位置を含み、一次ベースロード運転空間は、目標プラント発電出力及び目標プラント発電効率を達成するための一次運転空間を表す、ステップと、発電プラントの運転パラメータの第2のセットに関連する複数のベースロード・データの一部を用いて、本プロセッサによって一次ベースロード運転空間を拡張するステップであって、当該運転パラメータの第2のセットは、入口温度、入口ガイドベーンの位置、及び燃料温度を含み、当該ベースロード運転空間の拡張部分は、一次ベースロード運転空間と比較してより高いプラント発電出力及び準最適なプラント発電効率を達成する二次ベースロード運転空間を表す、ステップと、発電プラントを運転するための柔軟なベースロードマップの表現を、本プロセッサによって生成するステップであって、当該柔軟なベースロードマップは、一次ベースロード運転空間と、当該ベースロード運転空間の拡張部分とを集約したものを含み、当該柔軟なベースロードマップの表現は、運転パラメータのある範囲の運転値、及び当該範囲の運転値で発電プラントを運転している間に達成される、対応する発電出力値及び発電効率値を提供するものである、ステップと、ベースロード運転中に発電プラントを制御する際の柔軟性を、発電プラントのオペレータに提供するステップと、を含む方法を実行するように構成されている。
【0007】
さらに別の実施形態では、実行に応答して、少なくとも1つのプロセッサを備えるシステムに、少なくとも1つのガスタービンを有する発電プラントを、ベースロード電力需要を満たすように運転するための柔軟なベースロードマップを生成することを目的とした動作を実行させる実行可能命令を記憶した、非一時的コンピュータ可読媒体が提供される。当該動作は、所定の周囲条件で、複数のベースロード設定値において行われるベースロード運転中の、発電プラントの運転パラメータに関連する複数のベースロード・データを取得するステップであって、当該運転パラメータは、ガスタービンの入口温度、ガスタービン内の入口ガイドベーンの位置、及びガスタービン内の燃料の燃料温度を含む、ステップと、当該運転パラメータに関連する複数のベースロード・データを、ベースロード運転中に所定の周囲条件で複数のベースロード設定値の各々において運転している間に発電プラントによって達成される発電出力値及び発電効率値に関連付けるステップと、運転パラメータの第1のセットに関連する複数のベースロード・データと、達成される発電出力値及び発電効率値との関連付けから、一次ベースロード運転空間を求めるステップであって、当該一次ベースロード運転空間は、ベースロード運転中に所定の周囲条件で複数のベースロード設定値の各々において運転している間に、運転パラメータの第1のセットで達成される、発電プラントの発電出力値及び発電効率値を関連付ける表現を提供するものであり、運転パラメータの第1のセットは、入口温度及び入口ガイドベーンの位置を含み、一次ベースロード運転空間は、目標プラント発電出力及び目標プラント発電効率を達成するための一次運転空間を表す、ステップと、発電プラントの運転パラメータの第2のセットに関連する複数のベースロード・データの一部を用いて、一次ベースロード運転空間を拡張するステップであって、当該運転パラメータの第2のセットは、入口温度、入口ガイドベーンの位置、及び燃料温度を含み、当該ベースロード運転空間の拡張部分は、一次ベースロード運転空間と比較してより高いプラント発電出力及び準最適なプラント発電効率を達成する二次ベースロード運転空間を表す、ステップと、発電プラントを運転するための柔軟なベースロードマップの表現を生成するステップであって、当該柔軟なベースロードマップは、一次ベースロード運転空間と、当該ベースロード運転空間の拡張部分とを集約したものを含み、当該柔軟なベースロードマップの表現は、運転パラメータのある範囲の運転値、及び当該範囲の運転値で発電プラントを運転している間に達成される、対応する発電出力値及び発電効率値を提供するものである、ステップと、ベースロード運転中に発電プラントを制御する際の柔軟性を、発電プラントのオペレータに提供するステップと、を含む。
【0008】
本発明は、非限定的な実施形態の以下の説明を、添付の図面を参照して読解することにより、より良好に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態による、その運転を管理する方法に関するガイダンスの提供に際し、本発明の実施形態の使用が適している、発電プラントの一例を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態による、少なくとも1つのガスタービンを有する発電プラントを柔軟に運転するための給電アドバイザシステムの一例を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施形態による、図2に示す給電アドバイザシステムにおける柔軟なベースロード生成コンポーネントを対象とした、例示的なデータ入力及びデータ出力を示すブロック図である。
図4】本発明の一実施形態による、柔軟なベースロードマップを生成することができる、柔軟なベースロード生成コンポーネントに関連付けられたアルゴリズムの動作例を表すフローチャートである。
図5】本発明の一実施形態による、図4に示す動作を用いて柔軟なベースロード生成コンポーネントによって生成され得る、発電プラントを運転するための柔軟なベースロードマップの表現の一例を示す図である。
図6】種々の実施形態を実装することができる、例示的なコンピューティング環境を示す図である。
図7】種々の実施形態を実装することができる、例示的なネットワーキング環境を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
すべてではないがいくつかの実施形態を示した添付図面を参照しながら、本発明の例示的な実施形態について、以下でより詳細に説明する。実際、本発明は、多くの異なる形態において具現化されてもよいので、本明細書に記載している実施形態に限定されるものと解釈すべきではなく、むしろ、適用され得る法的要件を本開示が満たすように、これらの実施形態が提供されている。全体を通じて、同様の番号は同様の要素を指していてもよい。
【0011】
本発明の態様によれば、設計及び運転制御機能の所与のセットにおいて、発電システム、発電プラント、及び/又は火力発電ユニットの性能を最適化するために使用することができるシステム及び方法が開示される。例示的な実施形態では、この最適化は、当該プラントの最適運転条件を選択する際の、発電プラントオペレータへのガイダンスを含むことができる。他の実施形態では、この最適化は、収益性を高めるために発電プラントオペレータが運転モードのいずれかを決定する場合に基づく、経済的最適化を含むことができる。これらの実施形態は、発電システムの給電プロセス中に経済的に有利な売買契約条件を得る際の競争力を提供するために、特定の発電システム内で利用されてもよい。
【0012】
種々の実施形態に関連するアドバイザ機能は、発電プラントの最適運転条件の選択において、発電プラントオペレータをガイドすることができる。この点において、当該アドバイザ機能は、オペレータが、正確な経済的比較及び予測に基づいて運転モード間の選択を行えるようにすることができる。例えば、当該アドバイザ機能は、スポット市場で電力を販売することによって運転収益を最大化するような発電プラントの運転条件をオペレータが選択するのを支援することができる一方、容量市場を通じて締結される容量又は電力売買契約に対して、最高額の容量支払いが行われるようにすることができる。また、当該アドバイザ機能を使用して、運転シナリオの予測を支援したり、給電停止や可用性を管理したりすることができる。例えば、発電プラントオペレータは当該アドバイザ機能を使用して、将来の発電期間を見越して燃料を購入するプロセスに対処することができ、これにより、燃料在庫が最小限に抑えられる一方、燃料不足のリスクを増大させることがなくなる。別の実施例では、発電プラントオペレータは当該アドバイザ機能を使用して、発電プラントのダウンタイムを最小限に抑えながらも、発電プラントの可用性を向上させるように、発電プラントの種々の部品及びコンポーネントを整備かつ/又は交換すべき時期を判定する整備及び保守プログラムを、先を見越して設定するプロセスに対処することができる。
【0013】
本発明の種々の実施形態のいくつかの構成における技術的効果は、種々の物理的条件、運転条件、及び/又は経済的条件の下で、可能な限り柔軟に、かつ最適に発電プラントを運転することについてアドバイスするか、又はガイダンスを提供するような、エネルギーシステムの表現の生成及び解決策を含む。こうした表現を生成する際に、発電プラントオペレータは、周囲条件、運転条件、契約条件、規制条件、法的条件、及び/又は経済的条件及び市場条件の特定の組合せに対して収益性を最大化するような、発電プラントの最適運転条件を選択することができる。
【0014】
ここで図1を参照すると、本発明の一実施形態による、その運転を管理する方法に関するガイダンスの提供に際し、本発明の実施形態の使用が適している、発電プラント10の一実施例を表すブロック図が示されている。図1に示す発電プラント10は複合サイクル発電プラントであり、具体的には、2台のガスタービン12(GT1及びGT2)と、排熱回収ボイラ(heat recovery steam generator:HRSG)14と、1台の蒸気タービン16(ST1)とを備える2台と1台形式の複合サイクル発電プラントの一実施例である。通常、ガスタービン12(GT1及びGT2)は高温まで加熱される。HRSG14は、ガスタービン12(GT1及びGT2)からの排気ガスを取り込んで、蒸気タービン16(ST1)に送気される蒸気を生成する。ガスタービン12(GT1及びGT2)及び蒸気タービン16(ST1)の両方は発電機を駆動して、送電網に供給される電力を生成することができる。この2台と1台形式の複合サイクル発電プラントの構成が、種々の実施形態が有用性を有する1つの複合サイクル発電プラントの一実施例にすぎないことが理解される。種々の実施形態が複合サイクル発電プラントに関して述べられているが、これらの実施形態は、少なくとも1つのガスタービンを含む他の発電プラントでの使用にも適している。
【0015】
図1に示す発電プラント10は、複合サイクル発電プラントの簡略図であり、当業者であれば、発電プラントが他のコンポーネントを備え得ることを理解するであろう。例えば、発電プラント10は、ガスタービン12(GT1及びGT2)、排熱回収ボイラ(HRSG)14、及び蒸気タービン16(ST1)の各々に動作可能に結合されており、センサ、バルブなどを含むが、これらに限定されない部品、コンポーネント、機械、又は装置などの種々の態様を制御するコンポーネントコントローラを備えることができる。さらに、発電プラント10は、データを受信し、かつコンポーネントコントローラにこれを送信するか、又は当該コントローラに、いくつかの運転のいずれかを円滑に行うように指示するようなプラントコントローラを備えることができる。コンポーネントコントローラとプラントコントローラとが、単一のコントローラに一体化されてもよいことが理解されるであろう。いずれの場合も、プラントコントローラは、プラントオペレータ又はいくつかのデータリソースのいずれかと通信してもよい。特定の実施形態によれば、プラントコントローラは、発電プラント10の所望の運転設定点に関して、プラントオペレータに提案を行うことができる。プラントコントローラはまた、いくつかの異なる運転に関するプラントオペレータからの命令及びコマンドを受信することができる。さらに、プラントコントローラは、発電プラント10のコンポーネント及びサブシステムの運転に関するデータを受信かつ記憶してもよい。本明細書に記載の種々の実施形態は、プラントコントローラの一部として動作する機能としての使用に適している。
【0016】
典型的な複合サイクル発電プラントでは、所与の周囲条件における発電プラントのベースロードは、ガスタービンの入口温度又は運転温度、及びガスタービン内の入口ガイドベーン(inlet guide vanes:IGV)の位置によって定義され得る。この点において、入口温度及びIGV位置により、最高出力及び最高効率を有する複合サイクル発電プラントの運転点が規定され得る。しかしながら、規定の運転点に従って複合サイクル発電プラントを運転することには限界がある。
【0017】
本発明の種々の実施形態は、発電プラントの運転パラメータの特定の設定値を選択する際のガイダンスとしてオペレータが使用できる、複合サイクル発電プラントを運転するための最適運転条件下の運転空間を規定することによって、運転点に従って複合サイクル発電プラントを運転することに関連するこれらの限界を克服しており、当該特定の設定値は、所定の周囲条件でのベースロード運転中に、当該運転空間内に示されるものである。種々の実施形態に関連する運転空間の導出は、部分ピーク燃焼の任意選択肢を有するガスタービンを利用する、複合サイクル発電プラントに基づいている。これにより、オペレータは所望の出力を命じることができる。場合によっては、この任意選択肢によって、目標メガワット(MW)出力を達成するように、ガスタービンが入口温度を上昇(華氏35度上昇する範囲内で)させることができるようになる。所定の圧縮機入口温度(compressor inlet temperature:CTIM)(例えば、CTIMは22Cよりも低い)において、IGV位置は、排気マッハ数(以下、「マッハ数」とする)として規定され得る。これに基づいて、発電プラントを運転する運転ラインは、入口温度及びマッハ数によって規定され得る。この運転ラインは、所定の周囲条件でのベースロード運転中における、1つのラインから発電プラントの入口温度及びマッハ数での運転の空間を表す運転空間へと拡張され得る。例えば、一実施形態では、本発電プラントの運転空間は、可変入口温度及び一定マッハ数によって規定され得る。この運転空間から、目標出力及び目標効率を達成するように当該発電プラントが運転され得る。
【0018】
出力及び効率を上昇させるために可変入口温度で発電プラントを運転する機能は有益であるが、これが発電プラントの部品又はコンポーネントの製品寿命に影響を及ぼすという欠点がある。例えば、上昇した入口温度及び上昇した温度での曝露時間の長期化は、燃焼及び高温ガス経路部品の製品寿命に悪影響を及ぼすものであり、ベースロード電力需要を満たすために発電プラントを運転可能に維持するための整備費用及び交換費用、並びに整備による可用性の問題を生じる恐れがある。別のシナリオでは、マッハ数を増加させると、ガスタービンのロータの寿命が短縮されるため、保守が必要になる可能性がある。ガスタービン技術が進化するにつれて、マッハ数が増加すると予想されることが背景にある。これにより、より多くのガスタービン出力が得られ、したがってより多くの複合サイクル発電プラント出力が得られるようになる一方、効率は低下する。
【0019】
可変入口温度及びマッハ数に相当するより大きな運転空間、並びに可変運転パラメータが発電プラントの出力及び効率に及ぼす影響に対応するために、種々の実施形態は、可変入口温度及び一定マッハ数に基づき得る運転空間を改良することを目的としている。例えば、種々の実施形態は、可変入口温度及びマッハ数に相当する運転空間を、発電プラントの出力及び効率に対するそれらの影響に照らして提供することを目的としている。一実施例では、発電プラントのオペレータは、上昇した入口温度及びマッハ数値を拡張表現したものを含む、種々の実施形態からの運転空間を使用して、目標プラントロード及び目標プラント効率を調整することができる。この点において、オペレータは、収益の最大化、運転シナリオの予測、給電停止及び可用性の管理、燃料の購入、並びに整備及び保守の計画を含み得るが、これらに限定されない多くのビジネス上の関心事項のうちの1つに対応できるように、目標プラントロード及び目標プラント効率を調整することができる。
【0020】
種々の実施形態のより大きな運転空間では、準最適な効率をもたらし得る入口温度及びマッハ数値の上昇をも考慮に入れている。本明細書で使用する場合、準最適な効率とは、発電プラントが全出力よりも低い出力で稼働することを意味し、また、当該プラントの出力のメガワット(MW)当たりの資本コストが上昇することを示唆している。具体的には、種々の実施形態の運転空間は、入口温度及びマッハ数値の上昇から生じる出力及び効率を達成する際に、追加の役割を有し得る別の運転パラメータに対応するように拡張される。一実施形態では、この追加の運転パラメータは、ガスタービン内の燃料の燃料温度を含むことができる。運転空間内にこの追加の運転パラメータを適用した状態で、オペレータは当該運転空間を使用して、より高い出力で稼働する一方で、準最適な効率で稼働することが望まれる場合の入口温度、マッハ数、及び燃料温度の最適条件を選択することができる。このようにして、オペレータは、収益の最大化、運転シナリオの予測、給電停止及び可用性の管理、燃料の購入、並びに整備及び保守の計画を含み得るが、これらに限定されない多くのビジネス上の関心事項のうちの1つに対応できるように、入口温度、マッハ数及び燃料温度を調整することができる。例えば、一実施形態では、オペレータは、市場条件の具体化に基づいて運転収益を最大化するように、これらのパラメータを調整することができる。この具体化は、スポット市場での電力販売を含むことができる一方で、容量市場を通じて締結される容量又は電力売買契約に対して、可能な限り高額の容量支払いが行われるようにすることができる。場合によっては、こうした調整は、燃焼、高温ガス部品及びロータ寿命などのタービンの部品への影響により、準最適な効率では最高収益が得られないという結果となるにもかかわらず、発電プラントオペレータにとって関心事項となる可能性がある。例えば、燃料温度を低下させるなど、燃料温度に変化が生じると、出力を増加させる一方で効率を低下させる可能性があるが、保守や可用性には一切影響を与えず、したがって運転収益に悪影響を及ぼすこともない。
【0021】
図2は、本発明の一実施形態による、少なくとも1つのガスタービンを有する発電プラントを柔軟に運転するための給電アドバイザシステム18の一実施例を示すブロック図である。本開示によって実行される方法、プロセス、及び動作を含む給電アドバイザシステム18の態様は、例えば、1つ又は複数の機械に関連付けられた1つ又は複数のコンピュータ可読媒体で具体化されるなど、1つ又は複数の機械内で具体化される機械実行可能なコンポーネントを構成することができる。そのようなコンポーネントは、1つ又は複数の機械、例えば1つ又は複数のコンピュータ、1つ又は複数のコンピューティング装置、1つ又は複数の自動装置、1つ又は複数の仮想機械などによって実行された場合に、記載している動作を当該1つ又は複数の機械に実行させることができる。
【0022】
さらに、図2の給電アドバイザシステム18についての以下の説明及び他の図に関連する説明では、「オブジェクト」、「モジュール」、「インターフェース」、「コンポーネント」、「システム」、「プラットフォーム」、「エンジン」、「セレクタ」、「マネージャ」、「ユニット」、「ストア」、「ネットワーク」、及び「ジェネレータ」などの用語を使用して、コンピュータ関連エンティティ、又は特定の機能を有する稼働中の機械若しくは装置に関連する、又はその一部であるエンティティを指してもよい。これらのエンティティは、ハードウェア、ハードウェアとファームウェアとの組合せ、ファームウェア、ハードウェアとソフトウェアとの組合せ、ソフトウェア、又は実行中のソフトウェアのいずれかとすることができる。さらに、上述の用語によって特定されるエンティティを、本明細書では概して「機能要素」と呼ぶ。一実施例として、コンポーネントを、プロセッサ上で実行されているプロセス、プロセッサ、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、プログラム、及び/又はコンピュータとすることができるが、これらに限定されない。一例として、サーバ上で実行されているアプリケーション及びそのサーバの両方をコンポーネントとすることができる。1つ又は複数のコンポーネントがプロセス及び/又は実行スレッド内に常駐してもよく、またコンポーネントが1つのコンピュータ上に局在化してもよいし、かつ/又は2つ以上のコンピュータ間に分散されてもよい。また、これらのコンポーネントは、種々のデータ構造が記憶された種々のコンピュータ可読記憶媒体から実行され得る。これらのコンポーネントは、1つ又は複数のデータパケット(例えば、ローカルシステム、分散システム中の別のコンポーネントと、かつ/又はインターネットなどのネットワークにわたって信号によって他のシステムと対話する1つのコンポーネントからのデータなどである)を有する信号などに従うなどして、ローカル及び/又はリモートプロセスを介して通信してもよい。一実施例として、コンポーネントを、電気回路又は電子回路によって作動する機械部品によって提供される特定の機能を有する装置とすることができ、本装置は、プロセッサによって実行されるソフトウェアアプリケーション又はファームウェアアプリケーションによって操作され、当該プロセッサは、本装置の内部又は外部にあり得、またソフトウェアアプリケーション又はファームウェアアプリケーションの少なくとも一部を実行する。別の実施例として、コンポーネントを、機械部品なしで電子部品を介して特定の機能を提供する装置とすることができる。これらの電子部品は、電子部品の機能を少なくとも部分的に付与するソフトウェア又はファームウェアを実行するためのプロセッサを、その内部に含むことができる。1つ又は複数のインターフェースには、入出力(I/O)コンポーネント、1つ又は複数の関連プロセッサ、1つ又は複数のアプリケーション、又はAPI(アプリケーション・プログラム・インターフェース)コンポーネントが含まれ得る。上述した実施例はコンポーネントを対象としているが、例示している特徴又は態様は、オブジェクト、モジュール、インターフェース、システム、プラットフォーム、エンジン、セレクタ、マネージャ、ユニット、ストア、及びネットワークなどにも適用される。
【0023】
再度図2を参照すると、給電アドバイザシステム18は、柔軟なベースロードマップ生成コンポーネント20と、ユーザ・インターフェース・コンポーネント22と、1つ又は複数のプロセッサ24と、データ28を記憶するメモリ26とを備えることができる。種々の実施形態では、柔軟なベースロードマップ生成コンポーネント20、ユーザ・インターフェース・コンポーネント22、1つ又は複数のプロセッサ24、又はメモリ26のうちの1つ又は複数が、互いに電気的かつ/又は通信可能に結合されて、給電アドバイザシステム18の機能のうちの1つ又は複数を実行することができる。いくつかの実施形態では、柔軟なベースロードマップ生成コンポーネント20又はユーザ・インターフェース・コンポーネント22のうちの一方又は両方は、メモリ26に記憶され、1つ又は複数のプロセッサ24によって実行されるソフトウェア命令を含むことができる。さらに、給電アドバイザシステム18は、図2に示されていない他のハードウェアコンポーネント及び/又はソフトウェアコンポーネントと対話してもよい。例えば、1つ又は複数のプロセッサ24は、キーボード、マウス、ディスプレイモニタ、タッチスクリーン、又は他のそのようなインターフェース装置などの1つ又は複数の外部ユーザ・インターフェース装置と対話してもよい。
【0024】
柔軟なベースロードマップ生成コンポーネント20は、少なくとも1つのガスタービンを有する発電プラントを、ベースロード電力需要を満たすように運転するための柔軟なベースロードマップを生成するように構成され得る。当該柔軟なベースロードマップは、複数の運転パラメータに従って発電プラントを運転するための運転空間を含むことができる。一実施形態では、当該運転パラメータは、ガスタービンの入口温度及びガスタービン内の入口ガイドベーンの位置、並びにガスタービン内の燃料の燃料温度を含むことができる。当該柔軟なベースロードマップは、運転パラメータの第1のセットの運転空間にわたって達成される発電プラントの発電出力値及び発電効率値を提供する、運転パラメータの第1のセットから得られる一次ベースロード運転空間を含むことができる。一実施形態では、運転パラメータの第1のセットは、入口温度及び入口ガイドベーンの位置を含むことができる。通常、一次ベースロード運転空間は、目標プラント発電出力及び目標プラント発電効率を達成するための一次運転空間を表すものである。当該柔軟なベースロードマップは、発電プラントの運転パラメータの第2のセットに関連付けられた運転空間を提供する、拡張部分をさらに含むことができる。一実施形態では、運転パラメータの第2のセットは、入口温度、入口ガイドベーンの位置、及び燃料温度を含むことができる。通常、ベースロード運転空間の拡張部分は、一次ベースロード運転空間と比較してより高いプラント発電出力及び準最適なプラント発電効率を達成するような二次運転空間を表すものである。
【0025】
ユーザ・インターフェース・コンポーネント22はユーザ入力を受け取り、次いで任意の適切なフォーマット(例えば、視覚、音声、触覚などである)で出力をユーザにレンダリングするように構成され得る。いくつかの実施形態では、ユーザ・インターフェース・コンポーネント22は、給電アドバイザシステム18と通信可能にインターフェースするクライアント装置上、又はシステム18のネイティブ・ディスプレイ・コンポーネント(例えば、ディスプレイモニタ又はディスプレイ画面である)上にレンダリングすることができる、グラフィカル・ユーザ・インターフェースを生成するように構成され得る。入力データは、例えば所定の周囲条件で、複数のベースロード設定値において行われるベースロード運転中の、発電プラントの運転パラメータに関連するベースロード・データを含むことができる。上述したように、一実施形態では当該運転パラメータは、ガスタービンの入口温度、ガスタービン内の入口ガイドベーンの位置、及びガスタービン内の燃料の燃料温度を含むことができる。入力データは、これらの運転パラメータのベースロード設定値に加えて、ベースロード運転中に所定の周囲条件で、当該ベースロード設定値の各々において稼働されている間に発電プラントによって達成される、発電出力値及び発電効率値を含むことができる。当該入力データが、他の運転パラメータに関連する他のデータを含み得ることが理解される。さらに、種々の実施形態が、入口温度、入口ガイドベーンの位置、及び燃料温度を含むパラメータに関して記載されているが、作動流体の経路に沿って画定された位置における温度、圧力、湿度、及びガス流特性、並びに周囲条件、燃料特性、及び他の測定可能値などの他の運転パラメータを使用して、柔軟なベースロードマップを生成することができることが理解される。入力データは、上述のデータに加えて、例えば、柔軟なベースロードマップを生成する際に考慮されるユーザ定義の制約条件(例えば、ガスタービンの運転温度又は発電出力の上限値及び下限値、所望の運転期間の定義、周囲条件の定義、ガスタービンの稼働が許可されていない日の特定などである)を含むことができる。
【0026】
ユーザ・インターフェース・コンポーネント22によってレンダリングされ得る出力データは、柔軟なベースロードマップ生成コンポーネント20によって生成される、発電プラントを運転するための柔軟なベースロードマップの1つ又は複数の表現をグラフィカルにレンダリングしたものを含むことができるが、これに限定されない。ユーザ・インターフェース・コンポーネント22によって提供され得る他の出力データは、例えば、プラント資産運用プロファイル又はスケジュールをテキストベースでレンダリングしたもの、又はこれをグラフィカルにレンダリングしたものを含むことができる。入力データ及び出力データの両方が、記憶されるデータ28の一部としてメモリ26内に記憶され得ることが理解される。
【0027】
1つ又は複数のプロセッサ24は、開示している本システム及び/又は方法を参照して本明細書に記載している機能のうちの1つ又は複数を実行することができる。メモリ26を、開示している本システム及び/又は方法を参照して本明細書に記載している機能を実行するためのコンピュータ実行可能命令及び/又は情報を記憶することができる、コンピュータ可読記憶媒体とすることができる。
【0028】
給電アドバイザシステム18の特徴が、ガスタービンを参照しながら本明細書に記載されているが、給電アドバイザシステム18の実施形態は、ガスタービンのみで使用することに限定されず、むしろ、これらの実施形態を使用して、他の形式の発電資産に適した、拡張された運転空間を有する柔軟なベースロードマップを生成することができることを理解されたい。
【0029】
図3は、本発明の一実施形態による、図2に示す給電アドバイザシステム18における柔軟なベースロード生成コンポーネント20を対象とした、例示的なデータ入力及びデータ出力を示すブロック図30である。より詳細には、図3のブロック図は、柔軟なベースロードマップ36を生成するために、柔軟なベースロード生成コンポーネント20が、ベースロード・パラメータ・データ34上で動作させる1つ又は複数のアルゴリズム32を利用するように構成されていることを示している。ベースロード・パラメータ・データ34は、例えば所定の周囲条件で、複数のベースロード設定値において行われるベースロード運転中の、発電プラントの運転パラメータに関連するベースロード・データを含むことができる。上述したように、一実施形態では当該運転パラメータは、ガスタービンの入口温度、ガスタービン内の入口ガイドベーンの位置、及びガスタービン内の燃料の燃料温度を含むことができる。ベースロード・パラメータ・データ34は、これらの運転パラメータのベースロード設定値に加えて、ベースロード運転中に所定の周囲条件で、当該ベースロード設定値の各々において運転されている間に発電プラントによって達成される、発電出力値及び発電効率値を含むことができる。柔軟なベースロード生成コンポーネント20の1つ又は複数のアルゴリズム32は、ベースロード・パラメータ・データ34を使用して、柔軟なベースロードマップ36を生成することができる。1つ又は複数のアルゴリズム32及び柔軟なベースロードマップ36の更なる詳細を、図4及び図5を参照しながらそれぞれ以下に述べている。
【0030】
図4に示すように、柔軟なベースロードマップ36を生成するアルゴリズム32は、所定の周囲条件で、複数のベースロード設定値において行われるベースロード運転中に、発電プラントの運転パラメータに関連する複数のベースロード・データが取得されるステップ38から開始される。一実施形態では、ベースロード・データが取得される対象となる運転パラメータは、これらに限定されるわけではないが、ガスタービンの入口温度、ガスタービン内の入口ガイドベーンの位置、及びガスタービン内の燃料の燃料温度を含むことができる。
【0031】
ベースロード・データを取得するステップは、いくつかの周知の手法のいずれかを用いてデータを受信するか、収集するか、又は取得するステップを含むことができる。一実施形態では、当該ベースロード・データは、本明細書では概して「データリソース」と呼ばれてもよく、給電アドバイザシステム18に接続されているデータライブラリ、データリソース及びデータリポジトリ内に存在することができ、これらは具体的には通信回線を介して、柔軟なベースロードマップ生成コンポーネント20に接続されており、又は当該通信回線を介してデータが交換される。これらのデータリソースは、運転パラメータに関連する運転データ、及び周囲データを含むが、これらに限定されないいくつかの種類のデータを含んでいてもよい。当該周囲データは、周囲空気温度、周囲空気湿度、及び/又は周囲空気圧力などの、プラントにおける周囲条件に関連する情報を含むことができる。運転データ及び周囲データはそれぞれ、履歴記録、現在の状態データ、及び/又は予測に関連するデータを含んでいてもよい。例えば、データリソースは、現在及び予測される気象情報又は気候情報、現在及び予測される市場条件、発電プラントの運転に関する使用状況及び性能履歴記録、並びに/又は類似のコンポーネント及び/若しくは構成を有する他の発電プラントの運転に関する測定パラメータ、観測パラメータ、あるいは追跡パラメータ、並びに適切かつ/又は所望され得る他のデータを含んでいてもよい。これらの通信回線が有線又は無線であってもよく、さらに、データリソース及び給電アドバイザシステム18が、インターネット又はプライベート・コンピュータ・ネットワークなどのより大型の通信システム若しくはネットワークに接続されてもよく、あるいはその一部であってもよいことが理解されるであろう。
【0032】
図4のアルゴリズムはステップ40に進み、ここで、ベースロード・データは発電出力値及び発電効率値に関連付けられる。一実施形態では、ベースロード運転中の所定の周囲条件で、複数のベースロード設定値の各々において行われる運転パラメータのベースロード・データは、それぞれの値の各々ごとに、発電プラントによって達成される発電出力値及び発電効率値に関連付けられる。この点において、柔軟なベースロードマップ生成コンポーネント20は、ベースロード設定値の各々における運転パラメータの値それぞれごとに、発電プラントによって達成される発電出力値及び発電効率値を把握することができる。
【0033】
このデータの関連付けにより、柔軟なベースロードマップ生成コンポーネント20によって実行されるアルゴリズムは、ステップ42で一次ベースロード運転空間を求めることができる。一実施形態では、この一次ベースロード運転空間は、発電プラントが目標プラント発電出力及び目標プラント発電効率を達成できるようにする一次運転空間を表す。この点において、プラントオペレータは、一次ベースロード運転空間を使用して、ベースロード運転中に、目標出力及び目標効率を達成するように発電プラントを稼働することができる。他の対象目標を達成するために発電プラントを運転する際のガイダンスとして、プラントオペレータによって当該一次ベースロード運転空間が使用され得ることが理解される。例えば、プラントオペレータは、市場条件の具体化に基づいて発電プラントの運転収益を最大化する目的で、一次ベースロード運転空間を使用することができる。
【0034】
一実施形態では、一次ベースロード運転空間は、データの関連付けに使用される運転パラメータの第1のセットから求められ得る。この点において、一次ベースロード運転空間は、ベースロード運転中に所定の周囲条件で、複数のベースロード設定値の各々において稼働されている間に、運転パラメータの第1のセットで達成される発電プラントの発電出力値及び発電効率値を関連付ける表現を提供する。一実施形態では、運転パラメータの第1のセットは、入口温度及び入口ガイドベーンの位置を含むことができる。
【0035】
一次ベースロード運転空間を求めた後、ステップ44で、一次ベースロード運転空間上に拡張させることによって二次ベースロード運転空間が形成され得る。当該二次ベースロード運転空間は、データの関連付けに使用される運転パラメータの第2のセットから形成され得る。例えば、運転パラメータの第2のセットは、入口温度、入口ガイドベーンの位置、及び燃料温度を含むことができる。一実施形態では、二次ベースロード運転空間は、一次ベースロード運転空間と比較してより高いプラント発電出力と、最適未満又は準最適なプラント発電効率とを達成する一次ベースロード運転空間の拡張部分を表す。この点において、プラントオペレータは、二次ベースロード運転空間を使用してベースロード運転中に発電プラントを稼働し、プラントを高出力及び高効率で運転することが望ましくない場合があるシナリオにおいて、異なる目標を達成することができる。例えば、プラントオペレータは、二次ベースロード運転空間を使用して、発電プラントのコンポーネントの効率低下や、耐用年数への影響がある中で最大収益を得るという代償を伴いながら、容量市場を通じて締結される容量又は電力売買契約に対する容量支払いを最大化することができる。
【0036】
柔軟なベースロードマップ生成コンポーネント20のアルゴリズム32の動作はステップ46に進むことができ、ここで、一次ベースロード運転空間と二次ベースロード運転空間とを集約して、発電プラントを運転するための柔軟なベースロードマップが形成される。一実施形態では、柔軟なベースロードマップの表現は、運転パラメータのある範囲の運転値、及び当該範囲の運転値で発電プラントを運転している間に達成される、対応する発電出力値及び発電効率値を提供する。この表現が一次ベースロード運転空間及び二次ベースロード運転空間の両方を含んでいることにより、結果として得られる柔軟なベースロードマップは発電プラントオペレータに対し、ベースロード運転中に発電プラントを制御する際の柔軟性を提供する。具体的には、当該結果として得られる表現は、オペレータが目標プラント発電出力及び目標プラント発電効率を達成するために使用できる第1の運転空間(即ち、一次ベースロード運転空間)と、第1の運転空間と比較してより高いプラント発電出力、及び最適未満又は準最適なプラント発電効率を達成する第2の運転空間とを提供し、これらの空間は、高出力及び高効率に関係しない他の目的(例えば、容量支払いを最大化することなどである)に従って当該プラントを制御する選択肢をオペレータに提供する。一次ベースロード運転空間と二次ベースロード運転空間とのこうした集約は、図5に一実施例が示されている柔軟なベースロードマップなどの可視化表現の形態で、ステップ48においてプラントオペレータに提示され得る。
【0037】
なお、説明を簡単にするために、図4に示す動作を一連の動作として述べている。いくつかの動作が、その主題の革新に従って、本明細書に示し、かつ記載しているものとは異なる順序で、かつ/又は他の動作と同時に起こり得るため、図4に関連する主題の革新が動作の順序によって限定されないことが理解され、かつ評価される。例えば、当業者であれば、図4に示している手法又は動作が、状態図などの、相互に関連し合う一連の状態又は事象として代替的に表され得ることを理解し、かつ評価するであろう。また、当該革新に従ってある手法を実行する際に、示しているすべての動作が必要になるとは限らない場合がある。その上、異なるエンティティが本手法の異なる部分を成立させる場合には、1つ又は複数の相互作用図は、主題の開示内容による手法又は方法を表すことができる。さらに、本明細書に記載している1つ又は複数の特徴又は利点を達成するために、開示している2つ以上の例示的方法を互いに組み合わせて実行することができる。
【0038】
図5は、本発明の一実施形態による、図4に示す動作を用いて給電アドバイザシステム18の柔軟なベースロード生成コンポーネント20によって生成され得る、発電プラントを運転するための柔軟なベースロードマップ36の表現の一実施例である。図5は、ガスタービンの入口温度(TFire)、ガスタービン内のIGV位置に対応するマッハ数(Mn)、及びガスタービン内の燃料の燃料温度(TFuel)を含み得る運転パラメータによって定義される運転空間を有する、柔軟なベースロードマップ36を示す。図5に示すように、柔軟なベースロードマップ36は、これらの運転パラメータの多次元表現を含むことができる。具体的には、図5の柔軟なベースロードマップ36の多次元表現は、一次ベースロード運転空間50を、二次ベースロード運転空間を表すベースロード運転空間の拡張部分52と区別している。図5は、柔軟なベースロードマップ36の多次元表現が、運転パラメータ(例えば、TFire、Mn、及びTFuelである)の三次元表現と、Δ(デルタ)出力及びΔ(デルタ)効率としてそれぞれ記述される発電出力値及び発電効率値の二次元表現とを含んでいることを示す。一実施形態では、運転パラメータTFire、Mn、及びTFuelの三次元表現は、発電出力値及び発電効率値であるΔ出力及びΔ効率の二次元表現と並置されている。図5に示すように、柔軟なベースロードマップ36内の運転パラメータの三次元表現は、入口温度TFireに関連付けられた値を表す第1の軸と、入口ガイドベーンIGVの位置に関連付けられた値を表す第2の軸と、燃料温度TFuelに関連付けられた値を表す第3の軸とを含む一方、発電出力値及び発電効率値の二次元表現は、発電出力値であるΔ出力を表す第1の軸と、発電効率値であるΔ効率を表す第2の軸とを含む。
【0039】
図5に示す実施例では、柔軟なベースロードマップ36は、一次ベースロード運転空間50及び拡張部分52をカバーしているこのベースロード運転空間において、入口温度TFire、マッハ数Mn、及び燃料温度TFuelが可変であることを示す。図5に示すように、入口温度TFireを華氏2830度~華氏2865度の範囲とすることができる一方、マッハ数Mnを0.8~0.84の範囲とすることができ、燃料温度TFuelを、一次ベースロード運転空間50が二次ベースロード運転空間を含む拡張部分52に隣接する領域での華氏600度から、当該隣接部分から最も離隔した領域での華氏200度までの範囲とすることができる。
【0040】
この柔軟なベースロードマップ36が、例えば複合サイクル発電プラントなどの発電プラントを運転するための最適運転条件の運転空間を示していることにより、プラントオペレータは、所定の周囲条件でのベースロード運転中に、発電プラントの運転パラメータの特定の設定値を選択する際のガイダンスとして、当該運転空間を使用することができる。この点においてプラントオペレータは、発電プラントをどのように運転すべきか、その所望の目的に応じて、これらの目的を満たす形式の発電出力及び発電効率をもたらすことになる入口温度TFire、マッハ数Mn、及び燃料温度TFuelの値を選択することができる。例えば、プラントオペレータが目標出力及び目標効率を達成するように発電プラントを運転したいと望む場合、当該オペレータは、一次ベースロード運転空間50によってカバーされる柔軟なベースロードマップ36内の運転空間の使用を中心に取り組むことができる。この点において、オペレータは、入口温度TFire及びマッハ数Mnがそれぞれ、華氏2830度~華氏2865度と、0.8~0.84の範囲とに及ぶ、拡張された運転空間を使用して、特定の目的又は関心事項を満たしながら目標出力及び目標効率を達成するように、TFire値及びMn値を調整することができる。この調整は、収益を最大化し、運転シナリオを予測し、給電停止及び可用性を管理し、燃料を購入し、かつ整備及び保守の計画を立てることが望ましいシナリオに対応するために、目標プラントロード及び目標プラント効率を調整することを含むことができる。
【0041】
図5に示す柔軟なベースロードマップ36の別の使用例では、プラントオペレータは、より高い出力ではあるが、最適以下の効率での稼働が望ましい場合に、二次ベースロード運転空間を表すベースロード運転空間の拡張部分52を使用して、入口温度TFire、マッハ数Mn及び燃料温度TFuelに関して最適な条件を選択することができる。例えば、プラントオペレータは、入口温度TFireが華氏2865度、マッハ数Mnが0.84、かつ燃料温度TFuelが華氏200度の状態で発電プラントを運転することを選択することができる。本シナリオでは、図5に示すように、入口温度TFireが華氏2830度、かつマッハ数Mnが0.8の状態で運転する場合を図面において星印で示した点と比較して、容量が4.3%増加するように、発電プラントの出力が増加していることになる。しかしながら、出力がこのように増加すると、発電プラントの効率が低下する可能性がある。出力は増加するが、最適以下の効率で運転するそのような運転シナリオが、場合によっては望ましいことがある。これらの事例は、収益の最大化、運転シナリオの予測、給電停止及び可用性の管理、燃料の購入、並びに整備及び保守の計画を含み得るが、これらに限定されない状況において発生する可能性がある。例えば、一実施形態ではオペレータは、出力及び効率を主目的とはせずに、二次ベースロード空間内の入口温度TFire値、マッハ数Mn値、及び燃料温度TFuel値を調整することができる。一実施形態では、プラントオペレータは、柔軟なベースロードマップ36の二次ベースロード空間内の入口温度TFire値、マッハ数Mn値、及び燃料温度TFuel値を調整して、可能な限り高額の容量支払いが行われるような電力を販売することによって、スポット市場での運転収益を最大化することができる。場合によっては、こうした調整は、最適以下の効率になるという影響があるにもかかわらず、発電プラントオペレータにとって関心事項となる可能性がある。
【0042】
開示している主題の種々の態様の背景を示すために、図6及び図7並びに以下の説明は、開示している主題の種々の態様を実装することができる、適切な環境に関する簡潔で概括的な説明を提供することを意図している。
【0043】
図6を参照すると、上述の主題の種々の態様を実装するための例示的な環境1000は、コンピュータ1012を備える。コンピュータ1012は、演算処理装置1014と、システムメモリ1016と、システムバス1018とを含む。システムバス1018は、システムメモリ1016を含むがこれに限定されないシステムコンポーネントを、演算処理装置1014に結合している。演算処理装置1014を、使用可能な種々のプロセッサのいずれかとすることができる。マルチコア・マイクロプロセッサ及び他のマルチプロセッサ・アーキテクチャも演算処理装置1014として使用され得る。
【0044】
システムバス1018を、メモリバス若しくはメモリコントローラ、周辺機器バス若しくは外部バス、及び/又は種々の使用可能な任意のバスアーキテクチャを使用するローカルバスを含むいくつかの形式の1つ又は複数のバス構造のいずれかとすることができ、種々の使用可能な任意のバスアーキテクチャとしては、8ビットバス、業界標準アーキテクチャ(Industrial Standard Architecture:ISA)、マイクロチャネル・アーキテクチャ(Micro-Channel Architecture:MSA)、拡張ISA(Extended ISA:EISA)、統合ドライブエレクトロニクス(Integrated drive electronics:IDE)、VESAローカルバス(VESA Local Bus:VLB)、周辺機器相互接続(Peripheral Component Interconnect:PCI)、ユニバーサル・シリアル・バス(Universal Serial Bus:USB)、アドバンストグラフィックスポート(Advanced Graphics Port:AGP)、パーソナルコンピュータメモリカード国際協会バス(Personal Computer Memory Card International Association bus:PCMCIA)、及び小型コンピュータシステムインターフェース(Small Computer Systems Interface:SCSI)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
システムメモリ1016は、揮発性メモリ1020及び不揮発性メモリ1022を含む。起動中などにコンピュータ1012内の要素間で情報を転送し合うための基本ルーチンを含む、基本入出力システム(BIOS)は、不揮発性メモリ1022内に記憶されている。限定ではなく例示として、不揮発性メモリ1022は、読み出し専用メモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、電気的プログラマブルROM(EPROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、又はフラッシュメモリを含むことができる。揮発性メモリ1020は、外部キャッシュメモリとして機能する、ランダム・アクセス・メモリ(random access memory:RAM)を含む。限定ではなく例示として、RAMは、シンクロナスRAM(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、シンクロナスDRAM(SDRAM)、ダブルデータレートSDRAM(DDR SDRAM)、エンハンストSDRAM(ESDRAM)、シンクリンクDRAM(SLDRAM)、及びダイレクトラムバスRAM(DRRAM)などの多くの形式で利用可能である。
【0046】
コンピュータ1012は、取り外し可能/取り外し不能の揮発性/不揮発性コンピュータ記憶媒体をさらに含む。図6は、例えばディスク記憶装置1024を示す。ディスク記憶装置1024は、磁気ディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ、テープドライブ、Jazドライブ、Zipドライブ、LS-100ドライブ、フラッシュメモリカード、又はメモリスティックなどの装置を含むが、これらに限定されない。さらに、ディスク記憶装置1024は、コンパクトディスクROM装置(CD-ROM)、CD記録可能ドライブ(CD-Rドライブ)、CD書き換え可能ドライブ(CD-RWドライブ)、又はデジタル多用途ディスクROMドライブ(DVD-ROM)などの光ディスクドライブを含むがこれらに限定されない、他の記憶媒体とは別個の、又はこれと組み合わせた記憶媒体を含むことができる。ディスク記憶装置1024をシステムバス1018に容易に接続するために、インターフェース1026などの取り外し可能又は取り外し不能なインターフェースが通常使用される。
【0047】
図6が、ユーザと、適切な動作環境1000に記載された基本的なコンピュータリソースとの間の媒介として機能するソフトウェアを記載していることが理解される。そのようなソフトウェアは、オペレーティングシステム1028を含む。ディスク記憶装置1024に記憶され得るオペレーティングシステム1028は、コンピュータ1012のリソースを制御し、かつ割り当てるように機能する。システムアプリケーション1030は、システムメモリ1016又はディスク記憶装置1024のいずれかに記憶されたプログラムモジュール1032及びプログラムデータ1034を介して、オペレーティングシステム1028によるリソースの管理を利用する。主題の開示内容の1つ又は複数の実施形態が、種々のオペレーティングシステム又はオペレーティングシステムの組合せで実装され得ることが理解される。
【0048】
ユーザは、1つ又は複数の入力装置1036を介して、コンピュータ1012にコマンド又は情報を入力する。入力装置1036は、マウス、トラックボール、スタイラス、タッチパッド、キーボード、マイクロフォン、ジョイスティック、ゲームパッド、衛星放送受信アンテナ、スキャナ、TVチューナカード、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、及びウェブカメラなどのポインティングデバイスを含むが、これらに限定されない。これら及び他の入力装置は、1つ又は複数のインターフェース・ポート1038を介し、システムバス1018を通じて演算処理装置1014に接続されている。1つ又は複数のインターフェース・ポート1038は、例えばシリアルポート、パラレルポート、ゲームポート、及びユニバーサル・シリアル・バス(USB)を含む。1つ又は複数の出力装置1040は、1つ又は複数の入力装置1036と同じ形式のポートのいくつかを使用している。したがって、例えばUSBポートを使用してコンピュータ1012に入力を提供し、次いでコンピュータ1012から出力装置1040に情報を出力してもよい。出力アダプタ1042は、他の出力装置1040の中でも、専用のアダプタを必要とするモニタ、スピーカ、及びプリンタのようないくつかの出力装置1040が存在することを示すために設けられている。出力アダプタ1042は、限定ではなく例示として、出力装置1040とシステムバス1018との間の接続手段を提供するビデオカード及びサウンドカードを含む。なお、他の装置及び/又は装置のシステムは、1つ又は複数のリモートコンピュータ1044などの入力機能及び出力機能の両方を提供している。
【0049】
コンピュータ1012は、1つ又は複数のリモートコンピュータ1044などの1つ又は複数のリモートコンピュータへの論理接続を使用して、ネットワーク環境で動作することができる。1つ又は複数のリモートコンピュータ1044を、パーソナルコンピュータ、サーバ、ルータ、ネットワークPC、ワークステーション、マイクロプロセッサベースの機器、ピア装置又は他の共通ネットワークノードなどとすることができ、通常、コンピュータ1012に関して記載している要素の多く又はすべてを含む。簡潔にするために、メモリ記憶装置1046のみが、1つ又は複数のリモートコンピュータ1044と共に図示されている。1つ又は複数のリモートコンピュータ1044は、ネットワークインターフェース1048を介してコンピュータ1012に論理的に接続され、次いで通信接続1050を介して物理的に接続される。ネットワークインターフェース1048は、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)及びワイド・エリア・ネットワーク(WAN)などの通信ネットワークを包含している。LAN技術には、ファイバ分散データインターフェース(FDDI)、銅分散データインターフェース(CDDI)、Ethernet/IEEE802.3、及びトークンリング/IEEE802.5などが含まれる。WAN技術には、ポイント・ツー・ポイント・リンク、サービス総合デジタルネットワーク(ISDN)及びその変形などの回線交換ネットワーク、パケット交換ネットワーク、並びにデジタル加入者回線(DSL)が含まれるが、これらに限定されない。
【0050】
1つ又は複数の通信接続1050は、ネットワークインターフェース1048をシステムバス1018に接続するために使用されるハードウェア又はソフトウェアを指す。コンピュータ1012内を簡潔に示すために通信接続1050が図示されているが、通信接続1050をコンピュータ1012の外部にあるものとすることができる。ネットワークインターフェース1048への接続に必要なハードウェア又はソフトウェアは、例示のみを目的として、標準電話グレードのモデム、ケーブルモデム及びDSLモデムを含むモデム、ISDNアダプタ、及びEthernetカードなどの内部技術及び外部技術を含む。
【0051】
図7は、開示している主題が相互に作用することができる、サンプルコンピューティング環境1100の概略ブロック図である。サンプルコンピューティング環境1100は、1つ又は複数のクライアント1102を備える。1つ又は複数のクライアント1102を、ハードウェア及び/又はソフトウェア(例えば、スレッド、プロセス、コンピューティング装置などである)とすることができる。サンプルコンピューティング環境1100は、1つ又は複数のサーバ1104をさらに備える。1つ又は複数のサーバ1104も同様に、ハードウェア及び/又はソフトウェア(例えば、スレッド、プロセス、コンピューティング装置などである)とすることができる。サーバ1104は、例えば、本明細書に記載しているような1つ又は複数の実施形態を使用することによって、変換を実行するためのスレッドを収容することができる。クライアント1102とサーバ1104との間で実行可能な通信は、2つ以上のコンピュータプロセス間で送信されるように適合された、データパケットの形式であり得る。サンプルコンピューティング環境1100は、1つ又は複数のクライアント1102と1つ又は複数のサーバ1104との間の通信を円滑に行うために使用することができる、通信フレームワーク1106を備える。1つ又は複数のクライアント1102は、1つ又は複数のクライアント1102にローカルな情報を記憶させるために使用することができる、1つ又は複数のクライアント・データ・ストア1108に動作可能に接続されている。同様に、1つ又は複数のサーバ1104は、サーバ1104にローカルな情報を記憶させるために使用することができる、1つ又は複数のサーバ・データ・ストア1110に動作可能に接続されている。
【0052】
要約書に記載しているものを含め、本主題の開示内容を例示している実施形態の上述の説明は、網羅的であることを意図しておらず、また開示している実施形態を、開示している通りの形態に限定することを意図しているものでもない。特定の実施形態及び実施例を、例示を目的として本明細書に記載しているが、これらに対して種々の変更が可能であり、こうした変更は、当業者であれば認識できるように、そのような実施形態及び実施例の範囲内にあると考えられる。したがって、本明細書に込められた本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、上述の発明に特定の変更を加えることができるので、添付の図面に示される上述の説明の主題のすべては、本明細書における発明の概念を示す例としてのみ解釈されるべきであり、本発明を限定するものとして解釈されるべきではないことが意図される。
【0053】
この点に関して、開示している主題を、種々の実施形態及び対応する図面に関連して記載しているが、適用可能であれば、開示している主題と同じか、類似しているか、その代替となるか、又はその代用となる機能を実行するために、開示している主題から逸脱せずに、他の類似の実施形態を使用することができること、あるいは記載している実施形態に対して変更及び追加を行うことができることが理解される。したがって、開示している主題は、本明細書に記載している任意の単一の実施形態に限定されるべきではなく、むしろ、以下の添付の特許請求の範囲に従って幅広く解釈されるべきである。例えば、本発明の「一実施形態」に言及する際、記載している特徴をも取り入れた、更なる実施形態の存在を排除するものと解釈されることを意図してはいない。
【0054】
添付の特許請求の範囲において、「含む(including)」及び「ここでは(in which)」という用語は、「備える(comprising)」及び「ここで(wherein)」という用語のそれぞれの平易な英語の同義語として使用されている。また、以下の特許請求の範囲において、「第1の(first)」、「第2の(second)」、「第3の(third)」、「上部の(upper)」、「下部の(lower)」、「底部の(bottom)」、「頂部の(top)」、などの用語は、単なる目印として使用されており、それらの対象に数値的又は位置的な要件を課すことを意図していない。「実質的に(substantially)」、「概ね(generally)」、及び「約(about)」という用語は、コンポーネント又はアセンブリの機能的目的を達成するのに適した理想的な所望の条件に対して、無理なく達成可能な製造公差及びアセンブリ公差内の条件を示す。また、以下の特許請求の範囲の限定事項は、このような特許請求の範囲の限定事項が、その後に更なる構造を欠いた機能の記述が続く「~する手段(means for)」という語句を明示的に用いていない限り、ミーンズプラスファンクションの形式では書かれておらず、またそのように解釈されることを意図していない。
【0055】
さらに、「又は(or)」という用語は、排他的な「又は」ではなく包括的な「又は」を意味することを意図している。即ち、別段の指定がない限り、又は文脈から明らかでない限り、「XはA又はBを使用する」とは、自然な包含的置換のいずれかを意味することを意図している。つまり、XがAを使用するか、XがBを使用するか、又はXがAとBの両方を使用する場合には、前述のいずれの場合でも「XがA又はBを使用する」という条件が満たされる。さらに、本明細書及び添付の図面において使用している冠詞「a」及び「an」は、特に明記されない限り、又は単数形を対象とすることが文脈から明らかでない限り、「1つ又は複数」を意味すると通常は解釈されるべきである。
【0056】
上述したことは、開示している主題を例示するシステム及び方法の実施例を含む。当然ながら、コンポーネント又は手法のあらゆる組合せをここに記載することは不可能である。当業者であれば、特許請求している主題のさらに多くの組合せ及び置換が可能であることを認識することができる。さらに、発明を実施するための形態、特許請求の範囲、付録及び図面で「含む(includes)」、「有する(has)」、及び「所有する(possesses)」などが使用される限りにおいて、そのような用語は、「備える(comprising)」という用語が特許請求の範囲における移行語として使用される場合に解釈される、「~とを備える(comprising)」という用語と同様に包括的であることが意図される。即ち、明示的に相反する記載がない限り、特定の特性を有する要素又は複数の要素を「備える(comprising)」、「含む(including)」、又は「有する(having)」実施形態は、その特性を有しない追加のそのような要素を含んでもよい。
【0057】
本明細書では、本発明のいくつかの実施形態を、最良の形態を含めて開示し、また、任意の装置又はシステムの作製及び使用、並びに組み込まれた任意の方法の実行を含めて、当業者が本発明の実施形態を実践することができるようにしている。本発明の特許可能な範囲は特許請求の範囲によって規定され、当業者が想到する他の実施例を含んでもよい。そのような他の実施例は、特許請求の範囲の文言との差がない構造要素を有する場合、又は特許請求の範囲の文言との実質的な差がない等価の構造要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることを意図している。
【0058】
本発明の更なる態様は、以下の節の主題によって提供される。
【0059】
少なくとも1つのガスタービンを有する発電プラントを、ベースロード電力需要を満たすように運転するためのガイダンスを生成する方法であって、本方法は、所定の周囲条件で、複数のベースロード設定値において行われるベースロード運転中の、発電プラントの運転パラメータに関連する複数のベースロード・データを、少なくとも1つのプロセッサを備えるシステムによって取得するステップであって、当該運転パラメータは、ガスタービンの入口温度、ガスタービン内の入口ガイドベーンの位置、及びガスタービン内の燃料の燃料温度を含む、ステップと、当該運転パラメータに関連する複数のベースロード・データを、ベースロード運転中に所定の周囲条件で複数のベースロード設定値の各々において運転している間に発電プラントによって達成される発電出力値及び発電効率値に、本システムによって関連付けるステップと、運転パラメータの第1のセットに関連する複数のベースロード・データと、達成される発電出力値及び発電効率値との関連付けから、本システムによって一次ベースロード運転空間を求めるステップであって、当該一次ベースロード運転空間は、ベースロード運転中に所定の周囲条件で複数のベースロード設定値の各々において運転している間に、運転パラメータの第1のセットで達成される、発電プラントの発電出力値及び発電効率値を関連付ける表現を提供するものであり、運転パラメータの第1のセットは、入口温度及び入口ガイドベーンの位置を含み、一次ベースロード運転空間は、目標プラント発電出力及び目標プラント発電効率を達成するための一次運転空間を表す、ステップと、発電プラントの運転パラメータの第2のセットに関連する複数のベースロード・データの一部を用いて、本システムによって一次ベースロード運転空間を拡張するステップであって、当該運転パラメータの第2のセットは、入口温度、入口ガイドベーンの位置、及び燃料温度を含み、当該ベースロード運転空間の拡張部分は、一次ベースロード運転空間と比較してより高いプラント発電出力及び準最適なプラント発電効率を達成する二次ベースロード運転空間を表す、ステップと、発電プラントを運転するための柔軟なベースロードマップの表現を、本システムによって生成するステップであって、当該柔軟なベースロードマップは、一次ベースロード運転空間と、当該ベースロード運転空間の拡張部分とを集約したものを含み、当該柔軟なベースロードマップの表現は、運転パラメータのある範囲の運転値、及び当該範囲の運転値で発電プラントを運転している間に達成される、対応する発電出力値及び発電効率値を提供するものである、ステップと、ベースロード運転中に発電プラントを制御する際の柔軟性を、発電プラントのオペレータに提供するステップと、を含む、方法。
【0060】
柔軟なベースロードマップの表現を生成するステップは、一次ベースロード運転空間と、当該ベースロード運転空間の拡張部分とを集約したものの可視化表現を、本システムによって生成するステップを含む、先行する節に記載の方法。
【0061】
当該可視化表現は、柔軟なベースロードマップの多次元表現を含む、先行する節のいずれかに記載の方法。
【0062】
柔軟なベースロードマップの多次元表現は、一次ベースロード運転空間を、当該ベースロード運転空間の拡張部分と区別している、先行する節のいずれかに記載の方法。
【0063】
柔軟なベースロードマップの多次元表現は、運転パラメータの三次元表現と、発電出力値及び発電効率値の二次元表現とを含み、運転パラメータの三次元表現は、発電出力値及び発電効率値の二次元表現と並置されている、先行する節のいずれかに記載の方法。
【0064】
運転パラメータの三次元表現は、入口温度に関連付けられた値を表す第1の軸と、入口ガイドベーンの位置に関連付けられた値を表す第2の軸と、燃料温度に関連付けられた値を表す第3の軸とを含む一方、発電出力値及び発電効率値の二次元表現は、発電出力値を表す第1の軸と、発電効率値を表す第2の軸とを含む、先行する節のいずれかに記載の方法。
【0065】
運転パラメータに関連する複数のベースロード・データを取得するステップは、一次ベースロード運転空間及び当該ベースロード運転空間の拡張部分の各セグメントに関連付けられた運転範囲にわたる当該プラントの複数の運転データ、並びに複数の周囲温度データを、本システムによって取得するステップを含む、先行する節のいずれかに記載の方法。
【0066】
当該発電プラントは、複合サイクル発電プラントを含む、先行する節のいずれかに記載の方法。
【0067】
実行可能なコンポーネントを記憶するメモリと、当該実行可能なコンポーネントを実行する、当該メモリに動作可能に結合された少なくとも1つのプロセッサと、を備えるシステムであって、当該実行可能なコンポーネントは、少なくとも1つのガスタービンを有する発電プラントを、ベースロード電力需要を満たすように運転するための柔軟なベースロードマップを生成する柔軟なベースロードマップ生成コンポーネントであって、当該柔軟なベースロードマップ生成コンポーネントは、所定の周囲条件で、複数のベースロード設定値において行われるベースロード運転中の、発電プラントの運転パラメータに関連する複数のベースロード・データを、プロセッサによって取得するステップであって、当該運転パラメータは、ガスタービンの入口温度、ガスタービン内の入口ガイドベーンの位置、及びガスタービン内の燃料の燃料温度を含む、ステップと、当該運転パラメータに関連する複数のベースロード・データを、ベースロード運転中に所定の周囲条件で複数のベースロード設定値の各々において運転している間に発電プラントによって達成される発電出力値及び発電効率値に、本プロセッサによって関連付けるステップと、運転パラメータの第1のセットに関連する複数のベースロード・データと、達成される発電出力値及び発電効率値との関連付けから、本プロセッサによって一次ベースロード運転空間を求めるステップであって、当該一次ベースロード運転空間は、ベースロード運転中に所定の周囲条件で複数のベースロード設定値の各々において運転している間に、運転パラメータの第1のセットで達成される、発電プラントの発電出力値及び発電効率値を関連付ける表現を提供するものであり、運転パラメータの第1のセットは、入口温度及び入口ガイドベーンの位置を含み、一次ベースロード運転空間は、目標プラント発電出力及び目標プラント発電効率を達成するための一次運転空間を表す、ステップと、発電プラントの運転パラメータの第2のセットに関連する複数のベースロード・データの一部を用いて、本プロセッサによって一次ベースロード運転空間を拡張するステップであって、当該運転パラメータの第2のセットは、入口温度、入口ガイドベーンの位置、及び燃料温度を含み、当該ベースロード運転空間の拡張部分は、一次ベースロード運転空間と比較してより高いプラント発電出力及び準最適なプラント発電効率を達成する二次ベースロード運転空間を表す、ステップと、発電プラントを運転するための柔軟なベースロードマップの表現を、本プロセッサによって生成するステップであって、当該柔軟なベースロードマップは、一次ベースロード運転空間と、当該ベースロード運転空間の拡張部分とを集約したものを含み、当該柔軟なベースロードマップの表現は、運転パラメータのある範囲の運転値、及び当該範囲の運転値で発電プラントを運転している間に達成される、対応する発電出力値及び発電効率値を提供するものである、ステップと、ベースロード運転中に発電プラントを制御する際の柔軟性を、発電プラントのオペレータに提供するステップと、を含む方法を実行するように構成されている、柔軟なベースロードマップ生成コンポーネントを含む、システム。
【0068】
柔軟なベースロードマップの表現を生成するステップは、一次ベースロード運転空間と、当該ベースロード運転空間の拡張部分とを集約したものの可視化表現を、本プロセッサによって生成するステップを含む、先行する節に記載のシステム。
【0069】
当該可視化表現は、柔軟なベースロードマップの多次元表現を含む、先行する節のいずれかに記載のシステム。
【0070】
柔軟なベースロードマップの多次元表現は、一次ベースロード運転空間を、当該ベースロード運転空間の拡張部分と区別している、先行する節のいずれかに記載のシステム。
【0071】
柔軟なベースロードマップの多次元表現は、運転パラメータの三次元表現と、発電出力値及び発電効率値の二次元表現とを含み、運転パラメータの三次元表現は、発電出力値及び発電効率値の二次元表現と並置されている、先行する節のいずれかに記載のシステム。
【0072】
運転パラメータの三次元表現は、入口温度に関連付けられた値を表す第1の軸と、入口ガイドベーンの位置に関連付けられた値を表す第2の軸と、燃料温度に関連付けられた値を表す第3の軸とを含む一方、発電出力値及び発電効率値の二次元表現は、発電出力値を表す第1の軸と、発電効率値を表す第2の軸とを含む、先行する節のいずれかに記載のシステム。
【0073】
当該発電プラントは、複合サイクル発電プラントを含む、先行する節のいずれかに記載のシステム。
【0074】
実行に応答して、少なくとも1つのプロセッサを備えるシステムに、少なくとも1つのガスタービンを有する発電プラントを、ベースロード電力需要を満たすように運転するための柔軟なベースロードマップを生成することを目的とした動作を実行させる実行可能命令を記憶した、非一時的コンピュータ可読媒体であって、当該動作は、所定の周囲条件で、複数のベースロード設定値において行われるベースロード運転中の、発電プラントの運転パラメータに関連する複数のベースロード・データを取得するステップであって、当該運転パラメータは、ガスタービンの入口温度、ガスタービン内の入口ガイドベーンの位置、及びガスタービン内の燃料の燃料温度を含む、ステップと、当該運転パラメータに関連する複数のベースロード・データを、ベースロード運転中に所定の周囲条件で複数のベースロード設定値の各々において運転している間に発電プラントによって達成される発電出力値及び発電効率値に関連付けるステップと、運転パラメータの第1のセットに関連する複数のベースロード・データと、達成される発電出力値及び発電効率値との関連付けから、一次ベースロード運転空間を求めるステップであって、当該一次ベースロード運転空間は、ベースロード運転中に所定の周囲条件で複数のベースロード設定値の各々において運転している間に、運転パラメータの第1のセットで達成される、発電プラントの発電出力値及び発電効率値を関連付ける表現を提供するものであり、運転パラメータの第1のセットは、入口温度及び入口ガイドベーンの位置を含み、一次ベースロード運転空間は、目標プラント発電出力及び目標プラント発電効率を達成するための一次運転空間を表す、ステップと、発電プラントの運転パラメータの第2のセットに関連する複数のベースロード・データの一部を用いて、一次ベースロード運転空間を拡張するステップであって、当該運転パラメータの第2のセットは、入口温度、入口ガイドベーンの位置、及び燃料温度を含み、当該ベースロード運転空間の拡張部分は、一次ベースロード運転空間と比較してより高いプラント発電出力及び準最適なプラント発電効率を達成する二次ベースロード運転空間を表す、ステップと、発電プラントを運転するための柔軟なベースロードマップの表現を生成するステップであって、当該柔軟なベースロードマップは、一次ベースロード運転空間と、当該ベースロード運転空間の拡張部分とを集約したものを含み、当該柔軟なベースロードマップの表現は、運転パラメータのある範囲の運転値、及び当該範囲の運転値で発電プラントを運転している間に達成される、対応する発電出力値及び発電効率値を提供するものである、ステップと、ベースロード運転中に発電プラントを制御する際の柔軟性を、発電プラントのオペレータに提供するステップと、を含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
【0075】
柔軟なベースロードマップの表現を生成するステップは、一次ベースロード運転空間と、当該ベースロード運転空間の拡張部分とを集約したものの可視化表現を生成するステップを含む、先行する節に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0076】
当該可視化表現は、柔軟なベースロードマップの多次元表現を含む、先行する節のいずれかに記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0077】
柔軟なベースロードマップの多次元表現は、一次ベースロード運転空間を、当該ベースロード運転空間の拡張部分と区別している、先行する節のいずれかに記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0078】
柔軟なベースロードマップの多次元表現は、運転パラメータの三次元表現と、発電出力値及び発電効率値の二次元表現とを含み、運転パラメータの三次元表現は、発電出力値及び発電効率値の二次元表現と並置されている、先行する節のいずれかに記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【符号の説明】
【0079】
10 発電プラント
12 ガスタービン
14 排熱回収ボイラ
16 蒸気タービン
18 給電アドバイザシステム
20 柔軟なベースロードマップ生成コンポーネント、ベースロード生成コンポーネント
22 ユーザ・インターフェース・コンポーネント
24 プロセッサ
26 メモリ
28 データ
30 ブロック図
32 アルゴリズム
34 ベースロード・パラメータ・データ
36 柔軟なベースロードマップ
50 一次ベースロード運転空間
52 拡張部分
1000 動作環境
1012 コンピュータ
1014 演算処理装置
1016 システムメモリ
1018 システムバス
1020 揮発性メモリ
1022 不揮発性メモリ
1024 ディスク記憶装置
1026 インターフェース
1028 オペレーティングシステム
1030 システムアプリケーション
1040 出力装置
1042 出力アダプタ
1044 リモートコンピュータ
1046 メモリ記憶装置
1048 ネットワークインターフェース
1050 通信環境
1100 サンプルコンピューティング環境
1102 クライアント
1104 サーバ
1106 通信フレームワーク
1108 クライアント・データ・ストア
1110 サーバ・データ・ストア
IGV 入口ガイドベーン
Mn マッハ数
TFire 入口温度
TFuel 燃料温度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】