(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171574
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】電気車両用の駆動システム、及び電気車両
(51)【国際特許分類】
B60K 11/04 20060101AFI20221104BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20221104BHJP
B60L 58/26 20190101ALI20221104BHJP
【FI】
B60K11/04 Z
B60L3/00 J
B60L58/26
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022055811
(22)【出願日】2022-03-30
(31)【優先権主張番号】10 2021 111 088.2
(32)【優先日】2021-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】510238096
【氏名又は名称】ドクター エンジニール ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Porscheplatz 1, D-70435 Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100202647
【弁理士】
【氏名又は名称】寺町 健司
(72)【発明者】
【氏名】マクシミリアン バーコウ
(72)【発明者】
【氏名】パトリック フクス
(72)【発明者】
【氏名】セバスティアン ヴァフター
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル クノープラウフ
【テーマコード(参考)】
3D038
5H125
【Fターム(参考)】
3D038AA03
3D038AB01
3D038AC12
3D038AC22
3D038AC23
5H125AA01
5H125AC12
5H125CD06
5H125FF22
5H125FF23
5H125FF24
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電気車両用の駆動システム、及び電気車両を提供する。
【解決手段】本発明は、電気車両(100)用の駆動システム(10)であって、駆動構成要素として、トラクションバッテリ(12)、インバータ(14)、及び電気機械(16)を備え、トラクションバッテリがインバータを介して電気機械に電気的に接続され、それぞれ高電圧接続要素(22、24)を介して、トラクションバッテリがインバータに電気的に接続され、インバータが、電気機械に電気的に接続される、駆動システムにおいて、駆動システムが、冷却媒体(28)によって駆動構成要素を冷却するための冷却回路(26)を備え、駆動構成要素及び高電圧接続要素がそれぞれ、冷却媒体を搬送し、冷却回路の一部(30)を形成するように形成される、駆動システムに関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気車両(100)用の駆動システム(10)であって、駆動構成要素として、トラクションバッテリ(12)、インバータ(14、14’)、及び電気機械(16、16’)を備え、前記トラクションバッテリ(12、12’)が前記インバータ(14、14’)を介して前記電気機械(16、16’)に電気的に接続され、それぞれ高電圧接続要素(22、22’;24、24’)を介して、前記トラクションバッテリ(12)が前記インバータ(14、14’)に電気的に接続され、前記インバータ(14、14’)が前記電気機械(16、16’)に電気的に接続される、駆動システム(10)において、前記駆動システム(10)が、冷却媒体(28)によって前記駆動構成要素を冷却するための冷却回路(26)を備え、前記駆動構成要素及び前記高電圧接続要素(22、22’;24、24’)がそれぞれ、冷却媒体を搬送し、前記冷却回路(26)の一部(30)を形成するように形成されることを特徴とする駆動システム(10)。
【請求項2】
前記高電圧接続要素(22、22’;24、24’)がそれぞれ高電圧線、プラグコネクタ、バスバー、若しくはねじとして形成されること、及び/又は各前記高電圧接続要素(22、22’;24、24’)が、それぞれの前記高電圧接続要素(22、22’;24、24’)の外側を取り囲むシースを有し、前記冷却媒体(28)が搬送されるチャネルセクション(K)が、前記シースと前記高電圧接続要素(22、22’;24、24’)との間の中間空間に形成されることを特徴とする請求項1に記載の駆動システム(10)。
【請求項3】
前記駆動構成要素及び前記高電圧接続要素(22、22’;24、24’)がそれぞれ、前記駆動構成要素を前記高電圧接続要素(22、22’;24、24’)に結合するための接続インタフェース(32、34)を有し、前記接続インタフェース(32、34)が、各場合に電気的接続(50、50’)及び流体接続(52、52’)を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の駆動システム(10)。
【請求項4】
前記駆動構成要素及び前記高電圧接続要素(22、22’;24、24’)の一部、又は前記駆動構成要素及び前記高電圧接続要素(22、22’;24、24’)の全部が、直接冷却により前記冷却媒体(28)によって冷却可能であるように形成されることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の駆動システム(10)。
【請求項5】
前記冷却媒体(28)の温度を制御するための熱交換器(36)が、前記冷却回路(26)内で前記トラクションバッテリ(12)の上流に接続されることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の駆動システム(10)。
【請求項6】
さらなる駆動構成要素として、前記駆動システム(10)が前記電気機械(16、16’)に結合された少なくとも1つの歯車機構(40、40’)を備え、前記歯車機構(40、40’)が歯車機構熱交換器(42、42’)を有し、前記歯車機構熱交換器(42、42’)が前記冷却回路(26)に組み込まれることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の駆動システム(10)。
【請求項7】
前記駆動システム(10)が少なくとも2つのインバータ(14、14’)と、少なくとも2つの電気機械(16、16’)と、歯車機構熱交換器(42、42’)を有する少なくとも2つの歯車機構(40、40’)とを備え、各場合に、1つのインバータ(14、14’)と、1つの電気機械(16、16’)と、歯車機構熱交換器(42、42’)を有する1つの歯車機構(40、40’)とが組み合わされて駆動モジュール(70、70’)を形成することを特徴とする請求項6に記載の駆動システム(10)。
【請求項8】
前記冷却媒体(28)を搬送するためのポンプ(44)が、前記冷却回路(26)内で前記トラクションバッテリ(12)の上流に接続されていること、及び/又は前記冷却媒体(28)を搬送するためのポンプ(46)が、前記冷却回路(26)内で前記電気機械(16、16’)の上流に接続されていることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の駆動システム(10)。
【請求項9】
前記冷却回路(26)が前記駆動システム(10)の唯一の冷却回路であること、及び/又は前記冷却回路(26)がただ1つの冷却媒体(28)を有することを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の駆動システム(10)。
【請求項10】
前記駆動構成要素の1つ、複数、又は全てが、制御可能なスイッチングバルブによって前記冷却回路(26)にそれぞれ接続されることを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の駆動システム(10)。
【請求項11】
1つ又は複数の熱交換デバイスが提供され、それぞれ、前記熱交換デバイスの第1の側が前記冷却回路(26)に組み込まれ、前記熱交換デバイスの第2の側が、熱エネルギーを放出するための熱放出接続を有することを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の駆動システム(10)。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の駆動システム(10)を有する電気車両(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気車両用の駆動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
(特許文献1)には、バッテリと、電気機械と、インバータと、大電流を伝導するためのケーブルコア、及びケーブルシースとケーブルコアとの間の冷却剤チャネルを有する大電流ケーブルとを含む複数の電気車両駆動構成要素の構成が開示されている。車両駆動構成要素は複数の冷却回路に接続され、これらの冷却回路を冷却のために動作させる必要がある。
【0003】
(特許文献2)は、バッテリと、インバータと、電気機械とを備える電気車両用の駆動システムを開示している。冷却デバイスも提供され、冷却デバイスによってコンバータ及び電気機械を冷却することができる。他の構成要素は冷却されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第10 2019 205 466号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第10 2019 103 735号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上述したことに関連して改良された駆動システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、請求項1に記載の駆動システムによって達成される。
【0007】
電気車両用の駆動システムは、駆動構成要素として、トラクションバッテリと、インバータと、電気機械とを備える。トラクションバッテリは、インバータを介して電気機械に電気的に接続される。この場合、それぞれ高電圧接続要素によって、トラクションバッテリはインバータに電気的に接続され(DC電圧側)、インバータは電気機械に電気的に接続される(AC電圧側)。駆動システムは、好ましくは液体の冷却媒体によって駆動構成要素を冷却するための冷却回路を有し、ここで、駆動構成要素及び高電圧接続要素はそれぞれ、冷却媒体を搬送するように形成され、(それら全体が)冷却回路の少なくとも一部を形成する。
【0008】
すなわち、駆動構成要素及び高電圧接続要素は、冷却媒体を搬送することができるようにそれぞれ形成される。具体的には、駆動構成要素及び高電圧接続要素はそれぞれ、冷却媒体を搬送するためのチャネルセクションを有する。組み立てられた状態(駆動構成要素と高電圧接続要素とが互いに結合されている)では、チャネルセクションは、冷却媒体チャネル、したがって冷却回路の一部を形成する。したがって、電流伝導及び電力伝導駆動構成要素及び高電圧接続要素も冷却媒体を搬送する。
【0009】
言い換えると、トラクションバッテリから、トラクションバッテリとインバータとの間の電気的高電圧接続要素、インバータ、インバータと電気機械との間のさらなる高電圧接続要素を通り、さらに電気機械を通る冷却媒体用のチャネルセクションと共に、駆動構成要素及び高電圧接続要素の電流伝導ラインコアは、互いに並んで、例えば並列配置で延びる。したがって、冷却経路が電流又は電力経路と共に延びる。これは、単純に設計された手段を使用する駆動構成要素の最適化された均一な冷却に寄与する。
【0010】
高電圧接続要素は、高電圧(例えば400~800ボルト)だけでなく、大電流(例えば250~600又は900アンペア)も伝送できるように意図されている。したがって、高電圧接続要素は、大電流接続要素と呼ばれることもある。
【0011】
電気車両は、特に電気乗用車や商用車などの自動車である。駆動システムは、電気車両用のトラクションドライブとして使用される。インバータは、特にパルスインバータでよい。好ましくは、冷却媒体として、液体冷却媒体、例えば水又は油を使用することができる。
【0012】
トラクションバッテリを充電ソケット(電気車両に提供されている充電ソケット)に電気的に接続する充電ラインをトラクションバッテリに接続することができる。充電ラインは、冷却回路に接続し、したがって冷却することができる。
【0013】
好ましくは、高電圧接続要素はそれぞれ、高電圧線(シングルワイヤ又はマルチワイヤ高電圧ケーブル)、プラグコネクタ、バスバー、又はねじとして形成することができる。これにより、それぞれの要件に応じた十分に大きい電流を伝送することができる。
【0014】
好ましくは、高電圧接続要素はそれぞれ、それぞれの高電圧接続要素の外側を取り囲むシースを有し、冷却媒体が搬送されるチャネルセクションが、シースと高電圧接続要素との間の中間空間に形成される。コンパクトな設計の場合、これにより大量の熱を伝達することができる。
【0015】
好ましくは、駆動構成要素及び高電圧接続要素はそれぞれ、駆動構成要素を高電圧接続要素に結合するための接続インタフェースを有し、接続インタフェースは、各場合に電気的接続(電力又は電流伝導用)及び流体接続(冷却媒体の搬送用)を有する。したがって、電気的接続及び流体接続が接続インタフェースに組み込まれる。接続インタフェースを接続することによって、関連する駆動構成要素と高電圧接続要素とが電気的及び流体的に相互に接続される。
【0016】
好ましくは、駆動構成要素及び高電圧接続要素の一部、又は駆動構成要素及び高電圧接続要素の全部を、直接冷却により冷却媒体によって冷却可能である又は冷却することができるように形成することができる。したがって、特に高い冷却要件を有する駆動構成要素及び高電圧接続要素の区域又は領域の周りに冷却媒体を直接流すことができる。このために、区域又は領域を、冷却回路又は冷却媒体チャネルに流体接続することができる。
【0017】
好ましくは、冷却媒体の温度を制御するための熱交換器又は冷却器を、(冷却回路又は冷却媒体の巡回方向において)冷却回路内でトラクションバッテリの上流に接続することができる。その結果、冷却回路の冷却媒体と駆動システムの周囲との間で熱を伝達することができる。したがって、例えば、冷却媒体によって吸収された熱エネルギーを、熱交換器によって周囲に放出することが可能である。
【0018】
好ましくは、駆動システムは、さらなる駆動構成要素として、特に電気機械の下流で電気機械に結合されて接続された歯車機構を有することができ、歯車機構は歯車機構熱交換器を有し、歯車機構熱交換器は冷却回路に組み込まれる。歯車機構熱交換器は、冷却回路又は冷却媒体の巡回方向で電気機械の下流に接続することができる。加熱された冷却媒体を使用して、冷却回路の冷却媒体が歯車機構熱交換器を通過することによって、歯車機構オイルの温度を制御することができる。駆動システム全体の冷却媒体が、歯車機構熱交換器によって歯車機構オイルに熱を放出することができる。その結果、歯車機構の効率を高めることができる。代替として又は追加として、歯車機構又は歯車機構オイルを冷却回路によって冷却することができる。
【0019】
好ましくは、駆動システムは、少なくとも2つのインバータと、少なくとも2つの電気機械と、歯車機構熱交換器を有する少なくとも2つの歯車機構とを備えることができ、各場合に、1つのインバータと、1つの電気機械と、歯車機構熱交換器を有する1つの歯車機構とが組み合わされて駆動モジュールを形成する。したがって、駆動システムは2つ以上の駆動モジュールを有し、駆動モジュールによって例えば個々の車輪駆動を実現することができる。例えば、第1の車軸(例えば前車軸)を駆動するための1~2つの駆動モジュール、及び/又は第2の車軸(例えば後車軸)を駆動するための1~2つの駆動モジュールが存在し得る。このとき、冷却回路は、例えばトラクションバッテリを通って流れた後、2つ以上のサブストリームに分割することができ、各サブストリームがそれぞれの駆動モジュールを通って流れる。この場合、サブストリームはそれぞれ、インバータと、電気機械と、関連する歯車機構の歯車機構熱交換器とを通って流れる。歯車機構熱交換器を通過した後、冷却回路の2つ以上のサブストリームを組み合わせて、再び1つのストリームを形成することができる。駆動モジュールは、共通のトラクションバッテリによってエネルギーを供給することも、それぞれ独自のバッテリを有することもできる。
【0020】
好ましくは、冷却媒体を搬送するためのポンプを、冷却回路のトラクションバッテリの上流に接続することができる。したがって、例えば冷却媒体がトラクションバッテリに入る前に冷却媒体の圧力レベルを上げることによって、冷却媒体を確実に搬送することが可能である。ポンプは、特にトラクションバッテリのすぐ上流に接続される。
【0021】
好ましくは、冷却媒体を搬送するための(さらなる)ポンプを、冷却回路内で電気機械の上流に接続することができる。これもまた、例えば冷却媒体が電気機械に入る前に冷却媒体の圧力レベルを上げることによって、冷却媒体の確実な搬送に寄与する。さらなるポンプは、特に電気機械のすぐ上流に接続される。
【0022】
冷却回路は、好ましくは、駆動システムの唯一の冷却回路でよい。言い換えると、駆動構成要素及び電気的高電圧接続要素は全て、冷却回路に組み込まれ、上記冷却回路によって温度制御される又は冷却される。駆動システムが冷却回路を1つしか有さないことにより、構成部品の数及び複雑さが低減される。
【0023】
好ましくは、冷却回路は、ただ1つの冷却媒体を有することができる。これは、ただ1つの冷却媒体が冷却回路に提供されて搬送されればよいので、冷却回路の構造を簡略化し、冷却回路の複雑さを低減することに寄与する。
【0024】
好ましくは、駆動構成要素の1つ、複数、又は全てを、制御可能なスイッチングバルブによって冷却回路にそれぞれ流体的に接続することができる。したがって、それぞれの駆動構成要素を、冷却要件に応じて、冷却回路に接続する(例えばスイッチングバルブを開く)ことも、冷却回路から切断する(例えばスイッチングバルブを閉じる)こともできる。したがって、駆動システム及び車両全体に関する最適であり必要性に基づいた熱管理を実現することができる。各場合に、冷却回路に流体的に接続することができるバイパスラインを駆動構成要素に提供することができる。例えば、駆動構成要素の1つにあるスイッチングバルブが閉じられると、冷却回路は、その駆動構成要素を迂回して、例えば流れの方向で後に続く駆動構成要素を通って流れることができる。
【0025】
好ましくは、1つ又は複数の熱交換デバイス(熱交換器又は技術的な補助システム)を提供することができ、それぞれ、熱交換デバイスの第1の側が冷却回路に組み込まれ、熱交換デバイスの第2の側が、特に車内又は電気車両の内部に熱エネルギーを放出するための熱放出接続を有する。したがって、車内空気調和システムを冷却回路に有利に組み込むことが可能である。例えば、駆動システム又は1つ若しくは複数の駆動構成要素の排熱を使用して、車内を加熱することができる。
【0026】
冒頭で述べた目的は、上述した態様の1つ又は複数を有する駆動システムを備える電気車両によっても達成される。この点で、利点については、駆動システムに関する記述を参照されたい。
【0027】
駆動システムに関連して述べた及び/又は以下でさらに説明する手段は、電気車両のさらなる改良に役立つ。
【0028】
以下の説明及び図面から、さらなる有利な構成が明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図3】複数の駆動モジュールを有するドライブシステムの構成の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、電気車両100用の駆動システム10の基本回路図を概略的に示す。
図1は、そのような駆動システム10を備える電気車両100も示す。駆動システム10について以下に述べる。
【0031】
駆動システム10は、駆動構成要素として、トラクションバッテリ12、インバータ14、及び電気機械16を備える。トラクションバッテリ12は、インバータ14を介して電気機械16に電気的に接続される。インバータ14は、DC電圧側18及びAC電圧側20を有する。それぞれ高電圧接続要素22、24によって、トラクションバッテリ12はインバータ14に電気的に接続され、インバータ14は電気機械16に電気的に接続される。
【0032】
駆動システム10は、好ましくは液体の冷却媒体28によって駆動構成要素を冷却するための冷却回路26を有し、ここで、駆動構成要素(トラクションバッテリ12、インバータ14、電気機械16)及び高電圧接続要素22、24はそれぞれ、冷却媒体を搬送するように形成され、それら全体が冷却回路26の一部30を形成する。
【0033】
駆動構成要素(トラクションバッテリ12、インバータ14、電気機械16)及び高電圧接続要素22、24はそれぞれ、電力伝導又は電流伝導ラインコアLと、冷却媒体28を搬送するためのチャネルセクションKとを有する。ラインコアLとチャネルセクションKとは、互いに隣接して、特に互いに並列に、トラクションバッテリ12、高電圧接続要素22、インバータ14、高電圧接続要素24を通り、さらに電気機械16を通って延びる。
【0034】
この例では、高電圧接続要素22は、マルチワイヤ高電圧線(図示せず)として形成されている。高電圧接続要素24は、マルチワイヤ高電圧線、プラグコネクタ、バスバー、又はねじ(図示せず)として形成することができる。
【0035】
すでに示したように、高電圧接続要素22、24はそれぞれ、電力伝導又は電流伝導ラインコアLと、冷却媒体28を搬送するためのチャネルセクションKとを有する。チャネルセクションKを形成するために、各高電圧接続要素22、24は、それぞれの高電圧接続要素22、24の外側を取り囲むシースを有し、冷却媒体28(図示せず)用のチャネルセクションKは、シースと高電圧接続要素22、24又はラインコアLとの間の中間空間に形成される。
【0036】
駆動構成要素及び高電圧接続要素22、24はそれぞれ、駆動構成要素を高電圧接続要素22、24に結合するための接続インタフェース32、34を有し(見やすくするために
図1に一度だけ示す)、接続インタフェース32、34は、それぞれ電気的接続(電力又は電流伝導用)及び流体接続(冷却媒体28の搬送用)を有する(図示せず)。
【0037】
好ましくは、駆動構成要素及び高電圧接続要素22、24の一部、又は駆動構成要素(トラクションバッテリ12、インバータ14、電気機械16)及び高電圧接続要素22、24の全部を、直接冷却により冷却媒体28によって冷却可能である又は冷却することができるように形成することができる。したがって、特に高い冷却要件を有する区域又は領域の周りを冷却媒体28が直接流れることができる。
【0038】
この例では、冷却媒体28の温度を制御するための冷却器又は熱交換器36が、冷却回路26内で、冷却回路26又は冷却媒体28の巡回方向Uにおいてトラクションバッテリ12の上流に接続される。
【0039】
この例では、駆動システム10は、さらなる駆動構成要素として、電気機械16に結合されて電気機械16の下流に接続された歯車機構40を有することができ(
図2を参照)、歯車機構40は歯車機構熱交換器42を有し、歯車機構熱交換器42は冷却回路26に組み込まれる(
図1を参照)。この例では、歯車機構熱交換器42は、冷却回路26又は冷却媒体28の巡回方向で電気機械16の下流に接続されている。
【0040】
この例では、冷却媒体28を搬送するためのポンプ44が、冷却回路26内でトラクションバッテリ12の上流に接続され、特に上流に直接接続されている。この例では、冷却媒体28を搬送するためのさらなるポンプ46が、冷却回路26内で電気機械16の上流に接続されている。
【0041】
この例では、図示されている冷却回路26は、駆動システム10の唯一の冷却回路である。駆動構成要素(トラクションバッテリ12、インバータ14、電気機械16、歯車機構40)及び電気的高電圧接続要素22、24は全て冷却回路26に組み込まれており、したがって冷却回路26によって温度制御又は冷却される。この例では、冷却回路26は、ただ1つの冷却媒体28を有する。
【0042】
図2は、駆動システム10の部分側断面図を示しており、見やすくするために、インバータ14、電気機械16、歯車機構40、及び冷却回路26の一部のみが示されている。
【0043】
接続インタフェース34は、インバータ14のDC電圧側18に位置され、接続インタフェース34は、それぞれ電気的接続50又はL(電力又は電流伝導用)及び流体接続52又はK(冷却媒体28の搬送用)を有する。電気的接続50’及び流体接続52’を有するさらなる接続インタフェース34’が、AC電圧側20に形成される。高電圧接続要素24は、例えばバスバーによって電気的接続50’に形成される。冷却媒体28は、流体接続52’で電気機械16に移送される。
【0044】
インバータ14は、上部閉鎖カバー56を有するハウジング54を有する。例えばインバータ14の能動部品60のキャリアプレート及び/又は電気構成要素のための冷却構造部58がハウジング54内に配置され、この冷却構造部58を通って冷却媒体28が流れる。
【0045】
同様に、電気機械16を通って冷却媒体28が流れ、冷却媒体は、入口62で電気機械16に入り、出口64で電気機械16から出る。電気機械16は、固定子冷却システム、例えば直接固定子冷却システムを有することができる。出口64から出た後、冷却媒体28は、歯車機構熱交換器42を通って流れる。
【0046】
図3は、駆動システム10の構成を示し、駆動システム10は、2つのインバータ14、14’と、2つの電気機械16、16’と、歯車機構熱交換器42、42’を有する2つの歯車機構40、40’とを有し、各場合に、1つのインバータ14、14’と、1つの電気機械16、16’と、歯車機構熱交換器42、42’を有する1つの歯車機構40、40’とが組み合わされて、駆動モジュール70、70’を形成する。したがって、駆動システム10は2つの駆動モジュール70、70’を有し、駆動モジュール70、70’によって個々の車輪駆動を実現することができる。
【0047】
この例では、両方の駆動モジュール70、70’にトラクションバッテリ12によって電気エネルギーが供給される。この例では、トラクションバッテリ12を電気車両100の充電ソケットに電気的に接続する充電ライン80が、トラクションバッテリ12に接続される(図示せず)。充電ライン80は、冷却回路26に接続され、したがって冷却される。充電ライン80は、電流伝導又は電力伝導ラインコアLと、冷却媒体28用のチャネルセクションKとを有する。
【0048】
冷却媒体28は、(例えば熱交換器36から来て)流入部82でトラクションバッテリ12に入り、上記トラクションバッテリを通って流れ、次いで2つのサブストリーム84、86に分割され、各サブストリーム84、86が駆動モジュール70、70’に送給される。
【0049】
それぞれ電流伝導又は電力伝導ラインコアLと冷却媒体28用のチャネルセクションKとを有する高電圧接続要素22、22’は、トラクションバッテリ12をインバータ14、14’(DC電圧側18)に電気的及び流体的に接続する。
【0050】
各サブストリーム84、86は、それぞれの駆動モジュール70、70’を通って流れ、各場合に、冷却媒体28は、インバータ14、14’、電気機械16、16’、及び歯車機構熱交換器42、42’を通過する。インバータ14、14’において、冷却媒体28は、それぞれの冷却構造部58、58’を通って流れる。
【0051】
それぞれインバータ14、14’を電気機械16、16’に電気的に接続する高電圧接続要素24、24’は、バスバーによってAC電圧側20に形成される。そこで、冷却媒体28は電気機械16にも移送され、冷却媒体28が固定子17、17’を冷却するために使用される。
【0052】
その後、冷却媒体28は、電気機械16、16’から出て、各場合に歯車機構40、40’の歯車機構熱交換器42、42’に送給される。歯車機構熱交換器42、42’を通過した後、冷却回路26の2つのサブストリーム84、86を必要に応じて組み合わせて1つのストリームを形成し、熱交換器36に送給して戻すことができる。
【0053】
上で説明したように、駆動構成要素の1つ、複数、又は全てを、制御可能なスイッチングバルブ(図示せず)によって冷却回路26にそれぞれ接続することができる。したがって、それぞれの駆動構成要素は、冷却要件に応じて、冷却回路に接続することも、冷却回路から切断することもできる。
【0054】
任意選択で、1つ又は複数の熱交換デバイスが提供され、それぞれ、熱交換デバイスの第1の側は冷却回路26に組み込まれ、熱交換デバイスの第2の側は、熱エネルギーを放出するための熱放出接続を有する(図示せず)。したがって、1つ又は複数の駆動構成要素の排熱を使用して、車内を加熱することができる。
【符号の説明】
【0055】
10 駆動システム
12 トラクションバッテリ
14、14’ インバータ
16、16’ 電気機械
22、22’ 高電圧接続要素
24、24’ 高電圧接続要素
26 冷却回路
28 冷却媒体
30 冷却回路26の一部
32、34 接続インタフェース
36 熱交換器
40、40’ 歯車機構
42、42’ 歯車機構熱交換器
44 ポンプ
46 ポンプ
50、50’ 電気的接続
52、52’ 流体接続
70、70’ 駆動モジュール
100 電気車両