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特開2022-171598液化ガスを貯蔵するためのタンクを備えるロールオン/ロールオフ船舶
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  • 特開-液化ガスを貯蔵するためのタンクを備えるロールオン/ロールオフ船舶 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171598
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】液化ガスを貯蔵するためのタンクを備えるロールオン/ロールオフ船舶
(51)【国際特許分類】
   B63B 27/00 20060101AFI20221104BHJP
   B63B 11/04 20060101ALI20221104BHJP
   B63H 21/38 20060101ALN20221104BHJP
【FI】
B63B27/00 B
B63B11/04 B
B63H21/38 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022071113
(22)【出願日】2022-04-22
(31)【優先権主張番号】2104589
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】515220317
【氏名又は名称】ギャズトランスポルト エ テクニギャズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チン リム
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-ギヨーム メルゾー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ロールオン/ロールオフ船舶において液化燃料ガスを貯蔵するためのタンクを配置および寸法決めすること。
【解決手段】本発明は、ロールオン/ロールオフ船舶(1)であって、二重壁底部を備える船体(3)と、主荷役デッキを含む複数の中間デッキと、少なくとも1つの荷役傾斜路と、高さ方向に延在する耐荷重柱(11)と、機械室と、液化燃料ガスを貯蔵するための密閉断熱膜タンク(2)であって、タンク(2)が、主荷役デッキの下方に且つ底部の内壁に対向して配置されている、密閉断熱膜タンクと、内側スキンおよび外側スキンを備えるコファダム壁と、を備え、各長手方向タンク壁が、長手方向コファダム壁のうちの一方の内側スキンに固定され、第1の列の少なくとも1つの柱または第2の列の少なくとも1つの柱が、長手方向コファダム壁のうちの1つに配置されている、ロールオン/ロールオフ船舶。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロールオン/ロールオフ船舶(1)であって、
- 二重壁底部(4)と、前記底部(4)から高さ方向(H)に離間した外側デッキ(7)とを備え、前記二重壁底部(4)が内壁(5)および外壁(6)を備える船体(3)と、
- 前記船体(3)の前記底部(4)と前記外側デッキ(7)との間に配置された複数の中間デッキであって、主荷役デッキ(8)と、1つ以上の貯蔵デッキ(9)とを備える、複数の中間デッキと、
- 耐荷重柱(11)であって、各耐荷重柱(11)が、前記船体(3)の前記底部(4)に固定され且つ前記中間デッキを通過して支持するように前記高さ方向(H)に延在する下端を有し、前記耐荷重柱(11)が、少なくとも柱の第1の列(12)および柱の第2の列(13)に配置され、同じ列の前記耐荷重柱(11)が、前記船舶の長手方向(L)に互いに離間している、耐荷重柱と、
- 前記船体(3)内に位置し且つ推進システム(15)を備える機械室(14)と、
- 液化燃料ガスを貯蔵し、前記推進システム(15)に前記燃料ガスを供給するための密閉断熱タンク(2)であって、横方向(T)に互いに離間した2つの長手方向壁(21)を備え、前記横方向(T)が、前記船舶の前記長手方向(L)および前記高さ方向(H)に垂直である、密閉断熱タンクと、
- 2つの長手方向コファダム壁(22)を備えるコファダム壁(22)であって、各コファダム壁(22)が、内側スキン(23)と、前記内側スキン(23)から離間した外側スキン(24)とを備える、コファダム壁と、を備え、
各長手方向タンク壁(21)が、前記長手方向コファダム壁(22)のうちの1つの前記内側スキン(23)に固定され、
前記柱の第1の列(12)または前記柱の第2の列(13)のうちの少なくとも1つの耐荷重柱(11)が、前記長手方向コファダム壁(22)のうちの1つに位置している、ロールオン/ロールオフ船舶。
【請求項2】
前記柱の第1の列(12)の少なくとも1つの耐荷重柱(11)が、前記長手方向コファダム壁(22)のうちの1つに位置し、前記柱の第2の列(13)の少なくとも1つの耐荷重柱(11)が、他の前記長手方向コファダム壁(22)に位置する、請求項1に記載のロールオン/ロールオフ船舶(1)。
【請求項3】
前記柱の第1の列(12)または前記柱の第2の列(13)の前記少なくとも1つの耐荷重柱(11)が、前記長手方向コファダム壁(22)の前記内側スキン(23)または前記外側スキン(24)に対向して形成される、請求項1または請求項2に記載のロールオン/ロールオフ船舶(1)。
【請求項4】
前記耐荷重柱(11)が、100mmと400mmとの間の前記横方向(T)の寸法を有し、前記長手方向コファダム壁(22)の前記内側スキン(23)および前記外側スキン(24)が、好ましくは、少なくとも900mmの距離だけ前記横方向(T)において互いから離間される、請求項1から3のいずれか一項に記載のロールオン/ロールオフ船舶(1)。
【請求項5】
前記タンク(2)が、平行六面体形状であり、後部コファダム壁(22)によって前記機械室(14)から分離された後部タンク壁(17)と、前記船舶の前記長手方向(L)において前記後部タンク壁(17)から離間された前部タンク壁(18)と、好ましくは前記船体(3)の前記底部(4)の前記内壁(5)に対向して配置された底部タンク壁(19)と、前記高さ方向(H)において前記底部タンク壁(19)から離間された天井タンク壁(20)と、前記2つの長手方向タンク壁と、を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のロールオン/ロールオフ船舶(1)。
【請求項6】
前記耐荷重柱が金属から作製されている、請求項1から5のいずれか一項に記載のロールオン/ロールオフ船舶(1)。
【請求項7】
前記長手方向コファダム壁のうちの1つに位置する前記少なくとも1つの耐荷重柱が、他の耐荷重柱のものと同一またはそれよりも高い鋼グレードから作製されている、請求項6に記載のロールオン/ロールオフ船舶(1)。
【請求項8】
各耐荷重柱が、前記中間デッキの全てを通過して支持するように前記高さ方向に延在している、請求項1から7のいずれか一項に記載のロールオン/ロールオフ船舶(1)。
【請求項9】
各耐荷重柱が、前記外側デッキに固定された上端を有する、請求項8に記載のロールオン/ロールオフ船舶(1)。
【請求項10】
各タンク壁(17、18、19、20、21)が、前記タンク(2)の外側から内側に向かって、二次断熱障壁と、前記二次断熱障壁に対向して配置された二次密閉膜と、前記二次密閉膜に対向して配置された一次断熱障壁と、前記一次断熱障壁に対向して配置され、前記液化ガスと接触するように意図された一次密閉膜と、を含む多層構造を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のロールオン/ロールオフ船舶(1)。
【請求項11】
液化燃料ガスを移送するための移送システムであって、請求項1から10のいずれか一項に記載のロールオン/ロールオフ船舶(1)と、前記ロールオン/ロールオフ船舶(1)の前記船体(3)内に設置された前記タンク(2)を浮体式または陸上貯蔵施設(77)に接続するように配置された断熱パイプライン(73、79、76、81)と、前記断熱パイプラインを介して低温液体製品の流れを前記浮体式または陸上貯蔵施設から前記ロールオン/ロールオフ船舶(1)の前記タンク(2)に圧送するためのポンプと、を備える、移送システム。
【請求項12】
請求項1から10のいずれか一項に記載のロールオン/ロールオフ船舶(1)に荷積みする方法であって、液化燃料ガスが、前記断熱パイプライン(73、79、76、81)を介して浮体式または陸上貯蔵施設(77)から前記ロールオン/ロールオフ船舶(1)の前記タンク(2)に取り出される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つ以上のアクセス傾斜路を使用して積み込む車両などの自走式または牽引式車輪付き貨物を輸送するためのロールオン/ロールオフ(RO/RO)船の分野に関する。本発明は、より詳細には、低温で液化燃料ガスを貯蔵するための密閉断熱膜タンクを備えるロールオン/ロールオフ船舶の分野に関する。タンクは、ロールオン/ロールオフ船舶の推進のための燃料として機能する液化ガスを受け入れるように設計されている。
【0002】
一実施形態では、液化ガスは、大気圧で約-162℃の温度で貯蔵された高いメタン含有量を有する混合物であるLNGである。エタン、プロパン、ブタン、液化石油ガス(LPG)またはエチレンなどの他の液化燃料ガスも考慮することができる。
【背景技術】
【0003】
自走式または牽引式車輪付き貨物を輸送するためのロールオン/ロールオフ船舶が従来技術において知られている。
【0004】
これらの船舶は、底部と、底部から高さ方向に離間した外側デッキとを備える船体と、船体の底部と外側デッキとの間に配置された複数の中間デッキ、特に主荷役デッキおよび1つ以上の貯蔵デッキと、主荷役デッキに接続された荷役傾斜路と、第1の端部が底部に固定され且つ第2の端部が例えば外側デッキに固定されるように高さ方向に延在する耐荷重柱とを有する。耐荷重柱は、一般に、船舶の長手方向に複数列の柱の列に配置される。したがって、主荷役デッキは、貨物を荷役するために1つ以上の荷役傾斜路を介して貨物が運ばれる固定デッキに対応する。
【0005】
これらの耐荷重柱は、従来の船とは異なり、ロールオン/ロールオフ船舶が船体の内側を仕切るいかなる隔壁も有さず、同時に船体が剛性であることを保証するため、船舶の船体の剛性において重要な役割を果たす。この隔壁の欠如は、自走式または牽引式車輪付き貨物が中間デッキ上を移動することを可能にするために必要である。
【0006】
この種の船舶によって主に使用される燃料は、重油(HFO)などの石油製品からなり、その沸点は、周囲温度をはるかに超えており、例えば120から600℃の間である。従来技術の船舶は、そのような燃料を貯蔵するための1つ以上のタンクを船体内に搭載している。これらのタンクは、それらの内容物が周囲温度において液体形態で貯蔵されることができるため、いかなる特別な設備も必要としない。したがって、そのようなタンクは、それらが船舶内のどこに配置されるかに関していかなる問題ももたらさず、例えば、側縁などの自由に残された船舶の領域に配置される。
【0007】
しかしながら、特に海上輸送のための温室効果ガス排出に関する規制がますます厳しくなっているため、これらのロールオン/ロールオフ船舶は、それらの推進技術を変更する必要がある。
【0008】
従来の重油と比較して、LNGの燃焼は、硫黄酸化物および粒子状物質の100%の減少、窒素酸化物の80%の減少、およびCO2の20%の減少をもたらす。現在、LNGは、技術的、動作的、および環境的観点から最も効率的な炭素燃料である。
【発明の概要】
【0009】
本発明の基礎を成す着想は、ロールオン/ロールオフ船舶において液化燃料ガスを貯蔵するためのタンクを配置および寸法決めすることである。
【0010】
一実施形態によれば、本発明は、ロールオン/ロールオフ船舶であって、
- 二重壁底部と、底部から高さ方向に離間した外側デッキとを備え、二重壁底部が内壁および外壁を備える船体と、
- 船体の底部と外側デッキとの間に配置された複数の中間デッキであって、主荷役デッキと、1つ以上の貯蔵デッキとを備える、複数の中間デッキと、
- 耐荷重柱であって、各耐荷重柱が、船体の底部に固定され且つ中間デッキを通過して支持するように高さ方向に延在する下端を有し、耐荷重柱が、少なくとも柱の第1の列および柱の第2の列に配置され、同じ列の耐荷重柱が、船舶の長手方向に互いに離間している、耐荷重柱と、
- 船体内に位置し且つ推進システムを備える機械室と、
- 液化燃料ガスを貯蔵し、推進システムに燃料ガスを供給するための密閉断熱タンクであって、横方向に互いに離間した2つの長手方向壁を備え、横方向が、船舶の長手方向および高さ方向に垂直である、密閉断熱タンクと、
- 2つの長手方向コファダム壁を備えるコファダム壁であって、各コファダム壁が、内側スキンと、内側スキンから離間した外側スキンとを備える、コファダム壁と、を備え、
各長手方向タンク壁が、長手方向コファダム壁のうちの1つの内側スキンに固定され、
柱の第1の列または柱の第2の列のうちの少なくとも1つの耐荷重柱が、長手方向コファダム壁のうちの1つに位置している、ロールオン/ロールオフ船舶を提供する。
【0011】
これらの特徴により、タンクの位置およびサイズは、かなりの構造的再計算を含む大きな構造的変化を必要とせずに、ロールオン/ロールオフ船舶の特定の構造に適合することができる。具体的には、柱間のタンクの位置は、耐荷重柱の同じ配置を維持することを可能にする。さらにまた、長手方向コファダム壁内でタンクに隣接する柱のうちの少なくとも1つを配置することによって、船舶の船体内の柱の配置を変更することなく、タンクの横方向寸法を増大させる、または最大化することさえ可能である。
【0012】
いくつかの実施形態によれば、そのような船舶は、以下の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。
【0013】
一実施形態によれば、柱の第1の列の少なくとも1つの耐荷重柱は、長手方向コファダム壁の1つに位置し、柱の第2の列の少なくとも1つの耐荷重柱は、他の長手方向コファダム壁に位置する。
【0014】
一実施形態によれば、ロールオン/ロールオフ船舶は、主荷役デッキに接続された少なくとも1つの荷役傾斜路を備える。
【0015】
一実施形態によれば、密閉断熱タンクは、膜タンク、好ましくはLNGを貯蔵するように構成されたタンクである。
【0016】
一実施形態によれば、タンクは、長手方向に延在する長手方向寸法を有し、タンクの長手方向寸法は、所望の液化ガスの最大量に応じて機械室と船舶の前部との間で調整可能である。
【0017】
一実施形態によれば、主荷役デッキは固定され、少なくとも1つの貯蔵デッキは、嵩高物品の配置のために2つの隣接する中間デッキ間の距離を変化させるように高さ方向に移動可能である。
【0018】
一実施形態によれば、主荷役デッキの上方または下方に位置する貯蔵デッキは、高さ方向に移動可能である。
【0019】
一実施形態によれば、少なくとも1つの、いくつかの、または各耐荷重柱は、中間デッキの全てを通過して支持するように高さ方向に延在する。
【0020】
一実施形態によれば、少なくとも1つの、いくつかの、または各耐荷重柱は、外側デッキに固定された上端を有する。
【0021】
一実施形態によれば、1つ以上のコファダム壁は、金属、例えば鋼から作製される。
【0022】
一実施形態によれば、内側スキンおよび/または外側スキンは、板金、例えば鋼の層から形成される。
【0023】
一実施形態によれば、耐荷重柱は、金属、例えば鋼から作製される。
【0024】
一実施形態によれば、長手方向コファダム壁のうちの1つに位置する少なくとも1つの耐荷重柱は、他の耐荷重柱よりも高い鋼グレードから作製される。
【0025】
したがって、タンクに隣接するコファダム壁内の温度は、液化ガスを貯蔵するためのタンクに近接しているために、船舶の他の部分よりも低くなることができる。この柱の鋼グレードが高いほど、この温度差を相殺して十分な機械的強度を保持することができる。
【0026】
この場合の鋼グレードは、記号ベースの鋼名が一般的使用のための非合金鋼に基づくEN10027-1-2規格に含まれる鋼グレードである。この鋼名において、最初の文字は鋼の使用を指し、この文字の後には、降伏強度をメガパスカルで表す数字が続く。例えば、S235は、235MPaの降伏強度を有する非合金構造鋼を示す。したがって、この場合の「より高い鋼グレード」という用語は、同じ用途に対してより高い降伏強度を有する鋼グレードを意味する。さらに、IGFコード(「ガスまたは他の低引火点燃料を使用する船舶の安全に関する国際コード」)はまた、異なる鋼グレードの分類に記号ベースの鋼名を使用する。具体的には、このコードでは、鋼グレードに使用される記号は、文字または一対の文字であり、より高い鋼グレードは、アルファベットの上位の最初の文字によって指定され、例えば鋼グレードBは、鋼グレードAよりも高い。
【0027】
別の実施形態では、コファダム壁に位置する少なくとも1つの耐荷重柱は、他の耐荷重柱のものと同一の鋼グレードから作製されてもよい。
【0028】
一実施形態によれば、長手方向コファダム壁に位置する少なくとも1つの耐荷重柱は、降伏強度が他の耐荷重柱の鋼以上である鋼から作製される。
【0029】
一実施形態によれば、柱の第1の列の少なくとも1つの耐荷重柱は、長手方向コファダム壁の内側スキンまたは外側スキンに対向して形成される。
【0030】
耐荷重柱を内側スキンに対向して配置することにより、耐荷重柱の位置に影響を及ぼすことなくタンクの横方向寸法を最大限に最適化することが可能であり、耐荷重柱は、この場合、タンクの構造に近接しているために考慮されるべき熱的および機械的応力を受ける。具体的には、この場合、横方向寸法の増加は、内側スキンと外側スキンとの間の間隔に等しい。一方、耐荷重柱が外側スキンに対向して配置される場合、それらは、タンクから生じる熱的および機械的応力にあまりさらされないが、タンクの横方向寸法の増加は、それに応じて減少する。
【0031】
一実施形態によれば、柱の第2の列の少なくとも1つの耐荷重柱は、長手方向コファダム壁の内側スキンまたは外側スキンに対向して形成される。
【0032】
一実施形態によれば、長手方向コファダム壁の内側スキンおよび外側スキンは、内側スキンおよび外側スキンを剛性化するために横方向に突出する補強材を備える。
【0033】
長手方向コファダム壁の内側スキンまたは外側スキンに対向して配置された耐荷重柱もまた、このスキンの剛性に寄与し、より好ましくは、耐荷重柱は、これらの補強材の一部なしで行うことを可能にする。
【0034】
一実施形態によれば、耐荷重柱は、100mmから400mmの間、例えば400mmの横方向の寸法を有し、長手方向コファダム壁の内側スキンおよび外側スキンは、好ましくは少なくとも900mm、より好ましくは900mmから1200mmの間の距離だけ横方向に互いに離間される。
【0035】
一実施形態によれば、タンクは、平行六面体形状である。
【0036】
一実施形態によれば、タンクは、後部コファダム壁によって機械室から分離された後部タンク壁と、後部タンク壁から船舶の長手方向に離間した前部タンク壁と、好ましくは船体の底部の内壁に対向して配置された底部タンク壁と、底部タンク壁から高さ方向に離間した天井タンク壁と、2つの長手方向タンク壁とを含む。
【0037】
一実施形態によれば、タンクは、多面体形状であり、多面体は、8つまたは10個の面を含む。
【0038】
一実施形態によれば、タンクは、高さ方向において主荷役デッキの下方で船体の底部の内壁に対向して配置される。
【0039】
したがって、タンクが荷役の邪魔にならず、したがって物品の移動にいかなる変更も必要としないように、タンク全体が二重壁底部と主荷役デッキとの間に配置される。
【0040】
一実施形態によれば、船舶は、タンク接続空間と、タンク接続空間内に配置されたタンク弁と、少なくとも1つのドーム構造とを含み、タンク接続空間は、タンクの天井壁上および高さ方向における主荷役デッキの下方に配置される。
【0041】
したがって、タンク接続空間はまた、二重壁底部と主荷役デッキとの間に配置され、それにより、これは、荷役の邪魔にならず、したがって物品の動きに対するいかなる変更も必要としない。
【0042】
一実施形態によれば、各タンク壁は、タンクの外側から内側に向かって、二次断熱障壁と、二次断熱障壁に対向して配置された二次密閉膜と、二次密閉膜に対向して配置された一次断熱障壁と、一次断熱障壁に対向して配置され、液化ガスと接触するように意図された一次密閉膜と、を含む多層構造を含む。
【0043】
一実施形態によれば、本発明はまた、液化燃料ガスを移送するための移送システムであって、上述したようなロールオン/ロールオフ船舶と、ロールオン/ロールオフ船舶の船体内に設置されたタンクを浮体式または陸上貯蔵施設に接続するように配置された断熱パイプラインと、断熱パイプラインを介して低温液体製品の流れを浮体式または陸上貯蔵施設からロールオン/ロールオフ船舶のタンクに圧送するためのポンプと、を備える、移送システムを提供する。
【0044】
一実施形態によれば、本発明はまた、上述したようなロールオン/ロールオフ船舶に積み込む方法であって、液化燃料ガスが浮体式または陸上貯蔵施設から断熱パイプラインを通ってロールオン/ロールオフ船舶のタンクに取り出される、方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
本発明は、添付の図面を参照して、単に非限定的な例示として提供される、本発明のいくつかの特定の実施形態の以下の説明の間に、よりよく理解され、他の目的、詳細、特徴および利点がより明確に現れる。
【0046】
図1図1は、一実施形態にかかるロールオン/ロールオフ船舶の内部の側面図を示している。
【0047】
図2図2は、特に船舶の船体内の貯蔵タンクを示す、図1の詳細IIの図である。
【0048】
図3図3は、第1の実施形態にかかる貯蔵タンクに対する耐荷重柱の横方向の配置を示す、図1の平面III-IIIに沿った部分断面図である。
【0049】
図4図4は、第1の実施形態にかかる、貯蔵タンクに対する耐荷重柱の長手方向の配置を示す、図1の平面IV-IVに沿った断面図である。
【0050】
図5図5は、特に貯蔵タンクおよび耐荷重柱の一部を示す、図4の詳細Vの図である。
【0051】
図6図6は、液化燃料ガスを貯蔵するためのタンクおよびこのタンクを積み込むためのターミナルを含むロールオン/ロールオフ船舶を概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0052】
様々な実施形態にかかるロールオン/ロールオフ船舶1が図1から図6を参照して以下に説明される。
【0053】
上述したように、ロールオン/ロールオフ船舶1は、自走式または牽引式車輪付き貨物が様々なデッキ間を自由に移動することを可能にする特別な構造を有し、船舶1は、物品が独自の手段によって船舶1に入り、同様に船舶1から出ることを可能にする。この貨物は、例えば、自動車、道路運搬車両およびそれらの貨物(トラクタトレーラ、連結トラック)、重建設機械、トラクタなどの農業機器、またはフォークリフトもしくはトレーラなどの荷役車両に取り付けられたコンテナから構成されることができる。
【0054】
したがって、クレーンなどの昇降設備によって貨物が垂直に積み込まれる通常の貨物船とは異なり、この場合、貨物は、港湾における埠頭にまたは直接埠頭に設置された傾斜路に接続する可動式荷役傾斜路10を使用して船舶を出入りさせることによって荷積み/荷降ろしされる。
【0055】
この目的のために、ロールオン/ロールオフ船舶1は、
- 二重壁底部4と、底部4から高さ方向Hに離間した外側デッキ7とを備える船体3と、
- 船体3の底部4と外側デッキ7との間に配置された複数の中間デッキ8、9であって、主荷役デッキ8と1つ以上の貯蔵デッキ9とを備える複数の中間デッキと、
- 主荷役デッキ8に接続された少なくとも1つの荷役傾斜路10と、
- 中間デッキ8、9を通過して支持するように高さ方向に延在する耐荷重柱11と、
- 船体3内に位置し且つ推進システム15を備える機械室14と、
- 液化燃料ガスを貯蔵し、推進システム15に燃料ガスを供給するための密閉断熱膜タンク2と、を含む。
【0056】
二重壁底部4は、内壁5と外壁6とから構成されている。したがって、耐荷重柱11は、底部4の内壁5に固定された下端と、外側デッキ7に固定されることができる上端とを有する。
【0057】
耐荷重柱11は、図5および図6に示す例では、柱の第1の列12および柱の第2の列13に配置されている。1つの同じ列12、13の耐荷重柱11は、船舶1の長手方向Lに互いに離間している。さらにまた、2つの列12、13は、船舶1の全長にわたって船体3をバランスよく剛性化するように、横方向Tに対称に配置されている。図示されていない他の実施形態では、耐荷重柱11は、3列以上、例えば4列、好ましくは偶数列に配置されてもよい。
【0058】
図1は、1つの設計例にかかるロールオン/ロールオフ船舶1を示している。具体的には、この例では、ロールオン/ロールオフ船舶1は、12個の中間デッキを含み、したがって、11個の貯蔵デッキ9および1個の主荷役デッキ8を含む。底部4の内壁5はまた、貯蔵デッキ9としても使用され、一般に、第1のデッキであると考えられ、各デッキは、船舶1の高さ方向Hにおいて最も低いデッキから最も高いデッキまで、その番号によって参照される。したがって、この設計では、主荷役デッキ8は第5のデッキである。中間デッキ8、9および内壁5は、アクセス傾斜路16または垂直リフトシステムによって互いに接続される。
【0059】
ここで、タンク2の構造ならびに船舶1の船体3内のタンク2の位置およびサイズについて、以下により詳細に説明する。
【0060】
タンク2は、図2に見られるように、この場合は平行六面体形状であり、複数のタンク壁、すなわち後部タンク壁17と、後部タンク壁17の反対側の前部タンク壁18と、底壁19と、底壁19の反対側の天井壁20と、2つの長手方向壁21とを含む。底壁19は、底部4の内壁5に対向して配置されている。
【0061】
底壁19を除いて、他のタンク壁17、18、20、21は、図2から図4に見られるように、船体4の内壁5とともにタンク2の耐荷重構造を形成するコファダム壁22に固定される。コファダム壁22は、タンク壁17、18、20、21が固定される内側スキン23と、内側スキン23から離間される外側スキン24とから構成される。補強材25は、内側スキン23および外側スキン24上のコファダム壁22の内側に配置され、各スキン23、24を剛性化する。
【0062】
タンク2は、図2に示されるように、コファダム壁22のうちの1つが機械室14と後部タンク壁17とを隔てるように船体3内に配置される。機械室14は、この場合、船舶1の長手方向Lに対して船舶1の後部において底部4の内壁5に対向して配置される。
【0063】
各タンク壁17~21は、タンクの外側から内側に向かって、二次断熱障壁と、二次断熱障壁に対向して配置された二次密閉膜と、二次密閉膜に対向して配置された一次断熱障壁と、一次断熱障壁に対向して配置され、液化燃料ガスと接触するように意図された一次密閉膜と、を含む多層構造を含む。そのような膜タンクの例は、特に国際公開第2019239048号パンフレット、国際公開第14057221号パンフレット、仏国特許第2691520号明細書および仏国特許第2877638号明細書に記載されている。膜タンクは、特に、本出願人によって開発されたGTT技術Next1(登録商標)、Mark V(登録商標)、Mark III(登録商標)およびNO96(登録商標)を使用して構築されることができる。
【0064】
図2に見られるように、天井壁20は、タンク接続空間26によって覆われており、このタンク接続空間26は、コファダム壁22によって囲まれている。タンク接続空間26は、特に、タンク2を液化燃料ガスによって満たすために、特に荷積みパイプ28が天井壁20を貫通するドーム構造27を含む。このタンク接続空間26は、天井壁20を通るパイプが船舶の他の設備、例えばタンクバルブに接続される安全な空間である。
【0065】
船舶1はまた、タンク2の長手方向壁21および機械室14のうちの1つに隣接して配置された、図5および図6に見ることができる燃料調製室29を有する。燃料調製室29は、特に、燃料ガスの圧力および温度を推進システム15に適した値に適合させるように燃料ガスを調整するための装置を備えている。
【0066】
したがって、タンク2、コファダム壁22、およびタンク接続空間26は、図2に示されるように、主荷役デッキ8の下方に配置されるように寸法決めされる。具体的には、図2の設計例では、最も高いコファダム壁22、すなわちタンク接続空間26の上方に位置するコファダム壁は、第4のデッキ、すなわち貯蔵デッキ9のうちの1つに位置する。したがって、タンク2およびタンク設備およびタンク接続空間26の構造は、主荷役デッキ8の設計に影響を与えない。
【0067】
図3は、耐荷重柱11に対するタンク2の位置およびサイズに関する一実施形態を示している。
【0068】
この図では、第1から第5までのデッキ、タンク2、および柱の第1の列の耐荷重柱11のうちの1つを区別することができる。設計は、横方向Tにおいて対称であるため、船舶1の断面の半分のみが示されている。したがって、図3および図4に示すこの設計例では、貯蔵デッキ9である第2のデッキおよび第4のデッキは、高さ方向Hに移動可能なデッキであり、貯蔵デッキ9および主荷役デッキ8である第3のデッキおよび第5のデッキは、高さ方向Hに固定されたデッキである。固定デッキは、移動可能デッキよりも重い荷重に耐えることができるように設計される。
【0069】
図3の実施形態では、柱の第1の列12のうちの1つの耐荷重柱11は、長手方向コファダム壁22のうちの1つに、すなわち内側スキン23に対向して位置している。したがって、タンク2およびコファダム壁22の構造は、耐荷重柱11の設計および位置に影響を及ぼさない。さらにまた、この場合、耐荷重柱11の位置に影響を及ぼすことなく横方向寸法が最大に増大されたタンクを取得することが可能である。タンク2の幅の増加は、長手方向コファダム壁22の横方向寸法に実質的に等しい。
【0070】
図示されていない別の実施形態では、柱の第1の列12のうちの1つの耐荷重柱11は、長手方向コファダム壁22のうちの1つに位置することができるが、この場合は外側スキン24に対向して位置する。したがって、上記のように、タンク2およびコファダム壁22の構造は、耐荷重柱11の設計および位置に影響を及ぼさない。
【0071】
したがって、各列12、13の耐荷重柱11は、長手方向Lに実質的に位置合わせされることが分かる。
【0072】
図4および図5は、柱の各列12、13の全ての耐荷重柱11が、これらの耐荷重柱11に対するタンク2およびコファダム壁22の配置とともに見える船舶1の断面を示している。
【0073】
具体的には、図5の詳細図に見られるように、この実施形態では、柱の各列12、13の3本の耐荷重柱11が、長手方向コファダム壁22に配置されている。コファダム壁22内の耐荷重柱の数は、船舶1の長さ、柱の総数、およびタンク2の長手方向Lの長さに依存する。
【0074】
図6を参照すると、一部が切り取られたロールオン/ロールオフ船舶1の図は、船舶1の船体3に嵌合された略平行六面体形状の密閉断熱タンク2を示している。知られているように、船舶を満たすための荷積みパイプライン73は、適切なコネクタによって、LNGの貨物をタンク2に移送する海上または港湾ターミナルに接続されることができる。
【0075】
図6は、荷役ステーション75、水中パイプ76、および陸上施設77を備える海上ターミナルの例を示している。荷積みステーション75は、可動アーム74と、可動アーム74を支持するタワー78とを備える固定された海上施設である。可動アーム74は、荷積みパイプライン73に接続されることができる絶縁された可撓性パイプ79の束を担持する。方向付け可能な可動アーム74は、あらゆるサイズの船舶に適合するように調整されることができる。接続パイプ(図示せず)は、タワー78の内部に延在している。荷積みステーション75は、陸上施設77からのLNG燃料によるロールオン/ロールオフ船舶1の荷積みを可能にする。この施設は、液化ガスを貯蔵するためのタンク80と、水中パイプ76によって荷積みステーション75に接続された接続パイプ81とを備える。水中パイプ76は、荷積みステーション75と陸上施設77との間の液化ガスの長距離、例えば5kmにわたる移送を可能にし、荷積み作業中にロールオン/ロールオフ船舶1を海岸から長距離に保つことを可能にする。
【0076】
液化ガスを移送するのに必要な圧力を発生させるために、船舶1に搭載されたポンプおよび/または陸上施設77に取り付けられたポンプおよび/または荷積みステーション75に取り付けられたポンプが使用される。
【0077】
本発明は、いくつかの特定の実施形態に関連して説明されてきたが、これらが本発明の範囲内にある場合、本発明は、決してそれに限定されず、記載された手段の全ての技術的均等物およびそれらの組み合わせを含むことは明らかである。
【0078】
動詞「備える」または「含む」およびそれらの活用形の使用は、特許請求の範囲に記載されたものに加えて他の要素または他の段階の存在を排除するものではない。
【0079】
特許請求の範囲において、括弧内のいかなる参照符号も、特許請求の範囲の限定として解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】