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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171600
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】管継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 37/12 20060101AFI20221104BHJP
   F16L 33/22 20060101ALI20221104BHJP
   F16L 21/08 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
F16L37/12
F16L33/22
F16L21/08 D
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071742
(22)【出願日】2022-04-25
(31)【優先権主張番号】21171273.2
(32)【優先日】2021-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】522166851
【氏名又は名称】アーファウエス インジェニエーア ヨット ツェー レーマー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100128428
【弁理士】
【氏名又は名称】田巻 文孝
(72)【発明者】
【氏名】ギュンター ジルバーバウアー
【テーマコード(参考)】
3H015
3H017
3J106
【Fターム(参考)】
3H015BC08
3H015GA01
3H017HA04
3H017HA15
3H017JA05
3J106AA02
3J106AB01
3J106BA02
3J106BB01
3J106BC04
3J106BD01
3J106BE13
3J106BE30
3J106CA01
3J106EA03
3J106EB01
3J106EC01
3J106EC07
3J106ED13
3J106EE01
(57)【要約】
【課題】高度の気密性を維持しながら、可能な限りデッドスペースがないように設計された管継手を提供する。
【解決手段】本発明は、配管接合部(4)のための受け入れ空間(3)を備えるハウジング(2)と、配管接合部(4)をハウジング(2)に解放可能に固定するための固定部材(5)と、受け入れ空間(3)に配置され、受け入れ空間(3)に受け入れられた配管接合部(4)の自由端を外周上で取り囲むように設計され、ハウジング(2)と配管接合部(4)との間の接触面を流体密封シールするシール要素(6)とを備える管継手に関する。管継手は、シール要素(6)が第1の自由端(6.1)及び第2の自由端(6.2)を有するスリーブの形で設計され、膨出部(6.5)が第1の自由端(6.1)に設けられ、管状部分(6.3)が膨出部(6.5)から突出して端部側に第2の自由端(6.2)を形成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管接合部(4)のための受け入れ空間(3)を備えるハウジング(2)と、前記配管接合部(4)を前記ハウジング(2)に解放可能に固定するための固定部材(5)と、前記受け入れ空間(3)に配置され、前記受け入れ空間(3)に受け入れられた前記配管接合部(4)の自由端を外周上で取り囲むように設計され、結果的に前記ハウジング(2)と前記配管接合部(4)との間の接触面を流体密封シールするシール要素(6)と、を備える管継手であって、前記シール要素(6)は、第1の自由端(6.1)及び第2の自由端(6.2)を有するスリーブの形状に設計され、膨出部(6.5)が、前記第1の自由端に設けられ、管状部分(6.3)が、前記膨出部(6.5)から突出して、その端部側で前記第2の自由端(6.2)を形成する、ことを特徴とする管継手。
【請求項2】
前記シール要素(6)の前記管状部分(6.3)は、前記第2の自由端(6.2)に向かって内側で円錐形にテーパー付けされるように設計される、請求項1に記載の管継手。
【請求項3】
前記膨出部(6.5)は、Oリングの形状を有する、請求項1又は請求項2に記載の管継手。
【請求項4】
前記管状部分(6.3)は、長手方向で見て、前記第2の自由端(6.2)の領域で一定の外径を有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の管継手。
【請求項5】
前記シール要素(6)は、前記シール要素(6)を取り外した状態において、長手方向で見て、前記第2の自由端(6.2)に向かって円錐状に拡大する前記管状部分(6.3)の外径が、前記シール要素(6)を組み付けられた状態において径方向に圧縮されて、前記管状部分(6.3)の内径が縮小するように前記ハウジング(2)内に締め付けられた態様で保持される、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の管継手。
【請求項6】
前記管状部分(6.3)は、前記第2の自由端(6.2)に向かってその外側が円錐形にテーパー付けされる、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の管継手。
【請求項7】
前記シール要素(6)の内側の円錐形のテーパーは、前記第2の端部(6.2)に向かって増大する前記管状部分の壁厚によって達成される、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の管継手。
【請求項8】
前記シール要素(6)の前記管状部分(6.3)は、前記配管接合部(4)が前記受け入れ空間(3)に押し込まれる場合に、前記配管接合部(4)の前記自由端を案内し、半径方向に支持するように設計される、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の管継手。
【請求項9】
ビード部(6.4)が、前記膨出部(6.5)と前記管状部分(6.3)との間の前記シール要素(6)の内側に設けられる、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の管継手。
【請求項10】
前記管状部分(6.3)は、その外側に少なくとも1つの戻り止め突起(8)を有する、請求項1から9のいずれか1項に記載の管継手。
【請求項11】
前記戻り止め突起(8)は、周方向ビード部によって形成される、請求項10に記載の管継手。
【請求項12】
前記受け入れ空間(3)は、前記配管接合部(4)の前記自由端のための環状の止め部(3.1)を有し、前記環状の止め部(3.1)は、前記シール要素(6)の前記第2の自由端(6.2)のための止め部を形成する、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の管継手。
【請求項13】
前記管状部分(6.3)の長さ(L)は、前記膨出部(6.5)の断面の直径(d)よりも大きい、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の管継手。
【請求項14】
前記シール要素(6)は一体部品で形成され、又は、前記シール要素(6)は、前記膨出部(6.5)の形態の第1のシール要素部分と前記管状部分(6.3)の形態の第2のシール要素部分から形成される複数の部品で形成される、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の管継手。
【請求項15】
面取り部(9)又は凹部が、前記管状部分(6.3)の自由端の領域において外側に設けられる、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の管継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管、具体的にはフレキシブルホースを、さらなる配管又は構成要素、例えばバルブ、分配器、ポンプなどに接続するための管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
このタイプの管継手は、例えば単一の継手、又は複数の出口を備える、真っ直ぐな、角度のある設計、又はT字形の部品として既に知られている。管継手は、配管の自由端が挿入される受け入れ領域を有するハウジングを備える。この管継手は、締め付けデバイスを有し、これにより、配管は、望ましくない方法で管継手から引き出される心配なく、又は過度の圧力が加えられることに起因して内側から押し出される心配なく、しっかりと固定される。この締め付けデバイスは、配管を再び管継手から引き出すことができるように手動で解放することができる。シール要素は、配管とハウジングとの間の接触面をシールするために設けることができる。
【0003】
既知の管継手の主な欠点は、配管の自由端、シール要素、及び、ハウジングの間にデッドスペースが形成されることである。このタイプのデッドスペースは、例えば食品技術又は医療技術のような衛生に敏感な用途では、搬送媒体の除染を引き起こす可能性があるため、特に望ましくない。
【0004】
米国特許公開第2004/0262920号公報には、デッドスペースが低減された管継手が開示されている。
【0005】
しかしながら、例えば米国特許公開第2004/0262920号公報に開示されるように、このようなシールの欠点は、管継手から突出する配管部分が曲げられたり、又は、他の方法で変形した場合に漏れが生じる可能性があることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許公開第2004/0262920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これに基づいて、本発明の目的は、高度の気密性を維持しながら、可能な限りデッドスペースがないように設計された管継手を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、独立請求項1の特徴を用いる管継手によって達成される。好ましい実施形態は、従属請求項の構成内容である。
【0009】
一態様によれば、本発明は管継手に関する。管継手は、配管接合部のための受け入れ空間を有するハウジングを備える。さらに、固定部材が、配管接合部をハウジングに解放可能に固定するために設けられる。さらに、管継手は、受け入れ空間に配置され、受け入れ空間に受け入れられた配管接合部の自由端を外周上で取り囲むように設計され、結果的に、ハウジングと配管接合部との間の接触面を流体密封シールするシール要素を有する。シール要素は、第1の自由端及び第2の自由端を有するスリーブの形状に形成される。シールの第1の端部は、管継手の入口開口に面し、これを介して、ハウジングに対してシールされる配管を受け入れ空間に組み込むことができる。膨出部は、第1の自由端に設けられる。膨出部は、例えば、円周側で、受け入れ空間に挿入された配管を取り囲む。管状部分は、膨出部から突出し、端部側に第2の自由端を形成する。
【0010】
この管継手の技術的な利点は、シール要素の管状部分によって達成されるデッドスペースの低減であり、さらに、膨出部に起因して達成される管継手の高度な気密性である。
【0011】
例示的な実施形態によれば、シール要素の管状部分は、少なくともシール要素を組み込んだ状態で、第2の自由端に向かって、その内側で円錐形にテーパー付けされるように、すなわち管状部分の内径が第2の自由端の方向に向けて減少するように設計される。円錐形のテーパーは、シール要素自体、すなわち、シール要素が管継手のハウジングに受け入れられてない場合でも、このタイプの内側の円錐形状を有することで達成することができる。もしくは、円錐形のテーパーは、管継手のハウジングによって達成することもでき、すなわち、シールは、管状部分の内径が第2の自由端の方向に向けて減少するように、ハウジングへの組み込み時に半径方向に据え込まれる(radially upset)。管状部分の円錐形状に起因して、管継手から突出する配管が曲がる又は他の方法で変形する場合でも高度の気密性が達成される。
【0012】
例示的な実施形態によれば、膨出部は、O-リングの形状を有する。換言すると、膨出部は、円形又は実質的に円形の断面を有する円形の主形状を有する。これは、高度な漏れ安全性を保証するシール面を作り出す。シールが組み込まれる場合、この膨出部は、配管の軸方向で見ると、配管の自由端から少し離れて設けられる。具体的には、膨出部は、配管の自由端が寄り掛かる止め部と管継手の挿入開口との間に設けられる。
【0013】
膨出部は、好ましくは、膨出部のすぐ近くの領域において管状部分の壁厚よりも大きい断面直径を有する。結果として、膨出部の内側及び外側の突起を得ることができ、これは、シール要素とハウジングとの間の接触面及びシール要素と配管接合部との間の接触面をシールする利点をもたらす。
【0014】
例示的な実施形態によれば、管状部分は、長手方向で見て、第2の自由端の領域において一定の外径を有する。結果的に、管状部分のためのハウジング内に設けられた円筒形凹部は、高度の気密性を達成すると同時にデッドスペースを回避することができる。
【0015】
例示的な実施形態によれば、シール要素を取り外した状態では、外径が長手方向で見ると、第2の自由端に向かって円錐形に拡大する管状部分が、シール要素を組み込んだ状態では半径方向に圧縮される方法で、シール要素は、ハウジング内に締め付け様式で保持され、シール要素の組み込み状態では、管状部分の減少した内径がもたらされる。換言すると、シール要素は、シール要素を取り外した状態において、長手方向で見て、第2の自由端に向かって円錐状に拡大する管状部分の外径が、シール要素を組み付けられた状態において径方向に圧縮されて、管状部分の内径が縮小するようにハウジング内に締め付けられた態様で保持される。従って、第2の自由端に向かって円錐形に拡大する管状部分は、管状部分の内径が第2の自由端に向かって円錐形にテーパー付けされるような方法で、管継手のハウジングによって半径方向に変形させることができ、結果的に管継手の高度の気密性を達成することができる。
【0016】
別の例示的な実施形態によれば、管状部分は、第2の自由端に向かって、その外側で、円錐形にテーパー付けされるように設計される。結果的に、シール要素とハウジングとの間に周方向の隙間を形成することができ、管状部分がシール要素に挿入される場合に、シール要素の管状部分の材料は、その中に逃げ込むことができる。
【0017】
例示的な実施形態によれば、シール要素の内側の円錐形のテーパーは、管状部分の壁厚が第2の端部に向かって軸方向に増加することによって得られる。もしくは、外側の円錐形のテーパーの場合、内側の円錐形のテーパーは、軸方向に一定の又は実質的に一定の壁厚によって得ることができる。
【0018】
例示的な実施形態によれば、シール要素の管状部分は、配管接合部が受け入れ空間に挿入される場合に、配管接合部の自由端を案内し、半径方向に支持するように設計される。換言すると、シール要素の管状部分は、配管接合部のための疑似スリーブ状の案内部を形成する。これにより、配管接合部の挿入が容易になると同時に、管継手の高度の気密性が保証される。
【0019】
例示的な実施形態によれば、ビード部は、膨出部と管状部分との間の移行領域において、シール要素の内側に設けられる。このビード部は、配管接合部がシール要素に挿入される場合に、変形した材料がこのビード部に逃げ込むことができるという利点を有する。
【0020】
例示的な実施形態によれば、管状部分は、その外側に、少なくとも1つの戻り止め突起を有する。この戻り止め突起によって、ハウジングとシール要素との間でかみ合った嵌合(interlocking fit)を達成できる。結果的に、例えば、配管を引き抜くことによるシール要素の望ましくない誤配置を効果的に回避できる。
【0021】
例示的な実施形態によれば、戻り止め突起は、周方向のビード部によって形成される。このビード部に対応するリブ(ribbing)をハウジングに形成することができ、その中にビード部を沈める(immerse)ことができるので、シール要素とハウジングとの間のかみ合った嵌合が達成できる。
【0022】
例示的な実施形態によれば、受け入れ空間は、配管接合部の自由端のための環状止め部を有し、すなわち、配管が管継手に押し込まれたときに、配管接合部の自由端はこの止め部に対して静止する。同時に、環状止め部は、シール要素の第2の自由端のための止め部を形成し、すなわち、シール要素の第2の自由端は、環状止め部に対して静止する。好ましくは、環状止め部は、シール要素の第2の自由端及び配管接合部の自由端が、共通の平面に配置できるように、段差がなく、長手方向軸に垂直な平面に位置する。結果として、デッドスペースの大幅な減少が達成される。
【0023】
例示的な実施形態によれば、管状部分の長さは、膨出部の断面直径よりも大きい。この幾何学的関係が守られる場合、管状部分に挿入される配管接合部がかなりの長さを有するので、シール要素の配管接合部の領域で高いシール効果を達成できる。
【0024】
例示的な実施形態によれば、シール要素は、一体部品で形成される。
【0025】
別の例示的な実施形態によれば、シール要素は、複数の部品、すなわち膨出部の形態の第1のシール要素部分と管状部分の形態の第2のシール要素部分とで形成される。
【0026】
例示的な実施形態によれば、面取り部又は凹部は、管状部分の自由端の領域で、その外側に設けられる。この面取り部又は凹部は、配管接合部がシール要素の管状部分に挿入される場合に、自由端の領域での材料の変位に起因して傾きが発生するという利点を有する。この傾きは、自由端側でシール要素が当たる止め部に対する接触圧を増加させ、従って、この領域での気密性を高め、この自由端の領域での管状部分の後方に流れることを効果的に回避できるようになっている。
【0027】
本発明での意味において、「約」、「実質的に」又は「およそ」という表現は、それぞれの正確な値から±10%、好ましくは±5%の偏差、及び/又は機能に関して有意ではない変化の形での偏差を意味する。
【0028】
また、本発明のさらなる進展、利点、及び適用可能性は、以下の例示的な実施形態の説明及び図面によって生じる。これに関連して、説明及び/又は図示されたすべての特徴は、原則として、特許請求の範囲におけるそれらの要旨又はそれらの後方参照に関係なく、個別に又は何らかの組み合わせのいずれかで、本発明の主題である。さらに、特許請求の範囲の内容は、本説明の一部をなす。
本発明は、例示的な実施形態によって複数の図面を参照して、以下により詳細に説明されことになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】挿入された管端のない管継手の縦断面を例示的に示す図である。
図2】挿入された管端を有する管継手の縦断面を例示的に示す図である。
図3】管継手に使用するためのシール要素の縦断面を例示的に示す図である。
図4】挿入された管端のない管継手の縦断面を例示的に示す図であり、シール要素は、戻り止め突起を有する。
図5】管継手に使用するための円錐形に拡大する外径を有するシール要素の縦断面を例示的に示す図である。
図6】管状部分の自由端の領域に外側面取り部を有する、管継手に使用するためのシール要素の縦断面を例示的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、長手方向軸線LAに沿って管継手1を通る断面図である。管継手1は、管の自由端の構成要素、例えばバルブ又は追加的な配管接合部(配管)の管端への接続を確立するように設計される。例えば、管継手は、構成要素、例えばバルブのハウジングにねじ込まれるか又は押し付けられるプラグ挿入体又はねじ込み挿入体として設計することもできる。例えば、配管は、フレキシブルホースとすることができる。
【0031】
管継手1は、配管接合部(配管部分)4、具体的には配管の自由端をその中に挿入できるハウジング2を有する。管継手1は、長手方向軸線LAに関して実質的に回転対称構造を有する。
【0032】
ハウジング2は、入口開口Eを備える受け入れ空間3を有し、配管接合部4の自由端を、入口開口Eを通って管継手1のハウジング2に導入することができる。締め付けデバイス7は、受け入れ空間3に設けられる。締め付けデバイス7により、配管接合部4の自由端は、具体的には、締め付けデバイス7の解放機構が作動した後にのみ配管接合部4の自由端を管継手1から再び引き出すことができるような方法で、管継手1に着脱可能に接続することができる。
【0033】
締め付けデバイス7は、受け入れ空間3に挿入されるスリーブ7.1を備える。支持リング7.2は、例えばスリーブ7.1が少なくとも部分的に支持リング7.2の外側を囲むような方法で、スリーブ7.1に結合される。
【0034】
締め付けデバイス7は、固定部材5をさらに備え、これによって、配管接合部4が望ましくない分離に抗してしっかり固定される。例えば、固定部材5は、長手方向軸線LAの方向で見て、スリーブ7.1と支持リング7.2との間に配置され、好ましくは、ハウジング2のその軸方向位置にしっかり固定されるように、スリーブ7.1と支持リング7.2との間に締め付けられて保持される。固定部材5は、例えば、爪リングとして設計することができる。支持リング7.2は、例えば、シール要素6上で軸方向に支持され、さらにシール要素6は、止め部3.1上で支持される。止め部3.1は、例えばハウジング2の肩部又は段部によって形成される。
【0035】
図2に示すように、止め部3.1は、同時に、受け入れ空間3に挿入された配管接合部4の自由端のための接触面を形成する。好ましくは、止め部3.1は、長手方向軸線LAに対して垂直に延びる環状面によって形成され、軸方向で見て、同じ高さでシール要素6及び配管接合部4の自由端のための止め部を形成する。
【0036】
締め付けデバイス7は、解放リング7.3をさらに備え、これによって管継手1の配管接合部4の固定を解除できる。解放リング7.3は、例えば、スリーブ7.1に挿入できる。具体的には、解放リング7.3は、分離を防止するためにラッチ機構によってスリーブ7.1に固定できるが、軸方向に移動可能なようにスリーブ7.1に保持できる。
【0037】
締め付けデバイス7は、好ましくは、ラッチ機構によってもハウジング2に固定される。具体的には、スリーブ7.1は、外側にラッチ部材を有することができ、これにより、スリーブ7.1は、ハウジング2にラッチ方式で保持される。締め付けデバイス7の他の構成要素、すなわち支持リング7.2、固定部材5、及び、解放リング7.3は、スリーブ7.1によって間接的にハウジング2に固定される。ここで、支持リング7.2及び固定部材5は、互いに対して静止し(互いに寄りかかり)、スリーブ7.1に形成された肩部にそれぞれ支持され、これにより、支持リング7.2及び固定部材5は、締め付け様式でスリーブ7.1に固定できるようになっている。
【0038】
締め付けデバイス7を組み立てるために、スリーブ7.1、支持リング7.2、固定部材5、及び、解放リング7.3は、ハウジング2の外部で事前に組み立てることができ、その後、組み立てられた状態で一緒に受け入れ空間3に挿入することができる。
【0039】
配管接合部4を固定するために、配管接合部4は、その自由端が解放リング7.3に挿入され、配管接合部4の自由端が止め部3.1に対して静止し、以下に説明するシール要素6で案内されて軸方向に進む。
【0040】
具体的には図1に示すように、固定部材5は、半径方向内向きに突出する爪5.1を有する。これらの爪5.1は、長手方向軸線LAに対して垂直に整列した平面に対して傾斜するように配置されている。結果的に、配管接合部4を、入口開口Eから受け入れ空間3の中に押し込むことは可能であるが、配管接合部4の壁面での爪5.1の係合によって、配管接合部4の意図しない分離が効果的に防止される。
【0041】
解放リング7.3は、配管接合部4を再度、受け入れ空間から引き出すことができるように、配管接合部4の壁面の爪5.1の係合を解放するように設計される。ここでは、解放リング7.3は、図1及び図2に示すような第1の摺動位置から、解放リング7.3が配管接合部4の挿入方向に受け入れ空間3の中にさらに押し込まれる第2の摺動位置に位置することができるような方法で、スリーブ7.1又はハウジング2に対して軸方向に摺動することができる。解放リング7.3を軸方向に押す又は移動させることにより、固定部材5の爪5.1は、挿入方向、すなわちハウジング2の止め部3.1の方向に可逆的に変形し、その結果、配管接合部4を引き出すことができるように、配管接合部4の壁面から取り外される。
【0042】
別の締め付け又は固定機構、又はその方法を採用することができることも理解されたい。
【0043】
管継手1のシール要素6は、配管接合部4の自由端の領域に存在するデッドスペースを最小化するように設計される。図3は、シール要素6を単独で示し、図1は、配管接合部4が挿入されていないハウジング2に挿入されるシール要素6を示し、図2は、配管接合部4が挿入されたハウジング2に挿入されるシール要素6を示す。
【0044】
シール要素6は、長手方向軸線LAに対して好ましくは回転対称に又は実質的に回転対称になるように設計される。
【0045】
シール要素6は、スリーブ形状であり、すなわちシールスリーブとして設計されており、止め部3.1から軸方向に配管接合部4の部分的な長さにわたって延びる。上述のように、この止め部3.1は、配管接合部4の自由端に対する接触面も形成するので、配管接合部4の自由端の周りで外部に広がるデッドスペースが効果的に防止される。
【0046】
シール要素6は、第1の端部(自由端)6.1及び第2の端部(自由端)6.2を有する。円周方向に延びる環状の膨出部6.5が、第1の自由端6.1に設けられる。この膨出部6.5は、Oリング形状又は実質的にはOリング形状を有し、すなわち、膨出部6.5は円形であり、円形断面を有する。もしくは、膨出部6.5は、例えば、楕円形、多角形、又は曲線部及び角部で構成される断面形状など、他の断面形状を有することもできる。この膨出部6.5には、管状部分6.3が隣接する。膨出部6.5から離れる方向に向く管状部分6.3の自由端は、シール要素6の第2の自由端6.2を形成する。シール要素6は、例えば、一体射出成形されたエラストマーのシールとして一体的に形成される。もしくは、膨出部6.5及び管状部分6.3は、別個のシール部品として形成することができ、すなわち、シール要素6は、複数の部品で形成され、膨出部6.5及び管状部分6.3は、例えばハウジング2に別個に挿入された、互いに独立した部品である。
【0047】
具体的には図1及び図3から分かるように、シール要素6の管状部分6.3は、円錐形に設計されている。具体的には、管状部分6.3は、第2の端部6.2に向かって内向きにテーパー付けされるように形成され、すなわち、管状部分6.3の内径は、膨出部6.5から第2の自由端6.2に向かって減少する。具体的には図3から分かるように、管状部分6.3の内側のテーパーは、管状部分6.3の壁厚が第2の端部に向かって増加することで実現される。好ましくは、管状部分6.3の外面形状は、シール要素6の長手方向軸に関して回転対称形状に設計され、軸方向から見て、この長手方向軸に対して一定半径を有する。この管状部分6.3の形状により、シール要素6に挿入された配管接合部4は、円錐形状のシール要素によって、自由端側でしっかり密閉されることが保証され、管継手から突出する配管が曲がったとしても、配管接合部4の自由端又はシール要素6の後方に流れることを効果的に防止するようになっている。
【0048】
具体的には図1及び図3から分かるように、膨出部6.5は、そのすぐ近くの領域で、管状部分6.3の外面形状及び内面形状に対してそれぞれ外周側及び内周側の両方に突出する。これにより、膨出部6.5と管状部分6.3との間の移行領域の内側のシール要素6にビード部(リブ(ribbing))6.4が形成され、そのビード部の中に配管接合部の挿入中に変位(変形)した材料が逃げ込むことができる。変形したシール要素6は、図2に見ることができる。さらに、膨出部6.5の断面は、好ましくは、管状部分6.3の長さLよりも小さい直径dを有する。これは、配管が曲げられた場合に、シール要素6が同様に十分な気密性を有することを保証する。
【0049】
図4から分かるように、シール要素6をハウジング2に対して適切な位置に固定するために、戻り止め突起8をシール要素6の管状部分6.3の外周に追加的に形成することができる。戻り止め突起8は、例えば、外周の周りに延び、ハウジング2の対応する凹部にかみ合って係合するビード部によって形成することができる。
【0050】
図5は、シール要素6の変形例による実施形態を示す。図3によるシール要素6の実施形態と対照的に、管状部分6.3は、組み付けられていない場合(取り外されているとき)、第2の自由端6.2の方向に外側が円錐形に拡大し、すなわち、外径が自由端6.2の方向に増加する。組み付けられていない状態では、管状部分6.3の内面は、一定の又はほぼ一定の直径を有することができる。しかしながら、好ましくは、シール要素6は、管継手1のハウジング2内に組み付けられた場合(取り付けられているとき)、半径方向に据え込まれ(すなわち圧縮され)、シール要素6の組み込み状態において、第2の自由端に向かって内面上に円錐形のテーパーが存在することになる。
【0051】
図6は、図3による実施形態と同様のシール要素6の実施形態を示す。図3による実施形態との本質的な違いは、第2の自由端6.2の領域において、外側に、面取り部9が円周方向に延びるよう設けられていることである。面取り部9は、配管接合部が管状部分6.3に挿入された場合に、シール要素6の管状部分6.3が自由端側で外向きに傾くことができるという利点をもたらす。外向きに傾くことは、結果的に、止め部3.1に対する管状部分6.3の自由端の接触圧が増加することによって、ハウジング2の止め部3.1とシール要素6との間の接触面での気密性を高めるという利点を有する。
【0052】
本発明は、例示的な実施形態を参照して上述されているが、特許請求の範囲によって定められた保護範囲を逸脱することなく、多くの変形例及び変更例が可能であることが理解される。
【符号の説明】
【0053】
1 管継手
2 ハウジング
3 受け入れ空間
3.1 止め部
4 配管接合部
5 固定部材
5.1 爪
6 シール要素
6.1 第1の自由端
6.2 第2の自由端
6.3 管状部分
6.4 ビード部
6.5 膨出部
7 締め付けデバイス
7.1 スリーブ
7.2 支持リング
7.3 解放リング
8 戻り止め突起
9 面取り部
D 直径
E 入口開口
L 配管部品の長さ
LA 長手方向軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2022-04-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管接合部(4)のための受け入れ空間(3)を備えるハウジング(2)と、前記配管接合部(4)を前記ハウジング(2)に解放可能に固定するための固定部材(5)と、前記受け入れ空間(3)に配置され、前記受け入れ空間(3)に受け入れられた前記配管接合部(4)の自由端を外周上で取り囲むように設計され、結果的に前記ハウジング(2)と前記配管接合部(4)との間の接触面を流体密封シールするシール要素(6)と、を備える管継手であって、前記シール要素(6)は、第1の自由端(6.1)及び第2の自由端(6.2)を有するスリーブの形状に設計され、膨出部(6.5)が、前記第1の自由端に設けられ、管状部分(6.3)が、前記膨出部(6.5)から突出して、その端部側で前記第2の自由端(6.2)を形成し、前記シール要素(6)が少なくとも組み付けられた状態で、前記シール要素(6)の前記管状部分(6.3)が、前記第2の自由端(6.2)に向かって内側で円錐形にテーパー付けされるように設計される、ことを特徴とする管継手。
【請求項2】
前記膨出部(6.5)は、Oリングの形状を有する、請求項1に記載の管継手。
【請求項3】
前記管状部分(6.3)は、長手方向で見て、前記第2の自由端(6.2)の領域で一定の外径を有する、請求項1または請求項2に記載の管継手。
【請求項4】
前記シール要素(6)は、前記シール要素(6)を取り外した状態において、長手方向で見て、前記第2の自由端(6.2)に向かって円錐状に拡大する前記管状部分(6.3)の外径が、前記シール要素(6)を組み付けられた状態において径方向に圧縮されて、前記管状部分(6.3)の内径が縮小するように前記ハウジング(2)内に締め付けられた態様で保持されるよう構成されている、請求項1または請求項2に記載の管継手。
【請求項5】
前記管状部分(6.3)は、前記第2の自由端(6.2)に向かってその外側が円錐形にテーパー付けされる、請求項1または請求項2に記載の管継手。
【請求項6】
前記シール要素(6)の内側の円錐形のテーパーは、前記第2の端部(6.2)に向かって増大する前記管状部分の壁厚によって達成される、請求項1または請求項2に記載の管継手。
【請求項7】
前記シール要素(6)の前記管状部分(6.3)は、前記配管接合部(4)が前記受け入れ空間(3)に押し込まれる場合に、前記配管接合部(4)の前記自由端を案内し、半径方向に支持するように設計される、請求項1または請求項2に記載の管継手。
【請求項8】
ビード部(6.4)が、前記膨出部(6.5)と前記管状部分(6.3)との間の前記シール要素(6)の内側に設けられる、請求項1または請求項2に記載の管継手。
【請求項9】
前記管状部分(6.3)は、その外側に少なくとも1つの戻り止め突起(8)を有する、請求項1または請求項2に記載の管継手。
【請求項10】
前記戻り止め突起(8)は、周方向ビード部によって形成される、請求項9に記載の管継手。
【請求項11】
前記受け入れ空間(3)は、前記配管接合部(4)の前記自由端のための環状の止め部(3.1)を有し、前記環状の止め部(3.1)は、前記シール要素(6)の前記第2の自由端(6.2)のための止め部を形成する、請求項1または請求項2に記載の管継手。
【請求項12】
前記管状部分(6.3)の長さ(L)は、前記膨出部(6.5)の断面の直径(d)よりも大きい、請求項1または請求項2に記載の管継手。
【請求項13】
前記シール要素(6)は一体部品で形成され、又は、前記シール要素(6)は、前記膨出部(6.5)の形態の第1のシール要素部分と前記管状部分(6.3)の形態の第2のシール要素部分から形成される複数の部品で形成される、請求項1または請求項2に記載の管継手。
【請求項14】
面取り部(9)又は凹部が、前記管状部分(6.3)の自由端の領域において外側に設けられる、請求項1または請求項2に記載の管継手。