(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171607
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】液化ガス用貯蔵設備
(51)【国際特許分類】
F17C 3/04 20060101AFI20221104BHJP
B63B 25/16 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
F17C3/04 A
B63B25/16 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022072520
(22)【出願日】2022-04-26
(31)【優先権主張番号】2104511
(32)【優先日】2021-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】515220317
【氏名又は名称】ギャズトランスポルト エ テクニギャズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミショー エルワン
(72)【発明者】
【氏名】フーエル ピエール
(72)【発明者】
【氏名】ユアール ダヴィド
(72)【発明者】
【氏名】イヴェール エマニュエル
(72)【発明者】
【氏名】ジャーベル モハマド
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB04
3E172AB05
3E172AB11
3E172BA06
3E172BB02
3E172BB12
3E172BB17
3E172BD02
3E172EB10
3E172KA24
(57)【要約】 (修正有)
【課題】液化ガス用貯蔵設備を提供する。
【解決手段】本発明は、耐力構造と、天井壁を備えるタンクとを備える液化ガス用貯蔵設備であって、天井壁は、断熱障壁及び密閉膜を備え、貯蔵設備は、天井壁に作成された開口部を貫通する貫通構造(12)を備え、前記貫通構造(12)は、密閉膜に堅固に溶接され、固定装置によって耐力壁に固定される内筒(18)を備え、固定装置は、内筒(18)の周りに溶接された固定リング(20)と、前記内筒(18)の周りにかつ前記内筒(18)から離れて半径方向に延在し、前記耐力構造の前記上部耐力壁に溶接された固定カラー(21)と、内筒(18)の周りに延在し、一方では固定カラー(21)に、他方では固定リング(20)に溶接された支持外側チューブ(22)とを備える、液化ガス用貯蔵設備を提供する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化ガス用貯蔵設備(71)であって、耐力構造(3)と、前記耐力構造(3)内に配置された密閉断熱タンク(1)とを備え、前記耐力構造(3)は上部耐力壁(9)を備え、前記タンク(1)は天井壁(8)を備え、前記天井壁(8)は前記耐力構造(3)の前記上部耐力壁(9)に固定され、
前記天井壁(8)は、前記タンク(1)の外側から内側への厚さ方向に、少なくとも1つの断熱障壁(2、5)と、前記断熱障壁(2、5)によって支持され、前記タンク(1)に含有される流体と接触するように意図された少なくとも1つの密閉膜(4、6)とを備え、
前記貯蔵設備(71)は、前記天井壁(8)及び前記上部耐力壁(9)に作成された開口部(23)を貫通する貫通構造(12、13)を備え、
前記貫通構造(12、13)は、前記厚さ方向に延在し、前記上部耐力壁(9)及び前記天井壁(8)を貫通する内筒(18)を備え、前記内筒(18)は、前記密閉膜に堅固に溶接され、固定装置(19)によって前記上部耐力壁(9)に固定され、
前記固定装置(19)は、
-前記耐力構造(3)の前記上部耐力壁(9)の外側に配設され、前記内筒(18)の周りに溶接される固定リング(20)と、
-前記内筒(18)の周りにかつ前記内筒(18)から離れて半径方向に延在し、前記開口部の周りで前記耐力構造(3)の前記上部耐力壁(9)に溶接される固定カラー(21)と、
-前記内筒(18)の周りに延在し、一方では前記固定カラー(21)に、他方では前記固定リング(20)に溶接されて、前記内筒(18)の支持を確実にする支持外側チューブ(22)
とを備え、前記固定装置(19)は、前記内筒(18)の半径方向及び長手方向の収縮を可能にするように構成される、貯蔵設備(71)。
【請求項2】
前記固定カラー(21)は環状形態であり、前記耐力構造(3)の前記上部耐力壁(9)に溶接された外側輪郭と、前記内筒から距離を置いて位置する内側輪郭とを備え、前記外側チューブ(22)は、固定カラー部分(27)が前記外側チューブ(22)から前記内筒(18)に向かって突出するように、前記内側輪郭から距離を置いて前記固定カラー(21)に溶接される、請求項1に記載の貯蔵設備(71)。
【請求項3】
前記外側チューブ(22)及び前記内筒(18)は同軸であり、前記外側チューブ(22)は、前記厚さ方向において、前記固定カラー(21)と前記固定リング(20)との間に位置する、請求項1又は請求項2に記載の貯蔵設備(71)。
【請求項4】
前記固定リング(20)は、前記内筒(18)の周り全体に形成されて溶接された環状プレート(24)を備え、前記環状プレート(24)は、前記固定カラー(21)に平行な平面内に位置し、前記外側チューブ(22)の一端は、前記環状プレートに溶接される、請求項1から3のいずれか一項に記載の貯蔵設備(71)。
【請求項5】
不活性ガス吸気ダクト(35)を備え、前記不活性ガス吸気ダクトは、前記環状プレート及び前記固定カラー部分(27)において前記固定装置(19)を貫通し、それにより、前記内筒(18)又は前記耐力構造(3)の前記上部耐力壁(9)を貫通する必要なく前記断熱障壁を不活性ガスと接続する、請求項4に記載の貯蔵設備(71)。
【請求項6】
前記環状プレートは内側環状プレート(24)であり、前記固定リング(20)は、前記内筒の周り全体に形成されて溶接された外側環状プレート(25)を備え、前記外側環状プレート(25)は、前記内側環状プレート(24)に平行な平面内に位置し、前記固定リング(20)は、一方で前記内側環状プレート(24)に、他方で前記外側環状プレート(25)に固定された補剛材(26)を備え、前記補剛材(26)は、前記固定リング(20)を補剛するように前記内筒の周り全体に分布している、請求項4又は5に記載の貯蔵設備(71)。
【請求項7】
前記密閉膜は一次密閉膜(6)であり、前記断熱障壁は一次断熱障壁(5)であり、前記天井壁(8)は、前記タンク(1)の外側から内側への前記壁の前記厚さ方向に、前記上部耐力壁(9)に固定された二次断熱障壁(2)と、前記二次断熱障壁によって支持される二次密閉膜(4)とを備え、前記一次断熱障壁は前記二次密閉膜によって支持され、前記一次密閉膜は前記一次断熱障壁によって支持される、請求項1から6のいずれか一項に記載の貯蔵設備(71)。
【請求項8】
前記貫通構造(12、13)は、前記タンク(1)の内側に位置し、前記内筒(18)の周囲全体に溶接された接続カラー(38)を備え、前記一次密閉膜(6)は、前記内筒(18)から離れた位置で途切れ、接続プレートを介して前記接続カラー(38)の周り全体に溶接される、請求項7に記載の貯蔵設備(71)。
【請求項9】
前記二次密閉膜(4)は、前記内筒(18)から離れた位置で途切れ、前記二次密閉膜(4)は、前記内筒(18)の周り全体に延在する接続リング(36)を介して前記固定カラー(21)に固定される、請求項7又は8に記載の貯蔵設備(71)。
【請求項10】
前記固定カラー(21)の外面から前記タンク(1)の外側に向かって突出する円形補剛材(37)を備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の貯蔵設備(71)。
【請求項11】
前記貫通構造(12、13)は、ドーム型天井(28)を備え、前記ドーム型天井(28)は、前記タンク(1)から突出する前記内筒(18)の端部に固定される、請求項1から10のいずれか一項に記載の貯蔵設備(71)。
【請求項12】
前記貫通構造(12、13)は、液化ガス積み込みダクト(29)及び液化ガス積み出しダクト(30)のうちの少なくとも1つのダクトを備え、前記少なくとも1つのダクト(29、30)は、前記タンク(1)の内側に位置する端部を備えるように前記内筒(18)の内側において前記タンクの前記天井壁(8)を貫通し、前記貫通構造(12、13)の前記天井(28)は、前記内筒(18)の前記端部に溶接され、前記貫通構造(12、13)は、ドーム構造(12)を形成する、請求項11に記載の貯蔵設備(71)。
【請求項13】
前記天井(28)が、前記内筒(18)の前記端部に取り外し可能に固定され、前記貫通構造(12、13)が、マンホール構造(13)を形成する、請求項11に記載の貯蔵設備(71)。
【請求項14】
前記貫通構造(12、13)は第1の貫通構造(12、13)であり、前記開口部は第1の開口部であり、前記貯蔵設備(71)は、前記天井壁(8)及び前記上部耐力壁(9)に作成された前記第2の開口部を貫通する第2の貫通構造を備え、前記第2の開口部(12、13)は前記第1の開口部から離れており、前記第1の貫通構造(12、13)はドーム構造を形成し、前記第2の貫通構造(12、13)はマンホール構造を形成する、請求項1から13のいずれか一項に記載の貯蔵設備(71)。
【請求項15】
低温液体製品を輸送するための船舶(70)であって、二重船殻(72)と、前記二重船殻内に配設された請求項1から14のいずれか一項に記載の貯蔵設備(71)とを備える、船舶(70)。
【請求項16】
請求項15に記載の船舶(70)と、前記船舶の前記船殻内に設置された前記タンク(1)を浮体式若しくは陸上貯蔵設備(77)に連結するように配置された断熱パイプライン(73、79、76、81)と、前記断熱パイプラインを介して前記浮体式若しくは陸上貯蔵設備から前記船舶の前記タンク(1)へ、又は前記船舶の前記タンク(1)から前記浮体式若しくは陸上貯蔵設備へ、低温液体製品流を駆動するためのポンプとを備える、低温液体製品用移送システム。
【請求項17】
低温液体製品が、断熱パイプライン(73、79、76、81)を介して、浮体式若しくは陸上貯蔵設備(77)から前記船舶の前記タンク(1)へ、又は前記船舶の前記タンク(1)から浮体式若しくは陸上貯蔵設備(77)へ搬送される、請求項15に記載の船舶(70)の積み込み又は積み出しのための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜を有する密閉断熱タンクを備える液化ガス用貯蔵設備の分野に関する。特に、本発明は、例えば-50℃~0℃の温度を有する液化石油ガス(LPGとも呼ばれる)を輸送するための、又は大気圧で約-162℃で液化天然ガス(LNG)を輸送するためのタンクなど、低温で液化ガスを貯蔵及び/又は輸送するための密閉断熱タンクの分野に関する。これらのタンクは、陸上に又は浮体構造上に設置される場合がある。浮体構造の場合、タンクは、液化ガスを輸送するように、又は浮体構造の推進のための燃料として使用される液化ガスを受け入れるように意図される場合がある。
【背景技術】
【0002】
文献KR20140088975は、船舶の二重船殻によって形成された耐力構造と、耐力構造の内部に収容された密閉断熱タンクとを備える液化ガス用貯蔵設備を開示している。貯蔵設備は、タンクの内部空間と貯蔵設備の外部との間に循環経路を画定するように意図された貫通構造を備える。
【0003】
貫通構造は、二重船殻の外殻を貫通し、二重船殻の内殻に溶接された外筒と、外筒の内側に延在し、タンクの一次密閉膜に堅固に接続された内筒と、内筒と外筒との間に配設された中間断熱空間とを備える。
【0004】
外筒は、その上端に、外側に折り畳まれ、取り外し可能なカバーを受け入れるリップからなる組み立てフランジを備える。内筒及び断熱中間空間は、内筒の上端まで延在せず、2つのダクトが、外筒の上部領域において、内筒及び断熱中間空間の上方で外筒を半径方向に貫通する。内筒は、その上端で外筒に固定される。
【0005】
このような貫通構造は十分に満足できるものではない。実際、その配置及びその設計を考えると、そのような貫通構造は組み立てが複雑であり、貯蔵設備内にかなりの空間を必要とし、液化ガスの通過中の熱収縮/膨張に関連する応力を切り離すことができず、この文書の貫通構造はこれらの応力を耐力構造に直接伝達してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】KR20140088975
【特許文献2】WO14057221
【特許文献3】FR2691520
【特許文献4】FR2877638
【発明の概要】
【0007】
本発明が基礎とする1つの考えは、貫通構造を単純化しながら、耐力構造及びタンクへのその組み立てを強化することである。
【0008】
本発明が基礎とする別の考えは、貫通構造の熱収縮/膨張に関連する応力の耐力構造への伝播を制限することである。
【0009】
一実施形態によれば、本発明は、耐力構造と、耐力構造内に配置された密閉断熱タンクとを備える液化ガス用貯蔵設備であって、耐力構造は上部耐力壁を備え、タンクは天井壁を備え、天井壁は耐力構造の上部耐力壁に固定され、
天井壁は、タンクの外側から内側への厚さ方向に、少なくとも1つの断熱障壁と、断熱障壁によって支持され、タンクに含有される流体と接触するように意図された少なくとも1つの密閉膜とを備え、
貯蔵設備は、耐力構造の天井壁及び上部耐力壁に作成された開口部を貫通する貫通構造を備え、
貫通構造は、前記厚さ方向に延在し、上部耐力壁及び天井壁を貫通する内筒を備え、前記内筒は、密閉膜に堅固に溶接され、固定装置によって上部耐力壁に固定され、
そして、固定装置は、
-耐力構造の上部耐力壁の外側に配設され、内筒の周りに溶接された固定リングと、
-内筒の周りにかつ内筒から距離を置いて半径方向に延在し、開口部の周りで耐力構造の上部耐力壁に溶接される固定カラーと、
-内筒の周りに延在し、一方では固定カラーに、他方では固定リングに溶接されて、それにより、内筒の支持を確実にする支持外側チューブであって、固定装置は、内筒の半径方向及び長手方向の収縮を可能にするように構成される、支持外側チューブと
を備える、液化ガス用貯蔵設備を提供する。
【0010】
これらの特徴により、貫通構造は、特に単一の筒のみを備えることによって、及び組み立てられる要素の数を減らすことによって単純化される。さらに、そのサイズは、内筒を覆う外筒がないことによって縮小され、その組み立て及び取り扱いを容易にする。最後に、固定装置により、液化ガスの通過中に内筒の熱収縮/膨張に関連する応力を吸収することが可能になり、これにより、耐力構造及び/又は貫通構造の応力を低減することが可能になる。
【0011】
したがって、厚さ方向は、天井壁の厚さ方向であると定義される。
【0012】
実施形態によれば、そのような設備は、以下の特徴のうちの1つ又は複数を含んでもよい。
【0013】
一実施形態によれば、固定カラーは平坦である。
【0014】
一実施形態によれば、上部耐力壁は、互いに溶接された複数の耐力金属シートを備え、少なくとも1つの耐力金属シートが前記開口部を境界付け、固定カラーは前記少なくとも1つの耐力金属シートに溶接される。
【0015】
一実施形態によれば、固定カラーは、前記開口部を境界付ける少なくとも1つの耐力金属シートと同じ平面内に形成される。
【0016】
一実施形態によれば、固定カラーは、前記少なくとも1つの耐力金属シートと重複して溶接される。
【0017】
一実施形態によれば、固定カラーは環状形態であり、耐力構造の上部耐力壁に溶接された外側輪郭と、内筒から距離を置いて位置する内側輪郭とを備え、外側チューブは、固定カラー部分が外側チューブから内筒に向かって突出するように、内側輪郭から距離を置いて固定カラーに溶接される。
【0018】
一実施形態によれば、固定カラーは、いくつかのプレートからなるアセンブリによって形成される。
【0019】
一実施形態によれば、外側チューブ及び内筒は同軸であり、外側チューブは、厚さ方向において固定カラーと固定リングとの間に位置する。外側チューブ及び/又は内筒は、例えば、圧延された金属シートを使用して製造される。
【0020】
一実施形態によれば、外側チューブは、固定リングに溶接された上端と、固定フランジに溶接された下端とを備える。
【0021】
一実施形態によれば、固定リングは、内筒の周り全体に形成されて溶接された環状プレートを備え、環状プレートは、固定カラーに平行な平面内に位置し、外側チューブの一端は、環状プレートに溶接されている。
【0022】
一実施形態によれば、貯蔵設備は、不活性ガス投入ダクトを備え、不活性ガス投入ダクトは、断熱障壁が不活性ガスと接続するように固定装置を貫通する。
【0023】
したがって、不活性ガス投入ダクトは、固定装置を貫通する際に、内筒、上部耐力壁を貫通することを回避することを可能にし、そして、二次密閉膜が存在する場合には、二次密閉膜を貫通する必要なく、断熱障壁に到達するのに必要な交差回数を制限することを可能にし、この障壁内に不活性雰囲気を生成することを可能にする。
【0024】
一実施形態によれば、不活性ガス投入ダクトは、環状プレート及び前記固定カラー部分において固定装置を貫通する。
【0025】
一実施形態によれば、不活性ガス投入ダクトは、外側チューブ及び前記固定カラー部分において固定装置を貫通する。
【0026】
一実施形態によれば、環状プレートは内側環状プレートであり、固定リングは、内筒の周り全体に形成されて溶接された外側環状プレートを備え、外側環状プレートは、内側環状プレートに平行な平面内に位置し、固定リングは、一方では内側環状プレートに、他方では外側環状プレートに固定された補剛材を備え、補剛材は、固定リングを補剛するように内筒の周り全体に分布する。
【0027】
一実施形態によれば、密閉膜は一次密閉膜であり、断熱障壁は一次断熱障壁であり、天井壁は、タンクの外側から内側への壁の厚さ方向に、上部耐力壁に固定された二次断熱障壁と、二次断熱障壁によって支持される二次密閉膜とを備え、前記一次断熱障壁は二次密閉膜によって支持され、前記一次密閉膜は一次断熱障壁によって支持される。
【0028】
一実施形態によれば、貫通構造は、タンクの内側に位置し、内筒の周り全体に溶接された接続カラーを備え、一次密閉膜は、内筒から離れた位置で途切れ、接続プレートを介して接続カラーの周り全体に溶接される。
【0029】
一実施形態によれば、二次密閉膜は、内筒から離れた位置で途切れ、密閉膜は、内筒の周り全体に延在する接続リングを介して固定カラーに固定される。
【0030】
一実施形態によれば、貯蔵設備は、固定カラーの外面からタンクの外側に向かって突出する円形補剛材を備える。
【0031】
一実施形態によれば、円形補剛材及び接続リングは同軸で、同じ直径であるので、円形補剛材はタンクの外側に接続リングの延長部を形成する。
【0032】
一実施形態によれば、貫通構造は天井を備え、天井はタンクから突出する内筒の一端に固定される。
【0033】
一実施形態によれば、天井はドーム型である。
【0034】
したがって、ドーム型天井により、貫通構造は、タンクの内圧をより良好に支持することが可能になる。
【0035】
一実施形態によれば、タンクは、その使用において、0バール(1.01×105Pa)~3バール(3.01×105Pa)の内圧に曝される。
【0036】
一実施形態によれば、貫通構造は、液化ガス積み込みダクト及び液化ガス積み出しダクトのうちの少なくとも1つのダクトを備え、少なくとも1つのダクトは、タンクの内側に位置する端部を備えるように内筒の内側のタンクの天井壁を貫通し、貫通構造の天井は内筒の端部に溶接され、貫通構造はドーム型構造を形成する。
【0037】
一実施形態によれば、内筒及び天井は、上部耐力壁から突出する外面を備え、前記外面は、少なくとも部分的に、好ましくは全体的に、断熱パッキンで覆われる。
【0038】
一実施形態によれば、前記少なくとも1つのダクトは、貫通構造の内筒又は天井を貫通する。
【0039】
一実施形態によれば、前記少なくとも1つのダクトは、貫通構造の外側に位置するダクト部分を備え、前記ダクト部分は、少なくとも部分的に断熱パッキンで覆われた外面を備える。
【0040】
一実施形態によれば、固定リングの補剛材は、断熱パッキンによって互いに離間される。
【0041】
一実施形態によれば、天井は、内筒の前記端部に取り外し可能に、例えばねじ止めによって固定され、貫通構造はマンホール構造を形成する。
【0042】
一実施形態によれば、内筒及び天井は、上部耐力壁から突出する内面を備え、前記外面は、断熱パッキンで少なくとも部分的に覆われる。好ましくは、天井の内面は、断熱パッキンによって全体的に覆われる。
【0043】
一実施形態によれば、マンホール構造の天井には、少なくとも1つのレベルセンサが貫通している。
【0044】
一実施形態によれば、貫通構造は第1の貫通構造であり、開口部は第1の開口部であり、貯蔵設備は、天井壁及び上部耐力壁に作成された、第2の開口部を貫通する第2の貫通構造を備え、第2の開口部は第1の開口部から離れており、第1の貫通構造はドーム構造を形成し、第2の貫通構造はマンホール構造を形成する。
【0045】
一実施形態によれば、二次断熱障壁は、複数の並置された平行六面体断熱ブロックを備え、二次密閉膜は、複数の平行なストレーキを備え、ストレーキは、二次断熱障壁の断熱ブロックの上面に載置された平坦な中央部分と、中央部分に対して一次密閉膜に向かって突出する2つの隆起縁部とを備え、ストレーキは、繰り返しパターンに従って並置され、隆起縁部で互いに堅固に溶接され、二次断熱障壁の断熱ブロックに固着された固着ウイングは、並置されたストレーキの間に配置されて、二次密閉膜を二次断熱障壁上に保持する。
【0046】
一実施形態によれば、二次密閉膜は、0.5×10-6~7.5×10-6K-1の熱膨張係数を有する金属合金で形成される。
【0047】
一実施形態によれば、一次密閉膜は、シートの連続層を形成するように互いに組み立てられた波形ステンレス鋼シートからなり、シートの連続層は、2つの互いに直角の一連の波形を有する。
【0048】
一実施形態によれば、固定装置はステンレス鋼から製作される。
【0049】
そのような貯蔵設備は、例えばLNGを貯蔵するための陸上貯蔵設備であってもよく、又は浮体式、沿岸式若しくは深海構造、特にメタンタンカー、浮体式貯蔵再ガス化設備(FSRU)、浮体式生産貯蔵沖合設備(FPSO)などに設置されてもよい。そのような貯蔵設備はまた、任意のタイプの容器内の燃料タンクとして機能することもできる。
【0050】
一実施形態によれば、低温液体製品を輸送するための船舶は、二重船殻と、二重船殻内に配設された上述の貯蔵設備とを備える。
【0051】
一実施形態によれば、本発明はまた、低温液体製品の移送システムを提供し、システムは、上述の船舶と、船舶の船殻内に設置されたタンクを外部浮体式又は陸上貯蔵設備に連結するように配置された断熱パイプラインと、断熱パイプラインを通る低温液体製品流を、外部浮体式又は陸上貯蔵設備から船舶のタンクへ、又は船舶のタンクから外部浮体式又は陸上貯蔵設備へと駆動するためのポンプとを備える。
【0052】
一実施形態によれば、本発明はまた、そのような船舶に積み込み又は積み出しするための方法を提供し、低温液体製品は、断熱パイプラインを介して、外部の浮体式若しくは陸上貯蔵設備から船舶のタンクへ、又は船舶のタンクから外部の浮体式若しくは陸上貯蔵設備へ搬送される。
【0053】
添付の図面を参照して、純粋に例示的かつ非限定的な方法で与えられる本発明のいくつかの特定の実施形態の以下の説明から、本発明はよりよく理解され、その他の目的、詳細、特徴及び利点はより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】
図1は、天井壁の上にドーム構造及びマンホール構造を備える、第1の実施形態による貯蔵設備の部分断面図を表す。
【0055】
【
図2】
図2は、ドーム構造を表す、
図1の細部IIの切断斜視図である。
【0056】
【
図3】
図3は、ドーム構造を表す、
図1の細部IIの断面図である。
【0057】
【
図4】
図4は、マンホール構造を表す、
図1の詳細IVの断面図である。
【0058】
【
図5】
図5は、第2の実施形態によるマンホール構造の部分断面図である。
【0059】
【
図6】
図6は、一実施形態による不活性ガス投入ダクトが貫通している固定装置の断面図であり、天井壁が表されている。
【0060】
【
図7】
図7は、他の実施形態による不活性ガス投入ダクトが貫通している固定装置の断面図である。
【0061】
【
図8】
図8は、貯蔵設備と、このタンクに積み込み/積み出しするためのターミナルとを備えるメタンタンカーの断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
本出願では、「内側」及び「外側」という用語は、タンクの内側に対する貯蔵設備の要素の相対位置を指定し、いわゆる内側要素は、いわゆる外側要素よりもタンクの内部に近い。
【0063】
液化ガス用貯蔵設備71は、例えば
図8に表すように船舶70の二重船殻72によって形成された耐力構造3と、
図1に表すように耐力構造3の内部に収容されたタンク1とを備える。
【0064】
タンク1は、液化ガスを貯蔵することを可能にする膜を有するタンクである。タンク1は、特に
図5に表される多層構造を有し、壁の厚さ方向の外側から内側に、耐力構造3に載置された断熱要素を備える二次断熱障壁2と、二次断熱障壁2に載置された二次密閉膜4と、二次密閉膜4に載置された断熱要素を備える一次断熱障壁5と、タンク1に含有される液化ガスと接触するように意図された一次密閉膜6とを備える。一次密閉膜6は、液化ガスを受け入れるように意図された内部空間7を画定する。一例として、膜を有するそのようなタンクは、本出願人によって開発されたMark V(登録商標)、Mark III(登録商標)及びNO 96(登録商標)技術をそれぞれ対象とする特許出願WO14057221、FR2691520及びFR2877638に特に記載されている。
【0065】
図6に示す実施形態では、二次密閉膜4は複数の平行なストレーキを備える。各ストレーキは、二次断熱障壁2の断熱要素の上面に載置される平坦な中央部分と、中央部分に対して一次密閉膜6に向かって突出する2つの隆起縁部とを備える。ストレーキは、繰り返しパターンに従って並置され、隆起縁部において互いに堅固に溶接される。二次断熱障壁2の断熱要素に固着された固着ウイングは、並置されたストレーキの間に配置されて、二次密閉膜4を二次断熱障壁2上に保持する。一次密閉膜6は、金属シートの連続層を形成するように互いに組み立てられた波形ステンレス鋼シートからなる。連続金属シート層は、2つの互いに直角の一連の波形を有する。
【0066】
タンク1内に貯蔵されるように意図された液化ガスは、特に、液化天然ガス(LNG)、すなわち、大部分がメタン及び1種又は複数の他の炭化水素を含むガス状混合物であってもよい。液化ガスはまた、エタン又は液化石油ガス(LPG)、すなわちプロパン及びブタンを本質的に含む油の精製物に由来する炭化水素の混合物であってもよい。
【0067】
タンク1は、特に、耐力構造3の上部耐力壁9に固定された天井壁8と、耐力構造3の下部耐力壁11に固定された底壁10とを備える多面体タンクである。
【0068】
図1は、天井壁8の一部及び底壁10の対応する部分のみが表されている貯蔵設備71の一部を表す。
【0069】
図1に見られるように、貯蔵設備71は、天井壁8及び上部耐力壁9に作成された開口部14、15を貫通する2つの貫通構造12、13を備える。第1の貫通構造は、第1の開口部14を貫通するドーム構造12であり、第2の貫通構造は、第2の開口部15を貫通するマンホール構造である。第1の開口部14及び第2の開口部15は、
図1に表すように互いに距離を置いている。
【0070】
ドーム構造12は、特に、液化ガス積み込み及び積み出しダクト14、15のための天井壁8の堅固な交差部を提供することを可能にする。マンホール構造13は、それに関する限り、例えば修理作業のために、オペレータに対してタンク1の内部空間7に通じるアクセスを保持することを可能にする。
【0071】
したがって、積み込みダクト14及び積み出しダクト15は、タンク1の内部空間7から液化ガスを積み込み又は積み出しするために、タンク1の内部空間7に現れる。さらに、
図1に見られるように、支持脚部16が設けられ、底壁10に固定され、そして支持脚部16には、積み込み及び積み出しダクト14、15の端部を取り囲む案内装置17が設けられ、それにより、ドーム構造12の軸線内に積み込み及び積み出しダクト14、15を保持する。
【0072】
貫通構造12、13、特に耐力構造3への貫通構造の固定に関しては、以下でより詳細に説明する。
【0073】
図2及び
図3は、ドーム構造12をより詳細に表し、
図4及び
図5は、マンホール構造13をより詳細に表す。
【0074】
貫通構造、すなわち以下に説明するドーム構造12及びマンホール構造13は、実質的に同様の構造を有し、それらの使用、それらを貫通する要素、及び潜在的にはそれらの寸法によってのみ互いに異なる。また、マンホール構造13には、ドーム構造12とは異なり、着脱可能なカバーが設けられる。
【0075】
したがって、貫通構造12、13は、壁の厚さ方向に延在し、上部耐力壁9及び天井壁8を貫通する内筒18を備える。内筒18は、円形断面を有する円筒形である。内筒18は、一次密閉膜6に堅固に溶接され、固定装置19によって上部耐力壁9に溶接される。
【0076】
固定装置19は、
-上部耐力壁9の外側に配設され、内筒18の周りに溶接された固定リング20と、
-内筒18の周りにかつ内筒18から距離を置いて半径方向に延在し、開口部23の周りで上部耐力壁9に溶接される固定カラー21と、
-内筒18の周りに延在し、一方では固定カラー21に、他方では固定リング20に溶接されて、内筒18の支持を確実にする支持外側チューブ22と
を備える。
【0077】
固定装置19は、内筒18の半径方向及び長手方向の収縮を可能にする。実際、例えば、内部の液化ガスの通過に関連して内筒18が収縮する場合、固定装置19は、それ自体が変形することによって内筒18の変形に追従して、上部耐力壁9、溶接部、又は内筒18の応力を制限する。
【0078】
図2から
図5に見られるように、固定リング20は、内筒18の周り全体に形成されて溶接された内側環状プレート24及び外側環状プレート25を備える。環状プレート24は、固定カラー21に平行な平面内に位置し、互いに距離を置いている。外側チューブ22の一端は、内側環状プレート24に溶接される。固定リング20は、一方では内側環状プレート24に、他方では外側環状プレート25に固定された補剛材26をさらに備える。補剛材26は、例えば、環状プレート24、25に直交する平面内に形成されたプレートであり、補剛材の片側は内筒18と接触する。補剛材26は、固定リング20を補剛するように内筒18の周り全体に分布している。
【0079】
固定カラー21は、開口部23を境界付ける少なくとも1つの耐力金属シートと同じ平面に形成された平板からなり、上部耐力壁9上の前記少なくとも1つの耐力金属シートに溶接される。固定カラー21は、環状形態であり、上部耐力壁9に溶接された外側輪郭と、内筒18から距離を置いて位置する内側輪郭とを備える。外側チューブ22は、固定カラー部分27が外側チューブ22上で内筒18に向かって突出するように、内側輪郭から距離を置いて固定カラー21に溶接される。これにより、外側チューブ22の固定カラー21への溶接を容易にすることができる。
【0080】
上部耐力壁9への固定カラー21の固定を補助するために、支持タブ39が、貫通構造12、13の固定中に上部耐力壁9上に置かれるように、固定カラー21の周り全体に固定され、固定カラー21の外側輪郭から内筒18とは反対の方向に突出する。
【0081】
ドーム構造12の特定の特徴に関して、後者は、
図2及び
図3により詳細に示されている。ドーム構造12は、タンク1から突出する内筒18の端部に溶接されたドーム型天井28を備える。したがって、ドーム構造12の場合、天井28と内筒18とは、固定後に互いに解離不能である。内筒18及び天井28は、タンク1の断熱との熱的連続性を形成するために、上部耐力壁から突出するそれらの外面上で断熱パッキン40によって覆われている。
【0082】
図1から
図3に示す実施形態では、ドーム構造12は、液化ガス積み込みダクト29及び液化ガス積み出しダクト30を備える。積み出しダクト30は、タンク1の内部空間7に到達するために、天井28を貫通し、内筒18の内部に続く。積み込みダクト29は、タンクの内部空間7に到達するために、内筒18を貫通し、内筒18の内部に続く。この実施形態では、ドーム構造はまた、タンク1内の液化ガスのレベルを測定することを可能にするレベルセンサ34と、安全ダクト42とを備えてもよい。
【0083】
図示されていない別の実施形態では、ドーム構造12は、レベルセンサ及び安全ダクトの代わりに、内部空間7を冷却するためにタンク1の積み込み前に液化ガスをタンク1内に噴霧することを可能にする液化ガス噴霧システムと、例えば船舶の推進システム又は再液化ユニットに運ぶために、内部空間7から気相のガスを排出することを可能にする蒸気排出ダクトとを備えてもよい。
【0084】
マンホール構造13の特定の特徴に関して、後者は、2つの変形実施形態による
図4及び
図5により詳細に示されている。マンホール構造13は、例えばボルト締めストラップによって形成された固定システム31を使用して、タンク1から突出する内筒18の端部に取り外し可能に固定されたドーム型天井28を備える。したがって、マンホール構造13の場合、天井28は、内筒18上に位置するマンホール構造13のカバーを形成する。
【0085】
図4に示す実施形態では、マンホール構造13は、内部空間7を冷却するためにタンク1の積み込み前に液化ガスをタンク1内に噴霧することを可能にする液化ガス噴霧システム32と、例えば船舶の推進システム又は再液化ユニットに運ぶために、蒸気相のガスを内部空間7から排出することを可能にする蒸気排出ダクト33とを備える。噴霧システム32及び蒸気排出ダクト33は、天井に固定されることによって天井28を貫通し、続いて内筒18に入り、タンク1の内部空間7に到達する。例えば修理中に天井28を取り外す際には、噴霧システム32及び蒸気排出ダクト33も取り外される。
【0086】
図5に示す実施形態では、マンホール構造13は、タンク1内の液化ガスのレベルを測定することを可能にするレベルセンサ34と、安全ダクト(図示せず)とを備える。レベルセンサ34は、天井28を貫通し、内筒18の内側に部分的に位置する。レベルセンサ34は、例えば、タンク1の底部に向けられた光学センサである。例えば修理中に天井28を取り外す際には、レベルセンサ34も取り外される。
【0087】
特に液化ガスを不活性化するために、及び/又は密閉膜4、6のうちの1つにおける漏れを検出するために、窒素などの不活性ガスが液化ガスタンク1の断熱障壁2、5を通過する。これらの障壁2、5の内部にこの不活性ガスを加えるために、貯蔵設備71は、
図5及び
図6に示すように、固定装置19を貫通する少なくとも1つの不活性ガス投入ダクト35を備える。
【0088】
図6に示す変形例では、不活性ガス投入ダクト35は、内側環状プレート24及び固定カラー部分27で固定装置19を貫通するが、
図7に示す変形例では、不活性ガス投入ダクト35は、外側チューブ22及び固定カラー部分27で固定装置19を貫通する。
【0089】
図6はまた、一次密閉膜6及び二次密閉膜4のクロージャが貫通構造12、13上にどのように製造されるかを示すことを可能にする。
【0090】
実際、二次密閉膜4は、内筒18から離れた位置で途切れ、内筒18の周り全体にわたって接続リング36を介して固定カラー21に固定される。したがって、二次密閉膜4は、内筒18の周り全体にわたって接続リング36に溶接される。
【0091】
さらに、円形補剛材37が、固定カラー21の外面から外側に突出している。図示の実施形態では、円形補剛材37は、接続リング18の延長部に延在する。
【0092】
一次密閉膜6もまた、内筒18から離れた位置で途切れている。貫通構造12、13は、タンク1の内部空間7に位置し、内筒18の周り全体に溶接された接続カラー38を備える。一次密閉膜6は、接続カラー38の全体に直接溶接される。図示されていない別の実施形態では、一次密閉膜6は、接続プレートを介して接続カラー38に溶接されてもよい。
【0093】
図6では、二次断熱障壁2及び一次断熱障壁5の断熱要素が概略的に表されている。これらの断熱要素は、例えば、繊維強化ポリウレタンフォームなどのポリマー発泡体の層によって形成されてもよく、これに合板製の上部シート及び/又は合板の下部シートが固定されてもよい。
【0094】
寸法例:
-内筒18の直径:約1160mm、
-タンク1の外側へのドーム構造12の突出高さ:約1420mm、
-タンク1の外側へのマンホール構造13の突出高さ:約1400mm、
固定カラー21の外径:約1970mm。
【0095】
図8を参照すると、メタンタンカー70の断面図が、船舶の二重船殻72内に取り付けられた略角柱形状の密閉断熱タンク1を示している。二重船殻72は、内殻及び外殻を備える。タンク1の壁は、タンクに含有されるLNGと接触するように意図された一次密閉膜と、一次密閉膜と船舶の二重船殻72との間に配置された二次密閉膜と、一次密閉膜と二次密閉膜との間及び二次密閉膜と二重船殻72との間にそれぞれ配置された2つの断熱障壁とを備える。
【0096】
公知であるように、LNGの貨物をタンク1から又はタンク1に移送するために、船舶の上部デッキに配設された積み込み/積み出しパイプライン73は、適切なコネクタによって海上又は港湾ターミナルに接続される場合がある。
【0097】
図8は、積み込み及び積み出しステーション75と、海底ダクト76と、陸上設備77とを備える海上ターミナルの例を表す。積み込み及び積み出しステーション75は、可動アーム74と、可動アーム74を支持するライザ78とを備える固定された沖合設備である。可動アーム74は、積み込み/積み出しパイプライン73に接続することができる断熱可撓性パイプ79の束を担持する。配向可能な可動アーム74は、すべてのメタンタンカーテンプレートに適合する。ライザ78の内部には、表示していないリンクダクトが延在している。積み込み及び積み出しステーション75は、陸上設備77からの、又は陸上設備77へのメタンタンカー70の積み込み及び積み出しを可能にする。陸上設備77は、液化ガス貯蔵タンク80と、海底ダクト76によって積み込み及び積み出しステーション75に連結された連結ダクト81とを備える。海底ダクト76は、積み込み又は積み出しステーション75と陸上設備77との間で長距離、例えば5kmにわたって液化ガスを移送することを可能にし、これにより、積み込み及び積み出し作業中にメタンタンカー70を海岸から長距離に保つことが可能になる。
【0098】
液化ガスの移送に必要な圧力を生成するために、船舶70に埋め込まれたポンプ及び/又は陸上設備77に装備されたポンプ及び/又は積み込み及び積み出しステーション75に装備されたポンプが実装される。
【0099】
本発明をいくつかの特定の実施形態に関連して説明してきたが、本発明は決してそれらに限定されず、記載された手段のすべての技術的等価物及びそれらの組み合わせを、後者が本発明の枠組み内に含まれる限り、包含することは、極めて明白である。
【0100】
動詞「備える(comprise)」又は「含む(include)」、及びその活用形の使用は、請求項に記載されたもの以外の要素又はステップの存在を排除するものではない。
【0101】
特許請求の範囲において、括弧の間のいかなる参照符号も、特許請求の範囲の限定として解釈されるべきではない。
【外国語明細書】