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特開2022-171616容器付きテストストリップ・アセンブリ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171616
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】容器付きテストストリップ・アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/02 20060101AFI20221104BHJP
【FI】
G01N35/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022073417
(22)【出願日】2022-04-27
(31)【優先権主張番号】10 2021 111 102.1
(32)【優先日】2021-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】518174488
【氏名又は名称】アエネアス・ゲーエムベーハー・ウント・コ・カーゲー
【氏名又は名称原語表記】Aeneas GmbH & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トルステン、マティアス
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058CC01
2G058CC14
2G058CC17
2G058CD21
2G058CE02
2G058EA08
2G058GA01
2G058GC02
2G058GC05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】キャビティを有するテストストリップアセンブリ、主に試料または試薬を分析するために使用されるテストストリップアセンブリを改良する。特に、使用される試薬または試料ができるだけ損失なく処理される配置を提供する。
【解決手段】テストストリップアセンブリ10は、異なる種類の化学的、生物学的または生化学的試験を実施し、適切な分析装置を用いてそれらを評価するのに適しており、テストストリップアセンブリ10は、少なくとも1つの容器20を有する第1領域30と、少なくとも1つの容器20を有する第2領域40を有し、前記第1領域30の前記容器20は透明で平坦な底を備え、前記第2領域40の前記容器20はV字形またはU字形の底を備えている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器(20)を有するテストストリップアセンブリ(10)であり、
前記テストストリップアセンブリ(10)は、少なくとも1つの容器を有する第1領域(30)と、少なくとも1つの容器(20)を有する第2領域(40)を有し、
前記第1領域(30)の前記容器(20)は透明で平坦な底(50)を有し、前記第2領域の前記容器(20)がV字形又はU字形の底(60)を有する、テストストリップアセンブリ(10)。
【請求項2】
前記第1領域(30)及び前記第2領域(40)の前記容器(20)がリム(70)を有し、
前記第2領域(40)の前記リム(71)が前記第1領域(30)のそれよりも高く、及び/又は、前記第2領域(40)の前記容器(20)がフィルム(80)を用いて閉じられている、請求項1に記載のテストストリップアセンブリ(10)。
【請求項3】
前記テストストリップアセンブリ(10)は、前記第1領域(30)の前記底部(50)を除いて、不透明、光透過性、又は透明な材料からなる、先行する請求項のいずれか1項に記載のテストストリップアセンブリ(10)。
【請求項4】
前記第2領域(40)の全体または一部が、不透明、光透過性、又は透明な材料からなる、先行する請求項のいずれか1項に記載のテストストリップアセンブリ(10)。
【請求項5】
前記テストストリップアセンブリ(10)又は前記フィルム(80)は、前記テストストリップアセンブリ(10)を識別するためのバーコード(90)を有する、先行する請求項のいずれか1項に記載のテストストリップアセンブリ(10)。
【請求項6】
横方向ガイドウェブ(100)を有する、先行する請求項のいずれか1項に記載のテストストリップアセンブリ(10)。
【請求項7】
上から見た前記テストストリップアセンブリ(10)は、前記第2領域(40)から前記第1領域(30)に向かって先細りになっている、又は前記第2領域(40)においてガイドウェブ(100)が延びていない部分を有している、先行する請求項のいずれか1項に記載のテストストリップアセンブリ(10)。
【請求項8】
前記テストストリップアセンブリ(10)は、片側にクランプバネ(110)を有するクランプを有し、及び/又はラグ(150)を有する、先行する請求項のいずれか1項に記載のテストストリップアセンブリ(10)。
【請求項9】
前記テストストリップアセンブリ(10)は、前記第2領域(40)の前記容器(20)内に位置し、前記フィルム(80)によって密封されているテスト試薬を有する、先行する請求項のいずれか1項に記載のテストストリップアセンブリ(10)。
【請求項10】
前記フィルム(80)が、ピペットチップを使用して突き刺すことができるように製造されている、先行する請求項のいずれか1項に記載のテストストリップアセンブリ(10)。
【請求項11】
前記テストストリップストリップアセンブリ(10)は、前記テストストリップアセンブリ(10)の前記クランプ(110)又はガ前記イドウェブ(100)によって、再びキャリア(120)内に解放可能に固定され、前記テストストリップストリップアセンブリ(10)は、一致する前記キャリア(120)内のガイドレール(140)または凹部に導入されている、請求項1乃至10に記載のテストストリップアセンブリ(10)用キャリア(120)。
【請求項12】
前記キャリア(120)は、バネ(130)をさらに有し、前記バネ(130)により、ガイドレール(140)によって前記キャリア(120)内に導入された前記テストストリップアセンブリ(10)が再び解放可能に固定される、請求項11に記載のキャリア(120)。
【請求項13】
前記キャリア(120)は、長方形、円、または円のセグメントの形状である、請求項11または12のうちの1つに記載のキャリア(120)。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細】
【0001】
本発明は、容器およびこの目的に適したキャリアを有するテストストリップ(試験片)システムに関するものである。このテストストリップアセンブリ(試験片組立体)は、様々な種類の化学的、生物学的、または生化学的試験を実施し、適切な分析装置を用いてそれらを評価するのに適している。
【0002】
このようなテストストリップシステムは、従来技術から多数知られている。しかしながら、これらのテストストリップシステムのほとんどは、均一な形状を有している。すなわち、均一に形成された数の容器があり、これらの容器は、連続して配置され、通常、小さなウェブまたはブリッジによって互いに接続されている。このような集合体は、分析および診断研究所において、とりわけPCRポリメラーゼ連鎖反応系においてしばしば使用される。またはELISAを検出するための反応容器として使用される。ストリップシステムは、とりわけ、白または黒に着色されているか、またはここでは透明である。これにより、試薬によって刺激された反応、またはまた光または他の放射線によって刺激された反応は、テストストリップの容器内で可視化することができ、または例えば適切なフィルタによって分析することが可能である。このようなテストストリップシステムを収容する容器は、通常、同じ幾何学的デザインである。容器は、通常、底部の領域で円錐形及び半円形の形状を有する、又は底部の領域で完全に平坦であり、円筒形の構成を有している。円錐形や半円形の形状は、試薬の混合時や実験開始時にサンプルや試薬の体積を無駄にしたり、失ったりすることが少ないという利点がある。しかしながら、円錐形および半円形の形状は、迷光、干渉、または同様の現象が円錐形状の底部の領域で発生する可能性があるので、検出には特に適していない。さらに、容器底部は、通常、抗体または抗原などの特別な非生物的または生物学的コーティングがされている。これは、今度は、円錐形状の場合では、より困難またはほとんど不可能であることがある。さらに、円錐形の形状をコーティングする際の、例えば蛍光現象または色の変化の評価は、困難であるか、または不可能でさえある。
【0003】
したがって、本発明は、キャビティを有するテストストリップアセンブリ、主に試料または試薬を分析するために使用されるテストストリップアセンブリを改良することを目的とするものである。
【0004】
特に、使用される試薬または試料ができるだけ損失なく処理される配置が提供されることにある。
【0005】
さらに、効率的で質的な分析条件を提供することにある。この場合、特に、測色、測光、蛍光、化学発光、電気化学発光などの様々な分析方法を評価し、実施することができるという点での効率性が提供されることにある。
【0006】
さらなる目的は、特に、安全性、混同の可能性、および取り扱いの容易さに関して実験または試験を実施することに関して、取り扱いが容易なキャビティを有するテストストリップアセンブリを提供することである。
【0007】
本発明のさらなる目的はまた、テストに必要な全ての試薬を貯蔵し、貯蔵に関して高い長期安定性を有する、一種の「すぐに使える」テストストリップアセンブリとして利用できるようにすることである。
【0008】
本目的は、独立請求項1及び10による、キャビティ及びそれに適したキャリアを有するテストストリップアセンブリによって達成される。有利な改良点および好ましい実施形態は、従属請求項に明記されている。
【0009】
本発明によるキャビティを有するテストストリップアセンブリは、少なくとも1つの容器を有する第1領域と、同じく少なくとも1つの容器を有する第2領域とからなる。本件は、第1領域の容器が透明で平坦な底を有し、第2領域の容器が主にV字形又は主にU字形の底を有することである。第1領域の容器は、本発明の意味において、反応容器または希釈容器とも称される。試薬は、第2領域の容器内に導入することができ、または既にそこに存在し、それを用いて試験を実施することができる。複雑なテストの場合、本発明による容器を有するテストストリップアセンブリは、第2領域において追加の容器を有することも可能である。どのようなテストが行われるかに応じて、第2領域の異なる容器からの異なる試薬を、必要であれば、テストを実行するために、連続して混合することができる。第2領域の容器は任意に緩衝液を含むことができ、第2領域のさらなる容器は特別なマーキング剤または他の試薬などを含むことができる。本発明の文脈において、容器は、流体、主に液体を収容し、少なくとも一時的にそれを貯蔵することができる凹部またはキャビティ(空洞)を意味すると理解することもできる。
【0010】
第2領域の容器の本発明による底部形状は、容器の内容物をほぼ完全に収容することができ、その結果、残留物がほとんど残らず、したがって、試験は確実に実行される。
【0011】
第1領域の容器の本発明による底部形状が平坦で透明であるため、適切な分析装置を用いて試薬または試料の分析を良好かつ再現性よく実施することができる。ここで使用できる好適な分析方法としては、例えば、比色法、測光法、分光法、光学顕微鏡法、ELISA法、測色法、測光法、蛍光法、化学発光法、エレクトロルミネセンス法などが挙げられる。
【0012】
テストストリップアセンブリの有利な実施形態によれば、第2領域において試薬を備える容器は、汚染または蒸発に対する安全性のため、または流出に対する安全性のために、フィルムで覆われて密封される。
【0013】
容器を有するテストストリップアセンブリのさらに有利な実施形態によれば、第2領域が覆われているフィルムは、このフィルムがピペットチップを使用して突き刺すことができるように製造されている。さらに、このフィルムは、テストストリップを密封するのに適した材料で作られている。この場合、フィルムは、適切な材料または適切な方法によって、テストストリップにしっかりと接続され得る。適当な材料としては、例えば、テストストリップの材料との親和性が高く、蒸気透過性が低い、接着剤、糊、ポリマーであって、安定した長期保存に適したもの、あるいは、熱や光を用いた溶着などの方法が考えられる。フィルムは単層でも多層でもよく、キャリア材料、例えばポリマー、軽金属、又は他の材料当を備えてもよい。また、フィルム材料は、一般に、フィルムと試薬の安定性と同様に漏れ止めや耐久性を確保する性質を有することが好ましい。
【0014】
本発明による容器を有するテストストリップアセンブリの有利な実施形態によれば、第1領域および第2領域の容器は、リムを有する。本発明によれば、第2領域のリムは、第1領域のリムよりも背が高い。この場合、第2領域のリムは、第1領域のリムよりも有利に0.2mm高い。第2領域のリムは、第1領域のリムよりも好ましくは0.4mm高い。第2領域のリムは、第1領域のリムよりも特に好ましくは0.6mm高い。第1領域のリムと第2領域のリムとの間の有効な差は、0.5mm高い第2領域のリムであること見出されている。第1領域と比較して第2領域のリムがわずかに高いため、テストストリップアセンブリに対するフィルムの著しく改善された溶接または接着結合が可能である。これにより、より長い保存期間と安定性のために、漏れ止めがより向上する。さらに、テストストリップアセンブリ全体とフィルム材との高い蒸気バリア性もあるので、試薬も長期間安定して保存することができる。
【0015】
本発明による容器を有するテストストリップアセンブリのさらに有利な実施形態によれば、第1領域の底部を除いて、不透明、半透明、または透明な材料で形成されている。この目的のために主に使用される材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、またはポリスチレンのような熱可塑性プラスチックである。また、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂(フェノプラスト)やUFアミノプラストなどの熱硬化性プラスチックもこの目的に適している。しかし、この目的のために、ガラスまたはガラスケイ酸塩、およびセラミックを使用することも考えられる。
【0016】
さらなる有利な実施形態によれば、シクロオレフィンポリマー(COP)またはシクロオレフィンコポリマー(COC)が用いられる。これらの材料は、特定の耐久性、可視スペクトル範囲における高い光学透過性、低い固有蛍光、低い吸水性および低い蒸気透過性を特徴とする。
【0017】
また、その時々のどの試験条件が優先するかによって、第1領域の容器が1つの材料で作られ、第2領域のキャビティが異なる材料を有することも可能である。第2領域の容器は、全体的または部分的に、不透明、半透明、または透明な材料で作ることができることも有利である。
【0018】
本発明による容器を有するテストストリップアセンブリのさらに有利な実施形態によれば、テストストリップアセンブリを識別するためのバーコードまたはマーキングが設けられている。そのようなバーコードまたはマーキングは、例えば、バーコード、QRコード(登録商標)、RFIDコード、または他の任意の典型的なバーコードまたはマーキングであり得る。バーコードは、特に、テストストリップアセンブリに存在し得る試薬の組成を情報として含み、したがって、試薬が特定の温度及び条件で保存される場合、試薬の保存寿命に関する情報を提供することが可能である。さらに、このようなバーコードは、それに付属するテストストリップアセンブリを一意的に識別することができ、これは、後でテスト結果が混乱したり、混合されたりすることを防ぐことを意図している。さらに、このようなバーコードは、この目的のために設けられたリーダーによって容易に登録および読み取りができるので、例えば、特定の患者または検査に対してテストストリップアセンブリの一意的な割り当てが保証され、非認証者にとっては、特定の検査または外観に基づいて特定の人に対してバーコードが割り当てられることはあり得ない。これにより、検査の実施とその保管の匿名化が保証される。
【0019】
本発明によるキャビティを有するテストストリップアセンブリのさらに有利な実施形態によれば、テストストリップアセンブリの下端部に横方向に、より正確には第1および第2領域の底部に横方向にガイドウェブを有している。これらのガイドウェブは、テストストリップ(試験片)をこの目的のために設けられたキャリア内に正確に位置決めすることができ、形状に合わせて着脱可能に固定できるようにするために使用される。これにより、例えば、試験のピペッティング、洗浄、および評価、ならびにキャリアからの試験片(テストストリップ)の排出を可能にする。
【0020】
本発明による容器を有するテストストリップアセンブリのさらに有利な実施形態によれば、上面視で、第1領域から第2領域に向かって先細りになっているか、または第2領域がガイドウェブが延びていない部分を有している。さらなる実施形態によれば、第2領域の側面は、材料で連続的に設けられ、その結果、第2領域におけるテストストリップアセンブリのより良い触感を保証する側面が得られる。さらに、テストストリップアセンブリ、及び、テストストリップアセンブリの形状に適合したキャリア形状の上述した実施形態は、テストストリップアセンブリがキャリア内で極めて特定の方向又は特定の方法でしか配置できないことを意味する。これは、例えば、第1領域と第2領域との意図しない混同を防止し、その結果、テストストリップアセンブリが、例えば分析装置に誤って挿入されることがなく、実質的に利用ミスが排除される。
【0021】
本発明による容器を有するテストストリップアセンブリのさらに有利な実施形態によれば、片側にクランプバネを有するクランプを備えている。このクランプバネを有するクランプは、テストストリップアセンブリをこの目的のために設けられたキャリアに挿入することができ、そこに確実に留まるという利点を有する。この接続は、バネをほとんど力を入れずに押すか、またはキャリア内でテストストリップを変位させることによって少しの力で再び解除することができ、その結果、テストストリップアセンブリは、この目的のために設けられたキャリアから再び切り離すことができる。
【0022】
本発明による容器を有するテストストリップアセンブリのさらに有利な実施形態によれば、テストストリップアセンブリは、第2領域の少なくとも1つの容器内に少なくとも1つの試薬を有し、および/または第1領域の少なくとも1つのキャビティ内にコーティングを有する。この場合、コーティングは、キャビティの底部に限定されることが有利である。本発明の観点では、コーティングは、蒸着、印刷、塗装、噴霧、および/またはインキュベーションも意味すると理解される。本発明の文脈において、ここでのコーティングは、主に、抗体、抗原、血液または尿などの試料、特定の化学物質、特定の生物学的物質、DNAまたはRNAなどの非生物学的または生物学的コーティングを表す。例示的な試験シナリオでは、次に、例えば、第1領域の容器内に試料を塗布することができる。次に、第2領域の容器からの1つ以上の試薬が加えられ、これが反応を誘発し、その後、適切な分析機器によって第1領域のキャビティ内で分析することができる。
【0023】
さらに、本発明は、上記テストストリップアセンブリのためのキャリアも含んでいる。容器を有するテストストリップアセンブリのための本発明によるキャリアは、テストストリップアセンブリが、クランプによって、及び/又はこの目的のために設けられたキャリアのガイドレールに押し込まれるガイドウェブによってキャリア内に解放可能に固定されるように設計されている。本発明によれば、テストストリップアセンブリは、クランプバネを有するクランプでキャリア内に導入され、バネのわずかな力によってキャリアに固定されることができる。しかしながら、本発明はバネにわずかな力を加えることによって、テストストリップアセンブリをキャリアから再び取り外すことも可能である。しかしながら、本発明によれば、キャリアは、テストストリップアセンブリがキャリアに押し込まれるように設計することもでき、この場合、キャリアは、この目的のために適切なガイドレールまたは凹部を有している。
【0024】
テストストリップアセンブリのための本発明によるキャリアの有利な実施形態によれば、それは追加のバネを有し、その結果、ウェブによってこの目的のために設けられたキャリアのガイドレールに挿入されるテストストリップアセンブリは、キャリア上に解放可能に固定されることにもなる。このようなバネは、例えば、わずかに曲げられた金属片によって形成することができる。このようにして、テストストリップアセンブリの片側にわずかな力が作用する。この力は、テストストリップアセンブリをキャリアに正確かつ安定的に保持するのに十分な大きさである。しかしながら、その力は、設置又は除去のためにユーザがテストストリップアセンブリを変位させることが依然として可能である程度に大きいだけである。
【0025】
テストストリップアセンブリのための本発明によるキャリアのさらに有利な実施形態によれば、キャリアは、長方形、全円もしくは半円、または円のセグメントの形状である。原則的に、キャリアは、任意の幾何学的形状で設計することができる。ただし、キャリアは分析装置による分析に適した形状を有している。
【0026】
テストストリップアセンブリのための本発明によるキャリアの更なる有利な実施形態によれば、キャリアは、この目的に適した分析装置においてキャリアユニットとして機能するために、適切な相補的形状を有する。
【0027】
以下、本発明による容器を有するテストストリップアセンブリおよびそのようなテストストリップアセンブリのための本発明によるキャリアを、例示的な実施形態および図面においてより詳細に説明する。説明は、単に例示的なものであり、本発明の一般的な概念を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、従来技術のテストストリップアセンブリ10を概略的に示す斜視図である。
図2a図2aは、本発明によるテストストリップアセンブリ10の一実施形態を概略的に示す斜視図である。
図2b図2bは、本発明によるテストストリップアセンブリ10の一実施形態をフィルムと共に概略的に示す斜視図である。
図3a図3aは、本発明によるテストストリップアセンブリ10の一実施形態を概略的に示す斜視図である。
図3b図3bは、本発明によるテストストリップアセンブリ10の一実施形態を概略的に示す正面図である。
図3c図3cは、本発明によるテストストリップアセンブリ10の一実施形態を概略的に示す背面図である。
図3d図3dは、本発明によるテストストリップアセンブリ10の一実施形態を概略的に示す底面図である。
図4a図4aは、図3からの本発明によるテストストリップアセンブリ10の一実施形態を概略的に示す側面図である。
図4b図4bは、図4aからの本発明によるテストストリップアセンブリ10の一実施形態を概略的に示す断面での側面図である。
図5a図5aは、本発明によるキャリアの実施形態内の本発明によるテストストリップアセンブリ10の一実施形態を概略的に示す上面図である。
図5b図5bは、本発明によるキャリアの実施形態内の本発明によるテストストリップアセンブリ10の一実施形態を概略的に示す上面図である。
図6図6は、テストストリップアセンブリ10を含まない本発明によるキャリアの一実施形態を概略的に示す図である。
図7図7は、フィルム80を有する挿入されたテストストリップアセンブリ10を有する本発明によるキャリアの実施形態の概略的に示す図である。
図8a図8aは、本発明によるキャリアの実施形態に本発明によるテストストリップアセンブリ10を挿入するシーケンスを概略的に示す図である。
図8b図8bは、本発明によるキャリアの実施形態に本発明によるテストストリップアセンブリ10を挿入するシーケンスを概略的に示す図である。
図8c図8cは、本発明によるキャリアの実施形態に本発明によるテストストリップアセンブリ10を挿入するシーケンスを概略的に示す図である。
図9a図9aは、図8からの本発明によるキャリアに、同じく図8からのテストストリップアセンブリ10を装備する更なる可能性を示す概略図である。
図9b図9bは、図8からの本発明によるキャリアに、同じく図8からのテストストリップアセンブリ10を装備する更なる可能性を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、従来のテストストリップアセンブリ10を示す。テストストリップアセンブリ10の全ての容器20が平坦な底を有することは明らかである。さらに、このテストストリップは、この目的のために設けられたホルダーの中で使用することもできるが、その場合、緩くしかフィットしない。従来技術によるこのテストストリップアセンブリ10のさらなる欠点は、テストストリップがキャリア内に上下逆さまに挿入されることがあることである。したがって、サンプルを混同する可能性があること、または特定の患者または基準値へのサンプルの割り当てが混同される可能性がある。さらなる欠点は、従来技術によるテストストリップアセンブリ10が、キャリア内に解放可能に固定することができないことである。例えば、検出反応を妨害する可能性のある気泡を、手動または自動でノックアウトすることができない。
【0030】
図2aは、本発明によるテストストリップアセンブリ10の一実施形態の概略的な斜視図である。図示されるテストストリップアセンブリ10は、透明なシースルー材料を有する。材料は用途に応じて選択することができ、例えば、黒色の材料は散乱光または干渉を低減し、他の材料は順番に他の特性を有するようにすることができる。
【0031】
本発明による適切なキャリアでクランプを形成するためのクランプバネ150も示されている。さらに、図3aには、ガイドウェブ100も示されている。これは、本発明によるテストストリップアセンブリ10を適切なキャリアに誘導し固定するためのものである。さらに、図2aには、やや円筒形の容器20を有する第1領域30と、やや立方体の容器20を有する第2領域40も示されている。また、第2領域40が第1領域よりも背の高いリム71を有することも示されている。
【0032】
図2bは、図2aから既に知られている、フィルム80を有する本発明によるテストストリップアセンブリ10を示す。カバーフィルム80は、第2領域の容器20のわずかに背の高いリム71に適用される。シーリングフィルムとしても知られているフィルム80は、ピペットチップを使用して容易に突き刺すことができるように考案されている。さらに、フィルム80は、燃え尽きることが少なく、構造化、内接、または印刷が可能であるように考案されたコーティングを有している。フィルム80はまた、テストストリップアセンブリ10を、同時に一体型テストデバイスを有する一種の保存容器として使用することを可能にする。この目的のために、1つ以上の試薬は、第2領域40の1つ以上の容器20に注がれ、上述のフィルム80を用いて密封される。これは、例えば、溶接または接着剤による接着によって行うことができる。第2領域40のキャビティ20の突出リム71は、0.5mmの高さを有することが好ましく、カバーフィルム80のテストストリップアセンブリ10への固定を、従来よりも著しく良好に行う。このようにして、テストストリップアセンブリ10に保存される試薬について、より長い保存期間と安定性を得るために、より漏れのない気密性が確保され、実現される。また、テストストリップ及びフィルム材料は、高い蒸気バリア性を有するので、試薬を長期的に安定に保存することができる。第1領域30のキャビティ20は、反応または希釈キャビティ20とも呼ばれるが、さらなる製造工程において、製品特異的な抗原、抗体、または他のタンパク質もしくは化学物質を用いてコーティングすることができる。例えば、このような反応キャビティまたは反応容器が製品固有な抗原を用いてコーティングされている場合、例えば、患者の血清中に存在する特異的抗体を検出することができる。しかし、患者血清だけでなく、尿やCSF(脳脊髄液)などの他の分析物を使用することも可能である。さらに、この例では、フィルム80はバーコード90を有し、これにより、検査とサンプルの唯一で同時に匿名化された割り当てが保証される。
【0033】
図3aは、本発明の実施形態を示している。実施形態では、3つの容器20を有する第1領域30と5つの容器20を有する第2領域40が明確に示されている。第1領域30の容器20は円筒形の構成を有し、一方、第2領域40の容器20はむしろ立方体の構成を示している。ラグ150を有するクランプバネ110も見ることができ、これはテストストリップアセンブリ10をキャリアに一時的に固定するために使用される。第2領域40における側面は、平坦になるように設計されており、これは、例えば、配置をキャリアに挿入するときに、ユーザにとってより容易でより便利な取り扱いを可能にする。図3b及び図3cは、本発明によるテストストリップアセンブリ10の一実施形態の正面図及び背面図を示す。キャリア内での固定に使用されるラグ150と、第2領域40におけるフィルム80の塗布のための隆起したリム71とが、はっきりと見ることができる。図3dは、本発明に係るテストストリップアセンブリ10の一実施形態の底面図である。ここでは、第1領域30及び第2領域40における底面のガイドウェブ100を、とりわけ見ることができる。
【0034】
図4aは、本発明によるテストストリップアセンブリ10の一実施形態の概略的な側面図である。クランプバネ100によるクランプが明確に見ることができ、これは、さらに、テストストリップアセンブリ10の材料から形成された小さなラグ150を有している。ラグ150は、クランプバネ100の反対側にも見ることができる。これらのラグ150は、同様に対向するハンドルと共に、本発明によるテストストリップアセンブリ10を、この目的に適したキャリア120にしっかりと固定することを可能にする。第1領域30のキャビティ20とは対照的に、第2領域40のキャビティ20のわずかに盛り上がったリム71も見ることができる。
【0035】
図4bは、図4aからの本発明によるテストストリップアセンブリ10の実施形態を示す図であって、テストストリップアセンブリ10を通って前部から後部へ中心的に延びる縦断面を上から見た図である。第1領域30のキャビティ20は平坦な底部50を有し、一方、第2領域40のキャビティ20はむしろV字形またはまたU字形の底部60を有することが分かる。第2領域40のキャビティ20のこの底部形状は、液体を除去する際にデッドボリュームをより少なくする。これは、使用しなければならない試験試薬または他の液体がより少ないことを意味し、よって一般的なコストを削減することを意味する。クランプバネ110を有するクランプは、テストストリップアセンブリ10の材料から形成された小ラグ150を有することも分かる。
【0036】
図5a及び図5bは、本発明によるテストストリップアセンブリ10の実施形態を備える本発明によるキャリア120の概略図であり、まずフィルム80を備え(図5b)、そしてフィルムなし(図5a)である。キャリアとテストストリップアセンブリのこのような組み合わせの利点は、個々のテストストリップアセンブリ10はキャリア120から容易に取り外すことができるが、他のテストストリップアセンブリ10はキャリア120に静止したままにすることができることである。
【0037】
図3においても分かるように、例えば、テストストリップアセンブリ10は、第2領域40と比較して、第1領域30において幾分先細り(テーパー)になっている。この先細りによって、テストストリップアセンブリ10を、後にそのために設けられるキャリア120に正しく挿入することができる。よってこの先細りにより高い使用性を提供することができる。この形状のため、テストストリップアセンブリ10は、本発明に従ってこの目的のために提供されるキャリア120、フレームとも呼ばれる、に一方向にのみ挿入することができる。従って、誤った取り扱いが最初から回避される。エンドユーザーは、例えば、プレフィルド試薬及び/又はコーティングされた反応又は希釈容器20を有するテストストリップアセンブリ10を、この目的のために提供された包装材料から取り出し、このテストストリップアセンブリ10を、例えば前方又は上方から、この目的のために提供されたキャリア120内に挿入する。本発明によるテストストリップアセンブリ10を有する本発明によるこのようなキャリア120は、次に、分析装置内に配置され、テストが自動的または半自動的に行われる。
【0038】
図6は、例えば、本発明によるテストストリップアセンブリ10を有しない円状のセグメントの形状の本発明によるキャリア120の一実施形態を概略的に示す図である。反力(カウンターフォース)によってテストストリップアセンブリ10を着脱可能に固定することができるキャリアの追加バネ130は、ここではっきりと見ることができる。ガイドレール140又は凹部も見ることができ、その中にテストストリップアセンブリ10のガイドウェブ100が導入される。したがって、テストストリップアセンブリ10がキャリア120から上方向に抜け出ることを、さらに防止する。また、キャリア120は、貫通孔160の形態の凹部を有することが分かる。これはテストストリップアセンブリ10の第1領域30が後に位置する領域に設けられる。これらの貫通孔160は、試験又は試験反応の分析を確実に行うために設けられている。
【0039】
図7は、本発明によるキャリア120の一実施形態を概略的に示す図であって、キャリア120は挿入されたテストストリップアセンブリ10を有している。個々のテストストリップアセンブリ10は、この実施形態では、他のテストストリップアセンブリ10が結果として悪影響を受けることなく、キャリア120から別々に切り離すこともできる。
【0040】
図8a乃至図8cの連続図には、本発明によるキャリア120の実施形態への本発明によるテストストリップアセンブリ10の挿入が示されている。ここで、テストストリップアセンブリ10は、キャリア120の中に横方向に押し込まれる(図8a)。テストストリップアセンブリ10は、ガイドウェブ100と、この目的のために設けられたガイドレール140または凹部によって、キャリア内にしっかりと固定される。第1領域30におけるテストストリップアセンブリ10の先細り、及びそれに相補的なキャリア120の先細りにより、テストストリップアセンブリ10もまた、キャリア120の中に一方向にのみ完全に押し込まれることができる。キャリア120に設置される追加バネ130は、テストストリップアセンブリ10が滑り落ちないように保護する。しかしながら、このクランプ接続は、エンドユーザーによって小さな力で再び解放されることができるので、テストストリップアセンブリ10は再びキャリア120から取り外すことができる。
【0041】
図9a及び図9bはそれぞれ、図8からの本発明によるキャリア120にテストストリップアセンブリ10を装備する可能性の更なる概略図である。この目的のために、テストストリップアセンブリ10は、キャリア120の中に上方から導入される。テストストリップアセンブリ10の第2領域40における前述の先細り、及びキャリア120の相補的な形状により、テストストリップアセンブリ10は、上方から一方向にのみキャリアに挿入され得る。この手順の最後のステップでは、テストストリップアセンブリ10は、キャリア120に設置された追加バネ130によって滑り落ちないように保護されるために、小さな力で再び前方に押し出される。キャリア120のガイドレール140又は凹部、及びテストストリップアセンブリ10のウェブ100のような底部に近いガイド要素は、テストストリップアセンブリ10またはそこに配置されたテストのピペッティング、洗浄、評価、排出の間に、テストストリップアセンブリ10の正確なガイドと位置決めを可能にする。追加のバネまたはバネクランプエレメント110は、テストストリップアセンブリ10全体の簡単な取り付け、取り外し、および供給を可能にする。同様に、キャリア120に設けられたバネ130によって、テストストリップアセンブリ10がキャリア120に正しく挿入されたことを確実にするために、ユーザにとって可聴かつ知覚可能な方法で、テストストリップアセンブリ10をキャリア120の所定の位置にはめ込むことが可能である。
【符号の説明】
【0042】
10…テストストリップアセンブリ、20…容器、30…第1領域、40…第2領域、50…透明な底、60…V字形又はU字形底面、70…リム、71…第2領域のリム、80…フィルム、90…バーコード、100…ガイドウェブ、110…クランプバネを有するクランプ、120…キャリア、130…バネ、140…ガイドレール、150…ラグ、160…貫通穴。
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図3c
図3d
図4a
図4b
図5a
図5b
図6
図7
図8a
図8b
図8c
図9a
図9b
【外国語明細書】