(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171617
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】紙幣処理装置
(51)【国際特許分類】
G07D 11/125 20190101AFI20221104BHJP
G07G 1/00 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
G07D11/125
G07G1/00 331A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073521
(22)【出願日】2022-04-27
(31)【優先権主張番号】P 2021077961
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福島 慶之
(72)【発明者】
【氏名】柴田 義人
(72)【発明者】
【氏名】大澤 隆広
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 翔太
(72)【発明者】
【氏名】永田 将司
(72)【発明者】
【氏名】東 昌幸
(72)【発明者】
【氏名】土橋 広武
【テーマコード(参考)】
3E141
3E142
【Fターム(参考)】
3E141AA01
3E141BA06
3E141CA05
3E141FC03
3E141FC09
3E142GA24
(57)【要約】 (修正有)
【課題】悪意を持った者による不正な解錠操作を防止することにより防犯効果の向上を図ることができる紙幣処理装置を提供する。
【解決手段】回収指令が与えられた場合に装置本体に着脱可能に設けられた回収庫20に対して各収納庫に収納する紙幣を搬送して回収庫20に回収する紙幣処理装置であって、回収庫20は、紙幣を収容する収容域が内部に画成された回収庫本体21と、回収庫本体21の取出開口を開閉する取出扉22と、鍵穴231に取出用鍵が挿入されて施錠操作された場合に、取出扉22により閉成された取出開口が開成することを規制し、鍵穴231に取出用鍵が挿入されて解錠操作された場合に、取出扉22により閉成された取出開口が開成することを許容する扉ロック機構23を備え、装置本体に装着された状態において外部に露出されない個所に鍵穴231が設けられている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に設けられた入金部に紙幣が投入された場合に、所定の条件を具備する紙幣を該当する収納庫に収納する入金動作を行う一方、回収指令が与えられた場合に、前記装置本体に着脱可能に設けられた回収庫に対して各収納庫に収納する紙幣を搬送して該回収庫に回収する回収動作を行う紙幣処理装置であって、
前記回収庫は、
前記紙幣を収容する収容域が内部に画成された回収庫本体と、
前記回収庫本体に形成された取出開口を開閉する態様で該回収庫本体に揺動可能に設けられた取出扉と、
鍵穴に取出用鍵が挿入されて施錠操作された場合に、前記取出扉により閉成された前記取出開口が開成することを規制する一方、前記鍵穴に前記取出用鍵が挿入されて解錠操作された場合に、前記取出扉により閉成された前記取出開口が開成することを許容する扉ロック機構と
を備え、前記装置本体に装着された状態において、前記鍵穴が外部に露出されないよう設けられたことを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項2】
前記回収庫は、前記装置本体に装着された状態において、外部に露出されない個所に前記鍵穴が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の紙幣処理装置。
【請求項3】
前記回収庫は、前記装置本体に装着された場合に、前記取出開口を閉成する前記取出扉の前面のみが外部に露出されるものであり、
前記鍵穴は、前記取出開口を閉成する前記取出扉の上面に設けられたことを特徴とする請求項2に記載の紙幣処理装置。
【請求項4】
前記回収庫は、前記回収庫本体における前記取出開口の上縁部分に、前記鍵穴の配置を許容する切欠が形成されたことを特徴とする請求項3に記載の紙幣処理装置。
【請求項5】
前記回収庫は、前記取出扉の内面を構成する後面の全域を被覆する態様で設けられ、かつ光吸収性に優れた色を呈する内面カバーを備えたことを特徴とする請求項3に記載の紙幣処理装置。
【請求項6】
前記回収庫本体は、前端部分が上下に揺動可能に設けられて前記収容域に搬送された紙幣を下方に向けて押圧するフラッパを備え、
前記回収庫は、上方へ揺動する前記フラッパの前端部分に当接して該前端部分の上方への揺動量を規制するフラッパストッパを備えたことを特徴とする請求項3に記載の紙幣処理装置。
【請求項7】
前記回収庫は、前記収容域に搬送された紙幣の一部が前記扉ロック機構に近接することを規制する紙幣ガイドを備えたことを特徴とする請求項2に記載の紙幣処理装置。
【請求項8】
前記回収庫は、前記鍵穴に近接離反する態様で前記取出扉に回動自在に配設された鍵カバー部材を備え、
前記鍵カバー部材は、前記回収庫が前記装置本体に装着された場合には、前記鍵穴に近接した状態に保持されて該鍵穴を被覆する一方、前記回収庫が前記装置本体から離脱した場合には、回動操作されることを条件として前記鍵穴が露出されることを許容することを特徴とする請求項1に記載の紙幣処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣処理装置に関し、より詳細には、例えば自動釣銭機等に適用される紙幣処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば自動釣銭機等に適用される紙幣処理装置においては、装置本体に形成された入金部に投入された紙幣を所定の搬送路に搬送させるようにし、搬送路を搬送される紙幣の真偽を鑑別手段にて鑑別している。
【0003】
この紙幣処理装置では、上記鑑別手段により「真」と鑑別された紙幣を搬送路から分離させて所定の収納庫に収納している。また紙幣処理装置では、出金指令が与えられた場合には、所定の収納庫から送出された紙幣を、上記搬送路を通じて出金庫に搬送して装置本体より排出するようにしている。
【0004】
また上記紙幣処理装置においては、装置本体に対して回収庫が着脱可能に設けられている。回収庫は、回収庫本体と、取出扉と、扉ロック機構とを備えて構成されている。
【0005】
回収庫本体は、前面に取出開口が形成された箱状の形態を成し、内部に該取出開口を臨む態様で収容域が画成されている。取出扉は、取出開口を開閉する態様で回収庫本体に揺動可能に設けられている。扉ロック機構は、取出扉の前面に形成された鍵穴に取出用鍵が挿入されて施錠操作された場合に、該取出扉により閉成された取出開口が開成することを規制する一方、鍵穴に取出用鍵が挿入されて解錠操作された場合に、取出扉により閉成された取出開口が開成することを許容するものである。
【0006】
このような構成を有する回収庫は、取出開口を閉成する取出扉の前面のみが外部に露出される態様で装置本体に装着される。
【0007】
そして、紙幣処理装置においては、回収指令が与えられた場合に、各収納庫に収納された紙幣を、上記搬送路を通じて回収庫に搬送して上記収容域に収容させることで回収する。このようにして回収庫に回収された紙幣は、回収庫ごと装置本体から取り外して、所定の金庫等に保管されることになる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上記特許文献1に提案されている紙幣処理装置では、取出扉の前面のみが外部に露出される態様で回収庫が装置本体に装着され、かつ取出扉の前面に鍵穴が形成されているので、次のような問題があった。
【0010】
すなわち、紙幣処理装置を所謂セルフレジとして使用する場合、取出扉の前面を含む装置本体の前面が顧客に対向することとなり、鍵穴が顧客から見える位置に配置されることとなる。このように鍵穴が顧客から見える位置に配置されることは、紙幣の収容個所が顧客に判ってしまうことになり、悪意を持った者により不正に解錠操作されることで取出開口が開成されて紙幣が取り出される虞れがあり、防犯上好ましくない。
【0011】
本発明は、上記実情に鑑みて、悪意を持った者による不正な解錠操作を防止することにより防犯効果の向上を図ることができる紙幣処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した目的を達成するために、本発明に係る紙幣処理装置は、装置本体に設けられた入金部に紙幣が投入された場合に、所定の条件を具備する紙幣を該当する収納庫に収納する入金動作を行う一方、回収指令が与えられた場合に、前記装置本体に着脱可能に設けられた回収庫に対して各収納庫に収納する紙幣を搬送して該回収庫に回収する回収動作を行う紙幣処理装置であって、前記回収庫は、前記紙幣を収容する収容域が内部に画成された回収庫本体と、前記回収庫本体に形成された取出開口を開閉する態様で該回収庫本体に揺動可能に設けられた取出扉と、鍵穴に取出用鍵が挿入されて施錠操作された場合に、前記取出扉により閉成された前記取出開口が開成することを規制する一方、前記鍵穴に前記取出用鍵が挿入されて解錠操作された場合に、前記取出扉により閉成された前記取出開口が開成することを許容する扉ロック機構とを備え、前記装置本体に装着された状態において、前記鍵穴が外部に露出されないよう設けられたことを特徴とする。
【0013】
また本発明は、上記紙幣処理装置において、前記回収庫は、前記装置本体に装着された状態において、外部に露出されない個所に前記鍵穴が設けられたことを特徴とする。
【0014】
また本発明は、上記紙幣処理装置において、前記回収庫は、前記装置本体に装着された場合に、前記取出開口を閉成する前記取出扉の前面のみが外部に露出されるものであり、前記鍵穴は、前記取出開口を閉成する前記取出扉の上面に設けられたことを特徴とする。
【0015】
また本発明は、上記紙幣処理装置において、前記回収庫は、前記回収庫本体における前記取出開口の上縁部分に、前記鍵穴の配置を許容する切欠が形成されたことを特徴とする。
【0016】
また本発明は、上記紙幣処理装置において、前記回収庫は、前記取出扉の内面を構成する後面の全域を被覆する態様で設けられ、かつ光吸収性に優れた色を呈する内面カバーを備えたことを特徴とする。
【0017】
また本発明は、上記紙幣処理装置において、前記回収庫本体は、前端部分が上下に揺動可能に設けられて前記収容域に搬送された紙幣を下方に向けて押圧するフラッパを備え、前記回収庫は、上方へ揺動する前記フラッパの前端部分に当接して該前端部分の上方への揺動量を規制するフラッパストッパを備えたことを特徴とする。
【0018】
また本発明は、上記紙幣処理装置において、前記回収庫は、前記収容域に搬送された紙幣の一部が前記扉ロック機構に近接することを規制する紙幣ガイドを備えたことを特徴とする。
【0019】
また本発明は、上記紙幣処理装置において、前記回収庫は、前記鍵穴に近接離反する態様で前記取出扉に回動自在に配設された鍵カバー部材を備え、前記鍵カバー部材は、前記回収庫が前記装置本体に装着された場合には、前記鍵穴に近接した状態に保持されて該鍵穴を被覆する一方、前記回収庫が前記装置本体から離脱した場合には、回動操作されることを条件として前記鍵穴が露出されることを許容することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、装置本体に着脱可能に設けられた回収庫が、紙幣を収容する収容域が内部に画成された回収庫本体と、回収庫本体に形成された取出開口を開閉する態様で該回収庫本体に揺動可能に設けられた取出扉と、鍵穴に取出用鍵が挿入されて施錠操作された場合に、取出扉により閉成された取出開口が開成することを規制する一方、鍵穴に取出用鍵が挿入されて解錠操作された場合に、取出扉により閉成された取出開口が開成することを許容する扉ロック機構とを備え、装置本体に装着された状態において、鍵穴が外部に露出されないよう設けられているので、悪意を持った者による不正な解錠操作を防止することにより防犯効果の向上を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態である紙幣処理装置の一部の内部構造を示しつつ外観構成を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態である紙幣処理装置の内部構成を模式的に示す模式図である。
【
図7】
図7は、
図3及び
図4に示した扉ロック機構を構成するフック片と係止片部との係止状態を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、
図3及び
図4に示した回収庫の要部の内部構造を模式的に示す縦断面図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施の形態である紙幣処理装置の変形例の内部を示しつつ外観構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る紙幣処理装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0023】
まず、紙幣処理装置の概略構成及び動作について説明する。
図1及び
図2は、それぞれ本発明の実施の形態である紙幣処理装置を示すものであり、
図1は、紙幣処理装置の一部の内部構造を示しつつ外観構成を示す斜視図であり、
図2は、紙幣処理装置の内部構成を模式的に示す模式図である。
【0024】
ここで例示する紙幣処理装置は、例えばスーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗において、自動釣銭機として適用されるものであり、装置本体1を備えている。
【0025】
このような装置本体1は、前方部分に、紙幣を投入するための入金口10と、収納された紙幣を釣銭として払い出す出金口11とが形成されている。尚、出金口11は、シャッタ12により開閉されるものであり、常態においてはシャッタ12により閉塞されている。また装置本体1の前方部分の下部には、回収庫20が着脱可能に設けられている。尚、回収庫20の構成については後述する。
【0026】
そのような装置本体1は、入金口10から投入された紙幣を内部に導入する入金部13、紙幣を出金口11に払い出す出金部14、回収庫20、紙幣の真贋及び金種を判別する鑑別部15、金種毎の紙幣を収納する収納庫16を有する。上述した入金部13、出金部14、回収庫20、鑑別部15及び収納庫16は、紙幣搬送機構17によって接続されている。
【0027】
かかる紙幣処理装置は、次のように動作するものである。入金口10に入金されることにより投入された紙幣は、入金部13の図示しない検出センサによって検出された後、紙幣搬送機構17が駆動することによって鑑別部15に搬送される。紙幣搬送機構17は、その搬送途中で紙幣が詰まったり、鑑別部15での判別が不十分となったりする場合には、入金部13を経由して該紙幣を入金口10に一旦戻すようにしている。
【0028】
また紙幣処理装置は、鑑別部15によって紙幣が正貨でないと判別された場合には、紙幣搬送機構17を通じて、該紙幣を出金部14に搬送して出金口11より出金させる。一方、紙幣処理装置は、鑑別部15によって紙幣が正貨であると判別された場合、紙幣搬送機構17を通じて、正貨であると判別された紙幣を金種に応じた収納庫16に収納する入金動作を行う。
【0029】
一方、図示せぬ上位機器等から出金指令が与えられた場合、紙幣処理装置は、対応する金種の紙幣を収納庫16から紙幣搬送機構17に繰り出させ、該紙幣搬送機構17により出金部14に搬送して出金口11より出金させる出金動作を行う。
【0030】
更に、管理者等により管理者用の入力手段が入力操作されることで上位機器等から回収指令が与えられた場合、紙幣処理装置は、すべての収納庫16に収納された紙幣を紙幣搬送機構17に繰り出させ、該紙幣搬送機構17により紙幣を回収庫20に搬送して該回収庫20に回収する回収動作を行う。
【0031】
次に、本発明の実施の形態である紙幣処理装置の特徴部分である回収庫20について説明する。
図3及び
図4は、それぞれ
図1及び
図2に示した回収庫20の外観構成を示す斜視図である。ここで例示する回収庫20は、回収庫本体21と、取出扉22と、扉ロック機構23とを備えて構成されている。
【0032】
回収庫本体21は、前壁部211に取出開口211aを有するとともに後壁部212に導入口212a(
図8参照)を有する箱状の形態を成すものである。ここで取出開口211aは、回収庫本体21の前壁部211の全域に亘って形成された矩形状を成すものであり、人間の手指の通過を許容する大きさを有している。
【0033】
導入口212aは、紙幣搬送機構17を通じて搬送された紙幣を導入するための開口であり、1枚の紙幣の通過を許容する大きさを有しており、人間の手指の通過を規制している。
【0034】
かかる回収庫本体21の内部には、
図5及び6にも示すように、取出開口211aを臨む態様で収容域21aが画成されており、フラッパ24が揺動可能に設けられている。
【0035】
収容域21aは、従来公知のものであり、回収動作の際に、すべての収納庫16から搬送された紙幣を積層した状態で収容する領域である。この収容域21aの底部21bは、複数のコイルバネ21cを介して回収庫本体21の底壁部213に設置されており、コイルバネ21cの弾性復元力にて常時上方に付勢されている。
【0036】
フラッパ24は、例えば樹脂材により形成された板状部材であり、適宜切り欠かれて形成されている。このフラッパ24は、後端部分241に形成された図示せぬ軸状部が回収庫本体21の左右の側壁部214に軸支されており、軸状部の軸心回りに前端部分242が上下に揺動可能に設けられている。
【0037】
かかるフラッパ24は、軸状部を巻回する態様で該フラッパ24と回収庫本体21との間に介在する付勢手段であるフラッパスプリング24a(
図8及び
図9参照)により前端部分242が下方に向けて付勢されており、収容域21aに搬送された紙幣を下方に向けて押圧するものである。
【0038】
ところで、回収庫本体21の側壁部214には、左右一対となる態様で複数(図示の例では2つ)の検知孔214aが形成されている。取出開口211aに近接する側の検知孔214aは、収容域21aにおける紙幣が満杯であるか否かを検知するための光センサ等の検知手段の検知光を透過させるためのものであり、取出開口211aから離隔する側の検知孔214aは、取出開口211aが開成しているか否かを検知するための光センサ等の検知手段の検知光を透過させるためのものである。
【0039】
取出扉22は、取出開口211aを閉塞するのに十分な大きさを有した扉体である。この取出扉22は、回収庫本体21における取出開口211aの下縁部に軸支されており、取出開口211aを開閉する態様で揺動可能に設けられている。
【0040】
この取出扉22は、前面221が外面を構成し、後面222が内面を構成しており、該後面222の全域を被覆する態様で内面カバー25が設けられている。内面カバー25は、光吸収性に優れた色を呈し、本実施の形態では黒色を呈するものである。
【0041】
扉ロック機構23は、キーシリンダ23aと係止片部23bとを備えて構成されている。キーシリンダ23aは、取出扉22に設けられており、鍵穴231を有している。鍵穴231は、取出扉22の上面223から露出する態様で設けられている。
【0042】
このようなキーシリンダ23aは、鍵穴231に図示せぬ取出用鍵が挿入されて解錠操作された場合に、自身の中心軸を中心にして時計回りに回転するものであり、自身の外部より突出する態様で形成されたフック片232を時計回りに回動させるものである。
【0043】
一方、キーシリンダ23aは、鍵穴231に取出用鍵が挿入されて施錠操作された場合に、自身の中心軸を中心にして反時計回りに回転するものであり、フック片232を反時計回りに回動させるものである。
【0044】
係止片部23bは、回収庫本体21における天壁部215に下方に突出する態様で形成されている。この係止片部23bは、取出扉22が取出開口211aを閉成した状態において、フック片232の回動域に進出するように形成されている。
【0045】
そのような扉ロック機構23は、取出扉22が取出開口211aを閉成する状態において、鍵穴231に取出用鍵が挿入されて施錠操作された場合に、キーシリンダ23aによりフック片232が反時計回りに回動し、
図7に示すようにフック片232が係止片部23bに係止して、取出扉22により閉成された取出開口211aが開成することを規制する。
【0046】
その一方、扉ロック機構23は、取出扉22が取出開口211aを閉成する状態において、鍵穴231に取出用鍵が挿入されて解錠操作された場合に、キーシリンダ23aによりフック片232が時計回りに回動し、フック片232と係止片部23bとの係止状態が解除されることで取出扉22により閉成された取出開口211aが開成することを許容する。尚、
図7中の符号26は、キーシリンダ23aの周囲に紙幣等が進入することを規制するリブである。
【0047】
ところで、回収庫本体21における天壁部215には、切欠215aが形成されるとともに、
図8にも示すように、紙幣ガイド27及びフラッパストッパ28が設けられている。
【0048】
切欠215aは、天壁部215における前端部、すなわち取出開口211aの上縁部分の中央領域に形成されている。この切欠215aは、取出扉22が取出開口211aを閉成する場合に、キーシリンダ23aの一部である鍵穴231を形成する部位の進入を許容することにより、鍵穴231の配置を許容するものである。
【0049】
紙幣ガイド27は、切欠215aが形成された部位の左右両側部分に下方に向けて突出する態様で形成されている。これら紙幣ガイド27は、
図9に示すように、収容域21aに搬送された紙幣S(
図9のみ表示)の一部に当接し、これにより紙幣Sの一部が扉ロック機構23におけるフック片232の回動域に近接することを規制するものである。
【0050】
フラッパストッパ28は、天壁部215の前端部における左右の両側部位に下方に向けて突出する態様で形成されている。これらフラッパストッパ28は、
図9に示すように、フラッパスプリング24aの付勢力に抗して上方へ揺動するフラッパ24の前端部分242に当接して該前端部分242の上方への揺動量を規制するものである。
【0051】
そのような構成を有する回収庫20は、
図1等に示したように、取出開口211aを閉成する取出扉22の前面221のみが装置本体1の外部に露出される態様で該装置本体1に装着されている。
【0052】
ところで、回収庫20は装置本体1に着脱可能に設けられていると述べたが、
図1に示すように装置本体1に設けられている場合には、図示せぬ取出用鍵を所定の取出用鍵孔18に挿入して取出操作等がされない限り、装置本体1から離脱できないように設けられている。つまり、回収庫20は、装置本体1から容易に離脱するようには設けられていない。
【0053】
そして、上述した回収動作が行われた場合に、取出用鍵を取出用鍵孔18に挿入して取出操作されることにより、回収庫20が装置本体1から取り外され、管理者が管理する金庫等に保管される。
【0054】
また回収庫20に収容された紙幣は、装置本体1から取り外された状態の回収庫20の鍵穴231に取出用鍵が挿入されて解錠操作された場合に、取出扉22が開く方向に揺動して取出開口211aが開成することにより、管理者等が手指を進入させてフラッパ24により押圧された紙幣を取り出すことができる。
【0055】
以上説明したように、本発明の実施の形態である紙幣処理装置によれば、扉ロック機構23を構成するキーシリンダ23aの鍵穴231が取出扉22の上面223から外部に露出する態様で設けられているので、回収庫20が装置本体1に装着される場合に、回収庫20の外部に露出されない個所に鍵穴231が形成されることとなり、該紙幣処理装置が所謂セルフレジとして使用されるときにおいても、悪意を持った者による不正な解錠操作を防止することにより防犯効果の向上を図ることができる。
【0056】
上記紙幣処理装置によれば、回収庫本体21の天壁部215における取出開口211aの上縁部分に、鍵穴231の配置を許容する切欠215aが形成されているので、鍵穴231が取出扉22の上面223から露出する態様で扉ロック機構23を配置しても回収庫20の寸法を大きくする必要がなく、回収庫20の大型化を抑制することができる。このように回収庫20の大型化を抑制できるので、市場に出回っている装置本体1に装着することができ、汎用性の向上を図ることができる。
【0057】
上記紙幣処理装置によれば、黒色を呈する内面カバー25が、取出扉22の後面222の全域を被覆する態様で設けられているので、取出扉22が取出開口211aを閉成する状態で回収庫20が装置本体1に装着された場合に、装置本体1の内部に例えば太陽光等の外乱光が進入することを抑制することができ、光センサ等の検知手段(収容域21aにおける紙幣が満杯であるか否かを検知するための検知手段や、取出開口211aが開成しているか否かを検知するための検知手段)による誤検知を防止することができる。
【0058】
上記紙幣処理装置によれば、回収庫本体21の天壁部215における切欠215aの左右両側部分に下方に向けて突出する態様で形成された紙幣ガイド27が、収容域21aに搬送された紙幣S(
図9参照)の一部に当接し、これにより紙幣Sの一部が扉ロック機構23におけるフック片232の回動域に近接することを規制するので、紙幣詰まり等の発生を抑制することができる。
【0059】
上記紙幣処理装置によれば、回収庫本体21の天壁部215の前端部における左右の両側部位に下方に向けて突出する態様で形成されたフラッパ24ストッパが、フラッパ24スプリングの付勢力に抗して上方へ揺動するフラッパ24の前端部分242に当接して該前端部分242の上方への揺動量を規制するので、紙幣詰まり等の発生を抑制することができる。
【0060】
図10は、本発明の実施の形態である紙幣処理装置の変形例の内部を示しつつ外観構成を示す斜視図である。尚、上述した実施の形態である紙幣処理装置と同一の構成要素については、同一の符号を付して重複した説明を適宜省略する。
【0061】
ここで例示する紙幣処理装置は、例えばスーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗において、自動釣銭機として適用されるものであり、装置本体1を備えている。このような装置本体1の前方部分の下部には、回収庫30が着脱可能に設けられている。
【0062】
図11は、
図10に示した回収庫30の外観構成を示す斜視図であり、
図12は、
図11に示した回収庫30の要部の分解斜視図である。ここで例示する回収庫30は、回収庫本体21と、取出扉32と、扉ロック機構33とを備えて構成されている。
【0063】
取出扉32は、回収庫本体21における取出開口211a(
図14参照)を閉塞するのに十分な大きさを有した扉体である。この取出扉32は、上記取出扉22と同様に、回収庫本体21における取出開口211aの下縁部に軸支されており、取出開口211aを開閉する態様で揺動可能に設けられている。
【0064】
この取出扉32は、前面321が外面を構成し、図示せぬ後面が内面を構成している。扉ロック機構33は、キーシリンダ33aと図示せぬ係止片部とを備えて構成されている。キーシリンダ33aは、取出扉32に設けられており、鍵穴331を有している。鍵穴331は、取出扉32の前面における中央部上部の窪み部分323から露出する態様で設けられている。
【0065】
このようなキーシリンダ33aは、鍵穴331に図示せぬ取出用鍵が挿入されて解錠操作された場合に、自身の中心軸を中心にして時計回りに回転するものである。一方、キーシリンダ33aは、鍵穴331に取出用鍵が挿入されて施錠操作された場合に、自身の中心軸を中心にして反時計回りに回転するものである。かかるキーシリンダ33aの機能は、上述したキーシリンダ23aと同じである。
【0066】
そのような扉ロック機構33は、取出扉32が取出開口211aを閉成する状態において、鍵穴331に取出用鍵が挿入されて施錠操作された場合に、キーシリンダ33aが反時計回りに回転し、取出扉32により閉成された取出開口211aが開成することを規制する。その一方、扉ロック機構33は、取出扉32が取出開口211aを閉成する状態において、鍵穴331に取出用鍵が挿入されて解錠操作された場合に、キーシリンダ33aが時計回りに回転し、取出扉32により閉成された取出開口211aが開成することを許容する。
【0067】
上記取出扉32には、鍵カバー部材40が設けられている。鍵カバー部材40は、取出扉32の窪み部分323を閉塞するのに十分な大きさを有している。この鍵カバー部材40は、
図12における上端後部に形成された左右方向に沿って延在する軸支孔41に、上記窪み部分323の縁部より左右一対となる態様で左右方向に沿って延在する軸状部323aが挿通することにより、該軸状部323aの中心軸回りに鍵穴331に対して近接離反する態様で前後に回動自在に設けられている。
【0068】
つまり、鍵カバー部材40は、鍵穴331に近接する態様で回動する場合には、
図11に示したように窪み部分323を閉塞しつつ鍵穴331を被覆する一方、鍵穴331から離隔する態様で回動する場合には、
図13に示すように窪み部分323を開放しつつ鍵穴331を露出させるものである。尚、鍵カバー部材40は、常態においては、自身の自重により鍵穴331に近接して窪み部分323を閉塞しつつ鍵穴331を被覆している。
【0069】
そして、そのような鍵カバー部材40には、軸支孔41が形成された上端後部より
図12において上方に向けて延在する上延部42が形成されている。そのため、
図10に示したように回収庫30が装置本体1に装着された場合、
図14に示すように、上延部42の後方域に装置本体1の一部が配置される。これにより、鍵カバー部材40が鍵穴331から離隔する態様で前方に回動しようとしても上延部42の回動軌跡上に装置本体1の一部が配置されていることにより、鍵カバー部材40の前方への回動が規制されている。
【0070】
よって、鍵カバー部材40は、回収庫30が装置本体1に装着された場合には、鍵穴331に近接した状態に保持されて該鍵穴331を被覆している。一方、鍵カバー部材40は、回収庫30が装置本体1から離脱した場合には、回動操作されることを条件として鍵穴331が露出されることを許容する。
【0071】
以上説明したように、上記紙幣処理装置によれば、鍵穴331に近接離反する態様で取出扉32に回動自在に配設された鍵カバー部材40が、回収庫30が装置本体1に装着された場合には、鍵穴331に近接した状態に保持されて該鍵穴331を被覆する一方、回収庫30が装置本体1から離脱した場合には、回動操作されることを条件として鍵穴331が露出されることを許容するので、回収庫30が装置本体1に装着された状態において、鍵穴331が外部に露出されないよう設けられ、これにより、該紙幣処理装置が所謂セルフレジとして使用されるときにおいても、悪意を持った者による不正な解錠操作を防止することにより防犯効果の向上を図ることができる。
【0072】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
【0073】
上述した実施の形態では、扉ロック機構23を構成する鍵穴231が取出扉22の上面223から外部に露出される態様で設けられていたが、本発明においては、回収庫が装置本体に装着された状態において、鍵穴が外部に露出されないよう設けられていればよく、例えば、扉ロック機構を構成する鍵穴が、回収庫が装置本体に装着された状態において、外部に露出されない個所に設けられていればよく、取出扉の上面に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0074】
1…装置本体、10…入金口、11…出金口、13…入金部、14…出金部、15…鑑別部、16…収納庫、17…紙幣搬送機構、20…回収庫、21…回収庫本体、21a…収容域、211a…取出開口、215a…切欠、22…取出扉、221…前面、222…後面、223…上面、23…扉ロック機構、23a…キーシリンダ、23b…係止片部、231…鍵穴、232…フック片、24…フラッパ、24a…フラッパスプリング、241…後端部分、242…前端部分、25…内面カバー、27…紙幣ガイド、28…フラッパストッパ。