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特開2022-17162量子暗号システムの重力による誤謬補正方法、それを用いた量子暗号認証方法、それのための使用者端末機及びサーバ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022017162
(43)【公開日】2022-01-25
(54)【発明の名称】量子暗号システムの重力による誤謬補正方法、それを用いた量子暗号認証方法、それのための使用者端末機及びサーバ
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/11 20130101AFI20220118BHJP
   H04B 10/70 20130101ALI20220118BHJP
【FI】
H04B10/11
H04B10/70
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021017238
(22)【出願日】2021-02-05
(31)【優先権主張番号】10-2020-0085801
(32)【優先日】2020-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】521056272
【氏名又は名称】ソウル市立大学産学協力団
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】安度烈
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AA01
5K102AA21
5K102AB07
5K102AB11
5K102AL21
5K102AL28
5K102KA01
5K102KA39
5K102MA02
5K102MB10
5K102MC07
5K102PB01
5K102PC11
5K102PH11
5K102PH23
5K102PH31
5K102RB03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】暗号認証の正確度を向上させることのできる量子暗号システムの重力による誤謬補正方法、量子暗号認証方法、使用者端末機及びサーバを提供する。
【解決手段】量子暗号システムの重力による誤謬補正方法は、電子計算機が送信者から偏光された光を受信し受信者に伝送する衛星までの距離を受信する段階と、電子計算機が、衛星の単位質量当たり各運動量を受信する段階と、電子計算機が、衛星までの距離と衛星の単位質量当たり各運動量を用いて、重力による空間の撓まれによる偏光を回転量を計算する段階と、を含む。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子計算機が、送受信者から偏光された光を受信し受信者に伝送する衛星までの距離を受信する段階と、
電子計算機が、前記衛星の単位質量当たり各運動量を受信する段階と、
前記電子計算機が、前記衛星までの距離と前記衛星の単位質量当たり各運動量を用いて、重力による空間の撓まれによる偏光の回転量を計算をする段階と、
を含むことを特徴とする量子暗号システムの重力による誤謬補正方法。
【請求項2】
前記電子計算機は、
【数1】

の関係式によって偏光の回転量を計算することを特徴とする請求項1に記載の量子暗号システムの重力による誤謬補正方法(この式で、偏光の回転量は2Θ、lobsは衛星の単位質量当たり各運動量、rは衛星までの距離、rは地球のシュワルツシルト半径)。
【請求項3】
サーバが任意のビットを生成する段階と、
前記サーバが前記任意のビットを伝送する伝送フィルターを選択する段階と、
前記サーバが、伝送フィルターによって偏光された光子を衛星に送信する段階と、
使用者端末機が、前記光子を受信する受信フィルターを選択する段階と、
前記使用者端末機が、前記衛星までの距離と前記衛星の単位質量当たり各運動量を受信する段階と、
前記使用者端末機が、前記衛星までの距離と前記衛星の単位質量当たり各運動量を用いて、重力による空間の撓まれによる偏光の回転量を計算する段階と、
前記使用者端末機が、前記偏光の回転量を考慮して、前記受信フィルターを回転させる段階と、
前記使用者端末機が、前記受信フィルターを通じて前記衛星から送信される光子を受信する段階と、
前記サーバと使用者端末機が、互いに前記伝送フィルター及び前記受信フィルターの情報を共有する段階と、
共有された前記伝送フィルター及び前記受信フィルターの情報を通じて、前記サーバは第1秘密キーを生成し前記使用者端末機は第2秘密キーを生成する段階と、
前記使用者端末機が、前記第2秘密キーを前記サーバに伝送する段階と、
前記サーバが、前記第1秘密キーと第2秘密キーの一致可否を確認する段階と、を含むことを特徴とする量子暗号認証方法。
【請求項4】
前記使用者端末機は、
【数1】

の関係式によって偏光された回転量を計算することを特徴とする請求項3に記載の量子暗号認証方法(この式で、偏光の回転量4Θ、lobsは衛星の単位質量当たり各運動量、rは衛星までの距離、rは地球のシュワルツシルト半径)。
【請求項5】
前記使用者端末機が、前記衛星までの距離と前記衛星の単位質量当たり各運動量を受信する段階において、前記使用者端末機は、前記衛星または前記サーバから前記衛星までの距離と前記衛星の単位質量当たり各運動量を受信することを特徴とする請求項3に記載の量子暗号認証方法。
【請求項6】
前記サーバと前記使用者端末機が、互いに前記伝送フィルター及び前記受信フィルターの情報を共有する段階において、
前記サーバと前記使用者端末機は、有線通信網及び無線通信網のうち少なくともいずれか一つから構成される通信ネットワークを通じて、前記伝送フィルター及び前記受信フィルターの情報を共有することを特徴とする請求項3に記載の量子暗号認証方法。
【請求項7】
前記サーバが前記任意のビットを伝送する伝送フィルターを選択する段階と前記使用者端末機が、前記光子を受信する受信フィルターを選択する段階のうち少なくとも一つの段階で行われる選択はランダム選択であることを特徴とする請求項3に記載の量子暗号認証方法。
【請求項8】
ランダムビットを生成するランダムビット生成部と、
偏光を送信するための伝送フィルターを選択する伝送フィルター選択部と、
生成されたランダムビットを、選択された伝送フィルターを通じて偏光された光子に変換させて伝送する光伝送部と、
使用者端末機から受信フィルター情報を伝送し、伝送フィルター情報を前記使用者端末機に伝送する通信部と、
受信された前記受信フィルター情報に従って前記ランダムビットを用いて第1秘密キーを生成する秘密キー生成部と、
前記使用者端末機から第2秘密キーを受信して前記第1秘密キーと比較することで使用者認証を遂行する認証部と、
を含むことを特徴とするサーバ。
【請求項9】
サーバから伝送される、偏光された光子を受信するための受信フィルターを選択する受信フィルター選択部と、
前記受信フィルターの角度を補正する受信フィルター補正部と、
補正された前記受信フィルターを通じて、衛星から前記偏光された光子を受信する光受信部と、
サーバから伝送フィルター情報を受信し、前記サーバに受信フィルター情報を送信する通信部と、
前記光受信部を通じて受信された前記偏光された光子情報、前記伝送フィルター情報及び前記受信フィルター情報を用いて第2秘密キーを生成する秘密キー生成部と、
を含み、前記通信部は前記第2秘密キーを前記サーバに伝送する使用者端末機。
【請求項10】
前記受信フィルター補正部は、
【数1】

の関係式によって偏光の回転量を計算し、4Θ分だけ受信フィルターを回転させることを特徴とるす請求項9に記載の使用者端末機(この式で、lobsは衛星の単位質量当たり各運動量、rは衛星までの距離、rは地球のシュワルツシルト半径)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は量子暗号システムの重力による誤謬補正方法、それを用いた量子暗号認証方法、それのための使用者端末機及びサーバに関わり、より詳細には、人工衛星基盤の量子暗号システムの重力による誤謬補正方法、それを用いた量子暗号認証方法、それのための使用者端末機及びサーバに関する。
【背景技術】
【0002】
アインシュタインの“Spooky action at a distance”は最近中国の墨子衛星(Micius Satellite)発射と共に全世界時空間量子通信で早く発展しつつある。量子理論テストのために長さと時間尺度を相対的な距離と速度で拡張する。このような環境で量子と重力理論の絡みを理解することが最も重要であるがその影響が量子ビット誤謬率(QBER:Quantum Bit Error Rate)に及ばす影響は完全に理解されるか確認されてない状態である。量子システムが個伝的な曲線時空間で進化する政権での実験さえ完全に評価されたことがなかった。本発明者は地上観測所と地球軌道にある衛星との間の重力場によって誘導された幾何学的衛星を観察するためにウィグナ回転(Wigner Rotation)のユニタリーの縮小できない表現で光子状態を説明する。ウィグナ回転には一般的な相対論的か古典的な量子成分のあることが明らかになった。観測者が螺旋形軌道にある時、量子成分は地球軌道の高度によって10~6°から10~4°で得られ、それは測定可能であるべきである。重力場によって生成された量子回転は量子の絡みと光子状態に対する一般的な相対性の結果であり量子システムに対する重力効果をテストするための道を開くだろう。
【0003】
量子キー分配(QKD:Quantum Key Distribution)は両者(AliceとBob)間に共有任意秘密キーを生成してキー複写試しを感知するプロセッサである。本質的に安全した特性に起因して光繊維基盤QKDは複数の商用装置で具現された。また、計算及びコンピューター能力が幾何級数的に増加することによってグローバル保安キー分配に対する脅威が増加することによって自由空間基盤QKDシステムが多様な実行可能な研究によって積極的に追求されてきた。偏光状態の外にも光子の量子化された線形運動量LMまたは軌道各運動量0AM状態を用いるキー分布(HD-QKD)に有利である。このようなシステムは帯域幅を保持するか増加させながら量子チャンネルの充実度要求事項を減少させることができる。このような特性を活用して自由空間0AM基盤QKDが210メター距離で空中で試演された。
【0004】
また、SPACEQEST及びQEYSSAtプロジェクトのようにLE0衛星と光地上局との間の量子通信に対する幾つかの提案が報告された。対部分は一般相対論的現状よりは量子光学を主に考慮して来た。しかし、重力場は高度変化によって量子状態のワルドラインに沿って量子ビット誤謬率(QBER)に相当な寄与をする。このような情報損失は重力場が消滅量子チャンネルのような役割をするということを暗示する。特に、光子状態偏光及び線形運動量に対する一般的な相対論的効果は軌道衛星での量子情報処理に重要である。最近、LE0-to-groundリンクでマイクロ衛星基板の量子制限通信実験が報告された。分極エンコーディングは大気を通じた安定的な電波によって自由空間リンクを有するQKDに対する合理的なオプションである反面、タイム-ビン(time bin)エンコーディングはパイバネットワークで幅広く使用されることが分かった。このような種類のシステムで最も大きい課題はLEO衛星と光地上居との間偏光基準フレーム同期化で重力場でQKDプロトコルを安定的に具現することである。一般的相対論的観点で光子が重力場を通じて電波される時光子の偏光と線形運動量の変化に関する研究があったが、一般的な相対性理論を有した量子システムの研究は主に適切な時間及び時間膨張効果に集中されていた。
【0005】
曲がれた時空間で動く観測者(例えば、衛星)によって観察された光子状態を説明しようとすると現代物理学の二つの核心的な部分である量子力学と一般相対性理論を全部理解しなければならない。量子情報の相対論的処理のための概念的障壁のうち一つは相対論的量子理論の波動場と状態ベクトルの役割の差異である。非相対的量子力学でシュレディンガー方程式の波動関数は保存された粒子密度または密度マトリックスを定義するに使用できる確率振幅を提供する。しかし、相対論的方程式はユニタリー粒子の確率波に対する間接的な表現に過ぎないことが明らかになった。1939年ウィグナ(Wigner)は相対論的粒子の量子状態が波動方程式を使用せず公式化できるというアイディアを提案した。自由粒子の状態はポアンカレグループのユニタリーの縮小できない表現で提供される。ウィグナの公式で、他の慣性フレームの相対論的粒子状態はウィグナ回転と呼ばれるポアンカレグループの縮小できない表現で小さいグループ要素との関連にある。
【0006】
ウィグナ(Wigner)の本来提案は特殊相対性理論に対するのであったが、一般相対性理論の領域に拡張しようとする試みは複数回あった。ウィグナのグループ曲線時空間に拡張しようとするとすべてのイベントで標準方向(xyz)が必要である。局所座標を定義するためにテトラード(tedrads、フレームフィールド)を導入することで曲線空間での移動粒子状態がウィグナ回転によって互いに変換されることとして示される。自由空間QDKシステムの場合、地球軌道と地球軌道近所の衛星との間で観察された光子の線形偏光回転を誘導する。従って、量子理論に対する一般相対論的効果をテストするための基本観点のみならず精密量子計測及び自由空間量子通信に対する適用観点においても特に重要な問題になるのである。
【0007】
本発明者の研究で、地球地上局で0でない角度運動量を有する自由落下観測機に伝送された光子によって経験された微細なウィグナ回転の存在が立証された。本発明者は地球の軸間をシュワルツシルト(schwarzschild)時空間にモデリングしてテドラード場(tetrads field)を全世界的に方向保存座標基準として定義することができ、(- + + +)マトリックスシグネチャーを使用した。また、時空間に対する量子場理論は与えられた偏光で光子の量子状態に使用されるスピナー構造を受容すると仮定する。量子システムが古典的な曲線時空間で進化する体制の実験的評価に対して多くの作業が遂行できていない点を考慮すると、本発明者のモデルは量子システムに対する重力効果を調査するためのテストベッドを提供することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って本発明の解決しようとする課題は、量子暗号システムの重力による誤謬補正方法を提供することにある。
【0009】
本発明が解決しようとする他の課題は、量子暗号システムの重量による誤謬補正方法を用いた量子暗号認証方法を提供することにある。
【0010】
本発明が解決しようとする他の課題は、量子暗号システムの重力による誤謬補正方法を用いた量子暗号認証方法のための使用者端末機及びサーバを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような課題を解決するための本発明の一実施形態による量子暗号システムの重力による誤謬補正方法は、電子計算機が、送受信者から偏光された光を受信し受信者に伝送する衛星までの距離を受信する段階と、電子計算機が、前記衛星の単位質量当たり各運動量を受信する段階と、前記電子計算機が、前記衛星までの距離と前記衛星の単位質量当たり各運動量を用いて、重力による空間の撓まれによって偏光の回転量を計算をする段階と、を含む。
【0012】
この際、前記電子計算機は、
【数1】
【0013】
の関係式によって偏光の回転量を計算することがきる(この式で、偏光の回転量は2Θ、lobsは衛星の単位質量当たり各運動量、rは衛星までの距離、rは地球のシュワルツシルト半径)。
【0014】
本発明の例示的な一実施形態による量子暗号認証方法は、サーバが任意のビットを生成する段階と、前記サーバが前記任意のビットを伝送する伝送フィルターを選択する段階と、前記サーバが、伝送フィルターによって偏光された光子を衛星に送信する段階と、使用者端末機が、前記光子を受信する受信フィルターを選択する段階と、前記使用者端末機が、前記衛星までの距離と前記衛星の単位質量当たり各運動量を受信する段階と、前記使用者端末機が、前記衛星までの距離と前記衛星の単位質量当たり各運動量を用いて、重力による空間の撓まれによって偏光の回転量を計算する段階と、前記使用者端末機が、前記偏光の回転量を考慮して、前記受信フィルターを回転させる段階と、前記使用者端末機が、前記受信フィルターを通じて前記衛星から送受信される光子を受信する段階と、前記サーバと前記受信者が、互いに前記伝送フィルター及び前記受信フィルターの情報を共有する段階と、共有された前記伝送フィルター及び前記受信フィルターの情報を通じて、前記サーバは第1秘密キーを生成し前記受信者は第2秘密キーを生成する段階と、前記使用者端末機が、前記第2秘密キーを前記サーバに伝送する段階と、前記サーバが、前記第1秘密キーと第2秘密キーとの一致可否を確認する段階と、を含む。
【0015】
この際、前記使用者端末機は、
【数2】
【0016】
の関係式によって偏光された回転量を計算することができる(この式で、偏光の回転量4Θ、lobsは衛星の単位質量当たり各運動量、rは衛星までの距離、rは地球のシュワルツシルト半径)。
【0017】
一方、前記使用者端末機が、前記衛星までの距離と前記衛星の単位汁長当たり各運動量を受信する段階で、前記使用者端末機は、前記衛星または前記サーバから前記衛星までの距離と前記衛星の単位質量当たり各運動量を受信することができる。
【0018】
また、前記サーバと前記受信者が、互いに前記伝送フィルター及び前記受信フィルター情報を共有する段階において、前記サーバと前記受信者は、有線通信網及び無線通信網のうち少なくともいずれか一つから構成される通信ネットワークを通じて、前記伝送フィルター及び前記受信フィルターの情報を共有することができる。
【0019】
また、前記サーバが前記任意のビットを伝送する伝送フィルターを選択する段階と前記使用者端末機が、前記光子を受信する受信フィルターを選択する段階のうち少なくとも一つの段階で行われる選択はランダム選択であってもよい。
【0020】
本発明の例示的な一実施形態による、量子暗号システムの重力による誤謬補正方法を遂行するためのサーバは、ランダムビット生成部、伝送フィルター選択部、光伝送部、通信部、秘密キー生成部及び認証部を含む。前記ランダムビットはランダムビットを生成する。前記伝送フィルター選択部は偏光を送信するための伝送フィルターを選択する。光伝送部は生成されたランダムビットを、選択された伝送フィルターを通じて偏光された光子に変換させて伝送する。前記通信部は、使用者端末機から受信フィルター情報を伝送し、前記伝送フィルター情報を前記使用者端末機に伝送する。前記秘密キー生成部は前記受信された受信フィルター情報に従って前記ランダムビットを用いて第1秘密キーを生成する。前記認証部は、前記使用者端末機から第2秘密キーを受信して前記第1秘密キーと比較することで使用者認証を遂行する。
【0021】
この際、前記伝送フィルター選択部は前記伝送フィルターをランダムに選択することができる。
【0022】
本発明の例示的な一実施形態による、量子暗号システムの重力による誤謬補正方法を遂行するための使用者端末機は、受信フィルター選択部、受信フィルター補正部、光受信部、通信部及び秘密キー生成部を含む。前記受信フィルター選択部はサーバから伝送される、偏光された光子を受信するための受信フィルターを選択する。前記受信フィルター補正部は前記受信フィルターの角度を補正する。前記光受信部は補正された前記受信フィルターを通じて、衛星から前記偏光された光子を受信する。前記通信部はサーバから伝送フィルター情報を受信し、前記サーバに前記受信フィルター情報を送信する。前記秘密キー生成部は前記光受信部を通じて受信された前記偏光された光子情報、前記伝送フィルター情報及び前記受信フィルター情報を用いて第2秘密キーを生成する。この際、前記通信部は前記第2秘密キーを前記サーバに伝送する。
【0023】
この際、前記受信フィルター補正部は、
【数3】
【0024】
の関係式によって偏光の回転量を計算し、4Θ分だけ受信フィルターを回転させることができる(この式で、lobsは衛星の単位質量当たり各運動量、rは衛星までの距離、rは地球のシュワルツシルト半径)。
【0025】
一方、前記受信フィルター選択部は前記受信フィルターをランダムに選択することができる。
【発明の効果】
【0026】
このように本発明によると、光ケーブルの設置されていなくて人口衛星を通じて光子を伝送する場合、光子の偏光の重力によって時空間の撓まれによって誤謬を補正することで暗号認証の正確度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】地球衛星システムの回路図であって、図1-(a)は地球衛星システムと該当座標で、光子の測地線と偏光はそれぞれ赤色線と薄い緑色矢印で表示され、光子の波動ベクトル及び偏光はそれぞれの局所フレームで測定され(図1-(b))、標準フレームで比較される(図1-(c))。
図2図2は観測者(衛星)と光子の軌道の概略図で、光子移動の測地線は一定のφ‐平面にあり観測者測地線は等辺平面θ=π/2に置かれ、絵2‐(a)で、A、B及びCは放射状で円形軌道で螺旋形で回転する巨大な自由落下観測機の測地線を示し。絵2‐(b)は光子の発射角を示す。
図3】0でない角度運動量を有する自由落下観測者のテトラードを解釈するための概念図で、古典IWAのリーディングターム(leading term)は波動ベクトルの放射形成分のみに依存するので無限及び全体古典ウィグナ回転はそれぞれでΘ(x+δx)-Θ(x)及びΘ(xsatellite)-Θ(xearth)で示される。
図4】円形軌道(図4-(a)と(b)と螺旋形軌道(図4-(c)及び(d)の場合、橙色の実線の古典的部分、青色実線の量子部分、緑色線の全体WRAを示す。
図5】円形軌道に対して0でない各運動量を有する自由落下観測者の無限クラシック回転及び量子回転対アピンパラメータの関係を示す。
図6】量子暗号認証方法を説明するための図面である。
図7】本発明による量子暗号認証方法が遂行される主体間の関係を示すダイヤグラムである。
図8図6の受信フィルターの補正前と補正後を示す概念図である。
図9】本発明の例示的な一実施形態によるサーバを示すブロック図である。
図10】本発明の例示的な一実施形態による使用者端末機を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は多様な変更を加えることができ、多様な形態を有することできる。ここでは、特定の実施形態を図面に例示し本文に詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の開示形態に限定するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むこととして理解されるべきである。各図面を説明しながら類似した参照符号を類似した構成要素に対して使用して。添付された図面において、構造物の寸法は本発明の明確性を図るために実際より誇張して示したのであり得る。
【0029】
第1、第2などの用語は多用な構成要素を説明するのに使用されることがあるが、前記構成要素は前記用語によって限定解釈されない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみとして使用される。例えば、本発明の権利範囲を外れることなく第1構成要素を第2構成要素ということができ、類似に第2構成要素も第1構成要素ということができる。
【0030】
本出願において使用した用語は単なる特定の実施形態を説明するために使用されたもので、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上明白に示さない限り、複数の表現を含む。本出願において、「含む」または「有する」などの用語は明細書に記載された特徴、数字、ステップ、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを意味し、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないこととして理解されるべきである。また、AとBが‘連結される’。‘結合される’という意味はAとBが直接的に連結されるか結合することの以外に他の構成要素CがAとBとの間に含まれてAとBが連結されるか結合されることを含むのである。
【0031】
他のように定義されない限り、技術的か科学的な用語を含めてここで使用される全ての用語は本発明が属する技術分野で通常の知識を有した者によって一般的に理解されるのと同一の意味を有している。一般的に使用される辞書に定義されてのと同じ用語は関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本出願で明白に適宜されない限り、理想的か過度に形式的な意味で解釈されない。また、方法発明に対する特許請求範囲で、各段階が明白に順序に拘束されない限り、各段階はその順序が互いに変わってもよい。
【0032】
以下、図面を参照して本発明の好適な一実施形態をより詳細に説明する。
【0033】
ウィグナ(Wigner)回転の縮小のできない表現
【0034】
光子のヒルベルト空間ベクトルはテトラード、
【数4】

、(a^及びμ=0、1、2、3)によって拡張のある局所慣性フレームに定義され、それはそれぞれ一般座標系及び局部ローレンツ変換
【数5】

及び
【数6】

下で満足に変換される。xから x+δx への無限小変換の下でテトラードの変移はベクトルの変化のなしに同一のタンジェント平面で二つのベクトルを比較するために下の数式1のように並列伝送で表される。
【0035】
【数7】
(数式1)
【0036】
観測者の実験室で光子の波動ベクトルが測定される場合波動ベクトル
【数8】

の極小共変量成分は光子の測地線に沿って、xμから
【数9】

へ、次に数式2のように変更される。
【0037】
【数10】
(数式2)
【0038】
撓まれた時空間での光子状態は幾何光学限界でヌル測地線(null geodesic)によりテトラードの局所無限変換は非対称的であるので、数式2は次のようである。
【0039】
【数11】
(数式3)
【0040】
この式で、
【数12】

である。即ち、無限小変換の効果は
【数13】

によって与えられた無限ローカルローレンツ変換で見られる。本明細書において、帽子(hat)が被られたラテン語文字及びグリース文字はそれぞれローカル慣性系及び一般座標系を意味する。
【0041】
ローレンツ変換、Aは数式4によって与えられたヘリシティ(helicity)、σを有する光子状態に対する1次元表現を有する。
【0042】
【数14】
(数式4)
【0043】
この式で、W(Λ,k)はウィグナの小グループ要素であり、W(Λ,k) = L-1(Λk)ΛL(k) で定義される。D(W)はWの縮小できない表である。L(k)はL(p)k=pとなるようにローレンツ変換である。
【0044】
従って、光子状態の変位はウィグナ回転角度(WRA)という量子位相に繋がれる。ローレンツ変換の縮小できないユニタリー表現の明示的表現を得ようとすると適切なロレンツグループと二重表紙(double cover)SL(2,C)の間の標準グループ同形を使用する。光子の波動ベクトルkは
【数15】

を通じてエルミート行列Kにマッピングされるが、ここで
【数16】

はpauli行列であり、
【数17】

は2x2恒等行列である。ローレンツ変換はSL(2,C)の元素Aを通じて次の数式5のように類似性変換で表現される。
【0045】
【数18】

(数式5)
【0046】
質量のない粒子の小グループ要素の縮小できないユニタリー表現は下の数式6で表現される。
【0047】
【数19】
(数式6)
【0048】
ここで、Ψ(Λ,k)はWRAである。a,b,c,d,α,β,γ及びδに対する詳細な表現は後で説明される補充情報SIに出ている。従って、極小無限ローレンツ変換は無限小ウィグナ回転(IWR:infinitesimal Wigner Rotation)で続かれ総ウィグナ回転は光子の測地軌跡 x(ξ) に対してIWRの時間順序積分によって得られる。
【0049】
【数20】
(数式7)
【0050】
ここで、
【数21】

であり、Tは時間順序演算子である。ψ及びψは、それぞれ無限小及び全体WRAである。また、LTΛ下で、偏光ベクトル
【数22】

は標準フレームで次の数式8のように変換される。
【0051】
【数23】
(数式8)
【0052】
前記公式で、
【数24】

はz^-軸に対する全体WAR分だけ回転を示す。
【0053】
モデル
【0054】
本発明において、本発明者は図1に示された地球衛星システムを考慮する。図1-(a)は地球衛星システムと該当座標を示す。光子は赤色線で表示される測地線と衛星のローカルフレームで測定された薄い緑色矢印で表示される偏光に沿って伝送される。地球表面と衛星で測定された偏光を比較するために光子の波動ベクトルが観測者のローカルフレームの三番目の軸に整列される標準フレームを紹介する(図1-(b)及び(c))。まず、固定観測者、放射状自由落下観測者及び螺旋形軌道の四つの場合を考慮する(図2-(a)。ブースト方向と波動ベクトルが平面または平面にある場合ウィグナ回転の特殊相対性関係で角度が0である。しかし、光子が平面で移動し平面で観測者が移動する場合WRAが必ずである必要はない。それに相応する同等性原則によって全ての観測者は平面、即ち、常数 φ 平面で移動する反面光子の測地線は赤道平面に残っていると仮定する(図2-(b))。
【0055】
本発明者はシュワルツシルトメトリックを使用して地球周囲の時空間をモデリングしテトラドの空間のような構成要素を選択してローカルフレームの一番目、二番目及び三番目の軸が無限大でシュワルツシルト座標 r,θ及びφの単位ベクトルとなる。即ち、
【数25】

であり、a^=1、2及び3はそれぞれb= r, θ 及び φ に該当する。回転しないローカルフレームを定義するために固定及び自由落下観測器にそれぞれFermi-walker伝送及び並列伝送条件を適用する。詳細な内容な後で説明される補充情報SIに出ている。シュワルツシルト座標を基盤としてローカルフレームを設定する時極座標定義による回転を取消しなければならない。即ち、座標r,
【数26】

の単位ベクトルが座標 φ が変化することによって回転するので、波動ベクトルが φ 軸に整列される時回転を取り消すためにローカルフレームの三番目軸として φ 軸を選択する。偏光比較。対応するテトラードの時間のような成分、
【数27】

はそれぞれの場合に対応する測地線に沿って移動する巨大な粒子(例えば、衛星)の4-速度ベクトルで設定されて観測者の局部的フレームを表す。観測者の4-速度ベクトル及び光子の波動ベクトルはシュワルツシルト時空間(SI#)のキリングベクトルから定義された保存された陽の観点で得られる。本発明者は等価原理を満足させるために、エネルギー、 εphoton を周波数で設定し、
【数28】

であるので、観測者の単位質量当たりエネルギー εobs を1に設定した( h= G = c = 1)。詳細な内容は補充情報(SI)に出ている。本発明者は光子の発射角を45°で(図2-(b))、観測者の単位質量当たり各運動量を
【数29】

で選択して4-速度ベクトルの放射状成分と極座標成分がシュワルツシルト座標で同一の値を有するようにした:
【数30】

ここで、 rearth は地球の半径であり、 r はシュワルツシルト半径である。
【0056】
結果
【0057】
式の観察に、(8)全て媒介変数が実数であるとこの方程式の結果は常に実数である。即ち、数式8の仮想のウィグナ角度を避けようとすると団結しなければならない。従って、全ての媒介変数が実際であるので一番目と二番目の場合にはWRAが0である。全ての媒介変数が実数でない場合無限ウィグナ回転角度(IWA)は下記の数式9のように与えられる。
【0058】
【数31】
(数式9)
【0059】
それは、角度運動量を有する自由落下観測者である最後の二つの場合に該当する。IWAは三番目の軸を中心とした古典的な回転2Im(α)とウィグナの小さいグループ要素によって誘発された量子回転
【数32】

で構成される。円形軌道の場合、平行移動は球座標によって誘導された回転を補償して観測者が-rθ分だけ移動する時テトラードの空間的構成要素がθ分だけ回転して小さいクラシックWRAに続かれる。螺旋軌道の場合、平行運送は2Θ(r)分だけ第3軸を中心としてテトラードを回転させ、それを次のように表される。
【0060】
【数33】

(数式10)
【0061】
ここで、 lobs は観測者の単位質量当たり各運動量を示す。図3では螺旋形軌道の場合既存IWAを解釈するための概念的絵を示す(古典的なIWAの主要用語は波動ベクトルの放射成分のみに依存するのでSIを参照)光子の角度運動量を無視することでシステムを単純化することができる。テトラードは重力によって
【数34】

を中心として回転し光子が地球で遠くなることによってシュワルツシルト座標と非対称的に同一になる。従って無限及び全体クラシックウィグナ回転はそれぞれΘ(x+δx)-Θ(x)及びΘ(xsatellite)-Θ(xearth)で表される。
【0062】
下記の表1はIWAと相異した地球軌道へのテトラードの回転角度を比較したのである。
【0063】
【表1】
【0064】
前記表1において、IWA(一般相対論的効果)の古典的な部分であるテトラードの回転角度2Im(α)と量子回転
【数35】

は地球表面で多様な地球軌道の高度で円形及び螺旋形軌道と比較された。2Im(α)は殆ど同一の二つの角度2Θ(r)及び2Im(α)によって古典的な回転を示すことが確認された。また、円形軌道は前述したように螺旋形ケースに比べて古典角がずっと少ないことが分かる。図4―(a)及び(b)は円形ケースの総WRAを見せる。古典部分(一般相対論的回転)と量子部分はそれぞれ橙色の実線と青い色実線で表示される。総WRAは図4-(b)に出ている。図4-(c)と(d)は螺旋形ケースに該当する。同様に、古典及び量子部分は図4(c)に示され、図4(d)は全体WRAを示す。標準BB84プロトコルの場合それはLEOの場合1.21%、MEOの場合17.2%であるQBER(Quantum Bit Error Rate)に該当する。それは最近の分析と一致し、近距離で宇宙に近いQKDシステムは光子状態の絡まれる分布に依存して時空間曲率に起因してQBERに最大0.7%の追加寄与がありこのような効果は観察可能であることを見せる。
【0065】
結論と討論
【0066】
本発明で本発明者はシュワルツシルト時空間での光子状態のウィグナ回転を研究して偏光の回転を研究した。地球の重力場はシュワルツシルトメトリックによって説明される。円形及び螺旋形軌道での運動量、最初二つの場合の場合計算されたウィグナ角度は0である。本発明者は二つの方法で最後の二つの場合に対して0でないウィグナ角度を計算する。螺旋形軌道のテトラードは物理的な意味を見つけるにはあまり複雑な形態を有している。二つの接近方式が同一の結果を最大16個の有効数値で示す。円形ケースはWRAが0でないが順序はNEO及びLEOである。螺旋形事例の場合WRAの量子部分はNEOと無限大にある。このような結果は依然の既存推定値よりずっと大きい。また、総ウィグナ回転角度はNEO及び無限大でありLEO及びMEOの場合量子ビット誤謬率にそれぞれQBER1.21及び17.2%を寄与すると予想される。
【0067】
補充情報SI
【0068】
(1)本発明において使用されたアピンパラメータを有した光子のエネルギー
【0069】
一般相対性理論で、ラグランジアンLは、シュワルツシルトメトリックの成分要素で下記の数式S1の形態で選択されることがよく知られている。
【0070】
【数36】

(数式11)
【0071】
この式でシュワルツシルトメトリックは下記の数式12のように定義される。
【0072】
【数37】
(数式12)
【0073】
ラグランジアン特定座標(xμ)に依存せずに運動法廷義気は一部陽の保存を意味する。具体的に、運動方程式は次の数式13のように表される。
【0074】
【数38】

(数式13)
【0075】
前記数式から、下記の数式14のアイデンティティーが保持される。
【0076】
【数39】
(数式14)
【0077】
シュワルツシルト時空間で、時間t及び方位角φはメトリックで循環座標であるので、時間及び方位角k、kφは一定である。従って、数式14から、下記数式15の2個の保存量e、lに従って数式1のように定義される。
【0078】
【数40】
(数式15)
【0079】
ここで、この2個の保存された量は非常に大きい単位停止質量e当たりエネルギーといい、非常に低い速度でそれぞれ単位休息質量当たり原点及び角運動量からの距離である。完結にするために本発明では‘e’エネルギーと‘l’各運動量とする。光子の場合シュワルツシルトメトリックの測地線方程式を次のように再度作成することができる。
【0080】
【数41】

(数式16)
【0081】
【数42】
(数式17)
【0082】
なぜなら、質量なしに粒子の全て波動ベクトルはヌル(null)ベクトルであるからである。即ち、明示的な形態の波動ベクトルとそれに対応するデュアルベクトルを下記のように得られる。
【0083】
【数43】
(数式18)
【0084】
【数44】
(数式19)
【0085】
等価原理によって、放射状自由落下テトラードで定義された局部慣性フレームの波動ベクトルは下記のように、平らな時空間の波動ベクトルと同一の形態を有しなければならない。
【0086】
【数45】
(数式20)
【0087】
即ち、テトラードの時間成分を有した波動ベクトルの内積は平らな時空間での光子の各周波数と同じであるべきである。
【0088】
【数46】
(数式21)
【0089】
従って、r=∞で、光子のエネルギーで測定された光子の周波数のようである。
【0090】
(2)ウィグナ回転のパラメータ依存性
【0091】
光子の各波動ベクトルに体操するエルミート行列は次のように定義される。
【0092】
【数47】

(数式22)
【0093】
ここで、σは2X2単位行列であり、σ(i=1、2、3)はPauli行列である。従って、Kは下記の数式23のような形態を有する。
【0094】
【数48】

(数式23)
【0095】
この式で、
【数49】

である。そうすると、
【0096】
【数50】

(数式24)
【0097】
SL(2、C)には、あるローレンツ変換に対して数式14のような行列Aが存在する。
【0098】
AはSL(2、C)の元素であるので、次のように表現される。
【0099】
【数51】

(数式25)
【0100】
この式で、Aの行列式は1である。即ち、αδ-γβ=1。ウィグナの小グループ元素W(Λ,k)=LΛk -1ΛLに対して、SL(2、C)内の行列S(Λ,k)をW(Λ,k)=Λ(S(Λ,k))と下記の数式26のように定義される。
【0101】
【数52】

(数式26)
【0102】
この式で、AはL(k)に対応し、kはkに変換され、ここで、k=(1,0,0,1)であり、Aは次のような形態を有する。
【0103】
【数53】

(数式27)
【0104】
万一、K’が次のような形態を有するように書かれるとすると、
【0105】
【数54】
(数式28)
【0106】
この式で、
【数55】

そうすると次のような数式を得られる。
【0107】
【数56】
(数式29)
【0108】
【数57】
(数式30)
【0109】
【数58】
(数式31)
【0110】
【数59】

(数式32)
【0111】
そうすると、S(Λ,k)は次のような形態を有する。
【数60】

(数式33)
【0112】
この式で、zは任意の複素数である。前記数式から次の数式が誘導される。
【0113】
【数61】
(数式34)
【0114】
さらに、行列Sは次の形態で再度表される。
【0115】
【数62】

(数式35)
【0116】
このようなグループのある任意の二つの元素の倍は次のようである。
【0117】
【数63】
(数式36)
【0118】
換言すると、次の法則が求められる。
【0119】
【数64】
(数式37)
【0120】
従って、このようなグループはE2グループである。
【0121】
E(2)の最小のユニタリー表現には二つのクラスがある。一つは無限寸法表現であり、他の一つは1次元表現である。しかし、前者は本質的な連続自由度を有している。従って、光子に対するローレンツ変換は1次元で表現されるが、その理由は光子が連続的な自由度を有しないからである。このような表現は次の形態で表される。
【0122】
【数65】

(数式38)
【0123】
ここで、ψ(Λ,k)ウィグナ角である。そうすると、数式36のdξの一次式まで展開は次のようである。
【0124】
【数66】

(数式39)
【0125】
有限ウィグナ回転は光子を通じて測光軌跡に掛けて無限ウィグナ回転を時間順序に統合して構築することができる。
【0126】
【数67】

(数式40)
【0127】
この式で、
【数68】

であり、Tは時間順序演算子である。
【0128】
万一、ホモジーニアスローレンツ変換が
【数69】

のように表されるとウィグナ角はωμ νに関係される。このような点を見るために、Aをdξで展開すると、次のようである。
【0129】
【数70】
(数式41)
【0130】
Aの行列式が1である条件からδ=-αであることがわかる。換言すると、Aは次のように表される。
【0131】
【数71】
(数式42)
【0132】
前記数式と、tr(σσ)=2δabから次の数式を得られる。
【0133】
【数72】

(数式43)
【0134】
この式で、はAのトレースである。前記数式から次の方程式を得られる。
【0135】
【数73】

(数式44)
【0136】
実数パラメータ
【0137】
α、β、γ、δ、|α|、|β|、|γ|、|δ|は定義によって次の形態を有する。
【0138】
【数74】

(数式45)
【0139】
±=nを前記方程式に代入すると、次の関係式を得ることができる。
【0140】
【数75】

(数式46)
【0141】
【数76】

(数式47)
【0142】
【数77】

(数式48)
【0143】
このような過程で、dξの一次式までのみ計算した。このようなパラメータを用いて次の数式が得られる。
【0144】
【数78】
(数式49)
【0145】
【数79】
(数式50)
【0146】
このような計算から次の数式を見られる。
【0147】
【数80】

(数式51)
【0148】
従って、停止状態でゼロ角運動量を有する自由落下観察者はウィグナ回転を観測することができなくなる。
【0149】
複素数パラメータ
【0150】
全てのパラメータが実数でない場合、|α|、|β|、|γ|、|δ|は次の形態を有する。
【0151】
【数81】

(数式52)
【0152】
この式で、Re(α)はαの実数部分である。前記方程式は次のように再度書かれる。
【0153】
【数82】
(数式53)
【0154】
【数83】
(数式54)
【0155】
【数84】
(数式55)
【0156】
この式で、Im(α)はαの虚数部を示す。前記方程式から、次の数式を得られる。
【0157】
【数85】

(数式56)
【0158】
また、次の数式を得られる。
【0159】
【数86】

(数式57)
【0160】
【数87】

(数式58)
【0161】
また、このような数式から下記の数式を得られる。
【0162】
【数88】
(数式59)
【0163】
定義から無限小ウィグナ角は次のようである。
【0164】
【数89】
(数式60)
【0165】
停止観測者テトラード(tetrads)
【0166】
テトラードe μ(x)は次を満足する。
【0167】
【数90】

(数式61)
【0168】
停止している観測者ボブ(Bob)の場合、そのローカルフレームは数学的にシュワルツシルト時空間で次のテトラードによって定義される。
【0169】
【数91】

(数式62)
【0170】
このテトラードは全ての点が時間のような四分面の時間及び空間要素と無関するから各点で静的極小慣性フレームを示す。ここでi=1、2、3及び空間四分面の時間成分、ここで、 α = r, θ, φ は0である。該当ILLT(Infiitesimal Local Lorentz Transformation)マトリックスは次のように与えられる。
【0171】
【数92】
(数式63)
【0172】
方程式に定義された全て媒介変数を容易に見られる。前記方程式はこのILLTマトリックスに実際である。従って、停止状態のボブは0でないウィグナ回転角度を観察することができない。
【0173】
0でない各運動量を有する自由落下観測者のテトラード
【0174】
観察者は無限大の停止状態で初めて半径方向の内側に落下する。前記数式で定義された観測者のエネルギーと各運動量はそれぞれ1と0である。従って、4速度ベクトルの時間類似成分は
【数93】

であり、4速度ベクトルのφ-方向成分は0である。観測者が、θ=π/2平面に沿って移動すると仮定するからθ-方向の構成要素も0である。t-方向の成分を次の方程式に代替すると、
【0175】
【数94】

(数式64)
【0176】
r-方向の成分を得られる。この場合、ILLT行列は次のように与えられる。
【0177】
【数95】
(数式65)
【0178】
0でない各運動量Iを有する自由落下観測者のテトラード(螺旋軌道)
【0179】
この場合にもe=1であると仮定する。各運動量を有する自由落下観測者は次のような4速度ベクトルを有するようになる。
【0180】
【数96】

(数式66)
【0181】
であり、この式で、uは次のようである。
【0182】
【数97】

(数式67)
【0183】
0でない角度運動量を有する自由落下観測者のテトラードセットのうち一つは次のようである。
【0184】
【数98】
【0185】
この式で、
【数99】

である。
垂直条件を用いると、このようなテトラードは次のようにより一般的に表される。
【0186】
【数100】

(数式69)
【0187】
非回転フレームを得ようとするとテトラードを平行に移動しなければならない。従って、次の条件が保持される。
【0188】
【数101】

(数式70)
【0189】
換言すると、
【0190】
【数102】

(数式71)
【0191】
sinΘ(r)は近似的に
【数103】

と同じであるから、次の関係を推論することができる。
【0192】
【数104】

(数式72)
【0193】
換言すると、このようなテトラードは大略的に次のように近似される。
【0194】
【数105】

(数式73)
【0195】
一次項
【数106】

を無視すると、物理的な意味はより明確となる。テトラードは次のように表される。
【0196】
【数107】

(数式74)
【0197】
従って、回転しないで各運動量が0でない自由落下するテトラードは、3次元空間で投影され、観察者の移動方向がΘ(r)回転する時、Θ(r)の2倍分だけ回転するという結論を出すことができる。各運動量 l 及び
【数108】

の1次オーダー近似によってテトラードは次のようになる。
【0198】
【数109】

(数式75)
【0199】
前記、ILLT行列は次のように与えられる。
【0200】
【数110】

(数式76)
【0201】
従って、0でない各運動量を有し自由落下する観測者は次のように0でないウィグナ角度を見るようになる。
【0202】
【数111】

(数式77)
【0203】
0でない各運動量lを有する自由落下観測者のテトラード(オービット軌道)
【0204】
この場合計算の単純化のためにe=1であると仮定する。e=1である角度運動量で自由に落ちる観測者は次のように4速度ベクトルを有する。
【0205】
【数112】
(数式78)
【0206】
この式で、uは次のようである。
【0207】
【数113】

(数式79)
【0208】
また、4-速度ベクトルのラジアル成分を0(ヌル)に強制することで、次の数式を得られる。
【0209】
【数114】

(数式80)
【0210】
同様に、非回転条件を付加して、次の数式を得られる。
【0211】
【数115】

(数式81)
【0212】
/rの1次オーダーを無視すると、テトラードは次のように表される。
【0213】
【数116】
(数式82)
【0214】
この式でΘ(r)=(θ-θ)、である。
【0215】
即ち、テトラードを3次元空間で投影することで、観測者がrθ動く時テトラードは-θ回転するということがわかる。それは平行移動条件によって誘導された回転が球形座標系の影響を補償するのでそれは非相対論的効果である。図5は円形軌道に対して0でない角運動量を有する自由落下観測者の無限クラシック回転及び量子回転対アピンパラメータの関係を示す。観察者の角運動量を
【数117】

でセッティングした。
【0216】
ウィグナ角から偏光の回転角まで
【0217】
【数118】
(数式83)
【0218】
【数119】
(数式84)
【0219】
【数120】
(数式85)
【0220】
【数121】

(数式86)
【0221】
【数122】

(数式87)
【0222】
この結果はウィグナ角度が標準フレームでのみ偏光回転角度と同一であることを見せる。しかし、本発明者が3-軸は波動ベクトルと平行でない。従って、ウィグナ回転を他の回転に分解してウィグナ回転によって誘導された波動ベクトルに対する回転角度を得ることができ、それは偏光回転角度に該当する。万一、回転が(n,ψ)で表示されると、回転は軸単位ベクトルn及び対応する回転角度ψを有する(n,ψ)で表示される3個の連続的な回転に分解される。相互直交軸を考慮する時、次の関係が保持される「有限回転の分解」。
【0223】
【数123】

(数式88)
【0224】
この式で、b=n・nである。ここでは無限小角度が扱われるので、次の関係式を得られる。
【0225】
【数124】

(数式89)
【0226】
この場合、単位ベクトルn、nは次のように定義される。
【0227】
【数126】

(数式90)
【0228】
係数 b は次の定義から得られる。
【0229】
【数127】
(数式91)
【0230】
そうすると、前記数式から次の関係式を得られる。
【0231】
【数128】
(数式92)
【0232】
対応する無限小偏光回転は次のようである。
【0233】
【数129】

(数式93)
【0234】
ノ-捩じり(Torsion-free)
【0235】
本明細書で使用された全てテトラードは捩じりがない。テトラードによって表された局部フレームが下の数式で表される捩じりテンソルの成分を局部的に計算することで捩じりがあるかの可否を容易に確認することができる。
【0236】
【数130】
【0237】
この式で、
【数131】

【数132】

である。
【0238】
量子暗号システムの重力による誤謬補正方法
【0239】
このような結果から、本発明の例示的な一実施形態による量子暗号システムの重力による誤謬補正方法は、電子計算機が、送信者から偏光された光を受信し受信者に伝送する衛星までの距離を受信する段階、電子計算機が、前記衛星の単位質量当たり各運動量を受信する段階、及び前記電子計算機が、前記衛星までの距離と前記衛星の単位質量当たり各運動量を用いて、重量による空間の撓まれによる偏光の回転量を計算する段階を含む。
【0240】
この際、前記電子計算機は、数式10にように、
【数133】
【0241】
の関係式によって偏光の回転量を計算することができる(この式で、偏光の回転量は2Θ、 lobs は衛星の単位質量当たり、 rは衛星までの距離、 r は地球のシュワルツシルト半径)。
【0242】
量子暗号認証方法
【0243】
量子キー分配は安全な通信のための暗号体系である。1984年C.H.BennettとG.Brassardが提案し、既存にあった大部分の暗号体系が大部分数学的複雑性に基盤するに比べ、量子暗号は自然現象に基盤している特徴が目立ち、暗号に使用されるone‐timeパッドを生成する理想的な方法のうち一つである。中間に盗聴者が乱入する場合その存在が現れ、信号が歪曲されて盗聴者も正確な情報得られない保安性を有している。最も代表的な量子暗号体系である。
【0244】
図6は量子暗号認証方法を説明するための図面である。
【0245】
図6を参照すると、量子暗号認証方法は、まず、送信者(サーバ)が任意のビットを生成する(1段階)。この際、前記任意のビットはランダムに選択されることが望ましい。例えば、選択された任意のビットを図6のように[01101001]に仮定する。
【0246】
以後、送信者(サーバ)は選択された任意のビットを伝送する伝送フィルターを選択する(段階2)。伝送フィルターは+-フィルターと×-フィルターのうちいずれか一つを選択することができる。前記+-フィルターと前記×-フィルターは前記線形偏光をフィルタリングすることで、+-フィルターは90/270°で線形に振動する光または0/180°で線形に振動する光をフィルタリングし、×-フィルターは45/225°で線形に振動する光または135/315°で線形に振動する光をフィルタリングするようになる。この際、前記送信者(サーバ)は+-フィルターと×-フィルターのうちランダムに選択することが望ましい。例えば、[01101001]のそれぞれのビットを伝送するためにフィルターで[+ + × + × × × +]を選択したと仮定する。
【0247】
一方、送信者(サーバ)と受信者(使用者端末機)は例えば次のような条件を共有している。即ち、0ビットは+-フィルターを通過した90/270° 線形偏光または×-フィルターを通過した45/225° 線形偏光に対応し、1ビットは+-フィルターを通過した0/180° 線形偏光または×-フィルターを通過した135/315° で線形偏光に対応する。
【0248】
そうすると、選択された伝送フィルターでフィルタリングされて伝送される光子の偏光は図6の3段階で示されたようである。
【0249】
一方、受信者(使用者端末機)は偏光された光子を受信する受信フィルターを選択する(4段階)。この際、受信者(使用者端末機)は+-フィルターと×-フィルターのうちランダムに受信フィルターを選択することが望ましい。このような選択は受信以前に予め選択してもよく、受信と同時に選択が行われたもよい。例えば、受信者(使用者端末機)は図6のように [+ × × × + × + +]選択したと仮定する。
【0250】
この状態で、受信者が、選択された受信フィルターを用いて送信者(サーバ)が伝送した光子を測定した結果は図6のようである。測定過程で、偏光の振動方向と受信フィルターの方向が一致しない場合、光子が受信フィルターに合わせて状態が変化するようになる。例えば、二番目のビット1の場合、送信される光子の振動は0/180°選考偏光であったが、×-フィルターを通過して45/225°線形偏光に変化されたことがみられる。しかし、135/315°で線形偏光に変化されてもよい。
【0251】
以後、送信者(サーバ)と受信者(使用者端末機)は伝送フィルターと受信フィルターの資料を共有する(6段階)。以後、伝送フィルターと受信フィルターが一致する列のビットを選択して送信者は第1秘密キーを、受信者は第2秘密キーを生成するようになる。即ち、[01101001]のビットのうち1、3、6、8列のビット[0101]をそれぞれ第1及び第2秘密キーに生成するようになる。以後、受信者(使用者端末機)が生成された秘密キーを送信者(サーバ)に伝送し、送信者が保有している第1秘密キーと受信者から受信された第2秘密キーとを比較することで、受信者を認証することができる。
【0252】
一方、盗聴者が、送信者(サーバ)から伝送される光子を中間で奪うために、受信フィルターを任意に選択して光子を計測する場合、受信者と同一の受信フィルターを選択する場合、問題がないが、相異になる場合、光子の偏光状態が変化するようになり、受信者(使用者端末機)が選択された受信フィルターによって状態がまた再度変化するようになる。それによって送信者(サーバ)の送信フィルターと受信者(使用者端末機)の受信フィルターが同一であるにも関わらず、0->1、1―>0に変わり、盗聴者の存在を分かるようになる。従って、ビット数が増加すると、盗聴者は受信者の受信フィルターと同一の受信フィルターを選択しなければならないので、盗聴が実質的に不可能になるようになる。
【0253】
図7は本発明による量子暗号認証方法が遂行される主体間の関係を示すダイヤグラムである。
【0254】
図7を参照して、前述された量子暗号認証方法を遂行するために、人口衛星120を通じて光子を伝送する場合を説明する。
【0255】
光ケーブルが連結されない場合、サーバ110は人工衛星120を通じて光子を使用者端末機130に伝送するようになる。図7でLCは光通信をNは有線通信網及び無線通信網のうち少なくともいずれか一つで構成される通信ネットワークを意味する。
【0256】
即ち、光子の伝送は自由空間を通じた通信ライン(LC)を通じて遂行し、送信フィルター及び受信フィルターに対する情報交換は通信ネットワークを通じて遂行される。これとは異なり、送信フィルター及び受信フィルターに対する情報交換または電磁波を用いた通信で人工衛星120を通じて遂行されてもよい。
【0257】
このような衛星を通じた量子暗号認証にも前述したように、重力による時空間の撓まれによって光子の偏光の回転を補正する段階が追加される。
【0258】
即ち、本発明の例示的な一実施形態による量子暗号認証方法によると、
【0259】
サーバが任意のビットを生成し、前記サーバが前記任意のビットを伝送する伝送フィルターを選択し、前記サーバが、伝送フィルターによって偏光された光子を衛星に送信する。このような過程は前述されるので追加的な詳細な説明は省略する。
【0260】
また、使用者端末機が、前記光子を受信する受信フィルターを選択し、前記使用者端末機が、前記衛星までの距離及び前記衛星の単位質量当たり各運動量を受信し、前記使用者端末機が、前記衛星までの距離と前記衛星の単位質量当たり各運動量を用いて、重力による空間の撓まれによる偏光の回転量を計算する。
【0261】
この際、前記使用者端末機は、
【数134】
【0262】
の関係式によって偏光の回転量を計算することができる(この式で、偏光の回転量は4Θ、 lobs は衛星の単位質量当たり各運動量、rは衛星までの距離、 r は地球はシュワルツシルト半径)。
【0263】
即ち、サーバ110が人口衛星120に光子を伝送する過程で、光子の偏光が2Θ 分だけ回転し、人工衛星120で、使用者端末機130に伝送する過程で、光子の偏光が2Θ 分だけ回転するようになり、サーバ110と使用者端末機130との間の回転量は4Θ 分だけ回転するようになる。
【0264】
前記使用者端末機が、前記偏光の回転量を考慮して、前記受信フィルターを図8で示されたように回転させる。
【0265】
以後、前記使用者端末機が、前記受信フィルターを通じて前記衛星から送信される光子を受信し、前記サーバと前記受信者が、互いに前記伝送フィルター及び前記受信フィルターの情報を共有した後、共有された前記伝送フィルター及び前記受信フィルターの情報を通じて、前記サーバは第1秘密キーを生成し前記受信者は第2秘密キーを生成し、前記使用者端末機が、前記第2秘密キーを前記サーバに伝送した後、前記サーバが、前記第1秘密キーと第2秘密キーの一致可否を確認する。このような過程は前述されたので、詳細な説明は省略する。
【0266】
一方、前記使用者端末機が、前記衛星までの距離と前記衛星の単位質量当たり各運動量を受信する段階で、前記使用者端末機は、前記衛星または前記サーバから前記衛星までの距離と前記衛星の単位質量当たり各運動量を受信することができる。
【0267】
また、前記サーバと前記受信者が、互いに前記伝送フィルター及び前記受信フィルターの情報を共有する段階で、前記サーバと前記受信者は、有線通信網及び無線通信網のうち少なくともいずれか一つで構成される通信ネットワークを通じて、前記伝送フィルター及び前記受信フィルターの情報を共有することができる。
【0268】
また、前記サーバが前記任意のビットを伝送する伝送フィルターを選択する段階と前記使用者端末機が、前記光子を受信する受信フィルターを選択する段階のうち少なくとも一つの段階で行われる選択はランダムに選択であってもよい。
【0269】
図9は本発明の例示的な一実施形態によるサーバを示すブロック図である。
【0270】
図9を参照すると、本発明の例示的な一実施形態による、量子暗号システムの重力による誤謬補正方法を遂行するためのサーバ110は、ランダムビット生成部111、伝送フィルター選択部112、光伝送部113、通信部114、秘密キー生成部115及び認証部116を含む。
【0271】
前記ランダムビット生成部111はランダムビットを生成する。
【0272】
前記伝送フィルター選択112部は偏光を伝送するための伝送フィルターを選択する。この際、前記伝送フィルター選択部112は前記伝送フィルターをランダムに選択することができる。
【0273】
前記ランダムビット生成部111はランダムビットを生成する。
【0274】
前記通信部114は、使用者端末機から受信フィルター情報を伝送し、前記伝送フィルター情報を前記使用者端末に伝送する。
【0275】
前記秘密キー生成部115は前記受信された受信フィルター情報に従って前記ランダムビットを用いて第1秘密キーを生成する。
【0276】
前記認証部116は前記使用者端末機から第2秘密キーを受信して前記第1秘密キ―を比較することで使用者認証を遂行する。
【0277】
図10は本発明の例示的な一実施形態による使用者端末機を示すブロック図である。
【0278】
図10を参照すると、本発明の例示的な一実施形態による、量子暗号システムの重力による誤謬補正方法を遂行するための使用者端末機130は、受信フィルター選択部131、受信フィルター補正部132、光受信部133、通信部135及び秘密キー生成部134を含む。
【0279】
前記受信フィルター選択部131はサーバから伝送される、偏光された光子を受信するための受信フィルターを選択する。
【0280】
前記受信フィルター補正部132は前記受信フィルターの角度を補正する。
【0281】
前記光受信部133は補正された前記受信フィルターを通じて、衛星から前記偏光された光子を受信する。
【0282】
前記通信部135はサーバから伝送フィルター情報を受信し、前記サーバに前記受信フィルター情報を送信する。
【0283】
前記秘密キー生成部134は前記光受信部を通じて受信された前記偏光された光子情報、前記伝送フィルター情報及び前記受信フィルター情報を用いた第2秘密キーを生成する。
【0284】
以後、前記通信部135は前記第2秘密キーを前記サーバに伝送する。
【0285】
この際、前記受信フィルター補正部132は、
【数135】
【0286】
の関係式によって偏光の回転量を計算し、4 Θ 分だけの受信フィルターを回転させることができる(この式で、 lobs は衛星の単位質量当たり各運動量、 r は衛星までの距離、 r は地球のシュワルツシルト半径)
【0287】
一方、前記受信フィルター選択部は前記受信フィルターをランダムに選択することができる。
【0288】
このように本発明によると、光ケーブルの設置されていなくて人工衛星を通じて光子を伝送する場合、光子の偏光が重力によって時空間の撓まれによって誤謬を補正することで暗号認証の正確度を向上させることができる。
【0289】
以上、本発明の実施形態によって詳細に説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本発明の思想と精神を離れることなく、本発明を修正または変更できる。
【符号の説明】
【0290】
10 サーバ
111 ランダム生成部
112 伝送フィルター選択部
113 光伝送部
114 通信部
115 秘密キー生成部
116 認証部
120 衛星
130 使用者端末機
131 受信フィルター選択部
132 受信フィルター補正部
133 光受信部
134 秘密キー生成部
135 通信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10