(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171638
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】熱を放散させるための冷却構造体を備える冷却モジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 23/473 20060101AFI20221104BHJP
H01L 23/36 20060101ALI20221104BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
H01L23/46 Z
H01L23/36 Z
H05K7/20 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022075249
(22)【出願日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】2104497
(32)【優先日】2021-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】518100258
【氏名又は名称】ヴァレオ シーメンス イーオートモーティブ フランス エスアーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【弁理士】
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】ルーロフ、ベルホーフ
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA05
5E322DA04
5E322EA10
5E322EA11
5F136BA30
5F136CB06
5F136CB27
5F136DA27
5F136FA02
5F136FA03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】熱衝撃、高温、湿度、及び高圧に対して優れた耐性を有する冷却構造体を提供する。
【解決手段】電気自動車又はハイブリッド自動車の電気アセンブリに組み込まれるように設計された電子モジュール10であって、基板2の上面21に載置された少なくとも1つの電子部品40から発生する熱を放散する胞状冷却構造体3は、基板2の下面22と接触している。胞状冷却構造体3は、そのセルエッジが胞状冷却構造体3と冷却液との間の全接触面を増加させるセルと、セルによって画定される、胞状冷却構造体3の体積内に分布する細孔とを備え、冷却液が、細孔を通って及び/又は細孔間の空間を通って、循環する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板(2)の上面(21)に載置された少なくとも1つの電子部品(40)から発生した熱を放散するように構成された、前記基板(2)の内面(22)と接触している胞状冷却構造体(3)であって、
セルであって、そのセルエッジが胞状冷却構造体(3)と冷却液との間の全面接触面を増加させる、セルと、
前記セルによって画定され、前記胞状冷却構造体(3)の体積内に分布する細孔であって、前記細孔を通って及び/又は前記細孔間の空間を通って前記冷却液が循環する、細孔と
を備えることを特徴とする、胞状冷却構造体(3)。
【請求項2】
3Dプリントによって製造される、請求項1に記載の胞状冷却構造体(3)。
【請求項3】
前記セルがオープンタイプ及び/又はクローズドタイプであり、
前記細孔が相互接続タイプ及び/又は密閉タイプである、
請求項1又は2に記載の胞状冷却構造体(3)。
【請求項4】
前記下面(22)の接触領域(7)と接触しているとともに、前記冷却液に浸漬される、請求項1から3のいずれか一項に記載の胞状冷却構造体(3)。
【請求項5】
前記下面(22)の前記接触領域(7)に分布する接触領域(73a,71b)及び/又は接点(71a~71e)にそれぞれ結合される部分(31~34,36,37,38)を備える、請求項4に記載の胞状冷却構造体(3)。
【請求項6】
前記胞状冷却構造体(3)が前記部分(36,37,38)を備える単一部品である、又は、
前記部分(31~34)が互いに独立している、
請求項5に記載の胞状冷却構造体(3)。
【請求項7】
パイプコイルの形態をしている、請求項1から6のいずれか一項に記載の胞状冷却構造体(3)。
【請求項8】
前記胞状冷却構造体(3)の体積の75%~95%の空孔率を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の胞状冷却構造体(3)。
【請求項9】
前記冷却液の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する材料で構成された、請求項1から8のいずれか一項に記載の胞状冷却構造体(3)。
【請求項10】
焼結、溶接、接着によって又は圧縮によって、前記下面(22)の前記接触領域(7)に結合される、請求項4から9のいずれか一項に記載の胞状冷却構造体(3)。
【請求項11】
3Dプリントによって前記基板(2)と共に形成される、請求項1から9のいずれか一項に記載の胞状冷却構造体(3)。
【請求項12】
特に電気自動車又はハイブリッド自動車用の電子モジュール(10)のための、前記電子モジュール(10)から発生した熱を放散するように構成された冷却モジュール(5)において、請求項1から11のいずれか一項に記載の少なくとも1つの胞状冷却構造体(3)を備え、前記少なくとも1つの胞状冷却構造体(3)が前記電子モジュール(10)の少なくとも1つの基板(2)と接触していることを特徴とする、冷却モジュール(5)。
【請求項13】
冷却液と少なくとも1つの胞状冷却構造体(3)とを収容するように構成された少なくとも1つのチャンバ(51)を備える、請求項12に記載の冷却モジュール(5)。
【請求項14】
前記冷却液を備える、請求項12又は13に記載の冷却モジュール(5)。
【請求項15】
電気自動車又はハイブリッド自動車の電気アセンブリに組み込まれるように設計された電子モジュール(10)において、
上面(21)及び下面(22)を備える少なくとも1つの基板(2)と、
前記少なくとも1つの基板(2)の前記上面(21)に載置された少なくとも1つの電子部品(40)と、
前記少なくとも1つの基板(2)の前記下面(22)と接触している少なくとも1つの胞状冷却構造体(3)を備える、前記少なくとも1つの基板(2)の前記下面(22)と接触している請求項12から14のうちのいずれか一項に記載の冷却モジュール(5)と、
を備えることを特徴とする、電子モジュール(10)。
【請求項16】
電子パワーモジュールであり、前記少なくとも1つの電子部品(40)が半導体パワーチップである、請求項15に記載の電子モジュール(10)。
【請求項17】
請求項15又は16に記載の電子モジュール(10)を備える、電気自動車又はハイブリッド自動車用の電気アセンブリ。
【請求項18】
インバータ又は直流-直流電圧コンバータである、請求項17に記載の電気アセンブリ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に車両用、特に電気自動車(EV)又はハイブリッド車(HEV)用の電気機器の分野に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、冷却モジュールに使用される冷却構造体に関し、冷却構造体は、電子モジュールの電子部品から発生する熱を効率的に放散するように構成される。
【背景技術】
【0003】
電気自動車又はハイブリッド車の電子モジュール、例えば電子パワーモジュール、は一般に電子モジュールの基板上に載置された電子部品を備える。電子モジュールの動作中、電子部品が熱を発生するが、動作可能であるために電子部品は冷却されなければならない。電子部品の効率的な冷却により、特に電子部品の寿命を延ばすことができる。したがって、電子モジュールは、これらの電子部品が発生した熱を放散するために冷却モジュールを備える。
【0004】
一般に、基板は、電子部品が載置される上面と、冷却液(例えば水)が循環する冷却モジュールと接触する下面とを備える。電子部品から発生する熱は、基板から冷却モジュールに伝達された後、循環する冷却液によって排出される。
【0005】
さらに、冷却モジュールは、冷却液に浸漬される冷却スピンドルを備えることができる。冷却スピンドルは、一般に金属製であり、したがって熱の交換及び熱の放散を容易にする。しかしながら、このタイプの冷却モジュールによって提供される熱の放散の効率は、さらに改善されなければならない。
【発明の概要】
【0006】
したがって、熱衝撃、高温、湿度、及び高圧に対して優れた耐性を有する冷却構造体によって、電子モジュールの電子部品の冷却を改善する必要がある。
【0007】
本発明は、基板の上面に載置された少なくとも1つの電子部品から発生する熱を放散するように構成された胞状(alveolar)冷却構造体に関し、胞状冷却構造体は基板の内面と接触している。胞状冷却構造体は、そのセルエッジが胞状冷却構造体と冷却液との間の全接触面を増加させるセルと、セルによって画定される、胞状冷却構造体の体積内に分布する細孔とを備え、冷却液が、細孔を通って及び/又は細孔間の空間を通って、循環する。
【0008】
有利には、胞状冷却構造体は3Dプリントによって製造される。
【0009】
有利には、セルがオープンタイプ及び/又はクローズドタイプであり、細孔が相互接続タイプ及び/又は密閉タイプである。
【0010】
好ましくは、胞状冷却構造体が上記下面の接触領域と接触しているとともに、冷却液に浸漬される。
【0011】
好ましくは、胞状冷却構造体が、上記下面の接触領域に分布する接触領域及び/又は接点にそれぞれ結合される部分を備える。
【0012】
有利には、胞状冷却構造体が上記部分を備える単一部品である、又は、胞状冷却構造体の上記部分が互いに独立している。
【0013】
有利には、胞状冷却構造体がパイプコイルの形態をしている。
【0014】
好ましくは、胞状冷却構造体が胞状冷却構造体の体積の75%~95%の空孔率を有する。
【0015】
好ましくは、胞状冷却構造体が冷却液の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する材料で構成される。
【0016】
有利には、胞状冷却構造体は、焼結、溶接、接着によって又は圧縮によって、上記下面の接触領域に結合される。
【0017】
有利には、胞状冷却構造体は3Dプリントによって基板と共に形成される。
【0018】
本発明はまた、特に電気自動車又はハイブリッド自動車用の電子モジュールのための、電子モジュールから発生した熱を放散するように構成された冷却モジュールに関する。冷却モジュールは、上述の少なくとも1つの胞状冷却構造体を備え、この少なくとも1つの胞状冷却構造体は電子モジュールの少なくとも1つの基板と接触している
【0019】
有利には、冷却モジュールは、冷却液と少なくとも1つの胞状冷却構造体とを収容するように構成された少なくとも1つのチャンバを備える。
【0020】
有利には、冷却モジュールは冷却液を備える。
【0021】
本発明はまた、電気自動車又はハイブリッド自動車の電気アセンブリに組み込まれるように設計された電子モジュールに関する。この電子モジュールは、上面及び下面を備える少なくとも1つの基板と、少なくとも1つの基板の上面に載置された少なくとも1つの電子部品と、少なくとも1つの基板の前記下面と接触している少なくとも1つの胞状冷却構造体を備える、少なくとも1つの基板の下面と接触している上述の冷却モジュールと、を備える。
【0022】
電子モジュールは、例えば、電子パワーモジュールであり、少なくとも1つの電子部品は半導体パワーチップである。
【0023】
本発明は、上述の電子モジュールを備える、電気自動車又はハイブリッド自動車用の電気アセンブリに関する。
【0024】
電子モジュールは、例えば、インバータ又は直流-直流電圧コンバータである。
【0025】
本発明は、同様の対象には同一の参照符号が与えられる、非限定的な例として提供される以下の図を参照して、例として提供される以下の説明を読むことによってよりよく理解される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態による、胞状冷却構造体を備える冷却モジュールを備えた電子モジュールの横断面図を示す。
【
図2】本発明による様々な形態の構造体を備えた電子モジュールを示す図である。
【
図3】本発明による様々な形態の構造体を備えた電子モジュールを示す図である。
【
図4】本発明による、電子モジュールの基板の接点に結合された胞状冷却構造体を示す図である。
【
図5】本発明による、電子モジュールの基板の接点に結合された胞状冷却構造体を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態による、互いに独立した部分を備える胞状冷却構造体を示す図である。
【
図7】冷却モジュールのチャンバの底部と接触していない、本発明の一実施形態による胞状冷却構造体を示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態による、2つの基板に載置された電子部品を冷却するために使用される単一の胞状冷却構造体を備える冷却モジュールを示す。
【
図9】前記胞状冷却構造体の間に配置された少なくとも1つの電子部品を冷却するために使用される2つの胞状冷却構造体を備える冷却モジュールを示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図面は、本発明を実施するために本発明を詳細に説明するものであり、必要に応じて本発明をより良く定義するのに前記図面が役立ち得ることを理解されたい。
【0028】
そこで、本発明は、一般に、電子モジュール10の少なくとも1つの電子部品40から発生する熱を放散するために電子モジュール10の冷却モジュール5内に配置されるように設計された胞状冷却構造体3に関する。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態による、少なくとも1つの胞状冷却構造体3を有する冷却モジュール5を備えた電子モジュール10の横断面図を示す。
【0030】
電子モジュール10は、少なくとも1つの電子部品40と、少なくとも1つの電子部品40が載置された少なくとも1つの基板2と、冷却モジュール5とを備える。電子モジュール10は、好ましくは電子パワーモジュールである。電子モジュール10は、特に、電気自動車又はハイブリッド自動車に搭載された電気アセンブリに組み込まれるように設計されている。電気アセンブリは、例えば、インバータ又は直流-直流電圧コンバータである。
【0031】
少なくとも1つの電子部品40は、特に半導体パワーチップである。ほとんどの場合、電子モジュール10は複数の電子部品40を備える。しかしながら、本文の解釈を容易にするために、以下に示す実施形態のほとんどで、電子モジュール10は単一の基板2と単一の電子部品40とを備える。
【0032】
基板2は多層構造であることが好ましい。一実施形態によれば、基板2は金属層を備える。本発明は、基板2の層の数又は層の材料のいずれにも限定されない。好ましくは、基板2は3D(3次元)プリントによって製造される。
【0033】
基板2は上面21と下面22とを有する。2つの面21及び22は平坦である。少なくとも1つの電子部品40が上面21に載置され、下面22が冷却モジュール5と接触している。
【0034】
冷却モジュール5は、冷却液と少なくとも1つの胞状冷却構造体3とを収容するように構成された少なくとも1つのチャンバ51を備える。以下に示される実施形態の大部分において、冷却モジュール5は、単一のチャンバ51と単一の胞状冷却構造体3とを備える。
【0035】
好ましくは、冷却液は、チャンバ51を通って循環する。特に、基板2を冷却モジュール5に封止状態に取り付けた後、胞状冷却構造体3がチャンバ51内に配置される。冷却液は、例えば、水又は液体グリコールである。
【0036】
胞状冷却構造体3はチャンバ51内に配置され、冷却液に浸漬される。胞状冷却構造体3は、例えば、
図1に示すように、チャンバ51の底部と接触している。あるいは、胞状冷却構造体3は、
図5及び
図7に示すように、チャンバ51の底部と接触していない。
【0037】
胞状冷却構造体3は、アルミニウム、鋼、銅、マグネシウム、ニッケル、及びチタンなどの金属材料、又は1つ以上の上述の金属を含む合金によって構成される。特に、胞状冷却構造体3の材料は、冷却液の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する。
【0038】
胞状冷却構造体3は、セルと、セルによって画定される細孔とを備える。セル及び細孔は、胞状冷却構造体3の体積内に分布している。好ましくは、セル及び細孔は前記体積内に規則的に分布している。胞状冷却構造体3は、前記体積の75%~95%の空孔率を有することが有利である。細孔のサイズ及び胞状冷却構造体3の空孔率は製造要件に適合される。
【0039】
細孔は冷却液で充填されるように設計されている。セルはオープンタイプ及び/又はクローズドタイプとすることができる。すなわち、胞状冷却構造体3は、オープンセルとクローズドセルとの組み合わせ、あるいはオープンセルのみ、又は、クローズドセルのみ、を備え得る。したがって、細孔は、相互接続タイプ及び/又は密閉タイプである。胞状冷却構造体3は、相互接続細孔と密閉細孔との組み合わせ、あるいは、(オープンセルによって画定された開放細孔である)相互接続細孔のみ、又は(クローズドセルによって画定された)密閉細孔のみを備え得る。
【0040】
有利な実施形態(不図示)によれば、胞状冷却構造体3は、交差する複数の孔によって穿孔された金属又は合金のブロックである。細孔は、前記ブロックの3つの孔が一点で交差するように形成される。
【0041】
胞状冷却構造体3は、少なくとも1つの電子部品40から発生した熱の放散の効率を高めるために、基板2の下面22の接触領域7と接触していることが好ましい。発生した熱は、基板2から胞状冷却構造体3に接触領域7を介して伝達され、循環する冷却液によって排出される。
【0042】
好ましくは、胞状冷却構造体3は、3Dプリントによって製造される。
【0043】
胞状冷却構造体3のセルのエッジが、熱交換面を著しく増加させる。熱交換面は、胞状冷却構造体3と冷却液との間の全面接触面である。また、冷却液は、密閉細孔間の空間を通って、及び/又は、より有利には相互接続細孔を通って循環し、結果として、これによって冷却液透過性が増加する。熱交換面及び冷却液透過性の増大により、結果として、熱伝導率ならびに熱の放散を改善することが可能となる。
【0044】
胞状冷却構造体3は、例えば、焼結、溶接、接着によって又は圧縮によって、下面22の接触領域7と結合可能である。一実施形態によれば、胞状冷却構造体3は、製造要件(例えば、チャンバ51の形態及び/又はサイズ、接触領域7の位置、形態、及び/又はサイズ)に適合するように、その体積を減少させるために(特に、その体積を30%減少させるために)圧縮できる。
【0045】
少なくとも1つの基板2と少なくとも1つの胞状冷却構造体3でアセンブリを形成することが有利である。このアセンブリは3Dプリントによって製造されることが好ましい。前記アセンブリ、特に3Dプリントによって製造されたアセンブリ、は胞状冷却構造体3と基板2との(前記接触領域7に位置する)接合の問題を防止し、したがって、これにより冷却効率が改善される。
【0046】
図2~
図7は、本発明による様々な形態及び構成の胞状冷却構造体3を備えた電子モジュール10を示す。
図2~
図6に記載の構造体3、特に
図3に示されるパイプコイルの形態のものは、それぞれ、
図1に記載の胞状冷却構造体3の熱交換面よりも大きい熱交換面を有する。
【0047】
一実施形態によれば、胞状冷却構造体3は、
図1~
図4,
図7,及び
図8に記載されるように、所定の形態を有する単一部品である。あるいは、胞状冷却構造体3は、
図5及び
図6に記載されるように、互いに独立した複数の部分を備える。
図5の胞状冷却構造体3は、接触領域7に分布する接点71a,71bにおいて基板2の下面22とそれぞれ接触している独立部分31,32を有する。
図6の胞状冷却構造体3は、接触領域7を構成する接触領域73a,73bにおいて基板2の下面22とそれぞれ接触している独立部分33,34を有する。本発明は、胞状冷却構造体3の部分の数若しくは形態、又は接触部の数若しくは形態、又は接点の数に限定されない。
【0048】
胞状冷却構造体3が冷却モジュール5のチャンバ51の全てを占める一実施形態(不図示)によれば、冷却液は、胞状冷却構造体3のみを通って循環する。あるいは、
図1~
図9に記載されるように、冷却液の一部は胞状冷却構造体3を通って循環するが、冷却液の残りの部分は、例えば、胞状冷却構造体3とチャンバ51の内壁との間の空間を通って、及び/又は、胞状冷却構造体3と下面22との間の空間を通って、及び/又は、胞状冷却構造体3の異なる部分間の空間を通って、胞状冷却構造体3の周りを循環する。
【0049】
上述したように、
図5は、接触領域7に分布する接点71a,71bに結合された独立部分33,34を備える胞状冷却構造体3を示す。好ましくは、胞状冷却構造体3は、電子部品40が載置された基板の下面22の接触領域7に分布する接点に結合(例えば、溶接)される。好ましくは湾曲したストリップの形態の部分33及び34は、それぞれ厚さを有する。好ましくは、これらの接点は、熱の放散の効率を高めるために、より高い温度を有する領域の近傍、例えば電子部品40のうちの1つの下、にそれぞれ位置する。さらに、別の実施形態によれば、
図4に示すように、胞状冷却構造体3は、接触領域7全体と接触するのではなく、接触領域7に分布する1つ以上の接点71c,71d、71eにそれぞれ結合された部分36,37,38を備える単一部品である。
【0050】
有利な実施形態(不図示)によれば、胞状冷却構造体3は、第1の部分と、第1の部分から独立した第2の部分とを備える。第1の部分は、接触部において下面22と接触している。第2の部分は、1つ以上の接点にそれぞれに結合された副部分(独立している、又は、独立していない)を備える。接点と接触部が接触領域7を構成する。
【0051】
図8は、電子モジュール10が2つの基板2と2つの基板2に載置された電子部品40とを備える、本発明の一実施形態を示す。2つの基板2の間に位置する冷却モジュール5は、1つの胞状冷却構造体3を備える。冷却モジュール5は、冷却モジュール5の両側にそれぞれ配置された2つの基板2に載置された電子部品40を冷却するために用いられる。胞状冷却構造体3は、前記基板2の接触領域7と接触している。有利には、2つの基板2及び胞状冷却構造体3が、3Dプリントによって製造されることが好ましいアセンブリを形成する。
【0052】
図9は、電子モジュール10が2つの基板2と、少なくとも1つの電子部品40と、2つのチャンバ51及び2つの胞状冷却構造体3を備える冷却モジュール5とを備える、別の実施形態を示す。少なくとも1つの電子部品40は、前記基板2の上面21載置され、また、2つの基板2の間に配置される。前記基板2の内面22と接触している胞状冷却構造体3は、少なくとも1つの電子部品40から発生した熱を放散するように構成される。本実施形態の冷却効率は、
図1~
図8に示す実施形態と比較して改善される。
【0053】
好ましくは、上述の接合の問題を回避し、電子モジュール10の構成要素のアセンブリを簡素にするために、少なくとも1つの電子部品40が、2つの胞状冷却構造体3の一方及び2つの基板2の一方をそれぞれが備える2つのアセンブリ間に、該2つのアセンブリと接触した状態で配置される。前記アセンブリは、3Dプリントによって製造されることが好ましい。
【0054】
本発明はまた、上記の実施形態のうちの2つ以上の組み合わせである他の実施形態にも関する。
【0055】
従来の(例えば、冷却スピンドルの有無にかかわらず、冷却液の存在下の)冷却機構と比較して、本発明による胞状冷却構造体3は、熱交換面及び冷却液透過性を増大することができ、これにより熱伝導率ならびに熱の放散が改善される。また、胞状冷却構造体3は、強力で、機械加工が容易であり、熱衝撃、高温、湿度、及び高圧に対して優れた耐性を有する。特に、胞状冷却構造体3は、「発泡体」、例えば金属発泡体、とも呼ばれる。
【0056】
本発明は、前述の実施形態に限定されず、その趣旨に合致する任意の実施形態に及ぶ。
【外国語明細書】