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特開2022-171704ガス発生器、エアバッグモジュール、車両安全システム、および火工技術的に生産されたガスを精製するための方法
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  • 特開-ガス発生器、エアバッグモジュール、車両安全システム、および火工技術的に生産されたガスを精製するための方法 図1
  • 特開-ガス発生器、エアバッグモジュール、車両安全システム、および火工技術的に生産されたガスを精製するための方法 図2a
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171704
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】ガス発生器、エアバッグモジュール、車両安全システム、および火工技術的に生産されたガスを精製するための方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 7/00 20060101AFI20221104BHJP
   B01D 46/00 20220101ALI20221104BHJP
   B01D 50/00 20220101ALI20221104BHJP
   B01D 45/06 20060101ALI20221104BHJP
   B60R 21/264 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
B01J7/00 A
B01D46/00 F
B01D50/00 501B
B01D50/00 501F
B01D45/06
B60R21/264
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137781
(22)【出願日】2022-08-31
(62)【分割の表示】P 2019558582の分割
【原出願日】2018-04-23
(31)【優先権主張番号】102017108798.2
(32)【優先日】2017-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】503049737
【氏名又は名称】ティーアールダブリュー・エアバッグ・システムズ・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】ベンデル,エルマー
(72)【発明者】
【氏名】エサウ,アンジャ
(72)【発明者】
【氏名】ラスト,デトレフ
(72)【発明者】
【氏名】ユング,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイ,ニン
(57)【要約】
【課題】ガス発生器(10)、特に、軸長手方向(L)を備えた火工技術的なチューブガス発生器を提供すること。
【解決手段】ガス発生器(10)は、点火ユニット(20)と、点火ユニット(20)の軸方向下流に実装された燃焼室(30)と、を含み、更に、燃焼室出口(36)を形成する燃焼室底部(35)と、燃焼室(30)の軸方向下流に実装されるフィルタ室(70)と、を含む。本発明によれば、少なくとも1つの案内スリーブ(50)と前方側の邪魔板(80)とは、フィルタ室に形成され、燃焼室の側部の案内スリーブ(50)の第1の端部(51)は、燃焼室底部(35)の軸方向下流に実装され、案内スリーブ(50)の第2の端部(53)は、邪魔板(80)と関連付けされ、第1の偏向セクションは、邪魔板(80)および案内スリーブ(50)に形成されており、案内スリーブ(50)の外側に向けた環状の第1の放出室(75)の中へのガスの流れを可能にする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス発生器(10)、特に、軸長手方向(L)を備えた火工技術的なチューブガス発生器であって、点火ユニット(20)と、前記点火ユニット(20)の軸方向下流に実装された燃焼室(30)と、を含み、更に、燃焼室出口を形成する燃焼室底部(35)と、前記燃焼室(30)の軸方向下流に実装されるフィルタ室(70)と、を含むガス発生器(10)において、
少なくとも1つの案内スリーブ(50)と邪魔板(80)とが、前記フィルタ室(70)に構成され、前記燃焼室の側部の前記案内スリーブ(50)の第1の端部は、前記燃焼室底部(35)の軸方向下流に実装され、前記案内スリーブ(50)の第2の端部(53)は、前記邪魔板(80)と関連付けされ、前記案内スリーブ(50)の外側に向けた環状の第1の放出室(75)の中へのガスの流れを可能にする第1の偏向セクションは、前記邪魔板(80)および前記案内スリーブ(50)に構成される、
ことを特徴とする、ガス発生器(10)。
【請求項2】
請求項1に記載のガス発生器(10)において、
前記邪魔板(80)は、前記案内スリーブ(50)から分離され、特に、隔置される構成要素であり、好ましくは前記ガス発生器(10)の外側ケーシング(11)の一部分を形成し、好ましくは前記邪魔板(80)には、凹部(83)、特に、止まり穴が形成され、特にフィルタ(180)は、前記邪魔板(80)および前記案内スリーブ(50)間に位置決めされ、および/または、前記燃焼室底部(35)から始めて、前記案内スリーブ(50)の少なくとも前方半分、特に、少なくとも3分の2は、径方向開口を有しない、ことを特徴とする、ガス発生器(10)。
【請求項3】
請求項1または2に記載のガス発生器(10)において、
前記燃焼室出口(36)は、前記燃焼室底部(35)内部の中心開口の形態であり、および/または、前記燃焼室底部(35)の中央のまわりに分配されるように配置された複数の、特に、腎臓形状の長穴のアレイの形態である、
ことを特徴とする、ガス発生器(10)。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のガス発生器(10)において、
前記案内スリーブ(50)に形成され、前記燃焼室出口(36)のエリアから前記邪魔板(80)の方向に延びると共に、好ましくは前記邪魔板(80)に接触する、螺旋状のスワールベーン(100)
を特徴とする、ガス発生器(10)。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のガス発生器(10)において、
前記邪魔板(80)は、カップ形状もしくはポット形状の前方要素(82)の、および/または、前記ガス発生器ケーシング(11)の前方側端部の、および/または、前記案内スリーブ(50)の第2の端部(53)に一体化された部分の形態である、
ことを特徴とする、ガス発生器(10)。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のガス発生器(10)において、
前記第1の偏向セクションは、特に請求項1と異なり、ガスの流れが前記案内スリーブ(50)の内側エリアの中に戻るのを可能にする、
ことを特徴とする、ガス発生器(10)。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のガス発生器(10)において、
前記案内スリーブ(50)は、断面において先端が径方向外方に方向付けされた星の形状を採り、あるいは、略円形の断面の中央部分(57)を有し、隆起部(58)が前記断
面を大きくしており、特に、3つまたは4つの隆起部(58)が設けられる、
ことを特徴とする、ガス発生器(10)。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のガス発生器(10)において、
前記フィルタ室(70)は、前記案内スリーブ(50)のまわりに実質的に同心状に配置される第2のスリーブ(90)を含み、前記第2のスリーブ(90)は、複数の径方向開口(93)を含み、および/または、前記第2のスリーブ(90)の燃焼室側端部(91)は、前記燃焼室底部(35)からおよび前記案内スリーブ(50)から隔置され、特に、前記案内スリーブ(50)は、前記燃焼室底部(35)と一体的に形成されまたはそれと接触し、ならびに/あるいは、前記第2のスリーブ(90)は、前記邪魔板(80)と一体的に形成されまたはそれと接触する、
ことを特徴とする、ガス発生器(10)。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載のガス発生器(10)において、
少なくとも1つの別の偏向セクションは、前記第2のスリーブ(90)の前記燃焼室側端部(91)と前記燃焼室底部(35)との間に、あるいは、前記第2のスリーブ(90)の径方向開口(93)としてまたはフィルタ室外側ケーシング(71)の径方向開口(73)として、形成される、
ことを特徴とする、ガス発生器(10)。
【請求項10】
請求項8または9に記載のガス発生器(10)において、
第2の環状放出室(76)は、前記第2のスリーブ(90)と前記または他のフィルタ室外側ケーシング(71)との間に形成され、前記フィルタ室外側ケーシング(71)に形成された前記または他の径方向開口(73)は、前記第2のスリーブ(90)の前記燃焼室側端部(91)からおよび前記第2のスリーブ(90)に構成され得る各径方向開口(93)から隔置されるように前記縦方向(L)に配置される、
ことを特徴とする、ガス発生器(10)。
【請求項11】
ガス発生器(10)、特に、軸長手方向(L)を備えた火工技術的なチューブガス発生器であって、点火ユニット(20)と、前記点火ユニット(20)の軸方向下流に実装された燃焼室(30)と、を含み、更に、燃焼室出口を形成する燃焼室底部(35)と、前記燃焼室(30)の軸方向下流に実装されるフィルタ室(70)と、を含み、前記燃焼室出口(36)が前記燃焼室底部(35)の少なくとも1つの開口である、ガス発生器において、
前記フィルタ室(70)には、互いの軸方向下流に位置決めされた少なくとも2つの板(151、152)を含む板ラビリンスフィルタシステム(150)が形成され、前記板(151、152)は、前記ガス発生器(10)の前記軸長手方向(L)に実質的に垂直に、好ましくは、燃焼室底部(35)に実質的に平行に整列され、前記板(151、152)の各々は、少なくとも1つの貫通開口を有し、2つの隣接する板(151、152)の前記貫通開口は、前記径方向に互いに対してオフセットするように配置される、
ことを特徴とする、ガス発生器(10)。
【請求項12】
請求項11に記載のガス発生器(10)において、
最初は前記軸長手方向(L)にあるように配置された前記板ラビリンスフィルタシステム(150)の板(151)は、ベーン形状であり、あるいは、略円形部(160)を有し、円形セグメント部(165)がそこから横方向に突出する、
ことを特徴とする、ガス発生器(10)。
【請求項13】
請求項11または12に記載のガス発生器(10)において、
最初は前記軸長手方向(L)にあるように配置された前記板ラビリンスフィルタシステ
ム(150)の前記または他の板(151)と、フィルタ室外側ケーシング(71)の内側面(72)との間、特に、前記第1の板(151)のベーンタイプ部または円形セグメント部(165)間には、前記燃焼室出口(36)に関連して径方向外方に変位される複数の流れ通路(170)が形成される、
ことを特徴とする、ガス発生器(10)。
【請求項14】
請求項11から13のいずれか一項に記載のガス発生器(10)において、
前記燃焼室(30)には、燃焼室スクリーン(60)が配置され、前記ガス発生器の前記縦方向(L)に関連して前記フィルタ室(70)の軸方向上流に実装され、前記燃焼室スクリーン(60)は、好ましくは径方向開口(61)を有するスリーブ状に形成される、
ことを特徴とする、ガス発生器(10)。
【請求項15】
ガス発生器(10)と、前記ガス発生器(10)によって膨張可能なエアバッグと、前記エアバッグモジュールを車両に取り付けるための締結ユニットと、を含むエアバッグモジュールであって、
前記ガス発生器(10)は、請求項1から14の少なくとも一項に従って構成される、ことを特徴とする、エアバッグモジュール。
【請求項16】
人、例えば、車両乗員または歩行者を特に保護するための車両安全システムであって、ガス発生器(10)と、エアバッグモジュールの一部としてガス発生器(10)によって膨張可能なエアバッグと、トリガ状態が与えられるときに前記ガス発生器(10)を活動化されることが可能な電子制御ユニットと、を含む車両安全システムにおいて、
前記ガス発生器(10)は、請求項1から14の少なくとも一項に従って構成される、ことを特徴とする、車両安全システム。
【請求項17】
好ましくは、請求項1から14のいずれか一項に記載のガス発生器(10)、特に、火工技術的なチューブガス発生器で火工技術的に生産されたガスを精製するための方法であって、
・ 前記ガスを、特に、ガスの流れの形態で、特に、前記ガス発生器(10)の軸長手方向(L)に平行に整列される流入方向(S)に沿ってフィルタ室(70)の中に導入するステップと、
・ 前記ガスもしくは前記ガスの流れの一部分を、邪魔板(80)で実質的に反対の方向に偏向するステップと、
・ 前記ガスもしくは前記ガスの流れの一部分を、前記ガス発生器(10)の前記軸長手方向(L)に関連して、実質的に径方向または接線方向に再偏向するステップと、を含む方法。
【請求項18】
請求項17に記載のガス発生器(10)で火工技術的に生産されたガスを精製するための方法において、
次の更なるステップ、即ち、
・ 前記ガスを前記フィルタ室(70)の中に導入する前に、特に、燃焼室スクリーン(60)を用いて、好ましくは、前記ガスが前記燃焼室スクリーン(60)から前記流入方向(S)に去るように、前記ガスを事前フィルタ濾過するステップと、
・ 前記ガスの一部分を前記流入方向(S)におよび/またはそれとは反対向きに再偏向するステップと、
・ 前記ガスの一部分を、前記流入方向(S)および/または前記反対の方向から、径方向外方に方向付けされた方向に偏向し、フィルタ室外側ケーシング(71)の開口(73)を通して放出するステップと、
・ 前記ガスの一部分を、前記ガス発生器(10)の実質的に周方向に偏向するステップであり、流入方向(S)もしくはそれとは反対の方向へのまたは流入方向(SE)もしくはそれとは反対の方向からの前記ガスの偏向と同時かまたは前記ガスの偏向の間に、前記ガスの一部分を前記周方向に偏向するステップと、のうちの少なくとも1つを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス発生器に関し、特に、請求項1に従って、点火ユニットと、点火ユニットの軸方向下流に実装された燃焼室と、を含み、更に、燃焼室出口を形成する燃焼室底部と、燃焼室の軸方向下流に実装されるフィルタ室と、を含む、軸長手方向を備えた火工技術的なチューブガス発生器に関する。更に、本発明は、エアバッグモジュールおよび車両安全システムに関する。追加的に、本発明は、火工技術的に生産されたガスを精製するための方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
車両安全システム用のガス発生器では、火工技術的推進剤を変換または燃焼させるとき、高温ガスが形成され、通常は、ワイヤメッシュもしくはワイヤファブリックまたはリボンラップあるいはエキスパンデッドメタル層を流れることによって、ガス発生器で冷却される。追加的に、前述の構成要素によって、燃焼中に形成されているスラグ残留物または固体は、フィルタ濾過されて高温ガスから分離される。ガス発生器の内部の高温ガスの高い流速のせいで、固体のための分離速度は、とにかく、非常に低い。そのうえ、ガスの温度は、特に、前述の構成要素(ワイヤファブリック、ワイヤメッシュ等々)の高質量によって、急速に低下し、したがって、燃焼室もしくはガス室で燃焼反応を劣化させる。これは、特定の濃度を超えるべきでない高温ガスのガス値に悪影響を及ぼす場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、前述の欠点のうちの少なくとも1つを克服するフィルタを含む開発されたガス発生器を述べることである。
【0004】
そのうえ、意図されることは、開発されたエアバッグモジュールと、開発された車両安全システムと、を述べることである。目的は、火工技術的に生産されたガスを精製するための開発された方法を更に提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、この目的は、ガス発生器、特に、火工技術的なガス発生器に関しては、請求項1および11の主題によって、エアバッグモジュールに関しては、請求項15の主題によって、車両安全システムに関しては、請求項16の主題によって、火工技術的に生産されたガスを精製するための方法に関しては、請求項17の主題によって、達成される。
【0006】
本発明に係るガス発生器の有利で有益な構成は、従属請求項に記述されている。
【0007】
本発明に係るガス発生器は、車両安全システム用の、特に、エアバッグシステム用の、特に、ガス発生器に関する。特に、本発明に係るガス発生器は、火工技術的なチューブガス発生器に関する。チューブガス発生器という用語は、この文脈では、ガス発生器の外側ケーシングがチューブ形状であり、チューブの長さがチューブの直径よりも大きい、ということを特に意味する。
【0008】
ガス発生器は、点火ユニットと、点火ユニットの軸方向下流に実装された燃焼室と、を含み、更に、燃焼室出口を形成する燃焼室底部と、燃焼室の軸方向下流に実装されるフィルタ室と、を含む。追加的に、ガス発生器は、中心縦軸と、それに平行な、点火ユニット
から始まってフィルタ室に向けて方向付けされる軸長手方向と、を有する。点火ユニット、燃焼室、燃焼室底部、および、フィルタ室は、こうして、上記順序で、ガス発生器の軸長手方向の方向に配置されることがあり、同時に、有利に互いに対して同軸状に配向される。
【0009】
本発明によれば、フィルタ室には、少なくとも1つの案内スリーブと邪魔板とが構成され、案内スリーブの第1の燃焼室側端部は、燃焼室底部の軸方向下流に実装され、案内スリーブの第2の端部は、邪魔板と関連付けされ、案内スリーブの外側に向けた環状の第1の放出室の中へのガスの流れを可能にする第1の偏向セクションは、邪魔板および案内スリーブに形成される。
【0010】
ガス発生器は、少なくとも3つの構成要素グループを実質的に含み、上記構成要素グループは、点火ユニット、燃焼室、および、フィルタ室である。燃焼室は、点火ユニットとフィルタ室との間に形成される。燃焼室出口のおかげで、燃焼室とフィルタ室との間の流体連通は、確立される。燃焼室出口は、開口または貫通孔(breakthrough)の形態で、燃焼室底部によってもしくは燃焼室底部で形成される。したがって、燃焼室底部は、アルミニウム、鋼、または、銅から作製される金属箔の形態であることがある、例えば、いわゆるタンピングによって、ガス発生器の活動化の前に、燃焼室出口のエリアで閉じられることがある。燃焼室底部は、板、または、板形状の要素であることがある。
【0011】
燃焼室の軸方向下流に実装されたフィルタ室には、少なくとも1つの案内スリーブおよび少なくとも1つの邪魔板が形成される。軸方向下流に実装された要素は、点火ユニットから始めてフィルタ室の方向への、ガス発生器の軸長手方向に沿って続く一部分またはサブ組立体であると理解される。互いに対して下流に配置された要素は、互いに対して機能的に連続するように配置され、即ち、ガス発生器の活動化のときに生産されたまたは生産されるべきガスの流れの方向の要素または構成要素は、連続的に配置されるかまたは形成される。
【0012】
この文脈での流れの方向は、経路の方向であると理解され、経路に沿って、ガス、即ち、火工品を燃焼させることによって生産されるべきガスは、ガス発生器の内部を、ガス発生器の活動化からガスが去る、即ち、ガス発生器から流れ出るまで、流れる。可能的な拡散流/部分流または乱流は、この文脈では、無視される場合がある。即ち、流れの方向は、ガスの流れの主要な方向であり、それに沿って、ガスの流れもしくは分岐される場合のある部分的なガスの流れの主要な部分が流れる。
【0013】
案内スリーブの第1の燃焼室側端部は、燃焼室底部の軸方向下流に実装される。案内スリーブの第1の燃焼室側端部は、燃焼室底部に直接接触することがある、即ち、燃焼室底部に載る場合があるが、同じく想像できることは、案内スリーブと燃焼室底部との間に、例えば、減衰要素などの他の1つまたは複数の別の構成要素が位置決めされることである。案内スリーブは、こうして、直接および間接の双方で燃焼室底部に載ることがある。
【0014】
案内スリーブは、邪魔板と関連付けされた第2の端部を更に含む。案内スリーブの第2の端部は、邪魔板の、好ましくは、前方側を支持された邪魔板の方向に、有利に整列もしくは配置されることがある。
【0015】
ガス発生器の活動化された状態では、案内スリーブは、フィルタ室の中に流れるように適合されるかまたはフィルタ室の中に流れているガスを邪魔板の方に案内する。好ましくは、フィルタ室の中に流れる全ガスは、邪魔板の方に案内される。
【0016】
邪魔板および案内スリーブには、第1の偏向セクションが形成され、ガスが案内スリー
ブの外側に向けて環状の第1の放出室の中に流れるのを可能にする。
【0017】
したがって、フィルタ室の中への導入後に、ガスは、邪魔板と案内スリーブの第2の端部との間の第1の偏向セクションでまたはそれによって環状の第1の放出室の中に偏向されるように、最初に案内スリーブの内側エリアにおいて、軸長手方向に、邪魔板に向けて、ガスの流れの形態で、案内される場合がある。偏向されている間に、ガスは、案内スリーブの内側エリアから第1の偏向セクションを通って案内スリーブの外側エリアの中に、即ち、案内スリーブの第2の端部のまわりの案内スリーブの内側面から案内スリーブの外側まで、流れる。
【0018】
したがって、第1の偏向セクションは、ガスの流入方向に対して(実質的に)約180度のガスの流れ方向の反転を引き起こすことがある。換言すると、フィルタ室の中に流れ込むガスは、反対方向に、即ち、流入方向とは反対の方向に、そこで偏向されるように、邪魔板に実質的に案内される。
【0019】
そのうえ、フィルタ室は、流れ方向で第1の偏向セクションの下流に配置された少なくとも1つの別の偏向セクションを含むことがあり、偏向セクションは、約90度のガスの偏向を(実質的に)引き起こす。流れの方向の下流に配置された別の偏向セクションは、流れているガスに続く流入方向に対して約180度最初に偏向されたガスによって到達されるそういった偏向セクションであると理解される。可能であるのは、フィルタ室が複数の別の偏向セクションを有し、それらの各々が少なくとも約90度のガスの偏向を実質的に引き起こすことである。
【0020】
案内スリーブは、好ましくは、フィルタ室外側ケーシング内部で同心状に配置される。好ましくは、案内スリーブは、案内スリーブの直径よりも長く、特に、何倍も長い。
【0021】
本発明に係るガス発生器が、特に、基づいている思想は、燃焼室で生産できるかまたは生産されたガスのガス流れが、フィルタ室の中に流れ込み、スラグ成分を含むことであり、ガスの流れは、最初にフィルタ室の中に流れ込み、フィルタ室をそれの軸方向長さに沿って実質的に完全に貫流する。フィルタ室を通る上記軸方向の流れは、案内スリーブのおかげで実現される。第1の偏向セクションを形成するフィルタ室の好ましくは前方側の邪魔板では、ガスもしくはガスの流れが約180度偏向される。次いで、ガスもしくはガス流は、少なくとも1つの別の偏向セクション、即ち、別の約90度によって、もう一度偏向される。その後に、ガスは、ガス発生器の周囲エリアに到達することがある。周囲エリアは、例えば、満たされるべきエアバッグである。
【0022】
邪魔板は、案内スリーブから分離され、特に、隔置される構成要素であることがあり、ガス発生器の外側ケーシングの部分を好ましくは形成することがあり、好ましくは、凹部、特に止まり穴が邪魔板に形成される。凹部、特に、止まり穴では、スラグは、ガスの突然の減速および偏向によって、有利に堆積することがある。凹部または止まり穴は、こうして、スラグトラップであることがある。任意選択で、フィルタは、邪魔板と案内スリーブとの間に位置決めされることがあり、フィルタは、案内スリーブの燃焼室側端部から離れている第2のスリーブの内側端部エリアに特に当接することがある。そういったフィルタは、金属、特に、ステンレス鋼または炭素鋼から作られたフィルタボディであることがあり、好ましくは、ワイヤクロスまたはワイヤメッシュとして存在する。フィルタは、1つの単一ワイヤまたは異なった直径ですらある複数のワイヤを含むことがあり、フィルタは、しかも、事前プレス加工されたボディとして存在することがある。そういったフィルタは、その体積および/またはその質量に関して、火工技術的なガス発生器の比較的知られたフィルタボディよりも小さい。
【0023】
本発明のフィルタの利点もしくは技術的効果は、案内スリーブと偏向セクションを備えた邪魔板とを含むそれとは別個のシステムのフィルタ効果とのフィルタの組み合わせで見られるべきである。換言すると、フィルタは、ガス冷却および粒子フィルタリングに関して、案内スリーブと偏向セクションを備えた邪魔板とのシステムのフィルタ効果を最適化するが、火工技術的なガス発生器で知られているような大規模な、特に、大きくて重いワイヤメッシュやワイヤクロスの前述の欠点を伴うことがない。換言すると、本発明のフィルタは、ワイヤメッシュやワイヤクロスで作られた大規模なフィルタを使用せずに、本発明のガス発生器のフィルタリングに関して、特定の微調整を可能にするように、案内スリーブと偏向セクションを備えた邪魔板とのシステムに加えて、僅かな残留フィルタリングまたは残留冷却を提供することがある。
【0024】
更に、特に有利なことは、径方向の開口を何ら必要とせずに案内スリーブを設計することである。換言すると、案内スリーブは、径方向の開口がないことが好ましい。これは、ガスの流れが、完全に加速され、もしくは、フィルタ室に入った後で整列され、ガスの流れが邪魔板に衝突するまで加速されるのを可能にする。案内スリーブの連続的なスリーブ壁の形成のために、径方向の部分的なガスの流れは、分岐することができない。本発明の他の実施形態では、可能であるのは、燃焼室底部から始まって、案内スリーブの少なくとも前方半分、特に、少なくとも前方3分の2が径方向の開口がないことである。したがって、径方向の開口は、燃焼室底部から離れて面する半分に形成されることがある。特に、好ましいことに、単に案内スリーブの後方3分の1には、即ち、燃焼室底部から離れて面しているところには、径方向の開口が形成される。
【0025】
案内スリーブは、好ましくは、ガスの流れ、もしくはフィルタ室に流入するガスが、凹部、特に、止まり穴に直接導かれるように構成される。このように、ガスのスラグ成分は、特に効率的で最適化されたやり方で堆積または分離される場合がある。
【0026】
特に、単に1つの単一スリーブ、即ち、案内スリーブ、を有するフィルタ室の実施形態では、可能であるのは、少なくとも案内スリーブの後方3分の1に、径方向の開口が形成されることである。
【0027】
案内スリーブをフィルタ室に、特に、燃焼室底部に締結するために、案内スリーブの燃焼室側端部は、スリーブ壁から垂直に突出する締結フランジを含むことがある。好ましくは、案内スリーブは、案内スリーブの燃焼室側端部と燃焼室底部との間の連結エリアで、ガスが逃げることのできないように、燃焼室底部に連結される。むしろ、フィルタ室に流入する全部のガスは、案内スリーブの第2の端部に向けて案内される。
【0028】
燃焼室出口は、燃焼室底部の中央開口の形態であることがある。中央開口は、円形断面を有する開口であることが好ましい。更に、追加的または代替的に可能であるのは、燃焼室出口が、複数の、特に、腎臓形状の長穴のアレイとして構成されることである。上記長孔は、燃焼室底部の中央の周りに分布されるように配置されることが好ましい。長穴は、接合円上に位置することが好ましい。
【0029】
本発明の他の実施形態では、案内スリーブに、螺旋状のスワールベーンが形成されることがあり、螺旋状スワールベーンは、燃焼室出口のエリアから邪魔板に向かって延びると共に、好ましくは邪魔板に接触する。螺旋状スワールベーンは、フィルタ室に流入するガスが、スワールベーンの表面に沿って軸方向に移動するのを、引き起こして、粒子がより良く分離されること、および、ガスがより効率的に冷却されること、を可能にする。換言すると、螺旋状スワールベーンは、遠心分離機の原理に従って作用する。粒子は、特に、案内スリーブの内側壁で分離される。更に、螺旋状スワールベーンは、ガスが冷却されるのを引き起こす。しかしながら、ここでは、ガスの速度もしくはガスの流れの速度は、(
関連して)減速されることがない。換言すると、螺旋状スワールベーンの形成の場合でさえ、ガスの流れまたはガスは、ガスの流れ方向が流入方向に対して実質的に約180度反転するように、好ましい前方側の邪魔板に衝突する。
【0030】
好ましい前方側の邪魔板は、例えば、カップ形状またはポット形状の前方要素の底部要素の形態であることがある。好ましくは、邪魔板のそういった構成の場合、カップ形状またはポット形状の前方要素の側壁は、案内スリーブの方向、もしくは燃焼室底部の方向に整列される。
【0031】
本発明の他の実施形態では、邪魔板は、ガス発生器ケーシングの前方側端部の形態であることがある。したがって、可能であるのは、ガス発生器ケーシングの前方側端部、したがって、フィルタ室の前方側端部が、第1の偏向セクションの部分を形成することである。凹部、特に、止まり穴は、このケースでは、ガス発生器ケーシングもしくはフィルタ室の前方側端部にそれぞれ形成されることがある。
【0032】
本発明の他の実施形態では、邪魔板は、案内スリーブの第2の端部に一体化された部分であることがある。本発明のそういった実施形態は、少ない単一の部品から有利に構成される。
【0033】
本発明の他の実施形態では、案内スリーブの第2の端部は、環状部を有することがある。第1の実施形態では、環状部は、案内スリーブの縦軸から離れて面するように構成されることがある。換言すると、環状部は、案内スリーブのスリーブ壁から垂直に突出する。環状部のそういった構成は、例えば、案内スリーブの第2の端部が邪魔板に締結されるのを可能にする。
【0034】
他の実施形態では、環状部は、案内スリーブの縦軸の方向を指すことがある。このように、アンダカットは、例えば、邪魔板と環状部との間に形成されることがある。このタイプのアンダカットは、ガスの流れの粒子の堆積の効果を増大させる。
【0035】
他の実施形態では、第1の偏向セクションは、ガスが、かなり上で説明された原理から外れて、案内スリーブの内側エリアに流れ戻るのを可能にする場合がある。
【0036】
結果として、ここではガスは、フィルタ室に導入された後、最初に邪魔板に向けて軸長手方向に案内スリーブの内側エリアに案内されることがあり、邪魔板の第1の偏向セクションで、案内スリーブの内側エリアの中に再度後ろに案内され、約180度のガスの流れの再偏向に対応する。このように偏向されたガスの流れは、その後においてだけ、案内スリーブの内側エリアから別の偏向部を介して案内スリーブの外側に、好ましくは、第1の環状の放出室に渡される場合がある。
【0037】
案内スリーブの断面は、径方向外方に方向付けされた先端を有する星の形状を採ることがある。更に可能であるのは、案内スリーブが略円形の断面の中央部分を有し、隆起部が断面を大きくすることである。特に、3つまたは4つの上記隆起部が設けられることがある。隆起部は、特に、略矩形の断面を有することがある。断面を大きくする隆起部を含むそういった断面のおかげで、径方向のラビリンスの形態のフィルタ室は、構成されることがある。したがって、隆起部もしくは隆起部を形成する側壁で、軸方向に延びる複数の長穴が形成される。ガスが邪魔板から跳ね返り、流入方向に対して実質的に約180度偏向された後、ガスは、上記長穴を通って流れ出ることがある。好ましくは、ガスは、次いで、フィルタ室外側ケーシングの内側表面に沿って燃焼室に向けて、そして、それに続いて、フィルタ室外側ケーシングに形成された開口を通って外向きに流れる。
【0038】
案内スリーブのそういった断面が形成されると、約180度から270度の3次元的な偏向は、こうして可能になる。好ましくは、このタイプの案内スリーブは、互いに分離された放出室が、案内スリーブの大きくなっている隆起部間に形成されるように、フィルタ室外側ケーシングに形成される。放出室の数は、大きくなる隆起部の数に対応する。案内スリーブの穴(長穴)を通って出ていくガスは、こうして隆起部間に形成された放出室に流れ込む。放出室では、ガスは、膨張することがある。
【0039】
大きくなる隆起部に関して上で説明された断面を有する案内スリーブを形成するとき、有利であるのは、フィルタ室に捩れ防止保護部を構成することである。捩れ防止保護部は、フィルタ室の外側ケーシング内の案内スリーブの捩れを阻止することを目的とする。可能であるのは、例えば、燃焼室側端部に、または、案内スリーブの隆起部部分間のフィルタ室の反対端部に、フィルタ室外側ケーシング内の案内スリーブの捩れを阻止する腎臓形状の要素を形成することである。
【0040】
可能であるのは、フィルタ室が、案内スリーブのまわりに実質的に同心状に配置される第2のスリーブを含むことである。第2のスリーブは、複数の径方向の開口を含む。好ましくは、第2のスリーブの径方向の開口は、燃焼室に面する前方半分に、特に、燃焼室に面する前方3分の1に、形成される。第2のスリーブは、一端にまたは両端に、環状の締結フランジを含むことがある。更に、可能であるのは、第2のスリーブの締結フランジが、内側にまたは外側に面することである。
【0041】
加えてまたは選択肢として、第2のスリーブの燃焼室側端部は、燃焼室底部からおよび案内スリーブから隔置され、特に、案内スリーブは、燃焼室底部と一体的に形成されるかまたはそれに接触する、ならびに/あるいは、第2のスリーブは、邪魔板と一体的に形成されるかまたは邪魔板に接触する。
【0042】
したがって、こうして可能であるのは、燃焼室底部が案内スリーブと共に1つの単一の構成要素を形成すること、および/または、邪魔板が、第2のスリーブと共に1つの単一の構成要素を等しく形成することである。これは、ガス発生器のための単一の構成要素の削減という利点を提供する。
【0043】
上で説明された少なくとも別の偏向セクションは、例えば、案内スリーブの後方半分に、特に、後方3分の1に構成された開口の形態であることがある。そういったケースでは、フィルタ室は、第2のスリーブを有しないことが好ましい。この文脈の「後方半分」とは、燃焼室底部からより遠くで邪魔板により近い案内スリーブの半分であることを意味する。更に、可能であるのは、別の偏向セクションが第2のスリーブの燃焼室側端部と燃焼室底部との間に形成されることである。このケースでは、第2のスリーブは、燃焼室底部に接触しないが、距離が上記2つの構成要素間に与えられ、それはギャップが上記構成要素間に形成されるのを生じさせ、別の偏向セクションとして作用することがある。加えて、別の偏向セクションは、第2のスリーブの径方向開口の形態、または、フィルタ室外側ケーシングの径方向開口の形態であることがある。
【0044】
加えて、可能であるのは、第2の環状の放出室が、第2のスリーブと前述のフィルタ室外側ケーシングもしくは他のフィルタ室外側ケーシングとの間に形成されることであり、フィルタ室外側ケーシングに形成された前述の径方向開口もしくは他の径方向開口は、軸長手方向に配置されて、第2のスリーブの燃焼室側端部から、また、第2のスリーブに構成され得る各径方向開口から、隔置される。これが意味することは、ガスの流れは、第2の放出室の流れ込んだ後に、ガス発生器環境の方向のフィルタ室外側ケーシングに形成された径方向開口を介して第2の放出室から去ることができる前に、第2の放出室の特定の軸方向距離を依然としてカバーしなければならない。こうして、ガスの流れは、粒子の堆
積に関して、更に冷却されおよび/またはフィルタ濾過される場合がある。
【0045】
単に1つの案内スリーブが形成されるとき、フィルタ室外側ケーシングと案内スリーブとの間には、単に1つの放出室が形成される。上記放出室は、互いに径方向に分離された複数の部分から作られることもある。第2のスリーブをフィルタ室に形成するとき、少なくとも2つの放出室が形成される。第2の放出室は、第1の放出室を取り囲む。第2の放出室もまた、互いに径方向に分離された複数の部分から作られることがある。
【0046】
ガスが放出室、もしくはスリーブおよびフィルタ室外側ケーシング間のギャップエリアを通って流れるもしくは通過するとき、ガスは、好ましくは再度加速され、また、一度に約90度、数回偏向される。したがって、別の固体粒子は、ガスの流れのデッドエリア内で、即ち、ガスの流れのかなり低下した速度を有するエリア内で、スリーブ壁、もしくはフィルタ室外側ケーシングの内側壁で分離される。上記ギャップエリアは、案内スリーブとフィルタ室外側ケーシングとの間、もしくは、案内スリーブと第2のスリーブとの間、もしくは、第2のスリーブとフィルタ室外側ケーシングとの間、に形成されることがある。フィルタ室全体に広がる高圧のおかげと、同じく、高温のおかげとで、有害なガスまたはガス合成物(組成物)の値もしくは濃度は、低下することがある。
【0047】
別の利点は、案内スリーブが、必要な場合には、第2のスリーブも、公知のワイヤメッシュフィルタより低い重量を有し、また、より経済的であることである。同種の缶出力やガス発生器の出力に関して小さめの質量のおかげで、使用もしくは点火において少なめの推進剤で済む。こうして、ガス発生器の長さは、縮小される場合がある。
【0048】
更に、本発明に係るガス発生器の出力のばらつきは、低減される。これは、ガス発生器の出力(標準化された測定缶での出力測定)のための公知の測定方法による測定において明らかである。その点で、いわゆる缶出力での散乱は、流れ断面が、案内スリーブの、必要な場合には、第2のスリーブの、小さい許容差によって、公知のワイヤメッシュフィルタの統計的分散型貫流ワイヤ断面よりも、再現性があるので、低減される場合がある。こうして、システムの堅牢性は、本発明に係るガス発生器において向上する。
【0049】
案内スリーブの、ならびに、必要な場合には、第2のスリーブの、小型の配置構成は、上記スリーブが、20mmの外径を有するガス発生器で使用されるのを可能にする。
【0050】
可能であるのは、案内スリーブが、軸方向に延びる、即ち、ガス発生器の軸長手方向に平行に延びる複数のラグまたは凹部を含むことである。上記軸方向に延びるラグもしくは凹部は、案内スリーブの周囲に好ましくは(均等に)分配される。このように軸方向に延びるラグ/凹部は、フィルタ室の外側ケーシング内の実装された案内スリーブの位置を検出するのに役立つ。ラグもしくは凹部は、フィルタ室外側ケーシングに形成された開口のおかげで、検出される場合がある。
【0051】
フィルタ室外側ケーシングには、少なくとも2つの開口、特に、少なくとも2つの長穴が形成される。ここで、ガスが通って流れることのできる上記開口の表面は、ガス発生器もしくはフィルタ室外側ケーシングの周囲に亘って径方向に実質的に均等に広がる。これは、ガス発生器の中立せん断挙動に役立つ。
【0052】
本発明の他の独立態様は、ガス発生器、特に、軸長手方向を有する火工技術的なチューブガス発生器に関し、点火ユニットと、燃焼室出口を形成する燃焼室底部を有する点火ユニットの軸方向下流に配置された燃焼室と、燃焼室の軸方向下流に配置されるフィルタ室と、を含む。燃焼室出口は、燃焼室底部の少なくとも1つの開口の形態である。
【0053】
本発明によれば、フィルタ室には、互いに軸方向下流に位置決めされた少なくとも2つの板を含む板ラビリンスフィルタシステムが形成される。板は、ガス発生器の軸長手方向に対して実質的に垂直に、好ましくは、燃焼室底部に対して実質的に平行に整列される。したがって、板の各々は、少なくとも1つの貫通開口を有し、2つの隣接する板の貫通開口は、径方向に互いに対してオフセットするように配置される。
【0054】
燃焼室底部の開口は、中央開口であることがあり、円形断面を有する開口として構成されることが好ましい。燃焼室出口は、フィルタ室に入るただ1つの単一のガス流れが形成されるように、特に構成される。
【0055】
互いの軸方向下流であるように位置決めされた少なくとも2つの板は、こうして軸方向ラビリンス偏向を形成する。
【0056】
ガス発生器の軸長手方向の最初にある板ラビリンスフィルタシステムの板は、例えば、ベーン形状である。更に、可能であるのは、上記最初の板が、そこから横方向に突出する円形セグメント部を有する略円形の形状を採ることである。フィルタ室に流入するガスは、こうして最初に板の中央に衝突する。その部分、即ち、円形セグメント部のおかげで、板は、フィルタ室に締結される。
【0057】
最初は軸長手方向にある板ラビリンスフィルタシステムの板と、フィルタ室外側ケーシングの内側と、の間には、複数の流れ通路が形成され、燃焼室出口に対して径方向外方に変位される。流れ通路は、特に、第1の板のベーンタイプ部分または円形セグメント部の間に形成される。流れ通路の数は、ベーンタイプ部分または円形セグメント部の数に対応する。
【0058】
好ましくは、板の中央部分、特に、第1の板の円形部は、燃焼室底部の中央開口よりも大きい直径もしくは断面を有する。フィルタ室に流入するガスは、こうして流れ通路に直接流入することができないが、最初に板の中央部分もしくは略円形部に衝突する。ガスの流れは、その結果として、最初に少なくとも約90度偏向される。その後に、ガスの流れは、上記流れ通路に流入する。板ラビリンスフィルタシステムの第2の板は、リング形状であることがある。リングは、流れ通路を去るガス流が、第2の板のリング部分に最初に衝突して、2度目に約90度偏向されるのを引き起こす。第2の偏向は、ガス発生器の中心縦軸の方向において、軸長手方向に実質的に垂直である。
【0059】
次いで、ガスの流れは、フィルタ室外側ケーシングに形成された径方向開口を通してガス発生器を去ることがある。
【0060】
本発明に係るガス発生器の全ての前述の実施形態に関して、事実であるのは、燃焼室においても、燃焼室スクリーンが配置されてフィルタ室の、ガス発生器の縦方向に対して、軸方向上流に実装されることがあり、燃焼室スクリーンが好ましくは径方向開口を有するスリーブの形態であることである。中空の錐台の形状を採ることもあるそういった燃焼室スクリーンは、ガスまたはガスの流れがフィルタ室に導入される前に、燃焼室内部のガスまたはガスの流れの一種の事前フィルタ濾過に役立つ。ここで、特に可能であるのは、点火ユニット、燃焼室スクリーン、燃焼室底部、案内スリーブ、必要に応じて、第2のスリーブおよび邪魔板、の構成要素が、好ましくは、前の順序で、ガス発生器の中心縦軸に沿ってもしくは軸長手方向に、有利には同心状に、位置決めされることである。
【0061】
独立態様の範囲内で、本発明は、本発明に係る上で説明されたガス発生器と、ガス発生器によって膨張可能なエアバッグと、エアバッグモジュールを車両に取り付けるための締結手段と、を含むエアバッグモジュールを述べるために思想に基づいている。本発明に係
るガス発生器に関連して既に述べられたものと同様の利点が、結果的に生じる。
【0062】
本発明の範囲内で、人、例えば、車両乗員または歩行者を特に保護するための車両安全システムが更に説明され、上で説明されたガス発生器と、エアバッグモジュールの一部としてガス発生器によって膨張可能なエアバッグと、トリガ状態が与えられるときにガス発生器を活動化させることが可能な電子制御ユニットと、を含む。車両安全システムは、ドライバ、助手席、サイド、膝、または窓のエアバッグ、あるいは、例えば、車両用のフードプロップなどの歩行者保護システムであることがある。
【0063】
本発明に係る車両安全システムに関連して、本発明に係るガス発生器に関連して既に与えられたものと同様の利点が、結果的に生じる。
【0064】
本発明の他の態様では、ガス発生器、特に、火工技術的なチューブガス発生器で火工技術的に生産されたガスを精製するための方法が記載され、ガス発生器は、好ましくは、本発明に係る上で説明されたガス発生器である。本発明に係る方法は、次のステップ:
・ ガスを、特に、ガスの流れの形態で、特に、ガス発生器の軸長手方向に平行に整列される流入方向に沿ってフィルタ室の中に導入するステップと、
・ ガスまたはガスの流れの一部分を、邪魔板で実質的に反対の方向に偏向するステップと、
・ ガスまたはガスの流れの一部分を、ガス発生器の軸長手方向に関連して、実質的に径方向または接線方向に再偏向するステップと、を含む。
【0065】
最初にガスを、特に、ガスの流れの形態で、流入方向に沿ってフィルタ室の中に導入し、次いで、ガスまたはガスの流れの部分を邪魔板で実質的に反対方向に偏向させることによって、ガスの流れの約180度のそういった偏向により、ガスからの最初の最適なスラグまたは粒子の堆積は、ガス分子に比例して実質的により重い粒子が、邪魔板で急激に減速されて、そこで有利に堆積する場合があるので、起こることがある。
【0066】
本発明に係るガスまたはガスの流れの部分の更なる再偏向は、現在は径方向または接線方向であり、追加のスラグまたは粒子の堆積が再度起こることを可能にする。
【0067】
そういった良好に標的決めされて案内されたガスの流れの方向付けおよび偏向は、特に、材料コスト、重量および構造スペースに関して、ガスの流れの実質的により効率的なフィルタ濾過もしくは冷却を可能にすることがある。これは、公知のフィルタ構成要素、例えば、ワイヤラップまたはワイヤメッシュで可能ではなく、後者の場合と同様に、上記構成要素は、完全に拡散して局所的に非常に異なる方法で通過または貫流する。
【0068】
本明細書で使用される「ガスまたはガスの流れの部分を偏向する」という用語に関して、別に注目されるのは、これが、一般に本タイプのガス発生器で、ガスの流れまたはガスの流れ全体が偏向されまたは単にまれに1つの単一の良好に規定された方向に案内される場合があるのを明瞭にすることを目的としていることである。むしろ、実際には、主たるガスの流れから分岐するガスの不十分に発達された部分的な分岐、もしくは、主たるガスの流れに対する乱流または不連続性が殆ど常であろう。
【0069】
前述の方法に加えて、可能であるのは、以下のステップの1つまたは複数が、前述の方法に続いて、追加で実行されることである。
・ 特に、燃焼室スクリーンを用いて、好ましくは、ガスが燃焼室スクリーンを流入方向に離れるように、ガスをフィルタ室に導入する前に事前フィルタ濾過すること。これが提供する利点は、最初の粒子またはスラグの堆積が、特に、粗いまたは大きい粒サイズを有するようなものが、燃焼室で既に実行されて、フィルタ濾過されるべき物質がより少なく
フィルタ室に装填されることである。
・ 流入方向におよび/または流入方向に対してガスの一部分を再偏向すること。上記再偏向は、粒子およびスラグ部分が堆積されるのを再度可能にするが、その理由は、それらの質量、もしくは、例えば、案内スリーブまたは第2のスリーブなどの偏向の周囲エリア内の適切な位置での慣性のおかげである。
・ ガスの一部分を、流入方向および/または反対方向から、半径方向外方に方向付けされた方向に偏向させ、フィルタ室外側ケーシングの開口を通して流出させること。
・ ガスの一部分を、実質的にガス発生器の周方向に、流入方向もしくはそれとは反対の方向へのまたは流入方向もしくはそれとは反対の方向からのガスの偏向と同時にまたはガスの偏向の間に偏向させること。このステップは、ガスの一部分の偏向を含む前述のステップの1つと実質的に同時にまたはそれの直後に実行されることがある。こうして、まるでガスの流れの3次元偏向は、可能にされて、軸方向、半径方向、および、接線方向の成分を全体で含むことがある。ここで、有益であるのは、最適で費用節約なやり方でガスの所望の冷却およびフィルタ濾過を達成する目的で、ガスもしくはガスの流れが、ガス発生器内、特に、ガス発生器の比較的小さいスペース内で、時間的にならびにガスによってカバーされるべき距離に関して、もっと長く保持または案内され得ることである。
【0070】
以下において、本発明は、添付された概略図を参照して実施形態例として詳細に例証されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0071】
図1】第1の実施形態例に記載されたような本発明に係るガス発生器をまたがった縦断面を示す図である。
図2a】第2の実施形態に記載されたような本発明に係るガス発生器をまたがった縦断面図である。
図2b】追加のフィルタを備えた図2aに記載されたような本発明に係るガス発生器の原理に従ったフィルタ室の実施形態を示す図である。
図3】たった1つの単一案内スリーブを有するフィルタ室に関する異なった実施形態を示す図である。
図4】たった1つの単一案内スリーブを有するフィルタ室に関する異なった実施形態を示す図である。
図5a】フィルタ室の別の実施形態の縦断面を示す図である。
図5b】フィルタ室の別の実施形態の横断面を示す図である。
図6】スワールベーンを示す図である。
図7a】板ラビリンスフィルタシステムを有するガス発生器の異なった断面を示す図である。
図7b】板ラビリンスフィルタシステムを有するガス発生器の異なった断面を示す図である。
図8】別の実施形態に記載されたような本発明に係るガス発生器のサブエリアをまたがった縦断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0072】
以下では、同様の参照番号は、同様に同等に作用する構成要素や要素のために使用されるであろう。
【0073】
図1は、細長のチューブガス発生器の形態のガス発生器10を例証する。外側ケーシング11は、外径の4倍を超える、特に、8倍を超える全長を有する。具体的には、外側ケーシング(11)の外径は、20mmであることがあり、外側ケーシング(11)の全長は、80mm~160mmであることがある。ガス発生器10の示された左端には、点火ユニット20が、点火器21を含んで、形成される。点火ユニット20は、事前製作された内蔵型ユニットであることがある。ガス発生器10は、中心縦軸Aと、それに平行な軸
長手方向Lと、を有する。軸長手方向Lは、点火ユニットから始まってフィルタ室の方に向かうと理解されるべきであり、ここでは中心縦軸Aと一致する位置のそれぞれの矢印記号によってマーキングされる。
【0074】
点火ユニット20の軸方向下流には、燃焼室30が形成される。燃焼室30では、火工技術的固体推進剤ベッド31ならびに点火混合物32が設けられる。固体推進剤ベッド31と点火混合物32の双方は、単に概略が示される。固体推進剤ベッド31は、個々の推進剤ペレットの充填物から構成されるが、同じくモノリシックな成形ボディの形態や並んだディスクまたはリングの形態であることもある。点火混合物32は、個々の火工技術的成形ボディの充填物から同様に構成される。個々の推進剤ペレット、もしくは火工技術的成形ボディの間の示されたギャップは、実現されたガス発生器10ではそれほど大きくない。
【0075】
点火混合物32は、燃焼室30の第1のセクション33に配置される。固体推進剤ベッド31は、他方において、燃焼室30の第2のセクション34に位置する。燃焼室30の第1のセクション33は、点火ユニット20からフィラ要素40に達する。燃焼室30の第2のセクション34は、フィラ要素40と燃焼室底部35との間に形成された燃焼室30の連続的セクションであると理解される。
【0076】
点火混合物32と固体推進剤ベッド31との間で、フィラ要素40は、移動可能に配置される。フィラ要素40は、外側ケーシング11の内側面15に連結されない。可能であるのは、フィラ要素40が少なくとも部分的に外側ケーシング11の内側面15に隣接することである。しかしながら、フィラ要素40は、外側ケーシング11の内側面15に固定されない。
【0077】
図1では、本発明に係るガス発生器10は、アイドル状態、即ち、非活動化状態で示される。点火器21は、したがって、依然として点火されていない。フィラ要素40は、フィラ要素40が点火混合物32および固体推進剤ベッド31をそれらの位置に固定するように、ガス発生器10のアイドル状態で点火混合物32と固体推進剤ベッド31との間に配置される。フィラ要素40は、ガス発生器10の製造中に、特に、火工技術的な充填において、充填公差を補償する。
【0078】
フィラ要素40は、弾力性を有するように形成され、複数の構成要素を有する。示された例では、フィラ要素40は、ばね41を含む。ばね41は、コイルばねであり、また、前方側の端子要素42および43を有する。示された端子要素42および43は、ディスク形状であり、また、ガス発生器10の動作ケースではガスがフィラ要素40を通って流れることができるように開口を含む。
【0079】
燃焼室30の燃焼室出口36は、燃焼室底部35と、そこに形成された開口と、によって形成される。開口は、中央に形成され、円形の断面を有する。燃焼室底部35の前にまたは燃焼室底部35上に置かれて、燃焼室スクリーン60は、それぞれ構成される。燃焼室スクリーン60は、円錐または中空錐台の形態であり、また、ガスが流通し得る軸方向および径方向の複数の燃焼室スクリーン開口を有する。固体推進剤ベッド31の大型粒子は、円錐形の燃焼室スクリーン60のせいで抑制され、したがって、開口36を通ってフィルタ室70に入らない。燃焼室スクリーン60と燃焼室底部35との間で、タンピング175は、燃焼室底部35に対して固定され、好ましくは、接着剤で結合される。タンピング175は、したがって、ガス発生器10のアイドル状態で燃焼室底部35に形成された開口を閉じ、また、アルミニウム、鋼、または銅から作られた金属箔の形態である。ガス発生器10を活動化させた後、タンピング175は、固体推進剤ベッド31の燃焼により燃焼室30内に形成された圧力により開かれもしくは破壊され、したがって、ガスの流
れのために燃焼室底部35の開口を開放する。
【0080】
フィルタ室70では、案内スリーブ50ならびに邪魔板80が形成される。邪魔板80は、前方側の邪魔板であり、本実施形態例では、フィルタ室70を閉じる。邪魔板80は、同時に、発生器ケーシング11の前方側端部も構成する。案内スリーブ50の燃焼室側端部51は、示された例では、燃焼室底部35上に直接載っている。この目的のために、燃焼室側端部51は、環状締結フランジ52を含む。案内スリーブ50のおかげで、フィルタ室70に流入するガスは、邪魔板80に完全に案内される。邪魔板80は、ガスの流入方向Sに対してガスの流れ方向を実質的に約180度反転させる第1の偏向セクションを形成する。案内スリーブ50は、流入ガスの部分的な流れが案内スリーブ50の径方向開口から漏れることのないように、径方向開口を有しない。
【0081】
フィルタ室70は、燃焼室側端部91および端部面92を有する第2のスリーブ90を更に含む。燃焼室側端部91において、第2のスリーブ90は、案内スリーブ50の締結フランジ52上に載っている。前方面92おいて、第2のスリーブ90は、僅かに外方に曲げられ、また、邪魔板80に連結される。第2のスリーブ90は、複数のスリーブ開口93を有する。上記スリーブ開口93は、ガスの流れ方向の下流に配置された別の偏向セクションを形成する。別の偏向セクションは、約90度のガスの別の偏向を実質的に引き起こす。流入方向Sから始まるガスの流れ方向は、太い矢印によって示される。スリーブ50および90の部分および要素をより良く例証するために、ガスの流れは、フィルタ室70の下半分だけが示される。実際、ガスは、フィルタ室70の上半分にも流れ込み、それらのフィルタ室開口73から外方に流れる。完全を期すために、注目されるのは、ガスの流れ、したがって、上で説明されたガスの流れの例証(矢印による例証を参照)が、勿論、ガス発生器が活動化されたときまたはその後にだけ、効果を有するであろうことである。
【0082】
案内スリーブ50は、第2のスリーブ90内に実質的に同心状に配置される。第2のスリーブ90と案内スリーブ50との間には、第1の環状放出室75が形成される。第2のスリーブ90とフィルタ室外側ケーシング71との間には、第2の同等の実質的に環状の放出室76が形成される。
【0083】
図1では、フィルタ室70の内部は、互いに内側に位置決めされた2つのスリーブ50および90で実質的に形成され、案内スリーブ50は、径方向開口がない。ガスの流れは、したがって、ガスの流れが邪魔板80に衝突するように、フィルタ室70に入った後に完全に加速される。異なって形成された放出室75および76に起因して、ガスは、案内スリーブ50と第2のスリーブ90との間、ならびに、第2のスリーブ90とフィルタ室外側ケーシング71との間において、再度加速され、約90度で数回偏向される。したがって、ガスの流れの固体粒子もしくはスラグ粒子は、スリーブ50および90の壁での、ならびに、フィルタ室外側ケーシング71の内側面72での、流れの不感帯で分離される。
【0084】
邪魔板80で、ガスの流れは、ガスの流れに包含された高温固体が邪魔板80に投げつけられて物質の集積としてそこに残るように、強力に減速される。
【0085】
フィルタ室開口73を通って、このように精製もしくはフィルタ濾過されたガスは、ガス発生器10の環境、即ち、特に、充填されるべきエアバッグに到達する。
【0086】
換言すると、本発明の思想は、とりわけ、フィルタ室70内のガスの流れもしくはガス流線が、ガス発生器10の中心縦軸Aに対してk≧3のクロッシング番数を有することである。ここで、一般に、直線(ここでは、ガス発生器10の中心縦軸A)に対する曲線(
ここでは、ガスの流れの経路)のクロッシング番数kは、曲線接線と直線との90度交差の総数を表す。
【0087】
図2aでは、基本構造の面から、図1のガス発生器10に匹敵するガス発生器10が示される。以下に、フィルタ室70に関する差異だけが詳細に例証される。
【0088】
図2aでは、2つの入れ子式で実質的に同心状に配置されたスリーブ50および90を有するフィルタ室70が同じく示される。案内スリーブ50の設計は、図1の案内スリーブ50に対応する。第2のスリーブ90は、燃焼室側端部91で案内スリーブ50上に載っている。前方面92は、他方において、環状部94を有する。環状部94は、スリーブ壁95から実質的に90度で突出する。環状部94は、ガス発生器10の中心縦軸Aの方を指さしている。
【0089】
図2aでは、邪魔板80は、カップ形状の前方要素82の底部要素81の形態である。前方要素82の壁84は、カップ形状の前方要素82が十分に固定されるように、第2のスリーブ90の前方面92、特に、環状部94を取り囲む。追加的に、邪魔板80は、凹部83を有する。上記凹部83のために、ガスの流れの材料堆積(固体もしくはスラグ粒子)のプロセスは、強化される場合がある。環状部94の理由で、アンダカット96が更に形成され、別の固体粒子またはスラグ粒子が、堆積される場合がある。
【0090】
図2bでは、図2aに示された本発明に係るガス発生器の原理に従ったフィルタ室の実施形態が示されており、本質的な差異は、図2bの設計によれば、追加のフィルタ180がフィルタ室70内に存在することである。フィルタ180は、燃焼室底部35の開口36を通ってフィルタ室70に流入し得るガスの流入方向Sに実質的に直交して配置されるように、邪魔板80と案内スリーブ50との間に位置決めされる。図2bに矢印線で例証されるように、フィルタ180は、案内スリーブ50を通って流れるガスが邪魔板80に面する案内スリーブ50の軸方向端部に到達した後、ガスの流れ方向もしくはガス主流れ方向において、いわば行く手を塞いでいる。ガスのガス流れは、フィルタ180によって偏向されないが、しかしながら、図2aの原理に従って示されるように、邪魔板80に衝突してそこで偏向されるまで、実質的に変化のない流れの方向でフィルタを通って伝播する。こうして、図2bに係る設計は、邪魔板80が流入方向Sに対して実質的に約180度、ガスの流れ方向の反転を引き起こすという原理に従って同じく同等に動作する。邪魔板80上のガスの流れの上記偏向の後、ガスの流れは、図2aにも示される原理に従って、フィルタ室外側ケーシング71の方向に再度フィルタ180を通して等しく案内される場合がある。
【0091】
その結果として、フィルタ180は、ガスの流れを完全にブロックまたは実質的に偏向させることがあるような、ガスの流れに対する障害物ではなく、ガスにフィルタ180を流れる特定の距離だけを生じさせるだけであり、ガスは、追加の冷却および/またはこのケースでは粒子フィルタ濾過にさらされる場合がある。フィルタ180は、金属製であり、また、ワイヤクロスまたはワイヤメッシュであり、好ましくは、図2bに示されるように、第2のスリーブ90の環状部94の内側輪郭に適合され、底部エリアにまたは第2のスリーブ90の環状部94のエリアに、挿入または圧入される。燃焼室底部35の方向にフィルタ180を軸方向に位置決めするために、フィルタ180は、フィルタに面する案内スリーブ50の開口に対して当接する。
【0092】
簡略化されたやり方で表現すると、図2bに係る設計は、図2aに係る同じ設計を実質的に構成し、しかしながら、追加のフィルタ180を備え、それによって、案内スリーブ50、ガスの流れのための偏向効果を有する邪魔板80を含むシステムによるフィルタ濾過もしは冷却に加えて、特定の最適化された残余フィルタ濾過または残余冷却が達成され
る場合がある。
【0093】
図3は、フィルタ室70の別の実施形態を例証する。単に1つの単一案内スリーブ50が設けられる。案内スリーブ50は、燃焼室側端部51で燃焼室底部35上に再度載っている。案内スリーブ50の第2の端部53には、環状部54が形成される。示された断面では、案内スリーブ50が実質的にチューリップ形状である。環状部54のおかげで、案内スリーブ50の締結、特に、クランプは、フィルタ室70内で、特に、フィルタ室外側ケーシング71内部で達成される場合がある。
【0094】
示された邪魔板80は、流入方向Sに対して実質的に約180度のガスの流れ方向の反転を再度達成する。示された例では、別の偏向セクションは、案内スリーブ50に形成された案内スリーブ開口55である。案内スリーブ開口55は、略矩形の断面を有する。案内スリーブ開口55は、案内スリーブ50の最後の3分の1に、即ち、邪魔板80に面する案内スリーブ50の3分の1に、実質的に形成される。したがって、案内スリーブ開口55の形成にもかかわらず、ガスの流れの大部分は、邪魔板80に到達し、そこでは、流れ方向に対して偏向される。
【0095】
案内スリーブ50の始まりで、即ち、それの燃焼室側端部51のエリアで、流れ出るかもしれない部分的なガスの流れの可能的な形成は、案内スリーブ50の示された構成によって有利に抑制される。案内スリーブ50と、フィルタ室外側ケーシング71、特に、フィルタ室外側ケーシング71の内側面72と、の間には、第1の放出室75が形成される。案内スリーブ50から流出するガスは、こうして、その後にフィルタ室開口73を介して環境に到達する目的で、最初に燃焼室30の方向に流れる。
【0096】
図4でも、1つの単一スリーブ、即ち、案内スリーブ50だけを含むフィルタ室70が示される。同等に示されるのは、燃焼室底部35の代替的な実施形態である。燃焼室底部35は、フィルタ室70の方向を指すスリーブノズル37を有する。案内スリーブ50の燃焼室側端部51は、燃焼室底部35に再度載っている。案内スリーブ50の第2の端部53には、再度環状部54が形成され、再度環状部54は、ガス発生器10の中心縦軸Aの方向を向いている。
【0097】
邪魔板80は、再度カップ形状の前方要素82の底部要素81の形態である。案内スリーブ50の環状部54と前方要素82の壁84との間に、再度アンダカット96が形成され、そこにはガスの流れの粒子が堆積される場合がある。ガスの流れ方向を適切に反転させた後、邪魔板80から始まって、ガスは、案内スリーブ開口55を通って第1の放出室75に流れ込む。放出室75は、フィルタ室外側ケーシング71の内側面72と案内スリーブ50との間に形成される。
【0098】
案内スリーブ50には、軸方向に延びる凹部56が形成される。軸方向に延びる凹部56は、ガス発生器10の中心縦軸Aに平行に延びる。好ましくは、この種の複数の軸方向凹部56が形成される。上記凹部56は、取り付けられた案内スリーブ50の位置を検出するのに役立つ。上記凹部56は、フィルタ室開口73を通して見ることによって、例えば、ガス発生器10を製造するときの適切な光学系によって、明らかであり、その光学系は、軸方向凹部56の配向を用いて、案内スリーブ50の正しい位置を決定するのに役立つ。このケースでは、フィルタ室開口73は、長穴の形態であることが好ましい。好ましくは、少なくとも2つの長穴は、ガス発生器10のせん断中立性を達成するために形成される。
【0099】
図5aおよび5bでは、フィルタ室70は、径方向のラビリンスの形態で構成される。明らかなことは、再度単に1つの単一の案内スリーブ50が形成されることである。案内
スリーブ50の断面は、図5bに認識できる。したがって、案内スリーブ50は、中心Mを有する円形断面の中央部分57を有しており、断面を拡大する隆起部58が更に明らかである。隆起部58は、略矩形、特に、略正方形の断面を有する。各隆起部58の各隆起部壁59には、長穴65が形成され、それはガス発生器10の中心縦軸Aに実質的に平行である。
【0100】
各隆起部58間には、第1の放出室75が形成される。こうして、放出室75は、隆起部58によって互いに分離された複数の部分に細分化される。
【0101】
流入するガスが、邪魔板で約180度偏向されると、ガスは、隆起部壁59の長穴65を通って、ガスが膨張し得る分離された第1の放出室75の各々に到達する。次いで、ガスは、第1の放出室75からフィルタ室開口73を通って外部に流出する場合がある。詳細には、前述の経路、もしくはガスまたはガスの流れの偏向は、次のように延びる。最初にガスは、流入方向Sに、即ち、ガス発生器10の軸長手方向Lに、フィルタ室70の中に流れ込み、フィルタ室70を通ってそれの実質的に全長に沿って邪魔板80まで流れる。そこでは、ガスの流れの方向の反転が起こり、流入方向Sに逆らって、ガスの流れは、最初に案内スリーブ50の内部で長穴65まで導かれ、それを通ってガスの流れは、その後に案内スリーブ50の外側に、即ち、第1の放出室75の中に到達することができる。長穴65を通るガスの流れの後半部分では、ガスの流れは、接線に方向付けされたやり方で導かれて部分的に流れ、それは、図5bにおいて、上記接線ガス流れTを例証するそれぞれの矢印記号によって示される。幾何学的に、上記接線に方向付けされたガスの流れは、図5bの断面板に関連して、以下のように説明される場合がある。想像線(図5bに破線によって示される)によって中央部分57の中心Mを径方向の隆起部58の中央と関連付けて、上記想像線から最も近い長穴65の方向に即ち上記長穴65を通して垂線を下ろして、上記垂線は、接線ガス流れTもしくはそれの方向をもたらす。
【0102】
換言すると、接線ガス流れTのエリアでは、先に説明された軸方向および径方向のガス偏向距離に加えて、接線に方向付けされた成分もまた発生するであろうし、このエリアでは、ガス発生器10の周囲に平行に実質的に延び、もしくは、フィルタ室71の周囲に対して接線に延びるガスの流れであると理解される場合もある。全体的に見て、軸の、半径の、および接線の方向成分を含むガスの流れの3次元偏向は、こうして得られる場合がある。
【0103】
図5bでは、そのうえ、腎臓形状の捩れ防止保護要素66が見える。それらは、隆起部58間に構成され、また、案内スリーブ50が捩れるのを防止する。捩れ防止保護要素66は、邪魔板80に形成される。特に、捩れ防止保護要素66および邪魔板80は、1つの部片で設計される。
【0104】
図6は、2つのスリーブ、即ち、案内スリーブ50および第2のスリーブ90、を有するフィルタ室70を再度含むガス発生器10の部分エリアを例証する。追加的に、この実施形態は、螺旋状のスワールベーン100を有する。螺旋状のスワールベーン100は、燃焼室開口または燃焼室出口36からもしくは燃焼室底部35から、邪魔板80まで延びる。ここではガスの流れは、スワールベーン100の表面101上を案内される。換言すると、ガスの流れは、邪魔板80の方向に螺旋状に移動する。このように、ガスの流れの粒子は、より良く分離される場合がある。
【0105】
スワールベーン100は、外見上、遠心分離機のように作用する。同時にガスは、冷却される。ガスの流れの速度は、とはいっても、ここでは強力に減速されない。こうして、粒子は、案内スリーブ50の内側面と邪魔板80との両方で分離される。フィルタ室70の更なる設計は、図1および2の実施形態に実質的に対応する。
【0106】
スワールベーン100は、十分に大きな巻き数を含むように意図され、巻きの数(巻数w)は、好ましくは、3という最小値を有する。
【0107】
一般に、点zに対する曲線の巻き数wは、曲線の経路をたどるときの点zのまわりの反時計回転の数を構成する。時計回りの回転は、負の数の巻きをもたらし、反時計回りの回転は、正の数の巻きをもたらす。フィルタ室70で好適な粒子分離を得る目的で、図6に示されるように、巻きの数量wは、したがって、少なくとも値3を有するべきである。
【0108】
図6のために説明されたようなスワールベーン100は、図1から5または8に例証されたように、ガス発生器10の実施形態においても、そこに示された案内スリーブ50の内側に位置決めされることがあり、また、その前述の効果(遠心分離器)を追加的にもたらすことがある。
【0109】
図7は、本発明に係るガス発生器10の別の実施形態を表す。燃焼室出口36は、燃焼室底部35の中央開口の形態である。フィルタ室70には、板ラビリンスフィルタシステム150が位置する。板ラビリンスフィルタシステム150は、縦軸に連続して位置決めされた少なくとも2つの板、即ち、第1の板151および第2の板152を含む。板151および152は、ガス発生器10の軸長手方向Lに対して垂直に延びる。フィルタ室70に流入するガスは、最初に第1の板151に衝突する。
【0110】
図7bは、上記第1の板151の形状をより詳細に例証する。こうして、板151は、そこから横方向に突出する円形セグメント部分165を含む円形部160を有する。円形セグメント部分165の間には、流れ通路170が形成される。円形セグメント部分165の数は、形成された流れ通路170の数に対応する。燃焼室底部35の燃焼室出口36の断面は、円形部160の直径よりも小さい。こうして、フィルタ室70に流入するガスは、最初に第1の板151の円形部160に衝突し、次いで、流れ通路170を通って第2の板152の方向に流れる。
【0111】
第2の板152は、実質的にリング形状である。上記リング形状の内径は、円形部160の直径よりも小さく、あるいは、換言すれば、第2の板152のリング表面の断面は、流れ通路170を通って案内されるガスがガス発生器10の中心縦軸Aの方向に第2の板152の環状部によって偏向されるように、軸方向にそこに突出された流れ通路170の表面をカバーする。その後に、ガスは、そこからフィルタ室開口73を通って外部に流れ得るように、室セクション77に到達する。
【0112】
図8は、その基本構造に関して、図2aのガス発生器10に匹敵するガス発生器10の一部分を例証する。以下には、フィルタ室70に関する実質的な差異だけが、詳細に説明されるであろう。
【0113】
図8においても、互いに内側に位置決めされて実質的に同心状に配置された2つのスリーブ50および90を有するフィルタ室70が示される。しかしながら、このケースでは、案内スリーブ50は、ジョイント一部片構成要素として、燃焼室底部35が形成される。同様に、第2のスリーブ90もまた、ジョイント一部片構成要素として、邪魔板80が形成される。換言すると、ここでは、中央の貫通開口、即ち、燃焼室出口36を有する実質的にディスクである燃焼室底部35は、燃焼室出口36の中空円筒軸方向延長部であると理解され得る案内スリーブ50に一体的に合流する。燃焼室底部35は、こうして、案内スリーブ50と共にいわゆる「溶融」し、このように、新しい一部片構成要素「燃焼室底部35プラス案内スリーブ50」は、形成される。ここでも、燃焼室出口36は、ガス発生器10のアイドル状態でタンピング175によって閉じられる場合がある。
【0114】
それに類似して、図8は、同様に邪魔板80が第2のスリーブ90に一体的に合流することがあることも示しており、カップ形状の新しい一部片構成要素が、形成されて、「邪魔板80プラス第2のスリーブ90」として理解されるべきである。このケースにおいても、図2aに類似して、ガス発生器10の作動時にガスの流れから粒子を堆積させるためのスラグトラップとして機能する凹部83は、邪魔板80に構成されることがある。
【0115】
「燃焼室底部35プラス案内スリーブ50」および「邪魔板80プラス第2のスリーブ90」という前述のそれぞれの一部片の設計は、図2aの設計と比較して、2つの単一構成要素の合計最大を、図8から明らかなように、節約するのに役立つ。
【0116】
勿論、同じく想像できることは、図8の上記2つの一部片の構成要素の一方だけが実現されることである。そういったケースでは、「燃焼室底部35プラス案内スリーブ50」または「邪魔板80プラス第2のスリーブ90」だけは、したがって、一部片構成要素として提供され、それぞれの他の構成要素は、図2aと同様に、それぞれ単一構成要素として構成される。
【0117】
図8では、ガスの流れの経路およびその偏向は、例として、矢印付きの線の形で等しく挿入され、図2aに示されるようなガスの流れの経路に基本的に対応する。しかしながら、以下の注目すべき差異、もしくは特別な特徴がここに生じる。
【0118】
図8から明らかなように、第2のスリーブ90の燃焼室側端部91は、燃焼室底部35または案内スリーブ50に接触せず、もしくは、上記構成要素に当接しない。むしろ、明らかであることは、第2のスリーブ90の燃焼室側端部91の明確な距離が、燃焼室底部35から軸方向に、また、案内スリーブ50から半径方向に、与えられることである。こうして、このケースでも、第2のスリーブ90の燃焼室側端部91のまわりのガスの流れは、流入方向Sに対して第1の放出室75に既に設けられているときに、第2のスリーブ90の燃焼室側端部91のエリア内の偏向流に導かれて、第2の放出室内に実質的に約180度そこで偏向されるガスの流れによって可能である。
【0119】
したがって、構造的な設計では、図8に示されたように、第2のスリーブ90の例証されたスリーブ開口93は、任意選択であることがある。換言すると、ガスの流れは、スリーブ開口93を介して更に完全に延びる必要がなく、スリーブ開口がない場合に、前述のように、第2のスリーブ90の燃焼室側端部91の周りにだけ延びることができる。
【0120】
図3から8に関して、更に注目されることは、軸方向および径方向の複数の燃焼室スクリーン穴を有する円錐または中空錐台の形態の燃焼室スクリーン60も、燃焼室30の内部に、特に、図1および2に例証された位置に、即ち、燃焼室底部35の直近に、設けることもあるということである。
【符号の説明】
【0121】
10 ガス発生器
11 出口ケーシング
15 内側面
20 点火ユニット
21 点火器
30 燃焼室
31 固体推進剤ベッド
32 点火混合物
33 燃焼室の第1のセクション
34 燃焼室の第2のセクション
35 燃焼室底部
36 燃焼室出口/開口
37 スリーブノズル
40 フィラ要素
41 ばね
42 前方側の端子要素
43 前方側の端子要素
50 案内スリーブ
51 燃焼室側端部
52 締結フランジ
53 第2の端部
54 環状部
55 案内スリーブ開口
56 軸方向の凹部
57 中央部分
58 隆起部
59 隆起部壁
60 燃焼室スクリーン
61 燃焼室スクリーン穴
65 長穴
66 捩れ防止保護要素
70 フィルタ室
71 フィルタ室外側ケーシング
72 内側面
73 フィルタ室開口
75 第1の放出室
76 第2の放出室
77 室セクション
80 邪魔板
81 底部要素
82 カップ形状の前方要素
83 凹部
84 壁
90 第2のスリーブ
91 燃焼室側端部
92 前方面
93 スリーブ開口
94 リング部
95 スリーブ壁
96 アンダカット
100 螺旋状のスワールベーン
101 スワールベーンの表面
150 板ラビリンスフィルタシステム
151 第1の板
152 第2の板
160 円形部
165 円形セグメント部
170 流れ通路
175 タンピング
180 フィルタ
L ガス発生器の軸長手方向
A ガス発生器の中心縦軸
M 中心
流入方向
T 接線ガス流れ
図1
図2a
図2b
図3
図4
図5a
図5b
図6
図7a
図7b
図8
【手続補正書】
【提出日】2022-08-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向(L)を備えた火工技術的なチューブガス発生器であるガス発生器(10)であって、点火ユニット(20)と、前記点火ユニット(20)の軸方向下流に実装された燃焼室(30)と、を含み、更に、燃焼室出口を形成する燃焼室底部(35)と、前記燃焼室(30)の軸方向下流に実装されるフィルタ室(70)と、を含み、前記燃焼室出口(36)が前記燃焼室底部(35)の少なくとも1つの開口である、ガス発生器において、
前記フィルタ室(70)には、互いの軸方向下流に位置決めされた少なくとも2つの板(151、152)を含む板ラビリンスフィルタシステム(150)が形成され、前記板(151、152)は、前記ガス発生器(10)の前記軸長手方向(L)に実質的に垂直に、燃焼室底部(35)に実質的に平行に整列され、前記板(151、152)の各々は、少なくとも1つの貫通開口を有し、2つの隣接する板(151、152)の前記貫通開口は、前記径方向に互いに対してオフセットするように配置される、
ことを特徴とする、ガス発生器(10)。
【請求項2】
請求項に記載のガス発生器(10)において、
最初は前記軸長手方向(L)にあるように配置された前記板ラビリンスフィルタシステム(150)の板(151)は、ベーン形状であり、あるいは、略円形部(160)を有し、円形セグメント部(165)がそこから横方向に突出する、
ことを特徴とする、ガス発生器(10)。
【請求項3】
請求項1または2に記載のガス発生器(10)において、
最初は前記軸長手方向(L)にあるように配置された前記板ラビリンスフィルタシステム(150)の前記または他の板(151)と、フィルタ室外側ケーシング(71)の内側面(72)との間で、前記第1の板(151)のベーンタイプ部または円形セグメント部(165)間には、前記燃焼室出口(36)に関連して径方向外方に変位される複数の流れ通路(170)が形成される、
ことを特徴とする、ガス発生器(10)。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のガス発生器(10)において、
前記燃焼室(30)には、燃焼室スクリーン(60)が配置され、燃焼室スクリーン(60)は、前記ガス発生器の前記軸長手方向(L)に関連して前記フィルタ室(70)の軸方向上流に実装され、径方向開口(61)を有するスリーブ状に形成される、
ことを特徴とする、ガス発生器(10)。
【請求項5】
ガス発生器(10)と、前記ガス発生器(10)によって膨張可能なエアバッグと、前記エアバッグモジュールを車両に取り付けるための締結ユニットと、を含むエアバッグモジュールであって、
前記ガス発生器(10)は、請求項1から4のいずれか一項に従って構成される、ことを特徴とする、エアバッグモジュール。
【請求項6】
人、例えば、車両乗員または歩行者を保護するための車両安全システムであって、ガス発生器(10)と、エアバッグモジュールの一部としてガス発生器(10)によって膨張可能なエアバッグと、トリガ状態が与えられるときに前記ガス発生器(10)を活動化されることが可能な電子制御ユニットと、を含む車両安全システムにおいて、
前記ガス発生器(10)は、請求項1から4のいずれか一項に従って構成される、ことを特徴とする、車両安全システム。
【請求項7】
求項1から4のいずれか一項に記載のガス発生器(10)で火工技術的に生産されたガスを精製するための方法であって、
・ 前記ガスを、ガスの流れの形態で、前記ガス発生器(10)の軸長手方向(L)に平行に整列される流入方向(S)に沿ってフィルタ室(70)の中に導入するステップと、
・ 前記ガスもしくは前記ガスの流れの一部分を、邪魔板(80)で実質的に反対の方向に偏向するステップと、
・ 前記ガスもしくは前記ガスの流れの一部分を、前記ガス発生器(10)の前記軸長手方向(L)に関連して、実質的に径方向または接線方向に再偏向するステップと、を含む方法。
【請求項8】
請求項に記載のガス発生器(10)で火工技術的に生産されたガスを精製するための方法において、
次の更なるステップ、即ち、
・ 前記ガスを前記フィルタ室(70)の中に導入する前に、燃焼室スクリーン(60)を用いて、前記ガスが前記燃焼室スクリーン(60)から前記流入方向(S)に去るように、前記ガスを事前フィルタ濾過するステップと、
・ 前記ガスの一部分を前記流入方向(S)におよび/またはそれとは反対向きに再偏向するステップと、
・ 前記ガスの一部分を、前記流入方向(S)および/または前記反対の方向から、径方向外方に方向付けされた方向に偏向し、フィルタ室外側ケーシング(71)の開口(73)を通して放出するステップと、
・ 前記ガスの一部分を、前記ガス発生器(10)の実質的に周方向に偏向するステップであり、流入方向(S)もしくはそれとは反対の方向へのまたは流入方向(S)もしくはそれとは反対の方向からの前記ガスの偏向と同時かまたは前記ガスの偏向の間に、前記ガスの一部分を前記周方向に偏向するステップと、のうちの少なくとも1つを特徴とする、方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0120
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0120】
図3から8に関して、更に注目されることは、軸方向および径方向の複数の燃焼室スクリーン穴を有する円錐または中空錐台の形態の燃焼室スクリーン60も、燃焼室30の内部に、特に、図1および2に例証された位置に、即ち、燃焼室底部35の直近に、設けることもあるということである。
[形態1]
ガス発生器(10)、特に、軸長手方向(L)を備えた火工技術的なチューブガス発生器であって、点火ユニット(20)と、前記点火ユニット(20)の軸方向下流に実装された燃焼室(30)と、を含み、更に、燃焼室出口を形成する燃焼室底部(35)と、前記燃焼室(30)の軸方向下流に実装されるフィルタ室(70)と、を含むガス発生器(10)において、
少なくとも1つの案内スリーブ(50)と邪魔板(80)とが、前記フィルタ室(70)に構成され、前記燃焼室の側部の前記案内スリーブ(50)の第1の端部は、前記燃焼室底部(35)の軸方向下流に実装され、前記案内スリーブ(50)の第2の端部(53)は、前記邪魔板(80)と関連付けされ、前記案内スリーブ(50)の外側に向けた環状の第1の放出室(75)の中へのガスの流れを可能にする第1の偏向セクションは、前記邪魔板(80)および前記案内スリーブ(50)に構成される、
ことを特徴とする、ガス発生器(10)。
[形態2]
形態1に記載のガス発生器(10)において、
前記邪魔板(80)は、前記案内スリーブ(50)から分離され、特に、隔置される構成要素であり、好ましくは前記ガス発生器(10)の外側ケーシング(11)の一部分を形成し、好ましくは前記邪魔板(80)には、凹部(83)、特に、止まり穴が形成され、特にフィルタ(180)は、前記邪魔板(80)および前記案内スリーブ(50)間に位置決めされ、および/または、前記燃焼室底部(35)から始めて、前記案内スリーブ(50)の少なくとも前方半分、特に、少なくとも3分の2は、径方向開口を有しない、
ことを特徴とする、ガス発生器(10)。
[形態3]
形態1または2に記載のガス発生器(10)において、
前記燃焼室出口(36)は、前記燃焼室底部(35)内部の中心開口の形態であり、および/または、前記燃焼室底部(35)の中央のまわりに分配されるように配置された複数の、特に、腎臓形状の長穴のアレイの形態である、
ことを特徴とする、ガス発生器(10)。
[形態4]
形態1から3のいずれか一項に記載のガス発生器(10)において、
前記案内スリーブ(50)に形成され、前記燃焼室出口(36)のエリアから前記邪魔板(80)の方向に延びると共に、好ましくは前記邪魔板(80)に接触する、螺旋状のスワールベーン(100)
を特徴とする、ガス発生器(10)。
[形態5]
形態1から4のいずれか一項に記載のガス発生器(10)において、
前記邪魔板(80)は、カップ形状もしくはポット形状の前方要素(82)の、および/または、前記ガス発生器ケーシング(11)の前方側端部の、および/または、前記案内スリーブ(50)の第2の端部(53)に一体化された部分の形態である、
ことを特徴とする、ガス発生器(10)。
[形態6]
形態1から5のいずれか一項に記載のガス発生器(10)において、
前記第1の偏向セクションは、特に形態1と異なり、ガスの流れが前記案内スリーブ(50)の内側エリアの中に戻るのを可能にする、
ことを特徴とする、ガス発生器(10)。
[形態7]
形態1から6のいずれか一項に記載のガス発生器(10)において、
前記案内スリーブ(50)は、断面において先端が径方向外方に方向付けされた星の形状を採り、あるいは、略円形の断面の中央部分(57)を有し、隆起部(58)が前記断面を大きくしており、特に、3つまたは4つの隆起部(58)が設けられる、
ことを特徴とする、ガス発生器(10)。
[形態8]
形態1から7のいずれか一項に記載のガス発生器(10)において、
前記フィルタ室(70)は、前記案内スリーブ(50)のまわりに実質的に同心状に配置される第2のスリーブ(90)を含み、前記第2のスリーブ(90)は、複数の径方向開口(93)を含み、および/または、前記第2のスリーブ(90)の燃焼室側端部(91)は、前記燃焼室底部(35)からおよび前記案内スリーブ(50)から隔置され、特に、前記案内スリーブ(50)は、前記燃焼室底部(35)と一体的に形成されまたはそれと接触し、ならびに/あるいは、前記第2のスリーブ(90)は、前記邪魔板(80)と一体的に形成されまたはそれと接触する、
ことを特徴とする、ガス発生器(10)。
[形態9]
形態1から8のいずれか一項に記載のガス発生器(10)において、
少なくとも1つの別の偏向セクションは、前記第2のスリーブ(90)の前記燃焼室側端部(91)と前記燃焼室底部(35)との間に、あるいは、前記第2のスリーブ(90)の径方向開口(93)としてまたはフィルタ室外側ケーシング(71)の径方向開口(73)として、形成される、
ことを特徴とする、ガス発生器(10)。
[形態10]
形態8または9に記載のガス発生器(10)において、
第2の環状放出室(76)は、前記第2のスリーブ(90)と前記または他のフィルタ室外側ケーシング(71)との間に形成され、前記フィルタ室外側ケーシング(71)に形成された前記または他の径方向開口(73)は、前記第2のスリーブ(90)の前記燃焼室側端部(91)からおよび前記第2のスリーブ(90)に構成され得る各径方向開口(93)から隔置されるように前記縦方向(L)に配置される、
ことを特徴とする、ガス発生器(10)。
[形態11]
ガス発生器(10)、特に、軸長手方向(L)を備えた火工技術的なチューブガス発生器であって、点火ユニット(20)と、前記点火ユニット(20)の軸方向下流に実装された燃焼室(30)と、を含み、更に、燃焼室出口を形成する燃焼室底部(35)と、前記燃焼室(30)の軸方向下流に実装されるフィルタ室(70)と、を含み、前記燃焼室出口(36)が前記燃焼室底部(35)の少なくとも1つの開口である、ガス発生器において、
前記フィルタ室(70)には、互いの軸方向下流に位置決めされた少なくとも2つの板(151、152)を含む板ラビリンスフィルタシステム(150)が形成され、前記板(151、152)は、前記ガス発生器(10)の前記軸長手方向(L)に実質的に垂直に、好ましくは、燃焼室底部(35)に実質的に平行に整列され、前記板(151、152)の各々は、少なくとも1つの貫通開口を有し、2つの隣接する板(151、152)の前記貫通開口は、前記径方向に互いに対してオフセットするように配置される、
ことを特徴とする、ガス発生器(10)。
[形態12]
形態11に記載のガス発生器(10)において、
最初は前記軸長手方向(L)にあるように配置された前記板ラビリンスフィルタシステム(150)の板(151)は、ベーン形状であり、あるいは、略円形部(160)を有し、円形セグメント部(165)がそこから横方向に突出する、
ことを特徴とする、ガス発生器(10)。
[形態13]
形態11または12に記載のガス発生器(10)において、
最初は前記軸長手方向(L)にあるように配置された前記板ラビリンスフィルタシステム(150)の前記または他の板(151)と、フィルタ室外側ケーシング(71)の内側面(72)との間、特に、前記第1の板(151)のベーンタイプ部または円形セグメント部(165)間には、前記燃焼室出口(36)に関連して径方向外方に変位される複数の流れ通路(170)が形成される、
ことを特徴とする、ガス発生器(10)。
[形態14]
形態11から13のいずれか一項に記載のガス発生器(10)において、
前記燃焼室(30)には、燃焼室スクリーン(60)が配置され、前記ガス発生器の前記縦方向(L)に関連して前記フィルタ室(70)の軸方向上流に実装され、前記燃焼室スクリーン(60)は、好ましくは径方向開口(61)を有するスリーブ状に形成される、
ことを特徴とする、ガス発生器(10)。
[形態15]
ガス発生器(10)と、前記ガス発生器(10)によって膨張可能なエアバッグと、前記エアバッグモジュールを車両に取り付けるための締結ユニットと、を含むエアバッグモジュールであって、
前記ガス発生器(10)は、形態1から14の少なくとも一項に従って構成される、ことを特徴とする、エアバッグモジュール。
[形態16]
人、例えば、車両乗員または歩行者を特に保護するための車両安全システムであって、ガス発生器(10)と、エアバッグモジュールの一部としてガス発生器(10)によって膨張可能なエアバッグと、トリガ状態が与えられるときに前記ガス発生器(10)を活動化されることが可能な電子制御ユニットと、を含む車両安全システムにおいて、
前記ガス発生器(10)は、形態1から14の少なくとも一項に従って構成される、ことを特徴とする、車両安全システム。
[形態17]
好ましくは、形態1から14のいずれか一項に記載のガス発生器(10)、特に、火工技術的なチューブガス発生器で火工技術的に生産されたガスを精製するための方法であって、
・ 前記ガスを、特に、ガスの流れの形態で、特に、前記ガス発生器(10)の軸長手方向(L)に平行に整列される流入方向(S)に沿ってフィルタ室(70)の中に導入するステップと、
・ 前記ガスもしくは前記ガスの流れの一部分を、邪魔板(80)で実質的に反対の方向に偏向するステップと、
・ 前記ガスもしくは前記ガスの流れの一部分を、前記ガス発生器(10)の前記軸長手方向(L)に関連して、実質的に径方向または接線方向に再偏向するステップと、を含む方法。
[形態18]
形態17に記載のガス発生器(10)で火工技術的に生産されたガスを精製するための方法において、
次の更なるステップ、即ち、
・ 前記ガスを前記フィルタ室(70)の中に導入する前に、特に、燃焼室スクリーン(60)を用いて、好ましくは、前記ガスが前記燃焼室スクリーン(60)から前記流入方向(S)に去るように、前記ガスを事前フィルタ濾過するステップと、
・ 前記ガスの一部分を前記流入方向(S)におよび/またはそれとは反対向きに再偏向するステップと、
・ 前記ガスの一部分を、前記流入方向(S)および/または前記反対の方向から、径方向外方に方向付けされた方向に偏向し、フィルタ室外側ケーシング(71)の開口(73)を通して放出するステップと、
・ 前記ガスの一部分を、前記ガス発生器(10)の実質的に周方向に変更するステップであり、流入方向(S)もしくはそれとは反対の方向へのまたは流入方向(SE)もしくはそれとは反対の方向からの前記ガスの偏向と同時かまたは前記ガスの偏向の間に、前記ガスの一部分を前記周方向に偏向するステップと、のうちの少なくとも1つを特徴とする、方法。