IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カシオ計算機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-アンテナ受信装置及び電子時計 図1
  • 特開-アンテナ受信装置及び電子時計 図2
  • 特開-アンテナ受信装置及び電子時計 図3
  • 特開-アンテナ受信装置及び電子時計 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171717
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】アンテナ受信装置及び電子時計
(51)【国際特許分類】
   G04R 60/06 20130101AFI20221104BHJP
   G04G 21/04 20130101ALI20221104BHJP
   G04G 17/08 20060101ALI20221104BHJP
   G04G 17/04 20060101ALI20221104BHJP
   H01Q 5/35 20150101ALI20221104BHJP
   H01Q 9/30 20060101ALI20221104BHJP
   H01Q 1/22 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
G04R60/06
G04G21/04
G04G17/08
G04G17/04
H01Q5/35
H01Q9/30
H01Q1/22 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138915
(22)【出願日】2022-09-01
(62)【分割の表示】P 2020092797の分割
【原出願日】2020-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松江 剛志
(72)【発明者】
【氏名】瀬尾 宗隆
(72)【発明者】
【氏名】勝田 寛志
(57)【要約】
【課題】より適切に複数のアンテナによる通信動作を並行して行うことが可能なアンテナ受信装置及び電子時計を提供する。
【解決手段】アンテナ受信装置は、第1アンテナとしてのベゼル(13)と、ベゼル(13)とは異なる周波数帯域に同調するアンテナ素子(214)と、ベゼル(13)及びアンテナ素子(214)がそれぞれ接続される受信回路を有する基板(21)と、少なくとも一部が導体である裏蓋(17)と、を備える。基板(21)は、ベゼル(13)の接地面を有し、ベゼル(13)と裏蓋(17)との間に基板(21)及びアンテナ素子(214)が位置し、アンテナ素子(214)は、基板(21)に対してベゼル(13)と反対側に位置し、裏蓋(17)の導体に電気的に接続されて接地されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1アンテナと、
前記第1アンテナとは異なる周波数帯域に同調する第2アンテナと、
前記第1アンテナ及び前記第2アンテナがそれぞれ接続される受信回路を有する基板と、
少なくとも一部が導体である裏蓋と、
を備え、
前記基板は、前記第1アンテナの接地面を有し、
前記第1アンテナと前記裏蓋との間に前記基板及び前記第2アンテナが位置し、
前記第2アンテナは、前記基板に対して前記第1アンテナと反対側に位置し、前記裏蓋の前記導体に電気的に接続されて接地されている
ことを特徴とするアンテナ受信装置。
【請求項2】
前記第2アンテナは、前記基板の前記第1アンテナと反対側の面に接続されていることを特徴とする請求項1記載のアンテナ受信装置。
【請求項3】
前記基板と前記裏蓋との間に位置する導体支持部材を備え、
前記第2アンテナは、前記導体支持部材を介して前記裏蓋の前記導体に電気的に接続されていることを特徴とする請求項1又は2記載のアンテナ受信装置。
【請求項4】
前記導体支持部材は、内部にバッテリが位置する空間を有する収容部であることを特徴とする請求項3記載のアンテナ受信装置。
【請求項5】
前記第1アンテナは、環状であり、前記基板に平行な面内に位置することを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のアンテナ受信装置。
【請求項6】
前記第2アンテナは、モノポールアンテナであることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のアンテナ受信装置。
【請求項7】
前記第1アンテナは、測位衛星からの電波を受信し、前記第2アンテナは、外部機器との近距離での無線電波通信に係る電波を受信することを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載のアンテナ受信装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のアンテナ受信装置と、
現在時刻を計数する計時部と、
前記第1アンテナ又は前記第2アンテナの少なくともいずれかにより受信された電波に基づいて、前記計時部が計数する現在時刻を修正する制御部と、
を備えることを特徴とする電子時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、アンテナ受信装置及び電子時計に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信を行う電子機器、特に小型の携帯型電子機器では、多くの場合、筐体内部にアンテナが配置されている。複数の波長の電波を受信する場合には、各々の波長に応じた複数のアンテナが配置される場合がある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-124641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、GHz帯域などの無線電波の送受信を行う場合に筐体内部に収容されて多く用いられるモノポールアンテナや、パッチ型のアンテナなどでは、アンテナは、接地面が必要とされる。アンテナ受信装置における筐体接地面が当該アンテナ受信装置の広い範囲を含む状況では、複数のアンテナ動作を併存させようとすると、一方のアンテナの動作に応じて接地面上に生じる電場パターンが他方のアンテナによる電波受信に悪影響を与える場合があるという課題がある。
【0005】
この発明の目的は、より適切に複数のアンテナによる受信動作を並行して行うことが可能なアンテナ受信装置及び電子時計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、
第1アンテナと、
前記第1アンテナとは異なる周波数帯域に同調する第2アンテナと、
前記第1アンテナ及び前記第2アンテナがそれぞれ接続される通信回路を有する基板と、
少なくとも一部が導体である裏蓋と、
を備え、
前記基板は、前記第1アンテナの接地面を有し、
前記第1アンテナと前記裏蓋との間に前記基板及び前記第2アンテナが位置し、
前記第2アンテナは、前記基板に対して前記第1アンテナと反対側に位置し、前記裏蓋の前記導体に電気的に接続されて接地されている
ことを特徴とするアンテナ受信装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明に従うと、より適切に複数のアンテナによる受信動作を並行して行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】電子時計の外観を示す平面図である。
図2】アンテナの位置関係を説明する図である。
図3】電子時計の断面の一部を示す図である。
図4】アンテナ素子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態のアンテナ受信装置を含む電子時計1の外観を示す平面図である。
【0010】
電子時計1の上面は、中央に表示部11を有し、その周囲にベゼル13が位置している。また、電子時計1は、ベゼル13の一部を被覆する外装部材14と、本体にベルトを接続するための接続部16などを備える。電子時計1の側面には、押しボタンスイッチB1~B4とりゅうずC1とが設けられている。外装部材14は、ねじ15により筐体12(図2参照)に固定される。これに伴い、外装部材14と筐体12との間でベゼル13も固定されている。
【0011】
外装部材14は、その凹凸により押しボタンスイッチB1~B4及びりゅうずC1を含む電子時計1の本体を保護する他、デザイン装飾としての機能も有する。外装部材14の材質は、例えば、樹脂などであってもよい。
【0012】
ベゼル13は、環状の構造を有する導体部材(通常では金属部材)である。ベゼル13は、電子時計1において第1アンテナとして動作する。ここでは、第1アンテナは、測位衛星(主にGPS(Global Positioning Satellite System)に係る衛星)からの電波(右旋円偏波)を受信する。
【0013】
押しボタンスイッチB1~B4及びりゅうずC1は、筐体12の側面を貫通して外側に突出しており、押しボタンスイッチB1~B4の押下操作、並びにりゅうずC1の引き出し操作及び回転操作が受け付け可能となっている。
【0014】
表示部11は、デジタル表示ディスプレイを有し、デジタル表示を行う。
【0015】
図2は、アンテナの位置関係を説明する図である。この図は、図1と同様に上方から平面視したものである。
筐体12は、内部に基板21などの動作モジュール及びバッテリ30(図3参照)を内包して保護する筒状、特には限られないが、例えば円筒状の構造を有する。筐体12の側面に上述の接続部16の各貫通孔が設けられている。
【0016】
筐体12の1時方向及び11時方向付近には、2つの貫通孔121が位置している。これらの貫通孔121には、それぞれ接続ピン241、242が挿入されている。接続ピン241、242は、アンテナとしてのベゼル13と基板21上とを各々電気的に接続する。接続ピン241、242は、筐体12や他の部分と接合(固着)されている必要はない。接続ピン241は、ベゼル13と接触する一端が給電点となり、他端から信号線を経由して接続される受信回路(ここでいう受信回路には、受信のみを行う回路、及び送受信両方を行う回路のいずれも含んでよい)に受信信号を送る。接続ピン242は、基板21上の接地面につながる。
【0017】
なお、筐体12は、貫通孔121よりも外縁側にOリングの挿入溝122を有し、Oリングが挿入された状態でベゼル13や外装部材14と接触固定されることで、防水構造とされる。
【0018】
基板21の裏側、すなわち、基板21に対してベゼル13と反対側の4時方向付近には、アンテナ素子214(第2アンテナ)が位置している。アンテナ素子214は、外部機器との近距離での無線電波通信、ここでは、ブルートゥース(登録商標)による通信(電波送受信)を行うアンテナであり、すなわち、ベゼル13とは同調する周波数帯域が異なる。ここでは、アンテナ素子214は、モノポールアンテナであるが、直線状に限られず、折れ曲がり形状(ミアンダ)を有していてもよい。アンテナ素子214は、基板21上で当該アンテナ素子214の近傍に位置する通信回路213(図3参照)に電気的に接続される。また、アンテナ素子214は、後述のように、基板21上の接地端子から裏蓋17(図3参照)に電気的に接続されて接地される。
【0019】
図3は、電子時計1の接続ピン242を含む断面の一部(a)と、アンテナ素子214を含む断面の一部(b)とをそれぞれ示す図である。すなわち、図3(a)の断面は、図2における断面線AAに示された部分であり、図3(b)の断面は、図2における断面線BBに示された部分である。また、図4は、アンテナ素子214を示す図である。
【0020】
基板21に対し、上側には、表示画面111と、表示画面を覆う光透過性(通常は透明)の保護層112(コンタクトガラス)が位置し、筐体12の上端面を覆っている。基板21の下側には、フレーム22(導体支持部材、収容部)と、当該フレーム22に固定又は支持されているバッテリ30が位置する。筐体12の下端面は、裏蓋17により覆われている。裏蓋17は、ここでは全てが導体部材であるが、接地面として適切な一部範囲が導体であれば、残りの部分が絶縁体であってもよい。
【0021】
基板21上の一部の回路、例えば、電波の送受信に係る通信回路や、制御部として動作し、日時の計数、表示及び修正などの各種制御動作を行うCPUなどは、シールドケース211などにより覆われている。シールドケース211は、内部の素子などを電磁波や静電気から保護するためのものであり、例えば、導体の箱型構造である。その他の基板21上の構成、例えば、発振回路、現在日時(現在時刻)を計数する計時部や不揮発性メモリなどは、シールドケース211などの外側に位置していてもよい。
【0022】
図3(a)に示すように、測位衛星からの電波を受信して処理する衛星電波受信モジュール212は、基板上面側で接続ピン241、242付近のシールドケース211内に位置している。衛星電波受信モジュール212は、受信した電波を復調して信号を解読し、現在日時や現在位置を特定する処理を行う。
【0023】
表示画面111は、例えば、液晶表示画面であるが、これに限られるものではなく、また、液晶の種別などを問わない。表示画面111には、基板21上の制御部からの制御信号に基づいて各種表示がなされる。
【0024】
接続ピン242は、基板21上の接地端子210に電気的に接続されて、基板21上に広がる接地面Gにつながっている(ここでは、接地面Gは、接地端子210との接続部分付近のみ表示)。なお、基板21が積層基板などの場合には、露出されない中間層に接地面が広がっていてもよい。また、ここでは、説明のために接地端子210及び接地面Gを明示しているが、接地端子210及び接地面Gの実際の厚さは、基板21の厚さに比して十分に薄くてよい。
【0025】
筐体12の貫通孔121に挿入された接続ピン24は、延在方向に伸縮可能にばね構造などを有していてよい。電子時計1が組み立てられ、封止された状態では、接続ピン24は、ばねが縮んだ状態で両端がそれぞれ基板21及びベゼル13に接する。これにより、電子時計1に多少の衝撃などがかかった場合でも、ばねの張力により両側への接触が維持される。また、貫通孔121は、幅が二段階になっており、接続ピン24は、これらと嵌り合う頭部形状を有することで、左右方向についての位置ずれを防ぐことができる。
【0026】
このように、2か所で接続ピン24に接続しているベゼル13は、接続されている基板21上の接地面Gと平行な面内に位置し、対になってマイクロストリップアンテナのように動作する。
【0027】
図3(b)に示すように、基板21の下面にもシールドケース211が設けられており、このシールドケース211内には、ブルートゥースに係る通信回路213が位置している。
【0028】
フレーム22は、少なくとも一部が導体部材であり、バッテリ30をその内部空間に収容して保持し、保護するとともに、基板21の接地面Gと裏蓋17(その導体部分)とに接触して接地面の範囲を裏蓋17まで拡張している。フレーム22は、バッテリ30の側面全体を覆っている必要はないが、上下方向に延びる各部分は板状又は柱状の構造を有し、基板21上の配線などに比して十分に大きな導体表面積を有する。また、フレーム22と裏蓋17との間は、導体部材(金属など)の板ばね25などを介して電気的により安定かつ低抵抗(低インピーダンス)で接続されていてもよい。
【0029】
バッテリ30は、基板21の電力供給端子に接続されて、基板21の各回路などに電力を供給する。バッテリ30は、着脱交換可能であってもよいし、フレーム22に固定されたものであってもよい。後者の場合には、バッテリ30は、図示略のソーラパネルにより発電された電力に応じて、又は外部接続端子と接続されて外部から供給される電力に応じて充電可能であってよい。
【0030】
図3(b)及び図4に示すように、フレーム22の側面には、アンテナ素子214が取り付けられている。アンテナ素子214は、上述のように、ブルートゥースによる通信を行う際に通信電波を送受信するためのアンテナ(ここではS字状に折り曲げたモノポールアンテナ)であり、ベゼル13とは同調周波数(受信周波数)が異なる。アンテナ素子214は、配線2141を介して受信信号を基板21上の通信回路213に送り、通信回路213から取得された送信内容に係る信号を送信する。
【0031】
また、アンテナ素子214は、配線2142を介して基板21の裏面にある接地端子215に接続される。接地端子215を含む図示略の接地面は、その近傍(モノポールアンテナのアンテナ長に比して十分に短い、例えば、1/4波長の1/2以下又は1/4以下などの距離範囲内)でフレーム22の導体部分に接している。上述のように、フレーム22は、板ばね25を介して裏蓋17に電気的に接続している。なお、ベゼル13(接地端子210)が接続する接地面Gと、アンテナ素子214(接地端子215)が接続する接地面とは、つながっていてもよいし、互いに分離していてもよい。
【0032】
このように、ベゼル13と裏蓋17との間の筐体12内部の空間にアンテナ素子214と基板21とが位置している。このような構成では、モノポールアンテナであるアンテナ素子214の接地面に投影される電場成分が主にフレーム22から裏蓋17にかけて広がるので、基板21上の接地面Gの電位を接地電位から大きく乱さない。これにより、ベゼル13による基板21上の接地面Gが適切に機能し、測位衛星からの電波を良好な感度で受信することが可能になる。
【0033】
上記各構成のうち、ベゼル13、アンテナ素子214、衛星電波受信モジュール212と通信回路と接地面Gとを含む基板21、及び裏蓋17が本実施形態のアンテナ受信装置を構成する。
【0034】
以上のように、本実施形態のアンテナ受信装置は、第1アンテナとしてのベゼル13と、ベゼル13と異なる周波数帯域に同調するアンテナ素子214と、ベゼル13及びアンテナ素子214がそれぞれ接続される受信回路(衛星電波受信モジュール212及び通信回路213)を有する基板21と、少なくとも一部が導体である裏蓋17と、を備える。基板21は、ベゼル13の接地面Gを有する。ベゼル13と裏蓋17との間に基板21及びアンテナ素子214が位置する。アンテナ素子214は、基板21に対してベゼル13と反対側に位置し、裏蓋17の導体部分に電気的に接続されて接地されている。
このように、複数のアンテナの各動作に応じた接地面を別個に分離することで、一方の動作時に生じる接地面上の電場パターンが他方の動作に悪影響を及ぼすのを低減することができる。また、アンテナと接地面の組をそれぞれ表面側と裏面側に分けることで、それぞれの電波受信精度を低下させない。よって、このアンテナ受信装置では、より適切に複数のアンテナによる通信動作を並行して行うことが可能となる。
【0035】
特に、アンテナ素子214の裏蓋17への接地を基板21の接地面を介して行うことで、製造上の難易度を低減させることができる。携帯型のアンテナ受信装置では、持ち運び時に大きな衝撃がかかる場合がしばしば想定されるが、衝撃に備えてアンテナ素子214を裏蓋17に対して直接強固に接続させることは、製造工程や構造上の制約から難しい。これに対し、アンテナ装置内でサイズの大きい基板21の接地面と裏蓋17とを接続するのは比較的容易であり、また、アンテナ受信装置に大きな衝撃がかかった場合でも基板21と裏蓋21との接触が完全に外れる事態を生じにくくしやすい。したがって、基板21の接地面を介して裏蓋17に接地するアンテナ受信装置は、容易に製造可能であり、かつ安定して複数周波数の電波受信を並行して行うことができる。
【0036】
また、アンテナ素子214は、基板21のベゼル13と反対側の面に接続されている。すなわち、基板21の裏側に位置するアンテナ素子214を基板21の裏面に直接接続することで、配線を容易かつ短くし、途中の寄生抵抗や寄生容量などの影響を低減することができる。
【0037】
また、アンテナ受信装置(電子時計1)は、基板21と裏蓋17との間に位置するフレーム22を備える。アンテナ素子214は、フレーム22を介して裏蓋17の導体部分に電気的に接続されている。フレーム22のような支持部材は配線よりも幅や太さがあるので、フレーム22自体も接地面とすることができる。よって、特にアンテナ素子214の近くで接地面積を増大させ、より適切にアンテナ素子214の接地面となる部分をベゼル13の接地面Gとなる部分と分離して適切な受信を行うことができる。
【0038】
また、フレーム22は、内部にバッテリ30が位置する空間を有する収容部である。特に電子時計などの小型の携帯機器では、バッテリ30が占める容積も大きく、これに応じてフレーム22も大きいので、従来構成を有効に活用して接地面積を拡大することができる。また、裏蓋17にも低抵抗でつなぎやすく、アンテナ素子214による受信感度を低下させにくい。
【0039】
また、ベゼル13は環状であり、基板21に平行な面内に位置する。この配置により、中央の表示部、特に、腕時計などの円形の表示部を有する場合に、これを阻害せずに適切に無線通信を行うことができる。
【0040】
また、アンテナ素子214は、モノポールアンテナである。モノポールアンテナでは、1/4波長分が鏡像として接地面上に現れるので、特に限られた面積の接地面の影響が大きい。この場合に、当該接地面を基板21から裏蓋17などに分離することで、ベゼル13による電波受信への影響を低減させることができる。
【0041】
また、ベゼル13は、測位衛星からの電波を受信し、アンテナ素子214は、外部機器とのブルートゥースによる無線電波通信に係る電波を受信する。これら、近年の携帯型電子機器で多く用いられる2波長の電波をそれぞれより適切に同時受信可能とすることで、携帯型電子機器の利便性を向上させることができる。
【0042】
また、本実施形態の電子時計1は、上記のアンテナ受信装置と、現在時刻を計数する計時部と、ベゼル13又はアンテナ素子214の少なくともいずれかにより受信された電波に基づいて、計時部が計数する現在時刻を修正する制御部と、を備える。このような電子時計1によれば、腕時計などでもサイズなどを増大させずとも、2種類の波長の電波を並行して送受信し、電子時計1の機能を向上させることができる。
【0043】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、上記実施の形態では、電子時計1の構造に合わせて第1アンテナとしてのベゼル13が環状であるものとして説明したが、これに限られない。配置上の問題がなければ、平面アンテナなど、他の形状のアンテナであってもよい。あるいは、アンテナ素子214がモノポールアンテナであるものとして説明したが、アンテナ素子214が裏蓋と対になって電波を受信するパッチアンテナなどであってもよい。電子時計であっても、第1アンテナがベゼルである必要はない。
【0044】
また、上記実施の形態では、基板21の上面側のベゼル13が測位衛星からの電波を受信し、基板21の外面側のアンテナ素子214がブルートゥースによる通信を行うアンテナであるものとして説明したが、この組み合わせに限られない。各位置に適切な形状及び位置関係でアンテナを配置可能である限り、他の電波の送受信を行ってもよい。例えば、アンテナ素子214が無線LANに係る通信電波を送受信してもよい。
【0045】
また、アンテナ素子214に接続される通信回路213は、必ずしも基板21の外面側に位置していなくてもよい。この場合の配線2141は、基板21を貫通する貫通ビアやスルーホールなどを含んでいてもよい。
【0046】
また、上記実施の形態におけるフレーム22は、バッテリ30を収容するためのものでなくてもよい。基板21を支持するためのものであってもよいし、他の構成、例えば、指針などの可動部を駆動させるための構成などを内部に収容してもよい。また、バッテリ30には、蓄電部分だけではなく、太陽光発電や振動に基づく発電で電力を得るための各種構成などが含まれていてもよい。
【0047】
また、上記実施の形態では、腕装着型の電子時計1(腕時計)がアンテナ受信装置を有するものとして説明したが、腕時計以外の電子機器に用いられてもよい。例えば、活動量計や各種計測機器(センサ)などであってもよい。これらの電子機器が計時機能を有していてもよい。また、電子時計1が計時機能以外の種々の機能を有していてもよい。
その他、上記実施の形態で示した具体的な構成、形状、構造、位置関係、処理動作の内容及び手順などは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
【0049】
[付記]
<請求項1>
第1アンテナと、
前記第1アンテナとは異なる周波数帯域に同調する第2アンテナと、
前記第1アンテナ及び前記第2アンテナがそれぞれ接続される通信回路を有する基板と、
少なくとも一部が導体である裏蓋と、
を備え、
前記基板は、前記第1アンテナの接地面を有し、
前記第1アンテナと前記裏蓋との間に前記基板及び前記第2アンテナが位置し、
前記第2アンテナは、前記基板に対して前記第1アンテナと反対側に位置し、前記裏蓋の前記導体に電気的に接続されて接地されている
ことを特徴とするアンテナ受信装置。
<請求項2>
前記第2アンテナは、前記基板の前記第1アンテナと反対側の面に接続されていることを特徴とする請求項1記載のアンテナ受信装置。
<請求項3>
前記基板と前記裏蓋との間に位置する導体支持部材を備え、
前記第2アンテナは、前記導体支持部材を介して前記裏蓋の前記導体に電気的に接続されていることを特徴とする請求項1又は2記載のアンテナ受信装置。
<請求項4>
前記導体支持部材は、内部にバッテリが位置する空間を有する収容部であることを特徴とする請求項3記載のアンテナ受信装置。
<請求項5>
前記第1アンテナは、環状であり、前記基板に平行な面内に位置することを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のアンテナ受信装置。
<請求項6>
前記第2アンテナは、モノポールアンテナであることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のアンテナ受信装置。
<請求項7>
前記第1アンテナは、測位衛星からの電波を受信し、前記第2アンテナは、外部機器との近距離での無線電波通信に係る電波を受信することを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載のアンテナ受信装置。
<請求項8>
請求項1~7のいずれか一項に記載のアンテナ受信装置と、
現在時刻を計数する計時部と、
前記第1アンテナ又は前記第2アンテナの少なくともいずれかにより受信された電波に基づいて、前記計時部が計数する現在時刻を修正する制御部と、
を備えることを特徴とする電子時計。
【符号の説明】
【0050】
1 電子時計
11 表示部
111 表示画面
112 保護層
12 筐体
121 貫通孔
122 挿入溝
13 ベゼル
14 外装部材
15 ねじ
16 接続部
17 裏蓋
21 基板
210 接地端子
211 シールドケース
212 衛星電波受信モジュール
213 通信回路
214 アンテナ素子
2141、2142 配線
215 接地端子
22 フレーム
24、241、242 接続ピン
30 バッテリ
G 接地面
図1
図2
図3
図4