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  • 特開-電気光学ディスプレイの適用 図1
  • 特開-電気光学ディスプレイの適用 図2
  • 特開-電気光学ディスプレイの適用 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171752
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】電気光学ディスプレイの適用
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/167 20190101AFI20221104BHJP
   G02F 1/16757 20190101ALI20221104BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20221104BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20221104BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
G02F1/167
G02F1/16757
G02F1/13 505
G09F9/30 380
G09F9/30 349A
G09F9/00 362
G09F9/00 302
G09F9/00 351
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022141181
(22)【出願日】2022-09-06
(62)【分割の表示】P 2020533191の分割
【原出願日】2018-12-19
(31)【優先権主張番号】62/607,377
(32)【優先日】2017-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500080214
【氏名又は名称】イー インク コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ジェイ ウィリアム アンセス
(72)【発明者】
【氏名】リチャード ジェイ. パオリニ ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン ジェイ. テルファー
(72)【発明者】
【氏名】イェレナ カン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス エス. ブレイン
(72)【発明者】
【氏名】ニシット ムラリ
(57)【要約】
【課題】好適な電気光学ディスプレイの用途を提供すること。
【解決手段】画像が、以下の順序において、背面電極層(112)と、光透過性正面電極層(104)と、正面(104)と背面(112)電極層との間に配置された光伝導性層(110)と、正面(104)と背面(112)電極層との間に配置された電気光学層(106)とを表面に適用することによって、建築表面(200)上に形成される。電位差が、正面(104)と背面(112)電極層との間に印加され、正面電極層(104)は、光伝導性層(110)の伝導性の変化を生じさせ、それによって、電気光学層(106)の光学状態の画像毎変化を生じさせる放射に、画像毎にさらされる。建築表面(302、400)への適用のためのフィルム(300、406、408)も、提供される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、米国出願公開第2016/0259225号および第2016/0232835号、および、米国特許第6,445,489号、第6,704,133号、第6,753,999号、および第6,825,829号にも関連する。
【0002】
本発明は、電気光学ディスプレイの用途に関する。より具体的に、本発明は、電気光学ディスプレイ、特に、排他的ではないが、建築、家具類、および類似用途における粒子ベースの電気泳動ディスプレイの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
用語「電気光学」は、材料またはディスプレイに適用されるように、画像化技術分野におけるその従来的な意味で使用され、少なくとも1つの光学特性において異なる第1および第2の表示状態を有する材料を指すために本明細書で使用され、材料は、材料への電場の印加によって、その第1からその第2の表示状態に変化させられる。光学特性は、典型的に、ヒトの眼に知覚可能な色であるが、光学透過率、反射率、ルミネッセンス、または機械読み取りのために意図されるディスプレイの場合、可視範囲外の電磁波長の反射の変化の意味における擬似色等の別の光学特性であり得る。
【0004】
用語「グレー状態」は、画像化技術分野におけるその従来的な意味で使用され、2つの極端なピクセルの光学的状態の中間の状態を指し、必ずしもこれらの2つの極端な状態の間の黒/白遷移を意味するわけではない。例えば、下で参照されるいくつかの電気泳動インクに関する特許および公開された出願は、極端な状態が白および濃青であり、それによって、中間の「グレー状態」が実際には薄青であろう電気泳動ディスプレイを説明している。実際、すでに述べたように、光学的状態の変化は、色の変化では全くないこともある。用語「黒」および「白」は、ディスプレイの2つの極端な光学的状態を指すように以下で使用されることもあり、例えば、前述の白および濃青状態等の厳密には黒および白ではない極端な光学的状態を通常含むものとして理解されるべきである。用語「単色」は、以降、介在グレー状態を伴わず、ピクセルをそれらの2つの極端な光学状態のみに駆動する駆動スキームを指すために以降で使用され得る。
【0005】
いくつかの電気光学材料は、材料が固体外部表面を有するという意味において固体であるが、材料は、多くの場合、内部液体または気体充填空間を有し得る。固体電気光学材料を使用するそのようなディスプレイは、以降、便宜上、「固体電気光学ディスプレイ」と称され得る。したがって、用語「固体電気光学ディスプレイ」は、回転二色部材ディスプレイ、カプセル化された電気泳動ディスプレイ、マイクロセル電気泳動ディスプレイ、およびカプセル化された液晶ディスプレイを含む。
【0006】
用語「双安定」および「双安定性」は、当技術分野におけるそれらの従来の意味で、少なくとも1つの光学特性において異なる第1および第2の表示状態を有する表示要素を備えているディスプレイであり、第1または第2の表示状態のうちのいずれか一方を示すために、有限持続時間のアドレスパルスを用いて、所与の要素が駆動されてから、アドレスパルスが終了した後、その状態が、表示要素の状態を変化させるために必要とされるアドレスパルスの最小持続時間の少なくとも数倍(例えば、少なくとも4倍)続くようなディスプレイを指すために、本明細書で使用される。米国特許第7,170,670号において、グレースケール対応のいくつかの粒子ベースの電気泳動ディスプレイが、その極端な黒および白状態においてだけではなく、その中間グレー状態においても、安定しており、同じことは、いくつかの他のタイプの電気光学ディスプレイにも当てはまることが示されている。このタイプのディスプレイは、厳密に、双安定性ではなく、「多安定性」と呼ばれるが、便宜上、用語「双安定性」が、本明細書において、双安定性および多安定性ディスプレイの両方を対象とするために使用され得る。
【0007】
いくつかのタイプの電気光学ディスプレイが、公知である。これらとして、例えば、米国特許第5,808,783号(特許文献1)、第5,777,782号、第5,760,761号、第6,054,071号、6,055,091号、第6,097,531号、第6,128,124号、第6,137,467号、および第6,147,791号に説明されるような回転二色部材ディスプレイが挙げられる(このタイプのディスプレイは、多くの場合、「回転二色ボール」ディスプレイと称されるが、前述の特許のうちのいくつかにおいて、回転部材が球状ではないので、用語「回転二色部材」の方がより正確なものとして好ましい)。別のタイプの電気光学ディスプレイは、エレクトロクロミック媒体、例えば、少なくとも部分的に半導体金属酸化物から形成される電極と、電極に付着して色の変化を反転可能な複数の染色分子とを備えているナノクロミックフィルムの形態におけるエレクトロクロミック媒体を使用する。例えば、O’Regan,B.,et al,Nature 1991,353,737,およびWood,D.,Information Display,18(3),24(2002年3月)を参照されたい。また、Bach,U.,et al,Adv. Mater.,2002,14(11),845も参照されたい。このタイプのナノクロミックフィルムは、例えば、米国特許第6,301,038号、第6,870,657号、および第6,950,220号にも説明されている。このタイプの媒体も、典型的に、双安定性である。別のタイプの電気光学ディスプレイは、Philipsによって開発され、Hayes,R.A.,et al,「Video-Speed Electronic Paper Based on Electrowetting」,Nature,425,383-385(2003)に説明されているエレクトロウェッティングディスプレイである。米国特許第7,420,549号に、そのようなエレクトロウェッティングディスプレイが双安定にされ得ることが示されている。
【0008】
長年にわたり研究および開発の関心の対象である、あるタイプの電気光学ディスプレイは、粒子ベースの電気泳動ディスプレイであり、複数の帯電粒子が、電場の影響下で流体を通って移動する。電気泳動ディスプレイは、液晶ディスプレイと比較したとき、良好な輝度およびコントラスト、広視野角、状態双安定、ならびに低電力消費の属性を有することができる。それにもかかわらず、これらのディスプレイの長期の画像品質に伴う問題は、その広範な利用を妨げている。例えば、電気泳動ディスプレイを構成する粒子は、沈降する傾向があり、これらのディスプレイの不十分な使用可能寿命をもたらす。
【0009】
上述のように、電気泳動媒体は、流体の存在を必要とする。殆どの従来技術の電気泳動媒体において、この流体は、液体であるが、電気泳動媒体は、ガス状流体を使用して生成され得る(例えば、Kitamura,T.,et al. Electrical toner movement for electronic paper-like display,IDW Japan,2001,Paper HCS1-1、およびYamaguchi,Y.,et al.,Toner display using insulative particles charged triboelectricaily,IDW Japan,2001,Paper AMD4-4を参照)。同様に、米国特許第7,321,459号(特許文献2)および第7,236,291号も参照されたい。そのようなガスベース電気泳動媒体は、例えば、媒体が垂直プレーンに配置される看板等、媒体がそのような沈降を可能にする向きで使用されるとき、粒子沈降のために液体ベース電気泳動媒体と同じ種類の問題の影響を受けやすいと考えられる。実際、粒子沈降は、電気泳動粒子のより高速の沈降を可能にする流体の粘度と比較して、ガス状懸濁流体のより低い粘度により、液体ベース電気泳動媒体よりガスベース電気泳動媒体において深刻な問題であると考えられる。
【0010】
Massachusetts Institute of Technology(MIT)、E Ink Corporation、E Ink California,LLC、および関連会社に譲渡された、またはそれらの名義の多数の特許および出願は、マイクロセル電気泳動および他の電気光学媒体に使用される種々の技術を説明している。カプセル化された電気泳動媒体は、多数の小型カプセルを含み、それらの各々は、それ自体、電気泳動により移動可能な粒子を流体媒体中に含む内相と、内相を包囲するカプセル壁とを含む。典型的に、カプセルは、それら自体がポリマー接着剤内に保持され、2つの電極間に位置付けられる密着した層を形成する。マイクロセル電気泳動ディスプレイにおいて、帯電粒子および流体は、マイクロカプセル内にカプセル化されないが、代わりに、担体媒体、典型的に、高分子フィルム内に形成された複数の空洞内に保持される。これらの特許および出願に説明される技術として、以下が挙げられる。
(a)電気泳動粒子、流体、および流体添加物(例えば、米国特許第7,002,728号および第7,679,814号参照)
(b)カプセル、結合剤、およびカプセル化プロセス(例えば、米国特許第6,922,276号および第7,411,719号参照)
(c)マイクロセル構造、壁材料、およびマイクロセルを形成する方法(例えば、米国特許第7,072,095号および第9,279,906号参照)
(d)マイクロセルを充填およびシールする方法(例えば、米国特許第7,144,942号および第7,715,088号参照)
(e)電気光学材料を含むフィルムおよびサブアセンブリ(例えば、米国特許第6,825,829号、第6,982,178号、第7,112,114号、第7,158,282号、第7,236,292号、第7,443,571号、第7,513,813号、第7,561,324号、第7,636,191号、第7,649,666号、第7,728,811号、第7,729,039号、第7,791,782号、第7,839,564号、第7,843,621号、第7,843,624号、第8,034,209号、第8,068,272号、第8,077,381号、第8,177,942号、第8,390,301号、第8,482,835号、第8,786,929号、第8,830,553号、第8,854,721号、第9,075,280号、および第9,238,340、ならびに米国特許出願公開第2007/0237962号、第2009/0109519号、第2009/0168067号、第2011/0164301号、第2014/0115884号、および第2014/0340738号参照)
(f)バックプレーン、接着剤層、および他の補助層、ならびにディスプレイに使用される方法(例えば、米国特許第7,116,318号および第7,535,624号参照)
(g)色形成および色調節(例えば、米国特許第6,017,584号、第6,545,797号、第6,664,944号、第6,788,452号、第6,864,875号、第6,914,714号、第6,972,893号、第7,038,656号、第7,038,670号、第7,046,228号、第7,052,571号、第7,075,502号、第7,167,155号、第7,385,751号、第7,492,505号、第7,667,684号、第7,684,108号、第7,791,789号、第7,800,813号、第7,821,702号、第7,839,564号、第7,910,175号、第7,952,790号、第7,956,841号、第7,982,941号、第8,040,594号、第8,054,526号、第8,098,418号、第8,159,636号、第8,213,076号、第8,363,299号、第8,422,116号、第8,441,714号、第8,441,716号、第8,466,852号、第8,503,063号、第8,576,470号、第8,576,475号、第8,593,721号、第8,605,354号、第8,649,084号、第8,670,174号、第8,704,756号、第8,717,664号、第8,786,935号、第8,797,634号、第8,810,899号、第8,830,559号、第8,873,129号、第8,902,153号、第8,902,491号、第8,917,439号、第8,964,282号、第9,013,783号、第9,116,412号、第9,146,439号、第9,164,207号、第9,170,467号、第9,170,468号、第9,182,646号、第9,195,111号、第9,199,441号、第9,268,191号、第9,285,649号、第9,293,511号、第9,341,916号、第9,360,733号、第9,361,836号、第9,383,623号、および第9,423,666号、ならびに米国特許出願公開第2008/0043318号、第2008/0048970号、第2009/0225398号、第2010/0156780号、第2011/0043543号、第2012/0326957号、第2013/0242378号、第2013/0278995号、第2014/0055840号、第2014/0078576号、第2014/0340430号、第2014/0340736号、第2014/0362213号、第2015/0103394号、第2015/0118390号、第2015/0124345号、第2015/0198858号、第2015/0234250号、第2015/0268531号、第2015/0301246号、第2016/0011484号、第2016/0026062号、第2016/0048054号、第2016/0116816号、第2016/0116818号、および第2016/0140909号参照)
(h)ディスプレイを駆動する方法(例えば、米国特許第5,930,026号、第6,445,489号、第6,504,524号、第6,512,354号、第6,531,997号、第6,753,999号、第6,825,970号、第6,900,851号、第6,995,550号、第7,012,600号、第7,023,420号、第7,034,783号、第7,061,166号、第7,061,662号、第7,116,466号、第7,119,772号、第7,177,066号、第7,193,625号、第7,202,847号、第7,242,514号、第7,259,744号、第7,304,787号、第7,312,794号、第7,327,511号、第7,408,699号、第7,453,445号、第7,492,339号、第7,528,822号、第7,545,358号、第7,583,251号、第7,602,374号、第7,612,760号、第7,679,599号、第7,679,813号、第7,683,606号、第7,688,297号、第7,729,039号、第7,733,311号、第7,733,335号、第7,787,169号、第7,859,742号、第7,952,557号、第7,956,841号、第7,982,479号、第7,999,787号、第8,077,141号、第8,125,501号、第8,139,050号、第8,174,490号、第8,243,013号、第8,274,472号、第8,289,250号、第8,300,006号、第8,305,341号、第8,314,784号、第8,373,649号、第8,384,658号、第8,456,414号、第8,462,102号、第8,514,168号、第8,537,105号、第8,558,783号、第8,558,785号、第8,558,786号、第8,558,855号、第8,576,164号、第8,576,259号、第8,593,396号、第8,605,032号、第8,643,595号、第8,665,206号、第8,681,191号、第8,730,153号、第8,810,525号、第8,928,562号、第8,928,641号、第8,976,444号、第9,013,394号、第9,019,197号、第9,019,198号、第9,019,318号、第9,082,352号、第9,171,508号、第9,218,773号、第9,224,338号、第9,224,342号、第9,224,344号、第9,230,492号、第9,251,736号、第9,262,973号、第9,269,311号、第9,299,294号、第9,373,289号、第9,390,066号、第9,390,661号、および第9,412,314号、ならびに米国特許出願公開第2003/0102858号、第2004/0246562号、第2005/0253777号、第2007/0091418号、第2007/0103427号、第2007/0176912号、第2008/0024429号、第2008/0024482号、第2008/0136774号、第2008/0291129号、第2008/0303780号、第2009/0174651号、第2009/0195568号、第2009/0322721号、第2010/0194733号、第2010/0194789号、第2010/0220121号、第2010/0265561号、第2010/0283804号、第2011/0063314号、第2011/0175875号、第2011/0193840号、第2011/0193841号、第2011/0199671号、第2011/0221740号、第2012/0001957号、第2012/0098740号、第2013/0063333号、第2013/0194250号、第2013/0249782号、第2013/0321278号、第2014/0009817号、第2014/0085355号、第2014/0204012号、第2014/0218277号、第2014/0240210号、第2014/0240373号、第2014/0253425号、第2014/0292830号、第2014/0293398号、第2014/0333685号、第2014/0340734号、第2015/0070744号、第2015/0097877号、第2015/0109283号、第2015/0213749号、第2015/0213765号、第2015/0221257号、第2015/0262255号、第2015/0262551号、第2016/0071465号、第2016/0078820号、第2016/0093253号、第2016/0140910号、および第2016/0180777号参照)
(i)ディスプレイの適用(例えば、米国特許第6,118,426号、第6,473,072号、第6,704,133号、第6,710,540号、第6,738,050号、第6,825,829号、第7,030,854号、第7,119,759号、第7,312,784号、第7,705,824号、第8,009,348号、第8,011,592号、第8,064,962号、第8,162,212号、第8,553,012号、第8,973,837号、第9,188,829号、および第9,197,704号、ならびに米国特許出願公開第2002/0090980号、第2004/0119681号、第2007/0285385号、第2013/0176288号、第2013/0221112号、第2013/0233930号、第2013/0235536号、第2014/0049808号、第2014/0062391号、第2014/0206292号、および第2016/0035291号、ならびに国際出願公開第WO00/36560号参照(また、370 Woodcliff Drive,Suite 301,Fairport NY 14450のip.comによって公開される、IP.com従来技術データベース技術開示第000244343号および第000238455号参照))
(j)非電気泳動ディスプレイ(例えば、米国特許第6,241,921号、第6,784,953号、および米国特許出願公開第2015/0277160号参照)、およびディスプレイ以外のカプセル化およびマイクロセル技術の適用(例えば、米国特許第7,615,325号、ならびに米国特許出願公開第2015/0005720号および第2016/0012710号参照)
【0011】
前述の特許および出願の多くは、カプセル化電気泳動媒体内の別々のマイクロカプセルを包囲する壁が、連続相と置換され得、したがって、いわゆる高分子分散電気泳動ディスプレイを生成し、電気泳動媒体は、電気泳動流体の複数の別々の液滴と、高分子材料の連続相とを備え、そのような高分子分散電気泳動ディスプレイ内の電気泳動流体の別々の液滴が、別々のカプセル膜が各個々の液滴に関連付けられない場合でも、カプセルまたはマイクロカプセルと見なされ得ることを認識する。例えば、前述の米国特許第6,866,760号を参照されたい。故に、本願の目的のために、そのような高分子分散電気泳動媒体は、カプセル化された電気泳動媒体の亜種と見なされる。
【0012】
多くの場合、電気泳動媒体は不透明であり(例えば、多くの電気泳動媒体において、粒子は、ディスプレイを通る可視光の透過を実質的に遮断するので)、反射モードで動作するが、多くの電気泳動ディスプレイは、1つのディスプレイ状態が実質的に不透明であり、1つが光透過性である、いわゆる「シャッタ」モードで動作するように作製され得る。例えば、米国特許第5,872,552号、第6,130,774号、第6,144,361号、第6,172,798号、第6,271,823号、第6,225,971号、および第6,184,856号を参照されたい。誘電泳動ディスプレイは、電気泳動ディスプレイと類似するが、電場強度の変動に依存し、類似のモードで動作し得る。米国特許第4,418,346号を参照されたい。他の種類の電気光学ディスプレイも、シャッタモードで動作することが可能であり得る。シャッタモードで動作する電気光学媒体は、フルカラーディスプレイのための多層構造で有用であることができ、そのような構造において、ディスプレイの視認表面に隣接する少なくとも1つの層は、シャッタモードで動作して、視認表面からより遠くにある第2の層を露出するか、または隠す。
【0013】
カプセル化された電気泳動ディスプレイは、典型的に、従来的な電気泳動機器のクラスタ化および沈降故障モードに悩まされることがなく、多様な柔軟性および剛体基材上にディスプレイを印刷またはコーティングする能力等のさらなる利点を提供する。(「印刷」という語の使用は、全ての形態の印刷およびコーティングを含むことが意図され、限定ではないが、前計量コーティング、例えば、パッチダイコーティング、スロットまたは押出コーティング、スライドまたはカスケードコーティング、カーテンコーティング等、ロールコーティング、例えば、ナイフオーバーロールコーティング、フォワードおよびリバースロールコーティング等、グラビアコーティング、浸漬コーティング、吹き付けコーティング、メニスカスコーティング、スピンコーティング、ブラシコーティング、エアナイフコーティング、シルクスクリーン印刷プロセス、静電気印刷プロセス、熱印刷プロセス、インクジェット印刷プロセス、電気泳動析出(米国特許第7,339,715号を参照)、ならびに他の同様の技術が挙げられる。);したがって、得られるディスプレイは、柔軟であり得る。さらに、ディスプレイ媒体は(種々の方法を使用して)印刷され得るので、ディスプレイ自体は、安価に作製され得る。
【0014】
他のタイプの電気光学材料も、本発明で使用され得る。
【0015】
電気光学ディスプレイは、通常、電気光学材料の層と、電気光学材料の両側に配置された少なくとも2つの他の層(これらの2つの層のうちの1つは、電極層である)とを備えている。大部分のそのようなディスプレイにおいて、両層が、電極層であり、電極層の一方または両方が、パターン化され、ディスプレイのピクセルを画定する。例えば、一方の電極層は、細長い行電極に、他方は、行電極に対して直角に設けられ細長い列電極にパターン化され得、ピクセルは、行電極と列電極との交差によって、画定される。代替として、かつより一般的に、一方の電極層は、単一連続電極の形態を有し、他方の電極層は、ピクセル電極の行列にパターン化され、それらの各々が、ディスプレイの1ピクセルを画定する。ディスプレイと別個のスタイラス、印字ヘッド、または類似可動電極との使用が意図される別のタイプの電気光学ディスプレイにおいて、電気光学層に隣接する層のうちの1つのみが、電極を備え、電気光学層の反対側の層は、典型的に、保護層であり、保護層は、可動電極が電気光学層に損傷を及ぼすことを防止することが意図される。
【0016】
前述の米国特許第6,982、178号(第3段落第63行目から第5段落第46行目参照)に論じられるように、固体電気光学ディスプレイにおいて使用される構成要素およびそのようなディスプレイを製造するために使用される方法の多くは、液晶ディスプレイ(LCD)(当然ながら、電気光学ディスプレイもであるが、固体媒体ではなく、液体を使用する)において使用される技術からの派生である。例えば、固体電気光学ディスプレイは、トランジスタまたはダイオードのアレイおよびピクセル電極の対応するアレイを備えている、アクティブマトリクスバックプレーンと、透明基板上の「連続」正面電極(複数のピクセル、かつ典型的に、ディスプレイ全体にわたって延びている電極の意味において)とを利用し得、これらの構成要素は、本質的に、LCDにおけるものと同一である。しかしながら、LCDを組み立てるために使用される方法は、固体電気光学ディスプレイとともに使用することができない。LCDは、通常、別個のガラス基板上に、バックプレーンおよび正面電極を形成し、次いで、それらの間に小開口を残して、これらの構成要素を一緒に接着固定し、得られたアセンブリを真空下に置き、液晶が、バックプレーンと正面電極との間の開口を通して流動するように、アセンブリを液晶浴に浸漬させることによって、組み立てられる。最後、液晶を定位置に収まると、開口が、密閉され、最終ディスプレイをもたらす。
【0017】
このLCDアセンブリプロセスは、固体電気光学ディスプレイに容易に移されることができない。電気光学材料が固体であるので、電気光学材料は、これらの2つの完全体が互いに固定される前、バックプレーンと正面電極との間に存在しなければならない。さらに、いずれにも取り付けられることなく正面電極とバックプレーンとの間に単純に設置される液晶材料とは対照的に、電気光学媒体は、通常、両方に固定される必要がある。殆どの場合、固体電気光学媒体は、概して、回路を含むバックプレーン上にこの媒体を形成するより容易であるので、正面電極上に形成され、次いで、正面電極/電気光学層の組み合わせは、典型的に、接着剤によって、電気光学媒体の表面全体を被覆し、熱、圧力、および可能性として真空下において、積層することによって、バックプレーンにラミネートされる。故に、固体電気光学ディスプレイの最終積層のための大部分の従来技術方法は、本質的に、(典型的には)電気光学媒体、積層接着剤、およびバックプレーンが、最終組み立て直前、一緒にされる、バッチ方法であり、大量生産により適応された方法を提供することが望ましい。
【0018】
電気光学ディスプレイは、多くの場合、コストがかかる。例えば、ポータブルコンピュータに見出されるカラーLCDのコストは、典型的に、コンピュータのコスト全体のかなりの割合を占める。電気光学ディスプレイの使用が、ポータブルコンピュータより遥かに安価な携帯電話および携帯端末(PDA)等のデバイスにも広がるにつれて、そのようなディスプレイのコスト削減に大きな圧力がかかっている。前述のように、可撓性基板上での印刷技法によるいくつかの固体電気光学媒体の層を形成する能力は、コーティングされた紙、高分子フィルム、および類似媒体の生産のために使用される市販の機器を使用するロールツーロールコーティング等の大量生産技法を使用することによって、ディスプレイの電気光学構成要素のコストを削減する可能性を広げている。
【0019】
前述の米国特許第6,982,178号は、大量生成に非常に適した固体電気光学ディスプレイ(カプセル化された電気泳動ディスプレイを含む)を組み立てる方法を説明している。本質的に、この特許は、光透過性導電性層、導電性層と電気接触する固体電気光学媒体の層、接着剤層、および剥離シートを順に備えている、いわゆる「フロントプレーンラミネート」(FPL)を説明している。(本願および本明細書における用語「光透過性」は、そのように指定される層が、その層を通して見ている観察者が、電気光学媒体のディスプレイ状態の変化を観察することを可能にするために十分な光を透過させ、通常、導電性層および隣接する基材(存在する場合)を通して見られることを意味するように使用され、電気光学媒体ディスプレイが、非可視波長における反射率において変化する場合、用語「光透過性」は、当然ながら、関連する非可視波長の透過に関して解釈されるべきである。)典型的に、光透過性導電性層は、光透過性基材上に支持され、好ましくは、基材が永久的な変形を伴わずに、(例えば)直径10インチ(254mm)のドラムの周囲に手で巻き付けられ得るという意味で柔軟性である。基板は、典型的に、ポリマーフィルムであり、通常、約1~約25ミル(25~634μm)、好ましくは、約2~約10ミル(51~254μm)の範囲内の厚さを有するであろう。導電性層は、便宜上、例えば、アルミニウムもしくはITOの薄金属または金属酸化物層であるか、または、伝導性ポリマーであり得る。アルミニウムまたはITOでコーティングされたポリ(エチレンテレフタレート)(PET)フィルムは、例えば、E.I. du Pont de Nemours & Company(Wilmington DE)からの「アルミ被覆Mylar」(Mylarは、登録商標である)として商業上利用可能であり、そのような商業上の材料は、フロントプレーンラミネートにおける良好な結果とともに使用され得る。
【0020】
そのようなフロントプレーンラミネートを使用した電気光学ディスプレイの組立は、剥離シートをフロントプレーンラミネートから除去し、接着剤層をバックプレーンに接着させるために効果的な条件下で接着剤層をバックプレーンに接触させ、それによって、接着剤層、電気光学媒体の層、および導電性層をバックプレーンに固定することによって達成され得る。このプロセスは、フロントプレーンラミネートが、典型的に、ロールツーロールコーティング技術を使用して大量生成され、次に、特定のバックプレーンとの使用に必要とされる任意のサイズの片に切断され得るので、大量生成に非常に適している。
【0021】
米国特許第7,561,324号は、いわゆる「二重剥離シート」を説明しており、それは、本質的に、前述の米国特許第6,982,178号のフロントプレーンラミネートの単純化された変形である。二重剥離シートの1つの形態は、2つの接着剤層間に挟まれた固体電気光学媒体の層を備え、接着剤層の一方または両方は、剥離シートによって被覆される。二重剥離シートの別の形態は、2つの剥離シート間に挟まれた固体電気光学媒体の層を備えている。二重剥離フィルムのどちらの形態も、すでに説明されたフロントプレーンラミネートから電気光学ディスプレイを組み立てるためのプロセスに概して類似するプロセスにおける使用を意図されるが、2つの別個のラミネーションを含み、典型的に、第1のラミネーションにおいて、二重剥離シートは、正面電極にラミネートされて、正面サブアセンブリを形成し、次に、第2のラミネーションにおいて、正面サブアセンブリは、バックプレーンにラミネートされて、最終的なディスプレイを形成するが、但し、これらの2つのラミネーションの順序は、所望により逆転され得る。
【0022】
米国特許第7,839,564号は、いわゆる「反転されたフロントプレーンラミネート」を説明しており、それは、前述の米国特許第6,982,178号に説明されるフロントプレーンラミネートの変形である。この反転されたフロントプレーンラミネートは、光透過性保護層および光透過性導電性層のうちの少なくとも1つ、接着剤層、固体電気光学媒体の層、ならびに剥離シートを順に備えている。この反転されたフロントプレーンラミネートは、電気光学層とフロント電極またはフロント基材との間にラミネーション接着剤の層を有する電気光学ディスプレイを形成するために使用され、第2の、典型的には薄接着剤の層が、電気光学層とバックプレーンとの間に存在することも、存在しないこともある。そのような電気光学ディスプレイは、良好な解像度と良好な低温性能とを組み合わせることができる。
【0023】
電気泳動および類似双安定性電気光学ディスプレイ媒体は、これまで、主に、電子書類リーダ(Eブックリーダ)において使用されており、いくつかの使用は、フラッシュドライブ、ポータブルコンピュータ、タブレットコンピュータ、携帯電話、スマートカード、標識、腕時計、棚ラベル、および可変透過窓等の電子記憶媒体におけるものであった。しかしながら、電気泳動および類似双安定性電気光学ディスプレイ媒体の低電力要件、可撓性、および軽量は、多数の他の用途、特に、建築および関連用途においても有用にする。
【0024】
前述の第US2016/0259225号は、建築用途における電気泳動ディスプレイのいくつかの用途、特に、室内装飾の色を変化させ、部屋の雰囲気を改変するための変色タイルおよび他の手段を説明する。前述の第US2016/0232835号は、特に、家具および建築用途等における大面積ディスプレイのために有用である電気泳動ディスプレイのための駆動方法を説明する。
【0025】
用語「建築表面」は、本明細書において、内部または外部であるかどうかにかかわらず、建物または類似構造、例えば、プレハブ、キャンピングトレーラ、または娯楽用車両の表面を示すために使用されるが、下で説明される本発明は、主に、内部表面上に使用される可能性が高い。用語「建築表面」は、建築の付属設備、および建物内の一時的または恒久的壁としての機能を果たす間仕切等の可動または恒久的構造の表面も含むことを意図される。したがって、用語「建築表面」は、建物および類似構造の壁、天井、および床だけではなく、例えば、台所キャビネット、器具、および島状カウンタの表面、ならびにドア、衝立、および間仕切の表面を含む。
【0026】
前述のUS2016/0259225号に詳細に議論されるように、電気光学ディスプレイ、特に、双安定電気光学ディスプレイは、建築表面の処理のための新規可能性を広げ、それは、画像を建築表面上にパターン化または表示することを含む表面の外観の変動を可能にする。事実上、壁(または天井およびパーティションまたは間仕切等の他の類似表面)全体が、ディスプレイとなることができる。そのような「壁ディスプレイ」は、そのうちのわずかな割合のみが大規模な視覚的ディスプレイを要求する複数の機能のために使用される部屋(ホテルおよび類似機能の部屋等)において有用であり得る。そのような場合、大型モニタのコストは、正当化することが困難であり得、使用されないとき(機能部屋が使用される時間の大部分に該当する)のモニタの外観は、好ましくないこともある。同様に、大型の格納可能プロジェクタスクリーンおよび関連付けられた駆動装置のコストも、正当化することが困難であり得る。理想的に、そのような状況において、要求されるとき、画像を表示するために使用され得るが、画像を表示するために使用されないとき、単に、従来の壁表面として見える大面積の壁または類似表面を有することが望まれるであろう。本発明は、そのような壁ディスプレイを提供すると考えられる。
【0027】
本技術は、必要に応じて、そのような媒体の平行細片を接合することによって、非常に大面積の電気泳動および他のディスプレイ媒体を提供することが可能であるが、大型の高分解能ディスプレイを提供することにおける主要な難点は、ディスプレイを駆動する方法を見出すことである。大方の場合、現在のディスプレイの解決策の複雑性およびコストは、このタイプの用途を限定している。高分解能画像を大きい表示エリア上に作成することは、現在、能動マトリクスバックプレーンまたは受動マトリクスディスプレイのいずれかを要求し、いずれも、複雑な電気接続および多数の駆動信号を要求し、特に、建築規模において、それは、100平方フィート(約10正方形メートル)以上のディスプレイを伴い得、任意の現在の能動マトリクスまたは受動マトリクスディスプレイのコストは、大部分の用途のために法外であろう。本発明は、建築規模のディスプレイを経済的様式において駆動する方法を提供することを模索する。
【0028】
本発明の別の側面は、壁および類似建築表面上の色調節に関する。大部分の「素人」(この文脈において、色科学における当業者ではない者を意味する)のために、所望の効果を部屋内に生産するための塗料および他の着色材料(例えば、床、壁、または天井タイル)を選択することは、著しく困難である。従来、小売店は、販売している塗料において利用可能な色の小サンプル(「見本」)を提供する。見本が、塗料色を正確に表す場合でも(顔料ベースの塗料と色素ベースの印刷との間の差異は、正確な合致を困難にする)、大小売店内の小見本を、通常、自宅において使用されるそれと異なる人工照明下で、かつ自宅内に典型的に存在するそれと類似点を持っていない色彩(例えば、灰色コンクリート床、赤色または黄色金属ラック、および灰色天井)によって包囲された状態で視認することは、大部分の素人のために、実際に所望するそれと大きく異なる塗料色を選定させる可能性が高い。顧客が、限定数の見本を自宅に持ち帰り、現場で評価する場合でも、少なくとも2つの主要な問題が残される。いくつかの色は、天然または人工光で照明されるかどうかに応じて非常に異なるように知覚され得、天然光下で知覚された色は、天然光が日中の白色光または夜明けもしくは夕暮れ間近のより暖色系の光かどうかに応じて、大きく変動し得、顧客は、変動する照明条件下で見本を試験することに頻繁に失敗する。さらに、色を知覚する錐体が中心面積に集中し、圧倒的多数の色に鈍感な桿体を周縁上に伴うヒトの眼の構造により、ヒトの色知覚は、視認されている色サンプルのサイズに伴って変動する。すなわち、いわゆる2°色(色サンプルが、眼によって見られる場合の2度の弧に対する)と10°色との間に有意な差異が存在する。特に、薄色(比較的に不飽和色)は、色の大きな広がりが視認されているとき、より飽和して見える傾向にある。
【0029】
これらの問題を低減させる試みにおいて、多くの塗料店は、現在、顧客が、彼らの最終選択を行う前、種々の色を試験し得るように、約1または2平方フィートの壁を塗装するために十分な小サンプルの塗料を販売している。しかしながら、いくつかの塗料サンプルを購入し、塗布することは、かなりの費用および労力を伴い、典型的に、既存の壁色の背景に対して視認されるであろうサンプルパッチの外観は、依然として、同一色の壁全体の外観を正確に反映しないこともある。例えば、既存の黄色背景に対して視認される薄青色パッチは、最終薄青色壁より幾分飽和して見え得る一方、赤色背景に対して視認される紫パッチは、青色に向かってシフトされて見えるであろう。さらに、いくつかの異なるパッチの色を壁上に残すことは、種々の色が、最終色が透けて見える傾向にあり、非均一最終色を残すか、または透けて見える色を克服するために、塗料のさらなるコーティングを要求するので、後の再塗装後、問題を引き起こし得る。
【0030】
全ての前述の問題の結果は、屋内建築特徴のための色を選択することになるとき、大部分の人々が、正しい色を選択することが気の滅入るタスクであることを見出すことである。多くの場合、人々は、特定の色相または色調を思い描いているが、彼らの塗装(または床のタイル張り等の他の色適用)の外観に落胆し、彼らの落胆度は、再塗装が利用可能な唯一の是正措置であるという事実によって増す。
【0031】
さらに、前述の第US2016/0259225号により詳細に議論される理由から、部屋の用途における変化(例えば、暖色は、フレンドリーな親交により適切である傾向にある一方、寒色は、学習により適切であり得る)または照明条件、時刻、もしくは季節等における変化を可能にするために、建築表面の色を変動させることが望ましくあり得る。
【0032】
本発明は、上で議論される問題を低減または克服し、再塗装なく、表面の外観の調節を可能にする建築表面のための処理を提供することを模索する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0033】
【特許文献1】米国特許第5,808,783号明細書
【特許文献2】米国特許第7,321,459号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0034】
一側面において、本発明は、画像を建築表面上に形成する方法であって、方法は、
以下の順序において、
背面電極層と、
光透過性正面電極層と、
正面と背面電極層との間に配置された光伝導性層と、
正面と背面電極層との間に配置された電気光学層と
を建築表面に適用することと、
電位差を正面と背面電極層との間に印加することと、
正面電極層を光伝導性層の伝導性の変化を生じさせるために有効な放射に画像毎にさらし、それによって、電気光学層の光学状態の画像毎変化を生じさせることと、
を含む、方法を提供する。
【0035】
本画像形成方法において、光伝導性層および電気光学層は、2つの電極層間にいずれの順序でも配列され得る。典型的に、光伝導性層は、多くの光伝導性層が、不透明であるか、または、極めて着色されているかであり、故に、正面電極を通してこの層を見る観察者によって視認されると、電気光学層の色を歪ませるであろうから、電気光学層と背面電極との間に配列されるであろう。しかしながら、使用される光伝導性層が、実質的に透明であるか、または、観察者に不愉快でないような様式で着色されている(例えば、黒色-白色電気光学層の正面における黄色光伝導性層が、黒色-黄色ディスプレイを提供するために使用され得る)場合、光伝導性層は、電気光学層と正面電極との間(すなわち、電気光学層の正面)に配置され得る。電気光学層が、画像毎にさらすことのために使用される放射を強く吸収する場合、光伝導性層を電気光学層の正面に配置する必要があり得る。生産された画像は、通常、ヒトの眼に可視である必要があろうが、画像毎にさらすことのために使用される放射が可視であるという要件は存在しないことに留意されたい。実際、ある場合、任意の可視投影ビームを用いずに、画像の形成を可能にするように、非可視放射(例えば、近紫外線放射)を使用することが便利であり得る。
【0036】
本方法の1つの形態において、画像毎にさらすことは、プロジェクタを使用して、画像を建築表面上に投影することによってもたらされる。代替として、特に、建築表面の正面の空間が、限定される場合、画像毎にさらすことは、光エミッタの列(例えば、発光ダイオードの細片)を建築表面にわたって通過させることによってもたらされ得る。本方法は、全体的画像を一度に投影することよりはるかに低速である可能性が高いが、画像が長い間隔でのみ変化させられ得る多くの建築用途において、容認可能であり得る。所望に応じて、光エミッタの列は、ディスプレイの1つの縁に沿って静的であり得、可動式の角度付けられたミラーが、光エミッタからの光をディスプレイ自体上に向けるために使用され得る。
【0037】
本発明の画像形成方法において、建築表面上に提供されるスタックは、追加の層を含み得る。特に、スタックは、追加の接着剤層を正面電極層と電気光学層との間および/または電気光学層と背面電極層との間に含み得る。フィルムは、正面電極層の電気光学層と反対側に保護層も含み得る。フィルムは、上で議論される特許および出願におけるフロントプレーンラミネート、反転フロントプレーンラミネート、または二重剥離フィルムの随意の特徴のいずれかも含み得る。
【0038】
別の側面において、本発明は、建築表面への適用のためのフィルムを提供し、フィルムは、以下の順序において、
光透過性着色正面電極層と、
電気光学層と、
背面電極層と、
接着剤層と
を備え、フィルムは、正面電極層を建築表面上に設置された第1の導体および/または隣接するフィルムの正面電極層に接続するための少なくとも1つの正面接続手段を具備し、背面電極層を建築表面上に設置された第2の導体および/または隣接するフィルムの背面電極層に接続するための少なくとも1つの背面接続手段も具備する。
【0039】
光透過性着色正面電極層は、例えば、ポリチオフェン等の染色伝導性ポリマーの単一層であり得る。しかしながら、いくつかの一般的タイプの光透過性電極、例えば、インジウムスズ酸化物等のスパッタリングされた金属酸化物は、着色形態において容易に利用可能ではなく、そのような場合、概して、電気光学層により近い伝導性層と、伝導性層の電気光学層と反対側の別個の着色層とを伴う二重層として光透過性着色正面電極層を提供することが便利であろう。
【0040】
本発明のフィルムの2つの主要変形例が存在する。第1の変形例において、電気光学層は、白黒フィルム(すなわち、黒色および白色極限状態と、典型的に、黒色と白色極限状態の中間のいくつかのグレー状態とを有するもの)である。このフィルム変形例は、光透過性着色層の背後の電気光学層の反射率を変調することによって、建築表面の色調を改変することを可能にする。第2の変形例において、電気光学層は、電気光学層の色(好ましくは、反射率)を変調することによって、建築表面の色相、好ましくは、色調も改変し得るように、少なくとも2つの異なる色を表示することが可能である。
【0041】
本発明のフィルムは、種々の物理的形態を有し得る。壁または類似垂直表面上で使用されるとき、それらは、従来の壁紙と同一様式で垂直表面に適用され得る長いロールの形態であり得る。(この場合、適切な湿気障壁が、電極層および電気光学層を保護するために提供されることを所与として、接着剤層は、フィルムが事前に糊付けされた壁紙と同一様式で適用され得るように、注液タイプであり得る。)カウンタ上部および天井等の水平表面への適用に意図されたフィルムも、ロールの形態であり得る。床への適用に意図されたフィルムは、タイルの形態であり得る、その場合、正面および背面接続手段を縁コネクタとして各タイル上に形成し、隣接するタイルと接触させ、複数のタイルが同時に切り替わることを可能にすることが便利であり得る。
【0042】
接着剤層は、典型的に、感圧式接着剤であり、その場合、接着剤層は、通常、剥離シートで被覆され、保管または運搬中の他の材料(長いフィルムがロールされる場合、フィルムの他の部分を含む)への接着剤の望ましくない接着を防止する必要があるであろう。しかしながら、他のタイプの接着剤が、使用され得る。例えば、比較的に粗い下地床への適用のために意図される、いくつかのタイプのタイルにおいて、流動性加熱活性化接着剤を使用して、それらが下地床に接触する直前、タイルを適切な温度にさらすことが望ましくあり得る。前述のように、水-活性化接着剤が、使用され得る。
【0043】
正面および背面接続手段(以降、「正面および背面コネクタ」)も、種々の物理的形態を有し得る。壁紙と同一様式で適用されるフィルムの場合、概して、それに対してフィルムが適用されるべき壁の部分の上側および下側縁に隣接して設けられた2つの水平導体を介して、動作電圧を正面および背面電極に供給することが便利であろう。正面および背面コネクタは、次いで、フィルムの側方縁の一方または両方を越えて側方に延び、直接または伝導性接着剤を介して、水平導体と電気接触する正面および背面電極層の延長部の形態を有することができる。そのような正面および背面コネクタは、フィルムの隣接する部片の背後に隠され得、電気短絡回路を防止するために、延長部の露出した表面を絶縁層で被覆することが望ましくあり得る。背面電極層の延長部を提供する代わりに、直接電気接触が、例えば、接着剤層の一部をドープし、それを十分に導体にする(接着剤の伝導性を増加させるためのドーパントに関しては、米国特許第7,012,735号参照)接着剤層の一部を除去し、随意に、それと伝導性接着剤を置換するか、または、粗面表面を伴う導体を使用して、粗面表面上の突起が背面電極層と接触するまでフィルムを導体上に押すことによって背面電極層と下層導体との間にもたらされ得る。
【0044】
本発明のフィルムは、追加の層を含み得る。特に、フィルムは、追加の接着剤層を正面電極層と電気光学層との間および/または電気光学層と背面電極層との間に含み得る。フィルムは、光透過性着色層の電気光学層との反対側における保護層も含み得る(または、光透過性着色層がた、保護層としての機能も果たし、ディスプレイの残りの層を機械的損傷から保護するように構成され得る)。フィルムは、上で議論される特許および出願における、フロントプレーンラミネート、反転フロントプレーンラミネート、または二重剥離フィルムの随意の特徴のいずれかも含み得る。
【0045】
別の側面において、本発明は、建築表面をコーティングする方法であって、方法は、
剥離シートを有する本発明のフィルムを提供することと、
剥離シートをフィルムから除去することと、
剥離シートを除き、フィルムを建築表面に適用することと
を含む、方法を提供する。
【0046】
別の側面において、本発明は、間隔を置かれた第1および第2の導体と、建築表面に接着された本発明のフィルムの複数の部片とを具備する建築表面を提供し、複数の部片の各々の正面接続手段は、第1の導体に電気的に接続され、複数の部片の各々の背面接続手段は、第2の導体に電気的に接続される。
【0047】
本発明のフィルム(および本発明の画像形成方法において使用される構造)において使用される、いくつかの電気光学層、特に、電気泳動フィルムは、典型的に、難燃性有機流体を含み、発火可能なポリマーフィルムも含み得る。故に、少なくともいくつかの管轄区域は、フィルムのさらされる表面が発泡性(耐火性)コーティングを具備することを要求し得る。多くの従来の発泡性防炎塗料は、本質的に、不透明であり、したがって、本発明のフィルムとともに使用するために好適ではない。本発明のフィルムまたは本発明の方法において使用される画像受け取り表面が発泡性防炎塗料を要求する場合、これらの発泡性防炎塗料は、発泡性材料の層と、発泡性材料の層の少なくとも1つの表面と接触する少なくとも1つの湿気障壁とを備え得、発泡性材料は、アミンまたはアミド含有化合物を含む。発泡性材料は、第1および湿気障壁を具備し得、発泡性材料は、第1と第2の湿気障壁との間に配置される。各湿気障壁は、保護フィルムと、接着剤の層とを備え得る。保護フィルムは、テレフタル酸ポリエチレン、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、環状オレフィンホモポリマーまたはコポリマー、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される材料を備え得る。接着剤の層は、光学的にクリアな接着剤材料を備え得る。湿気障壁は、60℃および100%相対的湿度において、0.01g/m/日以下の水蒸気透過率(WVTR)を有し得る。発泡性材料は、炭化形成炭素質材料と、脱水触媒と、膨張剤とを含み得る。炭化形成炭素質材料は、ポリオール、ポリアミド-6、ポリアミド-6と粘土のナノ複合材料、トリアジン誘導体、イソシアヌル酸誘導体、エタノールアミン-アミノトリアゾールオリゴマー、およびそれらの組み合わせから成る群から選択され得る。脱水触媒は、ポリリン酸アンモニウム、ピロリン酸アンモニウム、リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、リン酸クロロアルキル、ホスホン酸クロロアルキル、有機リン酸またはホスホン酸のエステル、およびそれらの組み合わせから成る群から選択され得る。膨張剤は、メラミン、トリアジン誘導体、およびそれらの組み合わせから成る群から選択され得る。発泡性材料は、結合剤樹脂も備え得、それは、メラミンホルムアルデヒド、ウレアホルムアルデヒド、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリビニル、EVAs、PVAc、エポキシド、ケイ酸塩、およびそれらの組み合わせから成る群から選択され得る。発泡性材料は、可塑剤も備え得、それは、グリセロールおよびエチレングリコールから成る群から選択され得る。発泡性材料の層の少なくとも一部は、通常、少なくとも1つの湿気障壁と電気光学材料の層との間に位置するであろう。
本明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
画像を建築表面(200)上に形成する方法であって、前記方法は、
以下の順序において、
背面電極層(112)と、
光透過性正面電極層(104)と、
前記正面(104)と背面(112)電極層との間に配置された光伝導性層(110)と、
前記正面(104)と背面(112)電極層との間に配置された電気光学層(106)と
を前記建築表面(200)に適用することと、
電位差を前記正面(104)と背面(112)電極層との間に印加することと、
前記正面電極層(104)を前記光伝導性層(110)の伝導性の変化を生じさせるために有効な放射に画像毎にさらし、それによって、前記電気光学層(106)の光学状態の画像毎変化を生じさせることと
によって特徴付けられる、方法。
(項目2)
前記光伝導性層(110)は、前記電気光学層(106)と前記背面電極層(112)との間に配置される、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記画像毎にさらすことは、プロジェクタ(202)を使用して、画像を前記建築表面(200)上に投影することによってもたらされる、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記画像毎にさらすことは、前記建築表面(200)に隣接した複数の光エミッタを提供し、前記光エミッタからの光を前記建築表面(200)にわたって移動させることによってもたらされる、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記建築表面に適用される前記層は、
(a)前記正面電極層と前記電気光学層との間の接着剤層と、
(b)前記電気光学層(106)と前記背面電極層(112)との間の接着剤層(108)と、
(c)前記正面電極層(104)の前記電気光学層(106)と反対側の保護層(102)と
のうちの少なくとも1つをさらに備えている、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記電気光学層(106)は、電気泳動層である、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記建築表面に適用される前記層は、前記正面電極層の前記電気光学層と反対側の発泡性防炎塗料をさらに備えている、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記発泡性防炎塗料は、発泡性材料の層を備え、少なくとも1つの湿気障壁が、前記発泡性材料の層の少なくとも1つの表面と接触し、前記発泡性材料は、アミンまたはアミド含有化合物を含む、項目7に記載の方法。
(項目9)
建築表面(302、400)への適用のためのフィルム(300、406、408)であって、前記フィルム(300、406、408)は、
以下の順序において、
光透過性着色正面電極層(304、306)と、
電気光学層(308)と、
背面電極層(310)と、
接着剤層(312)と
によって特徴付けられ、
前記フィルム(300、406、408)は、少なくとも1つの正面接続手段(412)を具備し、前記少なくとも1つの正面接続手段(412)は、前記正面電極層(304、306)を前記建築表面(302、400)上に設置された第1の導体(404)および/または隣接するフィルム(304、306)の前記正面電極層に接続し、
前記フィルム(300、406、408)は、少なくとも1つの背面接続手段(410)も具備し、前記少なくとも1つの背面接続手段(410)は、前記背面電極層(310)を前記建築表面(302、400)上に設置された第2の導体(402)および/または隣接するフィルム(300、406、408)の前記背面電極層(310)に接続する、フィルム。
(項目10)
前記接着剤層(312)の前記背面電極層(310)から離れた表面を被覆する剥離シートをさらに備えている、項目9に記載のフィルム。
(項目11)
前記光透過性着色正面電極層(304、306)は、前記電気光学層(308)に隣接した伝導性層(306)と、前記伝導性層(306)の前記電気光学層(308)と反対側の着色層(304)とを備えている、項目9に記載のフィルム。
(項目12)
前記正面接続手段(412)および背面(410)接続手段は、前記正面電極層(304、306)および背面(310)電極層の延長部の形態を有し、前記フィルム(300、406、408)の側方縁の一方または両方を越えて側方に延びている、項目9に記載のフィルム。
(項目13)
(a)前記正面電極層と前記電気光学層との間の接着剤層と、
(b)前記電気光学層と前記背面電極層との間の接着剤層と、
(c)前記正面電極層の前記電気光学層と反対側の保護層と
のうちの少なくとも1つをさらに備えている、項目1に記載のフィルム。
(項目14)
前記電気光学層(308)は、電気泳動層である、項目9に記載のフィルム。
(項目15)
前記正面電極層の前記電気光学層と反対側の発泡性防炎塗料をさらに備えている、項目9に記載のフィルム。
(項目16)
前記発泡性防炎塗料は、発泡性材料の層を備え、少なくとも1つの湿気障壁が、前記発泡性材料の層の少なくとも1つの表面と接触し、前記発泡性材料は、アミンまたはアミド含有化合物を含む、項目15に記載のフィルム。
(項目17)
建築表面(302、400)をコーティングする方法であって、前記方法は、
項目10に記載のフィルム(300、406、408)を提供することと、
前記剥離シートを前記フィルム(300、406、408)から除去することと、
前記剥離シートを除き、前記フィルム(300、406、408)を前記建築表面(302、400)に適用することと
を含む、方法。
(項目18)
建築表面(400)であって、前記建築表面(400)は、間隔を置かれた第1の導体(404)および第2の導体(402)と、前記建築表面(400)に付着させられた項目9に記載のフィルムの複数の部片(406、408)とを具備し、前記複数の部片(406、408)の各々の正面接続手段(412)は、前記第1の導体(404)に電気的に接続され、前記複数の部片(406、408)の各々の背面接続手段(410)は、
前記第2の導体(402)に電気的に接続されている、建築表面(400)。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1図1は、本発明の画像形成方法において使用されるフィルムを通した概略断面である。
【0049】
図2図2は、プロジェクタを使用して実施されている本発明の画像形成方法を示す斜視図である。
【0050】
図3図3は、壁に適用される本発明のフィルムを通した概略断面である。
【0051】
図4図4は、2つの導体を具備する壁に適用される図3に示されるフィルムの2つの部片を示す概略正面立面図である。
【0052】
図5図5Aおよび5Bは、壁に適用される本発明のカラーフィルムの2つの異なる光学状態を示す図3のそれらに類似する概略断面である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本発明の具体的実施形態が、ここで、付随の図面を参照して、より詳細に、但し、例証のみとして、説明されるであろう。
【0054】
パートA:本発明の画像形成方法
【0055】
すでに述べられたように、一側面において、本発明は、画像を建築表面上に形成する方法を提供し、方法は、以下の順序:背面電極層;光透過性正面電極層;正面と背面電極層との間に配置された光伝導性層;および、正面と背面電極層との間に配置された電気光学層で、建築表面に適用することと、電位差を正面と背面電極層との間に印加することと、正面電極層を光伝導性層の伝導性の変化を生じさせるために有効な放射に画像毎にさらし、それによって、電気光学層の光学状態の画像毎変化を生じさせることとを含む。
【0056】
本発明の画像形成方法は、非パターン化ディスプレイ媒体(すなわち、ディスプレイのピクセルを画定する電極のマトリクスではなく、2つのみの単純な連続電極を伴う)を使用して、埋め込まれた電子ドライバなしに、建築サイズの(100平方フィート、10平方メートル、またはより大きい)高分解能画像が生産されることを可能にするように設計される。本質的に、本発明は、光伝導性材料の層を電気光学ディスプレイの電極間に挿入し、したがって、二重刺激デバイスを形成することによって、この問題を解決し、刺激は、電場および放射であり、ディスプレイ媒体は、両刺激が存在するときのみ、アドレスされる。
【0057】
図1は、本発明の画像形成方法において有用なフィルム(概して、100として指定される)を通した概略断面である。フィルム100は、保護層102(フィルムの残りの層のために使用される材料に応じて、省略され得る)と、光透過性連続正面電極層104と、電気光学層106(二重粒子カプセル化電気泳動層として図示される)と、ラミネーション接着剤層108と、光伝導性層110と、連続背面電極層112とを備えている。光伝導性層110が電極層104と背面電極層112との間に配置されていること、および、「連続」電極層の言及が大型ディスプレイにおいて使用される複数の電極を除外するものではないことに留意されたい。実際、いくつかの光透過性電極層(例えば、スパッタリングされた金属酸化物)が比較的に高抵抗を有することを所与として、電極抵抗に起因する低速切り替えを回避するために、非常に大型のディスプレイの電極層を(例えば)600mm以下の複数のセグメントに分割することが望ましくあり得る。
【0058】
図2は、大型スクリーン200(またはさらに、所望に応じて、部屋の壁全体)の形態における図1のディスプレイを使用してもたらされる本発明の画像形成方法を図示する。便宜上、光を透明シート204を上方に通過させ、次いで、角度付けられたミラーアセンブリ206を用いて、光を水平に偏向させるタイプであるプロジェクタ202が、透明シート204の画像をスクリーン200上に投影するために使用される。光伝導性層110がその伝導性状態にあると、スクリーン200を黒色から白色に駆動するために十分な大きさおよび極性を有する電位差が、電極層104と112(図1)との間に印加される。スクリーン200は、中実黒色に最初に設定される。光がスクリーン200に到達しないエリアにおいて、光伝導性層110の抵抗は、高のままであり、スクリーンは、黒色のままである。しかしながら、光がスクリーン200に到達するエリアにおいて、光伝導性層110は、伝導性となり、本質的に、電極層間の全体的電位差が、電気光学層106を横断して印加され、それによって、これらのエリアに黒色から白色(または使用される具体的電気光学媒体に応じて、黒色からグレーの可変濃淡)に変化させ、スクリーン上に透明フィルム204上の画像を再現する。
【0059】
異なる画像をスクリーン200上に生産することが所望されるとき、スクーンは、透明フィルム204をプロジェクタ202から除去することによって消去され、したがって、スクーンは、スクリーンのエリア全体が照明される(および光伝導性層110全体が、したがって、伝導性にされる)ことを可能にし、電極層104と112との間に、スクリーン全体を黒色に駆動するために十分な大きさおよび極性を有する電位差を印加することによって、消去され得る。実践において、ある電気光学ディスプレイに一般的である一定の「メモリ」または「残影」効果を回避するために、電極層104と112との間の電位差の極性を逆転させることによって、スクリーン全体を黒色から白色に、そして、再び戻すように数回駆動することが推奨され得る。
【0060】
スクリーン200上に提供される画像の分解能がプロジェクタ202によって提供される画像の分解能によってのみ限定され、高分解能投影画像の作成のための商業的に公知の方法のいずれか(例えば、コンピュータによって駆動されるLCDプロジェクタ)が使用されることができることを理解されたい。画像形成を黒色スクリーンから開始することは、不可欠ではない。白色スクリーンから開始し、さらされるエリアを黒色(または黒色およびグレーの中間陰影)に駆動することもできるが、この場合、最終画像は、透明フィルム204のネガ型となるであろうことに留意されたい。
【0061】
図1に示されるフィルムは、前述の米国特許第6,982,178号に説明されるフロントプレーンラミネート生産プロセスの修正によって容易に生産されることができる。電気光学媒体は、通常の様式において、正面電極層上にコーティングされることができる。別個に、光伝導性層が、背面電極層上に形成され、ラミネーション接着剤層が、光伝導性層上にコーティングされる。背面電極/光伝導性層/接着剤層サブアセンブリが、次いで、通常の方法において、電気光学層を含むサブアセンブリにラミネートされることができる。
【0062】
本発明の画像形成方法において使用されるフィルムは、第2の接着剤層および剥離シートを背面電極層の電気光学層との反対側上に具備し、本発明のフィルムに関してすでに説明されたものと同一様式における建築表面へのフィルムの取り付けを促進し得る。
【0063】
前述から、本発明の画像形成方法は、非パターン化電極を伴う単純媒体を使用して、大型建築ディスプレイの高分解能アドレスを可能にすることが分かるであろう。投影された光を使用して画像を形成することも、駆動方法を単純かつ安価にする。
【0064】
パートB:建築表面の外観を変動するためのフィルム
【0065】
すでに述べられたように、一側面において、本発明は、建築表面への適用のためのフィルムを提供し、フィルムは、以下の順序で:光透過性着色層;光透過性正面電極層;電気光学層;背面電極層;接着剤層;および剥離シートを備えている。このフィルムは、剥離シートをフィルムの残りの層から剥がし、接着剤層(要求される場合、加熱等の任意の必要な活性化後)を建築表面と接触させ、それによって、フィルム(剥離シートを除き)を建築表面に固定することによって、建築表面に適用されるように意図される。
【0066】
図3は、壁302に適用される本発明の可変色調フィルム(概して、300として指定される)を通した概略断面である。フィルム300は、塗装された光透過性着色上張りを伴う受け取りフィルムの形態を有する光透過性着色層304を備えている。着色層304は、光透過性正面電極層306に固定され、光透過性正面電極層306は、電気光学層308と接触し、電気光学層308は、無色流体中に分散させられた黒色および白色粒子を備えているカプセル化された電気泳動媒体として図示される。電気光学層308の正面電極層306と反対側上に、背面電極層310とラミネーション接着剤層312とがあり、ラミネーション接着剤層312は、壁302と直接接触する。壁302に適用されることに先立って、フィルム300は、ラミネーション接着剤層312を被覆する剥離シート(図示せず)も備えていた。この剥離シートは、当然ながら、ラミネーション接着剤層312を壁302に接着させることを可能にするために除去された。
【0067】
前述の説明から明らかであろうように、フィルム300は、着色層304と、正面電極層306とを備えているフィルムから開始して、前述の米国特許第6,982,178号に説明されるように、フロントプレーンラミネート(FPL)を最初に生産することによって、生産され得る。別個に、ラミネーション接着剤層312は、剥離シート上にコーティングされ、結果として生じる接着剤層/剥離シートサブアセンブリは、FPLの背面電極層にラミネートされ、最終フィルムを生産する。そのようなプロセスは、「余分な」接着剤層を電気光学層308と背面電極層310との間に残すであろうが、そのような余分な接着剤層は、適切な伝導性を有することを所与として、好ましくないわけではない。明らかに、種々の他のプロセスが、フィルム300を形成するために使用され得る。特に、背面電極層310は、平面であるので、電気光学層308は、背面電極310上にコーティングされ得、その後、着色層304と、正面電極層306と、ラミネーション接着剤層とを備えているサブアセンブリが、露出させられた電気光学層308にラミネートされ得る。そのようなプロセスは、「余分な」接着剤層を電気光学層308と正面電極層306との間に残すであろうが、そのような余分な接着剤層は、適切な伝導性を有することを所与として、好ましくないわけではない。本プロセスは、その層がカプセル化された電気泳動媒体であるとき、電気光学層308を乾燥させるために典型的に要求される高温に着色層304をさらすことを回避するという利点を有する。
【0068】
着色層304は、透過カラー上張りを受け取りフィルム上に適用することによって生産され得る。代替として、透過カラーゲルが、図3に示される正面電極層の視認表面に適用され得る。
【0069】
図4は、壁(概して、400として指定される)の正面立面図であり、壁は、その上に搭載された上側および下側水平導体402および404を有する。これらの導体は、金属テープ(図4に図示されるように)の形態であり得、金属テープは、それらの背面表面上に感圧式接着剤を提供され、それらは、感圧式接着剤を用いて壁に取り付けられる。導体402および404の両方は、ディスプレイドライバ(図示せず)に接続される。
【0070】
図3に示されるフィルムの2つの細片406、408も、壁400上に搭載される。(通常、2つを上回る細片が、使用されるであろうが、図4は、例証を容易にするために、簡略化されていることを理解されたい。)各細片406、408は、その上側端に、細片の背面電極と電気接触する、背面コネクタ410を具備する。各背面コネクタ410は、タブの形態を有し、細片406、408の左側縁の上側部分から水平に延び(図4に図示されるように)、上側導体402を覆う。電気接触は、2つを接触するように押すことによって、コネクタ410と導体402との間で行われるが、導電性接着剤が、所望に応じて、使用され得る。同様に、各細片406、408は、その下側端に、背面コネクタ410に形態が類似するが、細片の正面電極および下側導体404と電気接触する正面コネクタ412を具備する。細片406は、細片408のコネクタ410、412を被覆、したがって、隠すように配列されることに留意されたい。偶発的短絡回路を防止するために、コネクタ420、412の正面表面は、絶縁層(図示せず)で被覆される。したがって、フィルムの複数の細片が、互いに隣接して配列され、従来の壁紙に類似する様式において、壁を被覆すると、1つのみの対のコネクタ410、412が、露出させられ、この露出させられた対は、装飾縁成型によって被覆され得る。
【0071】
導体402、404の位置の変動(細片406、408の端部に沿ってある必要がないが、中間位置を占有し得る)を可能にするために、互いに間隔を置かれた複数の組のコネクタ410、412を伴う細片を提供することが望ましくあり得る。代替として、コネクタ410、412は、図4に図示されるものを上回る垂直寸法を有することができ、その場合、導体402、404のうちの1つと接触しない余分なコネクタを切り落とすことが望ましくあり得る。脆弱線(例えば、ミシン目を打つことによって)を導体内に提供し、余分な材料の除去を促進することが便利であり得る。
【0072】
ある場合、対応する複数の組のコネクタ410、412とともに、複数の組の導体402、404を壁上に提供することが有利であり得る。そのような複数の組の導体およびコネクタは、有用な冗長性を提供し、フィルムが、1つの接触が失敗する場合でも、動作を継続することを可能にすることができる。互いに間隔を置かれた複数の組の導体およびコネクタは、第US2016/0232835号および第US2018/0136532号に説明される様式において、魅力的視覚的効果をフィルム内に生産することにおいても有用であり得る。
【0073】
図5Aは、図3のそれに類似するが、壁502に適用された本発明の可変色相フィルム(概して、500として指定される)を示す概略断面である。フィルム500は、光透過性着色層304と、光透過性正面電極層306と、背面電極層310と、ラミネーション接着剤層312とを備え、それらの全ては、本質的に、図3に示されるフィルム300の対応する層と同じである。壁502に適用されることに先立って、フィルム500は、ラミネーション接着剤層312を被覆する剥離シート(図示せず)も備えていた。この剥離シートは、当然ながら、ラミネーション接着剤層312を壁502に接着させることを可能にするために除去された。
【0074】
しかしながら、フィルム500は、その電気光学層508が、白色とマゼンタ色状態との間で切り替え可能なカプセル化された電気泳動媒体であるという点で、フィルム300と異なる。図5Aは、その白色状態における電気光学層508を伴うフィルム500を図示する(フィルム500の露出させられた表面から見られるように)。この白色状態は、フィルムに、着色層304の黄色を表示させる。他方、図5Bは、そのマゼンタ色状態における電気光学層508を伴うフィルム500を図示する。色科学における当業者に明白であろうように、着色層304の透過性黄色は、青色光を吸収する一方、マゼンタ色顔料は、緑色光を吸収し、したがって、2つの色の重ね合わせは、フィルム500に赤色を表示させる。着色層304の色の変動および電気光学層508内の顔料が、種々の色遷移が本発明の可変色相フィルムによってもたらされることを可能にするであろうことが、色科学における当業者に容易に明白であろう。さらに、本発明は、二色(2つの色)電気光学層の使用に限定されない。前述の特許および出願公開は、図5Aおよび5Bにおける層306および310等の単純対の電極によって駆動されることが可能な三色および四色電気泳動媒体を説明しており、そのような三色および四色電気泳動媒体は、本発明のフィルムにおいて、複雑な色遷移を生産するために使用されることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】