(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171775
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】組織を撮像および操作するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 18/22 20060101AFI20221104BHJP
A61N 5/067 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
A61B18/22
A61N5/067
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143611
(22)【出願日】2022-09-09
(62)【分割の表示】P 2020211156の分割
【原出願日】2015-09-11
(31)【優先権主張番号】62/049,955
(32)【優先日】2014-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】505098937
【氏名又は名称】リサーチ ディベロップメント ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】マーク ディー. フェルドマン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス イー. ミルナー
(57)【要約】
【課題】組織を撮像および操作するためのシステムおよび方法の提供。
【解決手段】本開示の例示的実施形態は、例えば、組織を凝固させ、その分子結合を破壊(例えば、切断)することを含む、光を使用して組織を撮像、操作、ならびに分析することが可能なシステムおよび方法を含む。いくつかの実施形態では、例示的実施形態は、同時に撮像および操作することを含め、組織を撮像および操作するために、光エネルギーの利点を利用する。例えば、光は、細胞内空間スケール(1μm)において大量のエンコードされた情報(例えば、300THz)を伝送する能力を有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイス、システム、方法等。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2014年9月12日に出願された米国仮特許出願第62/049,955号に対する優先権を主張するものであり、該仮出願の内容は、参照により本明細書中に援用される。
【背景技術】
【0002】
伝統的外科手術技法および装置は、組織を撮像ならびに操作するために、独立したシステムならびに構成要素を利用している。例えば、第1のシステムが、外科手術技法が実施されるべき面積を撮像するために使用され得る一方、別個のシステムが、組織を凝固させ、切断するために使用され得る。
【0003】
外科医は、好ましい組織可視化を用いて空間的および/または時間的位置合わせにおいて組織を操作することが不可能であるため、複数の独立したシステムの使用は、手技の正確度を低減させ得る。加えて、外科手術手技中に実施される独立した機能のための別個のシステムの使用は、各システムが外科手術部位に導入され、それから抜去されなければならないため、外科手術時間の増加をもたらし、患者の疾病率および死亡率を増加させ得る。複数の外科手術システムの使用から生じる他の問題は、複数のシステムに関する外科手術部位への限定されたアクセスと、コスト増加とを含む。
【0004】
伝統的システムおよび技法はまた、周辺組織への外傷ならびに患者のより長い回復時間につながり得る、組織操作のための機械的構成要素を使用し得る。加えて、並行して撮像および切断をできないことで、ある動作を実施することができない、または動作を適正に実施することができず、将来的に繰り返し手技を要求する。
【0005】
多くの神経学的癌外科手術は、隣接する良性構造を損傷させることなく、腫瘍細胞および組織の精密な切断ならびに除去のための撮像を増進する特殊化ツールを要求する。例えば、脳腫瘍は、脳室を介してアクセス可能であるが、外科医は、並行して腫瘍と健常組織との間の境界線を撮像し得ず、安全なマージンを確立し得ないため、手術不可能である。事前病期分類撮像および外科手術手技は、過去20年間でかなり改善されているが、転帰成功(すなわち、無癌患者)率は、有意に改善されていない。既存の高い再発率および対応する転帰不良に関する有力な仮説は、腫瘍マージンの不適切な選択に起因して、癌細胞が患者内に残されているということである。外科手術中の伝統的生検を使用する腫瘍マージン選択のために利用される現在の方法は、限定されており、時間がかかる。現在の実践は、外科医が生検のために組織領域を物理的に標識化し、生検を実施し、手動で組織を病理検査室に移動することを要求し、凍結切片の作成および切片化、凍結切片の染色、癌病理医による顕微鏡下での凍結組織切片の診断観察、ならびに最終的に外科医への診断結果の口頭伝達を要求し、このプロセスは、約30分を要求し、外科医の好ましいワークフローに支障をきたす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
故に、既存のシステムおよび方法と関連付けられるこれらならびに他の制限を克服するシステムおよび方法が、所望される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の例示的実施形態は、例えば、組織を凝固させ、その分子結合を破壊(例えば、切断)することを含む、光を使用して組織を撮像ならびに操作することが可能なシステムおよび方法を含む。特定の実施形態が、神経外科手術、耳、鼻、および咽喉(ENT)手技、産科、婦人科、胃腸病、肺手技、末梢神経外科手術、または他の用途における使用のために構成されてもよい。
【0008】
いくつかの実施形態では、例示的実施形態は、同時に撮像および操作することを含め、組織を撮像および操作するために、光エネルギーの利点を利用する。例えば、光は、細胞内空間スケール(1μm)において大量のエンコードされた情報(例えば、300THz)を伝送する能力を有する。加えて、光は、光子吸収または光子運動量伝達(散乱)によって所望される標的を修正し得るため、光は、切開を伴わずに上皮組織層を透過することができる。特定の実施形態は、組織を撮像するための光コヒーレンス断層撮影(OCT)ならびに/または多重光子発光(MPL)システムおよび構成要素と、組織を凝固させ、その分子結合を破壊することを含め、組織を操作するための光を提供するレーザとを利用する。
【0009】
本開示の例示的実施形態は、撮像、凝固(例えば、血流中断)、および組織除去(例えば、組織「切断」)のための3つの新規のレーザ技術を統合し、新しい外科手術パラダイムを示唆する。いくつかの細胞層の切断精度を伴う画像ガイド高速組織除去の能力は、外科手術技術において先例がない。例示的実施形態は、アクセスが、以前は手術不可能であった腫瘍および小限定空間内の他の病理組織を除去することを可能にするであろう。故に、周辺神経、特殊な筋肉、および重要な腺が、守られ、それによって、外科手術後の患者の予後を実質的に改善することができる。
【0010】
例示的実施形態は、特殊な神経、筋肉、腺、ならびに他の正常な器官および支持構造と近接近する多くの複雑な病変の外科手術除去のために利用されてもよい。例えば、子宮内膜症は、卵巣、腸、および膀胱、ならびに他の腹部構造と頻繁に関連付けられ、従来の外科手術手技を使用する除去は、卵子もしくは卵の喪失、または糞便もしくは尿による腹部の汚染に起因して、女性患者の受胎寿命を減少させるリスクをもたらす。例示的実施形態は、迅速、安全、かつより精密に、正常な卵胞をもたらさない卵巣病変を除去し、無菌腹腔の細菌汚染のリスクを伴わずに子宮内膜組織を除去し得る。
【0011】
ある実施形態は、第1の光源が組織に入射すると、組織を撮像する際に使用するための信号を提供するように構成される、第1の光源と、組織(例えば、周辺血管)を凝固させるように構成される、第2の光源と、第3の光源が組織に入射すると、第2の光源によって凝固された組織の分子結合を破壊するように構成される、第3の光源とを備えるシステムを含む。特定の実施形態では、第1の光源、第2の光源、および第3の光源は、同一段階において単一ファイバ(または内視鏡もしくは腹腔鏡等のより大きい構造)を通して光を放出する。いくつかの実施形態では、第1の光源、第2の光源、および第3の光源は、異なる時間において単一ファイバ(または内視鏡もしくは腹腔鏡等のより大きい構造)を通して光を放出する。いくつかの実施形態では、単一ファイバは、内視鏡または腹腔鏡の構成要素であってもよい。具体的実施形態では、第1の光源から取得された信号は、血流中断および組織除去機能を実施するために使用される光源を配向させる、または位置付けるために使用される。いくつかの実施形態では、血流中断(例えば、凝固)および組織除去機能は、別個の第2および第3の光源によって実施されてもよいが、他の実施形態では、血流中断および組織除去機能は、同一の光源(例えば、第2の光源)によって実施されてもよい。
【0012】
特定の実施形態では、第1の光源は、OCT光源を含んでもよい。他の実施形態では、第1の光源は、MPLのために好適な短パルス光源を含んでもよく、さらに他の実施形態では、第1の光源は、OCTおよびMPLの両方のために利用されてもよい。ある実施形態では、第3の光源は、ダイオードレーザシードファイバ増幅源であり得、特定の実施形態では、ダイオードレーザシードファイバ増幅源は、1800nm~2200nmの波長範囲内のエネルギーを放出するように構成されることができる。いくつかの実施形態では、ダイオードレーザシードファイバ増幅源は、あるパルスプロファイル、パルスエネルギー、およびパルス繰り返し率を有するエネルギーを放出するように構成されることができる。特定の実施形態では、パルスプロファイル、パルスエネルギー、およびパルス繰り返し率のうちの少なくとも1つは、組織除去率を調節するように制御されることができる。
【0013】
ある実施形態では、第3の光源は、可変半導体レーザシードファイバ増幅源であり得、特定の実施形態では、可変半導体レーザシードファイバ増幅源は、1800nm~2200nmの波長範囲内のエネルギーを放出するように構成されることができる。いくつかの実施形態では、可変半導体レーザシードファイバ増幅源は、あるパルスプロファイル、パルスエネルギー、およびパルス繰り返し率を有するエネルギーを放出するように構成されることができる。具体的実施形態では、パルスプロファイル、パルスエネルギー、およびパルス繰り返し率のうちの少なくとも1つは、組織除去率を調節するように制御されることができる。
【0014】
ある実施形態では、第3の光源が組織に入射すると、第3の光源は、第2の光源によって凝固された組織の分子結合を破壊するように構成されることができる。特定の実施形態では、第3の光源が組織に入射すると、第3の光源は、組織のタンパク質の四次構造を改変するように構成されることができる。
【0015】
特定の実施形態では、第1の光源から取得された信号は、コンピュータプロセッサへの入力である。いくつかの実施形態では、コンピュータプロセッサは、第2の光源および第3の光源の配向または位置を制御するために使用される出力データを提供する。いくつかの実施形態では、コンピュータプロセッサは、第3の光源のパルスプロファイル、パルスエネルギー、およびパルス繰り返し率を制御するために使用される出力データを提供する。ある実施形態では、第2の光源は、血液によって吸収される波長範囲内のエネルギーを放出するレーザである。具体的実施形態では、血液は、オキシヘモグロビン、デオキシヘモグロビン、および水の混合物を含む。いくつかの実施形態では、血液は、純粋なオキシヘモグロビンを含むヘモグロビンを含有する。ある実施形態では、血液は、純粋なデオキシヘモグロビンを含むヘモグロビンを含有する。特定の実施形態では、第2の光源は、イッテルビウムファイバレーザ、イットリウムアルミニウムガーネット(YAG)レーザ、周波数が倍加されたイッテルビウムファイバレーザ、周波数が倍加されたYAGレーザ、色素レーザ、またはTmファイバレーザである。
【0016】
ある実施形態では、第2の光源は、周波数が倍加されたイッテルビウムファイバレーザであり得る。特定の実施形態では、第3の光源は、Tmドープファイバ主発振器電力増幅器(MOPA)であり得る。いくつかでは、TmドープMOPAシードレーザは、半導体ダイオードレーザであり得る。具体的実施形態では、シードレーザは、可変レーザであり得る。
【0017】
ある実施形態では、第2の光源は、532nm、585nm、1064nm、および/または1940nmを含む波長範囲内のエネルギーを放出するように構成され、特定の実施形態では、第2の光源は、350nm~2200nmの波長範囲内のエネルギーを放出するように構成される。
【0018】
いくつかの実施形態では、光コヒーレンス断層撮影光源は、掃引源光コヒーレンス断層撮影光源として構成される。具体的実施形態では、光コヒーレンス断層撮影光源は、広帯域光コヒーレンス断層撮影光源として構成される。いくつかの実施形態では、第1の光源は、多重光子発光光源を含み、特定の実施形態では、第1の光源は、光コヒーレンス断層撮影光源と、多重光子発光光源とを含む。ある実施形態では、第2の光源は、組織の分子結合を実質的に破壊することなく、少なくとも組織タンパク質の四次構造を修正するために十分な振幅および周波数においてエネルギーを放出するように構成される。特定の実施形態では、第3の光源は、組織の分子結合を破壊するために十分な振幅および周波数においてエネルギーを放出するように構成されるレーザである。
【0019】
具体的実施形態は、第1の光源が組織に入射すると、組織を撮像する際に使用するためのデータを提供するように構成される、撮像光源と、凝固光が組織に入射すると、組織を凝固させるために凝固光を放出するように構成される、凝固光源と、結合破壊光源が組織に入射すると、第2の光源によって凝固された組織の分子結合を破壊するために結合破壊光を放出するように構成される、結合破壊光源とを備えるシステムを含む。いくつかの実施形態では、撮像光源は、光コヒーレンスまたは多重光子発光光源を含み、特定の実施形態では、撮像光源は、光コヒーレンス断層撮影光源と、多重光子発光光源とを含む。
【0020】
ある実施形態では、凝固光および結合破壊光は、共通光源から発信する。特定の実施形態では、共通光源は、ダイオードレーザシードファイバ増幅源である。いくつかの実施形態では、ダイオードレーザシード増幅源は、1800nm~2200nmの波長範囲内のエネルギーを放出するように構成されることができる。具体的実施形態では、ダイオードシードファイバ増幅源は、あるパルスプロファイル、パルスエネルギー、およびパルス繰り返し率を有するエネルギーを放出するように構成されることができる。ある実施形態では、パルスプロファイル、パルスエネルギー、およびパルス繰り返し率のうちの少なくとも1つは、組織凝固を調節するように制御されることができる。ある実施形態では、パルスプロファイル、パルスエネルギー、およびパルス繰り返し率のうちの少なくとも1つは、組織除去率を調節するように制御されることができる。
【0021】
具体的実施形態では、共通光源は、可変半導体レーザシードファイバ増幅源であり得る。特定の実施形態では、可変半導体レーザシードファイバ増幅源は、1800nm~2200nmの波長範囲内のエネルギーを放出するように構成されることができる。いくつかの実施形態では、可変半導体レーザシードファイバ増幅源は、あるパルスプロファイル、パルスエネルギー、およびパルス繰り返し率を有するエネルギーを放出するように構成されることができる。具体的実施形態では、パルスプロファイル、パルスエネルギー、およびパルス繰り返し率のうちの少なくとも1つは、組織凝固率を調節するように制御されることができる。具体的実施形態では、パルスプロファイル、パルスエネルギー、およびパルス繰り返し率のうちの少なくとも1つは、組織除去率を調節するように制御されることができる。ある実施形態では、結合破壊光源が組織に入射すると、結合破壊光源は、凝固光源によって凝固された組織の分子結合を破壊するように構成されることができる。
【0022】
特定の実施形態では、凝固光源および結合破壊光源は、使用中に同一段階において共通光源から発信する。いくつかの実施形態では、凝固光源および結合破壊光源は、使用中に異なる時間において共通光源から発信する。具体的実施形態では、凝固光源および結合破壊光源は、別個の光源から発信する。
【0023】
例示的実施形態は、組織を操作する方法を含み、本方法は、組織の第1の部分の初期画像信号を取得するステップであって、第1の光源が、組織の第1の部分に入射する、ステップと、第2の光源を第2の組織部分上に位置付けるステップであって、第2の光源は、組織の第2の部分を凝固させる、ステップと、光エネルギーを介して、組織の第3の部分の分子結合を破壊するステップとを含む。いくつかの実施形態では、第1の光源は、光コヒーレンスまたは多重光子発光光源を含み、特定の実施形態では、第1の光源は、光コヒーレンス断層撮影光源と、多重光子発光光源とを含む。
【0024】
ある実施形態では、組織の第2の部分は、組織の第1の部分と、組織の第3の部分とを含む。いくつかの実施形態はさらに、第2の光源を組織の第2の部分上に位置付けるステップの後、組織の第1の部分の分子結合を破壊するステップの前に、組織の第1の部分の付加的画像データを取得するステップを含む。具体的実施形態では、組織の第3の部分の分子結合を破壊するために使用される光エネルギーは、第3の光源から放出される。ある実施形態では、第1の光源、第2の光源、および第3の光源は、内視鏡または腹腔鏡等の単一ファイバもしくはより大きい構造を通して光を放出する。具体的実施形態では、単一ファイバは、内視鏡または腹腔鏡の構成要素であり得る。特定の実施形態では、組織の第3の部分の分子結合を破壊するために使用される光エネルギーは、第2の光源から放出される。
【0025】
例示的実施形態は、組織を修正する方法を含み、本方法は、光エネルギーを組織の第1の部分に指向させ、組織の第1の部分の画像信号を記録するステップと、光エネルギーを組織の第2の部分に指向させ、組織の第2の部分を凝固させるステップと、光エネルギーを組織の第3の部分に指向させ、組織の第3の部分の分子結合を破壊するステップとを含む。いくつかの実施形態では、光エネルギーを組織の第1の部分に指向させるステップは、光エネルギーを光コヒーレンス断層撮影光源または多重光子発光光源から指向させるステップを含む。特定の実施形態では、光エネルギーを組織の第1の部分に指向させるステップは、光エネルギーを光コヒーレンス断層撮影光源および多重光子発光光源から指向させるステップを含む。ある実施形態では、組織の第2の部分は、組織の第1の部分と、組織の第3の部分とを含む。
【0026】
特定の実施形態では、組織の第1の部分に指向される光エネルギーは、第1の光源から放出され、組織の第2および第3の部分に指向される光エネルギーは、共通光源から発信する。いくつかの実施形態では、組織の第1の部分に指向される光エネルギーは、第1の光源から放出され、組織の第2の部分に指向される光エネルギーは、第2の光源から放出され、組織の第3の部分に指向される光エネルギーは、第3の光源から放出される。
【0027】
例示的実施形態は、組織を修正する方法を含み、本方法は、第1の光源が組織の第1の部分に入射するように、第1の光源を位置付けるステップと、組織の第1の部分の初期画像信号を取得するステップと、第2の光源が組織の第2の部分に入射するように、第2の光源を位置付けるステップであって、第2の光源は、組織の第2の部分を凝固させる、ステップと、組織の第3の部分の分子結合を破壊するステップとを含む。いくつかの実施形態では、第1の光源は、光コヒーレンスまたは多重光子発光光源を含み、特定の実施形態では、第1の光源は、光コヒーレンス断層撮影光源と、多重光子発光光源とを含む。いくつかの実施形態では、組織の第1の部分を撮像するステップは、光エネルギーを光コヒーレンス断層撮影光源または多重光子発光光源から組織の第1の部分に指向させるステップを含む。
【0028】
ある実施形態は、組織を修正する方法を含み、本方法は、組織の第1の部分を撮像するステップと、光エネルギーを用いて組織の第2の部分を凝固させるステップと、光エネルギーを用いて組織の第3の部分の分子結合を破壊するステップとを含む。いくつかの実施形態では、組織の第1の部分を撮像するステップは、光エネルギーを光コヒーレンス断層撮影光源または多重光子発光光源から組織の第1の部分に指向させるステップを含む。ある実施形態では、組織の第1の部分を撮像するステップは、光エネルギーを光コヒーレンス断層撮影光源および多重光子発光光源から組織の第1の部分に指向させるステップを含む。特定の実施形態では、組織の第1の部分、組織の第2の部分、および組織の第3の部分は、共通組織を含有する。ある実施形態では、組織の第1の部分は、組織の第2の部分と、組織の第3の部分とを含む。特定の実施形態では、組織の第2の部分を凝固させるために使用される光エネルギーおよび分子結合を破壊するために使用される光エネルギーは、共通光源から発信する。いくつかの実施形態では、組織の第2の部分を凝固させるために使用される光エネルギーおよび分子結合を破壊するために使用される光エネルギーは、別個の光源から発信する。
【0029】
ある実施形態は、第1の光源が組織に入射すると、組織を撮像する際に使用するためのデータを提供するように構成される、第1の光源と、第2の光源が組織に入射するときの組織を凝固させるように構成され、その分子結合を破壊するように構成される、第2の光源とを備えるシステムを含む。いくつかの実施形態では、第1の光源は、光コヒーレンスまたは多重光子発光光源を含み、特定の実施形態では、第1の光源は、光コヒーレンス断層撮影光源と、多重光子発光光源とを含む。特定の実施形態では、第1の光源および第2の光源は、同一段階において単一ファイバを通して光を放出するように構成される。いくつかの実施形態では、単一ファイバは、内視鏡または腹腔鏡の構成要素であり得る。具体的実施形態では、第1の光源および第2の光源は、異なる時間において単一ファイバを通して光を放出するように構成される。特定の実施形態では、単一ファイバは、内視鏡または腹腔鏡の構成要素であり得る。いくつかの実施形態では、第1の光源から取得されたデータは、第2の光源および第3の光源を配向させる、または位置付けるために使用されることができる。具体的実施形態では、第1の光源から取得されたデータは、コンピュータプロセッサへの入力であり得る。
【0030】
ある実施形態では、コンピュータプロセッサは、第2の光源の配向または位置を制御するために使用される出力データを提供することができる。特定の実施形態では、第2の光源は、血液によって吸収される波長範囲内のエネルギーを放出するレーザである。具体的実施形態では、血液は、オキシヘモグロビン、デオキシヘモグロビン、および水の混合物を含む。いくつかの実施形態では、血液は、純粋なオキシヘモグロビンを含む。特定の実施形態では、血液は、純粋なデオキシヘモグロビンを含む。ある実施形態では、第2の光源は、TmドープファイバMOPAであり得る。特定の実施形態では、第2の光源は、可変TmドープファイバMOPAであり得る。特定の実施形態では、第2の光源は、1940nmを含む波長範囲内のエネルギーを放出するように構成されることができる。ある実施形態では、第2の光源は、450nm~2200nmの波長範囲内のエネルギーを放出するように構成されることができる。特定の実施形態では、第1の光源は、掃引源光コヒーレンス断層撮影光源として構成されることができる。いくつかの実施形態では、第1の光源は、スーパールミネセントダイオード等の広帯域光コヒーレンス断層撮影光源として構成されることができる。ある実施形態では、第1の光源は、MPL光源を含んでもよく、特定の実施形態では、第1の光源は、OCPおよびMPL光源の両方を含んでもよい。具体的実施形態では、第2の光源は、少なくとも組織タンパク質の四次構造を修正するために十分かつ組織の分子結合を破壊するために十分な振幅および周波数においてエネルギーを放出するように構成されることができる。
【0031】
ある実施形態は、組織試料を受容するように構成される、真空補助下処理チャンバと、組織試料を真空補助下処理チャンバ内に位置付けるように構成される、第1の微小位置アクチュエータと、組織試料を真空補助下処理チャンバ内に位置付けるように構成される、第2の微小位置アクチュエータと、真空補助下処理チャンバ内の組織試料の一部を除去するように構成される、レーザとを備える、組織処理システムを含む。特定の実施形態では、レーザは、フェムト秒パルスレーザである。いくつかの実施形態では、第1の微小位置アクチュエータおよび第2の微小位置アクチュエータは、相互に直交する。具体的実施形態では、組織処理チャンバは、リン酸緩衝食塩水を備え、いくつかの実施形態では、組織処理チャンバは、光学的に透明なウィンドウを備える。ある実施形態では、組織処理チャンバは、使い捨てである。
【0032】
特定の実施形態では、組織処理チャンバは、第1の微小位置アクチュエータの係合のための水密シールを形成するために、第1の自己シール隔壁を備え、組織処理チャンバは、第2の微小位置アクチュエータの係合のための水密シールを形成するために、第2の自己シール隔壁を備える。いくつかの実施形態では、第1の微小位置アクチュエータは、第1の自己シール隔壁を穿刺するように構成される針を備え、第2の微小位置アクチュエータは、第2の自己シール隔壁を穿刺するように構成される針を備える。
【0033】
具体的実施形態では、第1の微小位置アクチュエータは、第1のステッパモータに結合され、第2の微小位置アクチュエータは、第2のステッパモータに結合される。ある実施形態では、第1および第2のステッパモータは、真空補助下処理チャンバ内で組織試料を回転させるように動作されることができる。
【0034】
特定の実施形態は、組織を分析するための方法を含み、本方法は、真空補助下器具を介して検体から組織試料を採取するステップと、組織試料を正圧流体チャネルを通して組織処理チャンバに輸送するステップと、組織試料からある切片を切断するステップと、切片に多重光子発光-光コヒーレンス断層撮影(MPL-OCT)光学アッセイを実施するステップと、MPL-OCT光学アッセイからのデータを処理するステップとを含む。いくつかの実施形態では、組織試料を採取するステップとMPL-OCT光学アッセイからのデータを処理するステップとの間で経過する時間は、5分を下回る。具体的実施形態では、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)が、MPL-OCT光学アッセイから処理する。ある実施形態では、MPL-OCT光学アッセイからのデータを処理するステップは、組織試料の切片内に腫瘍マージンを確立するステップを含む。いくつかの実施形態では、腫瘍マージンは、切片の第1の画像および切片の第2の画像をオーバーレイするステップを含む。具体的実施形態では、切片は、約500μmの厚さである。特定の実施形態では、MPL-OCT光学アッセイは、切片の第1の側および切片の第2の側に実施される。いくつかの実施形態では、組織試料は、体積が1.0~4.0立方ミリメートルである。ある実施形態では、真空補助下器具は、メスに統合される。特定の実施形態では、真空補助下器具は、焼灼器に統合される。
【0035】
以下では、用語「結合される」は、必ずしも直接的ではなく、かつ必ずしも機械的ではないが、「接続される」と定義される。
【0036】
単語「ある」(「a」または「an」)の使用は、請求項および/または本明細書で用語「備える」と併用されると、「1つ」を意味し得るが、「1つまたはそれを上回る」または「少なくとも1つ」の意味とも一致する。用語「約」は、概して、記載された値±5%を意味する。請求項における用語「または」の使用は、代替のみを指すように明示的に指示されない限り、または代替が相互に排他的でない限り、「および/または」を意味するように使用されるが、本開示は、代替のみ、ならびに「および/または」を指す定義を支持する。
【0037】
用語「備える」(ならびに「comprises」および「comprising」等の備える(comprise)の任意の形態)、「有する」(ならびに「has」および「having」等の有する(have)の任意の形態)、「含む」(ならびに「includes」および「including」等の含む(include)の任意の形態)、および「含有する」(ならびに「contains」および「containing」等の含む(contain)の任意の形態)は、非制約的な連結動詞である。その結果、1つまたはそれを上回るステップもしくは要素を「備える」、「有する」、「含む」、または「含有する」方法もしくはデバイスは、それらの1つまたはそれを上回るステップもしくは要素を保有するが、それらの1つまたはそれを上回る要素のみを保有することに限定されない。同様に、1つまたはそれを上回る特徴を「備える」、「有する」、「含む」、または「含有する」方法のステップもしくはデバイスの要素は、それらの1つまたはそれを上回る特徴を保有するが、それらの1つまたはそれを上回る特徴のみを保有することに限定されない。さらに、ある方法で構成されるデバイスまたは構造は、少なくともそのように構成されるが、また、列挙されていない方法で構成されてもよい。
【0038】
本発明の他の目的、特徴、および利点は、以下の発明を実施するための形態から明白となるであろう。しかしながら、本発明の精神および範囲内の種々の変更ならびに修正が、この詳細な説明から当業者に明白となるであろうため、詳細な説明および具体的実施例は、本発明の具体的実施形態を示す一方で、例証のみとして与えられることを理解されたい。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
システムであって、
第1の光源であって、前記第1の光源が組織に入射すると、組織を撮像する際に使用するための信号を提供するように構成される第1の光源と、
第2の光源であって、前記第2の光源が組織に入射すると、組織を凝固させるように構成される第2の光源と、
第3の光源であって、前記第3の光源が組織に入射すると、組織の分子結合を破壊するように構成される第3の光源と、
を備える、システム。
(項目2)
前記第3の光源は、ダイオードレーザシードファイバ増幅源である、項目1に記載のシステム。
(項目3)
前記ダイオードシードファイバ増幅源は、1800nm~2200nmの波長範囲内のエネルギーを放出するように構成される、項目2に記載のシステム。
(項目4)
前記ダイオードシードファイバ増幅源は、あるパルスプロファイル、パルスエネルギー、およびパルス繰り返し率を有するエネルギーを放出するように構成される、項目2に記載のシステム。
(項目5)
前記パルスプロファイル、パルスエネルギー、およびパルス繰り返し率のうちの少なくとも1つは、組織除去率を調節するように制御されることができる、項目4に記載のシステム。
(項目6)
前記第3の光源は、可変半導体レーザシードファイバ増幅源である、項目1に記載のシステム。
(項目7)
前記可変半導体レーザシードファイバ増幅源は、1800nm~2200nmの波長範囲内のエネルギーを放出するように構成される、項目6に記載のシステム。
(項目8)
前記可変半導体レーザシードファイバ増幅源は、あるパルスプロファイル、パルスエネルギー、およびパルス繰り返し率を有するエネルギーを放出するように構成される、項目6に記載のシステム。
(項目9)
前記パルスプロファイル、パルスエネルギー、およびパルス繰り返し率のうちの少なくとも1つは、組織除去率を調節するように制御されることができる、項目8に記載のシステム。
(項目10)
前記第3の光源が組織に入射すると、前記第3の光源は、前記第2の光源によって凝固された組織の分子結合を破壊するように構成される、項目1に記載のシステム。
(項目11)
前記第3の光源が組織に入射すると、前記第3の光源は、組織のタンパク質の四次構造を改変するように構成される、項目1に記載のシステム。
(項目12)
前記第1の光源、前記第2の光源、および前記第3の光源は、同一段階において単一ファイバを通して光を放出する、項目1に記載のシステム。
(項目13)
前記単一ファイバは、内視鏡または腹腔鏡の構成要素である、項目12に記載のシステム。
(項目14)
前記第1の光源、前記第2の光源、および前記第3の光源は、異なる時間において単一ファイバを通して光を放出する、項目1に記載のシステム。
(項目15)
前記単一ファイバは、内視鏡または腹腔鏡の構成要素である、項目14に記載のシステム。
(項目16)
前記第1の光源から取得された信号は、前記第2の光源および前記第3の光源を配向させる、または位置付けるために使用される、項目1に記載のシステム。
(項目17)
前記第1の光源から取得された信号は、コンピュータプロセッサへの入力である、項目16に記載のシステム。
(項目18)
前記コンピュータプロセッサは、前記第2の光源および前記第3の光源の配向または位置を制御するために使用される出力データを提供する、項目17に記載のシステム。
(項目19)
前記第2の光源は、血液によって吸収される波長範囲内のエネルギーを放出するレーザである、項目1に記載のシステム。
(項目20)
前記血液は、オキシヘモグロビン、デオキシヘモグロビン、および水の混合物を含む、項目19に記載のシステム。
(項目21)
前記血液は、純粋なオキシヘモグロビンを含むヘモグロビンを含有する、項目19に記載のシステム。
(項目22)
前記血液は、純粋なデオキシヘモグロビンを含むヘモグロビンを含有する、項目19に記載のシステム。
(項目23)
前記第2の光源は、イッテルビウムファイバレーザである、項目1に記載のシステム。(項目24)
前記第2の光源は、周波数が倍加されたイッテルビウムファイバレーザである、項目1に記載のシステム。
(項目25)
前記第3の光源は、Tmドープファイバ主発振器電力増幅器(MOPA)である、項目1に記載のシステム。
(項目26)
前記TmドープMOPAシードレーザは、半導体ダイオードレーザである、項目25に記載のシステム。
(項目27)
前記シードレーザは、可変レーザである、項目25に記載のシステム。
(項目28)
前記第2の光源は、350nm~2200nmの波長範囲内のエネルギーを放出するように構成される、項目1に記載のシステム。
(項目29)
前記第2の光源は、532nmを含む波長範囲内のエネルギーを放出するように構成される、項目1に記載のシステム。
(項目30)
前記第1の光源は、掃引源光コヒーレンス断層撮影光源として構成される、項目1に記載の装置。
(項目31)
前記第1の光源は、広帯域光コヒーレンス断層撮影光源として構成される、項目1に記載の装置。
(項目32)
前記第1の光源は、多重光子発光光源を含む、項目1に記載の装置。
(項目33)
前記第1の光源は、光コヒーレンス断層撮影光源と、多重光子発光光源とを含む、項目1に記載の装置。
(項目34)
前記第2の光源は、前記組織の分子結合を実質的に破壊することなく、少なくとも組織タンパク質の四次構造を修正するために十分な振幅および周波数においてエネルギーを放出するように構成される、項目1に記載のシステム。
(項目35)
前記第3の光源は、組織の分子結合を破壊するために十分な振幅および周波数においてエネルギーを放出するように構成されるレーザである、項目1に記載のシステム。
(項目36)
システムであって、
撮像光源であって、第1の光源が組織に入射すると、組織を撮像する際に使用するためのデータを提供するように構成される撮像光源と、
凝固光源であって、凝固光が組織に入射すると、組織を凝固させるために前記凝固光を放出するように構成される凝固光源と、
結合破壊光源であって、結合破壊光が組織に入射すると、組織の分子結合を破壊するために前記結合破壊光を放出するように構成される結合破壊光源と、
を備える、システム。
(項目37)
前記撮像光源は、光コヒーレンス断層撮影光源を含む、項目36に記載のシステム。
(項目38)
前記撮像光源は、多重光子発光光源を含む、項目36に記載のシステム。
(項目39)
前記撮像光源は、光コヒーレンス断層撮影光源と、多重光子発光光源を含む、項目36に記載のシステム。
(項目40)
前記凝固光および前記結合破壊光は、共通光源から発信する、項目36に記載のシステム。
(項目41)
前記共通光源は、ダイオードレーザシードファイバ増幅源である、項目40に記載のシステム。
(項目42)
前記ダイオードレーザシード増幅源は、1800nm~2200nmの波長範囲内のエネルギーを放出するように構成される、項目41に記載のシステム。
(項目43)
前記ダイオードシードファイバ増幅源は、あるパルスプロファイル、パルスエネルギー、およびパルス繰り返し率を有するエネルギーを放出するように構成される、項目41に記載のシステム。
(項目44)
前記パルスプロファイル、パルスエネルギー、およびパルス繰り返し率のうちの少なくとも1つは、組織除去率を調節するように制御されることができる、項目43に記載のシステム。
(項目45)
前記共通光源は、可変半導体レーザシードファイバ増幅源である、項目40に記載のシステム。
(項目46)
前記可変半導体レーザシードファイバ増幅源は、1800nm~2200nmの波長範囲内のエネルギーを放出するように構成される、項目45に記載のシステム。
(項目47)
前記可変半導体レーザシードファイバ増幅源は、あるパルスプロファイル、パルスエネルギー、およびパルス繰り返し率を有するエネルギーを放出するように構成される、項目45に記載のシステム。
(項目48)
前記パルスプロファイル、パルスエネルギー、およびパルス繰り返し率のうちの少なくとも1つは、組織除去率を調節するように制御されることができる、項目47に記載のシステム。
(項目49)
前記結合破壊光源が組織に入射すると、前記結合破壊光源は、前記凝固光源によって凝固された組織の分子結合を破壊するように構成される、項目36に記載のシステム。
(項目50)
前記凝固光源および前記結合破壊光源は、使用中に同一段階において共通光源から発信する、項目36に記載のシステム。
(項目51)
前記凝固光源および前記結合破壊光源は、使用中に異なる時間において共通光源から発信する、項目36に記載のシステム。
(項目52)
前記凝固光源および前記結合破壊光源は、別個の光源から発信する、項目36に記載のシステム。
(項目53)
組織を操作する方法であって、
組織の第1の部分の初期画像信号を取得するステップであって、第1の光源が、前記組織の第1の部分に入射する、ステップと、
第2の光源を第2の組織部分上に位置付けるステップであって、前記第2の光源は、前記組織の第2の部分を凝固させる、ステップと、
光エネルギーを介して、組織の第3の部分の分子結合を破壊するステップと、
を含む、方法。
(項目54)
前記第1の光源は、光コヒーレンス断層撮影光源を含む、項目53に記載の方法。
(項目55)
前記第1の光源は、多重光子発光光源を含む、項目53に記載の方法。
(項目56)
前記第1の光源は、光コヒーレンス断層撮影光源と、多重光子発光光源とを含む、項目53に記載の方法。
(項目57)
前記組織の第2の部分は、前記組織の第1の部分と、前記組織の第3の部分とを含む、項目53に記載の方法。
(項目58)
前記第2の光源を組織の第2の部分上に位置付けるステップの後、前記組織の第1の部分の分子結合を破壊するステップの前に、前記組織の第1の部分の付加的画像データを取得するステップをさらに含む、項目53に記載の方法。
(項目59)
前記組織の第3の部分の分子結合を破壊するために使用される光エネルギーは、第3の光源から放出される、項目53に記載の方法。
(項目60)
前記第1の光源、前記第2の光源、および前記第3の光源は、単一ファイバを通して光を放出する、項目60に記載の方法。
(項目61)
前記単一ファイバは、内視鏡または腹腔鏡の構成要素である、項目60に記載の方法。(項目62)
前記組織の第3の部分の分子結合を破壊するために使用される光エネルギーは、前記第2の光源から放出される、項目53に記載の方法。
(項目63)
組織を修正する方法であって、
光エネルギーを組織の第1の部分に指向させ、前記組織の第1の部分の画像信号を記録するステップと、
光エネルギーを組織の第2の部分に指向させ、前記組織の第2の部分を凝固させるステップと、
光エネルギーを組織の第3の部分に指向させ、前記組織の第3の部分の分子結合を破壊するステップと、
を含む、方法。
(項目64)
前記光エネルギーを組織の第1の部分に指向させるステップは、光エネルギーを光コヒーレンス断層撮影光源から指向させるステップを含む、項目63に記載の方法。
(項目65)
前記光エネルギーを組織の第1の部分に指向させるステップは、光エネルギーを多重光子発光光源から指向させるステップを含む、項目63に記載の方法。
(項目66)
前記光エネルギーを組織の第1の部分に指向させるステップは、光エネルギーを光コヒーレンス断層撮影光源および多重光子発光光源から指向させるステップを含む、項目63に記載の方法。
(項目67)
前記組織の第2の部分は、前記組織の第1の部分と、前記組織の第3の部分とを含む、項目63に記載の方法。
(項目68)
前記組織の第1の部分に指向される光エネルギーは、第1の光源から放出され、前記組織の第2および第3の部分に指向される光エネルギーは、共通光源から発信する、項目63に記載の方法。
(項目69)
前記組織の第1の部分に指向される光エネルギーは、第1の光源から放出され、
前記組織の第2の部分に指向される光エネルギーは、第2の光源から放出され、
前記組織の第3の部分に指向される光エネルギーは、第3の光源から放出される、
項目63に記載の方法。
(項目70)
組織を修正する方法であって、
第1の光源が組織の第1の部分に入射するように、前記第1の光源を位置付けるステップと、
前記組織の第1の部分の初期画像信号を取得するステップと、
第2の光源が組織の第2の部分に入射するように、前記第2の光源を位置付けるステップであって、前記第2の光源は、前記組織の第2の部分を凝固させる、ステップと、
組織の第3の部分の分子結合を破壊するステップと、
を含む、方法。
(項目71)
前記第1の光源は、光コヒーレンス断層撮影光源を含む、項目70に記載の方法。
(項目72)
前記第1の光源は、多重光子発光光源を含む、項目70に記載の方法。
(項目73)
前記第1の光源は、光コヒーレンス断層撮影光源と、多重光子発光光源とを含む、項目70に記載の方法。
(項目74)
組織を修正する方法であって、
組織の第1の部分を撮像するステップと、
光エネルギーを用いて組織の第2の部分を凝固させるステップと、
光エネルギーを用いて組織の第3の部分の分子結合を破壊するステップと、
を含む、方法。
(項目75)
前記組織の第1の部分を撮像するステップは、光エネルギーを光コヒーレンス断層撮影光源から前記組織の第1の部分に指向させるステップを含む、項目74に記載の方法。
(項目76)
前記組織の第1の部分を撮像するステップは、光エネルギーを多重光子発光光源から前記組織の第1の部分に指向させるステップを含む、項目74に記載の方法。
(項目77)
前記組織の第1の部分を撮像するステップは、光エネルギーを光コヒーレンス断層撮影光源から前記組織の第1の部分に指向させ、光エネルギーを光コヒーレンス断層撮影光源から前記組織の第1の部分に指向させるステップを含む、項目74に記載の方法。
(項目78)
前記組織の第1の部分、前記組織の第2の部分、および前記組織の第3の部分は、共通組織を含有する、項目74に記載の方法。
(項目79)
前記組織の第1の部分は、前記組織の第2の部分と、前記組織の第3の部分とを含む、項目74に記載の方法。
(項目80)
前記組織の第2の部分を凝固させるために使用される光エネルギーおよび前記分子結合を破壊するために使用される光エネルギーは、共通光源から発信する、項目74に記載の方法。
(項目81)
前記組織の第2の部分を凝固させるために使用される光エネルギーおよび前記分子結合を破壊するために使用される光エネルギーは、別個の光源から発信する、項目74に記載の方法。
(項目82)
システムであって、
第1の光源であって、前記第1の光源が組織に入射すると、組織を撮像する際に使用するためのデータを提供するように構成される第1の光源と、
第2の光源であって、前記第2の光源が組織に入射するときの組織を凝固させるように構成され、その分子結合を破壊するように構成される第2の光源と、
を備える、システム。
(項目83)
前記第1の光源は、光コヒーレンス断層撮影光源を含む、項目82に記載のシステム。(項目84)
前記第1の光源は、多重光子発光光源を含む、項目82に記載のシステム。
(項目85)
前記第1の光源は、光コヒーレンス断層撮影光源と、多重光子発光光源を含む、項目82に記載のシステム。
(項目86)
前記第1の光源および前記第2の光源は、同一段階において単一ファイバを通して光を放出するように構成される、項目82に記載のシステム。
(項目87)
前記単一ファイバは、内視鏡または腹腔鏡の構成要素である、項目86に記載のシステム。
(項目88)
前記第1の光源および前記第2の光源は、異なる時間において単一ファイバを通して光を放出するように構成される、項目82に記載のシステム。
(項目89)
前記単一ファイバは、内視鏡または腹腔鏡の構成要素である、項目86に記載のシステム。
(項目90)
前記第1の光源から取得されたデータは、前記第2の光源および前記第3の光源を配向させる、または位置付けるために使用される、項目82に記載のシステム。
(項目91)
前記第1の光源から取得されたデータは、コンピュータプロセッサへの入力である、項目90に記載のシステム。
(項目92)
前記コンピュータプロセッサは、前記第2の光源の配向または位置を制御するために使用される出力データを提供する、項目91に記載のシステム。
(項目93)
前記第2の光源は、血液によって吸収される波長範囲内のエネルギーを放出するレーザである、項目82に記載のシステム。
(項目94)
前記血液は、オキシヘモグロビン、デオキシヘモグロビン、および水の混合物を含む、項目93に記載のシステム。
(項目95)
前記血液は、純粋なオキシヘモグロビンを含む、項目93に記載のシステム。
(項目96)
前記血液は、純粋なデオキシヘモグロビンを含む、項目93に記載のシステム。
(項目97)
前記第2の光源は、TmドープファイバMOPAである、項目82に記載のシステム。(項目98)
前記第2の光源は、可変TmドープファイバMOPAである、項目82に記載のシステム。
(項目99)
前記第2の光源は、1940nmを含む波長範囲内のエネルギーを放出するように構成される、項目82に記載のシステム。
(項目100)
前記第2の光源は、450nm~2200nmの波長範囲内のエネルギーを放出するように構成される、項目82に記載のシステム。
(項目101)
前記第1の光源は、掃引源光コヒーレンス断層撮影光源として構成される、項目82に記載のシステム。
(項目102)
前記第1の光源は、広帯域光コヒーレンス断層撮影光源として構成される、項目82に記載のシステム。
(項目103)
前記第2の光源は、少なくとも組織タンパク質の四次構造を修正するために十分かつ前記組織の分子結合を破壊するために十分な振幅および周波数においてエネルギーを放出するように構成される、項目82に記載のシステム。
(項目104)
組織処理システムであって、
組織試料を受容するように構成される、真空補助下処理チャンバと、
前記組織試料を前記真空補助下処理チャンバ内に位置付けるように構成される、第1の微小位置アクチュエータと、
前記組織試料を前記真空補助下処理チャンバ内に位置付けるように構成される、第2の微小位置アクチュエータと、
前記真空補助下処理チャンバ内の前記組織試料の一部を除去するように構成される、レーザと、
を備える、組織処理システム。
(項目105)
前記レーザは、フェムト秒パルスレーザである、項目104に記載の組織処理システム。
(項目106)
前記第1の微小位置アクチュエータおよび前記第2の微小位置アクチュエータは、相互に直交する、項目104に記載の組織処理システム。
(項目107)
前記組織処理チャンバは、リン酸緩衝食塩水を備える、項目104に記載の組織処理システム。
(項目108)
前記組織処理チャンバは、光学的に透明なウィンドウを備える、項目104に記載の組織処理システム。
(項目109)
前記組織処理チャンバは、使い捨てである、項目104に記載の組織処理システム。
(項目110)
前記組織処理チャンバは、前記第1の微小位置アクチュエータの係合のための水密シールを形成するために、第1の自己シール隔壁を備え、
前記組織処理チャンバは、前記第2の微小位置アクチュエータの係合のための水密シールを形成するために、第2の自己シール隔壁を備える、
項目104に記載の組織処理システム。
(項目111)
前記第1の微小位置アクチュエータは、前記第1の自己シール隔壁を穿刺するように構成される針を備え、
前記第2の微小位置アクチュエータは、前記第2の自己シール隔壁を穿刺するように構成される針を備える、
項目110に記載の組織処理システム。
(項目112)
前記第1の微小位置アクチュエータは、第1のステッパモータに結合され、
前記第2の微小位置アクチュエータは、第2のステッパモータに結合される、
項目104に記載の組織処理システム。
(項目113)
前記第1および第2のステッパモータは、前記真空補助下処理チャンバ内で組織試料を回転させるように動作されることができる、項目112に記載の組織処理システム。
(項目114)
組織を分析するための方法であって、
真空補助下器具を介して検体から組織試料を採取するステップと、
前記組織試料を正圧流体チャネルを通して組織処理チャンバに輸送するステップと、
前記組織試料からある切片を切断するステップと、
前記切片に多重光子発光-光コヒーレンス断層撮影(MPL-OCT)光学アッセイを実施するステップと、
前記MPL-OCT光学アッセイからのデータを処理するステップと、
を含む、方法。
(項目115)
前記組織試料を採取するステップと前記MPL-OCT光学アッセイからのデータを処理するステップとの間で経過する時間は、5分を下回る、項目114に記載の方法。
(項目116)
フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)が、前記MPL-OCT光学アッセイから処理する、項目114に記載の方法。
(項目117)
前記MPL-OCT光学アッセイからのデータを処理するステップは、前記組織試料の切片内に腫瘍マージンを確立するステップを含む、項目114に記載の方法。
(項目118)
前記腫瘍マージンを確立するステップは、前記切片の第1の画像および前記切片の第2の画像をオーバーレイするステップを含む、項目117に記載の方法。
(項目119)
前記切片は、約500μmの厚さである、項目114に記載の方法。
(項目120)
前記MPL-OCT光学アッセイは、前記切片の第1の側および前記切片の第2の側に実施される、項目114に記載の方法。
(項目121)
前記組織試料は、体積が1.0~4.0立方ミリメートルである、項目114に記載の方法。
(項目122)
前記真空補助下器具は、メスに統合される、項目114に記載の方法。
(項目123)
前記真空補助下器具は、焼灼器に統合される、項目114に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0039】
本特許または出願ファイルは、カラーで実行された少なくとも1つの図面を含有する。カラー図面を伴う本特許または特許出願公開のコピーが、要請および必要な料金の支払に応じて、特許庁によって提供されるであろう。
【0040】
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本開示のある側面をさらに実証するように含まれる。本発明は、本明細書に提示される具体的実施形態の詳細な説明と組み合わせて、これらの図面のうちの1つを参照することによって、より深く理解され得る。
【0041】
【
図1】
図1は、ある例示的実施形態による、装置の概略図を示す。
【
図2】
図2は、ある例示的実施形態による、装置の概略図を示す。
【
図3】
図3は、ある例示的実施形態による、装置の概略図を示す。
【
図4】
図4は、ある例示的実施形態による、装置の概略図を示す。
【
図5】
図5A-5Cは、ある光源の例示的実施形態による、光源の概略図を示す。
【
図9】
図9は、X-Y走査検流計を伴う例示的実施形態による、装置の概略図を示す。
【
図10】
図10は、ある例示的実施形態による、送達システムの特定の実施形態を示す。
【
図11】
図11は、例示的実施形態に従って取得された画像を示す。
【
図12】
図12は、ある例示的実施形態による、内視鏡または腹腔鏡マイクロアプリケータを含む装置の概略図を示す。
【
図13】
図13は、レーザベースの光学生検システムの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本開示の例示的実施形態は、組織を撮像し、組織(例えば、血管)を凝固させ、組織の分子結合を破壊(例えば、切断)するために光を利用するシステムおよび方法を含む。ある実施形態では、これらのタスクのそれぞれを実施するために使用される光は、例えば、レーザを含む、独立した別個の構成要素によって生産されてもよい。他の実施形態では、単一構成要素(例えば、レーザ)は、組織を凝固させることおよび組織の分子結合を破壊することを含む、複数のタスクを実施するために使用される光エネルギーを生産するように構成されてもよい。本明細書に説明される実施形態は、単に例示的であり、他の実施形態も、本発明の範囲内に含まれることを理解されたい。
【0043】
本明細書に使用されるように、用語「凝固させる」(および「凝固させること」、「凝固」等の関連用語)は、(例えば、切断されると、血液が組織の外側に流出しないように血管を損傷させることによって)血流を中断し、分子結合の大部分を完全に破壊することなく組織内の分子結合を再配置および/または再構成するプロセスを指すように使用される。また、本明細書に使用されるように、用語「切断する」(および「切断すること」等の関連用語)は、組織内の分子結合を破壊するプロセスを指すように使用される。
【0044】
本明細書に使用されるように、用語「光源」は、例えば、レーザを含む、電磁放射の任意の源を含むように理解される。また、「第1の光源」および「第2の光源」は、単一レーザから発信し得ることを理解されたい。例えば、パラメータ(例えば、波長、振幅、連続波、または連続パルスモード)の第1のセット下で動作するために構成されるレーザが、「第1の光源」と見なされ得る一方、パラメータの第2のセット下で動作するために構成される同一のレーザは、「第2の光源」と見なされ得る。
【0045】
ここで
図1を参照すると、システム50の一例示的実施形態は、第1の光源100と、第2の光源200と、第3の光源300とを備える。示される実施形態では、(以下により完全に説明される関連付けられる光学構成要素を伴う)第1の光源100は、第1の光源100が組織350に入射すると、光110を放出し、組織350を撮像する際に使用するための信号を提供するように構成される光コヒーレンス断層撮影(OCT)システムとして構成される。
【0046】
加えて、第2の光源200は、第2の光源200が組織350に入射すると、光210を放出し、組織350を凝固させるように構成されることができる。また、システム50に示されるように、第3の光源300は、第3の光源300が組織350に入射すると、光310を放出し、第2の光源200によって凝固された組織350の分子結合を破壊するように構成されることができる。
【0047】
ある実施形態では、システム50は、第1の光源100、第2の光源200、および第3の光源300が、使用中に同一段階(例えば、同時に)または異なる時間において単一ファイバ500(例えば、フォトニック結晶ファイバ)を通して光を放出するように構成されることができる。特定の実施形態では、第1の光源100から取得された信号190は、第2の光源200および第3の光源300を配向させる、もしくは位置付ける(ならびに/または第2の光源200および第3の光源300から放出された光を配向させる、もしくは位置付ける)ように使用されることができる。特定の実施形態では、第1の光源100から取得された信号190は、コンピュータプロセッサ360への入力であり得る。
【0048】
特定の実施形態では、コンピュータプロセッサ360は、出力データ620を、第2の光源200および第3の光源300の配向もしくは位置(またはそのような光源から放出された光の配向もしくは位置)を制御するために使用される走査光学制御モジュール630に提供する。ある実施形態では、第1の光源100からの信号はまた、第2の光源200または第3の光源300のいずれかのパルス持続時間、パルスエネルギー、もしくはパルス繰り返し率を制御するために使用されてもよい。
【0049】
例示的実施形態では、第1の光源100は、近赤外光を生産することができ、比較的に長い波長光の使用は、組織350等の散乱媒体へのより深い透過を可能にする。特定の実施形態では、第1の光源100は、約1310nmの波長における光を提供するように構成されることができる。
【0050】
試料経路120中の光が組織350に指向されると、組織350の表面下特徴から反射するこの光のごく一部が、収集される。動作中、試料経路120中の光の有意な部分は、反射されず、むしろ、試料から後方散乱する。後方散乱光は、従来の撮像で画像を不明瞭にする背景に寄与するが、この光は、干渉分光法を介してOCTシステムにおいて有益に使用されることができる。例えば、受信された光子の光路長を記録するために、平衡検出器155が、使用され、検出前に組織における散乱を増加させる、ほとんどの光子の拒否を可能にすることができる。これは、組織350における着目領域から直接反射される光を収集しながら、背景信号を拒否することによって、構築されるべき厚い試料の3次元画像を記録することを可能にすることができる。例示的実施形態では、OCT撮像は、概して、散乱する生物組織350における表面の1~2ミリメートル下方に限定される。より大きい深度において、単一後方散乱事象によって収集開口に戻る光の割合は、低減され、検出をより困難にする。
【0051】
第1の光源100がMPL光源を含む実施形態では、試料経路120中の光が組織350に指向されると、組織350の表面下特徴からの内因性蛍光放出であるこの光のごく一部が、収集される。この内因性多光子蛍光放出信号を収集することによって、具体的組織成分が、検出されることができる。
【0052】
ある実施形態では、第2の光源200は、血液によって吸収されるものを含む、ある波長範囲内のエネルギーを放出するレーザである。ある事例では、血液は、純粋なデオキシヘモグロビンおよび水、純粋なオキシヘモグロビンおよび水、またはオキシヘモグロビンと、デオキシヘモグロビンと、水との混合物を含んでもよい。
【0053】
いくつかの実施形態では、第3の光源300は、約600nm~2200nmの範囲内の光を放出してもよい。光源300はまた、いくつかの実施形態では、分散補償チャープパルス増幅器であり得る、増幅器305と併用されてもよい。特定の実施形態では、光源300から放出された光は、増幅器305に先立って半波長板315を通過してもよい。
【0054】
動作中、システム50は、したがって、組織350を撮像し、凝固させ、その分子結合を破壊(例えば、切断)するように構成される光を指向させることができる。具体的には、光源100からの光110、光源200からの光210、および光源300からの光310は、ユーザが、それぞれ、システムを変更することなく単一システムにおいて組織350を撮像し、凝固させ、その分子結合を破壊することを可能にすることができる。
【0055】
これは、既存のシステムに優る多数の利点を提供することができる。例えば、ユーザが、外科手術手技中に別個の機能を実施するために別個のシステムを利用する必要がないと、ユーザは、組織をより正確に撮像し、凝固させ、切断することが可能であり得る。例えば、ユーザは、着目部位から撮像構成要素を除去し、次いで、組織を凝固させるための第2の構成要素、続く切断構成要素を導入することを要求されないため、正確度が、改善され得る。組織を撮像し、凝固させ、切断するための構成要素の連続的導入および再導入は、これらのプロセス間で空間的ならびに時間的位置合わせを破壊し、外科手術結果を損ない得る。
【0056】
加えて、複数の機能を実施するための単一システムの使用は、外科手術手技を実施するために要求される時間を削減することができ、これは、(例えば、患者が麻酔下にあることを要求される時間を削減することによる)安全性の増加ならびに疾病率および死亡率の改善をもたらすことができる。外科手術手技に対して要求される時間を削減することはまた、関連付けられるコストも削減することができる。最後に、同時撮像、撮像フィールドを血液の妨害からクリアに保つための凝固、および切断は、以前に手術不可能であった症状への手術もまた可能にすることができる。
【0057】
ここで
図2を参照すると、概して、先に説明された
図1のシステム50と同等であるシステム55が、例証される。しかしながら、システム55は、第2の光源200がファイバ500から独立したファイバ550を通して光260を指向させる点で、システム50とは異なる。ファイバ550(ファイバ500ではない)は、光260を走査光学制御モジュール630に指向させることができる。
図2の実施形態の他の側面は、概して、
図1に示される実施形態のものと同等であり、同等の構成要素が、
図1に使用される名称に従って標識化される。
【0058】
ここで
図3を参照すると、先に説明された
図1のシステム50と多くの点で類似するシステム60が、例証される。例えば、システム50のように、システム60は、組織350を撮像し、凝固させ、その分子結合を破壊するために光を利用する。しかしながら、システム60は、光源が組織350を凝固させ、その分子結合を破壊する光を提供するための別個のレーザを備えていない。代わりに、システム60は、凝固機能のための光を提供する光源200として、および分子結合破壊機能のための光を提供する光源300として機能するように制御され得る、単一レーザ250(例えば、シードレーザ)を利用する。特定の実施形態では、レーザ250は、例えば、内部共振器同調要素を備える周波数可変半導体レーザを含む、周波数可変レーザであり得る。そのようなレーザの具体的実施例が、米国特許第7,415,049号に開示される。
【0059】
周波数可変レーザの使用は、組織除去のための利点を提供することができる。例えば、レーザ250を同調することは、組織除去率が動的に制御され得るように異なる切除深度を提供することを可能にすることができる。そのような使用のために構成される可変レーザは、比較的に低コストかつ比較的に小さいサイズで利用可能である。ある実施形態では、レーザ250は、組織を凝固させ、組織の分子結合を破壊するために使用される別個の光ビームを提供するように構成されることができる。さらに他の実施形態では、同一のレーザ源は、組織を凝固させ、また、組織の分子結合を破壊(例えば、組織を切断または切除)するために使用される光ビームを放出することができる。同一のレーザ源が組織を凝固させ、その分子結合を破壊するために使用されるある実施形態では、組織を凝固させるために使用される光ビームのパラメータ(例えば、パルスエネルギーおよびパルス持続時間)は、組織の分子結合を破壊するために使用されるものとは異なり得る。
【0060】
ある実施形態では、レーザ250は、600~2200nmの範囲内の光エネルギーを提供するように構成されることができる。レーザ250から放出される光は、(例えば、半波長板251、偏光ビームスプリッタ252、および分散パルス調節253を介して)組織350を凝固させるために好適な光260を提供するように操作されることができる。特定の実施形態では、光260は、組織350の分子結合を実質的に破壊することなく、少なくとも組織タンパク質の四次構造を修正するために十分な振幅および周波数において提供される。
【0061】
加えて、レーザ250から放出される光はまた、組織350の分子結合を破壊するために好適な光270を提供するために、分散補償チャープパルス増幅器254によって増幅されることができる。先に説明された実施形態と同様に、光110、260、および270は、単一ファイバ500を通して指向されることができる。加えて、コンピュータプロセッサ360は、出力データ620を、レーザ250の配向もしくは位置(ならびに/またはそのようなレーザ250から放出された光260および270の配向もしくは位置)を制御するために使用される走査光学制御モジュール630に提供することができる。
【0062】
ここで
図4を参照すると、
図3において先に示され、説明されたシステム60と類似するシステム70が、例証される。しかしながら、本実施形態では、システム70は、周波数コンバータ(例えば、周波数二倍器)265を用いて動作するレーザ255を備える。
図4の実施形態の他の側面は、概して、
図3に示される実施形態のものと同等であり、同等の構成要素が、
図3に使用される名称に従って標識化される。
【0063】
ある実施形態では、光源200(例えば、組織を凝固させるように構成される光源)は、イッテルビウムファイバレーザ、周波数が倍加されたイッテルビウムレーザ、イットリウムアルミニウムガーネット(YAG)レーザ、周波数が倍加されたYAGレーザ、Tmファイバレーザ、または色素レーザを含んでもよい。特定の実施形態では、光源200は、約350nm~2200nm、具体的実施形態では、532nm、585nm、1064、または1940nmを含む波長範囲内のエネルギーを放出するように構成されてもよい。特定の実施形態では、組織を凝固させるように構成される光源は、(例えば、ほぼ一定のレベルで連続的に光を放出するか、または連続的にパルス化するかいずれかの)連続波レーザとして構成されてもよい。
【0064】
第1の光源100、第2の光源200、および第3の光源300は、組織350の異なる部分に光を指向させ得ることを理解されたい。例えば、第1の光源100および第2の光源200は、光源400が光を指向させる組織の部分よりも広い面積を網羅する、組織350の一部に光を指向させ得る。
【0065】
本開示の例示的実施形態に関する1つの設計考慮事項は、伝送導管(例えば、光ファイバ)を通して伝送されている光のエネルギーレベルが、ファイバ(例えば、ファイバ500)を損傷させないほど十分に低くあるべきということである。
【0066】
例えば、典型的な光ファイバは、約1GW/cm2の損傷閾値を有することができる。パルス持続時間が1ピコ秒、ファイバコア直径が35μmと仮定する場合、損傷させることなくファイバを通過し得る最大パルスエネルギーは、38nJであろう。故に、非常に短いパルスレーザ(例えば、ピコ秒またはフェムト秒)は、所望される組織除去率のために要求されるファイバを通して体内に十分なパルスエネルギー送達を提供することが困難であり得ることが可能性として考えられる。これらの場合では、短パルス光エネルギーが、網状アームを使用して空気を通して送達されることができる。網状アームを使用する光送達は、当分野で周知であり、例えば、二酸化炭素レーザから放出される10.6μm光を送達するために、数十年にわたって使用されている。
【0067】
「切断ビーム」(例えば、分子結合を破壊するために使用される光ビーム)の付加的設計仕様は、例えば、パルスエネルギー(Ep)、平均電力(Pave)、パルス繰り返し周波数(fR)、パルス持続時間(τp)、内部身体部位へのマイクロアプリケータ送達、撮像および凝固ビームによる同時伝搬、ならびに隣接する構造への損傷を伴わない迅速な腫瘍除去を含むことができる。1つの主要切断ビーム設計仕様は、組織除去率(mm3/秒におけるVR)である。十分に高い組織除去率が、外科医が連続的ではない手技時間を用いて本開示の例示的実施形態を効果的に使用するためにサポートされる必要がある。
【0068】
許容可能な手技時間を提供するために、組織除去率に関する初期標的設計仕様は、VR>100mm3/秒である。そのような率は、1cm3の腫瘍質量または病理組織が10秒未満で除去されることを可能にするであろう。より迅速な腫瘍または病理組織除去率が可能であり得るが、VR>100mm3/秒の値が、対立する設計制約間の妥当な妥協を表す。
【0069】
例示的システムおよび方法の構成における付加的考慮事項は、組織操作のために使用される光源または複数の光源が、十分な組織除去率を提供しながら、また、組織除去の精密な制御も提供すべきということである。より高い組織除去率は、削減された手技時間を提供することができ、これは、手技中の合併症のリスクを低下させ、疾病率および死亡率を改善することができる。光源(および/または光源から放出される光)に対する精密な制御は、外科医が、周辺組織を除去することなく、除去されることが所望される組織を除去することを可能にすることができる。組織除去に関する公式が、以下に提供される。
【数1】
【0070】
式中、VRは、組織除去率(mm3/秒)であり、DCは、組織操作のために使用される光源のmmにおける直径であり、frは、光源のHzにおけるパルス繰り返し周波数であり、μaは、組織吸収率(例えば、0.0463mm-1)であり、Φoは、除去されるべき組織への光源入射フルエンス(J/cm2)であり、Φthは、組織切除に関する閾値フルエンス(例えば、4.3J/cm2)である。
【0071】
上記に示される方程式(1)は、光ビーム設計仕様を確立するために使用されることができる。例えば、100mm3/秒のVR、および6.4mJのパルスエネルギーを伴うツリウム(Tm)主発振器電力増幅器(MOPA)を仮定して、閾値を超える入射フルエンス3x(Φo=12.9J/cm2)を提供する。これらのパラメータに基づいて、腫瘍または病理組織への切断ビーム直径は、DC=220μmとなるように計算される。12.9J/cm2を提供するTmMOPAは、吸収されるパルス毎に約216μmの腫瘍または病理組織厚さを除去することができる。
【0072】
組織除去率(VR)が100mm3/秒を超える例示的実施形態に関して、fR=15.4kHzのパルス繰り返し周波数が、必要とされる。隣接する構造への損傷を伴わない迅速な腫瘍除去率(VR>100mm3/秒)、内部身体部位へのマイクロアプリケータ送達、ならびに撮像および血流中断ビームによる同時伝搬を可能にするパルスエネルギー(Ep)、平均電力(Pave)、およびパルス持続時間(τp)を含む切断ビームを含むTmMOPAの設計仕様が、確立されることができる。ある実施形態は、切断ビームが表面組織層を乱すことなく表面組織下方の組織を切断(例えば、その分子結合を破壊)することを可能にし得るように構成されることができる。
【0073】
ここで
図5Aを参照すると、光源555の例示的実施形態が、上記に説明される原理に従って例証される。光源555は、光源が組織に入射すると、組織の分子結合を破壊するように構成される(例えば、光源555は、「切断ビーム」としての役割を果たし得る光を提供するように構成される)。
図5Aに示される実施形態では、光源555は、(例えば、ある実施形態では、1.95μmにおける)シードパルスを提供するように構成される、主発振器510を備えるツリウム(Tm)主発振器電力増幅器(MOPA)レーザである。加えて、光源555の本実施形態は、第1の前置増幅器520および第2の前置増幅器530、ならびに電力増幅器540を備える。
【0074】
例示的実施形態では、主発振器510は、いくつかの異なる配列のうちの1つにおいて構成されてもよい。例えば、ある実施形態では、主発振器510は、
図5Aに示されるように、QスイッチTmファイバレーザ511と、光学アイソレータ529と、パルススライサ519とを含んでもよい。ある実施形態では、QスイッチTmファイバレーザから放出されるパルス持続時間は、約100ナノ秒の持続時間であってもよい。パルススライサは、100ナノ秒パルスからより短い持続時間のサブパルスを抽出することができる。例えば、パルススライサは、QスイッチTmファイバレーザ511から放出されたパルスから6ナノ秒パルスを抽出してもよい。
図5Aに示される実施形態では、6ナノ秒のパルスは、次いで、第1の前置増幅器520および第2の前置増幅器530に進入し、電力を増加させる。ある実施形態では、電力は、P
ave=100Wの平均電力に増加されることができ、パルスエネルギーは、E
p=6.4mJであり、パルス繰り返し周波数は、f
R=15.4kHzである。
【0075】
ここで
図5Bを参照すると、他の実施形態では、主発振器510は、所望されるパルス持続時間を達成するためにパルス電流源を用いて利得を切り替えられ得る、半導体ダイオードレーザ551として構成されてもよい。利得スイッチ半導体ダイオードレーザ551(例えば、InGaAs/InPまたはInSb)によって、ピコ秒およびナノ秒のパルス持続時間が、達成され得、パルス繰り返し率は、容易に変動され得る。利得スイッチ半導体ダイオードレーザは、ファイバ増幅器520、530をシードし、最大270kWのピーク電力を伴う数百ワットの平均電力レベルおよびピコ秒からナノ秒の範囲内のパルス持続時間を提供するために利用されている。さらに、利得スイッチ半導体ダイオードレーザの使用は、注入電流の時間変動を調節することによって、光パルスを成形することを可能にする。シードパルスを提供するための半導体ダイオードレーザの使用は、これがシステム電子機器によって駆動される注入電流によって制御されるため、パルス持続時間がプログラム可能になることを可能にすることができる。例えば、所与のプロファイルを伴う3ナノ秒のパルスが所望される場合、半導体ダイオードレーザは、増幅されたシードパルスが3ナノ秒であるように、十分に短い時間周期の間に利得を切り替えられることができる。より短いパルス、例えば、200ピコ秒が所望される場合、半導体ダイオードレーザは、適切な持続時間の間に利得を切り替えられることができる。故に、半導体ダイオードレーザ551は、所望されるパルスプロファイルおよび持続時間パルスエネルギーおよびパルス繰り返し率を提供するように精密に制御されることができる。Alexander
M.Heidt、Zhihong Li、およびDavid J.Richardsonによる「High Power Diode-Seeded Fiber Amplifiers at 2 μm-From Architectures to Applications」(IEEE J.Select.Topics Quantum Electron、20巻、No.5、2014年9月/10月)を参照されたい。パルスプロファイル、パルスエネルギー[すなわち、スポットサイズ(D
C)]、およびパルス繰り返し率(f
R)の選択は、組織除去率(V
R)の制御を可能にする。
【0076】
ここで
図5Cを参照すると、光源555の他の実施形態では、主発振器510は、フェムト秒からピコ秒、さらに長い時間に及ぶ所望されるパルス持続時間を達成するために、利得スイッチまたはモードロック構成のいずれかで動作され得る、周波数可変半導体ダイオードレーザ561(例えば、InGaAs/InPまたはInS)として構成されてもよい。周波数可変半導体ダイオードレーザは、ユーザ制御された狭い波長範囲にわたって発振するようにレーザを制約する、可変フィルタをレーザキャビティ内に組み込む(例えば、米国特許第7,415,049号参照)。周波数可変レーザの使用は、組織除去のための重要な利点を提供することができる。例えば、組織の吸収係数は、1800~2200nmのスペクトル範囲にわたって約20倍に変動する。レーザ放出を1800~2200nmのスペクトル範囲内の波長に同調することは、組織内の異なる切除深度を可能にし、放出波長、パルス繰り返し率、およびパルスエネルギーを含むレーザ動作制約を調節することによって、凝固および/または組織除去率を最適化するように使用され得る。パルスプロファイル、パルスエネルギー、スポットサイズ[すなわち、スポットサイズ(D
C)]、パルス繰り返し率((f
R)、およびレーザ放出波長[すなわち、組織吸収係数μ
a(λ)]の選択は、組織除去率(V
R)の制御を可能にする。
【0077】
ここで
図6を参照すると、
図5Aの光源555の一部が、主発振器510およびレーザ511の特定の構成要素を例証するために、さらに詳細に示される。本実施形態では、主発振器510は、
図6に示される高反射器(HR)512とインライン偏波維持ファイバブラッググレーティング(PM FBG)513との間にキャビティが形成される、QスイッチTmファイバレーザ511(例えば、1.95μm)を備える。示される実施形態はまた、音響光学変調器(AOM)517と、レーザダイオード514(例えば、35Wのファイバ結合レーザ937nmダイオード)と、偏波維持ポンプコンバイナ515と、10μmのコアおよび130μmのクラッディングを伴う偏波維持Tmドープファイバ(PM TDF)516とを備える。示される実施形態はまた、電気光学変調器(EOM)518を含むパルススライサ519も備える。例証される実施形態はまた、高電圧増幅器(HVA)521と、パルス発生器522と、クロック523と、デジタル遅延発生器(DDG)524と、任意波形発生器(AWG)525とを備える。
【0078】
示される実施形態では、AOM517は、パルス繰り返し周波数fR=15.4kHzにおいて発振器をダンプし得る、Qスイッチとして機能するように構成される。加えて、光学アイソレータ529が、キャビティへの寄生フィードバックからもたらされるパルス不安定性を防止することができる。各パルススライスの遅延および持続時間は、DDG524によってトリガされるようなEOM518駆動AWG525によって固定されることができる。ある例示的実施形態では、リスクに基づく設計制御(例えば、FDA 21 CFR QSR 820.30による)が、PC515ならびにPM TDF516のパルス診断および温度を監視することによって実装されることができる。
【0079】
ここで
図7を参照すると、
図5に示される前置増幅器1および2の利得段に関する例示的アーキテクチャが、提供される。本実施形態では、前置増幅器1は、10μmのコアおよび130μmのクラッディングを伴い、35Wのファイバ結合レーザ(973nm)ダイオードLD1 614によってポンピングされる、偏波維持Tmドープファイバ(PM
TDF)616を備える。同様に、本実施形態では、前置増幅器2は、50μmのコアおよび250μmのクラッディングを伴い、80Wのファイバ結合レーザ(973nm)ダイオードLD2 615によってポンピングされる、偏波維持Tmドープファイバ(PM TDF)を備えることができる。示される実施形態はまた、ポンプコンバイナ611と、アイソレータ612と、偏波維持モードフィールドアダプタ613とを備える。
【0080】
ここで
図8を参照すると、電力増幅器540(
図5に示される)の概略図が、提供される。本実施形態では、Tmファイバロッド716が、例えば、P
ave=100Wの平均電力に対応する、f
R=15.4kHzにおけるE
p=6.4mJを与える、パルス増幅の最終段階を提供する。特定の実施形態では、Tmファイバロッド716は、水冷された銅板718内で熱伝導性エポキシ717を用いてV溝内にポッティングされることができる。示される実施形態では、Tmドープファイバロッド電力増幅利得段は、ダイクロイックミラー(DM)721、722から反射される200W(973nm)のレーザダイオード(LD1)714および100W(973nm)のレーザダイオード(LD2)715によってポンピングされる。
【0081】
例示的組織除去光源(例えば、「切断」光源)の設計仕様は、パルスエネルギー(Ep)と、平均電力(Pave)と、パルス繰り返し周波数(fR)と、パルス持続時間(τp)と、組織除去率(VR)とを含む。例示的実施形態に関するパルスエネルギー(Ep)は、平均電力(Pave)およびパルス繰り返し周波数(fR)を測定することによって判定されることができる。加えて、Tmファイバロッド電力増幅器から退出する光のパルス持続時間(τp)は、高速InGaAsフォトダイオードおよびPicoScope9211Aオシロスコープを使用して測定されることができる。
【0082】
腫瘍または病理組織除去率(mm3/秒におけるVR)は、生体外の組織を使用して測定されることができる。例えば、病理組織検体が、2軸平行移動ステージ上に置かれ、5秒の時間周期において5×5mm2の面積にわたってラスター走査されることができる一方、組織除去光源は、切断動作を実施する。切断後、病理組織は、OCT撮像システム下に置かれることができ、組織除去率は、VR=20・Δz(mm3/秒)の関係を使用して切除組織の深度(Δz,mm)を測定することによって判定されるであろう。本様式で進行することによって、組織除去光源の性能が、検証されることができる。類似する研究が、確立された病理組織の動物モデルにおいて実施されることができる。
【0083】
例示的システムパラメータの検証は、最初に、外科手術が内視鏡または腹腔鏡マイクロアプリケータを通して実施される前にバルクアプリケータを採用し得る。例えば、バルクアプリケータの設計仕様は、内視鏡または腹腔鏡マイクロアプリケータの構築および検証前に確立され得る。加えて、ユーザ(外科医)インターフェースの設計仕様が、確立され、次いで、検証され得る。最後に、確立された病理組織の動物モデルにおける病理組織除去のための例示的実施形態の動作および性能が、本デバイスを検証するために実施され得る。
【0084】
バルクアプリケータの設計仕様は、組織表面における撮像ビームの直径(DOCT)、血流中断ビームの直径(DG)、および切断ビームの直径(DC)を含む。切断ビーム直径(DC=220μm)は、組織除去率(VR>100mm3/秒)から確立され得る一方、DOCTは、ユーザが要求した走査深度(例えば、2mm)および対応するレイリー範囲の撮像光(1.31μm)によって判定され、DOCT=25μmを与え得る。DGは、血流中断レーザ(例えば、0.532μm)の利用可能な電力(W)および出血を防止するための他の設計要件によって判定され得る。
【0085】
例示的実施形態では、凝固光源(例えば、血流を中断させるように構成される光源)は、組織除去光源(例えば、切断ビーム)の単回通過に対応する標的切断深度(例えば、腫瘍または他の標的組織の上側200μm)全体を通して血管を処置するように構成されることができる。ここで
図9を参照すると、凝固光源200(例えば、10W、0.532μmのレーザ)は、除去されるべき組織350(例えば、腫瘍または病理組織)に入射する5Wの光学電力を提供することができる。25μ秒の暴露に続く先に切除された組織表面の200μm下方に位置付けられた大直径(30μm)の血管内の温度上昇は、D
G=50μmが腫瘍血管内の血流を中断させるために好適な設計パラメータであることを示唆する。
【0086】
バルクアプリケータにおいて組織350の表面上に規定されたビーム直径(D
C=220μm、D
OCT=25μm、およびD
G=50μm)を達成するために、各ビームは、
図9に示されるようなX-Y走査検流計390に平行化され、入射すべきである。組織除去ビーム310および撮像ビーム110が、それぞれ、ダイクロイックミラー311(DM1)および111(DM2)から反射し、凝固ビーム210とともに整合される。ユーザが画定した組織350の表面上の規定された直径から、走査レンズ301、101、および201(例えば、f=18mm)上の平行化されたビーム直径が、それぞれ、組織除去(0.2mm)、撮像(1.2mm)、および凝固(0.25mm)ビームに対して判定される。検流計と、ダイクロイックミラーと、コリメーティングレンズとを含むバルクアプリケータ構成要素は、例えば、3Dラピッドプロトタイピングによって加工される、ステンレス鋼封入体内に搭載されてもよい。
【0087】
バルクアプリケータの動作は、ナイフエッジ技法を使用して、異なるフィールド位置に対する走査レンズの後焦点面での切断、撮像、および中断ビームの直径を測定することによって検証され得る。バルクアプリケータの走査速度は、曇りガラス板を走査レンズの焦点面に置き、高速カメラを用いて凝固レーザビームスポットの飛行時間を記録することによって検証されるであろう。
【0088】
いくつかの用途では、アプリケータは、組織に入射する撮像、凝固、および切断ビームのスポットサイズが、ビーム送達光学によって制約される類似する数の開口を有することが所望される。例えば、撮像、凝固、および切断ビームが共通ファイバを通して伝搬するとき、組織上の各ビームのスポットサイズは、送達光学によって制約される。この場合では、組織上のOCT撮像ビーム直径は、ビームのレイリー範囲の約2倍を与えられる撮像深度によって制約される。例えば、1.31μmの撮像ビーム波長および約2mmの走査範囲に関して、組織上の撮像ビーム直径は、約20μmである。8.6J/cm2の切断ビームフルエンスに関して、35.8μJのパルスエネルギーが、要求される。シード源として利得スイッチ半導体ダイオードレーザを使用し、続けてステージ化されたTmファイバ増幅器を使用することによって、約1MHzのパルス繰り返し率が、達成され、250mm3/秒を上回る体積組織除去率を与え得る。そのような構成は、撮像、凝固、および切断ビームが共通光ファイバを通して送達され得、したがって、実質的により小さく、より柔軟なアプリケータが利用され得るため、内視鏡または腹腔鏡マイクロアプリケータに優る重要な利点を有する。
【0089】
送達システム800の特定の実施形態が、
図10に示される。ファイバ801(例えば、フォトニック結晶ファイバ)が、平行化される撮像、凝固、および切断ビームを伝搬する。反射プリズム802が、レンズの後焦点面に位置付けられるX-Y MEMS走査ミラー803上に光を指向させる。コリメータ804および走査レンズ805は、ファイバ先端が組織上に撮像ビーム806の標的スポットサイズを与える倍率で走査レンズ805の後焦点面と共役になるように、4f撮像システムを形成する。X-Y MEMS走査ミラー803は、ビームを偏向し、したがって、ビームは、撮像、血流中断、または組織切断のために組織を横断して走査される。
【0090】
本開示のある例示的実施形態では、ユーザインターフェースが、外科医が本システムを動作させるために実装されてもよい。特定の実施形態では、ユーザインターフェースは、タッチスクリーンディスプレイ上に提示されてもよく、外科医が、組織(例えば、それぞれ、皮膚癌腫瘍の正面およびBの走査断面画像を表す、
図11Aおよび11Bに示されるような腫瘍)のOCTおよび/またはMPL画像を検証し、除去のための3次元領域(例えば、
図11Cおよび11Dに示されるような破線171および172)を規定することを可能にする。外科医が除去のための組織領域を規定した後、本手技は、選択された領域にわたって0.532μmの凝固ビームをラスター走査することにより、最外面の200μmの層における血流を中断(例えば、凝固)させることによって開始することができる。血流を中断させた直後、同一の200μmの層は、同一の領域にわたって切断ビームをラスター走査することによって除去される(
図11E)。本プロセスは、後続の200μmの層における血流が最初に中断され、次いで腫瘍が除去されるように繰り返されることができる。外科手術システムはまた、外科医が除去のための組織領域を規定した後、本手技が選択された領域にわたって0.532μmの凝固ビームをラスター走査することにより、最外面の200μmの層における血流を中断(例えば、凝固)させることによって開始し得るようなモードで動作されてもよい。血流を中断させた直後、切断ビームは、割礼切断を実行し、切断部分の内側の組織は、外科手術分野で実践されるように機械的に除去されることができる。
【0091】
例示的実施形態の動作および性能は、病理組織を伴う動物モデルにおいて検証され得る。例えば、ヌードマウスにおける皮下異種移植片腫瘍モデルを使用する。HCT116癌細胞が、5%のCO2下で37℃において、10%のウシ胎児血清を伴うマッコイ5A培地中で培養され得る。培養物が培養密度に到達すると、細胞は、0.25%のトリプシンEDTAによってフラスコから脱離され、遠心分離され、無菌リン酸緩衝食塩水中に再懸濁され得る。約2×106個細胞/50μlが、次いで、マウスの背部面積に皮下注射され得る。腫瘍が直径1cmに成長した(約2週間)後、背部皮膚折畳チャンバが、背部領域の周囲に搭載され、外科手術のためにその動物を位置付けることができる。
【0092】
外科手術に先立って、腫瘍を含有する背部皮膚が、身体の中間区分から持ち上げられ、アルミニウム製背部皮膚折畳チャンバに縫合され、皮膚を身体から離すように位置付け得る。腫瘍移植片を有する背部皮膚折畳チャンバモデルが、3つの群に分割される30匹の雌性ヌードマウス(NU/NU,Harlan,TX)において作成され得る。群1の動物(N=10)は、陰性対照としての役割を果たし得る(外科手術なし)。群2の動物(N=10)は、陽性対照としての役割を果たし、メス、剪刀、またはボビー電気焼灼器のいずれかを使用する従来の外科手術を用いて腫瘍切除を受け得る。群3の動物(N=10)は、本開示による例示的実施形態を使用して外科手術を受ける。2週間後、3つの群の全ての動物が、犠死させられ、腫瘍領域が、処置結果を比較する組織学的検査のために切断され得る。本開示の実施形態を使用する外科手術対従来の外科手術の有効性が、任意の残留癌の存在に関して組織学的検査を検証し、群2および3のマウスに関する損傷した健常組織の量、手術時間、ならびにそれぞれの外科手術手技を完了する容易さを判定することによって評価され得る。本様式で進行することによって、例示的実施形態の動作および性能が、従来の外科手術手技に対して検証されることができる。
【0093】
別の実施例では、大腿神経種除去のために構成される実施形態もまた、検証されてもよい。体腔内の腫瘍の外科手術除去が、内視鏡マイクロアプリケータを利用する例示的実施形態を用いて遂行されてもよい。
【0094】
内視鏡マイクロアプリケータを利用する実施形態の光学設計仕様は、先に説明されたバルクアプリケータと類似する。特に、腫瘍表面上の撮像ビームの直径(DOCT=25μm)、凝固ビームの直径(DG=50μm)、および組織除去ビームの直径(DC=220μm)は、バルクアプリケータ仕様と同等である。
【0095】
ある実施形態は、内視鏡マイクロアプリケータの設計に関して修正されるHopkinsリレーを採用してもよい。Zemax光学設計ソフトウェアを使用して、修正されるHopkinsリレー設計は、撮像(1.32μm)、血流凝固(0.532nm)、および組織除去(1.95μm)ビームのために公差設定され、最適化されてもよい。ガラスブランクからロッドマイクロレンズが、(例えば、Optical Technology(Boston,MA)によって)加工されてもよい。レンズ組立の前に、ロッドマイクロレンズは、(例えば、Materion(Boston,MA)によって)反射防止コーティングされてもよい。高品質のARコーティング(例えば、<0.2%、Materionから利用可能)が、血流中断、撮像、および切断ビーム波長(0.532μm、1.32μm、および1.95μm)のために使用されてもよい。コーティング後、ロッドマイクロレンズは、(例えば、3mmの内径を伴う)5mm直径のステンレス鋼管内に組み立てられてもよい。ステンレス鋼管は、3Dラピッドプロトタイピングによって製造されるステンレス鋼ヘッドに締結されてもよい。ステンレス鋼ヘッドは、バルクアプリケータのために利用されるものと類似する走査アセンブリを格納するが、ロッドマイクロレンズアセンブリの前焦点面において平行化された撮像、凝固、および組織除去ビームを走査するためのテレスコープリレーを含み得る。ここで
図12を参照すると、内視鏡マイクロアプリケータ900が、ビームコンバイナおよび走査装置を内視鏡マイクロレンズアセンブリと統合することによって構築されることができる。ビームコンバイナアセンブリが、焦点系を使用して、内視鏡または腹腔鏡の前焦点面への走査検流計の共役面を撮像することによって、内視鏡または腹腔鏡とインターフェースする。内視鏡または腹腔鏡マイクロアプリケータの動作は、バルクアプリケータのために採用されるプロトコルを使用して検証されてもよい。
【0096】
例示的実施形態の1つの用途は、骨構造によって囲繞された限定空間内の病理組織(例えば、内耳内の真珠腫および手術不可能な脳腫瘍)の除去を含むが、初期検証は、動物製剤および外科手術後の生存を用いて合併症を最小限にするために、単純なモデルを利用してもよい。VX2ウサギ癌モデルが、最初に、1933年に提案され、広く使用されている。VX2腫瘍断片が、いくつかのウサギ腫瘍モデルを確立するために使用される。鼠径部における大腿神経が、識別され、周辺筋肉から容易に区別され、神経腫を誘発するために魅力的な標的部位を表す。この検証は、これらの研究を完了するために、ウサギモデルにおいて大腿神経種を誘発することを提案する。
【0097】
体重3.8~4.3kgの32匹の成体ニュージーランドホワイト種雄性ウサギ(Charles River,TN)が、本研究に登録され、4つの群に分割されることが提案される。群1(N=2)のウサギは、腫瘍提供者としての役割を果たす。群2(N=10)および群3(N=10)のウサギは、従来のアプローチ(群2)または本発明の画像ガイドスマートレーザナイフ(群3)のいずれかを使用して、経皮的腫瘍移植および腫瘍除去を受ける。群4(N=10)のウサギは、対照としての役割を果たす。移植のための腫瘍断片を取得するために、群1のウサギは、各大腿筋に125mLのVX2癌細胞懸濁液(NCI MA)を注射されるであろう。各大腿筋内で成長する固有の固形腫瘍は、2週間後に採取され、4℃のハンクス平衡塩溶液に投入され、次いで、1mm3の断片に丁寧に切断されるであろう。腫瘍断片移植のための標的部位は、次いで、大腿神経に隣接する筋肉における鼠径部領域において選択され得る。腫瘍断片を注射するために、群2および3の動物は、鼠径部領域における1cmの切開部を通して、従来の開腹術を受けるであろう。VX2腫瘍断片を含有するカニューレおよびコアから成る18ゲージ針が、大腿神経を囲繞する筋肉に注射され、切開部は縫合され、動物は回復することを可能にされるであろう。神経腫の直径が約1cmになる移植から約1週間後、群2のウサギは、従来の開腹術を受け、メス、剪刀、またはボビー電気焼灼器を使用する従来の外科手術アプローチを採用して、神経腫を除去されるであろう。群3のウサギもまた、従来の開腹術を受け、内視鏡マイクロアプリケータを通して本開示の例示的実施形態を使用して、神経腫を除去されるであろう。切開部を縫合した後、群2および3のウサギは、運動ならびに排泄抑制能力の障害に関して観察および評価され、対照と比較されるであろう。2週間後、全てのウサギは、犠死させられ、大腿神経を含有する組織領域が、処置結果を比較する組織学的検査のために切断されるであろう。内視鏡マイクロアプリケータを通して大腿神経種を除去する例示的実施形態の有効性が、大腿神経損傷、任意の残留癌細胞の存在、およびそれぞれの外科手術手技を完了する手術時間に関して検証することによって、従来の外科手術手技と関連して評価されるであろう。本様式で進行することによって、内視鏡マイクロアプリケータを通して神経腫を除去する例示的実施形態の動作および性能が、従来の外科手術手技に対して検証されることができる。
【0098】
本開示の例示的実施形態はまた、高感受性および高特異性を伴う腫瘍マージンを迅速に確立するためのシステムならびに方法も含む。ここで
図13を参照すると、レーザベースの光学生検システム600の概略図が、提供される。
図13に示される実施形態の概観は、以下の手技ステップを提供する。最初に、外科医の命令(例えば、音声起動、フットペダル、またはプッシュボタン)に応じて、小組織検体605(例えば、1~4mm
3)が、真空補助下ツール601を用いて採取される。例示的実施形態では、真空補助下採取ツールは、外科医の好ましいワークフローを合理化および維持するために、一般的に使用される外科手術用メスおよび/または焼灼器(例えば、ボビー電気焼灼器)と統合されることができる。次に、真空補助下採取後、組織検体605は、正圧流体チャネル602を通して組織処理チャンバ603に輸送されることができる。いったん組織処理チャンバ603に入ると、レーザ604(例えば、超高速フェムト秒レーザ)が、画像ベースアッセイのために組織検体605を500μmの厚さのスラブ切片607に切断することができる。MPL-OCT光学アッセイ608が、次いで、組織スラブ607に実施されることができる。MPL-OCT画像ベースアッセイ608によって記録されたデータが、次いで、アッセイされる組織検体の高速診断を可能にするフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)609によって処理されることができる。診断分析の結果は、次いで、外科医によって利用される種々の既存の画像モダリティのいずれかの上に診断のオーバーレイを投影することによって、外科医に伝達されることができる。したがって、現在の実践のようにいくつかの凍結切片を処理することが可能であるだけではなく、説明される光学チャンバは、1桁を上回る試料を処理し、術野全体のコンピュータディスプレイ上に結果をオーバーレイし、伝統的凍結切片を使用してでは現在不可能である、外科手術マージン全体に沿った残留癌の存在の知識を外科医に提供し得る。
【0099】
システム600の例示的実施形態は、既存の診断システムと比較して、診断を完了するために必要とされる時間を削減することができる(例えば、3分未満)。故に、外科手術マージン全体が残留癌に対してマッピングされ得るため、外科手術時間が、短縮され、外科医の好ましいワークフローが、強化され、外科手術後の患者の予後が、改善されることができる。さらに、システム600において使用される光学画像ベース診断は、非破壊的であるため、伝統的生検および組織学的検査が、システム600の診断を検証するために、各採取された組織スラブに続けて実施されることができる。
【0100】
システム600において使用されるMPL画像ベースアッセイは、適切に定寸および成形された組織検体を要求する。MPLおよびOCT画像ベースアッセイが、直線型ポイント走査アプローチを利用するため、これらの撮像モダリティと適合する組織検体に関する最適形状は、スラブ幾何学形状である。処理された組織スラブ幾何学形状はまた、システム600における診断に続いて完了され得る、従来の組織学的処理とも適合する。
【0101】
MPL撮像深度は約200~300μmであるため、スラブの両側からの撮像は、このアプローチに関する組織検体厚さを約500μmに制約する。採取された組織検体の処理は、処理アーチファクトがMPL-OCT画像ベースアッセイに導入されないように、組織のミクロ構造を保存するべきである。
【0102】
図14は、採取された組織をMPL-OCT画像ベースアッセイのための適切に定寸されたスラブに処理するための組織処理システム700の概略図を示す。システム700は、真空補助下組織微小位置ならびに保持アクチュエータ702および703と組み合わせて、超高速ファイバフェムト秒レーザ701を備える。超高速レーザ701の切断作用は、プラズマ切除を利用するであろうため、適切に定寸および成形された組織スラブ704は、スラブ表面に無視できる修正領域を有し、MPL-OCT画像ベースアッセイへのアーチファクトの導入の可能性を低減させるであろう。使い捨て組織処理チャンバ705が、超高速レーザビームを走査することと組み合わせて使用するための真空補助下組織微小位置ならびに保持アクチュエータ702および703を使用するように提案され、したがって、採取された組織は、画像ベースTPL-OCTアッセイのための適切に定寸されたスラブに迅速に処理されることができる。
【0103】
切除された組織輸送は水圧式で行われるであろうため、組織処理チャンバ705は、リン酸緩衝食塩水706を用いて充填されることができる。組織処理チャンバ705の内外への組織検体704の輸送は、一方の面上の入口ポート707と、対向する側上の出口ポート708とを介して起こることができる。入口の上流かつ出口の下流のT字接合部(図示せず)が、チャンバ705を洗い流すために使用され、必要に応じて要求される光透過性を達成することができる。チャンバ705は、超高速レーザ701からのビームの撮像および送達のために、光学的に透明なウィンドウ709を有することができる。チャンバ705は、以前の患者の生検による現在の患者の生検の相互汚染を防止するために、使い捨てであり得る。組織微小位置ならびに保持アクチュエータ702および703は、したがって、交換に応じてチャンバに係合し、それから係脱することができる。2つの自己シールゴム隔壁722および723が、チャンバ705の直交する面に組み込まれ、係合/係脱のための水密シールを形成することができる。
【0104】
ある実施形態では、アクチュエータ702および703は、組織処理チャンバ705に内蔵された自己シールゴム隔壁722および723を貫通するであろうステンレス鋼針712および713内に格納されることができる。特定の実施形態では、2つのアクチュエータ/針ユニットは、チャンバ705の直交する側を貫通することができ、組織を任意の配向に移動させるようにともに機能することができる。いったん組織がチャンバに入ると、単一アクチュエータが、隔壁を貫通することができ、真空が、展開されることができる。アクチュエータは、精密ステッパモータを介して回転され、線形に平行移動され、検体の精密かつ正確な位置付けを提供することができる。
【0105】
真空吸引が、中空管アクチュエータに印加されることができ、同時に、食塩水が、一定の液体体積を維持するために添加される。いったんアクチュエータに係留されると、試料は、展開されたアクチュエータ軸を中心として完全に回転され、可視波長カメラを使用して撮像されることができる。第2のアクチュエータは、第1のアクチュエータが係脱される間に展開されることができ、組織は、第2のアクチュエータ軸に沿って撮像されることができる。
【0106】
組織処理チャンバとインターフェースする光学システムは、超高速レーザと、カメラと、OCTとを含むことができる。0.5mJのパルスエネルギーおよび100kHzの繰り返し率において1030nmの500fsパルスを検体に提供する超高速レーザ(例えば、Uranus-mJ(PolarOnyx Laser,USA)から利用可能なものを含む)が、組織の迅速なプラズマ切除のために利用される。超高速レーザビームは、検流計の前のダイクロイックミラーによって、OCT-MPL励起ビームと組み合わせられることができる。対物レンズの背面開口におけるCCDカメラ(例えば、acA1300-30gc(Basler,Germany))が、側方面における組織検体整合のために使用され得る一方、OCTが、軸方向面における検体整合のために採用されることができる。超高速レーザビームは、アクチュエータ移動と組み合わせて走査され、組織検体の縁をトリミングし、500μmの厚さを伴う平面スラブ幾何学形状を作成することができる。
【0107】
組織処理システム700の例示的実施形態は、組織検体の効率的処理および処理時間の削減を提供することができる。特定の実施形態では、組織検体は、2つの切断面を伴う500μmの厚さの平面スラブ幾何学形状に60秒未満で処理されることができる(処理時間は、組織が処理チャンバに進入した瞬間から、超高速レーザが第2の平面境界面の切断を完了する時間まで測定される)。
【0108】
組み合わせられたOCT-MPLファイバベース撮像システム(例えば、掃引源OCTおよびMPL撮像モジュールと、走査光学とを備える)の例示的実施形態は、画像ベースOCT-MPLアッセイを完了するために利用されることができる。
【0109】
例示的実施形態では、画像ベースOCT-MPLアッセイは、処理された組織スラブの構造および組成の同時検出を実証し、癌が存在するかどうかを診断するために実施されることができる。腫瘍組織が、癌外科手術を受ける患者から取得され、MPL画像が、処理された組織スラブの両側から記録され、単一の体積画像に併合されることができる
【0110】
MPL画像は、脂質、カルシウム、およびコラーゲン/エラスチン繊維を含む組織構成物の存在を示すことができる。癌は、正常な組織と比較して増加した代謝状態を有するであろうため、組織のエネルギー状態もまた、クレブスサイクルに関与するNADHおよびFAD+を含むMPL信号から分析されることができる。(例えば、PMT等の光検出器によって)記録されたMPL放出スペクトルはさらに、これらの組織タイプおよび酸化還元状態を区別することができる。各共位置合わせされた正面OCT画像は、MPL画像と併合され、生化学的組成物を組織OCT構造画像上にオーバーレイすることができる。OCTおよびMPL信号は、2つの相補的なタイプの光学的コントラスト(例えば、それぞれ、散乱および多光子吸収/放出)に起因するため、強/弱MPL放出を伴う領域は、弱/強OCT信号に対応し、処理された組織ブロックの包括的解釈を提供する。3次元OCTデータセットもまた、対応するMPL画像と併合され、組織構成物の3次元分布ならびに表面外形および構造に関連するエネルギー状態を実証することができる。
【0111】
画像ベースMPL-OCTアッセイの完了後、組織スラブは、病理医によって、癌の存在に関して標準組織学的検査を使用して処理されることができる。組織学的診断を画像ベースMPL-OCTアッセイと比較することによって、MPL-OCT画像における診断パラメータを識別する訓練セットが、主成分分析(PCA)を使用して判定されることができる。いくつかの最近の研究は、多重光子発光(MPL)および光コヒーレンス断層撮影(OCT)が、癌を検出するために使用され得ることを示唆している。
【0112】
本開示に照らして、過度の実験を伴わずに、本明細書に開示および請求されるデバイス、システム、および/または方法の全てが、作製され、実行されることができる。本発明のデバイス、システム、および方法は、特定の実施形態の観点から説明されたが、本発明の概念、精神、および範囲から逸脱することなく、本明細書に説明される方法のステップにおいて、または一連のステップにおいて、変形例がデバイス、システム、および/または方法に適用され得ることが当業者に明白となるであろう。当業者に明白である全てのそのような類似する代用および修正は、添付される請求項によって定義されるような本発明の精神、範囲、および概念内であると見なされる。
参考文献:
以下の参考文献の内容が、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】