(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171806
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】可動コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 12/91 20110101AFI20221104BHJP
H01R 13/631 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
H01R12/91
H01R13/631
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146811
(22)【出願日】2022-09-15
(62)【分割の表示】P 2018099161の分割
【原出願日】2018-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】390012977
【氏名又は名称】イリソ電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106220
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 正悟
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 仁
(72)【発明者】
【氏名】小林 弘明
(72)【発明者】
【氏名】小椋 由幸
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 知充
(72)【発明者】
【氏名】榛葉 大地
(57)【要約】
【課題】可動コネクタについて、嵌合接続の容易性と導通接続の安定性を改善する。
【解決手段】可動コネクタ1は、可動ハウジング4に対する押込み操作により可動ハウジング4に組み合わさる操作ハウジング5と、押込み操作により操作ハウジング5とともに移動して基板接続用端子6の一対の接触部6jと接触し、接触部6jをピン端子8に対して押し付ける接触補強部材7を備える。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に固定される固定ハウジングと、
前記固定ハウジングに対して変位可能に構成される可動ハウジングと、
前記基板に接続する基板接続部と、前記可動ハウジングを前記固定ハウジングに対して変位可能に支持する支持ばね部と、接続対象物と導通接触する接触部とを有する基板接続用端子とを備える可動コネクタにおいて、
前記可動コネクタは、前記可動ハウジングに対して動かす操作により前記可動ハウジングに組み合わさる接触補強部材を備えており、
前記接触補強部材は、前記操作により前記接触部を前記接続対象物に対して押し付け、
前記接触補強部材は、前記可動ハウジングと組み合わせた状態で、前記固定ハウジングに対して可動に構成されることを特徴とする
可動コネクタ。
【請求項2】
前記基板接続用端子は、一対の前記接触部を有しており、
前記一対の接触部は、前記接続対象物を挟持するように配置されており、
前記接触補強部材は、一方の前記接触部を押し付ける第1の押圧部と、他方の前記接触部を押し付ける第2の押圧部とを有する
請求項1記載の可動コネクタ。
【請求項3】
前記接触補強部材は、金属片でなる
請求項1又は請求項2記載の可動コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フローティング機能を有するコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
接続対象物を基板の回路に接続するコネクタとして、例えば特許文献1に記載のボトムエントリータイプのコネクタが知られている。そのコネクタ10は、基板に実装する固定ハウジング11と、固定ハウジング11に収容される可動ハウジング12と、固定ハウジング11の内部で可動ハウジング12を変位可能に支持する可動片13bを有する端子13とを備えている。可動ハウジング12には、基板との対向面に挿入孔12eが設けられている。コネクタ10に接続対象物(例えば電気素子のピン端子等)を導通接続するには、接続対象物を基板の裏から挿入孔12eへ挿入し、可動ハウジング12の内部で接続対象物を端子13の接触部13eと導通接触させるようにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-139101号公報、
図9
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この従来のコネクタ10では、基板に実装するコネクタ10の数が多くなり又はコネクタ10に備える端子13が多極化すると、接続対象物を嵌合する際の挿入力が過大となる。そうすると、操作者は、挿入力の硬さを感じた時点で完全嵌合したものと勘違いしやすい。そのため接続対象物の挿入を途中で止めてしまったり、嵌合作業性が悪くなるおそれがある。この課題に対する一つ解決策は、接続対象物に対する接触部13eの接触圧力を低くすることである。しかしながら、接触圧力を低くすると、例えば使用環境でコネクタ10が振動を受けた場合に、接触部13eが接続対象物と微摺動接触してしまう。そうすると接続対象物の表面のめっきが微摺動摩耗により剥離して、安定した導通接触を維持することが難しくなる。コネクタ10のようなボトムエントリータイプを含む可動コネクタでは、多極接続の容易性と個々の接触部の導通接触の安定性とは相反する要請である。
【0005】
以上のような従来技術を背景になされたのが本発明である。本発明の目的は、可動コネクタについて嵌合接続の容易性と導通接続の安定性を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく本発明は以下の特徴を有するものとして構成される。
【0007】
即ち本発明は、基板に固定される固定ハウジングと、内部に接続対象物が挿入される可動ハウジングと、前記基板に接続する基板接続部と、前記可動ハウジングを前記固定ハウジングに対して変位可能に支持する支持ばね部と、前記接続対象物と導通接触する接触部とを有する基板接続用端子とを備える可動コネクタについて、前記可動ハウジングに対して動かす操作により前記可動ハウジングに組み合わさる操作ハウジングを備えており、前記操作ハウジングは、前記操作により前記接触部を前記接続対象物に対して押し付ける接触補強部を備えることを特徴とする。
【0008】
操作ハウジングは、可動ハウジングに対して動かす操作によって可動ハウジングに対して組み合わさる。それによって操作ハウジングの接触補強部は、基板接続用端子の接触部を接続対象物に対して押し付ける。この接触補強部による押し付けによって接触部は接続対象物に対して大きな接触圧力で導通接触する。このように本発明の可動コネクタによれば、操作ハウジングを可動ハウジングに対して動かす容易な操作によって、接触部を接続対象物に強固に導通接触させることができる。
【0009】
操作ハウジングの操作前では、接続対象物と可動コネクタとの嵌合接続は完結していない。この非嵌合接続状態では、接続対象物は可動ハウジングに挿入されるが、接触部に対して接触していても接触していなくてもよい。即ち可動コネクタは、ZIF(Zero Insertion Force)構造又はLIF(Low Insertion Force)構造として構成できる。したがって挿入力がゼロ又は低挿入力で接続対象物を可動ハウジングに配置できるため、本発明の可動コネクタであれば、接続作業性が良好である。そして接続対象物の配置後は、前述のごとく操作ハウジングを動かす操作で嵌合接続を完結できる。よって本発明の可動コネクタによれば、嵌合接続作業を容易に行える。
【0010】
前記基板接続用端子は、一対の前記接触部を有しており、前記一対の接触部は、前記接続対象物を挟持するように配置されており、前記接触補強部は、一方の前記接触部を押し付ける第1の押圧部と、他方の前記接触部を押し付ける第2の押圧部とを有するように構成できる。
【0011】
本発明によれば、第1の押圧部が一方の接触部を押し付け、第2の押圧部が他方の接触部を押し付ける。そして一方の接触部と他方の接触部は接続対象物を挟持する。このため、接続対象物を挟持する一方の接触部と他方の接触部の接触圧力を第1の押圧部と第2の押圧部の押し付けによって増強することができる。
【0012】
前記接触部は、前記接続対象物に対して押圧接触する第1の接点部と、前記接触補強部の押圧接触を受ける第2の接点部と、前記第1の接点部と前記第2の接点部とを繋ぐとともに前記第2の接点部が前記接触補強部と押圧接触した反力により前記第1の接点部を前記接続対象物に対して付勢するばね部を有するように構成できる。
【0013】
本発明によれば、第2の接点部が接触補強部の押圧接触を受けることで生じる反力を利用して、第1の接点部を接続対象物に対して押圧接触させるので、第1の接点部における接続対象物に対する接触圧力を高めることができる。
【0014】
前記接触補強部は、突起を有しており、前記操作ハウジングは、隙間を介して前記突起を移動可能に保持する保持溝を有しており、前記接触補強部は、前記隙間により前記操作ハウジングに対して移動可能であるように構成できる。
【0015】
本発明によれば、接触補強部が操作ハウジングに対して固定されておらず移動可能であるため、基板接続用端子又は接続対象物が位置ずれして接触補強部と接触しても、接触補強部が移動することで、その位置ずれを吸収することができ、接続信頼性の高い導通接触を得ることができる。
【0016】
前記操作ハウジングと前記可動ハウジングは、前記操作ハウジングが前記可動ハウジングと組み合わさって嵌合状態になる前の仮嵌合状態で、前記操作による操作方向及びその反対方向への前記操作ハウジングの移動を規制する仮嵌合保持部を有するように構成できる。本発明によれば、仮嵌合保持部によって操作ハウジングが可動ハウジングに対して移動することが規制されることから、仮嵌合状態であっても操作ハウジングが脱落するような不具合を無くすことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の可動コネクタによれば、嵌合接続が容易でありながら安定した導通接続を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1実施形態による可動コネクタの正面、左側面、平面を含む分解斜視図。
【
図2】
図1の可動コネクタの組立状態を示す正面図。
【
図3】
図1の可動コネクタの組立状態を示す平面図。
【
図4】
図1の可動コネクタに備える操作ハウジングを示す説明図であり、分
図Aは背面図、分
図Bは分
図AのIVB-IVB線断面図、分
図Cは分
図Aの平面図、分
図Dは分
図CのIVD-IVD線断面図。
【
図7】
図1の可動コネクタに備える接触補強部材の斜視図。
【
図8】
図1の可動コネクタに備える基板接続用端子の斜視図。
【
図9】
図2のIX-IX線に沿う可動コネクタの嵌合過程を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。以下ではボトムエントリータイプの可動コネクタ1の実施形態を説明する。本明細書、特許請求の範囲、図面では、
図1で示す可動コネクタ1の複数の端子の配列方向(左右方向)をX方向とし、可動コネクタ1の奥行き方向(前後方向)をY方向とし、可動コネクタ1の高さ方向(上下方向)をZ方向として説明する。しかしこうした方向の特定は本発明の可動コネクタの実装方向、使用方向を限定するものではない。本明細書、特許請求の範囲に記載されている「第1」「第2」という用語は、発明の異なる構成要素を区別するために用いるものであり、特定の順序や優劣を示すために用いるものではない。
【0020】
可動コネクタ1の構成
【0021】
可動コネクタ1は、硬質樹脂の成形体でなるハウジング2を備える。ハウジング2は、固定ハウジング3と、可動ハウジング4と、操作ハウジング5とで構成される。固定ハウジング3と可動ハウジング4には、金属片でなる基板接続用端子6が固定されている。「接触補強部」としての接触補強部材7は操作ハウジング5に保持されている。
【0022】
固定ハウジング3: 固定ハウジング3は、基板Pに実装される(
図9)。固定ハウジング3は、箱状に形成されており、筒状の周壁3aと、周壁3aの上端のY方向における前側部分を閉塞する天面壁3bとを有する。固定ハウジング3の内側には内部空間3cが形成されている。
【0023】
周壁3aにおける左右の側壁3a1の下端には、後述する可動ハウジング4の係止突起4fが係止する係止凹部3dが形成されている。また、前壁3a2と後壁3a3のうち前壁3a2の内側には、後述する基板接続用端子6の固定ハウジング用固定部6bをX方向で挟持する溝状の端子固定部3eが形成されている(
図9)。
【0024】
天面壁3bは、後述する基板接続用端子6の支持ばね部6kの上方を覆うように形成されており(
図9)、支持ばね部6kが外部に露出しないよう保護している。天面壁3bが形成されていない周壁3aの上端の開口は、操作ハウジング5を挿通する挿入口3fとなっている。挿入口3fは操作ハウジング5の外周よりも大きく形成されている。
【0025】
内部空間3cは、天面壁3bの下側空間では、基板接続用端子6の支持ばね部6kが伸長し、その弾性変形を許容する支持ばね部収容部3c1となっている。また、挿入口3fの下側空間は、操作ハウジング5と可動ハウジング4を収容するハウジング収容部3c2となっている。このように固定ハウジング3の内部空間3cは、支持ばね部収容部3c1とハウジング収容部3c2という複数の収容空間がY方向に並んで設けられている。そして内部空間3cにハウジング収容部3c2とは別に支持ばね部収容部3c1を設けることで、そこを支持ばね部6kが伸長し、屈曲し、変位する空間として利用できることから、支持ばね部6kの形状を複雑にしなくてもばね長を長く確保することができる。
【0026】
固定ハウジング3の後壁3a3には、基板Pに半田付けされる固定金具3gが取付けられている(
図3)。固定金具3gは半田付け部(図示略)を介して基板Pに固定される。
【0027】
可動ハウジング4: 可動ハウジング4は、固定ハウジング3と同様に、長手方向がX方向に沿うように形成されており、前壁4a1、後壁4a2、左右の側壁4a3とを有している。また、前壁4a1と後壁4a2との間には、Y方向に伸長する2つの隔壁4a4が形成されており(
図1)、これにより可動ハウジング4にはX方向で分割される3つの挿通室4bが形成されている。挿通室4bには、「接続対象物」としてのピン端子8が挿入される。また、後述する基板接続用端子6の基部6gが配置される。
【0028】
前壁4a1には、スリット状の挿通開口4cが形成されている(
図1)。挿通開口4cはY方向で挿通室4bと可動ハウジング4の外部とを連通しており、基板接続用端子6の支持ばね部6kの水平屈曲部6fが配置される(
図9)。前壁4a1の内側には、後述する基板接続用端子6の可動ハウジング用固定部6hをX方向で挟持する溝状の端子固定部4dが形成されている(
図9)。
【0029】
左右の側壁4a3には、Z方向に沿う長溝状の凹部4eが形成されている(
図1、
図6)。凹部4eの上端側には第1の係止段部4e1が形成されており、その下側には第2の係止段部4e2が形成されており、これらは操作ハウジング5を可動ハウジング4から抜け止めするために機能する。
【0030】
側壁4a3の下端の左側と右側には係止突起4fが形成されている。係止突起4fは、可動ハウジング4が固定ハウジング3の内部空間3cでY方向、Z方向に過剰に変位したときに、前述した固定ハウジング3の係止凹部3dに係止することで可動ハウジング4の変位を止めるストッパーとしての機能を有する。
【0031】
挿通室4bの底面には接続対象物の挿入孔4gが形成されている。挿入孔4gの入り口側には挿入誘導面4hが形成されており、これによりピン端子8の挿入がガイドされる。
【0032】
後壁4a2における左右の側壁4a3と隣接する上端側には、仮嵌合用突起4iが設けられている(
図1、
図3、
図5)。仮嵌合用突起4iは、後述する操作ハウジング5に設けた嵌合ガイド部5eに入り込むことで、操作ハウジング5の可動ハウジング4への変位をガイドする。これとともに可動ハウジング4から操作ハウジング5が外れないように抜け止めする。仮嵌合用突起4iと嵌合ガイド部5eは「仮嵌合保持部」を構成する。
【0033】
後壁4a2には、後壁4a2を形成する壁を欠如する凹部4jが形成されている。この凹部4jは、操作ハウジング5が可動ハウジング4に対して完全嵌合状態となった際に、後述する接触補強部材7の接触誘導突起7cとの接触を回避するために設けられている。したがって、可動コネクタ1は、こうした凹部4jを設けない場合と比較して、高さを低背化している。
【0034】
操作ハウジング5: 操作ハウジング5は、固定ハウジング3と可動ハウジング4と同様に、長手方向がX方向に沿うように形成されており、前壁5a1、後壁5a2、左右の側壁5a3と、天面壁5a4とを有している。前壁5a1と後壁5a2との間には、Y方向に伸長しており天面壁5a4の裏面からZ方向で下向きに突出する2つの隔壁5a5が形成されている(
図2)。この隔壁5a5の基端部分及び当該基端部分とX方向で対向する左右の側壁5a3の内面には保持溝5bがY方向に沿って形成されている。保持溝5bには接触補強部材7の係止突起7bが挿入される。
【0035】
左右の側壁5a3には、Z方向で下向きに伸長するロック片5cが形成されている(
図1、
図4等)。ロック片5cは、操作ハウジング5を可動ハウジング4と嵌合する際に、前述した凹部4eに入り込み、凹部4eの長手方向に沿って移動する。
【0036】
ロック片5cには、ロック突起5dが形成されている。操作ハウジング5を可動ハウジング4に押し込んでいくと、ロック片5cが凹部4eに沿って移動し、ロック突起5dは先ず第1の係止段部4e1を通過する(
図6)。ロック突起5dは、操作ハウジング5を可動ハウジング4から抜去する抜去方向で第1の係止段部4e1と係止可能となり、操作ハウジング5を抜け止めする。さらに操作ハウジング5を押し込む。するとロック突起5dは第2の係止段部4e2を通過し、前記抜去方向で第2の係止段部4e2と係止可能となる。これによって操作ハウジング5が可動ハウジング4に対して完全に嵌合する完全嵌合状態となる。ここでロック片5cと第1の係止段部4e1は仮嵌合用突起4i等と同様に「仮嵌合保持部」を構成する。またロック片5cと第2の係止段部4e2は「嵌合保持部」を構成する。
【0037】
操作ハウジング5を可動ハウジング4に押し込んでいく過程では、ロック突起5dが第1の係止段部4e1と第2の係止段部4e2とを通過する。ここで第2の係止段部4e2は、第1の係止段部4e1よりも凹部4eの底面に向けて一段低く形成されており、ロック片5cのたわみ量は少ない。即ちロック片5cのたわみ量は、第1の係止段部4e1で大きく、第2の係止段部4e2では少ない。ここで例えば、第1の係止段部4e1だけ設ける構成にすると、操作ハウジング5を可動ハウジング4に完全に嵌合するまでロック片5cがたわみ続けることになる。そうするとロック片5cがたわみ続けるため、ロック片5cの摺動接触力を受ける操作ハウジング5の押込み操作は重くなる。しかしながら、前述のように徐々に段差が低くなる複数の係止段部(4e1,4e2)を設けることで、ロック片5cのたわみ量を徐々に少なくできる。よって、操作ハウジング5の押込み操作を軽くすることができる。
【0038】
ロック突起5dには、傾斜面5d1が形成されている(
図4)。傾斜面5d1は、
図6で示すように、「仮嵌合状態」において、第1の係止段部4e1の傾斜面4e3に載置される。これにより、操作ハウジング5の押込み操作を規制し、「仮嵌合状態」を維持している。操作ハウジング5を可動ハウジング4と嵌合させるには、この「仮嵌合状態」から操作ハウジング5を固定ハウジング3の内部空間3cに押し込む。この押込み操作によってロック突起5dの傾斜面5d1がZ方向で傾斜面4e3を滑り、ロック片5cが外方にたわんで第1の係止段部4e1を乗り越え、続いて第2の係止段部4e2を通過することで、操作ハウジング5と可動ハウジング4との完全嵌合状態が得られる。
【0039】
天面壁5a4は、操作ハウジング5の押込み操作をする際の押圧操作面となる部分である。小さな可動コネクタ1でも押圧操作を容易に行えるように、天面壁5a4は、その全面が平坦面として形成されている。天面壁5a4は、操作ハウジング5と可動ハウジング4との完全嵌合状態では、固定ハウジング3の天面壁3bと面一となる。天面壁5a4が固定ハウジング3の天面壁3bに対して出っ張っていると、操作ハウジング5と可動ハウジング4とが嵌合途中であることを意味する。したがって、天面壁5a4の位置を目視すれば嵌合状態を確認することができる。
【0040】
操作ハウジング5の後壁5a2には、
図4で示すように、2つのスリット状の嵌合ガイド部5eが形成されている。嵌合ガイド部5eは、操作ハウジングの高さ方向(Z方向)に沿って形成されている。嵌合ガイド部5eの内側には、前述のように可動ハウジング4の仮嵌合用突起4iが配置される。
図5にはその様子が示されている。
図5で示す操作ハウジング5を可動ハウジング4から抜去しようとしても、嵌合ガイド部5eの係止壁5e1が仮嵌合用突起4iに対して抜去方向で係止するため、操作ハウジング5の意図しない可動ハウジング4からの抜去を防止することができる。この
図5と
図6は、可動コネクタ1の同じ仮嵌合状態を示している。したがって操作ハウジング5は、前述の押込み方向では押込み操作を行わなければ移動せず、抜去方向では容易には抜けない状態となっている。
【0041】
基板接続用端子6: 基板接続用端子6は、X方向に沿って可動コネクタ1に並列に配列されている。各基板接続用端子6は同一形状である。具体的には、
図8で示すように、基板接続部6a、固定ハウジング用固定部6b、外側縦片部6c、折返し屈曲部6d、内側縦片部6e、水平屈曲部6f、基部6g、可動ハウジング用固定部6h、一対の弾性アーム6i、一対の接触部6jを有する。
【0042】
基板接続部6aは、基板Pに半田付け部P1(
図9)により固定されることで、基板Pの回路と導通接続する部分である。固定ハウジング用固定部6bは、固定ハウジング3の前壁3a2の内面にある端子固定部3eに圧入されて保持される(
図9)。これにより基板接続用端子6の一端側が固定ハウジング3に固定される。外側縦片部6c、折返し屈曲部6d、内側縦片部6e、水平屈曲部6fは、固定ハウジング3に対して可動ハウジング4と操作ハウジング5を変位可能に弾性支持する支持ばね部6kとして機能する。支持ばね部6kは、固定ハウジング3の支持ばね部収容部3c1の内部で逆U字状に形成されており、支持ばね部収容部3c1の内部でXYZ方向に弾性変形する。これによりXYZ方向への可動ハウジング4と操作ハウジング5との相対的な変位を支持する。水平屈曲部6fは、前述した可動ハウジング4の挿通開口4cの上方を跨ぐようにしてY方向に直線状に伸長する。基部6gは、Y方向で対向し且つX方向に沿う一対の板片6g1をY方向に沿う連結板片6g2で繋いだ形状としている。前側の板片6g1の側縁には可動ハウジング4の端子固定部4dに圧入する複数の圧入突起が形成されており、これが可動ハウジング用固定部6hを構成している。
【0043】
一対の板片6g1の上縁には、弾性アーム6iの基端がそれぞれ繋がっている。弾性アーム6iは、接触部6jを変位可能に支持するばね片として機能し、接触部6jをピン端子8に押圧接触させるための接触圧力を付与する。
【0044】
一対の接触部6jは、それぞれ本発明の「接触部」を構成し、特にY方向で前側にある第1接触部6jAは本発明の「一方の接触部」を構成し、Y方向で後側にある第2接触部6jBは本発明の「他方の接触部」を構成する。これらの第1接触部6jAと第2接触部6jBは、接続対象物となるピン端子8を直接挟持するように導通接触する。このため、例えば一対の接触部6jが直接ピン端子8に接触せずに間接的に接触するような導通接続構造と比べて、信頼性の高い導通接続を得ることができる。第1接触部6jAと第2接触部6jBは、それぞれ弾性アーム6iに繋がる内側接点部6j1と、外側接点部6j2と、ばね部6j3とを有する。内側接点部6j1、外側接点部6j2は、それぞれ本発明の「第1の接点部」、「第2の接点部」を構成する。内側接点部6j1は、ピン端子8と所定の接触圧力で導通接触する。外側接点部6j2は、後述する接触補強部材7と押圧接触する。ばね部6j3は、内側接点部6j1と外側接点部6j2とを繋ぐ。それとともに外側接点部6j2が接触補強部材7と押圧接触した反力により内側接点部6j1をピン端子8に対して付勢する機能を有する。このように外側接点部6j2とばね部6j3は、ピン端子8と押圧接触する内側接点部6j1の接触圧力を増加させることができる。
【0045】
接触補強部材7: 操作ハウジング5に備える「接触補強部」としての接触補強部材7は、
図7で示すように基部7a、「突起」としての係止突起7b、接触誘導突起7cを有する。なお、本実施形態の接触補強部材7は、金属片にて形成されている。
【0046】
基部7aは、本実施形態では角筒状に形成されている。基部7aは、上縁に係止突起7bを有する一対の第1の側壁7b1と、下縁に一対の接触誘導突起7cを有する一対の第2の側壁7b2とを有する。このうち第2の側壁7b2のうち、Y方向で前側の第2の側壁7b2は本発明の「第1の押圧部」を構成し、Y方向で後側の第2の側壁7b2は本発明の「第2の押圧部」を構成する。
【0047】
係止突起7bは、第1の側壁7b1の上縁から外向きフランジ状に屈曲して形成されている。係止突起7bは、操作ハウジング5の保持溝5bに挿入される。接触補強部材7は、係止突起7bが隙間を介して保持溝5bに保持されることで、可動ハウジング4に対して移動可能である。そのような係止突起7bと保持溝5bは、接触補強部材7を可動ハウジング4に対して移動可能に保持する「可動保持部」を構成している。
【0048】
即ち、接触補強部材7は、係止突起7bを操作ハウジング5の保持溝5bに挿入することで、操作ハウジング5に対して固定されずに保持される。係止突起7bと保持溝5bとの間には、
図2で示すX方向に沿う隙間5bxとZ方向に沿う隙間5bzとが形成されており、
図9で示すY方向に沿う隙間5byも形成されている。よって係止突起7bは、保持溝5bの内部をXYZ方向に移動可能である。この結果、接触補強部材7は、XYZ方向で変位できる遊びをもって操作ハウジング5に装着されている。
【0049】
可動コネクタ1の作用・効果
【0050】
次に、既に説明済みのものを除いて、可動コネクタ1の作用・効果を説明する。
【0051】
可動コネクタ1の組立時:
【0052】
可動コネクタ1は、基板接続用端子6の可動ハウジング用固定部6hを可動ハウジング4の端子固定部4dに固定し、接触補強部材7を操作ハウジング5に装着した状態としてから、操作ハウジング5を可動ハウジング4の上から被せて挿入するようにして装着する。このとき可動ハウジング4の仮嵌合用突起4iを、操作ハウジング5の下側から嵌合ガイド部5eに引っ掛けるようにして装着する。これにより可動ハウジング4と操作ハウジング5とが「仮嵌合状態」となる。
【0053】
次に、操作ハウジング5を固定ハウジング3の下側から内部空間3cに挿入すると、操作ハウジング5の上部が挿入口3fの外に突出する。これとともに基板接続用端子6の固定ハウジング用固定部6bを、固定ハウジング3の端子固定部3eに圧入して固定する。このように固定ハウジング3を取付けることで、可動コネクタ1が組み立てられる。可動コネクタ1は、固定金具3gと基板接続用端子6の基板接続部6aが基板Pに半田付けされることで基板Pに実装される。
【0054】
可動コネクタ1へのピン端子8(接続対象物)の導通接続時:
【0055】
可動コネクタ1にピン端子8を導通接続する際の作用・効果を説明する。
【0056】
基板Pの裏から貫通孔P2を通じてピン端子8を可動コネクタ1に挿入する。可動ハウジング4の挿入孔4gにはテーパー形状の挿入誘導面4hが形成されている。このためピン端子8の中心軸が挿入孔4gの孔軸に対して位置ずれしていても、挿入誘導面4hのガイドによってピン端子8の挿入方向を矯正することができる。また、可動ハウジング4と操作ハウジング5は、基板接続用端子6の支持ばね部6kによって三次元方向に変位可能に支持されている。このため可動ハウジング4と操作ハウジング5は、ピン端子8の位置ずれを、その変位によって吸収することができる。この際の可動ハウジング4の前後方向(Y方向)及び高さ方向(Z方向)への可動量は、係止突起4fと固定ハウジング3の係止凹部3dとの間隔によって決まる。また可動ハウジング4の左右方向(X方向)への可動量は、操作ハウジング5と固定ハウジング3との間隔によって決まる。これにより可動ハウジング4の過剰な変位が規制される。
【0057】
そのままピン端子8を挿入していくと、
図9で示すように、ピン端子8は可動ハウジング4の挿入孔4gを突き抜けて、対向位置する一対の接触部6jの間に挿入される。これによりピン端子8は基板接続用端子6と導通接触する。このときピン端子8は、一対の内側接点部6j1によって所定の接触圧力で挟持される。ここで可動コネクタ1は接触補強部材7を備えており、後述のように内側接点部6j1によるピン端子8に対する接触圧力を補強する。したがって、接触補強部材7の作用を受けない仮嵌合状態(
図9)では、ピン端子8に対する内側接点部6j1の接触圧力は、それほど高くしておく必要はない。完全嵌合状態になれば、接触補強部材7がその接触圧力を補強するからである。そこで本実施形態の可動コネクタ1は、ピン端子8の挿入力が生じないZIF(Zero Insertion Force)構造又はLIF(Low Insertion Force)構造として構成することが可能である。
【0058】
ここでZIF構造とする場合には、自由状態にある一対の内側接点部6j1どうしの配置間隔をピン端子8の直径よりも大きくする。これによれば挿入力を発生させずにピン端子8を可動ハウジング4に配置できる。よって、ピン端子8の基板接続用端子6との接続作業を容易に行える。LIF構造とする場合には、自由状態にある一対の内側接点部6j1どうしの配置間隔をピン端子8の直径よりも僅かに小さくする。これによればピン端子8が一対の内側接点部6j1を押し広げる際に挿入力が発生する。接続作業を行う作業者は、その挿入力によって、ピン端子8が内側接点部6j1に到達することを感得することができる。それ以降、作業者は、力任せではなく慎重に、ピン端子8を基板接続用端子6に対して接続する作業を行うことができる。本実施形態は、このLIF構造の例である。そして、これらのZIF構造又はLIF構造によれば、ピン端子8の挿入力を、可動コネクタ1を基板Pに固定している半田付け部、具体的には固定金具3gの半田付け部(図示略)や各基板接続用端子6の基板接続部6aの半田付け部P1に作用させないようにできる。したがって、半田付け部にクラックが生じたり、可動コネクタ1が基板Pから剥がれたりするような不具合を抑制することができる。
【0059】
次に、固定ハウジング3の天面壁3bから上方に突出する操作ハウジング5の天面壁5a4を押し込むことで、操作ハウジング5を固定ハウジング3の内部空間3cに押し込んでいく。すると、操作ハウジング5と可動ハウジング4との関係では、前述のように操作ハウジング5のロック片5cが可動ハウジング4の第1の係止段部4e1を通過し、さらに第2の係止段部4e2を通過することで完全嵌合する。
【0060】
これに対して、接触補強部材7と基板接続用端子6との関係では、先ず接触補強部材7の一対の接触誘導突起7cが、それぞれ接触部6jに接触する。このとき、接触誘導突起7cは、外向きに広がるテーパー面として形成されているため、その内側に接触部6jを誘導することができる。
【0061】
そして、接触誘導突起7cの内側に接触部6jが誘導されると、一対の第2の側壁7b2が外側接点部6j2をピン端子8に向けて押し付ける。即ち、一対の第2の側壁7b2のうち、Y方向で前側の第2の側壁7b2は、Y方向で前側の外側接点部6j2(一方の接触部)を押し付ける「第1の押圧部」として機能する。また、Y方向で後側の第2の側壁7b2は、Y方向で後側の外側接点部6j2(他方の接触部)を押し付ける「第2の押圧部」として機能する。第2の側壁7b2の間隔は、外側接点部6j2の間隔よりも狭い。このため一対の接触部6jが第2の側壁7b2の内側に挿入されると、外側接点部6j2は内側接点部6j1をピン端子8に対して押し付ける。より具体的には、ばね部6j3は、外側接点部6j2が接触補強部材7の押圧接触を受けることで生じる反力を利用して、内側接点部6j1をピン端子8に対して押圧接触させる。このようにして内側接点部6j1の接触圧力を増強することができる。よって、信頼性の高い確実な導通接続を得ることができる。
【0062】
特に、振動等を受けて可動ハウジング4又はピン端子8が変位しても、内側接点部6j1は、高い接触圧力によってピン端子8に対する接触位置を維持できるように構成できる。これによれば、内側接点部6j1がピン端子8に対して微摺動磨耗することを防ぐことができ、微摺動磨耗を原因とする接続信頼性の低下を防ぐことができる。そして、内側接点部6j1の接触圧力の増強は、ピン端子8を内側接点部6j1に導通接触させた後に、操作ハウジング5の押込み操作を行うことで行える。こうした操作ハウジング5の押込み操作によって、容易に接触圧力を増強可能である。
【0063】
前述のように操作ハウジング5を可動ハウジング4に押し込んでいくと、ロック片5cのロック突起5dが第1の係止段部4e1を乗り越え、第2の係止段部4e2を通過するごとに、ロック片5cのたわみが戻るクリック(振動)を生じる。操作者は、こうした多段階クリック感を手元で感じることで、完全嵌合状態が得られたことを知ることができ、嵌合途中で押込み操作を止めてしまうような不完全嵌合を防止することができる。また操作者は、前述のクリックが生じるごとに、ロック片5cが凹部4eの溝底面と接触することによる接触音を聞くこともできる。こうしたクリック音を頼りにして押込み操作を行うこともでき、さらに不完全嵌合を確実に抑制することができる。
【0064】
以上のような操作ハウジング5の押込み操作では、操作ハウジング5を基板Pに向けて真っ直ぐに押し込むのが理想である。ところが、可動コネクタ1が小さい上に押圧操作面となる天面壁5a4の面積はさらに小さい。そのため、天面壁5a4の中心を押し込むのはとても困難であり、むしろその中心からずれた位置で斜めに押し込まれやすい。しかしながら、操作ハウジング5と可動ハウジング4が斜めに傾くような押し込み力が作用しても、基板接続用端子6の支持ばね部6kが柔らかく弾性変形する。このため、操作ハウジング5と可動ハウジング4が斜めに傾いた状態での変位を許容しながら、ピン端子8を嵌合接続することができる。
【0065】
支持ばね部6kは、従来技術のばね部と異なり、固定ハウジング3の内部空間3cを分割して形成される支持ばね部収容部3c1の内部で山状(逆U字状)に伸長しており、ばね形状がシンプルである上にばね長も長く確保されている。したがって可動ハウジング4と操作ハウジング5を柔軟に支持するフローティング機能を実現することができる。
【0066】
ここで例えば、接触補強部材7の係止突起7bを、操作ハウジング5の保持溝5bに圧入して固定する構成を想定する。この場合、係止突起7bを保持溝5bに圧入する位置が正確でなければ、基板接続用端子6の一対の接触部6jの間の中心位置に対して接触補強部材7の中心軸が位置ずれしてしまう。すると、例えば基板接続用端子6の一方の接触部6j(第1接触部6jA又は第2接触部6jB)と弾性アーム6iに大きな負荷が作用し、その弾性アーム6iがへたりやすくなり接続信頼性を損ねるおそれがある。しかしながら接触補強部材7は、操作ハウジング5に対して固定されておらず可動状態で保持されている。したがって、基板接続用端子6の一対の接触部6jが押圧接触することで、接触補強部材7の中心軸は常に一対の接触部6jの間の中心位置と合致するようにセンタリングすることができる。
【0067】
変形例の説明
【0068】
前記実施形態では、「接触補強部」として金属片でなる接触補強部材7を例示したが、金属片ではなく樹脂片(樹脂成形体)にて構成してもよい。樹脂成形体でなる「接触補強部」は、操作ハウジング5の一部分として構成してもよいし、操作ハウジング5と別体として、成形後に一体に組み合わせたものとして構成してもよい。こうした樹脂成形体で「接触補強部」を構成することで、安価に製造することができる。他方、接触補強部材7を金属片で形成する場合には、剛性の高い金属片を用いることで、基板接続用端子6の接触部6jにおける接触圧力をさらに高めることができる。また、接触補強部材7を例えば樹脂成形体で構成した場合、導通により熱を帯びた基板接続用端子6の接触部6jが高い接触圧力で接触すると、加熱により軟化して接触圧力を維持できないおそれがある。しかしながら、接触補強部材7が金属片であれば、そうした不具合は生じない。
【0069】
前記実施形態では、一対の接触部6jをZIF構造、LIF構造にする例を説明したが、こうした挿入力を低減する構造を持たず、ピン端子8の挿入により内側接点部6j1が信頼性ある導通接続に必要とされる適切な接触圧力を生じるものとしてもよい。接触補強部材7は、その接触圧力をさらに高めて、強い振動環境下での使用に耐えうる機能を付与するものとして用いることができる。
【0070】
前記実施形態では、操作ハウジング5を可動ハウジング4に対して「動かす操作」として、操作ハウジング5の「押込み操作」を示したが、他の操作形態として、操作ハウジング5を可動ハウジング4に対して引き上げる「引上げ操作」として構成することもできる。このためには、例えば、接触補強部材を外側接点部6j2の下側に配置する構成とし、操作ハウジングを上方に引き上げることで、下から上に移動する接触補強部材の内側に外側接点部6j2を取り込むようにしてもよい。
【0071】
前記実施形態では、凹部4eに第1の係止段部4e1と第2の係止段部4e2とを設ける例を示したが、多段クリックによる作用効果を省略するならば、その何れかのみを設ける構成としてもよい。また、3つ以上の係止段部を設ける構成としてもよい。
【0072】
前記実施形態では、操作ハウジング5に嵌合ガイド部5eを設け、可動ハウジング4に仮嵌合用突起4iを設ける例を示したが、操作ハウジング5に仮嵌合用突起を設け、可動ハウジングに嵌合ガイド部を設ける構成としてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 可動コネクタ
2 ハウジング
3 固定ハウジング
3a 周壁
3a1 側壁
3a2 前壁
3a3 後壁
3b 天面壁
3c 内部空間
3c1 支持ばね部収容部
3c2 ハウジング収容部
3d 係止凹部
3e 端子固定部
3f 挿入口
3g 固定金具
4 可動ハウジング
4a1 前壁
4a2 後壁
4a3 側壁
4a4 隔壁
4b 挿通室
4c 挿通開口
4d 端子固定部
4e 凹部
4e1 第1の係止段部
4e2 第2の係止段部
4e3 傾斜面
4f 係止突起
4g 挿入孔
4h 挿入誘導面
4i 仮嵌合用突起
4j 凹部
5 操作ハウジング
5a1 前壁
5a2 後壁
5a3 側壁
5a4 天面壁
5a5 隔壁
5b 保持溝
5bx、5by、5bz 隙間
5c ロック片
5d ロック突起
5d1 傾斜面
5e 嵌合ガイド部
5e1 係止壁
6 基板接続用端子
6a 基板接続部
6b 固定ハウジング用固定部
6c 外側縦片部
6d 折返し屈曲部
6e 内側縦片部
6f 水平屈曲部
6g 基部
6g1 板片
6g2 連結板片
6h 可動ハウジング用固定部
6i 弾性アーム
6j 接触部
6jA 第1接触部(一方の接触部)
6jB 第2接触部(他方の接触部)
6j1 内側接点部(第1の接点部)
6j2 外側接点部(第2の接点部)
6j3 ばね部
6k 支持ばね部
7 接触補強部材
7a 基部
7b 係止突起(突起)
7b1 第1の側壁
7b2 第2の側壁(第1の押圧部、第2の押圧部)
7c 接触誘導突起
8 ピン端子(接続対象物)
P 基板
P1 半田付け部
P2 貫通孔