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特開2022-171810超微細O/Wエマルションの形態のケラチン繊維のためのシリコーン非含有組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171810
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】超微細O/Wエマルションの形態のケラチン繊維のためのシリコーン非含有組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/92 20060101AFI20221104BHJP
   A61K 8/04 20060101ALI20221104BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20221104BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20221104BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20221104BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20221104BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
A61K8/92
A61K8/04
A61Q5/02
A61Q5/12
A61K8/34
A61K8/86
A61K8/31
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022146969
(22)【出願日】2022-09-15
(62)【分割の表示】P 2017133477の分割
【原出願日】2017-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】モハメド・マイドゥル・アラム
(72)【発明者】
【氏名】タナシャヤー・セーンシン
(72)【発明者】
【氏名】ディモイ・ロイ
(72)【発明者】
【氏名】リテシュ・シンハ
(57)【要約】
【課題】透明又は半透明の外観を有するだけでなく、毛髪に良好な感覚も付与する、ケラチン繊維のためのシリコーン非含有組成物を提供すること。
【解決手段】本発明は、ケラチン繊維、好ましくは毛髪のための、水性相中に油滴が分散されたO/Wエマルションの形態の組成物であって、組成物が少なくとも1種の界面活性剤を含み、油滴が少なくとも1種の非シリコーン油を含み、油滴の数平均直径が200nm未満であり、組成物がシリコーンを含まない又は組成物の総質量に対して0.001質量%未満のシリコーンを含む、組成物に関する。組成物は、透明又は半透明の外観を有するだけではなく、優れた感覚を有する毛髪をもたらすこともできる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性相中に油滴が分散されたO/Wエマルションの形態のシャンプー用組成物であって、組成物が、ポリオキシエチレン化された不飽和脂肪アルコール、及び、ポリオキシアルキレン化された、C8~C24脂肪酸のソルビトールエステルであるポリオキシエチレン化非イオン性界面活性剤を含み、油滴が少なくとも1種の非シリコーン油を含み、油滴の数平均直径が200nm未満であり、組成物がシリコーンを含まない又は組成物の総質量に対して0.001質量%未満のシリコーンを含む、組成物[但し、
ナノエマルション又はマイクロエマルションの形態の起泡性組成物であって、
(a)少なくとも1種の油と、
(b)少なくとも1種のポリグリセリル脂肪酸エステルと、
(c)少なくとも1種のC6~30のアルキル(ポリ)グルコシド型界面活性剤と、
(d)少なくとも1種の両性界面活性剤と、
(e)水と
を含む、組成物、並びに
マイクロエマルジョンであって、少なくとも以下の構成:
(A)0.5~70重量%のアルキル硫酸のアルカノールアンモニウム塩及び/又は以下の構造を有するアルキルポリアルキレングリコール・エーテル硫酸塩、若しくはそれらの混合物、
【化1】
ここで、
R1=C8-~C20-炭水化物ラジカル、
p=2~5の整数で、pはそれぞれのmと異なってもよく、
R2=H、C1-~C6-アルキル、又はC2-~C4-ヒドロキシアルキル、
R3=H、C1-~C6-アルキル、又はC2-~C4-ヒドロキシアルキル、
R4=C2-~C4-ヒドロキシアルキル、
m=0~7の整数;
(B)20~95重量%の水;
(C)0.1~20重量%の1若しくはそれ以上の油成分;
(D)0.1~20重量%の1若しくはそれ以上のモノ水素若しくはポリ水素C2-~C24-アルコール;
(E.1)0.1~15重量%の1若しくはそれ以上のUVフィルター;及び/又は
(E.2)0.1~3重量%の1若しくはそれ以上のフケとり物質、
を有するものであり、
前記各割合は組成全体に基づくものであるマイクロエマルジョン
を除く]。
【請求項2】
非シリコーン油が、植物起源又は動物起源の油、合成油、炭化水素油、及び脂肪アルコール、並びにそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
非シリコーン油が、植物油である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
非シリコーン油が、組成物の総質量に対して0.01質量%から20質量%の範囲の量で存在する、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
界面活性剤が、組成物の総質量に対して10質量%から70質量%の範囲の量で存在する、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
油滴の数平均直径が、180nm未満である、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
油滴の数平均直径が、1nm超である、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
透明な外観又は半透明な外観を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
シリコーンを含まない、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
水性相中に油滴が分散されたO/Wエマルションの形態のシャンプー用組成物を調製するための方法であって、油滴の数平均直径が200nm未満であり、方法が、
- 少なくとも1種の非シリコーン油と、ポリオキシエチレン化された不飽和脂肪アルコール、及び、ポリオキシアルキレン化された、C8~C24脂肪酸のソルビトールエステルであるポリオキシエチレン化非イオン性界面活性剤とを混合する工程と、
- 混合物を水で希釈してO/Wエマルションを形成する工程と、
- 任意選択により、界面活性剤、コンディショニング剤、保存剤、及びpH調整剤からなる群から選択される少なくとも1種の追加の作用剤を組成物に添加する工程と
を含み、組成物がシリコーンを含まない又は組成物の総質量に対して0.001質量%未満のシリコーンを含む、方法(但し、組成物が、
ナノエマルション又はマイクロエマルションの形態の起泡性組成物であって、
(a)少なくとも1種の油と、
(b)少なくとも1種のポリグリセリル脂肪酸エステルと、
(c)少なくとも1種のC6~30のアルキル(ポリ)グルコシド型界面活性剤と、
(d)少なくとも1種の両性界面活性剤と、
(e)水と
を含む、組成物、並びに
マイクロエマルジョンであって、少なくとも以下の構成:
(A)0.5~70重量%のアルキル硫酸のアルカノールアンモニウム塩及び/又は以下の構造を有するアルキルポリアルキレングリコール・エーテル硫酸塩、若しくはそれらの混合物、
【化2】
ここで、
R1=C8-~C20-炭水化物ラジカル、
p=2~5の整数で、pはそれぞれのmと異なってもよく、
R2=H、C1-~C6-アルキル、又はC2-~C4-ヒドロキシアルキル、
R3=H、C1-~C6-アルキル、又はC2-~C4-ヒドロキシアルキル、
R4=C2-~C4-ヒドロキシアルキル、
m=0~7の整数;
(B)20~95重量%の水;
(C)0.1~20重量%の1若しくはそれ以上の油成分;
(D)0.1~20重量%の1若しくはそれ以上のモノ水素若しくはポリ水素C2-~C24-アルコール;
(E.1)0.1~15重量%の1若しくはそれ以上のUVフィルター;及び/又は
(E.2)0.1~3重量%の1若しくはそれ以上のフケとり物質、
を有するものであり、
前記各割合は組成全体に基づくものであるマイクロエマルジョン
である場合を除く)。
【請求項11】
ケラチン繊維を処置するための美容方法であって、
- 請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物をケラチン繊維に塗布する工程と、
- 処置したケラチン繊維を十分な量の水ですすぐ工程と
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超微細O/Wエマルションの形態のケラチン繊維のためのシリコーン非含有組成物、特にシャンプーであって、透明又は半透明であり、シリコーン含有組成物より良好な性能を与えることができるシリコーン非含有組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ケラチン繊維のための透明又は半透明の組成物、例えば透明又は半透明のシャンプーは、製品として美しい外観を有し、したがって消費者にとって魅力的な製品である。シリコーンを含む透明又は半透明のシャンプーの多くが、広く知られている。シリコーンは、一般に、毛髪を容易にほぐし、毛髪に可撓性及び柔らかさを与えるために、洗髪/コンディショニング用組成物に使用される。例えば、US8425501(B2)は、約50,000cst未満の内相粘度を有するシリコーン油を含む、高度な光透過性又は半透過性を有する、シャンプー組成物を開示している。US2004/0076596(A1)は、疎水性シリコーン油を含有する、シャンプー等の、ヘアトリートメント用の光学的に透明な組成物を開示している。EP1330229(B2)は、疎水性シリコーン油を含有する、光学的に透明な水性組成物、例えばシャンプーを開示している。
【0003】
近年では、消費者は、化粧料に使用される成分の安全性により敏感になってきており、より環境に優しい製品に興味を示してきている。シリコーンに関しては、現在では環境問題がある。したがって、シリコーン含有シャンプーの性能に匹敵することができる、シリコーン非含有で透明又は半透明のシャンプーに対して強い要望がある。
【0004】
しかし、シリコーン油の代わりにトリグリセリド油等の天然油を、ケラチン繊維のための組成物に使用した場合、透明又は半透明の外観を長期間維持することが困難になる。したがって、消費者を完全に満足させる、ケラチン繊維のためのシリコーン非含有組成物は未だ存在していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】US8425501(B2)
【特許文献2】US2004/0076596(A1)
【特許文献3】EP1330229(B2)
【特許文献4】米国特許第2,528,378号
【特許文献5】米国特許第2,781,354号
【特許文献6】米国特許第4,874,554号
【特許文献7】米国特許第4,137,180号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】CTFA International Cosmetic Ingredient Dictionary & Handbook、第15版、2014年
【非特許文献2】CTFA dictionary、第3版、1982年
【非特許文献3】CTFA dictionary、第5版、1993年
【非特許文献4】CTFA、1997年
【非特許文献5】「Handbook of Surfactants」、M. R. Porter著、Blackie & Son出版社(Glasgow及びLondon)、1991年、116~178頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、透明又は半透明の外観を有するだけでなく、毛髪に良好な感覚も付与する、ケラチン繊維のためのシリコーン非含有組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の本発明の目的は、ケラチン繊維、好ましくは毛髪のための、水性相中に油滴が分散されたO/Wエマルションの形態の組成物であって、組成物が少なくとも1種の界面活性剤を含み、油滴が少なくとも1種の非シリコーン油を含み、油滴の数平均直径が200nm未満であり、組成物がシリコーンを含まない又は組成物の総質量に対して0.001質量%未満のシリコーンを含む、組成物によって達成することができる。
【0009】
非シリコーン油は、植物起源又は動物起源の油、合成油、炭化水素油、及び脂肪アルコール、並びにそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0010】
非シリコーン油は、好ましくは、トリグリセリド油等の植物油であってもよい。
【0011】
非シリコーン油は、組成物の総質量に対して0.01質量%から20質量%、好ましくは0.05質量%から10質量%、より好ましくは0.2質量%から5質量%の範囲の量で存在していてもよい。
【0012】
界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、非イオン性、及び両性界面活性剤、並びにそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0013】
好ましくは、界面活性剤は、モノオキシアルキレン化、ポリオキシアルキレン化、モノグリセロール化、及びポリグリセロール化非イオン性界面活性剤、例えばポリオキシエチレン化非イオン性界面活性剤からなる群から選択される。
【0014】
界面活性剤は、組成物の総質量に対して10質量%から70質量%、好ましくは20質量%から60質量%、より好ましくは30質量%から50質量%の範囲の量で存在していてもよい。
【0015】
油滴の数平均直径は、180nm未満、好ましくは160nm未満、より好ましくは140nm未満とすることができる。
【0016】
油滴の数平均直径は、1nm超、好ましくは5nm超、より好ましくは10nm超、特に20nm超とすることができる。
【0017】
組成物は、毛髪のための洗浄用組成物、例えばシャンプー及びヘアコンディショナーであってもよい。
【0018】
組成物は、透明な外観又は半透明な外観、好ましくは透明な外観を有することができる。
【0019】
好ましくは、組成物は、シリコーンを含まない。
【0020】
本発明はまた、ケラチン繊維、好ましくは毛髪のための、水性相中に油滴が分散されたO/Wエマルションの形態の、油滴の数平均直径が200nm未満である組成物の調製方法であって、
- 少なくとも1種の非シリコーン油及び少なくとも1種の界面活性剤を混合する工程と、
- 混合物を水で希釈してO/Wエマルションを形成する工程と、
- 任意選択により、界面活性剤、コンディショニング剤、保存剤、pH調整剤、及びケラチン繊維を処置する組成物の分野において使用される他の通例の補助剤からなる群から選択される少なくとも1種の追加の作用剤を組成物に添加する工程と
を含み、組成物がシリコーンを含まない、又は組成物の総質量に対して0.001質量%未満のシリコーンを含む、方法にも関する。
【0021】
本発明はまた、ケラチン繊維を処置するための、好ましくは毛髪を洗浄するための美容方法であって、
- 本発明による組成物をケラチン繊維に塗布する工程と、
- 処置したケラチン繊維を十分な量の水ですすぐ工程と
を含む、方法にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
鋭意検討の結果、本発明者等は、透明又は半透明の外観を有するだけでなく、毛髪に優れた感覚を与えることもできる、超微細O/Wエマルションの形態の、ケラチン繊維、好ましくは毛髪のためのシリコーン非含有組成物を提供することが可能であることを発見した。
【0023】
したがって、本発明の一態様は、ケラチン繊維、好ましくは毛髪のための、水性相中に油滴が分散されたO/Wエマルションの形態の組成物であって、組成物が少なくとも1種の界面活性剤を含み、油滴が少なくとも1種の非シリコーン油を含み、油滴の数平均直径が200nm未満であり、組成物がシリコーンを含まない又は組成物の総質量に対して0.001質量%未満のシリコーンを含む、組成物である。
【0024】
本発明による組成物は、毛髪に良好な保湿感、滑らかさ、櫛通り性等を与えることができる。したがって、本発明による組成物は、化粧用組成物、好ましくは洗浄用組成物、より好ましくはシャンプーとなりうる。
【0025】
本明細書中、以下に、本発明による組成物をより詳細に説明していく。
【0026】
[組成物]
本発明による組成物は、組成物の総質量に対して0.001質量%未満のシリコーン、好ましくは0.0005質量%未満のシリコーン、より好ましくは0.0001質量%未満のシリコーンを含む。最も好ましくは、組成物は、シリコーンを含まない。
【0027】
換言すれば、本発明による組成物は、「シリコーン非含有」組成物である。
【0028】
本発明によるシリコーン非含有組成物は、毛髪に、良好な保湿感、滑らかさ、及び櫛通り性等のより良好な感覚を与え、一方で、超微細O/Wエマルションの油滴の小サイズによって透明又は半透明な外観を維持することができる。該組成物の透明度は、濁度を、例えば濁度計(2100Q portable、Hach Company社)で測定することによって求めることができる。好ましくは、該組成物の濁度は、0超、好ましくは10超であり、且つ200未満、好ましくは150未満である。
【0029】
本発明による組成物は、ケラチン繊維のための化粧用組成物、好ましくはケラチン繊維のための洗浄用組成物、より好ましくは毛髪及び頭皮のための洗浄用組成物であることが好ましい。したがって、本発明による組成物は、任意選択により着色シャンプー、毛髪修復用ローション(hair-restructuring lotion)、パーマネントウェーブ組成物、頭皮シャンプー若しくは頭皮コンディショナー、脱毛抑制用ローション若しくはジェルの形態の、シャンプー、ヘアコンディショナー、ヘアローション、もつれほぐし剤(disentangler)、ヘアクリーム若しくはジェル、スタイリングラッカー、ヘアセッティングローション、トリーティングローション、染色用組成物(特に酸化染色用)であってよい。最も好ましくは、本発明による組成物は、シャンプー又はヘアコンディショナーである。
【0030】
油滴
本発明によるO/Wエマルションの油滴(油相)は、少なくとも1種の非シリコーン油を含む。油相の量は、組成物の総質量に対して0.1質量%から80質量%、好ましくは0.2質量%から60質量%、より好ましくは0.5質量%から30質量%の範囲とすることができる。
【0031】
油相は超微細液滴の形態であり、したがって本発明によるO/Wエマルションは、「超微細O/Wエマルション」とも呼ばれる。本発明の超微細O/Wエマルション中の油滴の数平均直径は、200nm未満、好ましくは180nm未満、より好ましくは160nm未満、とりわけ140nm未満である。一般に、油滴の数平均直径は、好ましくは1nm超、より好ましくは5nm超、更により好ましくは10nm超、とりわけ20nm超である。油滴の粒径は、例えば、粒径分析器(Vasco、Cordoun Technologies社)によって測定することができる。
【0032】
(非シリコーン油)
本発明による組成物は、少なくとも1種の非シリコーン油を含む。2種以上の非シリコーン油を組み合わせて使用してもよい。したがって、単一の種類の非シリコーン油又は異なる種類の非シリコーン油の組合せを使用することができる。
【0033】
ここで、「非シリコーン油」とは、室温(25℃)、大気圧(760mmHg)下で、液体又はペースト又は固体の形態である、非シリコーン化合物又は物質を意味する。非シリコーン油として、化粧品中で一般に使用されるものが、単独で又はそれらの組合せで使用されうる。
【0034】
非シリコーン油は、植物起源又は動物起源の油、合成油、炭化水素油、及び脂肪アルコール、並びにこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0035】
非シリコーン油は、植物油又は動物油から選択される天然油であることが好ましい。
【0036】
植物油の例として、例えば、植物起源の炭化水素系油、例えばフィトステアリルエステル、例えば、オレイン酸フィトステアリル、イソステアリン酸フィトステアリル及びグルタミン酸ラウロイル/オクチルドデシル/フィトステアリル(味の素株式会社、Eldew PS203)、グリセロールの脂肪酸エステル(特に、脂肪酸はC4~C36、特にC18~C36の範囲の鎖長を有することができるもの)から形成されたトリグリセリド(これらの油は場合によって直鎖状又は分枝状であり、飽和又は不飽和であり、特に、ヘプタン酸又はオクタン酸トリグリセリド、シアオイル(shea oil)、アルファルファ油、ケシ油、冬カボチャ油(winter squash oil)、雑穀油(millet oil)、オオムギ油、キノア油、ライ麦油、ククイ油、トケイソウ油、シアバター、アロエベラ油、甘扁桃油、桃核油、落花生油、アルガンオイル(argan oil)、アボカド油、バオバブ油、ルリヂサ油、ブロッコリー油、キンセンカ油、椿油、キャノーラ油、ニンジン油、サフラワー油、亜麻油、アブラナ種子油、綿実油、ココナツ油(ココヤシ油)、カボチャ種子油(marrow seed oil)、小麦胚芽油、ホホバ油、ユリ油、マカデミア油、コーン油、メドフォーム油、セントジョーンズワート油(St John's Wort oil)、モノイオイル(monoi oil)、ヘイゼルナッツ油、杏仁油、クルミ油、オリーブ油、月見草油、パーム油、ブラックカラント種油、キーウィ種子油、グレープシード油、ピスタチオ油、冬カボチャ油、カボチャ油、キノア油、ジャコウバラ油、ゴマ油、ダイズ油、ヒマワリ油、ヒマシ油及びスイカ油、並びにそれらの混合物、或いはカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、例えばStearineries Dubois社によって販売されているもの又はDynamit Nobel社によってMiglyol 810(登録商標)、812(登録商標)及び818(登録商標)の名称で販売されているものであることができる)を挙げることができる。また、変性植物油、例えば、Biotropics社によってScalpro又はAcnaedの名称で販売されているもの等の活性化されたココナツ油も挙げることができる。
【0037】
動物油の例としては、例えば、スクワレン及びスクワランを挙げることができる。
【0038】
合成油の例としては、アルカン油、例えばイソドデカン及びイソヘキサデカン、エステル油、エーテル油、並びに人工トリグリセリドを挙げることができる。
【0039】
エステル油は、好ましくは、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC1~C26脂肪族一酸又はポリ酸の液体エステル、及び飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状C1~C26脂肪族モノアルコール又はポリアルコールの液体エステルであり、これらのエステルの炭素原子の総数は、好ましくは10個以上、好ましくは30個以下である。
【0040】
好ましくは、モノアルコールのエステルの場合、本発明のエステルが由来するアルコール及び酸の中で少なくとも1つは分枝状である。
【0041】
一酸とモノアルコールとのモノエステルの中では、パルミチン酸エチル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ミリスチン酸アルキル、例えばミリスチン酸イソプロピル又はミリスチン酸エチル、ステアリン酸イソセチル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、ネオペンタン酸イソデシル、及びネオペンタン酸イソステアリルを挙げることができる。
【0042】
C4~C22ジカルボン酸又はトリカルボン酸とC1~C22アルコールとのエステル、及びモノカルボン酸、ジカルボン酸、又はトリカルボン酸と非糖C4~C26ジヒドロキシ、トリヒドロキシ、テトラヒドロキシ、又はペンタヒドロキシアルコールとのエステルも使用することができる。
【0043】
とりわけ、セバシン酸ジエチル、ラウロイルサルコシンイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジ-n-プロピル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソステアリル、マレイン酸ビス(2-エチルヘキシル)、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソステアリル、トリ乳酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、クエン酸トリオクチルドデシル、クエン酸トリオレイル、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、ジイソノナン酸ジエチレングリコールを挙げることができる。
【0044】
エステル油としては、C6~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸の糖エステル及びジエステルを使用することができる。「糖」という用語は、アルデヒド又はケトン官能基の有無にかかわらず、いくつかのアルコール官能基を含有し、少なくとも4個の炭素原子を含む、酸素含有炭化水素系化合物を意味することが想起される。これらの糖は、単糖、オリゴ糖、又は多糖であることができる。
【0045】
挙げることができる好適な糖の例には、スクロース(又はサッカロース)、グルコース、ガラクトース、リボース、フコース、マルトース、フルクトース、マンノース、アラビノース、キシロース、及びラクトース、並びにそれらの誘導体、とりわけアルキル誘導体、例えばメチル誘導体、例としてメチルグルコースが含まれる。
【0046】
脂肪酸の糖エステルは、とりわけ、先に記載した糖と、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和のC6~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸とのエステル又はエステルの混合物を含む群から選択することができる。それらが不飽和である場合、これらの化合物は、1から3個の共役又は非共役の炭素-炭素二重結合を有することができる。
【0047】
この変形形態によるエステルはまた、モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル、及びポリエステル、並びにそれらの混合物から選択することができる。
【0048】
これらのエステルは、例えば、オレイン酸エステル、ラウリン酸エステル、パルミチン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ベヘン酸エステル、ヤシ脂肪酸エステル、ステアリン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、カプリン酸エステル、及びアラキドン酸エステル、又はそれらの混合物、例えば、とりわけオレオパルミチン酸、オレオステアリン酸、及びパルミトステアリン酸の混合エステル、並びにテトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチルであってもよい。
【0049】
より特定すると、モノエステル及びジエステル、とりわけスクロース、グルコース、又はメチルグルコースのモノオレイン酸エステル又はジオレイン酸エステル、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、オレオパルミチン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、及びオレオステアリン酸エステルが使用される。
【0050】
挙げることができる例は、Amerchol社によってGlucate(登録商標)DOの名称で販売されている製品であり、これは、ジオレイン酸メチルグルコースである。
【0051】
好ましいエステル油の例としては、例えば、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジオクチル、ヘキサン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸エチル、オクタン酸セチル、オクタン酸オクチルドデシル、ネオペンタン酸イソデシル、プロピオン酸ミリスチル、2-エチルヘキサン酸2-エチルヘキシル、オクタン酸2-エチルヘキシル、カプリル酸/カプリン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ラウロイルサルコシンイソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸エチルヘキシル、ラウリン酸イソヘキシル、ラウリン酸ヘキシル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸イソデシル、トリ(2-エチルヘキサン酸)グリセリル、テトラ(2-エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチル、コハク酸2-エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0052】
人工トリグリセリドの例としては、例えば、カプリルカプリリルグリセリド、トリミリスチン酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル、トリリノレン酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリ(カプリン酸/カプリル酸)グリセリル、及びトリ(カプリン酸/カプリル酸/リノレン酸)グリセリルを挙げることができる。
【0053】
炭化水素油は、以下から選択してもよい:
- 直鎖状又は分枝状の、任意選択で環状のC6~C16低級アルカン。挙げることができる例には、ヘキサン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、及びイソパラフィン、例としてイソヘキサデカン、イソドデカン、及びイソデカンが含まれる;並びに
- 16個超の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えば流動パラフィン、流動ワセリン、ポリデセン及び水添ポリイソブテン、例えばParleam(登録商標)、並びにスクワラン。
【0054】
炭化水素油の好ましい例としては、例えば、直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えばイソヘキサデカン、イソドデカン、スクワラン、鉱油(例えば、流動パラフィン)、パラフィン、ワセリン又はペトロラタム、ナフタレン等;水添ポリイソブテン、イソエイコサン、及びデセン/ブテンコポリマー;並びにそれらの混合物を挙げることができる。
【0055】
脂肪アルコールにおける「脂肪」という用語は、比較的多数の炭素原子を含むことを意味する。したがって、4個以上、好ましくは6個以上、より好ましくは12個以上の炭素原子を有するアルコールは、脂肪アルコールの範囲内に包含される。脂肪アルコールは、飽和であっても不飽和であってもよい。脂肪アルコールは、直鎖状であっても分枝状であってもよい。
【0056】
脂肪アルコールは、構造R-OH[式中、Rは、4から40個の炭素原子、好ましくは6から30個の炭素原子、より好ましくは12から20個の炭素原子を含有する飽和及び不飽和の、直鎖状及び分枝状の基から選択される]を有してもよい。少なくとも1つの実施形態では、Rは、C12~C20アルキル及びC12~C20アルケニル基から選択することができる。Rは、少なくとも1個のヒドロキシル基で置換されていてもいなくてもよい。
【0057】
脂肪アルコールの例としては、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ウンデシレニルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、パルミトレイルアルコール、アラキドニルアルコール、エルシルアルコール、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0058】
脂肪アルコールは、飽和脂肪アルコールであることが好ましい。
【0059】
したがって、脂肪アルコールは、直鎖又は分枝状の、飽和又は不飽和のC6~C30アルコール、好ましくは直鎖又は分枝状の、飽和C6~C30アルコール、より好ましくは直鎖又は分枝状の、飽和C12~C20アルコールから選択することができる。
【0060】
「飽和脂肪アルコール」という用語は、本明細書において、長い脂肪族飽和炭素鎖を有するアルコールを意味する。飽和脂肪アルコールは、任意の直鎖状又は分枝状の、飽和C6~C30脂肪アルコールから選択されることが好ましい。直鎖状又は分枝状の、飽和C6~C30脂肪アルコールの中では、好ましくは、直鎖状又は分枝状の、飽和C12~C20脂肪アルコールを使用することができる。より好ましくは、任意の直鎖状又は分枝状の、飽和C16~C20脂肪アルコールを使用することができる。更に好ましくは、分枝状のC16~C20脂肪アルコールを使用することができる。
【0061】
飽和脂肪アルコールの例としては、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ウンデシレニルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、及びそれらの混合物を挙げることができる。一実施形態では、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、又はそれらの混合物(例えば、セテアリルアルコール)及びベヘニルアルコールを、飽和脂肪アルコールとして使用することができる。
【0062】
本発明による組成物中の非シリコーン油の量は、組成物の総質量に対して0.01から20質量%、好ましくは0.05から10質量%、より好ましくは0.2から5質量%の範囲である。
【0063】
界面活性剤
本発明による組成物は、少なくとも1種の界面活性剤を含む。2種以上の界面活性剤を組み合わせて使用してもよい。したがって、単一のタイプの界面活性剤、又は異なるタイプの界面活性剤の組合せを使用することができる。
【0064】
任意の界面活性剤が、本発明のために使用されうる。界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤、並びにそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0065】
i)アニオン性界面活性剤
組成物は、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤を含んでいてもよい。2種以上のアニオン性界面活性剤を組み合わせて使用してもよい。
【0066】
アニオン性界面活性剤は、(C6~C30)アルキルスルフェート、(C6~C30)アルキルエーテルスルフェート、(C6~C30)アルキルアミドエーテルスルフェート、アルキルアリールポリエーテルスルフェート、モノグリセリドスルフェート;(C6~C30)アルキルスルホネート、(C6~C30)アルキルアミドスルホネート、(C6~C30)アルキルアリールスルホネート、α-オレフィンスルホネート、パラフィンスルホネート;(C6~C30)アルキルホスフェート;(C6~C30)アルキルスルホスクシネート、(C6~C30)アルキルエーテルスルホスクシネート、(C6~C30)アルキルアミドスルホスクシネート;(C6~C30)アルキルスルホアセテート;(C6~C24)アシルサルコシネート;(C6~C24)アシルグルタメート;(C6~C30)アルキルポリグリコシドカルボン酸エーテル;(C6~C30)アルキルポリグリコシドスルホスクシネート;(C6~C30)アルキルスルホスクシナメート;(C6~C24)アシルイセチオネート;N-(C6~C24)アシルタウレート;C6~C30脂肪酸塩;ヤシ油酸塩又は水添ヤシ油酸塩;(C8~C20)アシルラクチレート;(C6~C30)アルキル-D-ガラクトシドウロン酸塩;ポリオキシアルキレン化(C6~C30)アルキルエーテルカルボン酸塩;ポリオキシアルキレン化(C6~C30)アルキルアリールエーテルカルボン酸塩;及びポリオキシアルキレン化(C6~C30)アルキルアミドエーテルカルボン酸塩;並びに対応する酸の形態からなる群から選択されることが好ましい。
【0067】
少なくとも1つの実施形態では、アニオン性界面活性剤は、塩、例えばアルカリ金属、例としてナトリウムの塩;アルカリ土類金属、例としてマグネシウムの塩;アンモニウム塩;アミン塩;及びアミノアルコール塩の形態である。条件に応じて、それらはまた、酸の形態であってもよい。
【0068】
アニオン性界面活性剤は、(C6~C30)アルキル硫酸塩、(C6~C30)アルキルエーテルスルフェート又は塩化されている若しくは塩化されていないポリオキシアルキレン化(C6~C30)アルキルエーテルカルボン酸から選択されることがより好ましい。
【0069】
特に、アニオン性界面活性剤は、ラウリルスルフェート、ラウレススルフェート、並びにそれらの塩及び混合物等の(C6~C30)アルキルエーテルスルフェートであってもよい。より特定すると、ラウリルスルフェートは、ラウリル硫酸ナトリウムであってよく、ラウレススルフェートは、ラウレス硫酸ナトリウムであってもよい。最も好ましくは、アニオン性界面活性剤は、ラウレス硫酸ナトリウムである。
【0070】
(ii)両性界面活性剤
組成物は、少なくとも1種の両性界面活性剤を含んでいてもよい。2種以上の両性界面活性剤を組み合わせて使用してもよい。
【0071】
両性又は双性イオン性界面活性剤は、例えば(非限定的な一覧)、アミン誘導体、例えば脂肪族の第二級又は第三級アミン、及び場合により四級化されているアミン誘導体であることができ、その脂肪族基は、8から22個の炭素原子を含み、且つ少なくとも1個の水可溶化アニオン性基(例えば、カルボキシレート、スルホネート、スルフェート、ホスフェート、又はホスホネート)を含有する、直鎖状又は分枝状の鎖である。
【0072】
両性界面活性剤は、好ましくは、ベタイン及びアミドアミンカルボキシル化誘導体からなる群から選択することができる。
【0073】
両性界面活性剤は、ベタイン型界面活性剤から選択されることが好ましい。
【0074】
ベタイン型両性界面活性剤は、好ましくは、アルキルベタイン、アルキルアミドアルキルベタイン、スルホベタイン、ホスホベタイン、及びアルキルアミドアルキルスルホベタイン、特に(C8~C24)アルキルベタイン、(C8~C24)アルキルアミド(C1~C8)アルキルベタイン、スルホベタイン、及び(C8~C24)アルキルアミド(C1~C8)アルキルスルホベタインからなる群から選択される。一実施形態では、ベタイン型の両性界面活性剤は、(C8~C24)アルキルベタイン、(C8~C24)アルキルアミド(C1~C8)アルキルスルホベタイン、スルホベタイン、及びホスホベタインから選択される。
【0075】
挙げることができる非限定的な例には、単独の又は混合物としての、ココベタイン、ラウリルベタイン、セチルベタイン、ココ/オレアミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、パルミタミドプロピルベタイン、ステアラミドプロピルベタイン、コカミドエチルベタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、オレアミドプロピルヒドロキシスルタイン、ココヒドロキシスルタイン、ラウリルヒドロキシスルタイン、及びココスルタインの名称で、CTFA International Cosmetic Ingredient Dictionary & Handbook、第15版、2014年において分類されている化合物が含まれる。
【0076】
ベタイン型両性界面活性剤は、好ましくは、アルキルベタイン及びアルキルアミドアルキルベタイン、特にココベタイン及びコカミドプロピルベタインである。
【0077】
アミドアミンカルボキシル化誘導体の中では、Miranolの名称で販売されている、米国特許第2,528,378号及び第2,781,354号に記載され、アンホカルボキシグリシネート及びアンホカルボキシプロピオネートの名称でCTFA dictionary、第3版、1982年において分類されている(それらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる)製品を挙げることができ、以下のそれぞれの構造を有する:
R1-CONHCH2CH2-N+(R2)(R3)(CH2COO-) M+ X- (B1)
[式中、
R1は、加水分解ヤシ油中に存在する酸R1-COOHのアルキル基、ヘプチル、ノニル又はウンデシル基を示し、
R2は、β-ヒドロキシエチル基を示し、
R3は、カルボキシメチル基を示し、
M+は、ナトリウム等のアルカリ金属に由来するカチオン性イオン;アンモニウムイオン;又は有機アミンに由来するイオンを示し、
X-は、有機又は無機のアニオン性イオン、例えばハロゲン化物イオン、酢酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、アルキル(C1~C4)硫酸イオン、アルキル(C1~C4)-又はアルキル(C1~C4)アリール-スルホン酸イオン、特にメチル硫酸イオン及びエチル硫酸イオンを示すか、或いはM+及びX-は、存在しない];
R1'-CONHCH2CH2-N(B)(C) (B2)
[式中、
R1'は、ヤシ油若しくは加水分解アマニ油中に存在する酸R1'-COOHのアルキル基、C7、C9、C11若しくはC13アルキル基等のアルキル基、C17アルキル基及びそのイソ型、又は不飽和C17基を示し、
Bは、-CH2CH2OX'を表し、
Cは、-(CH2)z-Y'を表し、z=1又は2であり、
X'は、-CH2-COOH基、-CH2-COOZ'、-CH2CH2-COOH、-CH2CH2-COOZ'又は水素原子を示し、
Y'は、-COOH、-COOZ'、-CH2-CHOH-SO3Z'、-CH2-CHOH-SO3H基又は-CH2-CH(OH)-SO3-Z'基を示し、
Z'は、ナトリウム等のアルカリ若しくはアルカリ土類金属のイオン、有機アミンに由来するイオン、又はアンモニウムイオンを表す];
及び
Ra''-NH-CH(Y'')-(CH2)n-C(O)-NH-(CH2)n'-N(Rd)(Re) (B'2)
[式中、
Y''は、-C(O)OH、-C(O)OZ''、-CH2-CH(OH)-SO3H又は-CH2-CH(OH)-SO3-Z''を示し、ここで、Z''は、ナトリウム等のアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属に由来するカチオン性イオン、有機アミンに由来するイオン、又はアンモニウムイオンを示し、
Rd及びReは、C1~C4アルキル又はC1~C4ヒドロキシアルキル基を示し、
Ra''は、酸由来のC10~C30アルキル基又はアルケニル基を示し、
n及びn'は、独立して、1から3の整数を示す]。
【0078】
式B1及びB2を有する両性界面活性剤は、(C8~C24)-アルキルアンホモノアセテート、(C8~C24)アルキルアンホジアセテート、(C8~C24)アルキルアンホモノプロピオネート、及び(C8~C24)アルキルアンホジプロピオネートから選択されることが好ましい。
【0079】
これらの化合物は、ココアンホジ酢酸二ナトリウム、ラウロアンホジ酢酸二ナトリウム、カプリルアンホジ酢酸二ナトリウム、カプリロアンホジ酢酸二ナトリウム、ココアンホジプロピオン酸二ナトリウム、ラウロアンホプロピオン酸二ナトリウム、カプリルアンホジプロピオン酸二ナトリウム、カプリロアンホジプロピオン酸二ナトリウム、ラウロアンホジプロピオン酸、及びココアンホジプロピオン酸の名称で、CTFA dictionary、第5版、1993年において分類されている。
【0080】
例として、Rhodia Chimie社によってMiranol(登録商標)C2M濃縮物の商品名で販売されているココアンホジアセテートを挙げることができる。
【0081】
式(B'2)の化合物の中では、CHIMEX社によってCHIMEXANE HBの呼称で市販されているジエチルアミノプロピルココアスパルトアミドナトリウム(CTFA)を挙げることができる。
【0082】
(iii)カチオン性界面活性剤
組成物は、少なくとも1種のカチオン性界面活性剤を含んでいてもよい。2種以上のカチオン性界面活性剤を組み合わせて使用してもよい。
【0083】
カチオン性界面活性剤は、場合によりポリオキシアルキレン化されている第一級、第二級又は第三級脂肪アミン塩、第四級アンモニウム塩、及びそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0084】
挙げることができる第四級アンモニウム塩の例には、以下のものが含まれるがこれらに限定されない:
- 下記の一般式(B3)のもの:
【0085】
【化1】
【0086】
[式中、
R1、R2、R3、及びR4は、同一であっても異なっていてもよく、1から30個の炭素原子を含み、酸素、窒素、硫黄、及びハロゲン等のヘテロ原子を場合により含む直鎖状及び分枝状の脂肪族基であって、例えば、アルキル、アルコキシ、C2~C6ポリオキシアルキレン、アルキルアミド、(C12~C22)アルキルアミド(C2~C6)アルキル、(C12~C22)アルキルアセテート、及びヒドロキシアルキル基から選択することができる、脂肪族基;並びに芳香族基、例えばアリール及びアルキルアリールから選択され、X-は、ハロゲン化物イオン、リン酸イオン、酢酸イオン、乳酸イオン、(C2~C6)アルキル硫酸イオン、及びアルキル-又はアルキルアリール-スルホン酸イオンから選択される];
- イミダゾリンの第四級アンモニウム塩、例として下記の式(B4)のもの:
【0087】
【化2】
【0088】
[式中、
R5は、8から30個の炭素原子を含むアルケニル及びアルキル基、例えば牛脂又はヤシの脂肪酸誘導体から選択され、
R6は、水素、C1~C4アルキル基、並びに8から30個の炭素原子を含むアルケニル及びアルキル基から選択され、
R7は、C1~C4アルキル基から選択され、
R8は、水素及びC1~C4アルキル基から選択され、
X-は、ハロゲン化物イオン、リン酸イオン、酢酸イオン、乳酸イオン、アルキル硫酸イオン、アルキルスルホン酸イオン、及びアルキルアリールスルホン酸イオンから選択される。一実施形態では、R5及びR6は、例えば、12から21個の炭素原子を含むアルケニル及びアルキル基から選択される基の混合物、例えば牛脂の脂肪酸誘導体であり、R7は、メチルであり、R8は、水素である。そのような製品の例には、Witco社によって「Rewoquat(登録商標)」W75、W90、W75PG及びW75HPGの名称で販売されているクオタニウム-27(CTFA、1997年)及びクオタニウム-83(CTFA、1997年)が含まれるがこれらに限定されない];
- 式(B5)のジ又はトリ第四級アンモニウム塩:
【0089】
【化3】
【0090】
[式中、
R9は、16から30個の炭素原子を含む脂肪族基から選択され、
R10は、水素、又は1から4個の炭素原子を含むアルキル基、又は-(CH2)3 (R16a)(R17a)(R18a)N+X--基から選択され、
R11、R12、R13、R14、R16a、R17a、及びR18aは、同一であっても異なっていてもよく、水素、及び1から4個の炭素原子を含むアルキル基から選択され、
X-は、ハロゲン化物イオン、酢酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、エチル硫酸イオン、及びメチル硫酸イオンから選択される。
そのようなジ第四級アンモニウム塩の一例は、FINETEX社のFINQUAT CT-P(クオタニウム-89)又はFINQUAT CT(クオタニウム-75)である];
及び
少なくとも1個のエステル官能基を含む第四級アンモニウム塩、例えば下記の式(B6)のもの:
【0091】
【化4】
【0092】
[式中、
R22は、C1~C6アルキル基及びC1~C6ヒドロキシアルキル及びジヒドロキシアルキル基から選択され、
R23は、
下記の基:
【0093】
【化5】
【0094】
、直鎖状及び分枝状の、飽和及び不飽和のC1~C22炭化水素系基R27、並びに水素から選択され、
R25は、
下記の基:
【0095】
【化6】
【0096】
、直鎖状及び分枝状の、飽和及び不飽和のC1~C6炭化水素系基R29、並びに水素から選択され、
R24、R26、及びR28は、同一であっても異なっていてもよく、直鎖状及び分枝状の、飽和及び不飽和のC7~C21炭化水素系基から選択され、
r、s、及びtは、同一であっても異なっていてもよく、2から6の範囲の整数から選択され、
r1及びt1のそれぞれは、同一であっても異なっていてもよく、0又は1であり、r2+r1=2r及びt1+t2=2tであり、
yは、1から10の範囲の整数から選択され、
x及びzは、同一であっても異なっていてもよく、0から10の範囲の整数から選択され、
X-は、単体及び錯体の、有機及び無機のアニオンから選択され、ただし、和x+y+zは、1から15の範囲であり、xが0である場合、R23は、R27を示し、zが0である場合、R25は、R29を示すことを条件とする。R22は、直鎖状及び分枝状のアルキル基から選択することができる。一実施形態では、R22は、直鎖状のアルキル基から選択される。別の実施形態では、R22は、メチル、エチル、ヒドロキシエチル、及びジヒドロキシプロピル基、例えばメチル及びエチル基から選択される。一実施形態では、和x+y+zは、1から10の範囲である。R23が炭化水素系基R27である場合、これは、長鎖であり12から22個の炭素原子を含んでいてもよく、又は短鎖であり1から3個の炭素原子を含んでいてもよい。R25が炭化水素系基R29である場合、これは、例えば、1から3個の炭素原子を含んでいてもよい。非限定的な例として、一実施形態では、R24、R26、及びR28は、同一であっても異なっていてもよく、直鎖状及び分枝状の、飽和及び不飽和のC11~C21炭化水素系基、例えば、直鎖状及び分枝状の、飽和及び不飽和のC11~C21アルキル及びアルケニル基から選択される。別の実施形態では、x及びzは、同一であっても異なっていてもよく、0又は1である。一実施形態では、yは、1に等しい。別の実施形態では、r、s、及びtは、同一であっても異なっていてもよく、2又は3に等しく、例えば2に等しい。アニオンX-は、例えば、ハロゲン化物イオン、例えば塩化物イオン、臭化物イオン及びヨウ化物イオン;並びにC1~C4アルキル硫酸イオン、例えばメチル硫酸イオンから選択することができる。しかしながら、メタンスルホン酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、トシル酸イオン、有機酸に由来するアニオン、例えば酢酸イオン及び乳酸イオン、並びにエステル官能基を含むアンモニウムに適合する全ての他のアニオンは、本発明に従って使用することができるアニオンの他の非限定的な例である。一実施形態では、アニオンX-は、塩化物イオン及びメチル硫酸イオンから選択される]。
【0097】
別の実施形態では、式(B6)のアンモニウム塩[式中、
R22は、メチル及びエチル基から選択され、
x及びyは、1に等しく、
zは、0又は1に等しく、
r、s、及びtは、2に等しく、
R23は、
下記の基:
【0098】
【化7】
【0099】
、メチル、エチル、及びC14~C22炭化水素系基及び水素から選択され、
R25は、
下記の基:
【0100】
【化8】
【0101】
、及び水素から選択され、
R24、R26、及びR28は、同一であっても異なっていてもよく、直鎖状及び分枝状の、飽和及び不飽和のC13~C17炭化水素系基、例えば、直鎖状及び分枝状の、飽和及び不飽和のC13~C17アルキル及びアルケニル基から選択される]を使用することができる。
【0102】
一実施形態では、炭化水素系基は、直鎖状である。
【0103】
挙げることができる式(B6)の化合物の非限定的な例には、ジアシルオキシエチル-ジメチルアンモニウム、ジアシルオキシエチル-ヒドロキシエチル-メチルアンモニウム、モノアシルオキシエチル-ジヒドロキシエチル-メチルアンモニウム、トリアシルオキシエチル-メチルアンモニウム、モノアシルオキシエチル-ヒドロキシエチル-ジメチル-アンモニウムの、塩、例えば塩化物及びメチル硫酸塩、並びにそれらの混合物が含まれる。一実施形態では、アシル基は、14から18個の炭素原子を含んでいてもよく、例えば、植物油、例としてパーム油及びヒマワリ油に由来してもよい。化合物がいくつかのアシル基を含む場合、これらの基は、同一であっても異なっていてもよい。
【0104】
これらの生成物は、例えば、場合によりオキシアルキレン化されているトリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、アルキルジエタノールアミン、又はアルキルジイソプロパノールアミンを、脂肪酸に又は植物若しくは動物起源の脂肪酸の混合物に、直接エステル化することによって、又はそれらのメチルエステルをエステル交換することによって得ることができる。このエステル化に続いて、ハロゲン化アルキル、例えばハロゲン化メチル及びハロゲン化エチル;硫酸ジアルキル、例えば硫酸ジメチル及び硫酸ジエチル;メタンスルホン酸メチル;パラ-トルエンスルホン酸メチル;グリコールクロロヒドリン;並びにグリセロールクロロヒドリンから選択されるアルキル化剤を使用して四級化してもよい。
【0105】
そのような化合物は、例えば、Cognis社によってDehyquart(登録商標)の名称で、Stepan社によってStepanquat(登録商標)の名称で、Ceca社によってNoxamium(登録商標)の名称で、及びRewo-Goldschmidt社によって「Rewoquat(登録商標)WE 18」の名称で販売されている。
【0106】
本発明による組成物中で使用することができるアンモニウム塩の他の非限定的な例には、米国特許第4,874,554号及び第4,137,180号に記載されている少なくとも1個のエステル官能基を含むアンモニウム塩が含まれる。
【0107】
本発明による組成物中で使用することができる上述の第四級アンモニウム塩には、塩化テトラアルキルアンモニウム、例として塩化ジアルキルジメチルアンモニウム及び塩化アルキルトリメチルアンモニウム(そのアルキル基は、約12から22個の炭素原子を含む)、例えば塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム及び塩化ベンジルジメチルステアリルアンモニウム;塩化パルミチルアミドプロピルトリメチルアンモニウム;並びにVan Dyk社によって「Ceraphyl(登録商標)70」の名称で販売されている塩化ステアラミドプロピルジメチル(酢酸ミリスチル)アンモニウムが含まれるがこれらに限定されない。
【0108】
一実施形態によれば、本発明による組成物中で使用することができるカチオン性界面活性剤は、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、クオタニウム-83、クオタニウム-87、クオタニウム-22、塩化ベヘニルアミドプロピル-2,3-ジヒドロキシプロピルジメチルアンモニウム、塩化パルミチルアミドプロピルトリメチルアンモニウム、及びステアラミドプロピルジメチルアミンから選択される。
【0109】
(iv)非イオン性界面活性剤
組成物は、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含んでいてもよい。2種以上の非イオン性界面活性剤を組み合わせて使用してもよい。
【0110】
非イオン性界面活性剤は、それら自体で周知の化合物である(例えば、この点に関しては、「Handbook of Surfactants」、M. R. Porter著、Blackie & Son出版社(Glasgow及びLondon)、1991年、116~178頁を参照されたい)。
【0111】
非イオン性界面活性剤は、脂肪酸アミドであってよく、その構造中に少なくとも6個の炭素原子を含む少なくとも1つの炭化水素系鎖を含む、任意のアミドを使用できる。脂肪酸アミドは、アルカノールアミンのアミド及び飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝状C8~C30脂肪酸のアミドに由来する化合物から選択することができ、このアルカノールアミン及び/又は脂肪酸は、任意選択でオキシアルキレン化されており、より詳細には、1~50molのエチレンオキシドでオキシエチレン化されている。
【0112】
脂肪酸アミドは、好ましくは、C2~C10アルカノールアミン及びC14~C30脂肪酸のアミドから選択され、より好ましくはC2~C10アルカノールアミン及びC14~C22脂肪酸のアミドから選択される。
【0113】
有利には、脂肪酸アミドは、ヤシ油脂肪酸モノイソプロパノールアミド、例えばコカミドMIPAオレイン酸ジエタノールアミド、ミリスチン酸モノエタノールアミド、ダイズ脂肪酸ジエタノールアミド、ステアリン酸エタノールアミド、オレイン酸モノイソプロパノールアミド、リノール酸ジエタノールアミド、ステアリン酸モノエタノールアミド、ベヘン酸モノエタノールアミド、イソステアリン酸モノイソプロパノールアミド、エルカ酸ジエタノールアミド、リシノール酸モノエタノールアミド、及び4molのエチレンオキシドを含有するアブラナ種子脂肪酸アミドから選択することができる。最も好ましくは、脂肪酸アミドには、INNOSPEC ACTIVE CHEMICALS社によってEMPILAN CISの呼称で市販されているコカミドMIPAを挙げることができる。
【0114】
また、非イオン性界面活性剤は、例えば、アルコール、α-ジオール、アルキルフェノール、及び脂肪酸のエステルから選択することができ、これらの化合物は、エトキシル化、プロポキシル化又はグリセロール化されており、例えば少なくとも1つの、8~30個の炭素原子を含む脂肪鎖を有し、エチレンオキシド基又はプロピレンオキシド基の数が2~50の範囲であり、グリセロール基の数が1~30の範囲であることが可能である。マルトース誘導体も挙げることができる。エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドのコポリマー;エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドと、脂肪アルコールとの縮合物;例えば2から30molのエチレンオキシドを含むポリエトキシル化脂肪アミド;例えば1.5から5個、例えば1.5から4個のグリセロール基を含むポリグリセロール化脂肪アミド;2から30molのエチレンオキシドを含むソルビタンのエトキシル化脂肪酸エステル;植物起源のエトキシル化油;スクロースの脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル;グリセロール(C6~C24)アルキルポリグリコシドのポリエトキシル化脂肪酸モノ又はジエステル;N-(C6~C24)アルキルグルカミン誘導体;アミンオキシド、例えば(C10~C14)アルキルアミンオキシド又はN-(C10~C14)アシルアミノプロピルモルホリンオキシド;並びにそれらの混合物も非限定的に挙げることができる。
【0115】
非イオン性界面活性剤は、好ましくは、モノオキシアルキレン化、ポリオキシアルキレン化、モノグリセロール化、又はポリグリセロール化非イオン性界面活性剤から選択することができる。オキシアルキレン単位は、より特定すると、オキシエチレン若しくはオキシプロピレン単位、又はそれらの組合せであり、好ましくはオキシエチレン単位である。
【0116】
挙げることができるモノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化非イオン性界面活性剤の例には、単独の又は混合物としての、以下のものが含まれる:
- モノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化(C8~C24)アルキルフェノール、
- 飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状の、モノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化C8~C30アルコール、
- 飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状の、モノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化C8~C30アミド、
- 飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC8~C30酸とポリアルキレングリコールとのエステル、
- 飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC8~C30酸とソルビトールとのモノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化エステル、
- 飽和又は不飽和の、モノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化植物油、及び
- とりわけ、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドの縮合物。
【0117】
界面活性剤は、好ましくは、1から100の間、最も好ましくは2から50の間のモル数のエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを含有する。本発明の実施形態の一つによれば、ポリオキシアルキレン化非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレン化脂肪酸グリセリド(脂肪酸グリセリドのポリエチレングリコールエーテル)、ポリオキシエチレン化及びポリオキシプロピレン化アルキルエーテル、ポリオキシエチレン化脂肪アルコール(脂肪アルコールのポリエチレングリコールエーテル)並びにポリオキシエチレン化脂肪エステル(脂肪酸のポリエチレングリコールエステル)から選択される。
【0118】
挙げることができるポリオキシエチレン化脂肪酸グリセリド又は部分的グリセリドの例には、少なくとも30個のポリアルキレン単位を有するもの、すなわち30~1000個、好ましくは30~500個、より好ましくは30~200個、最も好ましくは40~100個のポリエチレングリコール単位を有するものが含まれる。例として、PEG-30硬化ヒマシ油、PEG-35硬化ヒマシ油、PEG-40硬化ヒマシ油、PEG-45硬化ヒマシ油、PEG-50硬化ヒマシ油、PEG-55硬化ヒマシ油、PEG-60硬化ヒマシ油、PEG-65硬化ヒマシ油、PEG-80硬化ヒマシ油、PEG-100硬化ヒマシ油、PEG-200硬化ヒマシ油、PEG-35ヒマシ油、PEG-50ヒマシ油、PEG-55ヒマシ油、PEG-60ヒマシ油、PEG-80ヒマシ油、PEG-100ヒマシ油、PEG-200ヒマシ油が挙げられる。
【0119】
挙げることができるポリオキシエチレン化及びポリオキシプロピレン化アルキルエーテルの例としては、ポリオキシエチレン化(1~40EO)及びポリオキシプロピレン化(1~30PO)アルキル(C16~C30)エーテル、とりわけPPG-6デシルテトラデセス-30、PPG-13デシルテトラデセス-24、PPG-6デシルテトラデセス-20、PPG-5セテス-20、PPG-8セテス-20、及びPPG-23ステアレス-34からなる群から選択できる、ポリオキシエチレン化(15~40 EO)及びポリオキシプロピレン化(5~30 PO)アルキル(C16~C24)エーテルが含まれる。
【0120】
挙げることができるポリオキシエチレン化飽和脂肪アルコール(又はC8~C30アルコール)の例には、ラウリルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ9から50個のオキシエチレン単位を含有するもの、より特定すると10から12個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名としてはラウレス-10からラウレス-12);ベヘニルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ9から50個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名としてはベヘネス-9からベヘネス-50);セテアリルアルコール(セチルアルコール及びステアリルアルコールの混合物)のエチレンオキシド付加物、とりわけ10から30個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名としてはセテアレス-10からセテアレス-30);セチルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ10から30個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名としてはセテス-10からセテス-30);ステアリルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ10から30個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名としてはステアレス-10からステアレス-30);イソステアリルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ10から50個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名としてはイソステアレス-10からイソステアレス-50);並びにそれらの混合物が含まれる。
【0121】
挙げることができるポリオキシエチレン化不飽和脂肪アルコール(又はC8~C30アルコール)の例には、オレイルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ2から50個のオキシエチレン単位を含有するもの、より特定すると10から40個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名としてはオレス-10からオレス-40);及びそれらの混合物が含まれる。
【0122】
モノグリセロール化又はポリグリセロール化非イオン性界面活性剤の例としては、モノグリセロール化又はポリグリセロール化C8~C40アルコールが好ましくは使用される。
【0123】
特に、モノグリセロール化又はポリグリセロール化C8~C40アルコールは、以下の式に相当してもよい:
RO-[CH2-CH(CH2OH)-O]m-H又はRO-[CH(CH2OH)-CH2O]m-H
[式中、Rは、直鎖状又は分枝状のC8~C40、好ましくはC8~C30アルキル又はアルケニル基を表し、mは、1から30、好ましくは1.5から10の範囲の数を表す]。
【0124】
本発明との関連で好適な化合物の例としては、4molのグリセロールを含有するラウリルアルコール(INCI名:ポリグリセリル-4ラウリルエーテル)、1.5molのグリセロールを含有するラウリルアルコール、4molのグリセロールを含有するオレイルアルコール(INCI名:ポリグリセリル-4オレイルエーテル)、2molのグリセロールを含有するオレイルアルコール(INCI名:ポリグリセリル-2オレイルエーテル)、2molのグリセロールを含有するセテアリルアルコール、6molのグリセロールを含有するセテアリルアルコール、6molのグリセロールを含有するオレオセチルアルコール、及び6molのグリセロールを含有するオクタデカノールを挙げることができる。
【0125】
アルコールは、mの値が統計値を表すのと同様に、アルコールの混合物を表す場合があり、これは、市販製品において、いくつかの種のポリグリセロール化脂肪アルコールが混合物の形態で共存しうることを意味する。
【0126】
モノグリセロール化又はポリグリセロール化アルコールの中では、1molのグリセロールを含有するC8/C10アルコール、1molのグリセロールを含有するC10/C12アルコール、及び1.5molのグリセロールを含有するC12アルコールを使用することが好ましい。
【0127】
モノグリセロール化又はポリグリセロール化C8~C40脂肪エステルは、以下の式
R'O-[CH2-CH(CH2OR''')-O]m-R''又はR'O-[CH(CH2OR''')-CH2O]m-R''
[式中、R'、R''、及びR'''のそれぞれは、独立して、水素原子、又は直鎖状若しくは分枝状のC8~C40、好ましくはC8~C30アルキル-CO-若しくはアルケニル-CO-基を表し、ただし、R'、R''、及びR'''の少なくとも1つは、水素原子ではないことを条件とし、mは、1から30、好ましくは1.5から10の範囲の数を表す]
に相当しうる。
【0128】
挙げることができるポリオキシエチレン化脂肪エステルの例には、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸又はベヘン酸のエステルのエチレンオキシド付加物、及びそれらの混合物、とりわけ9から100個のオキシエチレン単位を含有するもの、例えばラウリン酸PEG-9からPEG-50(CTFA名:ラウリン酸PEG-9からラウリン酸PEG-50);パルミチン酸PEG-9からPEG-50(CTFA名:パルミチン酸PEG-9からパルミチン酸PEG-50);ステアリン酸PEG-9からPEG-50(CTFA名:ステアリン酸PEG-9からステアリン酸PEG-50);パルミトステアリン酸PEG-9からPEG-50;ベヘン酸PEG-9からPEG-50(CTFA名:ベヘン酸PEG-9からベヘン酸PEG-50);モノステアリン酸ポリエチレングリコール100 EO(CTFA名:ステアリン酸PEG-100);及びそれらの混合物が含まれる。
【0129】
本発明の実施形態の1つによれば、非イオン性界面活性剤は、ポリオールと、例えば8から24個の炭素原子、好ましくは12から22個の炭素原子を含有する飽和又は不飽和鎖を有する脂肪酸とのエステル、及び好ましくは10から200個、より好ましくは10から100個のオキシアルキレン単位を含有するそれらのポリオキシアルキレン化誘導体、例えばC8~C24、好ましくはC12~C22脂肪酸のグリセリルエステル、及び好ましくは10から200個、より好ましくは10から100個のオキシアルキレン単位を含有するそれらのポリオキシアルキレン化誘導体;C8~C24、好ましくはC12~C22脂肪酸のソルビトールエステル、及び好ましくは10から200個、より好ましくは10から100個のオキシアルキレン単位を含有するそれらのポリオキシアルキレン化誘導体;C8~C24、好ましくはC12~C22脂肪酸の糖(スクロース、マルトース、グルコース、フルクトース、及び/又はアルキルグリコース)エステル、及び好ましくは10から200個、より好ましくは10から100個のオキシアルキレン単位を含有するそれらのポリオキシアルキレン化誘導体;脂肪アルコールのエーテル;糖及びC8~C24、好ましくはC12~C22脂肪アルコールのエーテル;並びにそれらの混合物から選択することができる。
【0130】
脂肪酸のグリセリルエステルとしては、ステアリン酸グリセリル(モノ-、ジ-、及び/又はトリステアリン酸グリセリル)(CTFA名:ステアリン酸グリセリル)、ラウリン酸グリセリル又はリシノレイン酸グリセリル、並びにそれらの混合物を列挙することができ、それらのポリオキシアルキレン化誘導体としては、脂肪酸とポリオキシアルキレン化グリセロールとのモノ-、ジ-、又はトリエステル(脂肪酸とグリセロールのポリアルキレングリコールエーテルとのモノ-、ジ-、又はトリエステル)、好ましくはステアリン酸(モノ-、ジ-、及び/又はトリステアリン酸)ポリオキシエチレン化グリセリル、例えばステアリン酸(モノ-、ジ-、及び/又はトリステアリン酸)PEG-20グリセリルを列挙することができる。
【0131】
これらの界面活性剤の混合物、例えばUniqema社によってARLACEL 165の名称で市販されている、ステアリン酸グリセリル及びステアリン酸PEG-100を含有する製品、並びにGoldschmidt社によってTEGINの名称で市販されている、ステアリン酸グリセリル(モノ-及びジステアリン酸グリセリル)及びステアリン酸カリウムを含有する製品(CTFA名:ステアリン酸グリセリルSE)等も使用することができる。
【0132】
C8~C24脂肪酸のソルビトールエステル及びそれらのポリオキシアルキレン化誘導体は、パルミチン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、並びに例えば20から100 EOを含有する脂肪酸及びアルコキシル化ソルビタンのエステルから選択することができる。好ましくは、C8~C24脂肪酸のソルビトールエステル及びそのポリオキシアルキレン化誘導体は、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(CTFA名:ポリソルベート60)であってもよい。挙げることができるC8~C24脂肪酸のソルビトールエステル及びそれらのポリオキシアルキレン化誘導体の他の例には、ICI社によってSpan 60の名称で販売されているモノステアリン酸ソルビタン(CTFA名:ステアリン酸ソルビタン)、ICI社によってSpan 40の名称で販売されているモノパルミチン酸ソルビタン(CTFA名:パルミチン酸ソルビタン)、及びICI社によってTween 65の名称で販売されているトリステアリン酸ソルビタン20 EO(CTFA名:ポリソルベート65)、トリオレイン酸ポリエチレンソルビタン(ポリソルベート85)又はUniqema社によってTween 20若しくはTween 60の商品名で市販されている化合物が含まれる。
【0133】
脂肪酸及びグルコース又はアルキルグルコースのエステルとしては、パルミチン酸グルコース、セスキステアリン酸アルキルグルコース、例えばセスキステアリン酸メチルグルコース、パルミチン酸アルキルグルコース、例えばパルミチン酸メチルグルコース又はパルミチン酸エチルグルコース、メチルグルコシド脂肪エステル、メチルグルコシド及びオレイン酸のジエステル(CTFA名:ジオレイン酸メチルグルコース)、メチルグルコシド及びオレイン酸/ヒドロキシステアリン酸の混合物の混合エステル(CTFA名:ジオレイン酸/ヒドロキシステアリン酸メチルグルコース)、メチルグルコシド及びイソステアリン酸のエステル(CTFA名:イソステアリン酸メチルグルコース)、メチルグルコシド及びラウリン酸のエステル(CTFA名:ラウリン酸メチルグルコース)、メチルグルコシド及びイソステアリン酸のモノエステル及びジエステルの混合物(CTFA名:セスキ-イソステアリン酸メチルグルコース)、メチルグルコシド及びステアリン酸のモノエステル及びジエステルの混合物(CTFA名:セスキステアリン酸メチルグルコース)、特にAMERCHOL社によってGlucate SSの名称で市販されている製品、並びにそれらの混合物を列挙することができる。
【0134】
脂肪酸及びグルコース又はアルキルグルコースのエトキシル化エーテルとしては、例えば、脂肪酸及びメチルグルコースのエトキシル化エーテル、特に約20モルのエチレンオキシドを有するメチルグルコース及びステアリン酸のジエステルのポリエチレングリコールエーテル(CTFA名:ジステアリン酸PEG-20メチルグルコース)、例えばAMERCHOL社によってGlucam E-20 distearateの名称で市販されている製品、約20モルのエチレンオキシドを有するメチル-グルコース及びステアリン酸のモノエステル及びジエステルの混合物のポリエチレングリコールエーテル(CTFA名:セスキステアリン酸PEG-20メチルグルコース)、特にAMERCHOL社によってGlucamate SSE-20の名称で市販されている製品及びGOLDSCHMIDT社によってGrillocose PSE-20の名称で市販されているもの、並びにそれらの混合物を列挙することができる。
【0135】
スクロースエステルとしては、例えば、パルミト-ステアリン酸サッカロース、ステアリン酸サッカロース、及びモノラウリン酸サッカロースを列挙することができる。
【0136】
糖エーテルとしては、アルキルポリグルコシドを使用することができ、例えば、デシルグルコシド、例えばKao Chemicals社によってMYDOL 10の名称で市販されている製品、Henkel社によってPLANTAREN 2000の名称で市販されている製品、及びSeppic社によってORAMIX NS 10の名称で市販されている製品、カプリリル/カプリルグルコシド、例えばSeppic社によってORAMIX CG 110の名称で又はBASF社によってLUTENSOL GD 70の名称で市販されている製品、ラウリルグルコシド、例えばHenkel社によってPLANTAREN 1200 N及びPLANTACARE 1200の名称で市販されている製品、ココ-グルコシド、例えばHenkel社によってPLANTACARE 818/UPの名称で市販されている製品、セトステアリルアルコールと場合によって混合されているセトステアリルグルコシド、例えばSeppic社によってMONTANOV 68の名称で、Goldschmidt社によってTEGO-CARE CG90の名称で、及びHenkel社によってEMULGADE KE3302の名称で市販されているもの、アラキジルグルコシド、例えばSeppic社によってMONTANOV 202の名称で市販されているアラキジル及びベヘニルアルコール並びにアラキジルグルコシドの混合物の形態のもの、ココイルエチルグルコシド、例えばSeppic社によってMONTANOV 82の名称で市販されているセチル及びステアリルアルコールとの混合物(35/65)の形態のもの、並びにそれらの混合物を特に列挙することができる。
【0137】
アルコキシル化植物油のグリセリドの混合物、例えばエトキシル化(200 EO)パーム及びコプラ(7 EO)グリセリドの混合物も列挙することができる。
【0138】
本発明による非イオン性界面活性剤は、好ましくは、アルケニル又は分枝状のC12~C22アシル鎖、例えばオレイル又はイソステアリル基を含有する。より好ましくは、本発明による非イオン性界面活性剤は、トリイソステアリン酸PEG-20グリセリルである。
【0139】
本発明の実施形態の1つによれば、非イオン性界面活性剤は、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコポリマー、特に以下の式
HO(C2H4O)a(C3H6O)b(C2H4O)cH
[式中、a、b、及びcは、a+cが2から100の範囲であり、bが14から60の範囲であるような整数である]
のコポリマー、及びそれらの混合物から選択することができる。
【0140】
本発明による組成物中の界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して10から70質量%、好ましくは20から60質量%、より好ましくは30から50質量%の範囲である。
【0141】
水性相
本発明による組成物は、水性媒体を含む。水性媒体は、水又は水と少なくとも1種の化粧品として許容される溶媒、例えばエタノール、イソプロパノール、tert-ブタノール又はn-ブタノール等のC1~C4低級アルコール;グリセリン、プロピレングリコール及びポリエチレングリコール等のポリオール;並びにこれらの混合物との混合物で構成される。好ましくは、本発明による組成物は水を含む。
【0142】
水の量は、限定されず、組成物の総質量に対して40質量%から99質量%、好ましくは50質量%から95質量%、より好ましくは55質量%から90質量%であってもよい。
【0143】
(コンディショニング剤)
本発明による組成物は、少なくとも1種のコンディショニング剤を含んでいてもよい。2種以上のコンディショニング剤を組み合わせて使用してもよい。このため、単一のタイプのコンディショニング剤、又は異なるタイプのコンディショニング剤の組合せを使用することができる。
【0144】
コンディショニング剤は、毛髪等のケラチン繊維にコンディショニング効果を与えることができる。
【0145】
好ましくは、コンディショニング剤は、カチオン性ポリマー又は両性ポリマーであってもよい。
【0146】
コンディショニングポリマーは、以下から選択されることが好ましい:
(1)アルキルジアリルアミンの又はジアルキルジアリルアンモニウム塩のシクロポリマー、例えば鎖の主要構成体として、以下の式に相当する単位を含むホモポリマー又はコポリマー:
【0147】
【化9】
【0148】
[式中、
k及びtは、0又は1に等しく、和k+tは、1に等しく、
R12は、水素原子又はメチル基を示し、
R10及びR11は、互いに独立して、1から6個の炭素原子を含むアルキル基、アルキル基が好ましくは1から5個の炭素原子を含むヒドロキシアルキル基、低級(C1~C4)アミドアルキル基を示し、又はR10及びR11は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、ピペリジニル又はモルホリニル等の複素環基を示してもよく、
R10及びR11は、互いに独立して、好ましくは1から4個の炭素原子を含むアルキル基を示す]。
【0149】
上で定義したポリマーの中でより特定して挙げることができるのは、Nalco社によってMerquat 100の名称で販売されているジメチルジアリルアンモニウムクロリドホモポリマー及び質量平均分子量の低いその同族体、並びにMerquat 550の名称で販売されている、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドとアクリルアミドとのコポリマーである。
【0150】
(2)以下の式に相当する、特に繰り返しの単位を有する第四級ジアンモニウムポリマー:
【0151】
【化10】
【0152】
[式中、
R13、R14、R15及びR16は、同一であっても異なっていてもよく、1~20個の炭素原子を含有する脂肪族基、脂環式基若しくはアリール脂肪族基、又は低級ヒドロキシアルキル脂肪族基を表し、或いはR13、R14、R15及びR16は、一緒に又は別々に、それらが結合している窒素原子と共に、窒素以外の第2のヘテロ原子を任意選択で含有する複素環を構成し、或いはR13、R14、R15及びR16は、ニトリル、エステル、アシル若しくはアミドの各基、又は-CO-O-R17-D若しくは-CO-NH-R17-D(式中、R17はアルキレン基であり、Dは第四級アンモニウム基である)の各基で置換されている直鎖状又は分枝状のC1~C6アルキル基を表し、
A1及びB1は、2~20個の炭素原子を含有するポリメチレン基を表し、これは、直鎖状又は分枝状であってもよく、飽和又は不飽和であってもよく、これは、主鎖に結合した若しくは挿入された1つ若しくは複数の芳香族環、又は1つ若しくは複数の酸素原子若しくは硫黄原子、又はスルホキシド、スルホン、ジスルフィド、アミノ、アルキルアミノ、ヒドロキシル、第四級アンモニウム、ウレイド、アミド若しくはエステルの各基を含有してもよく、
X-は、無機酸又は有機酸から誘導されるアニオンを示し、
A1、R13及びR15は、それらが結合している2個の窒素原子と共にピペラジン環を形成することができる]。
【0153】
(3)カチオン性多糖、特にカチオン性セルロース及びガラクトマンナンガム。
【0154】
カチオン性セルロースポリマーは、少なくとも1つの第四級アンモニウム基を有してもよい。カチオン性セルロースポリマーは、少なくとも1つの脂肪鎖を含む少なくとも1つの第四級アンモニウム基(例えば、少なくとも8個の炭素原子を含むアルキル、アリールアルキル若しくはアルキルアリール基、又はそれらの混合物)で改質されている四級化ヒドロキシエチルセルロースであることが好ましいことがある。第四級アンモニウム基によって保持されているアルキル基は、好ましくは8~30個の炭素原子、特定すると10~30個の炭素原子を含みうる。アリール基は、好ましくは、フェニル、ベンジル、ナフチル又はアントリル基を意味する。
【0155】
より好ましくは、カチオン性セルロースポリマーは、少なくとも1つのC8~C30炭化水素基を含む第四級アンモニウム基を少なくとも1つ含んでもよい。
【0156】
挙げることができるC8~C30脂肪鎖を含有する四級化アルキルヒドロキシエチルセルロースの例には、Amerchol社により販売されている製品Quatrisoft LM 200、Quatrisoft LM-X 529-18-A、Quatrisoft LM-X 529-18B(C12アルキル)及びQuatrisoft LM-X 529-8(C18アルキル)又はSoftcat Polymer SL100、Softcat SX-1300X、Softcat SX-1300H、Softcat SL-5、Softcat SL-30、Softcat SL-60、Softcat SK-MH、Softcat SX-400X、Softcat SX-400H、SoftCat SK-L、Softcat SK-M及びSoftcat SK-H、並びにCroda社により販売されている製品Crodacel QM、Crodacel QL(C12アルキル)及びCrodacel QS(C18アルキル)が含まれる。
【0157】
これらの四級化アルキルヒドロキシエチルセルロースの中で、INCI名がポリクオタニウム-67に相当する製品が好ましい。
【0158】
本発明の別の実施形態によれば、コンディショニング剤は、タンパク質、タンパク質加水分解物、及びアミノ酸であってもよい。
【0159】
挙げることができるタンパク質及びタンパク質加水分解物の例には、カゼイン、コラーゲン、プロコラーゲン、ゼラチン、ケラチン、糖タンパク質、加水分解小麦タンパク質、加水分解大豆タンパク質、加水分解カラスムギタンパク質、加水分解米タンパク質、加水分解植物性タンパク質、加水分解酵母タンパク質、及び乳漿タンパク質が含まれる。
【0160】
挙げることができるアミノ酸の例には、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、カルニチン、ココイルサルコシン、グリシン、グルタミン酸、ヒスチジン、ヒドロキシプロリン、アセチルヒドロキシプロリン、イソロイシン、リジン、ラウロイルリジン、ラウロイルサルコシン、メチオニン、フェニルアラニン、ポリリジン、ココイルグルタミン酸カリウム、プロリン、サルコシン、セリン、コメアミノ酸、シルクアミノ酸、コムギアミノ酸、グルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ステアロイルサルコシン、トレオニン、チロシン、トリプトファン、及びバリンが含まれる。
【0161】
コンディショニング剤は、ケラチン繊維にコンディショニング効果を与えるのに十分な含量、例えば、組成物の総質量に対して0.01質量%から20質量%、好ましくは0.1質量%から10質量%、より好ましくは0.5質量%から5質量%の範囲である含量で存在することができる。
【0162】
保存剤
本発明による組成物は、少なくとも1種の保存剤を含んでもよい。
【0163】
保存剤の非限定的な例としては、エタノール、ポリビニルアルコール、フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、サリチル酸、安息香酸ナトリウム、カプリリルグリコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、エチルヘキシルグリセリン、1,3-プロパンジオール、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0164】
保存剤は、微生物増殖による分解を防止するのに十分な含量、例えば、組成物の総質量に対して0.01質量%から5質量%、好ましくは0.05質量%から3質量%、より好ましくは0.1質量%から1質量%の範囲である含量で存在することができる。
【0165】
増粘剤
本発明による組成物は、少なくとも1種の増粘剤を含んでもよい。
【0166】
増粘剤の非限定的な例としては、高分子及び非高分子増粘剤が挙げられる。例示的な高分子増粘剤としては、様々な天然ガムが挙げられる。例示的な非高分子増粘剤としては、オキシエチレン化分子、特にエトキシル化アルキル又はポリオールのアシル誘導体、例えばオレイン酸PEG-55プロピレングリコールが挙げられる。好ましくは、増粘剤は、例えばEVONIK社によりANTIL(登録商標)141 LIQUIDの名称で市販されている、プロピレングリコールとオレイン酸PEG-55プロピレングリコールとのブレンドであってもよい。
【0167】
増粘剤は、組成物の粘度又はレオロジーを修正するのに十分な含量、例えば、組成物の総質量に対して0.01質量%から7質量%、好ましくは0.05質量%から5質量%、より好ましくは0.1質量%から3質量%の範囲である含量で存在することができる。
【0168】
pH調整剤
本発明による組成物は、好ましくは、少なくとも1種のpH調整剤を含むことができる。pHの所望の値への調整は、pH調整剤、例えば有機塩基若しくは無機塩基又は有機酸若しくは無機酸又はこれらの塩等を組成物に添加することによって、従来通り行うことができる。塩基には、例えば、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム又は第一級、第二級又は第三級(ポリ)アミン、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン又は1,3-プロパンジアミン等が含まれる。有機酸には、例えば、カルボン酸、クエン酸、酒石酸及び乳酸が含まれる。無機酸には、例えば、塩酸、硝酸、オルトリン酸及びスルホン酸が含まれる。塩には、例えば、リン酸ナトリウム及びリン酸三ナトリウムが含まれる。
【0169】
pH調整剤は、組成物のpHを所望の値に調整するのに十分な含量、例えば、組成物の総質量に対して0.01質量%~10質量%、好ましくは0.1質量%~5質量%、より好ましくは0.5質量%~3質量%を範囲とする含量で、存在することができる。
【0170】
添加剤
必要に応じて、本発明による組成物の所望の特性を維持できる限り、本発明による組成物は、ケラチン繊維を処置する組成物の分野において遭遇する全ての通例の補助剤、例えば、親水性溶媒、香料、芳香物質、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)等の金属イオン封鎖剤及びその塩、発泡調整剤、着色剤、保湿剤、フケ防止剤、脂漏防止剤(antiseborrhoeic agent)等を更に含有することができる。
【0171】
本発明による組成物中に含まれる添加剤の量は限定されないが、組成物の総質量に対して0.01から30質量%とすることができる。
【0172】
[調製]
本発明による組成物は、当技術分野において通常の技術によって製造することができる。
【0173】
本発明による組成物は、少なくとも1種の非シリコーン油及び少なくとも1種の界面活性剤を混合する工程と、次いで従来通りの方法を用いて混合物を水で希釈してO/Wエマルションを形成する工程とによって調製することができ、油滴の数平均直径は200nm未満である。任意選択により、エマルションが形成された後、追加の作用剤を組成物と混合してもよい。
【0174】
例えば、本発明によるシャンプーは、少なくとも1種の非シリコーン油及び少なくとも1種の界面活性剤を混合する工程と、混合物を水で希釈して水性相中に油滴が分散された、油滴の数平均直径が200nm未満であるO/Wエマルションを形成する工程と、次いでエマルションをシャンプーベースに添加する工程とによって得ることができる。
【0175】
従来の混合方法は、ホモジナイザー、例えばタービンミキサーを用いて実施されうる。
【0176】
[方法及び使用]
本発明による組成物は、ケラチン繊維のための化粧用組成物、好ましくはケラチン繊維のための洗浄用組成物、より好ましくは毛髪のための洗浄用組成物であることが好ましい。より好ましくは、本発明による組成物は、シャンプー又はヘアコンディショナーであってもよい。
【0177】
本発明はまた、ケラチン繊維を処置するための、好ましくは毛髪を洗浄するための美容方法であって、本発明による組成物をケラチン繊維に塗布する工程と、処置したケラチン繊維を十分な量の水ですすぐ工程とを含む、方法にも関する。
【0178】
本発明はまた、ケラチン繊維のための化粧料としての又はケラチン繊維のための化粧料、好ましくはシャンプー及びヘアコンディショナー等の毛髪のためのコンディショニング製品中での本発明による組成物の使用にも関する。
【0179】
本発明の別の態様は、シャンプー又はヘアコンディショナー等の、ケラチン繊維、好ましくは毛髪のためのシリコーン非含有組成物中の、水性相中に分散された油滴を有する、油滴が少なくとも1種の非シリコーン油を含み、油滴の数平均直径が200nm未満である、O/Wエマルションの使用であってもよく、
組成物の透明性又は半透明性を維持し、良好な保湿感、滑らかさ、及び櫛通り性等のより良好な感覚を毛髪に付与する特性を組成物に与えるためのものである。
【実施例0180】
本発明を、実施例によって、より詳細に説明する。しかしながら、これらの実施例は、本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【0181】
実施例1及び比較例1
本発明及び比較例のシリコーン非含有シャンプーの調製方法
(実施例1)
以下のTable 1-B(表1)に記載の成分を、穏やかに混合しながら水で希釈して、液滴の数平均直径が約40nmだった、すなわちこの超微細O/Wエマルションは200nm未満の液滴サイズを有していた超微細エマルションを形成した。粒径分析器(Vasco、Cordoun Technologies社)を使用して、超微細エマルションの液滴サイズを決定した。25℃において、連続水性相の屈折率は1.33であり、粘度は0.89cpであった。
【0182】
別に、Table 1-A(表1)に記載のシャンプーベース成分を混合した。次いで超微細エマルションを、穏やかに混合しながらシャンプーベース組成物に添加して、本発明のシリコーン非含有シャンプーを得た。結果として得られた本発明のシリコーン非含有シャンプーは、透明な外観を維持していた。
【0183】
(比較例1)
比較例のシャンプーは、Table 1-B(表1)に記載の全ての成分及び水を、Table 1-A(表1)に記載のシャンプーベース成分に添加して、O/Wエマルションの形態の比較例のシリコーン非含有シャンプーを得ることによって調製した。結果として得られた比較例のシリコーン非含有シャンプーに対するその液滴の数平均直径は、200nm超であった。比較例のシリコーン非含有シャンプーの外観は濁っていた。
【0184】
【表1】
【0185】
評価
[泡量の観察]
本発明の又は比較例のシリコーン非含有シャンプーを、ブレンダー(Oster Urban Blender 350W)中で最大速度にて1分間、硬度制御された脱イオン水(10fH)と混合した。標準メスシリンダー中での測定によって泡量を観察した。
【0186】
[感覚評価法]
同じ量の本発明の又は比較例のシリコーン非含有シャンプー(毛髪1g当たりシャンプー0.4g)を、わずかに脱色した日本人の毛束(2.7g)に10サイクル適用し、毛髪を10回擦った。その後、毛束を30秒間、指で15回撫でて、毛束をすすいだ。すすぎの手順は、本発明の及び比較例のシリコーン非含有シャンプーで同じであった。
【0187】
毛束を乾燥した後、泡の量、毛髪の柔らかさ、及び毛束の感覚特性を6名のパネリスト等によって観察した。細かい目の櫛及びパネリストの指を使って、指の櫛通りしやすさを評価した。触って擦ることによって感覚評価を行った。滑らかさ、保湿性、及び指の櫛通りしやすさを1から5で採点した(1は不良であり、5は良好である)。
【0188】
[湿潤櫛入れ力(wet combing force)の測定]
天然の日本人の毛束3gを、本発明の又は比較例のシリコーン非含有シャンプー1.2gで12回処置した。DIA-STRON MTT 175機器を使用して、両方の毛髪サンプルの湿潤櫛入れ力を測定した。各毛髪サンプルを4回測定し、平均値を求めた。
【0189】
[油の付着の分析]
3つの毛束(各1g)を、本発明の又は比較例のシリコーン非含有シャンプーで10回処置した後、3時間以上自然乾燥した。毛束1グラムをそれぞれ抽出し、抽出物をHPLC-CADによって分析して、毛束上のココヤシ(ココナツ)油の残量を決定した。抽出は、毛束を0.5cmの断片に切って行った。正確な量の毛髪断片100mgを1mLのヘキサンと混合した。試験管をMiniBlock中で室温にて3時間攪拌した。結果として得られた抽出物を蒸発乾燥し、300μLのジクロロメタンに再び溶解し、次いで分析用のHPLC-CADに挿入した。3つの毛束サンプルそれぞれについて測定を2回実施した。
【0190】
HPLA-CADの条件は以下の通りである:
HPLCタイプ: Alliance 2695、WATERS+検出器、
CAD: CORONA PLUS ESA, EUROSEP、及び
カラム: Thermo hypersilとSymmetry Shield RP18とは直列に接続されている。
【0191】
結果
油滴サイズ、外観、泡量、感覚評価、湿潤櫛入れ力、及び油の付着に関する結果をTable 2(表2)に示す。
【0192】
【表2】
【0193】
上記Table 2(表2)に示す通り、本発明のシリコーン非含有シャンプーは、透明な外観を維持する一方、比較例のシリコーン非含有シャンプーと比べて、より改善された感覚(良好な保湿感、滑らかさ、及び櫛通り性)だけでなく、より多くの泡の量を達成することができる。本発明のシリコーン非含有シャンプーが櫛通りしやすい特性を有するという事実は、湿潤櫛入れ力測定法の実験データによっても支持されている。更に、本発明のシリコーン非含有シャンプーを使用した場合、より多量の湯が毛髪に付着することが実証されている。これは、本発明のシリコーン非含有シャンプーが、良好な保湿感、滑らかさ、及び櫛通り性を毛髪に与えることができることも支持している。
【0194】
結果として、超微細O/Wエマルションの形態のケラチン繊維のためのシリコーン非含有組成物が、透明な外観を維持することができるだけでなく、より良好な感覚を毛髪に与えることが明らかである。
【外国語明細書】