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特開2022-171824電子ペン及び電子ペン用のカートリッジ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171824
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】電子ペン及び電子ペン用のカートリッジ
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/03 20060101AFI20221104BHJP
   G06F 3/046 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
G06F3/03 400A
G06F3/046 A
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147529
(22)【出願日】2022-09-16
(62)【分割の表示】P 2019540770の分割
【原出願日】2018-06-13
(31)【優先権主張番号】P 2017170107
(32)【優先日】2017-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000139403
【氏名又は名称】株式会社ワコム
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】田中 航平
(72)【発明者】
【氏名】藤塚 広幸
(72)【発明者】
【氏名】二宮 健一
(72)【発明者】
【氏名】金田 剛典
(72)【発明者】
【氏名】石原 群司
(72)【発明者】
【氏名】山口 孝
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 武敏
(72)【発明者】
【氏名】李 双磊
(57)【要約】
【課題】細型の電子ペンとして、構成が簡単で、製造が容易で量産に適するようにする。
【解決手段】筒状の筐体の中空部内に、筐体の軸心方向に互いに結合されて配置される第1の結合部材及び第2の結合部材を備える。軸心方向において、第1の結合部材と第2の結合部材とは、互いに一部が重なる状態で結合されている。第1の結合部材と第2の結合部材との結合部には、第1の結合部材と第2の結合部材とを固着するための溶着部が形成されている。少なくとも重なる状態で結合されている部分において、外側となる第1の結合部材と第2の結合部材の一方は、レーザー光による溶着を可能にするために光透過性樹脂とされ、内側となる第1の結合部材と第2の結合部材の他方は、光吸収性樹脂で構成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の筐体と、
前記筐体の中空部内に、前記筐体の軸心方向に互いに結合されて配置される第1の結合部材及び第2の結合部材と、
を備え、
前記軸心方向において、前記第1の結合部材と前記第2の結合部材とは、互いに一部が重なる状態で結合されており、
前記第1の結合部材と前記第2の結合部材との結合部には、前記第1の結合部材と前記第2の結合部材とを固着するための溶着部が形成されており、
少なくとも前記重なる状態で結合されている部分において、外側となる前記第1の結合部材と前記第2の結合部材の一方は、レーザー光による溶着を可能にするために光透過性樹脂とされ、内側となる前記第1の結合部材と前記第2の結合部材の他方は、光吸収性樹脂で構成されている
ことを特徴とする電子ペン。
【請求項2】
前記第2の結合部材には、前記第1の結合部材側の部品と、前記第2の結合部材側の部品との間の電気的な接続を行うための線路部が設けられており、
前記溶着部は、前記線路部を避けた位置に形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電子ペン。
【請求項3】
前記第1の結合部材は、前記軸心方向において、前記第2の結合部材との結合側とは反対側で、芯体を含む芯体側構成部材と結合されており、
前記第2の結合部材は、前記軸心方向において、前記第1の結合部材との結合側とは反対側で、プリント基板を保持し、
前記第2の結合部材には、前記芯体側構成部材と前記プリント基板との間の電気的な接続を行うための線路部が設けられており、
前記溶着部は、前記線路部を避けた位置に形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電子ペン。
【請求項4】
前記第1の結合部材は、電子ペンの芯体に印可される筆圧を検出する筆圧検出部を保持しており、
前記第2の結合部材は、前記軸心方向において、前記第1の結合部材との結合側とは反対側で、プリント基板を保持し、
前記第2の結合部材には、前記筆圧検出部と前記プリント基板との間の電気的な接続を行うための線路部が設けられており、
前記溶着部は、前記線路部を避けた位置に形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電子ペン。
【請求項5】
前記筆圧検出部は、誘電体と、前記軸心方向に前記誘電体を挟むように設けられる第1の電極及び第2の電極とを含み、前記第1の電極及び前記第2の電極との間に得られる静電容量が、前記芯体に印加される圧力に応じて変化する構成を備えており、
前記第2の結合部材の前記第1の結合部材側の端面側には、
前記第1の電極と前記第2の電極の内の前記誘電体の前記第2の結合部材側の一方の電極と接触して電気的に接続する第1の導体が配設されていると共に、
前記第1の電極と前記第2の電極の内の前記誘電体の前記第2の結合部材側とは反対側の他方の電極と、前記軸心方向及び前記軸心方向に直交する方向において前記第1の導体とは異なる位置で接触して電気的に接続される第2の導体が配設されており、
前記第2の結合部材の前記線路部は、前記第1の導体及び前記第2の導体と前記プリント基板とを接続するための第1及び第2の線路部で構成されている
ことを特徴とする請求項4に記載の電子ペン。
【請求項6】
前記第1の結合部材と前記第2の結合部材とは、一方が他方に嵌合されることで結合され、
前記筆圧検出部の前記第1の電極及び前記第2の電極は、前記第1の結合部材と前記第2の結合部材との結合により、前記軸心方向において前記第2の結合部材に押し付けられて、前記第1の導体及び前記第2の導体と電気的に接続される
ことを特徴とする請求項5に記載の電子ペン。
【請求項7】
前記溶着部は、前記第1の結合部材と前記第2の結合部材との結合部の、前記軸心方向に交差する方向に、複数の位置に、形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電子ペン。
【請求項8】
前記複数個の前記溶着部は、前記第1の結合部材と前記第2の結合部材との結合部の、前記軸心方向に交差する方向において、互いに対向する位置に形成されている
ことを特徴とする請求項3に記載の電子ペン。
【請求項9】
前記溶着部は、前記第1の結合部材と前記第2の結合部材との結合部の、前記軸心方向に沿って、複数、形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電子ペン。
【請求項10】
前記光透過性樹脂は、透明又は半透明の樹脂で構成され、前記光吸収性樹脂は、濃色の樹脂で構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電子ペン。
【請求項11】
前記線路部は、前記軸心方向に形成されており、
前記溶着部は、前記線路部に並行する位置に形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電子ペン。
【請求項12】
前記線路部は複数個であって、集中的にまとめられて前記軸心方向に形成されており、
前記溶着部は、前記集中的にまとめられて配置されている前記複数個の前記線路部の両脇に並行して形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電子ペン。
【請求項13】
前記芯体側構成部材は、前記芯体と、前記芯体が挿通される貫通孔を有する磁性体コアに巻回されたコイルとを含む
ことを特徴とする請求項3に記載の電子ペン。
【請求項14】
前記第2の結合部材は、前記コイルの両端と、プリント基板上に配置されているキャパシタとを電気的に接続して共振回路を構成するようにするための導体を備える
ことを特徴とする請求項13に記載の電子ペン。
【請求項15】
前記芯体側構成部材の前記芯体は、導電性を有する部材で構成されており、
前記第2の結合部材は、前記芯体に、前記プリント基板上に配置されている信号発信回路からの信号を供給するための導体を備える
ことを特徴とする請求項3に記載の電子ペン。
【請求項16】
電子ペンの筒状の外部筐体の中空部に配設される内部筐体と、
前記内部筐体の中空部内に、前記内部筐体の軸心方向に互いに結合されて配置される第1の結合部材及び第2の結合部材と、
を備え、
前記軸心方向において、前記第1の結合部材と前記第2の結合部材とは、互いに一部が重なる状態で結合されており、
前記第1の結合部材と前記第2の結合部材との結合部には、前記第1の結合部材と前記第2の結合部材とを固着するための溶着部が形成されており、
少なくとも前記重なる状態で結合されている部分において、外側となる前記第1の結合部材と前記第2の結合部材の一方は、レーザー光による溶着を可能にするために光透過性樹脂とされ、内側となる前記第1の結合部材と前記第2の結合部材の他方は、光吸収性樹脂で構成されている
ことを特徴とする電子ペン用のカートリッジ。
【請求項17】
前記第2の結合部材には、前記第1の結合部材側の部品と、前記第2の結合部材側の部品との間の電気的な接続を行うための線路部が設けられており、
前記溶着部は、前記線路部を避けた位置に形成されている
ことを特徴とする請求項16に記載の電子ペン用のカートリッジ。
【請求項18】
前記第1の結合部材は、前記軸心方向において、前記第2の結合部材との結合側とは反対側で、芯体を含む芯体側構成部材と結合されており、
前記第2の結合部材は、前記軸心方向において、前記第1の結合部材との結合側とは反対側で、プリント基板を保持し、
前記第2の結合部材には、前記芯体側構成部材と前記プリント基板との間の電気的な接続を行うための線路部が設けられており、
前記溶着部は、前記線路部を避けた位置に形成されている
ことを特徴とする請求項16に記載の電子ペン用のカートリッジ。
【請求項19】
前記第1の結合部材は、電子ペンの芯体に印可される筆圧を検出する筆圧検出部を保持しており、
前記第2の結合部材は、前記軸心方向において、前記第1の結合部材との結合側とは反対側で、プリント基板を保持し、
前記第2の結合部材には、前記筆圧検出部と前記プリント基板との間の電気的な接続を行うための線路部が設けられており、
前記溶着部は、前記線路部を避けた位置に形成されている
ことを特徴とする請求項16に記載の電子ペン用のカートリッジ。
【請求項20】
前記光透過性樹脂は、透明又は半透明の樹脂で構成され、前記光吸収性樹脂は、濃色の樹脂で構成されている
ことを特徴とする請求項16に記載の電子ペン用のカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子ペン及び電子ペン用のカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子ペンの細型化が進んでいる。そのため、例えば特許文献1(WO2017/010336号公報)に開示されているように、近年、電子ペンを構成する部品は、細長の筒状の筐体内に、軸芯方向に並べられて結合されている構成とされている。
【0003】
特許文献1に開示されている電磁誘導方式の電子ペンにおいては、筒状の筐体内の軸心方向に、コイルが巻回されたフェライトコアと、回路部品が載置されている細長形状のプリント基板と、筆圧検出モジュールとが配設されている。この場合に、筆圧検出モジュールは、コイルが巻回されたフェライトコアとプリント基板との間に配置されており、当該筆圧検出モジュールの芯体側に、コイルが巻回されたフェライトコアが結合されると共に、当該筆圧検出モジュールの芯体側とは反対側において、プリント基板を保持する構成とされている。
【0004】
そして、特許文献1では、筆圧検出モジュールは、その内部にフェライトコアが結合される係合部材と、プリント基板を保持するように構成されるホルダーとに軸心方向に2分され、両者の結合により、筆圧検出用部品を保持する構成とされている。この場合に、特許文献1においては、係合部材とホルダーとは、樹脂で構成され、内部に筆圧検出用部品を収納する空間を備える状態で互いに嵌合して結合することができるように、一方に嵌合突部、他方に嵌合凹溝を備える構成とされている。そして、係合部材とホルダーとを、筆圧検出用部品を前記空間に保持する状態で、嵌合突部と嵌合凹溝とで互いに嵌め合うように嵌合させることで、樹脂の弾性力を利用して嵌合結合するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2017/010336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1における筆圧検出モジュールを構成する係合部材とホルダーとは、筆圧検出用部品を、ガタツクことなくしっかりと保持することができるように結合させる必要がある。何故なら、筆圧検出用部品にガタツキが生じると、筆圧を精度良く検出することができなくなる恐れがあるからである。
【0007】
そのために、係合部材とホルダーとに形成される嵌合突部と嵌合凹溝は、高精度に、精度良く嵌合することができる形状及び寸法にする必要がある。しかし、係合部材とホルダーとの形状及び寸法を、条件を満たすように構成することは困難である。特に、筆圧検出モジュールには筆圧がかかるために、結合後に条件が変化しないようにするための強度が必要であり、初期的に条件を満足していても、事後的にガタツクようになってしまうおそれもあった。
【0008】
そこで、係合部材とホルダーとを嵌合させて結合するだけでなく、接着材も併用して強固に結合させるようにすることも考えられる。しかし、その場合には、第1の結合部材と第2の結合部材とを嵌合結合する前に接着材を塗布しておく必要があり、手間がかかると共に、接着材が接着を要しない他の部分に付着しないように注意して第1の結合部材と第2の結合部材とを嵌合結合しなければならず、厄介な作業となる。
【0009】
そして、接着固化に時間を要する遅効性の接着材を用いる場合には、接着材が固化するまで結合状態を保持しておかなければならないという問題がある。また、即効性の接着材を用いる場合には、係合部材とホルダーとを嵌合する際に、接着材が接着を要しない他の部分に付着すると、嵌合をさせ難くなるので、嵌合作業が厄介なものとなるという問題がある。また、接着材を用いる場合には、事後的に接着材が浸み出して、筆圧検出用部品の軸心方向の動きに対して悪影響を及ぼすという問題もある。
【0010】
この発明は、以上の問題点を解決することができる電子ペンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、この発明は、
筒状の筐体と、
前記筐体の中空部内に、前記筐体の軸心方向に互いに結合されて配置される第1の結合部材及び第2の結合部材と、
を備え、
前記軸心方向において、前記第1の結合部材と前記第2の結合部材とは、互いに一部が重なる状態で結合されており、
前記第1の結合部材と前記第2の結合部材との結合部には、前記第1の結合部材と前記第2の結合部材とを固着するための溶着部が形成されており、
少なくとも前記重なる状態で結合されている部分において、外側となる前記第1の結合部材と前記第2の結合部材の一方は、レーザー光による溶着を可能にするために光透過性樹脂とされ、内側となる前記第1の結合部材と前記第2の結合部材の他方は、光吸収性樹脂で構成されている
ことを特徴とする電子ペンを提供する。
【0012】
上述の構成の発明の電子ペンにおいては、筒状の筐体の中空部内に、その軸心方向に第1の結合部材と第2の結合部材とが結合されて配設されている。そして、第1の結合部材と第2の結合部材とは、互いの一部が重なる状態で結合されていると共に、その重なり状態となっている結合部には、両者を固着するための溶着部が形成されている。
【0013】
この場合に溶着部は、第1の結合部材と第2の結合部材とを嵌合結合させて、適切な結合状態になるように調整した状態で、レーザー光の照射により形成することができ、精密に調整した状態でしっかりと固着することができる。したがって、第1の結合部材と第2の結合部材とを嵌合結合させるだけの場合のような事後的なガタツキは生じない。
【0014】
また、接着材を用いないので、第1の結合部材と第2の結合部材とを嵌合結合する前の接着材の塗布は不要となると共に、嵌合結合作業は容易となり、さらには、事後的な接着材の浸み出し等の心配もない。その上、嵌合結合作業をした後に、溶着部の生成を行うだけで良いので、作業工程が簡便となり、量産に向く。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明による電子ペンの第1の実施形態が用いられる電子機器の例を説明するための図である。
図2】この発明による電子ペンの第1の実施形態の内部構成例を説明するための分解斜視図である。
図3】この発明による電子ペンの第1の実施形態の要部を説明するための図である。
図4】この発明による電子ペンの第1の実施形態に用いられる筆圧検出用部品を説明するための図である。
図5】この発明による電子ペンの第1の実施形態の要部の一部の詳細を説明するための図である。
図6】この発明による電子ペンの第1の実施形態と位置検出装置の電子回路の構成例を示す図である。
図7】この発明による電子ペンの第2の実施形態の要部を説明するための図である。
図8】この発明による電子ペンの第2の実施形態の電子回路の構成例を示す図である。
図9】この発明による電子ペンの第2の実施形態と共に使用する位置検出装置の電子回路の構成例を示す図である。
図10】この発明による電子ペンのその他の実施形態及び変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1の実施形態]
この発明による電子ペンの第1の実施形態を、位置検出装置に対して電磁誘導方式で指示位置を伝達するタイプの電磁誘導方式の電子ペンの場合について、図を参照しながら説明する。
【0017】
図1は、この第1の実施形態の電子ペン1を用いる電子機器200の一例を示すものである。この例では、電子機器200は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)などの表示装置の表示画面200Dを備える高機能携帯電話端末であり、表示画面200Dの下部(裏側)に、電磁誘導方式の位置検出装置202を備えている。
【0018】
この例の電子機器200の筐体は、電子ペン1を収納する収納凹穴201を備えている。使用者は、必要に応じて、収納凹穴201に収納されている電子ペン1を、電子機器200から取り出して、表示画面200Dを入力面として位置指示操作を行う。
【0019】
電子機器200においては、表示画面200D上で、電子ペン1により位置指示操作がされると、表示画面200Dの裏側に設けられた位置検出装置202が、電子ペン1で操作された位置及び筆圧を検出し、電子機器200の位置検出装置202が備えるマイクロコンピュータが、表示画面200Dでの操作位置及び筆圧に応じた表示処理を施す。
【0020】
この実施形態の電子ペン1においては、例えば樹脂からなる筒状の筐体2の中空部内に、電子ペン1の複数個の部品が軸心方向に並べられて収納されている。そして、筒状の筐体2の一端側は先細形状にされると共に、その端部に開口(図1では図示を省略)が設けられ、その開口を通じて後述する棒状の芯体3の先端部32がペン先として露出するようにされている。そして、筐体2のペン先側とは反対側は、筐体キャップ21が嵌合されて閉塞されている。
【0021】
図2は、電子ペン1の筐体2内に収納される部品群を、部品毎に並べた分解斜視図である。図2に示すように、筐体2の中空部内には、ペン先側から順に、筐体2の軸心方向に、芯体3と、芯体3が挿通されるコイル部材4と、筆圧検出モジュール5と、プリント基板6とが配置される。プリント基板6は、回路基板の一例である。
【0022】
芯体3は、芯体本体部31と、ペン先となる先端部32とからなり、筐体2の中空部内に上記の部品の全てが収納されている状態で、筐体2のペン先側の開口から芯体本体部31が挿入されて、後述するように筆圧検出モジュール5に設けられる押圧部材55と係合することで取り付けられる。芯体3は、先端部32に印加される圧力(筆圧)を、筆圧検出モジュール5の筆圧検出用部品53に伝達することができるように、硬質の非導電性材料の例としての樹脂、例えばポリカーボネート、合成樹脂やABS(acrylonitrile-butadiene-styrene)樹脂等からなる。この芯体3は、電子ペン1に対して、挿脱可能とされている。
【0023】
コイル部材4は、芯体側構成部材を構成するもので、コイル41と、このコイル41が巻回された磁性体コア、この例ではフェライトコア42とからなる。コイル部材4のフェライトコア42は、この例では、中心軸位置に、棒状の芯体3の芯体本体部31を挿通するために、この芯体本体部31の径よりも若干大きい径の貫通孔42aを有する柱状形状を備える。なお、芯体3の先端部32は、この例では、芯体本体部31の径よりも若干大きい径を有するように構成されている。
【0024】
筆圧検出モジュール5は、この実施形態では、図2の分解斜視図に示すように、軸心方向の2分された第1の結合部材の例として筆圧検出用部品ホルダー51と第2の結合部材の例としての回路接続部材52とを備える。そして、後述するように、これら筆圧検出用部品ホルダー51と回路接続部材52とが軸心方向に互いに嵌合して結合することで、この例では複数個の部品からなる筆圧検出用部品53を、筆圧検出モジュール5の内部に収納することができるように構成されている。なお、以下の説明においては、簡単のために、筆圧検出用部品ホルダー51は、単にホルダー51と略称する。
【0025】
図3(A)及び(B)は、これらホルダー51と回路接続部材52とを軸芯方向に嵌合させて結合した状態を示す図である。ホルダー51及び回路接続部材52は、この例では、レーザー光の照射により溶着(レーザー溶着)が可能な絶縁性樹脂を用いた例えば射出成型品として構成されている。そして、図3(A)及び(B)に示すように、ホルダー51と回路接続部材52とは、互いに嵌合して結合することで互いの一部が重なる状態となっている部分に対するレーザー光の照射により、図3(A)及び(B)で点線の○印で示すように、点的にレーザー溶着がなされて固着される構成とされている。
【0026】
この例においては、ホルダー51と回路接続部材52との互いの結合部においては、ホルダー51内に回路接続部材52の一部が挿入嵌合される構成とされており、当該結合部では、ホルダー51が回路接続部材52の外側となる。そのため、ホルダー51は、レーザー光を透過させる光透過性樹脂で構成され、また、回路接続部材52は、レーザー光を吸収する光吸収性樹脂で構成される。この例では、ホルダー51は、透明あるいは半透明の樹脂で構成され、回路接続部材52は、濃色樹脂で構成されている。
【0027】
なお、ホルダー51は、全てを光透過性樹脂で構成する必要はなく、少なくとも回路接続部材52との結合部が光透過性樹脂で構成されていればよい。同様に、回路接続部材52も、全てを光吸収性樹脂で構成する必要はなく、少なくとも回路接続部材52との結合部が光吸収性樹脂で構成されていればよい。
【0028】
そして、図2及び図3に示すように、ホルダー51は、軸心方向に貫通部を備える略円筒形状とされる。また、回路接続部材52は、ホルダー51と嵌合して結合して筆圧検出モジュール5を形成したときに、その全体として、図3(A)及び(B)に示すように、外観が略円柱状形状となるように構成されている。この場合に、ホルダー51の外径と、回路接続部材52の最大径は互いに等しく選定されている。
【0029】
図2に示すように、筐体2の軸心方向において、筆圧検出モジュール5のホルダー51は、コイル部材4側に設けられ、回路接続部材52は、プリント基板6側に設けられる。そして、図2図3(A)及び(B)に示すように、ホルダー51の軸心方向のコイル部材4側には、フェライトコア42を嵌合する嵌合凹部51aが形成されており、この嵌合凹部51aに、フェライトコア42の芯体3の挿入側とは反対側が嵌合されて、ホルダー51に、コイル部材4が結合される。そして、ホルダー51には、結合されたコイル部材4のコイル41の一方の端部41a及び他方の端部41bを、回路接続部材52まで、その側周面から突出させることなく、延長することができるように、軸心方向に沿った凹溝51bが形成されている。
【0030】
なお、図3(A)及び(B)は、筆圧検出モジュール5を、軸心方向に直交する方向から見た図であって、図3(A)は、凹溝51bがホルダー部51の中央に見える方向から見た図であり、図3(B)は、図3(A)の状態から180度回転させて、凹溝51bが裏側にある状態となる方向から見た図である。
【0031】
筆圧検出用部品53は、図2に示すように、感圧用部品54と、芯体3の先端部32に印加される筆圧(圧力)を感圧用部品54に伝達するための圧力伝達部材としての押子部材55とからなる。
【0032】
感圧用部品54は、この実施形態では、図2及び図4に示すように、誘電体541と、スペーサ542と、導電性弾性体543とで構成されている。
【0033】
誘電体541は、図4(A)に示すように、例えば略円板状をなしており、互いに対向する円形の一方の面541a及び他方の面541bを有し、誘電体541の一方の面541a上に円形の導体層544が形成されている。この導体層544は、この例の感圧用部品84で構成される可変容量キャパシタの第1の電極を構成する。
【0034】
スペーサ542は絶縁性材料からなり、図4(B)に示すように、外径が誘電体541の径と同一とされているリング形状の薄い板状体の構成とされている。
【0035】
導電性弾性体543は、この例では、導電性を有する弾性ゴムで構成されている。この例の導電性弾性体543は、図4(C)に示すように、外径が誘電体541の径と同一とされている円板状の薄い板状体543aの互いに180角間隔離れた周縁から、2個の突出部543b,543cが形成された形状とされている。スペーサ542は、この導電性弾性体543の円板状の板状体543a上に、その外周縁が導電性弾性体543の外周縁と一致するような状態で、例えば接着されている。スペーサ542が導電性弾性体543に接着された状態においては、導電性弾性体543の2個の突出部543b,543cは、スペーサ542の外周縁よりも外側に突出して存在する状態となる。
【0036】
押子部材55は、図2図3(A)及び(B)に示すように、例えば樹脂により、導電性弾性体543側がドーム状に膨出する砲弾型形状に構成されている。この押子部材55の外径は、この例では、誘電体541の径よりも小さいものとされている。そして、この押子部材55の押圧部材55側とは反対側に、芯体3の芯体本体部31の先端部32とは反対側の端部が嵌合挿入される凹穴55aが形成されている。
【0037】
そして、誘電体541の導体層544が形成されている面541aとは反対側の面541b側に、スペーサ542を介して導電性弾性体543を重ねるように配設し、導電性弾性体543を、誘電体541側とは反対側から、押子部材55によりスペーサ542を介して押圧するように構成することで、可変容量キャパシタが構成される。
【0038】
すなわち、この例の可変容量キャパシタは、誘電体541の一方の面541aに形成されている導体層544からなる第1の電極と、導電性弾性体543で構成される第2の電極とを備える。導電性弾性体543が、押子部材55により押圧されていない状態(筆圧が印加されていない状態)では、スペーサ542の厚さ分だけ、誘電体541の面541bと導電性弾性体543との間には空間が生じている。そして、導電性弾性体543が、押子部材55により押圧されると、その押圧力の大きさに応じた面積で、導電性弾性体543が誘電体541に接触するようになる。したがって、この例の感圧用部品54で構成される可変容量キャパシタの第1の電極と第2の電極との間の静電容量は、押子部材55に印加される圧力(筆圧)に応じた導電性弾性体543と誘電体541との接触面積に応じて変化する。
【0039】
筆圧検出モジュール5のホルダー51には、図2及び図3(A),(B)に示すように、軸心方向のほぼ中央位置からホルダー51の軸芯方向の回路接続部材52側の端部位置までに亘って、円柱状の凹部51cが形成されている。この凹部51cには、図2及び図3(A)及び(B)に示すように、筆圧検出用部品53の感圧用部品54が収納されると共に、後述するように、回路接続部材52の、後述する嵌合部52aが嵌合される。これにより、感圧用部品54が、軸心方向において、ホルダー51と回路接続部材52とで挟持されるように構成されている。
【0040】
そして、ホルダー51の軸心方向のほぼ中央位置よりもコイル部材4との結合側の部分には、前述の凹部51cに部分的に連通する状態で、押子部材55を収納するための凹部51dが形成されている。この凹部51dに収納される押子部材55に形成されている凹穴55aに、図3(A)及び(B)で点線で示すように、芯体3の芯体本体部31の端部を挿入嵌合することできるように、当該凹部51dは、コイル部材4が嵌合される嵌合凹部51aと空間的には連通されるように構成されている。
【0041】
ただし、押子部材55を収納するための凹部51dのコイル部材4側の端部(底部)と、コイル部材4が嵌合される嵌合凹部51aの底部との間には、押子部材55が、コイル部材4側に脱落しないようにするための段部51eが形成されている。
【0042】
また、凹部51cと凹部51dとにより段部が形成されている。また、凹部51dの段部51eまでの深さは、この例では、押子部材55の軸心方向の長さと等しく選定されている。したがって、押子部材55が凹部51d内に収納されときには、その砲弾型の膨出面の先端位置は、凹部51cと凹部51dとで形成される段部と同一面位置となり、凹部51c側には、そのままでは突出しない状態となる。
【0043】
そして、ホルダー51の凹部51cの側周面には、互いに180度の角間隔だけ離れた位置に、軸心方向に沿ったスリット部51f、51gが形成されている。このスリット部51f、51gの幅は、感圧用部品54の導電性弾性体543の突出部543b,543cの円周方向の幅よりも若干大きく選定されて、スリット部51f、51gに、導電性弾性体543の突出部543b,543cが挿入可能となるように構成されている。
【0044】
したがって、感圧用部品54の導電性弾性体543は、図3(A)及び(B)に示すように、その2個の突出部543b,543cを、スリット部51f、51gに挿入した状態で、凹部51c内の、凹部51dとの間で形成される段部まで収納することが可能とされている。
【0045】
次に、ホルダー51と嵌合されて結合される回路接続部材52の構成について説明する。この実施形態では、筆圧検出モジュール5の回路接続部材52においては、その軸心方向のホルダー51側には、図2及び図3(A)及び(B)に示すように、ホルダー51の凹部51cに嵌合する円柱形状の嵌合部52aが形成されていると共に、ホルダー51のスリット部51f,51gに嵌合する突部52b,52cが形成されている。
【0046】
すなわち、図2図3図5に示すように、回路接続部材52の嵌合部52aは、ホルダー51の凹部51cに嵌合する小径の円柱状形状を備えるように構成されていると共に、突部52b,52cは、当該嵌合部52aの側周面の互いに180度の角間隔を隔てて対向する位置において半径方向に突出するようにして、ホルダー51のスリット部51f、51gに嵌合するように、軸心方向に沿って形成されている。
【0047】
回路接続部材52の軸心方向のほぼ中央部は、ホルダー51の外径に等しい大径部52dとされている。嵌合部52a及び突部52b、52cは、この大径部52dからホルダー51側に突出するように形成されている。突部52b、52cの突出方向の端面は、大径部52dと面一となるようにされている。
【0048】
大径部52dのホルダー51とは反対側には、プリント基板6を保持する保持接続部52eが形成されている。この保持接続部52eには、プリント基板6の軸心方向の芯体3側の端部を挟持するように軸心方向に突出する板状の2個の突出部52g,52hが設けられている。2個の軸心方向の突出部52g,52hは、プリント基板6の厚さ分だけ離れて互いに対向する平面を備え、この互いに対向する平面の間の空間として凹溝52fが形成されている。
【0049】
そして、回路接続部材52には、導電性の立体微細パターンとして、その軸心方向の一端側から他端側にまでに亘って、2個の電気的接続用の線路部材521及び522(理解を容易にするために、図2及び図3では、斜線を付して示す)が、軸心方向に形成されている。すなわち、線路部材521及び522は、嵌合部52a、大径部52d及び保持接続部52eに跨って、形成されている。
【0050】
この場合に、2個の線路部材521及び522は、回路接続部材52において、図3(A)に示すように、回路接続部材52の突部52b,52cを、ホルダー51のスリット部51f、51gに嵌合したときに、ホルダー51の凹溝51bの延長方向となる角度位置に形成されている。すなわち、2個の線路部材521及び522は、回路接続部材52の円周方向において、2個の突部52b、52cが形成されている角度位置の間の丁度中間の角度位置に形成されている。したがって、図2及び図3(A)に示すように、保持接続部52eでは、2個の線路部材521及び522は、軸心方向の突出部52gの上面にのみ形成されている。
【0051】
この場合に、2個の線路部材521及び522は、図2図3及び図5に示すように、回路接続部材52の軸心方向に沿って、円周方向に互いに近接した位置であるが、互いに離間する状態で形成されている。すなわち、この実施形態では、2個の線路部材521及び522は、回路接続部材52の円周方向のほぼ同一の角度位置にまとめられて軸心方向に沿って形成されている。そして、2個の線路部材521及び522は、嵌合部52aのホルダー51側を向く軸心方向の端面及び保持接続部52eの突出部52gのプリント基板6側を向く軸心方向の端面においても露出して存在するように形成されている。
【0052】
この実施形態では、線路部材521及び522は、回路接続部材52の表面に一体的に立体微細パターンとして形成されている。この2個の線路部材521及び522を、回路接続部材52の表面に立体微細パターンとして形成する方法としては、例えばパナソニック社により開発されたMID(Molded Interconnect Device)応用技術であるMIPTEC(Microscopic Integrated Processing Technology)を用いることができる。立体微細パターンとして形成された線路部材521及び522の表面には、接触及び半田付けにより電気的な接続を容易にするために、ニッケルメッキ層が形成され、更に、その上に金メッキ層が形成されている。
【0053】
図5(A)は、回路接続部材52を、軸心方向においてホルダー51側から見た図であり、特に円柱形状の嵌合部52aのホルダー51側を向く端面における線路部材521及び522の部分を説明するための図である。また、図5(B)は、回路接続部材52を、軸心方向に直交する方向から見た図であって、特に円柱形状の嵌合部52aと大径部52dの一部を示す図である。なお、図5(A)及び(B)では、回路接続部材52の2個の線路部材521及び522は、容易に認識することができるように、斜線を付して示している。
【0054】
また、図5(B)では、回路接続部材52の2個の線路部材521及び522と、筆圧検出用部品53との電気的な接続関係をも示すために、筆圧検出用部品53をも示すようにしている。なお、筆圧検出用部品53は、実際的には、ホルダー51の凹部51c内に収納されて配置され、ホルダー51に対して回路接続部材52を嵌合させることで、筆圧検出用部品53と、回路接続部材52の線路部材521及び522との電気的な接続がなされるものである。
【0055】
図3及び図5(A),(B)に示すように、回路接続部材52の嵌合部52aのホルダー51側の端面には、ホルダー51側に突出する、嵌合部52aの径よりも小径の円形突部52atが形成されている。この円形突部52atの上端面は、平面とされている。線路部材521及び522の内の一方、この例では、線路部材521は、図5(A)及び(B)に示すように、この円形突部52atの上端面にまで延長されて形成されている。この例では、図5(A)に示すように、線路部材521は、円形突部52atの上端面では円形パターン521tとされている。
【0056】
この線路部材521の、円形突部52atの上端面の円形パターン521tは、図5(B)に示すように、回路接続部材52がホルダー51に嵌合されたときに、誘電体541の一面に形成されている導体層544と接触して電気的に接続されるようにされている。つまり、この例では、線路部材521は、感圧用部品54で構成される可変容量キャパシタの第1の電極と電気的に接続される。
【0057】
回路接続部材52の嵌合部52aの側面に形成されている突部52b,52cは、図3及び図5(B)に示すように、嵌合部52aの円形突部52atの上端面よりも、さらに、ホルダー51側に突出するように形成されている。この突部52b,52cの、嵌合部52aの円形突部52atの上端面よりもホルダー51側に突出する長さは、図5(B)に示すように、誘電体541の厚さとスペーサ542の厚さとの和に等しい長さとされている。
【0058】
そして、図5(A)に示すように、嵌合部52aにおける円形突部52atの周囲には、線路部材522に連なっているリング状パターン522aが形成されている。このリング状パターン522aと、円形突部52atの上端面の線路部材521の円形パターン521tとは、軸心方向に離間されていると共に、軸心方向に直交する回路接続部材52の半径方向にも離間されている。これにより、線路部材521の円形パターン521tと、線路部材522のリング状パターン522aとは、電気的に十分に離間するように構成されている。
【0059】
そして、図5(A)及び(B)に示すように、線路部材522のリング状パターン522aからは、突部52b,52cの内壁面及びホルダー51側の端面にまで亘って、延長端面パターン522b、522cが形成されている。前述したように、突部52b,52cの、嵌合部52aの円形突部52atの上端面よりもホルダー51側に突出する長さは、図5(B)に示すように、誘電体541の厚さとスペーサ542の厚さとの和に等しい長さとされている。したがって、図5(B)に示すように、ホルダー51に対して回路接続部材52を嵌合させたときには、突部52b,52cの先端面に形成されている延長端面パターン522b、522cは、感圧用部品54の導電性弾性体543の突出部543b,543cと衝合して、電気的に接続される状態となるように構成されている。
【0060】
線路部材521及び522は、回路接続部材52の大径部52dでは、図2図3(A)及び図5(B)に示すように、幅広のランドパターン521L及び522Lとされている。このランドパターン52L及び522Lには、図3(A)に示すように、コイル41の一方の端部41a及び他方の端部41bが、例えば半田付けされるように構成されている。
【0061】
また、線路部材521及び522は、保持接続部52eの板状の突出部52gにおいては、図2及び図3(A)に示すように、当該突出部52gの軸心方向の端面にも、プリント基板6との接続用パターン521P及び522Pとして延長されて形成されている。
【0062】
プリント基板6の長手方向の回路接続部材52側の端部の回路部品配置面6a側には、図2及び図3(A)に示すように、当該プリント基板6の端部部分を、回路接続部材52の保持接続部52eの凹溝52fに挿入したとき、回路接続部材52の保持接続部52eの突出部52gの端面に形成されている接続用パターン521p及び522Pのそれぞれと接触して電気的な接続がなされるように、形成された導電パターン61及び62が設けられている。
【0063】
プリント基板6には、コイル41と共に共振回路を構成するキャパシタ63が設けられており、導電パターン61及び62は、このキャパシタ63の一方及び他方の電極にそれぞれ接続されるように配線されている。なお、図2では図示は省略したが、プリント基板6には、キャパシタ63以外の必要な電子部品が配設されているものである。
【0064】
[筆圧検出モジュール5の組み立て手順]
以上のように構成されているホルダー51と、回路接続部材52とを、筆圧検出用部品53を、ホルダー51の凹部51c及び凹部51dに収納した状態で、互いに嵌合させて結合することで筆圧検出モジュール5を組み立てることができる。
【0065】
先ず、ホルダー51に対して、押子部材55を、回路接続部材52との結合側から挿入して、凹部51cを介して凹部51d内に収納させる。このとき、押子部材55は、凹部51dの段部51eで係止して、ホルダー51のコイル部材4との結合側から脱落することはない。
【0066】
次に、スペーサ542が接着されている導電性弾性体543を、スペーサ542が接着されている面側とは反対側が押子部材55側となる状態で、かつ、当該導電性弾性体543の突出部543b,543cをホルダー51のスリット部51f、51gに挿入させて、回路接続部材52との結合側から凹部51c内に挿入して収納する。導電性弾性体543は、図3(A)及び(B)に示すように、円板状の板状体543aが、押子部材55の先端端面に接触するような状態で凹部51cの底部に収納される。
【0067】
次に、誘電体541を、導体層544が形成されている面とは反対側が導電性弾性体543側を向く状態で、ホルダー51の凹部51c内に収納する。
【0068】
次に、ホルダー51に対して、回路接続部材52を嵌合させる。すなわち、ホルダー51のスリット部51f、51gに、回路接続部材52の突部52b、52cを嵌合させるようにする状態で、回路接続部材52の嵌合部52aを、ホルダー51の凹部51c内に嵌合させる。この状態では、図3(A)に示すように、ホルダー51の凹溝51bの部分、或いはその近傍に回路接続部材52の線路部材521及び522が位置するようになる。
【0069】
こうしてホルダー51と回路接続部材52とを嵌合して係止させた状態においては、回路接続部材52の嵌合部52aの円形突部52atの上端に形成されている線路部材521の円形パターン521tが、感圧用部品54を構成する誘電体541に形成されている導体層544と接触して、導体層544と線路部材521とが電気的に接続される状態となる。つまり、筆圧検出用部品53で構成される可変容量キャパシタの第1の電極が回路接続部材52の線路部材521と電気的に接続される。
【0070】
また、回路接続部材52の嵌合部52aから軸心方向に直交する方向に突出している突部52b,52cの先端端面の線路部材522の延長端面パターン522b,522cは、導電性弾性体543の突出部543b,543cと接触して、導電性弾性体543と線路部材522とが電気的に接続される状態となる。つまり、筆圧検出用部品53で構成される可変容量キャパシタの第2の電極が回路接続部材52の線路部材522と電気的に接続される。
【0071】
上述したように、この第1の実施形態においては、可変容量キャパシタの第1の電極を構成する誘電体541に形成されている導体層544に電気的に接続されている線路部材521の円形パターン521tと、可変容量キャパシタの第2の電極を構成する導電性弾性体543に電気的に接続されている線路部材522のリング状パターンとは、電気的に十分に離間されている。可変容量キャパシタの第1の電極と第2の電極とに接続されている導体パターンが近接している場合には、そのパターン間の浮遊容量が、可変容量キャパシタの静電容量に影響する恐れがあるが、この実施形態の構成においては、そのような不具合を防止することができる。
【0072】
以上のようにしてホルダー51と回路接続部材52とを嵌合して係止させた状態において、ホルダー51と回路接続部材52との嵌合により互いの一部が重なる結合部の複数の位置にレーザー光を照射してレーザー溶着を行うようにする。この場合に、ホルダー51と回路接続部材52との結合部のレーザー光の照射位置のそれぞれにおいては、ホルダー51と回路接続部材52とが溶融して互いに固着する状態となり、ホルダー51と回路接続部材52とは点的に溶着、つまり、レーザー光が照射される小領域を点領域としてその点領域において溶着されて、レーザー溶着部を形成する。
【0073】
この実施形態では、図3(A)に示すように、ホルダー51と回路接続部材52との結合部において、ホルダー51の凹溝51bがその中央に見える180度角範囲部分の領域においては、凹溝51bの両側であって、回路接続部材52の線路部材521,522の存在位置からずれた位置に、4個のレーザー溶着部LZa,LZb,LZc,LZdが形成される。すなわち、レーザー溶着部LZa,LZb,LZc,LZdは、回路接続部材52の線路部材521,522の存在位置からずれた位置とされることで、線路部材521,522にレーザー光が照射されないようにされる。これにより、線路部材521にレーザー光が照射されることにより、線路部材521が分断されてしまう等の不具合が生じないようにしている。
【0074】
この場合に、筆圧検出モジュール5をプリント基板6側から見たときに、2個のレーザー溶着部LZa,LZbは、凹溝51bの右側において、凹溝51bに沿って(凹溝51bと平行に)軸心方向に異なる2つの位置に形成されると共に、他の2個のレーザー溶着部LZc,LZdは、凹溝51bの左側において、凹溝51bに沿って(凹溝51bと平行に)軸心方向に異なる2つの位置に形成される。したがって、2個のレーザー溶着部LZa,LZbと、2個のレーザー溶着部LZc,LZdとは、凹溝51bを挟んで、軸心方向に交差する方向(この例では直交する方向)、すなわち、筆圧検出用モジュール5の円周方向に、離間する状態で設けられている。
【0075】
そして、この例では、ホルダー51と回路接続部材52との結合部において、図3(A)を半回転した状態の図3(B)に示す180度角範囲部分の領域においては、軸心方向に交差する方向(この例では直交する方向)、すなわち、筆圧検出用モジュール5の円周方向に、及び軸芯方向に沿う方向に異なるように、4個のレーザー溶着部LZe,LZf,LZg,LZhが形成される。この4個のレーザー溶着部LZe,LZf,LZg,LZhの内の、2個のレーザー溶着部LZe,LZfは凹溝51bと平行な状態で、軸心方向に異なる2つの位置に形成され、また、2個のレーザー溶着部LZg,LZhは、凹溝51bと平行な状態で、軸心方向に異なる2つの位置に形成され、かつ、2個のレーザー溶着部LZe,LZfと2個のレーザー溶着部LZg,LZhとは、筆圧検出用モジュール5の円周方向に離間する状態で設けられている。
【0076】
そして、この実施形態では、複数個のレーザー溶着部は、ホルダー51と回路接続部材52との結合部において、軸心方向に交差する方向の、互いに対向する位置に形成されている。この例では、2個のレーザー溶着部LZa,LZbと2個のレーザー溶着部LZg,LZhとは、筆圧検出モジュール5の半径方向(軸心方向に直交する方向)に互いに対向する位置に設けられていると共に、2個のレーザー溶着部LZc,LZdと2個のレーザー溶着部LZe,LZfとは筆圧検出モジュール5の半径方向(軸心方向に直交する方向)に互いに対向する位置に設けられている。
【0077】
以上のようにして筆圧検出モジュール5が組み立てられたら、次に、コイル部材4のフェライトコア42を、ホルダー51の嵌合凹部51aに嵌合させる。そして、コイル部材4のコイル41の一方の端部41a及び他方の端部41bを、ホルダー51の凹溝51b内に収納しながら、回路接続部材52側まで延長させる。そして、コイル部材4のコイル41の一方の端部41a及び他方の端部41bを、回路接続部材52の線路部材521及び522のランドパターン521L及び522Lにおいて、それぞれ半田付けする。
【0078】
次に、回路接続部材52の保持接続部52eの突出部52g及び52hの間の凹溝52fに、プリント基板6の長手方向の導電パターン61及び62が形成されている方の端部を挿入する。そして、回路接続部材52の保持接続部52eの突出部52gの端部に形成されている線路部材521及び522の接続用パターン521P及び522Pと、プリント基板6の導電パターン61及び62との間を半田付けして、電気的に接続すると共に、保持接続部52eによりプリント基板6を保持する状態にする。
【0079】
以上により、電子ペン1の内部に収納する部品の組み立てが完了する。この組み立てが完了してモジュール化された電子ペンモジュール部品は、コイル部材4側を、筐体2のペン先側として筐体2内に収納され、軸心方向に移動しないようにされた状態とされ、筐体2のペン先側とは反対側が筐体キャップ21などにより閉塞される。そして、筐体2のペン先側の開口から芯体3が挿入され、コイル部材4のフェライトコア42の貫通孔42aを通じて、筆圧検出モジュール5の感圧用部品54の押子部材55の凹穴55aに、芯体3の芯体本体部31の端部が圧入嵌合される。以上で、電子ペン1が完成する。
【0080】
なお、以上の説明では、ホルダー51と回路接続部材52とを嵌合結合した後、その結合部の複数の位置にレーザー溶着部を形成し、その後、筆圧検出モジュール5にコイル部材4とプリント基板6とを結合するようにしたが、レーザー溶着を行う前に、筆圧検出モジュール5にコイル部材4とプリント基板6とを結合させておいてもよい。
【0081】
また、上述の説明では、筆圧検出モジュール5に対してコイル部を結合させた後、プリント基板6を結合させるようにしたが、プリント基板6を先に結合してもよいし、可能であれば、両方を同時に結合させるようにしてもよい。
【0082】
[電子ペン1及び位置検出装置202の電子回路構成例]
図6は、この電子ペン1の電子回路及び電子ペン1と共に使用される位置検出装置202の電子回路構成を示す図である。
【0083】
この図6に示すように、電子ペン1においては、コイル41の一方の端部41a及び他方の端部41bと、回路接続部材52の線路部材521及び522を介してキャパシタ63とが接続されて、並列共振回路1Rが構成されている。さらに、線路部材521及び522のランドパターン521L及び522Lに筆圧検出モジュール5の感圧用部品54で構成される可変容量キャパシタ5Cの第1の電極及び第2の電極が接続されていることから、コイル41とキャパシタ63との並列共振回路1Rに並列にさらに、可変容量キャパシタ5Cが接続されている。
【0084】
芯体3の先端部32に圧力(筆圧)が印加されると、押子部材55が導電性弾性体543を押圧して当該導電性弾性体543が、スペーサ542を介して誘電体541に対して接触するようになり、導電性弾性体543と誘電体541との接触面積は、芯体3の先端部32に印加される圧力(筆圧)に応じたものとなる。可変容量キャパシタ5Cの静電容量は、導電性弾性体543と誘電体541との接触面積に応じたものとなるので、芯体3の先端部32に印加される圧力(筆圧)に応じたものとなる。
【0085】
この実施形態の電磁誘導方式の位置検出装置202は、電子ペン1に対して電磁結合により信号を送信し、電子ペン1は、位置検出装置202から受信した信号を共振回路を介して帰還する。
【0086】
位置検出装置202では、電子ペン1の共振回路1Rからの帰還信号を、電磁結合により受信し、その受信した信号が検出されるセンサ上の位置から、電子ペン1により指示されたセンサ220上の位置を検出すると共に、電子ペン1の共振回路1Rから電磁結合により受信する信号の位相変化を検出することより共振周波数の変化を検出して、電子ペン1の芯体3に印加された筆圧を検出するようにする。
【0087】
位置検出装置202には、X軸方向ループコイル群221と、Y軸方向ループコイル群222とが積層されて位置検出コイルからなるセンサ220が形成されている。また、位置検出装置202には、X軸方向ループコイル群221及びY軸方向ループコイル群222が接続される選択回路223が設けられている。この選択回路223は、2つのループコイル群221,222のうちの一のループコイルを順次選択する。
【0088】
また、位置検出装置202には、発振器231と、電流ドライバ232と、切り替え接続回路233と、受信アンプ234と、位置検出用回路235と、筆圧検出用回路236と、処理制御部237とが設けられている。処理制御部237は、マイクロコンピュータにより構成されている。処理制御部243は、選択回路223におけるループコイルの選択、切り替え接続回路233の切り替えを制御すると共に、位置検出用回路235及び筆圧検出用回路236での処理タイミングを制御する。
【0089】
発振器231は、周波数f0の交流信号を発生する。そして、発振器231は、発生した交流信号を、電流ドライバ232と筆圧検出用回路236に供給する。電流ドライバ232は、発振器231から供給された交流信号を電流に変換して切り替え接続回路233へ送出する。切り替え接続回路233は、処理制御部237からの制御により、選択回路223によって選択されたループコイルが接続される接続先(送信側端子T、受信側端子R)を切り替える。この接続先のうち、送信側端子Tには電流ドライバ232が、受信側端子Rには受信アンプ234が、それぞれ接続されている。
【0090】
選択回路223により選択されたループコイルに発生する誘導電圧は、選択回路223及び切り替え接続回路233を介して受信アンプ234に送られる。受信アンプ234は、ループコイルから供給された誘導電圧を増幅し、位置検出用回路235及び筆圧検出用回路236へ送出する。
【0091】
X軸方向ループコイル群221及びY軸方向ループコイル群222の各ループコイルには、電子ペン1から送信される電波によって誘導電圧が発生する。位置検出用回路235は、ループコイルに発生した誘導電圧、すなわち受信信号を検波し、その検波出力信号をデジタル信号に変換し、処理制御部237に出力する。処理制御部237は、位置検出用回路235からのデジタル信号、すなわち、各ループコイルに発生した誘導電圧の電圧値のレベルに基づいて電子ペン1のX軸方向及びY軸方向の指示位置の座標値を算出する。
【0092】
一方、筆圧検出用回路236は、受信アンプ234の出力信号を発振器231からの交流信号で同期検波して、それらの間の位相差(周波数偏移)に応じたレベルの信号を得、その位相差(周波数偏移)に応じた信号をデジタル信号に変換して処理制御部237に出力する。処理制御部237は、筆圧検出用回路236からのデジタル信号、すなわち、送信した電波と受信した電波との位相差(周波数偏移)に応じた信号のレベルに基づいて、電子ペン1に印加されている筆圧を検出する。
【0093】
[第1の実施形態の電子ペン1の効果]
以上説明したように、上述の実施形態の電子ペン1によれば、筆圧検出モジュール5は、ホルダー51と回路接続部材52とを互いの一部が重なるように嵌合して結合した後、その互いの一部が重なる結合部分においてレーザー溶着をするようにしたので、単にホルダー51と回路接続部材52とを嵌合させて結合した場合に比べて、筆圧検出モジュール5と回路接続部材52とを強固に結合することができる。
【0094】
上述の実施形態の電子ペン1によれば、接着材を用いる必要はないので、ホルダー51と回路接続部材52との嵌合作業が容易となり、量産が良好になる。
【0095】
[第2の実施形態]
以上説明した第1の実施形態の電子ペン1は、この発明を電磁誘導方式の電子ペンに適用した場合であったが、この発明は、アクティブ静電方式の電子ペンにも適用することができる。以下に、この発明を、アクティブ静電方式の電子ペンに適用した第2の実施形態の電子ペン1Aについて、図7図9を参照して説明する。
【0096】
図7(A)は、この第2の実施形態の電子ペン1Aの実施形態の要部を説明するための図であり、導電性を有する芯体3Aを含む芯体側構成部材7と、筆圧検出モジュール5Aとの結合部分の詳細な構成例を示す断面図である。図7(B)及び(C)は、導電性を有する芯体3Aと、筆圧検出モジュール5Aの回路接続部材52Aに結合保持されるプリント基板6Aに形成されている信号発信回路との電気的な結合のための端子部材8の一例を示す図である。図7(B)は、端子部材8の平面図、図7(C)は、端子部材8の側面図である。さらに、図7(D)は、筆圧検出モジュール5Aの回路接続部材52Aの要部を説明するための図である。
【0097】
この第2の実施形態の説明において、上述の第1の実施形態と同一の構成部分には、同一の参照符号を付与して、その詳細な説明は省略する。また、第1の実施形態の構成部品と対応するが、構成が若干異なる構成部品には、同一の参照符号にサフィックスAを付与することとする。
【0098】
この第2の実施形態の電子ペン1Aにおいては、筆圧検出モジュール5Aのホルダー51Aの軸心方向のペン先側には、第1の実施形態の電子ペン1の場合のコイル部材4に代えて、導電性材料からなる芯体3Aとシールド用部材70とからなる芯体側構成部材7が結合される。
【0099】
また、この第2の実施形態の電子ペン1Aにおいては、筆圧検出モジュール5Aの軸心方向のペン先とは反対側において回路接続部材52Aと結合されるプリント基板6Aには、導電性の芯体3Aを通じて位置検出装置に信号を送信するようにする電子回路(図7(D)では図示を省略する)が搭載されるように構成されている。
【0100】
そして、この第2の実施形態の電子ペン1Aの筆圧検出モジュール5Aにおいては、芯体側構成部材7と、プリント基板6Aとの間の電気的な接続のための構成部分が、第1の実施形態の筆圧検出モジュール5とは異なる。第2の実施形態における筆圧検出モジュール5Aのその他の構成は、第1の実施形態の筆圧検出モジュール5と同様とされる。
【0101】
芯体3Aは、図7(A)に示すように、直径が例えば1.9mmに形成された導電性材料、例えば金属からなる芯体本体部31Aを備え、この実施形態では、芯体本体部31Aのペン先側の約半分が絶縁性材料からなる保護部材32Aにより覆われている。保護部材32Aは、位置検出装置のセンサ入力面を傷付けないようにすると共にセンサ入力面との接触面積を大きくする役割を有する。
【0102】
図7(A)に示すように、芯体側構成部材7のシールド用部材70は、絶縁層で覆われた導電性材料で構成されている。
【0103】
そして、シールド用部材70は、そのペン先側とは反対側の端部が、筆圧検出モジュール5Aのホルダー51Aの嵌合凹部51aに嵌合されてホルダー51Aに保持される。ただし、この第2の実施形態においては、図7(A)に示すように、ホルダー51Aの嵌合凹部51Aaの底部には、導電性の芯体3Aとプリント基板6Aの電子回路とを電気的に接続するために用いられる端子部材8が配される。
【0104】
この端子部材8は、導電性の部材、例えば導電性金属で構成されており、図7(B)に示すように、ホルダー51Aの嵌合凹部51Aaの底部に配置される円板状板部81を備えると共に、図7(A)~(C)に示すように、嵌合凹部51Aaの側壁面を通じてホルダー51Aの外表面にまで延長されて露出される露出部82を備える。この例の場合に、図示は省略するが、端子部材8の露出部82は、筆圧検出モジュール5Aのホルダー51Aの凹溝51b(図示は省略)の位置において、露出するように配設される。
【0105】
図7(A)~図7(C)に示すように、端子部材8の円板状板部81の中央には、芯体3Aの芯体本体部31Aの径とほぼ等しい凹穴81aが形成されている。芯体3Aの芯体本体部31Aが端子部材8の凹穴81aと接触する状態で貫通するようにされた後、芯体本体部31Aの端部31Aaが、筆圧検出用部品53の押子部材55の凹穴55aに嵌合される。ただし、芯体3Aを所定の力で引っ張ることで、当該芯体3Aは、押子部材55との結合及び端子部材8との係合が解除されて引き抜くことが可能とされている。つまり、芯体3Aは交換可能とされている。
【0106】
図7(D)に示すように、この第2の実施形態の電子ペン1Aの筆圧検出モジュール5Aの回路接続部材52の大径部52dには、線路部材521及び522のランドパターン521L及び522Lに加えて、ランドパターン527及び528が形成されている。この例では、ランドパターン527及び528は、図7(D)に示すように、ランドパターン521Lと522Lとの間において、ランドパターン521L及び522Lと平行に、互いに離間された状態で形成されている。
【0107】
そして、この例では、ランドパターン527及び528からは、線路部材521及び522と平行に、延長パターンが、回路接続部材52の軸心方向突出部52Agの端部にまで形成されている。プリント基板6Aは、図7(D)に示すように、この軸心方向突出部52Agと、軸心方向突出部52hとの間の凹溝52f内に挿入される。
【0108】
この実施形態では、端子部材8の露出部82には、図7(A)に示すように、リード線83の一端が例えば半田付けされて取り付けられる。このリード線83は、ホルダー51Aの凹溝51b内に収納されながら、回路接続部材52Aの例えばランドパターン527にまで延長され、その他端部がランドパターン527に半田付けされる。
【0109】
また、図7(A)に示すように、シールド用部材70には、端子部73が設けられている。そして、この端子部73にはリード線74の一端が例えば半田付けされて取り付けられる。このリード線74は、ホルダー51Aの凹溝51b内に収納されながら、回路接続部材52Aの例えばランドパターン528にまで延長され、その他端部がランドパターン528に半田付けされる。
【0110】
そして、図示は省略するが、プリント基板6A上に構成されている電子回路に接続されている導体パターンと、線路部材521及び522とが半田付けされると共に、ランドパターン527及び528から導出されている延長パターンとが半田付けされる。これにより、電子ペン1Aにおいては、図8に示すような電子回路が構成される。
【0111】
図7(A)の構成においても、芯体3Aに筆圧が印加されると、当該筆圧により押子部材55がスペーサ542を介して導電性弾性体543を誘電体541側に押圧するように変位する。これにより、筆圧検出モジュール5Aにおいても、第1の実施形態と同様に、筆圧に応じて、可変容量キャパシタ5Cの静電容量が変化する。
【0112】
[第2の実施形態の電子ペン1Aの電子回路の構成例の説明]
図8は、この第2の実施形態の電子ペン1Aの電子回路により構成される信号送信制御回路300の回路構成図である。すなわち、信号送信制御回路300は、この例では、コントローラ301と、発振回路302とを備える。
【0113】
コントローラ301は、例えばマイクロプロセッサで構成されており、電子ペン1Aの信号送信制御回路300の動作を制御する制御回路を構成するもので、駆動電源の例としてのバッテリー303からの電源電圧VDDが供給されている。コントローラ301は、発振回路302を制御する。
【0114】
回路接続部材52Aの線路部材521及び522の一方は、コントローラ301に接続されていると共に、他方は接地されている。すなわち、コントローラ301には、筆圧検出用部品53で構成される可変容量キャパシタ5Cが接続されている。コントローラ301は、この可変容量キャパシタ5Cの容量を監視することで、電子ペン1Aの芯体3Aに印加される筆圧を検出する。この例では、可変容量キャパシタ5Cに対して放電用抵抗器Rdが接続されており、コントローラ301は、可変容量キャパシタ5Cが満充電の状態から、所定の両端電圧になるまでの放電時間を計測することで、可変容量キャパシタ5Cの静電容量を検出し、その検出した静電容量から筆圧を検出する。
【0115】
発振回路302は、所定周波数の交流信号を発生するもので、バッテリー303からの電源電圧VDDが供給されている。この発振回路302からの交流信号の所定時間の連続波、すなわち、バースト信号は、位置検出装置のセンサに対して送出される位置検出用信号となる。
【0116】
コントローラ301は、この発振回路302のイネーブル端子ENに制御信号(イネーブル信号CT)を供給して当該発振回路302をオン、オフ制御することで、発振回路302から前記バースト信号及びASK(Amplitude Shift Keying)変調信号を発生させる。発振回路302は、コントローラ301からのイネーブル信号CTに応じて、発生する交流信号を断続させ、これにより、発振回路302は、バースト信号及びASK変調信号を発生することができる。この例では、コントローラ301は、検出した筆圧の値をデジタル信号に変換し、そのデジタル信号に応じて発振回路302を制御することで、筆圧値の情報をASK変調信号として、発振回路302から出力させるようにする。
【0117】
発振回路302の出力端は、回路接続部材52Aのランドパターン527の延長パターンに接続されている。すなわち、この実施形態では、発振回路302の出力端は、芯体3Aの導電性の芯体本体部31Aに接続されており、発振回路302からの交流信号は、芯体3Aの導電性の芯体本体部31Aを通じて位置検出装置のセンサに対して送出される。そして、この例では、シールド用部材70に電気的に接続されている回路接続部材52Aのランドパターン528の延長パターンは、図8に示すように、接地されている。
【0118】
[第2の実施形態の位置検出装置の構成例の説明]
この第2の実施形態の電子ペン1Aと共に使用される静電方式の位置検出装置400は、図9に示すように、当該位置検出装置400を構成するセンサ410と、このセンサ410に接続されるペン指示検出回路420とで構成されている。
【0119】
センサ410は、下層側から順に、横方向(X軸方向)に延在した複数の第1の導体からなる第1の導体群、絶縁層(図示は省略)、縦方向(Y軸方向)に延在した複数の第1の導体からなる第2の導体群を積層して形成されたものである。
【0120】
このように、位置検出装置400のセンサ410では、第1の導体群と第2の導体群を交差させて形成したセンサパターンを用いて、電子ペン1が指示する位置を検出する構成を備えている。
【0121】
この実施形態の位置検出装置400においては、センサ410は、例えばタブレット型情報端末などの電子機器の表示画面の大きさに対応した大きさのセンサ面(指示入力面)を備えており、光透過性を有する、第1の導体群と第2の導体群とによって形成されている。
【0122】
ペン指示検出回路420は、センサ410との入出力インターフェースとされる選択回路421と、増幅回路422と、受信信号処理回路423と、制御回路424とからなる。制御回路424は、選択回路421及び受信信号処理回路423に制御信号を供給する。
【0123】
選択回路421は、制御回路424からの制御信号に基づいて、第1の導体群及び第2の導体群の中からそれぞれ1本の導体を選択する。選択回路421により選択された導体は増幅回路422に接続され、電子ペン1Aからの信号が、選択された導体により検出されて増幅回路422により増幅される。この増幅回路422の出力は受信信号処理回路423に供給される。
【0124】
受信信号処理回路423では、増幅回路422の出力から電子ペン1Aから送信される信号の周波数の成分のみを抽出し、その抽出した成分を検波し、その検波出力をデジタル信号に変換して制御回路424に供給する。
【0125】
制御回路424は、受信信号処理回路423からのデジタルデータから、電子ペン1Aによって指示されたセンサ410上の位置座標を算出し、その位置座標のデータを、例えばタブレット型情報端末などの電子機器内の他の処理プロセッサ等に出力する。また、制御回路424は、電子ペン1Aから、位置指示信号に続いて送られてくるASK信号をデジタル信号として検出することで、電子ペン1Aの芯体3Aに印加されている筆圧を検出するようにする。
【0126】
[他の実施形態又は変形例]
なお、上述の第1の実施形態及び第2の実施形態では、筆圧検出モジュール5,5Aの回路接続部材52,52Aにおける線路部材521及び522や、ランドパターン527,528を、筆圧検出モジュール5,5Aの円周方向の1か所にまとめて配置するようにして、ホルダー51の軸心方向の凹溝51bは、一つとし、レーザー溶着部は、その部分を避けた位置とするようにした。
【0127】
しかし、筆圧検出モジュール5,5Aの回路接続部材52,52Aにおける線路部材521及び522や、ランドパターン527,528を、筆圧検出モジュール5,5Aの円周方向の1か所にまとめて配置することは必須ではなく、筆圧検出モジュール5,5Aの円周方向の複数箇所に分散して配置するようにしてもよい。その場合には、レーザー溶着部は、その分散された複数箇所を避けて、それら複数箇所の間の位置とするようにする。
【0128】
図10(A)及び(B)は、第1の実施形態の電磁誘導方式の電子ペン1に用いられる筆圧検出用モジュールの変形例である。この例の筆圧検出モジュール5Bにおいては、ホルダー51Bには、線路部材521用と線路部材522用とにそれぞれ個別の凹溝51Bb1と、凹溝51Bb2とを設ける。そして、この場合に、凹溝51Bb1と凹溝51Bb2との円周方向の離間距離は、線路部材521及び522に影響を与えることなくレーザー溶着部を形成することができる程度の距離とされる。
【0129】
そして、この例の筆圧検出モジュール5Bにおいては、図10(A)に示すように、ホルダー51Bと回路接続部材52Bとの結合部の、凹溝51Bb1と凹溝51Bb2との円周方向の離間距離の中央部に、レーザーを照射して、レーザー溶着部LZiを形成する。また、図10(b)に示すように、ホルダー51Bと回路接続部材52Bとの結合部の、このレーザー溶着部LZiに対して軸心方向に直交する方向に対向する側も、レーザーを照射して、レーザー溶着部LZjを形成する。
【0130】
そして、ホルダー51Bのペン先側に嵌合されるコイル部材4のコイル41の一方の端部41aは、凹溝51Bb1に収納させて線路部材521Bのランドパターン521BLに導き、例えば半田付けする。また、コイル41の他方の端部41bは、凹溝51Bb2に収納させて線路部材521Bのランドパターン521BLに導き、例えば半田付けする。
【0131】
図10の例では、レーザー溶着により、互いに対向する位置のそれぞれに1個ずつのレーザー溶着部LZi及びLZjを形成するようにしたが、互いに対向する位置のそれぞれにおいて、軸心方向に複数個のレーザー溶着部を設けてもよい。また、互いに対向する位置のそれぞれにおいて、軸心方向に交差する方向、つまり、円周方向に複数個のレーザー溶着部を設けてもよい。軸心方向に交差する方向、つまり、円周方向に複数個のレーザー溶着部を設ける場合には、互いに対向する位置でなくてもよい。さらには、第1の実施形態の筆圧検出モジュール5と同様に、互いに対向する位置のそれぞれにおいて、軸心方向及び軸心方向に交差する方向(円周方向)に複数個のレーザー溶着部を設けてもよい。なお、図10の例は、第2の実施形態の電子ペン1Aにも適用可能である。
【0132】
また、以上の実施形態では、筆圧検出モジュール5,5A,5Bに対して、コイル部材4、芯体側構成部材7と、プリント基板6,6Aを結合したものを、そのまま筒状の筐体2に収納することで電子ペン1,1Aを構成するようにした。しかし、筆圧検出モジュール5,5A,5Bに対して、コイル部材4、芯体側構成部材7と、プリント基板6,6Aを結合したものを、図10(C)に示すように、筒状の内部筐体9に収納して、電子ペン用のカートリッジの構成として、この電子ペン用のカートリッジを、筐体2(外部筐体)に収納するように構成することもできる。
【0133】
なお、図10(C)の例の電子ペン用のカートリッジの例は、第1の実施形態の電磁誘導方式の電子ペンの場合であるが、第2の実施形態のアクティブ静電方式の電子ペン1Aの場合にも、内部筐体内に電子ペン用の部品を収納することで同様に構成することができる。なお、図10(C)の例の電子ペン用のカートリッジの例では、コイル部材4は、内部筐体9内には収納しなかったが、コイル部材4も含めて内部筐体9内に収納してもよい。第2の実施形態のアクティブ静電方式の場合には、芯体側構成部材7は、内部筐体9内に収納して構成した方がよい。
【0134】
[その他の変形例]
なお、以上の例では、第1の結合部材は筆圧検出モジュール5、5A,5Bのホルダー51,51A,51Bとし、第2の結合部材は回路接続部材52,52A,52Bとするようにした。しかし、第1の結合部材と第2の結合部材は、この例のように、筆圧検出用モジュールを軸心方向に2分する部材に限られるものではなく、電子ペンを構成する部材であって、軸心方向に結合する部材であればどのような部材であってもよい。
【0135】
例えば、電子ペンを構成する部材を、芯体側構成部材を含む部材と、プリント基板を保持する部材との2つにより構成し、芯体側構成部材を含む部材を第1の結合部材とすると共に、プリント基板を保持する部材を第2の結合部材として、これら2つの部材を結合するように構成してもよい。
【0136】
なお、筆圧検出用部品は、上述の例では、誘電体と、スペーサと、導電性弾性体と、押子部材とからなるものを用いたが、例えば、特開2013-161307号公報に開示されているような、印加される圧力に応じて静電容量を変化させるMEMS(Micro Electro Mechanical System)素子からなる感圧チップがパッケージ部品として収納されているものを用いるようにしてもよい。
【0137】
また、筆圧検出用部品は、可変容量キャパシタの構成ではなく、可変インダクタンスの構成とするようにしてもよい。
【0138】
また、この発明の電子ペンは、筆圧検出機能を備えないものであっても、適用できることは言うまでもない。
【0139】
また、第1の結合部材と第2の結合部材との結合部に形成する溶着部は、上述の実施形態では、レーザー溶着により形成するようにしたが、他の溶着方法、例えば熱溶着で溶着部を形成するようにしてもよい。この発明においては、要は、第1の結合部材と第2の結合部材とを嵌合させて結合させた後、その結合部において、外部からの刺激による溶着をすることができればよい。
【符号の説明】
【0140】
1,1A…電子ペン、2…筐体、3,3A…芯体、4…コイル部材、5,5A,5B…筆圧検出用モジュール、6,6A…プリント基板、7…芯体側構成部材、8…端子部材、9…内部筐体、41…コイル、42…フェライトコア、51,51A,51B…ホルダー、52,52A,52B…回路接続部材、521,522…線路部材、LZa~LZj…レーザー溶着部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10