(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171893
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】シリンジアダプタ
(51)【国際特許分類】
A61J 1/20 20060101AFI20221104BHJP
【FI】
A61J1/20 314C
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022149349
(22)【出願日】2022-09-20
(62)【分割の表示】P 2019538474の分割
【原出願日】2018-01-15
(31)【優先権主張番号】62/447,032
(32)【優先日】2017-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514221366
【氏名又は名称】ベクトン ディキンソン アンド カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ローリー サンダース
(72)【発明者】
【氏名】ジャヨン キム
(72)【発明者】
【氏名】アントニオ リゲズ メスキータ
(57)【要約】
【課題】薬剤または治療薬の再構成中に実行されなければならない複数の接続に鑑みて、互いの接続、および/または、患者用系統との接続のために臨床医がアダプタを準備するのを支援する装置とアセンブリとが必要とされる。
【解決手段】シリンジアダプタがもたらされる。そのアダプタは、第1の端部と、その第1の端部に向かい合って位置付けられる第2の端部とを有するハウジングを含む。そのハウジングは、第1の部分と、第1の部分に接続された第2の部分とを含み得る。そのハウジングの第1の端部は、シリンジバレルに固定されるように構成されたコネクタを含むことができる。また、そのアダプタは、ハウジング内に位置決めされるカニューレと、ハウジング内に位置決めされ、ハウジング内で移動可能な膜を含むシール装置とを含む。そのハウジングの第1の部分は、ハウジングの第1の部分と第2の部分との間の軸方向および半径方向の締り嵌めによって第2の部分に接続可能とされる。
【選択図】
図11A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンジアダプタであって、
ハウジングであって、シリンジバレルに固定されるように構成されたコネクタを含む前記ハウジングの内部を取り囲む第1の部分と、ならびに前記ハウジングの前記第1の部分と第2の部分との間の軸方向の締り嵌めおよび半径方向の締り嵌めを介して前記第1の部分に接続される前記ハウジングの前記内部を取り囲む第2の部分とを含む、ハウジングと、
前記ハウジング内に配置されたカニューレと、
前記ハウジング内に位置決めされ、膜を含み、前記ハウジング内で移動可能なシール装置と、
スナップ嵌めを介して前記ハウジングの前記第2の部分に接続された取り外し可能な保護キャップであって、前記保護キャップは、開放された第1の端、第2の端、前記第1の端と前記第2の端との間に延びる環状の側壁、および前記環状の側壁から半径方向内側に、前記保護キャップの前記第2の端から近位に延びる環状肩部を含み、前記環状肩部は、前記保護キャップの第1の開放端から遠位の前記環状の側壁と交差する端部と、前記保護キャップの前記第2の端と交差する別の端部とを有する、保護キャップと、
を含む、シリンジアダプタ。
【請求項2】
前記ハウジングの前記第2の部分は、環状の三角形の界面を含み、前記ハウジングの前記第2の部分の前記環状の三角形の界面が、前記ハウジングの前記第1の部分に係合し、前記ハウジングの前記第1の部分と前記ハウジングの前記第2の部分との間で前記軸方向の締り嵌めをもたらす請求項1に記載のシリンジアダプタ。
【請求項3】
前記ハウジングの前記第2の部分の前記環状の三角形の界面は、前記ハウジングの前記第1の部分の平坦な界面に係合する請求項2に記載のシリンジアダプタ。
【請求項4】
前記ハウジングの前記第2の部分の前記環状の三角形の界面が、前記ハウジングの前記第1の部分に係合するように構成される尖端を含む請求項3に記載のシリンジアダプタ。
【請求項5】
前記ハウジングの前記第2の部分の前記環状の三角形の界面が、前記環状の三角形の界面の前記尖端から半径方向内向きに延びる傾斜面をさらに含む請求項4に記載のシリンジアダプタ。
【請求項6】
前記ハウジングの前記第1の部分は、複数の突起部を含み、該ハウジングの前記第1の部分の前記複数の突起部が、前記ハウジングの前記第2の部分に係合し、前記ハウジングの前記第1の部分と前記ハウジングの前記第2の部分との間に前記半径方向の締り嵌めをもたらす請求項1に記載のシリンジアダプタ。
【請求項7】
前記複数の突起部が、前記ハウジングの前記第1の部分の周縁で離間されている請求項6に記載のシリンジアダプタ。
【請求項8】
前記複数の突起部が、前記ハウジングの前記第1の部分から半径方向外向きに延びる請求項6に記載のシリンジアダプタ。
【請求項9】
前記ハウジングの前記第1の部分が前記ハウジングの前記第2の部分に接続された場合、前記複数の突起部が、前記ハウジングの前記第2の部分に押し込むように構成された請求項6に記載のシリンジアダプタ。
【請求項10】
前記ハウジングの前記第2の部分が複数の歯を含み、前記ハウジングの前記第2の部分の前記複数の歯が、前記ハウジングの前記第1の部分に係合し、前記ハウジングの前記第1の部分と前記ハウジングの前記第2の部分との間に前記軸方向の締り嵌めをもたらす請求項1に記載のシリンジアダプタ。
【請求項11】
前記ハウジングの前記第2の部分が前記ハウジングの前記第1の部分に接続された場合、前記複数の歯が、前記ハウジングの前記第1の部分に押し込むように構成された請求項10に記載のシリンジアダプタ。
【請求項12】
前記ハウジングの前記第2の部分が前記ハウジングの前記第1の部分に接続された場合、前記複数の歯が、前記ハウジングの前記第1の部分と前記ハウジングの前記第2の部分との間に応力の釣り合いのとれていない分布をもたらす請求項10に記載のシリンジアダプタ。
【請求項13】
前記ハウジングが前記保護キャップに挿入されると、前記保護キャップの前記環状肩部が前記ハウジングの前記第2の部分の端部に接触する、請求項1に記載のシリンジアダプタ。
【請求項14】
前記保護キャップの前記第2の端は、前記保護キャップの前記環状の側壁から半径方向外向きに延びるフランジおよび底面を含むベース部分を含み、前記フランジおよび前記底面は環状肩部によって少なくとも部分的に閉鎖される環状凹部によって分離される、請求項13に記載のシリンジアダプタ。
【請求項15】
前記ハウジングの前記第2の部分は、環状溝を含み、
前記保護キャップは、前記ハウジングの前記第2の部分の前記環状溝と係合する前記保護キャップの前記環状の側壁から半径方向内側に延びる1つまたは複数のタブを含み、それによって前記保護キャップを前記ハウジングの前記第2の部分に固定する、請求項1に記載のシリンジアダプタ。
【請求項16】
前記保護キャップの前記第2の端が、開位置と閉位置との間で移動する取り外し可能なカバーを含む、請求項1に記載のシリンジアダプタ。
【請求項17】
前記保護キャップは、前記ハウジングの前記第2の端部内に延在し、前記シール装置の一部と係合して、前記カニューレに対する前記シール装置および前記膜の移動を防止する管状支持体を含み、
前記管状支持体は、前記取り外し可能なカバーが開位置にあるときに、前記保護キャップの前記第2の端を介して前記ハウジングの前記内部へのアクセスを提供する中央経路を画定する。請求項16に記載のシリンジアダプタ。
【請求項18】
前記取り外し可能なカバーが開位置にあるとき、前記保護キャップの中央経路および前記ハウジングの前記第2の部分の端部を通して綿棒を挿入して、前記シール装置の少なくとも一部を消毒することができる、請求項16に記載のシリンジアダプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書と一体に構成される、2017年1月17日に出願された米国特許仮出願番号第62/447,032号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、別の医療機器もしくは液体用容器にシリンジを接続するためのシリンジアダプタに関し、より詳細には、2つの接続された部分、または部品から形成されるハウジングを含むシリンジアダプタに関する。
【背景技術】
【0003】
薬剤師および看護婦などの医療臨床医は、薬剤の準備、薬剤の投与、および他の同様の取扱い行為中に大気に放出することがある薬剤または溶剤との繰り返される接触の結果として急性および長期の健康の危険性を受ける可能性がある。例えば、注入を実行する場合、注入物バッグまたは他の注入液容器内の注入液に薬剤または他の医療物質を注入することが、しばしば必要とされる。この注入は、注入バッグにおいて、または、問題の薬液で充填されたシリンジの針をもつ注入液ラインにおいて、注入ポートのセプタムまたは他の液障壁を貫通することによってしばしば実行される。セプタムを貫通する前に、バイアルからシリンジに、それから、シリンジから容器に薬液を移動することも必要であり得る。これらの処置の各々において、臨床医または医療提供者は、薬液に接触する場合があり、その結果、例えば、蒸発した薬液からの汚染、またはエアロゾルとして放出された汚染物質からの汚染をもたらす。例えば、汚染は、蒸発した汚染物質またはエアロゾルの汚染物質を肺に吸込むことによって起こり得る。汚染はまた、蒸発した汚染物質またはエアロゾルの汚染物質が、臨床医のまたは医療提供者の皮膚で凝縮し、それから、貫通するときに起こり得る。場合によっては、そのような凝縮した汚染物質は、防護手袋すら貫通し得る。
【0004】
残念ながら、汚染物質への接触は、長期的に、臨床医または医療提供者の血液または体組織中において容認できないほど高い濃度の薬剤または汚染物質を生じる場合がある。汚染の危険性は、複雑な注入物の準備中に行われなければならない容器間の多くの移送処置により増す。これらの理由により、薬剤が薬剤の移送中に移送装置中に含まれていることを保証するために、閉鎖系移送装置(CSTD)が開発された。CSTDは、概して、シリンジへの接続のためのシリンジアダプタと、患者の循環系に流体接続をもたらすバイアルと、第2のシリンジと、液体用容器と、または管への接続のための(しばしば、患者用コネクタと呼ばれる)別のアダプタとを含む。使用中に、臨床医または医療提供者は、それぞれのアダプタの接続を介してバイアルにシリンジを取り付けることによって食塩水または何らかの他の再構成媒体で粉末状の化合物または凍結乾燥された化合物を再構成する場合がある。薬剤は、それから、シリンジから、それぞれのアダプタを通して、バイアルに液を注入することによって再構成される。場合によっては、再構成された注入物は、それから、シリンジに吸引され得る。吸引後に、アダプタが互いに切り離されることができる。臨床医または医療提供者は、それから、患者への投与のためにシリンジからIVラインまたはシリンジなどの液体管、または、患者用送出装置に液を移送するために別のアダプタにシリンジを取り付け得る。1つ以上のこれらの接続する処置では、臨床医は、それらの間の安全な接続を保証するためにアダプタの一部を消毒する必要とする場合がある。
【0005】
薬剤または治療薬の再構成中に実行されなければならない複数の接続に鑑みて、互いの接続、および/または、患者用系統との接続のために臨床医がアダプタを準備するのを支援する装置とアセンブリとが必要とされる。本明細書で開示するシリンジアダプタと、キャップ、およびアセンブリとはこれらの問題に対処するように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2015/0297454号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一面によれば、シリンジアダプタが提供される。シリンジアダプタは、第1の端部と、第1の端部に向かい合って位置付けられる第2の端部とを有するハウジングを含む。ハウジングは、第1の部分と、第1の部分に接続された第2の部分と、を含む。ハウジングの第1の端部は、シリンジバレルに固定されるように構成されたコネクタを含む。アダプタは、また、ハウジング内に位置決めされたカニューレと、ハウジング内に位置決めされ、膜を含み、ハウジング内で移動可能なシール装置とを含む。ハウジングの第1の部分は、ハウジングの第1の部分と第2の部分との間で軸方向および半径方向との締り嵌めを介して第2の部分に接続され得る。
【0008】
いくつかの例では、ハウジングの第2の部分は、環状の三角形の界面を含むことができる。ハウジングの第2の部分の環状の三角形の界面は、ハウジングの第1の部分に係合して、ハウジングの第1の部分とハウジングの第2の部分との間で軸方向の締り嵌めをもたらすことができる。ハウジングの第2の部分の環状三角形の界面は、ハウジングの第1の部分の平坦な界面に係合することができる。例えば、ハウジングの第1の部分の平坦な界面は、ハウジングの縦軸線に対してほぼ垂直に延びることができる。随意に、ハウジングの第2の部分の環状の三角形の界面は、ハウジングの第1の部分に係合するように構成される尖端を含むことができる。ハウジングの第2の部分の環状の三角形の界面は、環状の三角形の界面の尖端から半径方向内向きに延びる傾斜面をも含むことができる。ハウジングの第1の部分は、複数の突起部を含み、複数の突起部がハウジングの第2の部分に係合し、ハウジングの第1の部分とハウジングの第2の部分との間に半径方向の締り嵌めをもたらすように構成される。
【0009】
いくつかの例では、ハウジングの第1の部分は、複数の突起部を含むことができる。ハウジングの第1の部分の複数の突起部は、ハウジングの第2の部分に係合し、ハウジングの第1の部分とハウジングの第2の部分との間に半径方向の締り嵌めをもたらすことができる。複数の突起部は、ハウジングの第1の部分の周縁で離間されることができる。例えば、複数の突起部は、それぞれ、ハウジングの第1の部分から半径方向外向きに延びることができる。随意に、ハウジングの第1の部分がハウジングの第2の部分に接続される場合、複数の突起部が、ハウジングの第1の部分に押し込むように構成される。
【0010】
いくつかの例では、ハウジングの第2の部分は、複数の歯を含み、複数の歯が、ハウジングの第1の部分に係合し、ハウジングの第1の部分とハウジングの第2の部分との間に軸方向の締り嵌めをもたらすことができる。複数の歯の各々は、軸方向に延びることができる。随意に、ハウジングの第2の部分がハウジングの第1の部分に接続される場合、複数の歯の各々はハウジングの第1の部分に押し込むように構成される。
【0011】
いくつかの例では、ハウジングの第2の部分がハウジングの第1の部分に接続される場合、複数の歯はそれぞれ、ハウジングの第1の部分とハウジングの第2の部分との間に応力の釣り合いのとれない分布をもたらすことができる。例えば、複数の歯は、第2の部分の環状の第1の端部の回りに配設され、環状の第1の端部から延びることができる。複数の歯は、ほぼ平らな表面によって離間され分離されることができる。複数の歯は、ハウジングの第2の部分の環状の第1の端部の回りで一緒に接続されることができる。
【0012】
いくつかの例では、コネクタは、ハウジングの第1の部分に回転可能に取り付けられる。カニューレはコネクタに固定され、ハウジングで少なくとも部分的に囲まれることができる。
【0013】
本発明のこれらおよび他の特徴および特性、ならびに動作の方法および構造の関連要素の機能および部品の組合せおよび製造の経済性は、添付図面を参照しながら以下の説明および添付の特許請求の範囲を考慮すればより明らかになり、その全ては本明細書の一部を形成し、同一の参照番号は様々な図中で対応する部分を指す。ただし、図面は、例示および説明のためのものにすぎず、本発明の限定の定義として意図されないことを明確に理解されたい。本明細書および特許請求の範囲で使用する単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、その文脈が別段の明確な要求することがない限り、複数の指示物を含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本開示の一面に応じたシリンジアダプタおよびキャップを含むアセンブリの正面図である。
【
図2A】
図2Aは、2A-2A線に沿った
図1におけるシリンジアダプタの断面図である。
【
図2B】
図2Bは、輪郭2Bによって囲まれた
図2Aにおけるシリンジアダプタの一部分の拡大断面図である。
【
図3A】
図3Aは、輪郭3Aによって囲まれた
図2Aにおけるシリンジアダプタの一部分の拡大断面図である。
【
図4A】
図4Aは、
図1におけるシリンジアダプタのハウジングの第1の部分の正面図である。
【
図5A】
図5Aは、
図1におけるシリンジアダプタのハウジングの第2の部分の斜視図である。
【
図5B】
図5Bは、
図5Aにおけるシリンジアダプタハウジングの第2の部分の断面の斜視図である。
【
図6】
図6は、
図1におけるシリンジアダプタのハウジングの分解斜視図である。
【
図7】
図7は、シリンジアダプタのハウジングの他の実施例の分解斜視図である。
【
図8】
図8は、シリンジアダプタのハウジングの他の実施例の分解斜視図である。
【
図9A】
図9Aは、本開示の一面に応じたシリンジアダプタのための保護キャップの正面図である。
【
図10】
図10は、本開示の一面に応じた保護キャップの他の実施例の斜視図である。
【
図12A】
図12Aは、本開示の一面に応じたシリンジアダプタの第2の部分の他の実施例の正面図である。
【
図12B】
図12Bは、本開示の一面に応じたシリンジアダプタの第2の部分の他の実施例の正面図である。
【
図12C】
図12Cは、本開示の一面に応じたシリンジアダプタの第2の部分の他の実施例の正面図である。
【
図13A】
図13Aは、本開示の一一面に応じたシリンジアダプタのための保護キャップの他の実施例の正面図である。
【
図16A】
図16Aは、本開示の一面に応じた保護キャップの他の実施例に取り付けられたシリンジアダプタの正面図である。
【
図17A】
図17Aは、本開示の一面に応じたシリンジアダプタのための保護キャップの他の実施例の正面図である。
【
図17B】
図17Bは、17B-17B線に沿った、シリンジアダプタに接続された
図17Aにおける保護キャップの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
複数の図は、概して、本開示のシステムおよび方法の好適で非限定的な一面を示す。その説明が装置の様々な一面を述べるが、本開示を限定するものとして多少なりとも解釈されるべきではない。さらに、本開示における一面の変更、概念、および適用が、限定されないが、本明細書の例示および説明によって包含されるものとして当業者によって解釈されるべきである。
【0016】
さらに、以下の説明のために、「端」、「上部」、「下部」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「上」、「下」、「横」、「縦」という用語、およびそれらの派生語は、図面中、ある方向に向けられているので、本開示に関係づけられるものとする。「基端」という用語は、装置の中心または中央部に向かう方向であることを指す。「末端」という用語は、装置の中央部から離れ外側の方向に延びるものであることを指す。しかしながら、そうではなく、別段の指示がある場合を除いて、本開示が、様々な代替の変形例、および、ステップシーケンス(step sequences)を想定し得るものとする。添付図面に示され、以下の明細書において説明される特定の装置、および、方法は、本開示の例示的な一面にすぎないものとする。したがって、本明細書で開示される一面に関係づけられる特定の寸法、および、他の物理的特性は、限定するものとして考えられるべきではない。本開示の理解を容易にするために、添付図面および説明は、本開示、その構造の様々な一面、構成および作動方法、ならびに、多くの利点が、理解され、認識され得るそれらの好適な一面を示す。
【0017】
本開示の一面によれば、他の医療機器、または、液体用容器に注射器(シリンジ)を接続するためのシリンジアダプタが、もたらされる。例えば、医療機器は、例えば、患者用系統、バイアルアダプタ、液体用容器、または注入器とされる。他の一例では、その容器は、患者に投与されるべき液体を保持するための医療用小瓶、シリンジ用外筒、IVバッグ(IVbag)、または同様の容器とされる。シリンジアダプタは、シリンジ、および、医療機器または液体用容器相互間の流体の密閉した移動を容易にするために使用可能とされる。そのシリンジアダプタは、第2のグリップ部分のような第2の部分に挿入される第1のグリップ部分のような第1の部分から形成されるハウジングを含み得る。第1の部分は、軸方向の締り嵌め、および/または、半径方向の締り嵌めによって第2の部分に接続され得る。軸方向の締り嵌めとは、ハウジングのそれぞれの部分を互いに引き離すこと(例えば、ハウジングの部分を取り外すこと)、および/または、ハウジングの第2の部分にハウジングの第1の部分をさらに押し入れることを妨げるかまたは阻止するハウジングの第1の部分の構造とハウジングの第2の部分の構造との間の係合を指すことができる。例えば、軸方向の締り嵌めとは、第1の部分が第2の部分に実質的にロックされ、第2の部分に対する第1の部分の軸方向の移動を防げる状況を指すことができる。同様に、半径方向の締り嵌めとは、互いに対するハウジングの部分の回転を妨げるかまたは阻止する構造を指すことができる。軸方向の締り嵌め構造と半径方向の締り嵌め構造との両方、組み合わせを含むシリンジアダプタは、ハウジングの部分を所定の位置により確実にロックすることを助ける。
【0018】
本開示の他の一面によれば、シリンジアダプタのための保護キャップがもたらされる。保護キャップとともに使用可能とされる例示的なシリンジアダプタは、その全体が参照により本明細書と一体に構成される米国特許出願公開第2015/0297454号明細書(特許文献1)に記載されている。キャップは、使用者がそこからキャップを取り外すことなく、シリンジアダプタの内部を消毒できるように構成される。例えば、キャップは、使用者がアダプタからキャップを取り外すことなく、アダプタの内部を消毒するために綿棒(例えば、イソプロピルアルコールなどの消毒剤中に浸漬された綿棒)を挿入できるように構成され得る。いくつかの例では、キャップは、使用者がシリンジアダプタの内部に接近することを可能にするために使用者によって開放されるように構成されたドア、即ち、窓を含むカバーを含むことができる。他の例では、キャップは、それに装着される消毒用綿棒、即ち、脱脂綿を含むことができる。そのキャップがアダプタに取り外し可能に取り付けられる場合、綿棒、即ち、脱脂綿は、シリンジアダプタの内部に挿入されるように位置決めされ得る。
【0019】
図1を参照すると、シリンジ(図示せず)と患者用系統または容器に取り付けられた(以下では「患者用コネクタ」と称する)コネクタとの間の流体連通を確立するための例示的なシリンジアダプタアセンブリ100を示す。アセンブリ100はまた、限定されないが、バイアルアダプタと、IVバッグスパイクと、IVラインとを含む液移送システム、および/または、閉鎖系移送装置の他の構成要素に関して利用され得る。アセンブリ100は、シリンジアダプタ110と保護キャップ10とを含むことができる。シリンジアダプタ110は、概して、内部114(
図2Aおよび
図2Bに示される)を画定するハウジング112を含む。ハウジング112は、シリンジと開口の第2、即ち、末端の端部118に直接または間接的に取り付けられるように構成された第1、即ち、基端の端部116を含む。シリンジアダプタ110は、それの基端の端部116に配設され、シリンジに係合するように構成されたシリンジコネクタ120を含むことができる。例えば、シリンジコネクタ120は、シリンジの対応する構造に係合するように構成されたルアーコネクタ、または、ねじコネクタのようなシリンジポート122を含むことができる。
【0020】
いくつかの例では、シリンジアダプタ110は、例えば、キャップ10の開口基端12にアダプタハウジング112の開口末端118を押し込むことによって保護キャップ10に取り外し可能に取り付けられるように構成される。例えば、ハウジング112は、キャップ10にスナップフィットされることができる。本明細書で説明するように、キャップ10は、アダプタ110とキャップ10との間の接続を維持するための様々なロッキング、および/または、アタッチメント構造を含むことができる。いくつかの例では、キャップ10は、例えば、アダプタハウジング112の汚染を防げるためにハウジングの開口末端118を部分的に囲むように構成されることができる。いくつかの例では、キャップ10は、そこからキャップ10を取り外すことなく、使用者がシリンジアダプタ110の内部114に接近できるようにするために開位置に移行され得る。
【0021】
例示的なシリンジアダプタ
図1乃至
図6は、保護キャップ10とともに使用されることができる例示的なシリンジアダプタ110の一面を示す。
図2Aに示されるように、シリンジアダプタ110は、コネクタ120に取り付けられ、コネクタ120からハウジング112の内部114に、末端方向に延びる針カニューレ124を含むことができる。
図2Aおよび
図2Bに示されるように、アダプタ110はまた、ハウジング112の内部114に摺動可能に取り付けられたソケット、即ち、コレット128を含む、概して、126によって示されるシール装置を含む。コレット128は、末端、即ち、使用前の位置と基端、即ち、使用中の位置との間でハウジング112の内部114を介して可動である(
図2Aおよび
図2Bに示される)。シール装置126は、また、コレット128に取り付けられた貫通可能な膜、即ち、セプタム130を含む。コレット128がそれの末端の位置、即ち、使用前の位置にある場合、カニューレ124の(
図2Aに示す)末端の先端132が、使用するより前の汚染を防げるためにセプタム130によって完全に囲まれる。コレット128は、それにシリンジアダプタ110を取り付けるための患者用コネクタ(図示せず)または別のアダプタの一部分を把持するように構成された末端のフランジ134と脚136とを含む。いくつかの例では、フランジ134、および/または、コレット脚136は、患者用コネクタを把持するために半径方向内向きに付勢されることができる。患者用コネクタが、アダプタ110の開口末端118中に挿入される場合、フランジ134、および/または、脚136は、
図2B中の矢印D1によって特定される方向でグリップ位置、即ち、凹み位置に半径方向外向きに押される。
【0022】
使用中に、患者用コネクタがアダプタ110の末端118に取り付けられるとき、アダプタ110は、末端の位置、即ち、使用前の位置(
図2Aおよび
図2Bに示される)から基端の位置、即ち、使用の位置にコレット128を移動することによって作動される。基端方向にコレット128を移動することによって、針カニューレ124の末端チップ132にセプタム、即ち、シール130を貫通させ、それによって、針カニューレ124を、患者用コネクタまたは別のアダプタと接触させる。コレット128の連続した基端の移動は、針カニューレ124を患者用コネクタまたはアダプタに取り付けられた別の容器または医療機器と流体接続させ、それによって、シリンジアダプタ110を介してシリンジおよび容器または医療機器との間での流体連通を確立することができる。
【0023】
再び
図1乃至
図6を参照すると、アダプタハウジング112は、内部114を囲むために互いに取り付けられた2つ以上の部分から形成されることができる。例えば、ハウジング112は、第2の部分140に挿入、および/または、接続された第1の部分138を含むことができる。いくつかの例では、ハウジング112の第1の部分138は、(
図1および
図2Aに示す)卵形凹部144の2つのペアとして示される(
図1および
図2Aに示す)グリップ装置142を含むことができる。他の好適なグリップ装置も、アダプタ110を保持、および/または、操作することを容易にするために利用され得る。
【0024】
いくつかの例では、ハウジング112の第1の部分138は、部分138、140を互いに効果的にロックするために第1の部分138と第2の部分140との間の軸方向および半径方向の締り嵌めを介して第2の部分140に接続されることができる。
図2B、
図3A、
図3B、
図5A、および
図5Bを特に参照すると、いくつかの例では、第2の部分140は、軸方向の締り嵌めを形成するために第1の部分138に係合する、概して146として示される環状の三角形の界面を含む。環状三角形の界面146は、尖端148とそこから延びる半径方向内向き方向に傾斜する環状表面150とを含むことができる。環状の三角形の界面146は、部分138、140を互いにロックするためにハウジング112の第1の部分138に押し込むように構成される。場合によっては、環状の三角形の界面146は、第1の部分138の(
図2B、
図3A、および
図3Bに示す)対応する環状の平坦な界面152に押し込むように配置される。平坦な界面152は、ハウジング112の縦軸線Lに対してほぼ垂直に延びることができる。例えば、環状の三角形の締り嵌めは、それへの好適な接続を形成するために平坦な界面に押し込む、即ち、食いつくことができる。
【0025】
一例では、第1の部分138から末端に、および、第2の部分140から基端に延び対向する膨れ部分、即ち、複数の突起相互間の係合も、
図3Aおよび
図3Bに示されるように、軸方向の締り嵌めに寄与し得る。例えば、ハウジング112の第2の部分140は、第1の部分138の対応する棚、即ち、棚状の突起156に係合するように構成された膨れ部分、即ち、突起154を含むことができる。第2の部分140の突起154は、第2の部分140の基端141に位置する半径方向内向きに延びる構造であることができる。いくつかの例では、突起154は、第2の部分140にハウジング112の第1の部分138をロックするために棚状の突起156に対して半径方向内向きに付勢されることができる。突起154と棚状の突起156との間の接触は、使用者が、第2の部分140から第1の部分138を引き離す、および/または、引き抜くことを防げるか、またはそれをより困難にする。
【0026】
図2B、
図3A、
図3B、
図4A、および
図4Bを特に参照すると、ハウジング112の第1の部分138は、第1の部分138と第2の部分140との間に半径方向の締り嵌めをもたらすために第2の部分140に係合するように構成された複数の突起部158をさらに含むことができる。例えば、
図3Aおよび
図3Bに示されるように、突起部158は、部分138、140を互いにロックするために、および、特に、第2の部分140に対する第1の部分138のねじれを防げるかまたは制限するために第2の部分140の内部表面に食いつくか、または、押し込むことができる。いくつかの例では、
図4Aおよび
図4Bに示されるように、突起部158は、第1の部分138の外周の周りで離間されることができる。突起部140は、第1の部分138から半径方向外向きに延びることができ、例えば、第2の部分140の対応する内部垂直面160に係合するように構成されることができる。いくつかの例では、突起部158は、第1の部分138の外周の周りで等距離に離間した縦方向に延びる隆起であることができる。他の例では、突起部158は、ハウジング112の第2の部分140に接触するための半球形、円筒形、ピラミッド形、または任意の他の適切な形状であることができる。他の例では、第1の部分138は、第2の部分132に第1の部分130をロックするために第2の部分140の垂直円筒面160との可変接触をもたらすための起伏表面を備えることができる。
【0027】
図6乃至
図8を参照すると、第1の部分138に取り付けられるように構成された第2の部分140の付加的な実施例を示す。
図6乃至
図8の実施例では、第2の部分140が矢印A1の方向で第1の部分138に取り付けられる場合、第2の部分140の基端141は、第1の部分138と第2の部分140との間での応力の釣り合いのとれない分布を生成するように成形される。例えば、第2の部分140は、第2の部分132の基端141から軸方向に延びる複数の歯162を含むことができる。複数の歯162は、軸方向の締り嵌めをもたらすためにアダプタハウジングの第1の部分138に係合するように構成される。例えば、複数の歯162は、それらの間に好適な係合を形成するために第1の部分138の平坦面152を押し込む、および/または、変形させることを行い得る。いくつかの例では、
図6および
図7に示されるように、複数の歯162は、第2の部分140の環状基端141の周りで離間されることができ、例えば、ほぼ平らな表面によって、またはハウジングの縦軸線Lに向かって半径方向内向きの傾斜面によって分離されることができる。他の例では、
図8に示されるように、複数の歯162は、第2の部分140の環状の基端141の周りで互いに接続されることができる。この構成では、
図8に示されるように、第2の部分の環状基端141は、いかなる平坦または平面領域をも含まず、代わりに、
図8に示されるように環状の基端141の周りで交互する上方に傾斜した傾斜面と下方に傾斜した傾斜面とから形成される。
【0028】
例示的な保護キャップ
次に、ハウジング112の末端118に取り付けられることができ、使用以前にシリンジアダプタ110から取り外すことができる保護キャップの例について詳細に説明する。
図9A乃至
図11Bを参照すると、開口基端112と閉鎖末端114とを有する例示的なキャップ10を示す。保護キャップ10は、スナップフィットによりアダプタハウジングに接続されるように構成される。例えば、キャップ10は、例えば、
図11Aおよび
図11Bに示されるように、中央キャビティ16内でハウジング112の末端118を受容するように構成されることができる。保護キャップ10は、柔らかいゴムまたは柔軟なプラスチックのような、アダプタよりも柔らかい、および/または、柔軟な材料から形成されることができる。キャップ10は、その技術分野で知られているように、射出成形によってまたは別の好適な成形方法によって形成されることができる。
【0029】
いくつかの例では、キャップ10は、シリンジアダプタに係合するように構成された基端部分18と、末端フランジ、即ち、ベース部分20と、それらの間に延びる環状側壁22とをもつ環状体、即ち、本体16を含む。いくつかの例では、フランジ、即ち、ベース部分20は、キャップ10とそれに取り付けられたシリンジアダプタとがほぼ直立してテーブルまたは別の平坦表面上に配置されることができるようなほぼ平坦な底面24を含むことができる。いくつかの例では、キャップ10の環状側壁22は、それの半径方向内側面上に配設された肩26(
図9Bに示される)を含むことができる。肩26は、アダプタに付加的な支持をもたらすためにシリンジアダプタの末端の一部分に接触するように配置された傾斜面であることができる。
【0030】
キャップ10とシリンジアダプタ110との一般的な構造について説明したが、次に、アダプタ110にキャップ10を取り付けるための構造について詳細に説明する。
図11Aおよび
図11Bに示されるように、いくつかの例では、環状体16の基端部分18は、シリンジアダプタ110の開口末端118とのスナップフィット係合を形成するように構成されることができる。例えば、本体16の基端部分18は内向きに付勢されて、キャップ10とアダプタ110との間に軸方向の締り嵌め係合を形成してもよい。いくつかの例では、環状体16の基端部分18は、また、それらの間のスナップフィット係合を補うためにハウジング112の末端118の一部分に係合するように構成された1つ以上の突起、即ち、タブ28を含み得る。いくつかの例では、アダプタハウジング112の第2の部分140は、突起、即ち、タブ28に係合するように配置された1以上の凹部または突起を含み得る。例えば、第2の部分140は、それとの好適な接続を形成するためにタブ28に接触するように構成された、それの外周の周りに延びる環状の溝、即ち、棚164を含むことができる。他の例では、棚164は、第2の部分140の外面から延びるいくつかの突起、または、ディテント(detents)に置き換えられることができる。キャップ10の内向きに延びるタブ28は、シリンジアダプタ110に対するキャップ10の軸方向の移動を制限するために棚164を把持する(例えば、それとのスナップフィット係合を形成する)ように構成されることができる。いくつかの例では、キャップ環状体16の内向きのタブ28は、環状体16の基端部分18の外周の周りに配置される2つ以上のタブ28を含むことができる。基端部分18の外周の周りに等距離に配置された4つの別個の個々のタブ28を含む基端部分18をもつキャップ10が、例えば、
図9Cに示される。他の例では、
図10に示されるように、環状体16の基端部分18は、キャップ環状体16の基端部分18の外周の周りに延びる環状リング、即ち、リップ30を含むことができる。リング、即ち、リップ30は、それらの間の好適な接続を形成するために棚164(
図11Aおよび
図11Bに示される)に接触するように構成されることができる。
【0031】
図12A乃至
図12Cを参照すると、保護キャップ10とのスナップフィットを受容および形成するための代替構造を示すシリンジアダプタ110の第2の部分140の付加的な実施例が示される。例えば、
図12Aに示されるように、第2の部分140は、保護キャップの一部分に接触および係合するように構成された半径方向外向きに延びる輪、即ち、隆起166を含むことができる。
図12Bに示されるように、他の例では、第2の部分140は、タブ、即ち、環状リングを受容するように構成された環状凹部、即ち、溝168を含むことができる。さらに他の例では、
図12Cに示されるように、アダプタ110の第2の部分140は、それとのスナップフィットを形成するためにキャップの部分に接触および係合するように構成された半径方向外向きに延びる突起、即ち、バンプ170を含むことができる。いずれの場合も、キャップ10は、第2の部分140から取り外し可能であるように設計される。したがって、突起、溝、即ち、リングなどのこれらの締り嵌め構造は、針の意図しない露出を防げるためにシリンジアダプタ110からのキャップの取り外しを制限するようにサイズ決定されなければならない。しかしながら、突起、溝、即ち、リングは、不合理な力を加える必要なしに、キャップ10もしくはアダプタ110を損傷することなしに、キャップが使用者によって取り外されることができるのに十分小さくなければならない。
【0032】
シリンジアダプタを消毒するための例示的な保護キャップ
本開示の他の一面によれば、保護キャップは、使用以前に、特に、シリンジアダプタからキャップを取り外す前にシリンジアダプタの内部の部分を消毒するために使用者がシリンジアダプタの内部に接近することを可能にするように構成されることができる。シリンジアダプタの内部への接近を可能にするために閉位置と開位置との間で移行可能である例示的な保護キャップ210を
図13Aから
図15Bに示す。
図13A乃至
図14Bを参照すると、前に説明した例と同様に、キャップ210は、スナップフィットによりアダプタハウジングに接続されるように構成された開口基端212を含む。しかしながら、他の例の場合とは異なり、保護キャップ210は、また、シリンジアダプタの内部への接近を可能にするための開口末端214を含む。キャップ210は、シリンジアダプタに係合するように構成された基端部分218と、末端フランジ、即ち、ベース部分220と、それらの間に延びる環状側壁222とをもつ環状体、即ち、本体216を含むことができる。いくつかの例では、フランジ、即ち、ベース部分220は、キャップ210とそれに取り付けられたシリンジアダプタとがほぼ直立してテーブルまたは別の平坦表面上に配置されることができるようなほぼ平坦な環状底面224を含むことができる。いくつかの例では、キャップ210の環状側壁222は、それの半径方向内側面上に配設された肩226(
図13Bに示される)を含むことができる。肩226は、アダプタに付加的な支持をもたらすためにシリンジアダプタの末端の一部分に接触するように配置された傾斜面であることができる。
【0033】
保護キャップ210は、本体216のフランジ、即ち、ベース部分220に接続され、それから基端に延びる管状支持体232などの保持部材をさらに含み得る。管状支持体232は、シリンジアダプタ110(
図14Aおよび14Bに示される)の開口末端118に挿入されるように構成されることができる。管状支持体232は、開口基端236とそれの開口末端238との間に延びる中央経路234を画定する。
図13Aおよび
図13Bに示されるように、管状支持体232は、シリンジアダプタ110の対応する円形開口末端118中に挿入されるように構成された円形断面を有し得る。他の例では、管状支持体232は、シリンジアダプタ110の開口末端118のサイズおよび形状に応じて異なる断面形状、および/または、寸法を有することができる。管状支持体232は、
図13Aおよび
図13Bに示されるように環状体216の基端部分218を越えて距離H1延び得る。他の装置では、管状支持体232は、シリンジアダプタ110の形状および構造に応じて同じ高さであることも、環状体216よりも短くなることもある。
【0034】
引き続き
図13Aから
図14Bを参照すると、いくつかの例では、保護キャップ210は、また、環状体216のベース部分220に接続されたカバー240を含む。カバー240は、それが中央経路234の末端開口端238をカバーする閉位置(
図13Bおよび
図14Bに示される)と経路234がカバーされない開位置(
図15Aおよび
図15Bに示される)とから移行可能であり得、それによって、使用者がシリンジアダプタ110の内部114(
図14Aおよび
図14Bに示される)に接近することを可能にする。キャップ210が開位置(
図15Aおよび
図15Bに示される)にある場合、使用者は、シリンジアダプタ110の内部114を消毒するための中央経路234の開口末端238とシリンジアダプタ110の開口末端118とを通して綿棒を挿入することができる。カバー240は、カバー240とベース部分220との間にピボット係合(pivotal engagement)または継手を形成するのに好適な任意のタイプのコネクタまたは留め具によって環状体216のベース部分220に接続、および/または、取り付けられることができる。一例では、カバー240は、環状体216のベース部分220と一体的に形成され、一体丁番242によって互いに接続される。一体丁番242は、構造における2つ以上の剛性部分相互間の薄肉の可撓領域(例えば、折り線)であることができる。一体丁番242は、2つの剛性部分相互間の所望の位置に折り線を形成するために剛性部分を薄肉化するか、または剛性部分に切込みを入れることによって形成されることができる。あるいは、薄肉化された一体丁番242を含むキャップ210が、成形中に形成されることができる。
【0035】
引き続き
図13Aから
図14Bを参照すると、いくつかの例では、環状体216のカバー240、および/または、ベース部分220は、閉位置にカバー240を維持するためのロックまたはラッチ機構を含むことができる。例えば、カバー240は、環状体216の対応する部分に係合するように構成された戻り止め244を含む基端に延びるリップを含むことができる。例えば、戻り止め244は、それとの締り嵌め係合を形成するために環状体216のベース部分220上で対応する突起部、即ち、突起246に係合するように配置されることができる。
【0036】
図14Aおよび
図14Bを特に参照すると、前に説明した例と同様に、環状体216の基端部分218は、シリンジアダプタ110の開口末端118とのスナップフィット係合を形成するように構成されることができる。例えば、キャップ210の基端部分218は、キャップ210とシリンジアダプタ110との間で軸方向の締り嵌め係合を内向きに付勢して形成していることがある。いくつかの例では、環状体216の基端部分218は、それらの間の取り外し可能なスナップフィット係合を形成するためにハウジング112の末端118の一部分に係合するように構成された1以上の突起、即ち、タブ228を含み得る。例えば、前に説明した例と同様に、アダプタハウジング112の第2の部分140は、それの外周の周りに延びる環状の溝、即ち、棚164を含み得る。
【0037】
図14Aに示されるように、キャップ210がシリンジアダプタ110に取り付けられると、管状支持体232はアダプタ110の内部114に挿入され、したがって、中央経路234の基端開口端236がコレットフランジ134、および/または、コレット脚136までまたはそれを越えて延びる。この位置において、管状支持体32の外面は、それらの凹み位置に向かって半径方向外向きにフランジ134、および/または、脚136を押し込むフランジ134、および/または、脚136に接触することができる。したがって、管状支持体232は、管状支持体232の中央経路234およびシリンジアダプタ110の開口末端118から離れてフランジ134、および/または、脚136を保持することができ、したがって、綿棒がアダプタ110中に挿入されるときそれらが変位されない。
【0038】
図15Aおよび
図15Bを参照すると、シリンジアダプタ110の内部114を消毒するための処置について説明する。
図15Aに示されるように、臨床医などの使用者は、戻り止め244と突起246との間のラッチ機構係合を克服するのに十分な力で環状体216から離れてカバー240の一部分を引くことによってカバー240を開くことができる。戻り止め244と突起246との間の締り嵌め係合が克服されると、カバー240は、それの開位置に向かって矢印A1によって示されるように下方向に揺動する。本明細書で説明するように、カバー240は、一体丁番242などの可撓、および/または、枢動継手によって環状体216に接続されることができる。したがって、カバー240は、閉位置から開位置に継手または一体丁番242の周りを回転または枢動する。カバー240がそれの開位置にくると、使用者は、
図15Aに示されるように矢印A2の方向にアダプタ110の開口末端118に向かって消毒剤を含んでいる綿棒248を前進させる。
図15Bに示されるように、綿棒248がアダプタ110の内部114に挿入されると、使用者は、半径方向に綿棒を移動し、それによって、アダプタ内部の要素、特に、密封装置126の要素に接触し得る。例えば、使用者は、(
図3Aに示す)カニューレ124が、それがセプタム130を貫通するときに汚染されないことを保証するために膜、即ち、セプタム130の遠心面を消毒し得る。消毒することが完了すると、使用者は、シリンジアダプタ110の内部114から綿棒248を除去し、カバー240を矢印A1の方向でそれの閉位置にそれを揺動することによって閉じて、内部114、および/または、セプタム130の汚染を防げることができる。閉位置を、例えば、
図13Bおよび
図14Aに示す。
【0039】
シリンジアダプタの開口末端内に挿入されるように構成された例示的な保護キャップ
図16Aおよび
図16Bを参照すると、シリンジアダプタ110とキャップ310とを含む患者用コネクタにシリンジを接続するためのアセンブリの別の例示的な実施例を示す。アダプタ110は、前に説明したアダプタと実質的に同様であり、シリンジに直接または間接的に取り付けられるように構成された基端116と保護キャップ310に取り外し可能に取り付けられるように構成された開口末端118とを有するハウジング112を含む。キャップ310は、フランジ、即ち、ベース部分320から延びる基端部分318を有する環状体316を含む。アダプタ110の開口末端118がキャップの環状体に挿入される前に説明した例の場合とは異なり、キャップ310では、本体316の基端部分318は、キャップ310にシリンジアダプタ110を取り付けるためにシリンジアダプタ110の末端開口端118に挿入されるようにサイズ決定または成形されることができる。例えば、環状体316の基端部分318は、シリンジアダプタ110の末端開口端118よりもわずかに大きい(例えば、わずかに大きい直径を有する)ことがあり、したがって、アダプタ110の開口末端118に挿入されると、キャップ310とアダプタ110との間で摩擦係合が形成される。前に説明した例と同様に、キャップ310は、アダプタ110に挿入されるときにそれがわずかに変形するような柔らかい可撓性材料、および/または、エラストマー材料から形成されることができる。キャップ310の弾力性は、アダプタ110とキャップ310との間の摩擦係合に寄与することができる。環状体316の基端部分318はまた、使用者がアダプタ110からキャップ310を引くのを制限または防止するためにアダプタ110の開口末端118に接触するように構成された(
図16Bに示す)フランジ、即ち、リップ350を含むことができる。前に説明した例と同様に、キャップ310はまた、環状体316のベース部分320に接続されたカバー340を含むことができる。カバー340は、それが環状体316の末端開口端338をカバーする閉位置と、シリンジアダプタ110の内部114を消毒するためのシリンジアダプタ110の開口端338と開口末端118とを通して綿棒を挿入することが可能な開位置とから移行可能であることができる。
【0040】
綿棒、即ち、脱脂綿を有する例示的な保護キャップ
図17Aおよび
図17Bを参照すると、シリンジアダプタ110(
図17Bに示される)のためのキャップ410の別の例示的な実施例を示す。前に説明した例と同様に、キャップ410は、シリンジアダプタ110に係合するように構成された基端部分418と、末端ベース部分420と、それらの間に延びる環状側壁422とを有する環状体416を含む。前に説明した例と同様に、キャップ410はまた、環状体416のベース部分420に接続され、それから基端に延びる管状支持体432などの保持部材を含む。管状支持体432は、開口基端436とそれの閉鎖末端438との間に延びる中央経路434を含み、即ち画定することができる。使用者がアダプタ110の内部に綿棒を挿入することを可能にするようにキャップが構成された前に説明した例の場合とは異なり、キャップ410は、管状支持体432の中央経路434内に取り付けられた綿棒、即ち、脱脂綿452を含む。綿棒、即ち、脱脂綿452は、綿または他のタイプの吸収繊維などの吸収材料から形成されることができる。綿棒、即ち、脱脂綿452は、アダプタ110の内部114を消毒するためのイソプロピルアルコールなどの消毒液で湿らされることができる。例えば、綿棒、即ち、脱脂綿452は、膜、即ち、セプタム130(
図17Bに示す)の遠心面を消毒するために使用されることができる。
図17Bに示されるように、キャップ410がシリンジアダプタ110に取り付けられると、管状支持体432の外面は、フランジ134と脚136とをそれらの凹み位置に維持するためにコレットフランジ134とコレット脚136とに接触する。綿棒、即ち、脱脂綿452は、管状支持体432の中心空胴434の開口基端436を越えてアダプタ110の内部114に突出する。例えば、綿棒、即ち、脱脂綿452の基端は、セプタム130を消毒するために膜、即ち、セプタム130と対面接触することができる。アダプタ110の作動前にセプタム130を消毒することは、セプタム130を貫通する針カニューレ124(
図2Aに示す)の汚染を防止または低減することができる。患者用コネクタにアダプタ110を接続する準備ができた場合、使用者は、アダプタ110のキャップ410と末端118との間の軸方向の締り嵌め係合を克服するのに十分な力で末端方向Dにキャップ410を引くことなどによってキャップ410を除去し、それによって、アダプタ110の開口末端118を露出する。キャップ410が除去されると、使用者は、アダプタ110の開口末端118を通して患者用コネクタの一部分を挿入することができる。コレット128のフランジ134、および/または、脚136は、それらの間に好適な係合を形成するために患者用コネクタの挿入された部分を把持する。アダプタ110は、それから、基端方向にコレット128を移動することによって本明細書で説明した方式で作動され、それによって、カニューレ124にセプタム130を貫通させ、患者用コネクタ(図示せず)に係合させることができる。
【0041】
本発明について、現在、最も実際的で好適な一面であると見なされていることに基づいて例示の目的で詳細に説明したが、そのような詳細が単にその目的のためのものにすぎず、本発明が開示する一面に限定されず、反対に、添付の特許請求の範囲の精神および範囲内にある変更および均等の構成をカバーするものであることを理解されたい。例えば、本発明が、可能な限り、任意の一面の1以上の特徴が任意の他の一面の1以上の特徴と組み合わされることができることを企図することを理解されたい。