(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022017198
(43)【公開日】2022-01-25
(54)【発明の名称】屈曲加工装置
(51)【国際特許分類】
B21D 7/024 20060101AFI20220118BHJP
【FI】
B21D7/024 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021112547
(22)【出願日】2021-07-07
(31)【優先権主張番号】102020000016969
(32)【優先日】2020-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】521007595
【氏名又は名称】オスカム エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ペルッツォ ステファノ
【テーマコード(参考)】
4E063
【Fターム(参考)】
4E063AA09
4E063BB09
4E063CA03
4E063EA20
(57)【要約】 (修正有)
【課題】金属棒、具体的にはコンクリートを補強する棒を屈曲加工する屈曲加工装置を提供する。
【解決手段】金属棒を加工する屈曲加工装置(10)は、第2対照部材(6)が基準軸(Y)を中心とした回転運動の結果として、支持面(2)に対して横方向の成分を有し且つ上記面に向けられた推進作用を上記棒に及ぼすように、上記基準軸に対して平行な第2軸の周りに画定された円錐台状の面を有することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属棒、具体的にはコンクリートを補強する棒を曲げる屈曲加工装置であって、
基準軸に中心がある第1対照部材と、
前記基準軸から一定の距離に配置され且つこの軸を中心に回転するように設置された第2対照部材と、
屈曲加工される少なくとも1つの棒を支持し、前記基準軸に直交する支持面と、
前記基準軸を中心に回転するように前記第2対照部材を駆動することにより、前記第2対照部材が、前記第1対照部材を超えて突出する屈曲加工される前記棒の一部に係合するようになり、前記棒が前記第1対照部材の周りで曲げられるようにするアクチュエータ機器と
を備え、
前記第2対照部材は、前記基準軸を中心とした回転運動の結果として、前記支持面に対して横方向の成分を有し且つこの面に向けられた推進作用を前記棒に及ぼすために、前記基準軸に対して平行な第2軸の周りに画定された実質的に円錐台状の面を有する、装置。
【請求項2】
前記第2対照部材は、前記円錐台状の面の上にあり且つそこから径方向に突出する周辺上縁部を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記円錐台状の面は、前記基準軸と共に45°以下の角度を画定する、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記円錐台状の面には、屈曲加工される前記棒と前記対照部材との密着を向上させるように予め配置された一連の構成物が設けられており、前記構成物は、第2軸の周りの前記円錐台状の面全体にわたって分布している、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項5】
前記構成物は、溝で構成されており、好ましくは、前記第2軸の周りのらせん状パターンに従って延在し、屈曲加工される前記棒に形成された対応する形状を有するリブを受け入れるように構成されている、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第2対照部材は前記第2軸を中心に回転できる、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
金属棒、具体的にはコンクリートを補強する棒を屈曲加工する方法であって、前記方法は、
基準軸に中心がある第1対照部材と、
前記基準軸から一定の距離に配置され且つこの軸を中心に回転するように設置された第2対照部材と、
屈曲加工される少なくとも1つの棒を支持し、前記基準軸に直交する支持面と、
前記基準軸を中心に回転するように前記第2対照部材を駆動することにより、前記第2対照部材が、前記第1対照部材を超えて突出する屈曲加工される前記棒の一部に係合するようになり、前記棒が前記第1対照部材の周りで曲げられるようにするアクチュエータ機器と
を含む屈曲加工装置を提供する段階を備え、
前記第2対照部材は、前記基準軸に対して平行な第2軸の周りに画定される実質的に円錐台状の面を有し、
前記方法は、
屈曲加工される前記棒を前記屈曲加工装置の前記支持面に配置することにより、前記棒の一部が第1対照部材を超え且つ前記第1対照部材と前記第2対照部材との間の位置にある状態で、前記棒が突出するようにする段階と、
前記第2対照部材が前記基準軸を中心に回転するように駆動し、前記第2対照部材によって、前記第1対照部材を越えて突出する前記棒の一部に係合し、前記第1対照部材の周りで前記棒を屈曲加工し、前記第2対照部材が回転している間、前記実質的に円錐台状の面によって、前記支持面に対して横方向の成分を有し且つこの面に向けられた推進作用を前記棒に及ぼす段階と
を備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属棒、具体的にはコンクリートを補強する棒を曲げるための装置に関し、本装置は、
基準軸上に中心がある第1対照部材と、
上記基準軸から一定の距離に配置され且つこの軸を中心に回転するように設置された第2対照部材と、
屈曲加工される少なくとも1つの棒を支持し、上記基準軸に直交する面と、
上記基準軸を中心に回転するように上記第2対照部材を駆動することにより、上記第2部材が、上記第1部材を超えて突出する屈曲加工される棒の一部に係合するようになり、上記棒が上記第1部材の周りで曲げられるようにするアクチュエータ機器と
を備えるタイプの装置である。
【発明の概要】
【0002】
言及されたタイプの屈曲加工装置は、鉄筋コンクリートの補強材を製造するために、成形加工した構造用鋼材の製造に用いられてよい。
【0003】
形状によっては、部材全体が一定の許容範囲内で平面構成を維持すると保証することが重要である。
【0004】
問題になっている技術領域では、上述した技術的問題を解決するために、これまで知られている屈曲加工装置のソリューションを改善する必要性が感じられる。
【0005】
本発明は、請求項1の主題を構成する特徴を有する屈曲加工装置によって、上記目的を実現する。本発明はさらに、請求項7による方法に関係する。
【0006】
添付した特許請求の範囲は、本明細書にもたらされる技術的教示の不可欠な部分を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明のさらなる特徴及び利点が、添付した図面を参照して、次の説明から明らかになるであろう。これらの図面は、単に限定しない例として提供されているにすぎず、また以下の通りである。
【0008】
【
図1】本明細書に説明される屈曲加工装置の実施形態を、平面図で概略程度に表している。
【0009】
【0010】
【
図3】
図1の屈曲加工装置の対照部材の正面図を示している。
【0011】
【0012】
【
図5】
図4に示す切断面V-Vによる、
図3の対照部材の断面図である。
【0013】
【
図6】別の動作状態における、
図1の屈曲加工装置を示している。
【0014】
【
図7】本明細書に説明される屈曲加工装置の代替実施形態を示している。
【0015】
【
図8】従来の屈曲加工装置を用いて曲げられた棒と、本明細書に説明される屈曲加工装置を用いて曲げられた棒との比較を示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次の説明には、実施形態を深く理解できることを目的に様々な具体的詳細が示されている。これらの実施形態は、具体的詳細のうちの1つ又は複数がなくても、あるいは他の方法、部材、又は材料などを用いても取得することができる。他の場合では、実施形態の様々な態様を不明瞭にしないように、既知の構造、材料、又は動作が詳細に示されても説明されてもいない。
【0017】
本明細書に提供される各基準は、便宜上用いられているだけであり、したがって、保護の範囲も実施形態の範囲も定めるものではない。
【0018】
図を参照すると、参照番号10で全体として示される本明細書に説明される屈曲加工装置は、屈曲加工される1つの棒(又は複数の棒)を配置する支持面2を備える。支持面2は、装置10のフレーム(不図示)で支えられ、後述される部材も支持面2に設置されている。
【0019】
装置10は第1対照部材4を備え、第1対照部材4は実質的に円筒形状であり且つ面2に配置され、それ自体の幾何学的中心軸Yが上記面に直交している。対照部材4は固定されており、その位置は面2において変わらない。装置10は第2対照部材6を備え、第2対照部材6も、軸Yから一定の距離Kで面2に配置され且つ軸Yを中心に回転できるように設置されている。
【0020】
2つの対照部材4、6は、支持面2の上方に突出し、両部材の間に通路Pが画定され、その通路に、屈曲加工される棒が挿入される(
図1を参照)。
【0021】
ちなみに、代替実施形態(
図7を参照)では、装置10は部材4の代わりに、固定した2つの対照部材4I、4IIを備え、これらの対照部材は互いに向かい合い、屈曲加工される棒の通路P′を画定し、この棒は、得られる屈曲方向に従って2つの部材4I、4IIのうち1つに対して選択的に曲げられることに留意されたい。
【0022】
図1の実施形態に戻ると、屈曲加工装置10はさらに、第2対照部材6が基準軸Yを中心に回転する運動を引き起こすアクチュエータ機器(不図示)を備える。
【0023】
好適な実施形態では、示されている実施形態に見られるように、屈曲加工装置10はディスク8を備える。ディスク8は、支持面2(面自体の領域を画定している)と実質的に同じ高さに配置され且つ基準軸Yを中心に回転できるように設置されている。アクチュエータ機器はディスク8に接続されており、対照部材6がディスク8によって支えられていることで、基準軸Yを中心とする対照部材6の回転運動が、同じ軸を中心にディスク8が回転する結果として生じることになる。代替実施形態では、ディスク8の代わりに空洞が存在し、その空洞が対照部材4を取り囲み、対照部材6をアクチュエータ機器に接続するアームが空洞内を移動する。
【0024】
図6を参照すると、軸Yを中心とした対照部材6の回転運動により、部材6によってカバーされる角度ストレッチに対応する角度振幅に対して、対照部材4の周りで棒Bの屈曲加工がもたらされる。
【0025】
先行技術を参照すると、棒を曲げる作用が屈曲加工装置の支持面に対して平行な平面で実質的に生じるとしても、移動する対照部材と接触する棒の外面の不規則性のためと、棒に存在する可能性のある残留内部応力のためとの両方によって、とりわけ回転を利用する棒の場合には、支持面に対して横方向の平面で屈曲を受けることになり得ることに一般には留意されたい。
【0026】
本明細書に説明されるソリューションの重要な特徴によれば、対照部材6は、基準軸Yに対して平行な軸Y′の周りに画定された実質的に円錐台状の外側面60を有し、これによって外側面60が屈曲加工される棒に作用する。円錐台状の面60は、対照部材6のベース面から直接に、且つこの部材自体の上面の少なくともできるだけ近くに延在している。
【0027】
面60の特定の形状により、その回転運動の結果として、対照部材6が屈曲作用だけでなく、支持面2に対して横方向の成分を有し且つ面自体に向けられる推進作用も棒に及ぼすことができるようになる。
【0028】
好適な実施形態では、示されている実施形態に見られるように、円錐台状の面60は、軸Y′と共に45°以下の角度、好ましくは30°未満の角度を画定する。
【0029】
初めに述べた技術的問題について、円錐台状の面60が及ぼす推進作用によって、支持面2に対して横方向の平面において棒のあらゆる可能な屈曲の制限が可能になることが理解されるであろう。
【0030】
対照部材6の作用に関する最も明らかな結果は、閉じた形状を得るために金属棒を曲げる動作で得られる。このことについては、
図8が正面図に基づいて、従来の屈曲加工装置で得られる閉じた形状(
図8のa)と、本明細書に説明されている屈曲加工装置で得られる閉じた形状(
図8のb)とを示している。屈曲面に直交な平面における、棒の2つの両端間の距離Hが、本明細書に説明されている屈曲加工装置で得られる閉じた形状でどれほどかなり小さくなるかに留意されてもよい。
【0031】
さらに、好適な実施形態では、示されている実施形態に見られるように、対照部材6は、面60の上にあり且つそこから径方向に突出する周辺上縁部62を有する。
【0032】
上記縁部は、外側面60が及ぼす作用にもかかわらず、棒が対照面2から上がる傾向があった場合に棒の動きを抑制するように構成されている。
【0033】
好適な実施形態では、示されている実施形態に見られるように、屈曲加工される棒と対照部材6との密着を向上させるために、円錐台状の面60に一連の表面構成物が形成されている。構成物63は、軸Y′の周りの面60全体にわたって分布している。好適な実施形態では、示されている実施形態に見られるように、構成物63は、面60に設けられる溝で構成されている。さらにいっそう好ましくは、溝63は軸Y′の周りにらせん状パターンを有し、したがって、屈曲加工される棒に存在するらせん状リブのパターンが再現される。溝63が棒のリブに係合するように構成されるため、対照部材6と棒との間に制約関係が設けられる。どのような場合でも、問題になっている溝は、前述のリブがない棒についても抑制作用を及ぼす。
【0034】
好ましくは、対照部材6は、それ自体の軸Y′を中心に回転できるように設置され、それ自体の面60と棒の外面との間の滑動を容易にする。このために、軸受部材を用いることが考えられてよい。
【0035】
対照部材6はクイック接続手段(例えば、ネジ部材、バヨネット型結合部材など)によって回転ディスク8に固定されてよい。
【0036】
一般に対照部材6は、すでに存在する屈曲加工装置にも、上述した観点での装置の改善のために取り付けるのに適した付属部材として予め配置されてよい。
【0037】
これに関連して、本発明はさらに、金属棒、具体的には、コンクリートを補強するための棒を曲げる屈曲加工装置(10)用の対照モジュールに関係する。
【0038】
対照モジュールは、対照部材(6)と対照部材を屈曲加工装置に設置する接続手段とを有する。
【0039】
屈曲加工装置は一般に、
基準軸(Y)に中心がある対照部材(4)と、
上記基準軸(Y)から一定の距離(K)に配置され且つこの軸を中心に回転するよう設置されるように構成されている、本モジュールの対照部材(6)と、
屈曲加工される少なくとも1つの棒を支持し、上記基準軸(Y)に直交する支持面(2)と、
上記基準軸(Y)を中心に回転するように上記モジュールの上記対照部材(6)を駆動することにより、上記対照部材(4)を超えて突出する上記モジュールの上記対照部材(6)が屈曲加工される棒の一部と係合するようになり、上記棒が上記対照部材(4)の周りで曲げられるようにするアクチュエータ機器と
を備える。
【0040】
本モジュールの接続手段は、対照部材(6)の幾何学的中心軸(Y′)が基準軸(Y)に対して平行になるような向きに基づいて、本モジュールの対照部材(6)が屈曲加工装置の支持面(2)に設置されるように、予め配置されている。
【0041】
対照モジュールは、本モジュールの対照部材(6)が幾何学的中心軸(Y′)の周りに画定された実質的に円錐台状の面(60)を有することを特徴とする。
【0042】
好ましくは、本モジュールの対照部材(6)は、円錐台状の面(60)の上にあり且つそこから径方向に突出する周辺上縁部を有する。
【0043】
好ましくは、円錐台状の面(60)は、基準軸(Y)と共に45°以下の角度(θ)を画定する。
【0044】
好ましくは、円錐台状の面(60)には、屈曲加工される棒と本モジュールの対照部材(6)との密着を向上させるように構成された一連の構成物(63)が設けられており、この構成物は、第2軸(Y′)の周りの円錐台状の面(60)全体にわたって分布している。
【0045】
好ましくは、これらの構成物(63)は溝で、さらにいっそう好ましくは幾何学的中心軸(Y′)の周りのらせん状パターンに従って延在する溝で構成されている。
【0046】
好ましくは、本モジュールの接続手段は、本モジュールの対照部材が幾何学的中心軸(Y′)を中心に回転できるような方法で予め配置されている。
【0047】
もちろん、本発明の原理をそこなわずに、構成及び実施形態の詳細が、本明細書に単に限定しない例として示されているものに対して、添付した特許請求の範囲によって定められる本発明の範囲から逸脱することなく大きく変わってもよい。
【外国語明細書】