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▶ 茨木 宏治の特許一覧

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  • 特開-停留所表示システム 図1
  • 特開-停留所表示システム 図2
  • 特開-停留所表示システム 図3
  • 特開-停留所表示システム 図4
  • 特開-停留所表示システム 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172028
(43)【公開日】2022-11-14
(54)【発明の名称】停留所表示システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/127 20060101AFI20221107BHJP
【FI】
G08G1/127 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021078204
(22)【出願日】2021-05-01
(71)【出願人】
【識別番号】715008403
【氏名又は名称】茨木 宏治
(72)【発明者】
【氏名】茨木 宏治
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA06
5H181BB04
5H181BB08
5H181BB09
5H181FF04
5H181FF13
5H181FF18
5H181FF27
5H181FF33
5H181MA32
5H181MA34
5H181MA35
5H181MA36
(57)【要約】      (修正有)
【課題】小規模な路線においても到着車両の表示を行うシステムを低コストで実現させる。
【解決手段】低消費電力の特徴をもつLoRa通信方式の端末でバス車両から停留所に直接データを配信することにより、無給電型のバス停でバスの位置表示と到着予想時刻を表示し、時刻表の更新は、範囲は狭いが転送が早いモードを使い停留所の近くで送信を行うことにより、端末の消費電力と運用コスト(通信料金)を低減する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池と概太陽電池が発生する電力を蓄電する蓄電池と概太陽電池及び蓄電池からの電力を適宜選択して受給する手段をもつ表示装置及び通信装置からなる停留所用情報端末において、概表示内容は、路線上の位置を把握する手段を有する路線車両より、前記停留所用情報端末に直接送信され、少なくとも系統番号と位置情報を有する情報により、以後到着予定の車両の予想時刻および現在車両の位置を表示することを特徴とする停留所用の表示システム
【請求項2】
前記停留所用情報端末において、時刻表の変更部分等の頻度は少ないが書き換えの必要がある情報は、路線上の位置を把握する手段を有する路線車両が、あらかじめ規定された前記停留所用情報端末の近傍の位置に到達した際に、前記車両の到着予想時刻及び車両の位置情報を送信する通信手段よりも通信が可能な距離は短いが通信速度が速い通信手段を利用し、前記停留所用情報端末に直接送信することにより書き換えを行う事を特徴とする停留所用の表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行する乗合車両の位置を含む情報を停留所の情報端末に送信し、車両の位置表示および到着予想時刻を表示するシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
路線バスにおける一般的な搭載機器は以下のものである。
1) 運行における停車予定の停留所を記憶し、次に止まる停留所名を乗客にアナウンスする放送装置。放送は運転手により起動される。
2) 車外/車内の映像を記録するドライブレコーダ。時刻、速度、走行距離を記録するタコグラフ。ドライブレコーダと一体型のものもある。ドライブレコーダには通常GPSアンテナが接続され位置情報が記録される。
3) 営業所において所管の車両の位置を把握するためのバスロケーションシステム用の機器。GPSアンテナ及び無線通信装置を有する。ドライブレコーダに無線通信装置を付けてこの機能を実現する場合もある。
上記1)2)は、現在ほぼすべての車両に搭載されるが3)は普及途中である。
【0003】
従来、停留所における車両情報を表示するシステムにおいては、前述のバスロケーションシステム機器が必要であり、営業所側から無線通信網(現在ではLTE通信網)を通じて停留所のLTE端末に乗合車両の位置情報を送信する。もしくは停留所のLTE端末が営業所のサーバー内の車両位置情報にアクセスする方法が一般的と考えられる。
実際、先行する特許文献はこの方法をとる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-10533号公報
【特許文献2】特開2019-121289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
乗合車両の停留所において、系統毎の到着予想時刻及び車両位置を表示するためには
車両側にはLTE端末、営業所側にバスロケーション用サーバー、停留所側にもLTE端末が必要であり、無線事業者へのLTE端末台数分の通信料による月額運用コストが発生する。営業所側も相当の設備が必要となる。
【0006】
一般的にLTE端末は受信時に概略1W(ワット)位の電力を必要とするので、停留所側が無給電型で太陽電池から受給するシステムの場合、表示する情報を頻繁に更新し、その為通信を常時行うとすると太陽電池及び蓄電池は大掛かりなものとなり設備コストが多大となる。
【0007】
ポールに乗り場表示と時刻表が貼ってあるのみのような簡易なバス停が大部分の小規模路線において、到着予想時刻を表示させるためにはコストがかかりすぎるという課題がある。本提案は小規模な路線においても到着車両の表示を行うシステムを低コストで実現させるものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記停留所の情報端末の消費電力を減らすという課題と通信料金を減らすという課題を解決するための手段を以下に示す。
【0009】
近年、「低消費電力で長距離通信」が可能なLPWA(Low Power Wide Area)通信方式が登場している。LPWAの種類を大きく分けるとライセンス不要のアンライセンスバンド(特定小電力無線)の方式と、ライセンスが必要な通信キャリアの無線方式(LTE catM1)になるが、本提案は通信料金が発生せず、より低消費電力なアンライセンスバンドの中でエッジデバイス同士の通信が可能なLoRa通信方式を例として記述する。
【0010】
LoRa方式の通信端末は非常に低消費電力で無線事業者への料金が発生しないため、無給電型の停留所の情報表示端末において低コストでの運用が可能となる。
しかし、営業所におくセンターサーバーがすべての停留所端末と通信するといった使い方は困難であるので、走行する乗合バスから直接バス停留所に位置情報を配信する方法をとる。しかし通信方式の制約上、一番広範囲に送れるモードにおいては一回のデータ量は59バイト、ビットレートは250bpsである。本提案はこの転送レート内での運用を可能とするものである。
【0011】
車両の位置情報を配信する場合と異なり、時刻表の更新はデータ量が多くなる。図4は時刻表のイメージ例であるが通信方式の制約により「絵」としての更新は困難であり、変更になった部分のみの時刻を変更する。例えば11時台が変更になった場合は図2のようなコマンド(例)を送付する。
【0012】
時刻表の更新は位置情報の配信と異なり停留所の目の前で行う。
LoRa方式のデータレートの定義を図5に示す。位置情報の配信は広範囲に行う為、図におけるDR0を使用するが、停留所の前であれば無線通信部が可能な最大レートを使用するのが望ましい。更新用の特別な車両を用意せずとも通常の運行車両で行える可能性がある。DR0~DR5はLoRa方式における一般的なモードということで例えばDR5であれば1秒以内で送信可能である。
【発明の効果】
【0013】
本提案によれば、系統数が少ない無給電型の停留所で次に到着するバスの位置と到着予想時刻の表示を低コストで実現/運用する事が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】乗合車両の位置情報の配信データの例
図2】停留所の時刻表の更新を行う場合の送信データ例
図3】全体システムズ図
図4】バス停留所表示端末の表示例
図5】LoRa方式の データレートの定義
【発明を実施するための形態】
【実施例0015】
図3に全体のシステム図を示す。
停留所が3か所描かれているが、これは停留所1の表示端末に、2つ手前の停留所3までの間に走行する乗合バス車両4の位置及び到着予定時刻を表示する事を想定している。
【0016】
乗合車両に搭載する機器は図3車載機側12に示す。前記車両側には標準的にGPSアンテナ15が接続されたドライブレコーダ14、及び停留所名と運行の行程を記憶する停留所名放送機13がある。本例では、LoRaアンテナ18とLoRa通信モジュール17は停留所名放送機13に接続され、停留所名放送機13は記憶する運行の行程とドライブレコーダ14から得られる緯度経度情報、もしくは車速パルス16から計算する前停留所からの距離により、LoRa通信モジュール17を制御して図1に示す位置情報を停留所に送信する。
【0017】
停留所名放送機13は運行の行程が記憶してあるので図1に示す位置情報の送付先は停留所1及び停留所2と限定して送付が可能である。送付先を限定しないブロードキャストで送信してもよい。その場合、停留所側で受信したデータは系統番号と停留所番号により判断して選択表示する。
【0018】
図1に位置情報の送信データ例を示す。電波遮蔽物の前を通過するような走行中の車両からの送信となると、送信側の端末としてはできるだけ少量のデータを頻繁に送ることが必要となる。必要最小限の情報は系統番号と車番と車両位置であり車番については必ずしも必須ではないが車両が重なって走行する場合を想定して車番をつける。
【0019】
図1「車両からの位置情報送信データ例1」の説明を下記に記す。
停留所において表示すべき内容は、車両が停留所と停留所の間のどれくらいの位置にいるかであり、また停留所間の距離はあらかじめ分かっている事から、系統における全ての停留所に番号を定義し、停留所間の距離を10分割し、例えば36番の停留所と37番の停留所の間の10分の3の位置にいる場合ならば036.3という5バイトを送付する。図3の停留所名放送機13であればこの方法は可能である。
【0020】
しかし、停留所名放送機13が他社製の場合においてはこの機能を付けることは出来ない為、図3LoRa通信モジュールはGPSアンテナ15より取得した位置情報を配信する。
このフォーマットを「車両からの位置情報送信データ例2」に示す。
系統番号、車両番号は停留所名放送機13より取得する。
停留所名放送機13が他社製の場合においても日本自動車車体工業会(車工会)の通信規格のインターフェースにより系統番号、車両番号は入手可能である。
このデータ例では系統番号と車両番号とGPSからの緯度経度情報である。
データ例1の16バイトからデータ例2では28バイトと増加する。
【0021】
停留所側の表示装置は受け取った情報の中から系統番号を判断し、対象の系統番号と表示すべき停留所番号である場合、位置の割合に従って車両のアイコンを表示する。
「車両からの位置情報送信データ例1」の場合、到着予想時間は停留所番号と位置の割合からあらかじめ規定しておく予想時間の対照表に従って表示する。表示すべき停留所より遠い場合は表示しない。
【0022】
「車両からの位置情報送信データ例2」の場合、対象の系統番号であった場合、停留所の緯度経度と受信した緯度経度情報を比較して、距離を計算し、近傍停留所のどこの位置に走行中であるかを計算して表示する。予想時間もあらかじめ規定しておく予想時間の対照表に従って表示する。表示すべき停留所より遠い場合は表示しない。
【0023】
停留所側の構成機器は図3バス停側5に示す。太陽電池6が発生する電力は蓄電池7に蓄えられる。制御マイコン8は太陽電池6からの電力と蓄電池7からの電力を適宜選択して電子ペーパー表示部11及びLoRaアンテナ10が接続されたLoRa通信モジュール9の電力とする。
【0024】
図3バス停の電子ペーパー表示部の表示例は図4に示す。系統別に次に来るバスのアイコンによる位置表示と到着予想時刻を表示する。系統別の時刻表が表示されている。バスが4つ手前のバス停までに存在しない場合アイコンは無く。到着予想時刻も表示されない。
【0025】
時刻表の更新は毎日行うものではないので下記の手順となる。
図5のDR5 5475bpsは通常運行の車両がバス停に停車すれば書き換えが完了するデータレートであるが、乗降がなく通過する場合があると転送を失敗する可能性がある。その場合、すべての停留所の時刻表の更新を1運行で行うのではなく、時刻表の変更日より数日前から更新用のデータ転送を開始し、停留所の表示端末がもつ時計により、変更日になると停留所の表示が一斉に変わるような仕組みを取る。
【産業上の利用可能性】
【0026】
無給電型のバス停で到着予想時刻と現在の走行位置を表示するシステムが低コストで実現できる。
【符号の説明】
【0027】
1 停留所1
2 停留所2
3 停留所3
4 乗合バス
5 バス停端末のブロック図
6 バス停端末の太陽電池
7 バス停端末の蓄電池
8 バス停端末の制御マイコン
9 バス停端末のLoRa方式通信モジュール
10 バス停端末のLoRaアンテナ
11 バス停端末の電子ペーパー表示部
12 バス内の車載機全体
13 バス内の停留所名放送機
14 バス内のドライブレコーダ
15 バス内のGPSアンテナ
16 バスにおける車速パルス
17 バス内のLoRa方式通信モジュール
18 バス内のLoRaアンテナ

図1
図2
図3
図4
図5