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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172032
(43)【公開日】2022-11-14
(54)【発明の名称】車椅子用X線撮影補助具
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/04 20060101AFI20221107BHJP
   A61G 5/10 20060101ALI20221107BHJP
   A61B 6/00 20060101ALI20221107BHJP
【FI】
A61B6/04 300
A61G5/10
A61B6/00 300W
A61B6/00 300X
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021078209
(22)【出願日】2021-05-01
(71)【出願人】
【識別番号】517282997
【氏名又は名称】テクノライフジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127166
【弁理士】
【氏名又は名称】本間 政憲
(74)【代理人】
【識別番号】100187399
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 敏文
(72)【発明者】
【氏名】本田 紀夫
(72)【発明者】
【氏名】元田 幸志
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093CA16
4C093ED10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】被検者と車椅子との間に確実に固定し落下を防止するとともに、カセッテの角度を変えてカセッテ撮影面を照射されたX線束に対して適正方向に設定することができる車椅子用X線撮影補助具を提供すること、同じ部位の複数回のX線撮影において、カセッテ、X線撮影部位及びX線管装置の位置再現性を高めて、比較し易いX線写真を得ることを目的とする。
【解決手段】車椅子用X線撮影補助具は、車椅子に着座姿勢のままX線撮影を行うことを可能にする補助具において、少なくとも、カセッテ部と、枠体部と、肘掛け係止部と、上部調整部とで構成され、上部調整部が、車椅子の背もたれ上部に当接してカセッテ撮影面の方向又は位置を調整可能な構造を備え、肘掛け係止部が、肘掛け載置部を備え、該肘掛け載置部を車椅子の肘掛け上面に載置すること、を特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車椅子に着座姿勢のままX線撮影を行うことを可能にする補助具において、
少なくとも、カセッテ部と、枠体部と、肘掛け係止部と、上部調整部とで構成され、
前記上部調整部が、
車椅子の背もたれ上部に当接してカセッテ撮影面の方向又は位置を調整可能な構造を備え、
前記肘掛け係止部が、
肘掛け載置部を備え、
該肘掛け載置部を車椅子の肘掛け上面に載置すること、
を特徴とする車椅子用X線撮影補助具。
【請求項2】
前記肘掛け係止部が、
前記上部調整部の下方でカセッテ撮影面の方向又は位置を調整可能な下部調整部を備え、
前記上部調整部及び該下部調整部を連動させて、照射されるX線束に対してカセッテ撮影面を適正方向に調整を行うことを特徴とする請求項1に記載する車椅子用X線撮影補助具。
【請求項3】
前記カセッテ部が、
カセッテ保持部と、
スライド部と、
を備え、
前記カセッテ保持部が、
カセッテ下側支持部と、
カセッテ上側支持部と、
を備え、
前記カセッテ上側支持部及び前記カセッテ下側支持部によってカセッテの上下方向を挟持して、水平方向にカセッテを摺動させて水平位置の調節が可能であること、
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載する車椅子用X線撮影補助具。
【請求項4】
鉛直方向の傾斜角度の検出器を備えること、
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載する車椅子用X線撮影補助具。
【請求項5】
可動部の固定部材の位置又は下部長穴部材若しくは上部長穴部材の角度の検出器を備えること、
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載する車椅子用X線撮影補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線撮影の際に使用されるカセッテやイメージングプレート(Imaging Plate、略してIPという。)、フラットパネルディテクタ(Flat Panel Detector、略してFPDという。)などの検出器(以下、「カセッテ」というときにはIP及びFPDと同様の検出器を含むものとする。)を被検者と車椅子との間に確実に固定し、かつ、X線管装置から照射されるX線束の方向に対して適正に配置することによって鮮明なX線写真を得ることができる車椅子用X線撮影補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、我が国では高齢化が進み、傷病者に限らず病院や検査機関では車椅子の利用者が増加している。車椅子の利用者のX線撮影は、立位で行うことが困難な場合が多く、着座姿勢や臥位で行うことが求められる。
【0003】
しかしながら、臥位でX線撮影を行うには、被検者を撮影台に移動させる必要があり、ときには複数人の介助が必要となるため、放射線技師又は撮影助手(以下、放射線技師等という。)の負担が大きい。また、被検者を移動させる際に、転倒や転落などの事故が発生することも懸念される。
【0004】
一方、車椅子に座ったままの着座姿勢でX線撮影を行うことができれば、被検者を撮影台に移動させることがないため、被検者及び放射線技師等の両方に負担が少なく、事故の可能性も減少する。
【0005】
ただし、車椅子に着座姿勢のままX線撮影を行うためには、被検者のX線撮影部位を挟んで、X線管装置と反対側にカセッテを固定する必要がある。カセッテを固定するための補助具がない場合には、例えば撮影助手がカセッテを保持してX線撮影の間固定させておかねばならず、撮影助手の被曝が問題となる。
【0006】
また、手術前、手術後の状態や対象部位の経過を比較する場合には、カセッテ、被検者のX線撮影部位、X線管装置を前回の撮影時と同じ位置関係にしてX線撮影を行わなければ、X線写真の画像の比率が変わったり、X線撮影部位の角度が変わったりするなどして容易に比較することができない。
【0007】
そこで、車椅子に着座姿勢のまま、X線撮影を行うことができるようにするための補助具が先行技術文献に開示されている。
【0008】
非特許文献1では、簡易にカセッテを固定するために、摩擦係数が高い素材を用いた補助板を車椅子の背もたれなどに置き、被検者の身体との間にカセッテを挟んで保持する先行技術が開示されている。
【0009】
また、特許文献1では、高さ調整が可能なカセッテを保持する部分を備えたカセッテホルダを車椅子の座面に置いて被検者の背中と車椅子の背もたれとで挟持して固定しX線撮影を行う車椅子用カセッテホルダが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】実用新案登録第3086691号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】中野 努、小川治久.「車椅子上で胸部撮影を行うための補助板の考案」日本放射線学会雑誌2011年度3月版(229頁~234頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、非特許文献1の補助板では、被検者が姿勢を変えるなど身体を動かしてしまった場合、背中や背もたれとの間に隙間ができ、カセッテが移動してしまうおそれがある。また、カセッテ撮影面の方向は車椅子の傾斜角度に依存しており自在に変更することができないために、X線撮影装置のX線管装置を把持するアームの構造によりX線管装置の鉛直面での回転角度が制限される場合があると、X線の照射方向も制限されるため、カセッテが傾斜した状態となり、X線撮影部位の上下方向においてX線管装置からの距離が異なりX線束が斜入するため、X線写真中に不鮮明な撮影箇所が生じる可能性がある。また、同じ撮影部位のX線写真を比較する場合に、カセッテ、被検者のX線撮影部位及びX線管装置を前回の撮影と同じ位置関係に再現することが困難であるなどの問題がある。
【0013】
特許文献1に開示された車椅子用カセッテホルダでは、車椅子の座面にカセッテホルダの台座を置くが、車椅子によっては、座面と背もたれとの間に隙間を有するものがあり、棒状の台座に角度が付けられてはいるもののカセッテホルダが落下する場合がある。また、折り畳み可能な車椅子は座面に柔軟な素材が使用されており、台座を置いた際の安定性に欠ける。安定性を向上させるために、座面のフレームに台座を支持させようとすると台座の長さを座面の背もたれ側の一辺より長くする必要があり、被検者が着座している状態では背中と背もたれの隙間が狭く挿入し難い。当該車椅子用カセッテホルダでは、非特許文献と同様に、撮影部位の高さ方向の調整を行うことができるが、カセッテ撮影面の鉛直方向に対する傾斜角度を調整することができず、X線撮影装置のX線管装置を把持するアームの構造によっては、照射されたX線束がカセッテ撮影面に対して斜入せざるを得ず不鮮明な箇所が発生するおそれがある。
【0014】
ところで、最近では、イメージセンサを採用したIPを用いてディスプレイ装置の画面に投影された画像で確認しつつ撮影を行うCR(Computed Radiography)システムや、FPDで身体を透過したX線を受け取り、デジタル信号に変換することによってX線写真を撮影する装置も開発され、フィルムをセットしてX線撮影を行うカセッテは、IPやFPDに置き変わりつつある。これらは、電子素子を集積した機器で、非常に高価であり、落下などにより衝撃を加えると破損しやすいため、非常に丁寧な取り扱いが求められる。したがって、上記の補助具や車椅子用カセッテホルダを使用して取り扱う場合には被検者とともにIPやFPDにも注意を払う必要があり放射線技師等には二重の負担となる。
【0015】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、被検者と車椅子との間に確実に固定し落下を防止するとともに、X線管装置の可動域が制限されている場合や被検者が自由に姿勢を変えられない場合にカセッテの角度を変えてカセッテ撮影面を適正方向に設定することができる車椅子用X線撮影補助具を提供することを目的とする。さらに、最初のX線撮影から時間間隔を開けた撮影において、カセッテ、被検者のX線撮影部位及びX線管装置を前回のX線撮影と同じ位置関係にして、対象部位の状態について前回との比較が容易にできるX線写真を得ることができる車椅子用X線撮影補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するため、本発明の車椅子用X線撮影補助具は、車椅子に着座姿勢のままX線撮影を行うことを可能にする補助具において、少なくとも、カセッテ部と、枠体部と、肘掛け係止部と、上部調整部とで構成され、前記上部調整部が、車椅子の背もたれ上部に当接してカセッテ撮影面の方向又は位置を調整可能な構造を備え、前記肘掛け係止部が、肘掛け載置部を備え、該肘掛け載置部を車椅子の肘掛け上面に載置すること、を特徴とする。
【0017】
また、本発明の車椅子用X線撮影補助具は、前記肘掛け係止部が、前記上部調整部の下方でカセッテ撮影面の方向又は位置を調整可能な下部調整部を備え、前記上部調整部及び該下部調整部を連動させて、照射されるX線束に対してカセッテ撮影面を適正方向に調整を行うことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の車椅子用X線撮影補助具は、前記カセッテ部が、カセッテ保持部と、スライド部と、を備え、前記カセッテ保持部が、カセッテ下側支持部と、カセッテ上側支持部と、を備え、前記カセッテ上側支持部及び前記カセッテ下側支持部によってカセッテの上下方向を挟持して、水平方向にカセッテを摺動させて水平位置の調節が可能であること、を特徴とする。
【0019】
また、本発明の車椅子用X線撮影補助具は、鉛直方向の傾斜角度の検出器を備えること、を特徴とする。
【0020】
また、本発明の車椅子用X線撮影補助具は、可動部の固定部材の位置又は下部長穴部材若しくは上部長穴部材の角度の検出器を備えること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の車椅子用X線撮影補助具によれば、比較的剛性が高い車椅子の肘掛けや肘掛けを取り付けるための車椅子フレームの上面に肘掛け係止部を載置して、被検者の背中や臀部と車椅子背もたれフレームとによって挟持することで固定するため、従来の座面に置いて固定するタイプの補助具と異なり、一旦位置が決まると多少被検者が動いた場合であっても、位置が変わることがない効果を奏する。
【0022】
また、肘掛けに載置する肘掛け載置部は、両側の肘掛けの間隔に対して十分な長さを有しているため、一旦車椅子用X線撮影補助具を車椅子に装着した後は落下のおそれもない。
【0023】
X線束の斜入によるX線の散乱を防止してX線写真濃度のバラツキを最小限にして画像を鮮明にするためには、カセッテ撮影面は、X線管装置から照射されるX線束の方向に対して垂直に配置する必要がある。本発明の車椅子用X線撮影補助具によれば、X線管装置の鉛直面での回転角度の可動域が制限される場合や車椅子によって背もたれの角度が異なっている場合においても、上部調整部及び下部調整部を連動させてカセッテ撮影面をX線束照射方向に対して垂直にすることができ、鮮明なX線写真を撮影することができる効果を奏する。
【0024】
また、本発明の車椅子用X線撮影補助具によれば、カセッテを摺動させて水平方向に移動できる構造を備えることによって、胸部以外に左右の肩部及び上腕のX線写真を撮影することができる効果を奏する。
【0025】
また、本発明の車椅子用X線撮影補助具によれば、支持棒、上部調整部の上部長穴部材及び下部調整部の下部長穴部材に位置又は角度の検出器を備えることにより、同じ身体部位について複数回のX線撮影を行う場合には前回のX線撮影における車椅子用X線撮影補助具の車椅子への装着の状態が再現でき、手術や治療前後の変化の状態を容易に比較することができる効果を奏する。
【0026】
また、本発明の車椅子用X線撮影補助具によれば、カセッテの高さ調整を行うことができる機構を備えて、X線撮影部位の高さに応じてカセッテを上下方向に移動させて固定することができるため、胸部以外に頭部、頸部、腹部又は腰部のX線写真を撮影することができる効果を奏する。
【0027】
着座姿勢で頭部、頸部、胸部、腹部又は腰部のX線撮影を行う場合には、カセッテ撮影面を鉛直方向に対し並行に固定してX線管装置から水平にX線を照射させることにより、簡単に鮮明なX線写真を得ることができる。本発明の車椅子用X線撮影補助具によれば、鉛直方向を検出する検出器である振り子を備え、上部調整部及び下部調整部を連動させてカセッテ撮影面を容易に鉛直方向に対し並行に固定することができるため、X線束の斜入によって画像が不鮮明になることを防止することができる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明に係る車椅子用X線撮影補助具10の斜視図である。
図2】本発明に係る車椅子用X線撮影補助具10を車椅子20に装着した状態を示した斜視図である。
図3】本発明に係る車椅子用X線撮影補助具10の使用状態を示した側面図である。
図4a】カセッテ30撮影面が鉛直方向と並行になるように本発明に係る車椅子用X線撮影補助具10を車椅子20に装着した状態を示した側面図である。
図4b】カセッテ30が背もたれ21と略並行になるように本発明に係る車椅子用X線撮影補助具10を車椅子20に装着した状態を示した側面図である。
図5a】本発明に係る車椅子用X線撮影補助具10を車椅子20に装着し、カセッテ30を車椅子背もたれ21の中央に配置した状態を示した正面図である。
図5b】本発明に係る車椅子用X線撮影補助具10を車椅子20に装着し、カセッテ30を車椅子背もたれ21の中央から右方向に移動させて配置した状態を示した正面図である。
図5c】本発明に係る車椅子用X線撮影補助具10を車椅子20に装着し、カセッテ30を車椅子背もたれ21の中央から左方向に移動させて配置した状態を示した正面図である。
図6a】カセッテ30を本発明に係る車椅子用X線撮影補助具10の下部に配置した状態を示した正面図である。
図6b】カセッテ30を本発明に係る車椅子用X線撮影補助具10の上部に配置した状態を示した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明に係る車椅子用X線撮影補助具10を実施するための形態について、図を参照しつつ説明する。
【0030】
図1は、本発明に係る車椅子用X線撮影補助具10の斜視図である。車椅子用X線撮影補助具10は、被検者Pが車椅子20に着座姿勢のままX線撮影を行うことを可能にするものである。車椅子用X線撮影補助具10は、カセッテ部12と、枠体部14と、肘掛け係止部16と、上部調整部18とで構成される。以下、可動部を固定するための固定部材については、ツマミ付きの雄ねじを例示する。
【0031】
枠体部14は、棒状の部材を四角枠形状に組み合わせて形成され、ガイドレール144と支持棒摺動部146とを備える。
【0032】
ガイドレール144は、向かい合う上下の短辺の両側端近傍を長辺に並行した方向に架設され、カセッテ部12を上下方向に摺動させる機能を備える。支持棒摺動部146は、枠体部14上側短辺の中央部に配設されて短辺の外側面から内側面に向けて貫通孔を備え、貫通孔には支持棒1244を挿通させる。また、中央背もたれ21側の側面から前記貫通孔まで到達するネジ穴を有しツマミ付きの固定ネジ148のネジ部分を螺着させ、支持棒1244上に固定ネジ148のネジ部の先端面を押圧することによって、カセッテ保持部122を枠体部14内の所定の位置に固定することが可能である。
【0033】
枠体部14の両側の長辺には、車椅子の肘掛け22及び背もたれフレーム212に当接して所定の角度で車椅子にカセッテ部12を固定するための肘掛け係止部16と上部調整部18とが、溶接又はネジ等によって取り付けられる。
【0034】
カセッテ部12は、カセッテ保持部122とスライド部124とを備える。カセッテ保持部122は、カセッテ下側支持部1224とカセッテ上側支持部1222とを備え、スライド部124は、支持棒1244とガイドレール摺動部1242を備える。
【0035】
スライド部124における支持棒1244は、支持棒摺動部146の貫通孔に挿通され枠体部14の長辺の延長線と並行に摺動することが可能である。また、ガイドレール摺動部1242は、中空の棒形状で支持棒1244を中心として両側に並行して配置され、下端をカセッテ下側支持部1224に固定されて、内部にガイドレール144が挿通される。これにより、カセッテ部12が支持棒1244を中心軸として回転することが抑止される。ガイドレール摺動部1242は、支持棒1244の両側に配置されることに限定されず、いずれか一方でもよい。
【0036】
カセッテ保持部122は、支持棒1244の下端にカセッテ下側支持部1224が固定される。また、カセッテ上側支持部1222は、中央において支持棒軸線方向に貫通孔を備え、支持棒1244を挿通させることができる。また、中央背もたれ21側の側面から前記貫通孔まで到達するネジ穴を有しツマミ付きの固定ネジ128のネジ部分を螺着させ、支持棒1244上に固定ネジ128のネジ部の先端面を押圧することによって、カセッテ上側支持部1222を支持棒1244の所定の位置に固定することが可能である。カセッテ上側支持部1222及びカセッテ下側支持部1224でカセッテ30の上下を挟持することによって、カセッテ30を保持する。また、カセッテ上側支持部1222をカセッテ下側支持部1224に対して上下に移動させて上下の間隔を変更して、上下方向の寸法が異なる形状のカセッテ30に対応することができる。カセッテ保持部122は、カセッテ30が車椅子の前後方向に移動することがないようにストッパが設けられるが、水平方向にはカセッテ30を摺動させて移動ができる溝状に形成される。これにより、カセッテ30の着脱が容易であることに加え、水平位置の調節が可能であるため、身体の中心部分のX線撮影だけではなく、両肩や上腕などのX線撮影も可能となる。
【0037】
肘掛け係止部16は、肘掛け載置部162と、下部調整部164とで構成される。肘掛け載置部162は、車椅子の肘掛け22に載置して車椅子用X線撮影補助具10の鉛直方向及び車椅子前後方向の位置決めを行う。従来の車椅子用カセッテホルダでは布地や皮素材の座面23に置かれるため、車椅子装着時の位置の安定性に欠ける。また、座面23と背もたれ21との間に隙間を有する車椅子では、当該隙間から落下する恐れがあるが、車椅子用X線撮影補助具10では、通常比較的剛性の高い素材で形成されている肘掛け22に載置して鉛直方向及び車椅子前後方向の位置決めを行うため、位置の安定性が向上する。また、肘掛け載置部162は、両側の肘掛け22の間隔に対して十分な長さを有するため、落下のおそれもない。
【0038】
下部調整部164は、貫通した長穴を有する下部長穴部材1644と、下部背もたれ当接部1642と、ツマミ付き固定ネジ1648とから構成される。肘掛け載置部162とは、固定ネジ1648によって結合される。
【0039】
肘掛け載置部162は棒形状で、枠体部14の両長辺外側において長辺垂直方向に棒方向の軸線が向くように溶接や締結部材などを用いて固定される。
【0040】
下部背もたれ当接部1642は、棒形状で枠体部14に固定された肘掛け載置部162の全長と同じ長さを有する。下部背もたれ当接部1642の両端面は、下部長穴部材1644に設けられた長穴の車椅子背もたれ21側の端部に固定される。その際、長穴方向が、棒形状である下部背もたれ当接部1642の軸線に垂直になるように固定される。肘掛け載置部162の両側端面には、ネジ穴が設けられ、下部長穴部材1644の長穴に雄ネジを備えた固定ネジ1648を挿通させて、前記ネジ穴に螺着させて下部調整部164を結合させる。その際、下部背もたれ当接部1642は、車椅子用X線撮影補助具10において、カセッテ保持部122とは反対側の面に取り付けられる。結合させた際、固定ネジ1648のネジを緩めると、下部背もたれ当接部1642は、肘掛け載置部162の棒方向の軸線を中心に回転して角度を変えることが可能となる。また、固定ネジ1648のネジを緩めた状態では、下部長穴部材1644の長穴において固定ネジ1648の位置を移動させて、下部背もたれ当接部1642を肘掛け載置部162に対して距離を近づけたり離したりすることも可能である。下部調整部164は、後述する上部調整部18と連動させて、枠体部14下側短辺を回転軸として、鉛直方向に回転させてカセッテ30の傾斜角度を調整することができる。また、肘掛け22上面に載置された肘掛け載置部162の棒方向の軸線を回転軸として、鉛直方向に回転させてカセッテ30の傾斜角度を調整することもできる。さらに、被検者Pの身体がねじれているような状態の場合には、水平方向に回転してカセッテ30の向きを変えることも可能である。角度調整については、後に詳述する。
【0041】
上部調整部18は、貫通した長穴を有する上部長穴部材184と、上部背もたれ当接部182と、枠体部14との結合部材186と、ツマミ付きの固定ネジ188とから構成される。
【0042】
枠体部14との結合部材186は棒形状で、枠体部14の両長辺外側において長辺垂直方向に棒方向の軸線を向けて溶接や締結部材等を用いて固定される。
【0043】
上部背もたれ当接部182は、棒形状で枠体部14に固定された結合部材186の全長と同じ長さを有する。上部背もたれ当接部182の両端面は、上部長穴部材184に設けられた長穴の車椅子背もたれ21側の端部に固定される。その際、長穴方向が、棒形状である上部背もたれ当接部182の軸線に対して垂直になるように固定される。結合部材186の両側端面には、ネジ穴が設けられ、上部長穴部材184の長穴に雄ネジを備えた固定ネジ188を挿通させて、前記ネジ穴に螺着させて上部長穴部材184が取り付けられた上部背もたれ当接部182を結合させる。その際、上部背もたれ当接部182は、車椅子用X線撮影補助具10において、カセッテ保持部122とは反対側の面に取り付けられる。結合させた際、固定ネジ188のネジを緩めると、上部背もたれ当接部182は、結合部材186の棒方向の軸線を中心に回転して角度を変えることが可能となる。また、固定ネジ188のネジを緩めた状態では、上部長穴部材184の長穴において固定ネジ188の位置を移動させて、上部背もたれ当接部182を結合部材186に対して距離を近づけたり離したりすることも可能である。上部調整部18は、下部調整部164と連動させて、枠体部14下側短辺を回転軸として、鉛直方向に回転させてカセッテ30の傾斜角度を調整することができる。また、肘掛け22上面に載置された肘掛け載置部162の棒方向の軸線を回転軸として、鉛直方向に回転させてカセッテ30の傾斜角度を調整することもできる。上部調整部18は、下部調整部164と比較して、回転角に対する移動量が多いため、上部調整部18における上部長穴部材184の長穴は、下部調整部164の下部長穴部材1644の長穴より長く設定される。さらに、身体のねじれの状態に応じて、水平方向に回転してカセッテ30の向きを変えることも可能である。角度調整については、後に詳述する。
【0044】
図2は、本発明に係る車椅子用X線撮影補助具10を車椅子20に装着した状態を示した斜視図である。図3は、本発明に係る車椅子用X線撮影補助具10を装着した車椅子20に被検者Pが着座した使用状態を示した側面図である。肘掛け係止部16における肘掛け載置部162を車椅子20のフレーム上に設けられた皮や布などの外皮の中に比較的剛性が高いクッション材を内装した肘掛け22の上面に載置し、下部背もたれ当接部1642を車椅子20の背もたれフレーム212に当接させて肘掛け係止部16の位置決めを行う。下部背もたれ当接部1642は、肘掛けフレームと背もたれフレーム212との結合部に当接させると、下部背もたれ当接部1642の位置を安定して固定することができるので、より好ましい。
【0045】
上部調整部18は、上部背もたれ当接部182に結合された上部長穴部材184が、可能な限り車椅子背もたれ21の両側の背もたれフレーム212の傾きに対して垂直になるように固定ネジ188の長穴における位置を調整し、上部背もたれ当接部182を車椅子背もたれ21の両側背もたれフレーム212上部に当接させて固定する。下部背もたれ当接部1642及び上部背もたれ当接部182が、左右の背もたれフレーム212に確実に当接されている状態で車椅子20に被検者Pが着座した場合には、車椅子用X線撮影補助具10の最下部は、被検者Pの臀部と車椅子20の背もたれ21とに挟持されて、より安定して固定される。また、カセッテ部12近傍の高さでは、車椅子用X線撮影補助具10は、下部調整部164及び上部調整部18によって決定された角度に、後方から車椅子20に支持されて固定される状態となるが、前方に被検者Pが着座することにより、車椅子用X線撮影補助具10が前後方向により安定して固定されることになる。
【0046】
図4aは、カセッテ30撮影面が鉛直方向と並行になるように本発明に係る車椅子用X線撮影補助具10を車椅子20に装着した状態を示した側面図である。図4bは、カセッテ30が車椅子20の背もたれフレーム212と略並行になるように本発明に係る車椅子用X線撮影補助具10を車椅子20に装着した状態を示した側面図である。下部調整部164及び上部調整部18を連動させて、下部長穴部材1644及び上部長穴部材184に設けられた長穴において固定ネジ188の位置を移動させることにより、車椅子用X線撮影補助具10を鉛直方向に対して所望の角度に設定することが可能となり、被検者Pが上半身を直立させた着座姿勢を保持することができない場合に効果を奏する。
【0047】
車椅子用X線撮影補助具10を鉛直方向に対して並行に装着する場合には、下部調整部164の下部長穴部材1644に設けた長穴における固定ネジ1648及び上部調整部18の上部長穴部材184に設けた長穴における固定ネジ188の位置を背もたれ21側から車椅子20前方側に移動させ、車椅子用X線撮影補助具10の枠体部14上端に設けられた垂直方向を検出する振り子142が鉛直になるように調整を行う。なお、下部背もたれ当接部1642は、可能な限り肘掛け載置部162に近接させると、車椅子用X線撮影補助具10が背もたれ21に近づくことになり、安定して固定しやすい。なお、被検者Pの体形が小柄な場合には、車椅子用X線撮影補助具10を背もたれ21から離れるように装着すると被検者Pが直立した姿勢を取りやすい。X線管装置から照射されるX線束に対してカセッテ30を適正な角度に配置することによって、X線束が均等に照射され鮮明なX線画像を得ることができる。
【0048】
また、被検者Pが上半身を直立させて着座姿勢を取ることが難しい場合には、車椅子用X線撮影補助具10を鉛直方向から傾斜させた状態で車椅子20に装着することができる。図4bでは、車椅子20の背もたれフレーム212に沿う方向に傾斜させて車椅子用X線撮影補助具10を装着している。下部調整部164の下部長穴部材1644に設けた長穴における固定ネジ1648及び上部調整部18の上部長穴部材184に設けた長穴における固定ネジ188の位置を背もたれ21側に移動させて車椅子用X線撮影補助具10を傾斜させる。車椅子用X線撮影補助具10の下側短辺を可能な限り背もたれ21側に配置する場合には、下部調整部164における下部長穴部材1644の長穴の下部背もたれ当接部1642方向に固定ネジ1648を移動させて、下部背もたれ当接部1642を座面23と背もたれ21とのフレームの交点に当接させる。また、上部調整部18は、上部長穴部材184の長穴と背もたれフレーム212の角度を可能な限り垂直に保持しつつ、固定ネジ188を上部背もたれ当接部182側に移動させ、所望の角度に傾斜させる。
【0049】
なお、車椅子用X線撮影補助具10の傾斜の角度を車椅子20の背もたれフレーム212の角度よりさらに水平に近い角度に設定し仰臥位に近い状態でX線撮影を行う場合には、車椅子用X線撮影補助具10の下側短辺が座面23前方に移動するように、下部調整部164の下部長穴部材1644の長穴において、固定ネジ1648を下部背もたれ当接部1642から離れる方向に移動させて、下部背もたれ当接部1642を座面23と背もたれ21とのフレームの交点に当接させ、上部調整部18の上部長穴部材184の長穴において、固定ネジ188を上部背もたれ当接部182に近づく方向に移動させて、上部背もたれ当接部182を背もたれフレーム212に当接させることによって実現できる。
【0050】
また、車椅子用X線撮影補助具10の傾斜の角度を車椅子用X線撮影補助具10の上部が下部より車椅子20の前方に出る角度に設定し、被検者Pが前かがみの状態でX線撮影を行う場合には、車椅子用X線撮影補助具10の下側短辺が座面後方背もたれ21近傍に移動するように、下部調整部164の下部長穴部材1644の長穴において、固定ネジ1648を下部背もたれ当接部1642に近づく方向に移動させて、下部背もたれ当接部1642を座面23と背もたれ21とのフレームの交点に当接させ、上部調整部18の上部長穴部材184の長穴において、固定ネジ188を上部背もたれ当接部182から離れる方向に移動させて、上部背もたれ当接部182を背もたれフレーム212に当接させて、被検者Pの背中と背もたれフレーム212とによって車椅子用X線撮影補助具10を挟持することによって実現できる。
【0051】
車椅子用X線撮影補助具10を鉛直方向から傾斜させた場合には、振り子142と枠体部14との角度を計測する、又は、目盛などの角度検出器を設けた場合には鉛直方向からの角度を検出することによって、照射されるX線束の方向に対してカセッテ30が垂直になるようX線管装置の方向を設定することが可能となる。又は、振り子142近傍の枠体部14に角度を示す目盛を備えてもよい。また、垂直方向の角度を検出する検出器として、加速度センサなどの周知の角度検出器を用いてもよい。
【0052】
図5aは、本発明に係る車椅子用X線撮影補助具10を車椅子20に装着し、カセッテ30を車椅子背もたれ21の中央に配置した状態を示した正面図である。カセッテ30を中央に配置することによって、身体の背骨を中心とした部位のX線撮影を行うことができる。図5bは、本発明に係る車椅子用X線撮影補助具10を車椅子20に装着し、カセッテ30を車椅子背もたれ21中央から右方向に移動させて配置した状態を示した正面図である。カセッテ30は、カセッテ保持部122のカセッテ上側支持部1222及びカセッテ下側支持部1224でカセッテ30の上下を挟持して、カセッテ30撮影面を水平方向に移動させることができるよう、カセッテ上側支持部1222及びカセッテ下側支持部1224の前後方向にはストッパを備えるが、水平方向にはカセッテ30撮影面を摺動させるための溝状に形成される。図5bに示すように、カセッテ30を車椅子20正面に向かって右方向に移動させた場合には、胸部以外に右の肩部及び上腕のX線写真を撮影することができる。また、図5cでは、本発明に係る車椅子用X線撮影補助具10を車椅子20に装着し、カセッテ30を車椅子背もたれ21中央から左方向に移動させて配置した状態を示した正面図である。この場合、図5bとは反対の左の肩部及び上腕のX線写真を撮影することができる。
【0053】
図6aは、カセッテ30を本発明に係る車椅子用X線撮影補助具10の下部に配置した状態を示した正面図である。図6bは、カセッテ30を本発明に係る車椅子用X線撮影補助具10の上部に配置した状態を示した正面図である。カセッテ30を保持させたカセッテ保持部122は、ノブ1246を把持し枠体部14の支持棒摺動部146及びガイドレール144に、支持棒1244及びガイドレール摺動部1242を摺動させて、上下の長辺方向に移動させることができる。所定の位置にカセッテ保持部122を移動させて、支持棒摺動部146に設けられた固定ネジ148を螺着させて支持棒1244を押圧して固定する。図6aでは車椅子を表示していないが、カセッテ30を下部に移動させた場合には、腹部や腰部などのX線撮影が可能となる。一方、図6bはカセッテ30を上部に移動させた場合であり、胸部や頸部、頭部のX線撮影が可能である。
【0054】
また、図示はしていないが、上部調整部18の左右の上部長穴部材184の長穴における固定ネジ188の位置及び下部調整部164の左右の下部長穴部材1644の長穴における固定ネジ1648の位置について、背もたれ21からの距離を相違させることにより、カセッテ30撮影面を水平方向に回転させることができる。被検者Pが自由に姿勢を変えられず、車椅子に着座して正面を向くことができないときに有効に活用することができる。
【0055】
支持棒1244、上部調整部18の上部長穴部材184及び下部調整部164の下部長穴部材1644に位置又は角度の目盛を施すことにより、複数回のX線撮影を行う場合には前回のX線撮影の車椅子用X線撮影補助具10の車椅子20への装着の状態が再現できる。例えば、手術前及び手術後の状態を比較する場合には、最初のX線撮影において、車椅子用X線撮影装置における支持棒1244の固定位置、振り子142の鉛直方向からの角度、下部調整部164の固定角度及び位置、並びに、上部調整部18の固定角度及び位置を記録又は保存しておくことにより、後のX線撮影時に同じ装着条件で撮影を行い、手術や治療前後の変化の状態を容易に比較することができる。本明細書における支持棒の位置、各々の固定ネジの位置又は下部長穴部材若しくは上部長穴部材の角度検出には、光、電気又は機械的な位置又は角度の検出素子やエンコーダなど周知の位置又は角度の検出器を用いてもよい。
【0056】
本明細書においては、カセッテについて説明してきたが、IP又はFPDなどの同様のX線検出器についても、本発明に係る車椅子用X線撮影補助具を使用することが可能であることは当業者であれば容易に想到することができる。
【0057】
固定部材は、ツマミ付きのネジを例示して説明したが、ツマミ付きに限定されるものではない。また、支持棒、下部長穴部材、上部長穴部材又はカセッテ上側支持部の固定部材による固定は、締結部材を用いた押圧によるものを例示して説明したが、位置決め穴にピンを挿通させる方法であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明に係る車椅子用X線撮影補助具は、病院や検査機関におけるX線撮影において車椅子の利用者や高齢者などの負担を軽減できるとともに、放射線技術者等の負担の軽減、撮影助手のX線被爆の懸念を払しょくすることができる。
【符号の説明】
【0059】
10 車椅子用X線撮影補助具
12 カセッテ部
122 カセッテ保持部
1222 カセッテ上側支持部
1224 カセッテ下側支持部
124 スライド部
1242 ガイドレール摺動部
1244 支持棒
1246 ノブ
128 固定ネジ
14 枠体部
142 振り子
144 ガイドレール
146 支持棒摺動部
148 固定ネジ
16 肘掛け係止部
162 肘掛け載置部
164 下部調整部
1642 下部背もたれ当接部
1644 下部長穴部材
1648 固定ネジ
18 上部調整部
182 上部背もたれ当接部
184 上部長穴部材
186 結合部材
188 固定ネジ
20 車椅子
21 背もたれ
212 背もたれフレーム
22 肘掛け
23 座面
24 主輪
25 前輪
30 カセッテ

P 被検者
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5a
図5b
図5c
図6a
図6b