(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172051
(43)【公開日】2022-11-15
(54)【発明の名称】街路スピーカ
(51)【国際特許分類】
H04R 1/00 20060101AFI20221108BHJP
H04R 27/00 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
H04R1/00 318A
H04R27/00 A
H04R27/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021099762
(22)【出願日】2021-05-02
(71)【出願人】
【識別番号】517119534
【氏名又は名称】合同会社環境技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】506302077
【氏名又は名称】小林 彌
(72)【発明者】
【氏名】小林 彌
(72)【発明者】
【氏名】山口 弘志
【テーマコード(参考)】
5D017
【Fターム(参考)】
5D017AC01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】スピーカ装置が邪魔にならず、防水性、耐候性及び耐久性に優れ、小音量でも聞き取り易い高音質な音声を発生させることができると共に、安心・安全性を担保した街頭スピーカを提供する。
【解決手段】街頭スピーカ1は、上端を自由端とする状態で地面Gに立設され、所定の肉厚を有する中空のポール状に形成された響体11と、この響体11の内面に直接または間接に接続され、音波信号に係る振動を発生するアクチュエータ15と、を備える。響体11の肉厚が、2mm乃至15mmの範囲内に設定され、アクチュエータ15の振動が響体11に骨伝導として伝達され、響体11自体が振動することにより無指向の状態で周囲に音波が伝達される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端を自由端とする状態で地面に立設され、、所定の肉厚を有する中空のポール状に形成された響体と、
この響体の内面に直接または間接に接続され、音波信号に係る振動を発生するアクチュエータとを具備し、
前記肉厚が、2mm乃至15mmの範囲内に設定され、
前記アクチュエータの振動が前記響体に骨伝導として伝達され、該響体自体が振動することにより無指向の状態で周囲に音波が伝達されることを特徴とする街頭スピーカ。
【請求項2】
前記アクチュエータは、振動板とこの振動板を加振する振動発生部とを有し、
前記振動板が前記内面に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の街頭スピーカ。
【請求項3】
前記振動発生部は、前記振動板の一方の主面側に固定されて前記振動板の板厚方向に振動し、
前記振動板は、前記一方の主面の反対側となる他方の主面が前記内面または前記内面に設けられた取付部に直接またはクッション材を介して当接するよう固定されていることを特徴とする請求項2に記載の街頭スピーカ。
【請求項4】
前記アクチュエータは、複数設けられ、それぞれの前記アクチュエータから異なる振動が発せられることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の街頭スピーカ。
【請求項5】
前記響体は、少なくとも地上5mの高さに設定されていることを特徴とする請求項1に記載の街頭スピーカ。
【請求項6】
前記アクチュエータ駆動用の電源が、前記響体に配設され、
この電源は、前記響体の上端に設置されたバーチカルタイプの小型風力発電用の羽根と、前記響体内に設置され、前記羽根の回転により発電する小型発電機とを備えることを特徴とする請求項1に記載の街頭スピーカ。
【請求項7】
前記電源は、更に、前記響体の外周面に取り付けられた太陽電池を備えていることを特徴とする請求項6に記載の街頭スピーカ。
【請求項8】
前記響体は、断面正方形状の中空体から形成されていることを特徴とする請求項8に記載の街頭スピーカ。
【請求項9】
前記響体は、断面円形状の中空体から形成され、
前記肉厚が、3mm以上であることを特徴とする請求項1に記載の街頭スピーカ。
【請求項10】
前記響体は、地上にスタンドを介して起立した状態で設置されていることを特徴とする請求項1に記載の街頭スピーカ。
【請求項11】
前記スタンドは、地面に固定手段を介して固定されていることを特徴とする請求項1に記載の街頭スピーカ。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、街路灯のように、街路に立設され、街路を行きかう人たちに、天気情報や周囲の店舗情報等の音声情報を提供したり、緊急時の防災情報を提供するための街路スピーカに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、地面等に立設されたポールの上に、音声を発する街路スピーカが設置されることがある。例えば、特許文献1には、防災行政無線を受信して拡声放送する屋外自立型放送拡声装置において、地上に立てられたポールに音声信号を拡声放送する街路スピーカが取り付けられることが示されている。スピーカの形式としては、コーン状振動板が直接空気に接しているコーン形や、振動板がホーンを通じて空気に接するホーン形等が知られている。このようにポールに設置されるスピーカは、商店街やレジャー施設、学校、駅等におけるアナウンスや音楽放送等に広く利用されている。
【0003】
しかしながら、上記のようにポール等に取り付けられる従来技術の街路スピーカは、音質が悪く、ノイズが多くて、聞き取り難いという問題点があった。特に、屋外に設置される街路スピーカでは、水に弱いコーン等の振動体が防止ケース等によって覆われていることも多く、その場合、音質は更に低下し、音声が聞き取り難くなる問題点が指摘されている。
【0004】
そして、従来、聞き取り難さを補うためにスピーカの音量が高められる例が見受けられた。その場合、例えば、近隣の店舗や住宅等の内部にまで不快な騒音が伝播するという問題も起こり得る。特に、ポールの上にスピーカが設置される場合、地上付近では音声を聞き取り難く、スピーカと略同じ高さにある近隣の住宅等の2階部分において大きな騒音を感じる場合もある。
【0005】
また、従来技術の街頭スピーカでは、地上付近における音質を向上させるためにスピーカの設置高さを下げることも考えられるが、その場合、スピーカが邪魔になり、通行人等がスピーカに接触する恐れもある。また、屋外に設置される街路スピーカでは、スピーカやそれに付属する電子部品等について、風雨や日射に耐え得る十分な防水性、耐候性、耐久性が確保された設置が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した上記特許文献1における問題点を解決すべく、特許文献2に示すように、本願発明者及び特許出願人と同一の発明者及び特許出願人により、スピーカ装置が邪魔にならず、防水性、耐候性及び耐久性に優れ、小音量でも聞き取り易い高音質な音声を発生させることができる街頭スピーカに関する技術が提案されていた。
【0007】
このように、特許文献2の街頭スピーカによれば、特許文献1で指摘されていた問題を解決することが出来たものであるが、近年の製品に対する安心・安全の一般的な要請に答える必要が生じ、この観点での改善・改良が要望されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2016-46612号公報(第4頁、第1図)
【0009】
【0010】
この発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、スピーカ装置が邪魔にならず、防水性、耐候性及び耐久性に優れ、小音量でも聞き取り易い高音質な音声を発生させることができると共に、安心・安全性を担保した街頭スピーカを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係る街頭スピーカは、上述した目的を達成するため、請求項1の記載によれば、上端を自由端とする状態で地面に立設され、、所定の肉厚を有する中空のポール状に形成された響体と、この響体の内面に直接または間接に接続され、音波信号に係る振動を発生するアクチュエータとを具備し、前記肉厚が、2mm乃至15mmの範囲内に設定され、前記アクチュエータの振動が前記響体に骨伝導として伝達され、該響体自体が振動することにより無指向の状態で周囲に音波が伝達されることを特徴としている。
【0012】
また、この発明に係る街頭スピーカは、請求項2の記載によれば、前記アクチュエータは、振動板とこの振動板を加振する振動発生部とを有し、前記振動板が前記内面に固定されていることを特徴としている。
【0013】
また、この発明に係る街頭スピーカは、請求項3の記載によれば、前記振動発生部は、前記振動板の一方の主面側に固定されて前記振動板の板厚方向に振動し、前記振動板は、前記一方の主面の反対側となる他方の主面が前記内面または前記内面に設けられた取付部に直接またはクッション材を介して当接するよう固定されていることを特徴としている。
【0014】
また、この発明に係る街頭スピーカは、請求項4の記載によれば、前記アクチュエータは、複数設けられ、それぞれの前記アクチュエータから異なる振動が発せられることを特徴としている。
【0015】
また、この発明に係る街頭スピーカは、請求項5の記載によれば、前記響体は、少なくとも地上5mの高さに設定されていることを特徴としている。
【0016】
また、この発明に係る街頭スピーカは、請求項6の記載によれば、前記アクチュエータ駆動用の電源が、前記響体に配設され、この電源は、前記響体の上端に設置されたバーチカルタイプの小型風力発電用の羽根と、前記響体内に設置され、前記羽根の回転により発電する小型発電機とを備えることを特徴としている。
【0017】
また、この発明に係る街頭スピーカは、請求項7の記載によれば、前記電源は、更に、前記響体の外周面に取り付けられた太陽電池を備えていることを特徴としている。
【0018】
また、この発明に係る街頭スピーカは、請求項8の記載によれば、前記響体は、断面正方形状の中空体から形成されていることを特徴としている。
【0019】
また、この発明に係る街頭スピーカは、請求項9の記載によれば、前記響体は、断面長方形状の中空体から形成され、前記肉厚が、10mm以上であることを特徴としている。
【0020】
また、この発明に係る街頭スピーカは、請求項10の記載によれば、前記響体は、地上にスタンドを介して起立した状態で設置されていることを特徴としている。
【0021】
また、この発明に係る街頭スピーカは、請求項11の記載によれば、前記スタンドは、地面に固定手段を介して固定されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0022】
この発明の請求項1に係る街頭スピーカによれば、地面に立設される響体は、その肉厚を2mm乃至15mmの範囲内に設定されているので、十分な座屈強度を有して強固に形成され、自立して安定的に地面に立設される状態で街頭に設置され、安心・安全を担保することができる効果が達成される。
【0023】
また、この発明の請求項2に係る街頭スピーカによれば、中空の響体の内面に振動を発生するアクチュエータが固定されているので、アクチュエータの振動が響体に骨伝導により伝播し、響体自身を介して周囲の空気を振動させて、聞き取り易い高音質な音声を発生させることができることになる効果が達成される。特に、響体の外面近傍から自然波に近い平面波状の空気振動が発生するので、干渉によるノイズが少なく小音量でも遠くまで到達する明瞭な音波が得られる効果が達成される。また、振動を発生するアクチュエータは、中空状の響体の内部に設けられているので、聴者に近い位置に設置されても邪魔にならない効果が達成され、これにより、音量を下げて騒音等の問題を回避することができる効果が達成される。また、アクチュエータが響体の内部に設けられていることにより、アクチュエータやそれに付属する電子部品等について防水性が確保され、優れた耐候性及び耐久性が得られる効果が達成される。
【0024】
また、この発明の請求項3に係る街頭スピーカによれば、振動発生部は、前記振動板の一方の主面側に固定されて前記振動板の板厚方向に振動し、前記振動板は、前記一方の主面の反対側となる他方の主面が前記内面または前記内面に設けられた取付部に直接またはクッション材を介して当接するよう固定されているので、振動発生部の振動が振動板を介して響体の内面に効率良く伝播され、響体からの高音質な音声が得られる効果が達成される。また、振動発生部は、振動板の一方の主面側に固定されて振動板の板厚方向に振動し、振動板は、一方の主面の反対側となる他方の主面が内周面または内周面に設けられた取付部に直接またはクッション材を介して当接するよう固定されているので、アクチュエータによる振動が効率良くポールに伝播される効果が達成される。
【0025】
また、この発明の請求項4に係る街頭スピーカによれば、アクチュエータは、複数設けられ、それぞれのアクチュエータから異なる振動が発せられても良い。これにより、立体的で臨場感のある音響効果が得られる。
【0026】
また、この発明の請求項5に係る街頭スピーカによれば、前記響体は、少なくとも地上5mの高さに設定されているので、各自治体において規定されている街路灯の設置基準をクリアして、安全な設置状態を達成している。
【0027】
また、この発明の請求項6に係る街頭スピーカによれば、前記アクチュエータ駆動用の電源が、前記響体に配設され、この電源は、前記響体の上端に設置されたバーチカルタイプの小型風力発電用の羽根と、前記響体内に設置され、前記羽根の回転により発電する小型発電機とを備えているので、アクチュエータの電源を風力発電を用いた自家発電により賄うことができることとなり、緊急時に家庭用又は産業用の電源供給が不可能な状況においても、役所等からの緊急情報を確実に周囲に放送することができる効果が得られる。
【0028】
また、この発明の請求項7に係る街頭スピーカによれば、前記電源は、更に、前記響体の外周面に取り付けられた太陽電池を備えているので、昼間の太陽光からの充電で、十分な電力を賄うことができる効果が得られる。
【0029】
また、この発明の請求項8に係る街頭スピーカによれば、前記響体は、断面正方形状の中空体から形成されているので、肉厚を極小に薄くすることができる効果が得れる。
【0030】
また、この発明の請求項9に係る街頭スピーカによれば、前記響体は、その肉厚を3mm以上に設定した断面円形状の中空体から形成されているので、響体の形状にバリエーションを持たせた状態で、安心・安全に地面に設置することができる効果が得られる。
【0031】
また、この発明の請求項10に係る街頭スピーカによれば、前記響体は、地上にスタンドを介して起立した状態で設置されるので、地面上の何処にでも設置することができる効果が得られる。
【0032】
また、この発明の請求項11に係る街頭スピーカによれば、前記スタンドは、地面に固定手段を介して固定されているので、確実の地上に立設することが出来、より安心・安全な状況を達成する効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】この発明の実施形態に係る街頭スピーカを用いた構成を示す正面図である。
【
図2】この発明の実施形態に係る街頭スピーカのアクチュエータ付近を示す部分断面斜視図である。
【
図3】この発明の実施形態に係る街頭スピーカに用いられるアクチュエータの構成を示す図であり、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【
図4】この発明の実施形態に係る街頭スピーカのアクチュエータ付近を示す横断面図である。
【
図5】この発明の他の実施形態に係る街頭スピーカのアクチュエータ付近を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、この発明の実施形態に係る街頭スピーカを図面に基づき詳細に説明する。
【0035】
図1は、この発明の実施形態に係る街頭スピーカ1の構成を示正面図であり、上端を自由端とする状態で地面Gに立設され、、所定の肉厚を有する中空のポール状に形成された響体10と、この響体10の内面に直接または間接に接続され、音波信号に係る振動を発生するアクチュエータ15とを備えている。
【0036】
詳細には、
図1に示すように、街路スピーカ1は、地面Gに立設された響体11と、この響体11の、これの内面に固定的に取り付けられたアクチュエータ15と、この響体11の上部に同軸に固定的に連接され、種々の機器が取り付けられるポール10と、このポール10の下部に取り付けられた照明装置21と、このポール10の中間部に取り付けられた撮像装置22と、このポール10の上端に同軸に、且つ、風により軸線周りに回転自在に取り付けられたバーチカルタイプの小型風力発電装置14の羽根とを備えている。
【0037】
この街路スピーカ1は、例えば、商店街やレジャー施設、公園、歩道、学校、駅、駐車場等の地面に設置されるものであり、各種アナウンスや音楽放送等に利用される他、防犯その他の目的で周囲の状況を撮影するために利用される。
【0038】
ここで、響体11は、例えば、鋼管等の金属管から構成される断面正方形状の中空の柱から構成されている。響体11の内部には、これに骨伝導により伝達させた振動でスピーカ機能を発揮させるためのアクチュエータ15が設けられている。アクチュエータ15は、例えば、聴者である歩行者Pの頭部付近の高さに配設されている。これにより、歩行者Pに対して聞き取り易く音声を発することができ、従来技術のスピーカよりも音量を下げて近隣への不快な騒音を抑制することができる。
【0039】
また、照明装置21は、例えば、LED照明装置等である。撮像装置22は、街路スピーカ1の周囲を防犯のために撮影するものであり、例えば、撮影した画像を送信可能な通信機能を備え、且つ、通信機能によって遠隔操作が可能であっても良い。
【0040】
一方、街路スピーカ1は、響体11内に、音声信号を発生させるための図示しない制御装置、照明装置21や撮像装置22を制御するための図示しない制御装置やセンサ類、電源装置等を備えている。それらの装置は、響体11の外部に防水された状態で収納されていても良い。また、この街路スピーカ1には、風力発電装置14の他に、図示していないが、太陽光発電装置が風力発電装置において無風状態で発電がされない事態に備えての付加的な電源として備えられている。
【0041】
なお、街路スピーカ1は、この発明の実施形態に係る響体11を利用する装置の一例を示すものであり、響体11の用途は街路スピーカ1に限定されるものではなく、街路灯等の他に、例えば、標識用のポール、各種看板用のポール、信号機用の支柱、電力線や電気通信線用の支柱、各種構造体の支柱、その他の用途に利用されても良い。また、響体10は、屋外利用に限定されるものではなく、屋内に設置、利用されても良い。
【0042】
図2は、響体11のアクチュエータ15付近を示す部分断面斜視図である。
図2に示すように、響体11は、断面正方形状の略角管状に形成されており、その内部には、振動を発生するアクチュエータ15が取り付けられている。アクチュエータ15は、響体11の内部に設けられているので、聴者である歩行者P(
図1参照)に近い位置に設置されても邪魔にならない。これにより、前述のとおり、音量を下げて騒音等の問題を回避することができる。
【0043】
ここで、響体11の肉厚について詳述する。この響体11の肉厚は、街路スピーカ1の安全・安心を担保するために重要はファクターをなすものであり、この発明においては、肉厚は2mm乃至15mmの範囲内に設定されている。特に、この発明においては、街頭スピーカ1が自立して地面に立設され、なにも付加装置が取り付けられていない所謂裸の状態で、安全・安心条件として座屈荷重が20kg以上となる条件での値を肉厚の最小値と設定し、以下の表1で示す通り、種々の肉厚を設定してその座屈強度を求めた。
【0044】
【0045】
この表1に示す検討結果から、断面正方形状の響体11の肉厚の最小値は、2mmが最適するとした。
【0046】
また、響体11の肉厚は、厚くすればするだけ、座屈荷重は増していき、安心・安全の観点からは問題とならないものであるが、肉厚を厚くするほど、材料費が増大することとなるので、無尽蔵に厚くすることは、経済合理性の観点から好ましくない。そこで、この響体11に取り付ける種々の装置の重量(負荷)の総計を、最大150kgと想定し、この150kgが座屈荷重として作用した場合でも、自立性が担保される条件を加えると、響体11の肉厚の最大値を、15mmが最適するとした。
【0047】
また、この実施形態では、アクチュエータ15やそれに付属する図示しない電子部品等が響体11の内部に設けられていることにより、アクチュエータ15等について防水性が確保され、優れた耐候性及び耐久性が得られることになる。
【0048】
また、アクチュエータ15は、響体11の内部の複数箇所に設けられても良い。例えば、この実施形態では、アクチュエータ15が2つ設けられ、響体11の内周面11aの対向する位置にそれぞれ固定されている。このようにアクチュエータ15が複数設けられる場合、それぞれのアクチュエータ15から異なる振動が発せられても良い。これにより、立体的で臨場感のある音響効果が得られる効果がある。
【0049】
ここで、
図3(A)は、響体11に取り付けられるアクチュエータ15の構成を取り出して示す正面図であり、
図3(B)は、アクチュエータ15の側面図である。
図3(A)及び(B)に示すように、アクチュエータ15は、振動を発生する振動発生部16と、振動発生部16によって加振される振動板17とを有している。
【0050】
上述した振動発生部16は、電気信号を受けて音波を発生させるための振動を起こすものである。振動発生部16は、振動板17の一方の主面に固定されて振動板17の板厚方向に振動する。振動発生部16の駆動方式としては、例えば、動電型、静電型、圧電型、リボン型、イオン型等の各種方式を採用し得る。
【0051】