(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172101
(43)【公開日】2022-11-15
(54)【発明の名称】飼料添加物を含む動物飼料ペレット、その製造および使用方法
(51)【国際特許分類】
A23K 10/16 20160101AFI20221108BHJP
A23K 40/10 20160101ALI20221108BHJP
C12N 1/20 20060101ALN20221108BHJP
【FI】
A23K10/16
A23K40/10
C12N1/20 E
【審査請求】有
【請求項の数】45
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022125070
(22)【出願日】2022-08-04
(62)【分割の表示】P 2018565686の分割
【原出願日】2017-06-14
(31)【優先権主張番号】62/349,843
(32)【優先日】2016-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521124179
【氏名又は名称】エランコ カナダ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【弁理士】
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(72)【発明者】
【氏名】ナデュー、エリック
(57)【要約】 (修正有)
【課題】飼料添加物を含む動物飼料ペレット、その製造方法およびその使用に関する。
【解決手段】動物飼料を摂取した動物に利益を与えるのに充分な量で飼料ペレットに組み込まれた生きた非病原性E. coli細菌を含む動物飼料ペレット。また、その製造方法およびその使用。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物飼料ペレットであって、当該ペレット中に組み込まれた、生きた非病原性E. coli細菌を含んでいる、前記動物飼料ペレット。
【請求項2】
前記細菌が、少なくとも1×105CFU/gの量である、請求項1に記載の動物飼料ペレット。
【請求項3】
前記の生きた非病原性E. coliが、当該動物飼料ペレット中に組み込まれた飼料添加物に埋め込まれている、請求項1または2に記載の動物飼料ペレット。
【請求項4】
前記飼料添加物がマトリックスを含んでおり、該マトリックスは、当該ペレットへの組み込み前に<0.3である水分活性(aw)を有する、請求項3に記載の動物飼料ペレット。
【請求項5】
前記マトリックスが、親水コロイド形成多糖を含んでいる、請求項4に記載の動物飼料ペレット。
【請求項6】
前記親水コロイド形成多糖が第1の多糖であり、前記マトリックスがさらに、前記の第1の多糖とは異なる第2の多糖を含んでいる、請求項5に記載の動物飼料ペレット。
【請求項7】
前記親水コロイド形成多糖が第1の多糖であり、前記飼料添加物がさらに、その表面の少なくとも一部の上に配置された被覆を含んでおり、かつ、該被覆は、前記の第1の多糖とは異なる第2の多糖を含んでいる、請求項5に記載の動物飼料ペレット。
【請求項8】
前記マトリックスが孔を含んでいる、請求項5~7のいずれか一項に記載の動物飼料ペレット。
【請求項9】
前記被覆が微粒子状カルシウム含有化合物を含んでいる、請求項7に記載の動物飼料ペレット。
【請求項10】
前記カルシウム含有化合物が乳酸カルシウムを含んでいる、請求項9に記載の動物飼料ペレット。
【請求項11】
前記親水コロイド形成多糖がアルギン酸を含んでいる、請求項5~10のいずれか一項に記載の動物飼料ペレット。
【請求項12】
前記飼料添加物がさらに二糖を含んでいる、請求項3~11のいずれか一項に記載の動物飼料ペレット。
【請求項13】
前記二糖が、スクロース、トレハロースまたはそれらの組み合わせを含んでいる、請求項12に記載の動物飼料ペレット。
【請求項14】
前記飼料添加物がさらにアミノ酸の塩を含んでいる、請求項12または13に記載の動物飼料ペレット。
【請求項15】
前記アミノ酸の前記塩がL-グルタミン酸の塩を含んでいる、請求項14に記載の動物飼料ペレット。
【請求項16】
動物飼料ペレットに生きた非病原性E. coliを組み込むための飼料添加物であっ
て、当該飼料添加物は、マトリックスに埋め込まれた前記非病原性E. coliを含んでおり、該マトリックスは、<0.3である水分活性(aw)を有し、かつ、親水コロイド形成多糖を含んでいる、前記飼料添加物。
【請求項17】
前記親水コロイド形成多糖が第1の多糖であり、前記マトリックスが前記の第1の多糖とは異なる第2の多糖を含んでいる、請求項16に記載の動物飼料ペレットに生きた非病原性E. coliを組み込むための飼料添加物。
【請求項18】
前記親水コロイド形成多糖が第1の多糖であり、当該飼料添加物がさらに、その表面の少なくとも一部の上に配置された被覆を含んでおり、該被覆は、前記の第1の多糖とは異なる第2の多糖を含んでいる、請求項16に記載の動物飼料ペレットに生きた非病原性E. coliを組み込むための飼料添加物。
【請求項19】
前記マトリックスが孔を含んでいる、請求項16~18のいずれか一項に記載の動物飼料ペレットに生きた非病原性E. coliを組み込むための飼料添加物。
【請求項20】
前記被覆が微粒子状カルシウム含有化合物を含んでいる、請求項18に記載の動物飼料ペレットに生きた非病原性E. coliを組み込むための飼料添加物。
【請求項21】
前記カルシウム含有化合物が乳酸カルシウムを含んでいる、請求項18に記載の動物飼料ペレットに生きた非病原性E. coliを組み込むための飼料添加物。
【請求項22】
前記親水コロイド形成多糖がアルギン酸を含んでいる、請求項16~21のいずれか一項に記載の動物飼料ペレットに生きた非病原性E. coliを組み込むための飼料添加物。
【請求項23】
さらに二糖を含んでいる、請求項16~22のいずれか一項に記載の動物飼料ペレットに生きた非病原性E. coliを組み込むための飼料添加物。
【請求項24】
前記二糖が、スクロース、トレハロースまたはそれらの組み合わせを含んでいる、請求項23に記載の動物飼料ペレットに生きた非病原性E. coliを組み込むための飼料添加物。
【請求項25】
さらにアミノ酸の塩を含んでいる、請求項16~24のいずれか一項に記載の動物飼料ペレットに生きた非病原性E. coliを組み込むための飼料添加物。
【請求項26】
前記アミノ酸の前記塩がL-グルタミン酸の塩を含んでいる、請求項25のいずれか一項に記載の動物飼料ペレットに生きた非病原性E. coliを組み込むための飼料添加物。
【請求項27】
少なくとも1×106CFU/gの前記E. coliを含んでいる、請求項16~26のいずれか一項に記載の動物飼料ペレットに生きた非病原性E. coliを組み込むための飼料添加物。
【請求項28】
動物飼料ペレットを調製するための方法であって、当該方法は:
a. 前記飼料ペレットを製造するための材料および飼料添加物を提供することを含んでおり、該飼料添加物は、生きた非病原性E. coliを含んでおり;
b. 前記材料および前記飼料添加物をペレット化して前記動物飼料ペレットを取得することを含んでいる、
前記方法。
【請求項29】
前記飼料添加物が、請求項16~27のいずれか一項に記載の飼料添加物を含んでいる、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記飼料添加物の前記提供が、飼料添加物を粒子形態で提供することを含んでおり、該粒子は、第1の平均直径サイズを有する粒子の第1の個体群および第2の平均直径サイズを有する粒子の第2の個体群を有する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記飼料添加物の前記提供が、前記の第1の個体群および前記の第2の個体群の量を、第1対第2の比が>1となるように選択することを含んでいる、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記ペレット化が、前記材料および前記飼料添加物を蒸気調節に曝露することを含んでいる、請求項28~31のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、エリック ナデューによって2016年6月14日付けで出願された米国仮特許出願シリアル番号第62/349,843号の利益を主張する。上記文献の内容は、それら全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本願は概して、飼料添加物を含む動物飼料ペレット、その製造方法およびその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
ペレット状の動物飼料は、典型的には、任意の機械的処理によって圧縮し、かつ、ダイス開口部を通らせることにより個別の材料または混合物を押出することによって形成される、塊状になった飼料と定義される。基本的には、ペレット化の目的は、細かく分けられた、時にはほこり状である、味が悪く扱いが困難である飼料材料を採用し、かつ、高い熱、湿度(蒸気調節)および圧力を用いることによって、それをより大きい粒子にすることである。
【0004】
商業的飼料粉砕に用いられる、広範囲の温度と保持時間との組み合わせの調節が存在し(McCracken, Poultry Feeds, Supply, Composition and Nutritive Value, CAB International, New York (2002), pp. 301-316)、かつ典型的には、ペレット化処理は、サルモネラ菌および大腸菌(E. coli)のような飼料由来の病原体を制御するために、好ましくない熱、湿度および圧力条件を伴う。現行の業界実務では、例えば、いくつかの飼料粉砕機におけるコンディショナー温度は90℃に達するかも知れず、飼料業界は、飼料由来の病原体を制御するために、いっそう高く、かつ、過酷な飼料処理条件へと移行する傾向にある。
【0005】
動物飼料ペレットに組み込まれる生菌補給は、熱安定的であり、かつ、常温保存が可能である細菌の菌株を用いて可能である。なぜなら、そうでなければ、ペレット化の過酷な圧力、温度および湿度条件に対する細菌の不安定性が、ペレット状の飼料へのそれらの使用に問題をもたらすからである。
【0006】
例えば、胞子の形態で存在し得る菌株は、動物飼料ペレットに組み込むのに有用であり得る。細菌胞子は、極端な温度、湿度の欠如/渇水または化学物質および放射線への曝露を含む細菌の生息場所における極端な変化に対して抵抗性であることによって、細菌が生存するのを補助する休眠生命体である。したがって、細胞胞子は、生菌を動物飼料ペレットに組み込もうとする時に有益であり得る。最も胞子を形成する細菌は、バチルスおよびクロストリジウム属に含有される。
【0007】
胞子を形成しない生菌の細胞株は、典型的にはペレットに組み込まれないが、ペレット上に被覆される(すなわち、ペレットの材料を上記の過酷な条件に差し出した後で)。例えば、国際公開第2011/094469号公報には、飼料ペレットがまず脂肪ベースの湿度バリアで噴霧され、その後で生菌を含有する乾燥組成物と接触させ、最後に脂肪ベースの湿度バリアの追加被覆で噴霧され、飼料ペレットの表面上の被覆の量が約10重量%~15重量%であるようになっている、生菌ペットフードおよび魚餌の調製について記載
されている。
【発明の概要】
【0008】
概要
この概要は、詳細な説明において以下でさらに説明される概念の抜粋を簡易な形態で紹介するために提供される。この概要は、請求される主題の重要な態様または必須の態様を特定することを意図しない。
【0009】
本明細書で具現化され、かつ、概括的に説明されるように、本開示は、生きた非病原性E. coliを含む動物飼料ペレットに関し、該E. coliはペレットに組み込まれている。E. coliは、動物飼料を摂取した動物に有益な効果を付与するのに十分な量である。E. coliは、典型的には食品と関連付けられない微生物である;したがって、E. coliが自発的に動物飼料に含まれることは、ありふれたことでも従来から行われていることでもない。
【0010】
先に説明したように、業界で用いられるペレット化条件は、サルモネラ菌およびE. coliのような病原体を制御する(すなわち、殺す)ために、飼料材料を過酷な条件に差し出すように設計されている。1つの実施形態では、本開示は、未だ病原体を制御しながら、非病原性E. coli細菌を飼料ペレットに組み込むために、必要である過酷な条件の効果を和らげる手段を提案する。
【0011】
1つの実施形態では、動物飼料ペレットは、少なくとも1×105CFU/gのペレットに組み込まれた生きた非病原性E. coli細菌を含んでいる。
【0012】
1つの実施形態では、生きた非病原性E. coliは、飼料添加物に埋め込まれている。その後、飼料添加物は動物飼料ペレットに組み込まれる。実用的実施形態では、飼料添加物は、種々の形態で動物飼料に組み込まれてもよい。例えば、飼料添加物は、動物飼料と同時に押し出されたり、動物飼料内に包まれたりしてもよい。当業者であれば、飼料添加物を動物飼料に組み込む種々の手段が本開示の文脈の範囲内で用いられてもよいことを容易に認識するであろう。
【0013】
本明細書で具現化され、かつ、概括的に説明されるように、本開示はまた、生きた非病原性E. coliを動物飼料ペレットに組み込むための飼料添加物に関し、該飼料添加物はマトリックスに埋め込まれた非病原性E. coliを含んでおり、マトリックスはペレットへの組み込み前に<0.3の水分活性(aw)を有する。マトリックスは、親水コロイド形成多糖を含んでいる。
【0014】
非限定的な実施形態では、飼料添加物はさらに、次の一式の特徴のうちの1つ以上を含んでいる:
・マトリックスは、親水コロイド形成多糖とは異なる第2の多糖を含んでいてもよい。必要に応じて、マトリックスは二糖を含んでいてもよい。
・マトリックスは、その表面の少なくとも一部の上に配置された被覆を含んでいてもよい。
・マトリックスは、孔を含んでいてもよい。
・被覆は、親水コロイド形成多糖とは異なる第2の多糖を含んでいてもよい。必要に応じて、被覆は二糖を含んでいてもよい。
・被覆は、微粒子状カルシウム含有化合物を含んでいてもよい。
・マトリックスは孔を含んでいてもよく、かつ、被覆は孔を定める表面上に少なくとも配置されてもよい。
【0015】
当業者であれば、飼料添加物の実施形態が上記の特徴の任意の組み合わせを含んでいてもよいことを容易に認識するであろう。
【0016】
上記の実施形態では、当業者であれば、マトリックスが、動物の消費に適した、かつ/または、非病原性E. coliと適合した1つ以上の要素を含んでいてもよいことを容易に認識するであろう。
【0017】
非限定的な実施形態では、飼料添加物は、少なくとも1×106CFU/gのE. coliを含んでいる。例えば、当該飼料添加物は、少なくとも1×107CFU/g、少なくとも1×108CFU/g、少なくとも1×109CFU/g、少なくとも1×1010CFU/g、少なくとも1×1011CFU/gを含んでいてもよい。
【0018】
非限定的な実施形態では、飼料添加物は粒子の形態である。実用的実装では、粒子の少なくとも一部が、先に説明したような被覆を含むブリッジによって一緒に保持された粒子の凝集体を形成してもよい。
【0019】
1つの実用的で非限定的な実施形態では、本明細書に記載の微粒子状カルシウム含有化合物は、乳酸カルシウムを含んでいる。
【0020】
非限定的な実施形態では、飼料添加物は、飼料添加物としての従来の貯蔵/出荷条件を付与する、かつ/または、動物飼料に組み込まれた時に細菌の細胞生存率および/もしくは機能的特徴に対する有意な有害効果を伴うことのない、1つ以上の要素を含んでいてもよい。換言すれば、特定の実施形態において非病原性E. coliが天然の対応物を有していてよくても、後者は従来の貯蔵/出荷条件に苦しみ、それが細菌の細胞生存率の有意な低下および/または機能的特徴の損失をもたらすようになっている。したがって、本明細書に記載の飼料添加物は、従来の貯蔵/出荷条件(例えば、周囲温度および相対湿度における、または、周囲温度および相対湿度より上の条件を例えば含んでいてもよい)下で長期間E. coliを安定化させ、かつ、その活性を保存するかも知れない。かかる要素の例は、本文書における他の場所でさらに説明される。
【0021】
追加的または代替的な実施形態では、飼料添加物は、1つ以上の要素を含んでいてもよく、E. coliが天然起源のE. coliと比べて顕著に変化した特性を有するようになっており、該特性としては、例えば次の項目のうちの少なくとも1つが挙げられるが、それらに限定されない:
・飼料添加物は、細菌の細胞生存率の有意な低下および/または機能的特徴の損失を伴わず、飼料添加物の調製および/または貯蔵の間にE. coliのフリーズドライまたは凍結を有利に可能にするかも知れない1つ以上の低温保存料を含んでいてもよい;
・飼料添加物は、官能特性に良い影響を与えるかも知れない1つ以上の要素を含んでいてもよく、動物飼料への組み込みの際に動物飼料がかかる1つ以上の要素を欠く組成物中の天然起源のE. coliと比べてより心地良い食感を有していてもよいようになっている。例えば、培養液と混合した非病原性E. coliを含む飼料添加物は、動物を退け、したがって、飼料の投与を有意により困難にする典型的な4つのにおい/味わいを有し、一方で、官能特性に良い影響を与える1つ以上の要素の存在は、かかる4つのにおい/味わいをごまかしてもよく、中和してもよい;
・飼料添加物は、ペレット化する時にE. coliの動物飼料への組み込みを容易にするかも知れないE. coli製剤の形態(例えば、ゲル様の広げることが可能な堅さ、および/または、多孔質の固体もしくは半固体構造体など)に影響を与えるかも知れない1つ以上の要素を含んでいてもよい;
・飼料添加物は、カスタマイズ可能な粒子サイズを有する粒子の形態であってもよく、カスタムサイズまたはサイズ範囲は所望の結果物を取得するように選択されてもよい。例
えば、粒子の第1の個体群が第1の平均直径サイズを有するように選択されてもよく、かつ、粒子の第2の個体群が第2の平均直径サイズを有するように選択されてもよい。第1の平均直径サイズと第2の平均直径サイズとは、異なっていてもよい(すなわち、>1であるサイズ比(第1:第2)を有していてもよい)。当業者であれば、かかる粒子サイズ分布が所望の結果物を取得するためにカスタマイズ可能である溶解率をもたらすかも知れないことを認識するであろう。
【0022】
当業者であれば、飼料添加物の実施形態が上記の特徴の任意の組み合わせを含んでいてもよいことを容易に認識するであろう。
【0023】
上記の実施形態は、天然起源のE. coliのものと比べて顕著な特徴の相違を示すかも知れない(なぜなら、それらが、本発明の性質に関連するやり方でその天然の対応物とは別個の動物飼料ペレットをもたらすためである)、改変された特性の非限定的な例を表す。
【0024】
非限定的な実施形態では、カスタマイズ可能な粒子サイズは、乾燥E. coliの増大した、かつ/または、一貫した溶解率を取得することを可能にするかも知れず、これは天然起源の乾燥E. coliの対応する遅く、かつ、一貫しない溶解率とは逆である。実際、カスタマイズされた溶解率は、粒子の第1および第2の個体群の間の適切な粒子サイズ比の選択に基づいて取得されてもよい。
【0025】
非限定的な実施形態では、カスタマイズ可能な粒子サイズは、非病原性菌株の時間放出性(time-release;徐放性)送達を取得することを可能にするかも知れず、これは、天然起源のE. coliまたは他の形態で投与されるE. coli(例えば、飲料水中)の一気の送達とは逆である。かかる徐放性送達は、大きい/小さい粒子の比をカスタマイズすることに基づいていてもよく、全体ではE. coliが所定の期間過酷な腸管環境から保護されるようになっている。次に、制御されたE. coliの送達タイミングは、腸管に沿う予め選択された位置における送達を可能にし得る。換言すれば、当業者は、E. coliの所定の徐放を可能にするために特定の粒子サイズ分布を選択してもよく、腸管輸送に影響を与える種々の要因をファクタリングする時にE. coliが腸管の所定の部分に主に送達され得るようになっている。
【0026】
本明細書で具現化され、かつ、概括的に説明されるように、本開示はまた、本明細書に記載の飼料添加物を動物飼料ペレットに組み込むためのシステムに関する。当該システムは、ユーザーが動物飼料に組み込まれる細菌の量または各動物飼料ワゴンおよび/もしくは飼料システムに提示される細菌の量を制御することを可能にするユーザーインターフェースを含んでいてもよい。これは、次の非限定的な実用的実装のうちの1つ以上によって取得されてもよい:
・飼料添加物に埋め込まれた、所定量の、生きているが休眠している細菌を活性化させること。このことは、例えば、所定量の細菌/飼料添加物への適切な活性剤(水蒸気、糖などのようなものであるが、それらに限定されない)の添加によって達成され得る。続いて、飼料添加物は、ペレットを取得するために動物飼料に組み込まれてもよい。その後、ペレットは、動物飼料システムおよび/または動物飼料ワゴンに送達され得る;
・動物飼料ペレットに組み込まれる飼料添加物の粒子の特定の割合を選択すること。かかる実用的実装では、粒子は、生きた非病原性細菌の第1の量(コロニー形成単位、「CFU」)を有する粒子の第1の個体群と、前記の生きた非病原性細菌の第2のCFUを有する粒子の第2の個体群とを含んでいてもよい。
【0027】
本明細書で具現化され、かつ、概括的に説明されるように、本開示はまた、本明細書に記載の飼料添加物を形成するためのキットに関する。当該キットは、第1のバイアルに本
明細書に記載の第1の親水コロイド形成多糖を含んでおり、別個の第2のバイアルに本明細書に記載のE. coliを含んでおり、別個の第3のバイアルに第1の多糖とは異なる本明細書に記載の第2の多糖を含んでおり、かつ、別個の第4のバイアルに本明細書に記載の二糖を含んでいる。必要に応じて、本明細書に記載の第2、第3および/または第4のバイアルのうちの1つはさらに、カルシウム塩を含んでいてもよい。別の選択肢では、カルシウム塩は、別個の第5のバイアルに含まれていてもよい。
【0028】
当業者であれば、先行して説明したキットが、同一のバイアルに存在する、列挙された要素のうちの1つ以上を含んでいてもよいことを容易に理解するであろう(そのように含まれることに適合することが条件)。
【0029】
1つの非限定的な実施形態では、本明細書に記載の二糖は、スクロース、トレハロースまたはそれらの組み合わせを含んでいる。
【0030】
非限定的な実施形態では、本明細書に記載のカルシウム塩は、乳酸カルシウムを含んでいてもよい。
【0031】
本明細書で具現化され、かつ、概括的に説明されるように、本開示はまた、動物飼料ペレットを調製するための方法に関し、当該方法は:飼料ペレットを製造するための材料と飼料添加物とを提供することを含んでおり、該飼料添加物は生きた非病原性E. coliを含んでおり;材料と飼料添加物をペレット化して動物飼料ペレットを取得することを含んでいる。
【0032】
非限定的な実施形態では、飼料添加物を提供するステップは、飼料添加物を粒子の形態で提供することを含んでおり、該粒子は、第1の平均直径サイズを有する粒子の第1の個体群と、第2の平均直径サイズを有する粒子の第2の個体群とを有する。
【0033】
本明細書で具現化され、かつ、概括的に説明されるように、本開示はまた、本明細書に記載の飼料添加物を形成するための方法に関する。当該方法は、粒子と本明細書に記載のE. coliとを提供することを含んでおり、該粒子は、親水コロイド形成多糖である第1の多糖と、第1の多糖とは異なる第2の多糖と、スクロース、トレハロースまたはそれらの組み合わせを含む二糖とを含んでいる。当該方法はまた、粒子を乾燥させて<0.3である水分活性(aw)を取得することを含んでいる。
【0034】
非限定的な実施形態では、粒子を提供するステップは、E. coliを第1の多糖と混合して混合物を形成することと;該混合物から粒子を形成することと;該粒子をスクロースまたはトレハロースおよび第2の多糖を含む保存溶液と接触させることとを含んでいる。
【0035】
別の非限定的な実施形態では、粒子を提供するステップは、E. coliを第1の多糖と混合し、かつ、スクロースまたはトレハロースおよび第2の多糖を含む保存溶液と混合して混合物を形成することと;該混合物から粒子を形成することとを含んでいる。
【0036】
1つの実施形態では、動物飼料ペレットは、家禽、ブタおよびウシのうちのいずれか1つによる消費のためのものである。
【0037】
本開示に記載され、かつ、相互に排他的ではない実施形態のすべての特徴は、互いに組み合わせられ得る。1つの実施形態の要素は、さらなる言及を伴わず、その他の実施形態において利用され得る。本発明のその他の態様および特徴は、添付の図面とともに以下の特定の実施形態の説明を検討した当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
特定の実施形態の詳細な説明が、添付の図面を参照して以下で提供される:
【0039】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態による、細菌培養物を調製するための非限定的なフローチャートを示している。
【
図2】
図2は、本開示の実施形態による、埋め込まれたE. coliを有するビーズを乾燥させるための非限定的なフローチャートを示している。
【
図3】
図3は、本開示の実施形態による、飼料添加物を分配するためのシステムの非限定的な図を示している。
【
図4】
図4は、本開示の実施形態による、風乾後の細菌生存率に対する保存溶液S1、S2、S3およびS4の効果を描いた非限定的な棒グラフを示している。
【
図5】
図5は、本開示の実施形態による、風乾後の細菌生存率に対する保存溶液S1、S5、S6およびS7の効果を描いた非限定的な棒グラフを示している。
【
図6】
図6は、本開示の実施形態による、風乾後の細菌生存率に対する保存溶液S1、S0、S8およびS9の効果を描いた非限定的な棒グラフを示している。
【
図7】
図7は、本開示の実施形態による、風乾後の細菌生存率に対する保存溶液S1、S10、S11およびS12の効果を描いた非限定的な棒グラフを示している。
【
図8】
図8は、本開示の実施形態による、風乾後の細菌生存率に対する保存溶液S1、S13、S14およびS15の効果を描いた非限定的な棒グラフを示している。
【
図9】
図9は、本開示の実施形態による、風乾後の細菌生存率に対する保存溶液S1、S16、S17およびS18の効果を描いた非限定的な棒グラフを示している。
【
図10】
図10は、本開示の実施形態による、風乾後の細菌生存率に対する保存溶液S1およびS19の効果を描いた非限定的な棒グラフを示している。
【
図12】
図12は、24週間にわたる、乾燥した粒子ビーズ中のCFU安定性の非限定的なグラフ表示を示している。黒塗りの円および白塗りの円は、同一の製造工程を用いた2つの異なるバッチ生産の結果である。
【
図13】
図13は、本開示の実施形態による飼料添加物を組み込んだ動物飼料を与えられたブタ(IP)および飼料添加物のない動物飼料を与えられたブタ(「CP」)の、7日後の平均体重増加(Kg)を描いた非限定的な棒グラフである。棒エラーは、標準誤差を描いている(p=0.044)。
【
図14】
図14は、
図13のブタの、7日間の平均一日体重増加(g/日)を描いた非限定的な棒グラフである。棒エラーは、標準誤差を描いている(p=0.044)。
【
図15】
図15は、本開示の実施形態による飼料添加物粒子の断面を示している。
【
図17】
図17は、表29および表30に表された生データを含む次の図をどのように読み込むかを描いている。次の図は、17A~17Pである。
【
図17A】
図17は、表29および表30に表された生データを含む次の図をどのように読み込むかを描いている。次の図は、17A~17Pである。
【
図17B】
図17は、表29および表30に表された生データを含む次の図をどのように読み込むかを描いている。次の図は、17A~17Pである。
【
図17C】
図17は、表29および表30に表された生データを含む次の図をどのように読み込むかを描いている。次の図は、17A~17Pである。
【
図17D】
図17は、表29および表30に表された生データを含む次の図をどのように読み込むかを描いている。次の図は、17A~17Pである。
【
図17E】
図17は、表29および表30に表された生データを含む次の図をどのように読み込むかを描いている。次の図は、17A~17Pである。
【
図17F】
図17は、表29および表30に表された生データを含む次の図をどのように読み込むかを描いている。次の図は、17A~17Pである。
【
図17G】
図17は、表29および表30に表された生データを含む次の図をどのように読み込むかを描いている。次の図は、17A~17Pである。
【
図17H】
図17は、表29および表30に表された生データを含む次の図をどのように読み込むかを描いている。次の図は、17A~17Pである。
【
図17I】
図17は、表29および表30に表された生データを含む次の図をどのように読み込むかを描いている。次の図は、17A~17Pである。
【
図17J】
図17は、表29および表30に表された生データを含む次の図をどのように読み込むかを描いている。次の図は、17A~17Pである。
【
図17K】
図17は、表29および表30に表された生データを含む次の図をどのように読み込むかを描いている。次の図は、17A~17Pである。
【
図17L】
図17は、表29および表30に表された生データを含む次の図をどのように読み込むかを描いている。次の図は、17A~17Pである。
【
図17M】
図17は、表29および表30に表された生データを含む次の図をどのように読み込むかを描いている。次の図は、17A~17Pである。
【
図17N】
図17は、表29および表30に表された生データを含む次の図をどのように読み込むかを描いている。次の図は、17A~17Pである。
【
図17O】
図17は、表29および表30に表された生データを含む次の図をどのように読み込むかを描いている。次の図は、17A~17Pである。
【
図17P】
図17は、表29および表30に表された生データを含む次の図をどのように読み込むかを描いている。次の図は、17A~17Pである。
【0040】
図中、実施形態は、例として示されている。説明および図面は、特定の実施形態を説明する目的のためのみのものであり、かつ、理解の補助であることが明確に理解されるべきである。請求の範囲は、本開示に記載の実施形態によって限定されるべきではなく、全体として説明と一致する最も広い解釈をされるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
実施形態の詳細な説明
本開示は概括的には、動物飼料ペレットであって、E. coli細菌を、動物飼料を摂取した動物に有益な効果を与えるのに十分な量で含む前記動物飼料ペレットに関する。
【0042】
1つの実用的実装では、動物飼料は、生きたE. coli細菌を含む動物飼料ペレットである。本開示では、用語「生きた」は、動物飼料中の細菌が非活動的な(休眠)状態にあると考えられ得る一方で、これら細菌が、細菌を特定の条件(例えば、十分な温度、湿度および/または酸素)に曝露する際に活動的な状態へと戻され得るという概念に関する。
【0043】
有利なことに、かかる動物飼料ペレットの投与は、動物生産者による最小限の取り扱いしか必要としなくてもよく、かつ/または、用量調製を必要としなくてもよい。さらに、他の手段(例えば、飲水)を通した長期間の投与は、本明細書に記載の飼料と比べて菌株の生存に有意な影響を与えるかも知れない。
【0044】
大腸菌(E. coli)は胞子を形成しない細菌であり、そのようであるので、胞子を形成する細菌よりも過酷な条件に対する耐性が低い。さらに、圧力、温度および湿度条
件に関する、飼料をペレット化する際の現行の業界実務は、E. coliおよびサルモネラ菌のような病原体を最少レベルに制御して汚染リスクを低減させることを目的とする。本願は驚くべきことに、E.coliを大量に含むが、動物の消費に適した動物飼料ペレットに関する。換言すれば、本開示に記載の動物飼料ペレットは、非病原性E. coliを、飼料を摂取する動物に所望の利益を提供するのに十分な量で含んでいるが、動物飼料ペレットは、病原性E. coliのレベルを制御した(最小化した)ことで消費に未だに適している。
【0045】
本開示は、少なくとも、本開示におけるペレット化された飼料を製造する時に、先行して説明した病原体制御条件が未だに実装され、したがって病原体が制御される一方で、非病原性E. coliの生存率が、ペレット化ステップを進める前に所望のE. coli菌株を適切な飼料添加物に埋め込むことによって十分に維持されるという点で驚くべきものである。
【0046】
本発明者は、驚くべきことに、かつ、意外なことに、本明細書に記載されるように飼料添加物に埋め込まれた生きた非病原性E. coliを含む動物飼料ペレットが、その商業的使用のために、25℃において26週間という長期の所定期間にわたって十分な細菌CFUの生存率および機能を保存し得たことを観察した。
【0047】
飼料添加物へのE. coliの埋め込み
飼料添加物に細菌(生菌ではあるが)を組み込む実用的実装が、本技術分野で提案されている。
【0048】
例えば、国際公開第2011/094469号公報には、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム/オリゴ糖の重量比が1:1~10であるオリゴ糖(イヌリン、マルトデキストリン、デキストランなど)、二糖および加水分解タンパク質の混合物を含む組成物について記載されている。国際公開第2013/142792号公報には、オリゴ糖、二糖および多糖、ならびに、加水分解された動物性または植物性タンパク質を含むタンパク質成分を含む組成物について記載されている。これら文献にはそれぞれ、乾燥形態にある飼料添加物に包まれた生菌を取得するための同一の手順について記載されている:
・第1のステップでは、組成物の混合物および生菌(生菌は、冷凍液体培養物由来または生菌細菌の商業的粉末状由来のいずれかである)を含有する冷凍ビーズを形成する。冷凍ビーズは、混合物の小滴を液体窒素に浸すこと、および、結果として生じるビーズを-80℃で貯蔵することによって取得される。
・第2のステップでは、冷凍ビーズは、ビーズが0.3より小さい水分活性に達するまで、真空下で乾かされる。
【0049】
これら文献に記載のカプセル化手順は、したがって、液体窒素中での冷凍という過酷な条件と、それに続く乾燥という過酷な条件とを組み合わせる。かかる過酷な条件は、これら文献において乾燥安定化組成物(例えば、国際公開第2011/094469号公報における
図7および国際公開第2013/142792号公報における
図14を参照)であるとして教示される組成物の存在にも関わらず、取得される0.73~0.90というCFU log損失を用いて反映される細菌の生存率に対する損害を出す。これら文献に記載の方法および組成物は、したがって、出発材料として液体細菌培養物を採用する時(CFU log損失が理想の経済よりも小さくなり得る)には、業界の状況にとって最適化されない。
【0050】
細菌(生菌ではあるが)にとってのその他の実用的保存および貯蔵条件もまた、先行して示唆されている。
【0051】
乾燥中の低温曝露に起因して、細菌の保存および貯蔵のためにフリーズドライ(またの名を凍結乾燥)がしばしば用いられる(Rhodes, Exploitation of microorganisms ed. Jones, DG, 1993, p.
411-439, London: Chapman & Hall)。しかしながら、それは、生存率を有意に低下させ、かつ、時間およびエネルギー集約的であるという望まれない特徴を有する。保護剤が提案されてきたが、フリーズドライ中に所定の添加物によって与えられる保護は、微生物の種とともに変化する(Font de Valdez
et al., Cryobiology, 1983, 20: 560-566)。
【0052】
脱水を伴うような風乾もまた、細菌の保存および貯蔵に用いられてきた。真空乾燥がフリーズドライと類似の工程である一方で、それは30分から数時間の間、0°~40℃にて起こる。この工程のメリットは、生産物が冷凍されておらず、したがって、エネルギー消費および関連する経済的影響が低減されることである。生産物の観点から、凍害は回避される。しかしながら、低温または周囲温度での脱水はゆっくりであり、汚染を回避するための余計な予防措置を必要とし、かつ、不満足な生存率をしばしばもたらす(Lievense et al., Adv Biochem Eng Biotechnol., 1994, 51:71-89)。
【0053】
アルギン酸カルシウム(アルギン酸Ca)ビーズのような親水コロイド形成多糖マトリックスに細菌を包むこともまた、異なる用途の広く、かつ、ますます増える範囲で細菌の保存および貯蔵に用いられてきた(Islam et al., J. Microbiol. Biotechnol., 2010, 20:1367-1377)。代謝的にも生理的にも要求にかなう状態で細菌を維持し、したがって、所望の利益を取得するために、かかるマトリックスに適切な保存製剤を添加することが示唆されてきた。保存製剤は、典型的には、適切な担体中にある有効成分と、貯蔵、輸送中および標的領域において微生物細胞の安定化および保護を補助する添加剤とを含有する。
【0054】
新規製剤の開発は、しかしながら、困難なタスクであり、かつ、すべての製剤が所定の細菌に有効であるわけではない(Youg et al., Biotechnol Bioeng., 2006 Sep 5;95(1):76-83)。さらに、カプセル化された細菌についての特定の問題は、生産物の適切な貯蔵寿命を確実にするために、調製、貯蔵および/または輸送中、湿気への細菌の曝露を注意深く最小限にしなければならないという結果をもたらす。
【0055】
本明細書に記載の物質の組成物およびその製造方法は、(1)飼料添加物を製造する時に実行される乾燥条件および(2)動物飼料をペレット化する時に用いられる過酷な温度、湿度および圧力条件に対して、生きたE. coli細菌を保護するのを補助する飼料添加物を提供する(具体的には、液体培養物から製造される時に)。実際、本開示において取得された結果は、乾燥ステップに続いて、しばしば0.30に近付く、意外であり、かつ、驚くべきCFU平均log損失を示している。例えば、0.70より小さく、または0.60より小さく、または0.50より小さく、または0.40より小さく、または0.30より小さく、または0.25より小さく、または0.20より小さく、または0.15より小さく、または0.10より小さい。
【0056】
例えば、生きたE. coliは、本明細書で後に説明されるように、有意なCFU損失(CFU loss)を伴うことなく、少なくとも0.4、または少なくとも0.5、または少なくとも0.6、または少なくとも0.7である飼料添加剤への埋め込み手順中の粒子におけるaw分の1の減少(aw fold reduction)を持続し得る。
【0057】
有利なことに、本明細書に記載の飼料添加物を製造する方法は、既知の手順のデメリットのうちの少なくともいくつかを伴うことなく、業界の状況において実装され得る。例えば、業界の状況においては、大きい生産バッチが多かれ少なかれ連続的な態様で生産され、典型的には、長期間(例えば、数時間~数日)、細菌を高い温度および/または湿度に差し出す場合がしばしばである。本明細書に記載の手順は、非病原性E. coliをかかる条件から十分に保護し、E. coliが長期間の生存にとって理想的な温度/湿度状況にはない期間が長いにもかかわらず、提案された所望の結果のための十分な生存(すなわち、十分なCFU)を与える。
【0058】
実用的実施形態では、動物飼料ペレットを製造するための方法は、飼料ペレットを製造するための材料と、飼料添加物とを提供することを含んでいてもよく、該飼料添加物は、生きた非病原性E. coliを含んでいる。当該方法は、その後、材料と飼料添加物とをペレット化して動物飼料ペレットを取得することをさらに含んでいる。ペレット化手順は本技術分野で公知であり、したがって、本明細書ではさらに説明されないであろう。
【0059】
1つの実施形態では、当該方法はさらに、飼料添加物を粒子の形態で提供することを含んでいてもよい。有利なことに、粒子は、平均粒子サイズの異質な個体群を有していてもよい。例えば、粒子は、第1の平均直径サイズを有する粒子の第1の個体群と、第2の平均直径サイズを有する粒子の第2の個体群とを含んでいてもよい。篩分けまたは濾過のような所定の平均直径を有する粒子を取得するための手順は公知であり、かつ、本明細書ではさらに説明されないであろう。特定の実施形態では、飼料添加物は、ある量の第1の個体群と、ある量の第2の個体群とを含んでいてもよく、これらは、>1である第2の個体群に対する第1の個体群の割合を取得するように選択される。1つの非限定的な実施形態では、第1の粒子平均サイズは、少なくとも250ミクロン、または少なくとも500ミクロン、または少なくとも1mmである。
【0060】
非限定的な実施形態では、飼料添加物は、所望の形状およびサイズに切断され得、または、押し砕かれ、かつ、流動性粉末へと機械練りされ得る。飼料添加物は、湿式もしくは乾式造粒、合粒、タブレット化、圧縮、ペレット化、または、当業者に容易に利用可能な任意のその他の種類の送達工程を用いてさらに処理され得る。粉砕、製粉、破砕または微粉砕のための工程は、本技術分野で周知である。例えば、ハンマーミル、空気ミル、衝撃ミル、ジェットミル、ピンミル、ワイリーミルまたは類似の製粉機が用いられ得る。
【0061】
飼料添加物の特徴
図15は、本開示の実施形態による飼料添加物粒子1600の断面を示している。
【0062】
図15に示されている特定の実施形態では、粒子1600は、マトリックス1510(その中に埋め込まれたE. coli1520を有する)を含んでいる。マトリックス1510は、粒子1600の表面の少なくとも一部を覆う被覆1550を含み得る。被覆1550は、被覆適用工程のいくつかにおいては内在的であるかも知れない厚さのバリエーションを有するものとして示されている。
【0063】
図16を参照すると、マトリクッス1510は孔を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、粒子は、マトリックスを製造するのに用いられる材料に内在的であるかも知れない孔を含んでいてもよい。その他の実施形態では、粒子は、粒子を製造する時に混合物に空気/ガスを注入することによって作られる孔を含んでいてもよい。その他の実施形態では、粒子は、両方の概念の組み合わせに起因する孔を含んでいてもよい。有利なことに、孔の存在は、ボイド領域1530の存在に起因して、マトリックスを製造するのに必要とされる材料を少なくするかも知れず、かつ/または、粒子への材料の侵入を増大させる
かも知れない。
図16に示されているように、被覆1550は、孔を定める粒子の表面の表面の少なくとも一部を覆っていてもよい。
【0064】
いくつかの特定の実施形態については、被覆1550は、飼料添加物粒子1600の全表面を多かれ少なかれ覆っていてもよい。
【0065】
有利なことに、本明細書に記載されるように生きたE. coliをマトリックスに埋め込むことは、動物飼料または飼料添加物製造手順中、周囲湿度、酸素および/または温度への細菌の曝露を最少化し得る。例えば、押出機を用いて動物飼料ペレットを生産する時、典型的には、押出中、比較的高い圧力、温度および湿度条件に動物飼料材料を曝露し、そのことによって、細胞がなんらかの方法で保護されていない時にはCFU損失をもたらす。典型的な生菌を用いる時のように細菌が胞子形成細菌である時には、追加的な保護は必ずしも要件ではない。この場合、しかしながら、E. coliは概して、かかる過酷な押出条件に敏感であり、したがって、本明細書に記載のマトリックスへの細菌の埋め込みは、かかる過酷な押出条件への曝露から生じるダメージを最小化し、そのことによってCFU損失を最少化することを補助するかも知れない。
【0066】
追加的または代替的には、本明細書に記載されるようにマトリックスに細菌を埋め込むことは、貯蔵/取扱い中の細菌安定性を補助するかも知れない。実際、貯蔵/取扱い中の周囲湿度、酸素および/または温度への細菌の曝露は、細菌が非活動的な状態(休眠)から活動的な状態へと切り替わることを引き起こすかも知れない。この曝露が制御されなければ、かかる切替は、数量化できず、かつ、制御できない細菌の生長をもたらすかも知れず、このことは、かかる細菌を含有する飼料動物を摂取する動物に送達される有効な服用量に影響を与え、そのことによって、期待される結果の一貫性に影響を与えるであろう。
【0067】
追加的または代替的には、本明細書に記載されるようにマトリックスに細菌を埋め込むことは、動物による摂取に続いて、動物飼料からの細菌の制御された放出を提供し、そのことによって、時間放出性または位置放出性(location-release)細菌送達システムを可能にするかも知れない。
【0068】
例えば、マトリクックスが腸液または胃液によってはほぼ消化できない材料を含んでいる時、細菌は、マトリックスによって保護される一方で、胃での破壊から保護される。非限定的な実施形態では、マトリックスは、したがって、適切な環境(例えば、腸内)に達した際に細菌を放出するように適合し得る。かかる実施形態では、マトリックスは、胃の微生物叢によって容易に消化できる(その時には、送達された生きた細菌は、その後、それらの完全な形態で放出される)一方で、腸液または胃液によってはほぼ消化できない、高アミロース澱粉および/またはペクチンのような化合物を含み得る。マトリックス成分の適切な濃度の選択は、したがって、動物による摂取に続く、動物飼料からの細菌の制御された放出を可能にするかも知れない。換言すれば、この実施形態は、細菌の時間放出または位置放出を提供するかも知れない。
【0069】
別の例では、マトリックスは粒子の形態であり得、粒子のサイズは、動物による摂取に続く、動物飼料からの細菌の制御された時間放出または位置放出を可能にし得る。換言すれば、より大きいサイズの粒子は、より小さいサイズの粒子に対して、所定の胃液および/または腸内環境により長期間置かれた後で完全に劣化するかも知れない。マトリックスの粒子サイズは、したがって、動物飼料からの細菌の制御された時間放出または位置放出を可能にするように選択/カスタマイズされる。非限定的な実施形態では、粒子は、飼料ペレットより小さい平均直径サイズ(それには、例えば、2mmより小さい、または1mmより小さいなどが含まれる)を有していてもよい。その他の実施形態では、マトリックスは、粒子であって、第1の粒子平均サイズを有する粒子の第1の個体群と第2の粒子平
均サイズを有する粒子の第2の個体群とを少なくとも有し、第1および第2の粒子平均サイズの間のサイズ比が1より大きい前記粒子の形態であってもよい。1つの非限定的な実施形態では、第1の粒子平均サイズは、少なくとも250ミクロン、または少なくとも500ミクロン、または少なくとも1mmである。
【0070】
有利には、本明細書に記載の動物飼料ペレットは、異質な飼料添加物粒子平均直径サイズ含んでいてもよく、飼料添加物が、制御され、かつ、予め定められた方法で細菌を放出可能であるようになっている。例えば、ペレットは、異質な直径の飼料添加物粒子サイズを含んでいてもよく、各飼料添加物粒子が所定の時間および/または所定の腸内位置で有効に消化されるようになっており、このことは、粒子の実際の平均直径サイズに基づく。例えば、ペレット化された動物飼料は、0.1mm、0.5mm、1mm、2mmなどのような種々のサイズの飼料添加物粒子を含んでいてもよい(粒子が動物飼料ペレットより小さい限り)。当業者であれば、適切な飼料添加物粒子サイズの任意の組み合わせが、本開示の範囲に属することが意味されることを容易に理解するであろう。
【0071】
追加的または代替的には、動物飼料に飼料添加物を組み込むこと(飼料添加物は異質な粒子サイズ分布を有する粒子の形態である)は、腸に到達する細菌の量を調節し、したがって動物中での細菌の放出を制御することを可能にする。本明細書に記載の飼料添加物を含むペレット化された飼料の摂取の際、ペレット化された飼料は胃を通って移行し、該胃では、ペレットが少なくとも部分的に劣化し、そのことによって、飼料添加物を少なくとも部分的に放出し得る。飼料添加物は、有利には、胃の酸性pHから細菌を保護する要素を含んでいてもよい。このことは、動物であって、飼料添加物中の細菌に鈍感になるかも知れず、細菌の「パルス-タイプ」送達(細菌全体が短期間で放出される)を制限することが賢明であるかも知れないようになっている前記動物において特に有利であるかも知れない。
【0072】
実用的実装では、本明細書に記載の飼料添加物は、所定の動物飼料に組み込まれる細菌の量をカスタマイズするのに用いられてもよい。
【0073】
例えば、所定の制御された濃度の生きた非病原性細菌を有する飼料添加物は、特定の動物用の動物飼料ペレットの製造に用いられ得る。例えば、家禽を意図した動物飼料ペレットは、有益な効果を取得するために、ブタまたはウシを意図した比較の動物飼料ペレットと同一の量の生きた非病原性細菌を必ずしも必要としないであろう。所望されれば、家禽飼料に対してブタ飼料を製造する時に飼料添加物の異なる個体群を用いなければならないのではなく、当業者であれば、その代わりに、同様の個体群であるが、所定の制御された濃度のブタ特有の非病原性細菌を含む飼料添加物を有するものを用い得る。
【0074】
換言すれば、飼料添加物は、意図した動物の仕様にしたがって製造されてもよく、かつ、意図した動物に適した所定のCFU/g量を含んでいてもよい(すなわち、「ブタ級」、「ウシ級」、「家禽級」などにしたがって)。
【0075】
代替的には、同一の「級」は、動物飼料ペレットを製造するための出発材料として用いられてもよいが、その代わりに、動物の仕様のカスタマイズは、家禽飼料に対してブタ飼料を製造する時に異なる割合の飼料添加物を用いることによって飼料ペレット製造レベルでなされてもよい。
【0076】
追加的または代替的には、所定の制御された濃度の非病原性細菌を有する飼料添加物は、特定の動物の成長曲線の特定の段階のための動物飼料ペレットの製造に用いられ得る。例えば、ブタ用の動物飼料ペレットは、離乳後の段階において、その後の複数の肥育段階と比べて異なる、制御された量の生きた細菌を有していてもよい。
【0077】
例えば、特定の非限定的な実装では、動物飼料ペレットは、少なくとも104、または少なくとも105、または少なくとも106、または少なくとも107、または少なくとも108、または少なくとも109、または少なくとも1011である多数の生きた細菌のCFU/gを含んでいてもよい。例えば、動物飼料ペレットは、1×105~1×1011CFU/gまたはその中の任意の値を含んでいてもよい。かかる異なる数のCFU/gは、例えば、動物飼料ペレットの製造中に、制御された量の生きた細菌をますます多くの量で含む飼料添加物を組み込むことによって、または、異なる級の飼料添加物を組み込むことによって取得され得る。当業者であれば、この文脈において、飼料添加物の級が、異なる制御された量の生きた細菌を有する飼料添加物に対応することを容易に理解するであろう。所定の動物飼料中の細菌の量のかかるカスタマイズは、チェーン供給に沿った任意の位置(例えば、粒子ビーズ生産位置において、動物飼料生産位置において、エンドユーザー位置においてなど)でなされ得る。
【0078】
したがって、読者はまた、飼料添加物が適切な量(CFU/g)のE. coli菌株を含んでおり、動物飼料ペレットにおいて先行して説明した所望のCFU/gを達成することを容易に理解するであろう。例えば、飼料添加物は、少なくとも1×106CFU/g、または少なくとも1×107、または少なくとも1×108、または少なくとも1×109、または1×1010、または少なくとも1×1011などを含んでいてもよい。
【0079】
所定の動物飼料中の細菌の量の本明細書に記載のカスタマイズは、肉生産用に飼育された動物の文脈で有用であり得、例えば、ブタ業界では、農場は、典型的には、異なる飼料供給段階(例えば、2~4段階)を有する飼料供給プログラムを用いて動物に飼料を与え、第1の飼料(すなわち、第1の離乳飼料)は、約1週間~2週間の期間、与えられ得る。かかる場合、所定の動物飼料中の細菌の量のかかるカスタマイズを有することは、異なる飼料供給段階について、動物飼料中の異なるレベルの細菌を取得するのに有用であり得る。例えば、飼料添加物に含まれるE. coliが、ブタに特有の腸のストレスに対処する場合、動物飼料をカスタマイズして、第1の離乳および第1の肥育飼料供給段階のためにその中に特定のレベルの細菌を含むようにすることは、業界的に有用であるかも知れない。なぜなら、これら2つの段階が、ブタについての腸のストレスの2つのウィンドウ(window;窓)を表しているからである。
【0080】
E. coli細菌
非限定的な実施形態では、本明細書に記載の非病原性大腸菌(E. coli)は、任意の組み換えの、もしくは、野生のE. coli菌株、または、それらの任意の組み合わせを含んでいる。
【0081】
非限定的な実施形態では、E. coli菌株は、米国特許第7,981,411号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載された、受領番号IDAC210105-01の下で2005年1月21日付けでカナダの国際寄託当局(IDAC)に寄託された菌株、もしくは、米国特許第9,453,195号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載された、2013年6月20日付けでカナダの国際寄託当局(IDAC)に寄託され、受領番号200613-01が付与された菌株、または、それらの組み合わせである。
【0082】
IDACは、1996年9月21日付けでカナダが特許手続上の微生物寄託の国際的承認に関するブダペスト条約(ブダペスト条約)に加盟したことによって可能とされた特許微生物寄託機関である。さらに、ブダペスト条約との整合性を保証するためのカナダ特許法および特許規則の改正が、1996年10月1日付けで発効した。IDACの実際の住所は:カナダ国、R3E 3R2、ウィニペグ、アーリントン ストリート 1015で
ある。
【0083】
当業者であれば、E. coliが、マトリックスに埋め込まれる前は、乾燥形態であってもよく、未加工の形態であってもよく、冷凍形態であってもよいことを容易に認識するであろう。かかる形態は、培養物の形態(すなわち、培養培地の存在下での菌株)から直接取得されてもよく、培養培地から1つ以上の要素を除去し、または、例えば、冷凍保存または任意の別の後に続く処理ステップに適した別の1つ以上の要素と交換するような1つ以上の処理ステップの後で取得されてもよい。
【0084】
冷凍保存に適した1つ以上の要素の例は、次の特徴のうちの少なくとも1つを満たしているかも知れない:高度に水溶性である、細胞の内部に侵入する、毒性が低い、非反応性である、および、高濃度で沈殿しない。例えば、冷凍保存に適した1つ以上の要素は、例えば、グリセロール、スクロース、トレハロース、ウシ血清アルブミン(BSA)を含んでいてもよいが、それらに限定されない。
【0085】
マトリックス
マトリックスは、親水コロイド形成多糖を含んでいる。いくつかの親水コロイド形成多糖が、単独で、または、それらの任意の組み合わせで、本明細書に記載の使用に適している。
【0086】
高アミロース澱粉は、沸騰水中で澱粉粒を水和させ、高せん断ミキサーを用いて粒を分散させ、その後で約0~10℃まで溶液を冷却した後で堅固なゲルを形成することが可能である適切な親水コロイド形成多糖の例である。ゲルの堅さおよび強度は、溶液中の澱粉の濃度に依存し、最大有効濃度は10重量体積%までである。
【0087】
ペクチンは、高アミロース澱粉と非常に類似した役割を果たす、適切な親水コロイド形成多糖の別の例である。ペクチンは、ペクチンゲルマトリックスの強度が、糖高分子のカルボキシル基の間にブリッジを形成するCa2+のような二価カチオンの添加によってさらに増大し得るので、追加のメリットを有する。
【0088】
アルギン酸は、二価カチオンとの架橋によって堅固なゲルマトリックスを形成し得る適切な親水コロイド形成多糖の別の適切な例である。アルギン酸は、アルギン酸の第1の多糖をジカチオン(例えば、Ca2+)と内部架橋することによって(例えば、細糸、ひも、または、実質的に球形のビーズ形態にあるアルギン酸をCa2+の浴槽へと押し出すことによって)、堅固なゲルマトリックスへと硬化され得る。アルギン酸は、Ca2+との相互作用の際に硬化する。本技術分野で公知のマトリックスの調製の代替的な方法としては、Ca2+を含有する浴槽への混合物のスプレー噴霧、エマルジョンベースの技術、ならびに、流動床凝集および被覆が挙げられる。
【0089】
非限定的な実施形態では、親水コロイド形成多糖は、0.1%~20%の値である総乾燥物の重量パーセントでマトリックス中に存在する。非限定的な実施形態では、親水コロイド形成多糖は、0.1%~19%、または0.1%~18%、または0.1%~17%、または0.1%~16%、または0.1%~15%、または0.1%~14%、または0.1%~13%、または0.1%~12%、または1%~12%の値であり、その中の任意の値を含む総乾燥物の重量パーセントでマトリックス中に存在する。
【0090】
1つの実施形態では、多糖は第1の多糖であり、かつ、マトリックスはさらに、第1の多糖とは異なる第2の多糖を含んでいる。必要に応じて、マトリックスは二糖を含んでいてもよい。
【0091】
代替的または追加的には、マトリックスは、マトリックスの表面の少なくとも一部の上に配置された被覆を含んでいてもよい。被覆は、第1の多糖とは異なる第2の多糖を含んでいてもよい。必要に応じて、被覆は二糖を含んでいてもよい。
【0092】
非限定的な実施形態では、二糖および第2の多糖は、1:10~10:1である二糖/第2の多糖(重量%/重量%)の比で、被覆中および/またはマトリックス中に存在する。別の非限定的な実施形態では、この比は、9:1、9:2、9:3、9:4、9:5、9:6、9:7、9:8、8:1、8:2、8:3、8:4、8:5、8:6、8:7、7:1、7:2、7:3、7:4、7:5、7:6、6:1、6:2、6:3、6:4、6:5、5:1、5:2、5:3、5:4、4:1、4:2、4:3、3:1、3:2、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、2:3、2:4、2:5、2:6、2:7、2:8、2:9、3:4、3:5、3:6、3:7、3:8、3:9、4:5、4:6、4:7、4:8、4:9、5:6、5:7、5:8、5:9、6:7、6:8、6:9、7:8、7:9または8:9であり、その間の任意の比の値を含んでいる。
【0093】
別の非限定的な実施形態では、二糖/第2の多糖(重量%/重量%)の比は10より小さく、より好ましくは5より小さい。非限定的な実施形態では、二糖/第2の多糖(重量%/重量%)の比は約1である。
【0094】
非限定的な実施形態では、二糖は、0.1%~90%、または0.1%~75%、または0.1%~50%、または0.1%~35%、または0.1%~20%、または0.1%~15%、または0.1%~10%であり、その中の任意の値を含む値にて(総乾燥物の重量パーセントで)被覆中および/またはマトリックス中に存在する。
【0095】
非限定的な実施形態では、二糖はスクロースを含んでいる。
【0096】
非限定的な実施形態では、二糖はトレハロースを含んでいる。
【0097】
非限定的な実施形態では、二糖はスクロースとトレハロースとを含んでいる。
【0098】
非限定的な実施形態では、第2の多糖はマルトデキストリンを含んでいる。
【0099】
非限定的な実施形態では、第2の多糖はデキストランを含んでいる。
【0100】
非限定的な実施形態では、第2の多糖はマルトデキストリンとデキストランとを含んでいる。
【0101】
非限定的な実施形態では、デキストランは20~70kDaの分子量を有する。
【0102】
非限定的な実施形態では、飼料添加物(すなわち、マトリックスおよび/または被覆)はさらに、アミノ酸の塩を含んでいる。
【0103】
非限定的な実施形態では、アミノ酸の塩はL-グルタミン酸の塩を含んでいる。
【0104】
非限定的な実施形態では、塩はL-グルタミン酸のナトリウム塩である。
【0105】
本明細書に記載のマトリックスは、本明細書に記載の乾燥ステップから出る際に、<0.3の水分活性(「aw」)を有し、例えば、0.04<aw
<0.3、0.04<aw
<2.5、0.04<aw
<2.0、0.04<aw
<1.5などである。本開示の文脈
における「水分活性」または「aw」は、水の利用可能性を意味し、システム中の水のエネルギー状態を表す。それは概して、同一の温度における純水のもので割ったサンプルより上の水の蒸気圧として定義される。水分活性は、本技術分野で公知の材料および手順により(例えば、Aqualab Water Activity Meter 4TE(Decagon Devices, Inc.、米国)を用いて)測定されてもよい。乾燥は、スプレー乾燥、流動床乾燥、凍結乾燥、真空乾燥のようなステップを含んでいてもよい。乾燥ステップの非限定的な実用的実装が、本明細書において後にさらに説明される。
【0106】
動物飼料ペレット被覆層
別の実用的実装では、動物飼料ペレットはさらに、動物飼料ペレット表面の少なくとも一部を覆う層(該層は、飼料添加物を含んでいる)を含み、被覆された動物飼料ペレットを形成してもよい。動物飼料ペレットの被覆は、スプレー乾燥、スプレー冷却、スプレー噴霧、流動床凝集およびエマルジョンベースの技術のような本技術分野で公知の方法にしたがって実行されてもよい。被覆されていない動物飼料ペレット上への被覆の完全な分散は、被覆されていない動物飼料ペレットをタンブリング作用に曝露することによって達成されてもよい。
【0107】
いくつかの実施形態では、ペレット中のE. coliの追加の供給源(すなわち、外層中の第1の供給源およびペレットに組み込まれた第2の供給源)の存在は、E. coliの時間放出または位置を特定した送達を可能にするかも知れない。実際、外層は、所定の割合で、または、動物の胃腸管に沿った所定の位置で溶解する材料で形成されていてもよく、これは、動物飼料に組み込まれたE. coliの送達の割合とは異なり得る。
【0108】
いくつかの実施形態では、動物飼料ペレットの被覆はさらに、湿度および腐敗に対する保護を向上させ、かつ、動物飼料ペレットの貯蔵寿命を増大させるかも知れない。動物飼料ペレットの被覆はさらに、汚染物質に対する保護を向上させるかも知れない。
【0109】
その他の実施形態では、動物飼料ペレットの被覆は、動物飼料ペレットの嗜好性を改善するかも知れず、このことはさらにペレットに嗜好性増強剤を添加する必要性を減少させる。動物飼料ペレットの被覆はまた、強烈な臭気および風味をマスキングして、動物による被覆された動物飼料ペレットの摂取を向上させるかも知れない。
【0110】
包装
1つの実用的実装では、本開示は、包装であって、周囲湿度に対するその中の内容物の曝露を制御するのに十分である湿度制御バリアを有する前記包装に関する。換言すれば、包装は、周囲湿度に対する本開示の生きた非病原性細菌(すなわち、飼料添加物中および/または飼料ペレット中の)の曝露を制御するかも知れない。湿度制御バリアを有する有利な効果は、内容物に含有される細菌が、実質的に非活動的な状態のままであってもよく、そのことにより、飼料添加物および/または飼料ペレットの有用な貯蔵寿命を増大させることである。
【0111】
実用的実装では、包装はさらに別個の区画を含んでいてもよく、該別個の区画は、少なくとも1つの区画に飼料ペレットに組み込まれる飼料添加物を貯蔵し、かつ、少なくとも別の区画に湿度制御要素を貯蔵するように構成されている。
【0112】
非限定的な実施形態では、包装は、ポリエチレン、ポリウレタンまたは任意のその他の飼料適合性高分子を含む内側の裏地を含んでいてもよい。裏地は、単一の層であってもよく、多層の材料であってもよい。いかなる理論にも拘束されることを希望することなく、裏地は、少なくとも漏れ、湿度、酸素、汚染および紫外線(UV)放出に対する保護を提
供するかも知れず、かつ、飼料添加物および/または飼料ペレットの適切な貯蔵寿命を保証すると考えられる。
【0113】
実用的実装では、包装は、任意の密封機構を通して、上端にシールを含んでいてもよい。上端におけるシールの開口部は、飼料添加物および/または飼料ペレットを分配するための出口を提供し得る。
【0114】
別の実用的実装では、包装は別個の区画を含んでいてもよく、該別個の区画は、少なくとも1つの区画に飼料添加物を貯蔵し、かつ、少なくとも別の区画に飼料ペレット材料を貯蔵するように構成されている。
【0115】
非限定的な実施形態では、飼料添加物を貯蔵するための少なくとも1つの区画と、飼料ペレット材料を貯蔵するための少なくとも別の区画とは、その間の流体連通を防止するように構成されていてもよく、すなわち、それらが相互接続しないようになっている。相互接続の欠如は、飼料ペレット材料および飼料添加物の早期の混合を防止するかも知れない。
【0116】
非限定的な実施形態では、飼料添加物を貯蔵するための少なくとも1つの区画は、飼料ペレット材料を貯蔵するための少なくとも別の区画の内容物全体への添加に適した大量の飼料添加物(すなわち、生きた細菌の大量のCFUに等しい)を貯蔵するように構成されていてもよい。この実施形態によれば、飼料添加物を有する飼料ペレットの調製は、ユーザーがペレット化される飼料に添加すべき飼料添加物の量を計算する必要がないので、簡略化される。先行して説明されたように、飼料添加物中のCFUの量は、異なる級にしたがってカスタマイズされてもよい(すなわち、特定の動物用途にしたがって変化してもよい)。かかる用途では、ペレット化される飼料に添加されるべき飼料添加物の量を計算しなければならないのではなく、ユーザーは、飼料添加物中に適量のCFUを既に有する特定の「ブタ」包装を求め、「ブタ」飼料ペレットを取得することを選択すればよい。非限定的な例として、数量λの飼料添加物を有する包装は、離乳後の仔ブタ用の飼料ペレットの調製に適しているかも知れず、一方で、数量βの飼料添加物を有する包装は、肥育段階にある仔ブタ用の飼料ペレットの調製に適しているかも知れない。
【0117】
その他の実施形態では、包装はさらに、異なる飼料添加物または種々の数量の飼料添加物を貯蔵するように構成された追加の区画を含んでいてもよい。
【0118】
有利には、包装は、「消費期限」または「販売有効期限」の日付で印を付けられ、「消費期限」または「販売有効期限」の日付における所望の最少量のCFU(すなわち、所望のCFU/g)を保証してもよい。実際、当業者であれば、例えば、所定の期間後の飼料添加物の予期される湿度/温度/酸素への曝露を考慮することによって、所定の期間後に残る有用な量のCFUを外挿法から推定することが可能である。
【0119】
飼料添加物を分配するためのシステム
図3は、本明細書に記載の飼料添加物を分配するためのシステム1000を示している。システム1000は、遠隔制御ユニット1100、飼料添加物を貯蔵するように構成されたホッパー1200、スタンド1300、密封機構1400および分配機構1500を少なくとも含むいくつかの別個の部品を含んでいる。
【0120】
非限定的な実施形態では、遠隔制御ユニット1100はコンピューターを含んでおり、かつ、データネットワーク(図示せず)にわたってスタンド1300にしっかりと接続され得るキャビネット(図示せず)内に収容されていてもよい。実用的実装では、データネットワークは、公衆ネットワーク(例えば、インターネット)、プライベートネットワー
ク(例えば、LANもしくはWAN)、有線ネットワーク(例えば、イーサネットネットワーク)、無線ネットワーク(例えば、802.11ネットワークもしくはWi-Fiネットワーク)、セルラーネットワーク(例えば、ロングタームエボリューション(LTE)ネットワーク)、ルーター、ハブ、スイッチ、サーバーコンピューター、および/または、それらの任意の組み合わせを含むがそれらに限定されない、任意の適切なネットワークであってもよい。
【0121】
ホッパー1200は、上端において開口しており、飼料添加物を受け取るように構成されていてもよい。ホッパー1200は、下端において密封機構1400に接続されていてもよい。密封機構1400は、ホッパー1200の内部が分配機構1500と連通していない閉位置(
図3に示されているような)と、ホッパー1200の内部が分配機構1500と連通している開位置(図示せず)との間で移動可能であってもよい。
【0122】
非限定的な実施形態では、分配機構1500は、一定のメッシュサイズの取り外し可能であるメッシュを含んでいてもよい。好ましい実施形態では、メッシュサイズは、特定の直径の飼料添加物のビーズのみが分配機構を通して分配されるように選択される。非限定的な例として、メッシュサイズは、250ミクロンまでの、500ミクロンまでの、1mmまでの、または、2mmまでのビーズのみが分配機構を通して分配されてもよいように選択されてもよい。供給源である飼料添加物のビーズ直径分布に依存して、分配機構は、同質または異質である直径のビーズを分配するのに用いられてもよい。
【0123】
その他の実施形態では、分配機構1500は、互いの上に重なった別個のメッシュサイズの複数の取り外し可能であるメッシュを含んでいてもよく、分配機構が、有利なことに、異質であるビーズサイズ分布を有する飼料添加物を供給源として用いて、同質である直径の飼料添加物のビーズを分配するのに用いられてもよいようになっている。すなわち、別個のビーズ直径を有するいくつかの飼料添加物が、混合され、かつ、ホッパー1200に詰め込まれ、ホッパー1200中に異質であるビーズサイズ分布を有する飼料添加物をもたらしてもよい。メッシュの取り外しの適切なシーケンスを用いて、本発明のシステムは、異質であるビーズサイズ分布から、第1のビーズ直径、したがって、量Xである生きた非病原性細菌の第1のCFUを有する飼料添加物の第1の部分と、第2のビーズ直径、したがって、量Yである生きた非病原性細菌の第2のCFUを有する飼料添加物の第2の部分とを分配するのに便宜に用いられてもよい。したがって、システム1000は、異なる「級」の、本明細書の至る所で説明されている飼料添加物/飼料ペレットを取得するのに用いられてもよい。簡潔には、特定の量のCFUが、その後ペレットの製造のために分配される特定の粒子サイズと量との比を選択することによって所定の用途(例えば、動物の種および/または成長段階)のために選択および提供され得る(すなわち、カスタマイズされ得る)。
【0124】
非限定的な実施形態では、ホッパー1200は、好ましくは、ステンレス鋼製である。
【0125】
非限定的な実施形態では、ホッパー1200はさらに、その内部に混合手段(図示せず)を含み、ホッパー1200の下端における詰まりを防止してもよい。その他の実施形態では、飼料添加物は、水のような液体ともに分配され、システムの詰まりを防止してもよい。
【0126】
当業者であれば、その他のディスペンサーシステムが、本発明から逸脱することなく適用可能であってもよいことを容易に理解するであろう。
【実施例0127】
以下の実施例では、3つの保存溶液が、保存溶液S1とともに試験された。試験は三重
に実行され、かつ、1つの標準偏差が次の式にしたがって計算された:
【0128】
【0129】
式中、nはサンプルの数であり、かつ、
【0130】
【0131】
はサンプル個体群の平均である。
【0132】
以下の実施例のそれぞれにおいて、細菌生存率が、本技術分野で公知のプロトコルにしたがってコロニー形成単位(CFU)の数を測定することによって評価された。
【0133】
以下の実施例で用いられた保存溶液は、表1に示されている。
【0134】
【0135】
1. 実施例1
この実施例には、本開示の実施形態による飼料添加物の調製について記載されている。この実施例では、細菌が、アルギン酸カルシウムで作られたマトリックスに包まれている。アルギン酸カルシウムマトリックスは粒子の形態であり、用途に依存して異質または同
質である平均直径サイズを有し得る。ビーズが出発材料として液体細菌培養物を用いて製造されるので、当業者であれば、本明細書に記載の乾燥したE. coliビーズの最終組成が、細菌培養培地の成分を含んでいるかも知れないことを理解するであろう。
【0136】
a. E. coli培養物
図1を参照すると、E. coli菌株が、第1のステップ100において、動物由来ではないトリプチックソイ寒天上で培養された。六(6)個の隔離されたコロニーが、その後、第2のステップ200において、37℃にて2時間、30mLの動物由来ではないトリプチックソイブロス(TSB)(1LのTSBについて:20gのSoy Peptone A3 SC-(Organotechnie)、2.5gの米国薬局方収載の無水デキストロース-(J.T. Baker)、5gの米国薬局方収載の塩化ナトリウム-(J.T. Baker)、および、2.5gの米国薬局方収載のリン酸二カリウム-(Fisher Chemical))中で200rpmにて撹拌して、E. coli菌株を培養するのに用いられた。
【0137】
結果として生じた培養物1は、TSB中で10倍に希釈され、その後、第3のステップ300において、37℃にて2時間、100mLの動物由来ではないTSB中で200rpmにて撹拌して、E. coli菌株を培養するのに用いられた。結果として生じた培養物2は、TSB中で10倍に希釈され、その後、第4のステップ400において、37℃にて5時間、1Lの動物由来ではないTSB中で200rpmにて撹拌して、E. coli菌株を培養するのに用いられた。結果として生じた培養物3は、その後、マトリックスにE. coliを埋め込むのに用いられた。本明細書に記載の培養物プロトコルのバリエーションおよび改善が可能であり、本願の教示を考慮した当業者に明らかになるであろう。例えば、非病原性E. coliはまた、本技術分野で公知のプロトコルにしたがって嫌気条件で培養されてもよい(Son & Taylor, Curr. Protoc. Microbiol., 2012, 27:5A.4.1 - 5A.4.
9)。後に続く実施例のビーズを調製する際、受領番号IDAC210105-01の下で2005年1月21日付けでカナダの国際寄託当局(IDAC)に寄託された非病原性E. coli菌株が用いられた。
【0138】
b.マトリックスの調製
Bacto商標ペプトン(1.5g、BD、カナダ国ミシサガ)が、1.5Lの加熱水と混合され、混合物が取得された。アルギン酸(30g Grindsted登録商標、DuPont商標、Danisco登録商標、カナダ国ミシサガ)が、マグネチックバーを用いて360rpmにて混合しながら、混合物にゆっくりと添加された。アルギン酸の完全な可溶化が約3時間で取得され、2質量体積%のアルギン酸溶液が取得された。マグネチックバーを含む溶液は、その後、標準条件下でオートクレーブされた。本明細書に記載のマトリックス調製プロトコルのバリエーションおよび改善が可能であり、本願の教示を考慮した当業者に明らかになるであろう。
【0139】
c. マトリックスへのE. coliの埋め込み
以下のものが、マグネチックバーで混合しながら、オートクレーブされたマトリックス溶液(1.5L)に添加され、スラリーが取得された:1Lの動物由来ではないTSBと、0.5LのE. coliの結果として生じる培養物3(
図1参照)。
【0140】
スラリー(3L)は、重合浴槽(水中に、300mMのCaCl2、0.1重量体積%のBacto商標トリプトン、0.1重量体積%のBacto商標ペプトンおよび0.05重量体積%のBacto商標酵母抽出物)に押し出されて、Thermo Scientific商標 Reacti-Vap商標 Evaporatorsから採用された9個の出口を有するシリンジシステムを用いてビーズが形成された。浴槽は、スラリーを注
入する間、緩やかにかき混ぜられた。マトリックスビーズは、約30分で架橋が可能となり、かつ、結果として生じる硬化したビーズは、その後、採取された。本明細書に記載の埋め込みプロトコルのバリエーションおよび改善が可能であり、本願の教示を考慮した当業者に明らかになるであろう。ビーズは、その後、約24時間、室温にて空気乾燥機における箱形乾燥機上に配置され、半乾燥ビーズが取得され、かつ、半乾燥ビーズは、その後、64時間、脱水機に配置され、その中では、乾燥しており、かつ、フィルタリングされた空気が吹き付けられ、乾燥ビーズが取得された。
【0141】
本発明者は、驚くべきことに、かつ、意外なことに、乾燥前に約20分間緩やかにかき混ぜながら保存溶液中で埋め込まれたE.coliをインキュベートすることが、乾燥ステプ中の細菌の損失を有意に減少させ、乾燥ビーズの形成をもたらすことを観察した。
【0142】
d. 埋め込まれたE. coliの乾燥および試験
各保存溶液について、乾燥および試験が、少なくとも三重に実行された。
図2を参照すると、第1のステップ500において、マトリックス中に埋め込まれたE. coliを有するビーズは、保存溶液S1、保存溶液S2、保存溶液S3または保存溶液S4中に配置され、約20分間緩やかにかき混ぜられた。それぞれの場合において、総CFUの判定550が、保存溶液への浸漬後に実行された。第2のステップ600において、ビーズは、その後、約24時間、室温にて空気乾燥機における箱形乾燥機上に配置され、半乾燥ビーズが取得された。それぞれの場合において、水分活性a
wの測定650が、Aqualab Water Activity Meter 4TE(Decagon Devices, Inc.、米国)を用いて半乾燥ビーズに対して実行された。第3のステップ700において、半乾燥ビーズは、その後、約64時間、脱水機に配置され、その中では、乾燥しており、かつ、フィルタリングされた空気が吹き付けられた。本開示の実施形態によれば、乾燥工程800は、少なくとも2つのステップを含んでいる:室温にて24時間、空気乾燥機にビーズを配置し、半乾燥ビーズを取得することを含むステップ600と、64時間、脱水機に半乾燥ビーズを配置し、乾燥ビーズを取得することを含むステップ700。それぞれの場合において、総CFUの判定750と水a
wの測定760とが、乾燥ビーズに対して実行された。水分活性a
w
<0.3である乾燥ビーズが取得された。
【0143】
それぞれの場合において、かつ、
図2を参照して、a
w分の1の減少は、下記にしたがって計算された:
【0144】
【0145】
それぞれの場合において、かつ、
図2を参照して、生存率低下(CFU log損失)が下記にしたがって計算された:
【0146】
【0147】
それぞれの場合において、平均生存率低下と、保存溶液S1を用いて取得された結果に
対する標準化された平均生存率低下とが計算された。
【0148】
結果は、
図4に示されている。保存溶液4は、0.142±0.004である水分活性を持続しながら、0.32である標準化された平均生存率低下を示した。
【0149】
実施例1の結果を編集したものが、表2および表3に示されている。これら結果は、保存溶液S1およびS4の要素が、乾燥マトリックスに埋め込まれたE. coliの生存率、および、乾燥工程700に対するその耐性に対して、有意な効果を提供したことを示している。
【0150】
【0151】
【0152】
e. 動物飼料への乾燥した埋め込まれたE. coliの組み込み(「ペレット化」)
動物飼料に乾燥マトリックス(例えば、飼料添加物の形態にある)を組み込むためのプロトコルが、本技術分野で公知である。そのようにすることの説明的な例が、例えば、大量の動物飼料に500g~1000gの乾燥マトリックスビーズを組み込むことによって行われ得る。所望されれば、飼料はまた、活動的でない酵母産物を適量で含み得る。例えば、埋め込まれたE. coliを含む乾燥マトリックスビーズ(すなわち、飼料添加物)は、同質化タンク中で、すべてのその他の材料のうちの少なくとも一部と混合され得る。好ましくは、混合物は、ペレット化工程中、継続して混合される。混合された材料は、その後、押出機に向けてポンピングされる
【0153】
蒸気が混合された材料に適用され(すなわち、蒸気調節)、該適用は、それが今にも押出機の中に入りそうな時、または、押出機内に配置された区画内にある時のいずれかで行われる(すなわち、したがって、混合物の温度はこの段階で上昇する)。温度の典型的な値は、約70~約90℃の範囲内で変化してもよい。適切な圧力が混合物に適用され、該
適用は押出機内部のその通過中に行われる。圧力の典型的な値は、約20psig~約80psigの範囲内で変化してもよい。形成されたペレットは、その後、押出機から冷却タンクへと排出される(30~40℃までの急速な温度低下の後に別の冷却が続き、周囲温度に到達する)。飼料添加物(埋め込まれたE. coliを含むマトリックス)を含むペレット化された飼料は、その後、以下でさらに説明されるように、例えば袋/容器中で貯蔵され得る。本明細書に記載のペレット化プロトコルのバリエーションおよび改善が可能であり、本願の教示を考慮した当業者に明らかになるであろう。
【0154】
2. 実施例2
ここで試験される各保存溶液について、乾燥および試験が、少なくとも三重に実行された。
図2を参照すると、第1のステップ500において、実施例1の場合のように調製されたビーズが、保存溶液S1、保存溶液S5、保存溶液S6または保存溶液S7中に配置され、約20分間緩やかにかき混ぜられた。それぞれの場合において、総CFUの判定550が、保存溶液への浸漬後に実行された。第2のステップ600において、ビーズは、その後、約24時間、室温にて空気乾燥機における箱形乾燥機上に配置され、半乾燥ビーズが取得された。それぞれの場合において、水分活性a
wの測定650が、Aqualab Water Activity Meter 4TE(Decagon Devices, Inc.、米国)を用いて半乾燥ビーズに対して実行された。第3のステップ700において、半乾燥ビーズは、その後、約64時間、脱水機に配置され、その中では、乾燥しており、かつ、フィルタリングされた空気が吹き付けられた。本開示の実施形態によれば、乾燥工程800は、少なくとも2つのステップを含んでいる:室温にて24時間、空気乾燥機にビーズを配置し、半乾燥ビーズを取得することを含むステップ600と、64時間、脱水機に半乾燥ビーズを配置し、乾燥ビーズを取得することを含むステップ700。それぞれの場合において、総CFUの判定750と水a
wの測定760とが、乾燥ビーズに対して実行された。水分活性a
w
<0.3である乾燥ビーズが取得された。
【0155】
それぞれの場合において、かつ、
図2を参照して、a
w分の1の減少は、下記にしたがって計算された:
【0156】
【0157】
それぞれの場合において、かつ、
図2を参照して、生存率低下(CFU log損失)が下記にしたがって計算された:
【0158】
【0159】
それぞれの場合において、平均生存率低下と、保存溶液S1を用いて取得された結果に対する標準化された平均生存率低下とが計算された。
【0160】
結果は、
図5に示されている。保存溶液7は、0.298±0.013である水分活性を持続しながら、0.38である標準化された平均生存率低下を示した。
【0161】
実施例2の結果を編集したものが、表4および表5に示されている。これら結果は、保
存溶液S7の要素が、乾燥マトリックスに埋め込まれたE. coliの生存率、および、乾燥工程700に対するその耐性に対して、有意な保護効果を提供したことを示している。
【0162】
【0163】
【0164】
3. 実施例3
ここで試験される各保存溶液について、乾燥および試験が、少なくとも三重に実行された。
図2を参照すると、第1のステップ500において、実施例1の場合のように調製されたビーズが、保存溶液S1、保存溶液S0、保存溶液S8または保存溶液S9中に配置され、約20分間緩やかにかき混ぜられた。それぞれの場合において、総CFUの判定550が、保存溶液への浸漬後に実行された。第2のステップ600において、ビーズは、その後、約24時間、室温にて空気乾燥機における箱形乾燥機上に配置され、半乾燥ビーズが取得された。それぞれの場合において、水分活性a
wの測定650が、Aqualab Water Activity Meter 4TE(Decagon Devices, Inc.、米国)を用いて半乾燥ビーズに対して実行された。第3のステップ700において、半乾燥ビーズは、その後、約64時間、脱水機に配置され、その中では、乾燥しており、かつ、フィルタリングされた空気が吹き付けられた。本開示の実施形態によれば、乾燥工程800は、少なくとも2つのステップを含んでいる:室温にて24時間、空気乾燥機にビーズを配置し、半乾燥ビーズを取得することを含むステップ600と、64時間、脱水機機に半乾燥ビーズを配置し、乾燥ビーズを取得することを含むステップ700。それぞれの場合において、総CFUの判定750と水a
wの測定760とが、乾燥ビーズに対して実行された。水分活性a
w
<0.3である乾燥ビーズが取得された。
【0165】
それぞれの場合において、かつ、
図2を参照して、a
w分の1の減少は、下記にしたがって計算された:
【0166】
【0167】
それぞれの場合において、かつ、
図2を参照して、生存率低下(CFU log損失)が下記にしたがって計算された:
【0168】
【0169】
それぞれの場合において、平均生存率低下と、保存溶液S1を用いて取得された結果に対する標準化された平均生存率低下とが計算された。
【0170】
【0171】
実施例3の結果を編集したものが、表6および表7に示されている。
【0172】
【0173】
【0174】
4. 実施例4
ここで試験される各保存溶液について、乾燥および試験が、少なくとも三重に実行された。
図2を参照すると、第1のステップ500において、実施例1の場合のように調製さ
れたビーズが、保存溶液S1、保存溶液S10、保存溶液S11または保存溶液S12中に配置され、約20分間緩やかにかき混ぜられた。それぞれの場合において、総CFUの判定550が、保存溶液への浸漬後に実行された。第2のステップ600において、ビーズは、その後、約24時間、室温にて空気乾燥機における箱形乾燥機上に配置され、半乾燥ビーズが取得された。それぞれの場合において、水分活性a
wの測定650が、Aqualab Water Activity Meter 4TE(Decagon Devices, Inc.、米国)を用いて半乾燥ビーズに対して実行された。第3のステップ700において、半乾燥ビーズは、その後、約64時間、脱水機に配置され、その中では、乾燥しており、かつ、フィルタリングされた空気が吹き付けられた。本開示の実施形態によれば、乾燥工程800は、少なくとも2つのステップを含んでいる:室温にて24時間、空気乾燥機にビーズを配置し、半乾燥ビーズを取得することを含むステップ600と、64時間、脱水機に半乾燥ビーズを配置し、乾燥ビーズを取得することを含むステップ700。それぞれの場合において、総CFUの判定750と水a
wの測定760とが、乾燥ビーズに対して実行された。水分活性a
w
<0.3である乾燥ビーズが取得された。
【0175】
それぞれの場合において、かつ、
図2を参照して、a
w分の1の減少は、下記にしたがって計算された:
【0176】
【0177】
それぞれの場合において、かつ、
図2を参照して、生存率低下(CFU log損失)が下記にしたがって計算された:
【0178】
【0179】
それぞれの場合において、平均生存率低下と、保存溶液S1を用いて取得された結果に対する標準化された平均生存率低下とが計算された。
【0180】
結果は、
図7に示されている。保存溶液S7は、0.58である標準化された平均生存率低下を示した。
【0181】
実施例4の結果を編集したものが、表8および表9に示されている。
【0182】
【0183】
【0184】
5. 実施例5
ここで試験される各保存溶液について、乾燥および試験が、少なくとも三重に実行された。
図2を参照すると、第1のステップ500において、実施例1の場合のように調製されたビーズが、保存溶液S1、保存溶液S13、保存溶液S14または保存溶液S15中に配置され、約20分間緩やかにかき混ぜられた。それぞれの場合において、総CFUの判定550が、保存溶液への浸漬後に実行された。第2のステップ600において、ビーズは、その後、約24時間、室温にて空気乾燥機における箱形乾燥機上に配置され、半乾燥ビーズが取得された。それぞれの場合において、水分活性a
wの測定650が、Aqualab Water Activity Meter 4TE(Decagon Devices, Inc.、米国)を用いて半乾燥ビーズに対して実行された。第3のステップ700において、半乾燥ビーズは、その後、約64時間、脱水機に配置され、その中では、乾燥しており、かつ、フィルタリングされた空気が吹き付けられた。本開示の実施形態によれば、乾燥工程800は、少なくとも2つのステップを含んでいる:室温にて24時間、空気乾燥機にビーズを配置し、半乾燥ビーズを取得することを含むステップ600と、64時間、乾燥機に半乾燥ビーズを配置し、乾燥ビーズを取得することを含むステップ700。それぞれの場合において、総CFUの判定750と水a
wの測定760とが、乾燥ビーズに対して実行された。水分活性a
w
<0.3である乾燥ビーズが取得された。
【0185】
それぞれの場合において、かつ、
図2を参照して、a
w分の1の減少は、下記にしたがって計算された:
【0186】
【0187】
それぞれの場合において、かつ、
図2を参照して、生存率低下(CFU log損失)が下記にしたがって計算された:
【0188】
【0189】
それぞれの場合において、平均生存率低下と、保存溶液S1を用いて取得された結果に対する標準化された平均生存率低下とが計算された。
【0190】
結果は、
図8に示されている。保存溶液S7は、0.35である標準化された平均生存率低下を示した。
【0191】
実施例5の結果を編集したものが、表10および表11に示されている。
【0192】
【0193】
【0194】
6. 実施例6
ここで試験される各保存溶液について、乾燥および試験が、少なくとも三重に実行された。
図2を参照すると、第1のステップ500において、実施例1の場合のように調製されたビーズが、保存溶液S1、保存溶液S16、保存溶液S17または保存溶液S18中に配置され、約20分間緩やかにかき混ぜられた。それぞれの場合において、総CFUの判定550が、保存溶液への浸漬後に実行された。第2のステップ600において、ビーズは、その後、約24時間、室温にて空気乾燥機における箱形乾燥機上に配置され、半乾燥ビーズが取得された。それぞれの場合において、水分活性a
wの測定650が、Aqualab Water Activity Meter 4TE(Decagon Devices, Inc.、米国)を用いて半乾燥ビーズに対して実行された。第3のステップ700において、半乾燥ビーズは、その後、約64時間、脱水機に配置され、その中では、乾燥しており、かつ、フィルタリングされた空気が吹き付けられた。本開示の実施形態によれば、乾燥工程800は、少なくとも2つのステップを含んでいる:室温にて24時間、空気乾燥機にビーズを配置し、半乾燥ビーズを取得することを含むステップ600と、64時間、脱水機に半乾燥ビーズを配置し、乾燥ビーズを取得することを含むステップ700。それぞれの場合において、総CFUの判定750と水a
wの測定760とが、乾燥ビーズに対して実行された。水分活性a
w
<0.3である乾燥ビーズが取得された。
【0195】
それぞれの場合において、かつ、
図2を参照して、a
w分の1の減少は、下記にしたがって計算された:
【0196】
【0197】
それぞれの場合において、かつ、
図2を参照して、生存率低下(CFU log損失)が下記にしたがって計算された:
【0198】
【0199】
それぞれの場合において、平均生存率低下と、保存溶液S1を用いて取得された結果に対する標準化された平均生存率低下とが計算された。
【0200】
【0201】
実施例6の結果を編集したものが、表12および表13に示されている。
【0202】
【0203】
【0204】
7. 実施例7
ここで試験される各保存溶液について、乾燥および試験が、少なくとも三重に実行された。
図2を参照すると、第1のステップ500において、実施例1の場合のように調製されたビーズが、保存溶液S1または保存溶液S19中に配置され、約20分間緩やかにかき混ぜられた。それぞれの場合において、総CFUの判定550が、保存溶液への浸漬後に実行された。第2のステップ600において、ビーズは、その後、約24時間、室温にて空気乾燥機における箱形乾燥機上に配置され、半乾燥ビーズが取得された。それぞれの場合において、水分活性a
wの測定650が、Aqualab Water Activity Meter 4TE(Decagon Devices, Inc.、米国)を用いて半乾燥ビーズに対して実行された。第3のステップ700において、半乾燥ビーズは、その後、約64時間、脱水機に配置され、その中では、乾燥しており、かつ、フィルタリングされた空気が吹き付けられた。本開示の実施形態によれば、乾燥工程800は、少なくとも2つのステップを含んでいる:室温にて24時間、空気乾燥機にビーズを配置し、半乾燥ビーズを取得することを含むステップ600と、64時間、脱水機に半乾燥ビーズを配置し、乾燥ビーズを取得することを含むステップ700。それぞれの場合において、総CFUの判定750と水a
wの測定760とが、乾燥ビーズに対して実行された。水分活性a
w
<0.3である乾燥ビーズが取得された。
【0205】
それぞれの場合において、かつ、
図2を参照して、a
w分の1の減少は、下記にしたがって計算された:
【0206】
【0207】
それぞれの場合において、かつ、
図2を参照して、生存率低下(CFU log損失)が下記にしたがって計算された:
【0208】
【0209】
それぞれの場合において、平均生存率低下と、保存溶液S1を用いて取得された結果に対する標準化された平均生存率低下とが計算された。
【0210】
【0211】
実施例7の結果を編集したものが、表14および表15に示されている。
【0212】
【0213】
【0214】
8. 実施例8
ここで試験される各保存溶液について、乾燥および試験が、少なくとも三重に実行された。実施例1の場合のように調製されたビーズが、保存溶液S1、保存溶液S2、保存溶液S3または保存溶液S4中に配置され、約20分間緩やかにかき混ぜられた。ビーズは
、その後、約24時間、室温にて空気乾燥機における箱形乾燥機上に配置され、半乾燥ビーズが取得された。半乾燥ビーズは、その後、約64時間、脱水機に配置され、その中では、乾燥しており、かつ、フィルタリングされた空気が吹き付けられた。水分活性aw
<0.3である乾燥ビーズが取得された。
【0215】
それぞれの場合において、菌株生存率は、乾燥ビーズのCFU/gを測定することによって、4℃における貯蔵条件下で四(4)週間にわたって試験された。試験は少なくとも三重に実行され、かつ、1つの標準偏差が計算された。
【0216】
実施例8の結果は、表16に示されており、試験された保存溶液はすべて、4℃にて貯蔵された時、少なくとも4週間の間、飼料添加物菌株安定性を与えた。
【0217】
【0218】
9.実施例9
ここで試験される各保存溶液について、乾燥および試験が、少なくとも三重に実行された。実施例1の場合のように調製されたビーズが、保存溶液S1、保存溶液S5、保存溶液S6または保存溶液S7中に配置され、約20分間緩やかにかき混ぜられた。ビーズは、その後、約24時間、室温にて空気乾燥機における箱形乾燥機上に配置され、半乾燥ビーズが取得された。半乾燥ビーズは、その後、約64時間、脱水機に配置され、その中では、乾燥しており、かつ、フィルタリングされた空気が吹き付けられた。水分活性aw
<0.3である乾燥ビーズが取得された。
【0219】
それぞれの場合において、菌株生存率は、乾燥ビーズのCFU/gを測定することによって、4℃における貯蔵条件下で四(4)週間にわたって試験された。試験は少なくとも三重に実行され、かつ、1つの標準偏差が計算された。
【0220】
実施例9の結果は、表17に示されており、試験された保存溶液はすべて、4℃にて貯蔵された時、少なくとも4週間の間、飼料添加物菌株安定性を与えた。
【0221】
【0222】
10. 実施例10
ここで試験される各保存溶液について、乾燥および試験が、少なくとも三重に実行された。実施例1の場合のように調製されたビーズが、保存溶液S1、保存溶液S0、保存溶液S8または保存溶液S9中に配置され、約20分間緩やかにかき混ぜられた。ビーズは、その後、約24時間、室温にて空気乾燥機における箱形乾燥機上に配置され、半乾燥ビーズが取得された。半乾燥ビーズは、その後、約64時間、脱水機に配置され、その中では、乾燥しており、かつ、フィルタリングされた空気が吹き付けられた。水分活性aw
<0.3である乾燥ビーズが取得された。
【0223】
それぞれの場合において、菌株生存率は、乾燥ビーズのCFU/gを測定することによって、4℃における貯蔵条件下で四(4)週間にわたって試験された。試験は少なくとも三重に実行され、かつ、1つの標準偏差が計算された。
【0224】
実施例10の結果は、表18に示されており、試験された保存溶液はすべて、4℃にて貯蔵された時、少なくとも4週間の間、飼料添加物菌株安定性を与えた。
【0225】
【0226】
11. 実施例11
ここで試験される各保存溶液について、乾燥および試験が、少なくとも三重に実行された。実施例1の場合のように調製されたビーズが、保存溶液S1、保存溶液S11、保存溶液S12または保存溶液S13中に配置され、約20分間緩やかにかき混ぜられた。ビーズは、その後、約24時間、室温にて空気乾燥機における箱形乾燥機上に配置され、半乾燥ビーズが取得された。半乾燥ビーズは、その後、約64時間、脱水機に配置され、その中では、乾燥しており、かつ、フィルタリングされた空気が吹き付けられた。水分活性aw
<0.3である乾燥ビーズが取得された。
【0227】
それぞれの場合において、菌株生存率は、乾燥ビーズのCFU/gを測定することによ
って、4℃における貯蔵条件下で四(4)週間にわたって試験された。試験は少なくとも三重に実行され、かつ、1つの標準偏差が計算された。
【0228】
実施例11の結果は、表19に示されており、試験された保存溶液はすべて、4℃にて貯蔵された時、少なくとも4週間の間、飼料添加物菌株安定性を与えた。
【0229】
【0230】
12. 実施例12
ここで試験される各保存溶液について、乾燥および試験が、少なくとも三重に実行された。実施例1の場合のように調製されたビーズが、保存溶液S1、保存溶液S13、保存溶液S14または保存溶液S15中に配置され、約20分間緩やかにかき混ぜられた。ビーズは、その後、約24時間、室温にて空気乾燥機における箱形乾燥機上に配置され、半乾燥ビーズが取得された。半乾燥ビーズは、その後、約64時間、脱水機に配置され、その中では、乾燥しており、かつ、フィルタリングされた空気が吹き付けられた。水分活性aw
<0.3である乾燥ビーズが取得された。
【0231】
それぞれの場合において、菌株生存率は、乾燥ビーズのCFU/gを測定することによって、4℃における貯蔵条件下で四(4)週間にわたって試験された。試験は少なくとも三重に実行され、かつ、1つの標準偏差が計算された。
【0232】
実施例12の結果は、表20に示されており、試験された保存溶液はすべて、4℃にて貯蔵された時、少なくとも4週間の間、飼料添加物菌株安定性を与えた。
【0233】
【0234】
13. 実施例13
ここで試験される各保存溶液について、乾燥および試験が、少なくとも三重に実行された。実施例1の場合のように調製されたビーズが、保存溶液S1、保存溶液S16、保存溶液S17または保存溶液S18中に配置され、約20分間緩やかにかき混ぜられた。ビーズは、その後、約24時間、室温にて空気乾燥機における箱形乾燥機上に配置され、半乾燥ビーズが取得された。半乾燥ビーズは、その後、約64時間、脱水機に配置され、その中では、乾燥しており、かつ、フィルタリングされた空気が吹き付けられた。水分活性aw
<0.3である乾燥ビーズが取得された。
【0235】
それぞれの場合において、菌株生存率は、乾燥ビーズのCFU/gを測定することによって、4℃における貯蔵条件下で四(4)週間にわたって試験された。試験は少なくとも三重に実行され、かつ、1つの標準偏差が計算された。
【0236】
実施例13の結果は、表21に示されており、試験された保存溶液はすべて、4℃にて貯蔵された時、少なくとも4週間の間、飼料添加物菌株安定性を与えた。
【0237】
【0238】
14. 実施例14
ここで試験される各保存溶液について、乾燥および試験が、少なくとも三重に実行された。実施例1の場合のように調製されたビーズが、保存溶液S1または保存溶液S19中に配置され、約20分間緩やかにかき混ぜられた。ビーズは、その後、約24時間、室温にて空気乾燥機における箱形乾燥機上に配置され、半乾燥ビーズが取得された。半乾燥ビーズは、その後、約64時間、脱水機に配置され、その中では、乾燥しており、かつ、フィルタリングされた空気が吹き付けられた。水分活性aw
<0.3である乾燥ビーズが取得された。
【0239】
それぞれの場合において、菌株生存率は、乾燥ビーズのCFU/gを測定することによって、4℃における貯蔵条件下で四(4)週間にわたって試験された。試験は少なくとも三重に実行され、かつ、1つの標準偏差が計算された。
【0240】
結果は、表22に示されており、試験された保存溶液はすべて、4℃にて貯蔵された時、少なくとも4週間の間、飼料添加物菌株安定性を与えた。
【0241】
【0242】
15. 実施例15
この実施例には、本開示の実施形態による飼料添加物を製造するための変形工程について記載されている。この実施例では、細菌が、2つの異なる生産方法(実施例1において説明された6ステップ工程または以下で説明される4ステップ工程)にしたがってアルギン酸カルシウムで作られたマトリックスに包まれている。アルギン酸カルシウムマトリックスは粒子の形態であり、用途に依存して異質または同質である平均直径サイズを有し得る。ビーズが出発材料として液体細菌培養物を用いて製造されるので、当業者であれば、本明細書に記載の乾燥したE. coliビーズの最終組成が、細菌培養培地の成分を有するかも知れないことを理解するであろう。
【0243】
6ステップ工程は、以下のステップを含んでいる:
・ステップ1:E. coli培養物
・ステップ2:細菌/アルギン酸スラリーの調製
・ステップ3:ビーズの形成および重合
・ステップ4:ビーズの洗浄
・ステップ5:保存溶液との接触
・ステップ6:乾燥
【0244】
4ステップ工程は、以下のステップを含んでいる:
・ステップ1:E. coli培養物
・ステップ2:細菌/アルギン酸スラリーの調製
・ステップ3:ビーズの形成および重合
・ステップ6:乾燥
【0245】
a. E. coli培養物
この実施例では、E. coliは、実施例1の場合のように調製された。
【0246】
結果として生じた培養物は、その後、飼料添加物の生産に用いられる前または-80℃にて凍結される前に、撹拌を伴わず、14~18時間、4℃にて保たれた。凍結前、一部の培養物が、一部の保存溶液および一部の新たな培養培地と混合された(すなわち、1:1:1の比で)。保存溶液は、15重量体積%のマルトデキストリンと、21重量体積%のスクロースと、3重量体積%のL-グルタミン酸一ナトリウムとを含んでいた。
【0247】
b. マトリックスへのE. coliの埋め込み
以下の段落では、E. coliは、まずアルギン酸/細菌スラリーを調製し、その後でそれから粒子を形成することによって、マトリックスに埋め込まれる。2つの変形(6ステップ工程および4ステップ工程)が説明される。
【0248】
6ステップ工程
一部の細菌培養物(例えば、500ml)が、2部の培養培地(例えば、1L)および3部のアルギン酸溶液(2重量体積%のGrindsted登録商標 Alginate
FD155、0.1重量体積%のBacto商標ペプトン)(例えば、1.5L)と混合され、スラリーが取得された。
【0249】
アルギン酸細菌培養物スラリーは、その後、液体が12Lの塩化カルシウム重合溶液(水中に、300mMのCaCl2、0.1重量体積%のBacto商標トリプトン、0.1重量体積%のBacto商標ペプトンおよび0.05重量体積%のBacto商標酵母抽出物)を含有する18Lのタンクに一滴ずつ落下することを可能にする速度にて、9個のポートを有するThermo Scientific商標 Reacti-Vap商標
Evaporatorを3個用いて適合された、27個の針(20G、1/2インチ)を保持するシステムを通してポンピングされ、粒子ビーズが形成された。重合溶液は、ゆっくりとかき混ぜられ、ビーズが崩れないことを確実にした。一旦アルギン酸培養物スラリー全体が重合溶液へと移動すると、ビーズが、ゆっくりとしたかき混ぜの下、さらに30分間、溶液中で保たれ、重合工程が完了した。
【0250】
重合後、粒子ビーズは、重合溶液を流し落とされ、かつ、洗浄溶液(50mMのCaCl2)中に10分間浸漬された。
【0251】
ビーズが排出され、重さを量られ、かつ、20分間の撹拌の下、保存溶液(10重量体積%のデキストラン40、14重量体積%のスクロース、2重量体積%のL-グルタミン酸一ナトリウム)中にビーズ1gあたり1mlの溶液の割合にて浸漬された。最後に、ビーズが排出および乾燥された。
【0252】
追加の実験がまた、同一の方法であるが浸漬溶液中に14重量体積%のスクロースのみを用いて実行され、同様の結果が得られた。
【0253】
4ステップ工程
一部の細菌培養物(例えば、500ml)が、1部の保存溶液(15重量体積%のマルトデキストリン、21重量体積%のスクロース、3重量体積%のL-グルタミン酸一ナトリウム)(例えば、500ml)、1部の培養培地(例えば、500ml)および3部のアルギン酸溶液(2重量体積%のGrindsted登録商標 Alginate FD155、0.1重量体積%のBacto商標ペプトン)(例えば、1.5L)と混合され、スラリーが取得された。
【0254】
アルギン酸細菌培養物スラリーは、その後、液体が12Lの乳酸カルシウム重合溶液(5重量体積%の乳酸カルシウム)を含有する18Lのタンクに一滴ずつ落下することを可能にする速度にて、9個のポートを有するThermo Scientific商標 Reacti-Vap商標 Evaporatorを3個用いて適合された、27個の針(20G、1/2インチ)を保持するシステムを通してポンピングされ、粒子ビーズが形成された。重合溶液は、ゆっくりとかき混ぜられ、ビーズが崩れないことを確実にした。一旦アルギン酸培養物スラリー全体が重合溶液へと移動すると、ビーズが、ゆっくりとしたかき混ぜの下、さらに30分間~4時間、溶液中で保たれ、重合工程が完了した。粉状のカルシウム含有残渣が、ビーズの表面の少なくとも一部の上に微粒子被覆を形成することが観察された。
【0255】
c. 埋め込まれたE. coliの乾燥および試験
粒子ビーズがアルミニウムトレイに配置され、かつ、分散して、深さ<1.5cmのビ
ーズの層が取得された。粒子ビーズが、その後、実施例1の場合のように空気乾燥された。乾燥前後の粒子ビーズの重量が、乾燥の際の損失を計算するのに用いられた。
【0256】
実施例15の結果を編集したものが、以下の表に示されている。これら結果は、六(6)ステップ工程および四(4)ステップ工程が、乾燥マトリックスに埋め込まれたE. coliの生存率、および、乾燥工程に対するその耐性に対して、有意な効果を提供したことを示している。
【0257】
4ステップ工程は、6ステップ工程を最適化するために開発され、材料を節約し、かつ、処理時間を減少させた。重要な要件が、細菌が乾燥ステップを生き残ることを確実にすることである。このことを達成するために、6ステップ工程においては、粒子は、ビーズの乾燥前に保存溶液と接触した。
【0258】
第1のプロトタイプの4ステップ工程が、本発明者によって試験された。このプロトタイプの4ステップ工程では、本発明者は、保存溶液との接触ステップを削除することが可能であるか否かを試験し、その代わりに、ビーズの形成および重合の前に、細菌/アルギン酸スラリーに保存溶液を添加した。このプロトタイプの4ステップ工程は、2つの異なる保存溶液を用いて試験された:デキストラン40を有する第1の保存溶液およびマルトデキストリン(デキストラン40の代わりに)を有する第2の保存溶液。本発明者はまた、塩化カルシウム中での重合の後の洗浄ステップを削除することが可能であるか否かを試験した。
【0259】
表23Aにおいて報告された結果は、第1のプロトタイプの4ステップ工程では、洗浄ステップの削除が乾燥ビーズにおける有意なCFU損失を引き起こすことを示している。
【0260】
洗浄ステップを保つことがより良好な結果を与えた一方で、乾燥粒子ビーズ中のCFU計数は、1log10を越えて、6ステップ工程についてのものより未だに少なかった(平均して、3.9×108対5.9×109CFU/g)。デキストラン40を用いて試験された第1のプロトタイプの4ステップ工程は、マルトデキストリンを用いたものよりも同様の結果を与えた。第1のプロトタイプの4ステップ工程から生じるビーズの間の主たる相違点の一つが、乾燥工程の程度であった。実際、乾燥ステップ前の洗浄/保存溶液との接触ステップを削除することが、乾燥の際に質量の92~95%を失った粒子ビーズをもたらした。これを工程が洗浄/保存溶液との接触ステップを含んでいる場合と対照すると、結果として生じた粒子ビーズは、それらの質量の85%を失った(表23)。
【0261】
【0262】
【0263】
業界の状況では、重合工程および粒子ビーズが重合溶液と接触する期間は、製造工程中、大いに変化するかも知れない。実際、処理経路は、用いられる産業機械およびバッチサイズのような種々の条件に基づいて多かれ少なかれ変化し、したがって、粒子ビーズが重合溶液と接触する期間を含む処理時間に影響を与えるかも知れない。特定の実用的実装では、かかる可変性は、スラリーを製造するステップと、針からスラリーを落下させて粒子ビーズを形成するステップとの間に必要とされる期間に影響を与えるかも知れない。
【0264】
第2のプロトタイプの4ステップ工程では、本発明者は、異なる重合溶液を用いることの効果を試験した:第1の重合溶液は塩化カルシウムを含んでおり、第2の重合溶液は乳酸カルシウムを含んでいた。本発明者はまた、重合溶液との種々の接触時間(すなわち、1時間、3時間または4時間)を試験した。
【0265】
表24において報告された結果は、第2のプロトタイプの4ステップ工程では、乳酸カルシウムが塩化カルシウムよりも優れた結果を提供したことを示しており、工程中のステップの数を減少させる時には前者が後者よりも適切であることを示唆している。この相違点は、重合時間が3時間に増大した(すなわち、重合溶液との接触時間が増大した)時に、より有意であった。
【0266】
【0267】
本発明者はまた、乳酸カルシウム重合溶液との接触時間を1時間から4時間に増大した時の、粒子ビーズ中の細菌の生存率を試験した。表25において報告された結果は、接触時間を4時間に増大したにもかかわらず、そのステップ中に生存率の低下がないことを示している。
【0268】
【0269】
本発明者はまた、スラリー(アルギン酸、細菌培養物および保存溶液を含有する混合物)中の細菌の生存率を試験し、細菌が、スラリーの要素との接触状態に置かれた時に、周囲の室内条件下で長期間生き残るか否かを判定した。2つのアッセイが実行された:第1のアッセイは、スラリー中に保存溶液を含んでおり、一方で、第2のアッセイは、スラリー中に保存溶液を含んでいなかった。スラリーは先に記載したように調製され、48時間、25℃にて、撹拌の下で保たれた。表26において報告された結果は、スラリー中に保存溶液が存在しない時と比べて、細菌がスラリー中の保存溶液と接触した時に、48時間後に細菌CFUの損失を示さなかった。
【0270】
【0271】
提案された4ステップ工程において重合ステップ前に細胞培養物を保存料溶液と混合することが、提案された6ステップ工程に対してステップの数の減少をもたらし、したがって、工業的生産時間、材料費の減少を可能にし、かつ/または、市場に出る速度を速めた。追加的または代替的には、いくつかの場合、貯蔵および/または輸送目的でE. coli培養物を冷凍することが必要とされる時に(例えば、-20または-80℃にて)4ステップ工程を実装し、したがって、生産チェーンに沿った便宜である在庫管理用途を与えることもまた有利であるかも知れない。
【0272】
実際、本発明者は、-80℃にて冷凍され、24時間-20℃にて配置され、その後で解凍され、かつ、14日間4℃にて保たれた後の細菌の生存率を分析した。これら種類の条件は、典型的には、大規模の工業的工程中に予期される。結果が表28に提示され、かつ、細菌の生存率が、冷凍培地が保存溶液を含んでいる時には、冷凍-解凍工程によっては有意な影響を受けないこと(すなわち、生存率が、4℃にて14日間ゆっくりと減少し、0.35log10の最終損失を有すること)を示している。
【0273】
【0274】
本発明者はまた、25℃における貯蔵条件下での、経時的であるのみの、または、ペレット化された動物(ブタ)飼料中の、飼料添加物中の乾燥した細菌の安定性を試験した。
図12は、24週間の貯蔵後、飼料添加物(粒子ビーズ)中の乾燥した細菌が比較的安定していることを示している。
【0275】
16. 実施例16
本実施例では、動物飼料添加物は、本開示の実施形態にしたがって動物飼料に組み込まれた。この実施例では、本発明者は、かかる動物飼料が、十分な生きた非病原性E. coliを有して取得され、このE. coliから所望の利益を取得し得ることを示している。
【0276】
この実施例では、本発明者は、米国特許第7,981,411号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載された、受領番号IDAC210105-01の下で2005年1月21日付けでカナダの国際寄託当局(IDAC)に寄託されたE. coli菌株を組み込んだ。このE. coliは、腸送達に続いて動物の体重増加を促進することが知られている。試験の目的は、したがって、本開示の実施形態による飼料添加物が、ペレット化手順中にE. coli菌株を十分に保護し、飼料添加物を含むペレット化された動物飼料の投与が、動物への十分な生きたE. coliの投与をもたらし、予期された成長促進効果を示すようになっていたか否かを評価することである。
【0277】
16.1 動物
スコットランド、イーストロージアンからの仔ブタ128匹。ラージホワイトとランドレースとの雑種、日齢28±2、オスとメス。仔ブタは、第1の規定食の投与前の最後の三日間、E. coliに対して活動的であるいかなる処置も受けなかった。仔ブタは到着時(0日目)において健康であり、体重は5.14kg~10.04kgであった。動物には、固有の耳標を用いて個別に番号が付けられた。
【0278】
16.2 試験
研究は、試験菌株を有しないプレスターターダイエット(Pre-Starter diet)を供給されたコントロール群と比較される試験菌株を有するプレスターターダイ
エットを供給された処置群を構成要素とする2つの平行群を用いた、制御された無作為の予備研究であった。
【0279】
0日目において、仔ブタ128匹が、それらの離乳期の体重にしたがって、2つの群および囲いにおいて無作為化された。各群について、4匹の動物の16個の囲いがあった。試験菌株の有効成分(生きたE. coli菌株)の性質に起因して、群は、同一の環境条件を有する2つの異なる部屋に処置ごとに収容された(処理あたり1部屋)。試験された菌株は、アッセイの開始時(すなわち、0日目)に投与された。
【0280】
16.3 評価されたパラメーター
本アッセイでは、評価されたパラメーターは、平均一日体重増加(ADG)ならびに0日目および7日目における全体体重増加であった。
【0281】
飼料サンプルが、栄養学的分析のため、および、生きた細菌の計数によって飼料添加物細菌の数量を評価するために収集された。
【0282】
仔ブタの健康は毎日モニタリングされ、かつ、有害事象およびそれに伴う薬物治療が記録された。個別の体重が、予め定められた日に測定された。飼料摂取の量と戻された飼料重量とは、囲いごとに記録された。直腸スワブが、PCR分析によって試験菌株の存在/不存在を確認するために、0日目および7日目に収集された。
【0283】
16.4 動物飼料および飼料添加物
飼料添加物は、先行する実施例において記載したように製造され、かつ、E. coli菌株を6.6×109CFU/gにて含んでいた。この飼料添加物は、2~8℃の間で冷蔵して貯蔵され、かつ、ポリエチレンの「ジッパー」密封袋における250gの包装に包装された。
【0284】
動物飼料は、E. coli菌株を5.4×108CFU/200gの濃度にて組み込んだ。この「試験」動物飼料は、「プレスターターダイエット」とも呼ばれる。コントロール産物は、飼料添加物のないプレスターターダイエットであった。
【0285】
16.5 投与
菌株は、760g/メートルトンの割合でプレスターターダイエット(第1の飼料)を通して投与された。プレスターターダイエットは、抗菌剤および抗菌成長能力促進剤(AGP)代替物(有機酸/塩、高レベルのCu/Znなど)で補充されなかった。
【0286】
プレスターターダイエットは、研究の0日目~7日目まで、7日間供給された。
【0287】
16.6 結果
分析が、プレスターターダイエット動物飼料中の有効成分の存在および数量を確認した。試験された菌株は、処置群のすべてのブタからの排泄物においてPCRによって検出され、かつ、コントロール群のブタからの排泄物においてはPCRによって検出されなかった。
【0288】
アッセイ中、表29に示されているように、飼料添加物にE. coli菌株を組み込んだ動物飼料の消費の7日後、処置されたブタは、未処置のブタ(p=0.044)と比べると、143gより高い(1日21g)体重増加を有した。生データは、
図17A~
図17Pに示されており、かつ、
図17に示されているように読まれるべきである。
【0289】
【0290】
16.7 分析および結論
t検定が、2つの個体群の間の不等分散を想定して実行された。計算されたt値は、帰無仮説(すなわち、2つの個体群の間に有意な差は存在しないという仮説)を拒絶するほど十分に高く、すなわち、t Stat>t Critical two-tailであり、p値=0.044であった。標準誤差は、その後、各個体群について計算され、かつ、1つの標準誤差が、
図13および
図14における各グラフ上に示されている。
【0291】
図13は、本開示の実施形態による飼料添加物を組み込む動物飼料(IP)を供給されたブタおよび飼料添加物のない動物飼料(「CP」)を供給されたブタの7日後の平均体重増加(Kg)を描いた非限定的な棒グラフを示している。棒エラーが、標準誤差(p=0.044)を描いている。
図14は、
図13からのブタの7日間の平均1日体重増加(g/日)を描いた非限定的な棒グラフを示している。棒エラーが、標準誤差(p=0.044)を描いている。
【0292】
この効果は、米国特許第7,981,411号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されるような飲料水における仔ブタへのこの菌株の投与時に予期された効果に則している。換言すれば、飼料添加物にE. coliを組み込んだ本明細書に記載の動物飼料は、一見したところ、動物飼料ペレットの製造中の過酷な条件にほとんど苦しまなかった、十分な生きたE. coliを含んでいた。
【0293】
主題または副題が、読者の便宜のために本開示全体にわたって用いられるかも知れないが、いかなる意味でも、これらが本発明の範囲を限定すべきでないことに注目されたい。さらに、特定の理論が、本明細書で提案および開示されるかも知れない;しかしながら、いかなる意味でも、それらは、正しいか誤っているかに関わらず、本発明がいかなる特定の理論および行動のスキームも考慮することなく本開示にしたがって実施される限り、本発明の範囲を限定すべきでない。
【0294】
本明細書全体にわたって引用されたすべての文献が、すべての目的でそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0295】
本明細書全体にわたって、ある用語の前に用いられる用語「1つの(a)」は、用語の言及するものを1つ以上含有する実施形態を包含することが、当業者によって理解される
であろう。また、本明細書全体にわたって、「含んでいる(including)」、「含有している(containing)」と同義である用語「含んでいる(comprising)」または「によって特徴付けられる(charcterized by)」は、包括的であるか、または、オープンエンドであり、追加の言及されていない要素または方法ステップを排除しないことが、当業者によって理解されるであろう。
【0296】
そうでない旨の定義がなければ、本明細書で用いられるすべての技術および科学用語は、本発明の属する技術分野の当業者によって共通して理解されるのと同一の意味を有する。相反する場合は、本文書(定義を含む)が勝るであろう。
【0297】
本開示で用いられる場合、用語「約(around)」、「約(about)」または「約(approximately)」は、概して、本技術分野で概して受け入れられる許容誤差の範囲内にあることを意味する。したがって、本明細書で与えられた数量は、概して、かかる許容誤差を含んでおり、明確に言及さればければ、用語「約(around)」、「約(about)」または「約(approximately)」が推測され得るようになっている。
【0298】
本開示がかなり詳細な特定の実施形態において説明されてきたが、バリエーションおよび改善が可能であり、本願の教示を考慮した当業者に明らかになるであろう。
前記親水コロイド形成多糖が第1の多糖であり、前記飼料添加物がさらに、その表面の少なくとも一部の上に配置された被覆を含んでおり、かつ、該被覆は、前記の第1の多糖とは異なる第2の多糖を含んでいる、請求項7に記載の蒸気調節された動物飼料ペレット。