(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172155
(43)【公開日】2022-11-15
(54)【発明の名称】埋込可能な医療機器用の患者制御装置
(51)【国際特許分類】
A61N 1/372 20060101AFI20221108BHJP
【FI】
A61N1/372
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022129517
(22)【出願日】2022-08-16
(62)【分割の表示】P 2019233761の分割
【原出願日】2014-08-08
(31)【優先権主張番号】61/864,183
(32)【優先日】2013-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】510302135
【氏名又は名称】インスパイア・メディカル・システムズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Inspire Medical Systems,Inc.
【住所又は居所原語表記】5500 Wayzata Boulevard, Suite 1600 Golden Valley MN 55416 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ロンドニ
(72)【発明者】
【氏名】ブレイク・ディ・ジョンソン
(72)【発明者】
【氏名】クアン・ニ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】埋込可能な医療機器の動作を容易にする患者遠隔制御装置を提供する。
【解決手段】処理システム10は、埋込可能な医療機器16と、埋込可能な医療機器16と選択的に通信する患者遠隔制御装置18とを備えている。埋込可能な医療機器16は、患者の身体の診断及び/又は治療機能を行う一方、患者遠隔制御装置18は、埋込可能な治療装置16の少なくとも複数の機能を制御する。他の機能は、埋込可能な医療機器16に予めプログラムされているか、及び/又は、個別のケア/医師コントローラを通じて制御可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面を有し、電気回路を収容するハウジングと、
前記上面に対して第1の凹部を形成し、第1のサイズを有するとともに第1の形状を有する、電気的な第1の入力部と、
前記上面に対して第2の凹部を形成し、前記第1のサイズよりも小さい第2のサイズを有するとともに、前記第1の形状とは異なる第2の形状を有する、電気的な第2の入力部と、
を備え、
前記第1及び第2の入力部の少なくとも一方は、「オン」機能を備え、前記第1及び第2の入力部の他方は、「オフ」機能を備える、
埋込可能な医療機器用の患者遠隔制御装置。
【請求項2】
前記埋込可能な医療機器は、閉塞性睡眠時無呼吸を治療するための埋込可能なパルス発生器を備える、請求項1に記載の患者遠隔制御装置。
【請求項3】
前記電気回路は、少なくとも前記埋込可能な医療機器と無線通信する通信モジュールを備える、請求項1に記載の患者遠隔制御装置。
【請求項4】
前記ハウジングは、略平坦な底面を有し、前記上面は、第1の高さを有する第1の端部から、前記第1の高さよりも高い第2の高さを有する第2の端部まで傾斜し、前記第1の入力部は、前記第1の端部に隣接し、前記第2の入力部は、前記第1の入力部よりも前記第2の入力部の近くに配置されている、請求項1に記載の患者遠隔制御装置。
【請求項5】
前記上面に対して隆起する電気的な第3の入力部であって、前記第1の入力部と第2の入力部との間に配置され、前記第1及び第2のサイズとは異なる第3のサイズを有するとともに、前記第1及び第2の形状とは異なる第3の形状を有する第3の入力部を備える、請求項1に記載の患者遠隔制御装置。
【請求項6】
前記第2の入力部は、第1の距離だけ前記第3の入力部から離れて配置され、前記第1の入力部は、第2の距離だけ前記第3の入力部から離れて配置され、前記第1の距離は、前記第2の距離よりも大きい、請求項5に記載の患者遠隔制御装置。
【請求項7】
前記第1の入力部及び前記第3の入力部は、前記ハウジングの前記第1及び第2の端部の間に延在する前記ハウジングの中央長手方向軸に沿うように配置され、前記第2の入力部は、前記中央長手方向軸から横方向に離れた位置で平行に配置されている、請求項5に記載の患者遠隔制御装置。
【請求項8】
前記第3の入力部は、互いに離れて配置されるとともに前記第1の入力部の周囲に少なくとも部分的に配置された2つの素子を備え、前記2つの素子に一方は刺激増加機能を備え、前記2つの素子の他方は刺激減少機能を備える、請求項5に記載の患者遠隔制御装置。
【請求項9】
前記第1の入力部を少なくとも部分的に囲む第1の表示素子を備え、
前記第1の表示素子は、前記埋込可能な医療機器のオン状態を示す第1の色と前記埋込可能な医療機器のオフ状態を示す第2の色の照明を備える、
請求項1に記載の患者遠隔制御装置。
【請求項10】
前記ハウジングは、前記上面と対向する底面を有し、前記底面に表示部を備え、
前記表示部は、刺激強度設定を示す視覚的インジケータの線形配列を備え、
前記視覚的インジケータの駆動数の増加は、刺激の強度が相対的に高くなることに対応する、請求項1に記載の患者遠隔制御装置。
【請求項11】
前記第1の入力部の前記第1の形状は略矩形であり、前記第1の入力部の前記第1のサイズは、平均的な患者の親指プリントの領域よりも大きい第1の領域を含み、前記第2の入力部の前記第2のサイズは、前記平均的な患者の親指プリントの領域と同じ又は小さい第2の領域を含む、請求項1に記載の患者遠隔制御装置。
【請求項12】
少なくとも1つの入力部と、
埋込可能な医療機器と無線通信する通信モジュールであって、前記少なくとも1つの入力部によって確認された少なくとも1つのコマンドを送信し、前記少なくとも1つのコマンドが受け入れられたとき、前記埋込可能な医療機器からの確認を受信する通信モジュールと、
を備え、
前記通信モジュールは、前記確認が受信されるまで前記少なくとも1つのコマンドを送信することを定期的に繰り返すリトライ機能を備え、前記リトライ機能は、前記少なくとも1つのコマンドに関する通知を生成するように構成されている、
患者遠隔制御装置。
【請求項13】
前記通知は、成功表示機能、失敗表示機能、制限表示機能の少なくとも1つを備えるタイプに応じて通信される、請求項12に記載の患者遠隔制御装置。
【請求項14】
前記通知は、可聴表示機能、視覚表示機能、振動表示機能の少なくとも1つを備えるモードに応じて通信される、請求項12に記載の患者遠隔制御装置。
【請求項15】
前記通信モジュールは、低電力・短距離無線通信プロトコルに応じて動作し、前記リトライ機能は、前記少なくとも1つのコマンドが開始された後、前記埋込可能な医療機器が埋め込まれる身体に対して前記患者遠隔制御装置の位置決めするのに十分な頻度及び反復回数、前記少なくとも1つのコマンドを繰り返す、請求項12に記載の患者遠隔制御装置。
【請求項16】
埋込可能な医療機器と関連付けられた患者管理システムであって、
前記システムは、
グラフィカル・ユーザ・インターフェースと、治療マネージャとを有し、患者遠隔制御装置と選択的に通信する表示装置を備え、
前記治療マネージャは、治療時に少なくとも前記患者遠隔制御装置の利用に関する詳細を追跡する利用機能、及び、少なくとも前記利用機能に基づいて前記ユーザインターフェースを通じて少なくとも1つの治療目標を通信する目標機能によって患者の関与を容易するように、不揮発性メモリに記憶された機械可読指示を実行するプロセッサを備える、
患者管理システム。
【請求項17】
前記目標機能は、前記少なくとも1つの目標に重みを付ける重み要素を備え、前記重みの大きさは、患者が前記少なくとも1つの目標を順守している度合いに基づいている、請求項16に記載の患者管理システム。
【請求項18】
前記目標機能は、前記少なくとも1つの目標に対して、少なくとも1つの正の強化通信及び改善促進通信の少なくとも1つを前記患者に通信するフィードバック要素を備える、請求項17に記載の患者管理システム。
【請求項19】
前記埋込可能な医療機器は、神経刺激によって閉塞性睡眠時無呼吸を治療するための埋込可能なパルス発生器を備える、請求項16に記載の患者管理システム。
【請求項20】
前記表示装置は、医師プログラマを備える、請求項16に記載の患者管理システム。
【請求項21】
前記表示装置は、患者制御装置を備える、請求項16に記載の患者管理システム。
【請求項22】
埋込可能な医療機器を用いる治療を少なくとも部分的に管理する治療マネージャと、
前記治療を開始する第1の入力部と、
前記治療を終了する第2の入力部と、
を備える埋込可能な医療機器用の患者遠隔制御装置であって、
前記治療マネージャは、患者血液酸素データを追跡して記憶する血液酸素センサ機能を備える、患者遠隔制御装置。
【請求項23】
前記治療マネージャは、前記埋込可能な医療機器によって治療を実行するために、前記患者遠隔制御装置の患者の利用の情報を追跡し記憶する利用機能を備える、請求項22に記載の患者遠隔制御装置。
【請求項24】
前記患者遠隔制御装置は、前記患者血液酸素データを前記血液酸素センサ機能に提供するために、前記患者遠隔制御装置に選択的に接続可能なパルス酸素濃度計を備えるシステムの一部を構成する、請求項22に記載の患者遠隔制御装置。
【請求項25】
前記治療マネージャは、少なくとも前記患者血液酸素データに基づいて、治療パラメータを変更するか、或いは、治療パラメータを変更する指示を提供するように構成されている、請求項22に記載の患者遠隔制御装置。
【請求項26】
前記治療マネージャは、前記患者血液酸素データに基づいて酸素飽和度低下指数(ODI)を計算するように構成されている、請求項25に記載の患者遠隔制御装置。
【請求項27】
前記治療マネージャは、前記酸素飽和度低下指数が閾値を超える場合、治療パラメータを変更するか、或いは、治療パラメータを変更する指示を提供するように構成されている、請求項26に記載の患者遠隔制御装置。
【請求項28】
前記治療マネージャは、前記酸素飽和度低下指数が閾値を下回る場合、治療パラメータを変更するか、或いは、治療パラメータを変更する指示を提供するように構成されている、請求項26に記載の患者遠隔制御装置。
【請求項29】
前記治療パラメータは、刺激振幅、刺激パルス幅、刺激率、刺激デューティーサイクル、患者制御振幅制限、患者制御パルス幅制限、刺激制限、及び患者制御率制限の少なくとも1つを含む、請求項25に記載の患者遠隔制御装置。
【請求項30】
前記治療は、睡眠時無呼吸の治療を含む、請求項22に記載の患者遠隔制御装置。
【請求項31】
前記埋込可能な医療機器は、閉塞性睡眠時無呼吸の治療のために埋込可能なパルス発生器を備える、請求項30に記載の患者遠隔制御装置。
【請求項32】
前記治療マネージャは、臨床医及び患者の少なくとも一方によるストレージ及びアクセスのために、前記患者血液酸素データ、前記治療パラメータ、又は前記治療パラメータの変更の少なくとも1つをクラウドリソースに通信するように構成されている、請求項25に記載の患者遠隔制御装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
標的とされる神経の電気的刺激は、多くの治療にかなり有望である。一実施例において、そのような刺激は、限定されるものではないが、例えば、埋込可能なパルス発生器などの埋込可能な医療機器を通じて実現される。
【図面の簡単な説明】
【0002】
添付図面は、実施例の更なる理解を提供し、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する。図面は、実施例を示し、明細書と共に、実施例の原理を説明するのに役立つ。他の実施例及び実施例の意図される複数の利点は、以下の詳細な説明を参照することによって容易に理解されるだろう。図面の構成要素は、互いに相対的な縮尺であるとは限らない。類似の参照符号は、対応する類似の部品を示す。
【
図1】本開示の一実施例に係る処理システムを模式的に示すブロック図である。
【
図2】本開示の一実施例に係る患者に対して少なくとも部分的に埋込可能な刺激システムを模式的に示す図である。
【
図3A】本開示の一実施例に係る患者遠隔制御装置の入力部を模式的に示すブロック図である。
【
図3B】本開示の一実施例に係る患者遠隔制御装置の入力部を模式的に示すブロック図である。
【
図3C】本開示の一実施例に係る患者遠隔制御装置の入力部を模式的に示すブロック図である。
【
図3D】本開示の一実施例に係る患者遠隔制御装置の入力部を模式的に示すブロック図である。
【
図4A】本開示の一実施例に係る患者制御装置を模式的に示す斜視図である。
【
図4B】本開示の一実施例に係る
図4Aの4B-4B線断面図である。
【
図4C】本開示の一実施例に係る患者遠隔制御装置の入力部の各種形状を模式的に示す図である。
【
図4D】本開示の一実施例に係る患者遠隔制御装置の輪郭を模式的に示す側面図である。
【
図4E】本開示の一実施例に係る患者遠隔制御装置の入力部を模式的に示す上面図である。
【
図5】本開示の一実施例に係る通信モジュールを模式的に示すブロック図である。
【
図6】(A)本開示の一実施例に係る患者管理システムのブロック図である。(B)本開示の一実施例に係る制御部のブロック図である。
【
図7】本開示の一実施例に係る患者管理プロトコルのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0003】
以下の詳細な説明において、その一部を構成し且つ本発明を実行する具体例を示す添付図面を参照する。この点に関し、「上」、「下」、「前」、「後」、「先頭」、「末尾」などの方向用語は、記載されている図の方向性に関して使用される。実施例の構成要素は複数の異なる方向に設置されるので、方向用語は、説明の目的で使用され、限定するものではない。他の実施例が使用されてもよく、本開示の範囲から逸脱することなく、構造又は論理的な変更がなされてもよいことは理解されるべきである。それゆえ、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではない。
【0004】
本開示の少なくとも複数の実施例は、埋込可能な医療機器及び/又は関連する患者管理システム用の患者遠隔制御装置に向けられている。複数の実施例において、患者遠隔制御装置は、閉塞性睡眠時無呼吸を治療するために、少なくとも部分的に埋込可能な神経刺激システムの一部を構成する。しかしながら、患者遠隔制御装置及び/又は患者管理システムが、閉塞性睡眠時無呼吸を治療するために、他の埋込可能な医療機器に適用可能であることは理解されるであろう。複数の実施例において、他の実現は、限定されるものではないが、例えば、中枢性睡眠時無呼吸、複合睡眠時無呼吸、心臓障害、呼吸器障害などの治療法を含む。
【0005】
これらの実施例及び他の実施例は、少なくとも
図1~7に関連して記載されている。
【0006】
図1は、本開示の一実施例に係る処理システム10を模式的に示すブロック図である。
図1に示すように、処理システム10は、埋込可能な医療機器16と、埋込可能な医療機器16と選択的に通信する患者遠隔制御装置18とを備えている。埋込可能な医療機器16は、患者の身体の診断及び/又は治療機能を行う一方、患者遠隔制御装置18は、埋込可能な治療装置16の少なくとも複数の機能を制御する。他の機能は、埋込可能な医療機器16に予めプログラムされているか、及び/又は、個別のケア/医師コントローラ(図示せず)を通じて制御可能である。複数の実施例において、患者遠隔制御装置18は、少なくとも複数の実質的に同一の特徴を有し、
図6(A),
図6(B),
図7に関連して記載されたような患者管理システムの複数の特徴の有無に関わらず、患者遠隔制御装置200,250(
図3A-3D、
図4A-4E、
図5)として寄与する。
【0007】
システム10は多くの異なるタイプの埋込可能な医療機器に適用可能である。一実施例において、埋込可能な医療機器16は、神経刺激によって閉塞性睡眠時無呼吸を治療するシステムの埋込可能なパルス発生器を備える。
図2は、本開示の実施例に係る少なくとも部分的に埋込可能な刺激システムを模式的に示している。
図2に示すように、複数の実施例において、システム21は、埋込可能なパルス発生器(IPG)35と、IPG35の接続部に配置されたコネクタ(図示せず)を介してIPG35と電気的に接続される刺激リード線32とを備えている。複数の実施例において、IPG35は、患者20の胸部内に外科的に配置されている。リード線32は、刺激電極部45を備え、患者20の舌下神経33などの刺激電極部45が所望の神経と接触するように位置決めされるようにIPG35から延び、以下に詳細に述べるように神経33の刺激を可能にする。複数の実施例において、刺激電極部45は、ボンデ等の米国特許8340785に記載されたような自己サイジングカフを備えている。複数の実施例において、リード線32は、クリストファーソン等の米国特許6572543に記載されているような埋込可能な刺激システムに使用するために一致する特徴及び属性を備え、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0008】
複数の実施例において、システム21は、呼吸努力を検知するために患者20に配置された少なくとも1つのセンサ部40(IPG35に電気的に結合され、IPG35から延びている)を有する付加的なリード線37を備えている。センサ部40は、標的とされる神経を刺激する電極部の駆動を誘発するために、呼吸パターン(例えば、吸気、呼気、呼吸休止等)を含む呼吸努力を検知する。この構成によれば、IPG35(
図2)は、呼吸センサ部40からセンサ波形を受け取り、本開示の実施例に係る治療処置レジメに応じて吸気と同期する(又は呼吸サイクルの他の態様に対して同期された)電気的刺激を供給することが可能になる。また、呼吸センサ部40がIPG35によって駆動され、IPG35がリード線37からの信号を受けて処理する内部回路を備えることも理解される。
【0009】
複数の実施例において、センサ部40は、圧力センサである。一実施例において、この実施例の圧力センサは、患者の胸部内の圧力を検知する。複数の実施例において、検知された圧力は、胸部の圧力と心臓の圧力(例えば、血流)との組合せであってもよい。
【0010】
複数の実施例において、呼吸センサ部40は、1つの生体インピーダンスセンサ又は一対の生体インピーダンスセンサを備え、胸部以外の領域に配置されてもよい。一態様において、そのようなインピーダンスセンサは、生体インピーダンス信号又はパターンを検知するように構成され、制御ユニットは、生体インピーダンス信号内の呼吸パターンを評価する。生体インピーダンスの検知のために、一実施例において、電流は、インピーダンスを計算するために、体内の電極部及びIPG35(
図3A)のケースの導電部を通じて、2つの離隔された電極部間(又は電極部の1つとIPG35のケースの導電部との間)を検知する電圧と共に、体内に注入される。複数の実施例において、システム21は、呼吸機能に関連する生理学的データを更に取得するために付加的なセンサを備えてもよい。例えば、システム21は、経胸腔生体インピーダンス、心電図(ECG)信号、又は他の呼吸関連信号を測定する胸部領域の周りに分配される各種センサ(例えば、
図2のセンサ47,48,49)を備えてもよい。
【0011】
複数の実施例において、システム21は、いびき、心臓活動、呼吸気流量などを検知する血液酸素センサ及び/又は音響センサなどの他の内部又は外部センサを備える。複数の実施例において、そのようなセンサは、血液活動、身体位置/姿勢等を検知するセンサを備える。複数の実施例において、様々な生理学的センサの組合せが使用される。
【0012】
複数の実施例において、閉塞性睡眠時無呼吸を治療する検知刺激システム21は、閉塞性睡眠時無呼吸と診断された患者の治療法を提供する完全に埋込可能なシステムである。しかしながら、複数の実施例において、システムの1つ以上の構成要素は、患者の体内に埋め込まれない。そのような非埋込型の構成要素の複数の非限定的な実施例は、外部センサ(呼吸、インピーダンス等)、外部処理ユニット、又は外部電源を備える。もちろん、システムの埋込部分が、通信経路を提供し、システムの外部とシステムの埋込部分との間でのデータの送信及び/又は制御信号のやりとりを可能にすることは、更に理解される。通信経路は、無線周波数(RF)テレメトリ・リンク又は他の無線通信プロトコルを含む。
【0013】
部分的に埋込可能であっても全体的に埋込可能であっても、システムは、繰り返される呼吸サイクルの一部の間、舌下神経を刺激し、睡眠中に上気道における障害又は閉塞を抑えるように設計されている。
【0014】
図3Aは、本開示の一実施例に係る患者遠隔制御装置200を模式的に示すブロック図である。複数の実施例において、患者遠隔制御装置200は、少なくとも
図1に関連して前述したように、患者遠隔制御装置18の特徴及び属性の少なくとも一部を備える。
【0015】
図3Aに示すように、複数の実施例において、患者遠隔制御装置200は、第1の入力部202と、第2の入力部204と、及び第3の入力部206とを備える。複数の実施例において、第1,第2,及び第3の入力部202,204,206のそれぞれは、他の入力部とは異なる特有のサイズ、形状、配置、及び地理的プロフィールを有する。この配置によれば、患者は、触覚(例えば、接触)及び/又は視覚を用いる3つの異なる入力部を迅速且つ効率的に区別することができる。3つの異なる入力部を区別するために触覚を用いることは、暗い又は薄暗い睡眠環境で使用されるときに、システムの有用性を増加させる。第1、第2、第3の入力部のこれらの特性の更なる実施例は、少なくとも
図4A~
図4Bと関連して後述する。
【0016】
第1、第2、及び第3の入力部202,204,206のそれぞれには、相補的に配置された特定の機能が割り当てられている。複数の実施例において、各入力部の1つは「オン」機能を実行し、各入力部の他の1つは「オン」機能を実行し、残りの入力部は増加/減少の機能を実行することができる。複数の実施例において、入力部202,204,206のうちの少なくとも1つは、指の圧力により駆動可能な物理的なボタンである。複数の実施例において、入力部の少なくとも1つは、一般的に指(又はスタイラス)の圧力では動かせないが、指の接触及び/又は指の圧力により駆動可能なタッチスクリーン式のボタンである。
【0017】
また、複数の実施例において、
図3Cに示すように、患者遠隔制御装置200の第1の面201は、少なくとも1つの出力部220を含む。複数の実施例において、出力部220は、患者制御装置200の「オン」又は「オフ」の状態の表示を含む一方、複数の実施例において、出力部220は、他の機能の状態の表示を示す。一態様において、出力部220は、1つの要素又は複数の要素によって実行される。複数の実施例において、出力部220は、LED又は他の光源によって提供される光で実現される。複数の実施例において、出力部210は、第1、第2、又は第3の入力部202,204,206のいずれか1つと共配置される又は密接に隣接する。
【0018】
複数の実施例において、患者遠隔制御装置200の第2の面207(例えば、裏面)は、概括的に言うと、第1,第2,第3の入力部202,204,206の少なくとも複数の機能に関する情報の表示を提供する表示部210を含む。一態様において、表示部210は、オン状態又はオフ状態のいずれかにおける光などの静的な構成要素、及び/又は、点滅光などの動的な構成要素を含む。
【0019】
複数の実施例において、表示部210は、入力値のスケールを示すスケール機能212を含む。複数の実施例において、スケール機能212は、
図3Dに示すように、光インジケータ232の配列230によって実現される。一態様において、光インジケータ232は、ペア234A,234B,234C,234D,234Eに配置されている。複数の実施例において、各光インジケータ232は、発光ダイオード(LED)で構成されている。インジケータ232の配列230によるスケール機能212の少なくとも1つの実現は、少なくとも
図3Dに関連して後述される。
【0020】
図4Aは、
図3A-3Cの患者遠隔制御装置200の実現例を提供する、本開示の一実施例に係る患者遠隔制御装置250の斜視図である。
図4Bは、
図4Aの患者遠隔制御装置250の部分断面図である。
【0021】
図4Aに示すように、患者遠隔制御装置250は、第1の端部253と、対向する第2端部255と、対向する側部257A,257Bと、上面258と、対向する裏面259とを有するハウジング251を備えている。複数の実施例において、ハウジング251は、更に、対向する端部270A,270Bと、対向する側部272Aとを備え、厚さ(T1)、長さ(L1)、幅(W1)を有している。
【0022】
更に
図4Aに示すように、患者遠隔制御装置250は、第1の入力部262と、第2の入力部264と、第3の入力部266とを備えている。複数の実施例において、第1の入力部262及び第2の入力部264は、凹状の駆動可能なボタンとしてそれぞれ配置され、当該ボタンは、凹部を形成するボタン、或いは、患者遠隔制御装置250のハウジング251の上部258に形成される個別の凹部内を移動可能な概ね平坦なボタンのいずれかで実現される。複数の実施例において、第3の入力部266は、第1及び第2の入力部262,264間に配置されている。複数の実施例において、第3の入力部266は、
図4Aに示すように、ハウジング251の上面258から隆起している。
図4Aは、複数の素子267A,267Bとして第3の入力部266を示している。複数の実施例において、第3の入力部266は、単一の素子を備えている。
【0023】
複数の実施例において、第1、第2、第3の入力部の少なくとも1つは、ハウジング251の上面258以外の面又は部分(例えば、270A、270B、272A、272B)に配置されている。
【0024】
複数の実施例において、第1の入力部262は、治療を開始するために埋込可能な医療機器(例えば、
図1では16)への要求の自動送信機を備え、患者制御装置を「オン」状態にする「オン」ボタンを備えている。複数の実施例において、第1の入力部262は、押圧されることにより治療を一時停止し、再度押圧されることにより活療を再開させる「一時停止」ボタンとして機能する。
【0025】
複数の実施例において、第2の入力部264は、治療セッションを終了するために、埋込可能な医療機器に要求を送信する「オフ」ボタンを備えている。
【0026】
複数の実施例において、第3の入力部266は、患者がそれぞれの治療の強度を増減させることを可能にする増加部267A及び減少部267Bを備え、それぞれ治療の強度を増減するために、埋込可能な医療機器(例えば、
図1では16)に要求を送信する。
【0027】
図4A~4Bに示すように、第3の入力部266は、長手方向に離間した第1及び第2入力部262,264間に配置され、ハウジング251の上面258から隆起している。一態様において、この配置は、ハウジング251上の分離された異なる位置で、第1の「オン/一時停止」入力部262と第2の「オフ」入力部264とを分離し、第1及び第2入力部262,264の偶発的又は不注意による係合を阻害する。
【0028】
図4A~4Bに示すように、第1の入力部262は、比較的短い距離D4だけ第1の端部253から離れて配置される一方、第2の入力部264は、比較的長い距離D7だけ第1の端部253から離れて配置されている。従って、ユーザは、ハウジング251の上面258の相対位置に基づいて2つの入力部262,264の同一性をすぐに区別することができる。更に、第2の入力部264は、距離D4の倍数(3倍、4倍、5倍)である距離D3だけ第2の端部255から離れて配置され、ユーザが第1の端部253に近い第1の入力部262と第2の入力部264との同一性を区別することを容易にする。
【0029】
複数の実施例において、
図4Bに示すように、第1の入力部262は、異なる地理的態様、例えば、第2の入力部264の深さ(H3)よりも実質的に大きい(例えば、2倍、3倍、4倍)深さ(H2)を有し、互いに各入力部262,264の同一性が異なっている。更に、第1及び第2の入力部262,264がハウジング251の上面258に対して凹んでいることによって、これらの入力部は、ハウジング251の上面258から高さ(H1)だけ隆起するとともに各凹状の入力部262,264間で隆起する第3の入力部266の地理的態様と大きく異なる地理的態様を有している。
【0030】
複数の実施例において、第1、第2、及び第3の入力部262,264,266の全ては、ハウジング251の横軸/方向(Xで示す)の中心にある長手方向(Yで示す)に沿って配列されている。しかしながら、複数の実施例において、各入力部262,264,266の少なくとも1つは、ハウジングの第1の側部272A又は第2の側部272Bの一方に近い「軸外」の位置にある。この配置は、更に、他の入力部に対して非整列の位置であるので当該入力部の同一性を区別する。一実施例において、第2の入力部264は、それぞれ対向する側部272A,272Bの一方に近い軸外の位置にある。
【0031】
複数の実施例において、第2の入力部264は、第1の入力部262と異なるサイズ及び/又は形状を有する。一実施例において、
図4Aに示すように、第2の入力部264は、第1の入力部262よりも異なるサイズの領域を有し、細長い矩形形状を有し、ハウジング251の長手方向軸Aと概ね平行に方向付けられている。このように、第2の入力部264の同一性は、第1の入力部262の同一性と異なる。一態様において、第1の入力部262の領域は、長さL2及び幅W2で特徴付けられる。一方、第2の入力部264の面積は、長さL3及び幅W3で特徴付けられる。
図4Aは、第2の入力部よりも実質的に大きな領域を有するものとして第1の入力部262を示しているが、複数の実施例において、第2の入力部264は、第1の入力部262よりも実質的に大きな領域を有する。いずれのケースにおいても、これらの区別は、各入力部のそれぞれの触覚の特徴的な性質又は同一性に更に寄与する。
【0032】
もちろん、第1,第2,及び第3の入力部262,264,266は、矩形形状に限定されるものではなく、
図4Cに示すように、多角形282、三角形284、円形286などの他の形状/方向性でもよいことは理解されるであろう。従って、複数の実施例において、これらの非矩形状の1つを有する少なくとも1つの入力部262,264,266を提供する際、各入力部262,264,266の同一性は、ユーザの触覚及び視覚に対して更に区別される。
【0033】
複数の実施例において、
図4Dの側面図に見られるように、患者遠隔制御装置250は、概ね平坦な底面259と、概ね傾斜又はテーパ状の上面258とを有するハウジング251を備える。各入力部の1つ(例えば、第1の入力部262)は、第1の端部253(高さH4を有する)付近で比較的小さい高さを有し、各入力部の他の1つ(例えば、第2の入力部264)が第2の端部255(高さH5を有する)付近で比較的大きな高さを有する。この配置は、各入力部262,264の同一性(触覚及び視覚による)を更に区別し、ハウジング251に対して患者の手を適切な方向に誘導し、第1の入力部262は、患者の指先に隣接するように自然に方向付けられる。
【0034】
一態様において、これらの複数の特徴のいくつかが互いに組み合わされたとき、第1の入力部262、第2の入力部264、第3の入力部266の同一性が、触覚及び/又は視覚によって互いに迅速且つ効果的に区別される。これにより、第2の入力部264(第3の入力部244)と比較して、ハウジング251上の異なるサイズ、形状、地理的プロフィール、及び相対位置を有する第1の入力部262の提示は、患者遠隔制御装置250の低照明におけるユーザの操作性及び/又は視覚障害を有するユーザの操作性を大幅に向上させる。
【0035】
後述する複数の実施例は、ユーザの操作性を提供し、入力部の1つ(例えば、
図4Aでは262,264,266)が指の圧力によって駆動され、患者遠隔制御装置250は、埋込可能な医療機器(例えば、
図1では16、
図2では35)上を移動され、活性化された要求の送信を可能にする。しかしながら、(少なくとも
図4A~4Cと関連付けられた実施例に係る)第1,第2,第3の入力部の同一性を戦略的に区別することによって、ユーザの操作の一つのモードは、埋込可能な医療機器の上の身体の上に患者遠隔制御装置250を配置し、入力部(例えば、262,264,266)の1つを指圧することによって所望の機能を駆動させることを含む。患者遠隔制御装置250は、埋込可能な医療機器への要求の送信のために既に位置決めされている。特に、特有の配置(ハウジング251の第1の端部253)、特有の高さ(ハウジング251の上面258の傾斜形状による)、特有のサイズ/形状などを有する第1の入力部262によれば、ユーザは、ハウジングの上面258を直視することなく、身体(例えば、胸部)の上の患者遠隔制御装置250を容易に方向付けるように片手及び指先を用いることができ、希望通りに、第1,第2,及び第3の入力部と係合することができる。前述したように、複数の実施例において、患者遠隔制御装置250は、入力部の1つの駆動を確認するために可聴信号を用いる及び/又は駆動された入力部による要求の送信を確認する。これにより、ユーザは、埋込可能な医療機器付近の身体の上で患者遠隔制御装置250を保持しながら、配備された機能の確認を聞くことができる。組合せにおいて、これらの特徴は、患者遠隔制御装置250の低照明におけるユーザの操作性及び/又は視覚障害を有するユーザの操作性を大幅に向上させる。
【0036】
一実施例において、患者が睡眠中に目を覚ましたとき、彼らは、通常、眠りに戻るまでの期間、治療を一時停止したい。そのことを念頭に置いて、第1の入力部262が「オン/一時停止」機能を実現するとき、第1の入力部262は、大きく深く凹まされ中央に配置された標的を提供し、右又は左ききの患者は、第1の入力部262で実現された一時停止ボタンを迅速且つ即時に見つけることができる。
【0037】
これに対して、第2の入力部264が「オフ」ボタンとして実現されるとき、その第1の入力部262(及び第3の入力部266)から離れた位置及びその凹形状は、夜中に患者がオフボタンと誤って接触することを避けるのに役立つ。更に、人が「オフ」ボタンと接触したいとき、第2の入力部264の比較的小さなサイズが、オン/一時停止ボタンに対して「オフ」ボタンをすばやく特定するのに役立つ。複数の実施例において、「オフ」ボタンの領域(例えば、この実施例では、第2の入力部264)は、患者の親指プリントの領域と概ね同じ又は小さく、更に、第1の入力部262に対するサイズ(同様に、凹部の深さ、位置、形状等)の明確な対照のため、彼らの親指又は指が第2入力部264に配置されるような使用を即時に示す。複数の実施例において、第1の入力部262は、患者の親指プリントのサイズよりも大きい。
【0038】
一方、複数の実施例において、第3の入力部266は、増減機能を実現する2つの素子267A,267Bを備える。前述したように、第3の入力部266は、ハウジング251の上面258に対して隆起した(及び凹状の第1の入力部262に対して隆起した)輪郭を有する。一態様において、この隆起した輪郭は、患者がオン/一時停止ボタン(すなわち、第1の入力部262)を押そうとするときに偶発的に駆動されることを妨げ、第3の入力部266の識別を容易にする。更に、第3の入力部266が、(単一の素子に代えて)2つの分離され且つ隣接する素子267A,267Bとして実現されるとき、ユーザは、更に、それぞれ単一のボタンで実現された第1及び第2の入力部262,264から第3の入力部266を区別することができる。複数の実施例において、第3の入力部266は、第1の入力部262から第3の入力部266を更に区別するために、第1の入力部266に対して使用される材料/コーティングとは異なるコーティング及び/又は材料の表面を有する。
【0039】
複数の実施例において、
図4Eに示すように、第3の入力部266は、第1の入力部262の周囲において少なくとも部分的に形成され且つ配置された2つの分離された素子269A,269Bとして実現され、患者が第1の入力部262の同一性/位置を見分けることに役立つ。
図4Eの分離された素子269A,269Bは、概ねL形状を有するが、そのような素子が第1の入力部262の周囲を完全又は部分的に囲むのに好適な他の形状を有してもよいことは理解されるだろう。更に、複数の実施例において、第3の入力部266は、第1の入力部262の周囲を部分的又は完全に囲む2つ以上の分離された素子で実現されてもよい。
【0040】
複数の実施例において、ハウジング251は、暗い部屋で装置の視認性を向上させるために光色を含む。
【0041】
複数の実施例において、第3の入力部266は、少なくとも工場出荷時のデフォルトとして設定され、医師によって設定され、及び/又は、患者管理システムのプロトコルによって自動的に決定された予め設定された範囲内で、治療の強度を患者が調整できるようにする。また、複数の実施例において、第3の入力部266は、自動滴定プロトコルに患者が入力することを可能にする。
【0042】
一態様において、選択可能な強度の予め設定された範囲が治療の範囲である。選択可能な強度は、許容可能な治療反応を提供する。概括的に言えば、そのような治療が(例えば、閉塞性睡眠時無呼吸を治療するために)神経刺激を含むとき、患者は、快適性を向上させるために刺激強度を減少させるとともに、いびき又は日中の眠気の増加を知らせる場合など治療の有効性を向上させるために刺激強度を増加させる。複数の実施例において、刺激強度の制御は、電圧、電流、パルス幅、速度、及び刺激電極構成などの刺激パラメータの制御を含む。複数の実施例において、患者遠隔制御装置250の第3の入力部266の素子267Aの一方は、増加ボタンに対応する一方、他方の素子267Bは、減少ボタンに対応する。
【0043】
複数の実施例において、患者遠隔制御装置(
図2A~3Bでは200、
図4A~4Bでは250)の表示部210が、どれくらいの刺激ステップが利用可能であるか、現在選択されている刺激強度が最大値又は最小値と関連するのはどこかを患者に知らせる。具体的には、
図3Bに示すように、表示部210は、刺激強度の表示を患者に利用可能な値の範囲に基づいて自動的にスケール化するスケール要素212を備える。例えば、
図3Dに関連して前述したように、スケール化された表示部210は、2つのLEDを5つのグループ配置したインジケータ232の直線配列230を備え、10個の光インジケータの全部を提供する。従って、患者が、利用可能な5段階の刺激強度設定を有する場合、LEDは、(点灯又は消灯によって)2つのグループで増減を示す。しかしながら、患者が、利用可能な10段階の刺激強度設定を有する実施例において、LEDは、(点灯又は消灯によって)1つずつ増減する。別の実施例において、患者が3段階の刺激強度設定を有する場合、LEDは、3つ又は4つずつ明るくなる。
【0044】
また、表示部210は、出力レベルの増減に伴い適当なLEDが点滅することによって各制御ステップが反映されるように構成されている。増加が要求された場合、新たな出力レベルに関連付けられたLEDが点滅し、その後、固定化する。逆に、減少が要求された場合、新たな出力レベルに関連付けられたLEDが点滅し、その後、オフになる。このようにして、患者は、各制御ステップのサイズと方向を理解するだろう。
【0045】
一態様において、表示部210は、スクリーン型の表示部よりも少ない電気的ノイズを発生するLED配列によって実現され、
図2のIPG35のような埋込可能な医療機器と通信する低消費電力の誘導テレメトリなどの高感度アプリケーションで使用されるLEDベースの表示部210で実現される。また、表示部210にLED配列を用いることは、スクリーン型の表示部と比べて優れた長寿命と耐久性を提供する。スクリーン型の表示部は、一般的に短いライフサイクルを有し、消費電力が多く、例えば、患者制御が落下したり、踏まれたりした場合に破損しやすい。
【0046】
複数の実施例において、患者遠隔制御装置(
図3A~3Cでは200;
図4A~4Cでは250)は、各入力部262,264,266が配置されている第1の側部201に出力部220(
図3C)を備える。概括的に言えば、出力部220は、患者遠隔制御装置250に関連付けられた埋込可能な医療機器(例えば、埋込可能なパルス発生器)の動作の状態を示す。複数の実施例において、出力220は、点灯、消灯、又は点滅モードの動作をする光ベースのインジケータである。複数の実施例において、点灯又は点滅しているとき、出力部220は、患者遠隔制御装置及び/又は埋込可能な医療機器の動作の異なる状態を示すために異なる色を表示する。例えば、1つの色(例えば、緑色)は、治療が「オン」又は「一時停止」であることを示すために使用される。一方、別の色(例えば、黄色又は赤色)は、治療が「オフ」であることを示すために使用される。複数の実施例において、出力部220のそれぞれ異なる色と点滅の組合せが、オン/オフ、及び/又は、オン/一時停止を区別するために使用される。
【0047】
一態様において、出力部220は、患者が直面し得る複数の課題を克服する。まず、埋込可能な装置と通信するテレメトリは、多くの場合、患者遠隔制御装置から埋込可能な装置(例えば、埋込可能なパルス発生器)へコマンドを送信するために短い範囲であるので、患者遠隔制御装置が埋込可能な装置の上で直接身体に配置される。しかしながら、従来のボタン/コントローラの構成の場合、この身体の上の配置は、一般的に、どのボタンが押されているかを見ることができないので、患者遠隔制御装置のどのボタンが押されているかを患者が確認することを困難にする。しかしながら、本開示の実施例の出力部220によって視覚的表示を提供することにより、患者は、どのボタンが押されているかの確認、及び/又は、患者制御の動作状態を知らされる。また、出力部220が、(本開示の複数の実施例において述べられているように)各入力部の同一性に関する触覚的及び視覚的な手がかりを提供する第1,第2,及び第3の入力部262,264,266の特有の構成の組合せであるとき、患者は、患者制御装置の入力部262,264,266の操作の前後で、患者制御装置の動作を確認する設備が整うことになる。
【0048】
また、複数の実施例において、患者制御装置は、患者が治療を「オン」に切り換えたとき、治療(例えば、神経刺激)がすぐに開始されないように設計されている。これに代えて、予め決められた時間、及び/又は、IPGが睡眠及び/又は閉塞性呼吸事象を検知するまで、治療が遅らされてもよい。複数の実施例において、治療の短いブースト(例えば、神経刺激)が、治療が「オン」に切り換えられているがブーストが患者に見逃されていることを患者に通知するために適用される。他の実施例において、患者がこれらの治療をオフに切り換えるか、又は、治療を一時停止するとき、患者は、治療が停止していることを感じることができるが、治療が一時停止又はオフである場合、それは患者にとって明らかではない可能性がある。
【0049】
これらの状況のいずれかにおいて、出力部220は、埋込可能な医療機器(例えば、埋込可能なパルス発生器)の動作状態に関して患者に情報を提供する。
【0050】
複数の実施例において、出力部220の表示インジケータは、暗室内にあるときには阻害されず、直接観察されないときには治療の状況に応じて周囲のフィードバックを提供するのに十分である低レベルの光を生成するように設計されている。例えば、出力部220の表示インジケータは、患者が装置を保持するとき、被験者の手(及び周囲の空間)を照明する。また、ナイトスタンド上での患者遠隔制御装置の配置時において、出力部220は、出力部220のインジケータが時間切れになるまで、ランプシェード又は壁を同様に照明する。複数の実施例において、光強度は、暗い又は薄暗い睡眠環境においてフィードバックを提供するように選択される。他の実施例において、光強度は、周囲の光レベルに基づいて自動的に調整され、より高い強度の光がより明るい部屋で使用され、より低い強度の光がより薄暗い部屋に使用される。
【0051】
複数の実施例において、出力部220は、ハウジング251の上面258に、第1の入力部262と共に配置される。一態様において、この配置は、患者遠隔制御装置250が埋込可能な医療機器と通信するために身体の上に配置されるとき、出力部220から照明を見る患者の容易性を向上させる。複数の実施例において、出力部220は、ハウジング251上の他の場所に配置される。出力部220が、ハウジング251上の他の入力部262,264,266の形状/サイズ/位置と相補的であることを除いて、その形状及び/又はサイズに限定されないことは理解されるであろう。複数の実施例において、出力部220は、少なくとも部分的に第1の入力部262を囲み、第3の入力部266の部分の近くに並置されてもよい。そうすることによって、出力部220からの照明が、第1の入力部262の位置(例えば、オン/一時停止機能)を強調するのに役立ち、低い照明環境で治療を開始又は一時停止することを容易にする。
【0052】
複数の実施例において、患者遠隔制御装置250は、更に、出力部220の表示インジケータによる情報通信の態様/タイプを補完するために、補助的な警告(例えば、トーン又は振動)を含む。複数の実施例において、そのような警告は、限定されるものではないが、少なくとも
図5に関連して後述するように、通信モジュール400などの通信モジュールの少なくとも複数の機能に関連して生成される。
【0053】
概括的に言えば、患者遠隔制御装置250は、治療強度(例えば、刺激強度)、オン/オフ/一時停止などの基本的機能に関して、埋込可能な装置(IMD)16と情報を交換する。しかしながら、複数の実施例において、患者遠隔制御装置250は、限定されるものではないが、例えば、治療強度範囲、シリアル番号、医師によって最後に設定された日付など、種々のIMD設定及びデータに関する情報も入手する。これらの値は、すぐに変化しないので、患者遠隔制御装置250がIMD16と通信する度に更新される必要はない。一態様において、この情報は、限定されるものではないが、例えば、少なくとも
図7に関連して後述する治療プロトコルなど、刺激強度及び治療指標に関する正確なフィードバックを患者に提供する基礎を提供する。
【0054】
前述したように、埋込可能な医療機器16への通信、埋込可能な医療機器16からの通信は、多くの場合、低い電力制限による短距離通信を含み、患者遠隔制御装置250と埋込可能な医療機器との通信の動作(例えば、テレメトリ・リンク)は、一般的に、相対位置/間隔の小さいウィンドウに制限される。
【0055】
このことを念頭において、本開示の複数の実施例は、この状況に適合した通信モジュールを有する患者遠隔制御装置を提供する。
図5は、本開示の一実施例に係る患者遠隔制御装置18,250の通信モジュール400を模式的に示すブロック図である。
【0056】
図5に示されるように、患者遠隔制御装置の典型的な他の基本的機能のうち、通信モジュール400は、リトライ機能402を備える。
【0057】
複数の実施例において、リトライ機能402は、警告モード配列及び/又は警告タイプ配列430と協働して動作する。複数の実施例において、警告モード配列410及び/又は警告タイプ配列430が、通信モジュール400の他の機能及び/又は患者遠隔制御装置250の他の機能、例えば、埋込可能な医療機器に対して入力部262,264,266の基本動作と関連する通知を提供することをサポートすることは理解されるだろう。少なくとも複数の実施例において、
図5に関連して図示された通知が「警告」として通信されず、差し迫った動作又は否定的な結果と通知の発生とが必ずしも関連付けられないことは理解されるであろう。
【0058】
複数の実施例において、患者遠隔制御装置250のリトライ機能402は、患者遠隔制御装置250が患者に通信するポイントで、例えば、埋込可能な医療機器から確認が検索されるまでのコマンドなど、通信を埋込可能な医療機器に自動的に再送信する(例えば、リトライする)。複数の実施例において、そのような通知は、警告モード配列410の可聴式インジケータ機能412(例えば、トーン、ビープ音など)、視覚的インジケータ機能414(例えば、光)、及び信号インジケータ機能416の1つによって、或いは、これらの様式の組合せによって提供される。
【0059】
複数の実施例において、各通知は、複数の分類の1つに該当する。
図5に示すように、警告タイプ配列430は、通信モジュール400が埋込可能な医療機器までのコマンドの成功を患者に通信する成功インジケータ機能432と、通信モジュール400が埋込可能な医療機器までのコマンドの失敗を患者に通信する失敗インジケータ機能434を提供する。また、制限インジケータ機能436は、要求された特有のコマンドの制限のために、要求コマンドが実行されないことを患者に通信する。例えば、治療強度(例えば、刺激強度)を増加させるために患者が第3の入力部266を押したが、要求された量が医師によって設定された量を超える場合、制限インジケータ機能436が制限の存在を患者に通知する。
【0060】
異なるタイプの警告(例えば、成功、失敗、制限)を提供するのに、異なるモード(例えば、可聴、視覚、振動)のいずれか、並びに複数のモードの様々な組合せの通知を用いることができる。
【0061】
通信モジュール400によって提供される配置によれば、患者遠隔制御装置250は、患者にコマンドを選択させることを可能にするとともに、患者が、患者遠隔制御装置250を通じてコマンドを選択しながら、埋込可能な医療機器をホストする身体の上で患者遠隔制御装置250を保持する警告技術を用いることに代えて、埋込可能な医療機器をホストする身体の上で患者遠隔制御装置250を揺り動かすことを可能にする。この配置は、より容易に患者に埋込可能な医療機器と通信させ、埋込可能な医療機器の動作状態の表示に関連して出力部220を見るのにより有利な位置で患者が患者遠隔制御装置250を定期的に操作することを可能にする。
【0062】
複数の実施例において、リトライ機能402は、(相対的なコマンドとは対照的に)絶対的なコマンドを送信し、特定のタイプのコマンド(例えば、治療強度増加コマンド)が各リトライ時に連続的に送信されないように構成されている。或いは、治療強度は、要求されるレベルの増加(但し、未だ安全制限に従う)をはるか超えて増加させてもよい。しかしながら、複数の実施例において、リトライ機能220は、複数回のリトライが、埋込可能な医療機器によって取られる根本的な動作を変えることなく、埋込可能な医療機器によって同じコマンドで単に複数回実行されるので、複数回のリトライ、或いは、単なる「オン」又は単なる「オフ」の送信を許容する。複数の実施例において、患者遠隔制御装置250は、少なくとも
図6(A)に関連して後述されるように、表示装置540と協働する患者遠隔制御装置250によって特定の数値レベルで治療強度(例えば、刺激強度)を設定するように構成されている。
【0063】
複数の実施例において、患者遠隔制御装置250は、治療強度の調整の相対的な範囲内でオプションによりスクロールするように第3の入力部266を患者が使用することを可能にし、一旦、患者が(例えば、
図3B,3Dの表示部201を通じて)表示された所望のレベルを達成すると、患者は、埋込可能な医療機器の上で患者遠隔制御装置250を揺り動かす。一態様において、自動リトライ機能240は、選択された表示部210に表示された治療強度のレベルに対応する絶対的なレベルのコマンドを実行し、患者がオプションにより切り換え続けるように、目標レベルを変更する。
【0064】
前記したように、少なくとも複数の実施例において、埋込可能な医療機器にコマンドを送信することに加えて、患者遠隔制御装置250が埋込可能な医療機器からデータを検索する。複数の実施例において、そのようなデータの検索は、正確なフィードバック/指標(metric)として患者に提供されるように行われる。前記フィードバック/指標は、少なくとも
図6(A)に関連して後述されるように、患者遠隔制御装置250に接続される表示装置540によって視認可能であり、複数の実施例において、治療プロトコル(
図7)に使用される。
【0065】
このことを念頭において、患者遠隔制御装置250は、大型の患者管理システム500の一部を形成し、
図6(A)に示すように、表示装置540(例えば、スマートフォン、タブレット、コンピュータ等)が、以下に述べるように患者遠隔制御装置250と通信する。
【0066】
図6(A)は、本開示の一実施例に係る患者管理システム500を模式的に示すブロック図である。
【0067】
他の構成要素のうち、患者管理システム500は、少なくとも複数の実質的に同じ機能を有し、少なくとも
図4A~
図5に関連して前述したように、患者遠隔制御装置250として寄与する患者遠隔制御装置510を備える。また、患者管理システム500は、少なくとも
図1に関連して及び本開示を通じて前述したように、少なくとも複数の実質的に同じ特徴を有する埋込可能な医療機器512を備えている。
【0068】
図6(A)に示すように、患者遠隔制御装置510は、患者遠隔制御装置510が埋込可能な医療機器(IMD)512の十分近接して配置されたとき、コマンド/データを送信/受信するために、埋込可能な医療機器512と選択的に無線通信する。複数の実施例において、患者遠隔制御装置510は、患者遠隔制御装置510とIMD512との基本的な通信における不必要な遅れを抑えるために、(連続的ではなく)定期的にIMD512からデータを検索する。複数の実施例において、患者遠隔制御装置510は、治療がオフされるときなどにおいて、IMD512からデータを検索するように構成されている。そのような機会にIDMのデータを収集することによって、患者遠隔制御装置510は、昨晩の治療動作についてIMD512からデータを検索するとともに、前の晩の間にIMD滴定プロトコルによって選択され得る新たな治療範囲を検索することができる。
【0069】
複数の実施例において、患者遠隔制御装置510は、IMD512が治療範囲外として拒絶される振幅の絶対値を患者遠隔制御装置510が選択しようとするとき、IMD512からデータを検索する。このシナリオにおいて、IMD512は、許容可能な振幅値であることを示す情報、或いは、要求される振幅値が高過ぎることを示す情報を患者遠隔制御装置510に返信する。複数の実施例において、そのような通知は、
図5の通信モジュール400の警告タイプ配列430の制限機能436によって提供される。
【0070】
前のシナリオの図において、新たな治療レベルを設定するために振幅の絶対値として入力部266を通じて要求されるコマンドが失敗したとき、患者遠隔制御装置510は、治療範囲に関する患者遠隔制御装置510に記憶された情報が期限切れであり、埋込可能な医療機器512から現在のデータを検索することを決定する。患者遠隔制御装置510に記憶された現在のデータは、許容可能な治療強度の上限及び下限を含み、患者が第3の入力部266を通じて治療レベルの増減を試みるとき、患者遠隔制御装置510が増減コマンドに代えて、絶対的なコマンドを送信する。例えば、患者遠隔制御装置510が埋込可能な医療機器512から更新範囲を検索されることを想定する。前記範囲は2.1~2.4とし、現在の振幅は2.2とする。患者が第3の入力部266の増加ボタンを押すとき、患者遠隔制御装置は、相対的な増加コマンドに代えて、埋込可能な医療機器512に2.3コマンド(振幅の絶対値)を送信する。
【0071】
複数の実施例において、埋込可能な医療機器512は、神経刺激によって閉塞性睡眠時無呼吸(520)を治療する埋込可能なパルス発生器を含むが、複数の実施例では、他の治療法(522)のために構成される。
【0072】
また、
図6(A)に示されるように、複数の実施例において、患者管理システム500は、限定されるものではないが、例えば、患者の睡眠環境において利用可能な外部酸素飽和度センサ532及び/又は音響センサ534などの外部センサ530を備えている。
【0073】
一態様において、外部センサ530は、有効な治療を提供することを容易にするために、埋込可能な医療機器512及び/又は患者管理システム500の他の構成要素(例えば、治療管理)に目的のフィードバックを提供する。複数の実施例において、センサ530は、
図6(A)に示すように、(Wによって示される)無線通信、又はUSBなどの(Rによって示される)有線接続によって通信する。一態様において、そのような無線通信は、限定されるものではないが、例えば、ブルートゥース(登録商標)、近距離無線通信(NFC)などの様々な無線通信プロトコルを含む。
【0074】
複数の実施例において、患者遠隔制御装置510は、
図6(A)に示すように、無線(W)又は有線(R)接続によって表示装置540と選択的に通信する。一態様において、そのような無線通信は、無線LAN、GSM(登録商標)などの付加的でより強力な無線様式を含む。
【0075】
複数の実施例において、表示装置540は、ユーザ・インターフェース542と、治療マネージャ550とを備える。適当な表示装置の複数の身近な例は、携帯/スマートフォン、タブレット、ノートブックコンピュータ、デスクトップコンピュータなどを含む。
【0076】
複数の実施例において、表示装置540は、限定されるものではないが、例えば、入力(例えば、キーボード、スタイラス)及び情報の表示を可能にするグラフィカル・ユーザ・インターフェースを備え、治療マネージャ550にアクセスし、治療マネージャ550の動作を提供する。
【0077】
概括的に言えば、表示装置540は、埋込可能な医療機器512及び患者遠隔制御装置510の関連する機能によって提供される治療の詳細について患者に知らせるツールを提供するために、治療マネージャ550をホストする。一態様において、治療マネージャ550は、ユーザ・インターフェース542を通じてアクセス可能である。他の潜在的な特徴のうち、複数の実施例において、治療マネージャ550は、目標機能552、利用機能554、及びIMDデータ機能556を備える。
【0078】
概括的に言えば、目標機能552は、患者に対して治療目標を追跡して通信する。複数の実施例において、目標機能552は、少なくとも
図7に関連して後述するように、目標及び/又は未達成の目標を改善するための促進を満たす成功に関する正の強化を通信する。複数の実施例において、そのような目標に関連する情報は、電子メールのステータスの更新、プライベートなツイート、SMSのメッセージング(例えば、テキスト・メッセージング)、ゲーム類似のインターフェース、トレンド、グラフ、レポート、医療提供者/管理者(臨床医、看護師、医師など)からの録音又は生のメッセージによって通信される。
【0079】
複数の実施例において、利用機能554は、患者による治療システムの利用態様に関する利用回数、毎日の利用時間、一週間以内に利用された日数などに関する詳細を通信する。
【0080】
複数の実施例において、患者遠隔制御装置510は、患者遠隔制御装置(
図4A~4Bでは250)の入力部262,264,266のオン動作から直接的にデータを捕捉する。例えば、そのようなデータは、治療がオンに切り替わったとき及び入力部262,264によってオフに切り替わったときに基づく治療の利用時間、一時停止時間、及び治療が利用された日の回数を含む。複数の実施例において、利用機能554は、例えば、患者遠隔制御装置250,510の第3の入力部266によって実行される治療強度の調整を追跡する。
【0081】
複数の実施例において、治療マネージャ550は、IMD512によって追跡され且つ記憶された情報を通信するIMDデータ機能556を備える。IMD512が閉塞性睡眠時無呼吸を治療するために適用される実施例において、そのようなデータは、利用機能554によって追跡され、当該追跡された無呼吸・低呼吸指数(AHI)、頻度、量、覚醒の強度などの睡眠の質に関する情報を含む。この情報は、患者遠隔制御装置510を通じて表示装置540に伝達される。
【0082】
例えば、治療履歴パラメータは、1以上の期間(例えば、日、週、月など)にわたる刺激の頻度、量、刺激強度の傾向を報告する。治療履歴によって報告され得る他の潜在的なデータは、覚醒の頻度、量、強度及び無呼吸・低呼吸指数(AHI)の傾向を含む。複数の実施例において、医師又はケアマネージャは、プログラマ560を通じて情報のタイプ及び量が患者に利用可能であることを判断する。
【0083】
これらの指標は、少なくとも
図7に関連して後述されるように、ユーザ・インターフェース542を通じて、患者の行動の正の側面、長期間にわたる使用/強度/行動の傾向を認識し、どのようにして患者が睡眠の質及び/又治療成績を改善できるかの目標及び促進を提供する積極的に関わる態様で表示される。
【0084】
ユーザ・インターフェース542を通じてそのような治療情報を提供することで、患者管理システム500は、治療への患者関与の可能性が増加し、治療の正の印象を促し、治療の順守を向上させることができる。治療の順守は、治療の有効性に直接的に関連する。患者の順守の欠如は、CPAP及び下顎前方固定などの他の睡眠治療で認識される問題である。
【0085】
複数の実施例において、表示装置540の治療マネージャ550によって提供される治療情報は、クラウド570(例えば、インターネットベースの通信ネットワーク)を通じて医師プログラマ560に通信されるか、或いは、医師プログラマ560が表示装置540と共配置される場合、短距離無線(W)通信又は有線(R)通信を通じて直接的に医師プログラマ560に通信される。
図6(A)に示すように、医師プログラマ560は、表示装置540の治療マネージャ550と共通する少なくとも複数の特徴を含む治療マネージャ562を備え、医師(又は他のケアマネージャ)が患者のケアを管理することを可能にする。プログラマ560でそのような患者情報を受信する際、医師は、患者のユーザ・インターフェース542で視認可能な患者の目標を設定し、患者を励ます又は褒めるために患者にメッセージを送信する、及び/又は、使用や性能の問題を対処するために患者の来院の必要性を判断するなどの行動を行う。複数の実施例において、患者管理システム500は、そのような分析及び/又は通信を行うために、ウェブベースのポータル(例えば、ユーザ・インターフェース572)を備える。
【0086】
複数の実施例において、治療マネージャ550,562は、患者に上手く治療させるようにガイドすることに加えて、IMDデータ556に基づくIMD治療設定及び患者遠隔制御装置510の患者の使用を自動的に用量設定するように構成されている。そのような調整又は用量設定は、IMD512及び/又は患者遠隔制御装置510に伝達される。一態様において、ユーザ・インターフェース542は、必ずしも治療の技術的側面の全てを患者に伝達する必要はない。この配置によれば、埋込可能な処理システムの患者の改善された関与が、治療パラメータの自動滴定と関連する。
【0087】
複数の実施例において、治療マネージャ(例えば、550,562)は、表示装置540のメモリ、医師プログラマ560、クラウド・コンピューティング・リソース570などに記憶される。複数の実施例において、治療マネージャ550の機能及び特徴の全部又は一部を備える治療マネージャは、患者遠隔制御装置510のメモリに記憶されている。治療マネージャ(又はその一部)の配置に関わらず、複数の実施例において、治療マネージャは、少なくとも
図6(B)に関連して後述するように、制御部590の一部を構成する及び/又は制御部590によってサポートされる。制御部590は、表示装置540、医師プログラマ560、クラウド・コンピューティング・リソース570、及び/又は患者遠隔制御装置510の全体又は部分的に収容されることができる。
【0088】
このことを念頭に置いて、複数の実施例において、埋込可能な医療機器用の患者遠隔制御装置は、埋込可能な医療機器によって提供される治療を少なくとも部分的に管理するために治療マネージャを備える。治療マネージャは、例えば、患者に付けられた血液酸素センサ532(例えば、パルス酸素濃度計)によって取得された、患者の血液の酸素データを追跡して記憶するために、
図6(A)に示す血液酸素センサ機能557を備える。他の実施例において、患者遠隔制御装置は、治療を開始するとともに終了するために、少なくとも第1及び第2の入力部を備える。同様に、少なくとも複数の他の入力部/機能は、本開示の患者遠隔制御装置の実施例と一致する。複数の実施例において、この治療マネージャは、埋込可能な医療機器によって治療を実現するために、患者遠隔制御装置の患者の利用情報を追跡して記憶する利用機能も備える。
【0089】
この実施例において、患者遠隔制御装置は、
図6(A)に示す血液酸素センサ557に患者の血液酸素データを提供するために、患者遠隔制御装置510に選択的に接続されたパルス酸素濃度計(酸素センサ532によって示される)を備えるシステムの一部を構成する。複数の実施例において、治療マネージャは、少なくとも患者の血液酸素データ(センサ機能557によって)に基づいて、治療パラメータを自動的に変更するように、又は、治療パラメータを変更するための指示を自動的に提供するように構成されている。複数の実施例において、治療パラメータは、刺激振幅、刺激パルス幅、刺激率、刺激デューティーサイクル、患者制御振幅制限(patient control amplitude limit)、患者制御パルス幅制限(patient control rate limit)、刺激制限、及び患者制御率制限(patient control rate limit)の少なくとも1つを含む。
【0090】
複数の実施例において、治療マネージャは、患者の血液酸素データに基づいて
図6(A)の酸素飽和度低下指数(ODI558によって示される)を計算するように構成されている。複数の実施例において、治療マネージャは、酸素飽和度低下指数(ODI558)が閾値を超える場合、治療パラメータを自動的に変更するか、或いは、治療パラメータを変更する指示を自動的に提供するように構成されている。複数の実施例において、治療マネージャは、酸素飽和度低下指数(ODI558)が閾値を下回る場合、治療パラメータを自動的に変更するか、或いは、治療パラメータを変更する指示を自動的に提供するように構成されている。
【0091】
複数の実施例において、治療マネージャは、患者の血液酸素データ、治療パラメータ、ストレージの治療パラメータの変更の少なくとも1つを通信し、臨床医(例えば、医師、ケアマネージャ等)及び患者の少なくとも一方によって対処されるように構成されている。
【0092】
図6(B)は、本開示の一実施例に係る制御部590を模式的に示すブロック図である。複数の実施例において、制御部590は、コントローラ592と、メモリ594と、ユーザ・インターフェース542/572とを備えている。
【0093】
概括的に言うと、制御部590のコントローラ592は、少なくとも1つのプロセッサ593と、本開示を通して説明されるシステム及び構成要素の少なくとも複数の構成要素の動作を指示する制御信号を生成するためにメモリ594と通信する関連メモリとを備えている。複数の実施例において、これらの生成された制御信号は、限定されるものではないが、例えば、治療マネージャ550/562、ユーザ・インターフェース542,572、及び患者管理システム500の様々な構成要素、モジュールなどの動作を含む。複数の実施例において、制御部590(又はその一部)は、埋込可能な医療機器512及び/又は患者遠隔制御装置510に存在する。
【0094】
特に、ユーザ・インターフェース542/572を通じて受信されたコマンド及び/又は機械可読指示(ソフトウェアを含む)に応じて又は基づいて、コントローラ592は、前述の実施例の少なくとも複数と一致する制御信号を生成する。複数の実施例において、コントローラ592は、汎用のコンピュータで実現される。一方、他の実施例において、コントローラ592は、本開示を通じて記載された種々のイオン書き込みアセンブリ(the various ion writing assemblies)で実現される。
【0095】
本出願の目的のために、コントローラ592に関連して、用語「プロセッサ」は、メモリに含まれる機械可読指示(限定されるものではないが、例えば、ソフトウェア)のシーケンスを実行する現在開発又は将来開発されるプロセッサ(処理リソース)を意味する。複数の実施例において、例えば、制御部590のメモリ594を通じて提供される機械可読指示のシーケンスの実行は、本開示の少なくとも複数の実施例に概ね記載されている(又は一致する)ように、浸食(corrosion)を防止しながらイメージングを行うようにコントローラ592を動作させるアクションをプロセッサにさせる。機械可読指示は、読み出し専用メモリ(ROM)、大容量記憶デバイス、又は他の永続的ストレージ(例えば、メモリ594によって示される非一時的有形媒体又は不揮発性有形媒体)に記憶された場所からプロセッサによって実行されるランダムアクセスメモリに読み込まれてもよい。複数の実施例において、メモリ594は、コントローラ592のプロセッサによって実行可能な機械可読指示の不揮発性ストレージを提供するコンピュータ可読有形媒体を備える。他の実施例において、ハードウェアにより実現される電気回路構成は、記載された機能を実現するために、機械可読指示(ソフトウェアを含む)の代わりに又は機械可読指示と組み合わせて使用されてもよい。例えば、コントローラ592は、少なくとも1つの特定用途向け集積回路(ASIC)の一部として実現されてもよい。少なくとも複数の実施例において、コントローラ592は、ハードウェアの電気回路構成及び機械可読指示(ソフトウェアを含む)の特定の組合せに限定されるものではなく、コントローラ592によって実行可能な機械可読指示の特定のソースにも限定されない。
【0096】
複数の実施例において、ユーザ・インターフェース542/572は、本開示を通じて記載されているように、同時表示、起動、及び/又は、様々な構成要素、機能、特徴の少なくとも複数の動作、並びに、制御部590及び/又は治療マネージャの動作を提供するユーザ・インターフェース又は他の表示部を備える。複数の実施例において、ユーザ・インターフェース542/572の少なくとも複数の部分又は側面は、グラフィカル・ユーザ・インターフェース(GUI)によって提供される。
【0097】
図7は、本開示の一実施例に係る治療管理プロトコル701を模式的に示すフロー図である。複数の実施例において、プロトコル701は、
図6(A)の患者管理システム内の治療マネージャ550、562の一部として動作する。
図7に示すように、プロトコル701は、現在の治療を評価し調整する基準(baseline)を提供するために、患者治療指標の履歴を長期間維持することを含む基準指標(710)を追跡する一般的機能を含む。712で示すように、基準指標は、新しいデータの定期的な更新によって維持される。
【0098】
プロトコル701は、720で示すように、治療指標によって治療目標を調整することを含む。一態様において、この調整は、724のように、治療指標の傾向を確認することを含み、傾向の確認は、先週又は昨夜など、直近の行動に対して行われる。複数の実施例において、傾向の確認は、先月、3ヶ月前など長期間の行動に応じて行われる。傾向の確認及び評価において、プロトコルは、治療によって改善されているか否かを730で質問する。その答えがYESである場合、プロトコル701は、目標に対する加重値を減少させるか(732B)、或いは、目標を削除する(734B)などの変更を実行する。一方、前記答えがNOである場合、プロトコル701は、目標の加重値を増加させるか(732A)、或いは、目標を追加する(734A)などの変更を実行する。そのような目標は、限定されるものではないが、例えば、治療に利用された夜/週の数、毎晩の「オン」時間、AHIの減少、治療強度の増加、日中の覚醒時間の質的評価などを含む。
【0099】
一旦、プロトコルが複数の目標及び傾向を考慮してこれらの質問及び調整を完了すると、740で、プロトコル701は、調整された目標を分析することを含む。複数の実施例において、そのような分析は、750のように、患者が正の強化を受けるための目標を確認することを含む。複数の実施例において、そのような分析は、752のように、患者が改善を促進するための目標を確認することを含む。
【0100】
一旦、この分析が完了すると、治療マネージャ550(又は他の治療マネージャ)の目標機能552によって利用可能な予め確立されたイメージングを用いて、プロトコル701は、改善のために、正の強化及び/又は促進と共に、目標を患者(760)及び/又は医師(764)に知らせることを含む。複数の実施例において、そのような通信は、そのような目標を達成するのに最適な方法で推奨及び/又はツールを含む。
【0101】
このように、患者管理システムは、全体的な睡眠健康管理のために、患者プログラマ、患者経験、医師又は介護者のフィードバックから収集された治療指標を統合するのに役立つ。複数の実施例において、患者管理システムのマスタ治療管理は、患者のユーザ・インタフェースを通じて関連するフィードバックを患者に提供すると共に、治療をガイドするために患者制御装置への送信を準備する複数の実用的なパラメータを患者に提供するために、治療指標の自動化された分析を行う。
【0102】
具体的な実施例を図示し説明してきたが、種々の代替的及び/又は等価的な実施形態が本開示の範囲から逸脱することなく示され且つ記載された特定の実施例と置き換えられてもよいことは当業者によって理解されるだろう。この出願は、本明細書に記載された特定の実施例の任意の改良又は変形を網羅することを意図する。
【手続補正書】
【提出日】2022-09-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
埋込可能な医療機器(512)によって患者に送達される治療の使用情報を記憶する第1の装置(510)と、
ネットワークを介して前記第1の装置(510)から受信した使用情報の分析後に前記埋込可能な医療機器(512)に制御信号を送信することにより、滴定プロトコルによって選択された治療設定を用量設定するように構成された治療マネージャ(562)を含む第2の装置(560)と、
を備える、システム。
【請求項2】
前記第1の装置(510)は、ローカルの無線接続を介して前記埋込可能な医療機器と通信する、患者の体外にある装置である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記使用情報は、利用回数、利用時間、および利用された日数に関する1つまたは複数の詳細を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記治療設定は、許容可能な治療強度の上限および許容可能な治療強度の下限のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記埋込可能な医療機器(512)は、パルス発生器(520)を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1の装置(510)は、ユーザ・インターフェース(262、264、266)を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記制御信号は、前記治療マネージャ(562)から前記第1の装置(510)に送信され、次に前記第1の装置(510)から前記埋込可能な医療機器(512)に送信されるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記制御信号は、前記第1の装置(510)の使用を制限する、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1の装置(510)は、前記埋込可能な医療機器にコマンドを選択的に通信するように構成された患者遠隔制御装置である、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記治療マネージャ(562)は、滴定プロトコルを介して治療設定を自動的に用量設定するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記第2の装置(560)は、使用情報を臨床医、医師、またはケアマネージャに提示するように構成され、さらに、前記第2の装置(560)は、前記治療マネージャ(562)を含む制御部(590)を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記第2の装置(560)は、クラウド・コンピューティング・リソース(570)を介してアクセス可能なウェブベースのポータル(572)を備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記第2の装置(560)は、臨床医プログラミング装置(560)またはクラウド・コンピューティング・リソース(570)を介してアクセス可能な臨床医のウェブベースのポータル(572)のうちの少なくとも1つを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記治療設定は、埋込可能な医療機器データ(556)および前記第1の装置(554)の使用のうちの少なくとも1つに基づいて用量設定される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1の装置(510)は、患者が自動滴定プロトコルに入力を提供できるようにする入力(266)を含む、請求項13に記載のシステム。
【外国語明細書】