(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172162
(43)【公開日】2022-11-15
(54)【発明の名称】システム及び通信方法
(51)【国際特許分類】
H04L 27/26 20060101AFI20221108BHJP
H04J 13/22 20110101ALI20221108BHJP
H04L 1/16 20060101ALI20221108BHJP
H04W 72/04 20090101ALI20221108BHJP
H04W 28/04 20090101ALI20221108BHJP
【FI】
H04L27/26 310
H04L27/26 410
H04J13/22
H04L1/16
H04W72/04 136
H04W28/04
H04W72/04 134
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130117
(22)【出願日】2022-08-17
(62)【分割の表示】P 2021152106の分割
【原出願日】2008-10-28
(31)【優先権主張番号】P 2007280796
(32)【優先日】2007-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2007339924
(32)【優先日】2007-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2008268690
(32)【優先日】2008-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
(71)【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中尾 正悟
(72)【発明者】
【氏名】今村 大地
(57)【要約】
【課題】ACKとNACKの受信品質を均等にできる通信装置を提供すること。
【解決手段】通信装置は、リソースの番号とCCEの番号とが関連付けられ、CCEを用いて制御情報を送信する送信部と、CCEの番号に関連付けられたリソースの番号から特定される循環シフト量で定義される系列と、複数の直交系列のうちの一つであってリソースの番号から特定される直交系列とを用いて生成された応答信号であって、応答信号を受信する受信部とを有し、リソースの番号は一つの直交系列を特定する2つのリソースの番号であって、所定間隔で隣り合う2つの循環シフト量を夫々特定する2つのリソースの番号のうちの一つであり、受信部はリソースの番号が2つのリソースの番号のうちの一方である場合、リソースの番号が2つのリソースの番号のうちの他方である場合に生成される応答信号に対し、IQ平面上で90度の回転成分を含むように生成された応答信号を受信する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局と移動局からなるシステムであって、
前記基地局は、
前記移動局に制御情報を送信する第1送信部と、
前記移動局から送信された応答信号を受信する受信部と、
を有し、
前記移動局は、
複数の循環シフト量のうちの一つの循環シフト量であって、応答信号の送信に用いられる上り制御チャネルが配置されるリソースの番号から特定される前記一つの循環シフト量で定義される系列を用いて、前記応答信号を拡散する拡散部と、
前記リソースの番号が偶数の場合、前記応答信号に1を乗算し、前記リソースの番号が奇数の場合、前記応答信号にej(π/2)を乗算するスクランブリング部と、
拡散され、1又はej(π/2)を乗算された前記応答信号を、前記基地局に送信する第2送信部と、
を有する、システム。
【請求項2】
前記スクランブリング部は、前記循環シフト量に応じて、前記応答信号に、1又はej(π/2)を乗算する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記スクランブリング部は、前記一つの循環シフト量で定義される系列に応じて、前記応答信号に、1又はej(π/2)を乗算する、
請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記移動局は、拡散され、1又はej(π/2)を乗算された前記応答信号を、複数の直交系列のうちの一つの直交系列であって、前記リソースの番号から特定される前記一つの直交系列を用いて、2次拡散する2次拡散部をさらに有し、
前記第2送信部は、2次拡散された前記応答信号を送信する、
請求項1から3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
前記複数の直交系列のうちの一つの直交系列を特定する複数の前記リソースの番号は、連続する番号である、
請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記リソースは、前記複数の直交系列のうちの一つの直交系列を特定する2つのリソースであって、所定間隔で隣り合う2つの循環シフト量をそれぞれ特定する前記2つのリソースのうちの一つであり、
前記スクランブリング部は、前記リソースが、前記2つのリソースのうちの一方である場合、前記応答信号に1を乗算し、前記リソースが、前記2つのリソースのうちの他方である場合、前記応答信号にej(π/2)を乗算する、
請求項4又は5に記載のシステム。
【請求項7】
前記2次拡散部は、前記一つの直交系列を用いて、前記応答信号を、ブロックワイズ拡散する、
請求項4から6のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
前記2次拡散部は、前記直交系列として、系列長が4である系列を用いる、
請求項4から7のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
前記拡散部は、前記一つの循環シフト量で定義される系列として、系列長が12である系列を用いる、
請求項1から8のいずれかに記載のシステム。
【請求項10】
前記応答信号は、ACK又はNACKである、
請求項1から9のいずれかに記載のシステム。
【請求項11】
前記リソースの番号とコントロール・チャネル・エレメント(CCE)の番号とが関連付けられ、前記第1送信部は、前記CCEを用いて、前記移動局に前記制御情報を送信し、
前記拡散部は、前記CCEの番号に関連付けられた前記リソースの番号から特定される前記一つの循環シフト量で定義される系列を用いて、前記応答信号を拡散する、
請求項1から10のいずれかに記載のシステム。
【請求項12】
基地局から移動局に制御情報を送信する第1送信工程と、
前記移動局において、複数の循環シフト量のうちの一つの循環シフト量であって、応答信号の送信に用いられる上り制御チャネルが配置されるリソースの番号から特定される前記一つの循環シフト量で定義される系列を用いて、前記応答信号を拡散する拡散工程と、
前記移動局において、前記リソースの番号が偶数の場合、前記応答信号に1を乗算し、前記リソースの番号が奇数の場合、前記応答信号にej(π/2)を乗算するスクランブリング工程と、
前記移動局から前記基地局に、拡散され、1又はej(π/2)を乗算された前記応答信号を、送信する第2送信工程と、
前記基地局において、前記応答信号を受信する受信工程と、
を有する、通信方法。
【請求項13】
前記スクランブリング工程は、前記循環シフト量に応じて、前記応答信号に、1又はej(π/2)を乗算する、
請求項12に記載の通信方法。
【請求項14】
前記スクランブリング工程は、前記一つの循環シフト量で定義される系列に応じて、前記応答信号に、1又はej(π/2)を乗算する、
請求項12又は13いずれかに記載の通信方法。
【請求項15】
前記移動局に置いて、拡散され、1又はej(π/2)を乗算された前記応答信号を、複数の直交系列のうちの一つの直交系列であって、前記リソースの番号から特定される前記一つの直交系列を用いて、2次拡散する2次拡散工程、をさらに有し、
前記第2送信工程は、2次拡散された前記応答信号を送信する、
請求項12から14のいずれかに記載の通信方法。
【請求項16】
前記複数の直交系列のうちの一つの直交系列を特定する複数の前記リソースの番号は、連続する番号である、
請求項15に記載の通信方法。
【請求項17】
前記リソースは、前記複数の直交系列のうちの一つの直交系列を特定する2つのリソースであって、所定間隔で隣り合う2つの循環シフト量をそれぞれ特定する前記2つのリソースのうちの一つであり、
前記スクランブリング工程は、前記リソースが、前記2つのリソースのうちの一方である場合、前記応答信号に1を乗算し、前記リソースが、前記2つのリソースのうちの他方である場合、前記応答信号にej(π/2)を乗算する、
請求項15又は16のいずれかに記載の通信方法。
【請求項18】
前記2次拡散工程は、前記一つの直交系列を用いて、前記応答信号を、ブロックワイズ拡散する、
請求項15から17のいずれかに記載の通信方法。
【請求項19】
前記2次拡散工程は、前記直交系列として、系列長が4である系列を用いる、
請求項15から18のいずれかに記載の通信方法。
【請求項20】
前記拡散工程は、前記一つの循環シフト量で定義される系列として、系列長が12である系列を用いる、
請求項12から19のいずれかに記載の通信方法。
【請求項21】
前記応答信号は、ACK又はNACKである、
請求項12から20のいずれかに記載の通信方法。
【請求項22】
前記リソースの番号とコントロール・チャネル・エレメント(CCE)の番号とが関連付けられ、前記第1送信工程は、前記CCEを用いて、前記移動局に前記制御情報を送信し、
前記拡散工程は、前記CCEの番号に関連付けられた前記リソースの番号から特定される前記一つの循環シフト量で定義される系列を用いて、前記応答信号を拡散する、
請求項12から21のいずれかに記載の通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システム及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体通信では、無線通信基地局装置(以下、基地局と省略する)から無線通信移動局装置(以下、移動局と省略する)への下り回線データに対してARQ(Automatic Repeat Request)が適用される。つまり、移動局は下り回線データの誤り検出結果を示す応答信号を基地局へフィードバックする。移動局は下り回線データに対しCRC(Cyclic Redundancy Check)を行って、CRC=OK(誤り無し)であればACK(Acknowledgment)を、CRC=NG(誤り有り)であればNACK(Negative Acknowledgment)を応答信号として基地局へフィードバックする。この応答信号は例えばPUCCH(Physical Uplink Control Channel)等の上り回線制御チャネルを用いて基地局へ送信される。
【0003】
また、基地局は下り回線データのリソース割当結果を通知するための制御情報を移動局へ送信する。この制御情報は例えばL1/L2CCH(L1/L2 Control Channel)等の下り回線制御チャネルを用いて移動局へ送信される。各L1/L2CCHは制御情報の符号化率に応じて1つまたは複数のCCE(Control Channel Element)を占有する。例えば、符号化率2/3の制御情報を通知するためのL1/L2CCHが1つのCCEを占有する場合、符号化率1/3の制御情報を通知するためのL1/L2CCHは2つのCCEを占有し、符号化率1/6の制御情報を通知するためのL1/L2CCHは4つのCCEを占有し、符号化率1/12の制御情報を通知するためのL1/L2CCHは8つのCCEを占有する。また、1つのL1/L2CCHが複数のCCEを占有する場合、1つのL1/L2CCHは連続する複数のCCEを占有する。基地局は移動局毎にL1/L2CCHを生成し、制御情報が必要とするCCE数に従ってL1/L2CCHに占有すべきCCEを割り当て、割り当てたCCEに対応する物理リソースに制御情報をマッピングして送信する。
【0004】
また、応答信号の送信に用いるPUCCHを基地局から各移動局へ通知するためのシグナリングを不要にして下り回線の通信リソースを効率よく使用するために、CCEとPUCCHとを1対1で対応付けることが検討されている(非特許文献1参照)。各移動局は、この対応付けに従って、自局への制御情報がマッピングされている物理リソースに対応するCCEから、自局からの応答信号の送信に用いるPUCCHを判定することができる。よって、各移動局は、自局への制御情報がマッピングされている物理リソースに対応するCCEに基づいて、自局からの応答信号を物理リソースにマッピングする。例えば移動局は、自局宛の制御情報がマッピングされている物理リソースに対応するCCEがCCE#0である場合は、CCE#0に対応するPUCCH#0を自局用のPUCCHと判定する。また例えば移動局は、自局宛の制御情報がマッピングされている物理リソースに対応するCCEがCCE#0~CCE#3である場合は、CCE#0~CCE#3において最小番号のCCE#0に対応するPUCCH#0を自局用のPUCCHと判定し、自局宛の制御情報がマッピングされている物理リソースに対応するCCEがCCE#4~CCE#7である場合は、CCE#4~CCE#7において最小番号のCCE#4に対応するPUCCH#4を自局用のPUCCHと判定する。
【0005】
また、
図1に示すように、複数の移動局からの複数の応答信号をZAC(Zero Auto Correlation)系列およびウォルシュ(Walsh)系列を用いて拡散することによりコード多重することが検討されている(非特許文献2参照)。
図1において[W
0,W
1,W
2,W
3]は系列長4のウォルシュ系列を表わす。
図1に示すように、移動局では、ACKまたはNACKの応答信号が、まず周波数軸上で、時間軸上での特性がZAC系列(系列長12)となる系列によって1次拡散される。次いで1次拡散後の応答信号が[W
0,W
1,W
2,W
3]にそれぞれ対応させてIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)される。周波数軸上で拡散された応答信号は、このIFFTにより時間軸上の系列長12のZAC系列に変換される。そして、IFFT後の信号がさらにウォルシュ系列(系列長4)を用いて2次拡散される。つまり、1つの応答信号は4つのSC-FDMA(Single Carrier-Frequency Division Multiple Access)シンボルS
0,S
1,S
2,S
3にそれぞれ配置される。他の移動局でも同様に、ZAC系列およびウォルシュ系列を用いて応答信号が拡散される。但し、異なる移動局間では、時間軸上(すなわち循環シフト軸上)での循環シフト(Cyclic Shift)量が互いに異なるZAC系列、または、互いに異なるウォルシュ系列が用いられる。ここではZAC系列の時間軸上での系列長が12であるため、同一ZAC系列から生成される循環シフト量0~11の12個のZAC系列を用いることができる。また、ウォルシュ系列の系列長が4であるため、互いに異なる4つのウォルシュ系列を用いることができる。よって、理想的な通信環境では、最大48(12×4)の移動局からの応答信号をコード多重することができる。
【0006】
また、
図1に示すように、複数の移動局からの複数の参照信号(パイロット信号)をコード多重することが検討されている(非特許文献2参照)。
図1に示すように、3シンボルの参照信号R
0,R
1,R
2を生成する場合、参照信号が、応答信号と同様に、まず周波数軸上で、時間軸上での特性がZAC系列(系列長12)となる系列によって1次拡散される。次いで1次拡散後の参照信号がフーリエ系列等の系列長3の直交系列[F
0,F
1,F
2]にそれぞれ対応させてIFFTされる。周波数軸上で拡散された参照信号は、このIFFTにより時間軸上の系列長12のZAC系列に変換される。そして、IFFT後の信号がさらに直交系列[F
0,F
1,F
2]を用いて2次拡散される。つまり、1つの参照信号は3つのSC-FDMAシンボルR
0,R
1,R
2にそれぞれ配置される。他の移動局でも同様にして1つの参照信号が3つのシンボルR
0,R
1,R
2にそれぞれ配置される。但し、異なる移動局間では、時間軸上での循環シフト量が互いに異なるZAC系列、または、互いに異なる直交系列が用いられる。ここではZAC系列の時間軸上での系列長が12であるため、同一ZAC系列から生成される循環シフト量0~11の12個のZAC系列を用いることができる。また、直交系列の系列長が3であるため、互いに異なる3つの直交系列を用いることができる。よって、理想的な通信環境では、最大36(12×3)の移動局からの参照信号をコード多重することができる。
【0007】
そして、
図1に示すように、S
0,S
1,R
0,R
1,R
2,S
2,S
3の7シンボルにより1スロットが構成される。
【0008】
ここで、同一ZAC系列から生成される循環シフト量が互いに異なるZAC系列間での相互相関はほぼ0となる。よって、理想的な通信環境では、循環シフト量が互いに異なるZAC系列(循環シフト量0~11)でそれぞれ拡散されコード多重された複数の応答信号は基地局での相関処理により時間軸上でほぼ符号間干渉なく分離することができる。
【0009】
しかしながら、移動局での送信タイミングずれ、マルチパスによる遅延波等の影響により、複数の移動局からの複数の応答信号は基地局に同時に到達するとは限らない。例えば、循環シフト量0のZAC系列で拡散された応答信号の送信タイミングが正しい送信タイミングより遅れた場合は、循環シフト量0のZAC系列の相関ピークが循環シフト量1のZAC系列の検出窓に現れてしまうことがある。また、循環シフト量0のZAC系列で拡散された応答信号に遅延波がある場合には、その遅延波による干渉漏れが循環シフト量1のZAC系列の検出窓に現れてしまうことがある。つまり、これらの場合には、循環シフト量1のZAC系列が循環シフト量0のZAC系列からの干渉を受ける。一方で、循環シフト量1のZAC系列で拡散された応答信号の送信タイミングが正しい送信タイミングより早くなった場合は、循環シフト量1のZAC系列の相関ピークが循環シフト量0のZAC系列の検出窓に現れてしまうことがある。つまり、この場合には、循環シフト量0のZAC系列が循環シフト量1のZAC系列からの干渉を受ける。よって、これらの場合には、循環シフト量0のZAC系列で拡散された応答信号と循環シフト量1のZAC系列で拡散された応答信号との分離特性が劣化する。つまり、互いに隣接する循環シフト量のZAC系列を用いると、応答信号の分離特性が劣化する可能性がある。
【0010】
そこで、従来は、ZAC系列の拡散によって複数の応答信号をコード多重する場合には、ZAC系列間での符号間干渉が発生しない程度の循環シフト間隔(循環シフト量の差)をZAC系列間に設けている。例えば、ZAC系列間の循環シフト間隔を2として、系列長が12で循環シフト量0~11の12個のZAC系列のうち循環シフト量0,2,4,6,8,10または循環シフト量1,3,5,7,9,11の6つのZAC系列のみを応答信号の1次拡散に用いる。よって、系列長が4のウォルシュ系列を応答信号の2次拡散に用いる場合には、最大24(6×4)の移動局からの応答信号をコード多重することができる。
【0011】
しかし、
図1に示すように、参照信号の拡散に用いる直交系列の系列長が3であるため、参照信号の拡散には互いに異なる3つの直交系列しか用いることができない。よって、
図1に示す参照信号を用いて複数の応答信号を分離する場合、最大18(6×3)の移動局からの応答信号しかコード多重することができない。よって、系列長が4の4つのウォルシュ系列のうち3つのウォルシュ系列があれば足りるため、いずれか1つのウォルシュ系列は使用されない。
【0012】
また、
図1に示す1SC-FDMAシンボルは1LB(Long Block)と称されることがある。そこで、シンボル単位、すなわち、LB単位での拡散に用いられる拡散コード系列はブロックワイズ拡散コード系列(Block-wise spreading code sequence)と呼ばれる。
【0013】
また、
図2に示すような18個のPUCCHを定義することが検討されている。通常、互いに異なるブロックワイズ拡散コード系列を用いる移動局間では、移動局が高速移動しない限り応答信号の直交性は崩れない。しかし、互いに同一のブロックワイズ拡散コード系列を用いる移動局間では、特に基地局において複数の移動局からの応答信号間に受信電力の大きな差がある場合、一方の応答信号が他方の応答信号から干渉を受けることがある。例えば、
図2において、PUCCH#1(循環シフト量=2)を用いる応答信号が、PUCCH#0(循環シフト量=0)を用いる応答信号から干渉を受けることがある。
【0014】
また、応答信号の変調方式をBPSKにする場合に
図3に示すコンスタレーションを用い、応答信号の変調方式をQPSKにする場合に
図4に示すコンスタレーションを用いることが検討されている(非特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Implicit Resource Allocation of ACK/NACK Signal in E-UTRA Uplink (ftp://ftp.3gpp.org/TSG_RAN/WG1_RL1/TSGR1_49/Docs/R1-072439.zip)
【非特許文献2】Multiplexing capability of CQIs and ACK/NACKs form different UEs (ftp://ftp.3gpp.org/TSG_RAN/WG1_RL1/TSGR1_49/Docs/R1-072315.zip)
【非特許文献3】3GPP TS 36.211 V8.0.0, “Physical Channels and Modulation (Release 8),” Sep. 2007 (ftp://ftp.3gpp.org/Specs/2007-09/Rel-8/36_series/36211-800.zip)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
ここで応答信号の変調に
図3に示すコンスタレーションを用いる場合を一例として考える。また、ある移動局#1がPUCCH#1(
図2)を用いて応答信号を送信し、他の移動局#2がPUCCH#0(
図2)を用いて応答信号を送信する場合を一例として考える。この場合、基地局は移動局#1からの応答信号と移動局#2からの応答信号とを分離するために上記のような相関処理を行う。その際に、移動局#1の応答信号受信のための相関出力の中に移動局#2の応答信号成分が漏れこみ、移動局#2の応答信号成分が移動局#1の応答信号への干渉となることがある。
【0017】
そして、移動局#1および移動局#2の双方がACKを送信する場合に、基地局が移動局#1からの応答信号を受信する際には、移動局#1の応答信号が移動局#2の応答信号から受ける干渉は以下のようになる。
【0018】
すなわち、移動局#1から送信されたACKおよび参照信号が伝搬路を経て基地局に受信される場合、基地局では、移動局#1の相関出力として、(-1-j)h1/√2で表される応答信号が現れるとともに、(1+j)h1/√2で表される参照信号が現れる。ただし、h1は、移動局#1からの信号が移動局#1と基地局との間の伝播路を通り、基地局での移動局#1用の検出窓に相関出力として現れる際の実効伝播路である。
【0019】
また、移動局#2から送信されたACKおよび参照信号が伝搬路を経て基地局に受信される場合、基地局では、移動局#1の相関出力の中に、(-1-j)h2/√2で表される成分が移動局#1の応答信号に対する干渉として現れるとともに、(1+j)h2/√2で表される成分が移動局#1の参照信号に対する干渉として現れる。ただし、h2は、移動局#2からの信号が移動局#2と基地局との間の伝播路を通り、基地局での移動局#1用の検出窓に相関出力として漏れ込む際の実効伝播路である。
【0020】
伝播路上での遅延が小さく、かつ、移動局での送信タイミングずれが無い場合には、このような漏れ込みは発生しない。しかし、条件によってはh2がh1に対し無視できないほど大きくなることがある。よって、移動局#1からのACKと移動局#2からのACKとがコード多重される場合、基地局では、移動局#1の相関出力の中に、(-1-j)(h1+h2)/√2で表される応答信号が現れ、(1+j)(h1+h2)/√2で表される参照信号が現れる。
【0021】
よって、基地局での同期検波により、移動局#1のACKが移動局#2のACKから受ける干渉成分(すなわち(-1-j)/√2からのユークリッド距離)は式(1)に示すようになる。つまり、移動局#1および移動局#2の双方がACKを送信する場合には、移動局#1のACKと移動局#2のACKとの間に符号間干渉は発生しない。
【数1】
【0022】
また、移動局#1がNACKを送信し、移動局#2がACKを送信する場合に、基地局が移動局#1からの応答信号を受信する際には、移動局#1の応答信号が移動局#2の応答信号から受ける干渉は以下のようになる。
【0023】
すなわち、移動局#1から送信されたNACKおよび参照信号が伝搬路を経て基地局に受信される場合、基地局では、移動局#1の相関出力として、(1+j)h1/√2で表される応答信号が現れるとともに、(1+j)h1/√2で表される参照信号が現れる。
【0024】
また、移動局#2から送信されたACKおよび参照信号が伝搬路を経て基地局に受信される場合、基地局では、移動局#1の相関出力の中に、(-1-j)h2/√2で表される成分が移動局#1の応答信号に対する干渉として現れるとともに、(1+j)h2/√2で表される成分が移動局#1の参照信号に対する干渉として現れる。
【0025】
よって、移動局#1からのNACKと移動局#2からのACKとがコード多重される場合、基地局では、移動局#1の相関出力の中に、(1+j)(h1-h2)/√2で表される応答信号が現れ、(1+j)(h1+h2)/√2で表される参照信号が現れる。
【0026】
よって、基地局での同期検波により、移動局#1のNACKが移動局#2のACKから受ける干渉成分(すなわち(1+j)/√2からのユークリッド距離)は式(2)に示すようになる。つまり、移動局#1がNACKを送信する一方で移動局#2がACKを送信する場合には、移動局#1のNACKが移動局#2のACKから大きな符号間干渉を受ける可能性がある。
【数2】
【0027】
同様に、移動局#1および移動局#2の双方がNACKを送信する場合には、式(3)に示すように、移動局#1のNACKと移動局#2のNACKとの間に符号間干渉は発生しない。また、移動局#1がACKを送信する一方で移動局#2がNACKを送信する場合には、式(4)に示すように、移動局#1のACKが移動局#2のNACKから大きな符号間干渉を受ける可能性がある。
【数3】
【数4】
【0028】
ここで、3GPP-LTEでは、下り回線データにARQが適用されることを考慮し、下り回線データの1回の送信当たりの目標誤り率を1%~10%程度にするよう規定されている。つまり、下り回線データのARQにおいては、ACKの発生確率がNACKの発生確率より非常に高いものとなる。例えば、下り回線データの1回の送信当たりの目標誤り率が10%に設定された移動体通信システムでは、ACKの発生確率が90%となるのに対し、NACKの発生確率が10%となる。よって、上記の例において、移動局#1の応答信号に干渉を与える移動局#2の応答信号はACKである確率が高い。すなわち、移動局#1がNACKを送信する場合にそのNACKが移動局#2の応答信号から大きな符号間干渉(式(2))を受ける確率は高くなる一方で、移動局#1がACKを送信する場合にそのACKが移動局#2の応答信号から大きな符号間干渉(式(4))を受ける確率は低くなる。つまり、NACKの方がACKよりも干渉の影響を大きく受ける可能性がある。このため、干渉による誤り率増加の可能性はACKよりもNACKにおいて大きくなってしまう。よって、従来は、NACKの受信品質とACKの受信品質との間に大きな差が生じ、NACKの受信品質がACKの受信品質より大幅に悪くなってしまう可能性がある。
【0029】
本発明の目的は、ACKの受信品質とNACKの受信品質とを均等にすることができる通信装置、通信方法及び集積回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0030】
本発明の第1の態様に係る通信装置は、上り制御チャネルが配置されるリソースの番号とコントロール・チャネル・エレメント(CCE)の番号とが関連付けられ、前記CCEを用いて、移動局に制御情報を送信する、送信部と、前記CCEの番号に関連付けられた前記リソースの番号から特定される循環シフト量で定義される系列と、複数の直交系列のうちの一つの直交系列であって、前記リソースの番号から特定される前記一つの直交系列とを用いて生成された応答信号であって、前記移動局から、前記上り制御チャネルを用いて送信された前記応答信号を受信する、受信部とを有し、前記リソースの番号は、前記一つの直交系列を特定する2つのリソースの番号であって、所定間隔で隣り合う2つの循環シフト量をそれぞれ特定する前記2つのリソースの番号のうちの一つであり、前記受信部は、前記リソースの番号が前記2つのリソースの番号のうちの一方である場合、前記リソースの番号が前記2つのリソースの番号のうちの他方である場合に生成される応答信号に対して、IQ平面上で90度の回転成分を含むように生成された前記応答信号を受信する。
【0031】
本発明の第2の態様に係る通信方法は、上り制御チャネルが配置されるリソースの番号とコントロール・チャネル・エレメント(CCE)の番号とが関連付けられ、前記CCEを用いて、移動局に制御情報を送信する、送信工程と、前記CCEの番号に関連付けられた前記リソースの番号から特定される循環シフト量で定義される系列と、複数の直交系列のうちの一つの直交系列であって、前記リソースの番号から特定される前記一つの直交系列とを用いて生成された応答信号であって、前記移動局から、前記上り制御チャネルを用いて送信された前記応答信号を受信する、受信工程とを有し、前記リソースの番号は、前記一つの直交系列を特定する2つのリソースの番号であって、所定間隔で隣り合う2つの循環シフト量をそれぞれ特定する前記2つのリソースの番号のうちの一つであり、前記受信工程は、前記リソースの番号が前記2つのリソースの番号のうちの一方である場合、前記リソースの番号が前記2つのリソースの番号のうちの他方である場合に生成される応答信号に対して、IQ平面上で90度の回転成分を含むように生成された前記応答信号を受信する。
【0032】
本発明の第3の態様に係る集積回路は、上り制御チャネルが配置されるリソースの番号とコントロール・チャネル・エレメント(CCE)の番号とが関連付けられ、前記CCEを用いて、移動局に制御情報を送信する、送信処理と、前記CCEの番号に関連付けられた前記リソースの番号から特定される循環シフト量で定義される系列と、複数の直交系列のうちの一つの直交系列であって、前記リソースの番号から特定される前記一つの直交系列とを用いて生成された応答信号であって、前記移動局から、前記上り制御チャネルを用いて送信された前記応答信号を受信する、受信処理とを制御し、前記リソースの番号は、前記一つの直交系列を特定する2つのリソースの番号であって、所定間隔で隣り合う2つの循環シフト量をそれぞれ特定する前記2つのリソースの番号のうちの一つであり、前記受信処理は、前記リソースの番号が前記2つのリソースの番号のうちの一方である場合、前記リソースの番号が前記2つのリソースの番号のうちの他方である場合に生成される応答信号に対して、IQ平面上で90度の回転成分を含むように生成された前記応答信号を受信する。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、ACKの受信品質とNACKの受信品質とを均等にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】応答信号および参照信号の拡散方法を示す図(従来)
【
図5】本発明の実施の形態1に係る基地局の構成を示すブロック図
【
図6】本発明の実施の形態1に係る移動局の構成を示すブロック図
【
図7】本発明の実施の形態1に係るコンスタレーション変化を示す図
【
図8】本発明の実施の形態1に係るBPSKのコンスタレーション
【
図9】本発明の実施の形態1に係るQPSKのコンスタレーション
【
図10】本発明の実施の形態1に係るスクランブリング処理を示す図
【
図11】本発明の実施の形態2に係るコンスタレーション変化を示す図
【
図12】本発明の実施の形態3に係る移動局の構成を示すブロック図
【
図13】本発明の実施の形態4に係るスクランブリング処理を示す図
【
図14】本発明の実施の形態4に係る移動局の構成を示すブロック図
【
図15】本発明の実施の形態5に係るコンスタレーション変化を示す図
【
図16】本発明の実施の形態6に係るコンスタレーション変化を示す図
【
図17】本発明の実施の形態6に係るBPSKのコンスタレーション
【
図18】本発明の実施の形態6に係るBPSKのコンスタレーション
【
図19】本発明の実施の形態6に係るQPSKのコンスタレーション
【
図20】本発明の実施の形態6に係るQPSKのコンスタレーション
【
図21】本発明の実施の形態8に係るQPSKのコンスタレーション
【
図22】本発明の実施の形態9に係る移動局#1の同期検波出力を右に45度回転させた時のQ軸振幅を示す図
【
図23】全ての移動局が同一のコンスタレーションを用いる場合の移動局#1の同期検波出力を右に45度回転させた時のQ軸振幅を示す図
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0036】
(実施の形態1)
本実施の形態に係る基地局100の構成を
図5に示し、本実施の形態に係る移動局200の構成を
図6に示す。
【0037】
なお、説明が煩雑になることを避けるために、
図5では、本発明と密接に関連する下り回線データの送信、および、その下り回線データに対する応答信号の上り回線での受信に係わる構成部を示し、上り回線データの受信に係わる構成部の図示および説明を省略する。同様に、
図6では、本発明と密接に関連する下り回線データの受信、および、その下り回線データに対する応答信号の上り回線での送信に係わる構成部を示し、上り回線データの送信に係わる構成部の図示および説明を省略する。
【0038】
また、以下の説明では、1次拡散にZAC系列を用い、2次拡散にブロックワイズ拡散コード系列を用いる場合について説明する。しかし、1次拡散には、ZAC系列以外の、互いに異なる循環シフト量により互いに分離可能な系列を用いてもよい。例えば、GCL(Generalized Chirp like)系列、CAZAC(Constant Amplitude Zero Auto Correlation)系列、ZC(Zadoff-Chu)系列、または、M系列や直交ゴールド符号系列等のPN系列を1次拡散に用いてもよい。また、2次拡散には、互いに直交する系列、または、互いにほぼ直交すると見なせる系列であればいかなる系列をブロックワイズ拡散コード系列として用いてもよい。例えば、ウォルシュ系列またはフーリエ系列等をブロックワイズ拡散コード系列として2次拡散に用いることができる。
【0039】
また、以下の説明では、系列長12で循環シフト量0~11の12個のZACをそれぞれZAC#0~ZAC#11と表記し、系列長4で系列番号0~2の3つのブロックワイズ拡散コード系列をそれぞれBW#0~BW#2と表記する。しかし、本発明はこれらの系列長に限定されない。
【0040】
また、以下の説明では、ZAC系列の循環シフト量とブロックワイズ拡散コード系列の系列番号とによってPUCCH番号が定義される。つまり、互いに異なる循環シフト量により互いに分離可能なZAC#0~ZAC#11と互いに直交するBW#0~BW#2とによって応答信号用の複数のリソースが定義される。
【0041】
また、以下の説明では、CCE番号とPUCCH番号とが1対1で対応付けられているものとする。つまり、CCE#0とPUCCH#0、CCE#1とPUCCH#1、CCE#2とPUCCH#2…がそれぞれ対応するものとする。
【0042】
図5に示す基地局100において、下り回線データのリソース割当結果が制御情報生成部101およびマッピング部104に入力される。また、下り回線データのリソース割当結果を通知するための制御情報の移動局毎の符号化率が符号化率情報として制御情報生成部101および符号化部102に入力される。ここでは、上記同様、制御情報の符号化率を2/3,1/3,1/6または1/12のいずれかとする。
【0043】
制御情報生成部101は、下り回線データのリソース割当結果を通知するための制御情報を移動局毎に生成し符号化部102に出力する。移動局毎の制御情報には、どの移動局宛ての制御情報であるかを示す移動局ID情報が含まれる。例えば、制御情報の通知先の移動局のID番号でマスキングされたCRCビットが移動局ID情報として制御情報に含まれる。また、制御情報生成部101は、入力される符号化率情報に従って、制御情報を通知するために必要なCCE数(CCE占有数)に応じたL1/L2CCH割当を各移動局に対して行い、割り当てたL1/L2CCHに対応するCCE番号をマッピング部104に出力する。ここでは、上記同様、制御情報の符号化率が2/3の場合のL1/L2CCHが1つのCCEを占有するものとする。よって、制御情報の符号化率が1/3の場合のL1/L2CCHは2つのCCEを占有し、制御情報の符号化率が1/6の場合のL1/L2CCHは4つのCCEを占有し、制御情報の符号化率が1/12の場合のL1/L2CCHは8つのCCEを占有する。また、上記同様、1つのL1/L2CCHが複数のCCEを占有する場合、1つのL1/L2CCHは連続する複数のCCEを占有するものとする。
【0044】
符号化部102は、入力される符号化率情報に従って、移動局毎の制御情報を符号化して変調部103に出力する。
【0045】
変調部103は、符号化後の制御情報を変調してマッピング部104に出力する。
【0046】
一方、符号化部105は、各移動局への送信データ(下り回線データ)を符号化して再送制御部106に出力する。
【0047】
再送制御部106は、初回送信時には、符号化後の送信データを移動局毎に保持するとともに変調部107に出力する。再送制御部106は、各移動局からのACKが判定部117から入力されるまで送信データを保持する。また、再送制御部106は、各移動局からのNACKが判定部117から入力された場合、すなわち、再送時には、そのNACKに対応する送信データを変調部107に出力する。
【0048】
変調部107は、再送制御部106から入力される符号化後の送信データを変調してマッピング部104に出力する。
【0049】
マッピング部104は、制御情報の送信時には、変調部103から入力される制御情報を制御情報生成部101から入力されるCCE番号に従って物理リソースにマッピングしてIFFT部108に出力する。つまり、マッピング部104は、移動局毎の制御情報を、OFDMシンボルを構成する複数のサブキャリアにおいてCCE番号に対応するサブキャリアにマッピングする。
【0050】
一方、下り回線データの送信時には、マッピング部104は、リソース割当結果に従って各移動局への送信データを物理リソースにマッピングしてIFFT部108に出力する。つまり、マッピング部104は、移動局毎の送信データを、リソース割当結果に従ってOFDMシンボルを構成する複数のサブキャリアのいずれかにマッピングする。
【0051】
IFFT部108は、制御情報または送信データがマッピングされた複数のサブキャリアに対してIFFTを行ってOFDMシンボルを生成し、CP(Cyclic Prefix)付加部109に出力する。
【0052】
CP付加部109は、OFDMシンボルの後尾部分と同じ信号をCPとしてOFDMシンボルの先頭に付加する。
【0053】
無線送信部110は、CP付加後のOFDMシンボルに対しD/A変換、増幅およびアップコンバート等の送信処理を行ってアンテナ111から移動局200(
図3)へ送信する。
【0054】
一方、無線受信部112は、移動局200(
図6)から送信された応答信号または参照信号をアンテナ111を介して受信し、応答信号または参照信号に対しダウンコンバート、A/D変換等の受信処理を行う。
【0055】
CP除去部113は、受信処理後の応答信号または参照信号に付加されているCPを除去する。
【0056】
逆拡散部114は、移動局200において2次拡散に用いられたブロックワイズ拡散コード系列で応答信号を逆拡散し、逆拡散後の応答信号を相関処理部115に出力する。同様に、逆拡散部114は、移動局200において参照信号の拡散に用いられた直交系列で参照信号を逆拡散し、逆拡散後の参照信号を相関処理部115に出力する。
【0057】
相関処理部115は、逆拡散後の応答信号および逆拡散後の参照信号と、移動局200において1次拡散に用いられたZAC系列との相関値を求めてデスクランブリング部116に出力する。
【0058】
デスクランブリング部116は、ZAC系列の循環シフト量に対応するスクランブリング符号によって相関値をデスクランブリングし、デスクランブリング後の相関値を判定部117に出力する。
【0059】
判定部117は、各検出窓に移動局毎の相関ピークを検出することにより、移動局毎の応答信号を検出する。例えば、判定部117は、移動局#1用の検出窓に相関ピークが検出された場合には、移動局#1からの応答信号を検出する。そして、判定部117は、検出された応答信号がACKまたはNACKのいずれであるかを参照信号の相関値を用いた同期検波によって判定し、移動局毎のACKまたはNACKを再送制御部106に出力する。
【0060】
一方、
図6に示す移動局200において、無線受信部202は、基地局100(
図5)から送信されたOFDMシンボルをアンテナ201を介して受信し、OFDMシンボルに対しダウンコンバート、A/D変換等の受信処理を行う。
【0061】
CP除去部203は、受信処理後のOFDMシンボルに付加されているCPを除去する。
【0062】
FFT(Fast Fourier Transform)部204は、OFDMシンボルに対してFFTを行って複数のサブキャリアにマッピングされている制御情報または下り回線データを得て、それらを抽出部205に出力する。
【0063】
制御情報の符号化率を示す符号化率情報、すなわち、L1/L2CCHのCCE占有数を示す情報が、抽出部205および復号部207に入力される。
【0064】
抽出部205は、制御情報の受信時には、この示す符号化率情報に従って、複数のサブキャリアから制御情報を抽出して復調部206に出力する。
【0065】
復調部206は、制御情報を復調して復号部207に出力する。
【0066】
復号部207には、入力される符号化率情報に従って制御情報を復号して判定部208に出力する。
【0067】
一方、下り回線データの受信時には、抽出部205は、判定部208から入力されるリソース割当結果に従って、複数のサブキャリアから自局宛の下り回線データを抽出して復調部210に出力する。この下り回線データは、復調部210で復調され、復号部211で復号されてCRC部212に入力される。
【0068】
CRC部212は、復号後の下り回線データに対してCRCを用いた誤り検出を行って、CRC=OK(誤り無し)の場合はACKを、CRC=NG(誤り有り)の場合はNACKを応答信号として生成し、生成した応答信号を変調部213に出力する。また、CRC部212は、CRC=OK(誤り無し)の場合、復号後の下り回線データを受信データとして出力する。
【0069】
判定部208は、復号部207から入力された制御情報が自局宛の制御情報であるか否かをブラインド判定する。例えば、判定部208は、自局のID番号でCRCビットをデマスキングすることによりCRC=OK(誤り無し)となった制御情報を自局宛の制御情報であると判定する。そして、判定部208は、自局宛の制御情報、すなわち、自局に対する下り回線データのリソース割当結果を抽出部205に出力する。
【0070】
また、判定部208は、自局宛の制御情報がマッピングされていたサブキャリアに対応するCCE番号から、自局からの応答信号の送信に用いるPUCCHを判定し、判定結果(PUCCH番号)を制御部209に出力する。例えば、判定部208は、上記同様、自局宛の制御情報がマッピングされていたサブキャリアに対応するCCEがCCE#0である場合は、CCE#0に対応するPUCCH#0を自局用のPUCCHと判定する。また例えば判定部208は、自局宛の制御情報がマッピングされていたサブキャリアに対応するCCEがCCE#0~CCE#3である場合は、CCE#0~CCE#3において最小番号のCCE#0に対応するPUCCH#0を自局用のPUCCHと判定し、自局宛の制御情報がマッピングされていたサブキャリアに対応するCCEがCCE#4~CCE#7である場合は、CCE#4~CCE#7において最小番号のCCE#4に対応するPUCCH#4を自局用のPUCCHと判定する。
【0071】
制御部209は、判定部208から入力されたPUCCH番号に従って、拡散部215での1次拡散に用いるZAC系列の循環シフト量および拡散部218での2次拡散に用いるブロックワイズ拡散コード系列を制御する。すなわち、制御部209は、判定部208から入力されたPUCCH番号に対応する循環シフト量のZAC系列をZAC#0~ZAC#11の中から選択して拡散部215に設定し、判定部208から入力されたPUCCH番号に対応するブロックワイズ拡散コード系列をBW#0~BW#2の中から選択して拡散部218に設定する。つまり、制御部209は、ZAC#0~ZAC#11とBW#0~BW#2とによって定義される複数のリソースのうちいずれかのリソースを選択する。また、制御部209は、選択したZAC系列をスクランブリング部214に通知する。
【0072】
また、制御部209は、拡散部223での2次拡散に用いるブロックワイズ拡散コード系列を制御する。すなわち、制御部209は、判定部208から入力されたPUCCH番号に対応するブロックワイズ拡散コード系列を拡散部223に設定する。
【0073】
変調部213は、CRC部212から入力される応答信号を変調してスクランブリング部214に出力する。変調部213での変調処理の詳細については後述する。
【0074】
スクランブリング部214は、制御部209で選択されたZAC系列に応じて、変調後の応答信号(応答シンボル)に‘1’または‘e-j(π/2)’のスクランブリング符号を乗算し、スクランブリング符号乗算後の応答信号を拡散部215に出力する。スクランブリング符号‘e-j(π/2)’の乗算によって、応答信号のコンスタレーションが-90度回転される。このように、スクランブリング部214は、応答信号のコンスタレーションを回転させる回転手段として機能する。スクランブリング部214でのスクランブリング処理の詳細については後述する。
【0075】
拡散部215は、制御部209によって設定されたZAC系列で応答信号および参照信号(参照シンボル)を1次拡散し、1次拡散後の応答信号をIFFT部216に出力するとともに、1次拡散後の参照信号をIFFT部221に出力する。
【0076】
IFFT部216は、1次拡散後の応答信号に対してIFFTを行い、IFFT後の応答信号をCP付加部217に出力する。
【0077】
CP付加部217は、IFFT後の応答信号の後尾部分と同じ信号をCPとしてその応答信号の先頭に付加する。
【0078】
拡散部218は、制御部209によって設定されたブロックワイズ拡散コード系列でCP付加後の応答信号を2次拡散し、2次拡散後の応答信号を多重部219に出力する。
【0079】
IFFT部221は、1次拡散後の参照信号に対してIFFTを行い、IFFT後の参照信号をCP付加部222に出力する。
【0080】
CP付加部222は、IFFT後の参照信号の後尾部分と同じ信号をCPとしてその参照信号の先頭に付加する。
【0081】
拡散部223は、制御部209によって設定されたブロックワイズ拡散コード系列でCP付加後の参照信号を2次拡散し、2次拡散後の参照信号を多重部219に出力する。
【0082】
多重部219は、2次拡散後の応答信号と2次拡散後の参照信号とを1スロットに時間多重して無線送信部220に出力する。
【0083】
無線送信部220は、2次拡散後の応答信号または2次拡散後の参照信号に対しD/A変換、増幅およびアップコンバート等の送信処理を行ってアンテナ201から基地局100(
図3)へ送信する。
【0084】
次いで、変調部213での変調処理の詳細およびスクランブリング部214でのスクランブリング処理の詳細について説明する。
【0085】
互いに同一のブロックワイズ拡散コード系列で2次拡散される複数の応答信号間において循環シフト軸上の符号間干渉が最も大きくなるのは、循環シフト軸上において互いに最も近い位置にある応答信号間においてである。例えば、
図2において、BW#0で2次拡散される6つの応答信号のうち、PUCCH#1を用いて送信される応答信号は、PUCCH#0を用いて送信される応答信号およびPUCCH#2を用いて送信される応答信号から最も大きな干渉を受ける。
【0086】
また、上記のようにACKの発生確率はNACKの発生確率より非常に高いものとなるため、あるPUCCHを用いてNACKが送信される場合、そのPUCCHに干渉を与える応答信号はACKである可能性が高い。よって、NACKの誤り率特性を向上させるためには、ACKからの干渉を低減させることが重要となる。
【0087】
そこで、本実施の形態では、
図7に示すように、循環シフト軸上において応答信号毎にコンスタレーションを回転させる。
【0088】
具体的には、
図7においてBW#0で2次拡散される6つの応答信号に着目すると、PUCCH#0を用いて送信される応答信号のコンスタレーションを-90度回転させたものをPUCCH#1を用いて送信される応答信号のコンスタレーションとし、PUCCH#1を用いて送信される応答信号のコンスタレーションを+90度回転させたものをPUCCH#2を用いて送信される応答信号のコンスタレーションとする。PUCCH#2~PUCCH#5についても同様である。例えば応答信号の変調方式がBPSKである場合は、PUCCH#0,PUCCH#2,PUCCH#4におけるコンスタレーション#1を
図3に示すものにする一方で、PUCCH#1,PUCCH#3,PUCCH#5におけるコンスタレーション#2を
図8に示すものにする。また例えば応答信号の変調方式がQPSKである場合は、PUCCH#0,PUCCH#2,PUCCH#4におけるコンスタレーション#1を
図4に示すものにする一方で、PUCCH#1,PUCCH#3,PUCCH#5におけるコンスタレーション#2を
図9に示すものにする。
【0089】
このように、本実施の形態では、BW#0を用いて2次拡散される応答信号の1次拡散に使用されるZAC#0,ZAC#2,ZAC#4,ZAC#6,ZAC#8,ZAC#10のうち、ZAC#0,ZAC#4またはZAC#8で1次拡散される応答信号により第1応答信号グループを形成し、ZAC#2,ZAC#6またはZAC#10で1次拡散される応答信号により第2応答信号グループを形成する。つまり、本実施の形態では、第1応答信号グループに属する応答信号と第2応答信号グループに属する応答信号とは循環シフト軸上において交互に配置されている。そして、第1応答信号グループのコンスタレーションをコンスタレーション#1(
図3,
図4)とする一方で、第2応答信号グループのコンスタレーションをコンスタレーション#2(
図8,
図9)とする。つまり、本実施の形態では、第1応答信号グループのコンスタレーションに対し第2応答信号グループのコンスタレーションを-90度回転させる。
【0090】
また、本実施の形態では、
図10に示すように、コンスタレーションの回転をスクランブリング部214でのスクランブリング処理により行う。
【0091】
すなわち、応答信号の変調方式がBPSKである場合は、変調部213は
図3に示すコンスタレーション#1を用いて応答信号を変調する。よって、ACKの信号点は(-1/√2,-1/√2)となり、NACKの信号点は(1/√2,1/√2)となる。また、拡散部215に入力される参照信号の信号点を、NACKの信号点同様、(1/√2,1/√2)とする。
【0092】
そして、スクランブリング部214は、BW#0を用いて2次拡散される応答信号のうち、ZAC#0,ZAC#4またはZAC#8で1次拡散される応答信号にスクランブリング符号‘1’を乗算する一方で、ZAC#2,ZAC#6またはZAC#10で1次拡散される応答信号にスクランブリング符号‘e
-j(π/2)’を乗算する。よって、ZAC#0,ZAC#4またはZAC#8で1次拡散される応答信号においては、ACKの信号点は(-1/√2,-1/√2)、NACKの信号点は(1/√2,1/√2)となる。つまり、ZAC#0,ZAC#4またはZAC#8で1次拡散される応答信号のコンスタレーションはコンスタレーション#1(
図3)となる。一方で、ZAC#2,ZAC#6またはZAC#10で1次拡散される応答信号においては、ACKの信号点は(-1/√2,1/√2)、NACKの信号点は(1/√2,-1/√2)となる。つまり、ZAC#2,ZAC#6またはZAC#10で1次拡散される応答信号のコンスタレーションはコンスタレーション#2(
図8)となる。
【0093】
このように、本実施の形態では、スクランブリング部214でのスクランブリング処理により第1応答信号グループのコンスタレーションに対し第2応答信号グループのコンスタレーションを-90度回転させる。
【0094】
ここで、上記同様に、移動局#1がPUCCH#1(
図7)を用いて応答信号を送信し、他の移動局#2がPUCCH#0(
図7)を用いて応答信号を送信する場合を一例として考える。よって、移動局#1の応答信号にはコンスタレーション#2(
図8)が用いられ、移動局#2の応答信号にはコンスタレーション#1(
図3)が用いられる。
【0095】
移動局#1および移動局#2の双方がACKを送信する場合する場合に、基地局が移動局#1からの応答信号を受信する際には、移動局#1の応答信号が移動局#2の応答信号から受ける干渉は以下のようになる。
【0096】
すなわち、移動局#1から送信されたACKおよび参照信号が伝搬路を経て基地局に受信される場合、基地局では、移動局#1の相関出力として、(-1+j)h1/√2で表される応答信号が現れるとともに、(1+j)h1/√2で表される参照信号が現れる。
【0097】
また、移動局#2から送信されたACKおよび参照信号が伝搬路を経て基地局に受信される場合、基地局では、移動局#1の相関出力の中に、(-1-j)h2/√2で表される成分が移動局#1の応答信号に対する干渉として現れるとともに、(1+j)h2/√2で表される成分が移動局#1の参照信号に対する干渉として現れる。
【0098】
よって、移動局#1からのACKと移動局#2からのACKとがコード多重される場合、基地局では、移動局#1の相関出力の中に、(1+j)(jh1-h2)/√2で表される応答信号が現れ、(1+j)(h1+h2)/√2で表される参照信号が現れる。
【0099】
よって、基地局での同期検波により、移動局#1のACKが移動局#2のACKから受ける干渉成分(すなわち(-1+j)/√2からのユークリッド距離)は式(5)に示すようになる。
【数5】
【0100】
また、移動局#1がNACKを送信し、移動局#2がACKを送信する場合に、基地局が移動局#1からの応答信号を受信する際には、移動局#1の応答信号が移動局#2の応答信号から受ける干渉は以下のようになる。
【0101】
すなわち、移動局#1から送信されたNACKおよび参照信号が伝搬路を経て基地局に受信される場合、基地局では、移動局#1の相関出力として、(1-j)h1/√2で表される応答信号が現れるとともに、(1+j)h1/√2で表される参照信号が現れる。
【0102】
また、移動局#2から送信されたACKおよび参照信号が伝搬路を経て基地局に受信される場合、基地局では、移動局#1の相関出力の中に、(-1-j)h2/√2で表される成分が移動局#1の応答信号に対する干渉として現れるとともに、(1+j)h2/√2で表される成分が移動局#1の参照信号に対する干渉として現れる。
【0103】
よって、移動局#1からのNACKと移動局#2からのACKとがコード多重される場合、基地局では、移動局#1の相関出力の中に、(1+j)(-jh1+h2)/√2で表される応答信号が現れ、(1+j)(h1+h2)/√2で表される参照信号が現れる。
【0104】
よって、基地局での同期検波により、移動局#1のNACKが移動局#2のACKから受ける干渉成分(すなわち(1-j)/√2からのユークリッド距離)は式(6)に示すようになる。
【数6】
【0105】
同様に、本実施の形態によれば、移動局#1および移動局#2の双方がNACKを送信する場合には、基地局での同期検波により、移動局#1のNACKが移動局#2のNACKから受ける干渉成分(すなわち(1-j)/√2からのユークリッド距離)は式(7)に示すようになる。また、本実施の形態によれば、移動局#1がACKを送信する一方で移動局#2がNACKを送信する場合には、基地局での同期検波により、移動局#1のACKが移動局#2のNACKから受ける干渉成分(すなわち(-1+j)/√2からのユークリッド距離)は式(8)に示すようになる。
【数7】
【数8】
【0106】
式(5)~式(8)の各々に示す干渉成分を比較すると、式(5)~式(8)の各々に示す干渉成分の大きさが等しくなることが分かる。つまり、本実施の形態によれば、ACKおよびNACKの発生確率にかかわらず、ACKの誤り率とNACKの誤り率とを均等にすることができる。よって、本実施の形態によれば、ACKの受信品質とNACKの受信品質とを均等にすることができる。
【0107】
なお、本実施の形態においては、スクランブリング部214が変調後の応答信号に‘1’または‘ej(π/2)’のスクランブリング符号を乗算し、第1応答信号グループのコンスタレーションに対し第2応答信号グループのコンスタレーションを+90度回転させてもよい。
【0108】
(実施の形態2)
本実施の形態では、例えばセル#1では
図7に示すようにしてコンスタレーションを回転させる一方で、セル#1に隣接するセル#2では
図11に示すようにしてコンスタレーションを回転させる。よって例えばPUCCH#1に着目すると、セル#1のPUCCH#1にはコンスタレーション#2(
図8,
図9)が用いられる一方で、セル#2のPUCCH#1にはコンスタレーション#1(
図3,
図4)が用いられる。同様に、PUCCH#2に着目すると、セル#1のPUCCH#2にはコンスタレーション#1(
図3,
図4)が用いられる一方で、セル#2のPUCCH#2にはコンスタレーション#2(
図8,
図9)が用いられる。
【0109】
つまり、本実施の形態では、実施の形態1においてさらに、互いに隣接する2つのセル間において、同一循環シフト量のZAC系列で1次拡散される2つの応答信号の一方のコンスタレーションに対し、他方のコンスタレーションを90度回転させる。
【0110】
これにより、互いに隣接する複数のセル間において、同一循環シフト量のZAC系列で1次拡散される複数の応答信号間の干渉をランダム化することができる。つまり、本実施の形態によれば、応答信号間のインターセル干渉(Inter-cell interference)をランダム化して低減させることができる。
【0111】
(実施の形態3)
本実施の形態では、応答信号を変調する際にコンスタレーションを回転させる。
【0112】
本実施の形態に係る移動局400の構成を
図12に示す。なお、
図12において
図6(実施の形態1)と同一の構成部分には同一符号を付し説明を省略する。
【0113】
移動局400において、変調部401は、制御部209によって選択されたZAC系列が通知される。
【0114】
そして、変調部401は、
図7に示すBW#0を用いて2次拡散される応答信号のうち、ZAC#0,ZAC#4またはZAC#8で1次拡散される応答信号(第1応答信号グループ)をコンスタレーション#1(
図3,
図4)を用いて変調する一方で、ZAC#2,ZAC#6またはZAC#10で1次拡散される応答信号(第2応答信号グループ)をコンスタレーション#2(
図8,
図9)を用いて変調する。
【0115】
このようにして本実施の形態では、変調部401での変調処理の際に、第1応答信号グループのコンスタレーションに対し第2応答信号グループのコンスタレーションを90度回転させる。つまり、本実施の形態では、変調部401が、応答信号を変調する変調手段、および、応答信号のコンスタレーションを回転させる回転手段として機能する。よって、本実施の形態では、実施の形態1におけるスクランブリング部214(
図6)およびデスクランブリング部116(
図5)が不要となる。
【0116】
このようにスクランブリング部214(
図6)に代えて変調部401がコンスタレーションの回転処理を行うことによっても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0117】
(実施の形態4)
実施の形態1~3では参照信号のコンスタレーションを変化させずに応答信号のコンスタレーションを回転させた。これに対し、本実施の形態では、
図13に示すように、応答信号のコンスタレーションを変化させずに参照信号のコンスタレーションを回転させる。
【0118】
本実施の形態に係る移動局600の構成を
図14に示す。なお、
図14において
図6(実施の形態1)と同一の構成部分には同一符号を付し説明を省略する。
【0119】
移動局600において、スクランブリング部214は、応答信号の変調方式がBPSKである場合は、ZAC#0,ZAC#4またはZAC#8で1次拡散される参照信号にスクランブリング符号‘1’を乗算する一方で、ZAC#2,ZAC#6またはZAC#10で1次拡散される参照信号にスクランブリング符号‘e-j(π/2)’を乗算する。よって、ZAC#0,ZAC#4またはZAC#8で1次拡散される参照信号の信号点は(1/√2,1/√2)となり、ZAC#2,ZAC#6またはZAC#10で1次拡散される参照信号の信号点は(1/√2,-1/√2)となる。
【0120】
このように、本実施の形態では、スクランブリング部214でのスクランブリング処理により、第1応答信号グループ用の参照信号のコンスタレーションに対し第2応答信号グループ用の参照信号のコンスタレーションを-90度回転させる。
【0121】
このようにしてスクランブリング部214が参照信号のコンスタレーションの回転処理を行うことによっても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0122】
なお、本実施の形態においては、スクランブリング部214が参照信号に‘1’または‘ej(π/2)’のスクランブリング符号を乗算し、第1応答信号グループ用の参照信号のコンスタレーションに対し第2応答信号グループ用の参照信号のコンスタレーションを+90度回転させてもよい。
【0123】
(実施の形態5)
基地局において複数の移動局からの応答信号間に受信電力の大きな差がある場合、受信電力の大きな応答信号が受信電力の小さな応答信号に干渉を与えることがある。例えば、
図15に示すBW#0を用いて2次拡散される応答信号のうち、PUCCH#0を用いて送信される応答信号の受信電力およびPUCCH#3を用いて送信される応答信号の受信電力が大きく、その他のPUCCHを用いて送信される応答信号の受信電力が小さい場合には、PUCCH#0を用いて送信される応答信号およびPUCCH#3を用いて送信される応答信号が、その他のPUCCHを用いて送信される応答信号に最も大きな干渉を与える。
【0124】
よって、この場合には、BW#0を用いて2次拡散される応答信号の1次拡散に使用されるZAC#0,ZAC#2,ZAC#4,ZAC#6,ZAC#8,ZAC#10のうち、ZAC#0またはZAC#6で1次拡散される応答信号により第1応答信号グループを形成し、ZAC#2,ZAC#4,ZAC#8またはZAC#10で1次拡散される応答信号により第2応答信号グループを形成する。そして、第1応答信号グループのコンスタレーションをコンスタレーション#1(
図3,
図4)とする一方で、第2応答信号グループのコンスタレーションをコンスタレーション#2(
図8,
図9)とする。つまり、本実施の形態では、受信電力が大きい第1応答信号グループのコンスタレーションに対し受信電力が小さい第2応答信号グループのコンスタレーションを-90度回転させる。
【0125】
なお、本実施の形態においては、受信電力が大きい第1応答信号グループのコンスタレーションに対し受信電力が小さい第2応答信号グループのコンスタレーションを+90度回転させてもよい。
【0126】
このように、本実施の形態によれば、循環シフト軸上において、受信電力が大きな応答信号のコンスタレーションに対し受信電力が小さな応答信号のコンスタレーションを90度回転させるため、受信電力差に起因するACKからの符号間干渉によるNACKの誤り率増加を防いで、実施の形態1同様、ACKの誤り率とNACKの誤り率とを均等にすることができる。
【0127】
(実施の形態6)
本実施の形態では、
図16に示すような12個のPUCCHを定義する場合について説明する。
【0128】
この場合、
図16においてBW#0で2次拡散される4つの応答信号に着目すると、PUCCH#0を用いて送信される応答信号のコンスタレーションを-90度回転させたものをPUCCH#1を用いて送信される応答信号のコンスタレーションとし、PUCCH#1を用いて送信される応答信号のコンスタレーションを-90度回転させたものをPUCCH#2を用いて送信される応答信号のコンスタレーションとし、PUCCH#2を用いて送信される応答信号のコンスタレーションを-90度回転させたものをPUCCH#3を用いて送信される応答信号のコンスタレーションとする。
【0129】
例えば応答信号の変調方式がBPSKである場合は、PUCCH#0におけるコンスタレーション#1を
図3に示すものにし、PUCCH#1におけるコンスタレーション#2を
図8に示すものにし、PUCCH#2におけるコンスタレーション#3を
図17に示すものにし、PUCCH#3におけるコンスタレーション#4を
図18に示すものにする。また例えば応答信号の変調方式がQPSKである場合は、PUCCH#0におけるコンスタレーション#1を
図4に示すものにし、PUCCH#1におけるコンスタレーション#2を
図9に示すものにし、PUCCH#2におけるコンスタレーション#3を
図19に示すものにし、PUCCH#3におけるコンスタレーション#4を
図20に示すものにする。
【0130】
このようにして、本実施の形態では、循環シフト軸上において応答信号毎にコンスタレーションを-90度ずつ回転させる。つまり、実施の形態1では2つのコンスタレーションを用いたのに対し、本実施の形態では4つのコンスタレーションを用いる。よって、本実施の形態によれば、実施の形態1よりも応答信号間の干渉をランダム化することができる。よって、本実施の形態によれば、ACKの誤り率とNACKの誤り率とをさらに均等にすることができる。
【0131】
なお、本実施の形態においては、循環シフト軸上において応答信号毎にコンスタレーションを+90度ずつ回転させてもよい。
【0132】
(実施の形態7)
本実施の形態では、下り回線データのリソース割当結果を通知するための制御情報の受信に移動局が失敗したことを基地局において検出する場合について説明する。
【0133】
移動局は基地局からの制御情報が自局宛の制御情報であるか否かを上記のようにブラインド判定するため、伝搬路の状況が悪く制御情報の受信に失敗した場合は、自局宛の下り回線データが基地局から送信されたか否か知ることができない。よって、この場合、移動局は、データの受信を行わず、応答信号の送信も行わない。このように移動局から基地局へ応答信号が送信されない場合、基地局では、応答信号がACKまたはNACKのいずれであるかの判定に加え、応答信号が移動局から送信されていないことの判定の必要が生じる。
【0134】
なお、移動局から応答信号が送信されないことをDTX(Discontinuous Transmission)と呼ぶ。
【0135】
通常、DTXの判定には電力の閾値判定が用いられる。すなわち、基地局では、移動局からの応答信号の送信に用いられるPUCCHの受信電力を測定し、その受信電力が閾値未満であればDTXと判定し、その受信電力が閾値以上であれば移動局からACKまたはNACKが送信されたと判定する。
【0136】
しかしながら、上記のように各PUCCHはZAC系列の異なる循環シフト量およびブロックワイズ拡散コード系列によって分離されている。伝搬路での遅延が大きい場合、移動局の送信タイミングに誤差が生じる場合、または、送信電力制御に誤差が生じる場合等には、特に循環シフト軸上での干渉が大きくなる。よって、これらの場合に電力の閾値判定によりDTXか否かを判定しようとすると、隣接する循環シフト量のZAC系列を用いて応答信号を送信する他の移動局からの漏れ電力の干渉により、誤判定が発生してしまう。例えば、移動局#1がZAC#0を用いてACKを送信し、かつ、ZAC#1を用いて応答信号を送信すべき移動局#2が制御情報の受信に失敗して応答信号を送信しなかった場合には、移動局#1からの応答信号の電力が、移動局#2からの応答信号を検出するための相関処理後にも漏れ込むことがある。この際に従来は、ZAC#1を用いて応答信号が送信されたのか、または、ZAC#0からの漏れ電力なのか判定することができなかった。
【0137】
そこで、本実施の形態では、実施の形態1(
図7)と同様にして、循環シフト軸上において応答信号毎にコンスタレーションを回転させる。
【0138】
ここで、実施の形態1同様に、移動局#1がPUCCH#1(
図7)を用いて応答信号を送信し、他の移動局#2がPUCCH#0(
図7)を用いて応答信号を送信する場合を一例として考える。また、応答信号の変調方式がBPSKである場合を一例として考える。よって、移動局#1の応答信号にはコンスタレーション#2(
図8)が用いられ、移動局#2の応答信号にはコンスタレーション#1(
図3)が用いられる。
【0139】
移動局#1および移動局#2の双方がACKを送信する場合に、基地局が移動局#1からの応答信号を受信する際には、移動局#1の応答信号が移動局#2の応答信号から受ける干渉は以下のようになる。
【0140】
すなわち、移動局#1から送信されたACKおよび参照信号が伝搬路を経て基地局に受信される場合、基地局では、移動局#1の相関出力として、(-1+j)h1/√2で表される応答信号が現れるとともに、(1+j)h1/√2で表される参照信号が現れる。
【0141】
また、移動局#2から送信されたACKおよび参照信号が伝搬路を経て基地局に受信される場合、基地局では、移動局#1の相関出力の中に、(-1-j)h2/√2で表される成分が移動局#1の応答信号に対する干渉として現れるとともに、(1+j)h2/√2で表される成分が移動局#1の参照信号に対する干渉として現れる。
【0142】
よって、移動局#1からのACKと移動局#2からのACKとがコード多重される場合、基地局では、移動局#1の相関出力の中に、(1+j)(jh1-h2)/√2で表される応答信号が現れ、(1+j)(h1+h2)/√2で表される参照信号が現れる。よって、この場合、基地局での同期検波の出力は式(9)に示すようになる。
【数9】
【0143】
また、移動局#2がACKを送信し、移動局#2が制御情報の受信に失敗して応答信号を送信しない場合には、基地局では、移動局#1の相関出力の中に、(1+j)(-h2)/√2で表される応答信号が現れるとともに、(1+j)(h2)/√2で表される参照信号が現れる。よって、この場合、基地局での同期検波の出力は式(10)に示すようになる。
【数10】
【0144】
式(9)と式(10)とを比較すると、移動局#1からの応答信号が存在する場合には同期検波出力の中に直交成分(Q軸の値、複素成分)および同相成分(I軸の値、実数成分)の双方が存在する一方で、移動局#1からの応答信号が存在しない場合には同期検波出力の中に直交成分が存在せず同相成分しか存在しないことが分かる。
【0145】
また、移動局#1がPUCCH#2(
図7)を用いて応答信号を送信し、他の移動局#2がPUCCH#1(
図7)を用いて応答信号を送信する場合を別の例として考える。よって、移動局#1の応答信号にはコンスタレーション#1(
図3)が用いられ、移動局#2の応答信号にはコンスタレーション#2(
図8)が用いられる。
【0146】
移動局#1および移動局#2の双方がACKを送信する場合する場合に、基地局が移動局#1からの応答信号を受信する際には、移動局#1の応答信号が移動局#2の応答信号から受ける干渉は以下のようになる。
【0147】
すなわち、移動局#1から送信されたACKおよび参照信号が伝搬路を経て基地局に受信される場合、基地局では、移動局#1の相関出力として、(-1-j)h1/√2で表される応答信号が現れるとともに、(1+j)h1/√2で表される参照信号が現れる。
【0148】
また、移動局#2から送信されたACKおよび参照信号が伝搬路を経て基地局に受信される場合、基地局では、移動局#1の相関出力の中に、(-1+j)h2/√2で表される成分が移動局#1の応答信号に対する干渉として現れるとともに、(1+j)h2/√2で表される成分が移動局#1の参照信号に対する干渉として現れる。
【0149】
よって、移動局#1からのACKと移動局#2からのACKとがコード多重される場合、基地局では、移動局#1の相関出力の中に、(1+j)(-h1+jh2)/√2で表される応答信号が現れ、(1+j)(h1+h2)/√2で表される参照信号が現れる。よって、この場合、基地局での同期検波の出力は式(11)に示すようになる。
【数11】
【0150】
また、移動局#2がACKを送信し、移動局#1が制御情報の受信に失敗して応答信号を送信しない場合には、基地局では、移動局#1の相関出力の中に、(1+j)(jh2)/√2で表される応答信号が現れるとともに、(1+j)(h2)/√2で表される参照信号が現れる。よって、この場合、基地局での同期検波の出力は式(12)に示すようになる。
【数12】
【0151】
式(11)と式(12)とを比較すると、移動局#1からの応答信号が存在する場合には同期検波出力の中に直交成分および同相成分の双方が存在する一方で、移動局#1からの応答信号が存在しない場合には同期検波出力の中に同相成分が存在せず直交成分しか存在しないことが分かる。
【0152】
よって、本実施の形態によれば、基地局は、同期検波出力おける同相成分の大きさまたは直交成分の大きさのいずれか一方に基づいて移動局からの応答信号がDTXか否かの判定を行うことができる。また、隣接する循環シフト量のZAC系列を用いる移動局から送信された応答信号はDTXの判定に悪影響を与えないため、隣接する循環シフト量のZAC系列を用いる移動局から送信された応答信号からの干渉が大きい場合でも精度良くDTXの判定を行うことができる。
【0153】
(実施の形態8)
本実施の形態では、実施の形態7同様、下り回線データのリソース割当結果を通知するための制御情報の受信に移動局が失敗したことを基地局において検出する場合について説明する。
【0154】
但し、本実施の形態では、応答信号の変調方式がQPSKである場合を一例として考える。また、実施の形態1同様に、移動局#1がPUCCH#1(
図7)を用いて応答信号を送信し、他の移動局#2がPUCCH#0(
図7)を用いて応答信号を送信する場合を一例として考える。そして、本実施の形態では、移動局#1の応答信号にはコンスタレーション#2(
図21)を用い、移動局#2の応答信号にはコンスタレーション#1(
図4)を用いる。
【0155】
移動局#1および移動局#2の双方が‘ACK/ACK’を送信する場合に、基地局が移動局#1からの応答信号を受信する際には、移動局#1の応答信号が移動局#2の応答信号から受ける干渉は以下のようになる。
【0156】
すなわち、移動局#1から送信された‘ACK/ACK’および参照信号が伝搬路を経て基地局に受信される場合、基地局では、移動局#1の相関出力として、-h1で表される応答信号が現れるとともに、(1+j)h1/√2で表される参照信号が現れる。
【0157】
また、移動局#2から送信された‘ACK/ACK’および参照信号が伝搬路を経て基地局に受信される場合、基地局では、移動局#1の相関出力の中に、(-1-j)h2/√2で表される成分が移動局#1の応答信号に対する干渉として現れるとともに、(1+j)h2/√2で表される成分が移動局#1の参照信号に対する干渉として現れる。
【0158】
よって、移動局#1からの‘ACK/ACK’と移動局#2からの‘ACK/ACK’とがコード多重される場合、基地局では、移動局#1の相関出力の中に、{-√2h1-(1+j)h2}/√2で表される応答信号が現れ、(1+j)(h1+h2)/√2で表される参照信号が現れる。よって、この場合、基地局での同期検波の出力は式(13)に示すようになる。
【数13】
【0159】
また、移動局#2が‘ACK/ACK’を送信し、移動局#1が制御情報の受信に失敗して応答信号を送信しない場合には、基地局では、移動局#1の相関出力の中に、(1+j)(-h2)/√2で表される応答信号が現れるとともに、(1+j)h2/√2で表される参照信号が現れる。よって、この場合、基地局での同期検波の出力は式(14)に示すようになる。
【数14】
【0160】
式(13)と式(14)とを比較すると、移動局#1からの応答信号が存在する場合には同期検波出力の中に直交成分および同相成分の双方が存在する一方で、移動局#1からの応答信号が存在しない場合には同期検波出力の中に直交成分が存在せず同相成分しか存在しないことが分かる。よって、基地局は、同期検波出力がI軸からどの程度ずれているかを測定することによってDTXの判定を精度良く行うことができる。
【0161】
また、移動局#1がPUCCH#2(
図7)を用いて応答信号を送信し、他の移動局#2がPUCCH#1(
図7)を用いて応答信号を送信する場合を別の例として考える。そして、本実施の形態では、移動局#1の応答信号にはコンスタレーション#1(
図4)を用い、移動局#2の応答信号にはコンスタレーション#2(
図21)を用いる。
【0162】
移動局#1および移動局#2の双方が‘ACK/ACK’を送信する場合に、基地局が移動局#1からの応答信号を受信する際には、移動局#1の応答信号が移動局#2の応答信号から受ける干渉は以下のようになる。
【0163】
すなわち、移動局#1から送信された‘ACK/ACK’および参照信号が伝搬路を経て基地局に受信される場合、基地局では、移動局#1の相関出力として、(-1-j)h1/√2で表される応答信号が現れるとともに、(1+j)h1/√2で表される参照信号が現れる。
【0164】
また、移動局#2から送信された‘ACK/ACK’および参照信号が伝搬路を経て基地局に受信される場合、基地局では、移動局#1の相関出力の中に、-h2で表される成分が移動局#1の応答信号に対する干渉として現れるとともに、(1+j)h2/√2で表される成分が移動局#1の参照信号に対する干渉として現れる。
【0165】
よって、移動局#1からの‘ACK/ACK’と移動局#2からの‘ACK/ACK’とがコード多重される場合、基地局では、移動局#1の相関出力の中に、{-(1+j)h1-√2h2}/√2で表される応答信号が現れ、(1+j)(h1+h2)/√2で表される参照信号が現れる。よって、この場合、基地局での同期検波の出力は式(15)に示すようになる。
【数15】
【0166】
また、移動局#2が‘ACK/ACK’を送信し、移動局#1が制御情報の受信に失敗して応答信号を送信しない場合には、基地局では、移動局#1の相関出力の中に、-h2で表される応答信号が現れるとともに、(1+j)h2/√2で表される参照信号が現れる。よって、この場合、基地局での同期検波の出力は式(16)に示すようになる。
【数16】
【0167】
式(15)と式(16)とを比較すると、移動局#1からの応答信号が存在しない場合には、同期検波出力の中にはI軸およびQ軸からそれぞれ45度ずれた軸(45度軸)上にしか電力が存在しないことが分かる。よって、基地局は、同期検波出力が45度軸からどの程度ずれているかを測定することによってDTXの判定を精度良く行うことができる。
【0168】
(実施の形態9)
本実施の形態では、実施の形態7同様、下り回線データのリソース割当結果を通知するための制御情報の受信に移動局が失敗したことを基地局において検出する場合について説明する。ただし、基地局では、受信した信号の同期検波出力を用いて、応答信号がACKまたはNACKのいずれかであるかの判定、および、DTXの判定を同時に行う。
【0169】
この場合、ACK/NACK/DTXの判定は同期検波出力を用いた閾値判定によって実行される。ここで、実施の形態1同様に、移動局#1がPUCCH#1(
図7)を用いて応答信号を送信し、他の移動局#2がPUCCH#0(
図7)を用いて応答信号を送信する場合を一例として考える。また、応答信号の変調方式をBPSKとする。よって、移動局#1の応答信号にはコンスタレーション#2(
図8)が用いられ、移動局#2の応答信号にはコンスタレーション#1(
図3)が用いられる。また、参照信号の信号点を、
図3におけるNACKの信号点同様、(1/√2,1/√2)とする。
【0170】
所望信号を送信する移動局#1が移動局#2からの干渉を全く受けないとすると、所望信号がNACKである場合の同期検波出力は(1/√2,-1/√2)付近の値となり、所望信号がACKである場合の同期検波出力は(-1/√2,1/√2)付近の値となる。ただし、雑音の影響を受けるため、常に同期検波出力が一点に集まるわけではない。
【0171】
ここで、移動局#2から移動局#1への符号間干渉を考える。符号間干渉の電力(移動局#2が送信した信号の電力のうち、移動局#1の相関出力の値に漏れ込む電力)の大きさは、所望電力に比べて小さいため、前述の通り所望信号がNACKである場合の同期検波出力は(1/√2,-1/√2)付近の値となり、所望信号がACKである場合の同期検波出力は(-1/√2,1/√2)付近の値となる。
【0172】
ところが、移動局#1が下り回線データのリソース割当結果を通知するための制御情報の受信に失敗した場合、移動局#1は応答信号を送信しないので、移動局#1の相関出力には移動局#2からの干渉成分および雑音のみが存在することになる。この場合、基地局は移動局#2から漏れこんできた参照信号を用いて、移動局#2の応答信号の同期検波を行うことになるため、移動局#2の応答信号がACKの場合、同期検波出力は、(-1/√2,-1/√2)付近の値となり、移動局#2の応答信号がNACKの場合、同期検波出力は、(1/√2,1/√2)付近の値となる。
【0173】
すなわち、基地局の同期検波出力の電力は、移動局#1が応答信号を送信した場合、Y=-Xで表される-45度の傾きを持つ直線方向に大きく、移動局#1が応答信号を送信しない場合(すなわちDTXの場合)、Y=-Xで表される-45度の傾きを持つ直線方向に小さいことが分かる。
【0174】
図22に、干渉を受ける移動局#1の同期検波出力をIQ平面上で右に45度回転させた時のQ軸振幅の確率分布密度を示す。
図22から分かるように、同期検波出力を右に45度回転させると、所望信号がACKの場合、同期検波出力は、(0,1)付近の値、すなわち、Q軸振幅が1付近となり、所望信号がNACKの場合、同期検波出力は、(0,-1)付近の値、すなわち、Q軸振幅が-1付近となる。
【0175】
また、
図23に、循環シフト軸上において応答信号毎にコンスタレーションを回転させない場合、例えば全ての移動局が同一のコンスタレーション#2(
図8)を用いる場合に、干渉を受ける移動局#1の同期検波出力をIQ平面上で右に45度回転させた時のQ軸振幅の確率分布密度を示す。
【0176】
図22および
図23において、移動局#1は、移動局#2からだけではなく、その他のPUCCH(
図7)を用いている移動局からも干渉を受けている。ただし、移動局#1は、隣接する循環シフト量のZAC系列を用いる移動局#2から最も強く干渉を受ける。また、
図22および
図23において、全移動局においてACKの発生確率とNACKの発生確率とが等しい、すなわちACK:NACK=1:1とした。
【0177】
図22において、αおよびβは、ACK/NACK/DTXを判定するための閾値を表しており、「同期検波出力を右に45度回転させた場合のQ軸振幅<α」の場合には移動局#1がNACKを送信したと判定し、「同期検波出力を右に45度回転させた場合のQ軸振幅>β」の場合には移動局#1がACKを送信したと判定し、「α≦同期検波出力を右に45度回転させた場合のQ軸振幅≦β」の場合には、移動局#1がDTXであると判定する。
【0178】
図23では、干渉が最も大きい場合(すなわち移動局#2からの干渉)の同期検波出力が、所望信号の同期検波出力と同一軸方向の電力を持つため、α、βという閾値を用いたACK/NACK/DTX判定が難しい。これに対し、
図22では、干渉が最も大きい場合の同期検波出力が、所望信号の同期検波出力と90度ずれた軸方向に電力を持つため、α、βという閾値を用いてACK/NACK/DTX判定することができる。
【0179】
よって、例えば、実施の形態1に示すスクランブリングと組み合わせることによって、ACKの発生確率とNACKの発生確率とが等しい場合においても、基地局におけるACK/NACK/DTXの判定精度が向上することが分かる。
【0180】
以上、本発明の実施の形態について説明した。
【0181】
なお、上記実施の形態の説明で用いたPUCCHは、ACKまたはNACKをフィードバックするためのチャネルであるため、ACK/NACKチャネルと称されることもある。
【0182】
また、本発明は、応答信号以外の制御情報をフィードバックする場合にも上記同様にして実施可能である。
【0183】
また、移動局は端末局、UE、MT、MS、STA(Station)と称されることもある。また、基地局はNode B、BS、APと称されることもある。また、サブキャリアはトーンと称されることもある。また、CPはガードインターバル(Guard Interval;GI)と称されることもある。
【0184】
また、誤り検出の方法はCRCに限られない。
【0185】
また、周波数領域と時間領域との間の変換を行う方法は、IFFT、FFTに限られない。
【0186】
また、上記実施の形態では、本発明を移動局に適用する場合について説明した。しかし、本発明は、固定された静止状態の無線通信端末装置や、基地局との間で移動局と同等の動作をする無線通信中継局装置に対しても適用することができる。つまり、本発明は、すべての無線通信装置に対して適用することができる。
【0187】
また、上記実施の形態では、本発明をハードウェアで構成する場合を例にとって説明したが、本発明はソフトウェアで実現することも可能である。
【0188】
また、上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0189】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用してもよい。
【0190】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0191】
2007年10月29日出願の特願2007-280796、2007年12月28日出願の特願2007-339924、及び、2008年10月17日出願の特願2008-268690に含まれる明細書、図面及び要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。
【産業上の利用可能性】
【0192】
本発明は、移動体通信システム等に適用することができる。