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特開2022-1721913次元グリッドを備える自動保管・回収システムのための複数の容器の車両
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  • 特開-3次元グリッドを備える自動保管・回収システムのための複数の容器の車両 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172191
(43)【公開日】2022-11-15
(54)【発明の名称】3次元グリッドを備える自動保管・回収システムのための複数の容器の車両
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20221108BHJP
【FI】
B65G1/04 555Z
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132255
(22)【出願日】2022-08-23
(62)【分割の表示】P 2020528136の分割
【原出願日】2018-03-05
(31)【優先権主張番号】20171863
(32)【優先日】2017-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(71)【出願人】
【識別番号】317005527
【氏名又は名称】アウトストア・テクノロジー・エーエス
【氏名又は名称原語表記】AUTOSTORE TECHNOLOGY AS
【住所又は居所原語表記】Stokkastrandvegen 85,N-5578 Nedre Vats,Norway
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100211236
【弁理士】
【氏名又は名称】道下 浩治
(72)【発明者】
【氏名】アウストロヘイム,トロンド
(72)【発明者】
【氏名】ヘッゲボー,ヨルゲン・デューベ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】自動保管システム、このような保管システムで使用されるためのコンテナ取り扱い車両を提供する。
【解決手段】本発明は、コンテナ取り扱い車両を提供し、コンテナ取り扱い車両が、第1の方向に沿って移動させるための第1のセットのホイールと、第2の方向に沿って移動させるための第2のセットのホイールとを備え、第1のセットのホイールが、第1の方向に沿って車両を移動させるのを可能にする第1の位置と、第2のセットのホイールにより第2の方向に沿って車両を移動させるのを可能にする第2の位置との間で垂直方向に変位可能であり、車両ボディが、第1のリフティングデバイスおよび第2のリフティングデバイスを互いに隣接させて配置する空洞を取り囲み、各リフティングデバイスが保管コンテナを持ち上げて空洞の中に入れるように構成される。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下にある保管システム(1)の3次元グリッド(4)から保管コンテナ(6)を載せるためのコンテナ取り扱い車両(27)であって、前記コンテナ取り扱い車両(27)が、
- 前記グリッド(4)上で前記車両(27)を第1の方向(X)に沿って移動させるための、車両ボディ(13)の両側に配置される第1のセットのホイール(14)と、
- 前記グリッド(4)上で前記車両(27)を第2の方向(Y)に沿って移動させるための、前記車両ボディ(13)の両側に配置される第2のセットのホイール(15)であって、前記第2の方向(Y)が前記第1の方向(X)に対して垂直である、第2のセットのホイール(15)と、
を備え、
- 前記第1のセットのホイールが、前記第1のセットのホイールにより前記第1の方向(X)に沿って前記車両(27)を移動させるのを可能にする第1の位置と、前記第2のセットのホイールにより前記第2の方向(Y)に沿って前記車両(27)を移動させるのを可能にする第2の位置と、の間で垂直方向(Z)に変位可能であり、
前記車両ボディ(13)が、少なくとも第1のリフティングデバイス(18a)および第2のリフティングデバイス(18b)を互いに隣接させて配置する空洞(21)を取り囲み、各リフティングデバイスが保管コンテナ(6)を前記グリッド(4)から持ち上げて前記空洞の中に入れるように独立して制御および構成され、その結果、前記保管コンテナの底部が前記第2のセットのホイール(15)の最も下側の高さの上方の高さのところにくる、
コンテナ取り扱い車両(27)。
【請求項2】
前記第1のリフティングデバイス(18a)および前記第2のリフティングデバイス(18b)が隣接しており、その結果、前記コンテナ取り扱い車両(27)が、前記空洞(21)内で2つの隣接する保管コンテナ(6)を収容することができる、請求項1に記載のコンテナ取り扱い車両。
【請求項3】
前記第1のリフティングデバイス(18a)および前記第2のリフティングデバイス(18b)の各々が、それぞれ、少なくとも1つの第1の回転可能なリフティングシャフト(22a)および少なくとも1つの第2の回転可能なリフティングシャフト(22b)に接続される、請求項1または2に記載のコンテナ取り扱い車両。
【請求項4】
前記第1のリフティングデバイス(18a)および前記第2のリフティングデバイス(18b)の各々が、コンテナ(6)に着脱自在に接続されるためのリフティングフレーム(17a、17b)を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載のコンテナ取り扱い車両。
【請求項5】
前記空洞の内部に配置される少なくとも1つの垂直方向フレーム案内要素(23)を備え、前記フレーム案内要素が前記リフティングフレーム(17a、17b)の間を延在する、請求項4に記載のコンテナ取り扱い車両。
【請求項6】
3次元グリッド(4)と、請求項1から5のいずれか一項に記載の少なくとも1つのコンテナ取り扱い車両(27)とを備える自動保管・回収システム(1)であって、
前記グリッド(4)が、中で保管コンテナ(6)を垂直方向のスタック(7)として互いの上に保管することができる複数の保管カラム(5)と、保管コンテナ(6)を受け取るためのおよび保管コンテナ(6)をアクセスステーションまで移送するためのポートカラム(19)と、を備え、
前記コンテナ取り扱い車両(27)が、前記保管カラム(5)から保管コンテナ(6)を回収するためにおよび前記保管カラム(5)の中に保管コンテナ(6)を保管するため
に、ならびに前記グリッド(4)を横断する形で前記保管コンテナ(6)を水平方向に移送するために、前記グリッド(4)の頂部の高さにおいてレール(10、11)上で動作させられ、
前記第1のリフティングデバイス(18a)および前記第2のリフティングデバイス(18b)が、2つの隣接する保管カラム(5)に同時に入るのを可能にするように、構成される、
自動保管・回収システム(1)。
【請求項7】
前記リフティングデバイスの各々がリフティングフレーム(17a、17b)を備え、それぞれの前記リフティングフレーム(17a、17b)を2つの隣接する保管カラム(5)に同時に入れるのを可能にするように、構成される、請求項6に記載の自動保管・回収システム。
【請求項8】
前記第1のリフティングデバイスおよび前記第2のリフティングデバイスの前記リフティングフレーム(17a、17b)が、2つの隣接する保管カラムを分離する前記レール(10、11)の幅(W)より大きい距離(D)によって、水平方向に分離される、請求項7に記載の自動保管・回収システム。
【請求項9】
前記コンテナ取り扱い車両が、2つの隣接する保管カラムを取り囲むレールのセットの水平方向外周と等しいかまたはそれより小さい水平方向外周を有する、請求項6から8のいずれか一項に記載の自動保管・回収システム。
【請求項10】
前記第1のリフティングフレーム(17a)および前記第2のリフティングフレーム(17b)の各々が、前記保管コンテナ(6)上の対応するリフティングフレーム接続要素に着脱自在に接続されるためのコンテナ接続要素(24)と、前記コンテナ接続要素(24)を正確に位置決めするのを保証するための案内ピン(30)とを備える、請求項7から9のいずれか一項に記載の自動保管・回収システム。
【請求項11】
3次元グリッド(4)と、少なくとも1つのコンテナ取り扱い車両(27)とを備える自動保管・回収システム(1)から少なくとも1つの保管コンテナ(6)を回収する方法であって、
前記グリッド(4)が、中で保管コンテナ(6)を垂直方向のスタック(7)として互いの上に保管することができる複数の保管カラム(5)と、保管コンテナ(6)を受け取るためのおよび保管コンテナ(6)をアクセスステーションまで移送するためのポートカラム(19)と、を備え、前記コンテナ取り扱い車両(27)が、前記保管カラム(5)から保管コンテナ(6)を回収するためにおよび前記保管カラム(5)の中に保管コンテナ(6)を保管するために、ならびに前記グリッド(4)を横断する形で前記保管コンテナ(6)を水平方向に移送するために、前記グリッド(4)の頂部の高さにおいてレール(10、11)上で動作させられ、前記コンテナ取り扱い車両が、同時に、少なくとも2つの隣接する保管カラム(5)から保管コンテナ(6)を回収することおよび/または少なくとも2つの隣接する保管カラム(5)の中で保管コンテナ(6)を保管することを可能にするように構成される少なくとも第1のリフティングデバイス(18a)および第2のリフティングデバイス(18b)を備え、前記方法が、
- 回収されるべき第1の保管コンテナ(6)を特定するステップと、
- 前記第1の保管コンテナを備える第1の保管カラム(5)を基準として前記第1のリフティングデバイス(18a)を中央に配置するように、前記コンテナ取り扱い車両(27)を移動させるステップと、
- 前記第1のリフティングデバイス(18a)により第2の保管コンテナを回収するステップであって、前記第2の保管コンテナが前記第1の保管コンテナの上方の高さのところで前記第1の保管カラムの中に配置される、ステップと、
- 前記第1の保管カラム(5)を基準として前記第2のリフティングデバイス(18b)を中央に配置するように、前記コンテナ取り扱い車両(27)を移動させるステップと、
- 前記第2のリフティングデバイス(18b)により前記第1の保管コンテナを回収するステップと
を含む、
方法。
【請求項12】
- 前記ポートカラム(19)までの経路に沿わせて前記コンテナ取り扱い車両(27)を移動させるステップ
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
- 好適には前記第1のコンテナを回収するステップと同時に、前記第1の保管カラムに隣接する第2の保管カラムの中で前記第2の保管コンテナを保管するステップ、または、
- 前記第1の保管コンテナが回収されたときに前記第2の保管コンテナを前記第1の保管カラムに戻すステップ、または、
- 前記第1の保管コンテナが回収されたときに第3の保管カラムの中で前記第2の保管コンテナを保管するステップであって、前記第3のカラムが、好適には、前記ポートカラム(19)までの前記経路に沿って配置される、ステップ、
を含む、請求項11または12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動保管システム、このような保管システムで使用されるためのコンテナ取り扱い車両、さらには、このような保管システム内でコンテナ取り扱い車両を使用するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
出願人の既知であるオートストア(AutoStore)システムは3次元保管グリッド構造を備える保管システムであり、ここでは、保管コンテナ/コンテナが一定の高さまで互いの上に積み重ねられる。このような従来技術のシステムが図1に示される。この保管システムは例えばNO317366およびWO2014/090684A1に詳細に開示されている。
【0003】
図1が典型的な従来技術の自動保管・回収システム1の骨組み構造を開示しており、図2aおよび2bがこのようなシステムの既知のコンテナ取り扱い車両を開示している。
【0004】
骨組み構造が、複数の直立部材/プロフィール2と、直立部材2によって支持される複数の水平方向部材3とを備える。部材2、3は、通常、例えば押し出しアルミニウムプロフィールなどの、金属で作られてよい。
【0005】
骨組み構造が、列状に配置される複数のグリッドカラム12を備える保管グリッド4を画定する。グリッドカラム12の大部分が保管カラム5であり、保管カラム5内で、コンテナとしても知られる保管コンテナ6が別の保管コンテナの上に積み重ねられてスタック7を形成する。各保管コンテナ6(または、略すとコンテナ)が、通常、複数の製品アイテム(図示せず)を保持することができ、保管コンテナ6内の製品アイテムは、用途に応じて、等しいものであってもよく、または異なる種類の製品であってもよい。骨組み構造が保管コンテナ6のスタック7の水平方向の移動を回避し、コンテナ6の垂直方向の移動を誘導するが、通常、それに加えて、積み重ねられている場合の保管コンテナ6を支持するわけではない。
【0006】
水平方向レールシステム8がグリッドカラム12の頂部の全体にわたってグリッドパターンとして構成され、レールシステム8の上で、複数のコンテナ取り扱い車両9が、保管コンテナ6を保管カラム5から上昇させたり保管コンテナ6を保管カラム5の中まで降下させたりするように、およびさらには保管カラム5の上方で保管コンテナ6を移送するように、動作させられる。レールシステム8が、フレーム構造1の頂部を横断する形でのコンテナ取り扱い車両9の第1の方向Xの移動を誘導するように構成される第1のセットの平行レール10と、第1の方向Xに対して垂直である第2の方向Yのコンテナ取り扱い車両9の移動を誘導するように第1のセットのレール10に対して垂直に構成される第2のセットの平行レール11とを備える(図3を参照)。このようにして、レールシステム8が保管カラム5の上側端部を画定し、保管カラム5の上側端部の上方で、コンテナ取り扱い車両9が保管カラム5の上方で横方向に移動することができ、つまり水平方向のX-Y平面に平行である平面内で移動することができる。
【0007】
各コンテナ取り扱い車両9が、車両ボディ13と、コンテナ取り扱い車両9の横方向の移動すなわちX方向およびY方向の移動を可能にする、第1のセットのホイール14および第2のセットのホイール15とを備える。図2では、各々のセットで2つのホイールを見ることができる。第1のセットのホイール14が第1のセットのレール10の2つの隣
接するレールに係合されるように構成され、第2のセットのホイール15が第2のセットのレール11の2つの隣接するレールに係合されるように構成される。セットのホイール14、15のうちの一方が持ち上げられ得および降下させられ得、その結果、任意の時間に、第1のセットのホイール14および/または第2のセットのホイール15がそれらのそれぞれのセットのレール10、11に係合され得る。
【0008】
各コンテナ取り扱い車両9が、例えば保管コンテナ6を保管カラム5から上昇させるためのおよび保管コンテナ6を保管カラム5の中まで降下させるための、保管コンテナ6の垂直方向の移送のためのリフティングデバイス18(図1および2aでは図示されないが、図2bでは見ることができる)をさらに備える。リフティングデバイス18が保管コンテナ6に係合されるように適合されるリフティングフレーム(図2aでは図示されないが、図2bで参照符号17を付されて示されるものに類似する)を備え、リフティングフレームが車両ボディ13から降下させられ得、その結果、車両ボディ13を基準としたリフティングフレームの位置が、第1の方向Xおよび第2の方向Yに対して垂直である第3の方向Zにおいて調整され得る。
【0009】
通常通り、本出願の目的においては、Z=1がグリッド4の最も上側の層を表し、つまりレールシステム8のすぐ下にある層(本出願では、レールシステム8がグリッドの頂部の高さと称される)を表し、Z=2がレールシステム8の下方の第2の層であり、Z=3が第3の層を表す、などである。図1に開示される実施形態では、Z=8がグリッド4の最も下側の底部層を表す。したがって、例として、図1に示されるデカルト座標系X、Y、Zを使用すると、図1で6’として表される保管コンテナはグリッドロケーションまたはセルX=10、Y=2、Z=3を占有していると言うことができる。コンテナ取り扱い車両9が層Z=0内で移動すると言うことができ、各グリッドカラム12がそのX座標およびY座標によって示され得る。
【0010】
各コンテナ取り扱い車両9が、グリッド4を横断する形で保管コンテナ6を移送するときに保管コンテナ6を受け取るためのおよび保管コンテナ6を積み込むための保管コンパートメントまたはスペースを備える。保管スペースが、例えば参照によりその内容が本明細書に組み込まれるWO2014/090684A1に説明されるように、および図2aに示されるように、車両ボディ13の中の中央に配置される空洞21を備えることができる。
【0011】
別法として、コンテナ取り扱い車両が、やはり参照によりその内容が本明細書に組み込まれるNO317366で説明されるように、および図2bに示されるように、片持ち構造を有することができる。
【0012】
コンテナ取り扱い車両9が、例えば、参照によりその内容が本明細書に組み込まれるWO2015/193278A1で説明されるように、フットプリントF、つまりX方向およびY方向の水平方向外周を有することができ(図4を参照)、フットプリントFがシングルグリッドカラム12の開端部を取り囲むレールの横方向または水平方向での延在範囲(図4を参照)に概して等しく、すなわち、これがX方向およびY方向におけるグリッドカラム12の外周/周縁部よりわずかに大きい。別法として、コンテナ取り扱い車両9が、例えばWO2014/090684A1で開示されているように、シングルグリッドカラム12を取り囲むレールの横方向の延在範囲より大きいフットプリントを有することができる。
【0013】
レールシステム8が図3に示されるようにシングルトラックシステムであってよい。好適には、レールシステム8が図4に示されるようにダブルトラックシステムであり、それにより、一列のグリッドカラムに隣接してグリッドカラム12の上方に別のコンテナ取り
扱い車両9が配置されている場合でも、グリッドカラム12を取り囲むレールに概して一致するフットプリントFを有するコンテナ取り扱い車両9がその一列のグリッドカラムに沿ってX方向またはY方向に移動することが可能となる。
【0014】
保管グリッド内では、グリッドカラム12の大部分が保管カラム5であり、つまりそこで保管コンテナをスタックとして保管されるところのグリッドカラムである。しかし、グリッドは、通常、少なくとも1つのグリッドカラム12を有し、少なくとも1つのグリッドカラム12は保管コンテナを保管するのに使用されないが、コンテナ取り扱い車両により保管コンテナを降ろすことができるおよび/またはアクセスステーションまで移送するのを可能にするために保管コンテナを載せることができる場所であるロケーションを備えることができ、アクセスステーションではグリッドの外部から保管コンテナ6にアクセスすることができるかあるいは保管コンテナ6をグリッドの外へまたは中へ移送することができ、つまりアクセスステーションはコンテナ取り扱いステーションである。当技術分野では、このようなロケーションは通常「ポート」と称され、その中にポートが位置しているところのグリッドカラムがポートカラムと称されてよい。
【0015】
図1のグリッド4が2つのポートカラム19および20を備える。第1のポートカラム19が例えば専用のドロップオフポートカラムであってよく、ここでは、コンテナ取り扱い車両9が、アクセスステーションまたは移送ステーション(図示せず)まで移送されることになる保管コンテナを降ろすことができ、第2のポートカラム20が専用のピックアップポートカラムであってよく、ここでは、コンテナ取り扱い車両9が、アクセスステーションまたは移送ステーションからグリッド4まで移送された保管コンテナを載せることができる。
【0016】
図1に開示されるグリッド4内に保管される保管コンテナ6にアクセスする場合、コンテナ取り扱い車両9のうちの1つのコンテナ取り扱い車両9が標的の保管コンテナをグリッド4内でのその位置から回収してこの標的の保管コンテナをドロップオフポート19まで移送するように、指示を受ける。この動作は、標的の保管コンテナを配置しているところの保管カラム5の上方のグリッドロケーションまでコンテナ取り扱い車両9を移動させることと、コンテナ取り扱い車両のリフティングデバイス(図2に示される従来技術の中央空洞ロボット(central cavity robot)には示されないが、通常、図2bの従来技術の車両のリフティングデバイス18に類似する)を使用して保管カラム5から保管コンテナ6を回収することと、保管コンテナをドロップオフポート19まで移送することとを伴う。図2bに示される従来技術の車両9が、リフティングデバイスの一般的なデザインを良好に示す。この従来技術の車両9(しばしば、片持ちロボットと称される)の詳細がノルウェー特許NO317366に説明されている。両方の従来技術の車両9のリフティングデバイス18が、保管コンテナに着脱自在に接続されるためのリフティングフレーム17(握持デバイスとも称され得る)の角部の近くに接続されるリフティングバンド16のセットを備える。リフティングフレーム17(および、任意選択で、接続されている保管コンテナ6)を上昇させるかまたは降下させるために、リフティングバンド16が、コンテナ取り扱い車両内に構成される少なくとも1つの回転リフティングシャフトまたはドラム(図示せず)に巻き付けられる/から巻き取られる。少なくとも1つのリフティングシャフトの種々のデザインが、例えば、WO2015/193278A1およびWO2017/129384A1で説明されている。リフティングフレーム17が、保管コンテナに着脱自在に接続されるためのコンテナ接続要素24と、案内ピン30とを特徴とする。標的の保管コンテナがスタック7の中の深いところに位置する場合、つまり標的の保管コンテナの上方に1つのまたは複数の他の保管コンテナが配置される場合、この動作は、標的の保管コンテナを保管カラムから上昇させる前に上記のように配置される保管コンテナを一時的に移動させることをさらに伴う。当技術分野でしばしば「採掘(digging)」と称されるこのステップは、標的の保管コンテナをドロップオフポ
ート19まで移送するのに後で使用されるのと同じコンテナ取り扱い車両を用いて実施され得るか、または協働する他の1つまたは複数のコンテナ取り扱い車両を用いて実施され得る。別法としてまたは加えて、自動保管・回収システムが、保管カラムから保管コンテナを一時的に取り出す仕事に特に専用のコンテナ取り扱い車両を有することができる。標的の保管コンテナが保管カラムから取り出されると、一時的に取り出された保管コンテナが元の保管カラムの中に再配置され得る。しかし、取り出された保管コンテナが別法として他の保管カラムのところに移転させられもよい。
【0017】
保管コンテナ6がグリッド4内で保管されることになる場合、コンテナ取り扱い車両9のうちの1つのコンテナ取り扱い車両9が、ピックアップポート20から保管コンテナを載せて、保管コンテナを保管すべき場所の保管カラム5の上方のグリッドロケーションまで保管コンテナを移送するように、指示を受ける。保管カラムのスタックの中の標的の位置のところにまたはその上方に配置されるすべての保管コンテナが取り出された後、コンテナ取り扱い車両9が保管コンテナを所望の位置に配置する。次いで、取り出された保管コンテナが降下させられて保管カラムの中に戻されるか、または他の保管カラムまで移転させられる。
【0018】
例えば、コンテナ取り扱い車両9を互いに衝突させることなく所望の時間に所望の保管コンテナを所望のロケーションに送達するのを可能にすることを目的として、グリッド4の中でのそれぞれの保管コンテナのロケーションと、各保管コンテナ6の中身と、コンテナ取り扱い車両9の移動と、を監視および制御するといったように、自動保管・回収システムを監視および制御するために、自動保管・回収システムが制御システムを備え、この制御システムは、通常、コンピュータ化されており、保管コンテナを追跡するためのデータベースを備える。
【0019】
上述の従来技術のコンテナ取り扱い車両9は各動作において1つのコンテナ6のみを取り扱って移送することができ、したがって、複数の保管コンテナの回収および/または保管ならびに「採掘」を含めた、保管システムによって実施される特定の動作の効率が制限される。
【0020】
同じ保管カラムから複数の保管コンテナを回収することができるコンテナ取り扱い車両がWO2013167907に開示されている。しかし、開示されるコンテナ取り扱い車両は安定性が低いという欠点を有し、それによりその速度および加速度が制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
上記に鑑みて、より効率的なコンテナ取り扱い車両と、上記のコンテナ取り扱い車両を備える自動保管・回収システムと、このようなシステムを動作させるための方法とを提供することが望ましい。具体的には、本発明は、従来技術の車両を基準として種々の状況において向上した動作速度を有するコンテナ取り扱い車両を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は添付の特許請求の範囲および下記で定義される。
【0023】
第1の態様で、本発明が、下にある保管システムの3次元グリッドから保管コンテナを載せるためのコンテナ取り扱い車両を提供し、このコンテナ取り扱い車両が、
- グリッド上で車両を第1の方向(すなわち、第1の水平方向)に沿って移動させるための、車両ボディの両側に配置される第1のセットのホイールと、
- グリッド上で車両を第2の方向(すなわち、第2の水平方向)に沿って移動させるための、車両ボディの両側に配置される第2のセットのホイールであって、第2の方向が
第1の方向に対して垂直である、第2のセットのホイールと、
を備え、
- 第1のセットのホイールが、第1のセットのホイールにより第1の方向に沿って車両を移動させるのを可能にする第1の位置と、第2のセットのホイールにより第2の方向に沿って車両を移動させるのを可能にする第2の位置と、の間で垂直方向に変位可能であり、
ここでは、車両ボディが、少なくとも第1のリフティングデバイスおよび第2のリフティングデバイスを互いに隣接させて配置する空洞を取り囲み、各リフティングデバイスが保管コンテナをグリッドから持ち上げて空洞の中に入れるように独立して制御および構成され、その結果、保管コンテナの底部が第2のセットのホイールの最も下側の高さの上方の高さのところにくる。各リフティングデバイスがさらに、保管コンテナを空洞から降下させてグリッドの中に入れることができる。
【0024】
第1および第2のリフティングデバイスが隣接しており、その結果、コンテナ取り扱い車両が、空洞内で2つの隣接する保管コンテナを収容することができる。
【0025】
第1のリフティングデバイスおよび第2のリフティングデバイスが独立して制御される場合、第1のリフティングデバイスが第2のリフティングデバイスから独立して制御される。つまり、リフティングデバイスのうちの1つのリフティングデバイスが、独立して、例えば、第1の保管カラムから保管コンテナを持ち上げるといったような、動作を実施することができ、対して、他のリフティングデバイスが、保管コンテナを、例えば、第1の保管カラムに隣接する第2の保管カラムに戻すといったような、別のまたは類似の動作を実施する。
【0026】
コンテナ取り扱い車両の実施形態では、第1のリフティングデバイスおよび第2のリフティングデバイスがそれぞれ、少なくとも1つの第1の回転可能なリフティングシャフト(または、第1のセットのリフティングシャフト)および少なくとも1つの第2の回転可能なリフティングシャフト(または、第2のセットのリフティングシャフト)に接続される。リフティングシャフトが車両内の上側の高さのところにつまり空洞の上方の高さのところに配置されるか、または空洞内の上側の高さのところに配置される。各リフティングデバイスがリフティングバンドのセットを介して対応するリフティングシャフトに接続されるか、または別法として、対応するリフティングシャフトに接続されるリフティングバンドのセットを備える。各リフティングシャフトの回転またはリフティングシャフトのセットの回転が独立して制御され、それにより、接続されているリフティングデバイスが他のリフティングデバイスから独立して上昇または降下させられ得る。
【0027】
コンテナ取り扱い車両の実施形態では、少なくとも第1のリフティングデバイスおよび第2のリフティングデバイスの各々が、コンテナに着脱自在に接続されるためのリフティングフレームを備える。少なくとも第1のリフティングデバイスおよび第2のリフティングデバイスのリフティングフレームが隣接している。
【0028】
一実施形態では、コンテナ取り扱い車両が、第1または第2のリフティングデバイスに隣接して配置される第3のリフティングデバイスを備える。第3のリフティングデバイスが、有利には、第1および第2のリフティングデバイスのために開示される特徴のうちの任意の特徴を有することができ、この特徴は、例えば、少なくとも1つの第3の回転可能なリフティングシャフトに接続されること、およびリフティングフレームを備えること、である。
【0029】
一実施形態では、コンテナ取り扱い車両が、第3のリフティングデバイスと、第1または第2のリフティングデバイスとに隣接して配置される第4のリフティングデバイスを備
える。第4のリフティングデバイスが、有利には、第1および第2のリフティングデバイスのために開示される特徴のうちの任意の特徴を有することができ、この特徴は、例えば、少なくとも1つの第4の回転可能なリフティングシャフトに接続されること、およびリフティングフレームを備えること、である。
【0030】
一実施形態では、コンテナ取り扱いデバイスがリフティングデバイスの複数の隣接する列を備え、各列が少なくとも2つの隣接するリフティングデバイスを含み、つまり少なくとも第1および第2のリフティングデバイスを含み、各リフティングデバイスが、第1および第2のリフティングデバイスのために開示される特徴のうちの任意の特徴を有することができ、この特徴は、例えば、少なくとも1つの回転可能なリフティングシャフトに各々が接続されること、およびリフティングフレームを備えること、である。各リフティングデバイスが他のリフティングデバイスから独立して制御される。一実施形態では、第1の列が少なくとも第1および第2のリフティングデバイス含んでよく、隣接する第2の列が少なくとも第3および第2のリフティングデバイスを含んでよく、その結果、第1のリフティングデバイスが第3のリフティングデバイスに隣接し、第2のリフティングデバイスが第4のリフティングデバイスに隣接する。
【0031】
一実施形態では、コンテナ取り扱い車両が、車両ボディの骨組みの両側を接続する支持ビームを備え、支持ビームが2つの隣接するリフティングデバイスの間のまたは2つの列のリフティングデバイスの間の水平位置に配置される。支持ビームが好適には、空洞の中に完全に後退させられている場合、第2のセットのホイールの最も下側の高さの上方の(つまり、空洞の開口部の上方の)、かつリフティングデバイスの高さの下方の、高さのところに配置される。支持ビームの幅は2つの隣接するリフティングデバイスを分離する水平距離(別法として、隣接する2つのリフティングデバイスのリフティングフレームを分離する水平距離)あるいは隣接する2つの列のリフティングデバイスを分離する水平距離(または別法として、隣接する2つの列のリフティングデバイスのリフティングフレームを分離する水平距離)より小さいかまたはこの水平距離に等しい。
【0032】
一実施形態では、コンテナ取り扱い車両が、空洞の内部に配置される少なくとも1つの垂直方向フレーム案内要素(または、フレームガイド)を備える。フレームガイドが隣接するリフティングフレームの間を延在する。言い換えると、フレームガイドが少なくとも第1および第2のリフティングデバイスのリフティングフレームの間に配置される(つまり、垂直方向フレームガイドが任意の隣接するリフティングフレームの間に配置される)。垂直方向フレームガイドは、空洞に入るときのおよび/または空洞の内部にあるときの、リフティングフレームの横方向の移動およびひいてはリフティングフレームに接続される任意の保管コンテナの横方向の移動を制限するように、構成される。フレームガイドが、隣接する2つのリフティングフレームの間を少なくも部分的に延在する、空洞の内部に配置される少なくとも1つの長手方向プレートまたはリブ要素を備えることができる。長手方向プレートまたはリブ要素が、好適には、例えば空洞開口部の高さのところのまたはその上方の、空洞の下側の高さのところの位置から、空洞の内部にあるときのリフティングフレームの最も上側の高さに一致する高さのところのまたはその上方の位置まで、垂直方向に延在してよい。フレーム案内要素が空洞を複数のセクションに分離し、各セクションが保管コンテナを収容するようにサイズ決定される。フレーム案内要素は車両ボディの骨組みの一部であってよく、好適には車両ボディの骨組みの一体部品であってよい。
【0033】
第2の態様で、本発明が、3次元グリッドと、第1の態様による少なくとも1つのコンテナ取り扱い車両とを備える自動保管・回収システムを提供し、グリッドが、中で保管コンテナを垂直方向のスタックとして互いの上に保管することができる複数の保管カラムと、保管コンテナを受け取るためのおよび保管コンテナをアクセスステーションまで移送するためのポートカラムと、を備え、コンテナ取り扱い車両が、保管カラムから保管コンテ
ナを回収するためにおよび保管カラムの中に保管コンテナを保管するために、ならびにグリッドを横断する形で保管コンテナを水平方向に移送するために、グリッドの頂部の高さにおいてレール上で動作させられ、第1のリフティングデバイスおよび第2のリフティングデバイスが、それらのそれぞれのリフティングフレームを2つの隣接する保管カラムに同時に入れるのを可能にするように、構成される。言い換えると、それぞれのリフティングフレームが、同時に、隣接する2つの保管カラムを基準として中央に配置され得る。
【0034】
自動保管・回収システムの実施形態では、少なくとも1つのコンテナ取り扱いデバイスが第3および第4のリフティングデバイスを備え、第3および第4のリフティングデバイスが、それぞれのリフティングフレームを2つの隣接する保管カラムに同時に入れるのを可能にするように、構成される。言い換えると、それぞれのリフティングフレームが、同時に、隣接する2つの保管カラムを基準として中央に配置され得る。第3および第4のリフティングデバイスのリフティングフレームの各々が好適には、第1または第2のリフティングデバイスのリフティングフレームを中に入れることができる保管カラムのうちの1つの保管カラムに隣接する保管カラムに入るように構成される。
【0035】
自動保管・回収システムの実施形態では、第1のリフティングデバイスおよび第2のリフティングデバイスのリフティングフレーム、すなわち任意の隣接する2つのリフティングデバイスのリフティングフレームが、隣接する2つの保管カラムを分離するレールの幅より大きいかまたはそのレールの幅に等しい距離によって、水平方向に分離される。つまり、それぞれのリフティングフレームが、リフティングフレームを2つの隣接する保管カラムに同時に入れるのを可能にする距離によって、分離される。
【0036】
自動保管・回収システムの実施形態では、コンテナ取り扱い車両が、レールのセットの水平方向外周と等しいかまたはそれより小さい、あるいは少なくとも2つの隣接する保管カラムまたは少なくとも2つの隣接する列の保管カラムを取り囲むレールのセットの中心線によって境界を画定される水平方向エリアと等しいかまたはそれより小さい、水平方向外周を有する。二重トラックレールシステムを備える保管システムでは、コンテナ取り扱い車両の水平方向外周が、隣接する2つの保管カラムを取り囲むレールのセットの中心線によって境界を画定される水平方向エリアと等しいかまたはこの水平方向エリアよりわずかに小さく、つまり、結果として、第1の態様による第2のコンテナ取り扱い車両が、隣接する2つの保管カラムまたは隣接する少なくとも2つの列の保管カラムを取り囲む保管カラムのうちの任意の保管カラムの上方に配置され得、隣接する保管カラムの上には第1のコンテナ取り扱い車両が配置される。好適には、保管カラムの各々が長方形断面を有し、コンテナ取り扱い車両の水平方向外周が、長辺のところで隣接する少なくとも2つの保管カラムを取り囲むレールのセットの水平方向外周と等しいかまたはそれより小さい。いくつかの実施形態では、コンテナ取り扱い車両の水平方向外周が、短辺のところで隣接する少なくとも2つの隣接する保管カラムを取り囲むレールのセットの水平方向外周と等しいかまたはそれより小さい。
【0037】
自動保管・回収システムの別の実施形態では、コンテナ取り扱い車両が、レールのセットの水平方向外周と等しいかまたはそれより小さい、あるいは複数の隣接する列の保管カラム(各列が少なくとも2つの隣接する保管カラムを備える)を取り囲むレールのセットの中心線によって境界を画定される水平方向エリアと等しいかまたはそれより小さい、水平方向外周を有する。
【0038】
自動保管・回収システムの実施形態では、リフティングフレームの各々が、保管コンテナの外周頂部セクションの上の対応するリフティングフレーム接続要素に着脱自在に接続されるためのコンテナ接続要素を備える。各リフティングフレームが、コンテナ接続要素を正確に位置決めするのを保証するための案内ピンをさらに備えることができる。
【0039】
第3の態様で、本発明が、自動保管・回収システムから少なくとも1つの保管コンテナを回収する方法を提供する。自動保管・回収システムが第2の態様によるシステムであってよく、つまり、3次元グリッドと、少なくとも1つのコンテナ取り扱い車両とを備えることができ、グリッドが、中で保管コンテナを垂直方向のスタックとして互いの上に保管することができる複数の保管カラムと、保管コンテナを受け取るためのおよび保管コンテナをアクセスステーションまで移送するためのポートカラムと、を備えることができ、コンテナ取り扱い車両が、保管カラムから保管コンテナを回収するためにおよび保管カラムの中に保管コンテナを保管するために、ならびにグリッドを横断する形で保管コンテナを水平方向に移送するために、グリッドの頂部の高さにおいてレール上で動作させられ、コンテナ取り扱い車両が、同時に、少なくとも2つの保管カラム(好適には、少なくとも2つの隣接する保管カラム)から保管コンテナを回収することおよび/または少なくとも2つの保管カラム(好適には、少なくとも2つの隣接する保管カラム)の中で保管コンテナを保管することを可能にするように構成される少なくとも第1のリフティングデバイスおよび第2のリフティングデバイスを備える。
【0040】
この方法が、
- 標的の保管コンテナとしても示される回収されるべき第1の保管コンテナを特定するステップと、
- 第1の保管コンテナを備える第1の保管カラムを基準として第1のリフティングデバイスを中央に配置するように、コンテナ取り扱い車両を移動させるステップと、
- 第1のリフティングデバイスにより非標的の保管コンテナとしても示される第2の保管コンテナを回収するステップであって、第2の保管コンテナが第1の保管コンテナの上方の高さのところで第1の保管カラムの中に配置される、ステップと、
- 第1の保管カラムを基準として第2のリフティングデバイスを中央に配置するように、コンテナ取り扱い車両を移動させるステップと、
- 第2のリフティングデバイスにより第1の保管コンテナを回収するステップと
を含む。
【0041】
第3の態様の実施形態では、この方法が、
- 好適には第1のコンテナを回収するステップと同時に、第1の保管カラムに隣接する第2の保管カラムの中で第2の保管コンテナを保管するステップ、
- 第1の保管コンテナが回収されたときに第2の保管コンテナを第1の保管カラムに戻すステップ、または、
- 第1の保管コンテナが回収されたときに第3の保管カラムの中で第2の保管コンテナを保管するステップ、
をさらに含む。
【0042】
第3の態様の実施形態では、この方法が、ポートカラムまでの経路に沿ってコンテナ取り扱い車両を移動させて、任意選択で保管システムの外へ移送するために第1の保管コンテナをポートカラムに送達するステップを含む。
【0043】
第3の保管カラムが、例えば、ポートカラムまでの経路に沿うように、または回収されるべき別の標的の保管コンテナを含む保管カラムまでの経路に沿うように、配置され得る。
【0044】
第4の態様で、本発明が、自動保管・回収システムから少なくとも1つの保管コンテナを回収する方法を提供する。自動保管・回収システムが第2の態様によるシステムであってよく、つまり、3次元グリッドと、少なくとも1つのコンテナ取り扱い車両とを備えることができ、グリッドが、中で保管コンテナを垂直方向のスタックとして互いの上に保管
することができる複数の保管カラムと、保管コンテナを受け取るためのおよび保管コンテナをアクセスステーションまで移送するためのポートカラムと、を備えることができ、コンテナ取り扱い車両が、保管カラムから保管コンテナを回収するためにおよび保管カラムの中に保管コンテナを保管するために、ならびにグリッド横断する形で保管コンテナを水平方向に移送するために、グリッドの頂部の高さにおいてレール上で動作させられ、コンテナ取り扱い車両が、同時に、少なくとも2つの保管カラム(好適には、2つの隣接する保管カラム)から保管コンテナを回収することおよび/または少なくとも2つの保管カラム(好適には、2つの隣接する保管カラム)の中で保管コンテナを保管することを可能にするように構成される少なくとも第1のリフティングデバイスおよび第2のリフティングデバイスを備える。
【0045】
第4の態様のこの方法が、
- 標的の保管コンテナとしても示される回収されるべき第1の保管コンテナを特定するステップと、
- 第1の保管コンテナを備える第1の保管カラムを基準として第1のリフティングデバイスを中央に配置するように、コンテナ取り扱い車両を移動させるステップと、
- 第1のリフティングデバイスにより非標的の保管コンテナとしても示される第2の保管コンテナを回収するステップであって、第2の保管コンテナが第1の保管コンテナの上方の高さのところで第1の保管カラムの中に配置される、ステップと、
- 第1の保管カラムを基準として第2のリフティングデバイスを中央に配置するように、コンテナ取り扱い車両を移動させるステップと、
- 第2のリフティングデバイスにより別の第2の保管コンテナを回収するステップと、
- 好適には第1の保管カラムに隣接して配置される第2の保管カラムの中で第2の保管コンテナのうちの任意の1つの保管コンテナを保管するステップと、
- 第1または第2のリフティングデバイスを第1の保管カラムを基準として中央に配置するように、コンテナ取り扱い車両を移動させるステップと、
- 第1または第2のリフティングデバイスにより第1の保管コンテナを回収するステップと
を含む。
【0046】
第4の態様の実施形態では、この方法が、ポートカラムまでの経路に沿ってコンテナ取り扱い車両を移動させて、任意選択で保管システムの外へ移送するために第1の保管コンテナをポートカラムに送達するステップを含む。
【0047】
第5の態様では、本発明が、自動保管・回収システムから少なくとも1つの保管コンテナを回収する方法を提供する。自動保管・回収システムが第2の態様によるシステムであってよく、つまり、3次元グリッドと、少なくとも1つの第1の種類および1つの第2の種類のコンテナ取り扱い車両とを備えることができ、グリッドが、中で保管コンテナを垂直方向のスタックとして互いの上に保管することができる複数の保管カラムと、保管コンテナを受け取るためのおよび保管コンテナをアクセスステーションまで移送するためのポートカラムと、を備えることができ、第1の種類および第2の種類のコンテナ取り扱い車両が、保管カラムから保管コンテナを回収するためにおよび保管カラムの中に保管コンテナを保管するために、ならびにグリッドを横断する形で保管コンテナを水平方向に移送するために、グリッドの頂部の高さにおいてレール上で動作させられ、第1の種類のコンテナ取り扱い車両が、同時に、複数の保管カラムから保管コンテナを独立して回収することおよび/または複数の保管カラムの中で保管コンテナを保管することを可能にするように構成される複数のリフティングデバイスを備える。第2の種類のコンテナ取り扱い車両が、有利には、第1の種類のコンテナ取り扱い車両の複数のリフティングデバイスのうちの1つのリフティングデバイスに類似の単一のリフティングデバイスを備えることができる
【0048】
第5の態様の方法が、
a.標的のコンテナとしても示される回収されるべき第1の保管コンテナを特定するステップと、
b.第1の保管コンテナを備える第1の保管カラムを基準として複数のリフティングデバイスのうちの1つのリフティングデバイス(つまり、その時点で保管コンテナを持ち上げていない、複数のリフティングデバイスのうちの1つのリフティングデバイス)を中央に配置するように、第1の種類のコンテナ取り扱い車両を移動させるステップと、
c.第1の保管カラムを基準として中央に配置されるリフティングデバイスにより非標的の保管コンテナとしても示される第2の保管コンテナを回収するステップであって、第2の保管コンテナが第1の保管コンテナの上方の高さのところで第1の保管カラムの中に配置される、ステップと、
d.第2の保管コンテナすなわち非標的のコンテナが第1の保管コンテナの上方の高さのところからなくなるまで、ステップbおよびcを繰り返すステップと、
e.第1または第2の種類のコンテナ取り扱い車両により第1の保管コンテナを回収するステップと
を含む。
【0049】
第5の態様の実施形態では、この方法が、第1の保管カラムではない保管カラムの中で第2の保管コンテナを保管するステップを含む。このようにして、占有されているリフティングデバイスが第1の保管カラムから別の第2の保管コンテナを自由に回収することができるようになる。保管カラムが第1の保管カラムに隣接して配置される場合、このステップが好適にはステップcと同時に実施される。
【0050】
第5の態様の一実施形態では、この方法が、ステップeを実施することを目的として第2の種類のコンテナ取り扱い車両のうちの1つの第2の種類のコンテナ取り扱い車両による第1の保管コンテナへのアクセスを実現するために、第1の保管カラムから離すように第1の種類の車両を移動させるステップをステップdの後に含む。
【0051】
第5の態様の実施形態では、第2の種類のコンテナ取り扱い車両が単一のリフティングデバイスを備え、第1の保管コンテナを回収して、ポートカラムまたは緩衝ゾーンなどの、所望のロケーションまで第1の保管コンテナを移送するように、構成される。第2の種類のコンテナ取り扱い車両は例えば図2aまたは2bに示されるような従来技術の車両であってよい。
【0052】
次に、以下の図面を参照して単に例として本発明の特定の実施形態を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】従来技術の保管・回収システムを示す側面斜視図である。
図2a】従来技術のコンテナ取り扱い車両を示す図である。
図2b】従来技術のコンテナ取り扱い車両を示す図である。
図3図1の保管システムで使用されるための1つの種類のレールシステムを示す上面概略図である。
図4図1の保管システムで使用されるための1つの種類のレールシステムを示す上面概略図である。
図5】本発明によるコンテナ取り扱い車両の第1の例示の実施形態を示す側面斜視図である。
図6図5のコンテナ取り扱い車両を示す側面図である。
図7図5のコンテナ取り扱い車両を示す側面図である。
図8】A-Aに沿う図6のコンテナ取り扱い車両を示す断面図である。
図9】リフティングデバイスが空洞の外まで延在している、図5のコンテナ取り扱い車両を示す側面斜視図である。
図10図9のコンテナ取り扱い車両を示す側面図である。
図11】本発明によるコンテナ取り扱い車両の第2の例示の実施形態を示す側面斜視図である。
図12】外部パネルが取り外されている、図11のコンテナ取り扱い車両を示す側面斜視図である。
図13】下方から示される、図11のコンテナ取り扱い車両を示す斜視図である。
図14】リフティングフレームが降下させられている、図13のコンテナ取り扱い車両を示す図である。
図15】リフティングフレームが降下させられている、図11のコンテナ取り扱い車両を示す図である。
図16】本発明によるコンテナ取り扱い車両の第3の例示の実施形態を示す側面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
図面では、特に明記されない限りまたは文脈から暗に理解されない限り、同様の部品、要素、または特徴を示すのに同様の参照符号が使用される。
【0055】
以下で、添付図面を参照して、本発明の実施形態を単に例としてより詳細に考察する。しかし、図面が本発明を図面に描かれる主題に限定することを意図されないことを理解されたい。
【0056】
上で言及したように、従来技術のコンテナ取り扱い車両9(図2aおよび2bを参照)の欠点は、一度に1つのコンテナ6しか取り扱うことができないというその能力である。
【0057】
本発明によるコンテナ取り扱い車両27aの第1の例示の実施形態が図5~10に示される。本発明の車両は、保管システム1のグリッド4上において車両27aをレールシステム8の上で第1の方向Xに沿って移動させるための、車両ボディ13の両側に配置される第1のセットのホイール14と、グリッド4上において車両27aを第2の方向Yに沿って移動させるための、車両ボディ13の両側に配置される第2のセットのホイール15と、を特徴とする。第2の方向Yが第1の方向Xに対して垂直である。第1のセットのホイール14が、ホイール変位組立体28(図示せず、図12および16を参照)に接続されていることにより、第1の位置と第2の位置との間で垂直方向Zに変位可能である。第1の位置では、第1のセットのホイール14が第2のセットのホイール15の下方の高さのところにあってレールシステムに接触しており、その結果、第1の方向Xに沿う車両27aの移動が可能となり、第2の位置では、第1のセットのホイールがレールシステムから離れて第2のセットのホイール15の上方の高さまで垂直方向に変位させられ、その結果、第2のセットのホイール15がレールシステムに接触し、第2の方向Yに沿う車両27aの移動が可能となる。変位可能なホイールのセットを提供するための適切な組立体の構造的詳細は、例えば参照によりその内容が組み込まれるWO2015/193278A1およびWO2017/153583に開示されており、さらには図11から16に示される第2および第3の例示の実施形態に開示される。
【0058】
車両ボディ13が空洞21を取り囲み、空洞21の中で第1のリフティングデバイス18aおよび第2のリフティングデバイス18bが互いに隣接して配置されている。この空洞は下方からのアクセスを可能にするためにその下側のところが開いている。各リフティングデバイスが、下にある保管システム1のグリッド4から空洞21の中まで保管コンテナ6を持ち上げるようにおよび同様にその逆を行うように構成される。互いに隣接して配
置される2つのリフティングデバイスを有することにより、本発明の車両27aが、空洞21の中で2つの隣接する保管コンテナを収容することができる。空洞の中に収容されている場合、各保管コンテナの底部が第2のセットのホイール15の最も下側の高さの上方の高さのところにある。第2のセットのホイール15の最も下側の高さの上方に配置されることにより、コンテナ取り扱い車両の水平方向の移動中、保管コンテナ6の底部がグリッド4のレールシステム10、11に干渉することがない(図1、3、および4を参照)。
【0059】
第1および第2のリフティングデバイスの各々が、リフティングバンド16a、16bのセットを介して、対応する回転可能なリフティングシャフト22a、22bに接続されるリフティングフレーム17a、17bを備える(図8~10を参照)。リフティングフレーム17a、17bに、保管コンテナ6に着脱自在に接続されるためのコンテナ接続要素24と、保管コンテナを基準としたコンテナ接続要素24の正確な位置決めを保証するための、リフティングフレームの各角部のところにある案内ピン30とが設けられている。
【0060】
回転可能なリフティングシャフト22a、22bが車両ボディ13の内部の上側の高さのところで空洞21の上方に配置される。本明細書で開示されるすべての実施形態で、リフティングデバイスの各々が、4つのリフティングバンドを介して、単一の対応するリフティングシャフトに接続される。この特定のデザインは、必要となる別個の部品が少なく、占有するスペースを最小して非常にコンパクトで軽量であるリフティングシャフト組立体を提供する、という点が有利である。開示されるリフティングシャフト組立体ほどには有利というわけではないが、本明細書で開示される本発明のコンテナ取り扱い車両は、別法として、他の任意の適切なリフティングシャフト組立体を備えることができる。回転可能なリフティングシャフトおよびリフティングシャフト組立体の、ならびに回転を可能にするための駆動組立体に対してのそれらの接続部の、さらにはリフティングバンドに対してのそれらの接続部の、種々の適切なデザインは、例えば、参照によりその内容が組み込まれるWO2015193278A1およびWO2017129384A1に開示されている。代替的実施形態では、回転可能なリフティングシャフトが、例えば、2つのリフティングシャフトを独立して回転可能に制御するのを可能にするクラッチ構成により2つのシャフトを接続する共通のモータによって駆動され得る。
【0061】
したがって、本発明のコンテナ取り扱い車両27aが、2つの保管コンテナを空洞21の中で同時に収容するのを可能にする2つの隣接するリフティングデバイス18a、18bを備える。2つのリフティングデバイスのリフティングフレーム17a、17bが、保管カラム5の頂端部のところに配置されるレールシステム10、11の幅Wと等しいかまたはそれより大きい距離D(図10を参照)によって水平方向に分離される(図3、4、および8を参照)。言い換えると、リフティングデバイス18a、18bは、リフティングフレーム17a、17bの一方を上記保管カラムの各々を基準として中央に配置しながら、コンテナ取り扱い車両27aを2つの隣接する保管カラム5の上方に配置するのを可能にするように、離間される。
【0062】
2つの隣接するリフティングデバイスを有することにより、本発明によるコンテナ取り扱い車両27aが、従来技術の車両9を基準として種々の状況において改善された動作速度を提供する。
【0063】
コンテナ取り扱い車両27aが保管システムの改善された動作速度および効率を提供するような、具体的ではあるが一般的であるいくつかの状況を以下で説明する。
【0064】
自動保管システム1の中で、高回転率の物品を含む保管コンテナ6(以下、HTコンテ
ナと称される)が、しばしば、システムの効率を向上させるために保管カラム5の最も上側の高さのうちの1つの高さのところに配置される。つまり、HTコンテナは、通常、グリッド4の第1または第2の層(Z=1または2)の中に配置される(図1および上記の説明を参照)。
【0065】
例えば、HTコンテナの中の物品が高回転率であることにより、第1の層に配置される複数のHTコンテナが、しばしば、保管システムから同時に回収されることになる。これらのHTコンテナのうちの2つのHTコンテナが、隣り合うかまたは近くに配置される保管カラム5の中に配置される場合、本発明のコンテナ取り扱い車両27aが両方のHTコンテナを回収することができ、その後、これらのHTコンテナがポートカラム19に送達される。この動作の効率は、回収されることになる各HTコンテナのためのポートカラム19の間で前後に移動することを必要とする従来技術の単一のコンテナ取り扱い車両9と比較して、大幅に向上している。同様の状況は、保管カラムに戻されるときのHTコンテナにも当てはまる。
【0066】
回収されることになるHTコンテナ(または第1の保管コンテナ)が第2の層に配置され、つまり非標的のコンテナ(または第2の保管コンテナ)の下方に配置されるような状況では、効率をさらに向上させることができる。このような状況では、コンテナ取り扱い車両27aが、第1のリフティングデバイス18aを使用することにより、HTコンテナの上方に配置される非標的のコンテナを回収することができ、その後、第2のリフティングデバイス18bを使用することによりHTコンテナを回収することができる。保管制御システムによりいずれのアクションが最も効率的であると決定されるかに応じて、非標的のコンテナが、HTコンテナの回収後に、この非標的のコンテナを回収したところの同一の保管カラムに戻され得るか、HTコンテナを回収しながら同時に隣接する保管カラムに戻され得るか(または、そこで保管され得る)、ポートカラム19へのHTコンテナの移送中に適切な保管カラムに戻され得るか、またはHTコンテナをポートカラム19に送達するときにコンテナ取り扱い車両27aの中に収容され得る。
【0067】
上記に基づくと、結果として以下のようになる:低回転率の物品(以下、LTコンテナと称される)を含む保管コンテナ6がしばしば保管カラムの下側の高さのところで保管される。LTコンテナを回収する場合、通常、LTコンテナを回収するのを可能にする前に、標的のLTコンテナ(つまり、標的のコンテナ)の上方に配置される複数の保管コンテナ(すなわち、非標的のコンテナ)を取り出すことが必要である。第1の例示の実施形態のコンテナ取り扱い車両27aが、LTコンテナにアクセスするのを可能にするために複数の非標的のコンテナを取り出すことにおいて高効率である。
【0068】
本発明によるコンテナ取り扱い車両27bの第2の例示の実施形態が図11~15に示される。
【0069】
図11~15のコンテナ取り扱い車両27bは、保管カラムの下側の高さのところで保管される標的のコンテナの上方に配置される複数の保管コンテナ6(すなわち、非標的のコンテナ)を取り出すのに特に適し、つまり採掘作業を実施するのに特に適する。したがって、車両27bは以下で採掘機械(digger)と称される。採掘機械の空洞は、合計で4つの保管コンテナ6を独立して持ち上げる/降下させるための4つの別個のリフティングデバイス17a~17dを特徴とする。リフティングデバイスの各々が、第1の例示のコンテナ取り扱い車両27aのために上で説明した特徴と同じ特徴を有する。このような採掘機械の任意の数の別個のリフティングデバイスが可能であることを理解されたい。採掘機械の他の例示の実施形態では、3×2のリフティングデバイス(つまり、隣接する2列の3つの隣接するリフティングデバイス)、4×2のリフティングデバイス、3×3のリフティングデバイス、または4×4のリフティングデバイスが存在してよい。
【0070】
採掘機械のボディ13の構造安定性を得るために、支持ビーム25が図13に示されるように空洞の下側開口部のところで両側を接続することができる。この支持ビーム25は、2つの隣接するリフティングフレームを分離する距離Dより小さい幅を有するべきである。
【0071】
採掘機械27bは、空洞21内に配置される垂直方向フレーム案内要素23(すなわち、フレームガイド)を備える。フレーム案内要素23の少なくとも一部がリフティングフレーム17a~17dの間に配置され、それによりリフティングフレームのおよびリフティングフレームに接続される任意の保管コンテナの横方向の移動を制限する。リフティングフレームの横方向の移動を制限することは、中でリフティングフレームを独立して制御するコンテナ取り扱い車両において特に重要である。案内要素23が存在しない場合、隣接するリフティングフレームが、動作中に、また特には反対方向に移動するときにつまり1つのリフティングフレーム(例えば、17a)を持ち上げて隣接するリフティングフレーム(すなわち、17bまたは17d)を降下させるときに、互いに干渉するという相当な危険性を有する。隣接するリフティングフレームの間での干渉の危険性を最小にすることに加えて、案内要素はさらに、車両の加速中に空洞の内部で保管コンテナの横方向の移動を制限することにより、車両の安定性を向上させる。この特定の実施形態では、フレーム案内要素23が、概略十字形の断面を有する長手方向プロフィール/ビームである。このプロフィールは、一方の端部において空洞の上側の高さのところに接続され、もう一方の端部において支持ビームに接続される。この実施例では、フレーム案内要素が車両ボディの骨組みの一体部品である。骨組みの一部分であることにより、フレーム案内要素がさらに車両ボディの構造安定性の向上を提供する。
【0072】
図5~10の第1の例示の実施形態27aがフレーム案内要素23を有さずに描かれていることに留意されたい。しかし、例えば2つの隣接するリフティングデバイス17a、17bといったように、2つよりも多いリフティングデバイスを備える本発明による任意のコンテナ取り扱い車両が、有利には、採掘機械のために考察したようにリフティングフレームの横方向の移動を制限するための垂直方向フレーム案内要素を備えることができる。
【0073】
上述したように保管システム内で使用される場合、採掘機械27bが、回収されるべきLTコンテナ(標的のコンテナまたは第1の保管コンテナとも称される)を特定/選択した場合に以下のステップを実施することにより保管カラム5(図1を参照)から複数の非標的のコンテナ6を順番に回収することができる。
【0074】
第1のステップで、採掘機械が移動させられ、その結果、その時点で保管コンテナを持ち上げていない、4つのリフティングデバイスのうちの1つのリフティングデバイスが、LTコンテナを備える第1の保管カラムを基準として中央に配置され、
第2のステップで、第1の保管カラムを基準として中央に配置されるリフティングデバイスにより非標的のコンテナが回収され/持ち上げられ、非標的のコンテナがLTコンテナの上方の高さのところで第1の保管カラムの中に配置される。
【0075】
さらに、非標的のコンテナがLTコンテナの上方の高さのところに存在しなくなるまで、第1および第2のステップが繰り返される。
【0076】
非標的のコンテナの数が採掘機械のリフティングデバイスの数を超える場合、つまりこの特定の実施例では4つよりも多い非標的のコンテナが存在する場合、採掘機械が第1の保管カラムではない保管カラムの中で非標的のコンテナを保管する追加のステップを実施することができる。最適な効率を達成するために、この追加のステップが好適には、第2
のステップと同時に、第1の保管カラムに隣接する保管カラムの中で実施される。
【0077】
LTコンテナが第1の保管カラムの中の最も上側のコンテナである場合、つまりLTコンテナの上方に配置されるすべての非標的のコンテナが取り出された場合、LTコンテナが好適には、例えば保管システムのポートカラムまでLTコンテナを移送するのにより適している別の種類のコンテナ取り扱い車両(つまり、第2の種類のコンテナ取り扱い車両)によって回収され得る。第2のタイプのコンテナ取り扱い車両は、例えば、上述したような従来技術のコンテナ取り扱い車両9’であってもよく、またはそれに類似したものでもよい。
【0078】
本発明によるコンテナ取り扱い車両27cの第3の例示の実施形態が図16に示される。この車両は第1の実施形態と実質的に類似するが、複数の縦型の長手方向プレート23(または、リブ)を備えるフレーム案内要素(別法として、フレーム案内組立体と称される)を特徴とするという点が異なる。プレート/リブ23が、空洞の内側セクションの上に/内側セクションのところに配置され、この実施例では2つの両側の内側セクションの上に配置され、2つのリフティングフレームの間を少なくとも部分的に延在する。この実施例では、第2の実施形態と同様に、フレーム案内要素が車両ボディの骨組みの一体部分である。骨組みの一部分であることにより、フレーム案内要素がさらに車両ボディの構造安定性の向上を提供する。第3の実施形態のさらなる差別化の特徴は、第1の実施形態の2つのホイールとは異なり、第2のセットのホイール15が3つのホイールを備えることである。
【0079】
上で開示したように、第2および第3の実施形態が共に、車両ボディの骨組みの一部分を形成する垂直方向フレーム案内要素を特徴とする。骨組みの一部分としてフレーム案内要素を有することで有利な効果つまり構造安定性が向上するという効果が得られるが、これは必須ではない。
【0080】
第1の例示の実施形態では、コンテナ取り扱い車両27aが、中に2つの長方形保管コンテナを収容することができる空洞を特徴とし、1つの保管コンテナの長辺が他の保管コンテナの長辺のうちの1つの長辺に隣接する。言い換えると、リフティングフレームが長方形であり、各フレームが第1および第2の平行な対向する辺を有する。第1の辺が第2の辺より長く、第1のリフティングフレームの第1の辺が第2のリフティングフレームの第1の辺に隣接して配置される。これは、2つのリフティングデバイスのみを備える車両、あるいは一直線上に(X方向またはY方向)配置される複数個のリフティングデバイスを備える車両の場合において、好適な実施形態である。その理由は、このような構成により、多くの従来技術のポートカラム19または保管コンテナリフト(保管システムの中におよび外にコンテナを移送するためのリフト)に対して適合性を有することが可能となる。しかし、2つのリフティングデバイスのみを特徴とするかまたは一直線上に配置される複数個のリフティングデバイスを特徴とする他の実施形態では、空洞およびリフティングデバイスが、保管コンテナをそれらの短辺に沿う形で隣接して配置されるように、構成されもよい。
【符号の説明】
【0081】
1 骨組み構造/下にある保管システム
2 直立部材/プロフィール
3 水平方向部材
4 保管グリッド
5 保管カラム
6 保管コンテナ
7 スタック
8 レールシステム
9 従来技術のコンテナ取り扱い車両
10 第1のセットの平行レール
11 第2のセットの平行レール
12 グリッドカラム
13 車両ボディ
14 第1のセットのホイール
15 第2のセットのホイール
16 リフティングバンド
17 リフティングフレーム
18 リフティングデバイス
19 第1のポートカラム
20 第2のポートカラム
21 空洞
22 リフティングシャフト
23 垂直方向フレーム案内要素
24 コンテナ接続要素
25 支持ビーム
26 バッテリ
27 本発明によるコンテナ取り扱い車両
28 ホイール変位組立体
30 案内ピン
図1
図2a
図2b
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2022-08-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下にある保管システム(1)の3次元グリッド(4)から保管コンテナ(6)を載せるためのコンテナ取り扱い車両(27)であって、前記コンテナ取り扱い車両(27)が、
- 前記グリッド(4)上で前記車両(27)を第1の方向(X)に沿って移動させるための、車両ボディ(13)の両側に配置される第1のセットのホイール(14)と、
- 前記グリッド(4)上で前記車両(27)を第2の方向(Y)に沿って移動させるための、前記車両ボディ(13)の両側に配置される第2のセットのホイール(15)であって、前記第2の方向(Y)が前記第1の方向(X)に対して垂直である、第2のセットのホイール(15)と、
を備え、
- 前記第1のセットのホイールが、前記第1のセットのホイールにより前記第1の方向(X)に沿って前記車両(27)を移動させるのを可能にする第1の位置と、前記第2のセットのホイールにより前記第2の方向(Y)に沿って前記車両(27)を移動させるのを可能にする第2の位置と、の間で垂直方向(Z)に変位可能であり、
前記車両ボディ(13)が、少なくとも第1のリフティングデバイス(18a)および第2のリフティングデバイス(18b)を互いに隣接させて配置する空洞(21)を取り囲み、各リフティングデバイスが保管コンテナ(6)を前記グリッド(4)から持ち上げて前記空洞の中に入れるように独立して制御および構成され、その結果、前記保管コンテナの底部が前記第2のセットのホイール(15)の最も下側の高さの上方の高さのところにきて、
前記第1のリフティングデバイス(18a)が、リフティングバンド(16a)のセットを介して、対応する第1の回転可能なリフティングシャフト(22a)に接続されるリフティングフレーム(17a)を備え、前記第2のリフティングデバイス(18b)が、リフティングバンド(16b)のセットを介して、対応する第2の回転可能なリフティングシャフト(22b)に接続されるリフティングフレーム(17b)を備える、
コンテナ取り扱い車両(27)。
【請求項2】
前記第1のリフティングデバイス(18a)および前記第2のリフティングデバイス(18b)が隣接しており、その結果、前記コンテナ取り扱い車両(27)が、前記空洞(21)内で2つの隣接する保管コンテナ(6)を収容することができる、請求項1に記載のコンテナ取り扱い車両。
【請求項3】
前記リフティングフレーム(17a、17b)の各々が、コンテナ(6)に着脱自在に接続されるためのものである、請求項1または2に記載のコンテナ取り扱い車両。
【請求項4】
前記空洞の内部に配置される少なくとも1つの垂直方向フレーム案内要素(23)を備え、前記フレーム案内要素が前記リフティングフレーム(17a、17b)の間を延在する、請求項3に記載のコンテナ取り扱い車両。
【請求項5】
3次元グリッド(4)と、請求項1から4のいずれか一項に記載の少なくとも1つのコンテナ取り扱い車両(27)とを備える自動保管・回収システム(1)であって、
前記グリッド(4)が、中で保管コンテナ(6)を垂直方向のスタック(7)として互いの上に保管することができる複数の保管カラム(5)と、保管コンテナ(6)を受け取るためのおよび保管コンテナ(6)をアクセスステーションまで移送するためのポートカラム(19)と、を備え、
前記コンテナ取り扱い車両(27)が、前記保管カラム(5)から保管コンテナ(6)を回収するためにおよび前記保管カラム(5)の中に保管コンテナ(6)を保管するために、ならびに前記グリッド(4)を横断する形で前記保管コンテナ(6)を水平方向に移送するために、前記グリッド(4)の頂部の高さにおいてレール(10、11)上で動作させられ、
前記第1のリフティングデバイス(18a)および前記第2のリフティングデバイス(18b)が、2つの隣接する保管カラム(5)に同時に入るのを可能にするように、構成される、
自動保管・回収システム(1)。
【請求項6】
前記リフティングデバイスの各々が、それぞれの前記リフティングフレーム(17a、17b)を2つの隣接する保管カラム(5)に同時に入れるのを可能にするように、構成される、請求項5に記載の自動保管・回収システム。
【請求項7】
前記第1のリフティングデバイスおよび前記第2のリフティングデバイスの前記リフティングフレーム(17a、17b)が、2つの隣接する保管カラムを分離する前記レール(10、11)の幅(W)より大きい距離(D)によって、水平方向に分離される、請求項6に記載の自動保管・回収システム。
【請求項8】
前記コンテナ取り扱い車両が、2つの隣接する保管カラムを取り囲むレールのセットの水平方向外周と等しいかまたはそれより小さい水平方向外周を有する、請求項5から7のいずれか一項に記載の自動保管・回収システム。
【請求項9】
前記第1のリフティングフレーム(17a)および前記第2のリフティングフレーム(17b)の各々が、前記保管コンテナ(6)上の対応するリフティングフレーム接続要素に着脱自在に接続されるためのコンテナ接続要素(24)と、前記コンテナ接続要素(24)を正確に位置決めするのを保証するための案内ピン(30)とを備える、請求項6から8のいずれか一項に記載の自動保管・回収システム。
【請求項10】
3次元グリッド(4)と、少なくとも1つのコンテナ取り扱い車両(27)とを備える自動保管・回収システム(1)から少なくとも1つの保管コンテナ(6)を回収する方法であって、
前記グリッド(4)が、中で保管コンテナ(6)を垂直方向のスタック(7)として互いの上に保管することができる複数の保管カラム(5)と、保管コンテナ(6)を受け取るためのおよび保管コンテナ(6)をアクセスステーションまで移送するためのポートカラム(19)と、を備え、前記コンテナ取り扱い車両(27)が、前記保管カラム(5)から保管コンテナ(6)を回収するためにおよび前記保管カラム(5)の中に保管コンテナ(6)を保管するために、ならびに前記グリッド(4)を横断する形で前記保管コンテナ(6)を水平方向に移送するために、前記グリッド(4)の頂部の高さにおいてレール(10、11)上で動作させられ、前記コンテナ取り扱い車両が、同時に、少なくとも2つの隣接する保管カラム(5)から保管コンテナ(6)を回収することおよび/または少なくとも2つの隣接する保管カラム(5)の中で保管コンテナ(6)を保管することを可能にするように構成される少なくとも第1のリフティングデバイス(18a)および第2のリフティングデバイス(18b)を備え、前記第1のリフティングデバイス(18a)が、リフティングバンド(16a)のセットを介して、対応する第1の回転可能なリフティングシャフト(22a)に接続されるリフティングフレーム(17a)を備え、前記第2のリフティングデバイス(18b)が、リフティングバンド(16b)のセットを介して、対応する第2の回転可能なリフティングシャフト(22b)に接続されるリフティングフレーム(17b)を備え、前記方法が、
- 回収されるべき第1の保管コンテナ(6)を特定するステップと、
- 前記第1の保管コンテナを備える第1の保管カラム(5)を基準として前記第1のリフティングデバイス(18a)を中央に配置するように、前記コンテナ取り扱い車両(27)を移動させるステップと、
- 前記第1のリフティングデバイス(18a)により第2の保管コンテナを回収するステップであって、前記第2の保管コンテナが前記第1の保管コンテナの上方の高さのところで前記第1の保管カラムの中に配置される、ステップと、
- 前記第1の保管カラム(5)を基準として前記第2のリフティングデバイス(18b)を中央に配置するように、前記コンテナ取り扱い車両(27)を移動させるステップと、
- 前記第2のリフティングデバイス(18b)により前記第1の保管コンテナを回収するステップと
を含む、
方法。
【請求項11】
- 前記ポートカラム(19)までの経路に沿わせて前記コンテナ取り扱い車両(27)を移動させるステップ
を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
- 好適には前記第1のコンテナを回収するステップと同時に、前記第1の保管カラムに隣接する第2の保管カラムの中で前記第2の保管コンテナを保管するステップ、または、
- 前記第1の保管コンテナが回収されたときに前記第2の保管コンテナを前記第1の保管カラムに戻すステップ、または、
- 前記第1の保管コンテナが回収されたときに第3の保管カラムの中で前記第2の保管コンテナを保管するステップであって、前記第3のカラムが、好適には、前記ポートカラム(19)までの前記経路に沿って配置される、ステップ、
を含む、請求項10または11に記載の方法。