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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172271
(43)【公開日】2022-11-15
(54)【発明の名称】喫煙材を加熱するための装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/465 20200101AFI20221108BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20221108BHJP
【FI】
A24F40/465
A24F40/20
【審査請求】有
【請求項の数】33
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022139703
(22)【出願日】2022-09-02
(62)【分割の表示】P 2020182750の分割
【原出願日】2017-06-27
(31)【優先権主張番号】62/356,334
(32)【優先日】2016-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ウィルケ, アンドリュー ピー.
(72)【発明者】
【氏名】パプロッキー, ベンジャミン ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】コーフマン, デュアン エー.
(72)【発明者】
【氏名】ブランディーノ, トーマス ピー.
(57)【要約】      (修正有)
【課題】喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるように喫煙材を加熱するための装置とともに使用するための加熱要素、そのような装置とともに使用するための物品、そのような装置及びそのような物品を備えたシステム、並びに、喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるように喫煙材を加熱する方法を提供する。
【解決手段】加熱要素20は、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材から形成される。加熱要素20の第1の部分20aと第2の部分20bはそれぞれ異なる熱質量を有する。喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるように喫煙材を加熱するための装置も開示される。装置は、このような加熱要素を備える。喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるように喫煙材を加熱するための装置とともに使用するための物品がさらに開示される。物品は、このような加熱要素20を備えている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるように前記喫煙材を加熱するための装置とともに使用するための加熱要素であって、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材から形成され、前記加熱要素の第1の部分と第2の部分がそれぞれ異なる熱質量を有する、加熱要素。
【請求項2】
前記加熱要素の熱質量が前記加熱要素に沿った距離とともに変わる、請求項1に記載の加熱要素。
【請求項3】
前記加熱要素の熱質量が前記加熱要素の長さの少なくとも大部分にわたって変わる、請求項1又は2に記載の加熱要素。
【請求項4】
前記加熱要素の熱質量が前記加熱要素に沿った距離とともに連続的に小さくなる、請求項1~3のいずれか一項に記載の加熱要素。
【請求項5】
前記加熱要素の熱質量が前記加熱要素に沿った距離とともに直線的に小さくなる、請求項1~4のいずれか一項に記載の加熱要素。
【請求項6】
前記加熱要素の前記第1の部分の密度が前記加熱要素の前記第2の部分の密度と異なる結果、前記加熱要素の前記第1の部分と前記第2の部分がそれぞれ異なる熱質量を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の加熱要素。
【請求項7】
前記加熱要素の前記第1の部分の厚さが前記加熱要素の前記第2の部分の厚さと異なる結果、前記加熱要素の前記第1の部分と前記第2の部分がそれぞれ異なる熱質量を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の加熱要素。
【請求項8】
前記加熱要素の前記第1の部分の材料組成が前記加熱要素の前記第2の部分の材料組成と異なる結果、前記加熱要素の前記第1の部分と前記第2の部分がそれぞれ異なる熱質量を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の加熱要素。
【請求項9】
前記加熱要素の前記第1の部分と前記第2の部分が、異なる材料から作られる、請求項1~8のいずれか一項に記載の加熱要素。
【請求項10】
前記加熱要素の前記第1の部分と前記第2の部分は、例えば、溶接、ろう付け、熱硬化性エポキシ、機械的締結などによって接合される異なる材料の部分を備える、請求項8又は9に記載の加熱要素。
【請求項11】
前記加熱要素の前記第1の部分の前記加熱材の材料組成が、前記加熱要素の前記第2の部分の前記加熱材の材料組成と同じである、請求項1~7のいずれか一項に記載の加熱要素。
【請求項12】
前記加熱材が、導電性材料、磁性材料、及び磁性導電性材料からなる群から選択された1つ以上の材料を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の加熱要素。
【請求項13】
前記加熱材が金属又は金属合金を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の加熱要素。
【請求項14】
前記加熱材が、アルミニウム、金、鉄、ニッケル、コバルト、導電性炭素、グラファイト、普通炭素鋼、ステンレス鋼、フェライトステンレス鋼、銅、及び青銅からなる群から選択された1つ以上の材料を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の加熱要素。
【請求項15】
前記加熱材がニッケルを含む、請求項14に記載の加熱要素。
【請求項16】
前記加熱要素は、中空又は孔が空いている、又は、ぎざぎざ、網目又は展伸金属を備える、請求項1~15のいずれか一項に記載の加熱要素。
【請求項17】
前記加熱要素が板を備える、請求項1~16のいずれか一項に記載の加熱要素。
【請求項18】
前記加熱要素は、矩形、円形、楕円形、環状、星形、多角形、方形、三角形、X字形、又はT字形のうち少なくとも1つの断面を有する、請求項1~17のいずれか一項に記載の加熱要素。
【請求項19】
前記加熱要素の前記第1の部分と前記第2の部分は、それぞれ異なる量の非透磁性添加物を含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の加熱要素。
【請求項20】
前記加熱要素は、前記加熱要素に変動磁場が侵入したとき、前記加熱要素の前記第1の部分が第1の速度で加熱され、前記加熱要素の前記第2の部分が第2の速度で加熱されるように構成され、前記第1の速度は前記第2の速度と異なる、請求項1~19のいずれか一項に記載の加熱要素。
【請求項21】
喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるように前記喫煙材を加熱するための装置とともに使用するための物品であって、請求項1~20のいずれか一項に記載の加熱要素を備える、物品。
【請求項22】
前記喫煙材が前記加熱要素と面接触している、請求項21に記載の物品。
【請求項23】
前記喫煙材がタバコ及び/又は1つ以上の保湿剤を含む、請求項22に記載の物品。
【請求項24】
喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるように前記喫煙材を加熱するための装置であって、
変動磁場を発生させるための磁場発生器と、
請求項1~20のいずれか一項に記載の加熱要素と
を備えた装置。
【請求項25】
喫煙材を備えた物品の少なくとも一部分を受け入れるための加熱領域を備え、前記加熱要素が前記加熱領域内に突出している、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
喫煙材を備えた物品の少なくとも一部分を受け入れるための加熱領域を備え、前記加熱要素が前記加熱領域の周りに少なくとも部分的に延在している、請求項24に記載の装置。
【請求項27】
前記磁場発生器により生成された変動磁場が前記加熱要素に侵入することができ、前記加熱要素に変動磁場が侵入したとき、前記加熱要素の前記第1の部分が第1の速度で加熱され、前記加熱要素の前記第2の部分が第2の速度で加熱されるように構成され、前記第1の速度は前記第2の速度と異なる、請求項24~26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
前記磁場発生器がコイルを備え、前記コイルが、平面コイル、例えば2次元の渦巻体を備える、請求項24~27のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるように前記喫煙材を加熱するためのシステムであって、
喫煙材を備えた物品と、
前記物品の少なくとも一部分を受け入れるための加熱領域と、前記物品の前記一部分が前記加熱領域にあるときに、前記喫煙材を加熱するのに使用される変動磁場を発生させるための磁場発生器と、を備えた装置と、
請求項1~20のいずれか一項に記載の加熱要素と
を備えたシステム。
【請求項30】
前記磁場発生器により生成された変動磁場が前記加熱要素に侵入することができ、前記加熱要素に変動磁場が侵入したとき、前記加熱要素の前記第1の部分が第1の速度で加熱され、前記加熱要素の前記第2の部分が第2の速度で加熱されるように構成され、前記第1の速度は前記第2の速度と異なる、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記磁場発生器がコイルを備え、前記コイルが、平面コイル、例えば2次元の渦巻体を備える、請求項29又は30に記載のシステム。
【請求項32】
喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるように前記喫煙材を加熱する方法であって、
請求項1~20のいずれか一項に記載の加熱要素を用意するステップと、
前記加熱要素と熱接触する喫煙材を用意するステップと、
前記加熱材に変動磁場を侵入させるステップであり、前記侵入によって前記加熱要素の漸進的な加熱、以て、前記喫煙材の漸進的な加熱がもたらされる、ステップと
を含む方法。
【請求項33】
前記加熱要素に変動磁場を侵入させることによって、前記加熱要素の前記第1の部分が第1の速度で加熱され、前記加熱要素の前記第2の部分が第2の速度で加熱され、前記第1の速度は前記第2の速度と異なる、請求項32に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるように喫煙材を加熱するための装置、そのような装置とともに使用するための加熱要素、そのような装置とともに使用するための物品、そのような装置及びそのような物品を備えたシステム、並びに、喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるように喫煙材を加熱する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紙巻タバコ、葉巻タバコなどの喫煙品は、使用の間、タバコを燃焼させてタバコ煙を発生させる。燃焼させずに化合物を放出する製品を創出することによってこれらの喫煙品に代わるものを提供する試みがなされている。そのような製品の例としては、いわゆる「非燃焼加熱式(heat not burn)」製品、又はタバコ加熱装置若しくはタバコ加熱製品がある。これらは、材料を燃焼するのではなく加熱することで化合物を放出する。その材料は、例えば、タバコでもよいし、他の非タバコ製品でもよい。非タバコ製品は、ニコチンを含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様は、喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるように喫煙材を加熱するための装置とともに使用するための加熱要素を提供する。この加熱要素は、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材から形成され、加熱要素の第1の部分と第2の部分はそれぞれ異なる熱質量(thermal mass)を有する。
【0004】
例示的な実施形態では、加熱要素の熱質量は加熱要素に沿った距離とともに変わる。
【0005】
例示的な実施形態では、加熱要素の熱質量は加熱要素の長さの少なくとも大部分にわたって変わる。
【0006】
例示的な実施形態では、加熱要素の熱質量は加熱要素に沿った距離とともに連続的に小さくなる。
【0007】
例示的な実施形態では、加熱要素の熱質量は加熱要素に沿った距離とともに直線的に小さくなる。
【0008】
例示的な実施形態では、加熱要素の第1の部分の密度が加熱要素の第2の部分の密度と異なる結果、加熱要素の第1の部分と第2の部分はそれぞれ異なる熱質量を有する。
【0009】
例示的な実施形態では、加熱要素の第1の部分の厚さが加熱要素の第2の部分の厚さと異なる結果、加熱要素の第1の部分と第2の部分はそれぞれ異なる熱質量を有する。
【0010】
例示的な実施形態では、加熱要素の第1の部分の材料組成が加熱要素の第2の部分の材料組成と異なる結果、加熱要素の第1の部分と第2の部分はそれぞれ異なる熱質量を有する。
【0011】
例示的な実施形態では、加熱要素の第1の部分の加熱材の材料組成は、加熱要素の第2の部分の加熱材の材料組成と同じである。
【0012】
例示的な実施形態では、加熱材の材料組成は加熱要素全体で均一である。
【0013】
例示的な実施形態では、加熱要素の第1の部分の密度は、加熱要素の第2の部分の密度と同じである。
【0014】
例示的な実施形態では、加熱要素の密度は加熱要素全体で均一である。
【0015】
例示的な実施形態では、加熱要素の第1の部分の断面は、形状及び寸法の両方において、加熱要素の第2の部分の断面と同じである。
【0016】
例示的な実施形態では、加熱材は、導電性材料、磁性材料、及び磁性導電性材料からなる群から選択された1つ以上の材料を含む。
【0017】
例示的な実施形態では、加熱材は金属又は金属合金を含む。
【0018】
例示的な実施形態では、加熱材は、アルミニウム、金、鉄、ニッケル、コバルト、導電性炭素、グラファイト、普通炭素鋼、ステンレス鋼、フェライトステンレス鋼、銅、及び青銅からなる群から選択された1つ以上の材料を含む。
【0019】
本発明の第2の態様は、喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるように喫煙材を加熱するための装置とともに使用するための物品を提供する。この物品は、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材から形成された加熱要素と、使用時に加熱要素と熱接触する喫煙材と、を備え、加熱要素の第1の部分と第2の部分はそれぞれ異なる熱質量を有する。
【0020】
例示的な実施形態では、喫煙材は加熱要素と面接触している。
【0021】
例示的な実施形態では、喫煙材はタバコ及び/又は1つ以上の保湿剤を含む。
【0022】
例示的な実施形態では、喫煙材は非液体である。
【0023】
例示的な実施形態では、第2の態様の物品の加熱要素は第1の態様の加熱要素である。第2の態様の物品の加熱要素は、第1の態様の加熱要素の例示的な各実施形態に存在するような上記の特徴のうちの任意の1つ以上の特徴を有することができる。
【0024】
本発明の第3の態様は、喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるように喫煙材を加熱するための装置を提供する。この装置は、変動磁場を発生させるための磁場発生器と、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材から形成された加熱要素とを有し、加熱要素の第1の部分と第2の部分はそれぞれ異なる熱質量を有する。
【0025】
例示的な実施形態では、装置は、喫煙材を備えた物品の少なくとも一部分を受け入れるための加熱領域を備え、加熱要素は加熱領域内に突出している。
【0026】
例示的な実施形態では、装置は、喫煙材を備えた物品の少なくとも一部分を受け入れるための加熱領域を備え、加熱要素は加熱領域の周りに少なくとも部分的に延在している。
【0027】
例示的な実施形態では、装置は、喫煙材を燃焼させることなく喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるように喫煙材を加熱するためのものである。
【0028】
例示的な実施形態では、第3の態様の装置の加熱要素は第1の態様の加熱要素である。第3の態様の装置の加熱要素は、第1の態様の加熱要素の例示的な各実施形態に存在するような上記の特徴のうちの任意の1つ以上の特徴を有することができる。
【0029】
本発明の第4の態様は、喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるように喫煙材を加熱するためのシステムを提供する。本システムは、喫煙材を備えた物品と、物品の少なくとも一部分を受け入れるための加熱領域と、物品の一部分が加熱領域にあるときに、喫煙材を加熱するのに使用される変動磁場を発生させるための磁場発生器と、を備えた装置と、物品の一部分が加熱領域にあるときに、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材から形成された加熱要素とを備え、加熱要素の第1の部分と第2の部分はそれぞれ異なる熱質量を有する。
【0030】
例示的な実施形態では、第4の態様のシステムの装置は第3の態様の装置である。第4の態様のシステムの装置は、第3の態様の装置の例示的な各実施形態に存在するような上記の特徴のうちの任意の1つ以上の特徴を有することができる。
【0031】
本発明の第5の態様は、喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるように喫煙材を加熱する方法を提供する。本方法は、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材から形成された加熱要素を用意するステップであり、加熱要素の第1の部分と第2の部分がそれぞれ異なる熱質量を有する、ステップと、加熱要素と熱接触する喫煙材を用意するステップと、加熱材に変動磁場を侵入させるステップであり、その侵入によって加熱要素の漸進的な加熱、以て、喫煙材の漸進的な加熱がもたらされる、ステップとを含む。
【0032】
例示的な実施形態では、加熱要素は第1の態様の加熱要素である。加熱要素は、第1の態様の加熱要素の例示的な各実施形態に存在するような上記の特徴のうちの任意の1つ以上の特徴を有することができる。
【0033】
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態を単なる例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるように喫煙材を加熱するための装置とともに使用するための加熱要素の例の概略断面図である。
図2】喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるように喫煙材を加熱するための装置とともに使用するための別の加熱要素の例の概略断面図である。
図3】喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるように喫煙材を加熱するための装置とともに使用するための物品の例の概略断面図である。
図4】喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるように喫煙材を加熱するための装置とともに使用するための別の物品の例の概略断面図である。
図5】喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるように喫煙材を加熱するための装置の例の概略断面図である。
図6】喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるように喫煙材を加熱するための別の装置の例の概略断面図である。
図7図5の装置、及び喫煙材を備えた物品を備えたシステムの例の概略断面図である。
図8図6の装置、及び喫煙材を備えた物品を備えた別のシステムの例の概略断面図である。
図9】喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるように喫煙材を加熱する方法の例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本書では、用語「喫煙材」は、加熱されると揮発成分を、典型的には蒸気又はエアロゾルの形態で供する材料を含む。「喫煙材」は非タバコ含有材料であってもよいし、タバコ含有材料であってもよい。「喫煙材」は、例えば、タバコ自体、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコ、タバコ抽出物、均質化タバコ、又はタバコ代替品のうちの1つ以上を含んでいてもよい。喫煙材は、挽きタバコ、刻みラグタバコ、押出タバコ、再生タバコ、再生喫煙材、液体、ゲル、ゲル化シート、粉末、又は塊などの形態とすることが可能である。「喫煙材」は、他に非タバコ製品を含んでいてもよい。この非タバコ製品は、製品によってニコチンを含んでもよいし、含まないでもよい。「喫煙材」は、1つ以上の保湿剤、例えばグリセロール又はプロピレングリコールを含んでいてもよい。
【0036】
本書では、用語「加熱材」又は「ヒーター材」は、変動磁場の侵入によって加熱可能な材料を指す。
【0037】
誘導加熱は、導電性物体に変動磁場を侵入させることによってその物体を加熱するプロセスである。このプロセスは、ファラデーの電磁誘導の法則及びオームの法則によって説明される。誘導ヒーターは、電磁石と、この電磁石に交流電流などの変動電流を流すための装置を備えることができる。加熱しようとする物体と電磁石が、電磁石によって生じた変動磁場がこの物体に侵入するような適切な相対位置に配置されると、この物体内に1つ以上の渦電流が発生する。この物体は電流の流れに対する抵抗を有する。したがって、この物体内にこのような渦電流が発生すると、渦電流が物体の電気抵抗に抗して流れ、それによってこの物体が加熱される。このプロセスは、ジュール加熱、オーム加熱、又は抵抗加熱と呼ばれる。誘導加熱することができる物体は、サセプタとして知られている。
【0038】
サセプタが閉回路の形態のときは、使用時におけるサセプタと電磁石との磁気結合が強くなり、その結果、ジュール加熱が増大し、又は改善されることが分かっている。
【0039】
磁気ヒステリシス加熱は、磁性材料からなる物体に変動磁場が侵入することによって物体を加熱するプロセスである。磁性材料は、原子スケールの磁石すなわち磁気双極子を多く含んでいると考えることができる。磁場がこのような材料に侵入すると、磁気双極子は磁場に沿って整列する。したがって、交流磁場(例えば、電磁石によって生じたもの)などの変動磁場が磁性材料に侵入すると、磁気双極子の向きは、印加された変動磁場に応じて変化する。このような磁気双極子の再配向によって、磁性材料内に熱が発生する。
【0040】
物体が導電性及び磁性の両方を有するときは、その物体に変動磁場を侵入させると、物体にジュール加熱及び磁気ヒステリシス加熱の両方を生じさせることができる。さらに、磁性材料を使用すると、磁場を強めることができ、それによりジュール加熱を強めることができる。
【0041】
上記のプロセスの各々において、熱は、外部熱源によって熱伝導により発生するのではなく、物体自体の内部で発生するので、物体内の急速な温度上昇と、より均一な熱分布を達成することができる。これは、特に、物体の材料及び幾何形状を適切に選び、その物体に対して変動磁場の大きさ及び向きを適切に選ぶことによって達成することができる。さらに、誘導加熱及び磁気ヒステリシス加熱では、変動磁場の源と物体との間に物理的な接続部を設ける必要がないので、設計自由度及び加熱プロファイルの制御性を高めるとともに、コストを抑えることができる。
【0042】
図1を参照すると、本発明の実施形態による加熱要素の例の概略透視図が示されている。加熱要素10は、喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるように喫煙材を加熱するための装置とともに使用するためのものである。
【0043】
加熱要素10は、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材から形成される。このような材料の例を下記で説明する。
【0044】
この実施形態の加熱要素10は、長さが加熱要素10の第1の端部から加熱要素10の反対側の第2の端部まで延在する細長いものである。さらに、加熱要素10は、長さに垂直な断面を有し、断面は幅及び奥行きを有する。この実施形態では、長さは幅よりも長く、幅は奥行きよりも広い。
【0045】
この実施形態では、加熱要素10は、その長さに垂直な矩形の断面を有する。加熱要素10の奥行き又は厚さは、加熱要素10の他の寸法に比べて相対的に短い。したがって、加熱要素10の他の寸法に比べて相対的に長い奥行き又は厚さを有する加熱要素10と比べると、所与の変動磁場によって加熱要素10のより大きな割合を加熱可能にすることができる。したがって、材料をより効率的に使用することになる。それはコストを削減する。しかしながら、他の実施形態では、加熱要素10は、円形、楕円形、環状、星形、多角形、方形、三角形、X字形、又はT字形など、矩形以外の形状の断面を有することができる。この実施形態では、加熱要素10の第1の部分10aの断面は、形状及び寸法の両方において、加熱要素10の第2の部分10bの断面と同じである。さらに、この実施形態では、加熱要素10の断面は、形状及び寸法の両方において、加熱要素10の長さに沿って一定である。さらに、この実施形態では、加熱要素10は、平面状、又は実質的に平面状である。この実施形態の加熱要素10は、平坦な帯板と考えることができる。しかしながら、他の実施形態ではその限りではない。例えば、いくつかの実施形態では、加熱要素は、ねじれている、ひだ状である、少なくとも1つの湾曲した大きな面を有する、など平面状でなくともよい。いくつかの実施形態では、加熱要素は、中空又は孔が空いていてもよい。
【0046】
物体の熱質量は、物体の質量(重量)に物体の熱容量(物体が熱エネルギーを蓄える能力)を掛けたものに比例する。物体の異なる部分は、重量又は密度が異なる場合、並びに/或いは熱容量が異なる場合のみ、異なる熱質量を有することができる。
【0047】
加熱要素10の第1の部分10aと第2の部分10bはそれぞれ異なる熱質量を有する。これによって、加熱要素10の第1の部分10aと第2の部分10bは、加熱要素10の第1の部分10aと第2の部分10bに変動磁場が侵入したとき、それぞれ異なる速度で熱くなることができる。すなわち、加熱要素10の第1の部分10aは、変動磁場が侵入したとき、第1の速度で加熱可能であり、加熱要素10の第2の部分10bは、変動磁場が侵入したとき、第2の速度で加熱可能であり、第1の速度は第2の速度と異なる。これは、所与の変動磁場が侵入したとき、加熱要素10は漸進的に加熱可能であり、したがって、加熱要素10はその周囲を漸進的に加熱するように使用可能であることを意味する。
【0048】
この実施形態では、加熱要素10の第1の部分10aの密度と第2の部分10bの密度が異なる結果、加熱要素10の第1の部分10aと第2の部分10bはそれぞれ異なる熱質量を有する。この実施形態では、加熱要素10の第1の部分10aは、加熱要素10の第2の部分10bより大きな密度を有し、したがって、より大きな熱質量を有する。例えば、加熱要素10の第1の部分10aは、第1の材料から作ることができ、加熱要素10の第2の部分10bは、第1の材料とは異なり、第1の材料より小さな密度である第2の材料から作ることができる。これに代えて又はこれに加えて、加熱要素10の第1の部分10aと第2の部分10bは、それぞれ異なるレベル又は量の非透磁性添加物を含んでもよい。したがって、加熱要素10の第2の部分10bは、所与の変動磁場の侵入によって、加熱要素10の第1の部分10aより速く加熱可能である。
【0049】
この実施形態では、加熱要素10の第1の部分10aと第2の部分10bは、加熱要素10の両端にある。しかしながら、他の実施形態では、加熱要素10の第1の部分10aと第2の部分10bのうちの一方は、加熱要素10の第1の部分10aと第2の部分10bのうちの他方の2つの間に配置されてもよい。すなわち、いくつかの実施形態では、加熱要素10は、2つの相対的に密度の小さな部分の間に相対的に密度の大きな部分を有してもよいし、又は、2つの相対的に密度の大きい部分の間に相対的に密度の小さな部分を有してもよい。
【0050】
この実施形態では、加熱要素10の熱質量は、加熱要素10の長さに沿った距離とともに変わる。これは、加熱要素10の密度が、加熱要素10の長さに沿った距離とともに相応して変わる結果である。したがって、使用中、加熱要素10はその長さに沿って漸進的に熱くなる。他の実施形態では、加熱要素の熱質量は、加熱要素の長さ以外の経路に沿った距離とともに変わってもよい。例えば、熱質量は、加熱要素の幅又は厚さの方向の距離とともに変わってもよい。
【0051】
図1の加熱要素10の熱質量は加熱要素10の全長にわたって変わり、それは、加熱要素10の密度が加熱要素10の全長にわたって相応して変わる結果である。他の実施形態では、熱質量は、加熱要素の長さの大部分だけにわたって変わってもよいし、又は、加熱要素の長さの一部分だけにわたって変わってもよい。この場合も、これは、加熱要素の長さに沿う加熱要素の密度の変化を適切に選択することによることができる。当業者であれば、容易に、熱質量を変えたい距離を決定して、使用時に所望の漸進的な加熱プロファイルを与えることができる。また、加熱要素の長さに沿う加熱要素の密度の変わり方に対する適切なプロファイルを選択して、その所望の漸進的な加熱プロファイルを与えることもできる。
【0052】
この実施形態では、熱質量は、加熱要素10の第1の部分10aから加熱要素10の第2の部分10bまで加熱要素10の長さに沿った距離とともに連続的に小さくなる。より詳細には、この実施形態では、熱質量は、長さに沿った距離とともに直線的に、又は実質的に直線的に小さくなる。これは、加熱要素10の密度が、加熱要素10の長さに沿った距離とともに直線的に、又は実質的に直線的に小さくなることによる。したがって、使用時、加熱要素10は、その長さに沿って一定の速度、又は実質的に一定の速度で漸進的に加熱可能である。しかしながら、他の実施形態では、熱質量は、加熱要素10の第1の部分10aから加熱要素10の第2の部分10bまで加熱要素10の長さに沿った距離とともに連続的ではないように変わることができる。例えば、その変化は階段状であってもよいし、又は、少なくとも1つの部分は連続的で、少なくとも1つの他の部分は階段状であってもよい。当業者であれば、容易に、熱質量を変えたい態様を決定して、使用時に所望の漸進的な加熱プロファイルを与えることができる。また、加熱要素の長さに沿う加熱要素の密度の変わり方に対する適切なプロファイルを選択して、所望の漸進的な加熱プロファイルを与えることもできる。
【0053】
図1の加熱要素10は、喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるように喫煙材を加熱するための装置に組み込むことができる、又は、喫煙材を備えた物品に組み込むことができ、このような装置とともに使用するためのものである。このような物品の例は、図3を参照して下記で説明する。
【0054】
図2を参照すると、本発明の実施形態による別の加熱要素の例の概略断面図が示されている。加熱要素20は、喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるように喫煙材を加熱するための装置とともに使用するためのものである。
【0055】
加熱要素20は、この場合もまた、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材から形成され、また同じく、それぞれ異なる熱質量を有する第1の部分20aと第2の部分20bを有する。しかしながら、この実施形態では、加熱要素20の第1の部分20aの加熱材の材料組成は、加熱材の密度を含めて、加熱要素20の第2の部分20bの加熱材の材料組成と同じである。実際、この実施形態では、加熱材の密度を含めて、加熱材の材料組成は加熱要素20全体で均一である。加熱要素20の第1の部分20aの厚さが加熱要素20の第2の部分20bの厚さと異なる結果、加熱要素20の第1の部分20aと第2の部分20bはそれぞれ異なる熱質量を有する。
【0056】
より詳細には、この実施形態の加熱要素20は、長さが加熱要素20の第1の端部から加熱要素20の反対側の第2の端部まで延在する細長いものである。加熱要素20は、長さに垂直な断面を有し、断面は幅及び奥行きを有する。奥行きは加熱要素20の厚さである。この実施形態では、長さは幅よりも長く、幅は奥行きよりも広い。さらに、この実施形態では、幅は加熱要素20の長さに沿って一定であるが、奥行きは、長さに沿ったそれぞれ異なる位置で異なる。
【0057】
この実施形態では、加熱要素10は、その長さに垂直な矩形の断面を有する。しかしながら、他の実施形態では、加熱要素10は、図1の実施形態を参照して上記で説明した代替の形状のうちの1つなど、矩形以外の形状の断面を有することができる。
【0058】
この実施形態の加熱要素20は、平面状、又は実質的に平面状の大きな面を有する。しかしながら、他の実施形態ではその限りではない。例えば、いくつかの実施形態では、加熱要素は、ねじれている、ひだ状である、少なくとも1つの湾曲した大きな面を有してもよい。いくつかの実施形態では、加熱要素は、中空又は孔が空いていてもよい。
【0059】
この実施形態では、加熱要素20の第1の部分20aと第2の部分20bは、加熱要素20の両端にある。しかしながら、他の実施形態では、加熱要素20の第1の部分20aと第2の部分20bのうちの一方は、加熱要素20の第1の部分20aと第2の部分20bのうちの他方の2つの間に配置されてもよい。すなわち、いくつかの実施形態では、加熱要素20は、2つの相対的に薄い部分の間に相対的に厚い部分を有してもよいし、又は、2つの相対的に厚い部分の間に相対的に薄い部分を有してもよい。
【0060】
この実施形態では、加熱要素20の第1の部分20aは、加熱要素20の第2の部分20bより厚さが厚く、したがって、より大きな熱質量を有する。したがって、加熱要素20の第2の部分20bは、所与の変動磁場の侵入によって、加熱要素20の第1の部分20aより速く加熱可能である。
【0061】
この実施形態では、加熱要素20の熱質量は、加熱要素20の長さに沿った距離とともに変わる。これは、加熱要素20の厚さが、加熱要素20の長さに沿った距離とともに相応して変わる結果である。したがって、使用中、加熱要素20はその長さに沿って漸進的に熱くなる。他の実施形態では、加熱要素の熱質量は、加熱要素の長さ以外の経路に沿った距離とともに変わってもよい。例えば、熱質量は、加熱要素の幅の方向の距離とともに変わってもよい。
【0062】
図2の加熱要素20の熱質量は、加熱要素20の全長にわたって変わり、それは、加熱要素20の厚さが加熱要素20の全長にわたって相応して変わる結果である。他の実施形態では、熱質量は、加熱要素の長さの大部分だけにわたって変わってもよいし、又は、加熱要素の長さの一部分だけにわたって変わってもよい。この場合も、これは、加熱要素の長さに沿う加熱要素の厚さの変化を適切に選択することによることができる。当業者であれば、容易に、熱質量を変えたい距離を決定して、使用時に所望の漸進的な加熱プロファイルを与えることができる。また、加熱要素の長さに沿う加熱要素の厚さの変わり方に対する適切なプロファイルを選択して、その所望の漸進的な加熱プロファイルを与えることもできる。
【0063】
この実施形態では、熱質量は、加熱要素20の第1の部分20aから加熱要素20の第2の部分20bまで加熱要素20の長さに沿った距離とともに連続的に小さくなる。より詳細には、この実施形態では、熱質量は、長さに沿った距離とともに直線的に、又は実質的に直線的に小さくなる。これは、加熱要素20の厚さが、加熱要素20の長さに沿った距離とともに直線的に、又は実質的に直線的に薄くなることによる。言い換えれば、加熱要素20は直線的に先細となっている。したがって、使用時、加熱要素20は、その長さに沿って一定の速度、又は実質的に一定の速度で漸進的に加熱可能である。しかしながら、他の実施形態では、熱質量は、加熱要素20の第1の部分20aから加熱要素20の第2の部分20bまで加熱要素20の長さに沿った距離とともに連続的ではないように変わることができる。例えば、その変化は階段状であってもよいし、又は、加熱要素20の少なくとも1つの部分は連続的で、加熱要素20の少なくとも1つの他の部分は階段状であってもよい。当業者であれば、容易に、熱質量を変えたい態様を決定して、使用時に所望の漸進的な加熱プロファイルを与えることができる。また、加熱要素の長さに沿う加熱要素の厚さの変わり方に対する適切なプロファイルを選択して、所望の漸進的な加熱プロファイルを与えることもできる。
【0064】
図2の加熱要素20は、喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるように喫煙材を加熱するための装置に組み込むことができる、又は、喫煙材を備えた物品に組み込むことができ、このような装置とともに使用するためのものである。このような物品の例は、図4を参照して下記で説明し、このような装置の例は、図5を参照して下記で説明する。
【0065】
先細、又は部分的にのみ先細の加熱要素は、必ずしも、その長さに沿って変わる熱質量を有する必要はないことに留意されたい。例えば、このような加熱要素の密度又は材料組成はまた、先細にしたことを相殺するように変えることもでき、その結果、熱質量は加熱要素の長さに沿って一定となる。しかしながら、本発明のいくつかの実施形態では、加熱要素は先細で、加熱要素の材料組成は、加熱材の密度を含めて、加熱要素全体で均一であり、その結果、加熱要素の第1の部分と第2の部分はそれぞれ異なる熱質量を有する。
【0066】
別の実施形態では、加熱要素の第1の部分の材料組成が加熱要素の第2の部分の材料組成と異なる結果、加熱要素の第1の部分と第2の部分はそれぞれ異なる熱質量を有する。例えば、加熱要素の第1の部分と第2の部分は、異なる材料から作ることができる。例えば、加熱要素の第1の部分と第2の部分の一方は軟鉄から作ることができ、他方はステンレス鋼から作ることができる。接合することができる他の材料としては、鋼、アルミニウム、及び鉄が含まれる。加熱要素の第1の部分と第2の部分は、例えば、溶接、ろう付け、熱硬化性エポキシ、機械的締結などによって接合することができる。いくつかの実施形態では、加熱要素の第1の部分と第2の部分の密度は、泡を変化させた材料又は網目を変化させた材料を利用することによって異なるようにすることができる。
【0067】
図3及び4を参照すると、本発明のそれぞれの実施形態による物品の例のそれぞれの概略断面図が示されている。物品1、2の各々は、喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるように喫煙材を加熱するための装置とともに使用するためのものである。
【0068】
図3の物品1は、図1の加熱要素10と、加熱要素10と熱接触している喫煙材60と、喫煙材60の周りのカバー70とを備える。図4の物品2は、図2の加熱要素20と、加熱要素20と熱接触している喫煙材60と、喫煙材60の周りのカバー70とを備える。図1の加熱要素10に対して本書で説明した可能な変形のいずれも、図3の物品1の加熱要素10に対してなされて個別の物品の各実施形態を形成することができる。同様に、図2の加熱要素20に対して本書で説明した可能な変形のいずれも、図4の物品2の加熱要素20に対してなされて個別の物品の各実施形態を形成することができる。
【0069】
物品1、2の各々において、カバー70は喫煙材60を取り囲む。カバー70は、物品1、2の輸送中及び使用中に喫煙材60が損傷しないように保護する助けとなる。使用中、カバー70はまた、空気の流れが喫煙材60に入ってそれを通るように導く助けとなり得、蒸気又はエアロゾルの流れが喫煙材60を通ってそれを出るように導く助けとなり得る。
【0070】
これらの実施形態の各々において、カバー70はラッパー72を備え、ラッパー72は、その自由端が互いに重なるように喫煙材60の周りに巻かれる。したがって、ラッパー72は、物品1、2の周方向の外面のすべて又は大部分を形成する。ラッパー72は、紙、再生タバコなどの再生喫煙材などから形成することができる。これらの実施形態の各々のカバー70はまた、ラッパー72の重ねられた自由端を互いにくっつける接着剤(図示せず)を備える。接着剤は、例えば、アラビアゴム、天然樹脂又は合成樹脂、でんぷん、及びニスのうちの1つ以上を含むことができる。接着剤は、ラッパー72の重ねられた自由端が離れるのを防ぐ助けとなる。他の実施形態では、接着剤を省略してもよい。
【0071】
これらの実施形態の各々のカバー70は、物品1、2の外面を画定し、使用時、装置と接触することができる。これらの実施形態の各々において、物品1、2は、実質的に円形の断面を有する細長い円筒状であり、紙巻タバコに近い大きさを有する。しかしながら、他の実施形態では、物品1、2は、円形以外の断面を有してもよく、及び/又は細長くなくてもよく、及び/又は円筒状でなくてもよい。
【0072】
図3及び4の実施形態では、喫煙材60は管の形状をしている。この管は実質的に円形断面を有している。喫煙材60は、物品1、2の一端から物品1、2の反対側の端部まで延在する。したがって、使用時、空気は、物品1、2の一端で喫煙材60内に引き込むことができ、その空気は、喫煙材60を通過して、喫煙材60から放出された揮発成分を受け取ることができ、次いで、典型的には蒸気又はエアロゾルの形態の揮発成分は、物品1、2の反対側の端部で喫煙材60から引き出すことができる。物品1、2が細長いこれらの実施形態の各々において、喫煙材60がその間を延在する物品1、2のこれらの端部は、物品1、2の長手方向の両端である。しかしながら、他の実施形態では、これらの端部は、物品の任意の2つの反対側にある端部又は側など、物品の任意の2つの端部又は側であってもよい。
【0073】
上記のように、図3及び4の物品1、2の各々において、加熱要素10、20は喫煙材60と熱接触している。したがって、加熱材は、使用時、喫煙材60を加熱するために加熱可能である。より詳細には、これらの実施形態の各々において、喫煙材60は、加熱要素10、20と面接触している。これは、喫煙材60を加熱要素10、20に接着することによって達成される。しかしながら、他の実施形態では、この固定は接着以外によるものでもよい。いくつかの実施形態では、喫煙材60は、このように加熱要素10、20に固定されなくてもよい。
【0074】
図3及び4の実施形態の各々において、加熱要素10、20は、喫煙材60の一端から喫煙材60の反対側の端部まで延在する。これは、使用時、喫煙材60をより完全に加熱する助けとなり得る。しかしながら、他の実施形態では、加熱要素10、20は、喫煙材60の両端のいずれにも延在しなくてもよく、又は、喫煙材60の端部の一方までのみ延在し、喫煙材60の端部の他方からは離間してもよい。
【0075】
さらに、図3及び4の実施形態の各々において、加熱要素10、20は、物品1、2の一端から物品1、2の反対側の端部まで延在する。これは、物品1、2の製造の助けになり得る。しかしながら、他の実施形態では、加熱要素10、20は、物品1、2の両端のいずれにも延在しなくてもよく、又は、物品1、2の端部の一方までのみ延在し、物品1、2の端部の他方からは離間してもよい。
【0076】
図3及び4の実施形態の各々の加熱要素10、20は、物品1、2の長手方向軸と実質的に揃えられた長手方向軸に沿って延在する。これは、物品1、2の製造の助けになり得る。これらの実施形態では、揃えられた軸は一致する。この実施形態の変形では、揃えられた軸は互いに平行であってもよい。しかしながら、他の実施形態では、軸は互いに傾けてもよい。
【0077】
これらの実施形態の各々において、加熱要素10、20は喫煙材60によって取り囲まれる。すなわち、喫煙材60は加熱要素10、20の周りに延在する。加熱要素10、20が喫煙材60の両端のいずれにも延在しない実施形態では、喫煙材60は、加熱要素10、20の周りに延在し、加熱要素10、20の端部を覆うこともでき、その結果、加熱要素10、20は喫煙材60によって取り囲まれる。
【0078】
図示の実施形態の各々において、加熱要素10、20は空気又は揮発材に対して透過性がなく、実質的に切れ目がない。したがって、加熱要素10、20は比較的容易に製造することができる。しかしながら、これらの実施形態の変形では、加熱要素10、20は、空気に対して透過性があってもよく、及び/又は、喫煙材60が加熱されたときに生成される揮発材に対して透過性があってもよい。加熱要素10、20にこのような透過性があると、空気が物品1、2を通過して、喫煙材60が加熱されたときに生成される揮発材を受け取る助けとなり得る。
【0079】
上記のように、いくつかの実施形態では、加熱要素10、20は平面状でなくともよい。例えば、加熱要素10、20は、波状の経路又は波打った経路を辿ってもよく、ねじれていてもよく、ひだ状、螺旋状、渦巻状であってもよく、上に突起を有する、及び/又は中にぎざぎざを有する板又は片又はリボンを備えてもよく、網目を備えてもよく、展伸金属を備えてもよく、又は不均一で平面状でない形状を有してもよい。このような平面状でない形状は、空気が物品1、2を通過して、喫煙材60が加熱されたときに生成される揮発材を受け取る助けとなり得る。平面状でない形状によって、空気は曲がりくねった経路を辿り、空気に乱流が生じ、加熱要素10、20から喫煙材60への熱伝達がより良くなり得る。平面でない形状によって、また、加熱要素10、20の単位長さ当たりの加熱要素10、20の表面積を大きくすることもできる。これは、加熱要素10、20のジュール加熱を増大させる、又は改善することができ、したがって、喫煙材60の加熱を増大させる、又は改善することができる。
【0080】
図5を参照すると、本発明の実施形態による装置の例の概略透視図が示されている。装置100は、喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるように喫煙材を加熱するためのものである。装置100は、使用時に変動磁場を発生させるための磁場発生器112と、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材から形成された加熱要素20とを備える。加熱要素20の第1の部分20aと第2の部分20bはそれぞれ異なる熱質量を有する。
【0081】
より詳細には、この実施形態の装置100は、本体110と吸い口120とを備える。吸い口120は、プラスチック材、厚紙、酢酸セルロース、紙、金属、ガラス、セラミック、又はゴムなどの任意の適切な材料で作ることができる。吸い口120は、それを貫通する通路122を画定する。吸い口120は、加熱領域111内への開口を覆うように本体110に対して配置可能である。吸い口120を本体110に対してこのように配置すると、吸い口120の通路122は、加熱領域111と流体連通する。使用時、通路122は、揮発材が加熱領域111に挿入された物品の喫煙材から装置100の外部に流れることを可能にする通路として働く。この実施形態では、装置100の吸い口120は、本体110に吸い口120を接続するように、本体110と取外し可能に係合可能である。他の実施形態では、吸い口120は、蝶番又は可撓性部材などによって、本体110と永続的に接続することができる。物品自体が吸い口を備える実施形態などのいくつかの実施形態では、装置100の吸い口120を省略することができる。
【0082】
装置100は、加熱領域111を装置100の外部と流体接続する空気入口を画定することができる。このような空気入口は、装置100の本体110及び/又は装置100の吸い口120によって画定することができる。使用者は、吸い口120の通路122を通して(1つ以上の)揮発成分を引き込むことによって喫煙材の(1つ以上の)揮発成分を吸入することができる。(1つ以上の)揮発成分が物品から出ると、空気は、装置100の空気入口を経て加熱領域111内に引き込むことができる。
【0083】
この実施形態では、本体110は加熱領域111を備える。この実施形態では、加熱領域111は、物品の少なくとも一部分を受け入れるための凹部111を備える。他の実施形態では、加熱領域111は、凹部以外、例えば、棚、面、又は突起であってもよく、また、物品と協働するため又はそれを受け入れるために物品との機械的な嵌合を必要としてもよい。この実施形態では、加熱領域111は細長く、物品全体を受け入れるような大きさと形状である。他の実施形態では、加熱領域111は物品の一部分だけ受け入れるような大きさであってもよい。
【0084】
この実施形態では、磁場発生器112は、電源113と、コイル114と、コイル114に交流電流などの変動電流を流すためのデバイス116と、制御器117と、制御器117を使用者が操作するためのユーザインターフェース118とを備える。
【0085】
この実施形態の電源113は充電式電池である。他の実施形態では、電源113は、例えば、非充電式電池、キャパシタ、電池-キャパシタハイブリッド、又は商用電源への接続部など、充電式電池以外とすることができる。
【0086】
コイル114は任意の適切な形態を採ることができる。この実施形態では、コイル114は、銅などの導電性材料の螺旋コイルである。いくつかの実施形態では、磁場発生器112は、コイル114が巻かれた透磁性コアを備えることができる。このような透磁性コアは、使用時、コイル114によって生成される磁束を集中させ、磁場をより強力にする。透磁性コアは、例えば鉄で作ることができる。いくつかの実施形態では、透磁性コアは、コイル114の長さに沿って部分的にだけ延在して、特定の領域のみに磁束を集中させることができる。いくつかの実施形態では、コイルは平面コイルでもよい。すなわち、コイルは2次元の渦巻体であってもよい。
【0087】
図5を考慮すると、この実施形態では、加熱要素20が加熱領域111内に突出していることが理解されよう。加熱要素20は、加熱要素20が本体110の残りの部分に取り付けられる第1の端部から自由な第2の端部までの長さを有する。自由端は、物品が加熱領域111内に挿入されると物品に入るように加熱領域111に対して配置される。加熱要素20の先細形状は、このように入ることを容易にする。
【0088】
物品が加熱領域111に配置されると、加熱要素20は物品の喫煙材と熱接触する。物品が加熱領域111に配置されると、加熱要素20が物品の喫煙材と面接触することが好ましい。したがって、加熱要素20から喫煙材に熱を直接伝えることができる。他の実施形態では、加熱要素20は喫煙材と面接触しないようにしてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、物品及び/又は装置100は、加熱材がなく使用時に加熱要素20を物品の喫煙材から離間する熱伝導遮蔽物を備えることができる。いくつかの実施形態では、熱伝導遮蔽物は、加熱要素20のコーティングとすることができる。このような遮蔽物を設けると、熱を分散して加熱要素20の過熱点を緩和する助けとなる、又は加熱要素20を清掃する助けとなるのに有利となり得る。
【0089】
装置10の加熱要素20は図2の加熱要素20と同じである。図5の加熱要素20の第1の部分20aと第2の部分20bは、図2の加熱要素20の第1の部分20aと第2の部分20bにそれぞれ相当する。したがって、簡潔にするために、2つの加熱要素20に共通の特徴を再び詳細には説明しない。図2の加熱要素20に対して本書で説明した可能な変形のいずれも、図5の装置100の加熱要素20に対してなされて個別の装置の各実施形態を形成することができる。
【0090】
この実施形態では、コイル114は加熱要素20及び加熱領域111を取り囲む。コイル114は、加熱領域111の長手方向軸と実質的に揃えられた長手方向軸に沿って延在する。揃えられた軸は一致する。この実施形態の変形では、揃えられた軸は互いに平行であってもよい。しかしながら、他の実施形態では、軸は互いに傾けてもよい。さらに、コイル114は、加熱要素20の長手方向軸と実質的に一致する長手方向軸に沿って延在する。他の実施形態では、コイル114及び加熱要素20の長手方向軸は、互いに平行にすることによって互いに揃えることができる、又は、互いに傾けることができる。
【0091】
この実施形態では、コイル114に変動電流を流すためのデバイス116は、電源113とコイル114との間に電気的に接続される。この実施形態では、制御器117もまた、電源113に電気的に接続され、デバイス116に通信可能に接続されてデバイス116を制御する。より詳細には、この実施形態では、制御器117はデバイス116を制御して、電源113からコイル114への電力の供給を制御するためのものである。この実施形態では、制御器117は、プリント回路基板(PCB:printed circuit board)上の集積回路(IC:integrated circuit)などのICを備える。他の実施形態では、制御器117は異なる形態を採ることができる。いくつかの実施形態では、本装置は、デバイス116及び制御器117を備える単一の電気又は電子構成部品を有することができる。この実施形態では、制御器117は、ユーザインターフェース118を使用者が操作することによって動作する。この実施形態では、ユーザインターフェース118は、本体110の外側に配置される。ユーザインターフェース118は、押しボタン、トグルスイッチ、ダイヤル、タッチスクリーンなどを備えることができる。他の実施形態では、ユーザインターフェース118は遠隔にあって、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))などによって装置の残りの部分に無線で接続することができる。
【0092】
この実施形態では、使用者がユーザインターフェース118を操作すると、制御器117は、デバイス116がコイル114に交流電流を流すようにさせる。これによって、コイル114に交流磁場が発生する。装置100のコイル114及び加熱要素20は、コイル114によって生成された変動磁場が加熱要素20の加熱材に侵入するように適切な相対位置に配置される。この実施形態では、加熱要素20の加熱材は導電性材料であり、したがって、この侵入は、加熱材に1つ以上の渦電流を生じさせる。渦電流が加熱材の電気抵抗に抗して加熱材内を流れると、加熱材はジュール加熱によって加熱される。加熱材が磁性材料で作られているとき、加熱材内の磁気双極子の向きは印加された磁場の変化に応じて変化し、それによって、加熱材内に熱が生成される。
【0093】
加熱要素20の第2の部分20bは、加熱要素20の第1の部分20aよりも熱質量が小さいので、加熱要素20に変動磁場が侵入すると、加熱要素20の第2の部分20bは、加熱要素20の第1の部分20aよりも速く熱くなる。したがって、(下記で説明する図7に示すように)使用時に喫煙材を備えた物品が加熱領域111に配置されると、加熱要素20の第2の部分20bに最も近い物品の第1の部分が、加熱要素20の第2の部分20bから発する熱によって、まず加熱される。これは、物品の第1の部分の喫煙材の少なくとも1つの成分の揮発及びその中のエアロゾルの形成を開始させる。時間が経つと、加熱要素20の第1の部分20aの温度が上昇する。これによって、加熱要素20の第1の部分20aに最も近い物品の第2の部分が、加熱要素20の第1の部分20aから発する熱によって加熱される。これは、物品の第2の部分の喫煙材の少なくとも1つの成分の揮発及びその中のエアロゾルの形成を開始させる。
【0094】
したがって、時間とともに、物品の漸進的な加熱、したがって、物品の喫煙材の漸進的な加熱がもたらされる。これは、使用者が吸入するために、エアロゾルを比較的素早く形成して放出することを可能にする助けとなることができ、さらに、経時的な放出をさらに可能にし、その結果、物品の第1の部分の喫煙材がエアロゾルの生成を終えた後でさえ、エアロゾルを形成して放出し続ける。物品の第1の部分の喫煙材が喫煙材の揮発可能な成分を使い尽くした結果、このようにエアロゾルの生成が終わることができる。
【0095】
この実施形態では、加熱要素20の第2の部分20bが、加熱要素20の第1の部分20aよりも吸い口120の通路122に近いことに気づくであろう。したがって、使用時、加熱されて喫煙材の(1つ以上の)成分を揮発する物品の第1の部分もまた、物品の第2の部分よりも吸い口120の通路122に近い。しかしながら、他の実施形態では、その代わりに、加熱要素20の第2の部分20bが加熱要素20の第1の部分20aよりも吸い口120の通路122から離れるように、加熱要素20を通路122に対して配置してもよい。
【0096】
この実施形態では、磁場発生器112のコイル114のインピーダンスは、加熱要素20のインピーダンスと等しい、又は実質的に等しい。もしも、その代わりに、加熱要素20のインピーダンスがコイル114のインピーダンスよりも低い場合、使用時の加熱要素20の両端間に発生する電圧は、インピーダンスを一致させたときに加熱要素20の両端間に生成することができる電圧よりも低くなる可能性がある。或いは、その代わりに、加熱要素20のインピーダンスがコイル114のインピーダンスよりも高い場合、使用時の加熱要素20に発生する電流は、インピーダンスを一致させたときに加熱要素20に生成することができる電流よりも低くなる可能性がある。インピーダンスを一致させると、使用時、加熱要素20に発生する加熱電力を最大にするために電圧と電流とのバランスをとる助けとなり得る。いくつかの実施形態では、デバイス116のインピーダンスは、コイル114と加熱要素20の組み合わさったインピーダンスと等しくすることができる、又は実質的に等しくすることができる。
【0097】
この実施形態の装置100は、加熱領域111の温度を検知するための温度センサ119を備える。温度センサ119は、制御器117に通信可能に接続され、その結果、制御器117は加熱領域111の温度を監視することができる。制御器117は、加熱領域111の温度を所定の温度範囲内に確実に維持するために、温度センサ119から受信された1つ以上の信号に基づいて、必要に応じてコイル114に流す変動電流又は交流電流の特性をデバイス116に調節させることができる。この特性は、例えば、振幅又は周波数又は負荷サイクルとすることができる。使用時、加熱領域111内に配置された物品内の喫煙材は、所定の温度範囲で、喫煙材を燃焼させることなく喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるのに十分な加熱がなされる。したがって、制御器117、及び装置100は全体として、喫煙材を燃焼させることなく喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるように喫煙材を加熱するように構成される。いくつかの実施形態では、温度範囲は、約50℃~約300℃、例えば、約50℃と約250℃との間、約50℃と約150℃との間、約50℃と約120℃との間、約50℃と約100℃との間、約50℃と約80℃との間、又は約60℃と約70℃との間である。いくつかの実施形態では、温度範囲は約170℃と約220℃との間である。他の実施形態では、温度範囲は、この範囲以外であってもよい。いくつかの実施形態では、温度範囲の上限は300℃よりも高くすることができる。いくつかの実施形態では、温度センサ119を省略することができる。いくつかの実施形態では、加熱材は、加熱材を加熱しようとする最高温度に基づいて選択されたキュリー点温度を有することができ、その結果、加熱材を誘導加熱することによってその温度より高くさらに加熱することを妨げる又は防ぐ。
【0098】
図6を参照すると、本発明の実施形態による別の装置の例の概略断面図が示されている。図6の装置200は、装置の加熱要素、加熱領域、及びコイルの形態を除けば、図5の装置100と同一である。したがって、簡潔にするために、2つの実施形態に共通の特徴を再び詳細には説明しない。図5の装置100に対して本書で説明した可能な変形のいずれも、図6の装置200に対してなされて個別の装置の各実施形態を形成することができる。
【0099】
上記のように、図5の装置100では、加熱要素20は加熱領域111内に突出している。対照的に、図6の装置200は、加熱領域111の周りに延在する加熱材の加熱要素40を備える。したがって、図5の実施形態では、加熱領域111及び使用時にその中にある任意の物品は、内側から外向きに加熱されるが、図6の実施形態では、加熱領域111及び使用時にその中にある任意の物品は外側から内向きに加熱される。
【0100】
加熱要素40は、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材から作られる。加熱要素40は、加熱領域111を取り囲む管状の加熱要素40である。しかしながら、他の実施形態では、加熱要素40は完全な管状でなくてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、加熱要素40は、加熱要素40に形成された軸方向に延在する隙間又は切れ目以外を管状としてもよい。加熱要素40は実質的に円形断面を有している。しかしながら、他の実施形態では、加熱要素は、方形、矩形、多角形、又は楕円形などの円形以外の断面を有してもよい。加熱要素40は、加熱領域111の長手方向軸と実質的に揃えられた長手方向軸に沿って延在する。この実施形態では、揃えられた軸は一致する。この実施形態の変形では、揃えられた軸は互いに平行であってもよい。しかしながら、他の実施形態では、軸は互いに傾けてもよい。
【0101】
この実施形態では、加熱領域111は、加熱要素40によって少なくとも部分的に画定されている。すなわち、加熱要素40は、加熱領域111の輪郭又は範囲を少なくとも部分的に定めている。加熱領域111の長手方向軸に垂直な加熱領域111の断面は、この実施形態では、加熱領域111の長さに沿って一定である。しかしながら、他の実施形態では、断面は、加熱領域111の長さに沿った距離とともに変わってもよい。この実施形態では、加熱領域111の断面は円形であるが、他の実施形態では、加熱領域111の断面は、方形、矩形、多角形、又は楕円形などの円形以外でもよい。
【0102】
喫煙材を含む物品が加熱領域111に配置されると、加熱要素40は物品と熱接触する。喫煙材を含む物品が加熱領域111に配置されると、加熱要素40が物品と面接触することが好ましい。したがって、加熱要素40から物品に熱を直接伝えることができる。他の実施形態では、加熱要素は物品と直接面接触しないようにしてもよい。これを達成することができる方法の例、及びそうすることによって得ることができる利点は上記の通りである。
【0103】
図5の実施形態の加熱要素20と同様に、図6の実施形態の加熱要素40は、第1の部分40aと第2の部分40bを有し、加熱要素40の第1の部分40aと第2の部分40bは、それぞれ異なる熱質量を有する。この実施形態では、加熱要素40の第1の部分40aの加熱材の材料組成は、加熱材の密度を含めて、加熱要素40の第2の部分40bの加熱材の材料組成と同じである。さらに、この実施形態では、加熱材の密度を含めて、加熱材の材料組成は加熱要素40全体で均一である。加熱要素40の第1の部分40aの厚さが加熱要素40の第2の部分40bの厚さと異なる結果、加熱要素40の第1の部分40aと第2の部分40bはそれぞれ異なる熱質量を有する。
【0104】
より詳細には、図6を考慮すると認識されるように、加熱要素40の第1の部分40aは、加熱要素40の第2の部分40bより厚さが厚く、したがって、より大きな熱質量を有する。したがって、加熱要素40の第2の部分40bは、所与の変動磁場の侵入によって、加熱要素40の第1の部分40aより速く加熱可能である。したがって、発生器112によって生成された変動磁場が加熱要素40に侵入している間、上記と同様な漸進的な加熱効果を与えることができる。すなわち、使用時、(図8に示し、下記で説明するように)物品が加熱領域111に配置されると、加熱要素40の第2の部分40bは急速に加熱されて物品の第1の部分を加熱し、加熱要素40の第1の部分40aはよりゆっくりと加熱されて物品の第2の部分を加熱する。上記でも気づくように、これは、使用者が吸入するために、エアロゾルを比較的素早く形成して放出することを可能にする助けとなることができ、経時的な放出をさらに可能にし、その結果、物品の第1の部分の喫煙材がエアロゾルの生成を終えた後でさえ、エアロゾルを形成して放出し続ける。
【0105】
この実施形態では、加熱要素40の第1の部分40aと第2の部分40bは、加熱要素40の両端にある。しかしながら、他の実施形態では、加熱要素40の第1の部分40aと第2の部分40bのうちの一方は、加熱要素40の第1の部分40aと第2の部分40bのうちの他方の2つの間に配置されてもよい。すなわち、いくつかの実施形態では、加熱要素40は、2つの相対的に薄い部分の間に相対的に厚い部分を有してもよいし、又は、2つの相対的に厚い部分の間に相対的に薄い部分を有してもよい。
【0106】
前述の実施形態と同様に、加熱要素40の第2の部分40bは、加熱要素40の第1の部分40aよりも吸い口120の通路122に近い。しかしながら、他の実施形態では、その代わりに、加熱要素40の通路122に対する配置がその逆になるようにしてもよい。
【0107】
図6の加熱要素40の熱質量は、加熱要素40の全長にわたって変わり、それは、加熱要素40の厚さが加熱要素40の全長にわたって相応して変わる結果である。他の実施形態では、熱質量は、加熱要素の長さの大部分だけにわたって変わってもよいし、又は、加熱要素の長さの一部分だけにわたって変わってもよい。この場合も、これは、加熱要素40の長さに沿う加熱要素40の厚さの変化を適切に選択することによることができる。さらに、この実施形態では、熱質量は、加熱要素40の第1の部分40aから加熱要素40の第2の部分40bまで加熱要素40の長さに沿った距離とともに連続的に小さくなる。より詳細には、この実施形態では、熱質量は、長さに沿った距離とともに直線的に、又は実質的に直線的に小さくなる。これは、加熱要素40の厚さが、加熱要素40の長さに沿った距離とともに直線的に、又は実質的に直線的に薄くなることによる。したがって、使用時、加熱要素40は、その長さに沿って一定の速度、又は実質的に一定の速度で漸進的に加熱可能である。しかしながら、他の実施形態では、熱質量は、第1の部分40aから第2の部分40bまで加熱要素40の長さに沿った距離とともに連続的ではないように変わることができる。例えば、その変化は階段状であってもよいし、又は、加熱要素40の少なくとも1つの部分は連続的で、加熱要素40の少なくとも1つの他の部分は階段状であってもよい。
【0108】
この実施形態では、上記のように、加熱領域111の長手方向軸に垂直な加熱領域111の断面は、加熱領域111の長さに沿って一定である。さらに、上記でも気づくように、加熱要素40の厚さ又は直径は、加熱要素40の長さに沿った距離とともに直線的に変わる。したがって、加熱要素40は、円錐又は円錐台である。この実施形態のコイル114は、加熱領域111の長手方向軸と実質的に一致した軸に沿って延在していることに気づくであろう。コイル114は、コイルが円錐螺旋となるように、加熱領域111の長手方向軸に沿った距離とともに変わる直径を有している。しかしながら、他の実施形態では、コイル114が円形螺旋となるように、コイル114はその全長に沿って実質的に一定の直径を有してもよい。
【0109】
この実施形態の変形では、装置は、加熱領域111の周りに少なくとも部分的に延在する加熱要素40、及び図5の実施形態の加熱要素20と同様の、加熱領域111内に突出する別の加熱要素の両方を備えてもよい。このような実施形態は、使用時、加熱領域111及びその中の任意の物品を中央及び外側の両方から加熱する助けとなり得る。
【0110】
図7及び8を参照すると、本発明のそれぞれの実施形態によるシステムの例の概略断面図が示されている。図7のシステム1000は、図5の装置100及び喫煙材を含む物品3を備える。図8のシステム2000は、図6の装置200及び喫煙材を含む物品4を備える。装置100、200のそれぞれの加熱領域111は、各システム1000、2000の物品3、4を受け入れるためのものである。これらの実施形態の各々において、物品3、4は、吸い口120が各装置100、200の本体110から係合を解除されているとき、各装置100、200の加熱領域111内に挿入可能である。それぞれのシステム1000、2000において、磁場発生器112が作動すると、上記のように、加熱要素20、40に侵入する変動磁場が発生して、加熱要素20、40の漸進的な加熱がもたらされる。加熱要素20、40の漸進的な加熱がもたらされると、これも上記のように、各物品3、4の喫煙材の漸進的な加熱がもたらされ、好ましくは、例えば、喫煙材を燃焼させることなく喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させる。
【0111】
簡潔にするために、装置100、200を再び詳細には説明しない。図5及び6の装置100、200に対して本書で説明した可能な変形のいずれも、図7及び8のシステム1000、2000の装置100、200に対してなされて個別のシステムの各実施形態を形成することができる。
【0112】
図9を参照すると、本発明の実施形態による、喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるように喫煙材を加熱する方法の例を示すフロー図が示されている。
【0113】
方法900は、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材から形成された加熱要素を用意するステップ901を含み、加熱要素の第1の部分と第2の部分はそれぞれ異なる熱質量を有する。加熱要素は、図5及び6を参照して上記で説明した加熱要素20、40のうちの1つなど、例えば、喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるように喫煙材を加熱するための装置の加熱要素とすることができる。或いは、加熱要素は、図3及び4を参照して上記で説明した加熱要素10、20のうちの1つなど、例えば、喫煙材を備えた物品の加熱要素とすることができる。加熱要素の第1の部分と第2の部分の密度及び厚さを異なるようにした結果、熱質量を異なるようにすることができる。
【0114】
本方法はまた、加熱要素と熱接触する喫煙材を用意するステップ902を含む。喫煙材は、物品内に備えることができ、例えば、図3又は図4に示されている。図3及び4の場合のように、加熱要素もまた物品の一部分である結果、喫煙材は加熱要素と熱接触することができる。或いは、図5及び6の場合のように、加熱要素を備えた装置の加熱領域内に喫煙材を挿入する結果、喫煙材は加熱要素と熱接触するように配置することができる。
【0115】
本方法は、加熱要素に変動磁場を侵入させるステップ903であり、その侵入による加熱要素の漸進的な加熱、以て、喫煙材の漸進的な加熱がもたらされる、ステップ903をさらに含む。このような漸進的な加熱の例は上記で説明されている。喫煙材の加熱は、例えば、喫煙材を燃焼させることなく喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させることとすることができる。
【0116】
上記の実施形態の各々において、加熱材は鋼である。しかしながら、他の実施形態では、加熱材は、導電性材料、磁性材料、及び磁性導電性材料からなる群から選択された1つ以上の材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、加熱材は金属又は金属合金を含むことができる。いくつかの実施形態では、加熱材は、アルミニウム、金、鉄、ニッケル、コバルト、導電性炭素、グラファイト、普通炭素鋼、ステンレス鋼、フェライトステンレス鋼、銅、及び青銅からなる群から選択された1つ以上の材料を含むことができる。他の(1つ以上の)加熱材は、他の実施形態で使用することができる。加熱材として磁性導電性材料を用いると、使用時、磁性導電性材料と装置の電磁石との磁気結合を強くすることができることが分かっている。これは、磁気ヒステリシス加熱を潜在的に可能にすることに加えて、加熱材のジュール加熱を増大させる、又は改善することができ、したがって、喫煙材の加熱を増大させる、又は改善することができる。
【0117】
上記の実施形態の各々において、加熱要素は加熱材からなる、又は本質的に加熱材からなる。しかしながら、他の実施形態ではその限りではない。
【0118】
加熱材は、誘導電流及び/又は磁気双極子の誘導再配向のほとんどが生じる外側の領域である表皮深さを有することができる。加熱材の厚さを相対的に薄くすることによって、加熱材の他の寸法に比べて相対的に長い奥行き又は厚さを有する加熱材と比べると、所与の変動磁場によって加熱材のより大きな割合を加熱可能にすることができる。したがって、材料をより効率的に使用することになり、それはコストを削減する。
【0119】
上記の実施形態の各々において、喫煙材はタバコを含んでいる。しかしながら、これらの実施形態の各々に対する各変形例では、喫煙材は、タバコのみからなるものであってもよいし、ほぼ全体がタバコのみからなるものであってもよいし、タバコとタバコ以外の喫煙材とを含むものであってもよいし、タバコ以外の喫煙材を含むものであってもよいし、タバコを含まないものであってもよい。いくつかの実施形態では、喫煙材は、蒸気又はエアロゾルの形成剤や、保湿剤(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、トリアセチン、又はジエチレングリコール)を含んでいてもよい。
【0120】
上記の実施形態の各々において、喫煙材は非液体の喫煙材であり、装置は、喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるように非液体の喫煙材を加熱するためのものである。他の実施形態では、そうでないこともあり得る。
【0121】
上記の実施形態の各々において、物品1、2、3、4は消耗品である。物品1、2、3、4内の喫煙材60の(1つ以上の)揮発可能な成分のすべて又は実質的にすべてが消費されると、使用者は、装置100、200から物品1、2、3、4を取り外して、物品1、2、3、4を処分することができる。使用者は、引き続き、物品1、2、3、4の別のもので装置100、200を再使用することができる。しかしながら、他の各実施形態では、物品は消耗品でないものとすることができ、喫煙材の(1つ以上の)揮発可能な成分が消費されると、装置と物品とを一緒に処分することができる。
【0122】
いくつかの実施形態では、装置100、200は、装置100、200とともに使用可能な物品1、2、3、4とは別個に販売され、供給され、又はその他の方法により提供される。しかしながら、いくつかの実施形態では、装置100、200及び1つ以上の物品1、2、3、4を、キットや組立体などのシステムとして、場合によっては清掃器具などの追加の構成要素とともに一緒に提供してもよい。
【0123】
様々な課題に対処し、技術を進歩させるため、本開示はその全体にわたって様々な実施形態を例証及び例示によって示している。これらの実施形態において、特許請求された発明を実施することが可能である。これらの実施形態は、喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるように喫煙材を加熱するための装置とともに使用するための優れた加熱要素と、そのような加熱要素を備えて、そのような装置とともに使用可能な優れた物品と、そのような加熱要素を備え、喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるように喫煙材を加熱するための優れた装置と、そのような装置を備えた優れたシステムと、喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるように喫煙材を加熱する優れた方法とを提供する。本開示の利点及び特徴は、実施形態のうち代表的な例のものにすぎず、すべての利点や特徴を網羅したものでもなければ、他の利点や特徴を排除するものでもない。これらは、特許請求の範囲などに開示される特徴の理解と教示を助けるためだけに提示されている。本開示の利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、及び/又は他の側面は、特許請求の範囲によって規定されたとおりに本開示を限定するもの、或いは特許請求の範囲の均等物を制限するものと考えるべきではなく、本開示の範囲及び/又は趣旨から逸脱することなく他の実施形態を利用し、変形を施すことができることを理解されたい。様々な実施形態が、開示された要素、構成、特徴、部品、ステップ、手段などの様々な組合せを適切に備え、それらのみから構成され、或いは実質的にそれらから構成されてもよい。本開示は、特許請求の範囲に現在は記載されていないが将来記載される可能性のある他の発明を含む可能性がある。
【0124】
以下の番号付けされた実施形態が開示される。
(実施形態1)
喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるように前記喫煙材を加熱するための装置とともに使用するための加熱要素であって、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材から形成され、前記加熱要素の第1の部分と第2の部分がそれぞれ異なる熱質量を有する、加熱要素。
(実施形態2)
前記加熱要素の熱質量が前記加熱要素に沿った距離とともに変わる、実施形態1に記載の加熱要素。
(実施形態3)
前記加熱要素の熱質量が前記加熱要素の長さの少なくとも大部分にわたって変わる、実施形態2に記載の加熱要素。
(実施形態4)
前記加熱要素の熱質量が前記加熱要素に沿った距離とともに連続的に小さくなる、実施形態2に記載の加熱要素。
(実施形態5)
前記加熱要素の熱質量が前記加熱要素に沿った距離とともに直線的に小さくなる、実施形態2に記載の加熱要素。
(実施形態6)
前記加熱要素の前記第1の部分の密度が前記加熱要素の前記第2の部分の密度と異なる結果、前記加熱要素の前記第1の部分と前記第2の部分がそれぞれ異なる熱質量を有する、実施形態1に記載の加熱要素。
(実施形態7)
前記加熱要素の前記第1の部分の厚さが前記加熱要素の前記第2の部分の厚さと異なる結果、前記加熱要素の前記第1の部分と前記第2の部分がそれぞれ異なる熱質量を有する、実施形態1に記載の加熱要素。
(実施形態8)
前記加熱要素の前記第1の部分の材料組成が前記加熱要素の前記第2の部分の材料組成と異なる結果、前記加熱要素の前記第1の部分と前記第2の部分がそれぞれ異なる熱質量を有する、実施形態1に記載の加熱要素。
(実施形態9)
前記加熱要素の前記第1の部分の前記加熱材の材料組成が、前記加熱要素の前記第2の部分の前記加熱材の材料組成と同じである、実施形態1に記載の加熱要素。
(実施形態10)
前記加熱材が、導電性材料、磁性材料、及び磁性導電性材料からなる群から選択された1つ以上の材料を含む、実施形態1に記載の加熱要素。
(実施形態11)
前記加熱材が金属又は金属合金を含む、実施形態1に記載の加熱要素。
(実施形態12)
前記加熱材が、アルミニウム、金、鉄、ニッケル、コバルト、導電性炭素、グラファイト、普通炭素鋼、ステンレス鋼、フェライトステンレス鋼、銅、及び青銅からなる群から選択された1つ以上の材料を含む、実施形態1に記載の加熱要素。
(実施形態13)
喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるように前記喫煙材を加熱するための装置とともに使用するための物品であって、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材から形成された加熱要素と、前記加熱要素と熱接触する喫煙材と、を備え、前記加熱要素の第1の部分と第2の部分がそれぞれ異なる熱質量を有する、物品。
(実施形態14)
前記喫煙材が前記加熱要素と面接触している、実施形態13に記載の物品。
(実施形態15)
前記喫煙材がタバコ及び/又は1つ以上の保湿剤を含む、実施形態13に記載の物品。
(実施形態16)
喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるように前記喫煙材を加熱するための装置であって、
変動磁場を発生させるための磁場発生器と、
前記変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材から形成された加熱要素であり、前記加熱要素の第1の部分と第2の部分がそれぞれ異なる熱質量を有する、加熱要素と
を備えた装置。
(実施形態17)
喫煙材を備えた物品の少なくとも一部分を受け入れるための加熱領域を備え、前記加熱要素が前記加熱領域内に突出している、実施形態16に記載の装置。
(実施形態18)
喫煙材を備えた物品の少なくとも一部分を受け入れるための加熱領域を備え、前記加熱要素が前記加熱領域の周りに少なくとも部分的に延在している、実施形態16に記載の装置。
(実施形態19)
喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるように前記喫煙材を加熱するためのシステムであって、
喫煙材を備えた物品と、
前記物品の少なくとも一部分を受け入れるための加熱領域と、前記物品の前記一部分が前記加熱領域にあるときに、前記喫煙材を加熱するのに使用される変動磁場を発生させるための磁場発生器と、を備えた装置と、
前記物品の前記一部分が前記加熱領域にあるときに、前記変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材から形成された加熱要素であり、前記加熱要素の第1の部分と第2の部分がそれぞれ異なる熱質量を有する、加熱要素と
を備えたシステム。
(実施形態20)
喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるように前記喫煙材を加熱する方法であって、
変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材から形成された加熱要素を用意するステップであり、前記加熱要素の第1の部分と第2の部分がそれぞれ異なる熱質量を有する、ステップと、
前記加熱要素と熱接触する喫煙材を用意するステップと、
前記加熱材に変動磁場を侵入させるステップであり、前記侵入によって前記加熱要素の漸進的な加熱、以て、前記喫煙材の漸進的な加熱がもたらされる、ステップと
を含む方法。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【外国語明細書】