(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172299
(43)【公開日】2022-11-15
(54)【発明の名称】JAK阻害剤としてのジメチルアミノアゼチジンアミド
(51)【国際特許分類】
C07D 471/04 20060101AFI20221108BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20221108BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20221108BHJP
A61K 31/437 20060101ALI20221108BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
C07D471/04 107E
C07D471/04 CSP
A61P11/00
A61P11/06
A61K31/437
A61P37/06
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022141182
(22)【出願日】2022-09-06
(62)【分割の表示】P 2021512257の分割
【原出願日】2019-09-03
(31)【優先権主張番号】62/726,562
(32)【優先日】2018-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BRIJ
(71)【出願人】
【識別番号】514190040
【氏名又は名称】セラヴァンス バイオファーマ アール&ディー アイピー, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ディー. ロング
(72)【発明者】
【氏名】キャメロン スミス
(72)【発明者】
【氏名】コービン トンプソン
(57)【要約】
【課題】JAKキナーゼ阻害剤として有用な、式(I):
[ここで、変数は明細書で定義されている]の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を提供すること。
【解決手段】本発明はまた、そのような化合物を含む薬学的組成物、および呼吸器疾患を処置するためにそのような化合物を使用する方法を提供する。本発明はまた、哺乳動物において呼吸器疾患、特に喘息およびCLADを処置する方法も提供し、この方法は、哺乳動物に治療有効量の本発明の化合物または薬学的組成物を投与することを含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、JAKキナーゼ阻害剤として有用な化合物に関する。本発明はまた、そのような化合物を含む薬学的組成物、および呼吸器疾患を処置するためにそのような化合物を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
喘息は、予防法または治療法が存在しない気道の慢性疾患である。この疾患は、そのすべてが気流制限の一因である、気道の炎症、線維症、応答性亢進およびリモデリングを特徴とする。世界中で推定3億人が喘息に罹患しており、喘息を有する人の数は、2025年までに1億人超増加すると推定されている。米国では、喘息は人口の約6%から8%が患っており、国内で最も一般的な慢性疾患の1つとなっている。ほとんどの患者は、ロイコトリエン修飾因子および/または長時間作用型βアゴニストと併用され得る吸入コルチコステロイドの使用によって喘息症状の制御を達成することができるが、その疾患が従来の治療法によって制御されない、重度の喘息を有する患者のサブセットがまだある。重度の持続性喘息は、高用量の吸入コルチコステロイドでも依然として制御されない疾患として定義されている。重症の喘息患者は喘息患者全体の約5%を占めると推定されているが、罹患率と死亡率のリスクが高く、喘息患者の間で医療資源利用の不均衡な割合を占めている。これらの患者を処置する新規治療法のニーズが残っている。
【0003】
サイトカインは、細胞間シグナル伝達分子であり、ケモカイン、インターフェロン、インターロイキン、リンホカイン、および腫瘍壊死因子がそれに含まれる。サイトカインは正常な細胞増殖および免疫調節に非常に重要であるが、免疫介在性疾患を促進し、悪性細胞の成長の一因にもなる。多くのサイトカインのレベルの上昇は、喘息の炎症の病態に関与している。例えば、インターロイキン(IL)-5、および13を標的とする抗体に基づく治療法は、重症喘息患者のサブセットにおいて臨床的利益をもたらすことが示されている。喘息炎症に関与するサイトカインの中でも、多くのものが、チロシンキナーゼのヤヌスファミリー(JAK)に依存するシグナル伝達経路によって作用し、それはシグナル伝達性転写因子(STAT)ファミリーの転写因子を通じてシグナルを伝達する。JAK-STAT経路を通じてシグナルを伝達する、喘息炎症に関わるサイトカインには、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-9、IL-11、IL-13、IL-23、IL-31、IL-27、胸腺間質性リンホポエチン(TSLP)、インターフェロン-γ(IFNγ)および顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)が含まれる。
【0004】
JAKファミリーは、4つのメンバー、JAK1、JAK2、JAK3、およびチロシンキナーゼ2(TYK2)を含む。サイトカインとJAK依存性サイトカイン受容体の結合は受容体二量体化を誘導し、それによりJAKキナーゼのチロシン残基がリン酸化され、JAK活性化がもたらされる。次に、リン酸化されたJAKは、様々なSTATタンパク質に結合してリン酸化し、そのタンパク質が二量体化し、細胞核内に取り込まれ、遺伝子転写を直接調節し、他の作用の中でも、炎症性疾患に関連する下流の作用をもたらす。JAKは通常、ホモ二量体またはヘテロ二量体としてサイトカイン受容体と対で会合する。特定のサイトカインは特定のJAK対形成に関連している。JAKファミリーの4つのメンバーの各々が、喘息炎症に関連するサイトカインのうちの少なくとも1つのシグナル伝達に関わっている。その結果、JAKファミリーのすべてのメンバーに対して汎活性を持つ化学阻害剤は、重度の喘息に寄与する広範囲の炎症誘発性経路を調節する可能性があり得る。
【0005】
しかし、そのような阻害剤の幅広い抗炎症効果が、正常な免疫細胞機能を抑制し得、感染リスクの増加をもたらす可能性があり得る。感染リスクの増加の証拠は、関節リウマチの処置のために経口投与されるJAK阻害剤トファシチニブで観察されている。喘息では、炎症は気道に局在する。気道の炎症は、喘息に加えてその他の呼吸器疾患の特徴である。慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症(CF)、肺臓炎、間質性肺疾患(特発性肺線維症を含む)、急性肺傷害、急性呼吸窮迫症状群、気管支炎、気腫、およびサルコイドーシスも気道疾患であり、その病態生理学は、JAKシグナル伝達サイトカインに関係していると考えられている。吸入による肺へのJAK阻害剤の局所投与は、強力な抗サイトカイン剤を作用部位に直接送達することによって治療上有効である可能性を提供し、全身曝露を制限し、したがって有害な全身免疫抑制の可能性を制限する。呼吸器疾患の処置のための肺への局所投与に適した強力なJAK阻害剤に対するニーズがまだ残っている。
【0006】
JAK-シグナル伝達サイトカインも、多くの免疫プロセスの中心となる免疫細胞のサブタイプであるT細胞の活性化において主要な役割を果たす。病理学的T細胞の活性化は、複数の呼吸器疾患の病因において重要である。自己反応性T細胞は、閉塞性細気管支炎性器質化肺炎(COSとも呼ばれる)において役割を果たす。COSと同様に、肺移植拒絶の病因は、移植されたドナー肺によるレシピエントのT細胞の異常なT細胞活性化に関連している。肺移植拒絶は、原発性移植片機能不全(PGD)、器質化肺炎(OP)、急性拒絶(AR)またはリンパ球性細気管支炎(LB)として早期に発生するか、または肺移植の数年後に慢性肺同種移植片機能不全(CLAD)として発生することがある。CLADは以前には閉塞性細気管支炎(BO)として知られていたが、現在は、BO、拘束型CLAD(rCLADまたはRAS)および好中球性同種移植片機能不全をはじめとする様々な病理学的徴候を有する可能性のある症候群とみなされている。慢性肺同種移植片機能不全(CLAD)は、移植された肺の機能を徐々に失わせるので、肺移植レシピエントの長期管理に大きな課題がある(Gauthierら,Curr.Transplant.Rep.,2016,3(3),185-191)。CLADは処置への反応性が悪いため、この症状を予防または処置することができる有効な化合物に対する必要性が残っている。数種のJAK依存性サイトカイン、例えばIFNγおよびIL-5などは、CLADおよび肺移植拒絶において上方調節される(Berasteguiら,Clin.Transplant.2017,31,e12898)。さらに、JAK依存性IFNシグナル伝達の下流にあるCXCL9およびCXCL10などのCXCR3ケモカインの肺レベルが高いことは、肺移植患者の予後の悪化と関連している(Shinoら,PLOS One,2017,12(7),e0180281)。全身のJAK阻害は、腎臓移植拒絶において効果的であることが示された(Vicentiら,American Journal of Transplantation,2012,12,2446-56)。そのため、JAK阻害剤は、肺移植拒絶およびCLADを処置または予防するのに効果的である可能性がある。肺移植拒絶の基準として記載されているものと同様のT細胞活性化イベントも、造血幹細胞移植後に生じ得る肺移植片対宿主病(GVHD)の主な促進剤と考えられている。肺GVHDは、CLADと同様に慢性進行性の症状であり、極めて結果が悪く、現在承認されている処置法はない。救済療法として全身JAK阻害剤ルキソリチニブを投与されたステロイド抵抗性の急性または慢性GVHD患者95名のレトロスペクティブな多施設調査研究により、肺GVHD患者を含む大多数の患者においてルキソリチニブに対する完全または部分的応答が実証された(Zeiserら,Leukemia,2015,29,10,2062-68)。全身性JAK阻害は重大な有害イベントおよび小さい治療係数に関連しているので、肺移植拒絶または肺GVHDを予防および/または処置するための、吸入されて肺に直接作用する非全身性JAK阻害剤に対する必要性がまだある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Gauthierら,Curr.Transplant.Rep.,2016,3(3),185-191
【非特許文献2】Berasteguiら,Clin.Transplant.2017,31,e12898
【非特許文献3】Shinoら,PLOS One,2017,12(7),e0180281
【非特許文献4】Vicentiら,American Journal of Transplantation,2012,12,2446-56
【非特許文献5】Zeiserら,Leukemia,2015,29,10,2062-68
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様では、本発明は、JAKキナーゼ阻害剤としての活性を有する新規化合物を提供する。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
式(I):
【化46】
[式中、nは、0、1または2であり、
R
1は、C
1-3アルキルであり、
各R
2は、独立してC
1-3アルキルである]の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
(項目2)
式(II):
【化47】
を有する項目1に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
(項目3)
式(III):
【化48】
を有する項目1に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
(項目4)
R
1がエチル、プロピル、およびイソプロピルからなる群から選択される、項目1~3のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
(項目5)
nが0である、項目1~4のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
(項目6)
nが1である、項目1~4のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
(項目7)
nが1であり、R
2がメチルである、項目1~4のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
(項目8)
式1:
【化49】
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
(項目9)
式1:
【化50】
の化合物。
(項目10)
式2:
【化51】
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
(項目11)
式3:
【化52】
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
(項目12)
式4:
【化53】
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
(項目13)
式5:
【化54】
化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
(項目14)
式6:
【化55】
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
(項目15)
項目1~14のいずれか一項に記載の化合物および薬学的に許容され得る担体を含む薬学的組成物。
(項目16)
哺乳動物の呼吸器疾患の処置で使用するための、項目1~14のいずれか一項に記載の化合物。
(項目17)
前記呼吸器疾患が、喘息、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、肺臓炎、特発性肺線維症、急性肺傷害、急性呼吸窮迫症候群、気管支炎、気腫、閉塞性細気管支炎、サルコイドーシス、好酸球性疾患、蠕虫感染症、肺動脈性肺高血圧症、リンパ脈管筋腫症、気管支拡張症、浸潤性肺疾患、薬剤誘発性肺臓炎、真菌誘発性肺臓炎、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、過敏性肺臓炎、多発性血管炎を伴う好酸球性肉芽腫症、特発性急性好酸球性肺炎、特発性慢性好酸球性肺炎、好酸球増加症候群、レフレル症候群、閉塞性細気管支炎性器質化肺炎、肺移植片対宿主病、および免疫チェックポイント阻害剤誘発性肺臓炎からなる群から選択される、項目16に記載の化合物。
(項目18)
前記呼吸器疾患が、喘息または慢性閉塞性肺疾患である、項目16に記載の化合物。
(項目19)
哺乳動物の肺移植拒絶の処置で使用するための、項目1~14のいずれか一項に記載の化合物。
(項目20)
前記肺移植拒絶が、原発性移植片機能不全、器質化肺炎、急性拒絶、リンパ球性細気管支炎、および慢性肺同種移植片機能不全からなる群から選択される、項目19に記載の化合物。
(項目21)
前記肺移植拒絶が急性肺移植拒絶である項目19に記載の化合物。
(項目22)
前記肺移植拒絶が慢性肺同種移植片機能不全である項目19に記載の化合物。
(項目23)
前記肺移植拒絶が、閉塞性細気管支炎、拘束性慢性肺同種移植片機能不全、および好中球性同種移植片機能不全からなる群から選択される、項目19に記載の化合物。
(項目24)
哺乳動物の呼吸器疾患の処置のための医薬の製造のための、項目1~14のいずれか一項に記載の化合物の使用。
(項目25)
前記呼吸器疾患が、喘息、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、肺臓炎、特発性肺線維症、急性肺傷害、急性呼吸窮迫症候群、気管支炎、気腫、閉塞性細気管支炎、サルコイドーシス、好酸球性疾患、蠕虫感染症、肺動脈性肺高血圧症、リンパ脈管筋腫症、気管支拡張症、浸潤性肺疾患、薬剤誘発性肺臓炎、真菌誘発性肺臓炎、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、過敏性肺臓炎、多発性血管炎を伴う好酸球性肉芽腫症、特発性急性好酸球性肺炎、特発性慢性好酸球性肺炎、好酸球増加症候群、レフレル症候群、閉塞性細気管支炎性器質化肺炎、肺移植片対宿主病、および免疫チェックポイント阻害剤誘発性肺臓炎からなる群から選択される、項目24に記載の使用。
(項目26)
前記呼吸器疾患が、喘息または慢性閉塞性肺疾患である、項目24に記載の使用。
(項目27)
哺乳動物の肺移植拒絶の処置のための医薬の製造における、項目1~14のいずれか一項に記載の化合物の使用。
(項目28)
前記肺移植拒絶が、原発性移植片機能不全、器質化肺炎、急性拒絶、リンパ球性細気管支炎、および慢性肺同種移植片機能不全からなる群から選択される、項目27に記載の使用。
(項目29)
前記肺移植拒絶が急性肺移植拒絶である項目27に記載の使用。
(項目30)
前記肺移植拒絶が慢性肺同種移植片機能不全である項目27に記載の使用。
(項目31)
前記肺移植拒絶が、閉塞性細気管支炎、拘束性慢性肺同種移植片機能不全、および好中球性同種移植片機能不全からなる群から選択される、項目27に記載の使用。
(項目32)
哺乳動物において呼吸器疾患を処置する方法であって、前記方法が、項目1~14のいずれか一項に記載の化合物および薬学的に許容され得る担体を含む薬学的組成物を前記哺乳動物に投与することを含む方法。
(項目33)
前記呼吸器疾患が、喘息、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、肺臓炎、特発性肺線維症、急性肺傷害、急性呼吸窮迫症候群、気管支炎、気腫、閉塞性細気管支炎、サルコイドーシス、好酸球性疾患、蠕虫感染症、肺動脈性肺高血圧症、リンパ脈管筋腫症、気管支拡張症、浸潤性肺疾患、薬剤誘発性肺臓炎、真菌誘発性肺臓炎、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、過敏性肺臓炎、多発性血管炎を伴う好酸球性肉芽腫症、特発性急性好酸球性肺炎、特発性慢性好酸球性肺炎、好酸球増加症候群、レフレル症候群、閉塞性細気管支炎性器質化肺炎、肺移植片対宿主病、および免疫チェックポイント阻害剤誘発性肺臓炎からなる群から選択される、項目32に記載の方法。
(項目34)
前記呼吸器疾患が、喘息または慢性閉塞性肺疾患である、項目32に記載の方法。
(項目35)
哺乳動物において肺移植拒絶を処置する方法であって、前記方法が、項目1~14のいずれか一項に記載の化合物および薬学的に許容され得る担体を含む薬学的組成物を前記哺乳動物に投与することを含む方法。
(項目36)
前記肺移植拒絶が、原発性移植片機能不全、器質化肺炎、急性拒絶、リンパ球性細気管支炎、および慢性肺同種移植片機能不全からなる群から選択される、項目35に記載の方法。
(項目37)
前記肺移植拒絶が急性肺移植拒絶である項目35に記載の方法。
(項目38)
前記肺移植拒絶が慢性肺同種移植片機能不全である項目35に記載の方法。
(項目39)
前記肺移植拒絶が、閉塞性細気管支炎、拘束性慢性肺同種移植片機能不全、および好中球性同種移植片機能不全からなる群から選択される、項目35に記載の方法。
したがって、本発明は、式(I):
【化1】
(式中、
nは、0、1または2であり;
R
1は、C
1-3アルキルであり;
各R
2は、独立してC
1-3アルキルである)
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0009】
本発明はまた、本発明の化合物および薬学的に許容され得る担体を含む薬学的組成物を提供する。
【0010】
本発明はまた、哺乳動物において呼吸器疾患、特に喘息およびCLADを処置する方法も提供し、この方法は、哺乳動物に治療有効量の本発明の化合物または薬学的組成物を投与することを含む。
【0011】
本発明はまた、医学療法で使用するための本明細書に記載の本発明の化合物、および哺乳動物において呼吸器疾患を処置するための製剤または医薬の製造における本発明の化合物の使用も提供する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
一態様では、本発明は、JAKキナーゼ阻害剤としての活性を有する化合物を提供する。したがって、本発明は、式(I):
【化2】
(式中、
nは、0、1または2であり;
R
1は、C
1-3アルキルであり;
各R
2は、独立してC
1-3アルキルである)
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0013】
いくつかの実施形態では、化合物は式(II):
【化3】
を有する。
【0014】
いくつかの実施形態では、化合物は式(III):
【化4】
を有する。
【0015】
いくつかの実施形態では、R1は、エチル、プロピル、およびイソプロピルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、nは0である。いくつかの実施形態では、n
nは1である。いくつかの実施形態では、nは1であり、R2はメチルである。
【0016】
もう一つの実施形態では、本発明は、式1:
【化5】
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0017】
もう一つの実施形態では、本発明は、式1:
【化6】
の化合物を提供する。
【0018】
もう一つの実施形態では、本発明は、式2:
【化7】
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0019】
もう一つの実施形態では、本発明は、式2:
【化8】
の化合物を提供する。
【0020】
もう一つの実施形態では、本発明は、式3:
【化9】
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0021】
もう一つの実施形態では、本発明は、式3:
【化10】
の化合物を提供する。
【0022】
もう一つの実施形態では、本発明は、式4:
【化11】
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0023】
もう一つの実施形態では、本発明は、式4:
【化12】
の化合物を提供する。
【0024】
もう一つの実施形態では、本発明は、式5:
【化13】
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0025】
もう一つの実施形態では、本発明は、式5:
【化14】
の化合物を提供する。
【0026】
もう一つの実施形態では、本発明は、式6:
【化15】
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0027】
もう一つの実施形態では、本発明は、式6:
【化16】
の化合物を提供する。
【0028】
化学構造は、本明細書において、ChemDrawソフトウェア(PerkinElmer、Inc.、Cambridge、MA)に実装されているIUPAC規則に従って命名されている。化合物1は、(S)-(3-(ジメチルアミノ)アゼチジン-1-イル)(2-(6-(2-エチル-4-ヒドロキシフェニル)-1H-インダゾール-3-イル)-5-イソプロピル-4,5,6,7-テトラヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-イル)メタノンと指定される。
【0029】
さらに、テトラヒドロイミダゾピリジン部分のイミダゾ部分は互変異性型で存在し、本開示の化合物の断片について下に例示されている。
【化17】
【0030】
IUPAC規則によれば、これらの表現は、イミダゾール部分の原子の異なる番号付けを生じさせる:(1H-インダゾール-3-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(構造A)と(1H-インダゾール-3-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(構造B)。構造は、ある特定の形態として示されているかまたは命名されているが、本発明は、それらの互変異性体も含むことが理解される。
【0031】
本開示の化合物は、1つまたはそれを超えるキラル中心を含み得るので、そのような化合物(およびそれらの中間体)は、ラセミ混合物;純粋な立体異性体(すなわち、エナンチオマーまたはジアステレオマー);立体異性体富化混合物などとして存在し得る。キラル中心に明確な立体化学なしに本明細書中に示されているまたは命名されているキラル化合物は、別段示されない限り、未確定の立体中心において存在し得る任意のまたはすべての立体異性体バリエーションを含むことを意図されている。特定の立体異性体の描写または呼称は、別段示されない限り、少量の他の立体異性体も存在し得ることの理解とともに、示されている立体中心が、指定の立体化学を有することを意味しているが、但し、描写されたまたは命名された化合物の有用性は、別の立体異性体の存在によって排除されない。
【0032】
本開示の化合物はまた、いくつかの塩基性基(例えば、アミノ基)を含んでいてもよく、したがって、そのような化合物は、遊離塩基として、またはモノプロトン化塩の形態、ジプロトン化塩の形態、トリプロトン化塩の形態、もしくはそれらの混合物のようなさまざまな塩の形態で存在することができる。このような形態はすべて、特に明記しない限り、本発明の範囲内に含まれる。
【0033】
本発明は、式(I)、(II)および(III)の同位体で標識された化合物、すなわち、1つまたは複数の原子が、同じ原子番号を有するが自然界で優勢である原子質量とは異なる原子質量を有する原子で置き換えられているかまたは富化されている式(I)、(II)および(III)の化合物も含む。式(I)、(II)および(III)の化合物に組み込まれ得る同位体の例としては、2H、3H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、および18Oが挙げられるが、これらに限定されない。トリチウムまたは炭素-14に富化した式(I)、(II)および(III)の化合物が特に興味深く、それらの化合物は、例えば、組織分布研究において使用され得る。また、特に代謝部位においてジュウテリウムに富化した式(I)、(II)および(III)の化合物も特に興味深く、それらの化合物は、より高い代謝的安定性を有すると予想される。さらに、陽電子放出同位体(例えば、11C、15Oおよび13N)に富化した式(I)、(II)および(III)の化合物も特に興味深く、それらの化合物は、例えば、ポジトロン放出断層撮影(PET)研究において使用され得る。
【0034】
定義
様々な態様および実施形態を含む本発明を説明する際、以下の用語は、別段示されない限り、以下の意味を有する。
【0035】
用語「アルキル」は、直鎖もしくは分枝鎖またはそれらの組み合わせであり得る一価の飽和炭化水素基を意味する。別段定義されない限り、そのようなアルキル基は、代表的には、1~10個の炭素原子を含む。代表的なアルキル基の例としては、メチル(Me)、エチル(Et)、n-プロピル(n-Pr)または(nPr)、イソプロピル(i-Pr)または(iPr)、n-ブチル(n-Bu)または(nBu)、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル(t-Bu)または(tBu)、n-ペンチル、n-ヘキシル、2,2-ジメチルプロピル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2-エチルブチル、2,2-ジメチルペンチル、2-プロピルペンチルなどが挙げられる。
【0036】
具体的な数の炭素原子が、特定の用語に対して意図されているとき、炭素原子の数は、その用語の前に示される。例えば、用語「C1-3アルキル」は、1~3個の炭素原子を有するアルキル基を意味し、ここで、それらの炭素原子は、直鎖または分枝鎖の配置を含む化学的に許容され得る任意の配置で存在する。
【0037】
用語「シクロアルキル」は、単環式または多環式であり得る一価の飽和炭素環式基を意味する。別段定義されない限り、そのようなシクロアルキル基は、代表的には、3~10個の炭素原子を含む。代表的なシクロアルキル基の例としては、シクロプロピル(cPr)、シクロブチル(cBu)、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、アダマンチルなどが挙げられる。
【0038】
用語「ヘテロシクリル」、「複素環式」または「複素環式環」は、合計3~10個の環原子を有する一価の飽和または部分不飽和の環式の非芳香族基を意味し、ここで、その環は、2~9個の炭素環原子、ならびに窒素、酸素および硫黄から選択される1~4個の環ヘテロ原子を含む。複素環式基は、単環式または多環式(すなわち、縮合または架橋)であり得る。代表的なヘテロシクリル基の例としては、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、イミダゾリジニル、モルホリニル、チオモルホリル、インドリン-3-イル、2-イミダゾリニル、テトラヒドロピラニル、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-イル、キヌクリジニル、7-アザノルボルナニル、ノルトロパニルなどが挙げられ、ここで、結合点は、任意の利用可能な炭素または窒素環原子に存在する。状況によって複素環式基の結合点が明らかである場合、そのような基は、代わりに、無価種、すなわち、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾール、テトラヒドロピランなどと称され得る。
【0039】
用語「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを意味する。
【0040】
用語「治療有効量」は、処置を必要とする患者に投与されたとき、処置をもたらすのに十分な量を意味する。
【0041】
用語「処置すること」または「処置」とは、患者(特にヒト)において処置される医学的症状、疾患または障害(例えば、呼吸器疾患)を予防、改善または抑制すること;あるいは、医学的症状、疾患または障害の症状を緩和することを意味する。
【0042】
用語「薬学的に許容され得る塩」は、患者または哺乳動物(例えば、ヒト)への投与が許容され得る塩(例えば、所与の投与レジメンについて許容され得る哺乳動物の安全性を有する塩)を意味する。代表的な薬学的に許容され得る塩としては、酢酸、アスコルビン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、エジシル酸(edisylic)、フマル酸、ゲンチシン酸、グルコン酸、グルクロン酸(glucoronic)、グルタミン酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2,6-ジスルホン酸、ニコチン酸、硝酸、オロチン酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p-トルエンスルホン酸およびキシナホ酸(xinafoic acid)などの塩が挙げられる。
【0043】
用語「その塩」は、酸の水素がカチオン(例えば、金属カチオンまたは有機カチオンなど)によって置き換えられたときに形成される化合物を意味する。例えば、カチオンは、プロトン化型の式(I)、(II)または(III)の化合物、すなわち、1つまたはそれを超えるアミノ基が酸によってプロトン化されている形態であり得る。代表的には、塩は、薬学的に許容され得る塩であるが、これは、患者への投与が意図されていない中間体化合物の塩には求められない。
【0044】
一般的な合成手順
本発明の化合物およびそれらの中間体は、商業的に入手可能なまたは日常的に調製される出発物質および試薬を使用して、以下の一般的な方法および手順に従って調製され得る。以下のスキームにおいて使用される置換基および変数(例えば、R1、R2、nなど)は、別段示されない限り、本明細書中の他の箇所に定義される意味と同じ意味を有する。さらに、酸性または塩基性の原子または官能基を有する化合物は、別段示されない限り、塩として使用され得るかまたは生成され得る(場合によっては、特定の反応において塩を使用するためには、その反応を行う前に、日常的な手順を使用して、その塩から非塩形態、例えば、遊離塩基に変換することが必要である)。
【0045】
本発明の特定の実施形態が、以下の手順に示され得るかまたは記載され得るが、当業者は、本発明の他の実施形態または態様も、そのような手順を用いて、または当業者に公知の他の方法、試薬および出発物質を用いて、調製され得ることを認識する。特に、本発明の化合物は、反応体が異なる順序で混和されることにより最終生成物を生成する途中で異なる中間体が提供される種々のプロセス経路によって調製され得ることが認識される。
【0046】
本発明の最終化合物を調製する一般的な方法は、以下のスキームに示される。
【化18】
【0047】
還元剤の存在下、化合物K-18をケトンまたはアルデヒドと反応させて、式K-19の化合物を得る。次に、化合物K-19を、典型的なアミド結合形成条件下、置換アゼチジンと反応させて、化合物(I)を得る。一般に、カルボン酸は、過剰な塩基の存在下、約1~約4当量の置換アゼチジンと接触させる。アミド結合形成反応は、カップリング剤、例えばN,N,N’,N’-テトラメチル-O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)または当技術分野で公知の他のアミドカップリング剤などを利用することがある。ヒドラジンを加えて、望ましくない副生成物を切断することができる。反応は、一般に室温で約5分~約24時間、または反応が実質的に終了するまで行われる。
【0048】
薬学的組成物
本発明の化合物およびそれらの薬学的に許容され得る塩は、通常、薬学的組成物または製剤の形態で使用される。そのような薬学的組成物は、吸入によって有利に患者に投与され得る。さらに、薬学的組成物は、任意の許容され得る投与経路によって投与されてよく、その投与経路としては、経口、直腸、経鼻、局所(経皮を含む)、および非経口的な投与形式が挙げられるがこれらに限定されない。
【0049】
したがって、その組成物の態様の一つにおいて、本発明は、薬学的に許容され得る担体または賦形剤と、式(I)、(II)または(III)の化合物を含む薬学的組成物に関し、ここで、上記に定義される、「式(I)、(II)または(III)の化合物」とは、式(I)、(II)または(III)の化合物あるいはその薬学的に許容され得る塩を意味する。場合により、そのような薬学的組成物は、必要に応じて他の治療薬および/または配合剤を含んでもよい。組成物およびその使用を考察する際、「本発明の化合物」は、本明細書において「活性剤」と呼ばれることもある。本明細書において使用される場合、用語「本発明の化合物」は、式(I)によって包含されるすべての化合物、ならびに式(I)に具体化される種、およびその薬学的に許容され得る塩を含むことを意図する。
【0050】
本発明の薬学的組成物は、通常、治療有効量の本発明の化合物を含む。しかしながら、薬学的組成物は、治療有効量より多い、すなわち、大量の組成物または治療有効量より少ない、すなわち、治療有効量を達成するための複数回投与のためにデザインされた個別の単位用量を含むことがあることを当業者は認識する。
【0051】
一般に、そのような薬学的組成物は、約0.01~約95重量%の活性剤を含む;それには、例えば約0.05~約30重量%;および約0.1%~約10重量%の活性剤が含まれる。
【0052】
任意の従来のキャリアまたは賦形剤を、本発明の薬学的組成物において使用してもよい。特定のキャリアもしくは賦形剤、またはキャリアもしくは賦形剤の組み合わせの選択は、特定の患者を処置するために用いられる投与様式、または病状もしくは疾患状態のタイプに依存する。この点において、特定の投与様式に対して好適な薬学的組成物の調製法は、十分に薬学分野の当業者の技術の範囲内である。さらに、本発明の薬学的組成物において使用されるキャリアまたは賦形剤は、商業的に入手可能である。さらなる例証として、従来の製剤化の手法は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th Edition,Lippincott Williams & White,Baltimore,Maryland(2000);およびH.C.Anselら、Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,7th Edition,Lippincott Williams & White,Baltimore,Maryland(1999)に記載されている。
【0053】
薬学的に許容され得るキャリアとして機能し得る材料の代表例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:糖(例えば、ラクトース、グルコースおよびスクロース);デンプン(例えば、トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプン);セルロース(例えば、微結晶性セルロース)およびその誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロース);トラガント末;麦芽;ゼラチン;タルク;賦形剤(例えば、カカオバターおよび坐剤ろう);油(例えば、落花生油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびダイズ油);グリコール(例えば、プロピレングリコール);ポリオール(例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール);エステル(例えば、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル);寒天;緩衝剤(例えば、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム);アルギン酸;発熱物質非含有水;等張食塩水;リンガー溶液;エチルアルコール;リン酸緩衝液;および薬学的組成物において使用される他の無毒性の適合性物質。
【0054】
薬学的組成物は、代表的には、活性な作用物質を薬学的に許容され得るキャリアおよび1つまたはそれを超える必要に応じた成分と十分かつ完全に混合または混和することによって調製される。次いで、得られた均一に混和された混合物は、従来の手順および器具を用いて、錠剤、カプセル剤、丸剤などに成形または充填され得る。
【0055】
一態様では、薬学的組成物は吸入投与に適している。吸入投与のための薬学的組成物は、一般にエアゾールまたは粉末の形態である。そのような組成物は、通常、吸入器送達装置、例えば乾燥粉末式吸入器(DPI)、定量吸入器(MDI)、ネブライザー吸入器、または同様の送達装置などを使用して投与される。
【0056】
特定の実施形態では、薬学的組成物は、乾燥粉末式吸入器を使用して吸入によって投与される。そのような乾燥粉末式吸入器は、一般に、吸気の間に患者の気流に分散する流動性粉末として薬学的組成物を投与する。流動性粉末組成物を実現するために、治療薬は一般にラクトース、デンプン、マンニトール、デキストロース、ポリ乳酸(PLA)、ポリラクチド-co-グリコリド(PLGA)またはその組み合わせなどの適した賦形剤とともに配合される。一般に、治療薬は、吸入に適した組成物を形成するために微粒子化され、適した担体と組み合わされる。
【0057】
乾燥粉末式吸入器で用いる代表的な薬学的組成物は、微粉化形態のラクトースと本発明の化合物を含む。そのような乾燥粉末組成物は、例えば、乾式粉砕ラクトースを治療薬と組み合わせた後、成分をドライブレンドすることによって作製することができる。次に、組成物は、一般に、乾燥粉末ディスペンサー、または乾燥粉末送達装置で使用するための吸入カートリッジもしくはカプセルに充填される。
【0058】
吸入による治療薬の投与に適した乾燥粉末式吸入器送達装置は、当技術分野において記載されており、そのような装置の例は商業的に入手可能である。例えば、代表的な乾燥粉末式吸入器送達装置または製品としては、Aeolizer(ノバルティス);Airmax(IVAX);ClickHaler(Innovata Biomed);Diskhaler(グラクソスミスクライン);Diskus/Accuhaler(グラクソスミスクライン);Ellipta(グラクソスミスクライン);Easyhaler(Orion Pharma);Eclipse(アベンティス);FlowCaps(Hovione);Handihaler(ベーリンガーインゲルハイム);Pulvinal(Chiesi);Rotahaler(グラクソスミスクライン);SkyeHaler/Certihaler(SkyePharma);Twisthaler(シェリング・プラウ);Turbuhaler(アストラゼネカ);Ultrahaler(アベンティス);などが挙げられる。
【0059】
もう一つの特定の実施形態では、薬学的組成物は、定量吸入器を使用して吸入によって投与される。そのような定量吸入器は、一般に、圧縮された高圧ガスを用いて、測定された量の治療薬を放出する。したがって、定量吸入器を使用して投与される薬学的組成物は、一般に、治療薬の溶液または懸濁液を液化高圧ガス中に含む。任意の適した液化高圧ガスが用いられてよく、それにはヒドロフルオロアルカン(HFA)、例えば1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFA 134a)および1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロ-n-プロパン、(HFA 227)など;ならびにクロロフルオロカーボン、例えばCCl3Fなどが含まれる。特定の実施形態では、高圧ガスはヒドロフルオロアルカンである。一部の実施形態では、ヒドロフルオロアルカン製剤は、共溶媒、例えばエタノールまたはペンタンなど、ならびに/あるいは界面活性剤、例えばソルビタントリオレエート、オレイン酸、レシチン、およびグリセリンなどを含む。
【0060】
定量吸入器で用いる代表的な薬学的組成物は、約0.01%~約5重量%の本発明の化合物;約0%~約20重量%のエタノール;および約0%~約5重量%の界面活性剤を含み;残りはHFA高圧ガスである。そのような組成物は、一般に、冷却したかまたは加圧したヒドロフルオロアルカンを、治療薬、エタノール(存在する場合)および界面活性剤(存在する場合)を含有する、適した容器に添加することによって調製される。懸濁液を調製するには、治療薬を微粉化した後、高圧ガスと組み合わせる。次に、一般に定量吸入装置の一部を形成するエアゾール缶に組成物を充填する。
【0061】
吸入による治療薬の投与に適した定量吸入装置は、当技術分野において記載されており、そのような装置の例は商業的に入手可能である。例えば、代表的な定量吸入装置または製品としては、AeroBid Inhaler System(Forest Pharmaceuticals);Atrovent Inhalation Aerosol(ベーリンガーインゲルハイム);Flovent(グラクソスミスクライン);Maxair Inhaler(3M);Proventil Inhaler(シェリング);Serevent Inhalation Aerosol(グラクソスミスクライン);などが挙げられる。
【0062】
もう一つの特定の態様では、薬学的組成物は、ネブライザー吸入器を使用する吸入によって投与される。そのようなネブライザー装置は、一般に、患者の気道に運ばれるミストとして薬学的組成物を噴霧させる高速の空気の流れを生成する。したがって、ネブライザー吸入器で用いるために配合される場合、治療薬は、溶液を形成するために適した担体に溶解させることができる。あるいは、治療薬を微粉化するかまたはナノ粉砕し、適した担体と組み合わせて懸濁液を形成することができる。
【0063】
ネブライザー吸入器で用いる代表的な薬学的組成物は、約0.05μg/mL~約20mg/mLの本発明の化合物と、噴霧製剤に適合する賦形剤を含む溶液または懸濁液を含む。一実施形態では、溶液のpHは約3~約8である。
【0064】
吸入による治療薬の投与に適したネブライザー装置は、当技術分野において記載されており、そのような装置の例は商業的に入手可能である。例えば、代表的なネブライザー装置または製品としては、Respimat Softmist Inhalaler(ベーリンガーインゲルハイム);the AERx Pulmonary Delivery System(Aradigm Corp.);the PARI LC Plus
Reusable Nebulizer(Pari GmbH);などが挙げられる。
【0065】
さらにもう一つの態様では、本発明の薬学的組成物は、その代わりに、経口投与を意図した剤形に調製されてよい。経口投与に好適な薬学的組成物は、カプセル剤、錠剤、丸剤、舐剤、カシェ剤、糖衣錠、散剤、顆粒剤の形態であり得るか;または水性もしくは非水性液体における溶液または懸濁液として存在し得るか;または水中油型もしくは油中水型の液体エマルジョンとして存在し得るか;またはエリキシル剤もしくはシロップ剤などとして存在し得;それらの各々は、所定の量の本開示の化合物を活性成分として含んでいる。
【0066】
固体剤形での経口投与を目的とする場合、本発明の薬学的組成物は、一般に、活性剤と、1または複数の薬学的に許容され得る担体、例えばクエン酸ナトリウムまたは第二リン酸カルシウムなどを含むことになる。場合により、またはその代わりに、そのような固体剤形は、充填剤または増量剤、結合剤、保水剤、溶解遅延剤、吸収促進剤、湿潤剤、吸収剤、滑沢剤、着色剤、および緩衝剤を含むこともある。離型剤、湿潤剤、コーティング剤、甘味料、香味料および香料、保存剤ならびに酸化防止剤も、本開示の薬学的組成物に存在し得る。
【0067】
代替製剤には、制御放出製剤、経口投与用の液体剤形、経皮パッチ、および非経口製剤も含まれてもよい。そのような代替製剤の従来の賦形剤および調製方法は、例えば、上記のRemingtonによる参考文献に記載されている。
【0068】
以下の限定されない例は、本発明の代表的な薬学的組成物を示す。
【0069】
乾燥粉末組成物
式(I)の微粉化された化合物(1g)を、粉砕されたラクトース(25g)とブレンドする。次に、このブレンドした混合物を、用量あたり約0.1mg~約4mgの式(I)の化合物を提供するために十分な量で、剥離可能なブリスター包装の個々のブリスターに充填する。ブリスターの内容物を、乾燥粉末式吸入器を使用して投与する。
【0070】
乾燥粉末組成物
式(I)の微粉化された化合物(1g)を、粉砕されたラクトース(20g)とブレンドして、化合物と粉砕されたラクトースの重量比が1:20のバルク組成物を形成する。ブレンドされた組成物を、用量あたり約0.1mg~約4mgの式(I)の化合物を送達可能な乾燥粉末吸入装置に詰め込む。
【0071】
定量吸入器用組成物
式(I)の微粉化された化合物(10g)を、レシチン(0.2g)を脱塩水(200mL)に溶解することによって調製した溶液に分散させる。得られた懸濁液を噴霧乾燥させた後、微粉化して、平均直径約1.5μm未満の粒子を含む微粉化された組成物を形成する。次に、加圧した1,1,1,2-テトラフルオロエタンを、定量噴霧式吸入器によって投与された場合に、用量あたり約0.1mg~約4mgの式(I)の化合物を提供するために十分な量で含有する定量吸入器のカートリッジに微粉化された組成物を充填する。
【0072】
ネブライザー組成物
式(I)の化合物(25mg)を1.5~2.5当量の塩酸を含む溶液に溶解し、続いて水酸化ナトリウムを添加してpHを3.5~5.5およびグリセロールの3重量%に調整する。すべての成分が溶解するまで溶液をよく撹拌する。用量あたり約0.1mg~約4mgの式(I)の化合物を提供するネブライザー装置を使用して溶液を投与する。
【0073】
有用性
本発明のJAK阻害剤は、気道の炎症性および線維性疾患の処置のために設計されている。特に、本発明の化合物は、全身的な曝露を制限しつつ、強力な抗サイトカイン剤を肺の呼吸器疾患の作用部位に直接送達できるように設計されている。
【0074】
本発明の化合物は、酵素のJAKファミリー:JAK1、JAK2、JAK3、およびTYK2の強力な阻害剤であることが示された。その上、化合物1~6は、炎症促進性および線維化促進性サイトカインの強力な阻害を示した。JAK阻害剤の幅広い抗炎症作用は、正常な免疫細胞機能を抑制し得、感染リスクの増加をもたらす可能性があり得ることが認識されている。したがって、本発明の化合物は、肺から血漿への吸収を制限し、よって、免疫抑制のリスクを最小限に抑えるように最適化されている。
【0075】
下記の実験項に記載されるように、化合物1~6の吸収および分布は、前臨床アッセイでプロファイルされている。化合物1~6をマウスで試験したところ、投与後5時間で、肺組織で濃度が高く、血漿への吸収が低いことが示された。化合物1~6は、マウス肺組織において炎症促進性サイトカインIL-13の作用を阻害することが示された。具体的には、この化合物は、肺組織におけるSTAT6のIL-13誘導性リン酸化の阻害を実証した。これは、生体内での局所肺JAK標的結合の証拠をもたらす。この作用は、炎症促進性サイトカインIL-13を試験化合物の投与の4時間後に投与した場合に観察されており、肺における著しい保持のさらなる証拠を提供する。
【0076】
化合物1~6は、細胞レベルでの強力な阻害活性と肺組織での有意な保持性の両方を示すことが示されている。本発明者らによる広範な検討により、細胞レベルで強力な化合物または肺で有意な保持性を示す化合物を特定することは可能であるが、両方の望ましい特性を同時に示す化合物を発見することははるかに困難であることが判明した。
【0077】
JAK阻害剤の抗炎症活性は、喘息の前臨床モデルにおいて強く実証されている(Malaviyaら、Int Immunopharmacol,2010,10,829,-836;Matsunagaら、Biochem and Biophys Res Commun,2011,404,261-267;Kudlaczら、Eur J Pharmacol,2008,582,154-161)。JAK-STAT経路を通じてシグナルを伝達する、喘息炎症に関わるサイトカインには、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-9、IL-11、IL-13、IL-23、IL-31、IL-27、胸腺間質性リンホポエチン(TSLP)、インターフェロン-γ(IFNγ)および顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)が含まれる。したがって、本発明の化合物は、炎症性呼吸器障害、特に喘息の処置に有用であることが予期される。肺の炎症および線維症は、喘息に加えてその他の呼吸器疾患、例えば慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症(CF)、肺臓炎、間質性肺疾患(特発性肺線維症を含む)、急性肺傷害、急性呼吸窮迫症状群、気管支炎、気腫、閉塞性細気管支炎、およびサルコイドーシスなどの特徴である。そのため、本発明の化合物は、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、肺臓炎、間質性肺疾患(特発性肺線維症を含む)、急性肺傷害、急性呼吸窮迫症状群、気管支炎、気腫、閉塞性細気管支炎、およびサルコイドーシスの処置にも有用であると予期される。
【0078】
対応するフルオロ類似体(化合物C-1~C-6)と比較した場合、化合物1~6は同様のJAK活性を有することが示されている。しかし、アッセイ5で示されたように、それらは有意に少ない硫酸化代謝をもたらすという利点を有する。硫酸化代謝は肺で起こり、活性な親化合物の曝露が急速に減少する可能性があり得るため、これは重要である。
【0079】
本開示の化合物1~6は、炎症に関連するサイトカインの阻害を示した。したがって、本開示の化合物は、以下に詳述するように、ある特定の呼吸器疾患の処置に有用である可能性が高い。
【0080】
好酸球性気道炎症は、総称して好酸球性肺疾患と呼ばれる疾患の1つの特性である(Cottinら,Clin.Chest.Med.,2016,37(3),535-56)。好酸球性疾患は、IL-4、IL-13およびIL-5のシグナル伝達に関連している。好酸球性肺疾患には、感染症(特に蠕虫性感染症)、薬剤誘発性肺臓炎(例えば、抗生物質、フェニトイン、またはl-トリプトファンなどの治療薬によって誘発される)、真菌誘発性肺臓炎(例えば、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症)、過敏性肺臓炎および、多発性血管炎を伴う好酸球性肉芽腫症(以前はチャーグ・ストラウス症候群として知られていた)が含まれる。病因が不明な好酸球性肺疾患には、特発性急性好酸球性肺炎、特発性慢性好酸球性肺炎、好酸球増加症候群、およびレフレル症候群が含まれる。
【0081】
IL-6遺伝子の多型は、IL-6レベルの上昇と、肺動脈性肺高血圧症(PAH)を発症するリスクの増加に関連している(Fangら,J.Am.Soc.Hypertens.,2017,11(3),171-177)。PAHにおけるIL-6の役割を裏付けるように、IL-6受容体鎖gp130の阻害は、PAHのラットモデルで疾患を寛解させた。(Huangら,Can.J.Cardiol.,2016,32(11),1356.e1-1356.e10)。
【0082】
IFNγ、IL-12およびIL-6などのサイトカインは、サルコイドーシス、およびリンパ脈管筋腫症などのさまざまな非アレルギー性肺疾患に関与している(El-Hashemiteら,Am.J.Respir.Cell.Mol.Biol.,2005,33,227-230、およびEl-Hashemiteら,Cancer Res.,2004,64,3436-3443)。本発明の化合物は、IL-6およびIFNγシグナル伝達を阻害することも示されている。
【0083】
気管支拡張症および浸潤性肺疾患は、慢性好中球性炎症に関連する疾患である。
【0084】
病理学的T細胞の活性化は、複数の呼吸器疾患の病因において重要である。自己反応性T細胞は、閉塞性細気管支炎性器質化肺炎(COSとも呼ばれる)において役割を果たす。COSと同様に、肺移植拒絶の病因は、移植されたドナー肺によるレシピエントT細胞の異常なT細胞活性化に関連している。肺移植拒絶は、原発性移植片機能不全(PGD)、器質化肺炎(OP)、急性拒絶(AR)またはリンパ球性細気管支炎(LB)として早期に発生するか、または肺移植の数年後に慢性肺同種移植片機能不全(CLAD)として発生することがある。CLADは以前には閉塞性細気管支炎(BO)として知られていたが、現在は、BO、拘束型CLAD(rCLADまたはRAS)および好中球性同種移植片機能不全をはじめとする様々な病理学的徴候を有する可能性のある症候群とみなされている。慢性肺同種移植片機能不全(CLAD)は、移植された肺の機能を徐々に失わせるので、肺移植レシピエントの長期管理に大きな課題がある(Gauthierら,Curr.Transplant.Rep.,2016,3(3),185-191)。CLADは処置への反応性が悪いため、この症状を予防または処置することができる有効な化合物に対する必要性が残っている。数種のJAK依存性サイトカイン、例えばIFNγおよびIL-5などは、CLADおよび肺移植拒絶において上方調節される(Berasteguiら,Clin.Transplant.2017,31,e12898)。さらに、JAK依存性IFNシグナル伝達の下流にあるCXCL9およびCXCL10などのCXCR3ケモカインの肺レベルが高いことは、肺移植患者の予後の悪化と関連している(Shinoら,PLOS One,2017,12(7),e0180281)。全身のJAK阻害は、腎臓移植拒絶において効果的であることが示された(Vicentiら,American Journal of Transplantation,2012,12,2446-56)。そのため、JAK阻害剤は、肺移植拒絶およびCLADを処置または予防するのに効果的である可能性がある。肺移植拒絶の基準として記載されているものと同様のT細胞活性化イベントも、造血幹細胞移植後に生じ得る肺移植片対宿主病(GVHD)の主な促進剤と考えられている。肺GVHDは、CLADと同様に慢性進行性の症状であり、極めて結果が悪く、現在承認されている処置法はない。救済療法として全身JAK阻害剤ルキソリチニブを投与されたステロイド抵抗性の急性または慢性GVHD患者95名のレトロスペクティブな多施設調査研究により、肺GVHD患者を含む大多数の患者においてルキソリチニブに対する完全または部分的応答が実証された(Zeiserら,Leukemia,2015,29,10,2062-68)。全身性JAK阻害は重大な有害イベントおよび小さい治療係数に関連しているので、肺移植拒絶または肺GVHDを予防および/または処置するための、吸入されて肺に直接作用する非全身性JAK阻害剤に対する必要性がまだある。本発明の化合物は、このニーズに対応するために必要な特性を有する。最近になって、免疫チェックポイント阻害剤が肺臓炎を誘発し、別のT細胞介在性肺疾患が免疫チェックポイント阻害剤の使用の増加とともに現れた。これらのT細胞刺激剤で処置されたがん患者では、致死的な肺臓炎を発症する可能性がある。
【0085】
混合リンパ球反応アッセイは、移植拒絶を模倣するインビトロアッセイである。化合物1はIFNγの分泌を効果的に阻害することが示された。
【0086】
そのため、一態様では、本発明は、哺乳動物(例えば、ヒト)において呼吸器疾患を処置する方法を提供し、前記方法は、治療有効量の本発明の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、あるいは、薬学的に許容され得る担体と本発明の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を含む薬学的組成物を哺乳動物に投与することを含む。
【0087】
一態様では、呼吸器疾患は、喘息、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、肺臓炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症(CF)、肺臓炎、間質性肺疾患(特発性肺線維症を含む)、急性肺傷害、急性呼吸窮迫症状群、気管支炎、気腫、閉塞性細気管支炎、またはサルコイドーシスである。もう一つの態様では、呼吸器疾患は喘息または慢性閉塞性肺疾患である。
【0088】
一態様では、呼吸器疾患は、肺感染症、好酸球性疾患、蠕虫感染症、肺動脈性肺高血圧症、サルコイドーシス、リンパ脈管筋腫症、気管支拡張症、浸潤性肺疾患、薬剤誘発性肺臓炎、真菌誘発性肺臓炎、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、過敏性肺臓炎、多発性血管炎を伴う好酸球性肉芽腫症、特発性急性好酸球性肺炎、特発性慢性好酸球性肺炎、好酸球増加症候群、レフレル症候群、閉塞性細気管支炎性器質化肺炎、急性および慢性の肺移植拒絶(PGD、OP、LB、ARおよびCLAD、BO、拘束性CLADおよび好中球性同種移植片機能不全を含む)、肺移植片対宿主病 閉塞性細気管支炎性器質化肺炎、肺動脈性肺高血圧症、気管支拡張症、または免疫チェックポイント阻害剤誘発性肺臓炎である。
【0089】
本発明は、哺乳動物において喘息を処置する方法をさらに提供し、前記方法は、治療有効量の本発明の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、あるいは、薬学的に許容され得る担体と本発明の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を含む薬学的組成物を哺乳動物に投与することを含む。
【0090】
喘息を処置するために使用される場合、本発明の化合物は、一般に、1日1回または1日複数回投与されるが、その他の投与形態を使用してもよい。活性剤の用量あたりに投与される量または一日に投与される総量は、一般に、処置される症状、選択された投与経路、投与される実際の化合物とその相対的活性、個々の患者の年齢、体重、および応答、患者の症状の重症度などを含む関連する状況を考慮して、医師が決定する。
【0091】
本開示は、哺乳動物において呼吸器疾患(本明細書に記載される疾患を含むが、これに限定されない)を処置する方法をさらに提供し、前記方法は、治療有効量の本開示の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、あるいは、薬学的に許容され得る担体と本開示の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を含む薬学的組成物を哺乳動物に投与することを含む。
【0092】
呼吸器疾患(本明細書に記載される疾患を含むが、これに限定されない)を処置するために使用される場合、本開示の化合物は、一般に、1日1回または1日複数回投与されるが、その他の投与形態を使用してもよい。活性剤の用量あたりに投与される量または一日に投与される総量は、一般に、処置される症状、選択された投与経路、投与される実際の化合物とその相対的活性、個々の患者の年齢、体重、および応答、患者の症状の重症度などを含む関連する状況を考慮して、医師が決定する。
【0093】
JAK阻害剤として、本開示の化合物は、他の多様な疾患にも有用であり得る。本開示の化合物は、種々の胃腸炎症性適応症に有用であり得、それらの適応症としては、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎(直腸S状結腸炎、汎大腸炎、潰瘍性直腸炎および左側大腸炎)、クローン病、コラーゲン蓄積大腸炎、リンパ球性大腸炎、ベーチェット病、セリアック病、免疫チェックポイント阻害剤によって誘発される大腸炎、回腸炎、好酸球性食道炎、移植片対宿主病関連大腸炎および感染性大腸炎が挙げられるが、これらに限定されない。潰瘍性大腸炎(Reimundら、J Clin Immunology,1996,16,144-150)、クローン病(Woywodtら、Eur J Gastroenterology Hepatology,1999,11,267-276)、コラーゲン蓄積大腸炎(Kumawatら、Mol Immunology,2013,55,355-364)、リンパ球性大腸炎(Kumawatら、2013)、好酸球性食道炎(Weinbrand-Goichbergら、Immunol Res,2013,56,249-260)、移植片対宿主病関連大腸炎(Coghillら、Blood,2001,117,3268-3276)、感染性大腸炎(Stallmachら、Int J Colorectal Dis,2004,19,308-315)、ベーチェット病(Zhouら、Autoimmun Rev,2012,11,699-704)、セリアック病(de Nittoら、World J Gastroenterol,2009,15,4609-4614)、免疫チェックポイント阻害剤によって誘発される大腸炎(例えば、CTLA-4阻害剤によって誘発される大腸炎;(Yanoら、J Translation Med,2014,12,191)PD-1またはPD-L1阻害剤によって誘発される大腸炎)および回腸炎(Yamamotoら、Dig Liver
Dis,2008,40,253-259)は、ある特定の炎症促進性サイトカインのレベルの上昇を特徴とする。多くの炎症促進性サイトカインが、JAKの活性化を介してシグナル伝達するので、本願に記載される化合物は、炎症を軽減することおよび症候の軽減を提供することができ得る。特に、本開示の化合物は、潰瘍性大腸炎の緩解の誘導および維持、ならびにクローン病、免疫チェックポイント阻害剤によって誘発される大腸炎および移植片対宿主病における胃腸の有害作用の処置に有用であり得る。そのため、一態様では、本開示は、哺乳動物(例えば、ヒト)において胃腸の炎症性疾患を処置する方法を提供し、前記方法は、本開示の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、あるいは、薬学的に許容され得る担体と本開示の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を含む薬学的組成物を哺乳動物に投与することを含む。
【0094】
アトピー性皮膚炎及び他の炎症性皮膚疾患は、JAK-STAT経路に依存する炎症促進性サイトカインの増加に関連している。したがって、本開示の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはその結晶形態は、いくつかの皮膚炎症性症状または皮膚そう痒性症状(アトピー性皮膚炎、円形脱毛症、白斑、乾癬、皮膚筋炎、皮膚T細胞リンパ腫(Netchiporouk et al.,Cell Cycle.2014;13,3331-3335)およびサブタイプ(セザリー症候群、菌状息肉症、パジェット様細網症、肉芽腫様弛緩皮膚、リンパ腫様丘疹症、慢性苔癬状粃糠疹、急性苔癬状痘瘡状粃糠疹、CD30+皮膚T細胞リンパ腫、続発性皮膚CD30陽性大細胞リンパ腫、非菌状息肉症CD30陰性皮膚大T細胞リンパ腫、多形性T細胞リンパ腫、レナートリンパ腫、皮下T細胞リンパ腫、血管中心性リンパ腫、芽球型NK細胞リンパ腫)、結節性痒疹、扁平苔癬、原発性限局性皮膚アミロイドーシス、水疱性類天疱瘡、移植片対宿主病の皮膚発現、類天疱瘡、円板状狼瘡、環状肉芽腫、慢性単純性苔癬、外陰部/陰嚢/肛門周囲のそう痒、硬化性苔癬、帯状疱疹後神経痛かゆみ、毛孔性扁平苔癬、脱毛性毛包炎(foliculitis decalvans)が挙げられるが、これらに限定されない)において有益であり得る。特に、アトピー性皮膚炎(Baoら、JAK-STAT,2013,2,e24137)、円形脱毛症(Xingら、Nat Med.2014,20,1043-1049)、白斑(Craiglowら、JAMA Dermatol.2015,151,1110-1112)、結節性痒疹(Sonkolyら、J Allergy Clin Immunol.2006,117,411-417)、扁平苔癬(Welz-Kubiakら、J Immunol Res.2015,ID:854747)、原発性限局性皮膚アミロイドーシス(Tanakaら、Br J Dermatol.2009,161,1217-1224)、水疱性類天疱瘡(Felicianiら、Int J Immunopathol Pharmacol.1999,12,55-61)および移植片対宿主病の皮膚発現(Okiyamaら、J Invest Dermatol.2014,134,992-1000)は、JAKの活性化を介してシグナル伝達するある特定のサイトカインの増加を特徴とする。したがって、本開示の化合物または薬学的に許容され得るその塩は、これらのサイトカインによって引き起こされる関連する皮膚の炎症またはそう痒症を軽減することができ得る。特に、本開示の化合物または薬学的に許容され得るその塩は、アトピー性皮膚炎および他の炎症性皮膚疾患の処置に有用であると予想され得る。そのため、一態様では、本開示は、哺乳動物(例えば、ヒト)において炎症性皮膚疾患を処置する方法を提供し、前記方法は、本開示の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、および薬学的担体を含む薬学的組成物を哺乳動物の皮膚に塗布することを含む。一態様では、炎症性皮膚疾患はアトピー性皮膚炎である。
【0095】
多数の眼疾患が、JAK-STAT経路に依存する炎症促進性サイトカインの上昇に関連することが示されている。したがって、本開示の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、いくつかの眼疾患(ブドウ膜炎、糖尿病性網膜症、糖尿病性黄斑浮腫、眼乾燥症、加齢性黄斑変性、およびアトピー性角結膜炎が挙げられるが、これらに限定されない)の処置に有用であり得る。特に、ブドウ膜炎(Horai and Caspi,J Interferon Cytokine Res,2011,31,733-744)、糖尿病性網膜症(Abcouwer,J Clin Cell Immunol,2013,Suppl 1,1-12)、糖尿病性黄斑浮腫(Sohn et al.,American Journal of Opthamology,2011,152,686-694)、眼乾燥症(Stevenson et al,Arch Ophthalmol,2012,130,90-100)、および加齢性黄斑変性(Knickelbein et al,Int Ophthalmol Clin,2015,55(3),63-78)は、JAK-STAT経路を介してシグナル伝達する一定の炎症促進性サイトカインの上昇を特徴とする。したがって、本開示の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、関連する眼炎症を軽減し、疾患の進行を逆行させるか、症状を緩和することができ得る。したがって、1つの態様において、本開示は、哺乳動物の眼疾患を処置する方法であって、本開示の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、および薬学的キャリアを含む薬学的組成物を哺乳動物の眼に投与する工程を含む、方法を提供する。1つの態様において、眼疾患は、ブドウ膜炎、糖尿病性網膜症、糖尿病性黄斑浮腫、眼乾燥症、加齢性黄斑変性、またはアトピー性角結膜炎である。1つの態様において、本方法は、本開示の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を硝子体内注射によって投与する工程を含む。本開示の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩は、眼疾患に有用な1またはそれを超える化合物と併用されてもよい。
【0096】
本開示の化合物またはその薬学的に許容され得る塩はまた、他の炎症性疾患、自己免疫疾患、または癌などの他の疾患を処置するのに有用であり得る。本開示の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、関節炎、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、移植片拒絶、眼球乾燥、乾癬性関節炎、糖尿病、インスリン依存性糖尿病、運動ニューロン疾患、骨髄異形成症候群、疼痛、筋肉減少、悪液質、敗血症性ショック、全身性エリテマトーデス、白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、強直性脊椎炎、骨髄線維症、B細胞リンパ腫、肝細胞癌、ホジキン病、乳癌、多発性骨髄腫、黒色腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺癌、卵巣明細胞癌、卵巣腫瘍、膵臓腫瘍、真性赤血球増加症、シェーグレン症候群、軟部組織肉腫、肉腫、脾腫、T細胞リンパ腫、および重症型サラセミアのうちの1または複数の処置に有用であり得る。
【0097】
併用療法
本開示の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、疾患を処置するために同じ機構または異なる機構によって作用する1またはそれを超える薬剤と併用されてもよい。異なる薬剤は、別々の組成物または同じ組成物中で、連続してまたは同時に投与されてよい。併用療法に有用なクラスの薬剤としては、β2アドレナリン受容体アゴニスト、ムスカリン性受容体アンタゴニスト、グルココルチコイドアゴニスト、Gタンパク質共役受容体-44アンタゴニスト、ロイコトリエンD4アンタゴニスト、ムスカリンM3受容体アンタゴニスト、ヒスタミンH1受容体アンタゴニスト、免疫グロブリンEアンタゴニスト、PDE4阻害剤、IL-4アンタゴニスト、ムスカリンM1受容体アンタゴニスト、ヒスタミン受容体アンタゴニスト、IL-13アンタゴニスト、IL-5アンタゴニスト、5-リポキシゲナーゼ阻害剤、βアドレナリン受容体アゴニスト、CCR3ケモカインアンタゴニスト、CFTR刺激剤、免疫グロブリンモジュレーター、インターロイキン33リガンド阻害剤、PDE3阻害剤、ホスホイノシチド-3キナーゼδ阻害剤、トロンボキサンA2アンタゴニスト、エラスターゼ阻害剤、Kitチロシンキナーゼ阻害剤、ロイコトリエンE4アンタゴニスト、ロイコトリエンアンタゴニスト、PGD2アンタゴニスト、TNFαリガンド阻害剤、TNF結合剤、補体カスケード阻害剤、エオタキシンリガンド阻害剤、グルタチオンレダクターゼ阻害剤、ヒスタミンH4受容体アンタゴニスト、IL-6アンタゴニスト、IL2遺伝子刺激剤、免疫グロブリンガンマFc受容体IIBモジュレーター、インターフェロンガンマリガンド、インターロイキン13リガンド阻害剤、インターロイキン17リガンド阻害剤、L-セレクチンアンタゴニスト、白血球エラスターゼ阻害剤、ロイコトリエンC4アンタゴニスト、ロイコトリエンC4シンターゼ阻害剤、膜銅アミンオキシダーゼ阻害剤(membrane copper amine oxidase inhibitor)、メタロプロテアーゼ-12阻害剤、メタロプロテアーゼ-9阻害剤、ダニアレルゲンモジュレーター、ムスカリン性受容体モジュレーター、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニスト、核内因子カッパB阻害剤、p-セレクチンアンタゴニスト、PDE5阻害剤、PDGF受容体アンタゴニスト、ホスホイノシチド-3キナーゼガンマ阻害剤、TLR-7アゴニスト、TNFアンタゴニスト、Ablチロシンキナーゼ阻害剤、アセチルコリン受容体アンタゴニスト、酸性哺乳類キチナーゼ阻害剤、ACTH受容体アゴニスト、アクチン重合モジュレーター、アデノシンA1受容体アンタゴニスト、アデニル酸シクラーゼ刺激剤、アドレナリン受容体アンタゴニスト、副腎皮質刺激ホルモンリガンド、アルコールデヒドロゲナーゼ5阻害剤、α1抗トリプシン刺激剤、α1プロテイナーゼ阻害剤、アンドロゲン受容体モジュレーター、アンジオテンシン変換酵素2刺激剤、ANPアゴニスト、Bcrタンパク質阻害剤、β1アドレナリン受容体アンタゴニスト、β2アドレナリン受容体アンタゴニスト、β2アドレナリン受容体モジュレーター、βアミロイドモジュレーター、BMP10遺伝子阻害剤、BMP15遺伝子阻害剤、カルシウムチャネル阻害剤、カテプシンG阻害剤、CCL26遺伝子阻害剤、CCR3ケモカインモジュレーター、CCR4ケモカインアンタゴニスト、細胞接着分子阻害剤、シャペロニン刺激剤、キチナーゼ阻害剤、コラーゲンIアンタゴニスト、補体C3阻害剤、CSF-1アンタゴニスト、CXCR2ケモカインアンタゴニスト、サイトカイン受容体共通β鎖モジュレーター、細胞傷害性Tリンパ球タンパク質-4刺激剤、デオキシリボヌクレアーゼI刺激剤、デオキシリボヌクレアーゼ刺激剤、ジペプチジルペプチダーゼI阻害剤、DNAジャイレース阻害剤、DPプロスタノイド受容体モジュレーター、E-セレクチンアンタゴニスト、EGFRファミリーチロシンキナーゼ受容体阻害剤、エラスチンモジュレーター、エンドセリンET-Aアンタゴニスト、エンドセリンET-Bアンタゴニスト、エポキシドヒドロラーゼ阻害剤、FGF3受容体アンタゴニスト、Fynチロシンキナーゼ阻害剤、GATA3転写因子阻害剤、グルコシルセラミダーゼモジュレーター、グルタミン酸受容体モジュレーター、GM-CSFリガンド阻害剤、グアニル酸シクラーゼ刺激剤、H+K+ATPアーゼ阻害剤、ヘモグロビンモジュレーター、ヘパリンアゴニスト、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、ヒストン脱アセチル化酵素-2刺激剤、HMG CoAレダクターゼ阻害剤、I-カッパBキナーゼベータ阻害剤、ICAM1遺伝子阻害剤、IL-17アンタゴニスト、IL-17受容体モジュレーター、IL-23アンタゴニスト、IL-4受容体モジュレーター、免疫グロブリンGモジュレーター、免疫グロブリンG1アゴニスト、免疫グロブリンG1モジュレーター、免疫グロブリンイプシロンFc受容体IAアンタゴニスト、免疫グロブリンγFc受容体IIBアンタゴニスト、免疫グロブリンカッパモジュレーター、インスリン抵抗性改善薬、インターフェロンβリガンド、インターロイキン1様受容体アンタゴニスト、インターロイキン18リガンド阻害剤、インターロイキン受容体17Aアンタゴニスト、インターロイキン-1βリガンド阻害剤、インターロイキン-5リガンド阻害剤、インターロイキン-6リガンド阻害剤、KCNA電位依存性カリウムチャネル-3阻害剤、Kitリガンド阻害剤、ラミニン-5アゴニスト、ロイコトリエンCysLT1受容体アンタゴニスト、ロイコトリエンCysLT2受容体アンタゴニスト、LOXL2遺伝子阻害剤、Lynチロシンキナーゼ阻害剤、MARCKSタンパク質阻害剤、MDR関連タンパク質4阻害剤、メタロプロテアーゼ-2モジュレーター、メタロプロテアーゼ-9モジュレーター、鉱質コルチコイド受容体アンタゴニスト、ムスカリンM2受容体アンタゴニスト、ムスカリンM4受容体アンタゴニスト、ムスカリンM5受容体アンタゴニスト、ナトリウム利尿ペプチド受容体Aアゴニスト、ナチュラルキラー細胞受容体モジュレーター、ニコチン性ACh受容体α7サブユニット刺激因子、NK細胞受容体モジュレーター、核内因子カッパBモジュレーター、オピオイド増殖因子受容体アゴニスト、P糖タンパク質阻害剤、P2X3プリン受容体アンタゴニスト、p38MAPキナーゼ阻害剤、ペプチダーゼ1モジュレーター、ホスホリパーゼA2阻害剤、ホスホリパーゼC阻害剤、プラスミノゲン活性化因子阻害剤1阻害剤、血小板活性化因子受容体アンタゴニスト、PPARガンマアゴニスト、プロスタサイクリンアゴニスト、タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤、SH2ドメインイノシトールホスファターゼ1刺激剤、シグナル伝達阻害剤、ナトリウムチャネル阻害剤、STAT-3モジュレーター、幹細胞抗原-1阻害剤、スーパーオキシドジスムターゼモジュレーター、T細胞表面糖タンパク質CD28阻害剤、T細胞表面糖タンパク質CD8阻害剤、TGFβアゴニスト、TGFβアンタゴニスト、トロンボキサンシンセターゼ阻害剤、胸腺間質性リンホプロテイン(thymic stromal lymphoprotein)リガンド阻害剤、サイモシンアゴニスト、サイモシンβ4リガンド、TLR-8アゴニスト、TLR-9アゴニスト、TLR9遺伝子刺激剤、トポイソメラーゼIV阻害剤、トロポニンI骨格筋速筋刺激剤、トロポニンT骨格筋速筋刺激剤、I型IL-1受容体アンタゴニスト、II型TNF受容体モジュレーター、イオンチャネルモジュレーター、子宮グロビン刺激剤、およびVIPアゴニストが挙げられるが、これらに限定されない。
【0098】
本発明のJAK阻害剤化合物と併用され得る具体的な薬剤としては、ロシプトル酢酸塩、ウメクリジニウム臭化物、セクキヌマブ、メテンケファリン酢酸塩、トリデカクチド(tridecactide)酢酸塩、プロピオン酸フルチカゾン、α-シクロデキストリン安定化スルホラファン、テゼペルマブ、フロ酸モメタゾン、BI-1467335、デュピルマブ、アクリジニウム、フォルモテロール、AZD-1419、HI-1640V、リビパンセル、CMP-001、マンニトール、ANB-020、オマリズマブ、トレガリズマブ(tregalizumab)、Mitizax、ベンラリズマブ、ゴリムマブ、ロフルミラスト、イマチニブ、REGN-3500、マシチニブ、アプレミラスト、RPL-554、Actimmune、アダリムマブ、ルパタジン、パログレリル、MK-1029、プロピオン酸ベクロメタゾン、フマル酸フォルモテロール、モガムリズマブ、セラトロダスト、UCB-4144、ネミラリシブ、CK-2127107、フェビピプラント、ダニリキシン、ボセンタン、アバタセプト、EC-18、デュベリシブ、ドシパルスタット(dociparstat)、シプロフロキサシン、サルブタモールHFA、エルドステイン、PrEP-001、ネドクロミル、CDX-0158、サルブタモール、エノボサルム、R-TPR-022、レンジルマブ(lenzilumab)、フロ酸フルチカゾン、ビランテロールトリフェニル酢酸塩、プロピオン酸フルチカゾン、サルメテロール、PT-007、PRS-060、レメステムセル-L、シトルリン、RPC-4046、酸化窒素、DS-102、ゲリリムズマブ(gerilimzumab)、Actair、フロ酸フルチカゾン、ウメクリジニウム、ビランテロール、AG-NPP709、Gamunex、インフリキシマブ、Ampion、アクマピモド(acumapimod)、カナキヌマブ、INS-1007、CYP-001、シルクマブ、プロピオン酸フルチカゾン、メポリズマブ、ピタバスタチン、ソリスロマイシン、エタネルセプト、アイバカフトール、アナキンラ、MPC-300-IV、グリコピロニウム臭化物、アクリジニウム臭化物、FP-025、リサンキズマブ、グリコピロニウム、フマル酸フォルモテロール、Adipocell、YPL-001、チオトロピウム臭化物、グリコピロニウム臭化物、インダカテロールマレイン酸塩、アンデカリキシマブ、オロダテロール、エソメプラゾール、ダストダニワクチン、ヨモギ花粉アレルゲンワクチン、バモロロン、ゲファピキサント(gefapixant)、レベフェナシン、ゲフィチニブ、ReJoin、チペルカスト(tipelukast)、ベドラドリン、SCM-CGH、SHP-652、RNS-60、ブロダルマブ、BIO-11006、ウメクリジニウム臭化物、ビランテロールトリフェニル酢酸塩、臭化イプラトロピウム、トラロキヌマブ、PUR-1800、VX-561、VX-371、オロパタジン、ツロブテロール、フマル酸フォルモテロール、トリアムシノロンアセトニド、レスリズマブ、サルメテロールキシナホ酸塩、プロピオン酸フルチカゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、フマル酸フォルモテロール、チオトロピウム臭化物、リゲリズマブ、RUTI、ベルティリムマブ、オマリズマブ、グリコピロニウム臭化物、SENS-111、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、CHF-5992、LT-4001、インダカテロール、グリコピロニウム臭化物、フロ酸モメタゾン、フェキソフェナジン、グリコピロニウム臭化物、アジスロマイシン、AZD-7594、フォルモテロール、CHF-6001、バテフェンテロール、OATD-01、オロダテロール、CJM-112、ロシグリタゾン、サルメテロール、セチピプラント、吸入インターフェロンβ、AZD-8871、プレカナチド、フルチカゾン、サルメテロール、エイコサペンタエン酸モノグリセリド、レブリキズマブ、RG-6149、QBKPN、モメタゾン、インダカテロール、AZD-9898、ピルビン酸ナトリウム、ジレウトン、CG-201、イミダフェナシン、CNTO-6785、CLBS-03、モメタゾン、RGN-137、プロカテロール、フォルモテロール、CCI-15106、POL-6014、インダカテロール、ベクロメタゾン、MV-130、GC-1112、Allergovacデポ、MEDI-3506、QBW-251、ZPL-389、ウデナフィル、GSK-3772847、レボセチリジン、AXP-1275、ADC-3680、チマピプラント(timapiprant)、アベジテロール、AZD-7594、臭化イプラトロピウム、硫酸サルブタモール、タデキニグアルファ、ACT-774312、ドルナーゼアルファ、イロプロスト、バテフェンテロール、フロ酸フルチカゾン、アリカホルセン、シクレソニド、エメラミド、アルフォルモテロール、SB-010、Ozagrel、BTT-1023、Dectrekumab、レブアルブテロール、プランルカスト、ヒアルロン酸、GSK-2292767、フォルモテロール、NOV-14、Lucinactant、サルブタモール、プレドニゾロン、エバスチン、デキサメタゾンシペシル酸エステル、GSK-2586881、BI-443651、GSK-2256294、VR-179、VR-096、hdm-ASIT+、ブデソニド、GSK-2245035、VTX-1463、Emedastine、デクスプラミペキソール、レブアルブテロール、N-6022、リン酸デキサメタゾンナトリウム、PIN-201104、OPK-0018、TEV-48107、スプラタスト、BI-1060469、Gemilukast、インターフェロンγ、ダラザチド、ビラスチン、プロピオン酸フルチカゾン、サルメテロールキシナホ酸塩、RP-3128、臭化ベンシクロキジウム、レスリズマブ、PBF-680、CRTH2アンタゴニスト、Pranlukast、サルメテロールキシナホ酸塩、プロピオン酸フルチカゾン、臭化チオトロピウム一水和物、マシルカスト、RG-7990、Doxofylline、アベジテロール、グリコピロニウム臭化物、TEV-46017、ASM-024、プロピオン酸フルチカゾン、グリコピロニウム臭化物、サルメテロールキシナホ酸塩、サルブタモール、TA-270、フルニソリド、ナトリウムクロモグリケート(sodium chromoglycate)、Epsi-gam、ZPL-521、サルブタモール、アビプタジル、TRN-157、ザフィルルカスト、Stempeucel、ペミロラストナトリウム、ナドロール、プロピオン酸フルチカゾン+サルメテロールキシナホ酸塩、RV-1729、硫酸サルブタモール、二酸化炭素+パーフルオロオクチルブロミド、APL-1、デクトレクマブ+VAK-694、リジンアセチルサリチル酸、ジレウトン、TR-4、ヒト同種脂肪由来間葉系前駆細胞治療、MEDI-9314、PL-3994、HMP-301、TD-5471、NKTT-120、ペミロラスト、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、トランチンテロール、アルファルミノール一ナトリウム、IMD-1041、AM-211、TBS-5、ARRY-502、セラトロダスト、組換えミジスマーゼ、ASM-8、デフラザコート、バンブテロール、RBx-10017609、イプラトロピウム+フェノテロール、フルチカゾン+フォルモテロール、エピナスチン、WIN-901X、VALERGEN-DS、OligoG-COPD-5/20、ツロブテロール、oxis Turbuhaler、DSP-3025、ASM-024、ミゾラスチン、ブデソニド+サルメテロール、LH-011、AXP-E、ヒスタミンヒト免疫グロブリン、YHD-001、テオフィリン、アンブロキソール+エルドステイン、ラマトロバン、モンテルカスト、プランルカスト、AG-1321001、ツロブテロール、イプラトロピウム+サルブタモール、トラニラスト、メチルプレドニゾロンスレプタネート、コルホルシンダロパート、レピリナスト、およびドキソフィリンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0099】
また、本明細書では、本開示の化合物またはその薬学的に許容され得る塩および1またはそれを超える他の治療薬を含む薬学的組成物が提供される。治療薬は、上記で指定された薬剤のクラスおよび上記の特定の薬剤のリストから選択されてよい。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、肺への送達に適している。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、吸入または噴霧投与に適している。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、乾燥粉末または液体組成物である。
【0100】
さらに、一方法態様では、本開示は、本開示の化合物またはその薬学的に許容され得る塩および1またはそれを超える他の治療薬を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物の疾患または障害を処置する方法を提供する。
【0101】
併用療法で使用される場合、薬剤は、単一の薬学的組成物に処方されてもよく、または薬剤は、同じまたは異なる投与経路によって、同時にまたは別々の時間に投与される別個の組成物で提供されてもよい。このような組成物は、別々に包装されてもよいし、キットとして一緒に包装されてもよい。キット内の2またはそれを超える治療薬は、同じ投与経路によって投与されても、異なる投与経路によって投与されてもよい。
【実施例0102】
実施例
以下の合成および生物学の実施例は、本発明を例証するために提供されるのであって、決して本発明の範囲を限定すると解釈されるべきでない。下記の実施例では、以下の省略形は、別段示されない限り、以下の意味を有する。下記に定義されない省略形は、それらの一般に認められている意味を有する。
ACN=アセトニトリル
DCM=ジクロロメタン
DIPEA=N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DMF=N,N-ジメチルホルムアミド
EtOAc=酢酸エチル
h=時間
HATU=N,N,N’,N’-テトラメチル-O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)ウロニウムヘキサフルオロホスフェート
IPA=イソプロピルアルコール
IPAc=イソプロピルアセテート
MeOH=メタノール
min=分
Pd(PPh3)4=テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)
RT=室温
TFA=トリフルオロ酢酸
THF=テトラヒドロフラン
ビス(ピナコラト)ジボロン=4,4,5,5,4’,4’,5’,5’-オクタメチル-[2,2’]ビ[[1,3,2]ジオキサボロラニル]
【0103】
試薬および溶媒は、商業的供給業者(Aldrich、Fluka、Sigmaなど)から購入し、さらに精製せずに使用した。反応混合物の進行は、薄層クロマトグラフィー(TLC)、分析用高速液体クロマトグラフィー(anal.HPLC)および質量分析法によってモニターした。反応混合物は、各反応において具体的に記載されるようにワークアップした;通常、それらは、抽出および他の精製方法(例えば、温度依存性および溶媒依存性の結晶化および沈殿)によって精製した。さらに、反応混合物は、代表的にはC18またはBDSカラムパッキングおよび従来の溶離剤を用いる、カラムクロマトグラフィーまたは分取HPLCによって通例のように精製した。代表的な分取HPLC条件は、下記に記載される。
【0104】
反応生成物の特徴付けは、質量分析法および1H-NMR分光法によって通例のように行った。NMR解析の場合、サンプルを重水素化溶媒(例えば、CD3OD、CDCl3またはd6-DMSO)に溶解し、標準的な観測条件下でVarian Gemini 2000装置(400MHz)を用いて1H-NMRスペクトルを取得した。化合物の質量分析同定は、自動精製システムに連結された、Applied Biosystems(Foster City,CA)のモデルAPI 150 EX装置またはWaters(Milford,MA)の3100装置を用いるエレクトロスプレーイオン化法(ESMS)によって行った。
分取HPLC条件
カラム:C18、5μm 21.2×150mmまたはC18、5μm 21×250mmまたはC14 5μm 21×150mm
カラム温度:室温
流速:20.0mL/分
移動相:A=水+0.05%TFA
B=ACN+0.05%TFA、
注入体積:(100~1500μL)
検出器の波長:214nm
【0105】
粗化合物を約50mg/mLで1:1水:酢酸に溶解した。4分間の分析スケールの試験ランを、2.1×50mmC18カラムを用いて行った後、15または20分間の分取スケールのランを、分析スケールの試験ランの%B保持に基づくグラジエントを伴う100μLの注入を用いて行った。正確な勾配は試料に依存した。最適な分離のために、近接して流れる不純物を含む試料を21×250mm C18カラムおよび/または21×150mm C14カラムでチェックした。所望の生成物を含有する画分を質量分析によって特定した。
【0106】
調製1:4-(ベンジルオキシ)-2-エチルフェニル)トリフルオロ-λ
4-ボラン,カリウム塩I-5
【化19】
(a)1-(ベンジルオキシ)-3-エチルベンゼン(I-2)
3-エチルフェノール(I-1)(25.0g、204.0mmol)のACN(250mL、10体積)中の撹拌溶液に、炭酸カリウム(42.0g、306mmol)を室温で加えた。得られた反応塊を室温で15分間撹拌し、続いて臭化ベンジル(24.0mL、204mmol)を滴下して加えた。得られた反応混合物を室温で6時間撹拌した。反応の完了後(TLCでモニター)、得られた反応塊を水(1.0L)に注ぎ、続いてEtOAc(2x2L)で化合物を抽出した。合わせた有機物を冷水、ブライン溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。次に、粗生成物を2%EtOAcを含むヘキサンの溶離液を使用するシリカゲル(100~200M)でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物(I-2)を淡黄色の油状化合物として得た(35.0g、81%)。
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.46-7.44 (m, 2H), 7.39 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 7.34-7.31 (m, 1H), 7.21 (t, J =
7.6 Hz), 6.86-6.80 (m, 3H), 5.07 (s, 2H), 2.64 (q, J = 7.6 Hz, 2H), 1.24 (t, J = 7.6 Hz, 3H).
【0107】
(b)4-(ベンジルオキシ)-1-ブロモ-2-エチルベンゼン(I-3)
1-(ベンジルオキシ)-3-エチルベンゼン(I-2)(35.0g、164mmol)のACN(525mL、15体積)中の氷冷撹拌溶液に、N-ブロモスクシンイミド(32.0g、181mmol)を15分間にわたり少量ずつ加えた。得られた反応混合物を、それから1時間室温で撹拌した。反応の完了後(TLCでモニター)、得られた反応塊を氷冷水(1.50L)に注ぎ、続いてEtOAc(2×1L)で化合物を抽出した。合わせた有機物を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させて、粗生成物を得た。粗材料にn-ヘキサン(250mL)を加えてスラリーにし、続いて半融漏斗で濾過した。母液を減圧下で蒸発させて、所望の生成物I-3を淡黄色の油状化合物として得た(42.0g、87%)。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.52-7.29 (m, 7H), 6.88 (s, 1H), 6.68 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 5.04 (s, 2H), 2.69 (q, J = 7.6 Hz, 2H), 1.20 (t, J =
7.5 Hz, 3H).
【0108】
(c)2-(4-(ベンジルオキシ)-2-エチルフェニル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(I-4)
4-(ベンジルオキシ)-1-ブロモ-2-エチルベンゼン(I-3)(42.0g、144mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(44.0g、173mmol)、および酢酸カリウム(28g、288mmol)のジオキサン(440mL)中の撹拌溶液を、N2(g)を15分間パージすることにより脱気し、続いてPdCl2(dppf).DCM錯体(11.0g、15mmol)を加えた。得られた反応混合物を、それから16時間、80℃まで加熱した。反応の完了後(TLCでモニター)、反応塊をセライト床で濾過し、母液を減圧下で蒸発させて、粗生成物を得た。粗残渣を、1%EtOAcを含むヘキサンの溶離液を使用することによるシリカゲル(100~200M)でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物(I-4)を淡黄色の油状化合物として得た(32.0g、66%)。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d)
δ 7.74 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.45-7.36 (m, 5H), 6.84-6.78 (m, 2H), 5.08 (s, 2H),
2.91 (q, J = 7.6 Hz), 1.33 (s, 12H), 1.19 (t, J = 7.6 Hz, 3H).
【0109】
(d)(4-(ベンジルオキシ)-2-エチルフェニル)トリフルオロ-λ4-ボラン,カリウム塩(I-5)
化合物2-(4-(ベンジルオキシ)-2-エチルフェニル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(I-4)(20g、59.0mmol)のアセトン:メタノール(200mL、1:1比、10体積)中の撹拌溶液に、フッ化水素カリウムの3M溶液(23.0g、295mmol、98.0mLの水に溶解)を加えた。得られた反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応の完了後(TLCでモニター)、得られた反応塊を減圧下で蒸発させた。このようにして得た固体を水(100mL)に取り、室温で30分間撹拌した。得られた反応塊を半融漏斗で濾過し、n-ヘキサンで洗浄し、減圧下で乾燥させて、所望の生成物(I-5)を白色固体として得た(14.0g、74%)。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.43 (d, J = 7.2 Hz, 2H), 7.37 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 7.30 (t, J = 7.1 Hz, 1H), 7.22 (d, J = 8.0 Hz), 6.58 (s, 1H), 6.53 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 5.00 (s, 2H), 2.65 (q, J = 7.5 Hz, 2H), 1.07 (t, J = 7.4 Hz, 3H).
【0110】
調製2:6-ベンジル5-(tert-ブチル)(S)-3-ベンジル-3,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5,6-ジカルボキシレート(I-11)
【化20】
(a)(S)-4,5,6,7-テトラヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボン酸,塩酸塩(I-7)
L-ヒスチジン(I-6)(5.0kg、32.14mol)の水(40L、8体積)中の氷冷撹拌懸濁液に、濃塩酸(3.93L、33.75mol)を加え、続いてホルムアルデヒド(5.50L、67.5mol、37%水溶液)を滴下して加えた。得られた溶液を同じ温度で30分間撹拌し、次いで80℃で8時間加熱した。反応の進行はLCMSでモニターした。水を減圧下で除去して粗生成物を得、得られた粗生成物をトルエン(20L)中で2時間撹拌した。有機物を減圧下で除去して過剰の水を除去し、化合物を共沸乾燥させた。次に、得られた材料をジエチルエーテル(20L)に取り、2時間撹拌した。次に、固体材料を濾過し、風乾させて、所望の生成物(I-7)をオフホワイト固体として得た(6.50Kg、85%)。
1H NMR (400 MHz, D2O) δ 8.69 (s, 1H), 4.56 (d, J = 15.4 Hz, 1H), 4.42 (d, J = 15.5 Hz, 1H), 4.20 (dd, J = 5.5, 5.2 Hz, 1H), 3.42 (dd, J = 5.0,
17.0 Hz, 1H), 3.11 (dd, J = 10.2, 16.8 Hz, 1H).
【0111】
(b)(S)-3,5-ビス(tert-ブトキシカルボニル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボン酸(I-8)
(S)-4,5,6,7-テトラヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボン酸二塩酸塩(I-7)(6.10Kg、25.40mol)の1,4-ジオキサン(48L、8体積)および水(48L、8体積)中の氷冷撹拌溶液に、トリエチルアミン(12.36L、89mol)を滴下して加え、続いて二炭酸ジ-tert-ブチル(18.07L、78.74mol、5Lの1,4-ジオキサンに溶解)を30分間にわたって加えた。得られた反応混合物を室温でそれから16時間撹拌した。反応の完了後(TLCおよびLCMSでモニター)、黄色がかった反応混合物を水(10L)で希釈し、ジエチルエーテル(2×10L)およびEtOAc(2×7.50L)で連続して洗浄した。有機相を廃棄した。水層を冷却し、6N HCl溶液でpHを約3にした;水相をEtOAc(3×10L)で抽出した。合わせた有機物をブライン溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。油状残渣を30% EtOAc:ヘキサンから結晶化させて、所望の生成物(I-8)をオフホワイトの固体として得た(5.1Kg、55%)。(m/z):[M+H]+ C17H25N3O6の計算値368.18、実測値368.21。
【0112】
(c)6-ベンジル3,5-ジ-tert-ブチル(S)-6,7-ジヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-3,5,6(4H)-トリカルボキシレート(I-9)
(S)-3,5-ビス(tert-ブトキシカルボニル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボン酸(I-8)(5.1Kg、13.88mol)のDCM(51L、10体積)中の氷冷溶液に、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(41.0L、8体積)、ヨウ化テトラブチルアンモニウム(5.13Kg、13.88mol)および臭化ベンジル(2.47L、20.82mol)順次加えた。得られた反応混合物を室温でそれから16時間撹拌した。反応の完了後(TLCおよびLCMSでモニター)、二相溶液を分離した。水層をDCM(3×10L)で抽出した。合わせた有機物をブライン溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して粗生成物を得、これを40%EtOAcを含むヘキサンの溶離液を使用するシリカゲル(100~200M)によるカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物(I-9)を粘稠性油状物質として得た(4.50Kg、72%)。(m/z):[M+H]+ C24H31N3O6の計算値458.22、実測値458.60。
【0113】
(d)6-ベンジル5-(tert-ブチル)(S)-3,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5,6-ジカルボキシレート(I-10)
6-ベンジル3,5-ジ-tert-ブチル(S)-6,7-ジヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-3,5,6(4H)-トリカルボキシレート(I-9)(4.50Kg、9.84mol)のIPA(45L、10体積)中の氷冷溶液に、水酸化アンモニウム(36L、8体積)を滴下して加えた。得られた反応混合物を室温でそれから16時間さらに撹拌した。反応の完了後(TLCおよびLCMSでモニター)、得られた混合物を水(25L)で希釈し、続いてEtOAc(3×20L)で抽出した。合わせた有機物をブライン溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して粗生成物を得、これを2%MeOHを含むDCMの溶離液を使用するシリカゲル(100~200M)によるカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物(I-10)を濃厚な粘稠性油状物質として得た(2.70Kg、77%)。(m/z):[M+H]+ C19H23N3O4の計算値358.17、実測値358.33。
【0114】
(e)6-ベンジル5-(tert-ブチル)(S)-3-ベンジル-3,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5,6-ジカルボキシレート(I-11)
6-ベンジル5-(tert-ブチル)(S)-3,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5,6-ジカルボキシレート(I-10)(2.70kg、7.55mol)のDCM(32.4L、12体積)中の氷冷溶液に、1N水酸化ナトリウム水溶液(24.3L、9体積)を加え、続いてヨウ化テトラブチルアンモニウム(2.80Kg、7.55mol)および臭化ベンジル(0.99L、8.31mol)を順次加えた。得られた反応混合物を室温でそれから2時間撹拌した。反応の完了後(TLCおよびLCMSでモニター)、二相溶液を分離した。水層をDCM(3×10L)で抽出した。合わせた有機物をブライン溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して粗生成物を得、これを40%EtOAcを含むヘキサンの溶離液を使用するシリカゲル(100~200M)でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物(I-11)を粘稠性油状物質として得た(1.70Kg、63%)。(m/z):[M+H]+ C26H29N3O4の計算値448.22、実測値448.20。
【0115】
調製3:6-ベンジル5-(tert-ブチル)(S)-3-ベンジル-2-(6-(4-(ベンジルオキシ)-2-エチルフェニル)-1H-インダゾール-3-イル)-3,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5,6-ジカルボキシレート(I-16)
【化21】
(a)4-ブロモ-2-フルオロベンゾイルクロリド(I-13)
4-ブロモ-2-フルオロ安息香酸(I-12)(1.25Kg、5.71mol)のDCM(12.5L、15体積)中の氷冷撹拌溶液に、塩化オキサリル(0.98L、11.42mol)を滴下して加えた。得られた反応混合物を同じ温度で10分間撹拌した。次に、DMF(150mL)を反応混合物に滴下して加えた。得られた反応塊を室温まで温め、2時間撹拌した。反応の完了後(TLCでモニター)、過剰の塩化オキサリルを、窒素雰囲気下、減圧下で除去して粗生成物(I-13)を得(1.08Kg、80%)、これをさらに精製せずに次のステップで使用した。
【0116】
(b)6-ベンジル5-(tert-ブチル)(S)-3-ベンジル-2-(4-ブロモ-2-フルオロベンゾイル)-3,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5,6-ジカルボキシレート(I-14)
6-ベンジル5-(tert-ブチル)(S)-3-ベンジル-3,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5,6-ジカルボキシレート(I-11)(1.70Kg、3.80mol)のACN(13.6L、8体積)中の撹拌溶液に、トリエチルアミン(2.11L、15.2mol)を加え、続いて4-ブロモ-2-フルオロベンゾイルクロリド(I-13)(1.08Kg、3.4LのACN中4.56mol、2体積)を室温で加えた。添加の完了後、得られた反応混合物の色は淡黄色から褐色に変わった。得られた反応混合物を同じ温度で30分間撹拌し、反応の進行をTLCでモニターした。得られた反応混合物を氷冷水(10L)でクエンチし、続いてEtOAc(3×5L)で抽出し、合わせた有機物をブライン溶液で洗浄した。有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して粗生成物を得、これを20%EtOAcを含むヘキサンの溶離液を使用するシリカゲル(100~200M)でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物(I-14)を得た(1.74Kg、71%)。(m/z):[M+H]+ C33H31BrFN3O5の計算値648.14、実測値648.20。
【0117】
(c)6-ベンジル5-(tert-ブチル)(S)-3-ベンジル-2-(6-ブロモ-1H-インダゾール-3-イル)-3,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5,6-ジカルボキシレート(I-15)
6-ベンジル5-(tert-ブチル)(S)-3-ベンジル-2-(4-ブロモ-2-フルオロベンゾイル)-3,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5,6-ジカルボキシレート(I-14)(1.74Kg、2.68mol)のTHF(26.0L、15体積)中の撹拌溶液に、ヒドラジン水和物(0.705L、13.4mol)を室温で加えた。得られた反応混合物を、60℃で3時間加熱した。反応の完了後(TLCでモニター)、得られた反応塊を氷冷水(10L)に注ぎ、続いてEtOAc(3×10L)で化合物を抽出した。合わせた有機物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させて粗生成物を得、これを、20%EtOAcを含むヘキサンの溶離液を使用するシリカゲル(100~200M)でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物(I-15)をオフホワイト固体として得た(1.12Kg、65%)。(m/z):[M+H]+ C33H32BrN5O4の計算値642.16、実測値642.21。
【0118】
(d)6-ベンジル5-(tert-ブチル)(S)-3-ベンジル-2-(6-(4-(ベンジルオキシ)-2-エチルフェニル)-1H-インダゾール-3-イル)-3,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5,6-ジカルボキシレート(I-16)
ビス(ピナコラト)ジボロン(250g、984mmol)を、フッ化物化学を使用して事前にエッチングした5Lの3口単層フラスコ(single walled flask)に、プロパン-2-オール(1882mL、2.46E+04mmol)とともに装入し、混合物を完全に溶解するまで撹拌した。溶解は吸熱性であった(-4℃)。フッ化物化学を使用して事前にエッチングした4Lエルレンマイヤーフラスコ内で、フッ化カリウムフッ化水素酸塩(538g、6891mmol)を水(2.306L、1.28E+05mmol)に溶解して3M溶液を形成した。溶解は吸熱性であった(-12℃)。次に、溶液を濾過して、少量の不溶性材料をフッ化カリウムフッ化水素酸塩から除去した。両方の溶液が完全に溶解したら、エルレンマイヤーフラスコの内容物を15分にわたり少量ずつ単層フラスコに装入した。中程度の発熱が観察された(+10℃)。溶液は添加中に濃厚で半透明の灰色のスラリーになり、内容物が十分に混合されるように撹拌が増やされた。混合物を1.5時間撹拌した後、粗いフリットガラス漏斗(4L、事前にエッチング済)に通して濾過した。濾過が完了するまでに30~45分かかった。透明な二相の濾液を廃棄した。白色の固体をフィルター上で10分間乾燥させた(ケーキの亀裂が観察された)。固体を洗浄した5Lの3口単層フラスコに戻し、水(1.33L、7.38E+04mmol)再びスラリーにした。スラリーを2時間撹拌し、その後スラリーは透明で均質なヒドロゲルを形成した。溶液をさらに1時間撹拌し、その後すぐに4Lの粗いガラス漏斗(事前にエッチング済)を使用して固体/ゲルを濾過した。固形物をフィルター上で30分間乾燥させた。固体を洗浄した5Lの3口単層フラスコに戻し、アセトン(1.084L、1.48E+04mmol)で再びスラリーにした。白色/灰色のスラリーを1時間撹拌した後、4Lの粗いガラス漏斗(事前にエッチング済)で濾過した。濾過が完了するまで20分かかり、その後漏斗上でさらに1時間乾燥させた。この間、固体を時々かき混ぜて均一な乾燥を確保した。フィルター上で乾燥させた後に、薄白色の粉末が残った。固体を真空下55℃で20時間、ゆっくりと窒素を入れながら乾燥させて、ふわふわした白色の固体を得た(200.3gを回収)。
【0119】
6-ベンジル5-(tert-ブチル)(S)-3-ベンジル-2-(6-ブロモ-1H-インダゾール-3-イル)-3,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5,6-ジカルボキシレート(I-15)(10.0g、16.0mmol)の2-メチルテトラヒドロフラン(100mL、10体積)中の撹拌溶液に、(4-(ベンジルオキシ)-2-エチルフェニル)トリフルオロ-λ4-ボラン,カリウム塩(I-5)(8.0g、20mmol)、および上記で得られたふわふわした白色の固体(0.20g)を加えた。得られた反応混合物を窒素ガスで30分間脱気した。この溶液に、調製した炭酸セシウムの水溶液(20.0g、水60mL中62.0mmol、6体積)を加えた。得られた反応混合物をさらに15分間脱気し、続いてビス(ジ-tert-ブチル(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィン)ジクロロパラジウム(II)(0.66g、0.93mmol)を加え、反応混合物を真空下で排気し、窒素で流した。得られた反応混合物を、110℃で20時間加熱した。反応の完了後(TLCおよびLCMSでモニター)、得られた反応混合物を室温まで冷却し、セライト床で濾過した後、EtOAc(3×0.5L)でさらに洗浄した。合わせた有機物を1N水酸化ナトリウム溶液(3×0.5L)で洗浄した。次に、合わせた有機物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させて粗生成物を得、これを、20%EtOAcを含むヘキサンの溶離液を使用するシリカゲル(100~200M)でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物(I-16)を(N-ベンジル位置異性体の混合物として)淡黄色の固体として得た(8.0g、66%)。(m/z):[M+H]+
C48H47N5O5の計算値774.36、実測値774.59。
【0120】
調製4:(S)-2-(6-(2-エチル-4-ヒドロキシフェニル)-1H-インダゾール-3-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボン酸,塩酸塩(I-18)
【化22】
(a)ベンジル(S)-3-ベンジル-2-(6-(4-(ベンジルオキシ)-2-エチルフェニル)-1H-インダゾール-3-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボンキシレート,塩酸塩(I-17)
6-ベンジル5-(tert-ブチル)(S)-3-ベンジル-2-(6-(4-(ベンジルオキシ)-2-エチルフェニル)-1H-インダゾール-3-イル)-3,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5,6-ジカルボキシレート(I-16)(1.0g、1.292mmol)をジオキサン(8mL)および水(1.5mL)に溶解し、次いでジオキサン中4Mの塩化水素溶液(7mL、28.0mmol)を加え、反応混合物を室温で3時間撹拌した(反応の進行はLCMSでモニターした)。次に、反応混合物を凍結し、凍結乾燥し、粗生成物(I-17)を次の反応で直接使用した(定量的収量を想定)。(m/z):[M+H]
+ C
43H
39N
5O
3の計算値674.31、実測値674.3。
【0121】
(b)(S)-2-(6-(2-エチル-4-ヒドロキシフェニル)-1H-インダゾール-3-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボン酸,塩酸塩(I-18)
ベンジル(S)-3-ベンジル-2-(6-(4-(ベンジルオキシ)-2-エチルフェニル)-1H-インダゾール-3-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボキシレート、塩酸塩(I-17)(0.918g、1.292mmol)を、2-プロパノール(15mL)、水中5Mの塩化水素溶液(0.258mL、1.292mmol)、および水(0.25mL)に50℃で溶解し、次いで炭素上10重量%のパラジウム、50%の水(0.138g、0.065mmol)を加えた。次に、反応フラスコを窒素でパージし、水素バルーンを取り付け、反応混合物を50℃で4日間撹拌し、必要に応じて水素バルーンを補充した(反応の進行はLCMSでモニターした)。次に、すべての固体を濾過により除去し、得られた溶液を濃縮した。残渣を1:1のACN/水に溶解し、凍結し、凍結乾燥した。得られた粉末(I-18)を、さらに精製せずに使用した(定量的収量を想定)。(m/z):[M+H]+
C22H21N5O3の計算値404.17、実測値404.2。
【0122】
調製5:(S)-2-(6-(2-エチル-4-ヒドロキシフェニル)-1H-インダゾール-3-イル)-5-イソプロピル-4,5,6,7-テトラヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボン酸(I-19)
【化23】
(S)-2-(6-(2-エチル-4-ヒドロキシフェニル)-1H-インダゾール-3-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボン酸,HCl(I-18)(0.25g、0.568mmol)をDMF(2.5mL)およびアセトン(2.5mL)に懸濁し、次に酢酸(0.098mL、1.705mmol)およびシアノ水素化ホウ素ナトリウム(0.179g、2.84mmol)を加え、反応混合物を室温で24時間撹拌した(反応の進行はLCMSでモニターした)。反応混合物を濃縮し、次に粗生成物を逆相クロマトグラフィー(5~70%ACN/水の勾配、50g C18aqカラム)により精製して、表題化合物のTFA塩を得た(149mg、収率47%)。(m/z):[M+H]
+ C
25H
27N
5O
3の計算値446.21、実測値446.3。
【0123】
実施例1:(S)-(3-(ジメチルアミノ)アゼチジン-1-イル)(2-(6-(2-エチル-4-ヒドロキシフェニル)-1H-インダゾール-3-イル)-5-イソプロピル-4,5,6,7-テトラヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-イル)メタノン
【化24】
(S)-2-(6-(2-エチル-4-ヒドロキシフェニル)-1H-インダゾール-3-イル)-5-イソプロピル-4,5,6,7-テトラヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボン酸,TFA(I-19)(50mg、0.089mmol)、3-(ジメチルアミノ)アゼチジン二塩酸塩(23.20mg、0.134mmol)、およびDIPEA(0.078mL、0.447mmol)をDMF(1.5mL)に溶解し、次にHATU(51.0mg、0.134mmol)を加え、反応混合物を室温で3時間撹拌した(反応の進行はLCMSでモニターした)。ヒドラジン(0.014ml、0.447mmol)を加えて望ましくない副生成物を切断し、溶液を室温で10分間撹拌した。次に、反応混合物を濃縮し、粗生成物を分取HPLC(5~70%ACN/水の勾配、C18カラム)により精製して、表題化合物のTFA塩を得た(25mg、収率37%)。(m/z):[M+H]
+ C
30H
37N
7O
2の計算値528.30、実測値528.3。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 13.09 (s, 1H), 9.40 (s, 1H), 8.27 (d, J =
8.31, 1H), 7.30 (s, 1H), 7.04 (m, 2H), 6.71 (d, J = 2.54, 1H), 6.64 (dd, J = 2.53, 8.26, 1H), 4.26 (m, 1H), 4.06 (m, 2H), 3.82 (m, 2H), 3.64 (m, 2H), 3.03 (m, 2H), 2.74 (m, 2H), 2.47 (q, J = 7.56, 2H), 2.07 (d, J = 3.69, 6H), 1.07 (m, 6H),
1.00 (t, J = 7.50, 3H).
【0124】
調製6:(S)-5-エチル-2-(6-(2-エチル-4-ヒドロキシフェニル)-1H-インダゾール-3-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボン酸
【化25】
(S)-2-(6-(2-エチル-4-ヒドロキシフェニル)-1H-インダゾール-3-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボン酸,HCl(0.100g、0.227mmol)(I-18)およびアセトアルデヒド(0.019mL、0.341mmol)をメタノール(3.0mL)に溶解し、次にシアノ水素化ホウ素ナトリウム(0.057g、0.909mmol)を加え、反応混合物を室温で16時間撹拌した(反応の進行はLCMSでモニターした)。水素化ホウ素ナトリウム(9mg、0.227mmol)を加えて、残っているアセトアルデヒドをクエンチし、次に反応混合物を濃縮した。次に、粗生成物を逆相クロマトグラフィー(5~70%ACN/水の勾配、40g C18カラム)により精製して、表題化合物のTFA塩を得た(62mg、収率50%)。(m/z):[M+H]
+ C
24H
25N
5O
3の計算値432.20、実測値432.1。
【0125】
実施例2:(S)-(3-(ジメチルアミノ)アゼチジン-1-イル)(5-エチル-2-(6-(2-エチル-4-ヒドロキシフェニル)-1H-インダゾール-3-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-イル)メタノン
【化26】
(S)-5-エチル-2-(6-(2-エチル-4-ヒドロキシフェニル)-1H-インダゾール-3-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボン酸,TFA(30mg、0.055mmol)、3-(ジメチルアミノ)アゼチジン二塩酸塩(14.28mg、0.082mmol)、およびDIPEA(0.048mL、0.275mmol)をDMF(1.50mL)に溶解し、次にHATU(31.4mg、0.082mmol)を加え、反応混合物を室温で1時間撹拌した(反応の進行はLCMSでモニターした)。ヒドラジン(5.18μl、0.165mmol)を加えて望ましくない副生成物を切断した後、溶液を室温で10分間撹拌した。次に、反応混合物を濃縮し、粗生成物を分取HPLC(5~60%ACN/水の勾配、C18カラム)により精製して、表題化合物のTFA塩を得た(25mg、収率63%)。(m/z):[M+H]
+ C
29H
35N
7O
2の計算値514.29、実測値514.2。
【0126】
実施例3:(S)-(3-(ジメチルアミノ)-3-メチルアゼチジン-1-イル)(5-エチル-2-(6-(2-エチル-4-ヒドロキシフェニル)-1H-インダゾール-3-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-イル)メタノン
【化27】
(S)-5-エチル-2-(6-(2-エチル-4-ヒドロキシフェニル)-1H-インダゾール-3-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボン酸,TFA(30mg、0.055mmol)、N,N,3-トリメチルアゼチジン-3-アミン塩酸塩(12.43mg、0.082mmol)、およびDIPEA(0.048mL、0.275mmol)をDMF(1.50mL)に溶解し、次にHATU(31.4mg、0.082mmol)を加え、反応混合物を室温で1時間撹拌した(反応の進行はLCMSでモニターした)。ヒドラジン(5.18μl、0.165mmol)を加えて望ましくない副生成物を切断した後、溶液を室温で10分間撹拌した。次に、反応混合物を濃縮し、粗生成物を分取HPLC(5~60%ACN/水の勾配、C18カラム)により精製して、表題化合物のTFA塩を得た(25mg、収率62%)。(m/z):[M+H]
+ C
30H
37N
7O
2の計算値528.30、実測値528.2。
【0127】
実施例4:(S)-(3-(ジメチルアミノ)-3-メチルアゼチジン-1-イル)(2-(6-(2-エチル-4-ヒドロキシフェニル)-1H-インダゾール-3-イル)-5-イソプロピル-4,5,6,7-テトラヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-イル)メタノン
【化28】
(S)-2-(6-(2-エチル-4-ヒドロキシフェニル)-1H-インダゾール-3-イル)-5-イソプロピル-4,5,6,7-テトラヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボン酸(40mg、0.090mmol)(I-19)N,N,3-トリメチルアゼチジン-3-アミン塩酸塩(20.29mg、0.135mmol)、およびDIPEA(0.047mL、0.269mmol)をDMF(1.50mL)に溶解し、次にHATU(51.2mg、0.135mmol)を加え、反応混合物を室温で16時間撹拌した(反応の進行はLCMSでモニターした)。ヒドラジン(8.45μl、0.269mmol)を加えて望ましくない副生成物を切断した後、溶液を室温で10分間撹拌した。次に、反応混合物を濃縮し、粗生成物を分取HPLC(5~60%ACN/水の勾配、C18カラム)により精製して、表題化合物のTFA塩を得た(26mg、収率38%)。(m/z):[M+H]
+ C
31H
39N
7O
2の計算値542.32、実測値542.2。
【0128】
調製7:(S)-2-(6-(2-エチル-4-ヒドロキシフェニル)-1H-インダゾール-3-イル)-5-プロピル-4,5,6,7-テトラヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボン酸(I-20)
【化29】
(S)-2-(6-(2-エチル-4-ヒドロキシフェニル)-1H-インダゾール-3-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボン酸,HCl(I-18)(0.160g、0.364mmol)およびプロピオンアルデヒド(0.039mL、0.546mmol)をメタノール(3.0mL)に溶解し、次にシアノ水素化ホウ素ナトリウム(0.069g、1.091mmol)を加え、反応混合物を室温で24時間撹拌した(反応の進行はLCMSでモニターした)。反応混合物を濃縮し、粗生成物を逆相クロマトグラフィー(5~70%ACN/水の勾配、50g C18カラム)により精製して、表題化合物のTFA塩を得た(78mg、収率38%)。(m/z):[M+H]
+ C
25H
27N
5O
3の計算値446.21、実測値446.3。
【0129】
実施例5:(S)-(3-(ジメチルアミノ)アゼチジン-1-イル)(2-(6-(2-エチル-4-ヒドロキシフェニル)-1H-インダゾール-3-イル)-5-プロピル-4,5,6,7-テトラヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-イル)メタノン
【化30】
(S)-2-(6-(2-エチル-4-ヒドロキシフェニル)-1H-インダゾール-3-イル)-5-プロピル-4,5,6,7-テトラヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボン酸,TFA(30mg、0.054mmol)、(I-20)3-(ジメチルアミノ)アゼチジン二塩酸塩(13.92mg、0.080mmol)、およびDIPEA(0.047mL、0.268mmol)をDMF(1.50mL)に溶解し、次にHATU(30.6mg、0.080mmol)を加え、反応混合物を室温で1時間撹拌した(反応の進行はLCMSでモニターした)。ヒドラジン(5.05μl、0.161mmol)を加えて望ましくない副生成物を切断した後、溶液を室温で10分間撹拌した。次に、反応混合物を濃縮し、粗生成物を分取HPLC(5~60%ACN/水の勾配、C18カラム)により精製して、表題化合物のTFA塩を得た(26mg、収率63%)。(m/z):[M+H]
+ C
30H
37N
7O
2の計算値528.30、実測値528.2。
【0130】
実施例6:(S)-(3-(ジメチルアミノ)-3-メチルアゼチジン-1-イル)(2-(6-(2-エチル-4-ヒドロキシフェニル)-1H-インダゾール-3-イル)-5-プロピル-4,5,6,7-テトラヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-イル)メタノン
【化31】
(S)-2-(6-(2-エチル-4-ヒドロキシフェニル)-1H-インダゾール-3-イル)-5-プロピル-4,5,6,7-テトラヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボン酸,TFA(30mg、0.054mmol)、(I-20)N,N,3-トリメチルアゼチジン-3-アミン塩酸塩(12.12mg、0.080mmol)、およびDIPEA(0.047mL、0.268mmol)をDMF(1.50mL)に溶解し、次にHATU(30.6mg、0.080mmol)を加え、反応混合物を室温で1時間撹拌した(反応の進行はLCMSでモニターした)。ヒドラジン(5.05μl、0.161mmol)を加えて望ましくない副生成物を切断した後、溶液を室温で10分間撹拌した。次に、反応混合物を濃縮し、粗生成物を分取HPLC(5~60%ACN/水の勾配、C18カラム)により精製して、表題化合物のTFA塩を得た(18mg、収率44%)。(m/z):[M+H]
+ C
31H
39N
7O
2の計算値542.32、実測値542.2。
【0131】
調製8:2-(4-(ベンジルオキシ)-2-エチル-5-フルオロフェニル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン
【化32】
(a)1-(ベンジルオキシ)-4-ブロモ-5-エチル-2-フルオロベンゼン
4-ブロモ-5-エチル-2-フルオロフェノール(20g、910.32mmol)のACN(250mL)中の溶液に、K
2CO
3(31.55g、228.3mmol)を加え、続いて臭化ベンジル(13.10mL、109.58mmol)を滴下して加えた。得られた反応混合物を80℃で2時間撹拌した。水層をEtOAcで抽出し(3回)、合わせ、ブラインで洗浄した。有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、減圧下で蒸発させて、表題中間体を淡黄色の油性液体として得た(25g、収率89%)。
1H NMR (400MHz, クロロホルム-d) δ 7.48 - 7.30 (m, 5H),
7.27 (d, J = 10.5 Hz, 1H), 6.87 (d, J =
8.7 Hz, 1H), 5.12 (s, 2H), 2.66 (q, J =
7.5 Hz, 2H), 1.16 (t, J = 7.5 Hz, 3H).
【0132】
(b)2-(4-(ベンジルオキシ)-2-エチル-5-フルオロフェニル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン
前のステップの生成物(12.5g、40.45mmol)のジオキサン(100mL)中の溶液に、ビス(ピナコラト)ジボロン(15.40g、60.67mmol)およびKOAc(11.9g、121.35mmol)を加えた。反応混合物を窒素で15分間パージし、続いてジクロロメタンとの錯体である[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(1.65g、2.023mmol)を加えた。得られた反応混合物を撹拌し、110℃で3時間加熱し、セライトに通して濾過し、残渣をEtOAcで洗浄した。濾液を過剰のEtOAc(200mL)で希釈し、水(100mL)と、それに続いてブライン(100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空濃縮して粗生成物を得、これを3~5%EtOAc:ヘキサンで溶離する(100~200)シリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物をオフホワイト固体として得た(9.50g、収率66%)。1H NMR (400
MHz, クロロホルム-d) δ 7.54 - 7.27 (m, 6H), 6.81 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 5.16 (s, 2H), 2.84 (q, J = 7.5 Hz, 2H), 1.32 (s, 12H), 1.14 (t, J = 7.5 Hz, 3H).
【0133】
調製9:6-(4-(ベンジルオキシ)-2-エチル-5-フルオロフェニル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-3-(トリメチルスタンニル)-1H-インダゾール
【化33】
(a)6-(4-(ベンジルオキシ)-2-エチル-5-フルオロフェニル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-インダゾール
6-ブロモ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-インダゾール(50g、178.57mmol)および2-(4-(ベンジルオキシ)-2-エチル-5-フルオロフェニル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(76.3g、214.29mmol)のDMF:H
2O(480:120mL)中の溶液に、K
3PO
4(94.64g、446.86mmol)を加えた。反応混合物を窒素で15分間脱気した後、Pd(PPh
3)
2Cl
2触媒(6.26g、8.93mmol)を加え、混合物を再び窒素で5分間脱気し、撹拌し、および100~110℃で5時間加熱した。反応混合物をセライトに通して濾過し、残渣をEtOAcで洗浄した。濾液をEtOAcで希釈し、冷水およびブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空濃縮して粗生成物を得、これをフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、表題中間体を白色固体として得た(65g、収率86%)。(m/z):[M+H]
+ C
27H
27FN
2O
2の計算値431.21、実測値431.46。
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 8.06 - 7.98 (m, 2H), 7.70 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.51 - 7.32 (m, 5H), 7.08 (dd, J = 809.6, 8.3 Hz, 1H),
7.03 (d, J = 11.9 Hz, 1H), 6.95 (d, J =
8.5 Hz, 1H), 5.76 - 5.64 (m, 1H), 5.20 (s, 2H), 4.04 (d, J = 10.1 Hz, 1H), 3.72
(t, J = 9.7 Hz, 1H), 2.52 (q, J = 7.5 Hz, 2H), 2.22 - 2.02 (m, 3H), 1.80 - 1.71
(m, 3H), 1.06 (t, J = 7.5 Hz, 3H).
【0134】
(b)6-(4-(ベンジルオキシ)-2-エチル-5-フルオロフェニル)-1H-インダゾール
前のステップの生成物(65g、151.16mmol)のメタノール(700mL)中の溶液に、濃HCl(120mL)を加え、得られた溶液を60~65℃で3時間加熱し、RTに冷却し、真空濃縮した。残渣をEtOAcに溶解し、飽和NaHCO3水溶液および水で洗浄した。有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、真空濃縮して表題中間体を白色固体として得た(52g、99%(粗製))。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 8.13 (s, 1H), 7.77 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.59 - 7.30 (m, 6H), 7.10 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.01 (d, J = 11.8 Hz,
1H), 6.96 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 5.21 (s, 2H), 2.53 (q, J = 7.5 Hz, 2H), 1.05 (t,
J = 7.5 Hz, 3H).
【0135】
(c)6-(4-(ベンジルオキシ)-2-エチル-5-フルオロフェニル)-3-ヨード-1H-インダゾール
6-(4-(ベンジルオキシ)-2-エチル-5-フルオロフェニル)-1H-インダゾール(56g、161.18mmol)のDMF(400mL)中の溶液に、KOH(36.2g、647.39mmol)を加え、混合物を5分間撹拌した。ヨウ素(82.2g、323.69mmol)のDMF(100mL)中の溶液を0℃でゆっくりと加え、RTで30分間撹拌し、水(3×150mL)で希釈し、EtOAc(3×200mL)で抽出した。有機層を飽和メタ重亜硫酸ナトリウム水溶液(3×200mL)、水(400mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して粗生成物を得、これをフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、表題中間体を茶色がかった半固体として得た(64g、収率84%)。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 10.49 (s, 1H), 7.57 - 7.32 (m, 7H), 7.16 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.04 - 6.91 (m, 2H), 5.20 (s, 2H), 2.51 (q, J = 7.4 Hz, 2H), 1.04 (t, J = 7.5 Hz, 3H).
【0136】
(d)6-(4-(ベンジルオキシ)-2-エチル-5-フルオロフェニル)-3-ヨード-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-インダゾール
前のステップの生成物(60g、127.12mmol)のDCM(700mL)中の氷冷溶液に、p-トルエンスルホン酸(4.84g、25.423mmol)を加え、それに続いて3,4-ジヒドロ-2H-ピラン(17.43mL、190.68mmol)を滴下して加えた。反応混合物をRTで一晩撹拌し、DCMで希釈し、飽和NaHCO3水溶液およびブラインで洗浄した。有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して粗生成物を得、これをフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル)で精製して表題中間体をオフホワイトの固体として得た(64g、収率91%)。(m/z):[M+H]+ C27H26FIN2O2の計算値557.10、実測値557.30。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.56 - 7.31 (m,
7H), 7.14 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.01 (d,
J = 11.8 Hz, 1H), 6.95 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 5.68 (d, J = 9.3 Hz, 1H), 5.20 (s, 2H), 4.08 - 3.99 (m, 1H), 3.77 - 3.64 (m, 1H), 2.50 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 2.23 - 1.97 (m, 3H), 1.81 - 1.68 (m, 3H), 1.06 (t, J = 7.4 Hz, 3H).
【0137】
(e)6-(4-(ベンジルオキシ)-2-エチル-5-フルオロフェニル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-3-(トリメチルスタンニル)-1H-インダゾール
6-(4-(ベンジルオキシ)-2-エチル-5-フルオロフェニル)-3-ヨード-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-インダゾール(20g、35.97mmol)のトルエン(150mL)中の溶液に、ヘキサメチル二スズ(9.2mL、43.17mmol)を加えた。反応混合物を窒素で20分間脱気し、それに続いてテトラキス(2.0g、1.80mmol)を加えた後、100℃で2時間撹拌し、RTに冷却し、セライトに通して濾過し、残渣をEtOAcで洗浄した。濾液を濃縮し、2~5%EtOAc:ヘキサンで溶離する(中性アルミナでの)カラムクロマトグラフィーで精製して表題化合物を得た(17.50g、収率82%)。(m/z):[M+H]+ C30H35FN2O2Snの計算値595.17、593.17、実測値595.49、593.55。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.68
(d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.57 - 7.29 (m, 6H), 7.13 - 7.00 (m, 2H), 6.96 (d, J = 8.4
Hz, 1H), 5.81 - 5.68 (m, 1H), 5.21 (s, 2H), 4.13 - 4.00 (m, 1H), 3.81 - 3.66 (m, 1H), 2.54 (q, J = 7.3 Hz, 2H), 2.23 - 2.00 (m, 2H), 1.87 - 1.59 (m, 4H), 1.08 (t, J = 7.5 Hz, 3H), 0.47 (s, 9H).
【0138】
調製10:5-(tert-ブチル)6-メチル(S)-2-ヨード-3-((2-トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-3,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5,6-ジカルボキシレート
【化34】
(a)(S)-4,5,6,7-テトラヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボン酸
L-ヒスチジン(50g、322.24mmol)の水(420mL)中の撹拌懸濁液に濃HCl(29mL)を0℃で滴下して加え、続いてホルムアルデヒド(55mL、676.72mmol)を0℃で一度に加えた。得られた反応混合物を30分間撹拌した後、75℃で6時間加熱し、濃縮した。得られた粗生成物をジエチルエーテルと一緒に2時間撹拌し、濾過し、IPA:THF(100:300mL)で洗浄して、表題中間体のHCl塩をオフホワイトの固体として得た(75g、収率99%(粗製))。(m/z):[M+H]
+ C
7H
9N
3O
2の計算値168.07、実測値168.17。
【0139】
(b)メチル(S)-4,5,6,7-テトラヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボキシレート
前のステップの生成物(75.0g、312.5mmol)のメタノール(1500mL)中の撹拌溶液に、SOCl2(45.6mL、625mmol)を0℃で滴下し、RTで16時間撹拌した後、還流(70℃)まで1時間加熱した。溶媒を蒸留により除去し、粗生成物をメタノールで、続いてジエチルエーテルでトリチュレートして、表題中間体の粗HCl塩をオフホワイトの固体として得た(80gの粗生成物)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.05 (s, 1H), 4.71 (dd, J = 9.4, 5.2 Hz, 1H), 4.36 (d, J = 15.5 Hz, 1H), 4.30 (d, J = 15.6 Hz, 1H), 3.82 (s, 3H), 3.44 - 3.21 (m, 2H).
【0140】
(c)5-(tert-ブチル)6-メチル(S)-3,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5,6-ジカルボキシレート
前のステップの生成物(80.0g、314.96mmol)のメタノール(1000mL)中の撹拌溶液に、DIPEA(282mL、1574mmol)を加え、それに続いて二炭酸ジ-tert-ブチル(172mL、787.48mmol)を0℃で加えた。反応混合物をRTで16時間撹拌し、次に液体のNH3(150mL、水中25%)を加え、反応混合物を再び16時間RTで撹拌し、メタノールを蒸留により除去し、残渣をDCM(3×200mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を無水Na2SO4で乾燥させ、濃縮し、5%MeOH:DCMで溶離するフラッシュクロマトグラフィー(100~200メッシュシリカゲル)により精製して、表題中間体を得た(41g、収率46%)。(m/z):[M+H]+ C13H19N3O4の計算値282.14、実測値282.21。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 11.85 (s, 1H), 7.50 (s, 1H), 5.18 (dd, J = 49.3, 5.1 Hz, 1H), 4.51 (t, J = 14.2 Hz, 1H), 4.09 (dd, J = 43.9, 16.1 Hz, 1H), 3.59
(s, 3H), 3.08 (d, J = 15.5 Hz, 1H), 2.94 (d, J = 15.1 Hz, 1H), 1.45 (s, 9H).
【0141】
(d)5-(tert-ブチル)6-メチル(S)-2-ヨード-3,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5,6-ジカルボキシレート
前のステップの生成物(41.0g、145.9mmol)のTHF(500mL)中の溶液に、N-ヨードスクシンイミド(66.0g、291.8mmol)を0℃で加え、得られた溶液をRTで4時間撹拌し、水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機部分を10%チオ硫酸ナトリウム溶液(3×200mL)で洗浄した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して、表題化合物60g(粗製)を得、これをさらに精製せずに次のステップで使用した。(m/z):[M+H]+ C13H18IN3O4の計算値408.03、実測値408.31。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 12.48 (s, 1H), 5.34 - 4.97 (m, 1H), 4.67 - 4.35 (m, 1H), 4.12 - 3.95 (m, 1H), 3.60 (s, 3H), 3.14 - 2.82 (m, 2H), 1.44 (s, 9H).
【0142】
(e)5-(tert-ブチル)6-メチル(S)-2-ヨード-3-((2-トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-3,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5,6-ジカルボキシレート
5-(tert-ブチル)6-メチル(S)-2-ヨード-3,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5,6-ジカルボキシレート(40g、0.098mol)のDMF(150mL)中の撹拌溶液に、DIPEA(35.1mL、0.19mol)を0℃で加えた。反応混合物を10分間撹拌した後、2-(トリメチルシリル)-エトキシメチルクロリド(19.1mL、0.10mol)を0℃で滴下して加えた。得られた反応混合物をRTで3時間撹拌した。4時間後、冷水を加え、反応混合物をEtOAc(2×200mL)で抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、20~35%EtOAc:ヘキサンで溶離するフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して、表題生成物を淡黄色の粘稠性液体(27g)として得た。(m/z):[M+H]+ C19H32IN3O5Siの計算値538.12、実測値538.42。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 5.33 - 5.04 (m, 3H), 4.79 - 4.56 (m, 1H), 4.54 - 4.14 (m, 1H), 3.60 (s, 3H), 3.47 (t, J =
7.8 Hz, 2H), 3.31 - 3.16 (m, 1H), 2.97 (t, J = 18.9 Hz, 1H), 1.44 (s, 9H), 0.92
- 0.74 (m, 2H), -0.03 (s, 9H).
【0143】
調製11:(6S)-5-(tert-ブトキシカルボニル)-2-(6-(2-エチル-5-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-インダゾール-3-イル)-3-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボン酸
【化35】
(a)5-(tert-ブチル)6-メチル(6S)-2-(6-(4-(ベンジルオキシ)-2-エチル-5-フルオロフェニル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-インダゾール-3-イル)-3-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-3,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5,6-ジカルボキシレート
5-(tert-ブチル)6-メチル(S)-2-ヨード-3-((2-トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-3,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5,6-ジカルボキシレート(17.0g、31.65mmol)のトルエン(500mL)中の撹拌溶液に、6-(4-(ベンジルオキシ)-2-エチル-5-フルオロフェニル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-3-(トリメチルスタンニル)-1H-インダゾール(20g、34.82mmol)を加えた。反応混合物をアルゴンで15分間パージし、Pd(PPh
3)
4(3.6g、3.16mmol)およびヨウ化銅(1.20g、6.33mmol)を加え、反応混合物を120℃で16時間撹拌した。反応混合物をセライトに通して濾過し、濾液を減圧下で濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(Redisep80gカラム、DCMで10分間溶離、その後ヘキサン中15~20%EtOAcで溶離)で精製して、表題中間体を黄色い固体として得た(15.10g、収率58%)。(m/z):[M+H]
+ C
46H
58FN
5O
7Siの計算値840.41、実測値840.54。
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 8.43 (s, 1H), 7.54 - 7.33 (m, 6H), 7.20 (s, 1H), 7.05 (d, J = 11.4 Hz, 1H), 6.95 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 6.09 - 5.69 (m, 3H), 5.59 - 5.36 (m, 1H), 5.20 (s, 2H), 4.97 - 4.80 (m, 1H), 4.12 - 3.90 (m, 1H), 3.68 (s, 3H), 3.57 - 3.47 (m, 2H), 3.40 (d, 1H), 3.21 - 3.05 (m,
1H), 2.74 - 2.34 (m, 4H), 2.25 - 2.07 (m, 2H), 1.94 - 1.65 (m, 4H), 1.54 (s, 9H), 1.12 - 0.99 (m, 3H), 0.91 - 0.75 (m, 2H), -0.12 (s, 9H).
【0144】
(b)6-ベンジル5-(tert-ブチル)(6S)-2-(6-(4-(ベンジルオキシ)-2-エチル-5-フルオロフェニル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-インダゾール-3-イル)-3-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-3,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5,6-ジカルボキシレート
丸底フラスコに、トルエン(400mL)中の前のステップの生成物(15.0g、17.85mmol)、ベンジルアルコール(46.3mL)およびTi(OEt)4(7.15mL、35.70mmol)を加え、反応混合物を48時間激しく還流させ(140℃)、水で希釈し、でDCM抽出した。懸濁液を濾過し、濾液をNa2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(Redisep80gカラム、ヘキサン中0~5%EtOAc)で20分間精製して、過剰のベンジルアルコールを除去し、次いでヘキサン中10~15%EtOAcで溶離させて表題中間体を得た。1H
NMRは構造と一致している。(m/z):[M+H]+ C52H62FN5O7Siの計算値916.44、実測値916.86。
【0145】
(c)(6S)-5-(tert-ブトキシカルボニル)-2-(6-(2-エチル-5-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-インダゾール-3-イル)-3-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボン酸
前のステップの生成物(21.0g、22.92mmol)の1:1のIPA:THF(400mL)中の撹拌溶液に、Pd(OH)2(5.0g)を加えた。反応混合物を、水素バルーン下、RTで16時間撹拌し、セライトに通して濾過し、減圧下で濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(Redisep80gカラム、ヘキサン中25~40%EtOAcで溶離)により精製して表題化合物(6.1g、8.29mmol)をオフホワイト固体として得た)。(m/z):[M+H]+ C38H50FN5O7Siの計算値736.35、実測値736.5。1H NMRは構造と一致している。(m/z):[M+H]+ C38H50FN5O7Siの計算値736.35、実測値736.5。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 12.94 (s,
1H), 9.86 (s, 1H), 8.34 (t, J = 7.6 Hz,
1H), 7.66 (s, 1H), 7.20 (d, J = 8.7 Hz,
1H), 7.03 (d, J = 11.8 Hz, 1H), 6.93 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 6.11 - 5.77 (m, 3H), 5.33 - 5.06 (m, 1H), 4.87 - 4.56 (m, 1H), 4.52 - 4.14 (m, 1H), 3.97 - 3.69 (m, 2H), 3.53 - 3.40 (m, 2H), 3.23 - 3.11 (m,
1H), 3.11 - 2.93 (m, 1H), 2.47 - 2.44 (m, 2H), 2.13 - 1.96 (m, 2H), 1.68 (d, J = 70.9 Hz, 4H), 1.48 (s, 9H), 1.02 (t, J
= 7.5 Hz, 3H), 0.86 - 0.68 (m, 2H), -0.17 (s, 9H).
【0146】
調製12:(S)-2-(6-(2-エチル-5-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1H-インダゾール-3-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボン酸
【化36】
(6S)-5-(tert-ブトキシカルボニル)-2-(6-(2-エチル-5-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-インダゾール-3-イル)-3-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)-メチル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボン酸(5.7g、7.75mmol)の5:1のジオキサン:水(60mL)中の撹拌溶液に、濃HCl(20mL)を0℃で滴下して加えた。反応混合物を温め、90℃で16時間撹拌し、真空下で蒸留して粗残渣を得、これを冷やしたジエチルエーテルおよびアセトニトリルで順次トリチュレートして、表題化合物のHCl塩(3.6g、収率95%)を淡褐色の固体として得た。(m/z):[M+H]
+C
22H
20FN
5O
3の計算値422.16、実測値422.24。
1H NMR (400 MHz, D
2O/DMSO-d
6) δ 8.22 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.49 (s, 1H), 7.19 (d, J = 8.1 Hz, 1 H), 6.99 (d, J = 11.9 Hz, 1 H), 6.91 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 4.56 - 4.51 (m, 1H), 4.36 (d, J = 15.5 Hz, 1H), 4.30 (d, J = 15.5 Hz, 1H), 3.35 - 3.25 (m, 1H), 3.15 - 3.05 (m, 1H), 2.4 - 2.55 (m, 2H), 0.97 (t, J = 7.5 Hz, 3H).
【0147】
調製13:(S)-2-(6-(2-エチル-5-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1H-インダゾール-3-イル)-5-イソプロピル-4,5,6,7-テトラヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボン酸
【化37】
(S)-2-(6-(2-エチル-5-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1H-インダゾール-3-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボン酸,HCl(400mg、0.874mmol)、アセトン(0.192mL、2.62mmol)、および酢酸(0.150mL、2.62mmol)のDMF(7mL)中の溶液に、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(274mg、4.37mmol)を加え、反応混合物をRTで一晩撹拌した。水素化ホウ素ナトリウム(33mg、0.874mmol)を加え、溶液を濃縮し、分取HPLCにより精製して、表題化合物のTFA塩を得た(115mg、収率23%)。(m/z):[M+H]
+ C
25H
26FN
5O
3の計算値464.20、実測値464.5。
【0148】
実施例7:(S)-(3-(ジメチルアミノ)アゼチジン-1-イル)(2-(6-(2-エチル-5-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1H-インダゾール-3-イル)-5-イソプロピル-4,5,6,7-テトラヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-イル)メタノン C-1
【化38】
(S)-2-(6-(2-エチル-5-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1H-インダゾール-3-イル)-5-イソプロピル-4,5,6,7-テトラヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボン酸,TFA(179mg、0.310mmol)、N,N-ジメチルアゼチジン-3-アミン,2HCl(107mg、0.465mmol)、およびDIPEA(0.162mL、0.930mmol)のDMF(4mL)中の溶液に、HATU(177mg、0.465mmol)を加え、反応混合物をRTで一晩撹拌した。ヒドラジン(5当量)を加え、反応混合物を濃縮し、分取HPLCにより精製して、表題化合物のTFA塩を得た(63mg、収率26%)。(m/z):[M+H]
+ C
30H
36FN
7O
2の計算値546.29、実測値546.7。
1H
NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 9.90 (s, 1H), 8.29 (dd, 1H), 7.34 (s, 1H), 7.07 (d, 1H), 7.01 (d, 1H), 6.89 (d, 1H), 4.35 - 4.18 (m, 1H), 4.11 - 3.94 (m, 1H), 3.94 - 3.73 (m, 3H), 3.70 - 3.57 (m, 2H), 3.06 - 2.94 (m, 2H), 2.87 - 2.66 (m, 2H), 2.48 - 2.40 (m, 2H), 2.13 - 2.00 (m, 6H), 1.07 (t, 3H), 1.03 - 0.93 (m, 6H).
【0149】
実施例8:(S)-(3-(ジメチルアミノ)-3-メチルアゼチジン-1-イル)(2-(6-(2-エチル-5-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1H-インダゾール-3-イル)-5-イソプロピル-4,5,6,7-テトラヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-イル)メタノン
【化39】
(S)-2-(6-(2-エチル-5-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1H-インダゾール-3-イル)-5-イソプロピル-4,5,6,7-テトラヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボン酸,TFA(30mg、0.052mmol)、N,N,3-トリメチルアゼチジン-3-アミン,2HCl(29.2mg、0.156mmol)、およびDIPEA(0.045mL、0.260mmol)をDMF(1.0mL)に溶解し、次にHATU(29.6mg、0.078mmol)を加え、反応混合物を室温で20時間撹拌した(反応の進行はLCMSでモニターした)。ヒドラジン(4.90μl、0.156mmol)を加えて望ましくない副生成物を切断した後、溶液を室温で10分間撹拌した。次に、反応混合物を濃縮し、粗生成物を分取HPLC(2~70%ACN/水の勾配、C18カラム)により精製して、表題化合物のTFA塩を得た(13mg、収率33%)。(m/z):[M+H]
+ C
31H
38FN
7O
2の計算値560.31、実測値560.2。
【0150】
調製14:(S)-5-エチル-2-(6-(2-エチル-5-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1H-インダゾール-3-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボン酸
【化40】
(S)-2-(6-(2-エチル-5-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1H-インダゾール-3-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボン酸,HCl(450mg、0.983mmol)およびアセトアルデヒド(0.083mL、1.474mmol)をDMF(7mL)に溶解し、次にシアノ水素化ホウ素ナトリウム(247mg、3.93mmol)を加え、反応混合物を室温で24時間撹拌した(反応の進行はLCMSでモニターした)。水素化ホウ素ナトリウム(112mg、2.95mmol)を加えて、残っているアセトアルデヒドをクエンチし、次に反応混合物を濃縮した。次に、粗生成物を逆相クロマトグラフィー(5~65%ACN/水の勾配、100g C18aqカラム)により精製して、表題化合物のTFA塩を得た(165mg、収率30%)。(m/z):[M+H]
+ C
24H
24FN
5O
3の計算値450.19、実測値450.2。
【0151】
実施例9:(S)-(3-(ジメチルアミノ)アゼチジン-1-イル)(5-エチル-2-(6-(2-エチル-5-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1H-インダゾール-3-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-イル)メタノン
【化41】
(S)-5-エチル-2-(6-(2-エチル-5-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1H-インダゾール-3-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボン酸、TFA(30mg、0.053mmol)およびHATU(30.4mg、0.080mmol)をDMF(1.0mL)中で合わせた。この溶液に、N,N-ジメチルアゼチジン-3-アミン(16mg、0.160mmol)およびDIPEA(0.037mL、0.213mmol)を加え、反応混合物を室温で6時間撹拌した(反応の進行はLCMSでモニターした)。ヒドラジン(4.92μl、0.160mmol)を加えて望ましくない副生成物を切断した後、溶液を室温で10分間撹拌した。次に、反応混合物を濃縮し、粗生成物を分取HPLC(10~70%ACN/水の勾配、Zorbax Bonus-RPカラム)により精製して、表題化合物のTFA塩を得た(27mg、収率67%)。(m/z):[M+H]
+ C
29H
34FN
7O
2の計算値532.28、実測値532.2。
【0152】
実施例10:(S)-(3-(ジメチルアミノ)-3-メチルアゼチジン-1-イル)(5-エチル-2-(6-(2-エチル-5-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1H-インダゾール-3-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-イル)メタノン
【化42】
(S)-5-エチル-2-(6-(2-エチル-5-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1H-インダゾール-3-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボン酸、TFA(30mg、0.053mmol)およびHATU(30.4mg、0.080mmol)をDMF(1.0mL)中で合わせた。この溶液に、N,N,3-トリメチルアゼチジン-3-アミン(18mg、0.160mmol)およびDIPEA(0.037mL、0.213mmol)を加え、反応混合物を室温で6時間撹拌した(反応の進行はLCMSでモニターした)。ヒドラジン(4.92μl、0.160mmol)を加えて望ましくない副生成物を切断した後、溶液を室温で10分間撹拌した。次に、反応混合物を濃縮し、粗生成物を分取HPLC(10~70%ACN/水の勾配、Zorbax Bonus-RPカラム)により精製して、表題化合物のTFA塩を得た(28mg、収率68%)。(m/z):[M+H]
+ C
30H
36FN
7O
2の計算値546.29、実測値546.2。
【0153】
調製15:(S)-2-(6-(2-エチル-5-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1H-インダゾール-3-イル)-5-プロピル-4,5,6,7-テトラヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボン酸
【化43】
(S)-2-(6-(2-エチル-5-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1H-インダゾール-3-イル)-4,5,6,7-テトラヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボン酸,HCl(300mg、0.655mmol)およびプロピオンアルデヒド(0.071mL、0.983mmol)をDMF(7mL)に溶解し、次にシアノ水素化ホウ素ナトリウム(124mg、1.966mmol)を加え、反応混合物を室温で72時間撹拌した(反応の進行はLCMSでモニターした)。水素化ホウ素ナトリウム(26mg、0.655mmol)を加えて、残っているアルデヒドをクエンチし、次に反応混合物を濃縮した。次に、粗生成物を分取HPLC(2~70%ACN/水の勾配、C18カラム)により精製して、表題化合物のTFA塩を得た(117mg、収率31%)。(m/z):[M+H]
+ C
25H
26FN
5O
3の計算値464.21、実測値464.2。
【0154】
実施例11:(S)-(3-(ジメチルアミノ)アゼチジン-1-イル)(2-(6-(2-エチル-5-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1H-インダゾール-3-イル)-5-プロピル-4,5,6,7-テトラヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-イル)メタノン
【化44】
(S)-2-(6-(2-エチル-5-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1H-インダゾール-3-イル)-5-プロピル-4,5,6,7-テトラヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボン酸,TFA(33mg、0.057mmol)、N,N-ジメチルアゼチジン-3-アミン,2HCl(29.7mg、0.171mmol)、およびDIPEA(0.060mL、0.343mmol)をDMF(2.0mL)に溶解し、次にHATU(28.2mg、0.074mmol)を加え、反応混合物を室温で18時間撹拌した(反応の進行はLCMSでモニターした)。ヒドラジン(8.97μl、0.286mmol)を加えて望ましくない副生成物を切断した後、溶液を室温で10分間撹拌した。次に、反応混合物を濃縮し、粗生成物を分取HPLC(2~70%ACN/水の勾配、C18カラム)により精製して、表題化合物のTFA塩を得た(27mg、収率61%)。(m/z):[M+H]
+ C
30H
36FN
7O
2の計算値546.29、実測値546.5。
【0155】
実施例12:(S)-(3-(ジメチルアミノ)-3-メチルアゼチジン-1-イル)(2-(6-(2-エチル-5-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1H-インダゾール-3-イル)-5-プロピル-4,5,6,7-テトラヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-イル)メタノン
【化45】
(S)-2-(6-(2-エチル-5-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1H-インダゾール-3-イル)-5-プロピル-4,5,6,7-テトラヒドロ-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボン酸,TFA(30mg、0.052mmol)、N,N,3-トリメチルアゼチジン-3-アミン,2HCl(29.2mg、0.156mmol)、およびDIPEA(0.045mL、0.260mmol)をDMF(1.0mL)に溶解し、次にHATU(29.6mg、0.078mmol)を加え、反応混合物を室温で20時間撹拌した(反応の進行はLCMSでモニターした)。ヒドラジン(8.89μl、0.260mmol)を加えて望ましくない副生成物を切断した後、溶液を室温で10分間撹拌した。次に、反応混合物を濃縮し、粗生成物を分取HPLC(2~70%ACN/水の勾配、C18カラム)により精製して、表題化合物のTFA塩を得た(15mg、収率37%)。(m/z):[M+H]
+ C
31H
38FN
7O
2の計算値560.31、実測値560.5。
【0156】
生物学的アッセイ
本発明の化合物を、以下の生物学的アッセイのうちの1つまたはそれを超えるアッセイにおいて特徴付けた。
【0157】
アッセイ1:生化学的JAKキナーゼアッセイ
4つのLanthaScreen JAK生化学的アッセイのパネル(JAK1、2、3およびTyk2)を、通常のキナーゼ反応緩衝液(50mM HEPES,pH7.5、0.01%Brij-35、10mM MgCl2および1mM EGTA)に含めた。組換えGSTタグ化JAK酵素およびGFPタグ化STAT1ペプチド基質をLife
Technologiesから入手した。
【0158】
段階希釈した化合物を、それらの4つのJAK酵素の各々および基質とともに、白色384ウェルマイクロプレート(Corning)において周囲温度で1時間プレインキュベートした。続いて、ATPを加えて、1%DMSOを含む10μLの総体積でキナーゼ反応を開始した。JAK1、2、3およびTyk2に対する最終的な酵素濃度は、それぞれ4.2nM、0.1nM、1nMおよび0.25nMであり;使用された対応するKm
ATP濃度は、25μM、3μM、1.6μMおよび10μMであり;基質濃度は、4つすべてのアッセイについて200nMである。キナーゼ反応を周囲温度で1時間進めた後、TR-FRET希釈緩衝液(Life Technologies)中のEDTA(最終濃度10mM)およびTb-抗pSTAT1(pTyr701)抗体(Life Technologies,最終濃度2nM)の10μL調製物を加えた。そのプレートを周囲温度で1時間インキュベートした後、EnVisionリーダー(Perkin Elmer)において読み出した。発光シグナル比(Emission ratio signals)(520nm/495nm)を記録し、それを用いて、DMSOに基づくパーセント阻害値およびバックグラウンドコントロールを算出した。
【0159】
用量反応解析の場合、パーセント阻害のデータを化合物の濃度に対してプロットし、Prismソフトウェア(GraphPad Software)を用いて、4パラメータのロバストな適合モデルからIC50値を決定した。結果は、pIC50(IC50の対数に負号をつけたもの)として表され、続いてCheng-Prusoff式を用いてpKi(解離定数Kiの対数に負号をつけたもの)に変換した。
【0160】
4つのJAKアッセイにおいてより低いKi値またはより高いpKi値を有する試験化合物は、JAK活性のより大きな阻害を示す。
【0161】
アッセイ2:Tall-1 T細胞におけるIL-2刺激pSTAT5の阻害
Tall-1ヒトT細胞株(DSMZ)におけるインターロイキン-2(IL-2)刺激STAT5リン酸化の阻害に対する試験化合物の効力を、AlphaLisaを使用して測定した。IL-2はJAK1/3を介してシグナル伝達するので、このアッセイによりJAK1/3細胞効力の尺度を提供する。
【0162】
リン酸化STAT5を、AlphaLISA SureFire Ultra pSTAT5(Tyr694/699)キット(PerkinElmer)によって測定した。
【0163】
Tall-1細胞株由来のヒトT細胞を、37℃、5%CO2加湿恒温器において、15%熱失活ウシ胎児血清(FBS,Life Technologies)、2mM Glutamax(Life Technologies)、25mM HEPES(Life Technologies)、および1×Pen/Strep(Life Technologies)が補充されたRPMI(Life Technologies)中で培養した。化合物をDMSOで段階希釈し、空のウェルに音響学的に分注した。アッセイ培地(10%FBS(ATCC)が補充された無フェノールレッドDMEM(Life
Technologies))を分注し(4μL/ウェル)、プレートを900rpmで10分間振盪した。細胞を、アッセイ培地(4μL/ウェル)中に45,000細胞/ウェルで播種し、37℃、5%CO2で1時間インキュベートした後、予め加温したアッセイ培地(4μL)中にIL-2(R&D Systems;最終濃度300ng/mL)を30分間加えた。サイトカイン刺激の後、細胞を、1×PhosStopおよびComplete tablet(Roche)を含む6ulの3×AlphaLisa溶解緩衝液(PerkinElmer)で溶解した。ライセートを、室温(RT)にて900rpmで10分間振盪した。リン酸化STAT5を、pSTAT5 AlphaLisaキット(PerkinElmer)によって計測した。新たに調製したアクセプタービーズ混合物を、緑色フィルタリングした100lux未満の光の下でライセート(5μL)上に分注した。プレートを900rpmで2分間振盪し、短時間遠沈し、RTの暗所で2時間インキュベートした。ドナービーズを、緑色フィルタリングした100lux未満の光の下で分注した(5μL)。プレートを900rpmで2分間振盪し、短時間遠沈し、RTの暗所で一晩インキュベートした。ルミネセンスを、EnVisionプレートリーダー(PerkinElmer)を用いて緑色フィルタリングした100lux未満の光の下で689nmでの励起および570nmでの発光を使用して測定した。
【0164】
試験化合物のIL-2に応答する阻害性効力を測定するために、ヒトT細胞株におけるpSTAT5に結合したビーズの平均発光強度を計測した。化合物濃度に対するシグナル強度の阻害曲線の解析から、IC
50値を決定した。データは、pIC
50(負の常用対数IC
50)値(平均値±標準偏差)として表される。
インビトロアッセイの結果
【表1】
【0165】
アッセイ3:肺組織におけるIL-13誘導性pSTAT6誘導のマウス(Murine))(マウス(Mouse))モデル
IL-13は喘息の病態生理学の基礎となる重要なサイトカインである(Kudlaczら、Eur.J.Pharmacol,2008,582,154-161)。IL-13は、キナーゼのヤヌスファミリー(JAK)のメンバーを活性化する細胞表面受容体に結合し、それは次にSTAT6をリン酸化し、その後さらなる転写経路を活性化する。記載されるモデルでは、ある用量のIL-13をマウスの肺に局所送達してSTAT6のリン酸化(pSTAT6)を誘導し、次にこれをエンドポイントとして測定した。
【0166】
ハーランから入手した成体Balb/cマウスをアッセイに使用した。試験当日、動物をイソフルランで軽く麻酔し、ビヒクルまたは試験化合物(1mg/mL、数回の呼吸で総体積50μL)を経口吸引で投与した。動物を投与後横臥位に置き、麻酔から完全に回復するのをモニターした後、ホームケージに戻した。4時間後、動物を再度短時間麻酔し、経口吸引によりビヒクルまたはIL-13のいずれか(送達された総用量0.03μg、総体積50μL)を負荷した後、麻酔から回復するのをモニターしてホームケージに戻した。ビヒクルまたはIL-13投与の1時間後、PerkinElmer AlphaLISA(登録商標)SureFire(登録商標)Ultra(商標)HV p-STAT6(Tyr641)アッセイキットを使用する肺ホモジネート中のpSTAT6検出と、肺と血漿の両方の総薬物濃度分析の両方のために、全血と肺を収集した。血液試料を4℃で約12,000rpmで4分間遠心分離(エッペンドルフ遠心分離機、5804R)して血漿を収集した。肺をDPBS(ダルベッコのリン酸緩衝生理食塩水)ですすぎ、パッドで乾燥させ、急速凍結し、秤量し、HPLC水中の0.1%ギ酸に1:3に希釈してホモジナイズした。試験化合物の血漿および肺のレベルは、試験マトリックスの標準曲線に構築された分析標準に対するLC-MS解析によって決定された。肺と血漿の比は、5時間での肺濃度(ng/g)と血漿濃度(ng/mL)の比と決定された。
【0167】
モデルの活性は、ビヒクルで処理されてIL-13を負荷された対照動物と比較した、5時間で処理動物の肺に存在するpSTAT6のレベルの低下によって証明される。ビヒクルで処理されてIL-13を負荷された対照動物と、ビヒクルで処理されてビヒクルを負荷された対照動物の違いは、任意の所与実験においてそれぞれ0%および100%の阻害効果となった。アッセイで試験された化合物は、以下に記載されているように、IL-13負荷後5時間でSTAT6リン酸化の阻害を示した。
【表2】
【0168】
マウス肺における有意な化合物濃度の観察により、IL-13誘導pSTAT6誘導の観察された阻害が試験化合物の活性の結果であることが確認された。5時間の肺と血漿の比は、マウスにおいて化合物1が血漿中の曝露よりも肺において有意に多くの曝露を示したことを示した。
【0169】
アッセイ4:ヒト末梢血単核細胞におけるTSLP誘発TARC放出の阻害
胸腺間質性リンホポエチン(TSLP)と、胸腺および活性化制御ケモカイン(TARC)は、喘息の気道に過剰発現し、疾患の重症度と相関している。肺では、アレルゲンやウイルス感染に反応して、TSLPが気管支上皮細胞から放出されることがある。TSLPは、上皮細胞、内皮細胞、好中球、マクロファージ、および肥満細胞をはじめとする幅広い組織および細胞種に見出されるIL-7Rα/TSLPRヘテロ二量体を通してシグナルを伝達する。TSLPがその受容体に結合すると、コンフォメーション変化が誘発され、JAK1とJAK2が活性化されて、STAT3およびSTAT5をはじめとするさまざまな転写因子がリン酸化される。免疫細胞では、これは細胞内イベントのカスケードを引き起こし、細胞増殖、抗アポトーシス、樹状細胞の遊走、ならびにTh2サイトカインおよびケモカインの産生がもたらされる。末梢血単核細胞(PBMC)では、TSLPは、骨髄樹状細胞を活性化してT細胞を誘引および刺激する(化学誘引物質TARCによって媒介されるプロセスである)ことにより、炎症促進作用を示す。
【0170】
このアッセイでは、TSLP刺激がPBMCからのTARC放出を誘発すること、および、この応答が化合物による処理によって用量依存的に減衰することが示された。試験化合物の効力を、TARC放出の阻害について測定した。
【0171】
3~5人のドナーからのPBMCアリコート(事前に全血から単離し、アリコートを-80℃で凍結)を37℃で解凍し、50mLファルコンチューブ内の40mLの予熱済、滅菌濾過済の完全RPMI培地に滴下して加えた。細胞をペレット化し、完全培地に2.24×106細胞/mLで再懸濁した。細胞を、ウェルあたり85μL(190,000細胞)で組織培養処理した96ウェル平底マイクロプレートに播種した。細胞を37℃、5%CO2で1時間静置した。
【0172】
化合物は、DMSO中の10mM保存液として受け取った。3.7倍段階希釈を行って、DMSO中の9濃度の試験化合物を最終アッセイ試験濃度の300倍で生成した。150倍の中間希釈は完全培地で行い、0.2%DMSOで最終アッセイ試験濃度の2倍の濃度の化合物を生成した。1時間の休止期間の後、95μLの2X化合物をPBMCの各ウェルに添加し、最終アッセイ濃度範囲を33.33μMから0.95μMにした。完全培地中の0.2%DMSO95μLを未処理の対照ウェルに加えた。刺激の前に、細胞を化合物で1時間、37℃、5%CO2で前処理した。
【0173】
組換えヒトTSLPタンパク質を0.1%BSAを含む無菌DPBSで10μg/mLに再構成し、-20℃でアリコートで保存した。使用直前にアリコートを解凍し、完全培地中で最終アッセイ濃度の20倍に調製した。10μLの20倍のTSLPをPBMCの各ウェルに加えて最終アッセイ濃度を10ng/mLにした。10μLの完全培地を未刺激の対照ウェルに加えた。化合物の存在下、48時間、37℃、5%CO2で細胞を刺激した。
【0174】
刺激後、細胞培養上清を採取し、製造者の指示に従ってHuman CCL17/TARC Quantikine ELISA Kit(R&D Systems #DDN00)を用いて、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)によりTARCレベルを検出した。
【0175】
用量反応分析では、各ドナーの反応率値に対してlog[試験化合物(M)]をプロットし、可変勾配を伴う4パラメータのシグモイド型用量反応アルゴリズムを使用するGraphPad Prismソフトウェアによる非直線回帰分析を使用してIC
50値を決定した。データは、個々のドナーのpIC
50値から計算され、小数点以下第1位に丸められた平均pIC
50(10を底とする負の対数IC
50)値として表される。元の化合物およびそれらのデスフルオロ修飾類似体による阻害の効力値を表3に要約する。
【表3】
【0176】
アッセイ5:肺S9代謝
化合物1およびC-1のインビトロ代謝安定性を、ヒト肺S9画分(1μM化合物;1mg/mL S9タンパク質)で評価した。0、15、30、および60分後のサンプルを高分解能LC-MS/MSで親化合物について分析した。ヒト由来の肺S9画分(ロット1410245)を、XenoTech LLC(Lenexa、KS)から購入した。NADPH(シグマ・アルドリッチ、N1630)および3-ホスホアデノシン5-ホスホ硫酸塩(PAPS)(シグマ・アルドリッチ、A1651)は、シグマ・アルドリッチ(ミズーリ州セントルイス)から購入した。アセトニトリルおよび水は、VWR(Radnor、PA)より入手し、HPLCグレードまたはそれ以上であった。ラロキシフェンおよびギ酸はシグマ・アルドリッチ(ミズーリ州セントルイス)から購入した。肺S9のインキュベーションを96ウェルポリプロピレンプレートで37℃の水浴中で行った。肺S9溶液は、1mM NADPH(シグマ-アルドリッチ、ミズーリ州セントルイス)、3mM塩化マグネシウム(シグマ・アルドリッチ、M1028)を補充した、pH7.4に緩衝したリン酸カリウム100mM(BD Biosciences、Woburn、MA)からなり、100μM PAPS(シグマ-アルドリッチ、ミズーリ州セントルイス)補因子の存在下、最終インキュベーションタンパク質濃度は1mg/mLであった。ラロキシフェン(n=1)および化合物(n=1)の10mM DMSO保存液を緩衝液で希釈し、1μMの基質濃度(0.001% DMSO v/v)になるようにインキュベーションに添加した。インキュベーション体積は、400μLからなり、時間点は、70μLのアリコートを取り出すことにより、0、15、30、および60分に取り、および140μLアセトニトリル(0%ギ酸)に希釈した。すべてのサンプルを5℃で10分間2250gで遠心分離した。遠心分離したサンプルから上清(50μL)を取り出し、内部標準を含むHPLC水100μLに希釈した。サンプルをDionex Ultimate 3000オートサンプラーに流し、Thermo Q-Exactive高分解能質量分析計(Thermo、Waltham、MA)をフルスキャンモードでAtlantis T3カラム3μM-2.1×50mm(Waters Inc.、186003717)と組み合わせて使用して分析した。移動相Aは、水+0.2%ギ酸からなり、移動相Bは、アセトニトリル+0.2%ギ酸からなった。ピーク積分は、Gubbs GMSUソフトウェア(Gubbs Inc.、ジョージア州アルファレッタ)を使用して達成された。各サンプルについて、分析物のピーク面積を内部標準のピーク面積で除算することにより、ピーク面積比を計算した。各インキュベーションについて、各t0での分析物のピーク面積比を100%に設定し、60分のサンプルから得たピーク面積比を対応するt0に対する残留率に変換した。硫酸塩代謝産物形成の判定は、過去の内部データに基づいて、各親化合物のO-硫酸塩代謝物に対応する親イオンチャネルの早期溶出ピークを観察することによって定性的に行われた。アッセイの結果は表4に要約されている(n=2反復)。
【表4】
【0177】
その対応するフルオロ類似体(化合物C-1~C-6)と比較すると、化合物1~6は、硫酸化代謝を大幅に低下させた。
BD Biosciencesは、STAT3のリン酸化を検出するために使用される。
【0178】
アッセイ6:マウスの血漿および肺における薬物動態
試験化合物の血漿および肺濃度ならびにその比率は、以下の方法で決定された。チャールズ・リバー・ラボラトリーズから入手したBALB/cマウスをアッセイに使用した。試験化合物を、0.2mg/mLの濃度でpH4クエン酸緩衝液中の20%プロピレングリコールに個別に配合し、50μLの投与溶液を経口吸引によりマウスの気管に導入した。投与後の様々な時点(一般に0.167、2、6、24時間)に、血液試料を心臓穿刺により取り出し、無傷の肺をマウスから切除した。血液試料を4℃で約12,000rpmで4分間遠心分離(エッペンドルフ遠心分離機、5804R)して血漿を収集した。肺をパッドで乾燥させ、秤量し、滅菌水に1:3に希釈してホモジナイズした。試験化合物の血漿および肺の濃度は、試験マトリックスの標準曲線に構築された分析標準に対するLC-MS解析によって決定された。肺/血漿比は、肺AUC(μg時/g)と血漿AUC(μg時/mL)の比として決定された。このAUCは、時間に対する試験化合物濃度の曲線下面積として慣習的に定義されている。
【表5】
【0179】
アッセイ7:IL-5媒介性好酸球生存アッセイ
IL-5媒介性好酸球生存に対する試験化合物の効力は、ヒト全血(AllCells)から単離したヒト好酸球で測定することができる。IL-5はJAKを通じてシグナルを伝達するので、このアッセイはJAKの細胞効力の尺度を提供する。
【0180】
ヒト好酸球を、健康なドナーの新鮮なヒト全血(AllCells)から単離する。血液を0.9%塩化ナトリウム溶液(シグマ-アルドリッチ)中4.5%デキストラン(シグマ-アルドリッチ)と混合する。赤血球を35分間沈降させる。白血球に富む上層を取り出し、フィコール-Paque(GEヘルスケア)の上で層状にし、600gで30分間遠心分離する。血漿および単核細胞層を取り出した後、顆粒球層を水で溶解して、混入している赤血球を除去する。ヒト好酸球単離キット(Miltenyi Biotec)を使用して好酸球をさらに精製する。精製された好酸球の一部を抗CD16 FITC(Miltenyi Biotec)とともに暗所で4℃で10分間インキュベートする。LSRIIフローサイトメーター(BD Biosciences)を使用して純度を分析する。
【0181】
細胞を、37℃、5%CO2加湿インキュベーター内で、10%熱失活ウシ胎仔血清(FBS、ライフテクノロジーズ)、2mM Glutamax(ライフテクノロジーズ)、25mM HEPES(ライフテクノロジーズ)および1X Pen/Strep(ライフテクノロジーズ)を補充したRPMI1640(ライフテクノロジーズ)で培養する。細胞を10,000細胞/ウェルで培地(50μL)に播種する。プレートを300gで5分間遠心分離し、上清を除去する。化合物をDMSOで段階希釈し、次に培地でさらに500倍に希釈して最終アッセイ濃度の2倍とする。試験化合物(50μL/ウェル)を細胞に添加し、37℃、5%CO2で1時間インキュベートし、続いて72時間予め温めたアッセイ培地(50μL)にIL-5(R&D Systems;最終濃度1ng/mLおよび10pg/ml)を添加する。
【0182】
サイトカイン刺激後、細胞を300gで5分間遠心分離し、冷DPBS(ライフテクノロジーズ)で2回洗浄する。生存力およびアポトーシスを評価するために、細胞をヨウ化プロピジウム(Thermo Fisher Scientific)およびAPC Annexin V(BD Biosciences)とともにインキュベートし、LSRIIフローサイトメーター(BD Biosciences)を使用して分析する。IC50値は、化合物濃度に対する細胞生存率パーセントの生存率曲線の解析から決定される。データはpIC50(10を底とする負の対数IC50)値として表される。
【0183】
アッセイ8:ヒト3D気道培養物におけるIFNγおよびIL-27誘導性ケモカインCXCL9およびCXCL10の阻害
EpiAirway組織培養をMattekから入手した(AIR-100)。培養物は喘息ドナーから得られたものであった。細胞培養インサートにおいて、ヒト由来気管/気管支上皮細胞を多孔質膜支持体上で増殖および分化させ、細胞の下の温められた培地と上の気体の試験雰囲気を有する気液界面を可能にした。組織を37℃、5%CO2加湿インキュベーター内の維持培地(Mattek、AIR-100-MM)で培養した。4人のドナーを試験した。0日目に、組織培養物を10μM、1μMおよび/または0.1μMの液体界面の試験化合物で処理した。化合物をジメチルスルホキシド(DMSO、シグマ)に希釈して最終濃度0.1%とした。0.1%のDMSOをビヒクル対照として使用した。試験化合物を培養物とともに5%CO2、37℃で1時間インキュベートし、続いて最終濃度100ng/mlのIFNγ(R&D Systems)またはIL-27(R&D Systems)を含有する、予め温めた培地を添加した。組織培養を8日間維持した。培地は2日おきに化合物およびIFNγまたはIL-27を含有する新鮮な培地と交換した。8日目に、組織培養物および上清を分析のために回収した。上清試料を、CXCL10(IP-10)およびCXCL9(MIG)についてluminex分析(EMD Millipore)を使用してアッセイした。データは阻害%+/-標準偏差(±STDV)として表される。パーセント阻害は、ビヒクル処理細胞と比較した、IFNγまたはIL-27誘導性CXCL10またはCXCL9分泌に対する化合物阻害性効力によって決定した。データは4人のドナーの平均である。化合物1は、ビヒクル対照と比較した場合に、IFNγ誘導性CXCL10分泌を100%±1.0(10μMで)、76%±13(1μMで)および18%±22(0.1μMで)阻害できた。化合物1は、ビヒクルと比較した場合に、IFNγ誘導性CXCL9分泌を100%±0.1(10μMで)、93%±6.9(1μMで)および16%±41(0.1μMで)阻害できた。化合物1は、ビヒクル対照と比較した場合に、IL-27誘導性CXCL10分泌を100%±0.0(10μMで)、98%±1.0(1μMで)および25%±26(0.1μMで)阻害できた。化合物1は、ビヒクル対照と比較した場合に、IL-27誘導性CXCL9分泌を100%±0.0(10μMで)、97%±2.0(1μMで)および52%±18(0.1μMで)阻害できた。
【0184】
アッセイ9:細胞JAK効力アッセイ:ヒトPBMCにおけるIL-2/抗CD3刺激IFNγの阻害
インターロイキン-2(IL-2)/抗CD3で刺激したインターフェロンガンマ(IFNγ)の阻害についての試験化合物の効力は、ヒト全血(スタンフォード血液センター)から単離したヒト末梢血単核細胞(PBMC)において測定することができる。IL-2はJAKを通じてシグナルを伝達するので、このアッセイはJAKの細胞効力の尺度を提供する。
【0185】
(1)ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を、フィコール勾配を用いて健康なドナーのヒト全血から単離する。細胞を、37℃、5%CO2加湿インキュベーター内で、10%熱失活ウシ胎仔血清(FBS、ライフテクノロジーズ)、2mM Glutamax(ライフテクノロジーズ)、25mM HEPES(ライフテクノロジーズ)および1X Pen/Strep(ライフテクノロジーズ)を補充したRPMI(ライフテクノロジーズ)で培養する。細胞を200,000細胞/ウェルで培地(50μL)に播種し、1時間培養する。化合物をDMSOで段階希釈し、次に培地でさらに500倍(最終アッセイ濃度の2倍)に希釈する。試験化合物(100μL/ウェル)を細胞に添加し、37℃、5%CO2で1時間インキュベートし、続いて24時間予め温めたアッセイ培地(50μL)にIL-2(R&D Systems;最終濃度100ng/mL)および抗CD3(BD Biosciences;最終濃度1μg/mL)を添加する。
【0186】
(2)サイトカイン刺激後、細胞を500gで5分間遠心分離し、上清を除去し、-80℃で凍結させる。IL-2/抗CD3に応答する試験化合物の阻害性効力を決定するために、上清のIFNγ濃度をELISA(R&D Systems)によって測定する。IC50値は、化合物濃度に対するIFNγの濃度の阻害曲線の解析から決定される。データはpIC50(10を底とする負の対数IC50)値として表される。
【0187】
アッセイ10:細胞JAK効力アッセイ:CD4+T細胞におけるIL-2刺激pSTAT5の阻害
インターロイキン-2(IL-2)/抗CD3で刺激したSTAT5のリン酸化の阻害についての試験化合物の効力は、フローサイトメトリーを用いてヒト全血(スタンフォード血液センター)から単離したヒト末梢血単核細胞(PBMC)のCD4陽性(CD4+)T細胞において測定することができる。IL-2はJAKを通じてシグナルを伝達するので、このアッセイはJAKの細胞効力の尺度を提供する。
【0188】
CD4+T細胞を、フィコエリスロビリン(PE)結合抗CD4抗体(クローンRPA-T4、BD Biosciences)を使用して特定し、一方、Alexa Fluor647結合抗pSTAT5抗体(pY694、Clone47、BD Biosciences)を使用してSTAT5リン酸化を検出する。
【0189】
(1)抗CD3によるサイトカイン刺激を24時間の代わりに30分間実施することを除いて、アッセイ9の段落(1)のプロトコールに従う。
【0190】
(2)サイトカイン刺激の後、細胞を予め温めた固定液(200μL;BD Biosciences)で37℃、5%CO2で10分間固定し、DPBS緩衝液(1mL、ライフテクノロジーズ)で2回洗浄し、氷冷Perm Buffer III(1000μL、BD Biosciences)に4℃で30分間再懸濁する。細胞をDPBS(FACS緩衝液)中2%FBSで2回洗浄し、次に抗CD4 PE(1:50希釈)および抗CD3 抗CD3Alexa Fluor647(1:5希釈)を含有するFACS緩衝液(100μL)に暗所で室温で60分間再懸濁する。インキュベーション後、細胞をFACS緩衝液で2回洗浄した後に、LSRIIフローサイトメーター(BD Biosciences)を用いて分析する。IL-2/抗CD3に応答する試験化合物の阻害性効力を決定するために、pSTAT5の蛍光強度中央値(MFI)をCD4+T細胞で測定する。IC50値は、化合物濃度に対するMFIの阻害曲線の解析から決定される。データはpIC50(10を底とする負の対数IC50)値として表される。
【0191】
アッセイ11:細胞JAK効力アッセイ:CD3+T細胞におけるIL-4刺激pSTAT6の阻害
インターロイキン-4(IL-4)で刺激したSTAT6のリン酸化の阻害についての試験化合物の効力は、フローサイトメトリーを用いてヒト全血(スタンフォード血液センター)から単離したヒト末梢血単核細胞(PBMC)のCD3陽性(CD3+)T細胞において測定することができる。IL-4はJAKを通じてシグナルを伝達するので、このアッセイはJAKの細胞効力の尺度を提供する。
【0192】
CD3+T細胞を、フィコエリスロビリン(PE)結合抗CD3抗体(クローンUCHT1、BD Biosciences)を使用して特定し、一方、Alexa Fluor647結合抗pSTAT6抗体(pY641、Clone18/P、BD Biosciences)を使用してSTAT6リン酸化を検出する。
【0193】
ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を、アッセイ9および10と同様に健康なドナーのヒト全血から単離する。細胞を250,000細胞/ウェルで培地(200μL)に播種し、1時間培養し、次に、様々な濃度の試験化合物を含有するアッセイ培地(50μL)(0.1%ウシ血清アルブミン(シグマ)、2mM Glutamax、25mM HEPESおよび1X Penstrepを補充したRPMI)に再懸濁する。化合物をDMSOで段階希釈し、次にアッセイ培地でさらに500倍(最終アッセイ濃度の2倍)に希釈した。試験化合物(50μL)を細胞とともに37℃、5%CO2で1時間インキュベートし、続いて30分間予め温めたアッセイ培地にIL-4(50μL)(R&D Systems;最終濃度20ng/mL)を添加する。サイトカイン刺激の後、細胞を予め温めた固定液(100μL)(BD Biosciences)で37℃、5%CO2で10分間固定し、FACS緩衝液(1mL)(DPBS中2%FBS)で2回洗浄し、氷冷Perm Buffer III(1000μL)(BD Biosciences)に4℃で30分間再懸濁する。細胞をFACS緩衝液で2回洗浄し、次に抗CD3 PE(1:50希釈)および抗pSTAT6 Alexa Fluor647(1:5希釈)を含有するFACS緩衝液(100μL)に暗所で室温で60分間再懸濁する。インキュベーション後、細胞をFACS緩衝液で2回洗浄した後に、LSRIIフローサイトメーター(BD Biosciences)を用いて分析する。
【0194】
IL-4に応答する試験化合物の阻害性効力を決定するために、pSTAT6の蛍光強度中央値(MFI)をCD3+T細胞で測定する。IC50値は、化合物濃度に対するMFIの阻害曲線の解析から決定される。データはpIC50(10を底とする負の対数IC50)として表される。
【0195】
アッセイ12:細胞JAK効力アッセイ:CD3+T細胞におけるIL-6刺激pSTAT3の阻害
アッセイ11のプロトコールに類似したプロトコールを使用して、インターロイケン(interleuken)-6(IL-6)で刺激したSTAT3のリン酸化の阻害についての試験化合物の効力を決定することができる。Alexa Fluor647結合抗pSTAT3抗体(pY705、Clone4/P、BD Biosciences)を使用してSTAT3リン酸化を検出する。
【0196】
アッセイ13:肺のAlternaria alternata誘導性好酸球性炎症のマウスモデル
気道好酸球増加症は、ヒトの喘息の特徴である。Alternaria alternataは、ヒトにおいて喘息を悪化させ得、マウスの肺において好酸球性炎症を誘発する真菌のエアロアレルゲンである。(Havauxら、Clin Exp Immunol.2005 Feb;139(2):179-88)。マウスにおいて、アルテルナリアが肺において組織常在性2型自然リンパ球系細胞を間接的に活性化し、この細胞がJAK依存性サイトカインに応答し(例えば、IL-2およびIL-7)、放出し(例えば、IL-5およびIL-13)、好酸球性炎症を調整することが実証されている(Bartemesら、J Immunol.2012 Feb 1;188(3):1503-13)。
【0197】
Taconicより入手した7~9週齢の雄C57マウスを試験に使用することができる。試験当日、動物をイソフルランで軽く麻酔し、ビヒクルまたは試験化合物(0.03~1.0mg/mL、数回の呼吸で総体積50μL)を中咽頭吸引で投与する。動物を投与後横臥位に置き、麻酔から完全に回復するのをモニターした後、ホームケージに戻す。1時間後、動物を再度短時間麻酔し、ビヒクルまたはアルテルナリア抽出物(送達された総抽出物200μg、総体積50μL)を中咽頭吸引で負荷した後、麻酔から回復するのをモニターしてホームケージに戻す。アルテルナリア投与の48時間後、気管支肺胞洗浄液(BALF)を回収し、Advia 120 Hematology System(Siemens)を使用してBALF中の好酸球を計数する。モデルの活性は、ビヒクルで処理されてアルテナリアを負荷された対照動物と比較し、48時間の時点で処理動物のBALFに存在する好酸球のレベルの低下によって証明される。データは、ビヒクルで処理されてアルテルナリアを負荷されたBALF好酸球の応答のパーセント阻害として表される。パーセント阻害を計算するため、各条件のBALF好酸球の数を、平均ビヒクル処理アルテルナリア負荷BALF好酸球のパーセントに変換し、100パーセントから引く。
【0198】
アッセイ14:細胞JAK効力アッセイ:IFNγ誘導性pSTAT1の阻害
インターフェロンガンマ(IFNγ)で刺激したSTAT1のリン酸化の阻害についての試験化合物の効力を、フローサイトメトリーを用いてヒト全血(スタンフォード血液センター)から得たCD14陽性(CD14+)単球において測定した。IFNγはJAKを通じてシグナルを伝達するので、このアッセイはJAKの細胞効力の尺度を提供する。
【0199】
単球を、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)結合抗CD14抗体(クローンRM052、Beckman Coulter)を使用して特定し、Alexa Fluor647結合抗pSTAT1抗体(pY701、Clone4a、BD Biosciences)を使用してSTAT1リン酸化を検出した。
【0200】
ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を、フィコール勾配を用いて健康なドナーのヒト全血から単離した。細胞を、37℃、5%CO2加湿インキュベーター内で、10%ウシ胎仔血清(FBS、ライフテクノロジーズ)、2mM Glutamax(ライフテクノロジーズ)、25mM HEPES(ライフテクノロジーズ)および1X Pen/Strep(ライフテクノロジーズ)を補充したRPMI(ライフテクノロジーズ)で培養した。細胞を250,000細胞/ウェルで培地(200μL)に播種し、2時間培養し、様々な濃度の試験化合物を含有するアッセイ培地(50μL)(0.1%ウシ血清アルブミン(シグマ)、2mM Glutamax、25mM HEPESおよび1X Penstrepを補充したRPMI)に再懸濁した。化合物をDMSOで段階希釈し、次いで、最終DMSO濃度が0.1%になるようにさらに培地で1000倍希釈した。試験化合物の希釈液を細胞とともに37℃、5%CO2で1時間インキュベートし、続いて最終濃度0.6ng/mLで培地(50μL)に30分間予め温めたIFNγ(R&D Systems)を添加した。サイトカイン刺激の後、細胞を予め温めた固定液(100μL)(BD Biosciences)で37℃、5%CO2で10分間固定し、FACS緩衝液(1mL)(PBS中1%BSA)で2回洗浄し、1:10 抗CD14 FITC:FACS緩衝液(100μL)に再懸濁し、4℃で15分間インキュベートした。細胞を1回洗浄し、次に氷冷Perm Buffer III(BD Biosciences)(100μL)に4℃で30分間再懸濁した。細胞をFACS緩衝液で2回洗浄し、次に1:10抗pSTAT1 Alexa Fluor647:FACS緩衝液(100μL)に暗所で室温で30分間再懸濁し、FACS緩衝液で2回洗浄し、MACSQuantフローサイトメーター(Miltenyi)を用いて分析した。
【0201】
試験化合物の阻害性効力を決定するために、pSTAT1の蛍光強度中央値(MFI)をCD14+単球で測定した。IC50値は、化合物濃度に対するMFIの阻害曲線の解析から決定した。データはpIC50(10を底とする負の対数IC50)値として表される。化合物1はこのアッセイで7.5のpIC50値を示した。
【0202】
アッセイ15:細胞JAK効力アッセイ:GM-CSF誘導性pSTAT5の阻害
顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)で刺激したSTAT5のリン酸化の阻害についての試験化合物の効力を、フローサイトメトリーを用いてヒト全血(スタンフォード血液センター)から得たCD14陽性(CD14+)単球において測定した。GM-CSFはJAKを通じてシグナルを伝達するので、このアッセイはJAKの細胞効力の尺度を提供する。
【0203】
単球を、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)結合抗CD14抗体(クローンRM052、Beckman Coulter)を使用して特定し、Alexa Fluor647結合抗pSTAT5抗体(pY694、BD Biosciences)を使用してSTAT5リン酸化を検出した。
【0204】
ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を、フィコール勾配を用いて健康なドナーのヒト全血から単離した。細胞を、37℃、5%CO2加湿インキュベーター内で、10%ウシ胎仔血清(FBS、ライフテクノロジーズ)、2mM Glutamax(ライフテクノロジーズ)、25mM HEPES(ライフテクノロジーズ)および1X Pen/Strep(ライフテクノロジーズ)を補充したRPMI(ライフテクノロジーズ)で培養した。細胞を250,000細胞/ウェルで培地(200μL)に播種し、2時間培養し、様々な濃度の試験化合物を含有するアッセイ培地(50μL)(0.1%ウシ血清アルブミン(シグマ)、2mM Glutamax、25mM HEPESおよび1X Penstrepを補充したRPMI)に再懸濁した。化合物をDMSOで段階希釈し、次いで、最終DMSO濃度が0.1%になるようにさらに培地で1000倍希釈した。試験化合物の希釈液を細胞とともに37℃、5%CO2で1時間インキュベートし、続いて最終濃度0.3ng/mLで培地(50μL)に15分間予め温めたGM-CSF(R&D Systems)を添加した。サイトカイン刺激の後、細胞を予め温めた固定液(100μL)(BD Biosciences)で37℃、5%CO2で10分間固定し、FACS緩衝液(1mL)(PBS中1%BSA)で2回洗浄し、1:10 抗CD14 FITC:FACS緩衝液(100μL)に再懸濁し、4℃で15分間インキュベートした。細胞を1回洗浄し、次に氷冷Perm Buffer III(BD Biosciences)(100μL)に4℃で30分間再懸濁した。細胞をFACS緩衝液で2回洗浄し、次に1:10抗pSTAT1 Alexa Fluor647:FACS緩衝液(100μL)に暗所で室温で30分間再懸濁し、FACS緩衝液で2回洗浄し、MACSQuantフローサイトメーター(Miltenyi)を用いて分析した。
【0205】
試験化合物の阻害性効力を決定するために、pSTAT5の蛍光強度中央値(MFI)をCD14+単球で測定した。IC50値は、化合物濃度に対するMFIの阻害曲線の解析から決定した。データはpIC50(10を底とする負の対数IC50)値として表される。化合物1はこのアッセイで6.9のpIC50値を示した。
【0206】
アッセイ16:細胞JAK効力アッセイ:IL-12誘導性pSTAT4の阻害
インターロイキン-12(IL-12)で刺激したSTAT4のリン酸化の阻害についての試験化合物の効力を、フローサイトメトリーを用いてヒト全血(スタンフォード血液センター)から得たCD3陽性(CD3+)T細胞において測定した。IL-12はJAKを通じてシグナルを伝達するので、このアッセイはJAKの細胞効力の尺度を提供する。
【0207】
CD3+T細胞を、フィコエリトリン(PE)結合抗CD3抗体(クローンUCHT1、BD Biosciences)を使用して特定し、Alexa Fluor647結合抗pSTAT4抗体(クローン38/p-Stat4、BD Biosciences)を使用してSTAT4リン酸化を検出した。
【0208】
ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を、フィコール勾配を用いて健康なドナーのヒト全血から単離した。細胞を、37℃、5%CO2加湿インキュベーター内で、10%ウシ胎仔血清(FBS、ライフテクノロジーズ)、2mM Glutamax(ライフテクノロジーズ)、25mM HEPES(ライフテクノロジーズ)、1X Pen/Strep(ライフテクノロジーズ)、プレート結合精製抗CD3抗体(5μg/ml、クローンUCHT1、BD Biosciences)および可溶性抗CD28抗体(1μg/ml、クローンCD28.2、BD Biosciences)を補充したRPMI(ライフテクノロジーズ)で3日間培養した。細胞を回収し、培地で洗浄した後、インターロイキン-2(IL-2、10ng/ml、R&D Systems)を含む培地に再懸濁した。細胞を、37℃、5%CO2加湿インキュベーターで3日間培養した。細胞を回収し、RPMIで洗浄し、250,000細胞/ウェルで培地(200μL)に播種し、2時間培養し、様々な濃度の試験化合物を含有するアッセイ培地(50μL)(0.1%ウシ血清アルブミン(シグマ)、2mM Glutamax、25mM HEPESおよび1X Penstrepを補充したRPMI)に再懸濁した。化合物をDMSOで段階希釈し、次いで、最終DMSO濃度が0.1%になるようにさらに培地で1000倍希釈した。試験化合物の希釈液を細胞とともに37℃、5%CO2で1時間インキュベートし、続いて最終濃度10ng/mLで培地(50μL)に30分間予め温めたIL-12(R&D Systems)を添加した。サイトカイン刺激の後、細胞を予め温めた固定液(100μL)(BD Biosciences)で37℃、5%CO2で10分間固定し、FACS緩衝液(1mL)(PBS中1%BSA)で2回洗浄し、氷冷Perm Buffer III(1000μL)(BD Biosciences)に4℃で30分間再懸濁した。細胞をFACS緩衝液で2回洗浄し、次に抗CD3 PE(1:50希釈)および抗pSTAT4 Alexa Fluor647(1:10希釈)を含有するFACS緩衝液(100μL)に暗所で室温で45分間再懸濁した。インキュベーション後、細胞をFACS緩衝液で2回洗浄した後に、MACSQuantフローサイトメーター(Miltenyi)を用いて分析した。試験化合物の阻害性効力を決定するために、pSTAT4の蛍光強度中央値(MFI)をCD3+T細胞で測定した。IC50値は、化合物濃度に対するMFIの阻害曲線の解析から決定した。データはpIC50(10を底とする負の対数IC50)値として表される。化合物1はこのアッセイで6.0のpIC50値を示した。
【0209】
アッセイ17:混合リンパ球反応アッセイにおけるIFNγ分泌の阻害
混合リンパ球反応アッセイは、移植拒絶を模倣するインビトロアッセイである。あるドナーのT細胞を、別のドナーの同種異系の樹状細胞とともに培養する。この反応は、IFNγ分泌などの細胞性免疫応答を誘導する。
【0210】
CD14+単球は、フィコール勾配と磁気分離(CD14マイクロビーズ、Miltenyi)を使用して、ドナーAのヒト全血(スタンフォード血液センター)から単離した。単球は、37℃、5%CO2加湿インキュベーター内で、細胞を、10%ウシ胎仔血清(FBS、ライフテクノロジーズ)、2mM Glutamax(ライフテクノロジーズ)、1X Pen/Strep(ライフテクノロジーズ)、インターロイキン-4(IL-4、50ng/ml、R&D Systems)および顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF、50ng/ml、R&D Systems)を補充したRPMI(ライフテクノロジーズ)で6日間培養することにより樹状細胞に分化させた。樹状細胞を回収し、培地で洗浄した後、37℃、5%CO2加湿インキュベーター内で、大腸菌(Escherichia coli)由来のリポ多糖(LPS、100ng/ml、シグマ)を含有する培地中で細胞を24時間培養することにより活性化させた。細胞を回収し、培地で洗浄し、培地に再懸濁して400,000細胞/mlにし、10,000細胞/ウェル/25μlで播種した。CD4+T細胞を、フィコール勾配と磁気分離(CD4+T細胞単離キット、Miltenyi)を使用して、ドナーBのヒト全血(スタンフォード血液センター)から新たに単離した。T細胞を、10%ウシ胎仔血清(FBS、ライフテクノロジーズ)、2mM Glutamax(ライフテクノロジーズ)、25mM HEPES(ライフテクノロジーズ)および1X Pen/Strep(ライフテクノロジーズ)を補充したRPMI(ライフテクノロジーズ)で4,000,000細胞/mlに再懸濁した。CD4+T細胞を樹状細胞と100,000細胞/ウェル/25μlで混合した。細胞を試験化合物(20μM、2μMおよび/または0.2μMで50μl)で処理し、最終濃度を10μM、1μMおよび/または0.1μMにした。化合物をジメチルスルホキシド(DMSO、シグマ)に希釈して最終濃度0.1%とした。0.1%のDMSOをビヒクル対照として使用した。細胞を、37℃、5%CO2加湿インキュベーターで5日間維持した。5日目に、上清を収集し、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)を使用してインターフェロンガンマ(INFγ)について測定した。パーセント阻害は、ビヒクル処理細胞と比較した、IFNγ分泌に対する化合物阻害性効力によって決定した。データは4人のドナーの平均である。化合物1は、ビヒクル対照と比較した場合に、IFNγ分泌を99%±0.4(10μMで)、76%±10(μMで)および43%±12(0.1μMで)阻害できた。
【0211】
アッセイ18:喘息ドナー由来のヒト3D気道培養物における自発的なペリオスチンおよびIL-6分泌の阻害
EpiAirway組織培養物をMattekから入手した(AIR-100)。細胞は、Th2介在性喘息(好酸球性)に関連するマトリセルラータンパク質であるペリオスチンと、Th2および非Th2関連喘息の両方で役割を果たす炎症性サイトカインであるインターロイキン-6(IL-6)を自発的に分泌する喘息ドナーに由来した。細胞培養インサートにおいて、ヒト由来気管/気管支上皮細胞を多孔質膜支持体上で増殖および分化させ、細胞の下の温められた培地と上の気体の試験雰囲気を有する気液界面を可能にした。組織を37℃、5%CO2加湿インキュベーター内で維持培地(Mattek、AIR-100-MM)で培養した。4人のドナーを試験した。0日目に、組織培養物を10μM、1μMおよび/または0.1μMの液体界面の試験化合物で処理した。化合物をジメチルスルホキシド(DMSO、シグマ)に希釈して最終濃度0.1%とした。0.1%のDMSOをビヒクル対照として使用した。組織培養を8日間維持した。培地は2日おきに化合物を含有する新鮮な培地と交換した。8日目に、上清を分析のために回収した。上清サンプルを、ペリオスチンおよびインターロイキン-6(IL-6)についてluminex分析(EMD Millipore)を使用してアッセイした。データは阻害%+/-標準偏差(±STDV)として表される。パーセント阻害は、ビヒクル処理細胞と比較した、ペリオスチンおよびIL-6の自発的分泌に対する化合物阻害性効力によって決定した。データは3または4人のドナーの平均である。化合物1は、ビヒクル対照と比較した場合に、自発的なペリオスチン分泌を62%±25(10μMで)および40%±28(0.1μMで)阻害できた。化合物1は、ビヒクルと比較した場合に、自発的なIL-6分泌を91%±9.0(10μMで)、70%±33(1μMで)および10%±40(0.1μMで)阻害できた。
【0212】
結晶構造
ヒトJAK1に結合した化合物C-1の共結晶構造を、2.28Åの分解能で得た。リガンドはATP結合部位に結合することが観察された。ドナー原子とアクセプター原子の間の3.5Åまたはそれ未満の距離に基づいて、7つの特定の水素結合相互作用が特定された。特に、C-1の化合物の環外アミドのカルボニルとJAK1のArg879の側鎖との間に水素結合相互作用が確認された。同様の相互作用は、本発明の化合物についても予想することができる。以前のモデリング研究では、この相互作用は、他のチロシンキナーゼよりもJAK1に選択性を与える方法として提案されていた。なぜなら、他の密接に関連するキナーゼ(TRKA、VEGFR、ABL1など)は、同等の位置にアルギニン残基を持たないからである。結晶構造における水素結合相互作用の観察された結果と、環外アミドを持たないシリーズと比較して改善されたキノーム選択性により、この設計仮説が検証される。
【0213】
本発明は、その特定の態様または実施形態を参照して説明してきたが、本発明の真の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な変更が行われ得、等価物で置換され得ることが当業者によって理解される。さらに、適用される特許法および規則によって認められる限りにおいて、本明細書に引用されたすべての刊行物、特許および特許出願は、各文書が個別に参照により本明細書中に援用されるのと同程度に、その全体が参照により本明細書に援用される。