(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172315
(43)【公開日】2022-11-15
(54)【発明の名称】振動体感装置
(51)【国際特許分類】
H04R 1/00 20060101AFI20221108BHJP
H04R 3/00 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
H04R1/00 310G
H04R3/00 310
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142034
(22)【出願日】2022-09-07
(62)【分割の表示】P 2021095089の分割
【原出願日】2017-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(72)【発明者】
【氏名】谷田 泰幸
(57)【要約】 (修正有)
【課題】臨場感を高めることができる、振動体感装置を提供する。
【解決手段】振動体感装置1は、ユーザの身体の複数の部位に夫々装着された複数の振動部と、オーディオ信号S
1を外部(コンテンツ出力装置)から取得するオーディオ信号取得部と、オブジェクトの位置を表す音源位置情報S
2を外部のコンテンツ出力装置から取得する音源位置情報取得部と、ユーザの位置及び向いている方向を表すユーザ位置情報S
3を外部から取得するユーザ位置情報取得部と、音源位置情報及びユーザ位置情報に基づいて、振動を与えるユーザの部位を表す部位情報を算出する振動部位算出部と、音の大きさに応じた大きさの振動信号を、部位情報で表される部位に装着されている1つ又は複数の振動部に出力する振動信号生成部と、を備える。振動信号が供給された1つ又は複数の振動部は、振動信号の大きさに応じた強さで振動する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の振動部と、
オーディオ信号を取得する、オーディオ信号取得部と、
を備え、
音源とユーザとの相対的な位置に基づいて振動させる前記振動部を決定し、
前記オーディオ信号で表される音の大きさに応じた大きさの振動信号を、前記オーディ
オ信号の包絡線を用いて新たに生成し、前記決定した振動部に出力する
振動体感装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザに振動を体感させる、振動体感装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンサートやライブ等において、人は、耳に届く音だけでなく音圧を肌で感じることで
、より迫力のある演奏を楽しむことができる。一方、ヘッドホン、イヤホン又は小径のス
ピーカで音を再生する場合においては、音圧まで再現することは困難である。そこで、手
軽に臨場感が高いオーディオ再生環境を構築することが望まれる。
【0003】
下記の特許文献1には、音声信号の波形に沿った振動を発生する、簡易装着型体感振動
装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、昨今のVR(バーチャルリアリティ)等では、オーディオ信号の定位即
ち音源方向も再現したコンテンツが増加しており、単にオーディオ信号に合わせて振動を
発生させるだけでは、かえって臨場感を欠くことになりかねない。
【0006】
本発明は、臨場感を高めることができる、振動体感装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数の振動部と、オーディオ信号を取得する、オーディオ信号取得部と、を
備え、音源とユーザとの相対的な位置に基づいて振動させる前記振動部を決定し、前記オ
ーディオ信号で表される音の大きさに応じた大きさの振動信号を、前記オーディオ信号の
包絡線を用いて新たに生成し、前記決定した振動部に出力する振動体感装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、臨場感を高めることができる、振動体感装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る振動体感装置を用いたシステムの一例を模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る振動体感装置の構成を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る振動体感装置の複数の振動部の装着状態を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る振動体感装置の複数の振動部の装着状態を示す図である。
【
図5】
図5は、オブジェクトとユーザとの位置関係の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、オブジェクトとユーザとの位置関係の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、オブジェクトとユーザとの位置関係の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、オブジェクトとユーザとの位置関係の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、オブジェクトとユーザとの位置関係の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態のオーディオ信号及び振動信号の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る振動体感装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに
限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。
また、一部の構成要素を用いない場合もある。
<実施形態を用いたシステム>
図1は、実施形態に係る振動体感装置を用いたシステムの一例を模式的に示す図である
。
【0011】
システム100は、ユーザUに振動を与える振動体感装置1と、映像及び音声を含むコ
ンテンツを再生するコンテンツ出力装置110と、を含む。
【0012】
コンテンツは、映画、コンサート若しくはライブの映像及び音声、又は、ゲームが例示
されるが、これらに限定されない。映像は、2D又は3Dの動画像又は静止画像が例示さ
れる。
【0013】
実施形態では、コンテンツデータは、音を発するオブジェクト(音源)の位置情報を含
むものとする。一例として、オブジェクトベースオーディオ(オブジェクトオーディオと
も言う)データは、各々のオブジェクトの動き及び音量の変化等のデータを含んでおり、
AVアンプ等は、スピーカの位置や数にあわせて最適なレンダリングを行い、最終的な音
を再生する。
【0014】
コンテンツ出力装置110は、携帯型の場合には、スマートフォン又はタブレットが例
示されるが、これらに限定されない。
【0015】
コンテンツ出力装置110は、据置型の場合には、コンテンツプレーヤ、パーソナルコ
ンピュータ又は据置型ゲーム機と、AVアンプと、表示装置と、音声出力装置と、の組み
合わせが例示される。コンテンツプレーヤは、Blu-ray(登録商標)プレーヤが例
示されるが、これに限定されない。表示装置は、VRヘッドマウントディスプレイ(以下
、VRHMDと言う)、テレビジョン装置又はプロジェクタが例示されるが、これらに限
定されない。音声出力装置は、スピーカ、ヘッドホン又はイヤホンが例示されるが、これ
らに限定されない。
【0016】
コンテンツ出力装置110は、処理部111と、映像出力部112と、音声出力部11
3と、センサ部114と、通信部115と、記録媒体読取部116と、を含む。
【0017】
通信部115は、ネットワークNを介して、コンテンツデータをサーバ120から受信
して、処理部111に出力する。ネットワークNは、有線であっても良いし、無線であっ
ても良い。
【0018】
記録媒体読取部116は、記録媒体117に記録されているコンテンツデータを読み取
って、処理部111に出力する。記録媒体117は、Blu-ray(登録商標)ディス
クが例示されるが、これに限定されない。
【0019】
センサ部114は、ユーザUの位置及び向いている方向を検出して、処理部111に出
力する。ユーザUの向いている方向は、ユーザUの顔が向いている方向又はユーザUの身
体が向いている方向が例示されるが、これに限定されない。
【0020】
コンテンツ出力装置110が携帯型である場合には、センサ部114は、スマートフォ
ン又はタブレットの画像表示側に搭載された前面カメラ(インカメラ)が例示されるが、
これに限定されない。
【0021】
コンテンツ出力装置110が据置型である場合には、センサ部114は、室内に設置さ
れたカメラ又はビーコンが例示されるが、これに限定されない。
【0022】
処理部111は、コンテンツデータに含まれる映像データに基づいて、映像を映像出力
部112に表示させる。処理部111は、CPU(Central Processing Unit)が例示
されるが、これに限定されない。
【0023】
コンテンツ出力装置110が携帯型である場合には、映像出力部112は、スマートフ
ォン若しくはタブレットに搭載された表示パネル、又は、スマートフォン若しくはタブレ
ットに接続されたVRHMD、テレビジョン装置若しくはプロジェクタが例示されるが、
これらに限定されない。
【0024】
コンテンツ出力装置110が据置型である場合には、映像出力部112は、VRHMD
、テレビジョン装置又はプロジェクタが例示されるが、これらに限定されない。
【0025】
処理部111は、コンテンツデータに含まれるオーディオデータに基づいて、音声を音
声出力部113に出力させる。
【0026】
コンテンツ出力装置110が携帯型である場合には、音声出力部113は、スマートフ
ォン若しくはタブレットに搭載されたスピーカ、又は、スマートフォン若しくはタブレッ
トに接続されたヘッドホン又はイヤホンが例示されるが、これらに限定されない。
【0027】
コンテンツ出力装置110が据置型である場合には、音声出力部113は、スピーカ、
ヘッドホン又はイヤホンが例示されるが、これらに限定されない。
【0028】
処理部111は、オーディオ信号S1を、振動体感装置1に出力する。処理部111は
、コンテンツデータに含まれるオーディオデータをそのままオーディオ信号S1として振
動体感装置1に送信しても良い。
【0029】
なお、人間は、高音よりも低音で音圧を感じる。従って、処理部111は、コンテンツ
データに含まれるオーディオデータの内の低音成分だけをオーディオ信号S1として振動
体感装置1に送信しても良い。
【0030】
一例として、処理部111は、コンテンツデータに含まれるオーディオデータを、予め
定められたカットオフ周波数を有するローパスフィルタに通過させた後の信号を、オーデ
ィオ信号S1として振動体感装置1に送信しても良い。
【0031】
或いは、処理部111は、コンテンツデータにオブジェクトベースオーディオデータが
含まれている場合には、予め定められた周波数以下の低音を発するオブジェクトのオーデ
ィオデータだけをオーディオ信号S1として振動体感装置1に送信しても良い。
【0032】
或いは、処理部111は、コンテンツデータにサブウーファーを駆動するためのオーデ
ィオデータが含まれている場合には、サブウーファーを駆動するためのオーディオデータ
をオーディオ信号S1として振動体感装置1に送信しても良い。
【0033】
また、処理部111は、オブジェクトの位置を表す情報である音源位置情報S2を、振
動体感装置1に出力する。音源位置情報S2は、スピーカが音を発する方向の情報を含ん
でも良い。
【0034】
一例として、処理部111は、コンテンツデータにオブジェクトベースオーディオデー
タが含まれている場合には、複数のオブジェクトの位置情報を音源位置情報S2として振
動体感装置1に送信しても良い。
【0035】
或いは、処理部111は、支配的なオブジェクトの位置情報だけを音源位置情報S2と
して振動体感装置1に送信しても良い。支配的なオブジェクトとは、最も信号レベルが高
いオブジェクトが例示される。
【0036】
或いは、処理部111は、複数のオブジェクトの音の信号レベルに基づいて算出した、
複数のオブジェクトの平均的な位置情報を音源位置情報S2として振動体感装置1に送信
しても良い。平均的な位置情報は、複数の物体の質量及び位置関係から重心を算出するよ
うに、質量を信号レベルに置き換えて算出しても良い。信号レベルは、単位時間毎の信号
レベルの平均値を用いても良い。
【0037】
或いは、処理部111は、予め定められた周波数以下の低音を発するオブジェクトの位
置情報だけを音源位置情報S2として振動体感装置1に送信しても良い。
【0038】
また、処理部111は、オブジェクトが位置する空間内での、ユーザUの位置及び向い
ている方向を表す情報であるユーザ位置情報S
3を、振動体感装置1に出力する。なお、
ユーザUの位置及び向いている方向は、オブジェクトが位置する空間内での絶対的な位置
及び方向であっても良いし、オブジェクトとユーザUとの相対的な位置及び方向であって
も良い。
<実施形態>
[構成]
図2は、実施形態に係る振動体感装置の構成を示す図である。振動体感装置1は、オー
ディオ信号取得部11と、音源位置情報取得部12と、ユーザ位置情報取得部13と、振
動部位算出部14と、振動信号生成部15と、複数の振動部16と、を含む。複数の振動
部16は、ユーザUの身体の複数の部位に夫々装着される。
【0039】
図3及び
図4は、実施形態に係る振動体感装置の複数の振動部の装着状態を示す図であ
る。
図3は、ユーザUを正面から見た図である。
図4は、ユーザUを背面から見た図であ
る。
【0040】
図3及び
図4に示すように、実施形態では、複数の振動部16は、ベスト(vest)20
に取り付けられている。そして、ユーザUが、ベスト20を着用している。これにより、
複数の振動部16は、ユーザUに装着されている。なお、実施形態では、複数の振動部1
6がベスト20に取り付けられていることとしたが、これに限定されない。複数の振動部
16は、バンド、ベルト、腹巻等に取り付けられて、ユーザUに装着されても良い。
【0041】
複数の振動部16は、ユーザUの身体の軸21の周りの複数の方向に装着されることが
好ましい。軸21は、ユーザUが直立した場合に、頭頂と両足間とを結ぶ線が例示される
が、これに限定されない。
【0042】
例えば、複数の振動部16が2個である場合には、1個の振動部16がユーザUの腹部
に装着され、他の1個の振動部16がユーザUの背部に装着されることが好ましい。或い
は、1個の振動部16がユーザUの右脇腹に装着され、他の1個の振動部16がユーザU
の左脇腹に装着されることが好ましい。
【0043】
また、例えば、複数の振動部16が4個である場合には、4個の振動部16が、ユーザ
Uの腹部と背部と右脇腹と左脇腹とに夫々装着されることが好ましい。
【0044】
また、
図3及び
図4に示すように、軸21の周りの1つの方向において、軸21の延在
方向に沿って複数の振動部16が配置されることが好ましい。例えば、
図3では、ユーザ
Uの身体の中央腹部には、軸21の延在方向に沿って3個の振動部16を含む振動部群1
6aが配置されている。そして、振動体感装置1は、例えば、オブジェクトの位置がユー
ザUの位置よりも高い場合に、振動部群16aの中で最も高い位置に配置されている振動
部16a1を最も強く振動させることが好ましい。例えば、振動体感装置1は、オブジェ
クトが飛行機である場合に、振動部群16aの中で最も高い位置に配置されている振動部
16a1を最も強く振動させることが好ましい。これにより、ユーザUは、臨場感をより
感じることができる。
【0045】
複数の振動部16の各々は、モータとバラストとで構成することや、磁石とコイルとで
構成することが例示されるが、これらに限定されない。
【0046】
なお、オーディオ信号取得部11、音源位置情報取得部12、ユーザ位置情報取得部1
3、振動部位算出部14及び振動信号生成部15は、ベスト20に取り付けられていても
良いし、ベスト20に取り付けられず、複数の振動部16と分離していても良い。
【0047】
再び
図2を参照すると、オーディオ信号取得部11は、オーディオ信号S
1をコンテン
ツ出力装置110から取得して、振動信号生成部15に出力する。
【0048】
音源位置情報取得部12は、音源位置情報S2をコンテンツ出力装置110から取得し
て、振動部位算出部14に出力する。
【0049】
ユーザ位置情報取得部13は、ユーザ位置情報S3をコンテンツ出力装置110から取
得して、振動部位算出部14に出力する。
【0050】
振動部位算出部14は、音源位置情報S2及びユーザ位置情報S3に基づいて、振動を
与えるユーザUの部位を表す部位情報S4を算出し、振動信号生成部15に出力する。
【0051】
具体的な一例として、まず、振動部位算出部14は、ユーザUとオブジェクトとの相対
的な位置関係から、オブジェクトが音を発する方向を算出する。次に、振動部位算出部1
4は、ユーザUが向いている方向とオブジェクトが音を発する方向とから、振動が伝わる
べき方向を算出する。
【0052】
図5は、オブジェクトとユーザとの位置関係の一例を示す図である。
図5では、映像出
力部112は、テレビジョン装置である。
【0053】
映像出力部112は、Y軸方向と逆の方向に、映像を出力する。ユーザUは、映像出力
部112に正対している。つまり、ユーザUが向いている方向33は、Y軸方向である。
オブジェクト31は、ユーザUから見て、斜め右前の方向に位置している。オブジェクト
31は、Y軸方向と逆の方向32に、音を発する。この場合、振動部位算出部14は、オ
ブジェクト31からユーザUに向かう方向34を、振動が伝わるべき方向として算出する
。そして、振動部位算出部14は、方向33と方向34とがなす角度θに基づいて、ユー
ザUの右腹部35を、振動を与える部位として算出する。再び
図3を参照すると、振動体
感装置1は、ユーザUの右腹部に配置された、3個の振動部16を含む振動部群16bを
振動させる。
【0054】
なお、振動部位算出部14は、ユーザUの身体の部位の内でオブジェクト31に最も近
い部位を、振動を与える部位として算出しても良い。再び
図5を参照すると、ユーザUの
身体の部位の内でオブジェクト31に最も近い部位は、ユーザUの右腹部35である。従
って、振動部位算出部14は、ユーザUの身体の部位の内でオブジェクト31に最も近い
、ユーザUの右腹部35を、振動を与える部位として算出しても良い。
【0055】
或いは、振動部位算出部14は、ユーザUの身体の部位の内でオブジェクト31に対向
する部位を、振動を与える部位として算出しても良い。再び
図5を参照すると、ユーザU
の身体の部位の内でオブジェクト31に対向する部位は、ユーザUの右腹部35である。
従って、振動部位算出部14は、ユーザUの身体の部位の内でオブジェクト31に対向す
る、ユーザUの右腹部35を、振動を与える部位として算出しても良い。
【0056】
図6は、オブジェクトとユーザとの位置関係の一例を示す図である。
図6は、
図5に示
す状態から、ユーザUが、方向33をXY平面に垂直な方向を軸として、矢印36で示す
ように180度回転させた状態を示す図である。
【0057】
ユーザUは、映像出力部112と反対の側を向いている。つまり、ユーザUが向いてい
る方向33は、Y軸方向と逆の方向である。オブジェクト31は、ユーザUから見て、斜
め左後の方向に位置している。オブジェクト31は、Y軸方向と逆の方向32に、音を発
する。この場合、振動部位算出部14は、オブジェクト31からユーザUに向かう方向3
4を、振動が伝わるべき方向として算出する。そして、振動部位算出部14は、方向33
と方向34とがなす角度θに基づいて、ユーザUの左背部37を、振動を与える部位とし
て算出する。再び
図4を参照すると、振動体感装置1は、ユーザUの左背部に配置された
、3個の振動部16を含む振動部群16dを振動させる。
【0058】
なお、振動部位算出部14は、ユーザUの身体の部位の内でオブジェクト31に最も近
い部位を、振動を与える部位として算出しても良い。再び
図6を参照すると、ユーザUの
身体の部位の内でオブジェクト31に最も近い部位は、ユーザUの左背部37である。従
って、振動部位算出部14は、ユーザUの身体の部位の内でオブジェクト31に最も近い
、ユーザUの左背部37を、振動を与える部位として算出しても良い。
【0059】
或いは、振動部位算出部14は、ユーザUの身体の部位の内でオブジェクト31に対向
する部位を、振動を与える部位として算出しても良い。再び
図6を参照すると、ユーザU
の身体の部位の内でオブジェクト31に対向する部位は、ユーザUの左背部37である。
従って、振動部位算出部14は、ユーザUの身体の部位の内でオブジェクト31に対向す
る、ユーザUの左背部37を、振動を与える部位として算出しても良い。
【0060】
図7は、オブジェクトとユーザとの位置関係の一例を示す図である。ここでは、コンテ
ンツデータは、マルチカメラアングルを有するものとする。そして、
図7は、
図5に示す
状態から、ユーザUが、コンテンツ出力装置110を操作して、カメラアングルを時計回
りに移動させた状態を示す図である。カメラアングルを時計回りに移動させると、オブジ
ェクト31は、ユーザUから見て、X方向と逆の方向38に移動する。
【0061】
ユーザUは、映像出力部112に正対している。つまり、ユーザUが向いている方向3
3は、Y軸方向である。オブジェクト31は、ユーザUから見て、斜め左前の方向に位置
している。オブジェクト31は、Y軸方向と逆の方向39に、音を発する。この場合、振
動部位算出部14は、オブジェクト31からユーザUに向かう方向40を、振動が伝わる
べき方向として算出する。そして、振動部位算出部14は、方向33と方向40とがなす
角度θに基づいて、ユーザUの左腹部41を、振動を与える部位として算出する。再び図
3を参照すると、振動体感装置1は、ユーザUの左腹部に配置された、3個の振動部16
を含む振動部群16cを振動させる。
【0062】
なお、振動部位算出部14は、ユーザUの身体の部位の内でオブジェクト31に最も近
い部位を、振動を与える部位として算出しても良い。再び
図7を参照すると、ユーザUの
身体の部位の内でオブジェクト31に最も近い部位は、ユーザUの左腹部41である。従
って、振動部位算出部14は、ユーザUの身体の部位の内でオブジェクト31に最も近い
、ユーザUの左腹部41を、振動を与える部位として算出しても良い。
【0063】
或いは、振動部位算出部14は、ユーザUの身体の部位の内でオブジェクト31に対向
する部位を、振動を与える部位として算出しても良い。再び
図7を参照すると、ユーザU
の身体の部位の内でオブジェクト31に対向する部位は、ユーザUの左腹部41である。
従って、振動部位算出部14は、ユーザUの身体の部位の内でオブジェクト31に対向す
る、ユーザUの左腹部41を、振動を与える部位として算出しても良い。
【0064】
図8は、オブジェクトとユーザとの位置関係の一例を示す図である。
図8では、映像出
力部112は、VRHMDである。
【0065】
ユーザUが向いている方向33は、Y軸方向である。オブジェクト31は、ユーザUか
ら見て、斜め右前の方向に位置している。オブジェクト31は、Y軸方向と逆の方向32
に、音を発する。この場合、振動部位算出部14は、オブジェクト31からユーザUに向
かう方向34を、振動が伝わるべき方向として算出する。そして、振動部位算出部14は
、方向33と方向34とがなす角度θに基づいて、ユーザUの右腹部35を、振動を与え
る部位として算出する。再び
図3を参照すると、振動体感装置1は、ユーザUの右腹部に
配置された、3個の振動部16を含む振動部群16bを振動させる。
【0066】
なお、振動部位算出部14は、ユーザUの身体の部位の内でオブジェクト31に最も近
い部位を、振動を与える部位として算出しても良い。再び
図8を参照すると、ユーザUの
身体の部位の内でオブジェクト31に最も近い部位は、ユーザUの右腹部35である。従
って、振動部位算出部14は、ユーザUの身体の部位の内でオブジェクト31に最も近い
、ユーザUの右腹部35を、振動を与える部位として算出しても良い。
【0067】
或いは、振動部位算出部14は、ユーザUの身体の部位の内でオブジェクト31に対向
する部位を、振動を与える部位として算出しても良い。再び
図8を参照すると、ユーザU
の身体の部位の内でオブジェクト31に対向する部位は、ユーザUの右腹部35である。
従って、振動部位算出部14は、ユーザUの身体の部位の内でオブジェクト31に対向す
る、ユーザUの右腹部35を、振動を与える部位として算出しても良い。
【0068】
図9は、オブジェクトとユーザとの位置関係の一例を示す図である。
図9は、
図8に示
す状態から、ユーザUが、方向33をXY平面に垂直な方向を軸として、矢印36で示す
ように180度回転させた状態を示す図である。
【0069】
ユーザUが向いている方向33は、Y軸方向と逆の方向である。オブジェクト31は、
ユーザUから見て、斜め左後の方向に位置している。オブジェクト31は、Y軸方向と逆
の方向32に、音を発する。この場合、振動部位算出部14は、オブジェクト31からユ
ーザUに向かう方向34を、振動が伝わるべき方向として算出する。そして、振動部位算
出部14は、方向33と方向34とがなす角度θに基づいて、ユーザUの左背部37を、
振動を与える部位として算出する。再び
図4を参照すると、振動体感装置1は、ユーザU
の左背部に配置された、3個の振動部16を含む振動部群16dを振動させる。
【0070】
なお、振動部位算出部14は、ユーザUの身体の部位の内でオブジェクト31に最も近
い部位を、振動を与える部位として算出しても良い。再び
図9を参照すると、ユーザUの
身体の部位の内でオブジェクト31に最も近い部位は、ユーザUの左背部37である。従
って、振動部位算出部14は、ユーザUの身体の部位の内でオブジェクト31に最も近い
、ユーザUの左背部37を、振動を与える部位として算出しても良い。
【0071】
或いは、振動部位算出部14は、ユーザUの身体の部位の内でオブジェクト31に対向
する部位を、振動を与える部位として算出しても良い。再び
図9を参照すると、ユーザU
の身体の部位の内でオブジェクト31に対向する部位は、ユーザUの左背部37である。
従って、振動部位算出部14は、ユーザUの身体の部位の内でオブジェクト31に対向す
る、ユーザUの左背部37を、振動を与える部位として算出しても良い。
【0072】
図8及び
図9では、映像出力部112がVRHMDである場合について説明したが、映
像出力部112がスマートフォン又はタブレットに搭載された表示パネルの場合も、同様
である。
【0073】
再び
図2を参照すると、振動信号生成部15は、オーディオ信号S
1で表される音の大
きさに応じた大きさの振動信号S
5を、部位情報S
4で表される部位に装着されている1
つ又は複数の振動部16に、出力する。
【0074】
図10は、実施形態のオーディオ信号及び振動信号の一例を示す図である。
【0075】
振動信号生成部15は、オーディオ信号S1の複数の極値50を算出する。次に、振動
信号生成部15は、複数の極値50の複数の絶対値51を算出する。そして、振動信号生
成部15は、複数の絶対値51に予め定められたゲインを乗じることにより、パルス状の
振動信号S5を生成する。従って、振動信号S5のパルスのタイミングは、オーディオ信
号S1の複数の極値50のタイミングと同じになる。振動信号生成部15は、振動信号S
5を、部位情報S4で表される部位に装着されている1つ又は複数の振動部16に、出力
する。振動信号S5が供給された1つ又は複数の振動部16は、振動信号S5の大きさに
応じた強さで振動する。
【0076】
これにより、部位情報S4で表される部位に装着されている1つ又は複数の振動部16
は、音の大きさに応じた強さの振動をユーザUに与えることができる。従って、ユーザU
は、臨場感をより感じることができる。
【0077】
なお、振動信号生成部15は、オーディオ信号S1の包絡線を算出し、包絡線から極値
50を算出しても良い。振動信号生成部15は、オーディオ信号S1にヒルベルト変換を
実施することにより、包絡線を算出しても良い。
【0078】
また、振動信号生成部15は、処理部111がオーディオ信号S1をローパスフィルタ
に通過させないで出力した場合には、オーディオ信号S1を、予め定められたカットオフ
周波数を有するローパスフィルタに通過させても良い。
【0079】
また、振動信号生成部15は、極値50と極値50との間の時間長に応じて、振動信号
S5を出力する時間を変更することで、振動部16を振動させる時間を変更しても良い。
例えば、振動信号生成部15は、極値50と極値50との間の時間長が長い場合は、振動
信号S5を出力する時間を長く変更することで、振動部16を振動させる時間を長く変更
しても良い。また、振動信号生成部15は、極値50と極値50との間の時間長が短い場
合は、振動信号S5を出力する時間を短く変更することで、振動部16を振動させる時間
を短く変更しても良い。
【0080】
これにより、例えば、キレがあるバスドラムによる振動時間は短くなり、伸びやかなベ
ースによる振動時間は長くなる。従って、ユーザUは、再現性の高い音圧を体感すること
ができ、臨場感をより感じることができる。
【0081】
なお、振動信号生成部15は、部位情報S4で表される部位と異なる部位に装着されて
いる1つ又は複数の振動部16にも、振動信号S5を出力しても良い。この場合、振動信
号生成部15は、部位情報S4で表される部位からの距離に応じて、振動信号S5の振幅
を小さくすると好適である。
【0082】
再び
図3を参照すると、部位情報S
4で表される部位が正面腹部部である場合には、振
動信号生成部15は、オーディオ信号S
1で表される音の大きさに応じた大きさの振動信
号S
5を、振動部群16aに出力する。加えて、振動信号生成部15は、部位情報S
4で
表される部位からの距離に応じて振幅を小さくした振動信号S
5を、右腹部に装着された
振動部群16b及び左腹部に装着された振動部群16cにも出力すると良い。
【0083】
更に加えて、振動信号生成部15は、部位情報S4で表される正面腹部からの距離に応
じて振幅を小さくした振動信号S5を、右脇部、左脇部、右背面部、左背面部及び中央背
面部に装着された振動部群に出力しても良い。
【0084】
これにより、部位情報S4で表される部位と異なる部位に装着されている1つ又は複数
の振動部16は、部位情報S4で表される部位に装着されている1つ又は複数の振動部1
6からの距離に応じて、部位情報S4で表される部位に装着されている1つ又は複数の振
動部16よりも弱い振動をユーザUに与える。従って、ユーザUは、複数の部位で異なる
大きさの振動を与えられるので、臨場感をより感じることができる。
【0085】
再び
図2を参照すると、複数の振動部16は、振動信号S
5のタイミングで、振動信号
S
5の振幅に応じた強さの振動を発生する。
[動作]
図11は、実施形態の振動体感装置の動作を示すフローチャートである。振動体感装置
1は、予め定められた周期で、
図11に示す処理を実行する。
【0086】
オーディオ信号取得部11は、ステップS100において、オーディオ信号S1を処理
部111から取得し、振動信号生成部15に出力する。
【0087】
音源位置情報取得部12は、ステップS102において、音源位置情報S2を処理部1
11から取得し、振動部位算出部14に出力する。
【0088】
ユーザ位置情報取得部13は、ステップS104において、ユーザ位置情報S3を処理
部111から取得し、振動部位算出部14に出力する。
【0089】
振動部位算出部14は、ステップS106において、音源位置情報S2及びユーザ位置
情報S3に基づいて、振動を与えるユーザUの部位を表す部位情報S4を算出し、振動信
号生成部15に出力する。
【0090】
振動信号生成部15は、ステップS108において、オーディオ信号S1で表される音
の大きさに応じた大きさの振動信号S5を、1つ又は複数の振動部16に、出力する。
【0091】
1つ又は複数の振動部16は、ステップS110において、振動信号S5のタイミング
で、振動信号S5の振幅に応じた強さの振動を発生する。
【0092】
なお、振動している1つ又は複数の振動部16は、ユーザUと異なる人からの接触があ
った場合に、振動を中止しても良い。これにより、ユーザUと異なる人に振動が伝わらな
いようにすることができる。
【0093】
また、振動信号生成部15が、1つ又は複数の振動部16に振動信号S5を供給してか
ら、1つ又は複数の振動部16が振動を開始し、ユーザUが振動を体感するまでの遅延時
間を処理部111に出力しても良い。そして、処理部111が、音声出力部113からの
音声の出力を遅延時間だけ遅らせると良い。これにより、音声出力部113から出力され
る音声と、1つ又は複数の振動部16で発生される振動と、を同期させることができる。
これにより、ユーザUは、臨場感をより感じることができる。
[効果]
以上説明したように、本実施形態によれば、オブジェクト31とユーザUとの位置関係
に応じたユーザUの身体の部位に、振動を与えることができる。これにより、ユーザUの
臨場感を高めることができる。
【符号の説明】
【0094】
1 振動体感装置、11 オーディオ信号取得部、12 音源位置情報取得部、13
ユーザ位置情報取得部、14 振動部位算出部、15 振動信号生成部、16 振動部、
16a,16b,16c,16d 振動部群、20 ベスト、31 オブジェクト、10
0 システム、110 コンテンツ出力装置、111 処理部、112 映像出力部、1
13 音声出力部、114 センサ部、115 通信部、116 記録媒体読取部、11
7 記録媒体、120 サーバ。